WO2007080851A1 - 超音波アクチュエータ - Google Patents
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Abstract
超音波アクチュエータは、伸縮振動と屈曲振動とを行う圧電素子10と、圧電素子10に設けられ、該圧電素子10の振動に従って動作することで駆動力を出力する駆動子2,2と、圧電素子10を支持するケース12と、ケース12と圧電素子10との間に設けられ、圧電素子10の振動の非ノード部に対して圧電素子10に該振動の振動方向に圧縮力を予め付与する壁面支持体6A,6B、上面支持体7A,7B及び底面支持体8とを備えている。
Description
明 細 書
超音波ァクチユエータ
技術分野
[0001] 本発明は、各種電子機器に用いられる振動ァクチユエータに関するものであり、さら に詳しくは電気機械変換素子を用いた超音波ァクチユエータに関するものである。 背景技術
[0002] 従来の超音波ァクチユエータの分解斜視図を図 12に示す。図 11はこのような超音 波ァクチユエータに実装される圧電素子の斜視図である。
[0003] 圧電素子 10は底面支持体 8にてケース 12に支持されており、この圧電素子 10に は、図 11に示すように 4分割電極 9a、 9b、 9c、 9dが形成され、反対側の圧電素子全 面には全面電極(図示せず)が形成されて!、る。
[0004] ワイヤー 4aは、はんだ 5aにより電極 9aと、はんだ 5dにより電極 9dと接続されている
。また、ワイヤー 4bは、はんだ 5bにより電極 9bと、はんだ 5cにより電極 9cと接続され ている。さらに、ワイヤー 4gは、前記全面電極に接続されている。これらのワイヤー 4a
、 4b、 4gを通じて圧電素子 10に電圧が加えられる。
[0005] 図 12において、圧電素子 10の上面には駆動子 2が設けられ、その先端部は可動 体 3に接触している。この駆動子 2の先端部は、前記底面支持体 8により可動体 3に 押圧しており、これにより駆動子 2の先端部と可動体 3との摩擦力を高めて圧電素子
10の振動を駆動子 2を介してより確実に可動体 3に伝搬させている。
[0006] 次に、この超音波ァクチユエータの駆動方法について簡単に説明する。
[0007] 図 3は圧電素子 10の伸縮振動 (所謂、縦振動。以下、縦振動ともいう。)の 1次モー ドの変位図、図 4は同屈曲振動の 2次モードの変位図、図 5 (a)〜(d)は、それぞれ圧 電素子 10の振動形態を説明するための概念図である。
[0008] 前記ワイヤー 4gをグランドに接続し、前記ワイヤー 4aには特定周波数の正弦波の 基準電圧を、前記ワイヤー 4bには基準電圧と位相が 90° 、または— 90° ずれた電 圧をカ卩える。すると、圧電素子 10に図 3に示す伸縮振動の 1次モードおよび図 4に示 す屈曲振動の 2次モードが誘起される。
[0009] 屈曲振動の共振周波数、および、伸縮振動の共振周波数はそれぞれ圧電素子 10 の材料、形状等により決定されるが、この二つの共振周波数を略一致させ、その近傍 の周波数の電圧を加えることにより、圧電素子 10には、屈曲振動 2次モードと伸縮振 動 1次モードが調和的に誘起され、図 5 (a)、(b)、(c)、(d)に示す形状の変化を順 番に起こす。
[0010] その結果、圧電素子 10に設けられた駆動子 2が紙面方向から見て略楕円運動を 起こす。つまり、圧電素子 10の屈曲振動と伸縮振動の合成により駆動子 2が楕円運 動を起こす。この楕円運動により駆動子 2に支持された可動体 3が図 12の矢印 Aまた は矢印 Bの方向に可動し、超音波ァクチユエータとしての役割をなして 、る。
[0011] なお、本出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献 1が 知られている。
特許文献 1:特開 2005 - 94956号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0012] 前記特許文献 1に記載された超音波ァクチユエータは、駆動子を圧電素子と一体 焼成することで、小型化およびコストダウンが可能なものである力 超音波ァクチユエ ータの形状を例えば 10mm以下のように小型化し、また、加えられるパワーが 10mW と 10Wとハイパワー化したときに、超音波ァクチユエータに加えられるひずみが弾性 限界を超えてしま 、、破損する虞があると 、う課題がある。
[0013] そこで本発明は、小型で、かつハイパワーが力かった時においても破損しにくい超 音波ァクチユエータを提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0014] この目的を達成するために、本発明の超音波ァクチユエータは、圧電素子で構成さ れ、又は圧電素子を含んで構成され、振動方向が互いに異なる複数の振動を行うァ クチユエータ本体と、前記ァクチユエータ本体に設けられ、該ァクチユエータ本体の 振動に従って動作することで駆動力を出力する駆動子と、前記ァクチユエータ本体を 支持する基礎部と、前記基礎部と前記ァクチユエータ本体との間に設けられ、該ァク チユエータ本体の振動の非ノード部に対して該ァクチユエータ本体に該振動の振動
方向に圧縮力を予め付与する予圧手段とを備えることを特徴とするものである。 発明の効果
[0015] 本発明の超音波ァクチユエータは、予め圧電素子の非ノード部に圧縮力が加えら れているので、超音波ァクチユエータの作動時に圧電素子に生じる引張応力を小さ くすることができ、小型の超音波ァクチユエータであってもハイパワーが力かった時に おいて圧電素子が破損しにくいという優れた作用効果を有する。さらに、予圧手段に よる圧縮力を調整することにより、複数の振動の共振周波数を調整することが可能と なるため、ばらつきの少ない超音波ァクチユエータを提供することができるという効果 も有する。
図面の簡単な説明
[0016] [図 1]図 1は、本発明の実施形態に係る超音波ァクチユエータの分解斜視図である。
[図 2]図 2は、超音波ァクチユエータの断面図である。
[図 3]図 3は、伸縮振動の 1次モードの変位図である。
[図 4]図 4は、屈曲振動の 2次モードの変位図である。
[図 5]図 5の (a)〜 (d)は、それぞれ圧電素子の動作を説明する概念図である。
[図 6]図 6は、標準的寸法の支持部により圧縮力を付与した状態で支持された超音波 ァクチユエータの断面図である。
[図 7]図 7は、標準的寸法よりも大きな寸法の支持部により周波数を調整した超音波 ァクチユエータの断面図である。
[図 8]図 8は、標準的寸法よりも小さな寸法の支持部により周波数を調整した超音波 ァクチユエータの断面図である。
[図 9]図 9は、その他の実施形態に係る超音波ァクチユエータの斜視図である。
[図 10]図 10は、別のその他の実施形態に係る超音波ァクチユエータの斜視図である
[図 11]図 11は、従来の超音波ァクチユエータの圧電素子の斜視図である。
[図 12]図 12は、従来の超音波ァクチユエータの分解斜視図である。
符号の説明
[0017] 1 張出部
2 駆動子
3 可動体
4、 4a、 4b、 4g ワイヤー
5、 5a、 5b、 5c、 5d はんだ
6A、 6B 壁面支持体
7A、 7B 上面支持体
8 底面支持体
9aゝ 9bゝ 9cゝ 9d 給電電極
10 圧電素子
11 開口部
12 ケース
発明を実施するための最良の形態
[0018] 以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
[0019] 図 1は、本実施形態における超音波ァクチユエータの分解斜視図、図 2は、同断面 図である。この超音波ァクチユエータは、その長さ、幅が 10mm以下の小型のもので ある。
[0020] 図 1において、圧電素子 10は略直方体で、一対の主面 (前面及び後面)と、これに 直交する長さ方向の両端面と、主面と端面に直交する上面および下面とを有して 、 る。圧電素子 10は、ケース 12の内部に収容されており、圧電素子 10の長さ方向の 両端面と対向するケース 12の内壁面には壁面支持体 6A、 6Bが設けられている。
[0021] このケース 12の内底面における、圧電素子 10の下面の長さ方向の中央部と対向 する位置には底面支持体 8が設けられて圧電素子 10を支持している。また、ケース 1 2の上部には、開口部 11が設けられており、この開口部 11に張り出した張出部 1がケ ース 12に設けられている。そして張出部 1と圧電素子 10の上面との間にも上面支持 体 7A, 7Bが設けられている。この圧電素子 10がァクチユエータ本体を構成すると共 に、ケース 12が基礎部を構成する。
[0022] 前記圧電素子 10の前面には、給電電極 9が設けられており、この給電電極 9には んだ 5を介してワイヤー 4が接続されている。ワイヤー 4は、ケース 12に設けられた貫
通孔(図示せず)力も外部へ導出されて 、る。このワイヤー 4を通じて圧電素子 10の 給電電極 9に電圧を加えることにより圧電素子 10が印加電圧の周波数に応じて振動 する。
[0023] 前記はんだ 5が設けられている圧電素子 10の部位は、後述する伸縮振動および屈 曲振動のノード (節)部周辺であり、ワイヤー 4を接続する部位としてこのノード部を使 用することにより圧電素子 10の振動におよぼす悪影響、すなわち、はんだ 5形成によ る圧電素子 10への不要な負荷をできるだけ抑制することができる。
[0024] 前記圧電素子 10の上面には、 2つの駆動子 2, 2が設けられている。各駆動子 2は 、圧電素子 10の振動に従って動作することで駆動力を出力する。これら駆動子 2, 2 は、ケース 12の上部に設けられた開口部 11から突出している。各駆動子 2は、圧電 素子 10に接着され、容易に分離できなくなっている。
[0025] このように構成された超音波ァクチユエータは、図 2に示すように、駆動子 2, 2が可 動体 3と当接するように配設される。このとき、超音波ァクチユエータは、駆動子 2, 2 が可動体 3に押圧されるように、その底面力 所定の押圧力(例えば、 1N)を加えら れた状態で配設されている。
[0026] 次に、前記構成の超音波ァクチユエータの動作について説明する。図 5は本発明 の超音波ァクチユエータの圧電素子 10の動作を示す概念図、図 3は伸縮振動の 1次 モードの変位図、図 4は屈曲振動の 2次モードの変位図である。
[0027] 図 1に示した超音波ァクチユエータの底面力も所定の押圧力(例えば、 1N)をカロえ て駆動子 2を可動体 3に押し付けた状態で、前記ワイヤー 4を介して圧電素子 10の 特定の給電電極に特定の周波数の交流電圧を加えることによって、圧電素子 10に は、図 3に示す伸縮振動の 1次モード、および図 4に示す屈曲振動の 2次モードが誘 起される。屈曲振動の共振周波数および伸縮振動の共振周波数はそれぞれ圧電素 子 10の材料、形状等により決定されるが、この 2つの共振周波数を略一致させ、その 近傍の周波数の電圧を、 4つの給電電極 9のうち、圧電素子 10の対角線上に位置す る給電電極にそれぞれ位相が 90° 又は 90° ずらして加えることにより、圧電素子 10は、屈曲振動 2次モードと伸縮振動 1次モードとが調和的に誘起される。ここで、 伸縮振動 1次モードの振動方向は、可動体 3の可動方向(即ち、超音波ァクチユエ一
タが出力する駆動力の駆動方向)であり、屈曲振動 2次モードの振動方向は、可動体 3の可動方向とは垂直方向で且つ圧電素子 10と可動体 3を結ぶ方向(駆動子 2が可 動体 3を支持する方向)である。
[0028] そして、圧電素子 10は、図 5 (a)、 (b)、 (c)、 (d)に示す形状の変化を順番に起こし 、その結果、圧電素子 10に設けられた各駆動子 2が紙面方向から見て略楕円運動 を起こす。すなわち、圧電素子 10の屈曲振動と伸縮振動との合成により各駆動子 2 が楕円運動を起こす。駆動子 2, 2に支持された (即ち、駆動子 2, 2が当接した)可動 体 3が、この楕円運動によって図 2矢印 Aまたは矢印 Bの方向に駆動される。こうして 、本実施形態に係る超音波ァクチユエータは、ァクチユエータとしての役割をなして いる。
[0029] このような構成の超音波ァクチユエータに係る圧電素子 10は、複数の振動の腹を 有する。ここで、振動の腹とは振動の変位が極大となる箇所であり、本実施形態にお いては振動の腹の部分は圧電素子 10の長さ方向の両端面に位置する計 2箇所の伸 縮振動の腹と、圧電素子 10の上面および下面の両端部の 4箇所、さらに上面および 下面における両端部から圧電素子 10の長さ方向の 30〜40%内側の部分の 4箇所 の計 8箇所の屈曲振動の腹とがある。すなわち、この超音波ァクチユエータは、伸縮 振動の腹と屈曲振動の腹とを合わせて 10箇所の振動の腹がある。
[0030] そして、前記駆動子 2, 2は、図 1, 2に示すように、 10箇所の振動の腹のうち、圧電 素子 10の上面における両端部力も長さ方向の 30〜40%の部分に設けられている。
[0031] また、前記壁面支持体 6A, 6Bは、 10箇所の振動の腹のうち、圧電素子 10の長さ 方向両端面にそれぞれ設けられている。前記上面支持体 7A, 7Bは、 10箇所の振 動の腹のうち、圧電素子 10の上面における両端部にそれぞれ設けられている。
[0032] 尚、前記底面支持体 8は、圧電素子 10の下面における長手方向中央部に設けら れている。
[0033] これら前記壁面支持体 6A, 6Bと上面支持体 7A, 7Bと底面支持体 8によって圧電 素子 10の非ノード部、さらに詳しくは振動の腹に予め応力、即ち、圧縮力を加えてい る。つまり、これら壁面支持体 6A, 6Bと上面支持体 7A, 7Bと底面支持体 8とが予圧 手段を構成する。ここで、「非ノード部」とは、振動の節 (ノード)以外の部分を意味す
る。
[0034] 即ち、圧電素子 10の長さ方向両端面に設けられた一対の壁面支持体 6A、 6Bによ り圧電素子 10を挟むように伸縮振動の腹の部分を圧電素子 10の伸縮振動の振動 方向と平行に応力が力かった状態、即ち、圧縮力が作用した状態で支持すると共に 、張出部 1に設けた上面支持体 7A、 7Bと底面支持体 8とにより圧電素子 10の屈曲 振動の腹の部分を、屈曲振動の振動方向と平行に応力が力かった状態、即ち、圧縮 力が作用した状態で支持して 、る。
[0035] このとき、底面支持体 8は圧電素子 10の長手方向中央部に位置する一方、上面支 持体 7A、 7Bは圧電素子 10の長手方向中央部力もそれぞれ両端部に向かって同じ 距離だけ離れた部分に位置する。こうすることで、圧電素子 10に対して屈曲振動の 振動方向に作用する圧縮力は、圧電素子 10の長手方向にぉ 、てその中央部を中 心に線対称に作用している。
[0036] このように構成された超音波ァクチユエータは、換言すれば、可動体 3の駆動方向 に対して垂直方向に振動する第 1の振動モードと、前記可動体 3の駆動方向に対し て平行方向に振動する第 2の振動モードを利用して、前記可動体 3との間で相対運 動を生じさせるものであって、少なくとも圧電素子 10と、前記圧電素子 10へ給電する 圧電素子 10上の電極 9と、前記圧電素子 10上に形成され、前記圧電素子 10に第 1 および第 2の振動モードを調和的に発生させることにより楕円運動することで前記可 動体 3を摩擦駆動する駆動子 2, 2を備え、前記圧電素子 10上の前記第 1の振動モ ードおよび第 2の振動モードの腹を含む位置の少なくとも 1箇所に、その振動方向と 平行に応力をカ卩えている。
[0037] 前記壁面支持体 6A、 6Bと上面支持体 7A、 7Bと底面支持体 8とは、いずれも弾性 体よりなる。
[0038] この弾性体は、圧電素子 10及びケース 12より弾性の低いものが用いられる。具体 的には、エラストラマー、シリコンゴム、板パネなどが挙げられる。圧電素子 10と比較 して 1Z100以下の弾性率を有する弾性体を用いることにより、圧電素子 10の振動を 妨げず、効率のよい超音波ァクチユエータを提供することができる。また、特にシリコ ンゴムは、周囲の温度が変わっても、その弾性係数は比較的変化しにくいので、超
音波ァクチユエータの信頼性が向上する。
[0039] さて、圧電素子 10はセラミックや水晶などの脆性材料で構成されるが、この脆性材 料の特徴として圧電素子 10の圧縮強さは、引張強さと比較して数倍ある。超音波ァ クチユエータを駆動する場合、圧電素子 10を共振により振動させることで、圧電素子 10の内部には、圧縮応力と引張応力とが同じ値だけ発生する。超音波ァクチユエ一 タへの印加電圧を上げるなどして 10mW〜10W程度のハイパワーを入力すると、超 音波ァクチユエータの変位が大きくなつて過度の応力が生じる。そうすると、引張応力 により圧電素子 10に加えられるひずみが弾性限界を超えてしまい、圧電素子 10が 破損に至る場合がある。
[0040] しかし、本実施形態では、圧電素子 10の振動の腹に予め圧縮力が加えられている ので、圧電素子 10に発生する圧縮応力と比較して引張応力が小さくなり、超音波ァ クチユエータの変位が大きくなつても、引張応力によるひずみが圧電素子 10の弾性 限界を超えにくくなり、信頼性が向上する。
[0041] 加える圧縮力は、大きいほど信頼性の向上には効果を発揮する力 あまり大きすぎ ると、屈曲振動を妨げてしまうので、超音波ァクチユエ一タの押圧力の 1倍〜 10倍程 度をカ卩えることが望ま 、。押圧力は長さ数 mm程度の超音波ァクチユエータの場合 、通常 0. 1N〜: L0N程度であるので、加える圧縮力による圧電素子全体に力かる力 は、 0. 1N〜: L00N程度になる。押圧力は、通常超音波ァクチユエータの体積が増え れば、その体積に応じて増加させる。
[0042] また、圧電素子 10に加える圧縮力は、圧電素子 10を挟んで対称となる位置に加え ることが好ましい。そのことにより、屈曲振動および伸縮振動の対称性が維持されるの で、駆動子 2の楕円運動が安定し、安定した超音波ァクチユエータ特性が得られる。 具体的には、長さ方向への伸縮振動の振動方向に対して平行に圧縮力を加える場 合は、圧電素子 10の幅方向及び厚み方向において対称となるようにカ卩えるのが好ま しい。また、幅方向への屈曲振動の振動方向に対して平行に圧縮力を加える場合は 、圧電素子 10の長さ方向及び厚み方向にぉ 、て対称となるように圧縮力を加えるの が好ましい。
[0043] なお、底面支持体 8は、圧電素子 10の長さ方向中央部の底面に配置したが、上面
支持体 6と同じぐ圧電素子 10の長さ方向の底面角部の屈曲振動の腹の位置に配 置しても良い。
[0044] なお、圧縮力を加える部分は、振動の腹の部分のみで説明したが、一部の弾性体 は腹の部分を含む広 、範囲を支持し、圧縮力を加えてもょ 、。
[0045] また、本発明における別の効果として、超音波ァクチユエータの動作特性を安定ィ匕 させることができると 、う効果を有する。
[0046] 詳しく説明すると、超音波ァクチユエータは、圧電素子 10に屈曲振動と伸縮振動と を調和的に誘起させることで駆動子 2, 2に楕円運動を発生させるが、超音波ァクチ ユエータの特性は、屈曲振動の共振周波数と伸縮振動の共振周波数との相対関係 により大きく異なり、屈曲振動の共振周波数と伸縮振動の共振周波数との相対関係 が設計値力 ずれると特性が大きく変わってしまう。
[0047] 本実施形態のように超音波ァクチユエータを可動体 3に押圧する構成においては、 特に屈曲振動は、その振動方向が超音波ァクチユエータを可動体 3に押圧する方向 と同一になるので、超音波ァクチユエータにかかる実際の押圧力の反力が駆動子 2, 2を介して圧電素子 10に作用して共振周波数が変化しやすい。外部力も加える超音 波ァクチユエータへの押圧力を一定にした場合においても、超音波ァクチユエータに よって可動体 3を駆動する際に、可動体 3の位置が変化したり、各駆動子 2と可動体 3 との接触状態が変化したりするため、超音波ァクチユエータに実質的にかかる押圧力 が変化し、即ち、圧電素子 10に作用する反力が変化し、屈曲振動の共振周波数が 変化する。その結果、伸縮振動と屈曲振動との共振周波数の相対関係が変化し、超 音波ァクチユエ一タの特 ¾が不安定になる課題が従来あった。
[0048] そこで、本発明の超音波ァクチユエータでは、特に屈曲振動の腹の部分にあらかじ め圧縮力を付与している。このように、圧電素子 10に予め圧縮力を作用させておくこ とによって、予め圧縮力を作用させていない構成と比較して、可動体 3からの反力の 変化が圧電素子 10の屈曲振動の共振周波数に与える影響が小さくなり、安定した 超音波ァクチユエータの特性が得られる。従って、予め加えられる圧縮力による圧電 素子 10全体に力かる力は、超音波ァクチユエ一タの押圧力より大きいことが望ましい 。こうすることによって、圧電素子 10に作用する反力による該圧電素子 10の共振周
波数への影響を相対的に小さくすることができる。
[0049] 本発明のさらに別の効果として、圧電素子 10に予め付与する圧縮力の大きさを調 整する (具体的には、圧縮力を加える弾性体を調整する)ことにより、伸縮振動と屈曲 振動との共振周波数の差 (即ち、相対関係)を調整できるという優れた機能がある。 即ち、圧電体 10の伸縮振動 1次モードの共振周波数 [Hz]と屈曲振動 2次モードの 共振周波数 [Hz]は、おおよそ以下の式(1)および式(2)で表される。
[0052] 式(1)、(2)で、 Lは圧電素子 10の伸縮振動の振動方向の長さ [m]、Wは圧電素 子 10の屈曲振動の振動方向の長さ [m]、 Eは圧電素子 10のヤング率 [Pa]、 は圧 電素子 10の密度 [kgZm3]である。し力しながら、実際の共振周波数は、製造工程 上に起因するばらつきや、圧電素子 10上に接着される駆動子の大きさ、接着される 位置のばらつき等によって変動してしまう。
[0053] そこで、圧電素子 10上に圧縮力を加えることで、共振周波数、特に屈曲振動 2次モ ードの共振周波数を変更させ、所望の共振周波数に近づける。
[0054] 以下、具体的に周波数調整方法を示す。予め圧電素子 10上に駆動子 2を形成し た状態で、圧電素子の伸縮振動の振動方向の両側の端面から素子の中央部に向か つて対向する方向に予め決められた標準的な所定の圧縮力を加えて、屈曲振動 2次 モードの共振周波数 f
B2と伸縮振動一次モードの共振周波数 f
L1とを測定する。このと き、設計上は一致している屈曲振動と伸縮振動の共振周波数であるが、物づくり (製 造時及び組立時)のばらつきにより、若干差異が生じている場合がある。
[0055] 圧電素子 10は、シリコンゴムなどで形成された壁面支持体 6A、 6Bにより伸縮振動
の振動方向と同一方向より圧電素子 10の両端面から中心部に向力つて対向する方 向に圧縮力を加えた状態で実装されるが、このとき壁面支持体 6A、 6Bの圧縮される 方向と垂直方向(即ち、圧電素子 10の短手方向、又は図 2の上下方向)の寸法が異 なる数種類の壁面支持体 6A、 6Bを用意しておく。そして圧電素子 10をケースに実 装するときの壁面支持体 6A、 6Bの寸法を変えることで、圧電素子 10に加わる圧縮 力を変えることにより、屈曲振動 2次モードの共振周波数を変えることができる。
[0056] 図 6〜図 8は、周波数調整後の超音波ァクチユエータの断面図である。圧電素子 1 0は、壁面支持体 6A、 6Bによって支持されている。
[0057] 屈曲振動の共振周波数 f と伸縮振動の共振周波数 f との差が僅差 (f )で
B2 LI B2 L1 あるときには、図 6に示すように、そのまま所定の標準的寸法の壁面支持体 6A、 6B により圧電素子 10をケース 12に組み込む。屈曲振動の共振周波数 f が伸縮振動
B2
の共振周波数 f よりも小さい (f <f )ときには、図 7に示すように、前記標準的寸法
LI B2 L1
よりも大きい寸法の壁面支持体 6A、 6Bにより圧電素子 10をケース 12に組み込み、 圧電素子 10に標準状態より大きな圧縮力を加える。屈曲振動の共振周波数 f が伸
B2 縮振動の共振周波数 f 8
LIよりも大きい (f >f )
B2 L1 ときには、図 に示すように、前記標 準的寸法よりも小さい寸法の壁面支持体 6A、 6Bにより圧電素子 10をケース 12に組 み込み、標準状態より小さい圧縮力を加える。こうすることにより、物づくり上のばらつ きがあっても、伸縮振動の共振周波数と屈曲振動の共振周波数とを略一致させるこ とがでさる。
[0058] なお、前記方法では、伸縮振動の振動方向からのみ圧縮力を加えた状態で予め 共振周波数を測定したが、超音波ァクチユエータを可動体 3に対して押圧して配置し 、駆動子 2, 2を可動体 3に摩擦接触させた状態で、共振周波数を測定した方がより 精度が高くなる。
[0059] また、壁面支持体 6A、 6Bの大きさにより、圧電素子 10に加える圧縮力を調整した 1S 壁面支持体 6A、 6Bの材質を変更することで圧電素子 10にかかる圧縮力を調整 したり、ケース 12の寸法を変更することで圧電素子 10にかかる圧縮力を調整してもよ い。
[0060] また、伸縮振動の振動方向より圧縮力を加えて周波数の調整を行ったが、屈曲振
動の振動方向より圧縮力を加えて、共振周波数の調整を行ってもよい。すなわち、上 面支持体 7A, 7B及び Z又は底面支持体 8の寸法、材質等を変えることによって共 振周波数の調整を行ってもょ 、。
[0061] 前記方法では、周波数を調整することで、伸縮振動の共振周波数と屈曲振動の共 振周波数とを略一致させたが、屈曲振動の共振周波数を伸縮振動の共振周波数よ りあえて低く調整してもよい。このような超音波ァクチユエータにおいては、伸縮振動 の共振周波数と屈曲振動の共振周波数とを厳密に一致させることが難 U、。そこで、 かかる超音波ァクチユエータは、通常、伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共 振周波数の何れよりも高い駆動周波数で駆動される(即ち、圧電素子 10の各給電電 極 9には伸縮振動の共振周波数及び屈曲振動の共振周波数よりも高 、周波数の交 流電圧が印加される)。そのような場合において、伸縮振動の共振周波数を屈曲振 動の共振周波数よりも高く調整すると、伸縮振動の共振周波数の方が屈曲振動の共 振周波数よりも駆動周波数に近いため、圧電素子 10には伸縮振動の方がより支配 的に発生する。この伸縮振動の振動方向は可動体 3の可動方向と一致しているため 、伸縮振動は超音波ァクチユエータの最高速度に大きな影響を与える。つまり、伸縮 振動の共振周波数を屈曲振動の共振周波数よりも高く設定することによって、雰囲 気温度等の変化により圧電素子 10の伸縮振動及び屈曲振動の共振周波数が変化 したときでも、圧電素子 10には伸縮振動が支配的に発生するため、駆動周波数を変 更して駆動したときの超音波ァクチユエータの最高速度が変化しにく!/、と 、う利点が ある。
[0062] また、周波数を調整するときに、屈曲振動の共振周波数を伸縮振動の共振周波数 よりあえて高く調整してもよい。前述の如ぐ振動方向が異なる 2つの振動 (伸縮振動 と屈曲振動)を発生させる超音波ァクチユエータは、通常、伸縮振動の共振周波数 及び屈曲振動の共振周波数の何れよりも高い駆動周波数で駆動される。一般に、屈 曲振動の帯域幅は狭い。そのため、屈曲振動の共振周波数を伸縮振動の共振周波 数よりも高く調整することによって、屈曲振動の共振周波数が伸縮振動の共振周波 数よりも低い場合と比較して、屈曲振動の共振周波数が駆動周波数に近づくため、 圧電素子 10に屈曲振動を十分に発生させることができる。一方、伸縮振動の帯域幅
は屈曲振動の帯域幅よりも広いため、伸縮振動の共振周波数が駆動周波数力 離 れていても、圧電素子 10に伸縮振動を発生させることができる。また、駆動周波数が 伸縮振動の共振周波数力 離れることになると、駆動周波数を変更して超音波ァク チユエータを駆動したときの最高速度の変化は、共振周波数の近傍で駆動周波数を 変化させる場合と比較して、緩やかになる。そのため、超音波ァクチユエータを低速 域まで安定して動作させることができるという利点がある。
[0063] また、周波数を調整するときに壁面支持体 6A、 6Bの両方の大きさを変えたが、片 方のみの大きさを変えて、圧電素子 10にかかる圧縮力を調整してもよい。
[0064] 《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
[0065] すなわち、前記実施形態では、超音波ァクチユエータの駆動力が付与されて駆動 される可動体 3は平板状である力 これに限られるものではなぐ可動体の構成として は任意の構成を採用することができる。例えば、図 9に示すように、可動体は所定の 軸 X回りに回動可能な円板体 31であり、超音波ァクチユエータの駆動子 2, 2が該円 板体 31の側周面 31aに当接するように構成されていてもよい。力かる構成の場合、 超音波ァクチユエータを駆動すると、駆動子 2, 2の概略楕円運動によって、該円板 体 31が所定の軸 X回りに回動させられる。また、図 10に示すように、可動体は所定の 軸 X回りに回動可能な円板体 32であり、超音波ァクチユエータの駆動子 2, 2が該円 板体 32の平面部 32aに当接するように構成されて 、てもよ 、。力かる構成の場合、 超音波ァクチユエータを駆動すると、駆動子 2, 2の概略楕円運動によって、該円板 体 32が駆動子 2, 2と当接部における接線方向に駆動され、結果として該円板体 32 が所定の軸 X回りに回動させられる。
[0066] また、前記実施形態では、圧電セラミック板の表裏にのみ電極を形成する単板構成 で説明したが、圧電セラミック板と内部電極を交互に積層する積層構造でも同様の 効果が得られる。
[0067] また、今回は圧電素子 10自体が伸縮振動と屈曲振動とを調和的に発生させていた 力 金属などの基板に圧電素子 10を貼り付けた構成や、金属などで共振器を形成し 、圧電素子 10を挟み込んだ構成の場合でも同様の効果が得られる。この場合、圧電
素子を含んで構成された共振器がァクチユエータ本体を構成し、該共振器をケース 内において予め圧縮力を付与した状態に配置する。
[0068] また、前記実施形態では、圧電素子 10の伸縮振動と屈曲振動との両方の腹の部 分に圧縮力を加えているが、圧電素子 10の材質及び超音波ァクチユエータ駆動時 の圧電素子 10の変形量等を考慮して、破損する可能性が比較的高い方の振動方 向の腹の部分にだけ圧縮力を加えるように構成してもよい。
[0069] 尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あ るいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
産業上の利用可能性
[0070] 本発明の超音波ァクチユエータは、予め圧電素子の振動の腹に圧縮力が加えられ ているので、超音波ァクチユエータの作動時に圧電素子に生じる引張応力を小さく することができ、長さと幅が 10mm以下のように小型の超音波ァクチユエータであって も、 10mW〜10W程度のハイパワーが力かった時において圧電素子が破損しにくい という優れた作用効果を有する。さらに、圧縮力を加える弾性体を調整することにより 、各振動の共振周波数を調整することが可能となるため、ばらつきの少ない超音波ァ クチユエータを提供することができるという効果も有し、特に、小型化が要求される電 子機器等に有用である。
Claims
[1] 圧電素子で構成され、又は圧電素子を含んで構成され、振動方向が互いに異なる 複数の振動を行うァクチユエータ本体と、
前記ァクチユエータ本体に設けられ、該ァクチユエータ本体の振動に従って動作す ることで駆動力を出力する駆動子と、
前記ァクチユエータ本体を支持する基礎部と、
前記基礎部と前記ァクチユエータ本体との間に設けられ、該ァクチユエータ本体の 振動の非ノード部に対して該ァクチユエータ本体に該振動の振動方向に圧縮カを予 め付与する予圧手段とを備える超音波ァクチユエータ。
[2] 前記予圧手段は、前記ァクチユエータ本体における前記駆動子が設けられた位置 とは異なる位置に設けられている請求項 1記載の超音波ァクチユエータ。
[3] 前記予圧手段は、前記ァクチユエータ本体における前記振動の腹の位置に設けら れて 、る請求項 1記載の超音波ァクチユエータ。
[4] 前記予圧手段は、前記ァクチユエータ本体の中心を挟んで両側から該ァクチユエ ータ本体に圧縮力を付与する請求項 1記載の超音波ァクチユエータ。
[5] 前記予圧手段は、弾性体を有し、該弾性体の弾性力によって圧縮力を付与する請 求項 1記載の超音波ァクチユエータ。
[6] 前記弾性体は、その弾性率が前記圧電素子の弾性率の 1Z100以下である請求 項 5記載の超音波ァクチユエータ。
[7] 前記弾性体は、シリコーンゴムである請求項 5記載の超音波ァクチユエータ。
[8] 駆動力を付与する対象となる可動体に対して前記駆動子が押圧された状態で配設 され、
前記予圧手段により付与される圧縮力は、前記駆動子を前記可動体に対して押圧 する押圧力よりも大きい請求項 1記載の超音波ァクチユエータ。
[9] 前記ァクチユエータ本体は、 2次の屈曲振動と 1次の縦振動とを行う請求項 1記載 の超音波ァクチユエータ。
[10] 前記ァクチユエータ本体は、振動方向が互いに異なる第 1の振動と第 2の振動とを 行うと共に、前記予圧手段の圧縮力によって該第 1の振動の共振周波数と該第 2の
振動の共振周波数とがー致するように構成されて 、る請求項 1記載の超音波ァクチ ユエータ。
[11] 前記ァクチユエータ本体は、振動方向が互いに異なる第 1の振動と第 2の振動とを 行うと共に、前記予圧手段の圧縮力によって該第 2の振動の共振周波数が該第 1の 振動の共振周波数よりも高くなるように構成されて 、る請求項 1記載の超音波ァクチ ユエータ。
[12] 前記第 1の振動は、前記駆動力の方向と平行な縦振動であり、
前記第 2の振動は、屈曲振動である請求項 11記載の超音波ァクチユエータ。
[13] 前記第 2の振動は、前記駆動力の方向と平行な縦振動であり、
前記第 1の振動は、屈曲振動である請求項 11記載の超音波ァクチユエータ。
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