明 細 書
金属ガラス部材表面への画像模様形成方法、画像模様を形成するため の装置および表面に画像模様を形成した金属ガラス部材
技術分野
[0001] 金属ガラスで形成された部材表面の意匠形成や金属ガラスで形成された機構部品 等の表面に装飾模様、画像、文字などを付加するために用いる画像模様形成方法、 画像模様を形成するための装置および前記方法によって表面に画像模様を形成し た金属ガラス部材に関する。
背景技術
[0002] 現在、榭脂製機構製品などの表面の意匠性を高めるために、製品に直接レーザー マーキングする写真画像の刻印が行われて 、る(例えば特許文献 1)。同じくレーザ 一加工を使った金属表面への画像描写も、特許文献 2に紹介されている。また榭脂 成形用の金型キヤビティ内面に、当該榭脂成形品表面へ転写形成されるべき模様を レーザーによって刻印する方法が開示されている(例えば特許文献 3)。更に、金属 ガラス表面へ微細な模様を付与する方法として、非特許文献 4に電子ビームリソダラ フィと SiOエッチングを用いて作成した模様の原盤を Ni電铸で金型に反転させ、その
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後 Pd基金属ガラス合金へ転写成形する方法が紹介されている。
特許文献 1 :特開 2005— 152968 携帯電話用画像刻印装置 Zテクノポリマー (株) 特許文献 2:特開 2004— 115901 アルミニウム合金表面への画像形成方法 Zァイシ ン軽金属 (株)
特許文献 3:特開 2004— 291288 榭脂成形用金型キヤビティ及びその製造方法 Zサ ンアロー (株)
非特許文献 4:「機能材料」 2002年 7月号, Vol.22, No.7, PR16〜RP17 ;シーエムシー 出版
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0003] しかしながら従来の模様形成方法には以下のような課題があった。
(a) まず、特許文献 1, 2に示される製品に直接レーザーマーキングする方法におい ては、多数量の製品に位置の精度よぐ精細な模様を刻印しょうとすると作業効率に 無理があり、多大の加工時間を必要とするだけでなく当該作業を実行するために多 数の装置を準備しなければならな力つた。
(b) 次に、特許文献 3では、榭脂成形用の金型キヤビティにまずレーザーマーキング し、その後、榭脂製品へ効率良く反転転写して微細な模様を有する榭脂製品を大量 に形成することができるが、金属部材は勿論、金属ガラス部材を対象とする模様の形 成には利用できな力つた。
(c) さらに非特許文献 4では金属ガラス部材への模様転写が可能であるが、リソダラ フィゃ Ni電铸を用いるため、金型の作成工程が多ぐ長時間を要するために高価なも のとなつていた。殊に、 Ni電铸の金型は、 400°C以下で成形される過冷却液体温度域 が低温となる Pd基金属ガラス合金には利用できるものの、過冷却液体温度域が 400 °C以上となり、成形温度も 400°C以上で行う必要がある Zr, Ti, Cu, Ni, Feを最多量の 構成元素とする Zr基, Ti基, Cu基, Ni基および Fe基合金には金型強度が不足して適 用できな!/ヽと!、う課題があった。
課題を解決するための手段
[0004] 本発明者らは上述の課題を解決するために、模様形成に必要となる作業工程数が 少なぐ模様形成作業自体の効率が良ぐ 400°C以上での成形においても適用できる さまざまな方法や条件及び専用装置の製作を試行して実験研究を進めた。その結果 、高エネルギー密度光を照射して耐熱性のある金属製金型の表面を模様加工し、こ の金型を使って、特に過冷却液体温度域力 00°C以上となり、成形温度も 400°C以上 で行う必要がある Zr基, Ti基, Cu基, Ni基および Fe基金属ガラスの表面に簡単且つ 効率良く反転転写模様を繰り返して形成できるとの知見を得た。
[0005] 更にその際、金型表面の加工範囲を 1辺の長さが 10 μ m以上 500 μ m以下となる矩形 のドメインに分割し、各矩形ドメイン内を M個 X N個(3≤M, N≤10 ;M、 Nは整数) の領域に分割して解像度を決定し、分割した M個 X N個の領域についてドットの加 ェ穴を付ける力、付けないか (更にはドットの加工穴の深さを制御すること)で金型上に 濃淡のついたドットの集合パターンを形成させることで明瞭な画像模様を表現できる
ことがわかった。
[0006] このような方法により画像模様が鮮明になり、高エネルギー密度光の照射パターンを 制御する NCプログラム作成や照射加工の時間もさらに短縮できるとの知見を得た。 力 うな知見に立脚し、さらに鋭意研究を続けた結果、図 1に示した基本構成の装置 の下で、本発明の完成に至った。
[0007] 即ち、「請求の範囲第 1項」の「金属ガラス部材 (1)表面への画像模様形成方法」は、「 金属ガラス部材 (1)の表面に画像模様を形成するための方法であって、
(a) 画像模様が実像に対して鏡面反転されたビットマップ情報に転換して用意され
(b) 次に高エネルギー密度光 (15)を微小時間のオン Zオフを繰り返し、 1回の照射 が 1ドットの加工穴 (24)を形成させながら成形金型 (20)表面上を走査させて、前記ビッ トマップ情報に従って画像模様をドットの集合パターン (21)として成形金型 (20)表面に 形成する加工を施し、
(c) 更に、この集合パターン形成用の金型 (20)を用いて金属ガラス部材 (1)を過冷 却液体温度域 (Tg-Tx)内でドットの集合パターン (21)を反転転写成形する」ことを特徴 とする。
[0008] 「請求の範囲第 2項」の「金属ガラス部材 (1)表面への画像模様形成方法」は「請求の 範囲第 1項において、ドットの集合パターン (21)へ転換して力卩ェを行う金型 (20)上の 加工範囲を、 1辺の長さが 10 m以上 500 m以下となる矩形 (本実施例では正方形) のドメインに分割し、それぞれの矩形ドメイン内にドットの加工穴を付けるか付けない かによつて金型上に濃淡のついたドットの集合パターン (21)を形成させる」ことを特徴 とする。
[0009] 「請求の範囲第 3項」の「金属ガラス部材 (1)表面への画像模様形成方法」は「請求の 範囲第 2項において、各矩形ドメイン内を M個 X N個(3≤M, N≤10 ;M、 Nは整数) の領域に分割して解像度を決定し、分割した M個 X N個の領域についてドットの加 ェ穴 (24)を付ける力 f寸けな 、かで金型 (20)上に濃淡のっ 、たドットの集合パターン (2 1)を形成させる」ことを特徴とする。
[0010] 「請求の範囲第 4項」の「金属ガラス部材 (1)表面への画像模様形成方法」は「請求の
範囲第 1項〜第 3項の何れかにおいて、加工穴 (24)の深さを 0. 1 μ m以上 10 μ m以下 となるように高エネルギー密度光 (15)の出力制御する」ことを特徴とする。
[0011] 「請求の範囲第 5項」の「金属ガラス部材 (1)表面への画像模様形成方法」は「請求の 範囲第 1項〜第 4項の何れかにおいて、成形金型 (20)に超硬合金を用いる」ことを特 徴とする。
[0012] 「請求の範囲第 6項」の「金属ガラス部材 (1)表面への画像模様形成方法」は「請求の 範囲第 1項〜第 5項の何れかにおいて、高エネルギー密度光 (15)がレーザー光であ る」ことを特徴とする。
[0013] 「請求の範囲第 7項」の「金属ガラス部材 (1)表面への画像模様形成方法」は「請求の 範囲第 1項〜第 6項の何れかにおいて、金属ガラス部材が Zr, Ti, Cu, Ni, Feを最多 量の構成元素とする Zr基, Ti基, Ni基, Cu基,または Fe基合金である」ことを特徴とす る。
[0014] 「請求の範囲第 8項」は前記方法を実施するための「金属ガラス部材 (1)表面への画 像模様形成装置」である。即ち、「成形金型 (20)を用いて金属ガラス部材 (1)の表面に 画像模様を転写形成するための装置であって、
(a) 画像模様が実像と鏡面反転されたビットマップ情報に転換するためのデジタル 処理装置 (10)と、
(b) 成形金型 (20)の画像模様形成面の加工範囲を、 1辺の長さが 10 μ m以上 500 μ m以下となる矩形のドメインに分割し、各ドメイン内に割り当てるビットマップ情報を M 個 X N個(3≤M, N≤10 ;M、 Nは整数)の濃淡階調に処理した後、さらに前記画像 模様形成面 (22)へのドット加工穴 (24)の有無となるオン Zオフ信号に転換するソフトゥ エアと、
(c) 高エネルギー密度光 (15)の出力と微小時間のオン Zオフを繰り返しながら走査 するための制御用コンピューター (12)と、
(d) 制御信号によって高工ネルギー密度光 (15)を発生させる発振機 (14)と、高エネ ルギー密度光 (15)を走査させるためのガルバノメータ光学スキャナ (18)のミラー (19)と 、成形金型 (20)を保持するための試料ステージ (28)及び、
(e) 過冷却液体温度域 (Tg— Tx)内で金属ガラス部材 (1)に成形金型 (20)の画像模
様形成面 (22)の鏡面反転画像模様を転写成形する温間成形装置 (30)から構成され る」ことを特徴とする。
[0015] 「請求の範囲第 9項」は前記装置にて形成された「金属ガラス部材 (1)」で、「ビットマツ プ状に凹凸のあるドットが集合することによって濃淡が表現された画像模様が金属ガ ラス部材 (1)の表面に形成されて 、る」ことを特徴とする。
[0016] 「請求の範囲第 10項」は「請求の範囲第 9項」に記載された「金属ガラス部材 (1)」であ つて、「請求の範囲第 1項〜第 7項に記載した何れかの方法によって濃淡が表現され た画像模様が部材表面 (22)に形成されている」ことを特徴とする。
発明の効果
[0017] 以上から分かるように、本発明方法或るいはその装置によって、金属ガラス、特に、 過冷却液体温度域が 400°C以上となり、成形温度も 400°C以上で行う必要がある Zr, Ti, Cu, Ni, Feを最多量の構成元素とする Zr基, Ti基, Cu基, Ni基および Fe基金属 ガラス合金でも、模様形成に必要となる作業工程数が少なぐしかも多数量の製品に 効率が良く且つ位置の精度よく模様形成作業が可能となった。
図面の簡単な説明
[0018] [図 1]本発明における装置の基本構成を示す図面
[図 2]本発明の代表的な画像模様形成方法を示すプロセスチャート
[図 3]金型上にデジタル写真の反転画像をドットパターン化して描いた本発明の実施 例の正面図
[図 4]合金に" N"の文字をカ卩ェした本発明の実施例の正面図
[図 5]デジタルカメラで作った画像模様を金型にレーザー加工し、さらに金属ガラス板 に転写成形した場合の正面図
符号の説明
[0019] (1) 金属ガラス部材
(10) ビットマップ処理装置
(12) 制御用コンピューター
(14) 発振機
(15) 高ヱネルギー密度光
(18) ガルバノメータ光学スキャナ
(20) 成形金型
(21) 集合パターン
(22) 画像模様形成面
(24) 加工穴
(28) 試料ステージ
(30) 温間成形装置
(31) チャンノ
(32) 温度制御ヒータ
(35) 金型搭載用用加圧ダイベース
(36) ワーク加圧ダイベース
発明を実施するための最良の形態
[0020] 以下、本発明の好ましい実施の形態を説明する。図 1は本発明の基本的な装置構成 である。さらに図 2は、本発明の基本となるプロセスの流れを示すチャート図で、「画 像模様のデジタル ·データ入力」→「鏡面反転させたビットマップ ·データの作成」→「 ドメインサイズの決定」→「N階調の濃淡となるビットマップ ·データに変換」→「高エネ ルギー密度光 (レーザー)出力及び座標制御するための NCデータに転換」→「高エネ ルギー密度光 (レーザー)出力 ·走査座標の制御により高工ネルギー密度光 (レーザー
)照射」→「金型表面に反転した画像模様加工」→「金型の画像模様を転写するため の金属ガラス部材の温間成形」という手順が採用されている。また、後述するが「ドメ インサイズの決定」→「N階調の濃淡となるビットマップ ·データに変換」を削除して「鏡 面反転させたビットマップ ·データの作成」から「高工ネルギー密度光 (レーザー)出力 及び座標制御するための NCデータに転換」するようにしてもょ 、。
[0021] 本発明において、まず「画像模様が実像と鏡面反転されたビットマップ情報に転換し て用意される」のであるが、画像はデジタルカメラなどによって取り込まれたデジタル 写真やアナログで存在する画像 (アナログ写真や絵画その他のアナログ画像)で、デ ータの入力とは、デジタルカメラなどによって取り込まれた前記デジタル写真のデジタ ル情報やアナログで存在する画像模様をデジタル機器(図示せず)で読み取ってデ
ジタル化し、これらデジタル情報を例えばパソコンのようなビットマップ処理装置 (10) でビットマップィヒすることを意味しており、特にビットマップ処理方法は上記方法に限 定される必要はない。この時、画像模様は実像と鏡面反転されたビットマップ情報に 転換されること〖こなる。
[0022] 次に、「高エネルギー密度光 (15)を微小時間のオン Zオフを繰り返し、 1回の照射が 1 ドットの加工穴 (24)を形成させながら成形金型表面 (22)上を走査させて、前記ビットマ ップ情報に従って画像模様をドットの集合パターン (21)として成形金型表面 (22)に形 成する加工を施す」のであるが、この高エネルギー密度光 (15)には、例えば最も扱い やすい YAGレーザー光や YVOレーザー光が好ましいが、これに限る必要はなぐ赤
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外レーザー、紫外レーザーなどであってもよい。またそれぞれの高調波を取り出した 変換波長を持つレーザー光であってもよい。さらには電子線などを利用しても良い。
[0023] また、金型 (20)は、金属ガラス部材、特に 400°C以上の温度で金属ガラス部材への画 像転写に使用される場合には、代表的に耐熱性と高硬度を兼備する超硬合金 (WC Co合金)が選択されることが好ましいが、金属ガラスの材質によって適合する別の 硬質金属材料、例えば熱間ダイス鋼などが選択されても良い。また、金型 (20)は図 1 に示すようなブロック形状に限定される必要はなぐ被転写材である金属ガラス部材( 1)の形状に合わせて予め 3次元形状としても良い。金型 (20)の被加工面 (22)は原則と して鏡面状態となる滑らかな平坦形状が好ましいが、被加工面 (22)の周囲は機械カロ ェゃエッチング加工 (シボ模様力卩ェ)などによって別の模様を付与してぉ 、ても良 ヽ
[0024] 成形金型 (20)の画像模様形成面 (22)の加工は、「ビットマップ情報に従って画像模様 をドットの集合パターン (21)として成形金型表面 (22)に形成される」のであるが、本発 明では「1辺の長さが 10 m以上 500 m以下となる矩形 (本実施例では正方形を採用 )に分割されたドメイン」毎に行われることが好ましい。各ドメインは、縦'横 M個 X N個 (3≤M, N≤10 ;M、 Nは整数)に割り当てられてドット加工穴処理 (穴加工なしも含む )がなされる。金型 (20)上の加工範由を 1辺の長さが 10 μ m以上 500 μ m以下となる矩 形のドメインに分割する理由は、加工速度を規定するためで、 10 /z mよりも小さいと分 割が細かすぎてデータ処理や加工時間の点で現実的でな!、ためである。逆に 500 μ
mよりも大きいと、処理や加工の時間は短いが画像模様の鮮明さを失い実像に対して 著しく見栄えが劣るためである。(なお、ピッチはこの場合、縦'横一定で等しいが、縦 •横のピッチ間隔を違えることは可能である。 )
[0025] また、矩形ドメイン内の分割数を M個 X N個の領域とし、 M、 Nを 3以上 10以下と限定 した理由は、 M、 Nが 3よりも小さいと形状の輪郭を表現するための情報量が減ってし ま、、写真などの精細な画像模様をビットマップィ匕する際に画像品質が極端に落ち るためである。また M、 Nが 10よりも大きいと、解像度は増すものの濃淡階調にデータ を分解演算処理する際に余りにも時間が長くかかり非効率なためである。(ドメインの 分割数は縦 '横が Μ · Νとしたが、縦'横のピッチを同幅 [勿論、異なる幅 { =長方形ド メイン }にしてもよいが、 ]とし、両者同数の Ν [これまで記載のように異数でもよい。 ]とし 、正方形ドメインとしてもよい。)なお、前述のように矩形ドメイン分割を行わず、ビット マップ情報に従って単にドット加工穴処理を行う場合もある。
[0026] 画像模様の濃淡は、部材表面に形成されたビットマップ状に凹凸が形成されたドット の集合によって表現される力 これに加えて画像模様の濃淡を表現するドット加工穴 (24)の深さを 0. 1 μ m以上 10 μ m以下の範囲で変化させてもよ! 0. 1 μ m以上 10 μ m以下に限定した理由は、 0. 1 mよりも浅い穴 (24)で表現すると濃淡がはっきりせず 輪郭のぼやけた画像模様となってしまうためである。逆に、 10 mを超えて深い穴 (24 )で表現すると、濃淡ははつきりするものの、金属ガラス表面にも凹凸がはっきりと残り 、外観上や手肌で触れたときの触感がざらざらして ヽて好ましくな!/ヽためである。
[0027] このドット力卩ェ穴処理は、制御用コンピューター (12)からの制御信号によって、発振機 (14)力も照射されたレーザー光のような高エネルギー密度光 (15)によって実行される のであるが、前記 N階調の濃淡となるビットマップ ·データを高エネルギー密度光 (レ 一ザ一)出力及び座標制御するための NCデータに転換する。そして、該高工ネルギ 一密度光 (15)はガルバノメータ光学スキャナ (18)のミラー (19)に反射して成形金型 (20) の画像模様形成面 (22)上を走査し、制御用コンピューター (12)搭載のソフトウェアによ つて制御され、 NCデータに基づくオン Zオフ信号に合わせてドット加工穴処理を行う 。前述のようにドット穴加工の深さが制御される場合は高エネルギー密度光 (15)の出 力強度による。その場合、前述のように加工穴 (24)の深さを 0. l iu m以上10 iu m以下
となるように高エネルギー密度光 (15)の出力制御することになる。ドット穴加工の深さ を制御せず、単に一定深さのドット穴加工だけを行う場合も当然ある。
[0028] ガルバノメータ光学スキャナ (18)のミラー (19)は制御用コンピューター (12)の指令によ り高工ネルギー密度光 (15)の反射角度を変化させ、成形金型 (20)の画像模様形成面 (22)上を走査させるものである。
[0029] 制御用コンピューター (12)に搭載された前記ソフトウェアには、画像模様形成面を前 記矩形のドメインに分割する分割情報と、各ドメイン内に割り当てるビットマップ情報 を M個 X N個(3≤M, N≤10 ;M、 Nは整数)の濃淡階調に処理した後、さらに前記 画像模様形成面へのドット加工穴 (24)の有無となるオン,オフ信号に転換する転換 情報、(並びに高工ネルギー密度光 (15)の出力強度を制御する場合にはその出力情 報)など、画像模様形成に必要な情報が書き込まれて!/ヽる。
[0030] 試料ステージ (28)は成形金型を保持するためもので、発振機 (14)から照射されたレー ザ一光のような高エネルギー密度光 (15)の被照射側に設置されている。
[0031] 温間成形装置 (30)の概略構成は、図 1に示すように、温度制御ヒータ (32)を有するチ ヤンバ (31)と上下一対の加圧ダイベース (35X36)とで構成され、内部は高真空或いは 不活性ガス (ヘリウム、窒素、アルゴンガス等)を充填,通気させ、非酸化性雰囲気内 で温間加工が出来るようになって!/、る。金属ガラス部材 (1)は図示しない開閉部から 出し入れされるようになっている。ぬお、温間加工は前述のような非酸化性雰囲気内 でなぐ大気中でも可能であるが、この場合、温間加工を結晶化前に完了するように 迅速に行うことで、金属ガラス部材 (1)表面の酸ィ匕皮膜が保護皮膜となって内部への 酸化侵入を防ぐことが出来、このような条件を満足する限りにおいて大気中温間加工 も可能である。)加圧ダイベースは金型 (20)を搭載する金型搭載用用加圧ダイベース ( 35)と金属ガラス部材 (1)を金型 (20)に押圧するためのワーク加圧ダイベース (36)とで構 成されており、本実施例の場合、上側に設けられたワーク加圧ダイベース (36)が昇降 して金属ガラス部材 (1)を金型 (20)に押圧するようになつている。前記金属ガラス部材( 1)は温間成形装置 (30)内において、加圧時、温度制御ヒータ (32)により過冷却液体温 度域 (Tg—Tx)内の温度に保持されるようになっている。
[0032] これにより、金属ガラス部材 (1)への金型 (20)による反転転写成形には、過冷却温度
域 (Tg:金属ガラス転移開始温度〜 Tx:金属ガラス転移終了温度 この領域でガラス のような粘性流動特性を持ち、ナノサイズまでの微細部模様を転写する事ができる。 ) にお 、て金属ガラス部材 (1)への金型 (20)による超精密反転転写成形が可能となる。
[0033] 使用される金属ガラスは、特に Zr基, Ti基, Ni基, Cu基および Fe基合金が好適とされ る。その理由は、金属ガラスの中でも比較的広い過冷却液体温度域を持ち、かつ高 価な金属元素を主要構成成分として 、な 、ので原料が安価となり、最終的にも経済 的なプロセスとなるためである。
実施例
[0034] 図 3に本発明の実施例を示す。超硬合金金型上に YVOレーザーを用いてデジタル
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写真の反転画像をドットパターン化し、前述の方法で描いた例である。さらに図 4は 本発明の別の実施例で、同じく超硬合金条に" N"の文字をカ卩ェしたものである。 (a) は加工後の表面を斜視した図で、(b)はこれを拡大した図、さらに(c)は上面からドッ ト配列を拡大観察した図である。図 5は本発明の別の実施例を示し、デジタルカメラ で作った画像模様を金型にレーザー加工し、さらに金属ガラス板に転写成形した場 合の図である。
産業上の利用可能性
[0035] 本発明は、特にこれまで実現できていなかった 400°C以上で成形する必要がある Zr 基, Ti基, Ni基, Cu基および Fe基金属ガラス合金製部材の表面に画像模様を形成 することができるようになり、これら金属ガラス合金の産業上の有用性を大いに高める ことができた。