WO2007129468A1 - 共振回路から生成される直流電圧を安定化する帰還 - Google Patents

共振回路から生成される直流電圧を安定化する帰還 Download PDF

Info

Publication number
WO2007129468A1
WO2007129468A1 PCT/JP2007/000477 JP2007000477W WO2007129468A1 WO 2007129468 A1 WO2007129468 A1 WO 2007129468A1 JP 2007000477 W JP2007000477 W JP 2007000477W WO 2007129468 A1 WO2007129468 A1 WO 2007129468A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
equation
circuit
frequency
voltage
output
Prior art date
Application number
PCT/JP2007/000477
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
Masatoshi Imori
Original Assignee
Masatoshi Imori
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from JP2007018715A external-priority patent/JP2008306775A/ja
Priority claimed from JP2007101471A external-priority patent/JP5412651B2/ja
Application filed by Masatoshi Imori filed Critical Masatoshi Imori
Priority to EP07737133A priority Critical patent/EP2083509A4/en
Publication of WO2007129468A1 publication Critical patent/WO2007129468A1/ja

Links

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02MAPPARATUS FOR CONVERSION BETWEEN AC AND AC, BETWEEN AC AND DC, OR BETWEEN DC AND DC, AND FOR USE WITH MAINS OR SIMILAR POWER SUPPLY SYSTEMS; CONVERSION OF DC OR AC INPUT POWER INTO SURGE OUTPUT POWER; CONTROL OR REGULATION THEREOF
    • H02M3/00Conversion of dc power input into dc power output
    • H02M3/22Conversion of dc power input into dc power output with intermediate conversion into ac
    • H02M3/24Conversion of dc power input into dc power output with intermediate conversion into ac by static converters
    • H02M3/28Conversion of dc power input into dc power output with intermediate conversion into ac by static converters using discharge tubes with control electrode or semiconductor devices with control electrode to produce the intermediate ac
    • H02M3/325Conversion of dc power input into dc power output with intermediate conversion into ac by static converters using discharge tubes with control electrode or semiconductor devices with control electrode to produce the intermediate ac using devices of a triode or a transistor type requiring continuous application of a control signal
    • H02M3/335Conversion of dc power input into dc power output with intermediate conversion into ac by static converters using discharge tubes with control electrode or semiconductor devices with control electrode to produce the intermediate ac using devices of a triode or a transistor type requiring continuous application of a control signal using semiconductor devices only
    • H02M3/337Conversion of dc power input into dc power output with intermediate conversion into ac by static converters using discharge tubes with control electrode or semiconductor devices with control electrode to produce the intermediate ac using devices of a triode or a transistor type requiring continuous application of a control signal using semiconductor devices only in push-pull configuration
    • H02M3/3376Conversion of dc power input into dc power output with intermediate conversion into ac by static converters using discharge tubes with control electrode or semiconductor devices with control electrode to produce the intermediate ac using devices of a triode or a transistor type requiring continuous application of a control signal using semiconductor devices only in push-pull configuration with automatic control of output voltage or current
    • H02M3/3378Conversion of dc power input into dc power output with intermediate conversion into ac by static converters using discharge tubes with control electrode or semiconductor devices with control electrode to produce the intermediate ac using devices of a triode or a transistor type requiring continuous application of a control signal using semiconductor devices only in push-pull configuration with automatic control of output voltage or current in a push-pull configuration of the parallel type
    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02MAPPARATUS FOR CONVERSION BETWEEN AC AND AC, BETWEEN AC AND DC, OR BETWEEN DC AND DC, AND FOR USE WITH MAINS OR SIMILAR POWER SUPPLY SYSTEMS; CONVERSION OF DC OR AC INPUT POWER INTO SURGE OUTPUT POWER; CONTROL OR REGULATION THEREOF
    • H02M1/00Details of apparatus for conversion
    • H02M1/0003Details of control, feedback or regulation circuits
    • H02M1/0016Control circuits providing compensation of output voltage deviations using feedforward of disturbance parameters
    • H02M1/0019Control circuits providing compensation of output voltage deviations using feedforward of disturbance parameters the disturbance parameters being load current fluctuations
    • HELECTRICITY
    • H02GENERATION; CONVERSION OR DISTRIBUTION OF ELECTRIC POWER
    • H02MAPPARATUS FOR CONVERSION BETWEEN AC AND AC, BETWEEN AC AND DC, OR BETWEEN DC AND DC, AND FOR USE WITH MAINS OR SIMILAR POWER SUPPLY SYSTEMS; CONVERSION OF DC OR AC INPUT POWER INTO SURGE OUTPUT POWER; CONTROL OR REGULATION THEREOF
    • H02M1/00Details of apparatus for conversion
    • H02M1/0003Details of control, feedback or regulation circuits
    • H02M1/0016Control circuits providing compensation of output voltage deviations using feedforward of disturbance parameters
    • H02M1/0022Control circuits providing compensation of output voltage deviations using feedforward of disturbance parameters the disturbance parameters being input voltage fluctuations
    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N30/00Piezoelectric or electrostrictive devices
    • H10N30/80Constructional details
    • H10N30/802Drive or control circuitry or methods for piezoelectric or electrostrictive devices not otherwise provided for
    • H10N30/804Drive or control circuitry or methods for piezoelectric or electrostrictive devices not otherwise provided for for piezoelectric transformers

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Dc-Dc Converters (AREA)

Abstract

【課題】 共振回路から出力される高周波交流を整流して得られる直流電圧を広い範囲の負荷に対して安定化する帰還回路の構成とその回路定数とを与える方法。 【解決手段】 出力電圧の共振回路を駆動する搬送波の周波数への帰還が安定となる条件を明らかにするために等価電源を導入する。等価電源において共振回路に対応する仮想共振回路は、共振回路と同様に周波数変調された搬送波を入力とし、振幅変調された搬送波ではなく、そのエンベロープを出力する。整流回路に相当する仮想整流平滑回路はエンベロープに一次遅れのフィルターとして働き、等価電源の出力電圧を生成する。この等価電源を連立微分方程式系により記述し、数理的な解析を行うことにより等価電源が安定となる十分条件を明らかにする。この十分条件を基に安定な帰還を実現する回路を構成し、シミュレーションにより安定であることを示す。

Description

明 細 書
共振回路から生成される直流電圧を安定化する帰還
技術分野
[0001 ] 本発明は共振回路を利用して直流電圧を発生する安定化直流電圧電源におい て、 電源の出力である直流電圧の安定化に関するものであり、 電源の出力で ある広い範囲の直流電圧を広い範囲の負荷に対して安定化するものである。 背景技術
[0002] 共振回路を利用して電圧を発生する電源として、 たとえば圧電トランスの共 振回路を利用して直流高電圧を発生する電源がある。 この圧電トランスを用 いた電源は比較的高圧の出力を必要とする用途に用いられていた。 それらの 用途においては、 出力電圧に高精度な安定性が必要とされておらず、 したが つてこのような圧電トランスを用いた電源では、 入力電圧あるいは負荷電流 の変動に対する出力電圧の安定性が悪く、 このためこの種の電源の用途は固 定入力■固定負荷の条件を満たす用途に限られる欠点があった。
特許文献 1 :特開 2002-359967
特許文献 2:特開 2005- 137085
[0003] 特許文献 1は、 安定化された高電圧を提供する、 効率のよい直流高電圧電源 装置の簡単な回路の構成を提供することを課題とし、 直流高電圧電源に、 通 常の電磁トランスではなく、 圧電トランスによる高電圧発生手段を採用する ことにより効率の向上を計り、 しかも高電圧を安定化するために圧電トラン スの共振特性の周波数依存性を利用することにより、 回路の簡素化と部品点 数の減少を計ることにより課題を解決する。
[0004] 特許文献 2は直流高電圧電源装置に関するもので、 当該装置の出力電圧を安 定化する帰還について、 高電圧の発生に伴う遅れの大きい帰還とは独立な遅 れの少ない帰還を実装することにより、 出力電圧の安定化の精度の向上と応 答の高速化を実現する。
発明の開示 発明が解決しょうとする課題
[0005] 共振回路から出力される高周波交流を整流して得られる直流電圧を広い範囲 の負荷に対して安定化する帰還回路の構成とその回路定数とを与える。
[0006] 入力電圧あるいは負荷電流の変動に対する出力電圧の安定性と精度とを確保 するために、 帰還回路の伝達関数に原点に位置する極を導入する。 この極は 7Γ /2の位相の遅れを引き起こす。 出力電圧の安定化を実現するためには、 位 相の遅れを補償することが必要である。 整流平滑回路の遅れと共振回路の遅 れとを補償する複数個のゼロ点を帰還回路に導入することにより安定な帰還 を実現し、 広い範囲の負荷に対して電源の出力を安定化する。
課題を解決するための手段
[0007] 高い Q値を備えた共振回路が、 局所的に一定な振幅を持つ共振周波数に近い 周波数の搬送波によって駆動される。 この時、 共振回路から出力される高周 波交流を復調 (整流)することにより得られる直流電圧は、 搬送波の周波数に 依存する。 直流電圧を搬送波の周波数に帰還することにより、 直流電圧を安 定化する。
[0008] 安定化された直流電圧を出力とする安定化直流電圧電源は電圧発生回路と帰 還回路からなり、 電圧発生回路は共振回路を駆動する局所的に一定な振幅の 高周波交流である搬送波を出力とするドライバー回路とこの搬送波を入力と する共振回路と共振回路の出力から直流電圧を発生する整流平滑回路とから 構成され、 帰還回路は整流平滑回路から出力される直流電圧とあらかじめ与 えられた参照電圧とを比較する誤差増幅器と、 誤差増幅器の出力によって決 まる周波数の矩形波を出力する周波数変調回路とから構成され、 この周波数 変調回路はドライバー回路の出力する高周波交流の周波数を制御する手段を 備え、 安定化直流電圧電源の出力電圧である整流平滑回路から出力される直 流電圧が搬送波の周波数に帰還され安定化される。
[0009] この安定化直流電圧電源を近似する数理解析的手段により解析することが可 能な等価電源を構成し、 等価電源から出力される直流電圧が参照電圧の近傍 にあるとき帰還が安定である十分条件を数理解析的手段により明らかにし、 出力である直流電圧と参照電圧との誤差の搬送波の周波数への帰還がこの十 分条件を満たすように回路定数を求めることにより課題を解決する。
[0010] 電源は、 局所的に一定な振幅を持つ搬送波を発生するドライバー回路と、 ド ライバー回路の出力である搬送波によって駆動される共振回路と、 共振回路 の出力である振幅変調された搬送波を整流することにより直流電圧として取 り出す整流平滑回路とを備える電圧発生回路と、 整流平滑回路の出力である 直流電圧をこの電源の出力電圧を設定するためにあらかじめ与えられている 参照電圧と比較する誤差増幅器と、 誤差増幅器の出力よつて決まる周波数を 発生する周波数変調回路を備える帰還回路を含み、 周波数変調器はドライバ 一回路の発生する搬送波の周波数の制御する手段を備え、 直流電圧を搬送波 の周波数に帰還することにより出力である直流電圧を安定化する。
[001 1 ] 等価電源は仮想電圧発生回路と帰還回路からなる。 この仮想電圧発生回路は ドライバー回路と仮想共振回路と仮想整流平滑回路とからなる。 仮想共振回 路は、 共振回路と同様に周波数変調された搬送波を入力とし、 振幅変調され た搬送波ではなく、 そのエンベロープを出力する。 また仮想整流平滑回路は このエンベロープを入力とし、 エンベロープに対して一次遅れのフィルター として作用し、 整流平滑回路の出力と同等の出力を実現する。
[001 2] 等価電源は仮想電圧発生回路と仮想整流平滑回路の出力である直流電圧を参 照電圧と比較する誤差増幅器と、 誤差増幅器の出力よつて決まる周波数を発 生し、 前記ドライバー回路を制御する周波数変調回路を備える帰還回路を含 み、 周波数変調器はドライバー回路の発生する搬送波の周波数の制御を行い 、 仮想整流平滑回路の出力である直流電圧を搬送波の周波数に帰還すること により出力直流電圧を安定化する。
[001 3] この等価電源は連立微分方程式系によりその動作を記述することができるの で、 安定性の数理的な解析が可能となる。 微分方程式系を導出し、 これから 等価電源の出力電圧が参照電圧の近傍で安定となる十分条件を明らかにする 。 この十分条件を基にして安定な帰還を実現する実際の回路を構成し、 回路 定数を与える。 出力電圧の安定化
[0014] 高い Q値の共振回路は鋭い周波数特性や大きな負荷依存性などの共振特性を 示す。 周波数変調された局所的に一定の振幅を持つ搬送波が共振回路に入力 されると、 その搬送波は振幅変調されて出力される。 共振回路の出力に負荷 抵抗を接続し、 入力された搬送波と出力された搬送波の振幅電圧の比である 昇圧比を駆動周波数の関数として見ると、 共振回路は共振を示し、 共振周波 数の付近で大きな昇圧比を示す。 共振回路を用いた電源はこの高い昇圧比を 利用して電圧を発生する。 また昇圧比が搬送波の周波数に依存することを利 用して、 周波数を制御することにより出力電圧を安定化する。
[0015] 共振回路を駆動する搬送波の周波数が、 たとえば図 1に示すように共振回路の 共振周波数より高くなるように選ばれている場合、 出力電圧が参照電圧より 低いときには周波数を下げて共振周波数に近づき、 また出力電圧が参照電圧 より高いときには周波数を上げて共振周波数より遠ざかることにより電圧を 安定化する。
[001 6] 搬送波の周波数が共振周波数より低くなるように選ばれている場合、 出力電 圧が参照電圧より低いときには周波数を上げて共振周波数に近づき、 また出 力電圧が参照電圧より高いときには周波数を下げて共振周波数より遠ざかる ことにより電圧を安定化する。
周波数変調
[001 7] 周波数変調器は入力される電圧によって周波数変調された搬送波を出力する 。 出力される搬送波の周波数は入力された電圧の関数である。 u (t)を出力の 搬送波とし次のように書く。
u = II, exp(i oc t + ψ)
ここで Wは搬送波の時間的に不変な振幅を表し、 共振回路に入力される搬送 波は数式 1の実部であるとする。 øを次式により定義する。
[数 2] すると、 Vを周波数変調器への入力電圧とするとき、
[数 3]
( +φ = 2π fself -kv が成り立つ。 ここで fselfは周波数変調器の自走周波数を表し、 kは 0と Vとの 間の比例定数を表す。 また今後の計算の簡便のために ω。 = ω0
を仮定する。 ただし ω0は数式 9で定義される。 また 0cを
[数 4]
と定義すると、 数式 3は
[数 5]
と書くことができる。 数式 3から次式が従う。
[数 6]
d , , d
— φ=—k— v
dt dt
共振回路
負荷 RLに接続された状態で共振回路がしめす共振は、 その Q値、 共振周波数 および共振周波数における電圧の昇圧比を使って近似的に 次式のように書く ことができる。
[数 7]
ここで a, b, Gは次の条件を満たす正の数である。
[数 8]
γ = 0 ~ a = γ h = ω , c = gry&r
Qは共振の Q値であり、 rは Q値の逆数、 ω「は共振周波数 における角速度であ り、 また grは共振 周波数における共振回路の昇圧比である。 [0019] 伝達関数の分母から作られ方程式 s2+as+b = 0の 根を と) δとする。
とを Sと ω0とを使って 次のように書くことができる。
[数 9]
a二 -δ + ίω0 , β二一 ΰ一 ίω0 また数式 8と数式 9から
[数 10] s =
2Q
[数川
Figure imgf000008_0001
このとき (5と ωοとは正の数である。 また Q値は数十程度であり、 共振が鋭い ので
[数 1 2] 0 Wr
が成り立つ。
[0020] Q値が 30、 昇圧比が 100、 共振周波数が 1 20 kHz である伝達関数 h0 (s)は次の ように書ける。
[数 13] s) = 800000.0- ―
s' + 8000.0 π s + 57600000000.0 π1 h0 (s)の (5と ωとをそれぞれ (5 Qと ω0とすると、 その値は次のようになる。
[数 14]
12566, ω0 ^ 753878 以下に展開される議論では、 共振回路の伝達関数 h (s)を一つ固定して、 この 伝達関数を持つ共振回路から生成される直流電圧が安定である条件を求める 共振周波数近傍での伝達関数 数式 7の伝達関数は、 共振周波数の近傍では複素数の極を 持つ一次遅れで近 似出来ることをしめす。 圧電トランスの入力を数式 1の u、 出力を fとして演算 子法で計算すると、
[数 15]
= /? U
[数 16]
CS
-U
[数 17]
CS
(s-aXs-β)
[数 18] 一 ( )"
α- β s-a s-β
[数 19] ; , exp(ico0f + /(//)
a一 β s + δ一 ί ω s + d + ί
[数 20]
c vice ί expii-S + ίθ.)01 (r— T }exp(ia)0T + ίψ)άτ
α— β
-β^ο exp{{-S - ιω0 )(ΐ - τ)}βχρ(ιω0τ + ίψ)άτ] [数 21]
CW (Α-Β)
α-β
ここで
[数 22]
A = a exp{\-S + io ) r} exp(Sて + ιψ)άχ [数 23]
B = β exp \-6 - ί(Ό0 j t] exp(S τ + 2 ίω()τ + i )d ι 搬送波の周波数は共振周波数の近傍にあるので、 数式 3の左辺から ある正の 定数 Mが存在して、 任意の (0 ≤ t)にたいして 次の条件を満たすことが判 る。
[数 24]
このとき次の評価が成り立つ。
[数 25] exp(S
Figure imgf000010_0001
[数 26]
<M exp{Sr)dT < MeXp{d t)
Jo
同様に
[数 27] ΐο.)0τ) ψ exp(! < Kiexpio ΐ)
S ^
Αについて積分を実行する。
[数 28]
Figure imgf000010_0002
[数 29]
Figure imgf000010_0003
[数 30]
1
lexp(d ΐ + it//)一 exp /?//(())
o j βχρ{δτ)ίψ βχρ{ίψ)άτ} これから Aを求めると、
[数 31 ]
A =— {exp( ίω0ΐ + ίψ)
ο
Figure imgf000011_0001
一 exp(-o + ίω0 )ΐ exp i ο τ)ιψ βχρ{ ψ)ά τ}
J 0
Αは次のように評価することができる。
[数 32]
i
レ 4卜 |"|
δ
同様にして、 Βについて積分を実行する。
[数 33] exp(\ δ + 2ί(ο'。 )て + ιψ')άτ
[数 34]
1
exp([d + 2ίω„ ) t + ίψ) - exp i t//(0)
ό + 1 ίω,
— J"。 expijS + ίω0 \ τ)ιψ βχρ{ιψ)άτ }
Βは次のように評価することができる。
[数 35]
Μ
1 卜 / 2 +—— WS + l ico^
s y )
周波数変調器が出力の周波数を変調する帯域の上限が Mである。 Mは Sと同程 度か、 高々 10倍の大きさである。 一方、 共振周波数 ωοは Sの約 100倍である 。 また | |ニ| /5 |である。 これから Βを無視しても、 誤差は高々 10パーセン トであることがわかる。 Βを無視した伝達関数 Wは次のようになる。 [数 36] hT =——
α- β s-a このとき共振回路の出力 gを次のように定義する。
[数 37] g = »
共振周波数の付近では共振回路の伝達関数は で近似できることがわかる。 伝達関数 h0(s)とその近似である hT0(s)との比較
[0024] 数式 13で与えられる伝達関数 h0(s)に対してこれを近似する hT0(s)を求め、 h0(s
)と hT 0(s)とを比較する。 図 2において昇圧比、 図 3において位相のそれぞれに ついて h0(s)と hT 0(s)とを同時にプロットする。 この図から分かるように、 hT 0(s
)は ho (s)のよい近似になっている。
共振周波数近傍での微分方程式と共振のエンベロープ
[0025] ま 数式 37からわかるように 次の微分方程式を満たす。
[数 38]
d , 、 , ca
― g - 1 + ( I g =—— τΊ "
dt α— β
[数 39]
u = wexpii θ)
[数 40]
θ = ω r + ψ ここで gを実数を取る変数 Ρと qとにより 数式 41のように変換する。 定数 , ηを数式 42によって定義する。
[数 41] g = (p + i ])exp(W)
[数 42]
ca
. = /' + / /;
α-β r ' ここで wを実数とすると、 , ηは次のようになる。
[数 43]
1 S
rr =—C 7; = c ir
2 2 ω0 このとき ρと qとは次の方程式を満たすことがわかる。
[数 44]
d d n v,
— p - q— e + d p + qa = rr
at at
[数 45]
Figure imgf000013_0001
ここで Sは周波数変調器から出力される搬送波の位相である。 また数式 40と 数式 2から次式を得る。
[数 46]
— θ = ω" + φ
dt 0
この式を数式 44と数式 45とに代入すると次のような正規な微分方程式系を得 る。
[数 47]
Figure imgf000013_0002
[数 48]
τ 9 = -ρφ -≠ + ι\ 共振回路の出力 gの絶対値がェンべロープとなり、 これを yとすると yは次式で 与えられる。
[数 49]
_v二 /グ + if 共振回路からの定常出力の振幅 [0026] ここで øは一定であるとする。 また p(t)と q(t)とを数式 47, 数式 48の解とす る。 すると
[数 50] hmp(r)= , ';
φ-: +ό'
[数 51] lim q (ΐ) = ——
<jf + δ'
ここで rを次のように定義する。
[数 52]
Figure imgf000014_0001
共振回路から出力される搬送波の定常振幅は
[数 53]
+
によって与えられる。 このことから定常振幅は 0=0において最大となり、 その振幅は
[数 54]
V
によって与えられることが分かる。
0の変化に対する定常振幅の変化
[0027] 共振回路から出力される搬送波の定常振幅は
[数 55]
+
と表すことができるので、 これを øで微分することにより、 øが△øだけ変 ィ匕したことにより定常振幅に引き起こされる振幅の変化は [数 56]
と表すことができる。
定数 rの評価
[0028] 数式 42から
[数 57]
Figure imgf000015_0001
すなわち、 rは数式 1で与えられている搬送波の振幅 | w | に依存する。 この 依存性を強調するときには、 rではなく r | W | と書くことにする。 すると、 任 意の aに対して
[数 58]
I I I
が成り立つ。
[0029] 数式 13により与えられた h0 (s)に対して定義される hVs)に対して rを評価する
[数 59]
Figure imgf000015_0002
[数 60]
/· ^ 11311304.67 となる。 これから
[数 61 ]
Figure imgf000015_0003
であることが従う 共振回路の Q値
[0030] 共振回路の Q値は共振回路の出力に接続されている負荷により変化する。 負 荷が軽くなれば Q値は大きくなる。 多くの共振回路では、 共振周波数におけ る出力の振幅がこの Q値に近似的に比例する。 つまり、 共振周波数における 昇圧比が近似的の Q値に比例する。 また多くの共振回路では共振周波数も負 荷により変化する。 すなわち共振周波数も Q値に依存する。 しかし多くの共 振回路でこの依存は小さい。
[0031 ] 昇圧比が図 4に示す周波数特性を備えた圧電トランスについて、 共振周波数に おける昇圧比とその共振周波数とについて Q値に対する依存を調べる。 図 5に 昇圧比の Q値依存性を、 また図 6に共振周波数の負荷依存性を示す。 図 5から 昇圧比がほぼ Q値に比例していることが分かる。 図 6から、 負荷が 150 か ら 300 まで変化すると、 共振周波数は 600 Hz程度シフ卜する。 このシフト は共振周波数の 1 20 kHzに対して十分に小さい。
[0032] ある負荷が接続された共振回路の伝達関数を数式 7に示すように h (s)とかくと 、 その係数 Gは数式 8から次のように与えられる。
[数 62]
1
c = — ω
' Γ ρ r
ここで grは共振周波数における共振回路の昇圧比であり、 近似的に Q値に比例 する。 また ω「は共振周波数における角速度であり、 負荷に依らず近似的に一 定であると考える。 これから係数 Gが Q値に近似的に依存しないことが分かる 。 つまり Gは共振回路に固有であり、 負荷に依らず近似的に一定であると考え ることができる。
共振回路から (5と rの抽出
[0033] 数式 57と数式 43とから
[数 63]
Figure imgf000016_0001
[数 64]
Figure imgf000017_0001
Qは数十はあるので、
[数 65]
1 係数 Gは共振回路に固有な定数であり、 wは搬送波の振幅であるので、 rは Q値 したがって Sにほとんど依存しない数であることがわかる。 この rは共振回路 からの出力を測定することにより次のように直接的に求めることができる。 共振の Q値を測定することは広く行われている。 一定の振幅を持つ共振周波 数の搬送波によって共振回路が駆動されている場合の共振の Q値を Qとする。 角速度 OJ rを共振周波数とすると数式 10から
[数 66] 20
により(5を求めることができる。 また共振回路から出力される搬送波の振幅 の最大値を Rとすると数式 54から
[数 67]
Figure imgf000017_0002
となり、 これから rを求めることができる。 この rは数式 65からほとんど Sに は依存しない。
整流平滑回路の充電と放電
電源の出力電圧は整流平滑回路により生成される。 整流平滑回路は内部にキ ャパシタを含み、 その出力電圧はこのキャパシタによってバッファされる。 このバッファリングにより出力電圧に含まれるリップルが減少する。 たとえ ば出力電圧が正である場合、 整流平滑回路は電荷をキャパシタに汲み上げ出 力電圧を上昇させることはできるが、 キャパシタから電荷をくみ出し電圧を 下げることはできない。 整流平滑回路の出力電圧は, おもに負荷抵抗と平滑 回路のキャパシタンスによって決まる時定数より早く降下することができな し、。 平滑回路に入力される電圧がこの時定数より早く降下した場合、 整流回 路の出力は平滑回路のキャパシタンスを充電することができない。 つまり整 流平滑回路に電流は流れ込まない。
通電状態
[0036] そこで整流平滑回路に電流が流れている通電状態と電流が流れ込まない切断 状態を区別する。 切断状態では出力電圧の低下を伴う。 一定の負荷のもとで 一定の電圧を出力する状態は通電状態である。 一定の負荷のもとで参照電圧 で指定された一定の電圧を出力する状態では、 出力電圧の上昇を実現する整 流平滑回路へ流れる電流の増加、 また下降を実現する電流の減少は、 一定の 電圧を出力する平衡状態の近傍における電圧と電流の変化に帰着するので、 平衡状態の近傍では電源の動作に帰還が有効に働く。 この平衡状態の近傍は 通電状態であり、 この平衡状態を実現する電流が流れたときの整流平滑回路 の時定数を とすると、 電圧が上昇するときの時定数と下降するときの時定 数は第一近似で一致して/ となることがわかる。
[0037] 電源の動作を記述する微分方程式の系を考える。 通電状態では帰還が有効に 働くので、 この状態では出力電圧と参照電圧の差は微少に保たれる。 したが つて、 微分方程式系の安定性と電源の安定性は等価である。 電源が安定とな る条件は、 微分方程式系が安定となる条件から、 微分方程式系の特性代表根 の実部が負であり、 実部がその虚部に較べて絶対値において十分に大きいこ とである。
切断状態
[0038] 出力電圧がたとえば参照電圧より高くなり、 整流平滑回路に流れる電流をゼ 口まで減らしても出力電圧が参照電圧より高い場合に切断状態となる。 切断 状態では帰還が有効に働かないために出力電圧と参照電圧の差は有限な値と なる。 切断状態ではキャパシタに蓄えられた電荷を負荷の抵抗を通して放電 することにより出力電圧は下降する。 放電する場合の時定数は、 キャパシタ と負荷の抵抗によって決まる時定数より小さくなることはない。 切断状態は 、 出力電圧が参照電圧より低くなつた時点で整流平滑回路に電流が流れ始め るので、 通電状態に切り替わる。
切断状態から通電状態へ切り替わり
[0039] 通電状態に切り替わると、 出力電圧が上昇する。 一般に出力電圧が上昇する ためには、 共振回路が整流平滑回路のキャパシタを充電し、 かつ負荷に電流 を供給することが必要である。 充電する場合の時定数は負荷が軽くなるに伴 い小さくなり、 負荷に依存する。 しかし通電状態では帰還が有効に働くので 、 出力電圧の立ち上がりの時定数は帰還によって制御され、 微分方程式系の 固有多項式の特性代表根によって決まる。
出力電圧の立ち上がりにおけるオーバーシユート
[0040] この時の出力電圧の立ち上がりにおいて、 出力電圧のオーバーシュートが引 き起こされると、 出力電圧が参照電圧より高くなり再び切断状態が引き起こ される。 この結果、 切断状態と通電状態を繰り返す断通振動が立ち上がる。
[0041 ] 断通振動が立ち上がらないためには、 切断状態から通電状態への切り替わり に伴う出力電圧の上昇がオーバーシユートを引き起こさないことが必要であ り、 またオーバーシユー卜が引き起こされなければ帰還は出力電圧を上げる 方向に働くので、 帰還の安定性は微分方程式で記述された電源の安定性に帰 着する。
[0042] 特性代表根が実根でない場合、 出力電圧の立ち上がりはオーバーシュートを 伴うため、 切断状態と通電状態を繰り返す断通振動が立ち上がる。 特性代表 根が実根の場合微分方程式は安定であり、 従ってこの微分方程式系で記述さ れた電源は安定となる。
[0043] たとえば微少なノイズにより偶発的に出力電圧が参照電圧より高くなつた場 合は、 出力電圧と参照電圧の電圧差が微少であるために微分方程式系で記述 されるように出力電圧を下げる帰還が有効に働いて出力電圧が降下すると考 えても、 整流平滑回路は出力電圧を下げることが出来ないので整流平滑回路 は切断状態になると考えても、 切断状態と通電状態を繰り返す断通振動の立 ち上がらない限り実質的な違いはない。
エンベロープによる等価電源の構成
[0044] ここで安定性の解析の対象となる電源は、 局所的に一定な振幅を持つ搬送波 を発生するドライバー回路と、 ドライバー回路の出力である搬送波によって 駆動される共振回路と、 共振回路の出力である振幅変調された搬送波を整流 することにより直流電圧として取り出す整流平滑回路とを備える電圧発生回 路と、 整流平滑回路の出力である直流電圧をこの電源の出力電圧を参照電圧 と比較する誤差増幅器と、 誤差増幅器の出力よつて決まる周波数を発生する 周波数変調回路とを備える帰還回路を含み、 周波数変調器は前記ドライバー 回路の発生する搬送波の周波数の制御を行い、 整流平滑回路の出力である直 流電圧を搬送波の周波数に帰還することにより出力直流電圧を一定にする。 この電源の構成を図 7に示す。
仮想共振回路と仮想整流平滑回路
[0045] 共振回路の出力は、 図 8に示すように共振により振幅変調された搬送波であり 、 この搬送波が整流平滑回路により直流電圧に変換される。 解析を容易にす るために、 仮想共振回路と仮想整流平滑回路を導入し、 これにより共振回路 と整流平滑回路を近似する。 仮想共振回路は共振回路とおなじ周波数変調さ れた搬送波を入力とし、 共振回路の出力する振幅変調された搬送波ではなく 、 図 9に示すようにそのエンベロープを出力する。 このエンベロープは仮想整 流平滑回路に入力される。 仮想整流平滑回路は、 その出力が整流平滑回路の 出力と同等なるような伝達関数を備えている。 仮想整流平滑回路の入力がこ の伝達関数により変換されることにより、 整流平滑回路の出力と同等な出力 が実現される。
仮想整流平滑回路の伝達関数
[0046] 整流平滑回路は、 振幅変調された搬送波を整流■平滑する事により直流電圧 を生成する。 このため直流電圧の生成には大きな遅れを伴う。 すなわち搬送 波の振幅の変化が生成される直流電圧に反映されるまでの遅れが大きい。 こ のように遅れが大きい場合、 伝達関数は一次遅れで近似できる。 そこで一次 遅れの伝達関数を仮想整流平滑回路に仮定する。
[0047] 通電状態の整流平滑回路の時定数/ がー次遅れの時定数となるのので、 整流 平滑回路が入力である高周波交流の振幅の 倍の直流電圧を生成する場合、 これに対応する仮想整流平滑回路の伝達関数は
[数 68]
〃 S +丄
となる。 整流■平滑された整流平滑回路の出力を微分回路に入力することに より一次遅れの伝達関数をキヤンセルすると、 この微分回路からの出力は仮 想共振回路から出力されるエンベロープそのものであると考えられる。
[0048] この 2/は倍圧整流にともなう乗数であるが、 整流平滑回路の出力インピーダ ンスに関係する。 整流平滑回路から出力される電圧はこの出力インピーダン スと負荷の抵抗の値によって決まるので、 この意味で乗数 は整流平滑回路 の出力インピーダンスと負荷の抵抗に依存する。
整流平滑回路の時定数/ と乗数 2/
[0049] 時定数/ は整流平滑回路を一次遅れの仮想的整流平滑回路によって近似する 際の時定数として導入された。 共振回路を記述するパラメータには、 共振周 波数、 共振周波数におけるゲイン、 共振の半値幅がある。 共振回路が整流平 滑回路を充放電する過程を記述するためのあたらしいパラメータとして、 共 振回路が整流平滑回路を充放電する際の時定数 と、 出力インピーダンスと 負荷と整流回路の倍圧に依存して決まる乗数 を導入した。 ここで u も も 出力電圧と出力電流の関数であるが、 出力電圧、 出力電流の変化に対して緩 やかに変化するので、 ある指定された出力電圧、 出力電流の近傍では定数と 近似することができる。
共振回路の遅れと整流平滑回路の遅れ
[0050] 電源における共振回路の遅れと整流平滑回路の遅れとを考える。 共振回路の 極の遅れを f sec, 整流平滑回路の極の遅れを secとすると、 [数 69]
f « μ
である。 共振回路の遅れは Sによって
[数 70] ブ4
と評価することができる。 これから
[数 71 ]
μδ » 1
が成り立つことが分かる。
等価電源
[0051 ] 等価電源はドライバー回路と仮想共振回路と仮想整流平滑回路とからなる仮 想電圧発生回路と、 誤差増幅器と周波数変調器とからなる帰還回路から構成 される。 仮想電圧発生回路によって発生された直流電圧が等価電源の出力で あり、 帰還回路はこの直流電圧を搬送波の周波数に帰還する。 誤差増幅器は 、 引き算回路と位相補償回路からなる。 出力電圧と参照電圧の電圧差を検出 する引き算回路の出力は位相補償回路に入力される。 この位相補償回路の出 力が誤差増幅器の出力である。 周波数変調回路は、 誤差増幅器の出力よつて 決まる周波数を発生する。 周波数変調器はライバー回路の発生する搬送波の 周波数を制御する。 等価電源の模式図を図 10に示す。
等価電源のループゲイン
[0052] 仮想共振回路の出力を y、 仮想整流平滑回路の出力を zとすると、
[数 72]
: =、')' =、' +
また zを分割抵抗で分割した電圧 d zと参照電圧 nとが引き算回路の増幅器に入 力される。 ここで dは分割抵抗 R1 ; R2の分割比であり、 位相補償回路への入力 を Vとすると、 [数 73] i
RL+RZ
[数 74]
Figure imgf000023_0001
と書くことができる。
このとき、 仮想整流平滑回路の出力 zが ζ+Δζに変化したとすると、 誤差増幅 器への入力は Δνだけ変化する。 ここで Δνは
[数 75]
Av = dAz
である。 誤差増幅器のゲインを Lとすると、 誤差増幅器の出力は- L Δν (= -L d Δζ )だけ変化する。 この結果、 周波数変調器から出力される搬送波の周 波数は△øだけ変化する。 ここで △øは
[数 76]
Figure imgf000023_0002
と書くことができる。 このとき仮想的共振回路から出力される振幅は数式 56 から
[数 77]
— . , '
I +( I
Figure imgf000023_0003
だけ変化し、 これから仮想的整流平滑回路の出力は
[数 78]
v^)vkLd Δ二
〔 + ) だけ変化することが分かる。 つまりループゲインは
[数 79] となる。 Aが誤差増幅器の直流ゲインの場合
[数 80]
N = r vkA d
と置くと、 直流的ループゲインは
[数 81 ]
一 N φ _ と表される。 帰還回路としての安定化直流電圧電源には、 出力電圧の安定性 を高めるために一般に大きな直流的ループゲインが実装される。
(5の近傍
[0054] 図 1 1に直流的ループゲインを øの関数として示す。 これから分かるようにル ープゲインは 0 = (5 / 2において最大値となり、 φ =3 (5で最大値のほぼ 1 /4 となる。 後の議論の便宜のために、 øの変域のうち 区間 [ (5 / 2, 3 を (5 の近傍と定義すると定義より (5の近傍では
[数 82]
Ν φ , が成り立つ。
等価電源の負荷について
[0055] 等価電源の負荷は仮想共振回路の Sに反映される。 負荷が重くなると、 共振 回路の Qが小さくなり、 Sが大きくなる。 また逆に、 負荷が軽くなると、 Qが 大きくなり、 したがって Sは小さくなる。 そこで等価電源の安定性を解析す る場合、 その負荷を駆動する仮想共振回路の S Lによって負荷 Lを指定する。 つまり、 ある負荷 Lが接続された等価電源の安定性は、 仮想共振回路の Sが その負荷に対応した S Lにある時の電源の安定性と理解する、
スマート電源の安定性
[0056] 誤差増幅器の伝達関数が E, A, Bを正数として [数 83]
E + A s + B s と与えられるとき、 その誤差増幅器をスマートと呼ぶ。 スマートな誤差増幅 器の伝達関数は原点に配置された極を持つ。 スマー卜な誤差増幅器を備えた 電源がスマート電源である。 スマート電源について帰還の安定性を考察する 。 スマー卜な等価電源では出力電圧が仮想共振回路を駆動する搬送波の周波 数へ帰還される。 帰還の安定性を考察するために、 出力電圧のわずかなズレ を考え、 このズレの帰還による変化を調べる。 帰還が安定であれば、 ズレは 縮小する方向に変化する。 ズレが拡大する方向に変化すれば、 帰還は不安定 である。 この出力電圧のわずかなズレの帰還を考える際には、 そのズレが微 少であるので、 (5, , は一定であると仮定する。
スマート電源の一例とその微分方程式系
誤差増幅器は引き算回路と位相補償回路からなる。 引き算回路は分割抵抗と 増幅器からなり、 増幅器がその入力の電圧差を出力する。 位相補償回路は増 幅器とその周辺回路からなり、 引き算回路の出力から誤差増幅器の出力を生 成する。 仮想共振回路あるいは仮想整流平滑回路の動作に比べて増幅器は十 分に速く動作するので、 誤差増幅器による遅れはすべてこの位相補償回路に よると仮定することができる。 スマートな電源の一例を図 12に示す。 図 12の 電源について、 仮想共振回路の出力を y、 仮想整流平滑回路の出力を zとする
[数 84]
Figure imgf000025_0001
[数 85]
Figure imgf000025_0002
また zを分割抵抗で分割した電圧 d zと参照電圧 nとが引き算回路の増幅器に入 力される。 ここで dは分割抵抗の分割比であり、 位相補償回路への入力を Vと すると、
[数 86] R、
[数 87]
v= \ d z-fi) と書くことができる。 図 12の位相補償回路への入力を v、 その出力を V。とする と、 Vと V。は
[数 88]
-v0 = V
。 C s の関係で結ばれている。 これは次式のように書き直すことができる。
[数 89]
d 「 , ., d
V— =Ev + A— v
dt 0 dt
ここで
[数 90]
E= 1
Rf -,
[数 91]
R、
数式 85から、
[数 92] d -ζ + ν-^ρ' +q
dt これから [数 93]
Figure imgf000027_0001
[数 94]
Figure imgf000027_0002
数式 94に数式 6を適用すると、
[数 95] = /ί- Ed (-
Figure imgf000027_0003
[数 96] d
つまりこのスマート電源は次の微分方程式系で記述される < [数 97]
d
p = q(f)— ρϋ + rr
dt
讓]
Figure imgf000027_0004
[数 99]
Figure imgf000027_0005
[数 100]
Figure imgf000027_0006
スマート電源と微分方程式系 [0059] 仮想整流平滑回路の伝達関数は次のように与えられる。
[数 101 ]
" s +丄
そこでこの仮想共振回路による遅れを相殺するゼロ点を考慮したスマート電 源の模式図を図 13に示す。 このスマート電源についてフィードバックの安定 性を考察する。 誤差増幅器は引き算回路と位相補償回路からなる。
駆動周波数が共振周波数より高い場合
[0060] 共振回路を駆動する搬送波の周波数が共振周波数より高い場合、 すなわち ø ≥ 0の場合には、 位相補償回路の伝達関数は次のように書ける。
[数 102]
Figure imgf000028_0001
ここで E, Aおよび Bはそれぞれ正の定数である。 数式 92から
[数 103] d -z + v ^p' + c この式から zの 2階微分を数式 47、 数式 (48を使用して計算すると、
[数 104]
Figure imgf000028_0002
[数 105]
! 三 ! )
Figure imgf000028_0003
グ +
結局、 スマート電源は次の微分方程式系で記述されることが分かる。
[数 106] [数 107]
d
q =—ρφ― gS + y;
dt
[数 108] d _-ζ + ν^ρ' +q
dt
[数 109]
+P
+
Figure imgf000029_0001
+ ," 平衡点近傍での安定性
微分方程式系 数式 106〜数式 109の平衡点は p, の解である。
[数 110]
0 = - ρδ +;;
[数 111]
0 = -ρ -qd + i]
[数 112]
—二 + 1 ρ' +q.
0 =
u
[数 113]
Figure imgf000029_0002
+kBd +]' (ι' + ι'
+― +
μ1 '" グ + ," 平衡点では
[数 114] p = . ^ ,; = (), := 0,
dt ώ dr dr = が成り立つので、 平衡点は次の連立一次方程式の解である。
[数 115]
αφ一 vd + / = 0
[数 116]
- υ - qd +;; = 0
[数 117] ^p' + q' -二 = o
[数 118] 数式 115から数式 117を連立して、 p, q, zを øの関数として求め、 これを数式 113に代入すると数式 118を得る。 この解である平衡点を pe, qe, ze, 0eとす るとき、 pe, qe, zeおよび λは、 0eの関数として次にように表すことができ る。
[数 119]
Figure imgf000030_0001
[数 120]
Figure imgf000030_0002
[数 121 ]
Figure imgf000030_0003
[数 122]
Figure imgf000031_0001
Lyapunovの方法により平衡点の近傍での微分方程式系の安定性を調べる。 p, q, z, øをそれぞれ pe, qe, ze, 0eの近傍で次のように展開する。
[数 123]
ρ = ρε + άρ
[数 124]
q = qe +
[数 125]
-=-, + Δτ
[数 126]
Φ = ΦΒ + ^Φ
この式を微分方程式系 数式 106〜数式 109に代入し高次の項を無視することに より Ap, Aq, Λζ, Λ0に関する次のような正規かつ線形な微分方程式系を 得る。
[数 127]
Figure imgf000031_0002
Figure imgf000031_0004
[数 128]
Figure imgf000031_0003
ここで
[数 129]
, r kAdv p。 , + _ rrr η ;十 V;
Figure imgf000032_0001
[数 130]
M ,、 =
Figure imgf000032_0002
このとき、 行列 Mの要素は pe, qe, ze, 0eの関数となる力 数式 119〜数式 122 により 0eの関数と考えることができる。 したがって、 Mの固有多項式を m(h) とし、
[数 131]
/??(/?) = ajf + aj + a + , + a4 と書く。 係数 a0, au a2, a3, a4は以下のように 0eの関数となる。
[数 132]
0 = 1
[数 133] u
[数 134]
2 e' + δ' ό + kdr Β„ι· + μ\ β" + δ'
α, =
[数 135]
Figure imgf000032_0003
[数 136]
QA一 I , ,
Λ _ + 〃
ここで、 rは次にように定義されている。
[数 137] r = ; +;; 駆動周波数が共振周波数より低い場合
共振回路を駆動する搬送波の周波数が共振周波数より低い場合、 すなわち ø ≤ 0の場合、 øを- øと置く。 たとえば出力電圧が参照電圧によって設定され る電圧より高い場合には、 駆動周波数は共振周波数から離れる方向に動くの で位相補償回路の伝達関数は次のように
[数 138]
, , ΛΕ + As + Bs2)^
φ = k d 一、 数式 102と同一の式で書ける。 øを- øと置くと 数式 106、 数式 107は次のよう になる。
[数 139]
Figure imgf000033_0001
[数 140]
— 9 = ΡΦ-≠ + Ί 数式 103から ζの 2階微分を数式 139、 数式 140を使用して計算すると、 ζの 2階 微分には øが含まれていないので
[数 141] ^' + {ν + νμδ) | ζ | vjqi +ρι;)
dt1 μ1 μ1 ,"7?+
と数式 105と同一の式となる。 共振周波数よりも低い 駆動周波数の場合、 スマート電源は ø ≥ 0として次 の微分方程式系によって記述されることがわかる。
[数 142]
Figure imgf000034_0001
[数 143]
d
q = ρφ— qS + r,
dt
[数 144]
—二 +、 +q
[数 145]
.; kAd\-z + v ^
—φ = kEd (z -:) +——-、
dr ; μ p" + C\ [)' + V +丄+丄' ; + 」
+kBd
μ1 ,"2 p^+fu 平衡点 pe, qe, zeおよび λは、 0eの関数として次にように表すことができる
[数 146]
[数 147]
_ ;
[数 148]
' + [数 149]
Figure imgf000035_0001
[0065] この平衡点の近傍で線形化された微分方程式系 数式 142〜数式 145の固有多項 式を m(h)とし、 m(h)を
[数 150]
;??(/?) = a0h4 + a J' + a r + a,h + 4 と表すと、
[数 151]
Figure imgf000035_0002
として、 係数 a0, a,, a2, a3, a4は再び数式 132〜数式 136によって与えられる ので、 駆動周波数が共振周波数より高い場合にも低い場合にも、 係数 aQ, a, , a2, a3, a4は ø ≥ 0として 数式 132〜数式 136によって与えられることがわ かる。
固有多項式の再定義
[0066] 数式 132〜数式 136において、 項 k, d, v, rはまとまって A, B, または Eとと もに現れるので、
[数 152]
kdvrA = N
と置き、 さらに Bpと Ep
[数 153]
kdvrB = BpN [数 154]
kdvrE = EpN つまり [数 155] ρ A
[数 156]
と表し、 さらにこの Bpと Epを再び Bと Eと書くと、 係数 a0
下のように 0eの関数となる。
[数 157]
0 = 1
[数 158]
Figure imgf000036_0001
[数 159]
Figure imgf000036_0002
[数 160]
φίΝ + \ψ; + δι \
[数 161]
Λ + '
数式 131において定義された Μの固有多項式 m(h)を、 数式 157〜数式 161におい て再定義された係数 a0, a a2, a3, a4を用いて再び次のように定義する。
[数 162]
/??(/?) = a0h4 + r^ + ajr + a i + 4 固有多項式の根 [0068] スマート電源を記述する微分方程式系において、 出力電圧が参照電圧の付近 にある場合、 言い換えると平衡点の近傍での出力電圧の振る舞いはこの微分 方程式系の極によって与えられる。 スマート電源を記述する微分方程式系 数 式 142〜数式 144の極はこの微分方程式系の固有多項式 数式 1 62の根によって 与えられる。
[0069] 帰還の安定性は固有多項式の根によって決まる。 微分方程式系が Lyapunovの 意味で安定であるためには、 固有多項式のすべての根の実部の負であること が必要十分条件である。 電源を記述する微分方程式系が Lyapunovの意味で安 定であることは、 電源の満たすべき必要条件である。 Lyapunovの意味での安 定性は電源の安定性としては十分ではない。 例えば Lyapunovの意味で安定な 電源の出力電圧が振動する場合が存在する。 また出力電圧が参照電圧で設定 された出力電圧の近傍で振動する場合、 あるいはまた長い時間をかけてに振 動しながらゆつくり安定する場合もある。
[0070] 電源としての望ましい特性は、 固有多項式の適切な根の配置によって実現さ れる。 つまり電源の S, U , 2/の値に応じて E, B, Nの値を選び、 適切な根の 配置を実現することにより、 望ましい特性が実現される。 固有多項式の根の なかでその実部の絶対値が最小である根を特性代表根と呼ぶ。 特性代表根は 多項式の根のうちで実部が一番原点に近い根である。 帰還により安定化され た電源の出力電圧の特性はこの特性代表根に強く依存する。 特性代表根が虚 根から分離された実根である場合に電源は望ましい特性を実現する。 次節で は実用的な仮定の下で特性代表根が虚根から分離された実根となる条件を求 める。
固有関数 m (h)の分解
[0071 ] 固有関数 m (h)は次のように書くことができる。
[数 1 63]
(h + δ)1 + φ1 1 h (," h + 1) φ ( 2B + h + E)N
数式 1 63の右辺の第 2項は帰還回路の伝達関数の分子に一致する。 これから第 2項は帰還回路からの寄与であることが分かる。 また第 1項は帰還回路の伝 達関数に依存しないので電圧発生回路からの寄与であることが分かる。 第一 項の項 hは帰還回路の原点に位置する極に対応する。 項( h+1)は整流平滑回 路に対応し、 その遅れの時定数が であることを示す。 また項(( x + δ )2 + 02)は共振回路に対応する。
[0072] 数式 163から電圧発生回路の伝達関数を Fw、 帰還回路の伝達関数を Bkとすると 、 定数倍と共通の定数 Cにたいして C Fwと(1/C) Bkとの違いを除いて FJこついて [数 164]
Figure imgf000038_0001
であり、 Bkについて
[数 165]
BIf +h + E
Bk = ~ h ~
となり、 閉ループの伝達関数 Fw/(1+Fw Bk)を計算すると
[数 166]
Fw _ Ν
Figure imgf000038_0002
となるので、 固有関数 m(h)は閉ループ伝達関数 Fw/(1+Fw Bk)の分母に定数倍を 除き一致することがわかる。
[0073] 数式 163から 0=0のときの m(h)は
[数 167]
Figure imgf000038_0003
するときの m(h)は [数 168]
Figure imgf000039_0001
によって与; t bれる。
帰還による原点の近傍に位置する極の導入
[0074] スマートな等価電源は微分方程式系によって記述され、 固有多項式はこの微 分方程式系によって定まる。 スマー卜な等価電源は仮想電圧発生回路と帰還 回路から構成される。 つまり固有多項式は仮想電圧発生回路の伝達関数と帰 還回路の伝達関数に依存する。 仮想電圧発生回路は整流平滑回路の生成する 極を含む。 この極は整流平滑回路の遅れに対応しており低い周波数にある。 スマート電源では帰還回路に原点に位置する極を導入することにより、 固有 関数に原点の近傍に位置する実根を生成すると同時に整流平滑回路の遅れに 対応した実根をより高い周波数に移すことにより原点の近傍の極から高い周 波数に移動した極までの周波数領域に、 一次遅れで近似できる広い周波数の 領域を確保する。
[0075] たとえばループゲインに対応した Nを大きくすることにより整流平滑回路の遅 れに対応した根をより高い周波数に移すことができる。 この根の移動は固有 多項式の原点の近傍の根と整流平滑回路の遅れに対応した根以外の根を結果 的に低い周波数に移す。 一次遅れで近似できる広い周波数の領域を確保する ためには電源のパラメータに応じて E, B, Nを適切に選ぶことが必要となる。 二つの関数
[0076] 数式 163で与えられた m (h)の表現から関数 (h)と f2 (h)を次のように定義する [数 169]
+ S) + 2 \ h (uh + i) [数 170] 顏 =- 、
^φ' +δ' μ このとき、 固有多項式 m(h)は
[数 171]
m(h)= fi' f)- f2'(h) と書くことができる。
関数 (h)
[0077] 関数のグラフ y = (h)を考えると、 数式 163からこのグラフは原点と- に おいて h軸と交わる。 また- S « であることを考慮すると、 h < -Mil において正の値を取る関数であることが分かる。 図 14に = 01)のグラフを示 す。
関数のグラフ y = f2(h)
[0078] 関数 f2(h)のグラフ y = f2(h)は、 øと Nとが与えられた場合上に凸な二次曲線 である。 øと Nに依らず m(h)=0が原点の近傍に実根を持つ条件を考える。 グラ フ y = f2(h)が h軸と交点を持たない場合、 Nまたは øが大きくなるとグラフは -yの方向に移動するのでグラフ y = 0 とグラフ y = f2(h)は原点の近傍に実 根を持つことができなくなる。
[0079] グラフ y = f2(h)が h軸と交点を持つ場合、 関数 f2(h)の定義から f2(h) = 0の根 はすべて負の実根となる。 この実根のうち絶対値が最小の実根を haとし、 他の 根を hbとする。 このときグラフ y = f2(h)は 0と Nに依らず haと hbとを通る。 こ の実根のうち haが h軸上の- 1/〃 ≤ h 〈0の範囲にあるときには øと Nに依らず m (h)=0が原点の近傍に実根を持つ。 さらに hbが hb < を満たす場合には、 図 14から分かるように整流平滑回路の遅れに対応した根- 1/ はより高い周波 数に移動する。
[0080] 実根 haと hbがともに h軸上の- ≤ h く 0の範囲にあるときには m(h) = 0が- 1 / ≤ h く 0の範囲に 2個の実根を持つことになる。 また実根 haと hbとがとも に h軸上の- ≤ h <0の範囲にない場合には Nまたは øが大きくなると m(h) = 0は原点の近傍に実根を持つことができない。 実根を持つ場合には- ≤ h く 0の範囲に 2個の実根を持つ。
固有多項式が原点の近傍に実根を持つと同時に整流平滑回路の遅れに対応し た根- 1/ をより高い周波数に移すのは、 haが h軸上の- ≤ h <0の範囲に あり、 hbが hb < -1/ を満たす場合となる。 グラフ y = f2(h)が h軸と- ≤ h <0の範囲に一つの交点を持つ必要十分条件は
[数 172]
. (--) >0
μ
[数 173]
/2(0)<0 が同時に成り立つことである。 ところで数式 173は Ε > 0から自動的に満たさ れる。 数式 172から
[数 174]
Εμ1- μ + Β<{) が従う。 これから
[数 175]
"? (—上)く 0
μ
であることが分かり、 また m( 0 ) >0であることから m(h) = 0は- ≤ h < 0の範囲に一つの実根を持つことが分かる。 また数式 174からグラフ y = f2(h) 力《h軸と- ≤ h く 0の範囲に一つの実根を持っためには
[数 176] 丄 の必要であることが分かる。 また f2(h) = 0が相異なる実根を持つことから [数 177]
l-4BE>0 の必要であることが分かる。
グラフ y=f (h)と y=f2 (h)との交点
[0082] 帰還が Lyapunov の意味で安定であるためには固有多項式のすべての根の実部 が負であることが必要十分である。 数式 1 74が成り立ち、 固有多項式 m (h) = 0 は- ≤ h <0の範囲に一つの実根を持つことを仮定して、 固有多項式の すべての根の実部が負となる条件を明らかにする。 固有多項式は実根をもつ ので、 固有多項式は 4個の実根を持つ場合と、 2個の実根と 2個の虚根とを 持つ場合がある。 固有多項式 m (h) = 0は h > 0において m ( h ) > 0であるので 、 4個の実根を持つ場合にはすべての実根は負となり、 Lyapunovの意味で安 定であることがわかる。
[0083] 固有多項式 m (h)が実根 h1 ; h2の他に 2個の虚根 h3, h4を持つとき、 虚根 h3, h4は 共通の実部 hrを持つ。 このとき実根 h2とグラフ y = f2 (h)と h軸との交点 ha, hb
[数 1 78]
} < h, < ha < ϊ < 0 の関係にある。 根と係数の関係から
[数 1 79]
ί + ?, + /?_, + /?_, = -aL〜 -2 S
[数 180]
Λ, + hA = 2 hr が成り立ち、
[数 181 ]
ί + h2 + 2 hr = - L〜—2 δ がなりたつので、 実根の評価から虚根の実部の概略を評価することが可能に なる。
[0084] 数式 181から hrが負となるためには [数 182]
-aL < ί + h2
が必要十分条件である。 数式 182の十分条件はいろいろな形で表現することが できる。 たとえば
[数 183]
Λ (— <o
が成り立つ場合、
[数 184]
-S < 1 < /?,
が成りたち、 は原点の近傍に位置するので、
[数 185] h と評価することができ、 根は原点に近い順番に h 次に h2と虚根の実部とが前 後して並ぶことが分かる。 同様にして
[数 186]
.;(-|)«) が成り立つ場合、
[数 187] h ---6
r 4
と見積もることができ、 根は原点に近い順番に h2、 虚根の実部と並ぶこと が分かる。 また数式 183は
[数 188]
BS2-S + E>0
と書くことができるので [数 189] 丄
δ
は数式 183の十分条件となることが分かる。
Βによる Νへの制限
[0085] 数式 181から分かるように、 h2が- 2 Sの付近の値であり
[数 190]
-2 δ≤ の時には
[数 191 ]
— 2 rf—丄≤ + /¾ となるので、 虚根の実部 hrは原点の近傍にあるが
[数 192]
hr≤ 0 を満たす。 つまり h2が- 2 <5に向かって小さくなると、 hrは負の側から原点に向 かって大きくなる。 h2が- 2 <5を超えてさらに小さくなると、 hrは原点を超えて 正となり、 帰還は Lyapunov の意味でも安定ではなくなる。
[0086] hbが- 2 <5より大きい場合には、 どのように大きな Nにたいしても h2はつねに- 2 Sより大きくなり、 hrが正となることはない。 しかしながら hbカ より十分 に小さい場合には Nを大きくすると、 h2が- 2 <5を超えて小さくなるので帰還は 不安定になる。 つまり hbが- 2 <5より十分に小さい場合には安定な帰還を実現す るためには Nに上限のあることが分かる。
[0087] 関数 f2 ( h ihの関数として
[数 193]
Figure imgf000044_0001
と書くことができ、 haが原点の近傍にあるので hbについて [数 194]
, 1
b B
の成り立つことがわかる。 したがって Bが小さくなると hbは- 2 <5を越えて小さ くなる。 これから Lyapunov の意味で安定な帰還を実現するためには、 Bが 1/( 2 (5)より小さい場合には Nに上限のあることがわかる。
[0088] まとめると、 数式 174が成り立つている場合すなわち
[数 195]
Εμ1- μ + Β≤ΰ である場合、 Βが 1/(2S)より十分に大きい場合に帰還は Νに依らず Lyapunov の意味で安定となるが、 Bが 1 / (2 S )より小さい場合には Lyapunovの意味で安 定な帰還を実現するためには Nに上限が必要となる。
øの関数としての固有関数 m(h)
[0089] 数式 163から固有関数 m (h)は次のように書ける。
[数 196]
(h + S)1 + φ1 I h (uh + 1) rB + h + Ε)Ν
," 2+ ,"
h ≤ かつ Bh2 + h + E ≥ 0の場合
[0090] 数式 196からわかるように
[数 197]
/,<-!
μ
ならば第一項は正となり、
[数 198]
B/r+ + E≥0
を満たすならば第二項も正となるので
[数 199]
/??(/?) > 0 がが øøにに依依ららずず常常にに成成りり立立つつ。。 たたととええばば BB << ななららばば hh == --11//BBににおおいいてて BBhh22++ hh ++EE == EEととななるるののでで
[[数数 220000]]
;;????((----))>>(())
BB
力力《《00にに依依ららずず成成りり立立つつ。。
hh ≤≤ -- 11// かかつつ BBhh22 ++ hh ++ EE << 00のの場場合合
数数式式 119966かかららわわかかるるよよううにに固固有有多多項項式式 mm((hh))はは hhののみみななららずず øøにに依依存存すするる。。 hhをを固固 定定ししてて øøのの関関数数とと考考ええたた mm((hh))をを EEhh((00))とと表表すす。。 すすななわわちち
[[数数 220011]]
ΕΕ,,((φφ)) == ηηιι((ίίιι)) とと定定義義すするる。。 ままずず EEhh ((XX))のの XXにに関関すするる微微分分をを計計算算すするる。。
[[数数 220022]] dd (( ,, xxhh((uuhh ++ ll)) SS22((hh22BB ++ hh ++ EE))NN
~~ EEhh \\xx)) == ^^ ++ ~~一一--,, ——ii
μμ ||xx22++ffii))22 JJ μμ ここここでで EEhh ((xx))のの微微分分はは xx==00ににおおいいてて、、 仮仮定定かからら
[[数数 220033]]
Figure imgf000046_0001
となるので
[数 204]
Figure imgf000046_0002
となることがわかる。 また Xが大きいところでは明らかに
[数 205]
Figure imgf000046_0003
となるので、 [数 206]
ί d
Eh (x) =
dx を満たす Xの存在することがわかる。
[0092] ここで Eh (X)の Xに関する二階微分を計算すると
[数 207] i(uh + l) 2x( rB + + E)N
-h IX )=丄 ό
' ' [χ'+δ1 \ 'μ となる。 この式と仮定から X ≥ 0において
[数 208]
[x)>0
dx2 h が成り立つ。 これから Eh(x)は xの関数として下に凸であることがわかる。 数式 204と数式 205とから、 数式 206を満たす Xがただ一つ存在する。 数式 206を満た す Xを 0hと書くと、 関数 Eh(x)は x=0hにおいて最小値を持つ。 したがって Eh (X )の微分は x=0hにおいて 0となるので
[数 209]
0 = 2 |" φ,' + δ11 h(u + l) + S2 {jfB + /? + Eヽ N これから 0hを使って Nを
[数 210]
、' 2 /'( 德 2 + 2
' S2 (h2B + h + E) と表すことができる。
[0093] 数式 210を使つて最小値 Eh ( ø h)を求めると、
[数 211]
Ε ( )
Figure imgf000047_0001
となる。 これから h = において Bh2 + h + E < 0が満たされている場合、 す なわち
[数 212]
Βδζ -δ + Ε<
ならば- S く - 1/ であるので
[数 213]
であることが分かる。
[0094] 数式 211から
[数 214]
h+S≠
が満たされているとき、 Eh(0h)が正となる 0h > 0を満たす 0hが存在する。 最 小値 Eh(0h)が正となる 0hの変域は次のように求めることができる。 Gh
[数 215]
Figure imgf000048_0001
と定義する。 ただし gh( Φ )は次のように定義する。
[数 216]
gh( )≡δ2(h + δ^†- 2\ δl +2 l ) ここで数式 216は数式 211の部分項である。
[0095] Gを
[数 217]
Figure imgf000048_0002
と定義する。 gh(x)は X ≥ 0において Xの単調減少関数である。 gh(x)の x=(5/ 2における値を計算すると
[数 218] これから- 2 δ ≤ h ≤ の場合
[数 219]
また h ≤ -2 δ の場合
[数 220]
の成り立つことが分かる。
Nから決まる 0hと Eh( 0h )
[0096] δ (>0) があたえられているとき、 X ≥ 0を変域とする Xの関数 ml (X)を次の フレ E義"^る。
[数 221] ml(x) = x| x2 + ό' I 定義から ml(0) = 0であり、 また xが単調に無限大に増大するとき ml (x)は単 調に無限大に転移する。 従って任意にあたえられた正数 Tに対して、
[数 222]
nil(x) = T
を満たす Xがー意的に存在する。
[0097] Nは定義より定数であり、 したがって hに依らない。 数式 210を次のように書き 直す。
[数 223]
Figure imgf000049_0001
数式 223の右辺において、 δ' を定数、 Ν, Ε, Βはあらかじめ与えられた定 数と考えると、 右辺は hの関数となる。 数式 223は任意の h < - 1/ に対して 0h が一意的に決まることを示している。 任意の h ≤ - に対して 0hが一意的 に決まり、 したがって Eh(0h)が決まる。 このとき h ≤ - 1/ を満たす hに Eh(0 h)を対応させる関数を F( h )と書くと、 F( h )は [数 224] 丄
μ
[数 225]
B!r+h + E<
を同時に満たす hすなわち
[数 226] hb <h<-- μ
に対して定義された
[数 227]
の N, E, Bに依存して決まる関数である。 Nを大きくすると F(h) < 0となる hの 範囲が広がり、 小さくすると狭くなるので、 Nにより F(h) < 0となる hの範囲 を制御することができる。
[0098] F( h ) > 0ならば任意の ø > 0にたいして m( h ) > 0となるので、 固有多項 式 m( h )は F( h ) > 0を満たす hの領域に øに依らず実根を持つことはない。 原点の近傍の実根の評価
[0099] 帰還が安定になるためには数式 174と数式 177とから
[数 228]
E U1 - μ + Β <0
[数 229]
EB< - 4
の同時に成り立つことが必要であり、 さらにたとえば
[数 230] が成り立つとき帰還は Nに依らず安定となる。
[0100] 実際の回路では出力電圧にリップルが重畳する。 Nはこのリップルの増幅に関 係し、 Bはリップルの微分に関係する。 Nを大きくするとリップルが大きくな るので、 Nは実際にはリップルにより制限される。 この結果、 帰還の安定性を 損なうことなく Bを
[数 231 ]
B < -1
S
とすることが可能になる。 リップルとの関係で実際の回路では
[数 232]
π 1
Ε <—
μ
[数 233]
Β ―
δ
が実用的な定数の選択となる。 Εと Βとが数式 232と数式 233とに従うとき、 数 式 162においいて定義された固有多項式 m (h)は- Εの近傍に実根の特性代表根 を持つことが分かる。
[0101 ] 言い換えると、 図 13に示されたスマート電源の模式図において、 この電源に 十分な直流的ループゲインが実装され、 かつ条件 数式 232および数式 233を満 たしている Eおよび Bによって位相補償回路の伝達関数が次のように与えられ ているとき、
[数 234]
d iE + s + B s1 )
s
固有多項式は- Eの近傍に実根の特性代表根を持つ。
安定な帰還の実現
固有多項式の特性代表根
[0102] 固有多項式の原点の近傍の実根を e0とすると、 e0は固有多項式の特性代表根で あり、 したがって出力電圧は近似的に
[数 235]
l - exp(-e0 r)
の時間的経過で立ち上がる。 つまり立ち上がりの時定数は 1/eQである。 また実 際の回路における実用的な設定では eQは Eの近傍にあるので、 立ち上がりの時 定数は近似的に 1/Eとなる。 Eが小さくなれば e0は小さくなリ、 Eが大きくなれ ば も大きくなる。 Eを大きくすれば立ち上がりは早くなる。
[0103] さらに Eを大きくすると、 Eはやがて数式 174あるいは数式 177を満たさなくな る。 これに伴い出力電圧にオーバーシュートが現れる。 これは特性代表根 e0が 虚根に変わったことに対応する。
Bの値
[0104] 帰還が安定になるためには、 Eと Bとは数式 174すなわち
[数 236]
Figure imgf000052_0001
かつ数式 177すなわち
[数 237]
EB < - 4
を満たすことが必要である。 たとえば
[数 238] 丄 を満たすように Eを選ぶと、 Bの選び方には自由度のあることが分かる。 Bは hb と数式 194すなわち
[数 239]
, 1
!
b B
の関係にあるので、 数式 178すなわち [数 240]
/¾ < /?, < ha < } < 0 から、 Bは h2の位置を制約し、 この結果 Nを制約することになる。
[0105] hbの Eと Bとに対する依存は、 数式 227において定義されている関数 F (h)によつ て記述される。 すなわち
[数 241 ]
/ く ≤—丄
μ
を満たす が
[数 242]
F(h) > 0 であるならば任意の ø ( > 0 )に対して
[数 243]
となる。 F (h)は E、 B、 Nに依存する。 F (h)く 0となる hの範囲は Nによって制御で きる。 E、 B、 Nに対して F (h)を求めることにより h2を精密に評価することが可 能となる。
整流平滑回路によるリップル
[0106] 実際の回路で Bと Nとを制約しているのは、 電源の出力電圧に重畳しているリ ップルである。 微分方程式系で記述される電源では、 仮想的整流平滑回路の 出力にリップルは重畳していない。 しかし実際の整流平滑回路の出力には整 流に伴う高周波の周期的なリップルが重畳している。 微分方程式系 数式 106 〜数式 109において、 周期的なリップルが出力電圧に対応する zに重畳してい る場合、 zは平衡点 0 eによって決まる出力電圧 zeを中心に振動する。 実際の 電源では、 出力電圧の立ち上がは微分方程式系 数式 106〜数式 109に従い変化 するのが、 たち下がりはこの微分方程式系とは独立に変化する。 したがって 出力電圧に重畳する周期的なリップルの出力電圧に対する影響は複雑となる 。 周期的なリップルは出力電圧に zeを中心する振動を引き起こす。 [0107] 周期的なリップルによって、 出力電圧は参照電圧によって設定された電圧の 付近を振動するが、 この振動の振幅はリップルの振幅と ループゲインが大き くなるにつれておおきくなる。 さらに誤差増幅器の出力に大きなリップルが 重畳すると、 これが駆動周波数を共振周波数を超えて低くするいわゆるフィ 一ドバックブレイクダウンを引き起こす可能性がある。 リップルによるフィ 一ドバックブレイクダウンは電源に好ましくない。
[0108] Eが与えられているとき出力電圧の立ち上がりの時定数は 1 /Eで近似できる。
帰還が有効となる周波数帯域の外側にあるリップルをフィルターで減少させ ることにより、 大きな直流的ループゲインを実現することが可能となる。 出 力電圧に重畳する周期的なリップルの減少に有効な回路が特許文献 2に提案 されている。
回路定数の選定
[0109] 原点に極を導入して安定化を達成することができれば、 負荷あるいは入力電 圧の変化に対する出力電圧の安定性は向上する。 誤差増幅器の伝達関数を [数 244]
- + l + B s
s
と仮定し、 帰還が安定となる実用的な十分条件を求めた。 共振回路を記述す るパラメータには、 共振周波数、 共振周波数におけるゲイン、 共振の半値幅 がある。 共振回路が整流平滑回路を充電する過程を記述するために、 整流平 滑回を一次遅れで近似することにより時定数/ を、 また出力インピーダンス と負荷と整流回路における電圧の倍圧に依存して決まる乗数 を導入した。
[01 10] 共振回路を固定すると、 その共振回路が負荷に対して実現する昇圧比から (5 の大まかな値が決まる。 また共振回路の出力インピーダンスから、 整流平滑 回路のキャパシタンスを充電する時定数 を見積もることが可能となる。 キ ャパシタンスを充電する時定数 は負荷によって大幅に変化する。 時定数 の最大値を maxとするとき [数 245]
Eく丄 となるように Eを選ぶ。
[0111 ] 実際の整流平滑回路の出力には整流に伴う高周波のリップルが重畳している 。 Nはリップルを増幅するので Nの大きさは制限される。 リップルの微分係数 である観点から Bは小さい選ぶことが望ましく、 B = 0も選択肢の一つである 。 安定性からは、 Bを小さく選ぶことは Nの大きさを制限することになる。 実 際の回路では Nはリップルの増幅によって制限されており、
[数 246] β -丄
S
力《Βの実用的な選択となる。 つまり 1/ Sの十分の一から十倍程度までが選択の 範囲となる。
[0112] このとき出力電圧の立ち上がる時定数は近似的に- 1/Εであり、 帰還が有効な 周波数の帯域の外側にあるリップルをフィルターすることにより直流的ルー プゲインを大きくすることができる。
シンプル電源の安定性
[0113] 誤差増幅器の伝達関数が A, Βを正数として
[数 247]
A + B s と与えられるとき、 この誤差増幅器をシンプと呼ぶ。 シンプルな誤差増幅器 の伝達関数は原点に配置された極を持たない。 シンプルな誤差増幅器を備え た電源がシンプルな電源である。 シンプル電源について帰還の安定性を考察 する。 電源では出力電圧が仮想共振回路を駆動する搬送波の周波数へ帰還さ れる。 帰還の安定性を考察するために、 出力電圧のわずかなズレを考え、 こ のズレの帰還による変化を調べる。
シンプル電源の一例とその微分方程式系 [0114] 誤差増幅器は引き算回路と位相補償回路からなる。 引き算回路は分割抵抗と 増幅器からなり、 増幅器がその入力の電圧差を出力する。 位相補償回路は増 幅器とその周辺回路からなり、 引き算回路の出力から誤差増幅器の出力を生 成する。 仮想共振回路あるいは仮想整流平滑回路の動作に比べて増幅器は十 分に速く動作するので、 誤差増幅器による遅れはすべてこの位相補償回路に よると仮定することができる。 シンプル電源の一例を図 15に示す。 図 15の電 源について、 仮想共振回路の出力を y、 仮想整流平滑回路の出力を zとすると
[数 248]
[数 249]
Figure imgf000056_0001
[0115] また zを分割抵抗で分割した電圧 d zと参照電圧 nとが引き算回路の増幅器に入 力される。 ここで dは分割抵抗の分割比であり、 位相補償回路への入力を Vと すると、
[数 250] d = = ~
[数 251 ]
V = (d二— } と書くことができる。 図 15の位相補償回路への入力を v、 その出力を V。とする と、 Vと v0
[数 252]
の関係で結ばれている。
これは次式のように書き直すことができる。 [数 253]
—v = 7 Av + B— v ここで
[数 254]
Α
[数 255]
B = R0C
[0117] 数式 85から、
[数 256] d _-ζ + ν^ρ' +q
dt これから
[数 257]
Bd -z + vJp' +q μ
[数 258]
Figure imgf000057_0001
[0118] 数式 258に数式 5を適用すると、 [数 259]
Figure imgf000057_0002
[数 260] [0119] この øを数式 47, 数式 48に代入することにより、 このシンプル電源は次の微 分方程式系で記述されることがわかる。
[数 261 ]
Figure imgf000058_0001
[数 262]
Figure imgf000058_0002
[数 263]
Figure imgf000058_0003
シンプル電源と微分方程式系
[0120] 仮想整流平滑回路の伝達関数は次のように与えられる。
[数 264] S
そこでこの仮想共振回路による遅れを相殺するゼロ点を考慮したシンプル電 源の模式図を図 16に示す。 このシンプル電源についてフィードバックの安定 性を考察する。 誤差増幅器は引き算回路と位相補償回路からなる。
駆動周波数が共振周波数より高い場合
[0121 ] 共振回路を駆動する搬送波の周波数が共振周波数より高い場合、 すなわち ø ≥ 0の場合には、 位相補償回路の入力から周波数変調器の出力までの伝達関 数は次のように書ける。
[数 265]
Figure imgf000058_0004
ここで Αおよび Βはそれぞれ正の定数である。 数式 265は [数 266]
Figure imgf000059_0001
を代入することにより数式 259がしたがう。 これからシンプル電源は数式 261 , 数式 262, 数式 263からなる微分方程式系で記述されることがわかる。
平衡点近傍での安定性
[0122] 数式 261〜数式 263からなる微分方程式系の平衡点では
[数 267]
d n d d
— p = 0. — q = 0, — z = 0
dt dt dt
が成り立つので、 平衡点は次の連立一次方程式の解である。
[数 268]
0 = Φα q-δρ + ι
Figure imgf000059_0002
[数 269]
Figure imgf000059_0003
[数 270]
-二 +、 +g.
0 =
μ
[0123] 結局、 平衡点は次の連立一次方程式の解である,
[数 271]
Figure imgf000059_0004
[数 272]
Z- Α\ + φ^ \p-Sq +;; = 0 [数 273] + - = 0
[0124] そこで 0e
[数 274]
φ£ =kdA(z- λ) + φα と定義して、 次の連立方程式を解くことにより平衡点 pe, qe, zeおよび λを 0e の関数として求める。
[数 275]
- 3 p + rr =
[数 276]
[数 277]
、' + (Γ -- = 0
[数 278]
Figure imgf000060_0001
[0125] pe, qe, zeおよび λは、 0eの関数として次にように書ける。
[数 279]
[数 280]
Figure imgf000060_0002
[数 281]
Figure imgf000060_0003
[数 282]
Figure imgf000061_0001
[0126] Lyapunovの方法により平衡点の近傍での微分方程式系の安定性を調べる。 P,
q, zをそれぞれ pe, qe, zeの近傍で次のように展開する。
[数 283]
p^pe + Ap
[数 284]
ί = ¾ +
[数 285]
二 = :6 + Δτ
[0127] この式を数式 261〜数式 263からなる微分方程式系に代入し、 高次の項を無視 することにより Δρ, Aq, Δζに関する次のような正規かつ線形な微分方程式 系を得る。
[数 286]
Figure imgf000061_0002
Figure imgf000061_0004
[数 287]
Figure imgf000061_0003
[0128] ここで [数 288]
Figure imgf000062_0001
[数 289] w kdBv p ] ( 、 -: + + ;
Mn = -" , ' - kdA (: - Λ ) : - α
e— + ] "
Mの固有多項式を m(h)とし、
[数 290]
;??( /?) = 0 ' + aihi + a., IT + a i + a4 と書く。 係数 a0, a,, a2, a3は以下のように 0eの関数となる, [数 291]
0 = 1
[数 292]
2 +1
=」
μ
[数 293]
+ δ1 δ + kdv B(f>er + μ\ φ + δ1
[数 294] φ^άνΑν + \φ' + δ2 \
3 =
+ '
ここで rは次にように定義されている,
[数 295]
Figure imgf000062_0002
駆動周波数が共振周波数より低い場合 [0130] 共振回路を駆動する搬送波の周波数が共振周波数より低い場合、 すなわち ø ≤ 0の場合、 øを- øと置くと、 位相補償回路の入力から周波数変調器の出力 までの伝達関数は次のようになる。
[数 296]
Figure imgf000063_0001
数式 47, 数式 48において øを- øと置くと次のようになる。
[数 297]
d
p =—q<p一 ρδ + rr
dt
[数 298]
d
q = ρφ— c]0 +ん'
dt
数式 296の øを数式 297、 数式 298に代入して øを消去すると数式 299, 数式 300 , 数式 301に帰着する。
[数 299] q - ό p + rr
Figure imgf000063_0002
[数 300] p - d q + ;;
Figure imgf000063_0003
[数 301 ]
-二十- p" + q'
[0131 ] 平衡点の近傍で線形化された微分方程式系 数式 299〜数式 301の固有多項式を m (h)とし、 m (h)を
[数 302]
;??(/?) = aj + ajr + a i + a., と表すと、
[数 303]
Figure imgf000064_0001
として、 係数 a0, a a2, a3は再び数式 291〜数式 294によって与えられるので 、 駆動周波数が共振周波数より高い場合にも低い場合にも、 係数 aQ, ah a2, a3は ø ≥ 0として 数式 291〜数式 294によって与えられることがわかる。 固有多項式の再定義
数式 291〜数式 294において、 項 k, d, v, rはまとまって A, Bとともに現れる ので、
[数 304]
kdvrA = N と置き、 さらに
[数 305]
kdvrB = BpN と表し、 さらにこの Bpを再び Bと置き換えると、 数式 291〜数式 294は次のよう に再定義される。
[数 306]
0 = 1
[数 307]
2u0+i
u
[数 308]
2 + δ2δ + ΝΒ β + μ\ ^ + δ2
0-, =
+ δ' Li
[数 309]
Figure imgf000064_0002
数式 290において定義された Mの固有多項式 m(h)を、 数式 306〜数式 309におい て再定義された係数 a0, a a2, a3を用いて
[数 310]
/??(/?) = ί?0が + ajr + a7h + α
と再定義すると、 固有関数 m(h)は次のように書くことができるので、
[数 311]
• _ i(/?+( )2 + | (,"/'+ 1)
Figure imgf000065_0001
電圧発生回路の伝達関数を Fw、 帰還回路の伝達関数を Bkとすると、 数式 311か ら定数倍と共通の定数 Cにたいして C Fwと(1/C) Bkとの違いを除いて、 FJこつい て
[数 312]
Figure imgf000065_0002
となり、 Bkについて
[数 313]
Bk = Bh + i
となることが分かり、 閉ループの伝達関数 Fw/(1+Fw Bk)を計算すると
[数 314]
Figure imgf000065_0003
となるので、 固有関数 m(h)は閉ループ伝達関数 Fw/(1+Fw Bk)の分母に定数倍を 除き一致することがわかり、 固有多項式 m(h)のすベての根の実部が負となる ように B, Nを選ぶことにより、 電圧発生回路と帰還回路からなる閉ループ伝 達関数の分母のすべての根の実部が負であるという意味で安定な帰還を実現 することができる。
根の実部が負
[0133] 固有多項式は 3次方程式であるので少なくとも 1個の実根 hoをもつ。 固有多項 式 m (h) =0が 3個の実根を持つ場合、 方程式 m (h) =0の係数 a0, a,, a2, a3はすべ て正であることから正の実根を持ち得ないので、 これらの実根はすべて負と なる。
[0134] 固有多項式 m (h) =0が 1個の実根 hoと 2個の虚根 h, h2を持つ場合を考える。 方 程式の根と係数の関係から
[数 315]
l + h、 +/ん = -ax
が成りたち、 2個の虚根 h1 ; h2について
[数 31 6]
[数 31 7]
= -3/?, が成りたつので、
[数 318]
/?r = ¾/?1 = により hrを定義すると、 数式 315は
[数 31 9]
2 hr +h。 = -a1 となり、 これから虚根の実部が負となるためには、
[数 320]
であることが必要十分であることがわかる。 つまり [数 321]
(-a1)≤0 が成り立つ。
特性代表根が実根
[0135] 固有多項式は 3次方程式であるので少なくとも 1個の実根 hQをもつ。 固有多項 式 m(h)=0が 3個の実根を持つ場合、 方程式 m(h)=0の係数 a0, a,, a2, a3はすべ て正であることから正の実根を持ち得ないので、 これらの実根はすべて負と なる。 絶対値の最小の特性代表根 hGは実根となり、 hoについて
[数 322]
-警 。く0
と評価できる。
[0136] 固有多項式 m(h)=0が 1個の実根 と 2個の虚根 h, h2を持つ場合を考える。 2 個の虚根 h1; h2の実部を hrとすると 数式 315は
[数 323]
2hr +/?0 =—aL となり、 これから実根 hoが特性代表根であるためには、
[数 324] h >--a
。― 3
であることが必要充分であることがわかる。 つまり
[数 325]
Figure imgf000067_0001
が成り立つ。
固有多項式 m(h)
[0137] 固有多項式 m( h )は定義より [数 326]
, (2 ^+l)/r
(h)
μ μ\ ; + δ1 \ +ψβΝ + 2δ ; + δ1 φΒΝ + \φ; + δ2
- + - μ + δ2 μ となる。
[0138] また m(h)は数式 311より
[数 327]
(!ι + δ)2+ β
Figure imgf000068_0001
+ l) εΜ(ΙΒ + ί)
となる。 これから特に 0e =0の場合には次のよう こ書ける ( [数 328]
(Λ + - + |(,"/? +1)
111 " = また固有多項式- m (h)の h=- Sにおける値は
[数 329]
Figure imgf000068_0002
となる。 固有多項式- m(h)の h= こおける値は
[数 330]
Figure imgf000068_0003
となる。
øの関数としての固有関数 m(h)
[0139] 数式 327から固有関数 m (h)は次のように書ける。 [数 331]
Figure imgf000069_0001
h ≤ かつ Bh + 1 ≤ 0の場合
[0140] 数式 331からわかるように
[数 332]
/,<-!
μ
ならば第一項は負となり、
[数 333]
5/? +1<0
を満たすならば第二項も負となるので
[数 334]
-m(h) > 0
が øに依らず常に成り立つ。 たとえば B < ならば h = -1/Bにおいて Bh+ 1 = 0となるので
[数 335]
-!?!(--)> 0
B
力《0に依らず成り立つ。
h ≤ - かつ Bh + 1 > 0の場合
[0141] h ≤ - 1/ かつ Bh + 1 > 0を満たす hの集合が空集合でない必要十分条件は B < 〃である。 B ≥ 〃であれば、 h ≤ - 1/〃で - m(h) >0が成り立つので、 以下 では B < を仮定する。 数式 331からわかるように固有多項式 m(h)は hのみな らず øに依存する。 hを固定して 0の関数と考えた- m(h)を Eh(0)と表す。 すな わち
[数 336]
Ε,(φ) = -ηι{ίι) と定義する。 まず Eh (X)の Xに関する微分を計算する ( [数 337]
Figure imgf000070_0001
ここで Eh (χ)の微分は χ=0において、 仮定から
[数 338]
-(δ2 (Bh + l))N<0 となるので
[数 339]
Figure imgf000070_0002
であることがわかる。 また Xが大きいところでは明ら力、
[数 340]
d
(x)>0
ax となるので、
[数 341]
ί d
¾ (x) = 0
dx を満たす Xの存在することがわかる。
ここで Eh (X)の Xに関する二階微分を計算すると
[数 342] ^ .)— 3?/2 -2—— となる。 この式と仮定から χ ≥ 0において
[数 343]
(χ) > 0
Figure imgf000070_0003
が成り立つ。 これから Eh(x)は xの関数として下に凸であることがわかる。 数式 339と数式 340とから、 数式 341を満たす Xがただ一つ存在する。 数式 341を満た す Xを 0hと書くと、 関数 Eh(x)は x=0hにおいて最小値を持つ。 Eh (X)の微分は X =0hにおいて 0となるので
[数 344]
Figure imgf000071_0001
これから 0hを使って Nを
[数 345] x(/i/7 + l)|x' +δ2)
Ν と表すことができる。
[0143] 数式 345を使つて最小値 Eh ( ø h)を求めると、
[数 346]
Figure imgf000071_0002
となる。 これから h = において Bh + 1 > 0が満たされている場合、 すなわ ち
[数 347]
5^-1 <0
ならば- S く - であるので
[数 348]
であることが分かる。
[0144] 数式 346から
[数 349]
Λ +()'≠() が満たされているとき、 Eh(0h)が正となる 0h > 0を満たす 0hが存在する。 最 小値 Eh(0h)が正となる 0hの変域は次のように求めることができる。 Gh
[数 350]
Figure imgf000072_0001
と定義する。 ただし gh( Φ )は次のように定義する。
[数 351] gh( )≡S2(h + S†- 2\S1+2 1) ここで数式 351は数式 346の部分項である。
[0145] Gを
[数 352]
Figure imgf000072_0002
と定義する。 gh(x)は X ≥ 0において Xの単調減少関数である。 gh(x)の x=(5/ 2における値を計算すると
[数 353]
Figure imgf000072_0003
これから- 2 δ ≤ ≤ - 1/ の場合
[数 354]
また h ≤ -2 δ の場合
[数 355]
の成り立つことが分かる。
Nから決まる 0hと Eh( h )
[0146] Nは定義より定数であり、 したがって hに依らない。 数式 345を次のように書き 直す。 [数 356]
Figure imgf000073_0001
数式 356の左辺は数式 221において定義されている。 数式 356の右辺において、 δ, を定数、 Ν, Βはあらかじめ与えられた定数と考えると、 右辺は hの関数 となる。 数式 356は任意の h < -1/ に対して 0hが一意的に決まることを示し ている。 任意の h ≤ に対して 0hが一意的に決まり、 したがって Eh(0h) が決まる。 このとき h ≤ を満たす hに Eh(0h)を対応させる関数を F( h ) と書くと、 F( h )は
[数 357] μ
[数 358]
5/? +1>0
を同時に満たす h、 すなわち
[数 359]
-丄く 」
B μ に対して定義された
[数 360]
F'.h E の N,Bに依存して決まる関数である。 Nを大きくすると 0hが大きくなリ F(h) < 0となる hの範囲が広がり、 小さくすると狭くなるので、 Nにより F(h) く 0とな る hの範囲を制御することができる。
F( h ) > 0ならば任意の ø > 0にたいして -m( h ) > 0となるので、 固有多項 式 m( h )は F( h ) > 0を満たす hの領域に øに依らず実根を持たない。 m(h) = 0の実根の範囲を限定することにより、 虚根から分離された実根を特性代表 根とすることが出来る。 関数のグラフ y=-m( h )
[0148] 関数- m(h)のグラフ y=-m(h)は 3次曲線である。 従ってグラフは変曲点に関し て対象である。 ところが変曲点は ø eに依らないことが次のようにして分かる
[数 361] c; -J^e ' + δ' ( 2," + 2S + <f>e 1 μ + h2 μ + 4 /■?," δ + 2ΐΛ- ί ΒΝ
[数 362] d1 一 3,"/? + 2,"(y + l
dl μ
となり、 変曲点 は
[数 363]
— 12 μ + 1 _ L
7: 3 μ 3
となる。 グラフ y=-m(h)の h軸との交点を考えると、 -m( hr ) >0のとき区間 [- r 0]に実根を持ち、 虚根の実部は hrより小さくなる。 つまり- m( hr ) >0の 成り立つとき固有多項式の特性代表根は虚根から分離された実根となる。
[0149] 数式 360で定義された Fについて F( hr ) >0がなり立つとき、 øに依らず区間 [ - r 0]に実根を持ち、 虚根の実部は hrより小さくなる。 つまり øに依らず固 有多項式の特性代表根は虚根から分離された実根となる。
[0150] 実際の電源では 0eの変域は上にも下にも有界であるうえに、 δ, μ , は負 荷により変化する。 このため特性代表根が虚根から分離した実根となる条件 は、 F( hr ) > 0をもとに数値的に求めることが必要になる。
整流平滑回路によるリップル
[0151] 数式 261〜数式 263からなる微分方程式系で記述される電源では、 仮想的整流 平滑回路の出力にリップルは重畳していない。 しかし実際の整流平滑回路の 出力には整流に伴う高周波の周期的なリップルが重畳している。 特性代表根 が虚根から分離された実根であるとき、 たとえば出力電圧の時間的経過は 1 -exp (- t)と表される。 出力電圧の安定化に関する信号の立ち上がりの時 定数は 1/ となり、 整流に伴う高周波の周期的なリップルの周波数に比べて 十分に低い。 帰還が有効となる周波数帯域の外側にあるリップルをフィルタ 一で減衰させることにより、 リップルによるフィードバックブレイクダウン を防ぎ、 大きな直流的ループゲインを実現することが可能となる。
右半平面のゼロ点
[0152] 図 1で示すように共振周波数より高い周波数で圧電トランスを駆動する場合、 出力電圧を上げるためにはより共振周波数に近い周波数で駆動することが必 要となり、 駆動周波数を下げることになる。 その結果圧電トランスの出力で ある高周波交流の周波数が下がることになり、 この高周波交流を整流して得 られる出力の直流電圧も一時的に下がる可能性がある。 駆動周波数の変化が 直接に引き起こす出力電圧の変化は負荷が重い場合に大きくなる。
[0153] 圧電トランスの駆動周波数が変化すると、 出力である高周波交流の振幅の変 化は圧電トランスに定常波が立ち上がるとともに変化するので、 圧電トラン スの出力において高周波交流の周波数がまず変化し、 それから遅れて高周波 交流の振幅が変化する。 駆動周波数が共振周波数より高い場合、 高周波交流 を整流して得られる直流電圧は駆動周波数を下げると周波数が下がることに より直流電圧はまづ一時的に降下して、 その後振幅の増大とともに上昇する 可能性がある。 直流電圧が降下する程度は圧電トランスの出力に結合してい る負荷に依存する。
[0154] つまり出力電圧を圧電トランスの駆動周波数に帰還して出力である直流電圧 を安定化する電源では、 駆動周波数の範囲が共振周波数より高く選ばれてい るとき、 出力電圧を上げようとすると、 出力電圧はまず下がってから上がる 可能性がある。 これは右半平面にゼロ点を持つ制御系の特徴の一つである。 右半平面のゼロ点を確かめる方法
[0155] 右半平面のゼロ点を確かめるために、 駆動周波数を変化させたとき出力であ る直流電圧の変化を直接詳しく見るのではなく、 出力電圧を圧電トランスの 駆動周波数に帰還することにより直流電圧を安定化する理想的な電源を考え 、 駆動周波数が共振周波数より高い場合と低い場合についてシミュレーショ ンにより安定性を比較する。 右半平面にゼロ点のある制御系を安定に帰還す るためには、 パラメータを注意深く選ぶことが必要となる。 負荷が重い場合 ループゲインを大きくすると右半平面のゼロ点の存在は自ずと明らかになる 。 シミュレーションの結果では、 駆動周波数が共振周波数より低い場合と低 い場合では明らかに安定性に差があり、 駆動周波数が共振周波数より低い場 合がより安定である。 実際の圧電トランスを使った電源では、 電圧発生回路 の実装が右半平面のゼロ点に関係するが、 駆動周波数が共振周波数より低い 場合のほうが安定な帰還を実現するパラメータの範囲が広い。
共振回路
[0156] 共振回路が圧電トランスの場合には駆動周波数が共振周波数より低い場合の ほうが高い場合に較べて安定であるが、 右半平面にゼロ点の生成される事情 は圧電トランスと一般の共振回路で共通であるので、 一般の共振回路の場合 にも駆動周波数が共振周波数より低い場合が高い場合より安定になる。
搬送波の周波数の穏やかな変化
[0157] 電源の動作を記述する微分方程式系は搬送波の周波数が共振周波数より高い 場合も低い場合も、 ともに数式 106〜数式 109あるいは数式 261〜数式 263とな る。 従ってこの微分方程式系から導かれる帰還が安定な条件は搬送波の周波 数が共振周波数より高いか低いかに依存しない。 一方、 出力電圧を搬送波の 周波数に帰還して出力電圧を安定化する帰還において、 搬送波の周波数が共 振周波数より低い場合により安定になる。 搬送波の周波数が共振周波数より 低い場合に帰還がより安定になる条件を微分方程式系 数式 106〜数式 109ある いは微分方程式系 数式 261〜数式 263は定式化してないことがわかる。
[0158] この微分方程式系は、 搬送波の周波数の変化が共振回路を通して引き起こす 搬送波の振幅の変化による出力電圧の変化だけに注目し、 搬送波の周波数の 変化が直接に出力電圧に引き起こす電圧の変化を考慮していない。 搬送波の 周波数が直接に出力する出力電圧は周波数に比例する。 搬送波の周波数の変 ィ匕が直接に出力電圧に引き起こす電圧の変化は負荷が重くなると大きくなる 。 したがって負荷が重くなると不安定になる帰還の原因の一つとして、 搬送 波の周波数の変化が直接に出力電圧に引き起こす電圧の変化を考えることが できる。
[01 59] 搬送波の周波数の変化が穏やかであれば、 搬送波の周波数の変化が直接に出 力電圧に引き起こす電圧の変化は小さくなり、 帰還の安定性は搬送波の周波 数が共振周波数より高いか低いかに依存しなくなる。 たとえば誤差増幅器の 出力あるいはその微分を搬送波の振幅に帰還することにより搬送波の周波数 の変化を穏やかにすれば、 出力電圧の搬送波の周波数への帰還を安定化する ことができる。
[01 60] 特許文献 2に示されているバッファー回路の出力電圧をバッファー回路のォ フセット電圧へ帰還する出力電圧の安定化は、 整流平滑回路のグランド側の 入力を駆動する高速電力増幅器を導入することにより実現される。 誤差増幅 器の出力が高速電力増幅器を通してグランド側の入力のオフセット電圧へ帰 還される。 整流平滑回路の出力電圧のそのオフセット電圧へのこのローカル な帰還は、 出力電圧の搬送波の駆動周波数への帰還にくらベて高速であるの で、 ローカルな帰還は誤差増幅器の出力に対して低域通過フィルタとして働 き、 搬送波の周波数の変化を穏やかにする。 つまり特許文献 2に示されてい るバッファー回路の出力電圧のオフセット電圧へ帰還は、 搬送波の周波数の 変化を穏やかにする帰還の一例である。
発明の効果
[01 61 ] 本発明は、 共振回路から出力される高周波交流を整流して得られる直流電圧 を安定化する帰還回路とその回路定数を与える。 この結果、 たとえば圧電ト ランスを共振回路として使用した電源が、 入力電圧の変動に対して、 また負 荷電流の変化に対して出力電圧を高い精度で安定化するこを可能とし、 さら に広い範囲の負荷に対して可変な出力電圧の供給を可能にする。
出力電圧を高い精度で安定化する Eをゼロまたは正数、 Bを正数として 誤差 増幅器の伝達関数を、 [数 364]
- + l + B s
s
と仮定し、 帰還が安定となる実用的な十分条件を求めた。
電源の電圧発生回路があらかじめ与えられているとき、 電圧発生回路のパラ メータから十分条件を満たす伝達関数が求まり、 この伝達関数を実装した誤 差増幅器を含む帰還が安定となる。 またこのようにして実現された電源の特 性をあらかじめ予測することができる。
図面の簡単な説明
[図 1 ]共振周波数と駆動周波数の範囲
[図 2]伝達関数 ho (s)とその近似である ^ (s)の昇圧比の比較
[図 3]伝達関数 ho (s)とその近似である ^ (s)の位相の比較
[図 4]昇圧比の周波数依存性
[図 5]昇圧比の Q値依存性
[図 6]共振周波数の負荷依存性
[図 7]電源
[図 8]共振回路と整流平滑回路
[図 9]仮想共振回路と仮想整流平滑回路
[図 10]等価電源
[図 1 1 ]直流的ループゲインの Φ依存性
[図 1 2]スマート電源の一例
[図 13]スマート電源の模式図
[図 14]グラフ = (h)
[図 15]シンプル電源の一例
[図 1 6]シンプル電源の模式図
[図 1 7]圧電トランスを使つた直流安定化高圧電源のブロック図
[図 18]圧電トランスの共振特性と駆動周波数の範囲
[図 1 9]圧電トランスを使つた直流安定化高圧電源 [図 20]測定による昇圧比の周波数依存性
[図 21 ]シミュレーション用回路
[図 22]圧電トランスの等価回路
[図 23]理想トランス
[図 24]理想トランスのシミュレーション用回路
[図 25]周波数変調回路のシミュレーション用回路
[図 26]誤差増幅器のシミュレーション用回路
[図 27]共振特性の測定回路
[図 28]負荷 20Μ Ωの共振特性
[図 29]負荷 30Μ Ωの共振特性
[図 30]負荷 40Μ Ωの共振特性
[図 31 ]負荷 50Μ Ωの共振特性
[図 32]負荷 20Μ Ωに 4 kVを出力する場合
[図 33]負荷 200Μ Ωに 2 kVを出力する場合
[図 34]シミュレーション用回路
[図 35]誤差増幅器のシミュレーション用回路
[図36]負荷2( 0に3. 5 kVを出力する場合
[図37]負荷20( 0に3. 5 kVを出力する場合
発明を実施するための最良の形態
[01 63] 本発明の実施例として、 共振回路として圧電トランスを使用した高圧発生回 路とその帰還回路からなる直流安定化高圧電源について、 高圧発生回路のパ ラメータから本発明の方法に従い位相補償回路の伝達関数を決定し、 帰還が 安定であることを示す。
[01 64] スマート電源
直流安定化高圧電源
圧電トランスを共振回路として使用した直流安定化高圧電源は高圧発生回路 と帰還回路から構成される。 高圧発生回路はドライバー回路、 共振回路とし て使用される圧電トランス、 整流平滑回路から構成される。 帰還回路は誤差 増幅器および周波数変調回路から構成される。 ドライバー回路は外部の電源 より ドライバー回路に供給される直流電圧を、 周波数変調回路の出力する矩 形波と同一の周波数を持つ高周波交流に変換し、 この高周波交流により圧電 トランスを駆動する。 圧電トランスはこの高周波交流を高電圧の高周波交流 に昇圧する。 整流平滑回路は、 圧電トランスの出力を直流の高電圧に変換し 、 これを高圧電源の出力として負荷に供給するとともに、 帰還回路に入力す る。 誤差増幅器は帰還回路に入力された出力電圧と参照電圧を比較すること により誤差を検出し、 この誤差を周波数変調回路に入力する。 周波数変調回 路はこの入力によって決まる周波数を備えた矩形波をドライバー回路に出力 する。 このようにして出力電圧は圧電トランスを駆動する高周波交流の周波 数にフィードバックされ、 安定化される。
[0165] 図 18に示すように圧電トランスを駆動する高周波交流の周波数は、 圧電トラ ンスの共振周波数より高くなるように選ばれている。 したがって、 出力電圧 が参照電圧より高い場合には、 周波数を上げて共振周波数から遠ざかり、 ま た逆の場合には周波数を下げて共振周波数に近づく。
[0166] この直流安定化高圧電源は 20 Μ Ωか 200 Μ Ωの負荷に対して 2 kVから 4 kVの直 流電圧を供給することができる。 この直流安定化高圧電源について、 図 19を 参照しながら説明する。 次に、 この高圧電源のシミュレーションを行うシミ ユレーシヨン用回路を構成する。 さらに、 このシミュレーションをもとにし たパラメータの測定から、 高圧電源の安定な動作を実現する回路定数を求め る。 最後に、 この回路定数の電源が広い範囲の負荷と出力電圧に対して安定 に動作することシミュレーションによって示す。
圧電トランス
[0167] 圧電トランスは内部に共振回路を含む。 このため圧電トランスは、 通常の電 磁トランスと異なり、 鋭い周波数特性や大きな負荷依存性を示す。 この圧電 トランスが高圧発生回路に使用されている。 圧電トランスの出力に負荷抵抗 を接続し、 入力電圧と出力電圧の比である昇圧比を考える。 図 20には、 それ ぞれの負荷抵抗に対して昇圧比を周波数の関数として実歳に測定したグラフ が示されている。 このグラフから圧電トランスは共振周波数の付近で大きな 昇圧比を示すことが分かる。
整流平滑回路
[01 68] 整流平滑回路は、 図 1 9に示すようにキャパシタとダイオードをカスケードに 接続した 3段コックロフト■ウォルトン回路からなる昇圧整流回路とリップ ルの低減を目的とする出力キャパシタンスから構成される。 出力される高電 圧はコックロフト■ウォルトン回路により生成される。 コックロフト■ゥォ ルトン回路の出力に接続されている負荷の値がきわめて大きいとき、 n段の理 想的なコックロフト■ウォルトン回路は振幅 Eの交流が入力に加えられている とき、 電圧 2nEの直流を出力する。 この昇圧整流における電圧昇圧比は負荷に 依存するが、 コックロフト■ウォルトン回路の出力に接続されている負荷を コックロフト■ウォルトン回路の入力から見ると、 負荷の大きさはこの電圧 昇圧比の 2乗に反比例することを意味する。 つまりコックロフト■ウォルト ン回路は昇圧整流回路とともに抵抗変換器としても働く。
[01 69] コックロフト■ウォルトン回路の出力は出力キャパシタによってバッファさ れる。 このバッファリングにより、 出力電圧に含まれるリップルが減少する 。 出力電圧が正である場合、 コックロフト■ ワルトン回路は電荷をキャパシ タンスに汲み上げ高電圧を発生することはできるが、 キャパシタンスから電 荷をくみ出し高電圧を下げることはできない。 搬送波の 1周期で圧電トラン スに蓄えられていた電荷が汲み上げられる。 電荷を蓄える圧電トランスのキ ャパシタンスを、 圧電トランスの出力側で考えると
[数 365]
Figure imgf000081_0001
と見積もることができるので、 コックロフト■ウォルトン回路のキャパシタ ンスとバッファのキャパシタンスをあわせて 100nFと見積もると、 平衡に達す るまでには約 6000周期が必要となる。 平衡に達するまでに必要な周期は圧電 トランスと整流平滑回路のキャパシタンスの比で決まると考えられるので、 第一近似では負荷や出力の高電圧に依らない。
[01 70] 搬送波の周波数が 1 20 kHz付近にあることを考えると、 平衡に達するまでに少 なくとも 50 msecは必要であることがわかる。 つまり出力である高電圧の立ち 上がる時定数は 50 msecより短くなることはない。
[数 366]
- < 20 と見積もることができる.
[01 71 ] 出力電圧が正の場合、 出力電圧の変化を考えると電圧が上昇するためには、 圧電トランスが負荷に電流を供給すると同時にコックロフト■ ワルトン回路 のキャパシタと出力キャパシタを充電することが必要である。 またこれらの キャパシタを負荷の抵抗を通して放電することにより出力高電圧は下降する 。 電圧が上昇する場合の時定数は負荷が軽くなるに伴い小さくなる。 出力の 高電圧が下降する場合の時定数は、 キャパシタと負荷の抵抗によって決まる ドライバー回路
[01 72] 圧電トランスを入力端子から見るとキャパシタンスが見える。 キャパシタン スを効率的に駆動するためには正弦波を使用することが不可欠であり、 ィン ダクタンスと共振させることにより、 ドライバー回路は近似的な正弦波を作 り出している。
[01 73] ドライバー回路は、 2個のインダクタンス L 1、 L 2と 2個の MOSFET Q 1、 Q 2 とからなる 2組の共振回路と FET駆動回路とからなる。 周波数変調回路の出力 は FET駆動回路に入力される。 FET駆動回路は二組の FETを周波数変調回路の出 力であるパルス波に同期して交互にオン■オフする。 インダクタンスの値は 、 このィンダクタンスと圧電トランスのキャパシタンスとによって決まる共 振周波数が圧電トランスの共振周波数とほぼ等しくなるように決められてい る。 この結果、 FETのオン■オフの遷移は、 FETに印加されている電圧がほぼ 0 V のときに行なわれる、 いわゆるゼロポルトスイッチングが実現される。 誤差増幅器
[0174] 誤差増幅器は分割抵抗と引き算回路と位相補償回路とから構成される。 引き 算回路は、 分割抵抗により分割され端子 Xに入力される出力電圧と、 出力電圧 を設定するために外部より端子 Yに供給される参照電圧を比較し、 この電圧の 差に端子 Zに入力された基準動作電圧を加えて出力する。 分割抵抗の分割比 は数式 86で定義されている。 従ってこの分割抵抗の分割比を d0とすると、 次の よつになる。
[数 367]
0 1001
[0175] 位相補償回路は基準動作電圧を接地電位とした反転増幅器であり、 この伝達 関数は原点に配置された極と 2個のゼロ点を備えている。 位相補償回路の入 力はこの伝達関数により変換されて出力される。 この出力はダイオード D1に より基準動作電圧から限られた範囲の電圧にクランプされている。
周波数変調回路
[0176] 周波数変調回路は電圧制御発振器と分周器から構成される。 タイマーとして 用いられる TLC555が電圧制御発振器として使用されている。 端子 Aに入力され る電圧によって決まる周波数をもつ矩形波が端子 Bより出力される。 この矩形 波はフリップフロップ 74HC73からなる分周器の端子 CLKに入力され、 1/2 に分 周されたデューティ比 50%の矩形波が Qおよび/く一 Qの端子より出力される。 分 周器より出力される 85 kHzから 139 kHzまでの矩形波が周波数変調回路の出力 であり、 これが駆動回路に入力される。
[0177] 端子 Aに入力される電圧が 1V変化すると、 Qおよびバー Qの端子より出力される 周波数は約 40 kHz変化する。 数式 3で定義される kを計算し、 これを とすると
[数 368]
= 2^ x 40 χ ΐθ3 補助電源
[01 78] 補助電源は、 誤差検出回路に基準動作電圧を供給するための安定化電源であ る。
シミュレーション用回路
[01 79] この直流安定化高圧電源のシミュレーション用回路を図 21に示す。 直流安定 化高圧電源をシミュレーションすることによりパラメータの測定を行い、 こ れをもとに安定な帰還を実現する N, Eおよび Bを求め、 さらに帰還が安定であ ることをシミュレーションにより示す。 シミュレーション用回路における高 圧発生回路は、 圧電トランスがその等価回路に置き換えられていることを除 けば、 直流安定化高圧電源の回路が忠実に再現されている。 シミュレーショ ン用回路における帰還回路は基本的には線形な回路である。 このため帰還回 路の入力と出力の関係を再現する簡単な回路がシミュレーション用回路に採 用されている。
圧電トランスの等価回路
[0180] この高圧電源で使用されている圧電トランスの等価回路とそのパラメータを 図 22に示す。 圧電トランスの等価回路には理想トランスが含まれている。 図 23のような、 1次側コイルと 2次側コイルの巻き線比が nである理想トランス を考える。 1次側電圧 と 1次側電流 、 2次側電圧 E2と 1次側電流 l 2は次の 関係式を満たす。 この理想トランスのシミュレーションには、 電圧制御電圧 源と電流制御電流源とを使用して理想トランスを実現した図 24に示す回路を 使用する。
[数 369]
I 周波数変調回路のモデル
[0181 ] 入力と出力の関係を数学的関係式を用いて指定できるビヘービァモデルと呼 ばれる回路素子をシミュレーションに使用することができる。 周波数変調回 路のシミュレーション用回路は、 2個のビヘービァモデル A, Bと振幅制限器 を組み合わせて図 25に示すように構成される。 振幅制限器には振幅の上限 H I と下限 L0および利得 GA I Nを指定することができる。 ビヘービァモデル Aは、 入 力の積分を出力する。 ビヘービァモデル Bには数式 1に相当する式が設定され ている。 この結果、 ビヘービァモデル Aに入力される電圧 (すなわち誤差増幅 器の出力) に比例した周波数を持つサイン波がビヘービァモデル Bから出力さ れる。 振幅制限器はこのサイン波を増幅して、 その振幅をクリップする。 こ うして、 入力電圧に比例する周波数を備えたデューティ 50%の矩形波が出力さ れる。
誤差増幅器のシミュレーション用回路
[0182] 誤差増幅器のシミュレーション用回路を図 26に示す。 誤差増幅器は引き算回 路と位相補償回路から構成される。 引き算回路は 2入力 1出力のビヘービァ モデルと増幅器からなる。 ビヘービァモデルは入力の差が出力となるように 設定されている。 ビヘービァモデルの出力は増幅器によって増幅され、 位相 補償回路に入力される。
[0183] 位相補償回路は、 積分器、 ゲイン 1の増幅器とこれに付属する積分回路、 微 分器とこれに付属する積分回路、 さらに 2入力の加算器 2個とから構成され る。 積分器はゲイン Eの増幅器とビヘービァモデルとから構成される。 関数 S DT (X)の設定されビへービアモデルは入力の時間積分を出力する。 このビへー ビアモデルからの出力がゲイン Eの増幅器に入力され、 この増幅器からの出力 が積分器の出力となる。
[0184] 微分器はゲイン Bの増幅器とビヘービァモデルとから構成される。 関数 DDT (x) の設定されビヘービァモデルは入力の時間微分を出力する。 このビヘービァ モデルからの出力がゲイン Bの増幅器に入力され、 この増幅器からの出力が微 分器の出力となる。
[0185] ゲイン 1の増幅器および微分器に付属する積分回路は高周波のノイズを積分 することにより抑えることを目的としている。 積分器のゲインを E、 微分器の ゲインを Bとするとき、 位相補償回路の伝達関数は [数 370]
- + l + B s
s
によって与えられる。 この図において S は参照電圧を生成する電圧源である 。 引き算回路の増幅器に設定されたゲインは Cである。 引き算回路の増幅器に 設定されたゲインを変えることにより直流的ループゲインを制御することが 可能となる。 図 21のシミュレーション用回路では、 E=10, B=0. 0002, C=30に 設定されている。
共振特性の近似
[0186] 高圧電源の共振回路に入力される搬送波の振幅等の共振回路の特性を決める 諸要素が固定されているので、 これにより共振回路のパラメータ rが決まる。 共振回路のパラメータ (5は電源に接続される負荷に依って決まる。 この負荷 が接続された共振回路の共振周波数における出力電圧は
[数 371 ]
r で与えられる。 負荷が軽いと Sは小さくなり、 共振周波数における出力電圧 は高くなる。 負荷が Sに対応するとき、 出力電圧は 0の関数となる。 0が 0 e のとき出力電圧は
[数 372]
r
2
で与えられる。 0 eは小さくなると出力電圧が高くなリ、 大きくなると低くな る。
[0187] 帰還が有効に働いている回路では、 特性はおもに帰還によって決まる。 直流 安定化高圧電源 に帰還が有効に働いている場合、 電源の特性は高圧発生回路 あるいは整流平滑回路の特性に大幅に依存することはない。 この意味では電 源の特性は、 たとえば高圧発生回路の rあるいは整流平滑回路の あるいは 2/ に敏感に依存しない。 そこでおおまかに rを見積もる簡単な方法を考える。 おおまかな rの見積もり
負荷の接続された整流平滑回路について、 その入力電圧から出力電圧への伝 達関数を
[数 373]
〃 S +丄 で近似した場合、 , は負荷あるいは出力電圧に依存する。 負荷の変化は 共振回路の (5に反映され、 また出力電圧の変化は øに反映される。 この意味 で ' 2/は S, 0の関数と考えられる。 しかしながらこれらの関数の具体的 な表現を求めることは容易ではない。
そこで圧電トランスと整流平滑回路とから構成される高圧発生回路を考える 。 高圧発生回路の出力にあらかじめ与えられた負荷が接続されている場合、 出力される高電圧は高圧発生回路に入力される搬送波の周波数に依存する。 周波数に対して出力される高電圧をプロットすると、 このグラフは共振特性 を示す。 またこの共振特性の第一近似は数式 53から
[数 374]
Figure imgf000087_0001
によって与えられることが分かる。 この近似により共振特性の 周波数に関 する半値幅を求めることができる。 この半値幅を角速度に書き直すことによ り Sを、 また高電圧の最大値を vmaxとするとき
[数 375] 一 V
^ max 5 から rを求めることができる。 なおこのように高圧発生回路の出力から直接 r を求めた場合、 =1なることは明かである。
おおまかな/ の見積もり [0190] 時定数/ は、 整流平滑回路を一次遅れで線形近似したときの時定数であり、 数式 366においてその上限が与えられている。 また整流平滑回路の遅れは、 共 振回路の遅れに比べて十分に大きいと考えられる。 つまり Sと/ との間には [数 376] 丄 が成り立つ。 また固有多項式の- Eの近傍の根は にほとんど依存しないので
、 回路定数の選定に の精密な値を必要としない。
高圧発生回路のパラメータの測定
[0191 ] 共振特性の測定回路を図 27に示す。 この測定から得られる共振特性は、 ドラ ィバー回路、 圧電トランス、 整流平滑回路から構成された高圧発生回路の共 振特性である。 負荷抵抗を変えて 1 kHzステップで測定された共振特性を以下 に示す。 それぞれの負荷の共振特性から数式 375に従い、 rを計算する。 この は負荷に応じてきまる。 以下の共振特性から計算した rが、 荒い近似ではある 力 負荷に依らず狭い範囲の値をとるのは、 共振特性の第一近似が数式 374に よって表されるためであろう。
負荷 20 Μ Ωの共振特性
[0192] 図 28より共振周波数における出力電圧は 7. 5 kV, 半値幅は周波数で 980 Hzと すると Sは 6158であり、 これから r2C)は 0. 46 X 108と見積もることができる。 負荷 30 Μ Ωの共振特性
[0193] 図 29より共振周波数における出力電圧は 8. 5 kV, 半値幅は周波数で 930 Hzと すると Sは 5843であり、 これから rは 0. 49 x 108と見積もることができる。 負荷 40Μ Ωの共振特性
[0194] 図 30より共振周波数における出力電圧は 9. 1 kV, 半値幅は周波数で 910 Hzと すると (5は 5718であり、 これから r4C)は 0. 52 x 108と見積もることができる。 負荷 50Μ Ωの共振特性
[0195] 図 31より共振周波数における出力電圧は 9. 1 kV, 半値幅は周波数で 910 Hzと すると (5は 5718であり、 これから r4()は 0. 52 x 108と見積もることができる。 直流的ループゲイン
[0196] 誤差増幅器の引き算回路のゲインを Cと書くと、 Nは数式 80により
[数 377]
N = r vk C d
と書ける。 ここで
Figure imgf000089_0001
であり、 r, k, dをそれぞれ r0, k0, d0で置き換えると [数 378]
Figure imgf000089_0002
となる。 このとき、 直流的ループゲインの最大値は図 1 1からわかるように [数 379]
で与えられる。 C=1かつ S =6000のときのこの値は 134となる。
Eについて
[0197] 出力高電圧の立ち上がりの時定数について、 数式 366の評価から Eについて [数 380]
E≤20
を得る。 そこで E =10とする。 実用的な範囲の ø, δ, 〃に対して Β ≥ 0. 000 2が十分であることが分かる。 そこで Β = 0. 0002とする。
安定な帰還のシミュレーション例
[0198] このようにして構成された帰還が安定であることを、 図 21のシミュレーショ ン用回路を用いて示す。 負荷抵抗 20Μ Ωに電圧 4 kVを出力する場合と、 負荷抵 抗 200Μ Ωに電圧 2 kVを出力する場合について、 シミュレーションの結果を図 32と図 33とに示す。 それぞれの図には誤差増幅器の出力、 引き算回路の出力 、 参照電圧の時間的経過が、 横軸を時間軸として、 縦軸 1を誤差増幅器の出 力、 縦軸 2を引き算回路の出力、 縦軸 3参照電圧として示されている。 [0199] シンプル電源
シンプルな直流安定化高圧電源
シンプルな直流安定化高圧電源は高圧発生回路と帰還回路から構成される。 高圧発生回路はスマー卜な直流安定化高圧電源の高圧発生回路と同一である 。 帰還回路については誤差増幅器がシンプルであることをのぞけばスマート な直流安定化高圧電源の帰還回路と同一である。 スマート電源と異なり、 誤 差増幅器の伝達関数は原点に配置された極を持たない。
シミュレーション用回路
[0200] シンプルな電源のシミュレーション用回路を図 34に示す。 シミュレーション により得られた高圧発生回路のパラメータをもとに、 安定な帰還を実現する N および Bを求め、 帰還が安定であることをシミュレーションにより示す。
誤差増幅器のシミュレーション用回路
[0201 ] 誤差増幅器のシミュレーション用回路を図 35に示す。 誤差増幅器は引き算回 路と位相補償回路から構成される。 引き算回路は 2入力 1出力のビヘービァ モデルと増幅器からなる。 ビヘービァモデルは入力の差が出力となるように 設定されている。 ビヘービァモデルの出力は増幅器によって増幅され、 位相 補償回路に入力される。
[0202] 位相補償回路は、 ゲイン 1の増幅器とこれにに付属する積分回路、 微分器と これに付属する積分回路、 さらに 2入力の加算器 1個とから構成される。 微分 器はゲイン Bの増幅器とビヘービァモデルとから構成される。 関数 DDT (x)の設 定されビヘービァモデルは入力の時間微分を出力する。 このビヘービァモデ ルからの出力がゲイン Bの増幅器に入力され、 この増幅器からの出力が微分器 の出力となる。 微分器のゲインを Bとするとき、 位相補償回路の伝達関数は [数 381 ]
l + B s
によって与えられる。 ゲイン 1の増幅器および微分器に付属する積分回路は 、 帰還が有効となる周波数帯域の外側にある高周波のノイズを積分すること により減衰させることを目的としている。 この図において Sは参照電圧を生成 する電圧源である。 引き算回路の増幅器に設定されたゲインは Cである。 引き 算回路の増幅器に設定されたゲインを変えることにより直流的ループゲイン を制御することが可能となる。 図 34のシミュレーション用回路では B=0. 0005, C=30に設定されている。
安定な帰還のシミュレーション例
このようにして構成された帰還が安定であることを図 34のシミュレーシヨン 用回路を用いて示す。 負荷抵抗2(^ 0に電圧3. 5 kVを出力する場合と、 負荷抵 抗 200Μ Ωに電圧 3. 5kVを出力する場合について、 シミュレーションの結果を図 36と図 37とに示す。 それぞれの図には誤差増幅器の出力、 引き算回路の出力 、 参照電圧の時間的経過が、 横軸を時間軸として、 縦軸 1を誤差増幅器の出 力、 縦軸 2を引き算回路の出力、 縦軸 3参照電圧として示されている。

Claims

請求の範囲
共振回路の共振周波数を ω「、 Q値を Q、 共振周波数における昇圧比を grとする とき、 (5、 ω0および cを
[数 1 ]
2 Q [数 2] 01 = ύλ 1 ~~ Γ
r AO1 [数 3] c = ^
Q
と定義し、 定数 wを振幅として時間の関数 を位相として周波数変調された搬 送波を
[数 4]
w exp \ i ω0 r + ψ ) と書くとき、 搬送波の変調帯域が共振回路の共振周波数に較べて十分に狭い 共振回路の伝達関数を
[数 5]
1 c \ -S + ! ω0 1
2 /' o)。 s + d - i ω0 によって近似し、 数式 4の から øへの写像を
[数 6]
k d
Φ =—Ψ
dt
と定義することにより数式 4に記載された周波数変調された搬送波の周波数を [数 7]
«0 + Φ 表し、 rrおよび ηを
[数 8]
1
rr =― c >ι· 圆
δ
/; = c w
2 ω0 により定義するとき、 伝達関数が数式 5で与えられる共振回路に数式 4で与え られる搬送波を入力したときの共振回路から出力される搬送波の振幅は、 連 立微分方程式
[数 10]
Figure imgf000093_0001
[数川
を満たす p、 qにより
[数 12]
と表すことが出来るので、 共振回路から出力される搬送波を整流平滑して生 成される直流電圧を、 整流平滑を行う整流平滑回路の時定数を 、 振幅の乗 数を 2/として一時遅れを表す Zに関する微分方程式
[数 13]
d n r
, — + z = v^p- + q- dt
の解として求め、
さらに整流平滑回路からの出力電圧 ζを参照電圧; Iと比較し、 電圧の誤差を搬 送波の周波数 øに帰還する帰還回路の伝達関数は数式 6に定義された øと数式 13の ζと参照電圧 スと正数 d、 E、 に Bとを使って、 φ ≥ 0として [数 14]
(E + A S +B S1)
φ = Κ'ά^ ) と表せる原点に極の配置されている場合、 この伝達関数を数式 10、 数式 11、 数式 13の微分方程式と連立させることにより次の正規な微分方程式系を導き
[数 15]
d
p = q<(>— p + rr
dt
[数 16]
d
q = -ρφ - qS + /;
dt
[数 17] d 二
dt —— μ
[数 18]
Figure imgf000094_0001
f + jr + r S) | z | y[gi}+pi )
+k'Bd この微分方程式系の平衡点を(Pe, e, 0e)とするとき、 pe、 qe、 zeおよひ λは (^eの関数として
[数 19]
[数 20]
δΆ±ΐΑ [数 21]
Figure imgf000095_0001
[数 22]
A = 1'
Φ
と表すことができ、 この平衡点の近傍で線形化された微分方程式系の固有多 項式を m(h)とし、 m(h)を
[数 23] m(h) = α0Ιι4 + a f + a f + i + , と表すと、
[数 24]
Figure imgf000095_0002
として、 係数 a0、 a a2、 a3、 a4
[数 25]
。o = 1
[数 26]
2uS+l
μ
[数 27]
2 e' + δ1 δ + kd νΒφβτ + μ\φβ" + δ- α, =
[数 28]
Figure imgf000095_0003
[数 29]
QA一 I , ,
Λ _ + 〃
によって与えられ,
また ø ≤ 0の場合、 øを- øと置くことにより、 電圧の誤差を搬送波の周波 数に帰還する帰還回路の伝達関数は数式 14で表され、 数式 10、 数式 1 1におい て、 øを- øと置くと、
[数 30]
—— Ρ =—<ίΦ― +厂
dt
[数 31 ]
— ο] = ρφ- δ + ι· を得るので、 数式 14、 数式 30、 数式 31、 数式 13を øの変域を ø ≥ 0とした微 分方程式として連立させることにより数式 15〜数式 18に相当する正規な微分 方程式系を導き、 この平衡点の近傍で線形化された微分方程式系の固有多項 式を m (h)とし、 m (h)を
[数 32]
;??(/?) = a + a r' + a + a.Ji + a と表すと、
[数 33]
Figure imgf000096_0001
として、 係数 a0、 a a2、 a3、 a4は再び数式 25〜数式 29によって与えられるの で、 いずれの場合にも,係数 a0、 a a2、 a3、 a4は φ ≥ 0として 数式 25〜数 式 29によって与えられることがわかり、
さらに数式 25〜数式 29において項 k d v rはまとまって A、 B、 または Eとと もに現れるので、 [数 34]
kdvrA = N
と置き、 さらに Bpと Ep
[数 35]
kdvrB = B N
[数 36]
kdvrE = EpN つまり
[数 37] p A
[数 38]
と表し、 さらにこの Bpと Epを再び Bと Eと書くと、 係数 a0、 a a2、 a3、 a4は以 下のように
[数 39]
0 = 1
[数 40]
2uS+l
ひ t =」
μ
[数 41]
Figure imgf000097_0001
[数 42]
Figure imgf000097_0002
[数 43]
Λ + '
0eの関数として再定義され、
数式 23、 数式 32において定義された固有多項式 m(h)を、 数式 39〜数式 43の 係数 a。、 a a2、 a3、 a4を用いて
[数 44]
/??(/?) = a0 + r + a + a、h + αλ と再定義すると、 固有関数 m(h)は次のように書くことができるので、
[数 45]
Figure imgf000098_0001
電圧発生回路の伝達関数を Fw、 帰還回路の伝達関数を Bkとすると、 数式 45から 定数倍と共通の定数 Cにたいして C Fwと(1/C) Bkとの違いを除いて、 FJこついて [数 46]
Figure imgf000098_0002
となり、 Bkについて
[数 47] BIf +h + E
Bk = ~ h ~
となることが分かり、 閉ループの伝達関数 Fw/(1+Fw Bk)を計算すると
[数 48]
Fw _ Ν
(," h + 1)| (h + δ)1 + φ11
x L +
Figure imgf000098_0003
となるので、 固有関数 m(h)は閉ループ伝達関数 Fw/(1+Fw Bk)の分母に定数倍を 除き一致することがわかり、 固有多項式 m(h)のすベての根の実部が負となる ように E、 B、 Nを選ぶことにより、 電圧発生回路と帰還回路からなる閉ループ 伝達関数の分母のすべての根の実部が負であるという意味で安定な帰還を実 現することを特徴とする方法。
[2] 請求項 1の数式 45から固有関数 m (h)は
[数 49]
(/? + δ) + φ11 h (," h + 1) rB + h + E
m( h) = と書くことができ、 この第 1項は hく - で正となることから、 hの領域 Sを [数 50]
Figure imgf000099_0001
と定義すると、 Sに属する任意の hに対して øに依らずに m(h) > 0となり、 し たがって m( h ) = 0の実根は Sの補集合に含まれるので、 領域 Rを
[数 51]
Figure imgf000099_0002
と定義し、 Rが空集合でないことを仮定して Rに属する任意の hに対して m(h)を øの関数と考えた Eh(0)を
[数 52]
(め =m (/り
と定義すると、 Rに属する任意の hに対して一意的に決まる 0hにおいて Eh(0) は最小値 Eh(0h)すなわち
[数 53]
Ε =
Figure imgf000099_0003
をとるので、 Rに属する任意の hに対して一意的に Eh ( 0 h)を対応させる関数 Fす なわち
[数 54]
F : h E を定義することが可能となり、 この Fについて
[数 55]
F(h) > 0
となる hは øに依らず m (h) > 0となるので、 Fが E、 B、 Nに依存することを利用 して E、 B、 Nを適切に選ぶことにより、 m (h) = 0の実根の範囲を限定すること を特徴とする方法。
[3] 共振回路を駆動する搬送波を生成するドライバー回路とこの搬送波を入力と する共振回路と共振回路の出力である高周波交流を整流することにより当該 電源の出力となる直流電圧を生成する整流平滑回路とを含む電圧発生回路と 、 電圧発生回路の出力電圧と外部から供給される出力電圧を設定する参照電 圧とを入力とする誤差増幅器と共振回路を駆動する搬送波の周波数を発生す る周波数変調器とを含む帰還回路とを包含し、 誤差増幅器の制御する周波数 変調器はドライバー回路の発生する搬送波の周波数を制御する手段を持ち、 共振回路を駆動する搬送波の周波数を変調するので、 搬送波を周波数変調か ら振幅変調に変換する共振回路の出力は近似的に誤差増幅器の出力によって 振幅変調された搬送波であり、 整流平滑回路によって振幅変調された搬送波 から復調された出力電圧を誤差増幅器に入力することにより出力電圧を安定 化する安定化直流電源では、 出力電圧を安定化する帰還は整流平滑回路の出 力電圧がグランドから離れる方向にのみ働くので、 請求項 1の固有多項式 数 式 44の特性代表根が虚根から分離された実根となるような帰還を実現するこ とにより当該電源に接続された広い範囲の負荷に対して出力電圧を安定化す ることを特徴とする方法
[4] 帰還回路の伝達関数が正数 Eと Bとを用いて [数 56]
- + l + Bs
s
と与えられた請求項 3の安定化直流電源において、 Eと Bとが
[数 57]
Εμ2-μ + Β<0
[数 58]
ΕΒ< - 4
を満たしているとき、 数式 44においいて定義された固有多項式 m(h)の特性代 表根は原点の近傍に位置する実根となり、 請求項 2で定義された F(h)が N、 E 、 Bに依存することを利用して N、 E、 Bを適切に選び、 特性代表根を虚根から 分離する F (h)を実現することにより虚根から分離された実根が特性代表根と なる帰還を実現することを特徴とする方法。
帰還回路の伝達関数が正数 Eと Bとを用いて
[数 59]
- + l + Bs
s
と与えられた請求項 3の安定化直流電源において、 出力電圧にリップルが重 畳しており、 Nはリップルの増幅また Bはリップルの微分にかかわるために、 リップルが Nと Bとを主に制約する場合には Eと Bとは
[数 60]
π 1
Ε <―
μ
[数 61] 」
δ
が現実的な選択となり、 このとき原点の近傍の特性代表根を- とすると [数 62]
ξ < 2 E
となり、 出力電圧の立ち上がりの時定数はすくなくとも 1/ (2 E)より長くなる ので、 帰還が有効となる周波数の帯域の外側にあるリップルをフィルターに より減衰させることにより帰還の直流的ループゲインを大きくすることを特 徴とする方法。
請求項 1に記載された整流平滑回路からの出力電圧 zと参照電圧; Lとの電圧の 誤差を搬送波の周波数 øに帰還する帰還回路の伝達関数が、 請求項 1の数式 1 4により定義される原点に極の配置された伝達関数ではなく、 数式 6に定義さ れた øと数式 13の zと参照電圧; Iと正数 d、 Bと 0Gとを使って、 ø ≥ 0 として
[数 63]
Figure imgf000102_0001
と表せる原点に極の配置されていない伝達関数の場合も請求項 1の場合と同 様に、 数式 63は
[数 64]
Figure imgf000102_0002
と表すことができ、 また数式 13は
[数 65] に —二 + 1 ' + g'
dt Li
となり、 数式 64、 数式 65とにより øは
[数 66]
Figure imgf000102_0003
と表すことができるので、 数式 66により数式 10, 数式 11を [数 67]
Figure imgf000103_0001
[数 68]
Figure imgf000103_0002
と書き換え、 数式 67、 数式 68を数式 65と連立させることにより次の正規な微 分方程式系を導き、
[数 69] + σ q-dp + rr
Figure imgf000103_0003
[数 70]
Figure imgf000103_0004
[数 71] d ^- + ν^ρ' +g- dt この微分方程式系の平衡点を(pee)とす とき、 pe、 qe、 zeおよひ Λは 0eの関数として
[数 72]
Figure imgf000103_0005
[数 73]
+ [数 74]
Figure imgf000104_0001
[数 75] + φ
Figure imgf000104_0002
と表すことができ、 この平衡点の近傍で線形化された微分方程式系の固有多 項式を m(h)とし、 m(h)を
[数 76]
m(h) = a J + a + a, + ai と表すと
[数 77]
Figure imgf000104_0003
として、 係数 a0
[数 78]
[数 79]
1 + 2
[数 80] a、 =
Figure imgf000104_0004
[数 81 ]
Figure imgf000104_0005
となり、 また ø ≤ 0の場合、 電圧の誤差を搬送波の周波数に帰還する帰還回 路の伝達関数は数式 66で表され
[数 82]
Figure imgf000105_0001
となり、 また 数式 10、 数式 11は øを- øと置くことにより
[数 83]
— ρ =—αφ - ρδ + 7:
dt .
[数 84]
— ο] = ρφ-ςδ + ι· となり、 数式 83、 数式 84において øを数式 82に置き換えて得られ式は数式 67 、 数式 68と一致するので、 このようにして導かれた正規な微分方程式系は数 式 69、 数式 70、 数式 71からなる微分方程式系と同一となり、 いずれの場合に も微分方程式系の固有多項式は数式 76および数式 78、 数式 79、 数式 80、 数式 8 1によって与えられることがわかり、 数式 78、 数式 81において項 k,d, z, rはま とまって Aまたは Bとともに現れるので、
[数 85]
kdvrA = N と置き、 さらに
[数 86]
kdvrB = BpN と表し、 さらにこの Bpを再び Bと書くと、 数式 78〜数式 81は次のように
[数 87]
0 = 1
[数 88] [数 89]
Figure imgf000106_0001
[数 90] φβΝ + \ψ; + δι \
αλ = ; ·■ ~ と再定義され、 数式 76において定義された Μの固有多項式 m(h)を、 数式 87~ 数式 90において再定義された係数 aQ、 a a2、 a3を用いて
[数 91]
/??(/?) = が + a r + a i + α
と再定義すると、 固有関数 m(h)は次のように書くことができるので、
[数 92]
• _ i(/?+( )2 + | (,"/'+ 1)
Figure imgf000106_0002
電圧発生回路の伝達関数を Fw、 帰還回路の伝達関数を Bkとすると、 数式 92から 定数倍と共通の定数 Cにたいして C Fwと(1/C) Bkとの違いを除いて、 FJこついて [数 93]
Figure imgf000106_0003
となり、 Bkについて
[数 94]
Bk = Bh + i
となることが分かり、 閉ループの伝達関数 Fw/(1+Fw Bk)を計算すると
[数 95]
Fw _
Figure imgf000106_0004
(〃Λ + 1)[(Λ + 2 + j Νφ(ΒΗ + 1)
となるので、 固有関数 m(h)は閉ループ伝達関数 Fw/(1+Fw Bk)の分母に定数倍を 除き一致することがわかり、 固有多項式 m(h)のすベての根の実部が負となる ように Nを選ぶことにより、 電圧発生回路と帰還回路からなる閉ループ伝 達関数の分母のすべての根の実部が負であるという意味で安定な帰還を実現 することを特徴とする方法。
請求項 6の数式 92から固有関数 m (h)は
[数 96]
Figure imgf000107_0001
と書くことができ、 この第 1項は hく - 1/ で負となることから、 hの領域 Sを
[数 97]
Figure imgf000107_0002
と定義すると、 Sに属する任意の hに対して øに依らずに- m(h) > 0となり、 し たがって m( h ) = 0の実根は Sの補集合に含まれるので、 領域 Rを
[数 98]
Figure imgf000107_0003
と定義し、 Rが空集合でないことを仮定して Rに属する任意の hに対して- m(h) を øの関数と考えた Eh(0)を
[数 99]
¾ ( = _;"(/り と定義すると、 Rに属する任意の hに対して一意的に決まる 0hにおいて Eh(0) は最小値 Eh(0h)すなわち [数 100]
f + ( — 2+ ( ίΛ+
Eh( )一 ^——丄 をとるので、 Rに属する任意の hに対して一意的に Eh(0h)を対応させる関数 Fす なわち
[数 101]
F:h E
を定義することが可能となり、 この Fについて
[数 102]
F(h) > 0
となる hは øに依らず m(h) > 0となるので、 「が B、 Nに依存することを利用し て Nを適切に選ぶことにより m(h) = 0の実根の範囲を限定することを特徴 とする方法。
[8] 請求項 3に記載された安定化直流電源において、 出力電圧を安定化する帰還 は整流平滑回路の出力電圧がグランドから離れる方向にのみ働くので請求項 6の固有多項式数式 91の特性代表根が虚根から分離された実根となるような 帰還を実現することにより当該電源に接続された広い範囲の負荷に対して出 力電圧を安定化することを特徴とする方法
[9] 請求項 6の数式 91で定義された固有多項式 m( h )のグラフ y = m( h )の変曲 点 hrは øに依らず
[数 103]
— 12 μ + 1 _ L
7: 3 μ 3
と与えられ、 m( h ) = 0のすベての根の実部が負となると同時に特性代表根 が虚根から分離された実根となる十分条件は
[数 104]
-m(hr)>0 であることから、 すべての 0に対して根の実部が負となると同時に特性代表 根が虚根から分離された実根となる十分条件は
[数 105]
F(IK ) > 0 と与えられるので、 虚根から分離された実根が固有多項式の特性代表根とな るように、 「が B、 Nに依存することを利用して数式 105を満たす B、 Nを選ぶこ とを特徴とする方法。
[10] 請求項 3で与えられた安定化直流電源において、 数式 44あるいは数式 91によ り定義される固有多項式 m (h)の特性代表根から決まる帰還が有効になる帯域 にくらベて整流平滑回路の出力に重畳する整流に伴うリップルの周波数が高 いので、 帰還が有効となる周波数帯域より高い周波数成分をフィルタ一によ り減衰させることにより直流的ループゲインの大きい安定な帰還を実現する ことを特徴とする方法。
[11 ] 共振回路を駆動する搬送波を生成するドライバー回路とこの搬送波を入力と する共振回路と共振回路の出力である高周波交流を整流することにより当該 電源の出力となる直流電圧を生成する整流平滑回路とを含む電圧発生回路と 、 電圧発生回路の出力電圧と出力電圧を設定する外部から供給される参照電 圧とを入力とする誤差増幅器と共振回路を駆動する搬送波の周波数を発生す る周波数変調器とを含む帰還回路とを包含し、 誤差増幅器の制御する周波数 変調器はドライバー回路の発生する搬送波の周波数を制御する手段を持ち、 電圧発生回路の出力である直流電圧を共振回路を駆動する搬送波の周波数に 帰還することにより出力電圧を安定化する安定化直流電源において、 共振回 路の共振周波数より低い周波数領域に属する周波数の搬送波によって共振回 路を駆動することにより、 共振回路の共振周波数より高い周波数領域に属す る周波数の搬送波によって共振回路を駆動する場合の共振回路から出力され る搬送波の振幅の増加あるいは減少を実現する搬送波の周波数の低下あるい は上昇の変化が出力電圧に直接に引き起こす、 振幅の変化による整流平滑回 路の出力電圧の変化を一時的に妨げる電圧の変化を避けることを特徴とする 方法
共振回路を駆動する搬送波を生成するドライバー回路とこの搬送波を入力と する共振回路と共振回路の出力である高周波交流を整流することにより当該 電源の出力となる直流電圧を生成する整流平滑回路を含む電圧発生回路と、 電圧発生回路の出力電圧とこの出力電圧を設定する参照電圧とを入力とする 誤差増幅器と、 誤差増幅器により制御されるドライバー回路の生成する搬送 波の周波数を制御する手段を備えた周波数変調器を含む帰還回路から構成さ れる安定化直流電源において、 出力電圧の安定化を搬送波の周波数の急速な 変化を抑制する帰還により実現することを特徴とする帰還の方法
PCT/JP2007/000477 2006-05-10 2007-05-03 共振回路から生成される直流電圧を安定化する帰還 WO2007129468A1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP07737133A EP2083509A4 (en) 2006-05-10 2007-05-03 FEEDBACK FOR STABILIZING THE EQUIVALENT VOLTAGE GENERATED BY A RESONANCE CIRCUIT

Applications Claiming Priority (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006-130906 2006-05-10
JP2006130906 2006-05-10
JP2007018715A JP2008306775A (ja) 2007-01-30 2007-01-30 共振回路から生成される直流電圧を安定化する帰還回路の構成法
JP2007-018715 2007-01-30
JP2007-101471 2007-04-09
JP2007101471A JP5412651B2 (ja) 2006-05-10 2007-04-09 共振回路から生成される直流電圧を安定化する帰還回路の構成法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2007129468A1 true WO2007129468A1 (ja) 2007-11-15

Family

ID=38667580

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP2007/000477 WO2007129468A1 (ja) 2006-05-10 2007-05-03 共振回路から生成される直流電圧を安定化する帰還

Country Status (2)

Country Link
EP (1) EP2083509A4 (ja)
WO (1) WO2007129468A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109445362A (zh) * 2018-12-24 2019-03-08 西北工业大学 一种集成标定数据的五孔探针测量系统

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3229359A1 (en) * 2016-04-06 2017-10-11 Neumüller Elektronik GmbH Resonant converter and power device with such a converter

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH027116A (ja) * 1986-12-29 1990-01-11 Rca Licensing Corp 共振調整器型電源
JPH07123700A (ja) * 1993-10-29 1995-05-12 Fuji Electric Co Ltd 半導体電力変換装置の入力振動抑制方法
JP2005080424A (ja) * 2003-09-01 2005-03-24 Taiyo Yuden Co Ltd 電源装置
JP2005137085A (ja) * 2003-10-29 2005-05-26 Japan Science & Technology Agency 直流安定化電源装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH027116A (ja) * 1986-12-29 1990-01-11 Rca Licensing Corp 共振調整器型電源
JPH07123700A (ja) * 1993-10-29 1995-05-12 Fuji Electric Co Ltd 半導体電力変換装置の入力振動抑制方法
JP2005080424A (ja) * 2003-09-01 2005-03-24 Taiyo Yuden Co Ltd 電源装置
JP2005137085A (ja) * 2003-10-29 2005-05-26 Japan Science & Technology Agency 直流安定化電源装置

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
See also references of EP2083509A4 *

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109445362A (zh) * 2018-12-24 2019-03-08 西北工业大学 一种集成标定数据的五孔探针测量系统

Also Published As

Publication number Publication date
EP2083509A1 (en) 2009-07-29
EP2083509A4 (en) 2011-06-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN104756389B (zh) 提供高效率和高功率密度的ac-dc谐振转换器
JP3994953B2 (ja) 力率改善回路
CN103477548B (zh) 开关电源器件控制电路以及开关电源
US8525505B2 (en) PWM controller and control method for a DC-DC voltage converter
US9391504B2 (en) Control of transformer flux density in an isolated switched mode power supply
JPH08237943A (ja) 圧電トランスを用いたdc/dcコンバータ
JP2013165537A (ja) スイッチングレギュレータとその制御方法及び電源装置
CN102257714A (zh) 谐振转换器
Scherpen et al. Lagrangian modeling of switching electrical networks
JP5851421B2 (ja) 発振器の周波数変調制御のための方法及び装置
WO2010078694A1 (en) Sweeping frequency llc resonant power regulator
KR101844981B1 (ko) 플라즈마 공정용 llcc 공진컨버터
TWI768673B (zh) 直流電阻感測溫度補償
JP5693177B2 (ja) 圧電振動子駆動回路
JP2003224974A (ja) スイッチング電源回路
JP4668868B2 (ja) Pll回路
WO2007129468A1 (ja) 共振回路から生成される直流電圧を安定化する帰還
JP7291298B2 (ja) 共振インバータ及び変換方法
JP2020156215A (ja) スイッチング電源
JP5412651B2 (ja) 共振回路から生成される直流電圧を安定化する帰還回路の構成法
JP2006187159A (ja) 共振型スイッチング電源装置
JP5282197B2 (ja) 共振の周波数依存性を利用して直流電圧を安定化する電源における搬送波の振幅の制御
CN105103318B (zh) 用于操控压电变压器的电路装置和方法
US6580624B2 (en) Switching power circuit with a filter for controlling noise of a switching frequency and method of same
JP5659438B2 (ja) 共振器を利用する電源の安定な帰還

Legal Events

Date Code Title Description
121 Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application

Ref document number: 07737133

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1

NENP Non-entry into the national phase

Ref country code: DE

WWE Wipo information: entry into national phase

Ref document number: 2007737133

Country of ref document: EP