明 細 書
PWM信号生成器、 PWM信号生成装置およびデジタルアンプ
技術分野
[0001] 本発明は、デジタル信号をパルス幅変調する PWM信号生成器と PWM信号生成 装置、並びにこれら生成器と生成装置を利用したデジタルアンプに関するものである 背景技術
[0002] スピーカなどを駆動するオーディオアンプにおいては、その電力効率の良さなどか ら、スイッチングアンプ (D級増幅器)を用いたデジタルアンプが用いられるようになつ てきた。このデジタルアンプは、アナログ信号を入力するタイプのものと、デジタル信 号を入力とするタイプであるフルデジタルアンプとがある。フルデジタルアンプにお!、 ては、アナログ信号を経由せずに出力信号を発生させることができるため、オーディ ォシステムの低コストィ匕が望めることや、高 、エネルギー効率を持ちながら高性能化 を図ることができるなどの利点を有して 、る。
[0003] 一般的なフルデジタルアンプの動作について説明する。フルデジタルアンプの構 成の一例を図 2に示す。音源信号 r[i]はパルス符号変調 (PCM)信号である。たとえ ば CD力も音源信号を得て 、る場合、音源信号 r[i]のサンプリング周波数は 44.1kHz である。音源信号 r[i]はオーバーサンブラ 4に入力され、サンプリング周波数が音源 信号 r[i]のサンプリング周波数の 16倍である 705.6kHzの PCM信号 u[k]に変換される 。 PCM信号 u[k]は量子化器 1によって同じサンプリング周期で量子化が粗い PCM信 号 y[k]に変換される。 PCM信号 y[k]の分解能は量子化器 1によって決まり、パルス幅 変調器 2の分解能と同じである。 PCM信号 y[k]はパルス幅変調器 2によりパルス幅変 調(PWM)信号 w(t)〖こ変換される。ノイズシェービングフィルタ 3は量子ィ匕器 1によつ て発生した量子化ノイズやパルス幅変調器 2により発生する信号歪をフィードバック 補償し、 PWM信号 w(t)の可聴域成分力 PCM信号 u[k]の可聴域成分に対応するよう にする。したがって、 PWM信号 w(t)の可聴域成分は音源信号 r[i]に対応したものとな る。 PWM信号 w(t)はスイッチング増幅器 5に供給されて電力信号に変換され、 LCに
より構成されるローノ スフィルタ 6を通した後、負荷であるスピーカに供給される。
[0004] なお、特許文献 1には、パルス幅変調によって発生する信号歪をノイズシエーピン グフィルタにフィードバックさせることにより高調波歪を低減させるとともに、量子化器 の入力に高調波歪補償のためのフィードフォワード信号を重畳させた低歪パルス幅 変調信号発生器が示されて ヽる。
特許文献 1 :特開 2004— 236617号
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] し力し、上記従来のフルデジタルアンプにおいては、デジタル回路によって生成さ れる PWM信号によってスイッチングアンプを駆動するため、パルス幅変調における キャリア周波数が一定である場合には、キャリア周波数の整数倍の周波数にぉ 、て 強 、ピークの電磁ノイズを放射してしまう危険性を持って 、た。
[0006] 従来のフルデジタルアンプによって生成した PWM信号のスペクトルの一例を図 24 および図 25に示す。 PWM信号生成には特許文献 3に記載の方法を用いた。入力 信号はサンプリング周波数 44.1kHzのパルス符号変調 (PCM)信号であり、周波数 2. 7563kHzで変調率 82%の正弦波である。パルス幅変調は 31レベルの対称型パルス幅 変調器を用いており、そのキャリア周波数は 705.6kHzである。図 24に示すように可聴 域における量子化ノイズはよく抑制されている力 図 25に示すようにキャリア周波数 の整数倍ごとにスペクトルの大きなピークが発生して 、る。これが電磁輻射等によつ て漏洩すると、たとえば AMラジオなどに対して電波妨害を与えてしまう。
[0007] このような、内部動作信号やその高調波の周波数の電磁ノイズによる影響を緩和す る方法として、クロック周波数を動的に変動させて電磁ノイズのスペクトルを拡散する 方法が知られている。し力し、フルデジタルアンプにおいてこのスペクトルを拡散する 方法を適用するにはパルス幅変調器 2における PWMのキャリア周波数を動的に変 化させる必要があり、このためにはデジタルフィルタであるノイズシェービングフィルタ 3のサンプリング周期を動的に変化させる必要が生じる。ところが、サンプリング周期 を動的に変化させても所望の特性を維持するノイズシェービングフィルタは提案され ておらず、フルデジタルアンプにぉ 、てはスペクトル拡散技術を用いることができなと
いう問題があった。
[0008] そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、パルス幅変調のキャリア周波数 を動的に変動させながら所望の性能を維持し、 PWM信号に対してスぺ外ル拡散を 行うことで電磁ノイズの発生を有効に防止できる PWM信号生成器と PWM信号生成 装置、並びにこれら生成器と生成装置を利用したデジタルアンプを提供することを目 的とする。
課題を解決するための手段
[0009] サンプリング周期が変動しても所望の特性を維持するノイズシェービングフィルタを 実現する手段としては、ノイズシェービングフィルタ内部での演算における係数をサ ンプリング周期に応じて変化させる方法を用いる。この場合、単に係数を変化させる だけではなぐノイズシェービングフィルタの構成にも配慮する必要がある。また、入 力信号のサンプリング周期と出力信号のサンプリング周期の関係などにより、ノイズシ エービングフィルタの設計方法は異なる。
[0010] そこで、本第 1発明では、第 1の PCM信号を入力とし PWM信号を出力とする PW M信号生成器において、前記 PWM信号の低周波成分は前記第 1の PCM信号の 低周波成分に応じたものであり、前記第 1の PCM信号は第 1のサンプリング周期を 持ち、前記 PWM信号は第 2のサンプリング周期を持つ第 2の PCM信号に基づきデ ジタル的手段により生成され、前記第 2のサンプリング周期は外部力 の指令または 予め決められたシーケンスにより、同一周期が連続することもあるように各サンプリン グ周期毎に変動させられるものであり、前記第 1のサンプリング周期は前記第 2のサ ンプリング周期と等しぐ前記第 2の PCM信号の分解能は前記第 1の PCM信号の分 解能よりも粗いものであり、前記第 1の PCM信号はデルタ'シグマ変調器により前記 第 2の PCM信号に変換され、前記デルタ ·シグマ変調器はフィルタおよび量子化器 を持ち、前記フィルタは前記第 1の PCM信号および前記第 2の PCM信号を入力し て第 3の PCM信号を出力し、当該第 3の PCM信号は前記量子化器を通して前記第 2の PCM信号に変換され、前記量子化器のゲインは前記第 2のサンプリング周期の 値に比例して動的に変化させられ、前記フィルタの内部演算における係数および関 数が前記第 2のサンプリング周期により決定されて動的に変化することを特徴として
いる。
[0011] 本第 2発明では、第 1の PCM信号を入力とし PWM信号を出力とする PWM信号生 成器において、前記 PWM信号の低周波成分は前記第 1の PCM信号の低周波成 分に応じたものであり、前記第 1の PCM信号は第 1のサンプリング周期を持ち、前記 PWM信号は第 2のサンプリング周期を持つ第 2の PCM信号に基づきデジタル的手 段により生成され、前記第 2のサンプリング周期は外部力 の指令または予め決めら れたシーケンスにより、同一周期が連続することもあるように各サンプリング周期毎に 変動させられるものであり、前記第 1の PCM信号のサンプリングのタイミングは前記 第 2の PCM信号のサンプリングのタイミングに前記第 2の PCM信号のサンプリング 間のタイミングを加えたものであり、前記第 2の PCM信号の分解能は前記第 1の PC M信号の分解能よりも粗いものであり、前記第 1の PCM信号はデルタ'シグマ変調器 により前記第 2の PCM信号に変換され、前記デルタ ·シグマ変調器はフィルタおよび 量子化器を持ち、前記フィルタは前記第 1の PCM信号および前記第 2の PCM信号 を入力して第 3の PCM信号を出力し、前記第 3の PCM信号は前記量子化器を通し て前記第 2の PCM信号に変換され、前記量子化器のゲインは前記第 2のサンプリン グ周期の値に比例して動的に変化させられ、前記フィルタの内部演算における係数 および関数が前記第 2のサンプリング周期により決定されて動的に変化することを特 徴としている。
[0012] 本第 3発明では、第 1の PCM信号を入力とし PWM信号を出力とする PWM信号生 成器において、前記 PWM信号の低周波成分は前記第 1の PCM信号の低周波成 分に応じたものであり、前記第 1の PCM信号は第 1のサンプリング周期を持ち、当該 第 1のサンプリング周期は一定であり、前記 PWM信号は第 2のサンプリング周期を持 つ第 2の PCM信号に基づきデジタル的手段により生成され、前記第 2のサンプリング 周期は外部力 の指令または予め決められたシーケンスにより、同一周期が連続す ることもあるように各サンプリング周期毎に変動させられるものであり、第 1の PCM信 号はデルタ ·シグマ変調器により前記第 2の PCM信号に変換され、前記デルタ ·シグ マ変調器はフィルタおよび量子化器を持ち、前記フィルタは前記第 1の PCM信号お よび前記第 2の PCM信号を入力して第 3の PCM信号を出力し、当該第 3の PCM信
号は前記量子化器を通して第 2の PCM信号に変換され、前記量子化器のゲインは 第 2のサンプリング周期の値に比例して動的に変化させられ、前記フィルタの内部演 算における係数および関数が前記第 2のサンプリング周期、または前記第 2のサンプ リング周期および第 1の PCM信号のサンプリングのタイミングと第 2の PCM信号のサ ンプリングのタイミングの相対的関係により決定されて動的に変化することを特徴とし ている。
[0013] 本第 4発明では、本第 1発明ないし本第 3発明に係る PWM信号生成器を持ち、第 4の PCM信号を入力として前記 PWM信号を出力とする PWM信号生成装置であつ て、前記 PWM信号の低周波成分は前記第 4の PCM信号に応じたものであり、前記 第 4の PCM信号は第 3のサンプリング周期を持ち、当該第 3のサンプリング周期は一 定であり、前記第 4の PCM信号を入力とし前記第 1の PCM信号を出力とするオーバ 一サンブラを持ち、前記第 3のサンプリング周期は前記第 1のサンプリング周期よりも 長いことを特徴としている。
[0014] 本第 5発明のデジタルアンプは、本第 4発明に係る PWM信号生成装置により生成 された PWM信号によって駆動されるスイッチング増幅器を持つことを特徴としている 発明の効果
[0015] 本発明によれば、パルス幅変調のキャリア周波数を動的に変動させて PWM信号 に対しスペクトル拡散を行うことによって電磁ノイズの発生を効果的に防止しつつ、信 号歪を最小限に抑えて PWM信号生成器やこれを利用したデジタルアンプの所望の 性能を維持することができる。
発明を実施するための最良の形態
[0016] (第 1実施形態)
PCM信号 u[k]と PCM信号 y[k]のサンプリング周期が同じであり、そのサンプリング 周期が変動する場合について説明する。このときのフルデジタルアンプの構成は図 2 に示すものと同じであり、ノイズシェービングフィルタの構成は図 1に示すものである。
[0017] 最初に、ノイズシェービングフィルタの目標とする周波数特性を決めるのに、連続時 間系のフィルタを設計し、数 1のように状態変数表現する。
[0018] [数 1]
x* (t) = A*
+ b* (u*(t) - w(t))
v*(t) - c x*(t)
[0019] ただし、 u*(t)は PCM信号 u[k]に対応する連続時間信号、 w(t)はパルス幅変調器に より生成される PWM信号、 v*(t)はノイズシェービングフィルタが生成する補正信号 v[k ]に対応する連続時間信号、 x*(t)は状態変数である。この連続時間フィルタに対して 零次ホールドを用いてサンプリング周期て で離散時間化する。ただし、サンプリング k
周期 τ は動的に変化するものであるので、サンプリングとサンプリングの間において k
は、入力信号 u*(t)はサンプリング点間の中間の時刻の値で代表させる。この様子を 図 3に示す。しかし補正信号 v[k]はサンプリング時刻の値をサンプルする。すなわち、 (数 2)
u[k]=u*((t +t )/2)
k k+1
(数 3)
v[k]=v (t )
k
であり、 tは k番目のサンプリング時刻である。すると数 4、数 5で示すデジタルフィルタ k
を得る。
[0020] 画 x[k + l] = A(zk) x[k] + b(rk ) u[k] - e(y[k]) ν[Λ1 = c x[k
[0021] [数 5]
b(T
k) = exp(A*t)dtb'
[0022] このとき、デジタルフィルタの状態変数 x[k]は、連続時間のフィルタの状態変数 x*(t) をサンプルしたものに対応している。すなわち、 x[k]=x(t ), t - t = τ となっている。し k k+1 k k
たがって、サンプリング周期 τ がサンプリング毎に異なっても、離散時間フィルタの k
安定性が保証されることは勿論、入出力の伝達特性も連続時間フィルタの伝達特性 に近いものとなる。
[0023] ここで、次数力 ¾のフィルタを設計する場合にっ 、て考えてみる。このとき、数 4にお ける Α( τ )は η Χ ηの行列となるので、デジタルフィルタの係数の数が多くなるとともに k
、デジタルフィルタ演算の計算量も多くなつてしまう。そこで、数 1の連続時間フィルタ を設計する際に、行列 A*をブロック対角化することにより、数 4における行列 Α( τ )も k ブロック対角化されるので、デジタルフィルタの非ゼロの係数の数を減らすこともでき るし、デジタルフィルタ演算の計算量も減らすことができる。さらに、行列 A*のブロック 対角化とともに、数 1の連続時間フィルタの出力ベクトル cに対して、その要素のそれ ぞれが 1または 0のどちらかになるようにすることにより、デジタルフィルタ演算の計算 量をさらに減らすことができる。出力ベクトルは数 5に示されるように数 2による離散時 間化によって変化しないからである。
[0024] 上記の離散時間フィルタは、入力信号に関して零次ホールドを仮定してサンプル 点間における値を一定としていたので、サンプリング周期の変動により、この仮定が 信号の歪を発生させてしまう。この信号歪に対処する方法として、サンプル点間にお ける入力信号の値を補間する方法が考えられる。その補間の方法としてはいくつか の方法が考えられる。
[0025] まず、入力信号としてサンプル点間の信号波形を直線で結んで近似した場合を考
える。この様子を図 4に示す。一次近似を行うことにより、零次ホールドを用いる場合 に比べて、サンプリング周期の変動による信号歪が小さくなることが期待できる。サン プル点間の応答を直線で結んで近似するホールド要素は三角ホールドと呼ばれる。 その三角ホールドを用いて連続時間信号 u*(t)を補間し数 1で表される連続時間フィ ルタを離散時間化すると数 6、数 7に示すようになる。ただし、補正信号 v[k]はサンプ ル時刻における連続時間信号 v*(t)の値を代表させるものとする。
[0026] [数 6] ぶ[ + l] = A(rk ) x[k] + b, ( ) u[k] + b2 ( k )u[k + l] - e y[k]) y[k] = c x[k]
[0027] [数 7]
[0028] このデジタルフィルタは厳密にプロパーなものではなぐ入力から出力への直達項 を含むものになっている。
[0029] 次に、入力信号としてサンプル点間の信号波形を 2次曲線で近似した場合を考え る。この様子を図 5に示す。 2次近似を行うことにより、 1次近似を用いる場合に比べて 、サンプリング周期の変動による信号歪が小さくなることが期待できる。ここでは、 t≤t k
≤t における u*(t)の値を u(t )および u(t )および u(t )の値を用いて 2次近似する。
k+2 k k+1 k+2
ただし kの値は奇数とする。すると、 2次近似された u*(t)は数 8、数 9で示すものになる
[0030] [数 8]
(り = [k] + (p0u[k] + Plu[k + 1] + p2u[k + 2])t + [q0u[k] + qxu[k + 1] + q2u[k + 2])t2
[0031] [数 9] p - 2^ + i 。 .∑L±∑^_ D k
/ , Pi , p2―
Tk + ) TkTk+1 Tk+1 (Tk + Tk+l )
1
[0032] この補間された時間関数を用いて数 1で表される連続時間フィルタを離散時間化す ると、数 10ないし数 13に示すものとなる。ただし、補正信号 v[k]はサンプル時刻にお ける連続時間信号 v*(t)の値を代表させるものとする。また、 kの値は奇数とする。
[0033] [数 10] x[k + 1] = A(rk ) x[k] + b u[k] + b° u[k + \] + b2° u[k + 2] - e(y[k]) y[k] = c x[k]
[0034] [数 11]
c = c yW) = f
- t))b* w(t
k + t)dt
[0035] [数 12] xik + 2] = ) + 1] + K u[k] + b[ u[k + 1] + b\ u[k + 2] - e{y[k + 1]) y[k + l] = c x[k + l]
[0036] [数 13]
+て — t))dtb* b" = C ^ +
2) exp ( ¾ + r
k+l - t))dtb" = j
Tk +
2) exp ( ( + τ
Μ― t))dtb*
*
c - c
+ 1]) Qxp(A* (rk + Tk+l - t))b* w{tk + t)dt
[0037] 連続時間信号 u*(t)を連続する 3点のサンプリング時刻における PCM信号 u[k]の値 を用いて補間近似したので、このようにフィルタ演算は奇数番目のサンプル時刻にお けるものと偶数番目のサンプル時刻におけるものとでは異なる。また、このデジタルフ
ィルタに関しては因果律が成り立たないので、入力信号を 1サンプル先読みできる場 合か出力信号を 1サンプル遅らせることができる場合にのみ用いることができる。
[0038] (第 2実施形態)
さらに他の方法として、連続時間信号 u*(t)を 2次補間するのである力 フィルタ演算 のサンプリング時刻およびその間の 1点の入力信号の値を用いて、各サンプル点間 において 2次補間をする場合について考える。この様子を図 6に示す。前述の方法に 対して入力信号のサンプル間隔が狭くなるため、サンプリング周期の変動に対する 信号歪が小さくなることが期待できる。
[0039] V、ま、 PCM信号 u[k]はループシェービングフィルタのサンプリング時刻における u*(t )の値であるものとし、サンプル点間における入力信号を新たにサンプリング点間ごと に 1点ずつサンプルして入力するものとする。サンプル点間におけるどの時刻におい てサンプルするかは任意である力 ここではサンプルの中間点の時刻にお 、てサン プルするものとし、その信号を u [k]とする。すると、 t≤t≤t における u*(t)の値を u[k] c k k+1
および u[k+l]および u [k]の値を用いて数 14のように 2次近似できる。
[0040] [数 14] u (t) = u[k] + (― 3u[k] + 4uc[k] - u[k + 1])—
Λ
+ (2u[k] - 4uc[k] + 2u[k + 1])—
て k
[0041] この補間された時間関数を用いて数 1で表される連続時間フィルタを離散時間化す ると数 15、数 16に示すものとなる。ただし、補正信号 v[k]はサンプル時刻における連 続時間信号 v*(t)の値を代表させるものとする。
[0042] [数 15] x[k + 1] = A(rk ) x[k] + bl u[k] + b uc [k] + b2 c [k + 1]— e( [k]) y[k] = c x[k]
[0043] [数 16]
b*
*
c - c yW) =
k
- t))b* w(t
k + t)dt
[0044] このデジタルフィルタは厳密にプロパーなものではなぐ入力から出力への直達項 を含むものになっている。
[0045] (第 3実施形態)
次に、 PCM信号 u[h]のサンプリング周期が一定で、 PCM信号 y[k]のサンプリング 周期が変動する場合を考える。ノイズシェービングフィルタは PCM信号 y[k]のサンプ リングと同期して動作させる。このときのフルデジタルアンプの構成を図 7に示す。 PC M信号 u[h]のサンプリング周期を一定とすることにより、ノイズシェービングフィルタの サンプリング周期が動的に変動することによる信号歪を小さく抑えることができる。こ の場合においても、ノイズシェービングフィルタの動特性の目標は数 1で表される連 続時間フィルタで与えられるものとする。
[0046] PCM信号 u[h]のサンプリングは PCM信号 y[k]のそれぞれのサンプル点間に多くて も 1回しか発生しな 、ものとする。 PCM信号 u[h]に対しては零次ホールドを適用する 。その様子を図 8に示す。出力信号 v[k]に関してはサンプル時刻における信号の値 を代表させる場合を考える。このようなデジタルフィルタは数 18、数 19および数 21、 数 22に示すものとなる。ここで、入力 u[h]がサンプルされる時刻を tu、出力 y[k]がサン
h
プノレされる時亥 ijを tとする。
[0047] (数 17)
tu≤t <t < tu
h k k+1 h+1
のとき、すなわち、出力のサンプル点間において入力信号がサンプルされなかったと き、数 18、数 19で示すものになる。
[0048] [数 18] x[k + 1] = A{rk ) x[k] + b(rk ) u[h]― e(y[k]) v[k] = c x[k]
[0049] [数 19]
[0050] また、
(数 20)
tu≤t <tu ≤t <tu
h k h+1 k+1 h+2
のとき、すなわち、出力のサンプル点間において入力信号が 1回サンプルされたとき 、 21、 22【こ すちの【こなる。
[0051] [数 21] x[k + l] = A(Tk)x[k] + b, (Tk,iM -tlMh] + tk+1 -th"+Mh + l]-e(y[k]) vik] = cx[k]
- i) = I"'
1" exp ( dt
e{y[k]) = " exp ( ( - t) w(t
k + t)dt
[0053] なお、 u[h]と v[k]の加算においては、 tに対して直前の u[h]の値^ v[k]に加算するも k
のとする。上述の方法は PCM信号 u[h]に零次ホールドを適用していた力 三角ホー ルドを用いる場合や他の補間手法を用いた場合にぉ ヽても同様にノイズシエーピン グフィルタを設計することができる。
[0054] 次に、 PCM信号 u[h]のサンプリング周期に合わせてノイズシェービングフィルタの 演算を行う場合を考える。 PCM信号 v[k]のサンプリング周期は動的に変化するので 、 PCM信号 v[k]はノイズシェービングフィルタの演算周期とは必ずしも同期しない。 P CM信号 u[h]に対しては零次ホールドを用い、数 1により表される連続時間フィルタを 離散時間化する。この場合、 PWM信号 w(t)をそのまま用いるとノイズシェービングフ ィルタの演算に必要なテーブルが大きくなつてしまうので、 PWM信号 w(t)は PCM信 号 y[k]で近似する。
[0055] ここで、求めるノイズシェービングフィルタは、次のようになる。 r u=tu -tuとすると、 h+l h 求めるノイズシェービングフィルタは、数 24、数 26、数 27で示すものになる。
[0056] (数 23)
t ≤tu≤t <tu ≤t
k-l h k h+l k+1
である場合、
[0057] [数 24] x[h + 1] = A{Tu)x[k] + b^)u[K\-b,( , i - tk)y[k - ] -Ktli - )y[k]
= ) x[h] + d3 (tk - fh )(u[h] - y{k- 1])
[0058] (数 25)
t ≤tu≤t <t <tu である場合、
k-l h k k+1 h+1
[0059] [数 26] x[h + 1] = A ) x[k] + b{ ) u[h] -b, , i— ) [ - 1]
-¾( i - , i -^) [ ]
[ ] = ( - h)x[h] + d3(ik - h)(u{h- k- })
[ +1〗= (
+ d,{t
k+x -t
k)(u[h]-y[k])
+ 4( + "ん "[〗-
[0060] [数 27]
A(Tu) = exp(A*Tu) A (て") =j cxp{A t)dtb (Λ th u +l -tk)= i cxp(A#t)dtb*
d (
+1— Λ
+ι - = c \ exp(^ dtb
J ! 1一
[0061] となる。なお、 u[h]と v[k]の加算においては、 tに対して直前の u[h]の値^ v[k]に加算 k
するものとする。上述の方法は入力に零次ホールドを用いることを仮定して 、たが、 ホールドを用いな 、場合や、三角ホールドを用いる場合にぉ ヽても同様にデジタル フィルタを設計することができる。
[0062] (第 1実施例)
本実施例は、キャリア周期が動的に変動する PWM信号を用いたフルデジタルのォ 一ディォアンプである。その構成は図 1および図 2に示す通りである。音源信号 r[i]は サンプリング周波数 44.1kHzの PCM信号であり、オーバーサンプラ 4に入力される。
オーバーサンプラ 4はサンプリング間隔 τ の PCM信号 u[k]に変換される力 サンプリ
k
ング間隔 τ は一定ではなぐ音源信号 r[i]のサンプリング間隔の 1/16倍 (約 1.472 s
k
)または 15/64倍 (約 1.329 s)のどちらかの値をとり、そのどちらかの値をとるかはほ ぼ同じ割合で擬似乱数により決められる。ノイズシェービングフィルタ 3においては、 0 次補間を用いた数 4および数 5に示されるフィルタ演算がなされ、量子化器 1の出力 信号である PCM信号 y[k]における量子化ノイズの周波数シェービングがなされ、可 聴域成分を抑制する。量子化器 1の量子化ステップ数は、サンプリング間隔 τ が音
k 源信号 r[i]のサンプリング間隔の 1/16倍のときは 31ステップ、 15/64倍のときは 29ステ ップである。
[0063] 量子化器 1にお 、ては、入力信号の信号範囲(フルスケール)を出力信号の信号 範囲(フルスケール)に対応させる。入力信号の信号範囲が一定であるのに対して出 力信号の信号範囲はサンプリング間隔 τ によって変化するため、量子化器 1の変換
k
ゲインはサンプリング間隔て に比例させる必要がある。式であらわすと、
k
y[kj = round ( g * s[k] * τ )
k
となる。ただし、 gは適当な定数であり、 s[k]は量子化器 1の入力信号である。また、 ro und()は引数に最も近い整数に変換する関数である。
[0064] ノ ルス幅変調器 2においては、 PCM信号 y[k]に従った PWM信号を生成する。そ の際のキャリア信号の周期はサンプリング間隔 τ と同じであり、動的に変化する。生
k
成された PWM信号によりスイッチング増幅器 5が駆動され、スイッチング増幅器 5は ローパスフィルタ 6を通して負荷であるスピーカを駆動する。
[0065] このフルデジタルのオーディオアンプにおける PWM信号 w(t)のスペクトルを!、くつ か示す。図 9は、可聴域付近における PWM信号 w(t)のスペクトルの例であり、音源信 号は周波数 2.7563kHzで変調率 80%の正弦波である。第 2高調波がわずかに認めら れるものの、可聴域における量子化ノイズが抑制されていることが見て取れる。ただし 、ノイズシェービングフィルタにおける信号 u[k]の補間誤差の影響で、 u[k]のサンプリ ング周期が一定の場合に比べて可聴域のノイズフロアが少し上昇している。図 10は 、 PWM信号 w(t)の広域スペクトルを示したものである。 PWM信号のキャリア周波数 が動的に変動することによりスペクトルが拡散していることがわかる。スペクトルの総量
はあまり変化ないが、特定周波数におけるスペクトルの集中を避けることができるので 、電磁ノイズ対策となる。
[0066] 図 11は、音源信号が周波数 16.5378kHzで変調率 80%の正弦波である場合の可聴 域付近における PWM信号 w(t)のスペクトルである。音源信号の周波数が高くなつて しまったことにより、可聴域におけるフロアノイズが大きくなつてしまっている。これはノ ィズシヱ一ビングフィルタにおける信号 u[k]の補間誤差の影響によるものである。
[0067] 本実施例の利点の一つは、ノイズシェービングフィルタの演算に 0次補間の考え方 を用いて 、るので、演算の量を抑えることができることである。
[0068] (第 2実施例)
本実施例は、キャリア周期が動的に変動する PWM信号を用いたフルデジタルのォ 一ディォアンプである。その構成は図 2に示す通りである。音源信号 r[i]はサンプリン グ周波数 44.1kHzの PCM信号であり、オーバーサンプラ 4に入力される。オーバーサ ンプラ 4はサンプリング間隔 τ の PCM信号 u[k]に変換される力 サンプリング間隔 τ k
は一定ではなぐ音源信号 r[i]のサンプリング間隔の 1/16倍 (約 1.472 s)または 15/ k
64倍 (約 1.329 s)のどちらかの値をとり、そのどちらかの値をとるかはほぼ同じ割合 で擬似乱数により決められる。ノイズシェービングフィルタ 3においては、 1次補間を用 いた数 6および数 7に示されるフィルタ演算がなされ、量子化器 1の出力信号である P CM信号 y[k]における量子化ノイズの周波数シェービングがなされ、可聴域成分を抑 制する。量子化器 1の量子化ステップ数は、サンプリング間隔 τ が音源信号 r[i]のサ
k
ンプリング間隔の 1/16倍のときは 31ステップ、 15/64倍のときは 29ステップである。
[0069] 量子化器 1にお 、ては、入力信号の信号範囲(フルスケール)を出力信号の信号 範囲(フルスケール)に対応させる。入力信号の信号範囲が一定であるのに対して出 力信号の信号範囲はサンプリング間隔 τ によって変化するため、量子化器 1の変換
k
ゲインはサンプリング間隔 τ に比例させる必要がある。式であらわすと、
k
y[kj = round ( g * s[k] * τ )
k
となる。ただし、 gは適当な定数であり、 s[k]は量子化器 1の入力信号である。また、 ro und()は引数に最も近い整数に変換する関数である。
[0070] ノ ルス幅変調器 2においては、 PCM信号 y[k]に従った PWM信号を生成する。そ
の際のキャリア信号の周期はサンプリング間隔 τ と同じであり、動的に変化する。生
k
成された PWM信号によりスイッチング増幅器 5が駆動され、スイッチング増幅器 5は ローパスフィルタ 6を通して負荷であるスピーカを駆動する。
[0071] このフルデジタルのオーディオアンプにおける PWM信号 w(t)のスペクトルを!、くつ か示す。図 12は、可聴域付近における PWM信号 w(t)のスペクトルの例であり、音源 信号は周波数 2.7563kHzで変調率 80%の正弦波である。第 2高調波がわずかに認め られるものの、可聴域における量子化ノイズが抑制されていることがわかる。ノイズシ エービングフィルタにおける信号 u[k]の補間誤差の影響で、 u[k]のサンプリング周期 が一定の場合に比べて可聴域のノイズフロアが少し上昇している力 1次補間を用い ることにより 0次補間を行った場合である図 9に比べてその上昇が抑えられている。図 13は、 PWM信号 w(t)の広域スペクトルを示したものである。 PWM信号のキャリア周 波数が動的に変動することによりスペクトルが拡散していることがわかる。スペクトルの 総量はあまり変化ないが、特定周波数におけるスペクトルの集中を避けることができ るので、電磁ノイズ対策となる。
[0072] 図 14は、音源信号が周波数 16.5378kHzで変調率 80%の正弦波である場合の可聴 域付近における PWM信号 w(t)のスペクトルである。音源信号の周波数が高くなつて しまったことにより、可聴域におけるフロアノイズが大きくなつてしまっている。これはノ ィズシェービングフィルタにおける信号 u[k]の補間誤差の影響によるものである。 0次 補間を行ったときとほぼ同じ大きさのフロアノイズを生じてしまっている。
[0073] 本実施例の利点の一つは、ノイズシェービングフィルタの演算に 1次補間の考え方 を用いているので、演算の量をあまり増大させずに音源信号の周波数が低いときに おいて 0次補間の場合と比べて補間誤差によるフロアノイズが小さくできることである
[0074] (第 3実施例)
本実施例は、キャリア周期が動的に変動する PWM信号を用いたフルデジタルのォ 一ディォアンプである。その構成は図 2に示す通りである。音源信号 r[i]はサンプリン グ周波数 44.1kHzの PCM信号であり、オーバーサンプラ 4に入力される。オーバーサ ンプラ 4はサンプリング間隔て の PCM信号 u[k]に変換される力 サンプリング間隔て
は一定ではなぐ音源信号 r[i]のサンプリング間隔の 1/16倍 (約 1.472 s)または 15/ k
64倍 (約 1.329 s)のどちらかの値をとり、そのどちらかの値をとるかはほぼ同じ割合 で擬似乱数により決められる。ノイズシェービングフィルタ 3においては、 2次補間の 考えに基づく数 10から数 13に示されるフィルタ演算がなされ、量子化器 1の出力信 号である PCM信号 y[k]における量子化ノイズの周波数シェービングがなされ、可聴 域成分を抑制する。量子化器 1の量子化ステップ数は、サンプリング間隔 τ が音源
k 信号 r[i]のサンプリング間隔の 1/16倍のときは 31ステップ、 15/64倍のときは 29ステツ プである。
[0075] 量子化器 1にお 、ては、入力信号の信号範囲(フルスケール)を出力信号の信号 範囲(フルスケール)に対応させる。入力信号の信号範囲が一定であるのに対して出 力信号の信号範囲はサンプリング間隔 τ によって変化するため、量子化器 1の変換
k
ゲインはサンプリング間隔 τ に比例させる必要がある。式であらわすと、
k
y[kj = round ( g * s[k] * τ )
k
となる。ただし、 gは適当な定数であり、 s[k]は量子化器 1の入力信号である。また、 ro und()は引数に最も近い整数に変換する関数である。
[0076] ノ ルス幅変調器 2においては、 PCM信号 y[k]に従った PWM信号を生成する。そ の際のキャリア信号の周期はサンプリング間隔 τ と同じであり、動的に変化する。生
k
成された PWM信号によりスイッチング増幅器 5が駆動され、スイッチング増幅器 5は ローパスフィルタ 6を通して負荷であるスピーカを駆動する。
[0077] このフルデジタルのオーディオアンプにおける PWM信号 w(t)のスペクトルを!、くつ か示す。図 15は、可聴域付近における PWM信号 w(t)のスペクトルの例であり、音源 信号は周波数 2.7563kHzで変調率 80%の正弦波である。第 2高調波もよく抑制できて おり、可聴域における量子化ノイズも抑制されていることが見て取れる。ノイズシエー ビングフィルタにおける信号 u[k]の補間誤差の影響も量子化誤差に隠れるほど小さく なっている。図 16は、 PWM信号 w(t)の広域スペクトルを示したものである。 PWM信 号のキャリア周波数が動的に変動することによりスペクトルが拡散していることがわか る。スペクトルの総量はあまり変化ないが、特定周波数におけるスペクトルの集中を避 けることができるので、電磁ノイズ対策となる。
[0078] 図 17は、音源信号が周波数 16.5378kHzで変調率 80%の正弦波である場合の可聴 域付近における PWM信号 w(t)のスペクトルである。音源信号の周波数が高くなつて しまったことにより、可聴域におけるフロアノイズが大きくなつてしまっている。これはノ ィズシェービングフィルタにおける信号 u[k]の補間誤差の影響によるものである。 0次 補間を行ったときとほぼ同じ大きさのフロアノイズを生じてしまっている。
[0079] 本実施例の利点の一つは、ノイズシェービングフィルタの演算に 2次補間の考え方 を用いているので、演算の量をあまり増大させずに音源信号の周波数が低いときに おいて 1次補間の場合と比べて補間誤差によるフロアノイズを小さくできることである
[0080] (第 4実施例)
本実施例は、キャリア周期が動的に変動する PWM信号を用いたフルデジタルのォ 一ディォアンプである。その構成は図 2に似ているが、オーバーサンプラ 4が PCM信 号 u[k]のみではなく u [k]も出力し、ノイズシェービングフィルタ 3の入力に u [k]も加わ る点が異なる。音源信号 r[i]はサンプリング周波数 44.1kHzの PCM信号であり、ォー バーサンプラ 4に入力される。オーバーサンプラ 4はサンプリング間隔 τ の PCM信
k
号 u[k]に変換される力 サンプリング間隔 τ は一定ではなぐ音源信号 r[i]のサンプリ
k
ング間隔の 1/16倍(約 1.472 s)または 15/64倍(約 1.329 s)のどちらかの値をとり、 そのどちらかの値をとるかはほぼ同じ割合で擬似乱数により決められる。ノイズシエー ビングフィルタ 3においては、 2次補間の考えに基づく数 15および数 16に示されるフ ィルタ演算がなされ、量子化器 1の出力信号である PCM信号 y[k]における量子化ノ ィズの周波数シェービングがなされ、可聴域成分を抑制する。量子化器 1の量子化ス テツプ数は、サンプリング間隔 τ が音源信号 r[i]のサンプリング間隔の 1/16倍のとき
k
は 31ステップ、 15/64倍のときは 29ステップである。
[0081] 量子化器 1にお 、ては、入力信号の信号範囲(フルスケール)を出力信号の信号 範囲(フルスケール)に対応させる。入力信号の信号範囲が一定であるのに対して出 力信号の信号範囲はサンプリング間隔 τ によって変化するため、量子化器 1の変換
k
ゲインはサンプリング間隔 τ に比例させる必要がある。式であらわすと、
k
y[kj = round ( g * s[k] * τ )
k
となる。ただし、 gは適当な定数であり、 s[k]は量子化器 1の入力信号である。また、 ro und()は引数に最も近い整数に変換する関数である。
[0082] ノ ルス幅変調器 2においては、 PCM信号 y[k]に従った PWM信号を生成する。そ の際のキャリア信号の周期はサンプリング間隔 τ と同じであり、動的に変化する。生
k
成された PWM信号によりスイッチング増幅器 5が駆動され、スイッチング増幅器 5は ローパスフィルタ 6を通して負荷であるスピーカを駆動する。
[0083] このフルデジタルのオーディオアンプにおける PWM信号 w(t)のスペクトルを!、くつ か示す。図 18は、可聴域付近における PWM信号 w(t)のスペクトルの例であり、音源 信号は周波数 2.7563kHzで変調率 80%の正弦波である。第 2高調波もよく抑制できて おり、可聴域における量子化ノイズも抑制されていることが見て取れる。ノイズシエー ビングフィルタにおける信号 u[k]の補間誤差の影響も量子化誤差に隠れるほど小さく なっている。図 19は、 PWM信号 w(t)の広域スペクトルを示したものである。 PWM信 号のキャリア周波数が動的に変動することによりスペクトルが拡散していることがわか る。スペクトルの総量はあまり変化ないが、特定周波数におけるスペクトルの集中を避 けることができるので、電磁ノイズ対策となる。
[0084] 図 20は、音源信号が周波数 16.5378kHzで変調率 80%の正弦波である場合の可聴 域付近における PWM信号 w(t)のスペクトルである。音源信号の周波数が高くなつて も、可聴域におけるフロアノイズが大きくなつていないことが見て取れる。これはノイズ シェービングフィルタにおける信号 u[k]の補間にお 、てサンプル点間の値 u [k]を用 いることにより補間誤差が小さくなつたことによる。
[0085] 本実施例の利点の一つは、ノイズシェービングフィルタの演算にサンプル点間の値 および 2次補間の考え方を用いているので、補間誤差によるフロアノイズを小さくでき ることである。
[0086] (第 5実施例)
本発実施例は、キャリア周期が動的に変動する PWM信号を用いたフルデジタル のオーディオアンプである。その構成は図 7に示す通りである。音源信号 r[i]はサンプ リング周波数 44.1kHzの PCM信号であり、オーバーサンプラ 4に入力される。オーバ 一サンプラ 4はサンプリング周波数が 16倍の 705.6kHzの PCM信号 u[h]を出力する。
ノイズシェービングフィルタ 3および量子ィ匕器 1はサンプリング間隔 τ の PCM信号 y[
k
k]を出力する力 サンプリング間隔 τ は一定ではなぐ PCM信号 u[h]のサンプリング
k
間隔の 1倍 (約 1.472 /z s)または 13/16倍 (約 1.152 /z s)のどちらかの値をとり、そのどち らかの値をとるかはほぼ同じ割合で擬似乱数により決められる。ノイズシェービングフ ィルタ 3においては、零次補間の考えに基づく数 17から数 22に示されるフィルタ演算 がなされ、量子化器 1の出力信号である PCM信号 y[k]における量子化ノイズの周波 数シェービングがなされ、可聴域成分を抑制する。量子化器 1の量子化ステップ数は 、サンプリング間隔 τ が音源信号 r[i]のサンプリング間隔の 1/16倍のときは 31ステツ
k
プ、 13/64倍のときは 25ステップである。
[0087] 量子化器 1にお 、ては、入力信号の信号範囲(フルスケール)を出力信号の信号 範囲(フルスケール)に対応させる。入力信号の信号範囲が一定であるのに対して出 力信号の信号範囲はサンプリング間隔 τ によって変化するため、量子化器 1の変換
k
ゲインはサンプリング間隔て に比例させる必要がある。式であらわすと、
k
y[kj = round ( g * s[k] * τ )
k
となる。ただし、 gは適当な定数であり、 s[k]は量子化器 1の入力信号である。また、 ro und()は引数に最も近い整数に変換する関数である。
[0088] ノ ルス幅変調器 2においては、 PCM信号 y[k]に従った PWM信号を生成する。そ の際のキャリア信号の周期はサンプリング間隔 τ と同じであり、動的に変化する。生
k
成された PWM信号によりスイッチング増幅器 5が駆動され、スイッチング増幅器 5は ローパスフィルタ 6を通して負荷であるスピーカを駆動する。
[0089] このフルデジタルのオーディオアンプにおける PWM信号 w(t)のスペクトルを!、くつ か示す。図 21は、可聴域付近における PWM信号 w(t)のスペクトルの例であり、音源 信号は周波数 2.7563kHzで変調率 82%の正弦波である。第 2高調波もよく抑制できて おり、可聴域における量子化ノイズも抑制されていることがわかる。 PCM信号 u[h]の サンプリング周期を一定としたので、補間誤差の影響によるフロアノイズを発生して ヽ ない。図 22は、 PWM信号 w(t)の広域スペクトルを示したものである。 PWM信号のキ ャリア周波数が動的に変動することによりスペクトルが拡散していることがわかる。スぺ タトルの総量はあまり変化ないが、特定周波数におけるスペクトルの集中を避けること
ができるので、電磁ノイズ対策となる。キャリア周波数の変動を大きくとっているので、 スペクトルの拡散も大きくなつている。
[0090] 図 23は、音源信号が周波数 16.5378kHzで変調率 82%の正弦波である場合の可聴 域付近における PWM信号 w(t)のスペクトルである。音源信号の周波数が高くなつて も、可聴域におけるフロアノイズが発生していないことがわかる。
[0091] 本実施例の利点の一つは、 PCM信号 u[h]のサンプリング周期を一定としているの で、 PCM信号 u[h]の補間誤差によるフロアノイズの発生がな 、ことである。
[0092] 本実施例の他の利点の一つは、 PCM信号 y[k]のサンプリング間隔すなわち PWM 信号 w(t)のキャリア周期の変動幅を大きく取ることができるので、 PWM信号のスぺタト ルを十分に拡散することができることである。
[0093] 本実施例においては、ノイズシェービングフィルタ 3において PCM信号 y[k]のサン プリング周期ごとに数 17から数 22に示されるフィルタ演算を行っていたが、 u[h]のサ ンプリング周期ごとに数 23から数 27に示されるフィルタ演算を行ってもよい。
図面の簡単な説明
[0094] [図 1]ノイズシェービングフィルタの構成を示すブロック図である。
[図 2]フルデジタルアンプの構成を示すブロック図である。
[図 3]本発明の第 1実施形態における零次ホールドを使用した場合の可変サンプリン グ信号間の関係を示す図である。
[図 4]本発明の第 1実施形態における 1次近似を使用した場合の可変サンプリング信 号間の関係を示す図である。
[図 5]本発明の第 1実施形態における 2次近似を使用した場合の可変サンプリング信 号間の関係を示す図である。
[図 6]本発明の第 2実施形態における 2次補完を使用した場合の可変サンプリング信 号間の関係を示す図である。
[図 7]本発明の第 3実施形態におけるフルデジタルアンプの構成を示すブロック図で ある。
[図 8]本発明の第 3実施形態における零次ホールドを使用した場合の可変サンプリン グ信号間の関係を示す図である。
圆 9]本発明の第 1実施例におけるパルス幅変調信号の可聴域付近におけるスぺタト ル図である。
圆 10]本発明の第 1実施例におけるパルス幅変調信号の広帯域スペクトル図である 圆 11]本発明の第 1実施例における高い周波数の音源信号に対するパルス幅変調 信号の可聴域付近におけるスペクトル図である。
圆 12]本発明の第 2実施例におけるパルス幅変調信号の可聴域付近におけるスぺク トノレ図である。
圆 13]本発明の第 2実施例におけるパルス幅変調信号の広帯域スペクトル図である 圆 14]本発明の第 2実施例における高い周波数の音源信号に対するパルス幅変調 信号の可聴域付近におけるスペクトル図である。
圆 15]本発明の第 3実施例におけるパルス幅変調信号の可聴域付近におけるスぺク トノレ図である。
圆 16]本発明の第 3実施例におけるパルス幅変調信号の広帯域スペクトル図である 圆 17]本発明の第 3実施例における高い周波数の音源信号に対するパルス幅変調 信号の可聴域付近におけるスペクトル図である。
圆 18]本発明の第 4実施例におけるパルス幅変調信号の可聴域付近におけるスぺク トノレ図である。
圆 19]本発明の第 4実施例におけるパルス幅変調信号の広帯域スペクトル図である 圆 20]本発明の第 4実施例における高い周波数の音源信号に対するパルス幅変調 信号の可聴域付近におけるスペクトル図である。
圆 21]本発明の第 5実施例におけるパルス幅変調信号の可聴域付近におけるスぺク トノレ図である。
圆 22]本発明の第 5実施例におけるパルス幅変調信号の広帯域スペクトル図である
[図 23]本発明の第 5実施例における高い周波数の音源信号に対するパルス幅変調 信号の可聴域付近におけるスペクトル図である。
[図 24]従来技術によって生成したパルス幅変調信号の可聴域付近におけるスぺタト ル図である。
[図 25]従来技術によって生成したパルス幅変調信号の広帯域スペクトル図である。 符号の説明
1…量子化器
2…パルス幅変調器
3···ノイズシェービングフィルタ
31···遅延要素
32·· '正方行列
33···出力ベクトル
34···入力ベクトル
35···非線形関数ベクトル
36···非線形要素
4…オーバーサンプラ
5…スイッチング増幅器
6…ローパスフィルタ