明 細 書
撮像レンズ
技術分野
[0001] この発明は、撮像レンズに係り、特に携帯電話器等に搭載して好適な撮像レンズに 関する。
背景技術
[0002] デジタルカメラを内蔵する携帯電話器には、撮像レンズがプリント配線基板に実装 されている。プリント配線基板に撮像レンズを実装する手法として、リフローはんだ付 け(Reflow soldering)処理が採用されている。以後、リフローはんだ付け処理を、単に 「リフロー処理」ということもある。リフロー処理とは、プリント配線基板上で電子部品を 接続する個所にあら力じめハンダボールを配置し、そこに電子部品を配置して力 加 熱して、ハンダボールを溶融させた後冷却することによって、電子部品をノヽンダ付け する手法のことを言う。
[0003] 一般に、大量生産工程において、プリント配線基板に電子素子あるいは撮像レンズ 等の部品類を実装する手法として、リフロー処理を実施するリフロー工程が採用され る。リフロー工程によれば、部品類のプリント配線基板への実装コストが安くすみ、か つ製造品質を一定に保つことができる。
[0004] 撮像レンズを具える携帯電話器の製造工程におけるリフロー工程においては、電 子部品が、プリント配線基板の所定位置に配置されることはもちろん、撮像レンズそ のもの、あるいは撮像レンズを取り付けるためのソケット等がプリント配線基板に配置 される。
[0005] 携帯電話器に取り付けられる撮像レンズは、製造コストの低減及びレンズ性能の確 保のために、そのほとんどがプラスチックを素材として作製されている。このため、リフ ロー工程において、撮像レンズが高温環境におかれることによって熱変形し、その光 学的性能を維持できなくなることを防止するため、撮像レンズを装填するための耐熱 性ソケット部品を利用する工夫がなされて 、る。
[0006] すなわち、リフロー工程においては、撮像レンズを装填するための耐熱性ソケット部
品を携帯電話器のプリント配線基板に取り付け、リフロー工程終了後に、撮像レンズ をこのソケットに取り付けることによって、撮像レンズカ^フロー工程で高温にさらされ ることを防ぐ方策が採られている (例えば、特許文献 1〜3参照)。しかしながら、撮像 レンズを装填するために耐熱性ソケット部品を利用することは、製造工程を複雑にし 、この耐熱性ソケットのコスト等を含めて、製造コストが高くなるという問題がある。
[0007] また、最近は、携帯電話器が、一時的に高温環境となる乗用車の車内等に放置さ れることも考慮して、携帯電話器そのもの力 150°C程度の高温環境に置かれた場合 であっても、この携帯電話器に装填されている撮像レンズには、その光学的性能が 劣化しないことが要請されている。従来の、プラスチック素材で形成された撮像レンズ では、この要請に完全には応えられない。
[0008] 高温環境でも光学的性能が維持される撮像レンズを実現するために、撮像レンズ を高軟ィ匕温度のモールドガラス素材を利用して形成することが考えられる(例えば、 特許文献 4参照)。高軟化温度のモールドガラス素材が軟化する温度は数百度以上 であるので、高温の環境によって撮像レンズの光学的性能が劣化するという問題が 回避できるが、現時点では、モールドガラス素材を利用して構成される撮像レンズは 、その製造コストが非常に高ぐあまり普及していない。
[0009] 携帯電話器等に装填される撮像レンズは、上述の熱的特性に加えて光学的な特 性についても、次のような条件を満たす必要がある。すなわち、光学長が短い必要が ある。光学長とは、撮像レンズの物体側の入射面力ゝら結像面 (撮像面ということもある 。)までの長さである。言い換えると、レンズの設計において、撮像レンズの合成焦点 距離に対する光学長の比を小さくする工夫が必要である。携帯電話器を例にとると、 少なくともこの光学長は、携帯電話器本体の厚みより短くなければならない。
[0010] 一方、撮像レンズの像側の出射面力も撮像面までの距離として定義されるノ ッタフ オーカスは、可能な限り長いのが好都合である。すなわち、レンズの設計において、 焦点距離に対するバックフォーカスの比はできるだけ大きくする工夫が必要である。 これは、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入する必 要があるためである。
[0011] 上述した以外にも、撮像レンズとして、諸収差が、像の歪みが視覚を通じて意識さ
れず、かつ撮像素子(「画素」ともいう。)の集積密度力 要請される十分な程度に小 さく補正されていることが当然に要請される。すなわち、諸収差が良好に補正されて いる必要があり、以下、このように諸収差が良好に補正された画像を「良好な画像」と いうこともある。
特許文献 1:特開 2006-121079号公報
特許文献 2:特開 2004-328474号公報
特許文献 3:特許第 3755149号公報
特許文献 4:特開 2005-067999号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0012] そこで、この発明の目的は、携帯電話器等に搭載して好適な撮像レンズであって、 リフロー工程においても、また、携帯電話器等に装填されて一時的に設計仕様にお ける最高の温度環境に置かれた場合であっても、光学的性能が劣化しな 、と 、ぅ耐 熱性が保証された撮像レンズを提供することにある。
[0013] また、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学長が短ぐバックフォーカスは撮像レ ンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入する可能な程度に長く 、かつ良好な画像が得られる撮像レンズを提供することにある。
課題を解決するための手段
[0014] 上述の目的を達成するため、この発明の撮像レンズは、第 1絞りと、第 1接合型複合 レンズと、第 2絞りと、第 2接合型複合レンズとを具え、物体側力ゝら像側に向って、第 1 絞り、第 1接合型複合レンズ、第 2絞り、第 2接合型複合レンズの順に配列されて構成 される。
[0015] 第 1接合型複合レンズは、物体側力ゝら像側に向って、第 1レンズ、第 2レンズ及び第 3 レンズの順に配列され、第 1レンズ及び第 3レンズが硬化性榭脂材料で形成される。 第 2接合型複合レンズは、物体側力 像側に向って、第 4レンズ、第 5レンズ及び第 6 レンズの順に配列され、第 4レンズ及び第 6レンズが硬化性榭脂材料で形成される。 また、第 2レンズ及び第 5レンズは、高軟化温度のガラス材料で形成される。
[0016] ここで、硬化性榭脂 (Curable Resin)材料とは、熱硬化性榭脂 (Thermosetting resin
)材料及び紫外線硬化榭脂(UV- Curable Resin)材料の 、ずれをも指す。
[0017] 第 1レンズと第 2レンズとは直接接着され、かつ第 2レンズと第 3レンズとは直接接着さ れている。また、第 4レンズと第 5レンズとは直接接着され、かつ第 5レンズと第 6レンズ とは直接接着されて形成されて!/、る。
[0018] また、上述の撮像レンズにおいて、以下の条件 (1)〜(8)を満たすように設定するの が好適である。
0≤ N - -N ≤0.1
3 2 1 (1)
0≤ N - -N (2)
3 4 1 ≤0.1
0≤ V 一 V
5 2 1 ≤30.0 (3)
0≤ V 一 V
i 4 1 ≤30.0 (4)
0≤ N - - N (5)
9 8 1 ≤0.1
0≤ N - -N ≤0.1 (6)
9 10
0≤ V 一 V
Ϊ 8 1 ≤30.0 (7)
0≤ V 一 V 1 ≤30.0 (8)
ただし、
N:第 1レンズの屈折率
2
N:第 2レンズの屈折率
3
N:第 3レンズの屈折率
4
V :第 1レンズのアッベ数
2
V :第 2レンズのアッベ数
3
V :第 3レンズのアッベ数
4
N:第 4レンズの屈折率
8
N:第 5レンズの屈折率
9
N :第 6レンズの屈折率
10
V :第 4レンズのアッベ数
8
V :第 5レンズのアッベ数
9
V :第 6レンズのアッベ数
1 0
である。
[0020] 第 2レンズ及び第 5レンズは、平行平面ガラス板とすることができる。平行平面ガラス 板は、オプティカルパラレルガラス板(Optica卜 parallel glass plate)と呼ばれることもあ る。平行平面ガラス板は、レンズとは一般には呼ばれないが、この発明の明細書にお いては説明の便宜上、レンズ面の曲率半径が無限大である特別な場合として平行平 面ガラス板を含めてレンズと称することもある。
[0021] 第 2レンズ及び第 5レンズを平行平面ガラス板とした場合、第 1レンズを、近軸上で当 該第 1レンズの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズ (planoconvex lens)とし 、第 3レンズを、近軸上で当該第 3レンズの像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズ ( planoconcave lens)とし、また、第 4レンズを、近軸上で当該第 4レンズの物体側面が 物体側に凸面を向けた平凸レンズとし、第 6レンズを、近軸上で当該第 6レンズの像 側面が像側に凹面を向けた平凹レンズとすることができる。
[0022] また、第 2レンズを、両凸レンズ (biconvex lens)とし、第 1レンズを、近軸上で当該 第 1レンズの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズとし、第 3レンズを、近軸上で当 該第 3レンズの像側面が像側に凹面を向けたレンズとし、第 5レンズを、両凹レンズ (bi concave lens)とし、第 4レンズを、近軸上で当該第 4レンズの物体側面が物体側に凸 面を向けたレンズとし、第 6レンズを、近軸上で当該第 6レンズの像側面が像側に凹面 を向けたレンズとすることができる。
[0023] また、第 2レンズを、当該第 2レンズの物体佃 jに凸面を向けたメニスカスレンズとし、 第 1レンズを、近軸上で当該第 1レンズの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズと し、第 3レンズを、近軸上で当該第 3レンズの像側面が像側に凹面を向けたレンズとし 、第 5レンズを、当該第 5レンズの物体側に凸面を向けたメニスカスレンズとし、第 4レ ンズを、近軸上で当該第 4レンズの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズとし、第 6レンズを、近軸上で当該第 6レンズの像側面が像側に凹面を向けたレンズとすること ができる。
[0024] また、第 2レンズを、両凹レンズとし、第 1レンズを、近軸上で当該第 1レンズの物体 側面が物体側に凸面を向けたレンズとし、第 3レンズを、近軸上で当該第 3レンズの像 側面が像側に凹面を向けたレンズとし、第 5レンズを、両凸レンズとし、第 4レンズを、 近軸上で当該第 4レンズの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズとし、第 6レンズ
を、近軸上で当該第 6レンズの像側面が像側に凹面を向けたレンズとすることができ る。
[0025] この発明の撮像レンズを形成するに当たり、第 1レンズの物体側面及び第 3レンズの 像側面を非球面とし、第 4レンズの物体側面及び第 6レンズの像側面を非球面とする のが好適である。
[0026] また、この発明の撮像レンズを形成するに当たり、第 1レンズ、第 3レンズ、第 4レンズ 及び第 6レンズの素材である硬化性榭脂(Curable Resin)材料は、透明接着剤を含有 する透明硬化性シリコーン榭脂(Transparent Curable Silicone Resin)とするのが好適 である。透明との限定は、可視光に対して、実用上の影響が無い程度に光吸収量が 小さ 、 (透明である)ことを意味する。
発明の効果
[0027] この発明の撮像レンズによれば、この撮像レンズを構成する第 1接合型複合レンズ は、硬化性榭脂材料で形成された第 1及び第 3レンズが、高軟化温度のガラス材料で 形成された第 2レンズを両側から挟む形で、し力も直接接着されて形成されている。ま た、第 2接合型複合レンズは、硬化性榭脂材料で形成された第 4及び第 6レンズが、 高軟ィ匕温度のガラス材料で形成された第 5レンズを両側から挟む形で、し力も直接接 着されて形成されている。ここで、高軟ィ匕温度のガラス材料とは、リフロー処理の温度 及び接合型複合レンズの設計仕様における最高環境温度の 、ずれの温度より、軟 化温度が高いガラス材料であることを意味する。なお、以後の説明において、ガラス 材料に対して、熱的性質にっ ヽて論ずる場合には高軟ィ匕温度のガラス材料と 、、 光学的性質を論ずる場合には、これを光学ガラス材料と!/ヽうこともある。
[0028] 硬化性榭脂材料は、ー且硬化処理が施されると、一定温度以上の高温になっても 、軟ィ匕することはない。硬化性榭脂材料がもつこの性質が、軟化温度と呼ばれる (ガ ラス転移温度とも呼ばれる。)一定の温度以上にさらされると軟化して可塑化する、プ ラスチック材料等の可塑性榭脂材料がもつ性質と異なる点である。すなわち、硬化性 榭脂材料は、一旦硬化処理が施されて固体化されれば、その幾何学的形状は変化 しない。
[0029] 従って、第 1レンズ、第 3レンズ、第 4レンズ及び第 6レンズは、高温環境に置かれた
場合であっても、レンズの幾何学的形状は変化せずその光学的性能が劣化しな 、。 また、第 2レンズ及び第 5レンズも、高軟ィ匕温度のガラス材料で形成されているので、 高温環境下でもその光学的性能は劣化しない。ここで、高温環境とは、リフロー処理 の温度および接合型複合レンズの設計仕様における最高温度のいずれの温度より 高い温度環境をいう。
[0030] このため、第 1接合型複合レンズ及び第 2接合型複合レンズは、リフロー工程及び撮 像レンズの使用時に想定される最高の温度である高温環境においても、その光学的 性能が保証される。
[0031] また、一般に、硬化性榭脂のみで単体のレンズを作成した場合には、硬化の過程 で、レンズ面の曲面形状が変化する等の問題が生じる。し力しながら、第 1レンズと第 2レンズとは直接接着され、かつ第 2レンズと第 3レンズとは直接接着されている。また 、第 4レンズと第 5レンズとは直接接着され、かつ第 5レンズと第 6レンズとは直接接着さ れて形成されている。すなわち、第 1及び第 3レンズが、高軟化温度のガラス材料で 形成された第 2レンズを両側から挟む形で直接接着させて形成され、第 4及び第 6レ ンズが、高軟ィ匕温度のガラス材料で形成された第 5レンズを両側から挟む形で直接 接着させて形成される。このこと〖こよって、第 1レンズ、第 3レンズ、第 4レンズ及び第 6 レンズの曲面形状が、硬化処理の過程で変形する等の問題が生じな 、。
[0032] ここで、直接接着とは、レンズ Aとレンズ Bとの間に、不可避的に介在してしまう場合 を除き、意図的に何も介在させることなくレンズ Aとレンズ Bとを接着させることを言う。 レンズ A及びレンズ Bとは、例えば、上述の第 1レンズがレンズ A、第 2レンズがレンズ B に対応する。第 2及び第 3レンズ、第 4及び第 5レンズ、あるいは第 5及び第 6レンズの それぞれの組み合わせについても、同様である。
[0033] 次に、この発明の撮像レンズの光学的特性について説明する。
[0034] この発明の撮像レンズの光学的な構成上の指導原理は、屈折率等の光学的特性 ができる限り均質である単一の接合型複合レンズによって、収差補正及び結像という 2つの役割を実現することにある。すなわち、この発明の撮像レンズが具える第 1接合 型複合レンズを構成する第 1〜第 3レンズのそれぞれの屈折率及びアッベ数は互い に大きく異ならないことが望ましい。また、第 2接合型複合レンズを構成する第 4〜第 6
レンズのそれぞれの屈折率及びアッベ数は互いに大きく異ならないことが望ましい。 言 、換えると、第 1〜第 3レンズのそれぞれの屈折率及びアッベ数は互いに等し 、こ とが理想的である。また、第 4〜第 6レンズのそれぞれの屈折率及びアッベ数は互い に等しいことが理想的である。し力しながら、現実には、屈折率及びアッベ数が完全 に等 、、光学ガラス材料と硬化性榭脂材料との組み合わせを見出すことは極めて 困難である。
[0035] そこで、この発明の発明者は、第 1及び第 2接合型複合レンズのそれぞれにおいて 、構成材料である光学ガラス材料と硬化性榭脂材料との、両者の屈折率及びアッベ 数の差がどの程度以下であれば、良好な画像が得られる撮像レンズを構成できるか を、数々のシミュレーション及び試作を通じて確かめた。その結果、上述の条件 (1)〜( 8)を満たすことによって、良好な画像が得られる撮像レンズを構成できることが確かめ られた。
[0036] すなわち、第 1レンズの屈折率 Nと第 2レンズの屈折率 Nとの差、第 2レンズの屈折
2 3
率 Nと第 3レンズの屈折率 Nとの差、第 4レンズの屈折率 Nと第 5レンズの屈折率 Nと
3 4 8 9 の差、及び第 5レンズの屈折率 Nと第 6レンズの屈折率 N との差、 1S それぞれ 0.1以
9 10
内であれば歪曲収差、非点収差、及び色 ·球面収差が、良好な画像が形成される程 度に十分に小さい値になる。
[0037] また、第 1レンズのアッベ数 V と第 2レンズのアッベ数 V との差、第 2レンズのアッベ
2 3
数 V と第 3レンズのアッベ数 V との差、第 4レンズのアッベ数 V と第 5レンズのアッベ
3 4 8
数 V との差、及び第 5レンズのアッベ数 V と第 6レンズのアッベ数 V との差がそれ
9 9 10 ぞれ 30.0以内であれば、色収差の大きさを、良好な画像が形成される程度に十分に 小さい値とすることができ、し力も十分なコントラストを有する画像が形成できる。
[0038] し力も、以下の実施例に示すように、上述の条件 (1)〜(8)を満たすことによって、携 帯電話器等に搭載可能な程度に光学長が短ぐノ ックフォーカスは、撮像レンズと撮 像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入する可能な程度に長ぐかつ良 好な画像が得られる撮像レンズが実現される。
図面の簡単な説明
[0039] [図 1]この発明の撮像レンズの断面図である。
[図 2]実施例 1の撮像レンズの断面図である。
[図 3]実施例 1の撮像レンズの歪曲収差図である。
[図 4]実施例 1の撮像レンズの非点収差図である。
[図 5]実施例 1の撮像レンズの色 ·球面収差図である。
[図 6]実施例 2の撮像レンズの断面図である。
[図 7]実施例 2の撮像レンズの歪曲収差図である。
[図 8]実施例 2の撮像レンズの非点収差図である。
[図 9]実施例 2の撮像レンズの色 ·球面収差図である。
[図 10]実施例 3の撮像レンズの断面図である。
[図 11]実施例 3の撮像レンズの歪曲収差図である。
[図 12]実施例 3の撮像レンズの非点収差図である。
[図 13]実施例 3の撮像レンズの色 ·球面収差図である。
[図 14]実施例 4の撮像レンズの断面図である。
[図 15]実施例 4の撮像レンズの歪曲収差図である。
[図 16]実施例 4の撮像レンズの非点収差図である。
[図 17]実施例 4の撮像レンズの色 ·球面収差図である。
[図 18]実施例 5の撮像レンズの断面図である。
[図 19]実施例 5の撮像レンズの歪曲収差図である。
[図 20]実施例 5の撮像レンズの非点収差図である。
[図 21]実施例 5の撮像レンズの色 ·球面収差図である。
圆 22]接合型複合レンズの製造工程の説明に供する図である。 符号の説明
10 :撮像素子
12 :カバーガラス
14:第 1接合型複合レンズ
16 :第 2接合型複合レンズ
20、 30 :金型
24、 34:透明硬化性シリコーン榭脂
26:光学ガラス
36 :第 1レンズの物体側面
38 :第 3レンズの像側面
S: 1
1第絞り
S:第 2絞り
2
し: :第 1レンズ
1
し: :第 2レンズ
2
し: :第 3レンズ
3
し: :第 4レンズ
4
し: :第 5レンズ
5
し: :第 6レンズ
発明を実施するための最良の形態
[0041] 以下、図を参照して、この発明の実施の形態例につき説明する。なお、各図は、こ の発明に係る一構成例を図示するものであり、この発明が理解できる程度に各構成 要素の断面形状や配置関係等を概略的に示しているに過ぎず、この発明を図示例 に限定するものではない。また、以下の説明において、特定の材料および条件等を 用いることがあるが、これら材料および条件は好適例の一つに過ぎず、したがって、こ の発明は、何らこれらに限定されるものではない。
[0042] 図 1は、この発明の撮像レンズの構成図である。図 1において定義されている面番号
(r (i= l , 2, 3, -,14) )及び面間隔(d (i = l , 2, 3, "',13) )の記号は、図 2、図 6、図 10 、図 14、図 18においては、図面が煩雑になるのを防ぐため、省略してある。
[0043] 図 1に示すように、第 1接合型複合レンズ 14を構成する第 1、第 2及び第 3レンズをそ れぞれ L、 L及び Lで示す。また、第 2接合型複合レンズ 16を構成する第 4、第 5及び
1 2 3
第 6レンズをそれぞれ L、 L及び Lで示す。
4 5 6
[0044] 第 1接合型複合レンズ 14の前面 (第 1レンズの前面 r )に配置される第 1絞り Sは開口
2 1 絞りとしての役割を果たし、入射瞳の位置を確定する。また、第 1接合型複合レンズ 14 と第 2接合型複合レンズ 16との間に配置される第 2絞り Sは、画像のコントラストが減少
2
する現象であるフレアー(flare)ある!/、は、画像の溱み現象であるスミア(smear)を防
ぐ役割を果たす。
[0045] 誤解の生じない範囲で ^(ί= 1, 2, 3, · ··, 14)を光軸上曲率半径の値を意味する変 数として用いるほか、レンズやカバーガラス面ある ヽは撮像面を識別する記号 (例え を、第 1接合型複合レンズ 14を構成する第 1レンズ Lの物体側の面の意味に用い
2 1
る等)として用いることちある。
[0046] これらの図に示す r (i= l, 2, 3, · '·,14)及び d (i= l, 2, 3, · '·,13)等のパラメータは、 以下に示す表 1から表 5に具体的数値として与えてある。添え字 iは、物体側から像 側に向力つて順に、絞り(第 1及び第 2絞り)、各レンズの面番号あるいはレンズの厚み もしくはレンズ面間隔等に対応させて付したものである。
すなわち、
r は i番目の面の光軸上曲率半径、
d は i番目の面から i+ 1番目の面までの距離、
N は i番目の面と i + 1番目の面から成るレンズの素材の屈折率及び
V .は 〖番目の面と i+ 1番目の面から成るレンズの素材のアッベ数
をそれぞれ示す。
[0047] 図 1においては、絞り(第 1及び第 2絞り)の開口部を線分で示してある。これは、レン ズ面力 絞り面までの距離を定義するためには、絞り面と光軸との交点が明確に示さ れなければならないためである。また、実施例 1から実施例 5の撮像レンズのそれぞれ の断面図である、図 2、図 6、図 10、図 14、図 18においては、上記の図 1とは逆に、絞り の開口部を開けて、開口部の端を始点とした半直線で光を遮断する絞りの本体を示 してある。これは、主光線等の光線を記入するために、絞りの実態を反映させて、絞り の開口部を開けて示す必要があるためである。第 2絞りは、撮像レンズの構造上、そ の厚みを無視できないので、 dとしてその厚みを示してある。
6
[0048] 光学長 Lは、第 1絞り S力も撮像面までの距離である。ノックフォーカス bfは、第 2接
1
合型複合レンズ 16を構成する第 6レンズ Lの像側の面力ゝら撮像面までの距離である。
6
ここでは、カバーガラスを取り除いて計測される第 6レンズ Lの像側の面から撮像面ま
6
での長さを、ノックフォーカス bfとして表すものとする。
[0049] 非球面データは、表 1から表 5のそれぞれの欄に面番号とともに示した。また、光軸
上曲率半径の値 ^(ί= 1, 2, 3, "·,14)は、物体側に凸である場合を正の値、像側に凸 である場合を負の値として示してある。
[0050] 第 2レンズが平行平面ガラス板である場合の両面 (r及び r )、第 5レンズが平行平面
3 4
ガラス板である場合の両面 (r及び r )、第 1絞り S (r )、第 2絞り (r、 r ),及びカバーガ
9 10 1 6 7
ラス(あるいはフィルタ一等)の面 (r及び r )は、平面であるので曲率半径は、∞と表
12 13
示している。また、撮像面 (r )については、平面であるから r =∞であるが、表 1から
14 14
表 5ではその記載を省略してある。
[0051] この発明で使用される非球面は、次の式で与えられる。
[0052] Z = ch2/[l + [l -(l+k)cV]+1 2] +A h4+B h6+C h8+D h10
0 0 0 0
ただし、
z:面頂点に対する接平面からの深さ
c:面の光軸上の曲率
h:光軸からの高さ
k: 円錐定数
A: 4次の非球面係数
0
B: 6次の非球面係数
0
C: 8次の非球面係数
0
D: 10次の非球面係数
0
である。
[0053] この明細書中の表 1から表 5において、非球面係数を示す数値は指数表示であり、 例えば「e— 1」は、「10の— 1乗」を意味する。焦点距離 fとして示した値は、第 1接合型 複合レンズと第 2接合型複合レンズとによる合成焦点距離である。実施例ごとに、レン ズの明るさの指標である開放 Fナンバー(開放 F値と呼ばれることもある。 )を Fnoとして 示してある。開放 Fナンバーとは、開口絞り(第 1絞り)の直径を、設計上の最大の大き さとした場合の Fナンバーを意味する。また、正方形の像面の対角線長 2Yを像高とし て示している。ここで Yは、正方形の像面の対角線長の半分の値である。
[0054] 以下、図 2から図 21を参照して実施例 1から実施例 5の撮像レンズを説明する。
[0055] 図 3、図 7、図 11、図 15、図 19に示す歪曲収差曲線は、光軸力 の距離 (縦軸に像
面内での光軸力もの最大距離を 100として百分率表示してある。)に対して、収差 (横 軸に正接条件の不満足量を百分率表示してある。)を示した。図 4、図 8、図 12、図 16 、図 20に示す非点収差曲線は、歪曲収差曲線と同様に、縦軸に示す光軸からの距 離(%)に対して、収差量 (mm単位)を横軸にとって示し、メリジォナル面とサジタル面 とにおける収差量 (mm単位)を、それぞれ表示した。
[0056] 図 5、図 9、図 13、図 17、図 21に示す色 ·球面収差曲線においては、縦軸の入射高 h に対して、収差量 (mm単位)を横軸にとって示した。縦軸の入射高 hは、 Fナンバーに 換算して示してある。例えば、 Fnoが 2.9のレンズに対しては、縦軸の入射高 h= 100 %が、 F=2.9に対応する。
[0057] また、色 ·球面収差曲線においては、 C線(波長 656.3nmの光)、 d線(波長 587.6 nm の光)、 e線(波長 546.1 nmの光)、 F線(波長 486.1 nmの光)及び g線(波長 435.8 nm の光)に対する収差値を示した。
[0058] 以下に、実施例 1から実施例 5に関する構成レンズの曲率半径 (mm単位)、レンズ面 間隔 (mm単位)、レンズ素材の屈折率、レンズ素材のアッベ数、焦点距離、 Fナンバー 及び非球面係数を表 1から表 5に一覧にして掲げる。なお、構成レンズの光軸上曲率 半径の値及びレンズ面間隔は、撮像レンズの合成焦点距離 fの値を 1.00 mmに正規 化した時の値として示してある。
[0059] 実施例 1から実施例 5において、第 1接合型複合レンズ 14を構成する第 1レンズ L、
1 及び第 3レンズ Lの素材、及び第 2接合型複合レンズ 16を構成する第 4レンズ L、及
3 4 び第 6レンズ Lの素材に、硬化性榭脂材料である透明硬化性シリコーン榭脂を用い
6
た。また、第 2レンズ L及び第 5レンズ Lの素材に、ガラス材料である光学ガラス BK7を
2 5
用いた。ここで、 BK7とは、ショットガラス(SCHOTT GLAS)社が硼珪酸ガラス(borosili cate glass)のグループに付けた名称である。光学ガラス BK7は、現在、複数のガラス メーカーによって製造されている。市販されている光学ガラス BK7の屈折率及びアツ ベ数は、製造会社あるいは製造ロットによって多少の相違がある。以下に示す実施 例において用いた、第 2レンズ L及び第 5レンズ Lを構成する光学ガラス BK7 (株式会
2 5
社オハラ(OHARA INC.)製)の d線(58L6 nmの光)に対する屈折率は、 1.5168であり 、アッベ数は 61.0である。
[0060] ここで、硬化性榭脂 (Curable Resin)材料とは、熱硬化性榭脂 (Thermosetting resin )材料及び紫外線硬化榭脂(UV- Curable Resin)材料の 、ずれをも指す。
[0061] 透明硬化性シリコーン榭脂とは、可視光に対して透明であって、かつ一時的に 150 °C程度の高温環境となっても、レンズの幾何学的形状は変化せず、その光学的性能 が劣化しないシリコーン榭脂を意味する。ここでいう透明硬化性シリコーン榭脂は、例 えば、シリコーン榭脂の供給会社から、「透明高硬度シリコーン榭脂」との名称で市販 されて 、るシリコーン榭脂の中から適宜選択することができる。
[0062] 第 1レンズ Lと第 2レンズ Lとは直接接着され、かつ第 2レンズ Lと第 3レンズ Lとは直
1 2 2 3 接接着されている。また、第 4レンズ Lと第 5レンズ Lとは直接接着され、かつ第 5レン
4 5
ズ Lと第 6レンズ Lとは直接接着されて形成されている。
5 6
[0063] 第 1レンズ L、第 3レンズ L、第 4レンズ L及び第 6レンズ Lの素材である硬化性榭脂
1 3 4 6
材料として、富士高分子工業株式会社(Fuji Polymer Industries Co., Ltd.)製 SMX- 7 852、及び東レ 'ダウコ一-ング社(Dow Corning Toray Co., Ltd.)製 SR- 7010の熱硬 化性シリコーン榭脂を適宜用いた。これらの熱硬化性シリコーン榭脂の屈折率及び アッベ数は、製造会社ごとに異なる他、同一の商品名であっても屈折率及びアッベ 数は多少の相違がある。なお、以下に示す実施例において、レンズ素材の屈折率は 、 d線(587.6 nmの光)に対する値である。
[0064] この発明の撮像レンズは、図 1に示すように、第 1絞り Sと、第 1接合型複合レンズ 14
1
と、第 2絞り Sと、第 2接合型複合レンズ 16とを具え、物体側力も像側に向って、第 1絞
2
り S、第 1接合型複合レンズ 14、第 2絞り S、第 2接合型複合レンズ 16の順に配列され
1 2
て構成される。
[0065] 第 1接合型複合レンズ 14は、物体側力ゝら像側に向って、第 1レンズ L、第 2レンズ L
1 2 及び第 3レンズ Lの順に配列されている。また、第 2接合型複合レンズ 16は、物体側
3
力 像側に向って、第 4レンズ L、第 5レンズ L及び第 6レンズ Lの順に配列されている
4 5 6
[0066] 第 2接合型複合レンズ 16と撮像素子 10との間には、カバーガラス 12が挿入されてい る。カバーガラスの素材は、屈折率が 1.51680、アッベ数が 61.0である光学ガラス BK7 (HOYA株式会社 (HOYA CORPORATION)製)である。
[0067] 実施例 1から実施例 5の撮像レンズの、光軸上曲率半径の値 ri (i= l, 2, 3, 〜,14)、 面間隔 di (i= l, 2, 3, · ··, 13)、レンズ構成材料の屈折率及びアッベ数及び非球面係 数を、それぞれ表 1から表 5に示す。ここでは、第 1接合型複合レンズと第 2接合型複 合レンズとによる合成焦点距離を 1.00 mmに規格ィ匕してある。
[0068] 第 1接合型複合レンズ 14を構成する第 1レンズ Lの物体側面、及び第 3レンズ Lの像
1 3 側面を非球面とし、第 2接合型複合レンズ 16を構成する第 4レンズ Lの物体側面、及
4
び第 6レンズ Lの像側面を非球面とした。
6
[0069] [表 1]
焦点距離 f = 1.00 mm Fナンバー Fno = 2.9 像高 2Y = 1.246 画
実施例 2
焦点距離 f = 1.00 國
Fナンバー Fno = 2.9
像高 2Y = 1.238 國
s007
実施例 3
焦点距離 f = 1.00 mm Fナンバー Fno = 2.9 像高 2Y = 1.200 mm
実施例 4
焦点距離 f = 1.00 mm
Fナンバー Fno = 2.9
像高 2Y = 1.200 mm
0072
実施例 5
焦点距離 f = 1.00 國
Fナンバー Fno = 2.9
像高 2Y = 1.218 國
〔〕0073
[0074] <実施例 1 >
実施例 1のレンズ系は、第 1接合型複合レンズの第 1レンズ L、及び第 3レンズ Lが、
1 3 透明接着剤を含有する透明硬化性シリコーン榭脂 SMX-7852 (富士高分子工業株式 会社製)で形成され、第 2レンズ Lが、光学ガラス BK7 (株式会社オハラ製)で形成さ
2
れている。また、第 2接合型複合レンズの第 4レンズ L、及び第 6レンズ L 1S 透明接着
4 6
剤を含有する透明硬化性シリコーン榭脂 SMX-7852 (富士高分子工業株式会社製) で形成され、第 5レンズ Lが、光学ガラス BK7 (株式会社オハラ製)で形成されている。
5
(A)第 1レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.51000である。
1 2 2
(B)第 2レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.51680である。
2 3 3
(C)第 3レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.51000である。
3 4 4
(D)第 1レンズ Lのアッベ数 V は、 V =56.0である。
1 2 2
(E)第 2レンズ Lのアッベ数 V は、 V =61.0である。
2 3 3
(F)第 3レンズ Lのアッベ数 V は、 V =56.0である。
3 4 4
(G)第 4レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.51000である。
4 8 8
(H)第 5レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.51680である。
5 9 9
(I)第 6レンズ Lの屈折率 N は、 N = 1.51000である。
6 10 10
(J)第 4レンズ Lのアッベ数 V は、 V =56.0である。
4 8 8
(K)第 5レンズ Lのアッベ数 V は、 V =61.0である。
5 9 9
(L)第 6レンズ Lのアッベ数 V は、 V =56.0である。
6 10 10
[0075] 従って、 I N - N N - N
3 2 I = I 3 4 I = I N - N
9 8 I = I N - N | =0.00680であるので、
9 10
下記の条件 (1)、(2)、(5)及び (6)を満たしている。また、 | v - V
3 2 I = I V - V | =
3 4
I V - V I = I V - V I =5.0であるので、下記の条件 (3)、(4)、(7)及び (8)を満た
9 8 9 10
している。
[0076] 条件 (1)、(2)、(5)及び (6)とは、それぞれ、以下に示す式 (1)、式 (2)、式 (5)及び式 (6)で 与えられる条件を意味する。また、条件 (3)、(4)、(7)及び (8)とは、それぞれ、以下に示 す式 (3)、式 (4)、式 (7)及び式 (8)で与えられる条件を意味する。
[0077] 0≤ I N -N I ≤0.1 (1)
3 2
0≤ I N -N I ≤0.1 (2)
0≤ v - V
3 2 1 ≤30.0 (3)
0≤ v - V
3 4 1 ≤30.0 (4)
0≤ N -N ≤0.1 (5)
9 8 1
0≤ N -N ≤0.1 (6)
9 10
0≤ v - V (7)
9 8 1 ≤30.0
0≤ v - V 1 ≤30.0 (8)
条件 (1)〜(8)とは、それぞれ式 (1)〜(8)で与えられる条件を意味することは、以後の説 明(実施例 2から実施例 5の説明)においても同様である。
[0078] 図 2に実施例 1の撮像レンズの断面図を示す。図 2に示すとおり、開口絞りの役割を 果たす第 1絞り Sは、第 1接合型複合レンズ 14を構成する第 1レンズ Lの第 1面 (物体
1 1
側の面)と光軸との交点の位置に設けられている。フレアーあるいは、スミアを防ぐ役 割を果たす第 2絞り Sは、第 1接合型複合レンズ 14と第 2接合型複合レンズ 16との間に
2
設けられている。
[0079] 第 1絞り Sの絞り面は平面であるので、表 1に =∞と示してある。第 2絞り Sは、平面
1 1 2 r trとで構成されているので、表 1に r =∞及び r =∞と示してある。また Fナンバー F
6 7 6 7
ηοίま、 2.9である。
[0080] 表 1に示すとおり、 r =∞及び r =∞であることから、第 2レンズ Lは、平行平面ガラ
3 4 2
ス板であり、 r =∞及び r =∞であることから、第 5レンズ Lは、平行平面ガラス板であ
9 10 5
る。 rが正の値であって rが正の値であるから、第 1レンズ Lは、近軸上で、当該第 1レ
2 5 1
ンズ Lの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであって、第 3レンズ Lは、近
1 3 軸上で、当該第 3レンズ Lの像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズである。また、 r
3
が正の値であって rも正の値であるから、第 4レンズ Lは、近軸上で、当該第 4レンズ
8 11 4
Lの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであって、第 6レンズ Lは、近軸上
4 6 で、当該第 6レンズ Lの像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズである。
6
[0081] 図 2に示すとおり、焦点距離 f= 1.00 mmに対する光学長 Lは 1.113 mmであり、バック フォーカス bfは 0.492 mmである。
[0082] 図 3に示す歪曲収差曲線 1-1、図 4に示す非点収差曲線 (メリジォナル面に対する 収差曲線 1-2及びサジタル面に対する収差曲線 1-3)、図 5に示す色'球面収差曲線
(g線に対する収差曲線 1-4、 F線に対する収差曲線 1-5、 e線に対する収差曲線 1-6、 d線に対する収差曲線 1-7、及び C線に対する収差曲線 1-8、 )について、それぞれグ ラフによって示してある。
[0083] 図 3及び図 4の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示して いる。図 3及び図 4中で、 100%は 0.623 mmに対応している。また、図 5の収差曲線の 縦軸は、入射高 h(Fナンバー)を示しており、最大が 2.9に対応する。図 3の横軸は収 差(%)を示し、図 4、図 5の横軸は、収差の大きさ (mm)を示している。
[0084] 歪曲収差は、像高 75% (像高 0.467 mm)の位置において収差量の絶対値が 2.5% と最大になっており、像高 0.623 mm以下の範囲で収差量の絶対値力 ¾.5%以内に収 まっている。
[0085] 非点収差は、像高 80% (像高 0.498 mm)の位置にぉ 、てメリジォナル面における収 差量の絶対値が 0.029 mmと最大になっており、また、像高 0.623 mm以下の範囲で収 差量の絶対値が 0.029 mm以内に収まっている。
[0086] 色.球面収差は、入射高 hの 100%において g線に対する収差曲線 1-4の絶対値が 0.0225 mmと最大になっており、収差量の絶対値が 0.0225 mm以内に収まっている。
[0087] 従って、実施例 1の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学 長が短ぐ撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入する ことが可能な程度にバックフォーカスが長ぐかつ良好な画像が得られる。
[0088] <実施例 2>
実施例 2のレンズ系は、第 1接合型複合レンズの第 1レンズ L、及び第 3レンズ L力
1 3 透明接着剤を含有する透明硬化性シリコーン榭脂 SR-7010 (東レ 'ダウコーユング社 ( Dow Corning Toray Co., Ltd.)製)で形成され、第 2レンズ L力 光学ガラス BK7 (株
2
式会社オハラ製)で形成されている。また、第 2接合型複合レンズの第 4レンズ L、及
4 び第 6レンズ Lが、透明接着剤を含有する透明硬化性シリコーン榭脂 SR-7010 (東レ'
6
ダウコーユング社製)で形成され、第 5レンズ L力 光学ガラス BK7 (株式会社オハラ
5
製)で形成されている。
(A)第 1レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.53000である。
1 2 2
(B)第 2レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.51680である。
(C)第 3レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.53000である。
3 4 4
(D)第 1レンズ Lのアッベ数 v は、 V =35.0である。
1 2 2
(E)第 2レンズ Lのアッベ数 V は、 V =61.0である。
2 3 3
(F)第 3レンズ Lのアッベ数 V は、 V =35.0である。
3 4 4
(G)第 4レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.53000である。
4 8 8
(H)第 5レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.51680である。
5 9 9
(I)第 6レンズ Lの屈折率 N は、 N = 1.53000である。
6 10 10
(J)第 4レンズ Lのアッベ数 V は、 V =35.0である。
4 8 8
(K)第 5レンズ Lのアッベ数 V は、 V =61.0である。
5 9 9
(L)第 6レンズ Lのアッベ数 V は、 V =35.0である。
6 10 10
[0089] 従って、 I N - N I = I N - N
3 2 3 4 I = I N - N
9 8 I = I N = 0.01320であるので、 条件 (1)、(2)、(5)及び (6)を満たしている。また、 I V - V - V — V -
3 4 9
V I = I V - V
9 10 I =26.0であるので、条件 (3)、(4)、(7)及び (8)を満たしている。
8
[0090] 図 6に実施例 2の撮像レンズの断面図を示す。図 6に示すとおり、開口絞りの役割を 果たす第 1絞り Sは、第 1接合型複合レンズ 14を構成する第 1レンズ Lの第 1面 (物体
1 1
側の面)と光軸との交点の位置に設けられている。フレアーあるいは、スミアを防ぐ役 割を果たす第 2絞り Sは、第 1接合型複合レンズ 14と第 2接合型複合レンズ 16との間に
2
設けられている。
[0091] 第 1絞り Sの絞り面は平面であるので、表 2に r =∞と示してある。第 2絞り Sは、平面
1 1 2 r trとで構成されているので、表 2に r =∞及び r =∞と示してある。また Fナンバー F
6 7 6 7
noは、 2.9である。
[0092] 表 2に示すとおり、 r =∞及び r =∞であることから、第 2レンズ Lは、平行平面ガラ
3 4 2
ス板であり、 r =∞及び r =∞であることから、第 5レンズ Lは、平行平面ガラス板であ
9 10 5
る。 rが正の値であって rが正の値であるから、第 1レンズ Lは、近軸上で、当該第 1レ
2 5 1
ンズ Lの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであって、第 3レンズ Lは、近
1 3 軸上で、当該第 3レンズ Lの像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズである。また、 r
3
が正の値であって rも正の値であるから、第 4レンズ Lは、近軸上で、当該第 4レンズ
8 11 4
Lの物体側面が物体側に凸面を向けた平凸レンズであって、第 6レンズ Lは、近軸上
で、当該第 6レンズ Lの像側面が像側に凹面を向けた平凹レンズである。
6
[0093] 図 6に示すとおり、焦点距離 f= 1.00 mmに対する光学長 Lは 1.120 mmであり、バック フォーカス bfは 0.472 mmである。
[0094] 図 7に示す歪曲収差曲線 2-1、図 8に示す非点収差曲線 (メリジォナル面に対する 収差曲線 2-2及びサジタル面に対する収差曲線 2-3)、図 9に示す色 ·球面収差曲線 (g線に対する収差曲線 2-4、 F線に対する収差曲線 2-5、 e線に対する収差曲線 2-6、 d線に対する収差曲線 2-7、及び C線に対する収差曲線 2-8、 )について、それぞれグ ラフによって示してある。
[0095] 図 7及び図 8の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示して いる。図 7及び図 8中で、 100%は 0.619 mmに対応している。また、図 9の収差曲線の 縦軸は、入射高 h(Fナンバー)を示しており、最大が 2.9に対応する。図 7の横軸は収 差(%)を示し、図 8、図 9の横軸は、収差の大きさ (mm)を示している。
[0096] 歪曲収差は、像高 75% (像高 0.464 mm)の位置において収差量の絶対値が 2.7% と最大になっており、像高 0.619 mm以下の範囲で収差量の絶対値力 ¾.7%以内に収 まっている。
[0097] 非点収差は、像高 70% (像高 0.433 mm)の位置にぉ ヽてサジタル面における収差 量の絶対値が 0.02 mmと最大になっており、また、像高 0.619 mm以下の範囲で収差 量の絶対値が 0.02 mm以内に収まっている。
[0098] 色'球面収差は、入射高 hの 100%において g線に対する収差曲線 2-4の絶対値が 0 .0398 mmと最大になっており、収差量の絶対値が 0.0398 mm以内に収まっている。
[0099] 従って、実施例 2の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学 長が短ぐ撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入する ことが可能な程度にバックフォーカスが長ぐかつ良好な画像が得られる。
[0100] <実施例 3 >
実施例 3のレンズ系は、第 1接合型複合レンズの第 1レンズ L、及び第 3レンズ Lが、
1 3 透明接着剤を含有する透明硬化性シリコーン榭脂 SMX-7852 (富士高分子工業株式 会社製)で形成され、第 2レンズ Lが、光学ガラス BK7 (株式会社オハラ製)で形成さ
2
れている。また、第 2接合型複合レンズの第 4レンズ L、及び第 6レンズ L力 透明接着
剤を含有する透明硬化性シリコーン榭脂 SMX-7852 (富士高分子工業株式会社製) で形成され、第 5レンズ Lが、光学ガラス BK7 (株式会社オハラ製)で形成されている。
5
(A)第 1レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.51000である。
1 2 2
(B)第 2レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.51680である。
2 3 3
(C)第 3レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.51000である。
3 4 4
(D)第 1レンズ Lのアッベ数 V は、 V =56.0である。
1 2 2
(E)第 2レンズ Lのアッベ数 V は、 V =61.0である。
2 3 3
(F)第 3レンズ Lのアッベ数 V は、 V =56.0である。
3 4 4
(G)第 4レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.51000である。
4 8 8
(H)第 5レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.51680である。
5 9 9
(I)第 6レンズ Lの屈折率 N は、 N = 1.51000である。
6 10 10
(J)第 4レンズ Lのアッベ数 V は、 V =56.0である。
4 8 8
(K)第 5レンズ Lのアッベ数 V は、 V =61.0である。
5 9 9
(L)第 6レンズ Lのアッベ数 V は、 V =56.0である。
6 10 10
[0101] 従って、 I N - N I = I N -N I = I N -N I = I N -N = 0.00680であるので
3 2 3 4 9 8
条件 (1)、(2)、(5)及び (6)を満たしている。また V - V V - V V
3 2 3
V - V :5.0であるので、条件 (3)、(4)、(7)及び (8)を満たしている。
9
[0102] 図 10に実施例 3の撮像レンズの断面図を示す。図 10に示すとおり、開口絞りの役割 を果たす第 1絞り Sは、第 1接合型複合レンズ 14を構成する第 1レンズ Lの第 1面 (物
1 1
体側の面)と光軸との交点の位置に設けられている。フレアーあるいは、スミアを防ぐ 役割を果たす第 2絞り Sは、第 1接合型複合レンズ 14と第 2接合型複合レンズ 16との間
2
に設けられている。
[0103] 第 1絞り Sの絞り面は平面であるので、表 3に r =∞と示してある。第 2絞り Sは、平面
1 1 2 r trとで構成されているので、表 3に r =∞及び r =∞と示してある。また Fナンバー F
6 7 6 7
noは、 2.9である。
[0104] 表 3に示すとおり、 rが正の値であり、 rが負の値であることから、第 2レンズ Lは、両
3 4 2 凸レンズであり、 rが負の値であり r が正の値であることから、第 5レンズ Lは、両凹レ
9 10 5 ンズである。 rが正の値であって rが正の値であるから、第 1レンズ Lは、近軸上で、当
該第 1レンズ Lの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズであって、第 3レンズ Lは、
1 3 近軸上で、当該第 3レンズ Lの像側面が像側に凹面を向けたレンズである。また、 r
3 8 が正の値であって rも正の値であるから、第 4レンズ Lは、近軸上で、当該第 4レンズ
11 4
Lの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズであって、第 6レンズ Lは、近軸上で、
4 6
当該第 6レンズ Lの像側面が像側に凹面を向けたレンズである。
6
[0105] 図 10に示すとおり、焦点距離 f= 1.00 mmに対する光学長 Lは 1.111 mmであり、バッ クフォーカス bfは 0.489 mmである。
[0106] 図 11に示す歪曲収差曲線 3-1、図 12に示す非点収差曲線 (メリジォナル面に対す る収差曲線 3-2及びサジタル面に対する収差曲線 3-3)、図 13に示す色'球面収差曲 線 (g線に対する収差曲線 3-4、 F線に対する収差曲線 3-5、 e線に対する収差曲線 3- 6、 d線に対する収差曲線 3-7、及び C線に対する収差曲線 3-8、 )について、それぞ れグラフによって示してある。
[0107] 図 11及び図 12の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示し ている。図 11及び図 12中で、 100%は 0.600 mmに対応している。また、図 13の収差曲 線の縦軸は、入射高 h(Fナンバー)を示しており、最大が 2.9に対応する。図 11の横軸 は収差(%)を示し、図 12、図 13の横軸は、収差の大きさ(mm)を示している。
[0108] 歪曲収差は、像高 80% (像高 0.480 mm)の位置において収差量の絶対値が 2.5% と最大になっており、像高 0.600 mm以下の範囲で収差量の絶対値力 ¾.5%以内に収 まっている。
[0109] 非点収差は、像高 80% (像高 0.480 mm)の位置にぉ 、てメリジォナル面における収 差量の絶対値が 0.0217 mmと最大になっており、また、像高 0.600 mm以下の範囲で 収差量の絶対値が 0.0217 mm以内に収まっている。
[0110] 色'球面収差は、入射高 hの 100%において g線に対する収差曲線 3-4の絶対値力 SO .0239 mmと最大になっており、収差量の絶対値が 0.0239 mm以内に収まっている。
[0111] 従って、実施例 3の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学 長が短ぐ撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入する ことが可能な程度にバックフォーカスが長ぐかつ良好な画像が得られる。
[0112] く実施例 4 >
実施例 4のレンズ系は、第 1接合型複合レンズの第 1レンズ L、及び第 3レンズ Lが、
1 3 透明接着剤を含有する透明硬化性シリコーン榭脂 SMX-7852 (富士高分子工業株式 会社製)で形成され、第 2レンズ Lが、光学ガラス BK7 (株式会社オハラ製)で形成さ
2
れている。また、第 2接合型複合レンズの第 4レンズ L、及び第 6レンズ L 1S 透明接着
4 6
剤を含有する透明硬化性シリコーン榭脂 SMX-7852 (富士高分子工業株式会社製) で形成され、第 5レンズ Lが、光学ガラス BK7 (株式会社オハラ製)で形成されている。
5
(A)第 1レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.51000である。
1 2 2
(B)第 2レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.51680である。
2 3 3
(C)第 3レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.51000である。
3 4 4
(D)第 1レンズ Lのアッベ数 V は、 V =56.0である。
1 2 2
(E)第 2レンズ Lのアッベ数 V は、 V =61.0である。
2 3 3
(F)第 3レンズ Lのアッベ数 V は、 V =56.0である。
3 4 4
(G)第 4レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.51000である。
4 8 8
(H)第 5レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.51680である。
5 9 9
(I)第 6レンズ Lの屈折率 N は、 N = 1.51000である。
6 10 10
(J)第 4レンズ Lのアッベ数 V は、 V =56.0である。
4 8 8
(K)第 5レンズ Lのアッベ数 V は、 V =61.0である。
5 9 9
(L)第 6レンズ Lのアッベ数 V は、 V =56.0である。
6 10 10
[0113] 従って、 I N - N I = I N - N I = I N - N
3 2 3 4 9 8 I = I N - N | =0.00680であるので、
9 10
条件 (1)、(2)、(5)及び (6)を満たしている。また、 I V - V I = I V - V I = I V -
3 2 3 4 9
V
8 I = I V - V
9 10 I =5.0であるので、条件 (3)、(4)、(7)及び (8)を満たしている。
[0114] 図 14に実施例 4の撮像レンズの断面図を示す。図 14に示すとおり、開口絞りの役割 を果たす第 1絞り Sは、第 1接合型複合レンズ 14を構成する第 1レンズ Lの第 1面 (物
1 1
体側の面)と光軸との交点の位置に設けられている。フレアーあるいは、スミアを防ぐ 役割を果たす第 2絞り Sは、第 1接合型複合レンズ 14と第 2接合型複合レンズ 16との間
2
に設けられている。
[0115] 第 1絞り Sの絞り面は平面であるので、表 4に r =∞と示してある。第 2絞り Sは、平面
1 1 2 r trとで構成されているので、表 4に r =∞及び r =∞と示してある。また Fナンバー F
noは、 2.9である。
[0116] 表 4に示すとおり、 rが正の値であり、 rも正の値であることから、第 2レンズ Lは、物
3 4 2 体側に凸面を向けたメニスカスレンズであり、 rが負の値であり rも負の値であること
9 10
から、第 5レンズ Lは、像側に凸面を向けたメニスカスレンズである。 rが正の値であつ
5 2
て rも正の値であるから、第 1レンズ Lは、近軸上で、当該第 1レンズ Lの物体側面が
5 1 1
物体側に凸面を向けたレンズであって、第 3レンズ Lは、近軸上で、当該第 3レンズ L
3 3 の像側面が像側に凹面を向けたレンズである。また、 rが正の値であって rも正の値
8 11 であるから、第 4レンズ Lは、近軸上で、当該第 4レンズ Lの物体側面が物体側に凸
4 4
面を向けたレンズであって、第 6レンズ Lは、近軸上で、当該第 6レンズ Lの像側面が
6 6
像側に凹面を向けたレンズである。
[0117] 図 14に示すとおり、焦点距離 f= 1.00 mmに対する光学長 Lは 1.109 mmであり、バッ クフォーカス bfは 0.488 mmである。
[0118] 図 15に示す歪曲収差曲線 4-1、図 16に示す非点収差曲線 (メリジォナル面に対す る収差曲線 4-2及びサジタル面に対する収差曲線 4-3)、図 17に示す色'球面収差曲 線 (g線に対する収差曲線 4-4、 F線に対する収差曲線 4-5、 e線に対する収差曲線 4- 6、 d線に対する収差曲線 4-7、及び C線に対する収差曲線 4-8、 )について、それぞ れグラフによって示してある。
[0119] 図 15及び図 16の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示し ている。図 15及び図 16中で、 100%は 0.600 mmに対応している。また、図 17の収差曲 線の縦軸は、入射高 h(Fナンバー)を示しており、最大が 2.9に対応する。図 15の横軸 は収差(%)を示し、図 16、図 17の横軸は、収差の大きさ(mm)を示している。
[0120] 歪曲収差は、像高 75% (像高 0.450 mm)の位置において収差量の絶対値が 2.5% と最大になっており、像高 0.600 mm以下の範囲で収差量の絶対値力 ¾.5%以内に収 まっている。
[0121] 非点収差は、像高 80% (像高 0.480 mm)の位置においてメリジォナル面における収 差量の絶対値が 0.0242 mmと最大になっており、また、像高 0.600 mm以下の範囲で 収差量の絶対値が 0.0242 mm以内に収まっている。
[0122] 色'球面収差は、入射高 hの 100%において g線に対する収差曲線 4-4の絶対値力 SO
.0219 mmと最大になっており、収差量の絶対値が 0.0219 mm以内に収まっている。
[0123] 従って、実施例 4の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学 長が短ぐ撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入する ことが可能な程度にバックフォーカスが長ぐかつ良好な画像が得られる。
[0124] <実施例 5 >
実施例 5のレンズ系は、第 1接合型複合レンズの第 1レンズ L、及び第 3レンズ Lが、
1 3 透明接着剤を含有する透明硬化性シリコーン榭脂 SMX-7852 (富士高分子工業株式 会社製)で形成され、第 2レンズ Lが、光学ガラス BK7 (株式会社オハラ製)で形成さ
2
れている。また、第 2接合型複合レンズの第 4レンズ L、及び第 6レンズ L 1S 透明接着
4 6
剤を含有する透明硬化性シリコーン榭脂 SMX-7852 (富士高分子工業株式会社製) で形成され、第 5レンズ Lが、光学ガラス BK7 (株式会社オハラ製)で形成されている。
5
(A)第 1レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.51000である。
1 2 2
(B)第 2レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.51680である。
2 3 3
(C)第 3レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.51000である。
3 4 4
(D)第 1レンズ Lのアッベ数 V は、 V =56.0である。
1 2 2
(E)第 2レンズ Lのアッベ数 V は、 V =61.0である。
2 3 3
(F)第 3レンズ Lのアッベ数 V は、 V =56.0である。
3 4 4
(G)第 4レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.51000である。
4 8 8
(H)第 5レンズ Lの屈折率 Nは、 N = 1.51680である。
5 9 9
(I)第 6レンズ Lの屈折率 N は、 N = 1.51000である。
6 10 10
(J)第 4レンズ Lのアッベ数 V は、 V =56.0である。
4 8 8
(K)第 5レンズ Lのアッベ数 V は、 V =61.0である。
5 9 9
(L)第 6レンズ Lのアッベ数 V は、 V =56.0である。
6 10 10
[0125] 従って、 I N - N I = I N -N
3 4 I = I N -N N -N = 0.00680であるので
3 2 9 8
条件 (1)、(2)、(5)及び (6)を満たしている。また、 V - V V - V V
3 2 3
V - V :5.0であるので、条件 (3)、(4)、(7)及び (8)を満たしている。
9
[0126] 図 18に実施例 5の撮像レンズの断面図を示す。図 18に示すとおり、開口絞りの役割 を果たす第 1絞り Sは、第 1接合型複合レンズ 14を構成する第 1レンズ Lの第 1面 (物
体側の面)と光軸との交点の位置に設けられている。フレアーあるいは、スミアを防ぐ 役割を果たす第 2絞り Sは、第 1接合型複合レンズ 14と第 2接合型複合レンズ 16との間
2
に設けられている。
[0127] 第 1絞り Sの絞り面は平面であるので、表 5に r =∞と示してある。第 2絞り Sは、平面
1 1 2 r trとで構成されているので、表 5に r =∞及び r =∞と示してある。また Fナンバー F
6 7 6 7
ηοίま、 2.9である。
[0128] 表 5に示すとおり、 rが負の値であり、 rが正の値であることから、第 2レンズ Lは、両
3 4 2 凹レンズであり、 rが正の値であり r が負の値であることから、第 5レンズ Lは、両凸レ
9 10 5 ンズである。 rが正の値であって rも正の値であるから、第 1レンズ Lは、近軸上で、当
2 5 1
該第 1レンズ Lの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズであって、第 3レンズ Lは、
1 3 近軸上で、当該第 3レンズ Lの像側面が像側に凹面を向けたレンズである。また、 r
3 8 が正の値であって rも正の値であるから、第 4レンズ Lは、近軸上で、当該第 4レンズ
11 4
Lの物体側面が物体側に凸面を向けたレンズであって、第 6レンズ Lは、近軸上で、
4 6
当該第 6レンズ Lの像側面が像側に凹面を向けたレンズである。
6
[0129] 図 18に示すとおり、焦点距離 f= 1.00 mmに対する光学長 Lは 1.110 mmであり、バッ クフォーカス bfは 0.490 mmである。
[0130] 図 19に示す歪曲収差曲線 5-1、図 20に示す非点収差曲線 (メリジォナル面に対す る収差曲線 5-2及びサジタル面に対する収差曲線 5-3)、図 21に示す色'球面収差曲 線 (g線に対する収差曲線 5-4、 F線に対する収差曲線 5-5、 e線に対する収差曲線 5- 6、 d線に対する収差曲線 5-7、及び C線に対する収差曲線 5-8、 )について、それぞ れグラフによって示してある。
[0131] 図 19及び図 20の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示し ている。図 19及び図 20中で、 100%は 0.600 mmに対応している。また、図 21の収差曲 線の縦軸は、入射高 h(Fナンバー)を示しており、最大が 2.9に対応する。図 19の横軸 は収差(%)を示し、図 20、図 21の横軸は、収差の大きさを示している。
[0132] 図 19及び図 20の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示し ている。図 19及び図 20中で、 100%は 0.609 mmに対応している。また、図 21の収差曲 線の縦軸は、入射高 h(Fナンバー)を示しており、最大が 2.9に対応する。図 19の横軸
は収差(%)を示し、図 20、図 21の横軸は、収差の大きさ(mm)を示している。
[0133] 歪曲収差は、像高 75% (像高 0.457 mm)の位置において収差量の絶対値が 2.5% と最大になっており、像高 0.609 mm以下の範囲で収差量の絶対値力 ¾.5%以内に収 まっている。
[0134] 非点収差は、像高 80% (像高 0.488 mm)の位置にぉ 、てメリジォナル面における収 差量の絶対値が 0.0267 mmと最大になっており、また、像高 0.609 mm以下の範囲で 収差量の絶対値が 0.0267 mm以内に収まっている。
[0135] 色'球面収差は、入射高 hの 100%において g線に対する収差曲線 5-4の絶対値力 SO .0224 mmと最大になっており、収差量の絶対値が 0.0224 mm以内に収まっている。
[0136] 従って、実施例 5の撮像レンズによれば、携帯電話器等に搭載可能な程度に光学 長が短ぐ撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入する ことが可能な程度にバックフォーカスが長ぐかつ良好な画像が得られる。
[0137] 実施例 1から実施例 5の撮像レンズの説明から明らかなように、撮像レンズの各構成 レンズを上述した式 (1)から (8)で示す条件を満たすように設計することで、この発明が 解決しょうとする課題が解決する。すなわち、諸収差が良好に補正され、十分なバッ クフォーカスが得られかつ光学長が短く保たれた撮像レンズが得られる。
[0138] 以上説明したことから、この発明の撮像レンズは、携帯電話器、パーソナルコンビュ ータあるいはデジタルカメラに内蔵するカメラ用レンズとしての利用はもとより、携帯情 報端末(PDA: personal digital assistant)に内蔵するカメラ用レンズ、画像認識機能を 具えた玩具に内蔵するカメラ用レンズ、監視、検査あるいは防犯機器等に内蔵する カメラ用レンズとして適用しても好適である。
[0139] <接合型複合レンズの製造方法 >
図 22(A)〜(G)を参照して、接合型複合レンズの製造工程について説明する。ここで は、第 1接合型複合レンズを例にして説明するが、第 2接合型複合レンズについても 同様である。第 2接合型複合レンズに対しては、以下の説明において、第 1レンズ L、
1 第 2レンズ L及び第 3レンズ Lとあるところを、それぞれ第 4レンズ L、第 5レンズ L及び
2 3 4 5 第 6レンズ Lと読み替えればよい。また、以下で行なう接合型複合レンズの製造方法
6
の説明にお 、ては、第 1接合型複合レンズを単に接合型複合レンズと 、うものとする
[0140] 図 22(A)〜(G)は、接合型複合レンズの製造工程の説明に供する図である。図 22(A) 〜(F)は、以下に述べる第 1レンズ及び第 3レンズを形成するために利用する円筒状 の金型 (Die)の、円筒の中心線を含んで、この中心線に沿った方向に当該金型を切 断した切り口の断面を示している。図 22(B)、(C)、(E)及び (F)には、接合型複合レンズ の構成材料であるシリコーン榭脂ゃ光学ガラスを含めて示してある。また、図 22(G)は 、図 22(A)〜(F)を参照して説明した接合型複合レンズの製造工程を経て形成された 接合型複合レンズの光軸を含んで、この光軸に沿った方向に当該接合型複合レンズ を切断した切り口の断面を示している。
[0141] 図 22(A)は、第 2レンズ Lに対して第 1レンズ Lを接合させて形成するための、金型 20
2 1
の切り口の断面図である。金型 20は、内面の側壁が円柱状である円筒であり、底面 2 2が第 1レンズ Lの物体側面 rを整形するために、下向きに凸型の曲面形状となって
1 2
いる。すなわち、底面 22の形状は、第 1レンズ Lの物体側面 rの曲面形状と等しい形
1 2
状となっている。
[0142] 図 22(B)は、金型 20に硬化する前の液体状の透明硬化性シリコーン榭脂 24を注入 した状態を示している。以下に説明する接合型複合レンズの製造工程においては、 熱硬化性榭脂を利用する場合を例にして説明するが、紫外線硬化榭脂を利用するこ とも可能である。
[0143] 熱硬化性榭脂とは、一般に、成形時に高温にすることによって硬化する榭脂をいう 。熱硬化性榭脂は、鎖状の細長いポリマーから枝状に出ている側鎖が,別のポリマ 一の側鎖と結合する架橋反応が高温によって進み,ポリマー同士が 3次元的に結合 し合って動かなくなることによって硬化する。架橋反応は不可逆反応なので,一度硬 化した熱硬化性榭脂を再び加熱しても軟化しない。
[0144] また、この発明で用いる熱硬化性榭脂には、充填剤及び密着付与剤が混入されて いることが望ましい。これは、第 1レンズ Lと第 2レンズ Lとの接合強度、及び第 2レンズ
1 2
Lと第 3レンズ Lとの接合強度を、製造工程において、及び撮像レンズとしての使用
2 3
中に、剥離することがな ヽ程度の強度として保たれるように形成するためである。
[0145] 一方、紫外線硬化榭脂とは、一般に、モノマー、オリゴマー(ポリマーと、モノマーと
の中間的な物質で榭脂の主成分である。)、光開始剤及び添加剤で構成される榭脂 をいう。この混合物に紫外線を照射すると、光重合反応によって、光開始剤が液体で あるモノマー (榭脂の希釈剤であって、硬化後榭脂の一部を構成する。)の状態から 固体であるポリマーの状態に転換される。また、紫外線硬化榭脂においても、上述の 熱硬化性榭脂と同様に、充填剤及び密着付与剤が混入されていることが望ましい。
[0146] 図 22(C)は、第 2レンズ Lとなる光学ガラス 26の一方の面と、硬化する前の液体状の
2
透明硬化性シリコーン榭脂 24の表面 28とを密着させて配置した状態を示して 、る。こ の状態で、金型 20を、透明硬化性シリコーン榭脂 24の硬化温度まで昇温させて、透 明硬化性シリコーン榭脂 24を硬化させる。透明硬化性シリコーン榭脂 24が熱硬化し た後金型 20を冷却して、光学ガラス 26に、硬化した透明硬化性シリコーン榭脂 24が 接合された状態の複合レンズを取り出す。この状態の複合レンズは、第 1レンズ Lと第
1
2レンズ Lとが直接接着されて接合された 2枚 1群レンズである。
2
[0147] この発明の発明者は、上述した実施例 1から実施例 5に示した撮像レンズにおいて 、第 1レンズ Lと第 2レンズ Lとの接合強度を、製造工程において、及び撮像レンズと
1 2
しての使用にお 、て、剥離が生じな 、程度の強度として保たれるように形成すること が可能であることを確認して 、る。
[0148] 図 22(D)は、上述の第 1レンズ Lと第 2レンズ Lとが接合された複合レンズに、更に第
1 2
3レンズ Lを接合させて形成するための金型 30の切り口の断面図である。金型 30は、
3
上述の金型 20と同様に、内面の側壁が円柱状である円筒であり、底面 32が第 3レンズ Lの像面 rを整形するために、上向きに凸型の曲面形状となっている。すなわち、底
3 5
面 32の形状は、第 3レンズ Lの像側面 rの曲面形状と等しい形状となっている。
3 5
[0149] 図 22(E)は、金型 30に硬化する前の液体状の透明硬化性シリコーン榭脂 34を注入し た状態を示している。透明硬化性シリコーン榭脂 34は、上述の透明硬化性シリコーン 榭脂 24と同様の榭脂を用いても、また異なる榭脂を用いても良い。いずれにしても、 この発明に係る接合型複合レンズの設計の都合により、好適なシリコーン榭脂を適宜 選択して用いるのが良い。
[0150] 図 22(F)は、上述した第 1レンズ Lと第 2レンズ Lとが接合された複合レンズの第 2レン
1 2
ズ Lの第 1レンズ Lが形成された側と反対側の面と、硬化する前の液体状の透明硬
化性シリコーン榭脂 34の表面 40とを密着させて配置した状態を示している。第 1レン ズ Lと第 2レンズ Lとが接合された複合レンズとは、透明硬化性シリコーン榭脂 24と光
1 2
学ガラス 26 (第2レンズ L )とから構成される 2枚 1群の接合型複合レンズを意味する。
2
[0151] 図 22(F)に示す状態で、金型 30を透明硬化性シリコーン榭脂 34の硬化温度まで昇 温させて、透明硬化性シリコーン榭脂 34を硬化させる。この時、透明硬化性シリコー ン榭脂 24は、既に熱硬化されているので、透明硬化性シリコーン榭脂 34の硬化温度 まで昇温されても、その形状は変化しない。
[0152] 透明硬化性シリコーン榭脂 34が硬化した後、金型 30を冷却して、上述した第 1レン ズ Lと第 2レンズ Lとが接合された上述の 2枚 1群の接合型複合レンズに、硬化した透
1 2
明硬化性シリコーン榭脂 34 (第 3レンズ Lとして形成される)が接合された状態の、接
3
合型複合レンズ (この発明の 3枚 1群の接合型複合レンズ)を取り出す。
[0153] この発明の発明者は、上述した実施例 1から実施例 5の撮像レンズにおいて、第 2レ ンズ Lと第 3レンズ Lとの接合強度を、製造工程において、及び撮像レンズとしての使
2 3
用にお 、て、剥離が生じな 、程度の強度として保たれるように形成することが可能で あることを確認している。
[0154] 図 22(G)は、上述の製造工程を経て完成された接合型複合レンズの、光軸に沿った 方向に切断した切り口の断面図である。透明硬化性シリコーン榭脂 24が第 1レンズ L
1
、光学ガラス 26が第 2レンズ L、透明硬化性シリコーン榭脂 34が第 3レンズ Lとなって
2 3 いる。図 22(G)に示した接合型複合レンズは、第 1レンズの物体側面 36が物体側に凸 面を向けており、第 3レンズの像側面 38が像側に凹面を向けた形状である。
[0155] 図 22(A)〜(G)を参照して説明した接合型複合レンズの製造工程は、第 2レンズ Lを
2 平行平面ガラス板とし、第 1レンズ Lを、当該第 1レンズ Lの物体側面 36が物体側に
1 1
凸面を向けた平凸レンズとし、第 3レンズ Lを、当該第 3レンズ Lの像側面 38が像側に
3 3
凹面を向けた平凹レンズとした接合型複合レンズを製造する場合を想定した金型を 利用した場合の製造工程である。し力しながら、これとは、レンズ面の凹凸の向きの 異なる接合型複合レンズにおいても、同様の工程で製造できることは明らかである。 第 1レンズ Lの物体側面 36の形状は、金型 20の底面 22の形状で決定される。また、第
1
3レンズ Lの像側面 38の形状は、金型 30の底面 32の形状で決定される。すなわち、金
型 20及び金型 30のそれぞれの底面の形状を、第 1レンズ Lの物体側面 36の形状及
1
び第 3レンズ Lの像側面 38の形状と合わせればよ 、。
3
[0156] 図 22(A)〜(G)を参照して説明した接合型複合レンズの製造工程においては、第 1レ ンズ及び第 3レンズを熱硬化性榭脂によって形成するので、金型 20及び金型 30の温 度を上昇させ、及び加工させるための温度制御装置が必要である。この温度制御装 置をどのように構成するかは、接合型複合レンズの製造装置の設計的事項に属する ことであるので、温度制御装置は、図 22(A)〜(G)では省略されている。
[0157] また、第 1レンズ L及び第 3レンズ Lを紫外線硬化榭脂によって形成する場合には、
1 3
金型 20及び金型 30の上方から、紫外線硬化榭脂に対して紫外線を照射できるように 、接合型複合レンズの製造装置を設計すればよい。