明 細 書
無線通信方法、無線基地局、無線通信端末及び基地局制御装置 技術分野
[0001] 本発明は、動的な指向性ビームを照射するァダプティブアレイアンテナを用いた無 線通信方法、無線基地局、無線通信端末及び基地局制御装置に関する。
背景技術
[0002] 従来、無線通信システムでは、無線通信端末 (例えば、携帯電話端末)は、複数の 無線基地局からの基地局参照信号 (例えば、パイロット信号等)を受信し、当該基地 局参照信号の受信電力が最も強い無線基地局に収容される。
[0003] また、無線通信端末は、移動に応じて、接続中の無線基地局から取得した周辺の 無線基地局情報に基づいて、周辺の無線基地局のうち、基地局参照信号の受信電 力が最も強い無線基地局にハンドオーバするように構成されている(例えば、特許文 献 1)。
[0004] 力、かる従来の無線通信システムでは、小セルを形成する無線基地局(以下、小セ ル基地局)が、小セルよりも大きいセル (以下、大セル)を形成する無線基地局(以下 、大セル基地局)に隣接して配置されることにより、カバー漏れのないサービスエリア が実現される。
[0005] 図 1を参照し、かかる従来の無線通信システムにおいて、無線通信端末が高速に 移動する場合の例について説明する。
[0006] 図 1に示すように、小セル SC1内の地点 P01に位置する無線通信端末 10は、基地 局参照信号の受信電力が最も強い小セル基地局 21aに収容される。そして、無線通 信端末 10は、方向 Aへの移動に応じて、大セル基地局 22aからの基地局参照信号 の受信電力が最も強くなつた地点 P02で、小セル基地局 21aから大セル基地局 22a にハンドオーバする。
[0007] 同様に、無線通信端末 10は、方向 Aへの移動に応じて、地点 P03で大セル基地 局 22aから小セル基地局 2 lbに、地点 P04で小セル基地局 2 lbから大セル基地局 2 2b、地点 P05で大セル基地局 22bから小セル基地局 21cに順次ハンドオーバする。
[0008] なお、小セル基地局 21a、 21b, 21c,大セル基地局 22a、 22bの各々には、空間 分割多重技術 (SDMA)を実現するために、動的に指向性が変化する指向性ビーム ンテナ技術では、小セル基地局 21a〜21c、大セル基地局 22a〜22bは、指向性ビ ームを無線通信端末 10の移動に追従して照射する。
[0009] このように、従来の無線通信システムでは、無線通信端末は、移動に応じて、最も 基地局参照信号の受信電力の強い無線基地局へのハンドオーバを行う。また、無線 基地局は、指向性ビームを無線通信端末の移動に追従して照射することにより、通 信品質を安定化させている。
特許文献 1 :特開 2005— 347906号公報
発明の開示
[0010] しかしながら、従来の無線通信システムでは、無線通信端末は、基地局参照信号を 受信できた無線基地局の中から、当該基地局参照信号の受信電力が最も強い無線 基地局に収容される。
[0011] このため、図 1に示すように、無線通信端末が高速に移動する場合、基地局参照信 号の受信電力の強い無線基地局へのハンドオーバが頻繁に繰り返される。したがつ て、頻繁なハンドオーバによるオーバヘッド力 s、ネットワークの処理負荷の増大や伝 送速度の低下を招き易いと!/、う問題点があった。
[0012] そして、ハンドオーバ処理は、無線通信端末が、現在収容されて!/、る無線基地局 のセルエッジに移動した場合に開始される。このため、無線通信端末が高速に移動 する場合、ハンドオーバ先となる無線基地局に適切に接続できず、通信断が生じる 場合があるという問題点もあった。
[0013] また、無線通信端末の移動速度が同一であっても、例えば、小セル基地局からの 指向性ビームの追従速度は、大セル基地局からの指向性ビームの追従速度よりも速 くなる。このため、無線通信端末が高速に移動する場合、小セル基地局からの指向 性ビームの追従誤差による信号の劣化を招き易いという問題点もあった。
[0014] そこで、本発明は、例えば、小セル基地局が、ァダプティブアレイアンテナを具備す る大セル基地局に隣接して配置されるような無線通信システムにおいて、無線通信
端末が高速に移動する場合であっても、適切にハンドオーバを実行し、さらには、ハ ンドオーバを行う頻度を下げ、通信品質を向上させることを可能とする無線通信方法 、無線基地局、無線通信端末及び基地局制御装置を提供することを目的とする。
[0015] 本発明の第 1の特徴は、第 1の無線基地局と、前記第 1の無線基地局に隣接して配 置され、動的な指向性ビームを照射するァダプティブアレイアンテナを具備する第 2 の無線基地局とを用いた無線通信方法であって、前記第 1の無線基地局によって形 成されるセル内に位置する無線通信端末の移動速度を取得するステップと、前記移 動速度が所定の閾値以上である場合、前記第 2の無線基地局に対して、前記第 1の 無線基地局によって形成されるセルの方向への前記指向性ビームの照射を要求す るステップと、前記要求に応じて、前記指向性ビームを送信した前記第 2の無線基地 局が、前記無線通信端末を収容するステップとを有することを要旨とする。
[0016] 力、かる特徴によれば、第 1の無線基地局のセル内に位置する無線通信端末が高速 に移動する場合には、第 2の無線基地局が該無線通信端末を収容することによって 、ハンドオーバを行う頻度を下げることができ、頻繁なハンドオーバによるネットワーク の処理負荷の増大や伝送速度の低下を防止することができる。
[0017] また、第 1の無線基地局のセル内に位置する無線通信端末が高速に移動する場合 には、第 1の無線基地局に収容されず、第 2の無線基地局に収容されることによって 、第 1の無線基地局から照射される指向性ビームの追従誤差による信号の劣化を防 止することができ、通信品質を向上させることができる。
[0018] 本発明の第 1の特徴において、前記要求するステップでは、前記移動速度が所定 の閾値以上である場合、複数の前記第 2の無線基地局に対して、前記第 1の無線基 地局によって形成されるセルの方向への前記指向性ビームの照射が要求され、前記 収容するステップでは、前記要求に応じて、前記指向性ビームを照射した前記第 2の 無線基地局の!/、ずれかが、前記無線通信端末を収容してもよ!/、。
[0019] 本発明の第 1の特徴において、複数の前記第 2の無線基地局が、前記指向性ビー ムによって、前記第 2の無線基地局の基地局参照信号を送信するステップをさらに有 し、複数の前記基地局参照信号は、各々周波数領域又は時間領域が異なってもよ い。
[0020] 力、かる特徴によれば、第 1の無線基地局のセル周辺の複数の第 2の無線基地局か ら指向性ビームによって送信される該第 2の無線基地局の基地局参照信号は、各々 周波数領域又は時間領域が異なるため、互いに干渉するのを防止することができる 。このため、無線通信端末は、指向性ビームによって送信される大セル基地局の基 地局参照信号を良い受信品質で受信でき、各々の基地局参照信号に基づいて、接 続するのに最適な第 2の無線基地局を容易に選択することができる。
[0021] 本発明の第 1の特徴において、前記指向性ビームを送信した複数の前記第 2の無 線基地局の識別情報を含むリストを取得するステップと、前記リストに基づいて、前記 無線通信端末が収容される前記第 2の無線基地局を選択するステップとを更に有し 、前記リストは、前記第 2の無線基地局のセル半径、前記第 2の無線基地局の周波数 帯、又は前記第 2の無線基地局の配置されたエリアを示すエリア区分の少なくとも 1 つの情報を含んでもよい。
[0022] 力、かる特徴によれば、無線通信端末が、指向性ビームを照射した第 2の無線基地 局のセル半径又は第 2の無線基地局の周波数帯又は第 2の無線基地局のエリア区 分に基づいて、接続するのに最適な第 2の無線基地局を容易に選択することができ
[0023] 本発明の第 1の特徴において、前記第 1の無線基地局は小セルを形成し、前記第 2の無線基地局は前記小セルよりも大き!/、大セルを形成してもよ!/、。
[0024] 本発明の第 2の特徴は、第 1の無線基地局に隣接して配置され、動的な指向性ビ ームを照射するァダプティブアレイアンテナを具備する無線基地局であって、前記第 1の無線基地局によって形成されるセル内に位置する無線通信端末の移動速度が 所定の閾値以上である場合、前記第 1の無線基地局によって形成される前記セルの 方向への前記指向性ビームの照射要求を受信する受信部と、前記照射要求に応じ て、前記指向性ビームを照射することにより、前記無線通信端末を収容する指向性ビ ーム制御部とを具備することを要旨とする。
[0025] 本発明の第 3の特徴は、第 1の無線基地局と、前記第 1の無線基地局に隣接して配 置され、動的な指向性ビームを照射するァダプティブアレイアンテナを具備する第 2 の無線基地局とを備える無線通信システムにおける無線通信端末であって、前記第
1の無線基地局によって形成されるセル内において自端末の移動速度が所定の閾 値以上である場合、前記第 1の無線基地局によって形成されるセルの方向への前記 指向性ビームを照射した前記第 2の無線基地局の識別情報を含むリストを取得する 取得部と、前記リストに基づいて、収容される前記第 2の無線基地局を選択する選択 部とを具備し、前記リストは、前記第 2の無線基地局のセル半径、前記第 2の無線基 地局の周波数帯、又は前記第 2の無線基地局の配置されたエリアを示すエリア区分 の少なくとも 1つの情報を含むことを要旨とする。
[0026] 本発明の第 3の特徴において、前記受信部は、前記第 2の無線基地局の識別情報 に関連付けられた周波数領域と時間領域とに基づ!/、て、複数の前記第 2の無線基地 局から前記指向性ビームによって送信された前記第 2の無線基地局の基地局参照 信号を受信し、前記選択部は、前記基地局参照信号の受信電力に基づいて、収容 される前記第 2の無線基地局を選択してもよ!/、。
[0027] 本発明の第 4の特徴は、第 1の無線基地局と、前記第 1の無線基地局に隣接して配 置され、動的な指向性ビームを照射するァダプティブアレイアンテナを具備する第 2 の無線基地局とを備える無線通信システムにおける基地局制御装置であって、前記 第 1の無線基地局によって形成されるセル内に位置する無線通信端末の移動速度 を取得する移動速度取得部と、前記移動速度が所定の閾値以上である場合、前記 第 2の無線基地局に対して、前記第 1の無線基地局によって形成されるセルの方向 への前記指向性ビームの照射を要求する要求部とを具備することを要旨とする。
[0028] 本発明によれば、第 1の無線基地局がァダプティブアレイアンテナを具備する第 2 の無線基地局に隣接して配置される無線通信システムにお!/、て、無線通信端末が 高速に移動する場合であっても、適切にハンドオーバを実行し、さらには、ハンドォ ーバを行う頻度を下げ、通信品質を向上させることを可能とする無線通信方法、無線 基地局、無線通信端末及び基地局制御装置を提供することができる。
図面の簡単な説明
[0029] [図 1]図 1は、従来の無線通信システムの全体概略構成図である。
[図 2]図 2は、本発明の実施形態に係る無線通信システムの全体概略構成図である。
[図 3]図 3は、本発明の実施形態に係る要求側移動局の機能ブロック図である。
[図 4]図 4は、本発明の実施形態に係るネイバ一リストの一例を示す図である。
[図 5]図 5は、本発明の実施形態に係る被要求側移動局の機能ブロック図である。
[図 6]図 6は、本発明の実施形態に係る無線通信端末の機能ブロック図である。
[図 7]図 7は、本発明の実施形態に係る無線通信端末の記憶部の一例を示す図であ
[図 8]図 8は、本発明の実施形態に係る無線通信端末がネットワークエントリーする一 例を示す図である。
[図 9]図 9は、本発明の実施形態に係る無線通信端末がネットワークエントリーする際 の動作を示すフローチャートである。
[図 10]図 10は、本発明の実施形態に係る無線通信端末が小セル基地局から大セル 基地局にハンドオーバする一例を示す図である。
[図 11]図 11は、本発明の実施形態に係る無線通信端末が小セル基地局から大セル 基地局にハンドオーバする動作を示すフローチャートである。
[図 12]図 12は、本発明の実施形態に係る無線通信端末が大セル基地局から大セル 基地局にハンドオーバする一例を示す図である。
[図 13]図 13は、本発明の実施形態に係る無線通信端末が大セル基地局から大セル 基地局にハンドオーバする動作を示すフローチャートである。
[図 14]図 14は、本発明の実施形態に係る無線通信端末が大セル基地局から小セル 基地局にハンドオーバする一例を示す図である。
[図 15]図 15は、本発明の実施形態に係る無線通信端末が大セル基地局から小セル 基地局にハンドオーバする動作を示すフローチャートである。
発明を実施するための最良の形態
[0030] (本実施形態に係る無線通信システムの概略構成)
図 2を参照し、本実施形態に係る無線通信システムの概略構成について説明する
〇
[0031] 図 2に示すように、本実施形態に係る無線通信システムでは、小セル SC1、 SC2、 SC3を形成する小セル基地局(第 1の無線基地局) 21a、 21b、 21cが、大セル LCI 、 LC2を形成する大セル基地局(第 2の無線基地局) 22a、 22bに隣接して配置され
[0032] なお、図示しないが、小セノレ基地局 21a〜21c、大セノレ基地局 22a〜22bは、無線 回線制御局(RNC)に接続され、互いにネットワークを介して接続されている。
[0033] ここで、小セル基地局 21a、 21b、 21cとは、例えば、サービスエリアの小さいセル( 小セル)を形成する無線基地局である。大セル基地局 22a、 22bとは、小セルよりもサ 一ビスエリアの大きいセル(大セル)を形成する無線基地局である。
[0034] なお、セルの大小は、無線基地局のセル半径や、無線基地局の周波数帯、又は無 線基地局の配置されたエリアを示すエリア区分に基づいて決定される。
[0035] 例えば、セル半径が所定の閾値(例えば、 1000m)以下のセルを形成する場合、 小セル基地局 21a…とし、セル半径が所定の閾値(例えば、 1000m)よりも大きい場 合、大セル基地局 22a…としてもよい。
[0036] また、一般的に低い周波数で送信される信号は、回折し易いために遠くまで到達 する。このため、所定の周波数よりも高い周波数帯で信号が送信される場合、小セル 基地局 21 a…とし、所定の周波数よりも低い周波数帯で信号が送信される場合、大 セル基地局 22a- · ·としてもよ!/、。
[0037] また、一般的にユーザ数の多い都市部ほどセル半径が小さく設定される。このため 、配置されたエリアを示すエリア区分が「過密都市部(セル半径が 500m未満に相当 )」や「都市部(セル半径が 500m以上 1000m未満に相当)」に設定される場合、小 セル基地局 21a…としてもよい。エリア区分力 S「郊外部(セル半径が 1000m以上 200 0m未満に相当)」や「田園部(セル半径が 2000m以上に相当 )」に設定される場合、 大セル基地局 22a- · ·としてもよ!/、。
[0038] 本実施形態に係る無線通信システムでは、図 2に示すように、無線通信端末 10が、 方向 Aに沿って小セル SC1、大セル LCI、小セノレ SC2、大セル LC2、小セノレ SC3 内を高速に移動する場合、小セル基地局 21a、 21b、 21cに収容されることなぐ大セ ル基地局 22a、 22bにのみ収容される点で従来技術に係る無線通信システムと異な
[0039] 具体的には、図 2に示す無線通信システムでは、小セル SC1内の地点 P1に位置 する無線通信端末 10が、小セル基地局 21aからの要求に基づいて指向性ビームを
小セル SCIの方向に照射した大セル基地局 22aに接続する。大セル基地局 22aは、 無線通信端末 10を収容する。
[0040] また、大セル LC1と小セル SC2とが重複する地点 P2に位置する無線通信端末 10 ヽ大セル基地局 22aからの要求に基づいて指向性ビームを小セル SC2の方向に 照射した大セル基地局 22bにハンドオーバする。大セル基地局 22bは、無線通信端 末 10を収容する。
[0041] なお、大セル基地局 22a及び大セル基地局 22bは、指向性ビームを無線通信端末
10の方向 Aに追従して照射する。
[0042] このように、本実施形態に係る無線通信システムでは、無線通信端末 10が位置す る小セル方向(以下、「小セル方向」)への指向性ビームの照射要求に応じて、周辺 の大セル基地局 22a—は、指向性ビームを照射する。これにより、高速に移動する 無線通信端末 10が小セル基地局 21 a…に収容される頻度が軽減される。
[0043] 以下、本実施形態において、指向性ビームの照射を要求する小セル基地局 21a- · · 及び大セル基地局 22a…を「要求側基地局」とする。また、要求側基地局からの要求 に応じて指向性ビームを照射する大セル基地局 22a…を「被要求側基地局」とする。
[0044] また、小セル基地局 21a、 21b、 21c…を総称して小セル基地局 21、大セル基地局
22a, 22b…を^称して大セノレ基地局 22とする。
[0045] (要求側基地局の機能ブロック構成)
図 3乃至図 4を参照し、本実施形態に係る無線通信システムにおいて用いられる要 求側基地局のブロック構成について具体的に説明する。なお、以下、本発明との関 連がある部分について主に説明する。したがって、要求側基地局は、当該装置として の機能を実現する上で必須な、図示しなレ、或いは説明を省略した機能ブロック(電源 部など)を備える場合があることに留意されたい。
[0046] 要求側基地局として動作する小セル基地局 21及び大セル基地局 22は、アンテナ
21 1と、無線通信部 212と、制御部 213とを具備する。
[0047] アンテナ 211は、複数のアンテナ素子によって構成されるァダプティブアレイアンテ ナである。アンテナ 211は、制御部 213によって、動的に指向性が変化する指向性ビ ームを照射するように制御される。
[0048] 無線通信部 212は、アンテナ 211を介して無線通信端末 10との間で SDMAによる 無線通信を行う。
[0049] また、無線通信部 212は、無線回線制御局やネットワークを介して、被要求側基地 局である大セル基地局 22との通信を行う。特に、無線通信部 212は、制御部 213の 指向性ビーム照射要求部 2132の指示に基づいて、周辺の大セル基地局 22に対し て、指向性ビームの照射要求を送信する。
[0050] 制御部 213は、移動速度取得部 2131と、指向性ビーム照射要求部 2132と、指向 性ビーム検知部 2133と、ネイバ一リスト提供部 2134とを具備する。
[0051] 移動速度取得部 2131は、無線通信端末 10の移動速度を示す情報を取得する。
具体的には、移動速度取得部 2131は、ネットワークエントリー時には無線通信端末 10からの接続要求処理において、移動速度を示す情報を無線通信端末 10から取 得する。
[0052] また、移動速度取得部 2131は、無線通信端末 10から所定の時間間隔で取得され る該無線通信端末 10の位置情報に基づいて、移動速度を推定してもよい。
[0053] 指向性ビーム照射要求部 2132は、無線通信端末 10の移動速度が所定の閾値以 上である場合、無線通信端末 10が位置する小セル周辺の大セル基地局 22に対して 、該小セル方向への指向性ビームの照射を要求する。
[0054] ここで、無線通信端末 10の位置する小セルとは、無線通信端末 10が接続中の小 セル基地局 21が形成する小セルでなくともよぐ無線通信端末 10の接続要求先や ハンドオーバ先の小セル基地局 21が形成する小セルを含むものとする。
[0055] なお、上述の照射要求には、無線通信端末 10が位置する小セルを示す情報が含 まれる。さらに、上述の照射要求には、移動速度取得部 2131によって取得された無 線通信端末 10の移動速度や、無線通信端末 10の位置情報等が含まれてもよい。
[0056] また、指向性ビーム照射要求部 2132は、後述するネイバ一リストに基づいて、生成 した照射要求を周辺の大セル基地局 22に送信するように制御する。なお、ネイバ一 リストは、図 4に示すように、周辺の大セル基地局 22に関する情報を含み、上位のネ ッ卜ワークを介して取得されるものである。
[0057] 例えば、指向性ビーム照射要求部 2132は、ネイバ一リストに記載された大セル基
地局 22のうちセル半径が最大の大セル基地局 22から所定数の大セル基地局 22に 対して、セル半径が大きい順又は同時に、生成した照射要求を送信するよう制御す
[0058] 同様に、指向性ビーム照射要求部 2132は、ネイバ一リストに記載された大セル基 地局 22のうち最も低い周波数帯で信号が送信される大セル基地局 22から所定数の 大セル基地局 22に対して、周波数帯が低い順又は同時に、生成した照射要求を送 信するよう制卸してあよい。
[0059] また、指向性ビーム照射要求部 2132は、ネイバ一リストに記載された大セル基地 局 22のうち、エリア区分力 S「郊外部」又は「田園部」(例えば、セル半径が 1000m以 上に相当)の所定数の大セル基地局 22に対して、「郊外部」から順又は同時に、生 成した照射要求を送信するよう制御してもよ!/、。
[0060] 指向性ビーム検知部 2133は、指向性ビームの照射要求に応じて、周辺の大セル 基地局 22から、無線通信端末の位置する小セル方向に照射された指向性ビームを 検知する。例えば、指向性ビーム検知部 2133は、周辺の大セル基地局 22からの基 地局参照信号の受信電力を測定することによって、指向性ビームの照射要求に応じ て指向性ビームが照射されたことを検知する。
[0061] ネイバ一リスト提供部 2134は、指向性ビーム検知部 2133によって指向性ビームの 照射を検知された大セル基地局 22に関する情報を含むネイバ一リストを無線通信端 末 10に提供する。
[0062] かかるネイバ一リストには、図 4に示すように、照射要求に応じて指向性ビームを照 射した大セル基地局 22の識別情報と、該大セル基地局 22のセル半径、又は該大セ ル基地局 22の周波数帯、又は該大セル基地局 22の配置されたエリアを示すエリア 区分とが含まれる。また、ネイバ一リストには、大セル基地局 22の位置情報が含まれ ていてもよい。
[0063] なお、かかるネイバ一リストには、上述の大セル基地局 22に関する情報と同様に、 周辺の小セル基地局 21に関する情報が含まれている。ネイバ一リストには、指向性 ビームの照射要求先の大セル基地局 22全てに関する情報が含まれてもよい。
[0064] また、ネイバ一リストは、小セル基地局 21及び大セル基地局 22のセル半径又は周
波数帯又はエリア区分に基づいて、分類されていてもよい。例えば、セル半径が 100 0m以下の小セル基地局 21のみを含むネイバ一リスト、セノレ半径力 000m〜2000 mの大セル基地局 22のみを含むネイバ一リスト、セル半径が 2000m以上の大セル 基地局 22のみを含むネイバ一リストのように分類される。
[0065] このように、所定のセル半径毎のネイバ一リスト、所定の周波数帯毎のネイバ一リス ト、エリア区分毎のネイバ一リストが提供されることにより、無線通信端末 10における セルサーチ処理を簡略化することができる。
[0066] (被要求側基地局の機能ブロック構成)
図 5を参照し、本実施形態に係る無線通信システムにおいて用いられる被要求側 基地局のブロック構成について具体的に説明する。なお、以下、本発明との関連が ある部分について主に説明する。したがって、被要求側基地局は、当該装置としての 機能を実現する上で必須な、図示しなレ、或!/、は説明を省略した機能ブロック(電源部 など)を備える場合があることに留意されたい。
[0067] 被要求側基地局として動作する大セル基地局 22は、アンテナ 221と、無線通信部 222と、制御部 223とを具備する。
[0068] アンテナ 221は、複数のアンテナ素子によって構成されるァダプティブアレイアンテ ナである。アンテナ 221は、制御部 213の指向性ビーム制御部 2232によって複数の アンテナ素子の位相や振幅が適応的に制御され、動的に指向性が変化する指向性 ビームを照射する。
[0069] 無線通信部 222は、アンテナ 221を介して無線通信端末 10との間で SDMAによる 無線通信を行う。
[0070] また、無線通信部 222は、無線回線制御局やネットワークを介して被要求側基地局 である大セル基地局 22との通信を行う。
[0071] 制御部 223は、照射要求取得部 2231と、指向性ビーム制御部 2232と、接続処理 部 2233とを具備する。
[0072] 照射要求取得部 2231は、無線通信端末 10が位置する小セル方向への指向性ビ ームの照射要求を上述の要求側基地局から取得する。
[0073] 指向性ビーム制御部 2232は、要求側基地局からの照射要求に応じて、無線通信
端末 10が位置する小セル方向への指向性ビームの照射制御を行う。
[0074] 具体的には、指向性ビーム制御部 2232は、照射要求取得部 2231によって指向 性ビームの照射要求が取得された場合、該照射要求に含まれる小セルを示す情報 に基づいて、小セル方向に指向性ビームを照射するようアンテナ 221を制御する。
[0075] また、指向性ビーム制御部 2232は、上述の照射要求に含まれる無線通信端末 10 の移動速度に基づいて、小セル方向への指向性ビームのビーム幅を制御してもよい 。例えば、指向性ビーム制御部 2232は、無線通信端末 10の移動速度が所定の閾 値以上である場合、小セル全体にビームを照射するよう制御する(図 8参照)。
[0076] なお、指向性ビーム制御部 2232は、上述の照射要求に含まれる無線通信端末 10 の位置情報(無線通信端末 10の移動方向を示す情報を含んでもよ!/、)に基づ!/、て、 小セル方向への指向性ビームのビーム幅を制御してもよ!/、。例えば、指向性ビーム 制御部 2232は、無線通信端末 10の位置情報に基づ!/、て、小セル内の無線通信端 末 10の位置に向けた狭ビームを照射するよう制御する。
[0077] 接続処理部 2233は、無線通信端末 10との間で接続処理を行うことにより、無線通 信端末 10を自局に収容する。具体的には、接続処理部 2233は、ネットワークェント リー時の無線通信端末 10からの自局への接続要求や、無線通信端末 10からの自 局へのハンドオーバの要求に応じて、無線通信端末 10との間で接続処理を行う。
[0078] (無線通信端末のブロック構成)
図 6乃至図 7を参照し、本実施形態に係る無線通信システムにおいて用いられる無 線通信端末 10のブロック構成について具体的に説明する。なお、以下、本発明との 関連がある部分について主に説明する。したがって、無線通信端末 10は、当該装置 としての機能を実現する上で必須な、図示しな!/、或いは説明を省略した機能ブロック (電源部など)を備える場合があることに留意されたい。
[0079] 無線通信端末 10は、アンテナ 101と、無線通信部 102と、記憶部 103と、制御部 1 04とを具備する。
[0080] アンテナ 101は、複数のアンテナ素子によって構成されるァダプティブアレイアンテ ナである。アンテナ 101は、上述のネイバ一リストに含まれる大セル基地局 22の位置 情報に基づいて、大セル方向への利得を上昇させるように制御される。
[0081] 無線通信部 102は、アンテナ 101を介して小セル基地局 21及び大セル基地局 22 との間で SDMAによる無線通信を行う。
[0082] 記憶部 103は、図 7に示すように、小セル基地局 21及び大セル基地局 22を識別す る基地局 IDと、該小セル基地局 21及び大セル基地局 22からの基地局参照信号 (例 えば、ノイロット信号など)が送信される周波数領域及び時間領域とを関連付けて記 憶する。ここで、周波数領域とは、基地局参照信号が送信される周波数を示す。また 、時間領域とは、基地局参照信号が送信されるタイムスロットを示す。
[0083] 制御部 104は、ネイバ一リスト取得部 1041と、セルサーチ処理部 1042と、接続処 理部 1043とを具備する。
[0084] ネイバ一リスト取得部 1041は、要求側基地局による照射要求に応じて、指向性ビ ームを照射した大セル基地局 22に関する情報を含むネイバ一リストを要求側基地局 力 取得する。
[0085] 上述のように、かかるネイバ一リストには、要求側基地局による照射要求に応じて、 指向性ビームを照射した大セル基地局 22の識別情報と、該大セル基地局 22のセル 半径、又は該大セル基地局 22の周波数帯、又は該大セル基地局 22の配置された エリアを示すエリア区分とが含まれる。
[0086] セルサーチ処理部 1042は、取得したネイバ一リストに基づいてセルサーチ処理を 行い、接続すべき大セル基地局 22を選択する。
[0087] 具体的には、セルサーチ処理部 1042は、記憶部 103を参照し、ネイバ一リストに 記載された小セル基地局 21及び大セル基地局 22の識別情報に関連付けられてい る周波数領域と時間領域とを取得する。セルサーチ処理部 1042は、取得した周波 数領域と時間領域とに基づいて、小セル基地局 21及び大セル基地局 22各々からの 基地局参照信号を取得する。
[0088] セルサーチ処理部 1042は、取得した基地局参照信号の受信電力が所定の閾値 以上、すなわち接続可能な小セル基地局 21及び大セル基地局 22のうち、ネイバ一 リストに記載されたセル半径が最も大きい大セル基地局 22を選択する。
[0089] また、セルサーチ処理部 1042は、ネイバ一リストに記載されたセル半径の最も大き ぃ大セル基地局 22から順に基地局参照信号の受信電力を測定し、最初に基地局参
照信号の受信電力が所定の閾値を越えた大セル基地局 22を選択してもよい。
[0090] また、セルサーチ処理部 1042は、ネイバ一リストに記載されたセル半径が所定の 閾値以上の大セル基地局 22のうち、最も基地局参照信号の受信電力が大きい大セ ル基地局 22を選択してもよレ、。
[0091] 上述のセル半径の大きさと同様に、セルサーチ処理部 1042は、ネイバ一リストに記 載された周波数帯の高低又はエリア区分に基づいて、接続先の大セル基地局 22を 選択してもよい。
[0092] 接続処理部 1043は、小セル基地局 21及び大セル基地局 22との接続処理を行う。
具体的には、無線通信端末 10は、ネットワークエントリーする際に、基地局参照信号 の受信電力が最も強い小セル基地局 21又は大セル基地局 22への接続を要求し、 接続処理を行う。また、無線通信端末 10がハンドオーバする際に、ハンドオーバ元 やハンドオーバ先に対するハンドオーバを要求し、ハンドオーバ処理を行う。
[0093] また、接続処理部 1043は、ネットワークエントリ一時の接続要求処理やハンドォー バ要求処理において、無線通信端末 10の位置情報に基づいて測定した移動速度 を要求先の小セル基地局 21又は大セル基地局 22に通知してもよい。
[0094] (本実施形態に係る無線通信システムの通信方法)
以下、図 8乃至図 15を参照し、本実施形態に係る無線通信システムにおける通信 方法について説明する。
[0095] (1)ネットワークエントリー
図 8乃至図 9を参照し、小セル内を高速に移動する無線通信端末 10がネットワーク エントリーする際の動作について説明する。ここで、無線通信端末 10は、図 8に示す ように、小セル SC1内を方向 Aに向かって(小セル基地局 21aから小セル基地局 21b (図 8には図示せず)に向かって)高速に移動するものとする。
[0096] 図 9に示すように、ステップ S101において、小セル SC1内を高速に移動する無線 通信端末 10は、ネットワークエントリーの際に、セルサーチを行い、周辺の小セル基 地局 21a…及び大セル基地局 22a…からの基地局参照信号を受信する。例えば、 図 8において、無線通信端末 10は、小セル基地局 21a及び大セル基地局 22a、 22c 、 22dからの基地局参照信号を受信する。
[0097] ステップ S 102において、無線通信端末 10は、基地局参照信号の受信電力が最も 大き!/、小セル基地局 21 aに接続要求を送信する。
[0098] ステップ S 103において、無線通信端末 10からの接続要求を受信した小セル基地 局 21 aは、無線通信端末 10の移動速度が所定の閾値 (例えば、 80km/hを閾値と する)以上であるか否力、を判定する。無線通信端末 10の移動速度が所定の閾値以 上である場合、小セル基地局 2 l aは上述の要求側基地局として動作し、本動作はス テツプ S 104に進む。
[0099] 一方、無線通信端末 10の移動速度が所定の閾値未満である場合、本動作はステ ップ S 107に進む。ステップ S 107において、無線通信端末 10は小セル基地局 21 a に接続する。
[0100] ステップ S 104において、小セル基地局 21 aは、上位のネットワークから取得したネ ィバーリストに基づいて、周辺の大セル基地局 22a…に対して、小セル SC 1方向へ の指向性ビームの照射要求を送信する。例えば、図 8においては、小セル基地局 21 aが、周辺の大セル基地局 22a、 22c 22dに指向性ビームの照射要求を送信する。
[0101] ステップ S 105において、小セル基地局 21 aは、 1以上の大セル基地局 22a…から 小セル SC 1方向に指向性ビームが照射されたか否かを検知する。 1以上の大セル基 地局 22a…から小セル SC 1方向への指向性ビームを検知した場合、本動作はステツ プ S 106に進む。
[0102] 一方、いずれの大セル基地局 22a…からも小セル SC 1方向への指向性ビームを検 知できない場合 (例えば、各大セル基地局 22a…での負荷状態や、伝搬路状況が原 因でこのような場合が起こることもある)、本動作はステップ S 107に進む。ステップ S 1 07において、無線通信端末 10は小セル基地局 21 aに接続する。
[0103] ステップ S 106において、小セル基地局 21 aは、小セル SC 1方向に指向性ビームを 照射した大セル基地局 22a…に関する情報を含むネイバ一リストを無線通信端末 10 に提供し、セルサーチを行うことを無線通信端末 10に要求する。例えば、図 8におい て、小セル基地局 21 aは、小セル SC 1方向に指向性ビームを照射した大セル基地 局 22a、 22cに関する情報を含むネイバ一リストを無線通信端末 10に提供する。
[0104] ステップ S 108において、無線通信端末 10は、ステップ S 106で提供されたネイバ
一リストに基づいてセルサーチを行う。また、無線通信端末 10は、基地局参照信号 の受信電力が所定の閾値以上の大セル基地局 22a ·、すなわち小セル SCIに位置 する無線通信端末 10が接続可能な周辺の大セル基地局 22a…が存在するか否か を判定する。
[0105] 無線通信端末 10が接続可能な周辺の大セル基地局 22a…が存在する場合、ステ ップ S 109において、無線通信端末 10は、ステップ S106で提供されたネイバ一リスト に基づいて、いずれかの大セル基地局 22a…に接続する。例えば、図 8において、 無線通信端末 10は、接続可能な周辺の大セル基地局 22a、 22cのうち、最もセル半 径の大き!/、大セル基地局 22aに接続する。
[0106] 一方、小セル SC1に位置する無線通信端末 10が接続可能な周辺の大セル基地 局 22a…が存在しない場合、ステップ S 110において、無線通信端末 10は、小セル 基地局 21aに接続する。
[0107] (2)小セノレ基地局から大セノレ基地局へのハンドオーバ
次に、図 10乃至図 11を参照し、無線通信端末 10が、接続中の小セル基地局 21か ら大セル基地局 22にハンドオーバする動作について説明する。ここで、図 10に示す ように、小セル基地局 21aに接続中の無線通信端末 10は、小セル SC1内において、 移動速度が速くなつたものとする。
[0108] 図 11に示すように、ステップ S201において、無線通信端末 10は、小セル SC1内 に位置し、小セル基地局 21aに接続中である。
[0109] ステップ S202において、無線通信端末 10が接続中の小セル基地局 21aは、無線 通信端末 10の移動速度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。無線通信端末 10の移動速度が所定の閾値以上である場合、小セル基地局 21aは上述の要求側 基地局として動作し、本動作はステップ S203に進む。一方、無線通信端末 10の移 動速度が所定の閾値未満である場合、本動作はステップ S208に進む。
[0110] ステップ S203〜S205については、図 9のステップ S104〜S 106と同様のため説 明を省略する。
[0111] ステップ S206において、ステップ S205で提供されたネイバ一リストに基づくセルサ ーチにおいて、無線通信端末 10は、基地局参照信号の受信電力が所定の閾値以
上の大セル基地局 22a…、すなわち無線通信端末 10がハンドオーバ可能な周辺の 大セル基地局 22a…が存在するか否かを判定する。
[0112] 無線通信端末 10がハンドオーバ可能な周辺の大セル基地局 22a…が存在する場 合、ステップ S207において、無線通信端末 10は、ステップ S205で提供されたネィ バーリストに基づいて、いずれかの大セル基地局 22a…にハンドオーバする。例えば 、図 10において、無線通信端末 10は、ハンドオーバ可能な周辺の大セル基地局 22 a、 22cのうち、最もセル半径の大きい大セル基地局 22aにハンドオーバする。
[0113] 一方、無線通信端末 10がハンドオーバ可能な周辺の大セル基地局 22a…が存在 しない場合、本動作は、ステップ S208で所定の時間間隔をおいて、ステップ S202 に戻る。
[0114] (3)大セル基地局から大セル基地局へのハンドオーバ
次に、図 12乃至図 13を参照し、大セル基地局 22に接続中の無線通信端末 10が 小セル基地局 21へのハンドオーバを要求する際の動作について説明する。ここで、 図 12に示すように、大セル基地局 22aに接続中の無線通信端末 10は、小セル SC2 内に移動し、小セル基地局 21bへのハンドオーバを要求するものとする。
[0115] 図 13に示すように、ステップ S301において、無線通信端末 10は、大セル基地局 2 2aに接続中である。
[0116] ステップ S302において、無線通信端末 10は、小セノレ SC2内に移動し、小セル基 地局 21bへのハンドオーバを要求する。
[0117] ステップ S303において、無線通信端末 10の小セル基地局 21bへのハンドオーバ 要求を検知した大セル基地局 22aは、無線通信端末 10の移動速度が所定の閾値以 上であるか否かを判定する。無線通信端末 10の移動速度が所定の閾値以上である 場合、大セル基地局 22aは上述の要求側基地局として動作し、本動作はステップ S3 04に進む。一方、無線通信端末 10の移動速度が所定の閾値未満である場合、本動 作はステップ S309に進み、無線通信端末 10は小セル基地局 21bにハンドオーバす
[0118] ステップ S305において、無線通信端末 10の小セル基地局 21bへのハンドオーバ 要求を検知した大セル基地局 22aは、上位のネットワークから取得したネイバ一リスト
に基づいて、周辺の大セル基地局 22b…に対して、小セル SC2方向への指向性ビ ームの照射要求を送信する。例えば、図 12においては、大セル基地局 22aが、周辺 の大セル基地局 22b〜22dに指向性ビームの照射要求を送信する。
[0119] ステップ S306については、図 9のステップ S 106と同様のため説明を省略する。
[0120] ステップ S307において、無線通信端末 10は、ステップ S306で提供されたネイバ 一リストに基づいてセルサーチを行う。また、無線通信端末 10は、基地局参照信号 の受信電力が所定の閾値以上の大セル基地局 22b ·、すなわち無線通信端末 10 がハンドオーバ可能な周辺の大セル基地局 22b…が存在するか否かを判定する。
[0121] 無線通信端末 10がハンドオーバ可能な周辺の大セル基地局 22b…が存在する場 合、ステップ S308において、無線通信端末 10は、ステップ S307で提供されたネィ バーリストに基づいて、いずれかの大セル基地局 22b…にハンドオーバする。例えば 、図 12において、無線通信端末 10は、ハンドオーバ可能な周辺の大セル基地局 22 b、 22cのうち、セル半径が最も大きい大セル基地局 22bにハンドオーバする。
[0122] 一方、無線通信端末 10がハンドオーバ可能な周辺の大セル基地局 22b…が存在 しない場合、ステップ S309において、無線通信端末 10は、ステップ S302における ハンドオーバ要求先の小セル基地局 21bにハンドオーバする。
[0123] (4)大セノレ基地局から小セノレ基地局へのハンドオーバ
次に、図 14乃至図 15を参照し、移動速度が遅くなつた無線通信端末 10が接続中 の大セル基地局 22から小セル基地局 21にハンドオーバする動作について説明する 。ここで、図 14に示すように、大セル基地局 22aに接続中の無線通信端末 10は、移 動速度が遅くなつたため、小セル基地局 21bへのハンドオーバを要求するものとする
〇
[0124] 図 15に示すように、ステップ S401において、無線通信端末 10は、大セル基地局 2 2aに接続中である。
[0125] ステップ S402において、無線通信端末 10が接続中の大セル基地局 22aは、無線 通信端末 10の移動速度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。無線通信端末 10の移動速度が所定の閾値未満である場合、本動作はステップ S403に進む。一方 、無線通信端末 10の移動速度が所定の閾値以上である場合、本動作はステップ S4
06に進む。
[0126] ステップ S403において、大セル基地局 22aは、上位のネットワークから取得した周 辺の小セル基地局 21a…を含むネイバ一リストを無線通信端末 10に提供し、セルサ ーチを行うことを要求する。例えば、図 14において、大セル基地局 22aは、周辺の小 セル基地局 21a〜21eに関する情報を含むネイバ一リストを無線通信端末 10に提供 する。
[0127] ステップ S404において、無線通信端末 10は、ステップ S403で提供されたネイバ 一リストに基づくセルサーチを行う。また、無線通信端末 10は、基地局参照信号の受 信電力が所定の閾値以上の小セル基地局 21a…、すなわち無線通信端末 10がハ ンドオーバ可能な周辺の小セル基地局 21a…が存在するか否かを判定する。
[0128] 無線通信端末 10がハンドオーバ可能な周辺の小セル基地局 21a…が存在する場 合、ステップ S405において、無線通信端末 10は、ステップ S403で提供されたネィ バーリストに基づいて、いずれかの小セル基地局 21a…にハンドオーバする。例えば 、図 14において、無線通信端末 10は、ハンドオーバ可能な周辺の小セル基地局 21 b〜21dのうち、小セル基地局 21bにハンドオーバする。
[0129] 一方、無線通信端末 10がハンドオーバ可能な周辺の小セル基地局 21a…が存在 しない場合、本動作は、ステップ S406で所定の時間間隔をおいて、ステップ S402 に戻る。
[0130] (本実施形態に係る通信システム及び通信方法の作用'効果)
本実施形態に係る通信システム及び通信方法によれば、小セル内に位置する無線 通信端末 10が高速に移動する場合には、大セル基地局 22が無線通信端末 10を収 容する。これにより、無線通信端末 10は、適切にハンドオーバを実行し、さらには、ハ ンドオーバを行う頻度を下げることができる。したがって、頻繁なハンドオーバによる ネットワークの処理負荷の増大や伝送速度の低下が防止される。
[0131] また、小セル内に位置する無線通信端末 10が高速に移動する場合には、小セル 基地局 21に収容されず、大セル基地局 22に収容される。したがって、小セル基地局 21から送信される指向性ビームの追従誤差による信号の劣化を防止することができ 、通信品質を向上させることができる。
[0132] 本実施形態に係る通信システム及び通信方法によれば、無線通信端末 10の移動 速度に応じて指向性ビームのビーム幅が変更される。よって、無線通信端末 10は、 移動速度に応じて最適な指向性ビームを受信することができる。
[0133] 本実施形態に係る通信システム及び通信方法によれば、小セル周辺の複数の大 セル基地局 22から指向性ビームによって送信される大セル基地局 22の基地局参照 信号は、各々周波数領域又は時間領域が異なるため、互いに干渉するのを防止す ること力 Sでさる。
[0134] このため、無線通信端末 10は、指向性ビームによって送信される大セル基地局 22 の基地局参照信号を良い受信品質で受信でき、各々の基地局参照信号に基づいて 、接続するのに最適な大セル基地局 22を容易に選択することができる。
[0135] 本実施形態に係る通信システム及び通信方法によれば、無線通信端末 10が、指 向性ビームを照射した大セル基地局 22のセル半径又は大セル基地局の周波数帯 又は大セル基地局のエリア区分に基づいて、接続するのに最適な大セル基地局 22 を容易に選択すること力 Sできる。
[0136] (変更例)
なお、上述の実施形態に係る無線通信システム及び無線通信方法においては、要 求側基地局として動作する小セル基地局 21及び大セル基地局 22が、移動速度取 得部 2131と指向性ビーム照射要求部 2132とを構成する制御部 213を具備するもの として説明した。
[0137] しかしながら、本発明によれば、このような構成に限らず、例えば、要求側基地局と して動作する小セル基地局 21及び大セル基地局 22とは別個に、移動速度取得部 2 131と指向性ビーム照射要求部 2132とを構成する通信制御装置(基地局制御装置 )をネットワーク上に設けてもよい。また、かかる通信制御装置(基地局制御装置)は、 ネットワーク上の他の装置 (例えば、無線回線制御局 (RNC) )内に設けられてもよい
[0138] (その他の実施形態)
以上、本発明の一例を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限 定するものではなぐ各部の具体的構成等は、適宜設計変更可能である。
[0139] 例えば、上述の実施形態では、指向性ビームの照射要求は、無線回線制御局及 びネットワークを介して、周辺の大セル基地局 22に送信されるものとして説明した力 周辺の大セル基地局 22に直接送信されてもよぐ他の上位ネットワークを介して送信 されてもよい。
[0140] また、各実施形態の構成及び各変更例の構成もそれぞれ組み合わせることが可能 である。また、各実施形態及び各変更例の作用及び効果は、本発明から生じる最も 好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、各実施 形態及び各変更例に記載されたものに限定されるものではない。
[0141] なお、 日本国特許出願第 2006— 207242号(2006年 7月 28日出願)の全内容が 、参照により、本願明細書に組み込まれている。
産業上の利用可能性
[0142] 以上のように、本発明に係る無線通信方法、無線基地局、無線通信端末及び基 地局制御装置によれば、無線通信端末が高速に移動する場合であっても、適切に ハンドオーバを実行し、さらには、ハンドオーバを行う頻度を下げ、通信品質を向上さ せることができるため、移動体通信などの無線通信において有用である。