WO2008026438A1

WO2008026438A1 - Fuel injection valve

Info

Publication number: WO2008026438A1
Application number: PCT/JP2007/065672
Authority: WO
Inventors: Jyunnosuke Ando; Kazuhiro Kawai
Original assignee: Mitsubishi Heavy Industries, Ltd.
Priority date: 2006-08-31
Filing date: 2007-08-03
Publication date: 2008-03-06
Also published as: JP2008057458A; US20090184180A1; CN101365874A; EP1965070A1; CN101365874B; US7654475B2; EP1965070A4; US20080308657A1; EP1965070B1

Description

明細書燃料噴射弁技術分野

本発明は、ガスエンジンのパイロット燃料噴射装置、ディーゼルエンジンの燃料噴射装置等に適用され、ノズルチップに摺動可能に嵌合された針弁の往復動によって、該針弁の先端シート面とノズルチップのシート面とのシート部を開閉することにより、燃料溜め内に供給された燃料を噴孔からエンジンのシリンダ内に噴射しあるいは噴射を遮断するように構成された燃料噴射弁に関する。背景技術

ガスエンジンのパイロット燃料噴射装置、ディーゼルエンジンの燃料噴射装置等に適用される燃料噴射弁は、たとえば特許文献 1 (特開 2 0 0 2— 2 9 5 3 4 2号公報）に示されるように、ノズルチップの針弁穴内に摺動可能に嵌合された針弁の往復動によって、該針弁の先端シ一ト面とノズルチップのシート面とのシ一ト部を開閉することにより、燃料溜め内に供給された燃料をノズルチップの先端に形成された噴孔からエンジンのシリンダ内に噴射しあるいは噴射を遮断するように構成されている。

かかる燃料噴射弁をそなえた発電用中、大型ガスエンジンあるいはディーゼルエンジンにおいては、燃料として A重油を使用する場合が多い（尚、舶用大型デイーゼルエンジンでは B重油あるいは C重油を使用している）。

燃料として A重油を使用するエンジンの燃料噴射弁は、 A重油には夾雑物が比較的多く含まれている傾向があるため、この夾雑物が針弁外周の往復摺動部に嚙み込み易い。また、この他でも、エンジン整備時等に燃料中にごみが混入して針弁外周の往復摺動部に嚙み込むこともある。このような夾雑物やごみの針弁外周の往復摺動部への嚙み込みは、針弁の動作不良や摩耗、焼付き発生の要因となる。また、 A重油は軽油よりも燃焼残さが多く発生するため、 A重油を使用するェンジンの燃料噴射弁は、燃焼残さの針弁シート部近傍への堆積量も多くなり、この堆積燃焼残さが剥離して針弁シート部に嚙み込み、不整噴射による燃焼不良を誘発し易い。

前記特許文献 1 (特開 2 0 0 2— 2 9 5 3 4 2号公報）においては、前記針弁の外周に複数に円周方向溝を刻設し、該円周方向溝内に燃料を導入して針弁外周とノズルチップとの間の摺動部の潤滑性を高めている。

また、特許文献 2 (特表 2 0 0 5 - 5 3 3 2 2 2号公報）においては、針弁先端のノズルチップのシート面とのシート部に複数のマイク口凹部を刻設し、該マイク口凹部に溜まった燃料により前記シート部の潤滑性を向上している。

前記のように、特に A重油のような夾雑物が比較的多く含まれている燃料を用いるエンジンの燃料噴射弁は、前記夾雑物や整備時等において燃料に混入したごみ類の針弁外周の往復摺動部に嚙み込みが発生し易く、また燃焼残さが多く発生することから該燃焼残さの針弁シート部への嚙み込みも発生し易い。

図 1 1には、 2種類の A重油及び軽油中における夾雑物分布の測定値の一例を示す。粒度 5〜1 5 の夾雑物の場合、前記 2種類の A重油は軽油の 1 0〜1 0 0倍の分布量となっている。

しかしながら、前記特許文献 1の技術にあっては、針弁の外周に複数に刻設した円周方向溝内に燃料を導入して針弁外周とノズルチップとの間の摺動部の潤滑性を高めているが、該円周方向溝は該溝内に燃料を溜めて潤滑性を高めるためのみの目的で設けており、基本的には各溝が開放されてなく燃料を溜めるのみであるため、夾雑物やごみ類が該溝内に侵入した場合には、針弁の往復動によって溝内の夾雑物やごみ類が針弁外周の往復摺動部に侵入して嚙み込むという現象は依然として発生し易く、力、かる嚙み込みに伴い針弁の動作不良や焼付きが発生するという問題点を解決するものではない。

また、前記特許文献 2の技術にあっては、針弁先端のノズルチップの弁座シート面とのシート部に刻設した複数のマイクロ凹部に燃料を溜めることにより、針弁先端部とノズルチップの弁座シート面とのシート部の潤滑性を向上しているが、針弁先端とノズルチップの弁座シート面とは常時同一部位で接触しているため、たとえ前記シート部にマイクロ凹部が形成されていても、該マイクロ凹部の周辺のシート部に燃焼残さや夾雑物やごみ類等の固形異物が侵入した場合には、該固形異物はマイクロ凹部から排出されずにそのままシート部に嚙み込んでしまい、かかる固形異物の嚙み込みに伴う不整噴射及びこれによる燃焼不良を誘発するという問題が発生する。発明の開示

本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、夾雑物を多く含む燃料を使用するェンジンにおいても、夾雑物やごみ類や燃焼残さ等の固形異物の針弁外周摺動部及び針弁先端部とノズルチップとのシート部への嚙み込み、及びこれに伴う針弁の動作不良や焼付きの発生、並びに不整噴射による燃焼不良の発生を防止した燃料噴射弁を提供することを目的とする。

本発明はかかる目的を達成するもので、ノズルチップの針弁穴内に摺動可能に嵌合された針弁の往復動によって、該針弁の先端シート面と前記ノズルチップのシート面とのシート部を開閉することにより、燃料溜め内に供給された燃料を前記ノズルチップの先端に形成された噴孔からエンジンのシリンダ内に噴射し、あるいは噴射を遮断するように構成された燃料噴射弁において、前記針弁の外周面に上下端部が開放されて燃料が導入可能にされた第 1の溝を刻設して前記針弁の往復動に伴う該第 1の溝内での燃料の流動により該針弁を回動せしめるように構成するとともに、前記ノズルチップのシート面に該針弁の回動方向と同一方向に捩れあるいは傾斜した第 2の溝を該ノズルチップの周方向に沿って複数刻設し、該第 2の溝は前記針弁の回動よる該針弁の先端シート面との共働によって燃料中の固形物を該第 2の溝内に搔き落とすエッジ部を形成してなることを特徴とする。この場合、好ましくは、前記針弁の外周面に刻設された前記第 1の溝は、一端が燃料溜め内に開放されて該燃料溜め内の燃料の一部が導入可能にされ他端が該針弁の外部に開放されて構成する。

かかる発明において、具体的には次のように構成するのが好ましい。

( 1 ) 前記第 1の溝は、前記針弁の軸方向に螺旋状に形成された螺旋状溝、または上端が前記針弁の上端面に開放され、下端が燃料溜めに開放されて該針弁の軸方向に傾斜した傾斜溝のいずれか一方からなる。

( 2 ) 前記第 2の溝は、該ノズルチップの周方向に沿って断続的に刻設された複数の断続溝、または該ノズルチップの円周方向に沿つて連続し且つノズルチップの円周方向線に対して傾斜した傾斜溝のいずれか一方からなる。

かかる発明によれば、針弁の外周面に、上下端部が開放されて燃料が導入可能にされた第 1の溝、好ましくは一端が針弁下部が臨む燃料溜め内に開放されて該燃料溜め内の燃料の一部が導入可能にされ他端が該針弁の外部つまり上部大気圧空間に開放された第 1の溝、つまり具体的には針弁の軸方向に螺旋状に形成された螺旋状溝、または上端が前記針弁の上端面に開放され、下端が燃料溜めに開放されて針弁の軸方向に傾斜した傾斜溝を刻設して、針弁の往復動に伴う該第 1の溝内での燃料の流動により該針弁を回動せしめるように構成するとともに、ノズルチップのシート面に該針弁の回動方向と同一方向に捩れあるいは傾斜して燃料中の固形物を搔き落とすエッジ部を形成した第 2の溝、つまり具体的にはノズルチップの周方向に沿つて断続的に刻設された複数の断続溝、またはノズルチップの円周方向に沿つて連続し且つノズルチップの円周方向線に対して傾斜した傾斜溝を刻設したので、

前記第 1の溝での燃料の流動により発生する針弁の回動によって、燃料溜め内の燃料の一部が圧力の高い燃料溜め内と上部の大気圧空間とを連通している第 1 の溝を通って大気圧空間に流動し、かかる針弁の回動によって、針弁の外周面に侵入しょうとする燃料中の夾雑物やごみ類、あるいは燃焼残さ等の固形異物は該第 1の溝内に流れ込み前記のような燃料の流動に乗って前記大気圧空間に排出されることとなって、該針弁の外周面に嚙み込むのが回避される。

従って、燃料中の夾雑物やごみ類、あるいは燃焼残さ等の固形異物の針弁外周面への嚙み込みに伴う針弁の動作不良や焼付きの発生を確実に防止できる。また、前記のような第 1の溝での燃料の流動により発生する針弁の回動に伴い、ノズルチップのシート面に該針弁の回動方向と同一方向に捩れあるいは傾斜して燃料中の固形物を搔き落とすように形成された第 2の溝のエッジ部によって、針弁先端部とノズルチップとのシート部に侵入しょうとする燃焼残さや燃料中の夾雑物、ごみ類等の固形異物が第 2の溝内に搔き落とされて、前記シート部への嚙み込みが回避され、かかる固形異物の嚙み込みに伴う不整噴射及びこれによる燃焼不良の発生を防止できる。また本発明は、ノズルチップの針弁穴内に摺動可能に嵌合された針弁の往復動によって、該針弁の先端シート面と前記ノズルチップのシート面とのシート部を開閉することにより、燃料溜め内に供給された燃料を前記ノズルチップの先端に形成された噴孔からエンジンのシリンダ内に噴射し、あるいは噴射を遮断するように構成された燃料噴射弁において、前記針弁の外周面に燃料の一部が浸入可能な溝を刻設するとともに、該外周面にショットピ一ニングを施したことを特徴とする。

即ち、前記溝は、前記針弁の軸方向に沿って複数延設された軸方向溝、または螺旋状に形成された螺旋状溝、または上端が前記針弁の上端面に開放され下端が前記燃料溜めに開放されて該針弁の軸方向に傾斜した傾斜溝のいずれか一方からなる。

かかる発明によれば、針弁の外周面に燃料の一部が侵入可能な溝、つまり具体的には針弁の軸方向に沿って複数延設された軸方向溝、螺旋状に形成された螺旋状溝、上端が前記針弁の上端面に開放され下端が前記燃料溜めに開放されて該針弁の軸方向に傾斜した傾斜溝のいずれかを刻設するとともに、該外周面にショットピーニングを施したので、針弁の外周面に侵入しょうとする燃料中の夾雑物やごみ類、あるいは燃焼残さ等の固形異物は前記溝内に流れ込むことによつて該針弁の外周面に嚙み込むのが回避され、且つ針弁の外周面の溝以外の部位にショットピーニングを施すことによって、該ショットピーニングの微小穴内に燃料が溜められるため針弁外周面とノズルチップとの間の摺動部の潤滑性が向上するとともに、該ショットピーニングによって針弁外周面の硬度が上昇して前記摺動部の耐摩耗性が向上する。

これにより、燃料中の夾雑物やごみ類、あるいは燃焼残さ等の固形異物の針弁外周摺動部への嚙み込みが防止され、且つ針弁外周摺動部の潤滑性が向上するとともに耐摩耗性が向上する。

本発明によれば、圧力の高い燃料溜め内と上部の大気圧空間とを連通している第 1の溝での燃料の流動により発生する針弁の回動によって、燃料溜め内の燃料の一部が前記第 1の溝を通って大気圧空間に流動し、かかる針弁の回動によって、針弁の外周面に侵入しょうとする燃料中の夾雑物やごみ類、あるいは燃焼残さ等の固形異物は該第 1の溝内に流れ込み前記のような燃料の流動に乗って大気圧空間に排出されることとなって、該針弁の外周面に嚙み込むのが回避される。これにより、燃料中の夾雑物やごみ類、あるいは燃焼残さ等の固形異物の針弁の外周面への嚙み込みに伴う針弁の動作不良や焼付きの発生を、確実に防止できる。

また、前記針弁の回動に伴い、ノズルチップのシート面に該針弁の回動方向と同一方向に捩れあるいは傾斜して燃料中の固形物を搔き落とすように形成された第 2の溝のエッジ部によって、針弁先端部とノズルチップとのシ一ト部に侵入しようとする燃焼残さや燃料中の夾雑物、ごみ類等の固形異物が該第 2の溝内に搔き落とされて、前記シート部への嚙み込みが回避され、かかる固形異物の嚙み込みに伴う不整噴射及びこれによる燃焼不良の発生を防止できる。

また本発明によれば、針弁の外周面に侵入しょうとする燃料中の夾雑物やごみ類、あるいは燃焼残さ等の固形異物を、針弁の外周の溝内に流し込むことによつて該針弁の外周面に嚙み込むのを回避でき、且つ針弁の外周面の溝以外の部位にショットピーニングを施すことによって、該ショットピーニングの微小穴内に燃料が溜められるため針弁外周面とノズルチップとの間の摺動部の潤滑性が向上するとともに、該ショットピーニングによって針弁外周面の硬度が上昇して前記摺動部の耐摩耗性が向上する。

これにより、燃料中の夾雑物やごみ類、あるいは燃焼残さ等の固形異物の針弁外周摺動部への嚙み込みが防止され、且つ針弁外周摺動部の潤滑性が向上するとともに耐摩耗性が向上する。図面の簡単な説明

第 1図は、本発明の第 1〜第 2実施例に係るガスエンジンのパイロット噴射用燃料噴射弁の弁軸心に沿う断面図である。

第 2図は、前記燃料噴射弁の部分断面図で、（ A)は図 1の Z部及び X部の拡大図、（B) 図 1の Y部拡大図である

第 3図は、前記燃料噴射弁の針弁摺動部周りの部分断面図である。第 4図は、本発明の第 1実施例に係る針弁の第 1例を示し、（A)は針弁の部分側面図、（B ) は（A) における A— A線断面図である。

第 5図は、本発明の第 1実施例に係る針弁の第 2例を示し、 (A)は針弁の部分側面図、（B ) は（A) における B— B線断面図である。

第 6図は、本発明の第 1実施例に係る針弁先端シート部の拡大断面図（図 7の C一 C線断面図、及び図 8の D— D線断面図）である。

第 Ί図は、本発明の第 1実施例に係る針弁先端シ一ト部の第 1例を示す部分側面図である。

第 8図は、本発明の第 1実施例に係る針弁先端シート部の第 2例を示す部分側面図である。

第 9図は、本発明の第 2実施例を示し、（A)は針弁の第 1例を示す部分側面図、 (B ) は（A) における E— E線断面図である。

第 1 0図は、本発明の第 2実施例を示し、（A)は針弁の第 2例を示す針弁の部分側面図、（B ) は（A) における F— F線断面図である。

第 1 1図は、 2種類の A重油及び軽油中における夾雑物分布の測定値の一例を示す表である。発明を実施するための最良の形態

以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。

図 1は本発明の第 1〜第 2実施例に係るガスエンジンのパイ口ット噴射用燃料噴射弁の弁軸心に沿う断面図である。図 2は前記燃料噴射弁の部分断面図で、 (A) は図 1の Z部及ぴ X部の拡大図、（B) は図 1の Y部拡大図である。図 3は前記燃料噴射弁の針弁摺動部周りの部分断面図である。

図 1〜 3において、 1 0 0はソレノィドにより駆動される電磁式の燃料噴射弁で、次のように構成されている。

1は弁本体、 2はノズルチップ、 6はノズルホルダで、前記ノズルチップ 2はノズルナット 4により前記ノズリレホルダ 2の下部にタイト面が流体密になるようにねじ込み固定されている。 1 8及び 1 8 aは下部スぺ一サ及び上部スぺーサで、ナツト 1 4により前記弁本体 1の下部にタイト面が流体密になるようにねじ込み固定されている。

3は前記ノズルチップ 2の中心部に形成された針弁穴に往復摺動自在に嵌合された針弁である。前記ノズルチップ 2の先端部には噴孔 2 aが穿孔されるとともに、該噴孔 2 aに連通される燃料溜め 1 7が形成されている。

4はノズルナットで、前記ノズルホルダ 6の下部とネジ結合され、前記ノズルチップ 2を該ノズルホルダ 6の下部に流体密に締め付けている。

l aは燃料噴射弁 1 0 0の中心である。

5は前記針弁 3の上部に連結されるプッシュ口ッド、 7は該プッシュロッド 5 と前記下部スぺーサ 1 8の下面との間に介装された針弁パネで、該針弁バネ 7は前記プッシュロッド 5を介して前記針弁 3を閉弁方向に付勢している。

8は前記下部スぺ一サ 1 8の嵌合穴に摺動可能に嵌合されたコントロールピストンで、下端部が前記プッシュロッド 5に連結されている。

1 6は前記弁本体 1の側部に設けられた燃料入口で、該燃料入口 1 6は前記弁本体 1、上、下部スぺーサ 1 8 a、 1 8、ノズルナット 1 5等に穿孔された上部側の燃料通路 1 5及びノズルチップ 2に穿孔された下部側の燃料通路 1 3を介して前記燃料溜め 1 7に連通されている。

1 2はソレノイド、 1 1はァーマチュア、 9は該ァーマチュア 1 1に連結された連結棒、 1 0は該連結棒 9と弁本体 1との間に介装された戻しバネである。かかる電磁式燃料噴射弁 1 0 0において、前記ソレノイド 1 2が励磁されてァ一マチュア 1 1を上方に引き寄せると、連結棒 9が戻しバネ 1 0のバネ力に杭して上動し、前記コントロールピストン 8が上方に引き上げられ、プッシュロッド 5を介して針弁 3が針弁パネ 7のパネ力に抗して上動することにより、該針弁 3 が開弁する。

前記針弁 3の開弁により、燃料入口 1 6から油溜め 1 7の間に溜められた燃料が噴孔 2 aから図示しない燃焼室内に噴射される。

【実施例 1】図 4は本発明の第 1実施例に係る針弁の第 1例を示し、（A)は針弁の部分側面図、（B) は（A) における A— A線断面図である。図 5は本発明の第 1実施例に係る針弁の第 2例を示し、（A) は針弁の部分側面図、（B) は（A) における B 一 B線断面図である。

また、図 6は本発明の第 1実施例に係る針弁先端シート部の拡大断面図（図 7 の C一 C線断面図、及び図 8の D— D線断面図)、図 7は本発明の第 1実施例に係る針弁先端シート部の第 1例を示す部分側面図、図 8は本発明の第 1実施例に係る針弁先端シ一ト部の第 2例を示す部分側面図である。

この第 1実施例においては、図 4 (A)、 (B) の第 1例及び図 5 (A)、 (B) の第 2例に示す針弁と、図 6、図 7の第 1例及び図 6、図 8の第 2例に示す針弁先端シート部とを組み合わせている。

即ちこの第 1実施例における針弁 3は、該針弁 3の外周面 3 aに、一端（下端) が前記燃料溜め 1 7 (図 3参照）内に開放されて該燃料溜め 1 7内の燃料の一部が導入可能にされ他端 (上端) が該針弁 3の外部上方空間に開放された第 1の溝を刻設している。

該第 1の溝は、図 4 (A)、 (B) に示す針弁 3の第 1例では、該針弁 3の軸方向に螺旋状に形成された螺旋状溝 2 0で構成し、該螺旋状溝 2 0の下端部を前記燃料溜め 1 7内に開放し、上端部を該針弁 3の外部上方空間に開放して、該螺旋状溝 2 0内における燃料の流動により該針弁 3を回動せしめるように構成している。

また、前記第 1の溝は、図 5 (A)、 (B) に示す第 2例では該針弁 3の軸方向に傾斜した複数の傾斜溝 2 1で構成し、該傾斜溝 2 1の下端部を前記燃料溜 1 7 内に開放し、上端部を該針弁 3の外部上方空間に開放して該傾斜溝 2 1内における燃料の流動により該針弁 3を回動せしめるように構成している。

また、この第 1実施例における針弁先端シート部 2 zは、前記針弁 3先端のシート面 3 aと、前記ノズルチップ 2のシート面 2 bに該針弁 3の回動方向と同一方向に握れあるいは傾斜し該ノズルチップ 2の周方向に沿つて複数刻設された第の溝とにより構成している。

該第 2の溝は、図 6及ぴ図 7に示す第 1例では、該ノズルチップ 2の周方向に沿って断続的に刻設された複数の断続した溝 2 2を複数列（1列でもよい）刻設している。

また、該第 2の溝は、図 6及び図 8に示す第 2例では、該針弁 3の回動方向と同一方向に円周方向線 2 yに対して角度 αで以つて傾斜した溝 2 2を該ノズルチップの周方向に沿って複数列（1列でもよい）刻設している。

そして、前記第 2の溝の第 1例及び第 2例の双方とも、前記溝 2 2 (第 2の溝）の端部に、該針弁 3の回動よる先端シート面 3 yとの共働によって燃料中の固形物を前記溝 2 2 (第 2の溝）内に搔き落とす機能を有するエッジ部 2 2 aを形成している。

前記溝 2 2 (第 2の溝）は、図 6に示すような、外側が開いた台形状の溝が好適であるが、エッジ部 2 2 aを形成することを条件として、四角形状あるいは円弧状に形成することも可能である。

以上の第 1実施例によれば、針弁 3の外周面に、一端が針弁 3の下部が臨む燃料溜め 1 7内に開放されて該燃料溜め 1 7内の燃料の一部が導入可能にされ、他端が該針弁 3の外部つまり上部大気圧空間に開放された第 1の溝、つまり具体的には図 4 (A)、 (B) の第 1例における軸方向に螺旋状に形成された螺旋状溝 2

0、あるいは図 5 (A) , (B) の第 2例における上端部が針弁 3の上端面に開放され下端部が前記燃料溜め 1 7に開放されて針弁 3の軸方向に傾斜した傾斜溝 2

1、を刻設して、針弁 3の往復動に伴う該第 1の溝（螺旋状溝 2 0あるいは傾斜溝 2 1 ) 内での燃料の流動により該針弁 3を回動せしめるように構成するとともに、ノズルチップ 2のシート面 2 bに該針弁 3の回動方向と同一方向に捩れあるいは傾斜して燃料中の固形物を搔き落とすエッジ部 2 2 aを形成した第 2の溝、つまり具体的には図 6及び図 7に示す第 1例におけるノズルチップ 2の周方向に沿って断続的に刻設された複数の断続した溝 2 2、あるいは図 6及び図 8に示す第 2例における該針弁 3の回動方向と同一方向に傾斜した溝 2 2、を刻設したので、前記針弁 3の第 1の溝（螺旋状溝 2 0あるいは傾斜溝 2 1 ) での燃料の流動により発生する針弁 3の回動によって、燃料溜め 1 7内の燃料の一部が圧力の高い燃料溜め 1 7内と上部の大気圧空間とを連通している第 1の溝を通って大気圧空間に流動し、かかる針弁 3の回動によって、針弁 3の外周面に侵入しようとする燃料中の夾雑物やごみ類、あるいは燃焼残さ等の固形異物は該第 1の溝内に流れ込み前記のような燃料の流動に乗って前記大気圧空間に排出されることとなつて、該針弁の外周面に嚙み込むのが回避される。

従って、燃料中の夾雑物やごみ類、あるいは燃焼残さ等の固形異物の針弁 3外周面への嚙み込みに伴う針弁 3の動作不良や焼付きの発生を確実に防止できる。また、前記のような第 1の溝での燃料の流動により発生する針弁 3の回動に伴い、ノズルチップ 2のシート面 2 bに該針弁 3の回動方向と同一方向に捩れあるいは傾斜して燃料中の固形物を搔き落とすように形成された第 2の溝（複数の断続した溝 2 2あるいは該針弁 3の回動方向と同一方向に傾斜した溝 2 2 ) のエツジ部 2 2 aによって、針弁 3の先端部とノズルチップ 2との針弁先端シート部 2 zに侵入しょうとする燃焼残さや燃料中の夾雑物、ごみ類等の固形異物が第 2の溝内に搔き落とされて、前記針弁先端シート部 2 zへの嚙み込みが回避され、かかる固形異物の嚙み込みに伴う不整噴射及びこれによる燃焼不良の発生を防止できる。

【実施例 2】

図 9は本発明の第 2実施例を示し、（A) は針弁の第 1例を示す部分側面図、 (B)は（A)における E— E線断面図である。また、前記第 2実施例において、図 1 0 (A) は針弁の第 2例を示す針弁の部分側面図、（B) は（A) における F 一 F線断面図である。

この第 2実施例においては、前記針弁 3の外周面 3 aに燃料の一部が浸入可能な溝 2 0 , 2 2 yを刻設するとともに、該外周面 3にショットピ一ニング 3 3を施している。

即ち、前記第 2実施例における針弁 3の第 1例においては、図 9 (A)、 (B) に示すように、前記針弁 3の外周面 3 aに軸方向溝 2 2 yを設け、該軸方向溝 2 2 yの下端部を前記燃料溜め 1 7内に開放し、上端部を針弁 3の外部上方空間に開放して、前記燃料溜め 1 7内の燃料の一部が該軸方向溝 2 2 y内に侵入して該軸方向溝 2 2 y内を上動し前記外部上方空間に流出するようになっている。また、前記針弁 3の、前記軸方向溝 2 2 yが形成されていない外周面 3 aにはショットピ一ニング 3 3が施されている。また、前記第 2実施例における針弁 3の第 2例においては、図 1 0 (A)、 (B) に示すように、前記針弁 3の外周面 3 aに図 4の実施例（第 1実施例）と同様な螺旋状溝 2 0を設け、該螺旋状溝 2 0の下端部を前記燃料溜め 1 7内に開放し、上端部を針弁 3の外部上方空間に開放して、前記燃料溜め 1 7内の燃料の一部が該螺旋状溝 2 0内に侵入して該螺旋状溝 2 0内を上動し前記外部上方空間に流出するようになつている。

また、前記針弁 3の、前記螺旋状溝 2 0が形成されていない外周面 3 aにはショットピ一ニング 3 3が施されている。

さらに図示を省略したが、前記第 1の溝は、図 5 (A)、 (B) に示すような針弁 3の軸方向に傾斜した複数の傾斜溝 2 1で構成し、該傾斜溝 2 1の下端部を前記燃料溜め 1 7内に開放し、上端部を該針弁 3の外部上方空間に開放するように構成することもできる。

この場合も、前記針弁 3の前記螺旋状溝 2 0が形成されていない外周面 3 aにはショットピ一ニング 3 3が施されている。

かかる第 2実施例によれば、針弁 3の外周面に燃料の一部が浸入可能な溝、つまり具体的には針弁の軸方向に沿って複数延設された軸方向溝 2 2 y、螺旋状に形成された螺旋状溝 2 0、上端部が前記針弁 3の外部上方空間に開放され下端部が前記燃料溜め 1 7に開放されて該針弁 3の軸方向に傾斜した傾斜溝 2 1 (図 5 参照）のいずれかを刻設するとともに、該外周面 3 aにショットピ一ニング 3 3 を施したので、針弁 3の外周面 3 aに侵入しょうとする燃料中の夾雑物やごみ類、あるいは燃焼残さ等の固形異物は前記溝 2 2 y , 2 0， 2 1内に流れ込むことによって該針弁 3の外周面 3 aに嚙み込むのが回避され、且つ針弁 3の外周面 3 a の溝以外の部位にショットピーニング 3 3を施すことによって、該ショットピーニング 3 3の微小穴内に燃料が溜められるため、針弁 3外周面とノズルチップ 2 との間の摺動部の潤滑性が向上するとともに、該ショットピ一ニング 3 3によつて針弁外周面 3 aの硬度が上昇して前記摺動部の耐摩耗性が向上する。

これにより、燃料中の夾雑物やごみ類、あるいは燃焼残さ等の固形異物の針弁 3外周摺動部への嚙み込みが防止され、且つ針弁 3外周摺動部の潤滑性が向上するとともに耐摩耗性が向上する。 (他の実施例）

本発明における前記第 1の溝は、前記第 1実施例及び第 2実施例における溝の他に、図 1の X部及び図 2 (A) に示すコントロールピストン 8に設けるように構成してもよい。この場合、前記第 1の溝内には、針弁パネ 7が収納される針弁バネ室 7 z内に溜まった燃料を導入する。産業上の利用可能性

本発明によれば、夾雑物を多く含む燃料を使用するエンジンにおいても、夾雑物やごみ類や燃焼残さ等の固形異物の針弁外周摺動部及び針弁先端部とノズルチップとのシート部への嚙み込み、及びこれに伴う針弁の動作不良や焼付きの発生、並びに不整噴射による燃焼不良の発生を防止した燃料噴射弁を提供できる。

Claims

請求の範囲

1 - ノズルチップの針弁穴内に摺動可能に嵌合された針弁の往復動によって、該針弁の先端シート面と前記ノズルチップのシート面とのシート部を開閉することにより、燃料溜め内に供給された燃料を前記ノズルチップの先端に形成された噴孔からエンジンのシリンダ内に噴射し、あるいは噴射を遮断するように構成された燃料噴射弁において、前記針弁の外周面に、上下端部が開放されて燃料が導入可能にされた第 1の溝を刻設して前記針弁の往復動に伴う該第 1の溝内での燃料の流動により該針弁を回動せしめるように構成するとともに、前記ノズルチップのシート面に、該針弁の回動方向と同一方向に捩れ、あるいは傾斜した第 2の溝を該ノズルチップの周方向に沿って複数刻設し、該第 2の溝は前記針弁の回動よる該針弁の先端シート面との共働によって燃料中の固形物を該第 2の溝内に搔き落とすエッジ部を形成してなることを特徴とする燃料噴射弁。

2 . 前記第 1の溝は、前記針弁の軸方向に螺旋状に形成された螺旋状溝、または上端が前記針弁の上端面に開放され、下端が燃料溜めに開放されて該針弁の軸方向に傾斜した傾斜溝のいずれか一方からなることを特徴とする請求項 1記載の燃料噴射弁。

3 . 前記第 2の溝は、該ノズルチップの周方向に沿って断続的に刻設された複数の断続溝、または該ノズルチップの円周方向に沿って連続し且つノズルチップの円周方向線に対して傾斜した傾斜溝のいずれか一方からなることを特徴とする請求項 1記載の燃料噴射弁。

4. ノズルチップの針弁穴内に摺動可能に嵌合された針弁の往復動によって、該針弁の先端シート面と前記ノズルチップのシート面とのシ一卜部を開閉することにより、燃料溜め内に供給された燃料を前記ノズルチップの先端に形成された噴孔からエンジンのシリンダ内に噴射し、あるいは噴射を遮断するように構成された燃料噴射—弁において、前記針弁の外周面に燃料の一部が侵入可能な溝を刻設するとともに、該外周面にショットピーニングを施したことを特徴とする燃料噴射弁。

5 . 前記溝は、前記針弁の軸方向に沿って複数延設された軸方向溝、または螺旋状に形成された螺旋状溝、または上端が前記針弁の上端面に開放され下端が前記燃料溜めに開放されて該針弁の軸方向に傾斜した傾斜溝のいずれか一方からなることを特徴とする請求項 4記載の燃料噴射弁。