WO2010035460A1

WO2010035460A1 - 車両用フロントカバーの締結構造

Info

Publication number: WO2010035460A1
Application number: PCT/JP2009/004801
Authority: WO
Inventors: 沼田英彦; 鬼頭玄一; 立石清一
Original assignee: 本田技研工業株式会社
Priority date: 2008-09-26
Filing date: 2009-09-24
Publication date: 2010-04-01
Also published as: EP2336013A4; BRPI0919040B1; CN102164813A; EP2336013B1; BRPI0919040A2; JP2010076597A; JP5178430B2; EP2336013A1; CN102164813B

Abstract

　第１のカバー部材と、この第１のカバー部材に部分的に重なり合って隣接する第２のカバー部材と、を有する車両用フロントカバーの締結構造は、前記第１のカバー部材及び前記第２のカバー部材間の重ね合わせ部分である締結部と；この締結部の表側より取り付けられて前記第１のカバー部材及び前記第２のカバー部材間を固定する固定部材と；この固定部材を含めて前記締結部を前記表側から覆ってかつ、少なくとも前記固定部材を覆う部分が着脱自在である遮蔽部材と；を備える。

Description

車両用フロントカバーの締結構造

　本発明は、車両用フロントカバーの締結構造に関する。
　本願は、２００８年９月２６日に、日本国に出願された特願２００８－２４７１２１号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

　スクータのレッグシールドを構成するフロントカバーを、左右中央側のセンターカバーとその左右両側のサイドカバーとに分割構成したものがある（例えば、特許文献１参照。）。

特開平１１－１９８８８１号公報

　しかし、上記の構成において、前記センターカバーとサイドカバーとの間の結合を、カバー外側からネジを取り付けることによって行なうことがある。この場合、作業を行ないやすい。しかし、前記ネジがカバー外側に露出してしまうため、外観が損なわれてしまう可能性がある。

　そこで本発明は、車両のフロントカバーを構成する第一及び第二カバー部材間の締結部の構造において、締結作業を行ないやすく、かつフロントカバーの外観が損なわれないようにすることを目的とする。

　（１）本発明の一態様に係る車両用フロントカバーの締結構造は、第１のカバー部材と、この第１のカバー部材に部分的に重なり合って隣接する第２のカバー部材と、を有する車両用フロントカバーの締結構造であって、前記第１のカバー部材及び前記第２のカバー部材間の重ね合わせ部分である締結部と；この締結部の表側より取り付けられて前記第１のカバー部材及び前記第２のカバー部材間を固定する固定部材と；この固定部材を含めて前記締結部を前記表側から覆ってかつ、少なくとも前記固定部材を覆う部分が着脱自在である遮蔽部材と；を備える。

　（２）上記の車両用フロントカバーの締結構造は、以下のように構成してもよい：前記遮蔽部材が弾性を有する。

　（３）上記の車両用フロントカバーの締結構造は、以下のように構成してもよい：前記第１のカバー部材及び前記第２のカバー部材のうち、前記締結部で相対的に表側に配される方の裏面に、前記遮蔽部材が固定されている。

　（４）上記の車両用フロントカバーの締結構造は、以下のように構成してもよい: 前記固定部材が、前記第１のカバー部材及び前記第２のカバー部材間にわたって延在するとともにこれらの少なくとも一方に固定された締結腕を備え；この締結腕が挿通される挿通孔が前記遮蔽部材に形成されている。

　（５）上記の車両用フロントカバーの締結構造は、以下のように構成してもよい：前記締結腕の前記挿通孔を挿通する部分が、前記遮蔽部材の着脱方向と平行である。

　上記（１）に記載した発明によれば、締結部材の着脱作業時には遮蔽部材が遮蔽状態から退避状態に変化する。これにより、締結部に対する前記着脱作業を容易に行うことができる。同時に、両カバー部材の締結作業を行ないやすくすることができる。一方、上記（１）に記載した発明によれば、締結部材により両カバー部材を互いに締結固定した後には、遮蔽部材を遮蔽状態に戻して締結部をカバー外側から覆うことができる。これにより、締結部材がカバー外側へ露出することを抑えることができる。同時に、フロントカバーの外観が損なわれないようにすることができる。

　上記（２）に記載した発明によれば、遮蔽部材（弾性部材）を遮蔽状態から退避状態へ弾性変形させるだけで締結部材を着脱することが可能となる。これにより、この着脱作業を容易に行なうことができる。同時に、両カバーを互いに締結固定した後には遮蔽部材の弾性変形を復元させるだけで締結部をカバー外側から覆うことが可能になる。これによって、フロントカバーの外観が損なわれないようにすることができる。すなわち、フロントカバーを車体へ容易に組み付けることができる。そして、車両が完成した後の整備時等にフロントカバーを容易に着脱することができる。

　上記（３）に記載した発明によれば、両カバー部材の重なり部分（締結部）におけるカバー外側に位置する第二カバー部材の内側に遮蔽部材を取り付ける。これにより、遮蔽部材のフロントカバーへの取り付け部がカバーの外側に露出しない。さらに、遮蔽部材をフロントカバーに取り付けにくくせずに、両カバー部材が重なる締結部をこの遮蔽部材によりカバー外側から容易に覆うことができる。

　上記（４）に記載した発明によれば、締結腕を利用して遮蔽部材を保持できる。同時に、遮蔽部材を迂回するように締結腕を設ける場合と比べて、この締結腕を小型化する事ができる。このようにして、締結部の全体構成を簡素化できる。

　上記（５）に記載した発明によれば、遮蔽部材に締結部材の締結方向での移動のための隙間を設けることができる。そして、この遮蔽部材における弾性変形のための隙間を増加させることができる。その結果、締結作業をより行ないやすくすることができる。

図１は、本発明の一実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。図２は、同実施形態に係る上記自動二輪車のフロントカバーの上部の左側面図である。図３は、同実施形態に係る上記フロントカバー内に配置したバッテリトレイの前面図である。図４は、同実施形態に係る上記フロントカバーに後方から取り付けられたインナーカバーの斜視図である。図５は、同実施形態に係る上記フロントカバーの左フロントサイドカバーの左側面図である。図６は、同実施形態に係る上記左フロントサイドカバーの前面図である。図７は、同実施形態に係る上記フロントカバーのフロントセンターカバーの左側面図である。図８は、図７のＡ矢視図である。図９は、同実施形態に係る上記フロントセンターカバーと左フロントサイドカバーとの締結部を覆う左ラバーカバーの左側面図である。図１０は、同実施形態に係る上記左ラバーカバーの前面図である。図１１は、同実施形態に係る上記フロントカバーの内側の斜視図である。図１２Ａは、同実施形態に係る上記フロントカバーの左ラバーカバー周辺の斜視図であり、締結部を覆う遮蔽状態を示す。図１２Ｂは、同実施形態に係る上記フロントカバーの左ラバーカバー周辺の斜視図であり、締結部を露出させる退避状態を示す。

　次に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における前後左右等の向きと同一とする。図中矢印ＦＲは車両前方を示す。また、矢印ＬＨは車両左方を示す。そして、矢印ＵＰは車両上方を示す。

　図１に示すスクータ型の自動二輪車（スクータ型車両）１は、バーハンドル２によって操向される前輪３と、スイングユニット２１によって駆動される後輪４とを備える。バーハンドル２及び前輪３を含むステアリング系部品は、車体フレーム１１前端のヘッドパイプ１２に操向可能に枢支される。車体フレーム１１の下部後側には、前記スイングユニット２１の前部下側が上下揺動可能に枢支される。前記バーハンドル２と車体後部上に支持された乗員着座用のシート５との間は低部とされる。この低部上に乗員の足載せ用のフロアステップ６が配置される。

　車体フレーム１１は複数種の鋼材を溶接等により一体に接合して構成される。この車体フレーム１１は、その前端部に位置する前記ヘッドパイプ１２と；このヘッドパイプ１２から斜め下後方へ延びて、更に車体前部下側で後方へ湾曲して延びる一本のメインフレーム１３と；車体下部の前後中間部において左右に延在してその左右中間部にメインフレーム１３の後端部を接合するクロスフレーム１４と；このクロスフレーム１４の左右端部から斜め上後方に延びて、更に車体後部上側で後方へ湾曲して延びる左右リヤフレーム１５と；クロスフレーム１４の左右端部後側に接合される左右ピボットプレート１６と；左右リヤフレーム１５の後部間に渡る前後一対のクロスメンバ１７とを含む。以下、メインフレーム１３における斜め下後方に延びる部位をダウンフレーム部１３ａとする。そして、後方へ略水平に延びる部位をロアフレーム部１３ｂとする。

　スイングユニット２１は、スイングユニット２１の前部に位置するエンジン２２とスイングユニット２１の後部左側に位置する動力伝達機構２３とを一体化したスイング式動力ユニットである。スイングユニット２１の前部が懸架リンク１６ａを介して左右ピボットプレート１６に上下揺動可能に支持されている。同時に、スイングユニット２１の後部左側がリヤクッション７を介して左リヤフレーム１５に支持され、スイングユニット２１の後部左側が左リヤフレーム１５に近接したり離れたりできるようになっている。このようにして、車体後部にユニットスイング式のリヤサスペンションが構成される。

　エンジン（内燃機関）２２は、クランクシャフト（不図示）を左右方向（車体幅方向）に沿わせた単気筒エンジンである。エンジン２２のクランクケースの前端部からシリンダが前方に向けて略水平に（詳細にはやや前上がりに）突出している。前記クランクケースの左側には、後方に延出する動力伝達機構２３の伝動ケースの前部が一体に設けられている。動力伝達機構２３の後端部には、動力伝達機構２３の右方（車体中心側）に突出する後輪車軸４ａが回転可能に支持されている。そして、前記クランクシャフトの回転動力が動力伝達機構２３を介して後輪車軸４ａに伝達される。この結果、前記後輪車軸４ａに支持された後輪４が駆動して自動二輪車１が走行する。

　自動二輪車１は、車体フレーム１１の前部を前方及び斜め前左右外側から覆うフロントカバー３１と；車体フレーム１１の前部を後方から覆うインナーカバー３４と；車体フレーム１１の下部を左右から覆うフロアサイドカバー３５と；車体フレーム１１の下部を上方から覆う前記フロアステップ６と；車体フレーム１１の後部前側を前方から覆うリヤセンターカバー３６と；車体フレーム１１の後部を側方から覆う左右リヤサイドカバー３７とを含む。

　フロントカバー３１及びインナーカバー３４は、乗車した運転者の足を前方から覆うレッグシールドを構成する。また、前記フロントカバー３１は、車体フレーム１１の前部上側を前方から覆うフロントセンターカバー３２と；フロントセンターカバー３２の側方に連なり車体フレーム１１の前部を斜め前外側から覆うフロントサイドカバー３３とを含む。

　リヤセンターカバー３６及び左右リヤサイドカバー３７の上方には前記シート５が支持されている。リヤセンターカバー３６及び左右リヤサイドカバー３７の前部に囲まれた部位には、収納ボックス３８が配設される。この収納ボックス３８には、ヘルメット等の物品を収納できる。収納ボックス３８の後方かつ左右リヤサイドカバー３７の後部間には燃料タンク３９が配設されている。

　次に、図２，３を参照して説明する。ヘッドパイプ１２の前方であってフロントカバー３１及びインナーカバー３４に囲まれた空間が図２に図示されている。この空間内には、直方体状のバッテリＢが配設されている。このバッテリＢは、ボックス状のバッテリトレイ４１内に収納されている。バッテリトレイ４１は複数種の鋼材を一体に接合して構成されている。このバッテリトレイ４１は、バッテリＢを収納するボックス部４１ａと；このボックス部４１ａの後側から上方に延びる上支持ステー４１ｂと；ボックス部４１ａの下方に突出する下支持ブラケット４１ｃと；ボックス部４１ａの下方において下支持ブラケット４１ｃの前方に突出するホーン支持ブラケット４１ｄと；ボックス部４１ａの左右両側から前方に延びる左右一対のカバー支持ブラケット４１ｅとを含む。

　上支持ステー４１ｂは、ヘッドパイプ１２の中間部の前方に突設された上支持ブラケット１２ａに、単一のボルトＢ１によって締結固定されている。下支持ブラケット４１ｃは、ヘッドパイプ１２の下部の前方に突設された下支持ブラケット１２ｂに、左右一対のボルトＢ２によって締結固定されている。これにより、バッテリトレイ４１全体がヘッドパイプ１２の前方に支持されている。ボックス部４１ａの直ぐ前方にはホーン４２が配設されている。ホーン支持ステー４２ａは、前記ホーン４２の後側から下方に延びる。このホーン支持ステー４２ａの下端部は、ホーン支持ブラケット４１ｄに、ボルトＢ３によって締結固定されている。

　左右カバー支持ブラケット４１ｅは、上下一対のカバー締結部４３を含む。このカバー締結部４３は平板状である。そして、この各カバー締結部４３の上部は、ボックス部４１ａの直ぐ前方の左右両側の後方に位置するように傾斜している。左右フロントサイドカバー３３の上部左右内側に形成した後述の各フレーム締結部７３が、前記各カバー締結部４３に、それぞれボルトＢ４によって締結固定されている。

　次に、図２，７，８を参照して説明する。フロントセンターカバー３２は一体の樹脂成型品である。前記フロントセンターカバー３２は、ヘッドパイプ１２の前方に離間した位置においてこのヘッドパイプ１２周りを前方から覆うように構成されている。そして、前記フロントセンターカバー３２は、側面視でヘッドパイプ１２と略平行となるように、前記フロントセンターカバー３２の上部が後方に位置するように傾斜して配置されている。フロントセンターカバー３２の下部は、側面視で斜め上前方に凸の円弧状に湾曲している。同時に、フロントセンターカバー３２の下部は、側面視で後上がりに傾斜した前端稜線Ｌ１を形成する。そして、フロントセンターカバー３２の下部は、所定量だけ斜め下後方に延出する。なお、フロントセンターカバー３２の上縁部は、側面視で後下がりの上端稜線Ｌ２を形成する。そして、フロントセンターカバー３２の上縁部は、所定量だけ略水平に後方に延出する。

　ここで、図７に示されている線Ｌ３は、フロントセンターカバー３２の型抜き方向に沿う直線である。この線Ｌ３は、側面視で直線状に傾斜するフロントセンターカバー３２の上部との直交方向に対し、さらに傾斜を緩やかにするように配置される。

　図８は前記型抜き方向に沿う前面視（Ａ矢視図）である。図８に示すように、フロントセンターカバー３２の上部の側縁部（上部側縁部４４）は、下側ほど左右内側に位置するよう設けられている。さらに、前記上部側縁部４４は、車体中心面ＣＳに対してやや傾斜して設けられる。一方、フロントセンターカバー３２の下部の側縁部（下部側縁部４５）は、上部側縁部４４の下端から前記傾斜を急にするように斜め下左右内側に延びている。さらに、この下部側縁部４５は、左右内側ほど下方を指向するように緩やかに湾曲して延びる。下部側縁部４５の下側は車体中心面ＣＳと略平行に設けられる。

　また、フロントセンターカバー３２は、上下側縁部間において左右外側ほど後方に位置するように緩やかに湾曲している。

　次に、図７を参照して説明する。フロントセンターカバー３２の上下側縁部には、前記型抜き方向と略平行な短フランジ４６設けられている。この短フランジ４６は、カバー内側（概ね後方）を向いている。短フランジ４６は、上部側縁部４４と下部側縁部４５の下側とで概ね同等の高さで起立している。しかし、短フランジ４６は、下部側縁部４５の上側ではより高い高さで起立している。下部側縁部４５の上側における短フランジ４６は、側面視で斜め上前方に凸の円弧状に切り欠かれている。以下、この部位を側縁切り欠き部４７という。この側縁切り欠き部４７の下側には、カバー支持ステー４８が一体形成されている。このカバー支持ステー４８は、フロントサイドカバー３３と結合するために使われる。

　カバー支持ステー４８は、延出部４８ａと締結片４８ｂとを含む。前記延出部４８ａは、側縁切り欠き部４７の内周縁から、車体中心面ＣＳと略平行な板状をなして、後方に起立している。前記締結片４８ｂは、この延出部４８ａの先端から、左右方向と略平行な板状をなして、左右外側に起立している。前記締結片４８ｂは、前記締結片４８ｂの上部が後方に位置するように側面視で傾斜している。この締結片４８ｂは、フロントサイドカバー３３の上部左右内側に形成した後述のカバー締結部７４に、前方（カバー外側）から重なる。そして、前記締結片４８ｂと前記カバー締結部７４とは、前方から挿通された単一のタッピングビスＢ７（図１２Ｂ参照）によって締結固定される。前記タッピングビスＢ７は、車体左右中心面ＣＳと略平行の方向に締結する。前記延出部４８ａは、この締結方向と略平行に形成される。フロントセンターカバー３２及びフロントサイドカバー３３の締結部４９は、これらカバー支持ステー４８及びカバー締結部７４を含む。

　フロントセンターカバー３２の上下中間部の内側（裏側、後側）には、左右一対の上クリップ５１が斜め下後方に向けて突設されている。この上クリップ５１は、前記フロントセンターカバー３２を左右フロントサイドカバー３３と結合するのに使われる。前記フロントセンターカバー３２の下部の内側には、左右一対の下クリップ５２が斜め下後方に向けて突設されている。この下クリップ５２は、前記フロントセンターカバー３２を左右フロントサイドカバー３３と結合するのに使われる。前記上下クリップ５１，５２の突出方向は、前記フロントセンターカバー３２の型抜き方向と略平行である。また、フロントセンターカバー３２の上縁部の内側には、左右一対のインナー締結部５３が一体形成されている。このインナー締結部５３は、フロントセンターカバー３２をインナーカバー３４と結合するのに使われる。

　次に、図２，５，６を参照して説明する。フロントサイドカバー３３は一体の鋼板プレス成型品である。前記フロントサイドカバー３３は、上サイドカバー部３３ａと下サイドカバー部３３ｂとを含む。前記上サイドカバー部３３ａは、ヘッドパイプ１２の斜め前左右外側に離間した位置でこのヘッドパイプ１２周りを斜め前左右外側から覆う。前記下サイドカバー部３３ｂは、メインフレーム１３のダウンフレーム部１３ａの斜め前左右外側に離間した位置でこのダウンフレーム部１３ａ周りを斜め前左右外側から覆う。なお、図５，６は車体左側の前記フロントサイドカバー３３を示す。車体右側のフロントサイドカバーは、前記フロントサイドカバー３３と左右対称である。

　ここで、図５，６中線Ｌ４は、フロントセンターカバー３２の前端稜線Ｌ１に連なる中間稜線である。この線Ｌ４は、側面視で後上がりである。また、線Ｌ４の下方に、線Ｌ４と略平行に所定量だけ離間して配置されている線Ｌ５を、説明便宜上、上サイドカバー部３３ａの下端縁とする。

　前記上サイドカバー部３３ａは、フロントセンターカバー３２の側方に連なるように設けられている。さらに、前記上サイドカバー部３３ａは、左右外側ほど後方を指向するように湾曲している。側面視では、前記上サイドカバー部３３ａがフロントセンターカバー３２（ヘッドパイプ１２）と略平行となるように設けられている。このため、前記上サイドカバー部３３ａの上部が後方に位置するように前記上サイドカバー部３３ａは傾斜している。一方、前記下サイドカバー部３３ｂは、前記上サイドカバー部３３ａの下方に連なるように設けられている。このため、前記下サイドカバー部３３ｂは、左右外側ほど後方を指向するように湾曲している。側面視では、前記下サイドカバー部３３ｂがダウンフレーム部１３ａと略平行となるように設けられている。このため、前記下サイドカバー部３３ｂの上部が前方に位置するように前記下サイドカバー部３３ｂは傾斜している。このような前記上下サイドカバー部３３ａ，３３ｂにより、前記フロントサイドカバー３３全体が側面視Ｖ字状に形成される。

　前記上下サイドカバー部３３ａ，３３ｂの左右内側（前側）の縁部（内側縁部５４，６４）には、それぞれカバー内側（概ね斜め後左右内側）に向けて起立する内縁フランジ５５，６５が一体形成されている。一方、前記上下サイドカバー部３３ａ，３３ｂの後縁部５６，６６には、それぞれ左右内側に向けて起立する後縁フランジ５７，６７が一体形成される。

　前記上サイドカバー部３３ａは、側面視で前記上サイドカバー部３３ａの延在方向と直交する方向の幅は、前記上サイドカバー部３３ａの上側ほど狭めるように形成されている。また、前記上サイドカバー部３３ａの前面視において、前記上サイドカバー部３３ａの上部は、上側ほど左右幅を狭めるよう形成されている。同時に、前記上サイドカバー部３３ａの下部は、下側ほど左右内側を指向するように湾曲している。さらに、前記上サイドカバー部３３ａの左右内側の端部（内側端部５４ａ）は車体中心面ＣＳと略平行である。なお、前記内側端部５４ａは前記上サイドカバー部３３ａの内側縁部５４の一部である。

　前記上サイドカバー部３３ａの内側縁部５４における前記内側端部５４ａの上方部位は、前面視で斜め下左右外側に凸の円弧状に設けられる。以下、この部位を内側円弧状部６１という。前記上サイドカバー部３３ａの内側縁部５４にフロントセンターカバー３２を組み付けた際に、前記フロントセンターカバー３２の短フランジ４６の先端縁は前記上サイドカバー部３３ａに概ね沿っている。前記内側円弧状部６１では、間隙６２が形成されている。前記間隙６２は、短フランジ４６の側縁切り欠き部４７との間に側面視及び前面視の両矢視で木の葉状をなす。

　前記下サイドカバー部３３ｂは、その側面視において上部が前記下サイドカバー部３３ｂの延在方向と直交する方向での幅を下側ほど狭めるように形成されている。同時に、前記下サイドカバー部３３ｂの下部の、前記直交方向での幅は略一定である。また、前記下サイドカバー部３３ｂの前面視では、前記下サイドカバー部３３ｂの上部は内側縁部６４の斜め上左右外側に設けられている。そして、前記下サイドカバー部３３ｂの上部は、凸の円弧を形成する。同時に、前記下サイドカバー部３３ｂの下部は、左右外側に凸の緩やかな湾曲状を形成する。さらに、前記下サイドカバー部３３ｂの下部の左右幅は略一定である。

　ここで、前記上サイドカバー部３３ａにおける前記内側端部５４ａよりも上方部位には、カバー固定フランジ７１が一体形成される。このカバー固定フランジ７１は、前記内縁フランジ５５の先端からさらに左右内側に向けて延びている。前記カバー固定フランジ７１は、上部にフロントセンターカバー３２の上クリップ５１に対応する上クリップ係合部７２を有する。同時に、前記カバー固定フランジ７１の下部には前記バッテリトレイ４１の各カバー締結部４３に対応する上下一対のフレーム締結部７３が設けられている。さらに、前記カバー固定フランジ７１の下部には前記フロントセンターカバー３２のカバー支持ステー４８に対応する単一のカバー締結部７４が設けられている。

　各フレーム締結部７３はそれぞれボルト挿通孔を含む。さらに、前記各フレーム締結部７３は、上側のフレーム締結部が下側のフレーム締結部よりも左右外側に位置するように配置される。また、カバー締結部７４はタッピング孔を含む。そして、前記カバー締結部７４は上下フレーム締結部７３の中間位置の左右外側（内側円弧状部６１に近接する側）に配置されている。そして、前記各フレーム締結部７３及び前記カバー締結部７４は、内側円弧状部６１の内周側（左右内側）に配置されている。また、前記内側端部５４ａには、下クリップ係合部７５が一体形成されている。この下クリップ係合部７５は、フランジ状で、内縁フランジ５５の先端から左右内側に向けて起立している。

　上下クリップ係合部７２，７５にはそれぞれ方形状のクリップ孔が形成されている。フロントセンターカバー３２の上下クリップ５１，５２が、このクリップ本体を介して、上下クリップ係合部７２，７５に着脱可能に係合される（図１１参照）。このとき、前記クリップ孔には、不図示のクリップ本体が係合されている。

　下サイドカバー部３３ｂの下側には、拡幅部７６が設けられている。この拡幅部７６は、前記内縁フランジ６５をさらにカバー内側に延出して形成されている。この拡幅部７６の左右内側には、締結部７７が左右内側に向けて立設される。この締結部７７は、前記拡幅部７６を不図示のアンダーカバーと結合するために使われる。また、下サイドカバー部３３ｂの下部後側には、締結部７８が後方に向けて立設される。この締結部７８は、前記下サイドカバー部３３ｂを前記フロアサイドカバー３５と結合するために使われる。

　次に、図２，４を参照して説明する。インナーカバー３４は一体の樹脂成型品である。このインナーカバー３４は、その上縁部がフロントセンターカバー３２の上縁部沿い、左右外側縁部が左右フロントサイドカバー３３の後縁部５６，６６に沿い、下縁部がフロアステップ６の前縁部に沿うように形成される。

　インナーカバー３４の左右中央部には、センタートンネル部８１が形成されている。このセンタートンネル部８１は、ヘッドパイプ１２及びダウンフレーム部１３ａを後方から覆う。前記センタートンネル部８１の上部にはボルト挿通部８２が設けられている。このボルト挿通部８２に後方から挿通したボルトＢ５をヘッドパイプ１２の中間部の後方に突設された後支持ブラケット１２ｃに螺着して締め込むことによって、インナーカバー３４の左右中央部上側がヘッドパイプ１２の後部に締結固定される。

　インナーカバー３４の下縁部には、後方に延出する下縁フランジ８３が設けられている。この下縁フランジ８３の左右両側には、一対のボルト挿通部８４が設けられている。ロアフレーム部１３ｂの左右両側には、不図示のフロアサイドフレームが設けられている。前記各ボルト挿通部８４に上方から挿通したボルト（不図示）を前記フロアサイドフレームの前端部に螺着し締め込むことによって、インナーカバー３４の下縁部が車体フレーム１１の下部前側に締結固定される。なお、各ボルト挿通部８４の後部下側には、突起８５が下方に向けて突設されている。この突起８５は、前記フロアサイドフレームの前端部に係合して、インナーカバー３４の下縁部を位置決めする。また、インナーカバー３４を車体に取り付けた後、前記下縁フランジ８３は、フロアステップ６の前縁部に上方から覆われる。

　インナーカバー３４は、その左右外側縁部に上下に並ぶ複数のビス挿通部８６を含む。各ビス挿通部８６に後方から挿通したタッピングビス（不図示）を後縁フランジ５７，６７の対応部位に形成したインナー締結部８７（図６参照）のタッピング孔に螺着し締め込むことによって、インナーカバー３４の左右外側縁部と左右フロントサイドカバー３３の後縁部５６，６６とが互いに締結固定される。このとき、前記インナーカバー３４の左右外側縁部に左右フロントサイドカバー３３の後縁フランジ５７，６７は前方から当接されている。

　インナーカバー３４の上縁部には左右一対のビス挿通部８８が一体形成されている。前記各インナー締結部５３（図７，８参照）のタッピング孔が、前記フロントセンターカバー３２の上縁部の対応部位に形成されている。各ビス挿通部８８に後方から挿通したタッピングビス（不図示）を前記タッピング孔に螺着し締め込むことによって、インナーカバー３４の上縁部とフロントセンターカバー３２の上縁部とが互いに締結固定される。このとき、前記インナーカバー３４の上縁部には、フロントセンターカバー３２の上縁部が前方から当接されている。

　ここで、図５～８を参照して説明する。上下クリップ５１，５２を上下クリップ係合部７２，７５にそれぞれ係合させ、カバー支持ステー４８をカバー締結部７４にタッピングビスＢ７により締結することによって、フロントセンターカバー３２が、予め車体に取り付けた左右フロントサイドカバー３３に対して、着脱可能に取り付けられる。

　そして、図１２Ｂに示すように、フロントセンターカバー３２の側縁切り欠き部４７とフロントサイドカバー３３の内側円弧状部６１との間には、前記間隙６２が形成されている。そして、この間隙６２を閉塞するラバーカバー９１が、前記隙間６２に設けられている。このとき、左右フロントサイドカバー３３にはフロントセンターカバー３２が組み付けられている。

　次に、図９，１０を参照して説明する。ラバーカバー９１はゴム成型品である。このラバーカバー９１は、間隙６２の側面視形状に概ね整合する内側壁９２と；間隙６２の前面視形状に概ね整合する後壁９３と；内側壁９２の左右内側に延出する固定フランジ９４とを主に含む。なお、図９，１０は車体左側のラバーカバー９１を示す。車体右側のラバーカバーは前記左側のラバーカバー９１と左右対称に構成されている。

　内側壁９２の外側面及び後壁９３の前面はカバー外側に露出している。この露出面に跨るように上下一対の略水平なフィン９５が一体形成されている。各フィン９５の上方及び下方並びに各フィン９５の間において、内側壁９２の後壁９３側の部位には、開口９６が形成される。この開口９６は、間隙６２の一部をカバー外側に開放する（カバー内外を連通させる）。

　固定フランジ９４の上下には一対のビス挿通部９７が設けられている。上下タッピングボス９８（図７，８，１１参照）は、フロントセンターカバー３２における側縁切り欠き部４７の左右内側の裏面側に、後方に向けて突設されている。各ビス挿通部９７に後方（カバー内側）から挿通したタッピングビスＢ８を各タッピングボス９８に螺着し締め込むことによって、ラバーカバー９１の固定フランジ９４が、フロントセンターカバー３２の側縁切り欠き部４７の左右内側に締結固定される。このとき、前記上下ビス挿通部９７は、前記上下タッピングボス９８に後方（カバー内側）から当接されている。なお、上下タッピングボス９８の突出方向はフロントセンターカバー３２の型抜き方向と略平行である。

　次に、図９，１０とともに図１２Ａも参照して説明する。前記ラバーカバー９１を前記フロントセンターカバー３２に取り付けた状態では、前記ラバーカバー９１の内側壁９２の前縁が前記側縁切り欠き部４７の内周縁に密接する。また、前記フロントセンターカバー３２を前記左右フロントサイドカバー３３に組み付けた状態では、前記ラバーカバー９１の後壁９３の外側縁が前記内側円弧状部６１の内周縁に密接する。このように前記ラバーカバー９１が間隙６２の周囲に密接してこの間隙６２を閉塞、遮蔽した状態を、このラバーカバー９１の遮蔽状態とする。なお、前記ラバーカバー９１に前記開口９６を形成することによって、外観が良くなる。同時に、前記フロントカバー３１内に外気が導入されてバッテリＢが冷却され易くなる。さらに、ホーン４２の警報音がカバー外側へ伝播され易くなる。

　ここで、前記フロントセンターカバー３２の前記側部切り欠き部４７からはカバー支持ステー４８が起立する。これにより、ラバーカバー９１の固定フランジ９４の基端部には、スリット状の挿通孔９９が、上下方向で上下フィン９５間に渡るように設けられている（図１０参照）。前記カバー支持ステー４８の延出部４８ａは、前記挿通孔９９を挿通する。

　前記フロントカバー３１を組み立てた状態では、ラバーカバー９１の左右外側縁はフロントサイドカバー３３に密接するのみである。したがって、図１２Ｂに示すように、ラバーカバー９１の外側縁をつまんで、このラバーカバー９１を前方かつ左右内側にめくるように弾性変形させることによって、内側壁９２及び後壁９３を間隙６２の閉塞位置から退避させることが可能である。さらに、この間隙６２の大部分をカバー外側に露出、開放させることも可能である。この状態をラバーカバー９１の退避状態とする。

　この退避状態で、内側円弧状部６１の内周側におけるカバー締結フランジの内側円弧状部６１側に位置する締結部４９（カバー締結部７４及びカバー支持ステー４８）がカバー外側に露出する。同時に、この締結部４９におけるタッピングビスＢ７が、その締結方向（軸線方向）で着脱可能となる。なお、ラバーカバー９１に前記開口９６を形成することによって、上記弾性変形が容易に行なわれる。

　一方、ビス着脱作業後には、ラバーカバー９１を放して前記弾性変形を復元させるだけで、このラバーカバー９１の外側縁をフロントサイドカバー３３に密接させて前記間隙６２を再度閉塞することが可能である。

　また、延出部４８ａは、カバー支持ステー４８におけるタッピングビスＢ７の締結方向に沿っている。前記ラバーカバー９１の前記挿通孔９９に、前記延出部４８ａを挿通させることによって、挿通孔９９とカバー支持ステー４８との間の前記締結方向での相対移動が可能になる。また、前述のように、ラバーカバー９１をめくるように弾性変形させる際にも、その変形代が増大される。

　以上説明したように、同実施形態に係る車両用フロントカバーの締結構造は、自動二輪車１のフロントカバー３１を構成するフロントサイドカバー３３及びフロントセンターカバー３２間の締結部４９の構造において、前記フロントサイドカバー３３に前記フロントセンターカバー３２の一部がカバー外側から重なり、この重なり部分を前記両カバー３２，３３間の締結部４９として、この締結部４９にカバー外側から挿通したタッピングビスＢ７により両カバー３２，３３を互いに締結固定する。同時に、前記両カバー３２，３３を互いに締結固定した際に前記締結部４９をカバー外側から覆うラバーカバー９１をフロントセンターカバー３２に備える。そして、このラバーカバー９１が、前記締結部４９をカバー外側から覆う遮蔽状態から締結部４９をカバー外側に露出させる退避状態へと復元できるように変化する。

　この構成によれば、タッピングビスＢ７の着脱作業時にラバーカバー９１を遮蔽状態から退避状態へと変化させることによって、締結部４９に対する前記着脱作業を容易に行うことができる。さらに、両カバー３２，３３が締結しやすくなる。一方、タッピングビスＢ７で両カバー３２，３３を互いに締結固定した後には、ラバーカバー９１を遮蔽状態に戻して締結部４９をカバー外側から覆うことができる。そして、タッピングビスＢ７のカバー外側への露出を抑えてフロントカバー３１の外観が損なわれないようにすることができる。

　前記ラバーカバー９１が前記遮蔽状態から退避状態へ弾性変形可能な弾性部材で構成されることによって、ラバーカバー９１（弾性部材）を遮蔽状態から退避状態へ弾性変形させるだけでタッピングビスＢ７の着脱作業が可能になる。同時に、両カバー３２，３３を互いに締結固定した後にはラバーカバー９１の弾性変形を復元させるだけで締結部４９をカバー外側から覆うことが可能になる。このようにして、フロントカバー３１の外観の良さが簡単に確保できる。また、フロントカバー３１の車体への組み付け作業や車両完成後の整備時等におけるフロントカバー３１の着脱も容易に行なうことができる。

　前記ラバーカバー９１は、前記フロントセンターカバー３２にその内側から取り付けられる。これにより、両カバー３２，３３の重なり部分（締結部４９）におけるカバー外側に位置するフロントセンターカバー３２の内側にラバーカバー９１を取り付けることになる。この結果、ラバーカバー９１のフロントカバー３１への取り付け部がカバー外側に露出しない。また、ラバーカバー９１のフロントカバー３１への取り付け作業が複雑になるわけでもない。そして、このラバーカバー９１によって、両カバー３２，３３が重なる締結部４９をカバー外側から容易に覆うことができる。

　前記締結部４９は、前記フロントセンターカバー３２からフロントサイドカバー３３に向けて延びるカバー支持ステー４８を含む。そして、このカバー支持ステー４８を挿通する挿通孔９９が前記ラバーカバー９１に形成されている。これにより、カバー支持ステー４８を利用してラバーカバー９１を保持できる。同時に、ラバーカバー９１を迂回するようにカバー支持ステー４８を設ける場合と比べて、このカバー支持ステー４８を小型化することができる。このようにして、締結部４９の全体構成を簡素化できる。

　前記カバー支持ステー４８は、前記タッピングビスＢ７の締結方向と略平行な延出部４８ａを含む。前記ラバーカバー９１を前記フロントセンターカバー３２に取り付けた際には、このラバーカバー９１の挿通孔９９に前記延出部４８ａが挿通される。これにより、ラバーカバー９１にタッピングビスＢ７の締結方向での移動代を設けることができる。そして、このラバーカバー９１の弾性変形代が増加することによって、締結作業がより行ないやすくなる。

　なお、この発明は上記実施例に限られるものではない。例えば、ラバーカバー９１の代わりに、ヒンジ式やスライド式等の可動式遮蔽部材をフロントカバーに設けてもよい。また、締結部４９を覆う遮蔽部材をフロントサイドカバー３３で支持したり両カバー３２，３３に跨って支持してもよい。さらに、締結部４９がタッピングビスＢ７ではなく通常のボルト及びナットを用いた構成であってもよい。

　そして、同実施形態における構成はこの発明の一例であり、自動二輪車に限らず三輪又は四輪の車両にも適用できる。また、、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。

　本発明によれば、締結部材の着脱作業時には遮蔽部材を遮蔽状態から退避状態に変化させることによって、締結部を容易に着脱することができる。そして、両カバー部材をより締結しやすくすることができる。一方、締結部材で両カバー部材を互いに締結固定した後には、遮蔽部材を遮蔽状態に戻して締結部をカバー外側から覆うことができる。このようにして、締結部材のカバー外側への露出を抑えてフロントカバーの外観を良好に維持できる。

　１　自動二輪車（車両）
　３１　フロントカバー
　３２　フロントセンターカバー（第二カバー部材）
　３３　フロントサイドカバー（第一カバー部材）
　４８　カバー支持ステー（締結腕）
　４８ａ　延出部
　４９　締結部
　９１　ラバーカバー（遮蔽部）
　９９　挿通孔
　Ｂ７　タッピングビス（締結部材、固定部）

Claims

　第１のカバー部材と、この第１のカバー部材に部分的に重なり合って隣接する第２のカバー部材と、を有する車両用フロントカバーの締結構造であって、
　前記第１のカバー部材及び前記第２のカバー部材間の重ね合わせ部分である締結部と；
　この締結部の表側より取り付けられて前記第１のカバー部材及び前記第２のカバー部材間を固定する固定部材と；
　この固定部材を含めて前記締結部を前記表側から覆ってかつ、少なくとも前記固定部材を覆う部分が着脱自在である遮蔽部材と；
を備えることを特徴とする車両用フロントカバーの締結構造。
　前記遮蔽部材が弾性を有することを特徴とする請求項１に記載の車両用フロントカバーの締結部構造。
　前記第１のカバー部材及び前記第２のカバー部材のうち、前記締結部で相対的に表側に配される方の裏面に、前記遮蔽部材が固定されていることを特徴とする請求項１又は２に記載の車両用フロントカバーの締結部構造。
　前記固定部材が、前記第１のカバー部材及び前記第２のカバー部材間にわたって延在するとともにこれらの少なくとも一方に固定された締結腕を備え；
　この締結腕が挿通される挿通孔が前記遮蔽部材に形成されている；
ことを特徴とする請求項３に記載の車両用フロントカバーの締結部構造。
　前記締結腕の前記挿通孔を挿通する部分が、前記遮蔽部材の着脱方向と平行であることを特徴とする請求項４に記載の車両用フロントカバーの締結部構造。