WO2007126116A1 - 芯金レスゴムクロ－ラ - Google Patents

Description

芯金レスゴムクロ一ラ

技術分野

[0001] 本発明は芯金レスゴムクローラ（以下、単にゴムクローラという）の改良に力かるもの であり、特に、捩り剛性、横剛性を改良したゴムクローラを提供することを目的とするも のである。

背景技術

[0002] ゴムクローラの捩り剛性、横剛性は、耐脱輪性能、耐久性に大きな影響をなすもの である。しかしながら、同時にゴムクローラの周方向の剛性も大きくなり、かかる曲げ 剛性が大きいことは走行装置として大きな問題を抱えることとなる。

[0003] ゴムクロ—ラの捩り剛性、横剛性を改良する技術として特許文献 1がある。即ち、メイ ンコ ドの他に補強層としてノ ィァスコ ドが埋設されており、ノ ィァスコ ドは逆方 向の 2枚を重ね合わせる構造である。し力しながら、このゴムクロ—ラを用いた際、捩 り剛性、横剛性はゴムクローラの耐脱輪性能、耐久性として非常に有利なものである 力 同時に周方向の剛性も大きくなり、スプロケットに設計通りに巻き付かず浮き上が つて回転してしま 、、結果としてゴムクローラを装着した機械のパヮ ロスが大きくな つてしまうという問題がある。更に、スプロケットにゴムクロ—ラを巻き付けた際、スプロ ケットへの追従性が損なわれ、結果として歯飛びが発生し駆動突起破壊の要因とな ることちある。

[0004] 一方、芯金レスクローラの捩り剛性、横剛性確保のために補強層として幅方向の左 右に逆向きのバイアスコードが突き合わされた状態で埋設されているゴムクローラが 提案されている（特許文献 2)。ただし、この状態ではクロ—ラの横剛性がそれほど確 保できず、中央部にてゴムクローラが横方向で中折れする可能性もある。

[0005] 特許文献 1 :特開 2002— 178965号公報

特許文献 2：特開 2001— 010556号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題 [0006] 本発明はゴムクローラの捩り剛性、横剛性を改良し、かつ、走行装置として優れたゴ ムクロ一ラを提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

[0007] 本発明の第 1の態様は、無端状のゴム弾性体と、このゴム弾性体の長手方向に埋 設されたスチールコードと、内周面よりその長手方向に向力つて一定間隔をもって形 成されたゴム突起と、外周面に形成されたゴムラグとを含む芯金レスゴムクローラであ つて、前記芯金レスゴムクローラには幅方向左右の部位にそれぞれ逆方向に延在す るようバイアスコードが配置され、互いに逆方向に延在する前記バイアスコードの一 部はゴム突起直下において重ね合わせられることにより重合部を画定し、該重合部 は前記ゴム突起の幅方向中央部を含んでその左右両側の一部を覆うように構成され る、芯金レスゴムクローラにより、提供される。

上記の態様においては、芯金レスゴムクローラの幅方向左右の部位にはそれぞれ 互 ヽに逆方向に延びる多数のバイアスコ ドが埋設され、芯金レスゴムクロ ラの周 方向に対し傾斜して延在する。すなわち、右側部位に延在するバイアスコードと左側 部位に延在するバイアスコ ドとは互 、に逆方向に傾斜する。ゴム突起がその中心 から幅方向左右両側に渡って形成されることにより、ゴム突起の幅方向左右において 剛性の均衡を確保することができ、この結果、剛性の高い側を基点とする歯飛びの 発生を防止でき、また、脱輪の発生も防ぐことができる。

ノィァスコードはゴム弾性体に埋設されたスチールコードの半径方向外側に埋設さ れてもよい。さらに、バイアスコードはスチールコード力ら離間して配設されてもよい。 重合部を構成するバイアスコードは、ゴム弾性体の厚さ方向において、重合部以外 の部位のバイアスコードとは異なる位置 (深さ）に埋設されてもよ!、。

また、重合部を構成する、互いに逆方向に延在するバイアスコードは、ゴム弾性体 の厚さ方向において離間した位置に埋設されてもよい。更に、また、重合部以外の部 位におけるバイアスコードは、ゴム弾性体の厚さ方向において、重合部を構成する互 いに逆方向に延在するバイアスコードの間の位置 (深さ）に埋設されてもょ 、。

重合部はゴム突起の全幅に渡って形成されていてもよぐさらには、芯金レスゴムク ローラが巻き付けられる転輪外周面の内側端部に対応する部位 (転輪との接触部位 内側端)近傍までは延在していてもよい。このように構成することにより、転輪の通過 時に重合部の端部でバイアスコードが折り曲げられたり、バイアスコードの疲労による 切断を防止することができる。

また、バイアスコードの中折れを防ぐためには、重合部は、ゴム突起の幅の 20%以 上の幅を有するように形成してもよい。ゴム突起の幅が 20%未満の場合には、十分 な効果が得られず、中折れを生じる場合がある。

重合部は、ゴム突起の幅方向の中心位置に対してその左右両側に位置する重合 部が、幅の比において 2 : 1から 1 : 2の範囲内となるように形成してもよい。この範囲を 越えて、重合部がいずれかの側に偏るときには、バイアスコードが折り曲げられ、バイ ァスコードが疲労して切断を生じる場合があるからである。更には、重合部の幅方向 中心位置が芯金レスゴムクローラの幅方向において前記ゴム突起の幅方向の中心 位置に一致するように形成するとよ!/ヽ。

また、前記ゴム突起は半径方向に対し傾斜する側壁面を有してゴム弾性体の内周 面より突出し、該側壁面は、芯金レスゴムクローラが巻き付けられる転輪側の、該側 壁面と対面する面に平行となるように形成してもよい。この場合には、突起の傾斜角 度がスプロケットと平行になるために摩擦力を増加させることができ、歯飛びの防止に 有効である。

ゴム弾性体の内面に形成される突起は、幅方向に複数設けられてもよい。この場合 には中央に位置する突起の直下に重合部が形成される。

発明の効果

[0008] 本発明は以上のような構成を備えたものであり、これによつてゴムクロ一ラの捩り剛 性、横剛性を改良し、かつ、走行装置としてスプロケット等に巻き掛けした場合でも曲 力 Sり剛性がそれほど高くなぐほぼ設計通りの巻き掛けとなったもので、歯飛び現象の 少ないゴムクロ一ラが得られたものである。

図面の簡単な説明

[0009] [図 1]図 1は本発明のゴムクロ ラの幅方向断面図である。

[図 2]図 2は図 1のゴムクローラの一部切断平面図である。

[図 3]図 3は本発明のゴムクローラのスプロケットに巻き掛け時の側面図である。 [図 4]図 4は、ゴム突起を幅方向に 3箇所設けた場合の本発明のゴムクロ—ラの一部 切断平面図である。

発明を実施するための最良の形態

[0010] 本発明にあっては、ゴムクローラの曲げ剛性を抑制するために左右幅方向で逆向 きのノ ィァスコ—ドをゴム弾性体中で同一水平位置に埋設し、かつ、その中央部にて 長手方向に添って重ね合わせたゴムクローラである。この重ね合わせ部位はゴムクロ ラの内周側に形成されたゴム突起の直下に対応するものであり、この部位は転輪 の踏み込みもなぐ比較的安定した部位であり、ゴムクロ—ラの中央にあることから、 捩じれ等の不具合が比較的起きにくい位置である。

[0011] 力かる重ね合わせの幅はゴムクロ一ラの大きさ、ゴム突起の大きさにもよるが、 10m mあれば十分であり、重ね合わせは部の端部はゴム突起の幅方向外側にある程度 はみ出してもよいが、好ましくは、ゴム突起の左右外側を転動する転輪の接触部位ま でをその幅の限度とするのが良い。

[0012] バイアスコードのバイアス角度は、ゴムクローラの大きさ、スプロケットの大きさ（曲率 )、横方向から加わる予定される外力等に対して任意に選択可能であるが、一般には ゴムクロ—ラの幅方向に対して 10〜45度程度、好ましくは 30〜40度程度が好んで 用いられる。尚、バイアスコ―ドはスチ—ルコ—ド、ナイロンやポリエステル等の各種 合成繊維が用いられる。

[0013] ノ ィァスコードの埋設位置は、スチールコードの内周側でも外周側でもよいが一般 には外周側に埋設されるのが通例である。

また、バイアスコードの直径はゴム弾性体の長手方向に埋設されるスチールコード（ メインコード)の直径より小さい (細い)ものとするの力 一般には、好ましい。試作した ものでは、バイアスコードの直径を 0. 9mm、スチールコード（メインコード）の直径を 3 . 2mmとした。スチールコード (メインコード）は破断強度確保のためにある程度のコ 一ド径を必要とする力 バイアスコードではスチールコードと同程度の太さとすると、 サイズによっては曲げ剛性が強くなり過ぎて追従性を低下させ、脱輪、歯飛び等の現 象を招くことになるからである。

実施例 [0014] 以下、図面をもって本発明を更に詳細に説明する。図 1は本発明のゴムクローラ A の幅方向断面図、図 2は一部切断平面図である。符号 1はゴムクローラ Aの基体をな すゴム弾性体であり、図 2おいて上下に連続する。 2はゴム弾性体 1の内周面の中央 部に一定ピッチをもって形成されたゴム突起であり、図示しな 、スプロケットと係合し て駆動力が伝達される。 3は引っ張り補強部材としてのスチールコードであり、ゴム弹 性体 1の長手方向に埋設されて!ヽる。 4はゴム弾性体 1の外周面に形成したゴムラグ である。

[0015] さて、 5、 6はスチールコード 3の外周側に埋設されたスチールコード繊維よりなるバ ィァスコ―ドであり、幅方向に対して 38度をなして埋設されたものである。 7はバイァ スコード 5、 6の中央側縁を重ね合わせた部位であり、この重ね合わせ部位はゴム突 起 2の直下にあり、通常はゴム突起 2の左右面を転動する転輪 10の転動部位に達す ることがな 、ように重ね合わせ部位を構成するのがよ!/、。

[0016] 実際のゴムクロ一ラ Aにあって、ゴムクロ一ラ Aの幅力 50mmのものに対して、夫 々のバイアスコード（角度 38度） 5、 6の幅は 250mm、重ね合わせ部位 7の重ね幅は 50mmとしてゴムクローラ Aを構成した。尚、内周側に形成されたゴム突起の左右の 幅は 60mmであった。

[0017] 図 3はこのゴムクローラ Aをスプロケット 20に巻き掛けした際の側面図である力 本 発明のゴムクロ—ラ A (実線）にあっては曲げ剛性が小さぐスプロケット 20に設計通り の形状で巻き掛けされているが、特許文献 1に記載のゴムクロ—ラ B (—点鎖線で示 す)は曲げ剛性が大きぐスプロケット 20に対して浮き上がった状態で巻き掛けされる こととなってしまい、脱輪や歯飛びの現象が多く起こる。しかるに、本発明のゴムクロ ーラ Aは、従来のものに比べて巻き掛けが設計通り十分になされ、スプロケット 20との 間での歯飛び現象が極めて少なくなり、ゴムクローラ Aの特にゴム突起 2のゴム欠け 等がほとんど見られないものとなった。

[0018] 次表 1に、本発明の実施例と比較例 1、比較例 2及び比較例 2における、耐脱輪性 ( 捩り剛性)、横剛性（中折れ剛性)、曲げ剛性 (追従性）についての性能比較を示す。 ここで、比較例 1は幅方向左右のバイアスコードをゴムクローラの幅全体に渡って重 合させたものであり、比較例 2は幅方向左右のバイアスコードを互いに突き合わせた もの、比較例 3はゴム突起の片側においてのみバイアスコードを重合させたものであ る。

[0019] [表 1]

[0020] この結果、比較例 3は重合部を有することから中折れはしにくいが、剛性の不均衡 により脱輪しやす 、ことがわかる。

本発明は、ゴム突起をゴム弾性体の内周面の幅方向の複数箇所に形成したゴムク ローラにも適用される。図 4は、ゴム突起を、ゴム弾性体の内周面の幅方向 3箇所に 形成したゴムクローラを示している。この場合には、重合部は中央のゴムクローラ直下 に形成される。

産業上の利用可能性

[0021] 本発明は以上の通りであり、ゴムクローラの捩り剛性、横剛性を改良し、かつ、走行 装置として歯飛び現象が極めて少ないゴムクローラが得られたものであり、芯金レス ゴムクロ ラに広く利用可能である。

符号の説明

[0022] 1··ゴム弾性体、

2··ゴム突起、

3· ·スチールコード、

4··ゴムラグ、

5、 6· ·ノ ィァスコード、

7· -バイアスコードの重ね合わせ部、

10··転輪、

20· 'スプロケット、

Α··本発明のゴムクローラ、

Β··従来のゴムクロ一ラ。

Claims

請求の範囲

[1] 無端状のゴム弾性体と、このゴム弾性体の長手方向に埋設されたスチールコードと、 内周面よりその長手方向に向力つて一定間隔をもって形成されたゴム突起と、外周 面に形成されたゴムラグとを含む芯金レスゴムクローラであって、前記芯金レスゴムク ローラには幅方向左右の部位にそれぞれ逆方向に延在するようバイアスコ ドが配 置され、互いに逆方向に延在する前記バイアスコードの一部はゴム突起直下にお!、 て重ね合わせられることにより重合部を画定し、該重合部は前記ゴム突起の幅方向 中央部を含んでその左右両側の一部を覆うように構成される、芯金レスゴムクロ—ラ。

[2] 前記ゴム突起は前記芯金レスゴムクローラの幅方向中央部に位置する、請求項 1の 芯金レスゴムクローラ。

[3] 前記バイアスコードは、芯金レスゴムクローラの周方向に対し傾斜して延在する、請 求項 1の芯金レスゴムクローラ。

[4] 前記バイアスコードは前記ゴム弾性体に埋設された前記スチールコードの半径方向 外側に埋設される、請求項 1の芯金レスゴムクロ—ラ。

[5] 前記重合部の幅は前記突起の 20%以上である、請求項 1の芯金レスゴムクローラ。

[6] 前記重合部の幅方向中心位置は、芯金レスゴムクローラの幅方向において前記ゴム 突起の幅方向の中心位置に一致する、請求項 1の芯金レスゴムクロ ラ。

[7] 前記ゴム突起は半径方向に対し傾斜する側壁面を有して前記内周面より突出し、該 側壁面は、芯金レスゴムクローラが巻き付けられる転輪側の、該側壁面が対面する面 に平行となるように形成される、請求項 1の芯金レスゴムクローラ。

[8] 前記重合部は、少なくとも前記ゴム突起の全幅に渡って延在するよう構成される、請 求項 1の芯金レスゴムクローラ。

[9] 重合部を構成し、互いに逆方向に延在する前記バイアスコードは、ゴム弾性体の厚 さ方向において離間した位置に埋設される、請求項 1の芯金レスゴムクローラ。

[10] 前記バイアスコードの直径は前記スチールコードの直径より小さい、請求項 1の芯金 レスゴムクローラ。