WO2009130799A1 - 多層式マスク - Google Patents

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Abstract

装着者の呼吸に対する十分な通気性を確保しつつ、細菌やウィルスが装着者の気管支に侵入するのを防止するとともに、優れた抗菌性・抗ウィルス性を備えている多層式マスクを提供することを目的としている。本発明に係る多層式マスクは、装着者の鼻口部を覆うように装着される矩形状のマスク本体を備え、該マスク本体は、大気浮遊物等を吸収するスパンボンド不織布からなる最外層と、静電気を帯電したメルトブローン不織布からなる第1中間層と、銀イオンおよびゼオライトからなる無機抗菌剤を含有したメルトブローン不織布からなる第2中間層と、鼻口部の乾燥を防止可能な保湿性を有するスパンボンド不織布からなる最内層とを積層して構成された薄型4層構造になっている。

Description

明 細 書 多層式マスク 技術分野
本発明は、 細菌やウィルス等の感染予防、 花粉症対策、 大気浮遊物の吸引 防止対策などに有効な多層式マスクに関する。 背景技術
従来より、 空気中の粉塵、 花粉、 細菌、 ウィルス等が呼吸を介して人体の 気管支へ侵入するのを防ぐことを目的として、 通気性を有するシート (生地) を所定の形状に裁断したマスク本体に耳掛け用のゴムなどを取り付け、 口や鼻 を覆うようにして装着されるマスクが広く知られている。 この種のマスクは、 喉や鼻などの保温、 肉眼で目視可能なハウスダストや粉塵等の吸入防止、 ある いは装着者自身の咳 · くしゃみによる唾液等の分泌液の飛沫防止、 などを目的 とした場合においては、 ある程度の効果を奏していた。 ところが、 近年の新型 インフルエンザウイルス (例えば、 高病原性鳥インフルエンザウイルス (H 5 N 1型) や重症急性呼吸器症候群 (S A R S ) ウィルス等) の感染拡大などに 伴って、 抗菌性 ·抗ウィルス性に優れたマスクが求められていた。
このようなウィルス感染対策用マスクとして、 例えば、 日本国特許 3 9 0 1 6 6 0号公報には、 口 ·喉 ·鼻などの組織をより積極的に保護するために、 酸化反応の発熱によって水蒸気を発散する面状発熱体がマスク本体の表面に沿 つて取り付けらたマスク (水蒸気発生具) が開示されている。
また、 日本国特許第 4 0 1 8 5 9 9号公報には、 静電気を帯電させた化繊 マスク用部材によってウィルスを遮断するようにしたマスクが開示され、 日本 国実用新案登録第 3 1 3 7 2 9 6号公報および日本国実用新案登録第 3 1 2 8 5 8 3号公報には、 病原体ウィルスを殺菌もしくは抗菌することを目的とした マスクが開示されている。 発明の開示
しかしながら、 上記従来のマスクでは、 体長の小さい細菌 ·ウィルスとい つた微生物等が気管支へ侵入するのを防止する、 といった根本的な解決が十分 になされていなかった。 仮に、 これら従来のマスクにおいて、 侵入防止効果の 向上を図るためにシート (生地) などの積層密度を高めてしまうと、 装着者の 呼吸に必要な通気性を低下させるとともに、 装着者の口周辺に皮膚障害 (病原 体による肌荒れ、 湿疹等) などを生じさせてしまう、 という問題があった。
また、 上記日本国特許 3 9 0 1 6 6 0号公報に開示されているように、 口
-喉 ·鼻などの保温をすることにより、 軽度の毒性を有するウィルスに対して は感染予防効果を望むことができるが、 インフルエンザウイルス、 高病原性鳥 インフルエンザウイルス (H 5 N 1型)、 重症急性呼吸器症候群 (S A R S ) ゥ ィルスなどといった非常に毒性の強い病原体ウィルスに対しては、 気管支への 侵入防止や殺菌 ·抗菌などの効果を望むことができなかった。
また、 上記日本国特許第 4 0 1 8 5 9 9号公報には、 多層式マスクを構成 する複数のマスク用部材のうちの 1つとして具備された化繊マスク用部材を静 電気帯電型にすることで、 粉塵やインフルエンザなどの病原体ウィルスなどか ら目ゃ口粘膜を保護することが記載されているが、 同文献に開示されているマ スクの構成では、 粉塵や病原体ウィルスなどの侵入に対してはある程度の効果 を示すことができても、 病原体ゥィルスを不活性化して殺菌もしくは抗菌する という効果を奏することはできなかった。
また、 上記日本国実用新案登録第 3 1 3 7 2 9 6号公報には、 銀イオン発 生部材を接着シールを介して市販の不織布マスクに取り付けたものが開示され ているが、 このマスクの構成では、 接着シールの接着力低下に伴う取付強度の 劣化や、 接着シールがマスク生地や銀イオン発生部材に及ぼす様々な悪影響が 懸念され、 安心して使用することができない、 という問題があった。
さらに、 上記日本国実用新案登録第 3 1 2 8 5 8 3号公報には、 銀イオン と二酸化チタンの光触媒効果を利用することによって、 銀イオンと光触媒の協 奏効果による殺菌 '抗菌効果を発揮することが記載されているが、 同文献に開 示されているマスクの構成では、 光触媒の活性化に太陽光が必要であるため、 暗光条件下では二酸化チタンの触媒効果を発揮することができず、 銀イオンに よる効果を生じさせることができない、 という問題があった。
本発明は、 上記事情に鑑みてなされたものであり、 その目的とするところ は、 装着者の呼吸に対する十分な通気性を確保しつつ、 細菌やウィルスが装着 者の気管支に侵入するのを防止することができ、 かつ、 優れた抗菌性 '抗ウイ ルス性を備えている多層式マスクを提供することにある。
本発明の上記目的は、 矩形状のマスク本体が装着者の鼻口部を覆うように 装着される多層式マスクにおいて、 前記マスク本体が、 大気浮遊物等を吸収す るスパンポンド不織布からなる最外層と、 静電気を帯電したメルトブローン不 織布からなる第 1中間層と、 銀イオンおよびゼォライトからなる無機抗菌剤を 含有したメルトブローン不織布からなる第 2中間層と、 前記鼻口部の乾燥を防 止可能な保湿性を有するスパンポンド不織布からなる最内層とを積層して構成 された薄型 4層構造であることにより、 達成される。
また、 上記目的は、 前記マスク本体を構成する各層が、 装着時の外面から 内面に向かって、 前記最外層、 前記第 1中間層、 前記第 2中間層、 前記最内層 の順で積層されていることにより、 効果的に達成される。
また、 上記目的は、 前記マスク本体を構成する各層が、 装着時の外面から 内面に向かって、 前記最外層、 前記第 2中間層、 前記第 1中間層、 前記最内層 の順で積層されていることにより、 効果的に達成される。
また、 上記目的は、 前記マスク本体を構成する各層が、 長手方向に沿って 形成された襞を有し、 該襞により短手方向に伸縮可能であることにより、 効果 的に達成される。
また、 上記目的は、 前記マスク本体が、 装着時に装着者の鼻付近に位置す る部分に、 顔面形状を維持するための帯状の金属部材を有することにより、 効 果的に達成される。
また、 上記目的は、 前記スパンボンド不織布の繊維素材が、 ポリプロピレ ン繊維、 ポリオレフイン系繊維、 ポリエステル系繊維、 ポリアミド系繊維の群 のうちの 1つからなることにより、 効果的に達成される。
また、 上記目的は、 前記スパンポンド不織布の繊維素材が、 共重合ポリェ ステル系繊維、 共重合ポリアミド系繊維、 芯鞘繊維のような複合繊維群のうち の 1つからなることにより、 効果的に達成される。
さらに、 上記目的は、 前記メルトブローン不織布の繊維素材が、 ポリプロ ピレン繊維、 ポリオレフイン系繊維、 ポリエステル系繊維、 ポリアミド系繊維 の群のうちの 1つからなることにより、 効果的に達成される。
本発明に係る多層式マスクによれば、 第 1中間層を構成する静電気を帯電 した高機能特殊フィルタ一によって、 平均径 0 . 1 mの微粒子を 9 9 %以上 カットすることができ、 かつ、 第 2中間層に含有された銀イオンおよびゼオラ ィトからなる無菌抗菌剤によって、 細菌 ·真菌 ·酵母菌類などを略 1 0 0 %抗 菌するとともに、 インフルエンザウイルス · S A R Sウィルスなどを略 1 0 0 %不活性化することができる。 すなわち、 本発明に係る多層式マスクは、 マス ク本体を構成する各層の効果が相乗的に作用するように構成されているので、 細菌やウィルス等の感染予防、 花粉症対策、 大気浮遊物等の吸引防止などに有 効である。
また、 本発明に係る多層式マスクの装着者が風邪などのウィルス性疾患を 発症している場合には、 第 2中間層の抗菌 ·抗ウィルス機能によって、 装着者 の口から排出されるウィルスを不活性化することができるので、 二次感染を効 果的に防止することができる。
さらに、 本発明に係る多層式マスクによれば、 装着者の鼻口部を覆うマス ク本体が薄型 4層構造になっているので、 装着者の呼吸に対する十分な通気性 を確保することができ、 かつ、 一般的な素材から構成された簡易な構造である ため、 製造コストの低減を図ることができる。 図面の簡単な説明
第 1図は、 本発明の第 1実施形態に係る多層式マスクのマスク本体を構成 する各層の形状および配列を概略的に示す斜視図である。
第 2図は、 本発明の第 1実施形態に係る多層式マスクの外観を概略的に示 す正面図である。
第 3図は、 第 2図中の矢印 I I I— I I I線に沿ったマスク本体の積層構造を概 略的に示す断面矢視図である。
第 4図は、 無菌抗菌剤を不織布に添加する加工法の一例を示す説明図であ る。
第 5図は、 本発明の第 2実施形態に係る多層式マスクの外観を概略的に示 す正面図である。
第 6図は、 第 4図中の矢印 V I— V I線に沿ったマスク本体の積層構造を概 略的に示す断面矢視図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 図面を参照にしながら、 本発明を実施するための最良の形態につい て説明する。
[第 1実施形態]
第 1図は、 本発明の第 1実施形態に係る多層式マスクのマスク本体を構成 する各層の形状および配列を概略的に示す斜視図である。 また、 第 2図は、 本 発明の第 1実施形態に係る多層式マスクの外観を概略的に示す正面図であり、 第 3図は、 第 2図中の矢印 I I I一 I I I線に沿ったマスク本体の積層構造を概略的 に示す断面矢視図である。 なお、 第 1図および第 3図では、 マスク本体の構成 を分かりやすく説明するために、 各層を厚みが実際よりも大きく表示されてい る。
本実施形態に係る多層式マスク 1は、 装着者の鼻口部を覆うためのマスク 本体 2と、 該マスク本体 2の左右両端部に取り付けられた紐体 3とを備え、 紐 体 3が装着者の耳や頭部に係止されることにより、 マスク本体 2が装着者の鼻 口部を覆うように装着される。
マスク本体 2は、 最外層を形成する矩形状のスパンポンド不織布 2 1と、 第 1中間層を形成する矩形状のメルトブローン不織布 2 2と、 第 2中間層を形 成する矩形状のメルトブローン不織布 2 3と、 最内層を形成する矩形状のスパ ンポンド不織布 2 4とを積層して構成された薄型 4層構造になっている。 この マスク本体 2を構成する各層 2 1〜2 4は、 略同一の形状であり、 かつ、 略同 一の厚さになっている。 また、 このマスク本体 2が装着者の鼻口部を覆うよう に装着された際には、 最外層であるスパンポンド不織布 2 1が外部側に配され 、 最内層であるスパンポンド不織布 2 4が鼻口部側に配される。
マスク本体 2の各層を形成する不織布 2 1〜2 4の繊維素材は、 ポリプロ ピレン繊維、 ポリオレフイン系繊維、 ポリエステル系繊維、 ポリアミド系繊維 などから構成されていることが好ましい。 なお、 最外層および最内層のスパン ポンド不織布 2 1, 2 4の繊維素材については、 共重合ポリエステル系繊維、 共重合ポリアミド系繊維、 芯鞘繊維などのような複合繊維群から構成されてい てもよい。
最外層を形成するスパンポンド不織布 2 1は、 通気性を損なうことなく肉 眼で目視可能なハウスダストや粉塵等を遮断するフィルター機能を備え、 一方 、 最内層を形成するスパンポンド不織布 2 4は、 最外層の不織布 2 1と同様の 通気性を有し、 装着者の口などから出る水分を吸着するとともに、 湿潤状態を 適度に保つ機能を備えている。
また、 第 1中間層を形成するメルトブローン不織布 22は、 上述した素材 をメル卜ブローン法によって製造する過程で静電気を帯電させた化学繊維から 構成されている。 この第 1中間層の不織布 22が最外層の不織布 21の内側 ( 装着者側) に配されていることにより、 仮に微細な粉塵やバクテリア等が最外 層の不織布 21を通過した場合でも、 これらの通過微粒子が第 1中間層の帯電 性によって不織布 22に捕集されるようになっている。 以下の [表 1] および [表 2] は、 この第 1中間層の帯電フィルタ (不織布 22) による細菌濾過効 率 (BFE) および粒子濾過効率 (PFE) の試験結果を示すものである。 こ れらの濾過効率は、 細菌,ウィルスなどの微粒子の通過を妨げる材料の能力の 尺度として用いられ、 軍用規格 M I L-M- 36954 Cなどに従って測定さ れる。
[表 1]
Figure imgf000008_0001
平均 CONTROL : 2354CFU 平均粒子径 W
[表 2]
Figure imgf000009_0001
粒子サイズ : 0. 1〃m(0. 102±0.003 m:
平均濾過効率 : 99. 0%
標準偏差 : 0. 22
表 1および表 2に結果を示す試験は、 米国 FDA認定検査機関である米国 ユタ州ソルトレーク市のネルソン研究所によって実施された。 表 1は、 AST M F 2101 -01. 200 1. などを参照し、 3 mクラスの細菌を対象 として行なわれた細菌濾過効率試験の結果である。 一方、 表 2は、 ASTM F 1215. 1989. および ASTM F 2100— 01. 2001. など を参照し、 0. 1 クラスのラテックス粒子を対象として行なわれた粒子濾 過効率試験の結果である。 アンダーセン ( 1958) の換算方法を用いて換算 されたサンプルが無い場合 (すなわち、 CONTROL実施例) の平均粒子 ( 細菌) 数を (:、 および各サンプルの平均粒子 (細菌) 数を Tとして、 以下の数 式によってそれぞれの濾過効率が計算された。 % F E (% B F E ) = [ ( C - T) Z C ] X 1 0 0
表 1および表 2の結果に示されるように、 第 1中間層を形成する帯電フィ ル夕 2 2は、 0 . 1 クラスの微粒子に対して約 9 9 %の捕集率を有し、 か つ、 0 . 3 mクラスの細菌に対しても約 9 9 %の捕集率を有している。
また、 第 2中間層を形成するメルトプロ一ン不織布 2 3は、 銀イオンおよ びゼォライトからなる無菌抗菌剤が含有された化学繊維から構成されている。 この無菌抗菌剤としては、 例えば、 アルミノケィ酸塩による 3次元骨格構造の ゼォライト中に銀イオンを含有させたゼォミック (登録商標) などが有用であ る。 そして、 このような構成からなる無菌抗菌剤は、 微生物類 (細菌類) や S A R Sウィルスなどを不活性化させる優れた抗菌 ·抗ウィルス機能を有すると ともに、 臭い成分を失活 (消臭) する機能を備えている。 したがって、 最外層 の不織布 2 1および第 1中間層の不織布 2 2に吸着された細菌 ·ウィルス、 な らぴにこれらの不織布 2 1, 2 2を通過した微細な細菌 'ウィルスは、 第 2中 間層の不織布 2 3に含有された無菌抗菌剤によつて不活性化されるとともに、 死活した細菌 ·ウィルスから生じる臭い成分が消臭されるようになっている。
第 4図は、 無菌抗菌剤を第 2中間層の不織布 2 3に添加する加工法の一例 を示す説明図である。 以下で説明されるパッド加工法では、 第 2中間層の不織 布 2 3に添加される無菌抗菌剤の最終含有率 (重量比) が、 第 2中間層の不織 布 2 3に対して 1 %になるように調整される仕様になっている。 同図において 、 溶液タンク Tには、 1 %の無菌抗菌剤 (粉末) と、 5 %のバインダーと、 9 4 %の水とからなる無菌抗菌剤加工液 Fが、 十分に攪拌された状態で貯留され ている。 この溶液タンク T中の加工液 Fは、 溶液タンク Tの下方に配設された 加工浴槽 Bへ投入され、 加工浴槽 Bは、 常に所定量の加工液 Fで満たされてい る。 第 2中間層を形成する不織布 2 3の基材となる生地 2 3 'は、 複数の搬送 ローラ Rによって、 加工浴槽 Bの加工液 F中に搬送され、 その後、 加工浴槽 B の上方に配設された絞り機 Wに搬送される。 そして、 この絞り機 Wによって余 分な加工液 Fが脱水された生地 2 3 'は、 乾燥装置 Dに搬送され、 該乾燥装置 Dによって、 低温 (約 1 0 0〜1 2 0 [° C ]) で中間乾燥された後に 1 5 0 [ ° C ] 以上の高温で乾燥される。 これにより、 生地 2 3 'に含有された加工液 Fのバインダ一が付着ムラを生じることなく固化され、 第 2中間層を形成する 不織布 2 3が高品質な状態で形成される。
なお、 このようなパッド法による生地加工では、 生地 2 3 'の搬送に伴つ て加工浴槽 Bの加工液 Fが減少していくため、 加工液 Fが溶液夕ンク Tから加 ェ浴槽 Bに適宜補充される。
また、 生地 2 3 'の素材や目付に応じてピックアップ率が異なるため、 上 述した加工液 Fの成分比率はこれに限定されるものではなく、 第 2中間層の不 織布 2 3に添加される無菌抗菌剤の最終含有率 (重量比) が、 第 2中間層の不 織布 2 3に対して 1 %になるように適宜調整される。
第 2図および第 3図に示すように、 各層 (不織布 2 1〜2 4 ) を積層して 構成されたマスク本体 2の左右両端部 (短辺部) には、 この短辺部を被覆する ように縫着された端部被覆部材 4が配され、 該端部被覆部材 4によって、 ゴム 等の弾性体からなる環状の紐体 3を揷通可能な空隙 5が形成されている。 この 端部被覆部材 4は、 最内層のスパンポンド不織布 2 4と同じ素材からなり、 マ スク本体 2を構成する各層 (不織布 2 1〜2 4 ) の四辺部が一体的に縫合され た後に、 マスク本体 2の左右両端部に縫着される。 なお、 本実施形態に係る多 層式マスク 1では、 装着固定用部材として、 環状の紐体 3が端部被覆部材 4を 介してマスク本体 2に取り付けられているが、 これに限定されず、 例えば、 紐 体 3の各端部がマスク本体 2の左右両端の一部に接着剤などを介して固定され たもの、 あるいは、 紐体 3の各端部がマスク本体 2の左右両端の一部に配設さ れた固定ピンを介して固定されたものであってもよい。
以上のように、 本実施形態に係る多層式マスク 1によれば、 装着者の鼻口 部を覆うように装着されるマスク本体 2が、 大気浮遊物等を吸収するスパンポ ンド不織布 2 1からなる最外層と、 静電気を帯電したメルトブローン不織布 2 2からなる第 1中間層と、 銀イオンおよびゼォライトからなる無機抗菌剤を含 有したメルトブローン不織布 2 3からなる第 2中間層と、 前記鼻口部の乾燥を 防止可能な保湿性を有するスパンポンド不織布 2 4からなる最内層とを備え、 これらの各層 (不織布 2 1〜2 4 ) を積層して構成された薄型 4層構造になつ ている。 このマスク本体 2の構成により、 ハウスダストなど大気浮遊物の侵入 を最外層 (不織布 2 1 ) で防止するとともに、 最外層 (不織布 2 1 ) を通過し た微粒子を帯電効果によって第 1中間層 (不織布 2 2 ) で吸着することができ る。 また、 第 2中間層 (不織布 2 3 ) の抗菌 ·抗ウィルス効果によって、 最外 層 (不織布 2 1 ) および第 1中間層 (不織布 2 2 ) に吸着された細菌 ·ウィル ス、 あるいはこれらの層 (不織布 2 1, 2 2 ) を通過した微細な細菌 .ウィル スを効果的に不活性化させることができるとともに、 最内層 (不織布 2 4 ) の 保湿機能によって、 口、 喉、 鼻の乾燥を効果的に防止することができる。 すな わち、 本実施形態に係る多層式マスク 1によれば、 異なる機能を有する 4層 ( 不織布 2 1〜2 4 ) を積層して、 マスク本体 2を薄型 4層構造で構成したこと により、 装着者の呼吸に対する十分な通気性および快適に装着感を確保しつつ 、 大気浮遊物や細菌 ·ウィルスが装着者の気管支に侵入するのを防止するとと もに、 マスク本体に吸着された細菌 ·ウィルスを効果的に不活性化させること ができる。 したがって、 この多層式マスク 1を装着することより、 細菌やウイ ルス等の感染予防、 花粉症対策、 大気浮遊物の吸引防止対策など、 様々な吸入 対象物に対して装着者の気管支への侵入を防止することができる。
また、 装着者が風邪などのウィルス性疾患を発症している場合には、 第 2 中間層 (不織布 2 3 ) の抗ウィルス機能によって、 装着者の口から排出される ウィルスを不活性化することができるので、 二次感染を効果的に防止すること ができる。
なお、 本実施形態では、 マスク本体 2を構成する各層が、 装着時の外面か ら内面に向かって、 最外層 (不織布 2 1 )、 第 1中間層 (不織布 2 2 )、 第 2中 間層 (不織布 2 3 )、 最内層 (不織布 2 4 ) の順で積層されているが、 第 1中間 層 (不織布 2 2 ) と第 2中間層 (不織布 2 3 ) の順序がこれと逆であっても、 本実施形態と同様の効果を得ることができる。 [第 2実施形態]
第 5図は、 本発明の第 2実施形態に係る多層式マスクの外観を概略的に示 す正面図であり、 第 6図は、 第 5図中の矢印 V I— V I線に沿ったマスク本体の 積層構造を概略的に示す断面矢視図である。 なお、 第 5図では、 マスク本体の 構成を分かりやすく説明するために、 各層を厚みが実際よりも大きく表示され ている。 また、 本実施形態では、 第 5図および第 6図において上述した第 1実 施形態と同一の部材には同一の符号を付して、 その説明を省略する。
第 5図および第 6図に示すように、 本実施形態に係る多層式マスク 1 Aで は、 マスク本体 2 Aの最外層を形成する不織布 2 1の表面に収納ポケット 6が 形成され、 該収納ポケット 6内には帯状の金属部材 7が収納されている。 この 収納ポケット 6および金属部材 7は、 マスク本体 2 Aが装着された際に装着者 の鼻を横切るような位置に配されている。 収納ポケット 6に内包された金属部 材 7は、 変形性を有する形状維持部材であり、 マスク本体 2 Aの装着時に鼻口 部の顔面形状に沿って適宜変形される。 なお、 収納ポケット 6に内包される部 材として、 帯状の金属部材 7の代わりに針金を用いてもよい。
また、 本実施形態に係る多層式マスク 1 Aでは、 マスク本体 2 Aを構成す る各層 (不織布 2 1〜2 4 ) に、 マスク本体 2 Aの長手方向 (第 5図の左右方 向) に沿って 3本の襞 8が設けられ、 各層 (不織布 2 1〜2 4 ) は、 第 6図に 示すように、 襞 8の山部が隣接する層の襞 8の谷部に入り込むように配されて いる。 なお、 本実施形態では、 好適な例として、 各層に設けられている襞 8の 数を 3本としたが、 本発明はこれに限定されるものではなく、 2本、 4本、 5 本など、 他の本数であってもよい。
以上のように、 本実施形態に係る多層式マスク 1 Aによれば、 上述した第 1実施形態に係る多層式マスク 1と同様の効果を得られることはもとより、 マ スク本体 2 Aの装着時に装着者の鼻口部を横切るような位置に配設された帯状 の金属部材 7によって、 マスク本体 2 Aの上部に隙間が生じるのを防止するこ とができる。 これにより、 大気浮遊物や病原菌 ·ウィルスなどがマスク本体 2 Aの上部から侵入するのを防止することができるとともに、 マスク本体 2 Aの 装着位置をより強固に維持することができる。
また、 本実施形態に係る多層式マスク 1 Aによれば、 マスク本体 2 Aを構 成する各層 (不織布 2 1〜2 4 ) は、 マスク本体 2 Aの長手方向に沿って襞 8 を有し、 該襞 8により短手方向に伸縮可能になっているので、 装着時の顔面形 状に適合させて、 装着者の鼻から顎までをしつかりと被覆することができる。
さらに、 本実施形態に係る多層式マスク 1 Aによれば、 マスク本体 2 Aの 各層 (不織布 2 1〜2 4 ) は、 襞 8の山部が隣接する層の襞 8の谷部に入り込 むように配されているので、 第 5図に示すようにマスク本体 2 Aの縫合箇所が 左右両端部のみであっても、 装着中にマスク本体 2 Aの内部で各層がズレてし まうといった不備を防止することができる。 この結果、 マスク本体 2 Aの縫合 箇所を一部省略することができるので、 製造コストおよび労力の軽減を図るこ とができる。 以上、 本発明の実施形態について具体的に説明してきたが、 本発明はこれ に限定されるものではなく、 その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である 産業上の利用可能性
本発明に係る多層式マスクは、 大気浮遊物等に対するフィルタ性、 および 抗菌性 ·抗ウィルス性に優れた機能を有しているので、 細菌やウィルス等の感 染予防、 花粉症対策、 大気浮遊物等の吸入防止などに有効である。

Claims

請 求 の 範 囲 矩形状のマスク本体が装着者の鼻口部を覆うように装着される多層式マ スクであって、
前記マスク本体は、 大気浮遊物等を吸収するスパンボンド不織布からな る最外層と、 静電気を帯電したメルトブローン不織布からなる第 1中間層 と、 銀イオンおよびゼォライ卜からなる無機抗菌剤を含有したメルトプロ
―ン不織布からなる第 2中間層と、 前記鼻口部の乾燥を防止可能な保湿性 を有するスパンポンド不織布からなる最内層とを積層して構成された薄型 4層構造であることを特徴とする多層式マスク。 前記マスク本体を構成する各層は、 装着時の外面から内面に向かって、 前記最外層、 前記第 1中間層、 前記第 2中間層、 前記最内層の順で積層さ れている請求の範囲第 1項に記載の多層式マスク。 前記マスク本体を構成する各層は、 装着時の外面から内面に向かって、 前記最外層、 前記第 2中間層、 前記第 1中間層、 前記最内層の順で積層さ れている請求の範囲第 1項に記載の多層式マスク。 前記マスク本体を構成する各層は、 長手方向に沿って形成された嬖を有 し、 該襞により短手方向に伸縮可能である請求の範囲第 1項ないし第 3項 のいずれかに記載の多層式マスク。 前記マスク本体は、 装着時に装着者の鼻付近に位置する部分に、 顔面形 状を維持するための帯状の金属部材を有する請求の範囲第 1項ないし第 4 項のいずれかに記載の多層式マスク。 前記スパンポンド不織布の繊維素材は、 ポリプロピレン繊維、 ポリオレ フィン系繊維、 ポリエステル系繊維、 ポリアミド系繊維の群のうちの 1つ からなる請求の範囲第 1項ないし第 5項のいずれかに記載の多層式マスク
前記スパンポンド不織布の繊維素材は、 共重合ポリエステル系繊維、 共 重合ポリアミド系繊維、 芯鞘繊維のような複合繊維群のうちの 1つからな る請求の範囲第 1項ないし第 5項のいずれかに記載の多層式マスク。 前記メルトブローン不織布の繊維素材は、 ポリプロピレン繊維、 ポリオ レフイン系繊維、 ポリエステル系繊維、 ポリアミド系繊維の群のうちの 1 つからなる請求の範囲第 1項ないし第 7項のいずれかに記載の多層式マス ク。
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