WO2007088837A1

WO2007088837A1 - 製紙フェルト用多重織基布

Info

Publication number: WO2007088837A1
Application number: PCT/JP2007/051455
Authority: WO
Inventors: Katsuya Ogawa
Original assignee: Nippon Felt Co., Ltd.
Priority date: 2006-02-02
Filing date: 2007-01-30
Publication date: 2007-08-09
Also published as: FI121432B; CN101310074A; JP2007204879A; JP4855089B2; FI20077128A

Abstract

【課題】製紙フェルト用多重織基布において、空隙量を大きく確保することができ、圧縮抵抗性や圧縮回復性に優れ、且つ製造が容易になるようにする。【解決手段】複数層の経糸３・４が厚さ方向に重なり合う多重構造をなし、複数層の経糸が相互に一体化するように緯糸１１を絡合させた多重織部と、複数層の経糸の各々に絡合する緯糸１２・１３が厚さ方向に重なり合って一重織の織物層を重ね合わせた状態となる一重織重合部とからなる単位組織の繰り返しで構成されているものとする。

Description

明細書

製紙フェルト用多重織基布

技術分野

[0001] 本発明は、複数層の経糸が厚さ方向に重なり合う多重構造をなす基布を有する製紙フェルト用多重織基布に関する。

背景技術

[0002] 湿紙のプレス工程で使用される製紙用フェルトにおいては、高い搾水性を確保する目的で空隙量が大きくなるように、経糸を多重に配した構成の基布が採用されることがあり、このような多重構造の基布では、織機で別々に織り上げられた複数枚の織物を重ね合わせたラミネート構造のものや、織機で多重織に織り上げた多重織構造のものが知られている。

[0003] 多重織構造の基布では、多重に配した経糸の全てに各緯糸を絡合させた構造、特に二重に配した経糸の双方に各緯糸を絡合させた二重織の構造が最も一般的であり（特許文献 1 · 2参照）、この他に三重織りや四重織りの構造が知られて、る (特許文献 3参照)。またラミネート構造の基布では、一重織の織物を 2枚重ね合わせた構造や、一重織の織物と二重織の織物とを重ね合わせた構造などが一般的であり（特許文献 4 · 5参照）、この他にも多様な構造が知られて!/、る (特許文献 6 · 7参照)。

特許文献 1：特公平 5— 47675号公報

特許文献 2：特開平 9 31881号公報

特許文献 3：特開 2001 - 254287号公報

特許文献 4：特開 2000 - 256984号公報

特許文献 5：特開 2005— 200819号公報

特許文献 6：特許 3615413号公報

特許文献 7：特許 3165839号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0004] しかるに、前記の多重に配した経糸の全てに各緯糸を絡合させた多重織構造の基布では、経糸を多重に配した割には空隙量が増大しない不都合や、使用中に作用する圧縮力に対して潰れ難い圧縮抵抗性、及び圧縮力がなくなった際に元の状態に回復する圧縮回復性が低いという不都合を有しており、大きな空隙量並びに優れた圧縮抵抗性及び圧縮回復性を確保する観点からは、多重織構造よりもラミネート構造の方が有利である。しかしながら、ラミネート構造の基布では、複数枚の織物を別々に織り上げる手間を要する上に、製造途中で重ね合わせた複数枚の織物にずれが生じ易ぐ製造が難しい難点がある。また一重織の織物を 2枚重ねた構造では、織物の組織によっては期待する程の空隙量が得られない場合もある。

[0005] 本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、空隙量を大きく確保することができ、圧縮抵抗性や圧縮回復性に優れ、且つ製造が容易になるように構成された製紙フェルト用多重織基布を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0006] このような課題を解決するために、本発明においては、経糸が複数層をなして厚さ方向に重なり合う多重構造をなす製紙フェルト用多重織基布であって、前記複数層の経糸が相互に一体ィ匕するように緯糸に絡合された多重織部と、各層の経糸の絡合する緯糸が厚さ方向に重なり合って一重織の織物層を重ね合わせた状態となる一重織重合部とからなる単位組織の繰り返しで構成されているものとした。

[0007] これによると、一重織重合部が一重織の織物層を重ね合わせた構造となっているため、空隙量を大きく確保すると共に優れた圧縮抵抗性及び圧縮回復性を得ることができ、同時に多重織部において緯糸が複数層の経糸を一体ィ匕して一重織重合部のずれを抑制するため、製造が容易になる。

[0008] この場合、多重織部は、 2層の経糸が厚さ方向に重ねて設けられた経糸二重構造では、 2層の経糸の双方に各緯糸を絡合させた緯糸一重構造となり、 3層以上の経糸が厚さ方向に重ねて設けられた経糸多重構造では、厚さ方向に重なり合う複数層の経糸の全てに各緯糸を絡合させた緯糸一重構造の他に、複数層の経糸の一部にのみ絡合する緯糸が厚さ方向に重ねて設けられた緯糸多重構造も可能である。発明の効果 [0009] このように本発明によれば、空隙量を大きく確保することができ、圧縮抵抗性や圧縮回復性に優れ、且つ製造が容易になるため、抄紙機のプレスパート (圧搾部)で要求される高い搾水性を有するフルトを安価に製造する上で大きな効果が得られる。そして多重織部及び一重織重合部の割合を変えることで、空隙量を自在に調整することができ、適用される抄紙機のパートなどに応じて要求される条件に適合する織物を簡単に製造することが可能になる。

発明を実施するための最良の形態

[0010] 以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。

[0011] 図 1〜図 5は、本発明によるフェルト用基布の一例を示す丈方向の断面図である。

基布 1は、不織繊維層 2が積層一体化されて製紙用フェルトを構成し、製紙面 5側の第 1の経糸 3と走行面 6側の第 2の経糸 4とが厚さ方向に重ねて設けられた経糸二重構造をなしている。この基布 1は、第 1 ·第 2の経糸 3 ·4が織機上で打込み糸として織り上げられ、緯糸 11— 13は織機上では経糸（整経糸）となる。経糸 3 ·4は機械方向（ MD: machine directionノ糸、糸丄 1— l ^ま方向 (CMD: cross machine direction )糸とも呼ばれる。

[0012] 図 1Aに示す例では、基布 1が、 2層の経糸 3 ·4が相互に一体化するように経糸 3 ·4 の双方に緯糸 11を絡合させた多重織部と、 2層の経糸 3 ·4の各々に絡合する緯糸 1 2 · 13が厚さ方向に重なり合って一重織の織物層を 2層重ね合わせた状態となる一重織重合部とからなる単位組織の繰り返しで構成されており、多重織部及び一重織重合部がそれぞれ丈方向に緯糸 1本分形成されている。この場合、多重織部を構成する緯糸 11は、全て互いに整合するように織られている。図 1Bの例では、多重織部を構成する緯糸 11は、隣接するもの同士が互、に逆位相となるように経糸 3 · 4に絡合されている。このようにすれば、組織の均一性を一層向上することができる。いずれの場合も、基布 1は、 2層をなす経糸 3 · 4を有し、多重織部と一重織重合部とが交互するように配置されている。

[0013] 図 2Αに示す例では、基布 21が、 2層の経糸 3 ·4の双方に緯糸 22を絡合させた多重織部と、 2層の経糸 3 ·4の各々に絡合する緯糸 23 · 24及び緯糸 25 · 26がそれぞれ厚さ方向に重なり合う一重織重合部とからなる単位組織の繰り返しで構成されており、多重織部が丈方向に緯糸 1本分、一重織重合部が丈方向に緯糸 2本分形成されている。この場合も、多重織部を構成する緯糸 22は、全て互いに整合するように織られている。図 2Bの例では、多重織部を構成する緯糸 22は、隣接するもの同士が互いに逆位相となるように経糸 3 ·4に絡合されている。しカゝも、一重織重合部も、隣接する単位組織同士毎にパターンが同順に出現するのではなぐ多重織部に対して対称をなすように出現する。この場合も、組織の均一性を一層向上することができる。いずれの場合も、基布 1では、互いに隣接する多重織部の対の間に複数の一重織重合部が配置される。

[0014] 図 3に示す例では、基布 31が、 2層の経糸 3 ·4の双方に緯糸 32· 33をそれぞれ絡合させた多重織部と、 2層の経糸 3 ·4の各々に絡合する緯糸 34· 35が厚さ方向に重なり合う一重織重合部とからなる単位組織の繰り返しで構成されており、多重織部が丈方向に緯糸 2本分、一重織重合部が丈方向に緯糸 1本分形成されている。即ち、基布 1では、互いに隣接する一重織重合部の対の間に複数の多重織部が配置される

[0015] 図 4に示す例では、基布 41が、 2層の経糸 3 ·4の双方に緯糸 42·43をそれぞれ絡合させた多重織部と、 2層の経糸 3 ·4の各々に絡合する緯糸 44· 45及び緯糸 46 · 4 7がそれぞれ厚さ方向に重なり合う一重織重合部とからなる単位組織の繰り返しで構成されており、多重織部が丈方向に緯糸 2本分、一重織重合部が丈方向に緯糸 2本分形成されている。即ち、基布 1では、 2層をなす経糸を有し、連続する 2つの多重織部と連続する 2つの一重織重合部とが交互するように配置されて、る。言うまでもなく、連続する多重織部或いは一重織重合部の数は、 2よりも大きいものであったり、互いに異なるものであっても良い。

[0016] 図 5に示す例では、基布 51が、 2層の経糸 3 ·4の双方に緯糸 52を絡合させた多重織部と、 2層の経糸 3 ·4の各々に絡合する緯糸 53 · 54、緯糸 55 · 56、緯糸 57· 58、及び緯糸 59 · 60がそれぞれ厚さ方向に重なり合う一重織重合部とからなる単位組織の繰り返しで構成されており、多重織部が丈方向に緯糸 1本分、一重織重合部が丈方向に緯糸 4本分形成されて、る。

[0017] このように構成された基布 1 · 21 · 31 ·41 · 51では、一重織重合部が一重織の織物層を重ね合わせた構造となっているため、基布の空隙量を大きく確保すると共に優れた圧縮抵抗性及び圧縮回復性を得ることができ、同時に多重織部において緯糸力^層の経糸 3 ·4を相互に一体ィヒするため、一重織重合部のずれを抑制することができる。

[0018] なお、多重織部及び一重織重合部の配置形態、すなわち多重織部及び一重織重合部をそれぞれ丈方向に緯糸何本分形成するかは、図 1〜図 5の例に限定されるものではなぐこの他にも種々の形態が可能である。ここで一重織重合部の割合を大きくすると、基布の空隙量を大きく確保すると共に圧縮抵抗性及び圧縮回復性を向上させることができ、逆に多重織部の割合を大きくすると、一重織重合部のずれ抑制効果が向上し、適用される抄紙機のパートなど、基布に要求される条件に応じて適宜に設定すれば良い。

[0019] 図 6〜図 8は、図 1に示した基布の幅方向の模式的な断面図である。これらは、本発明による多重織部及び一重織重合部での緯糸の経糸に対する絡合形態の例を示したものであり、図 1の例の他に、図 2〜図 5の例を始めとして、種々の多重織部及び一重織重合部の配置形態と組み合わせることが可能である。

[0020] 図 6Αに示す例では、多重織部を構成する、すなわち厚さ方向に重なり合う 2層の経糸 3 ·4の双方に絡合する緯糸 11が、第 1の経糸 3の上側 (製紙面 5側）の位置から、第 1 ·第 2の経糸 3 ·4間を通って、第 2の経糸 4の下側（走行面 6側）に抜け出し、さらに第 1 ·第 2の経糸 3 ·4間を通って、第 1の経糸 3の上側の位置に至るように織り込まれている。

[0021] 他方、一重織重合部を構成する、すなわち厚さ方向に重なり合う 2層の経糸 3 ·4の各々に絡合する緯糸 12· 13は平織りで織り込まれている。この緯糸 12· 13は、経糸 3 ·4に対する絡合形態が上下対称となっており、緯糸 12が第 1の経糸 3の上側を通る位置で、緯糸 13が第 2の経糸 4の下側を通り、緯糸 12が第 1の経糸 3の下側を通る位置で、緯糸 13が第 2の経糸 4の上側を通る。

[0022] 図 6Βに示す例では、一重織重合部を構成する緯糸 12· 13が、前記の例と同様に平織りで織り込まれている力ここでは、緯糸 12· 13の経糸 3 ·4に対する絡合形態が互いに整合し、上下非対称になっており、緯糸 12が第 1の経糸 3の上側を通る位置で、緯糸 13が第 2の経糸 4の上側を通り、緯糸 12が第 1の経糸 3の下側を通る位置で、緯糸 13が第 2の経糸 4の下側を通る。

[0023] 図 7Aに示す例では、一重織重合部を構成する上側の緯糸 12が、 3本の経糸 3の下側を通った後、 1本の経糸 3の上側を通る 3Z1組織で織り込まれている。他方、一重織重合部を構成する下側の緯糸 13は、 1層の経糸 4の下側を通った後、 3層の経糸 4の上側を通る 1Z3組織で織り込まれており、上下の緯糸 12 · 13の経糸 3 · 4に対する絡合形態が上下対称になっている。即ち、一重織重合部の緯糸が、 4本目毎の経糸につ、て織り合わせられる。

[0024] 図 7Bに示す例では、一重織重合部を構成する上下の緯糸 12· 13が、前記の例と同様にそれぞれ 3/1組織及び 1/3組織で織り込まれている力ここでは、上下の緯糸 12 · 13が、経糸 3 ·4の 2本分だけ幅方向にずらした態様で織り込まれており、経糸 3 ·4に対する絡合形態が上下非対称になっている。

[0025] 図 7Cに示す例では、一重織重合部を構成する上下の緯糸 12· 13が、前記の例とは逆にそれぞれ 1Z3組織及び 3Z1組織で織り込まれており、経糸 3 ·4に対する絡合形態が上下対称になって、る。

[0026] 図 7Dに示す例では、一重織重合部を構成する上下の緯糸 12· 13が、前記の例と同様にそれぞれ 1/3組織及び 3/1組織で織り込まれている力ここでは、上下の緯糸 12 · 13が、経糸 3 ·4の 2本分だけ幅方向にずらした態様で織り込まれており、経糸 3 ·4に対する絡合形態が上下非対称になっている。

[0027] 図 8Αに示す例では、一重織重合部を構成する上側の緯糸 12が、 7層の経糸 3の下側を通った後、 1層の経糸 3の上側を通る 7Z1組織で織り込まれている。他方、一重織重合部を構成する下側の緯糸 13は、 1層の経糸 4の下側を通った後、 7層の経糸 4の上側を通る 1/7組織で織り込まれている。さらに上下の緯糸 12· 13は、経糸 3 •4の 2本分だけ幅方向にずらした態様で織り込まれている。即ち、一重織重合部の緯糸が、 8本目毎の経糸について織り合わせられる。

[0028] 図 8Βに示す例では、一重織重合部を構成する上下の緯糸 12· 13が、前記の例と同様にそれぞれ 7/1組織及び 1/7組織で織り込まれている力ここでは、上下の緯糸 12 · 13が、経糸 3 · 4の 4本分だけ幅方向にずらした態様で織り込まれて、る。 [0029] なお、多重織部を構成する緯糸 11の経糸 3 ·4に対する絡合形態は、前記の図 6〜図 8に示した例に限定されるものではなぐこの他にも種々の形態が可能である。例えば第 1の経糸 3の上側の位置から、第 1 ·第 2の経糸 3 ·4間を通り、さらにその隣の経糸 3 ·4間を通って、第 2の経糸 4の下側に抜け出すように織り込むことも可能である

[0030] また、一重織重合部を構成する緯糸 12· 13の経糸 3 ·4に対する絡合形態も、前記の図 6〜図 8に示した例に限定されるものではなぐこの他にも種々の形態が可能である。例えば緯糸 12の例で説明すると、 2層の経糸 3の下側を通った後、 2層の経糸 3の上側を通る 2Ζ2組織も可能である。また上下の緯糸 12 · 13で異なる組織とすることも可能である。

[0031] 図 9は、本発明によるフェルト用基布の別の例を示す丈方向の断面図である。このフェルトは、基布 71に不織繊維層 2を積層一体ィ匕してなるものであり、基布 71は、第 1 ·第 2 ·第 3の 3層の経糸 72 · 73 · 74が厚さ方向に重ねて設けられた経糸三重構造をなしている。

[0032] 基布 71は、 3層の経糸 72· 73 · 74が相互に一体化するように 3層の経糸 72· 73 · 7 4の全てに緯糸 81を絡合させた多重織部と、 3層の経糸 72· 73 · 74の各々に絡合する緯糸 82 · 83 · 84が厚さ方向に重なり合って一重織の織物層を 3層重ね合わせた状態となる一重織重合部とからなる単位組織の繰り返しで構成されている。

[0033] 図 10は、図 9に示した基布の幅方向の模式的な断面図である。多重織部を構成する緯糸 81は、第 1の経糸 72の上側の位置から、第 1 ·第 2の経糸 72· 73間、及び第 2 •第 3の経糸 73 · 74間を通って、第 3の経糸 74の下側に抜け出し、さらに第 2·第 3の経糸 73 · 74間、及び第 1 ·第 2の経糸 72 · 73間を通って、第 1の経糸 72の上側の位置に至るように織り込まれている。即ち、 3層をなす経糸を有し、各単位組織の緯糸力或る上側の経糸の上側を通過した後に、 2つおいて隣接する下側の経糸の下側を通過し、再び更に 2つおいて隣接する上側の経糸の上側を通過するように織られる

[0034] 他方、一重織重合部を構成する緯糸 82· 83 · 84は、 3層の経糸 72· 73 · 74の各々に対して平織りで織り込まれている。なお、この一重織重合部を構成する緯糸 82· 83 •84の経糸 72·73·74に対する絡合形態は、前記の図 6〜図 8に示した例を始めとして、種々の形態が可能である。

[0035] 図 11は、本発明によるフェルト用基布の別の例を示す丈方向の断面図である。基布 91は、前記の図 9の例と同様に、第 1·第 2·第 3の 3層の経糸 72·73·74が厚さ方向に重ねて設けられた経糸三重構造をなしている力ここでは、多重織部において、上側の 2層の経糸 72· 73に緯糸 92が絡合すると共に、下側の 2層の経糸 73· 74に緯糸 93が絡合し、この 2本の緯糸 92·93は厚さ方向に重ねて設けられた緯糸二重構造となっている。

[0036] 図 12は、図 11に示した基布の幅方向の模式的な断面図である。多重織部を構成する上側の緯糸 92は、第 1の経糸 72の上側の位置から、第 1·第 2の経糸 72· 73間を通って、第 2·第 3の経糸 73·74間の位置に至り、さらに第 1·第 2の経糸 72·73間を通って、第 1の経糸 72の上側の位置に至るように織り込まれている。また、多重織部を構成する下側の緯糸 93は、第 1·第 2の経糸 72·73間の位置から、第 2·第 3の経糸 73· 74間を通って、第 3の経糸 74の下側に抜け出し、さらに第 2·第 3の経糸 73 •74間を通って、第 1·第 2の経糸 72·73間の位置に至るように織り込まれている。即ち、 3層をなす経糸を有し、各単位組織の緯糸が、或る上側の経糸の上側を通過した後に、 1つおいて隣接する中間側の経糸の下側を通過し、再び更に 1つおいて隣接する上側の経糸の上側を通過するように織られ、かつ同単位組織の別の緯糸が、前記上側の経糸の直下の中間の経糸の上側を通過した後に、 1つおいて隣接する下側の経糸の下側を通過し、再び更に 1つお、て隣接する中間の経糸の上側を通過するように織られる。

[0037] 他方、一重織重合部を構成する緯糸 94·95·96は、前記の図 10の例と同様に、 3 層の経糸 72·73·74の各々に対して平織りで織り込まれており、一重織の織物層を 3 層重ね合わせた状態となっている。なお、この一重織重合部を構成する緯糸 94· 95 • 96の経糸 72· 73 · 74に対する絡合形態は、前記の図 6〜図 8に示した例を始めとして、種々の形態が可能である。

[0038] 図 13は、図 1に示したフェルトの全体形状を模式的に付記した断面図である。図 1 3Αは、エンドレスフェルトの例を示しており、図 13Bは、オープンエンドフェルト（シーム付きフェルト）の例を示して、る。

[0039] 図 13Bに示す例では、有端のフェルトの端部に、経糸 3 · 4の折り返しにより接合ループ 101 · 102が形成され、この接合ループ 101 · 102をかみ合わせて形成された共通孔に芯線 103を挿通して、フェルトの端部を相互に接合するようになっている。このようにすると、フェルトを抄紙機に掛け入れる際に、有端のフェルトをフェルトランに引き込んだ上でその両端部を互いに接合して無端とすれば良ぐ掛け入れ作業性を向上させることができる。

[0040] 特にこの構成では、接合ループ 101 · 102の直近に、多重織部を構成する緯糸 12 a ' 13aを配すると、接合ループ 101 · 102の基部の締め付けが緩和され、接合ループ 101 · 102の形態を適正化することができる。また緯糸 12a ' 13aをステープル及びフィラメントの、ずれか一方あるいは双方を多数集合させた集合糸材力なるものとすると、不織繊維層 2を強固に保持することができ、シームマークを抑制することができる。

[0041] 以上、厚さ方向に重なり合う経糸が 2本あるいは 3本となる織物の例を示した力本発明はこれらの例に限定されるものではなぐ厚さ方向に重なり合う経糸が 4本以上となる織物にも同様に適用することができる。

[0042] なお、図 6 ·図 7 ·図 8 ·図 10 ·図 12では、緯糸の絡合状況を分かり易く記載するため、多重織部及び一重織重合部を構成する緯糸を示す線の太さを変えて図示して、る力緯糸の実際の太さを表すものではなぐ線の太さは任意に定めることができる。産業上の利用可能性

[0043] 本発明にかかる製紙フェルト用多重織基布は、空隙量を大きく確保することができ、圧縮抵抗性や圧縮回復性に優れ、且つ製造が容易になる効果を有し、抄紙機のプレスパート (圧搾部）で用いられるプレスフェルトの基布として特に有用であり、またワイヤーパート (形成部）で用いられるフォーミングワイヤー、ドライパート（乾燥部）で用いられるドライヤーカンバスやドライヤーフェルトの基布、その他の製紙用ベルトなどとしても有用である。

図面の簡単な説明

[0044] [図 1 A]本発明によるフルト用基布の一例を示す丈方向の断面図 [図 IB]図 1Aの例の変形実施例を示す丈方向の断面図圆 2A]本発明によるフルト用基布の別の例を示す丈方向の断面図

[図 2B]図 2Aの例の変形実施例を示す丈方向の断面図

圆 3]本発明によるフェルト用基布の別の例を示す丈方向の断面図圆 4]本発明によるフェルト用基布の別の例を示す丈方向の断面図圆 5]本発明によるフェルト用基布の別の例を示す丈方向の断面図

[図 6A]図 1に示した基布の一例を示す幅方向の模式的な断面図

圆 6B]図 1に示した基布の変形例を示す幅方向の模式的な断面図圆 7A]図 1に示した基布の更に別の変形例を示す幅方向の模式的な断面図圆 7B]図 1に示した基布の更に別の変形例を示す幅方向の模式的な断面図圆 7C]図 1に示した基布の更に別の変形例を示す幅方向の模式的な断面図圆 7D]図 1に示した基布の更に別の変形例を示す幅方向の模式的な断面図

[図 8A]図 1に示した基布の更に別の変形例を示す幅方向の模式的な断面図

[図 8B]図 1に示した基布の更に別の変形例を示す幅方向の模式的な断面図圆 9]本発明によるフェルト用基布の別の例を示す丈方向の断面図

[図 10]図 9に示した基布の幅方向の模式的な断面図

圆 11]本発明によるフェルト用基布の別の例を示す丈方向の断面図

[図 12]図 11に示した基布の幅方向の模式的な断面図

[図 13A]図 1に示したフェルトの全体形状の一例を模式的に付記した断面図

[図 13B]図 1に示したフェルトの全体形状の別の例を模式的に付記した断面図符号の説明

1·21·31·41·51·71·91 基布

2 不織繊維層

3·4·72〜74 経糸

11〜13·22〜26·32〜35·42〜47·52〜60·81〜84·92〜96 緯糸

Claims

請求の範囲

[1] 経糸が複数層をなして厚さ方向に重なり合う多重構造をなす製紙フェルト用多重織基布であって、

前記複数層の経糸が相互に一体ィヒするように緯糸に絡合された多重織部と、各層の経糸の絡合する緯糸が厚さ方向に重なり合って一重織の織物層を重ね合わせた状態となる一重織重合部とからなる単位組織の繰り返しで構成されていることを特徴とする製紙フェルト用多重織基布。

[2] 2層をなす経糸を有し、各単位組織の多重織部の緯糸力或る上側の経糸の上側を通過した後に、 1つおいて隣接する下側の経糸の下側を通過し、再び更に 1つお Vヽて隣接する上側の経糸の上側を通過するように織られることを特徴とする請求項 1 に記載の製紙フェルト用多重織基布。

[3] 2層をなす経糸を有し、前記多重織部と一重織重合部とが交互するように配置されて、ることを特徴とする請求項 1に記載の製紙フェルト用多重織基布。

[4] 2層をなす経糸を有し、連続する 2つの多重織部と連続する 2つの一重織重合部とが交互するように配置されて、ることを特徴とする請求項 1に記載の製紙フェルト用多重織基布。

[5] 前記上下の経糸に織られた一重織重合部を形成する緯糸が、互いに整列することを特徴とする請求項 2に記載の製紙フェルト用多重織基布。

[6] 前記上下の経糸に織られた一重織重合部が、互いに対称に配置されることを特徴とする請求項 2に記載の製紙フェルト用多重織基布。

[7] 互いに隣接する前記多重織部の対の間に複数の一重織重合部が配置されることを特徴とする請求項 1に記載の製紙フェルト用多重織基布。

[8] 互いに隣接する前記一重織重合部の対の間に複数の多重織部が配置されることを特徴とする請求項 1に記載の製紙フェルト用多重織基布。

[9] 前記一重織重合部の緯糸が、各経糸について織り合わせられることを特徴とする請求項 2に記載の製紙フェルト用多重織基布。

[10] 前記一重織重合部の緯糸が、 4本目毎の経糸について織り合わせられることを特徴とする請求項 2に記載の製紙フェルト用多重織基布。

[11] 前記一重織重合部の緯糸が、 8本目毎の経糸について織り合わせられることを特徴とする請求項 2に記載の製紙フェルト用多重織基布。

[12] 3層をなす経糸を有し、各単位組織の多重織部の緯糸力或る上側の経糸の上側を通過した後に、 2つおいて隣接する下側の経糸の下側を通過し、再び更に 2つお V、て隣接する上側の経糸の上側を通過するように織られることを特徴とする請求項 1 に記載の製紙フェルト用多重織基布。

[13] 3層をなす経糸を有し、各単位組織の多重織部の緯糸力或る上側の経糸の上側を通過した後に、 1つおいて隣接する中間側の経糸の下側を通過し、再び更に 1つぉ、て隣接する上側の経糸の上側を通過するように織られ、かつ同単位組織の多重織部の別の緯糸力前記上側の経糸の直下の中間の経糸の上側を通過した後に、 1つお、て隣接する下側の経糸の下側を通過し、再び更に 1つお!/、て隣接する中間の経糸の上側を通過するように織られることを特徴とする請求項 1に記載の製紙フエルト用多重織基布。