WO2009098908A1 - 新規なヒドロキシルラジカル発生法、及び当該方法により発生したヒドロキシルラジカルを利用する抗ウイルス材 - Google Patents

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Abstract

 ヒドロキシルラジカルの発生及びウイルスの不活性化に関する新規な科学的事実に基づく新規なヒドロキシルラジカルの発生方法及び該方法を備えた抗ウイルス材を提供する。ウイルスを不活性にするヒドロキシルラジカルの発生を可能にする金属の酸化物粉末と水酸化物とを備えており、発生したヒドロキシルラジカルによりウイルスを不活性化することができる。

Description

新規なヒドロキシルラジカル発生法、及び当該方法により発生したヒドロキシルラジカルを利用する抗ウイルス材
 本発明は、効率的にヒドロキシルラジカルを発生する方法、及び当該方法により発生したヒドロキシルラジカルを利用してウイルスを確実・明瞭に不活性化する抗ウイルス材に関する
 ヒドロキシルラジカルは、・OHと表される、水酸基に由来するラジカルであり、いわゆる活性酸素と呼ばれる分子種の一種である。ヒドロキシルラジカルは活性酸素のなかでは反応性が高く酸化力が強いため、タンパク質、脂質、糖質、核酸(DNA,RNA)などと反応し、特に脂質を連鎖的に酸化させることが分かっている。
 このようなヒドロキシルラジカルの性質を利用して、大気中や水中に含まれる有害な有機物を浄化する方法について多くの研究がなされている。ここで、ヒドロキシルラジカルを発生させる方法としては、一般的にフェントン反応(酸性条件で過酸化水素と二価の鉄イオンを反応させてヒドロキシルラジカルを生成させる反応)、ハーバー・ワイス反応(三価の鉄イオンの存在下、過酸化水素とスーパーオキサイドアニオンが反応してヒドロキシルラジカルを生じる反応)、過酸化水素へ紫外線を照射する方法、水分にオゾンと紫外線を照射する方法、及び水分の多い気体中や水中でコロナ放電又はプラズマ放電を発生させることによる方法(特開2001-70946号公報、特開2000-288547号公報)等が知られている。
 しかしながら、上述したヒドロキシルラジカルの発生方法は、過酸化水素を用いたり紫外線やオゾンの照射、コロナ放電やプラズマ放電を利用する等、人体に危険を及ぼす恐れのある条件でヒドロキシルラジカルを発生させる必要があり、より安全かつ簡便にヒドロキシルラジカルを発生させる方法の開発が望まれてきた。
 この他に、ヒドロキシルラジカルの発生手段としては、銀担持光触媒を利用する方法が知られており(例えば特開2004―337562号公報)、これにより発生させたヒドロキシルラジカルでウイルスや菌が不活性化されることが知られている。
 しかしながら、銀担持光触媒を利用してウイルスを不活性化する場合は、自然光や蛍光灯などある程度の強度の光が照射されることが必要であり、光照射の有無にかかわらずヒドロキシルラジカルを発生させてウイルスや菌を不活化できる方法の開発が望まれている。また、コスト、処理の簡便化、ヒドロキシルラジカル発生効率の向上又はヒドロキシルラジカル発生量の制御等の面で改良の余地がある。
 なお、従来から知られているその他のウイルス不活性化方法を利用した抗ウイルス剤は、ウイルスの不活性機構が不明瞭で不活性発現の確率が低く、抗ウイルス剤を対象ウイルスに適用する手段(以下において、適用手段と略称する)にも制約が多々存在する。不活性機構が比較的に明瞭とされるイオン方式及びガス方式による下記(a)及び(b)の抗ウイルス剤においても、ウイルス不活性の効果が不明瞭で、適用手段の内容及び種類に制約が存在する点は同様である。
  (a)抗ウイルス活性を有する第四級アンモニウム塩基等の陽イオン基と炭化水素鎖(例えば、飽和脂肪酸)との二成分系の抗ウイルス剤が提案されている(特許第3222471号公報を参照)。
 ウイルス不活性機構が、炭化水素鎖によって疎水性のウイルス・エンベロープをひき寄せて、ウイルス近傍の陽イオン基によりエンベロープを有するウイルス(パラミクソウイルス、コロナウイルス、ポックスウイルス等)を不活性にするので、不活性の確率が低い。
 また、抗ウイルス性を有する応用製品は、抗ウイルス剤を共有結合で布に固定して、その布から防護製品、医療従業者着用衣(創傷カバー、火傷カバー)及び患者治療用品(縫合糸、包帯)等にするので、適用手段に制約がある。
  (b)漂白剤、消毒剤等として広く使用される二酸化塩素ガスによりカビ、細菌、ウイルスを不活性にする抗ウイルス剤が提案されている(特許第3547140号公報を参照)。
 しかし、この場合のウイルス不活性化機構は、
1)亜塩素酸アニオン源(亜塩素酸塩等)を混和した親水性材料を疎水性粒子内部に含ませて、疎水性粒子に吸着した水分を疎水性粒子内部に取り込ませる、
2)取り込ませた水分により亜塩素酸塩等が加水分解されてヒドロニウムイオンを放出し、疎水性粒子の亜塩素酸アニオンと反応して放出される酸化塩素ガスによってウイルスを不活性にする、
というものであり、ウイルスを不活性にする確率が不明で、適用手段の適用範囲が狭い。
 このように、従来の抗ウイルス剤は、イオン方式、ガス方式及びその他の方式による場合であっても、不活性機構の内容が不明瞭で、ウイルスを不活性にする確率が不明で、適用手段に制約があった。
 なお、以下の本発明の説明で使用する「適用手段」も、従来技術の抗ウイルス剤の適用手段と同様の意味で使用している。
 また、国際公開番号WO2005/013695 A1号公報には、苦灰石(ドロマイト)を焼成し、焼成した苦灰石(ドロマイト)が未だ高温の間に水をかけてその一部を水和し、これを粉砕又は篩いにより、0.1μm以上60μmの範囲にした粉末(この粉末粒子は、1次粒子が凝集した2次粒子であり、この2次粒子を構成する一次粒子は、1nm以上200nm以下の範囲にある。)が、抗ウイルス作用を有することが記載されている。しかし、ヒドロキシルラジカルの発生という観点からの検討はなされておらず、ウイルスの不活性機構の内容、ウイルスを不活性にする確率は依然として不明であった。
 以上のような事情に鑑み、より安全、簡便かつ効率的にヒドロキシルラジカルを発生させる方法とともに、ウイルスの不活性化機構及びウイルスを具体的に不活性にする手段が、本発明者によって実験により詳細に検討され、ウイルスの不活性化に関して科学的事実がいくつか見出されて本発明が得られた。
 本発明は、従来から知られていたフェントン反応等のヒドロキシルラジカルの発生方法に比べて、より安全、簡便かつ効率的にヒドロキシルラジカルを発生させる方法を提供することをその課題とする。
 更に、本発明は、ヒドロキシルラジカルが効率的にウイルスを不活性化するという知見に基づき、係るヒドロキシルラジカルの発生を可能にする金属の酸化物粉末と水酸化物とを備えた、抗ウイルス材を提供することもその課題とする。
 上記課題を解決するため、本発明においては、
(1)アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族から第12族までの金属又はアルミニウムからなる群より選ばれる1種以上の金属の酸化物粉末と、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、水酸化鉄、水酸化銅、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム又は水酸化アンモニウムから選ばれる1種以上の水酸化物と、を接触させることによりヒドロキシルラジカルを発生させる方法、
(2)金属の酸化物粉末と水酸化物が、いずれもドロマイトを焼成し、その一部を水和して得られたドロマイト消化物に含まれるものである、(1)に記載の方法、
(3)ドロマイト消化物が、原料ドロマイトを700℃~1300℃の温度で1~20時間焼成し、その後常温になるまで冷却した後、ドロマイト100重量部に対して35~60重量部の水と接触させて得られるものである、(2)に記載の方法
(4)ドロマイト消化物の焼成が、昇温速度5~10℃/分、温度700℃~1000℃で8~12時間保持し、その際の空気気流が送り・停止の併用である、(3)に記載の方法、
(5)金属の酸化物粉末と、水酸化物の重量比、すなわち(金属の酸化物粉末)/(水酸化物)が0.001~100の範囲に含まれることを特徴とする、(1)または(2)に記載の方法、
(6)金属の酸化物粉末が、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、二酸化マンガン、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、酸化銅、酸化亜鉛又は酸化アルミニウムから選ばれる1種以上の酸化物の粉末であり、水酸化物が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム又は水酸化アンモニウムから選ばれる1種以上の水酸化物である、(1)に記載の方法、
が提供される。
 さらに、本発明は、
(7)アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族から第12族までの金属又はアルミニウムからなる群より選ばれる1種以上の金属の酸化物粉末と、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、水酸化鉄、水酸化銅、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム又は水酸化アンモニウムから選ばれる1種以上の水酸化物と、を接触させることによりヒドロキシルラジカルを発生させる方法を備えた抗ウイルス材、も提供する。
 本発明におけるヒドロキシルラジカル発生方法によれば、過酸化水素や紫外線、コロナ放電等の人体に危険を及ぼす恐れのある条件を使用することなく、安全、簡便かつ効率的にヒドロキシルラジカルを発生させることができる。
 また、本発明におけるヒドロキシルラジカル発生方法を備えた抗ウイルス材は、例えばマスクやカーテン、防護服等、ウイルスの感染を防ぐ抗ウイルス材として様々な用途に利用することができる。
 <本発明の概要>
 本発明は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族から第12族までの金属又はアルミニウムからなる群より選ばれる1種以上の金属の酸化物粉末と、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、水酸化鉄、水酸化銅、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム又は水酸化アンモニウムから選ばれる1種以上の水酸化物とを接触させることでヒドロキシルラジカルが発生する、という新しい知見に基づいてなされたものである。
 また、本発明のアルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族から第12族までの金属又はアルミニウムからなる群より選ばれる1種以上の金属の酸化物と、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、水酸化鉄、水酸化銅、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム又は水酸化アンモニウムから選ばれる1種以上の水酸化物とを接触させることでヒドロキシルラジカルが発生させる方法を備えた、抗ウイルス性を有する抗ウイルス材は、ヒドロキシルラジカルによるウイルスの不活性化について本発明者によって新たに見出された下記(1)~(5)等の科学的事実を基礎にしてなされたものである。
(1)ヒドロキシルラジカルは、単独でウイルスを不活性にする効果が大きいという事実。
(2)ヒドロキシルラジカル以外の活性酸素は、単独でウイルスを不活性にする効果が存在しないか、存在しても小さいという事実。
(3)ヒドロキシルラジカルは、そのウイルス不活性化機構が有効に働く各種のウイルスを不活性にすることができるという事実。
(4)ヒドロキシルラジカルは、金属の酸化物粉末と水酸化物との組み合せ及び反応制御によって、ウイルスを不活性にする効果を増大させることが可能になるという事実。
(5)ウイルスを不活性にするヒドロキシルラジカルの発生には、金属の酸化物粉末の表面状態が影響を与えるという事実。
 以下、本発明について詳細に説明する。
<金属酸化物>
 本発明におけるアルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族から第12族までの金属又はアルミニウムからなる群より選ばれる1種以上の金属の酸化物粉末は、水酸化物との反応でヒドロキシルラジカル発生が可能であって、天然系(代表的には鉱物に含有されている金属酸化物)若しくは合成系のいずれでもよく、一種のみで用いても、複数種を用いてもよい。金属の酸化物粉末は、ヒドロキシルラジカル発生の効率の観点から、原料となる金属酸化物を、比表面積がより広い粉末、特に多孔性の粉末とすることが好ましい。
 天然系金属の酸化物粉末は、鉱物(例えば、塩若しくは複塩等を含む鉱物)の化学的処理・物理的処理等により生成する場合も含む。鉱物由来の金属酸化物は、水酸化物との反応でヒドロキシルラジカルの発生が可能な金属酸化物の粉末になっていることが必要である(後記実施例を参照)。
  上述した金属の酸化物の中でも、水酸化物との反応の容易性からは、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化銅、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化銀及び酸化アルミニウム等が好ましい。特に、金属の酸化物が塩基性金属酸化物である酸化マグネシウム若しくは酸化カルシウムを含む場合には、ヒドロキシルラジカルの発生及び発生したヒドロキシルラジカルによるウイルス不活性化の発現が容易である。
 金属酸化物が鉱物中に存在する場合であっても、鉱物の破砕・化学的処理・物理的処理・粉末化等によって鉱物起源の金属の酸化物粉末若しくは金属の酸化物含有鉱物粉末(以下において、鉱物起源の金属酸化物粉末等ということがある)として反応に供することが可能である。
 ただし、鉱物起源の金属の酸化物粉末等は、水酸化物との反応によるヒドロキシルラジカル発生が可能になっていることが必要である。金属酸化物含有鉱物粉末は、ヒドロキシルラジカル発生反応を阻害しない場合には、他の鉱物成分が共存してもよい。
 鉱物としては、例えば、ドロマイト系鉱物、電気石系鉱物(例えば、ドラバイト、スコール、エルバマイト及びその他)、ゼオライト系鉱物、カオリン系鉱物、麦飯石及びその他の鉱物を用いることができ、これらは鉱物に応じた破砕・化学的処理・物理的処理・粉末化等によって、金属の酸化物粉末、金属の酸化物粉末及び水酸化物粉末との共存系若しくはそれらと第三成分粉末との共存系にされる。
<水酸化物> 
 本発明において用いられる水酸化物は、金属の酸化物粉末との反応でヒドロキシルラジカル発生に水酸化物イオンを供給可能であれば、一種若しくは複数種の使用が可能である。このような水酸化物としては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、水酸化鉄、水酸化銅、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム又は水酸化アンモニウムから選ばれる1種以上の水酸化物が挙げられるが、ヒドロキシルラジカルの発生を円滑・容易に行えるという観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が好ましい。
 一種の水酸化物の使用としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム又は水酸化カルシウム及びこれらの水溶液等の使用が挙げられ、複数種の水酸化物の使用としては、水酸化ナトリウムと水酸化カリウムの混合物及びその水溶液や、水酸化マグネシウムと水酸化カルシウムの混合物及びその水溶液等、の使用が挙げられる。
 水酸化物は、溶液状(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)、スラリー状(例えば、水酸化ナトリウム含有スラリー)及び固体状(例えば、無水水酸化ナトリウム)等での使用が可能で、その他の形態の使用も可能である。
 なお、水酸化物が固体状であっても、金属の酸化物粉末への水分の吸着、固体状水酸化物の反応の潮解(例えば、無水水酸化ナトリウム等)によって、水分層等による反応の場が形成されてヒドロキシルラジカル発生の反応が進行する。
 水酸化物が水溶液である場合には、例えば、0.001~0.8モル/リットル(好ましくは、0.005~0.5モル/リットル)の濃度によりアルカリ性を反応に与えると、ヒドロキシルラジカル発生の反応が円滑である。
 なお、アルカリ土類金属の水酸化物は、金属酸化物と接触させずに単独でヒドロキシルラジカルを発生させることも可能である。係るアルカリ土類金属の水酸化物も、溶液状、スラリー状及び固体状等の状態で使用することができ、固体状で用いる場合は吸着水分等によりヒドロキシルラジカルの発生反応が進行する。アルカリ土類金属の水酸化物の一次粒子径は、1nm以上1000nm以下が好ましく、1nm以上400nm以下がより好ましく、1nm以上200nm以下が特に好ましい。このようなアルカリ土類金属の水酸化物の中でも、ヒドロキシルラジカルの発生量・発生効率の観点からは水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムが好ましい。
<ヒドロキシルラジカル発生の反応> 
 金属の酸化物粉末と水酸化物を接触させてヒドロキシルラジカルを発生させる具体的な方法としては、例えば、金属の酸化物粉末を水酸化物の水溶液若しくはスラリーに混入して反応させる方法、金属の酸化物粉及び水酸化物をプロトン性または非プロトン性有機溶媒に入れて反応させる方法、金属の酸化物粉と固体状水酸化物とを接触させて吸着水分による反応の場で反応させる方法等が挙げられる。
 ヒドロキシルラジカルの発生反応は、金属の酸化物粉末の表面が水酸化物のアルカリ性雰囲気に囲まれる状態であれば進行し、アルカリ濃度を調節してアルカリ性雰囲気の強度を変化させることで、ヒドロキシルラジカル発生の量や速度を制御することができる。
 金属の酸化物粉末と水酸化物を接触させる際のそれぞれの量的比率は、(金属の酸化物粉末)/(水酸化物)の重量比で0.001~100の範囲にあることが好ましく、0.01~10の範囲にあることがより好ましい。上記の範囲内に調節することで、ヒドロキシルラジカルを効率的に発生させることができる。
 例えば、金属酸化物が酸化マグネシウムで水酸化物が水酸化マグネシウムである場合は、(金属の酸化物粉末)/(水酸化物)の重量比は0.1~9が好ましく、金属酸化物が酸化マグネシウムで水酸化物が水酸化カルシウムの場合は(金属の酸化物粉末)/(水酸化物)の重量比は0.1~4が好ましい。
 また、金属酸化物が酸化マグネシウムで水酸化物が水酸化マグネシウムと水酸化カルシウムの混合物である場合は、(金属の酸化物粉末)/(水酸化物)の重量比は0.1~2.5の範囲であることが好ましい。
 本発明におけるヒドロキシルラジカルの発生方法においては、金属の酸化物粉末と水酸化物以外に、添加剤を加えてヒドロキシルラジカルの発生をより効率的に促進・制御することもできる。例えば、酸化チタン、SrTiO、Ag-NbO又はAgGaO等を添加剤として適宜加えることができる。
 本発明に係る方法を用いたヒドロキシルラジカルの発生は、上述のように別々に用意した金属の酸化物粉末と水酸化物を反応させてもよいし、金属の酸化物と水酸化物とが同時に含まれるような鉱物をそのまま利用してもよい。
 金属の酸化物と水酸化物とが同時に含まれる鉱物を利用する場合の例としては、例えば、ドロマイト系鉱物(炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムの複塩(Ca・Mg(CO))の焼成及び水和(消化)の工程を経て得られる消化物粉末を利用することが挙げられる。ドロマイト系鉱物の焼成及び水和の工程を特殊な操作条件でおこなうことにより、ヒドロキシルラジカル発生の反応を生じさせる金属酸化物と水酸化物の混合物となるので、これを粉末にして利用することができる。
 ここで、ドロマイト系鉱物の焼成は、原料ドロマイトを大気圧下、昇温速度1℃/分以上15℃/分以下、好ましくは5℃/分以上10℃/分以下の範囲で、700℃以上1300℃以下、好ましくは700℃以上1000℃以下の範囲まで昇温し、係る温度の範囲を1時間以上20時間以下、好ましくは8時間以上12時間以下保持することにより行われる。      上記焼成の際、ドロマイトの熱分解により発生するCOガスが分解挙動に影響する。COガス濃度が高い場合、分解反応が高温側で起こり、逆にCOガス濃度が低い場合はより低温で分解反応が起こる。分解反応を促進させるために空気気流を調整する必要があり、空気気流が送り・停止の併用で行うことが好ましい。
 次に、焼成工程を終えたドロマイトが常温(20℃±15℃(JIS Z 8703))になるまで冷却した後、ドロマイト100重量部に対して35~60重量部、好ましくは45~50重量部の水と接触させ、焼成したドロマイトの一部を水和(消化)する。水との接触時間は5時間から20時間が好ましく、消化工程終了後のドロマイト消化物(消化物粉末)中の水分量が1~5重量%の範囲にあることが好ましい。 
 上記消化物粉末は、酸化マグネシウム(MgO)、水酸化カルシウム(Ca(OH))及び水酸化マグネシウム(Mg(OH)1~2)を反応成分として含み、含有が許容される成分は、炭酸カルシウム及び微量成分であることが望まれる。それ以外の成分が焼成及び水和の工程で生成しているとヒドロキシルラジカル発生の反応が阻害されることがある。また、酸化マグネシウム量が低下すると、ヒドロキシルラジカル発生量も低下する。ここで、MgO、Ca(OH)及びMg(OH)1~2の各成分の消化物粉末中における含有量は、MgOが2~22重量%、好ましくは5~15重量%、Ca(OH)が40~60重量%、好ましくは45~55重量%、Mg(OH)1~2が5~25重量%、好ましくは10~20重量%である。
 上記ドロマイト消化物は、ヒドロキシルラジカルの発生をより効率的にするために、その2次粒子径が0.1μm~60μmの範囲であることが好ましく、0.1μm~10μmの範囲であることがより好ましく、0.1μm~1μmの範囲であることが特に好ましい。特に、2次粒子径が1μm以下の場合、ヒドロキシルラジカルの発生が顕著で、これによる抗ウイルス効果が飛躍的に向上することが本発明者により確認された。
 本発明における金属の酸化物粉末(特に、アルカリ土類金属元素酸化物粉末)及び金属酸化物と水酸化物とが同時に含まれる鉱物起源の金属酸化物含有粉末は、金属の酸化物粉末の単位体積の60%以上が、BET法による比表面積が20m/g以上であることが好ましく、40m/g以上であることがより好ましい。粉末化が困難な、比表面積が80m/g以上の大きな比表面積(m/g)である方がヒドロキシルラジカル発生の反応が生じ易く、円滑になる。なお、比表面積が20m/g未満でも反応が可能な場合があるが、ヒドロキシルラジカル発生に困難を伴う。
 粉末の「単位面積」は、粉砕した粉末からサンプリングした所定の単位面積の意味であって、人為的に粒径が相違する粉末を混ぜたものではない。なお、本発明の「金属の酸化物粉末の量的主体」は、金属の酸化物粉末の単位体積の主体となる割合であって、例えば、単位体積の60%以上である場合が該当する。
 <ヒドロキシルラジカルの確認> 
ヒドロキシルラジカルの確認は、定量も含めて次の方法で測定して検証・確認した。
(a)APF(2-[6-(4 -amino)phenoxy-3H-xanthen-3-on-9-yl]benzoic acid)またはHPF(2-[6-(4 -hydroxy)phenoxy-3H-xanthen-3-on-9-yl]benzoic acid)を使用する活性酸素検出試薬にて反応させて、生成する強蛍光性化合物(フルオレセン)の蛍光強度から測定する方法である。
(b)エタノールとヒドロキシルラジカルを反応させて生成したヒドロキシエチルラジカルを、POBN(α-(4-pyridyl-1-oxide)-N-tertbutylnirone)により捕捉して、ESR(Electron Spin Resonance : 電子スピン共鳴)により測定する方法である。
(c)ヒドロキシルラジカルが確認された場合には、ラジカル捕捉剤のDPPH(1, 1-diphenyl-2-picrylhydrazyl)の紫色の消失有無により、ヒドロキシルラジカルの発生・存在を確認する方法である。
 <本発明のヒドロキシルラジカル発生方法の抗ウイルス材への応用>
 本発明における「抗ウイルス材」とは、本発明に係るヒドロキシルラジカル発生方法により発生したヒドロキシルラジカルを利用して、抗ウイルス作用を持たせた繊維やプラスチック及びこれらから成るマスクや防護服等の各種製品、その他薬品等の各種応用品を意味する。係る多様な応用品へ抗ウイルス効果を付与する場合(例えば、付着、固着、固定、担持、混入その他の方法で付与する場合)には、ウイルス効果を付与する際の制約が少ない若しくは制約が存在しないことが望まれる。この点本発明においては、ヒドロキシルラジカルの発生源として固体粉末を使用することで多様な適用手段への抗ウイルス効果の付与を可能にし、ほとんど制約なく抗ウイルス材の広範囲な使用を可能にしている。
 なお、金属の酸化粉末としての酸化マグネシウム粉末と、水酸化物としての水酸化ナトリウムの水溶液との接触では、ヒドロキシルラジカルの多量の発生が、APFの活性酸素検出用試薬を使用する測定法及びPOBNによりヒドロキシルラジカルとエタノールが反応して生じたヒドロキシエチルラジカルを選択的に捕捉してESRにより測定する方法でも認められている。
 そのヒドロキシルラジカル発生の反応機構については、例えば、一段階の反応機構、二段階の反応機構及び過酸化水素を中間に生成する反応機構等のいくつかが本発明者により推論されている。
<ウイルスの不活性機構>
 ヒドロキシルラジカルが、ウイルス構造を破壊する現象、ウイルスタンパク質を凝集させる現象、ウイルスタンパク質を高分子量化させる現象及び表面の突起タンパク質の変化による大きな塊若しくは集団の生成現象と、それによって、ウイルスが不活性になる現象が本発明で見いだされている。(後記実施例を参照)
<対象となるウイルス>
 ウイルス構造破壊、ウイルス表面の突起タンパク質の塊化現象及びウイルスタンパク質の凝集現象がヒドロキシルラジカルにより生じるウイルスは、いずれも本発明の抗ウイルス材により不活性にすることができる。
 対象となるウイルスの一部を例示すると、例えば、インフルエンザウイルス(例えば、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1 HPAIV)/ベトナム株および香港株)、コロナウイルス(例えばサーズウイルス)、フラビウイルス(例えば、C型肝炎ウイルス、デング熱ウイルス、日本脳炎ウイルス、西ナイルウイルス、黄熱病ウイルス)、ピコルナウイルス(例えばポリオウイルス、A型肝炎ウイルス)、カリシウイルス(例えばノロウイルス)、フィロウイルス(例えばエボラウイルス、マールブルグウイルス)、ラブドウイルス(例えば狂犬病ウイルス)、パラミクソウイルス(例えばはしかウイルス、おたふくかぜウイルス)、ヘルペスウイルス、パピローマウイルス、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、バルボウイルス、レトロウイルス(例えばヒト免疫不全ウイルス)、ヘパドナウイルス(例えばB型肝炎ウイルス)等がある。
<適用手段>
 抗ウイルス材の適用手段によって人若しくは動物がウイルスに接触可能な領域に抗ウイルス性が付与されて、ウイルスを不活性にする。抗ウイルス材は、各種ウイルスの不活性化に有効であって、抗ウイルス材として取り扱いが容易な粉末を使用する場合、適用手段は、用途・形状・大きさ・使用方法その他において特に制約がない。
 適用手段は、例えば、診断用器具、体外循環用器具、防護品、臨床検査器具(例えば、手袋、各種検査器具、無菌布、マスク、機械カバー、包帯等)、病院用器具(例えば、手術用ガウン、防護布、無菌布、マスク、機械カバー、包帯等)、医療消耗品(例えば、包帯、マスク等)、在宅医療器具(例えば、寝具その他)、衛生材料、保健衛生具、病院建物、食品製造工場、容器、食品包装材等にウイルスを不活性にする機能が発現可能な状態で使用される。
 また、適用手段は、例えば、製剤用担体(固体、液体、ペースト等)及び製剤用組成物その他の製剤用適用手段であってもよい。固体担体は、(白陶土(カオリン)、ショ糖、結晶セルロース、タルク、寒天)等である。
<適用手段の使用の態様>
 抗ウイルス材は、ヒドロキシルラジカル発生が可能に適用手段に備えられる。例えば、固着、付着、塗布、固定、含有、担持その他の方法によって備えられる。水酸化物が溶液状である場合には、適用手段に含有させてもよい。また、水酸化物を別に用意しておいて、適用手段に備える金属酸化物と予め用意した水酸化物とを反応させてヒドロキシルラジカルを発生させる。その場合には、適用手段に備える金属酸化物及び予め用意した水酸化物から本発明の抗ウイルス材が構成されることになる。
 更に、水酸化物を予め用意しなくても、水酸化物の存在環境下にウイルスが存在している場合には、ウイルス存在環境の水酸化物と、適用手段が備える金属酸化物との反応によってヒドロキシルラジカルを発生させて、ウイルスを不活性にすることができる。
 なお、本発明においては、本発明の目的に沿うものであって、本発明の効果を特に害さない限りにおいては、改変あるいは部分的な変更及び付加は任意であって、いずれも本発明の範囲である。例えば、本発明は、その原理から、発生させたヒドロキシルラジカルにより破壊、凝集などを引き起こしうる他の生物に対する薬剤(一例を挙げれば、抗菌剤)への応用が可能である。
 次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、実施例は具体例の一部であるところから、本発明の範囲が実施例に制約されることがない。
 実施例
 <実施例1>〔ヒドロキシルラジカルの検証〕
 酸化マグネシウム(MgO)粉末を水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液0.1モル/リットルに入れて反応させた。次に、APF試薬(活性酸素検出用試薬)に反応させて、ヒドロキシルラジカル(・OH)の存在の確認及び検量線による定量によって多量のヒドロキシルラジカル(・OH)の発生が認められた。
 <実施例2>〔ヒドロキシルラジカルの検証〕
 酸化マグネシウム(MgO)粉末を水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液0.1モル/リットルに入れ、さらにエタノールとPOBNを加えた。ヒドロキシルラジカルはエタノールと反応し、ヒドロキシルエチルラジカルを生成するが、これをPOBNで補足しESR(電子スピン共鳴)により測定する実験を行った。ESRではヒドロキシルラジカルの生成を示す典型的なピークのパターンが検出された。
 <実施例3>〔反応源が共存の鉱物粉末による反応の検証〕
 金属酸化物と水酸化物が共存する鉱物粉末からのヒドロキシルラジカル(・OH)発生を検証した。
 金属酸化物と水酸化物が共存する鉱物粉末のサンプルとしては、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムの複塩(Ca・Mg・(CO)を含有するドロマイト鉱石の焼成及び消化によって得られたサンプルを使用した。ドロマイト鉱石は、その処理条件(昇温速度、気流条件(気流の有無、気流速度その他))によって全く異なる消化物を生成する。
 そこで、実験は、ヒドロキシルラジカル(・OH)の発生機構から予測して、焼成物の消化が、炭酸カルシウム(CaCO)、水酸化カルシウム(Ca(OH))及び水酸化マグネシウム(Mg(OH)1~2)、及び酸化マグネシウム(MgO)を有する消化物を生成する操作条件(例えば原料ドロマイトを昇温速度5~10℃/分で700℃から1000℃の温度で10時間焼成し、常温になるまで冷却した後、ドロマイトの重量に対して45から50重量%の水と接触させる)で行って、BET法により測定の比表面積が、40m/g以上になる粉末に調整した。また、このサンプルでは、ヒドロキシルラジカル(・OH)が発生し、ウイルスを不活性にすることができた。
 なお、国際公開番号WO2005/013695 A1号公報に記載された抗ウイルス剤(ドロマイト消化物)の比表面積は18.43m/gであったが、本願における上記サンプルの比表面積は40m/g以上であった。
 <実施例4>〔ウイルス不活性化の検証〕
 ヒドロキシルラジカルのサーズウイルス(SARS-CoV)に対する不活性化能の検証実験をプラークリダクション法により行った。
 ヒドロキシルラジカルは、炭酸カルシウム(CaCO)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、水酸化マグネシウム(Mg(OH)1~2)、及び酸化マグネシウム(MgO)を有する実施例3のサンプルを使用した。
 当初のControlは、感染価が200万プラーク/ミリリットルであったが、ヒドロキシルラジカル処理後にはゼロになっていた。
 <実施例5>〔ウイルス不活性化の検証〕
 ヒドロキシルラジカルのサーズウイルスに対する不活性化能の検証実験を酸化マグネシウム(MgO)粉末と水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液から発生したヒドロキシルラジカルにより行った。
 当初のControlは、感染価が実施例4の場合よりも大きい場合であっても、ヒドロキシルラジカル処理後にはゼロになっていた。
 <実施例6>〔ウイルス不活性化の検証〕
 一組が5匹からなる二組のマウスを用意して、その一組の5匹のマウスの鼻から高病原性トリインフルエンザウイルス(H5N1 HPAIV)/ベトナム株を吸引させた。他の一組のマウスには、実施例3のヒドロキシルラジカルで処理して高病原性トリインフルエンザウイルス(H5N1 HPAIV)/ベトナム株を吸引させた。
 ヒドロキシルラジカル未処理の組のマウスでは、感染3日後においてマウスの鼻洗浄液中のウイルス量は10プラーク/ミリリットルであった。一方、ヒドロキシルラジカル処理した組のマウスではウイルス量がゼロになっていた。
 また、ヒドロキシルラジカル未処理の組のマウスは、最初の1匹が10日後、次の2匹が11日後、更に次の1匹が12日後、最後の1匹が13日後にそれぞれ死亡した。
しかし、ヒドロキシルラジカル処理した組のマウスは、14日後も全数が生存していた。
 <実施例7>〔ウイルス不活性化の検証〕
 ヒドロキシルラジカルの高病原性トリインフルエンザウイルス(H5N1 HPAIV)/ベトナム株に対する不活性化能の検証実験を実施例4と同じ条件で行った。
当初のControlは、感染価が10プラーク/ミリリットルであったが、ヒドロキシルラジカル処理後にはゼロになっていた。
 <実施例8>〔ウイルス不活性化の検証〕
 ヒドロキシルラジカルの高病原性トリインフルエンザウイルス(H5N1 HPAIV)/香港株に対する不活性化能の検証実験を実施例4と同じ条件で行った。
 当初のControlは、感染価が5X10プラーク/ミリリットルであったが、ヒドロキシルラジカル処理後にはゼロになっていた。
 <実施例9>〔ウイルス不活性機構の検証〕
 先ず、サーズウイルス(SARS-CoV)粒子の表面に存在する突起(スパイク)タンパク質に、抗スパイク抗体と金コロイドを結合させた抗IgG抗体を作用させ、ウイルス粒子表面のスパイクタンパク質を電子顕微鏡により観察した。その結果、ウイルス粒子の周りに金コロイドが分布し、ウイルスのスパイスタンパク質の分布と一致していた。次に、サーズウイルス(SARS-CoV)をヒドロキシルラジカルに接触させた後で同様の方法で抗スパイク抗体と金コロイドを結合させた抗IgG抗体を作用させてからウイルスを電子顕微鏡により観察した。その結果、金コロイドは塊状・集団状・高分子状になった場所に分布し、ウイルス粒子表面のスパイクタンパク質の変化を伴うウイルス構造の崩壊とウイルスの不活性化が観察された。
 <実施例10>〔ウイルス不活性機構の検証〕
 ヒドロキシルラジカル未処理のサーズウイルスとヒドロキシルラジカル処理をしたサーズウイルスに対し抗スパイク抗体を用いてウエスタンブロットを行った。還元剤を加えずに電気泳動すると、ヒドロキシルラジカル処理をしたサンプルにおいてスパイクタンパク質のバンドの消失が認められた。還元剤を加えて電気泳動すると、スパイクタンパク質のバンドの回復が認められた。これはスパイクタンパク質がヒドロキシルラジカルによって酸化され、高分子量化を起こしている事を意味している。
 <実施例11>〔ウイルス不活性機構の検証〕
 ヒドロキシルラジカルで処理したサーズウイルスとヒドロキシルラジカルの発生源にヒドロキシルラジカル除去剤を加えた状態で処理をしたサーズウイルスに対し抗スパイク抗体を用いてウエスタンブロットを行った。還元剤を加えずに電気泳動すると、ヒドロキシルラジカル処理をしたサンプルにおいてスパイクタンパク質のバンドの消失が認められたが、ヒドロキシルラジカル除去剤(ここではサリチル酸ナトリウム)を加えたサンプルではスパイクタンパク質のバンドの回復が認められた。これはスパイクタンパク質のヒドロキシルラジカルによる高分子量化が、ヒドロキシルラジカル除去剤によって阻害される事を意味している。
 <実施例12>〔ウイルス不活性機構の検証〕
 実施例3のサンプル調整において、ドロマイト鉱石の焼成及び消化の条件を変えて酸化マグネシウム(MgO)が存在しない消化物の粉末を調整した。すなわち、ここでは700℃以下の温度で焼成を行い、常温になるまで冷却した後、ドロマイト100重量部に対して45~50重量部の水と接触させてドロマイト消化物を得た。この酸化マグネシウム(MgO)未含有のドロマイト消化物サンプルでは、ウイルスを不活性にすることができなかった。
 <実施例13>〔ヒドロキシルラジカル発生量の比較〕
  本発明者は、国際公開番号WO2005/013695 A1号公報に記載のウイルス剤
をその出願人会社である、用瀬電機株式会社から、同公報に開示された抗ウイルス剤の提供を受けた。
 また、国際公開番号WO2005/013695 A1号公報に記載のウイルス剤を構成する成分の試薬として、水酸化カルシウム(Ca(OH))(純度:99.90%、和光純薬株式会社製)、炭酸カルシウム(CaCO)(純度:99.90%、和光純薬株式会社製)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))(純度:99.90%、和光純薬株式会社製)、酸化マグネシウム(MgO)(純度:99.90%、和光純薬株式会社製)を準備した。 次に、リン酸バッファー(最終濃度0.1 M)、HPF試薬(最終濃度5μM)、水酸化カルシウム(Ca(OH))(標準試薬、最終濃度50mM)からなる試料(試料No.1)を調製した。
 また、リン酸バッファー(最終濃度0.1M)、HPF試薬(最終濃度5μM)、炭酸カルシウム(CaCO)(和光純薬株式会社製、最終濃度50mM)からなる試料(試料No.2)を調製した。
 また、リン酸バッファー(最終濃度0.1M)、HPF試薬(最終濃度5μM)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))(和光純薬株式会社製、最終濃度50mM)からなる試料(試料No.3)を調製した。
 また、リン酸バッファー(最終濃度0.1M)、HPF試薬(最終濃度5μM)、酸化マグネシウム(MgO)(和光純薬株式会社製、最終濃度50mM)からなる試料(試料No.4)を調製した。
 また、リン酸バッファー(最終濃度0.1M)、HPF試薬(最終濃度5μM)、用瀬電機株式会社から提供を受けた国際公開番号WO2005/013695 A1号公報に記載のウイルス剤(最終濃度0.75%)からなる試料(試料No.5)を調製した。
 また、コントロールとして、リン酸バッファー(最終濃度0.1M)、HPF試薬(最終濃度5μM)からなる試料(試料No.6)を調製した。
 次に、以上に記載した、試料No.1、試料No.2、試料No.3、試料No.4、試料No.5及び試料No.6の各々を、15分間、室温でインキュベーションした後、蛍光プレートリーダー(ARVO MX、パーキンエルマー社製)にて蛍光強度を計測し、ヒドロキシルラジカルの産生量を定量した。
 結果を表1に示す。
 尚、表1中、用瀬電機株式会社から提供を受けた国際公開番号WO2005/013695 A1号公報に記載のウイルス剤は、BRP(登録商標)として表記している。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 表1から、試料No.3が、試料No.5に次いで、ラジカル発生量が高い、ということが判った。
 <実施例14>〔遮光条件でのヒドロキシルラジカル発生量の比較〕
 酸化チタン(アナターゼ型、純度99.9%、和光純薬工業株式会社製)0.1%、銀(粒子径100nm未満、純度99.5%、SIGMA社製)1%、水酸化マグネシウム(純度95%、和光純薬工業株式会社製)1%、及び実施例3で用いたドロマイト消化物1%を含む溶液を以下のように調整した。
 まず酸化チタン1gを9mLの純水に加え酸化チタン10%懸濁液を調製した。次いで酸化チタン10%懸濁液1mLを純水9mLに加えて酸化チタン1%懸濁液を調製した。
 また、銀1gを9mLの純水に加え銀10%懸濁液を調製した。
 また、水酸化マグネシウム1gを9mLの純水に加え水酸化マグネシウム10%懸濁液を調製した。
 また、ドロマイト消化物10%懸濁液を調製した。
 次に、酸化チタン1%懸濁液、銀10%懸濁液及び水酸化マグネシウム10%懸濁液を以下のように混合した。
   HPF試薬(第一化学薬品)          0.1μL
   0.5M リン酸バッファー(pH7.0)    20μL
   純粋                       69.9μL
   酸化チタン1%懸濁液又は
   銀10%懸濁液又は
   水酸化マグネシウム10%懸濁液又は
   ドロマイト消化物10%懸濁液       10μL
 こうして酸化チタン0.1%又は銀1%又は水酸化マグネシウム1%又はドロマイト消化物1%懸濁液を含む測定用試料を得た。
 上記試料のうち、酸化チタンと銀についてはそれぞれ2つずつ用意し、一方は調整後すぐに遮光し、他方は室内光(蛍光灯)を照射し、その後遮光した。室内光照射時間は、酸化チタンで30分、銀で1時間とした。水酸化マグネシウムとドロマイト消化物は遮光した状態で保持した。これらの試料について、試料作成後1時間後にヒドロキシルラジカルの発生量を測定した。測定には蛍光プレートリーダー(Varioskan flash、サーモフィッシャー社)を用いた。結果を表2に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 この結果から、本願におけるヒドロキシルラジカル発生方法によれば、酸化チタンや銀とは異なり、光の照射がない場合でもヒドロキシルラジカルを発生している、即ち遮光条件下でも抗ウイルス効果を発揮することがわかる。
 <実施例15>〔金属酸化物と水酸化物によるヒドロキシルラジカル発生量の比較〕
 以下の表3に示すような、金属酸化物、水酸化物又はこれらの混合物が合計1重量%含まれる溶液を作成した。
 まず水酸化カルシウム(純度96%、和光純薬工業株式会社製) 1gを純水9mLに加えて水酸化カルシウム10%懸濁液を調製した。
 また酸化マグネシウム(重質、純度99%、和光純薬工業株式会社製)1gを純水9mLに加えて酸化マグネシウム10%懸濁液を調製した。
 また水酸化ナトリウム(純度97%、和光純薬工業株式会社製)0.45gを純水4.05mLに加えて水酸化ナトリウム10%溶液を調製した。
 また水酸化カリウム(純度85%、SIGMA社製)0.45gを純水4.05mLに加えて水酸化カリウム10%溶液を調製した。
 また酸化銅(粒径5μm未満、純度98%、SIGMA社製)0.5gを純水4.5mLに加えて酸化銅10%懸濁液を調製した。
 また水酸化マグネシウム10%懸濁液とドロマイト消化物10%懸濁液については実施例14で用いたものを使用することとした。
 次に測定用試料を以下のように混合した。
   HPF試薬(第一化学薬品)         0.1μL
   0.5Mリン酸バッファー(pH 7.0)    20μL
   純水                       69.9μL
   各種懸濁液                   10μL
各測定対象試料中の金属酸化物及び/又は水酸化物の濃度と量を、表3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 これらの試料につき、試料作成後から遮光した状態で1時間放置し、その後ヒドロキシルラジカルの発生量を測定し、実施例14と同様に、酸化チタン0.1%溶液に室内光を30分照射した後のヒドロキシルラジカル発生量を100%として相対比較した。結果を表4に示す。 
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000004
 <実施例16>〔ヒドロキシルラジカル発生の持続時間〕
 実施例15と同様に、金属酸化物及び/又は水酸化物の懸濁液を用い、各種試薬を以下のように混合して測定対象試料を作成した。
   HPF試薬(第一化学薬品)          0.1μL
   0.5 M リン酸バッファー(pH 7.0)   20μL
   純水                       69.9μL
   各種懸濁液                   10μL
 各測定対象試料中の金属酸化物及び/又は水酸化物の濃度と量は、表5の通りである。 
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 試薬を調整後すぐに遮光し、1時間後及び12時間後にヒドロキシルラジカルの発生量を測定し、実施例14と同様に、酸化チタン0.1%溶液に室内光を30分照射した後のヒドロキシルラジカル発生量を100%として相対比較した。結果を表6に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000006
 この結果から、本願におけるヒドロキシルラジカルの発生方法によれば、発生開始から1時間後以降12時間後までの間、依然としてウイルスを不活化できる程度の十分な量のヒドロキシルラジカルが発生し続けていることがわかる。
 <実施例17>〔水酸化カルシウム、酸化マグネシウム及び水酸化マグネシウムの組み合わせによるヒドロキシルラジカル発生量の比較〕
 金属酸化物として酸化マグネシウム、水酸化物として水酸化マグネシウム及び/又は水酸化カルシウムを、これら金属酸化物と水酸化物の合計が1重量%となるべく、試料を調整した。
 具体的には、実施例15と同様に、金属の酸化物及び/又は水酸化物の懸濁液を用い、各種試薬を以下のように混合して測定対象試料を作成した。
   HPF試薬(第一化学薬品)          0.1μL
   0.5 M リン酸バッファー(pH 7.0)   20μL
   純水                       49.9μL
   各種懸濁液                   30μL
 各測定対象試料中の金属酸化物及び/又は水酸化物の濃度と量は、表7の通りである。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000007
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000002
 得られた試料を遮光した状態で72時間放置し、ヒドロキシルラジカルの発生量を測定し、水酸化カルシウムのみでのヒドロキシルラジカル発生量を100%として相対的に比較した。結果を表8に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000008
Figure JPOXMLDOC01-appb-I000003
 <実施例18>〔水酸化マグネシウムによるヒドロキシルラジカルの発生〕
 次に、水酸化マグネシウム(Mg(OH))(純度:99.90%、和光純薬株式会社製)を粉砕することで、一次粒子の粒子径を、1nm以上200nmの範囲にした水酸化マグネシウム(Mg(OH))粉末と、一次粒子の粒子径を、200nm以上400nmの範囲にした水酸化マグネシウム(Mg(OH))を調製した。
 次に、リン酸バッファー(最終濃度0.1M)、HPF試薬(最終濃度5μM)、一次粒子の粒子径を、1nm以上200nmの範囲にした水酸化マグネシウム(Mg(OH))からなる試料(試料No.7)を調製した。
  また、リン酸バッファー(最終濃度0.1M)、HPF試薬(最終濃度5μM)、一次粒子の粒子径を、200nm以上400nmの範囲にした水酸化マグネシウム(Mg(OH))からなる試料(試料No.8)を調製した。
 次に、以上に記載した、試料No.7及び試料No.8の各々を、15分間、室温でインキュベーションした後、蛍光プレートリーダー(ARVO MX、パーキンエルマー社製)にて蛍光強度を計測し、ヒドロキシルラジカルの産生量を定量した。
 その結果、ラジカルの発生量は、試料No.7>試料No.8>試料No.3となることが判った。
 特に、一次粒子を、1nm以上200nm以下の範囲にすると、ヒドロキシルラジカルの産生量が著しく増加することが、明らかになった。
 以上の結果から、水酸化マグネシウム(Mg(OH))は、水酸化マグネシウム粉末の一次粒子を、1nm以上200nm以下の範囲にすると、ヒドロキシルラジカルの産生量が著しく増加する結果、一次粒子を、1nm以上200nm以下の範囲に調製した水酸化マグネシウム(Mg(OH))は、抗ウイルス効果を発揮することが明らかになった。
 尚、水酸化マグネシウム(Mg(OH))は、空気その他の二酸化炭素(CO)を含むガスと接触すると、その一部が、二酸化炭素(CO)と反応して、炭酸マグネシウム(MgCO)になる。
 Mg(OH)+CO→MgCO+H
 例えば、表1に示す試料No.3に、炭酸カルシウム(CaCO)を添加すると、ヒドロキシルラジカルの発生量が、2811に低下した。
 また、酸化マグネシウム(MgO)は、空気その他の二酸化炭素(CO)を含むガスと接触すると、その一部が、二酸化炭素(CO)と反応して、炭酸マグネシウム(MgCO)になる。
 MgO+CO→MgCO
 また、水酸化カルシウム(Ca(OH))は、空気その他の二酸化炭素(CO)を含むガスと接触すると、その一部が、二酸化炭素(CO)と反応して、炭酸カルシウム(CaCO)になる。
 Ca(OH)+CO→CaCO+H
 また、酸化カルシウム(CaO)は、空気その他の二酸化炭素(CO)を含むガスと接触すると、その一部が、二酸化炭素(CO)と反応して、炭酸カルシウム(CaCO)になる。
 CaO+CO→CaCO
 以上の実験からは、本発明に係るウイルスを不活性にするヒドロキシルラジカルの発生を可能にする金属酸化物粉末、水酸化マグネシウム粉末は、保存の際に、COと非接触の状態(COをブロックした状態)で保存することが、好ましい。
 即ち、本発明に係る抗ウイルス材は、用時に、十分量のヒドロキシルラジカルを発生させるためには、保存の際に、COと非接触の状態(COをブロックした状態)で保存することが、好ましい。
 本発明に係る抗ウイルス材をCOと非接触の状態(COをブロックした状態)で保存する方法としては、例えば、包装材料内に、本発明に係る抗ウイルス材を収容した後、包装材料内を真空にして密閉したり、例えば、包装材料内に、本発明に係る抗ウイルス材を収容した後、包装材料内の空気を、例えば、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)等の不活性ガス、窒素(N)ガス、酸素(O)ガスその他のCOを含まないガス又はこのようなCOを含まないガスを含まないガスの混合ガスにより置換した後密閉したり、又は、例えば、包装材料内に、本発明に係る抗ウイルス材を収容した後、包装材料内に、例えば、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)等の不活性ガス、窒素(N)ガス、酸素(O)ガスその他のCOを含まないガス又はこのようなCOを含まないガスを含まないガスの混合ガスを充填した後に密閉したりする方法を挙げることができる。
 このようにして保存した、本発明に係る抗ウイルス材を収容した、本発明に係る包装材料に収容した抗ウイルス材は、その使用時に、包装材料を開封して、包装材料内に収容されている、本発明に係る抗ウイルス材を、空気その他のCOを含むガスに晒した場合に、包装材料内に保存されている間に、本発明に係る抗ウイルス材の構成要素である、ウイルスを不活性にするヒドロキシルラジカルの発生を可能にする金属酸化物粉末又は水酸化マグネシウム粉末が、炭酸化合物に変化していないので、用時に、ウイルスを不活性にするのに十分な量のヒドロキシルラジカルを発生することができる。
 本発明のヒドロキシルラジカル発生方法によれば、人体に危険を及ぼす危険な条件を採用することなく、安全、簡便かつ効率的にヒドロキシルラジカルを発生させることができる。また、そのようなヒドロキシルラジカル発生方法を備えた本発明の抗ウイルス材を用い、ウイルスをヒドロキシルラジカル雰囲気下に置く及びヒドロキシルラジカルに接触させることによって多種のウイルスを容易かつ明確に不活性にすることが可能になって、直接及び間接的に有益な利益を産業・社会にもたらす事が可能になる。

Claims (7)

  1.  アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族から第12族までの金属又はアルミニウムからなる群より選ばれる1種以上の金属の酸化物粉末と、
     アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、水酸化鉄、水酸化銅、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム又は水酸化アンモニウムから選ばれる1種以上の水酸化物と、
    を接触させることによりヒドロキシルラジカルを発生させる方法
  2.  前記金属の酸化物粉末と水酸化物が、いずれもドロマイトを焼成し、その一部を水和して得られたドロマイト消化物に含まれるものである、請求項1に記載の方法
  3.  前記ドロマイト消化物が、原料ドロマイトを700℃~1300℃の温度で1~20時間焼成し、その後常温になるまで冷却した後、ドロマイト100重量部に対して35~60重量部の水と接触させて得られるものである、請求項2に記載の方法
  4.  前記ドロマイト消化物の焼成が、昇温速度5~10℃/分、温度700℃~1000℃で8~12時間保持し、その際の空気気流が送り・停止の併用である、請求項3に記載の方法
  5.  金属の酸化物粉末と、水酸化物の量比、すなわち(金属の酸化物粉末)/(水酸化物)が0.001~100の範囲に含まれることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法
  6.  金属の酸化物粉末が、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、二酸化マンガン、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、酸化銅、酸化亜鉛又は酸化アルミニウムから選ばれる1種以上の酸化物粉末であり、
    水酸化物が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム又は水酸化アンモニウムから選ばれる1種以上の水酸化物である、請求項1に記載の方法
  7.  アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族から第12族までの金属又はアルミニウムからなる群より選ばれる1種以上の金属の酸化物粉末と、
     アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、水酸化鉄、水酸化銅、水酸化亜鉛、水酸化アルミニウム又は水酸化アンモニウムから選ばれる1種以上の水酸化物と、
    を接触させることによりヒドロキシルラジカルを発生させる方法を備えた抗ウイルス材
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