JP2005093391A - 燃料電池用金属セパレータ、燃料電池用金属セパレータの製造方法及び燃料電池 - Google Patents

燃料電池用金属セパレータ、燃料電池用金属セパレータの製造方法及び燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】十分な耐食性と強度とを有し、かつ製造が容易で安価な燃料電池用セパレータとその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の燃料電池用セパレータ10a,10bは、結晶化温度が500℃以上であって、該結晶化温度よりも低温側にガラス遷移温度を有したNi基アモルファス金属材料により厚さ0.05mm以上0.2mm以下の板状に形成され、燃料電池の高分子固体電解質膜を覆う電極層上に片側の板面を積層したとき、電極層との間にガス拡散層を形成する凹部21が当該板面に形成されてなる。いずれも、Ni基アモルファス金属材料からなる急冷薄帯を、ガラス遷移温度以上であって結晶化温度よりも低い過冷却液体温度域にて複数枚積層・一体化することによりクラッド板材を作り、そのクラッド板材を一旦冷却後、金型プレス加工を施すことにより凹部21が形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池用金属部材とその製造方法及び燃料電池に関する。
特開2001−68129号公報 特開2000−021418号公報 特開平10−228914号公報 特開2002−373673号公報 特開平11−33746号公報
従来、固体高分子形燃料電池、リン酸形燃料電池及び溶融炭酸塩形燃料電池等、種々の燃料電池が提案されている。これらのうち固体高分子形燃料電池は高分子固体電解質膜を使用するものであり、低温動作が可能であり、小型化及び軽量化も容易なので、燃料電池自動車等への搭載用として検討されている。具体的には、プロトンを輸送するための高分子固体電解質膜を一対の電極層により挟んで単位電池を形成するとともに、該電極層の表面に燃料ガス(水素ガス)あるいは酸化剤ガス(空気)の拡散層を形成するためのセパレータを積層配置する。該セパレータの板面には、電極層との間にガス拡散層を形成する凹部が形成される。また、セパレータは、単位電池の電極層から出力を取り出す導電経路を兼ねるため、全体が導電性の材料で構成される必要がある。
従来、該セパレータの材質としては、カーボンを主体とするものが用いられてきた。上記のごとく、燃料電池用のセパレータは、ガス拡散層形成用に複雑な凹凸を板面に形成する必要がある。従って、その形状加工を固体カーボン素材からの削り出しで行なうのは、製造効率を考慮すれば全く現実的でない。従って、従来は、カーボン粉末に熱可塑性樹脂などの高分子材料からなるバインダを配合し、射出成形等で望みの形状を得るようにしていた。しかし、このようにして得られるカーボン製のセパレータは、絶縁性のバインダーを相当量含有するため導電性に乏しく、内部抵抗が増大しやすいため、多数(例えば100個以上)の単位電池を積層して用いる場合には、電流取出効率が著しく低下する問題がある。また、燃料電池の小型化薄型化を図る場合、セパレータの厚さもなるべく小さくすることが望ましいが、上記のカーボンセパレータは強度に乏しく、2〜3mm程度が厚さ縮小の限界であった。
そこで、加工性と導電性及び強度を両立させるために、セパレータを金属にて形成する燃料電池構造が種々提案されている(例えば特許文献1〜4)。
ところで、高分子固体電解質膜を用いる燃料電池においては、プロトン導電性を示す高分子固体電解質として、スルホン酸基など強酸性を示す官能基を有した高分子材料が使用されており、高分子材料に含浸されている水分とともに酸性成分が染み出して、セパレータを酸アタックする問題がある。カーボンセパレータは耐食性の観点においては非常に良好であるが、上記のごとく導電性や強度の点で問題がある。
他方、上記特許文献に例示された金属セパレータは、例えば特許文献1〜3に開示されたものは、SUS316等のステンレス鋼を用いるものであり、強酸性環境、特に硫酸酸性環境での耐食性が十分でなく、セパレータの腐食進行に伴い内部抵抗が経時的に増加しやすい問題がある。上記特許文献1〜3では、ステンレス鋼製の板材にさらにAu等の貴金属メッキを施して、耐食性を補う工夫がなされているが、効果は必ずしも十分ではなく、当然、メッキ工程が必要な分だけ製造コストが高騰しやすい難点がある。他方、特許文献4に開示された金属セパレータはMo板で構成されているが、加工が困難である上、耐食性もMo板単体では不十分であるため、表面にMo窒化膜の形成が必須になるなど、構造の複雑化と製造コストの高騰が避け難い。
本発明の課題は、十分な耐食性及び強度を有し、かつ製造が容易で安価な燃料電池用金属セパレータとその製造方法、及びそれを用いた燃料電池を提供することにある。
課題を解決するための手段を及び作用・効果
上記の課題を解決するために本発明の燃料電池用金属セパレータは、結晶化温度が500℃以上であって、該結晶化温度よりも低温側にガラス遷移温度を有したNi基アモルファス金属材料からなる板厚0.05mm以上0.2mm以下の板材の板面に、該板材の板厚方向の屈曲に基づいて凹部が形成されてなり、燃料電池の高分子固体電解質膜を覆う電極層上に片側の板面が積層されるとともに、凹部により電極層との間にガス拡散層を形成するようにしたことを特徴とする。
また、本発明の燃料電池は、
高分子固体電解質膜と、その第一主表面を覆う第一電極層と、同じく第二主表面を覆う第二電極層と、上記本発明の燃料電池用金属セパレータとして第一電極層上に積層されるとともに、凹部により燃料ガス用のガス拡散層を形成する第一セパレータと、上記本発明の燃料電池用金属セパレータとして第二電極層上に積層されるとともに、凹部により酸化剤ガス用のガス拡散層を形成する第二セパレータと、
を有することを特徴とする。
さらに、本発明の燃料電池用金属セパレータの製造方法は、
結晶化温度が500℃以上であって、該結晶化温度よりも低温側にガラス遷移温度を有したNi基アモルファス金属の急冷薄帯からなる単位板材を複数枚積層して接合・一体化することにより、単位板材よりも厚さの大きいクラッド板材を形成し、該クラッド板材に、ガラス遷移温度以上であって結晶化温度よりも低い過冷却液体温度域にて金型プレス加工を施すことにより、燃料電池の高分子固体電解質膜を覆う電極層上に片側の板面を積層したとき、電極層との間にガス拡散層を形成する凹部をクラッド板材の板面に形成することを特徴とする。
なお、本発明において「Ni基アモルファス材料」とは、最も重量含有率の高い金属元素がNiであり、かつ、材料組織における非晶質相(アモルファス相)の占める割合が50体積%以上である材料をいう。さらに、ガラス遷移温度は、JIS:H7101に規定された示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry:DSC、加熱速度:毎分40℃)による加熱曲線に現れる最初の吸熱ピークにより、また、結晶化温度は、同じく最初の発熱ピークにより、それぞれ、測定により得られるDSC曲線のベースラインの延長線と、ピークの最大傾斜線の延長との交点として決定する。
上記本発明によると、燃料電池用の金属セパレータを、結晶化温度が500℃以上であって、該結晶化温度Txよりも低温側にガラス遷移温度Tgを有したNi基アモルファス金属材料により板状に形成する。Ni基アモルファス金属材料は、室温では一般に変形抵抗が高く、また延性にも乏しいので、塑性加工には不向きと考えられている。しかし、本発明で採用するNi基アモルファス金属材料のように、結晶化温度が500℃以上と比較的高く、かつ、その結晶化温度よりも低温域にガラス遷移温度Tgが生ずる材料の場合、該ガラス遷移温度Tgと結晶化温度Txとの間の温度域(以下、過冷却液体領域という)において材料の変形抵抗が大幅に下がり、塑性流動性が良好となる。その結果、薄板で複雑な凹凸形状を有した燃料電池用金属セパレータであっても、金型プレス加工により極めて能率的に製造することができる。この原因としては、過冷却液体領域において、材料が結晶相へ移行するための前駆現象として金属原子間の結合が緩まり、非晶質相の粘性が低下することが考えられる。そして、本発明においては、そのようなアモルファス金属材料をNi基材料として構成するため、従来のステンレス鋼(例えばJIS:SUS316)やMo系金属材料と比較して耐食性も極めて良好であり、特に硫酸酸性下においても腐食が進行しにくくなるので、セパレータの耐久性が高められ、電池の内部抵抗の経時的な増加を効果的に抑制できる。
燃料電池用金属セパレータは、燃料電池セルを積層して圧着する際の加圧力に耐え、かつ、燃料ガスあるいは酸化剤ガスと接する腐食環境下にても長期にわたる剛性が確保できるように、その板厚もある程度大きく設定しなければならない。そこで、本発明のセパレータにおいては、アモルファス金属材料の厚い板材(具体的には、厚さ0.05mm以上;特に0.1mm以上)を用い、これに金型プレス加工により凹部を形成する。このようにアモルファス金属材料の厚い板材を用いることにより、耐食性と強度の双方に優れた燃料電池用金属セパレータが実現する。
また、本発明の採用により、複雑な凹凸形状を有したセパレータ形状を切削などの除去加工を伴わなずに製造できるため、材料歩留まりが高い利点がある。しかも、冷却液体温度域にて流動性を増した材料を金型面形状に良好に追従させることができるので、深い凹凸形状を形成する際にも応力集中等による加工欠陥が生じにくく、また、金型面を平滑化しておくことで、仮に板素材の段階で面荒れしていた材料であっても、研磨等の面倒な後処理なしに平滑な加工面を簡単に得られる利点もある。この場合、平滑な面とは、例えばJIS:B0601に規定の方法により測定される算術平均粗さRaが1μm以下の面のことである。また、当然のことながら、Ni基アモルファス金属材料からなる本発明のセパレータは、カーボン製の従来のセパレータと比較して高強度であり、カーボン製セパレータよりも薄肉に加工することも容易である。なお、セパレータに用いる板材の板厚は、0.2mm以下とすることが望ましい。板厚が0.02mm未満ではピンホール等の発生のためにセパレータのガス遮断機能が不十分となる場合があり、0.2mmを超える厚さを採用した場合は、材料コストが高くなり、コスト低減の観点において既存技術(例えば従来のカーボン系のセパレータ)に対するメリットが乏しくなることがある。
アモルファス金属材料は一般に高強度でかつ耐食性も高いので、厚ささえ確保できれば燃料電池用金属セパレータの材質として極めて好適であるといえるが、アモルファス金属材料の急冷薄帯は、冷却速度確保の観点から一般には薄いもの(例えば厚さ0.05mm未満)しか製造できない。このような急冷薄帯は、単独では燃料電池用金属セパレータの素材として薄すぎるので、従来あまり積極的には採用されてこなかった。そこで、本発明においては板状金属素材として、Ni基アモルファス金属の急冷薄帯からなる単位板材を複数枚積層して接合・一体化することにより形成された、単位板材よりも厚さの大きいクラッド板材を使用する。このように、アモルファス金属材料の単位板材を複数枚積層して、単位板材よりも厚さの大きいクラッド板材を得るようにすれば、従来、急冷法による直接製造が困難であった厚板状のアモルファス金属部材(具体的には、厚さ0.05mm以上;特に0.1mm以上)も容易に製造できるようになる。
この場合、具体的には以下のような方法を採用することが有効である。すなわち、結晶化温度とガラス遷移温度との間の過冷却液体温度域に加工温度を設定し、アモルファス金属材料の単位板材を複数枚積層して上記加工温度に昇温する。そして、当該加工温度における材料の結晶化潜伏期間内に収まる保持時間にて、それら単位板材を加工温度にて積層方向に加圧して互いに接合・一体化することによりクラッド板材を得る。そのクラッド板材を結晶化開始前にガラス遷移温度以下へ冷却した後、金型プレス加工を行なう。
例えば、特許文献2には、各々アモルファス金属材料からなる2以上の金属部材を重ね合わせ、その重ね合わせた金属部材をアモルファス金属材料部材の過冷却液体域まで加熱するとともに、さらに押圧手段により押圧して金属部材同士の接合促進を図る提案がなされている。具体的には、個々の急冷薄帯を重ね合わせて押圧による強曲げ加工を施しつつ、各薄板の拡散ないし食い込みによる一体化も同時進行させている。しかし、この方法には以下のような欠点がある。
(1)板材の塑性加工は、結局のところ加工温度における結晶化の潜伏期間内に終了させなければならないが、クラッド板材にプレス加工を施す場合、クラッド工程と、そのクラッド板材に金型プレス加工を施す工程とを過冷却液体状態への1回の加熱により一括して行なおうとすると、潜伏期間の制限により加工時間はあまり長く確保できない関係上、例えば金型プレス加工中に時間切れとなって結晶化が開始されてしまう不具合を生じる。なお、潜伏期間内に加工を終わらせるために、変形速度を増加させる方法には限度がある。また、潜伏期間を延長するために加工温度を下げると塑性流動効果が小さくなり、変形抵抗が増大して加工割れなどの不良も生じやすくなる。
(2)板材の曲げ加工と接合とを同時に行なおうとするため、曲げ部分での層間剥離を起こしやすい。つまり、積層体の強曲げ加工を行なった場合、曲げ内面側と外面側とで面内の曲げ歪が異なるため、板材同士が十分な強度で接合される前に積層境界で滑りが起こりやすくなり、接合不十分による剥離につながる。
他方、潜伏期間が経過する前に過冷却液体状態が解消される温度、すなわちガラス遷移温度Tg以下に冷却すれば、結晶化は起こらない。本発明者が検討したところ、上記の冷却後に材料を再び昇温して過冷却液体状態にした場合、冷却前の熱履歴の相当部分が解消されることがわかった。つまり、冷却前の前回の加熱で経過した期間は、冷却後の2度目の加熱時における結晶化の潜伏期間として累積されないのである。
上記の方法はこのことを利用するものであって、図7に示すように、アモルファス金属材料の単位板材を複数枚積層して加工温度への昇温を行ない、その状態でそれら単位板材を積層方向に加圧して互いに接合・一体化し、クラッド板材を得るクラッド工程をまず行なう。次に、そのクラッド板材を結晶化が開始される前にガラス遷移温度Tg以下へ一旦冷却し、その後再び加工温度へ昇温して金型プレス加工を行なうようにするのである。これにより、単位板材の接合と、接合後のクラッド板材に対する板材加工とを順次的に行なっているにもかかわらず、クラッド工程の後に実施されるガラス遷移温度Tg以下への冷却により、クラッド工程で経過した潜伏期間が回復し、クラッド工程での熱履歴(経過した潜伏期間)が板材加工の熱履歴に累積されなくなるので、金型プレス加工時に結晶化等の不具合が生じにくくなる。また、単位板材同士を強固に接合して一体のクラッド板材としてから、燃料電池セパレータに必要な凹部等を形成するためのプレス加工を行なうようにするので、凹部内面側と外面側との歪量に差を生じやすいプレス加工又は深絞り加工を行なっても、特許文献2のような単位板材間での剥離や接合不良などを大幅に生じにくくすることができる。
なお、過冷却液体温度域に加工温度を設定するアモルファス金属材料の加工においては、加工温度が結晶化温度Txに近づくほど結晶化の潜伏期間が短くなり、加工時間の確保が困難になるために、従来は加工温度を上げたくともできない事情があった。しかし、上記の方法によると、ガラス遷移温度Tg以下への冷却により潜伏期間を回復しながら工程を進めてゆくことができ、加工温度の引き上げが比較的容易である。従って、クラッド工程の温度引き上げにより、拡散促進による単位板材同士の接合強度の向上が期待できる。また、金型プレス加工においては変形抵抗の軽減を図ることができ、厚いクラッド板材に深い凹凸を形成した場合も、加工割れ等を生じにくくなる。
具体的には、結晶化温度Tx(℃)とガラス遷移温度Tg(℃)との差をΔT(℃)とすれば、上記の加工温度をTg−0.2×ΔT(℃)以上Tg+0.6×ΔT(℃)以下に設定して行なうことが望ましい。加工温度がTg+0.6×ΔT(℃)以上になると、クラッド工程ないし金型プレス工程にそれぞれ確保できる時間が極端に短くなり(例えば1分以下)、加工中に材料が結晶化してしまうリスクも高くなる。他方、加工温度がTg−0.2×ΔT(℃)未満になると、クラッド工程の場合は、拡散速度の低下により接合強度を十分に確保するための保持時間が長くなったり、あるいは高圧による加圧を行なわなければ接合ができなくなったりする不具合につながる。他方、金型プレス加工においては、材料の塑性流動性向上の効果が薄れ、加工能率の低下や割れ等を招きやすくなる。上記の加工温度は、より望ましくはTg−0.1×ΔT(℃)以上Tg+0.2×ΔT(℃)以下に設定することが望ましい。
アモルファス金属材料からなる単位板材をクラッド板材化する場合、前述のクラッド工程は、単位板材の積層体を圧延ロールの間で加熱しつつ圧延することによりクラッド板材を得るロールクラッド工程とすることが望ましい。上記の方法によると、過冷却液体温度域に設定される加工温度において、積層された単位板材を圧延ロールにより圧縮することで、単位板材の積層面に大きな圧力を均一に付加しつつ加熱することができる。その結果、アモルファス金属材料からなる単位板材が強固にかつ均一に接合・一体化されたクラッド板材を得ることができ、金型プレス加工に該クラッド板材を供した場合も、単位板材間の剥離等が一層生じにくくなる。この場合、クラッド工程において圧延ロールを加熱し、単位板材の積層体を、該加熱された圧延ロールとの接触により加工温度に昇温すると、圧延ロール間に供給される単位板材の積層体を過冷却液体温度域に、速やかにかつ均一に加熱することができる。
本発明の製造方法においては、上記のNi基アモルファス金属により形成された板状金属素材に、ガラス遷移温度以上であって結晶化温度よりも低い過冷却液体温度域にて、一種の温間塑性加工を施す。加工形態としては、金型プレス加工を板状金属素材に施す方法を例示できる。また、別法としては、溶湯を鍛造用金型に流し込み、金型との接触により溶湯を急冷凝固してアモルファス化しつつ、さらに、凝固後のアモルファス材料の温度が過冷却液体温度域にある間に、その場で鍛造加工を施して所望のセパレータ形状を得る溶湯鍛造加工を適用することもできる。
次に、本発明にて採用するNi基アモルファス金属材料は、結晶化温度とガラス遷移温度との差が30℃以上であるものを用いることが望ましい。また、これを用いてセパレータを塑性加工により製造する場合、該塑性加工を過冷却液体温度域であって結晶化温度よりも20℃以上低い温度にて実施することが望ましい。
アモルファス金属材料は、高温での液体的な構造を、急冷により室温下でも維持できるようにしたものであるが、その構造はあくまで準安定的なものであり、特に、過冷却液体温度域では、材料を該過冷却液体温度域のある温度に保持した場合、一定の潜伏期間を経て安定相である結晶相に転移を起こす。この潜伏期間は、温度が結晶化温度に近づくほど短くなる。従って、過冷却液体温度域で温間加工を行なう場合、加工温度が結晶化温度に近づきすぎると、必要な加工が完了する前に材料が結晶化してしまい、変形抵抗が増大したり延性の低下が引き起こされたりし、加工割れやクラックなどの不具合を生じやすくなる。本発明者らはNi基アモルファス金属材料について鋭意検討した結果、過冷却液体温度域にて加工温度を結晶化温度よりも少なくとも20℃以上(望ましくは30℃以上)低温側に設定すれば、結晶化に至る潜伏期間が十分長くなり、加工に適した低粘性のアモルファス相状態を加工完了に至るまで余裕を持って確保することができるようになる。この場合、加工温度を結晶化温度よりも20℃以上低い加工温度を、過冷却液体温度域にて確実に設定できるようにするために、材料加熱の温度制御の誤差を考慮して、結晶化温度とガラス遷移温度との差を30℃以上確保するようにする。
燃料電池用金属セパレータを構成するNi基アモルファス金属材料は、具体的には、Nb、Ti、Zr、Hf、Co、Fe及びBの1種又は2種以上を副成分として含有するものを使用することが、アモルファス材料の温間塑性加工に適した過冷却液体温度域を十分広く確保し、かつ、耐食性が良好な材料を実現する上で有利である。より具体的には、上記Ni基アモルファス金属は、Ni含有率が50原子%以上65原子%以下とされ、Nb含有率が10原子%以上28原子%以下とされ、Zr、Ti及びHfの1種以上よりなる金属成分M1の合計含有率が10原子%以上28原子%以下とされ、Nbと金属成分M1との合計含有率が35原子%以上42原子%以下とされてなるものを採用することができる。該合金は、強酸性雰囲気、特に硫酸酸性雰囲気下での耐食性に優れ、燃料電池用のセパレータ材料として極めて好適である。
上記合金において、Nbは、非晶質を形成する基本となる元素であり好ましくは15原子%以上25原子%以下の範囲で含有させる。Nb含有量がこの範囲を外れた場合、非晶質を形成するための溶湯の冷却速度が極端に大きくなって、非晶質化が困難となる場合がある。また、Zr、Ti及びHfの1種以上よりなる金属成分M1は、Ni−Nb系合金の非晶質形成能を大幅に高める効果を有する。金属成分M1の合計含有量が10原子%未満では、非晶質形成能の向上効果が顕著でなくなる場合がある。また、金属成分M1の合計含有量が28原子%を超えると、冷却速度を相当高めても非晶質形成が困難になる場合がある。非晶質相の形成量が不十分になると、加工性が低下するばかりでなく、得られる金属セパレータの耐食性、特に硫酸酸性下での耐食性を十分に向上できなくなる不具合につながる。
また、Nbと上記金属成分M1との合計含有量は35原子%以上42原子%以下とするのがよい。該合計含有量が42原子%を超えると、30℃以上の過冷却液体温度域が得られなくなり、燃料電池用の複雑形状のセパレータを温間塑性加工により形成することが困難になる場合がある。一方、Nbと上記金属成分M1との合計含有量が35原子%未満になると、非晶質形成が困難になる場合がある。
なお、上記のNi基アモルファス金属は、Co,Fe,Cu,Pdの1種以上よりなる金属成分M2を、合計にて15原子%以下の範囲内で含有し、かつ、Nbと金属成分M1と金属成分M2との合計含有率が35原子%以上50原子%以下とされてなるものとすることができる。Niは、15原子%まではCo,Fe,Cu,Pdによって置換しても過冷却液体領域の広さは、ほとんど変わらず30〜70℃であるが、15原子%を超えると過冷却液体領域が30℃未満となり、非晶質形成能が低下する場合がある。また、Nbと金属成分M1と金属成分M2との合計含有率が35原子%未満では非晶質形成が困難になる場合があり、50原子%を超えると30℃以上の過冷却液体温度域が得られなくなる場合がある。
本発明にて使用するNi基アモルファス金属材料は、溶融状態から公知の単ロール法あるいは双ロール法により板状(薄帯状)の素材を得ることができる。この場合、冷却速度は、例えば10℃/秒〜10℃/秒程度の範囲で設定することが望ましく、ロールの冷却能(水冷銅ロールが特に望ましい)と回転速度に応じて、周知の方法により調整が可能である。
本発明の燃料電池においては、プロトン導電性を高めるために、高分子固体電解質膜を、スルホン酸基を有する高分子材料により構成することが望ましい。特に、高分子固体電解質膜自体の耐薬品性を向上させる観点から、スルホン酸基を有するフッ素樹脂を採用するとなお望ましい。この場合、スルホン酸基の由来した硫酸酸性成分が水分とともに溶出しやすくなるが、本発明においては、セパレータをNi基アモルファス金属材料(特に、Ni含有率が50原子%以上65原子%以下とされ、Nb含有率が10原子%以上28原子%以下とされ、Zr、Ti及びHfの1種以上よりなる金属成分M1の合計含有率が10原子%以上28原子%以下とされ、Nbと金属成分M1との合計含有率が35原子%以上42原子%以下とされてなるもの)が、硫酸酸性雰囲気下での耐食性において非常に良好であるため、金属セパレータの腐食による内部抵抗の経時的増加も十分に抑制され、長期にわたって良好な発電能力を維持できるので、例えば自動車用電源としても好適に採用可能である。なお、スルホン酸基を有する高分子材料としては、市販品であればNAFION(商標名)を代表的なものとして例示でき、また、特開2002−313355号、特開平10−40737号あるいは特開平9−102322号に開示されたものも使用できる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、燃料電池の一例を積層形態にて模式的に説明するものである。該燃料電池1は、高分子固体電解質膜3を採用した固体高分子形燃料電池である。具体的に、高分子固体電解質膜3はスルホン酸基を含むフッ素樹脂にて形成され、これを挟む形で一対の電極層2,4を有し、該高分子固体電解質膜3と電極2,4とによりなる単位電池本体5を有する。具体的には、高分子固体電解質膜3の第一主表面3aを覆う第一電極層2と、同じく第二主表面3bを覆う第二電極層4と、本発明の燃料電池用金属セパレータとして構成され、第一電極層2上に積層されるとともに、凹部21により燃料ガス用のガス拡散層を形成する第一セパレータ10aと、本発明の燃料電池用金属セパレータとして構成され、第二電極層4上に積層されるとともに、凹部21により酸化剤ガス用のガス拡散層を形成する第二セパレータ10bとを有する。なお、単位電池本体5とセパレータ10との間に、燃料ガス及び酸化剤ガスのリークを防止するために、ガスケットが配置されるが、図1では省略している。
図2は、セパレータ10a,10bの概略を示すものである。図2(a)に示すように、セパレータ10a,10bは板状に形成され、その主表面に、凸凹が形成されており、凸部14の先端側が電極に接触する形態となっている。他方、凹部21は電極層2,4(図1)との間にガス流通路を兼ねたガス拡散層を形成する。本実施形態では、凹部21は、凸部14に挟まれた蛇行溝形態で形成され、その両端がガス入口22及びガス出口23とされる。
図1に戻り、単位電池本体5とセパレータ10とを単位セルUとして、この単位セルUが、カーボン等の導電体からなる冷却水流通基板11を介して、複数積層されて燃料電池スタック1とされる。単位セルUは例えば50〜400個程度積層され、その積層体の両端に、単位セルUと接触する側から、導電性シート9、集電板8、絶縁シート7及び締め付け板6がそれぞれ配置されて、燃料電池スタック1とされる。集電板8と複数のセパレータ10とは直列に接続され、複数の単位電池本体5からの電流が集められることになる。
セパレータ10a,10bは、例えば結晶化温度が500℃以上であって、該結晶化温度よりも低温側にガラス遷移温ニッケル基アモルファス金属材料により板状に形成されている。電極層2,4との間にガス拡散層を形成する凹部21は、上記のNi基アモルファス金属材料からなる板材の板厚方向の屈曲に基づいて形成されたものである。板材の板厚は0.05mm以上0.2mm以下である。
本実施形態において、セパレータ10a,10bに用いるNi基アモルファス金属材料は、結晶化温度とガラス遷移温度との差が30℃以上のものが使用され、例えば、Nb、Ti、Zr、Hf、Co、Fe及びBの1種又は2種以上を副成分として含有するものである。具体的には、本実施形態で使用するNi基アモルファス金属は、Ni含有率が50原子%以上65原子%以下とされ、Nb含有率が10原子%以上28原子%以下とされ、Zr、Ti及びHfの1種以上よりなる金属成分M1の合計含有率が10原子%以上28原子%以下とされ、Nbと金属成分M1との合計含有率が35原子%以上42原子%以下とされたものであり、必要に応じてCo,Fe,Cu,Pdの1種以上よりなる金属成分M2を、合計にて15原子%以下の範囲内で含有させることができる。この場合、Nbと金属成分M1と金属成分M2との合計含有率は、35原子%以上50原子%以下とされる。
以下、セパレータ10a(10b)の製造方法について説明する。
図3に示すように、所期の組成となるように合金原料を配合し、ルツボ41を用いて高周波誘導溶解炉等の溶解炉40内にて原料を溶解することにより溶湯42とする。次に、図3の下方左側に示すように、この溶湯42を、溶湯供給ノズル43を経て、回転する急冷ロール44の上に直接噴出させ、急冷凝固してNi基アモルファス金属材料からなる薄帯45を得る(単ロール法:ロールは例えばCu製)。他方、図3の下方右側に示すように、2つの急冷ロール44,44間の隙間に溶湯42を噴出して薄帯45を得る双ロール法を採用してもよい。このようにして得られる薄帯45は、厚さが一般に小さく、例えば0.02mm以上0.05mm未満である。
次に、上記の薄帯45aを単位板材として、図8に示すようなクラッド工程(第一の単位加工)を実施する。すなわち、アモルファス金属材料からなる単位板材45aを複数枚、ここでは2枚積層して前述の過冷却温度域内に設定される加工温度に昇温し、その状態でそれら単位板材45aを積層方向に加圧して互いに接合・一体化することにより、厚さのより大きいクラッド板材45を得る。本実施形態では、単位板材45aの積層体を圧延ロール101,101の間で加熱しつつ圧延することによりクラッド板材45を得るロールクラッド工程を採用している。ここでは、圧延ロール101,101を加熱炉F1内に配置して直接加熱し、該加熱された圧延ロール101,101との接触により単位板材45aの積層体を加工温度に昇温するようにしている。なお、圧延ロール101,101は、ロール内に内蔵されたヒータにより加熱するようにしてもよい。さらに、単位板材45aの積層体を、圧延ロール101,101に送給のに先立って、予熱炉F2により予熱してもよい。
材料の結晶化温度をTx(℃)、ガラス遷移温度をTg(℃)として、上記の加工温度は、Tg−0.2×ΔT(℃)以上Tg+0.6×ΔT(℃)以下に設定する。そして、単位板材45aの該加工温度への保持時間は、当該加工温度での結晶化潜伏期間よりも短く設定される。例えば具体的には潜伏期間をτとしたとき、保持時間は0.1τ以上0.9τ以下とするのがよい。また、圧延ロール101,101による単位板材45aの積層体の圧下率は例えば5%以上15%以下とし、最大加圧力は30kg/cm以上1000kg/cm以下とするのがよい。
本実施形態で使用するニッケル基アモルファス金属材料はガラス遷移温度Tgが概ね500℃以上であり、例えばNi−15原子%Nb−15原子%Ti−10原子%Zrの組成を有するNi基アモルファス金属材料の場合、ガラス遷移温度Tgは550℃、結晶化温度Txは620℃(従って、過冷却液体温度域は約70℃)程度である。結晶化の潜伏期間は、結晶化温度Txより20℃下で3分程度、40℃下で10分程度、60℃下で60分程度である。
上記圧延ロール101,101を通過する際に、単位板材45aは互いに圧着しあいながら塑性流動を介した拡散により接合され、一体のクラッド板材45となる。クラッド板材45は、圧延ロール101,101通過後もしばらくの間は過冷却温度域内に保持された状態となっており、結晶化のための潜伏期間の経過が継続する。従って、クラッド板材45は、圧延ロール101,101からの排出後に速やかにガラス遷移温度Tg以下に冷却する必要がある。クラッド板材がそれほど厚くない場合は放冷等も可能であるが、ある程度厚さを有するクラッド板材の場合は、冷却ロール102,102(水冷式とすることもできる)の通過、あるいはファン103による送風等により強制冷却を行なって、潜伏期間の経過前にガラス遷移温度Tg以下とすることにより、結晶化を阻止する必要がある。
上記のようにして得られるクラッド板材45は、燃料電池用セパレータとしての剛性および耐久性確保のため、例えば厚さが0.05mm以上0.2mm以下、望ましくは0.1mm以上0.2mm以下とされる。2枚の単位板材45aの積層だけで該厚さが得られない場合は、図9に示すように、3枚以上の単位板材45aを積層してもよい。また、最終的な単位板材45aの積層枚数が多い場合、加工温度への一括加熱が難しい場合もある。そこで、図10に示すように、最終的な積層枚数よりも少ない枚数の単位板材45aに同様のクラッド工程(加熱圧延+冷却)を施して予備クラッド板材45pを作製し、この予備クラッド板材45pと別の単位板材45a(あるいは別の予備クラッド板材45p)とを積層する形でクラッド工程を繰り返し、クラッド板材の厚さを順次増加させる工程を採用することも可能である(この場合、繰り返されるクラッド工程がそれぞれ単位加工をなしているとみなせる)。
また、ロールクラッド工程を採用する代わりに、図11に示すように、適当な大きさにカットした単位板材45aを平置き状態で加圧装置のパンチ110,110間に配置し、例えばパンチ110,110に内蔵されたヒータ110hにより加熱しつつ両パンチ110,110間にて加圧してクラッド板材45を得るようにしてもよい。
上記クラッド板材45は、図4に示すように、予熱炉50により再び過冷却液体温度域内の加工温度に加熱し、必要に応じてカッター53にて切断した後、プレス用金型51,51を有したプレス装置へ移送して、温間プレス加工を行なう。プレス加工は以下のようにして行なう。まず、図5の工程1に示すように、転写すべき凹凸パターン51aを有するプレス用金型51,51の間に切断した薄帯45を配置する。そして、工程2に示すように、金型51,51を相対的に接近させ、薄帯45を両金型51,51間にて加圧する。材料は、過冷却液体温度域に加熱されることで粘性が低くなっており、該加圧により、金型の凹凸パターン51aに沿って容易に塑性流動し、凹凸パターンが転写される。そして、工程3に示すようにプレス用金型51,51を離間させればセパレータ10a(10b)が得られる。なお、急冷上がりの薄帯45の表面は、工程1に拡大して示すように、算術平均粗さRaにて1μmを超える程度に面荒れしていることもある。しかし、金型51のプレス面をRaにて1μm以下に平滑仕上げしておくと、過冷却液体温度域への加熱により塑性流動が極めて良好となった薄帯45の表面も金型表面に倣う形で平滑化し、工程3に拡大して示すように、セパレータ10a(10b)の表面を、算術平均粗さRaにて1μm以下に平滑に仕上げることができる。
図6は、各種材料により形成したセパレータのアノード分極曲線を示す。(1)はNi−15原子%Nb−15原子%Ti−10原子%Zrの組成を有するNi基アモルファス金属材料の、(2)は(1)のNiを5原子%だけFeにて置換したNi基アモルファス金属材料の結果をそれぞれ示す。なお、いずれの材料も、1200℃にて溶解し、溶湯供給ノズルに形成された幅0.3mm、長さ20mmのスリットから、直径300mm、回転周速20m/秒の水冷銅ロールに供給することにより、単ロール法にて急冷薄帯としている(厚さ:約60μm、推定冷却速度:10℃/秒)。また、比較のため、黒鉛製(G347B)のセパレータ((3))及びステンレス鋼製(SUS316)のセパレータについても同様の測定を行なった。この結果によると、本発明の実施例である(1)及び(2)のセパレータは、ステンレス鋼製の比較例のセパレータ((3))と比較して、不働態化する電位域が大幅に広く、不働態域での腐食電流値も非常に低く、黒鉛製セパレータ((4))と比較しても遜色ないか、あるいはさらに良好な結果を示している。
なお、DSC測定から、(1)の材料のガラス遷移温度Tgは550℃、結晶化温度Txは617℃(従って、過冷却液体温度域は67℃)、さらに(2)の材料のガラス遷移温度Tgは527℃、結晶化温度Txは576℃(従って、過冷却液体温度域は49℃)であることを確認している。そして、前者は、Txより57℃低い560℃にて、後者はTxより36℃低い540℃にて、温間プレス加工により割れ等を生ずることなく簡単に加工できた。
また、(1)の実施例セパレータと、(4)の比較例セパレータ(ステンレス鋼製)については、沸騰硫酸中に浸漬して、腐食速度を測定した(1年あたりの厚さ減少量に換算)。後者は0.12mm/年程度の値となったのに対し、前者は0.4×10−4mm/年と、4桁近くも腐食速度が小さく、硫酸酸性雰囲気中での耐食性にとりわけ優れており、スルホン酸基を含有するフッ素樹脂にて高分子固体電解質膜を用いる燃料電池に組み込んだ場合でも、良好な耐久性を期待できることがわかる。
本発明の燃料電池を積層形態にて模式的に示す図。 図1の燃料電池に使用する本発明の金属セパレータの実施形態を示す平面図及び拡大断面図。 本発明の一実施形態による金属セパレータの製造工程の第一説明図。 同じく第二説明図。 同じく第三説明図。 本発明の金属セパレータのアノード分極曲線の測定例を、比較例とともに示すグラフ。 クラッド工程と金型プレス加工工程との間に冷却を介在させることにより、結晶化潜伏期間の影響を軽減する工程概念の説明図。 クラッド工程の説明図。 クラッド工程の第一変形例を示す説明図。 クラッド工程の第二変形例を示す説明図。 クラッド工程の第三変形例を示す説明図。
符号の説明
1 燃料電池
2 第一電極層
3 高分子固体電解質膜
4 第二電極層
10a 第一セパレータ
10b 第二セパレータ

Claims (16)

  1. 結晶化温度が500℃以上であって、該結晶化温度よりも低温側にガラス遷移温度を有したNi基アモルファス金属材料からなる板厚0.05mm以上0.2mm以下の板材の板面に、該板材の板厚方向の屈曲に基づいて凹部が形成されてなり、燃料電池の高分子固体電解質膜を覆う電極層上に片側の板面が積層されるとともに、前記凹部により前記電極層との間にガス拡散層を形成するようにしたことを特徴とする燃料電池用金属セパレータ。
  2. 前記板材の板厚が0.1mm以上0.2mm以下である請求項1記載の燃料電池用金属セパレータ。
  3. 前記Ni基アモルファス金属材料は、前記結晶化温度と前記ガラス遷移温度との差が30℃以上である請求項1又は請求項2に記載の燃料電池用金属セパレータ。
  4. 前記Ni基アモルファス金属材料は、Nb、Ti、Zr、Hf、Co、Fe及びBの1種又は2種以上を副成分として含有する請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池用金属セパレータ。
  5. 前記Ni基アモルファス金属は、
    Ni含有率が50原子%以上65原子%以下とされ、
    Nb含有率が10原子%以上28原子%以下とされ、
    Zr、Ti及びHfの1種以上よりなる金属成分M1の合計含有率が10原子%以上28原子%以下とされ、
    Nbと前記金属成分M1との合計含有率が35原子%以上42原子%以下とされてなる請求項4記載の燃料電池用金属セパレータ。
  6. 前記Ni基アモルファス金属は、Co,Fe,Cu,Pdの1種以上よりなる金属成分M2を、合計にて15原子%以下の範囲内で含有し、かつ、Nbと前記金属成分M1と前記金属成分M2との合計含有率が35原子%以上50原子%以下とされてなる請求項5記載の燃料電池用金属セパレータ。
  7. 結晶化温度が500℃以上であって、該結晶化温度よりも低温側にガラス遷移温度を有したNi基アモルファス金属の急冷薄帯からなる単位板材を複数枚積層して接合・一体化することにより、前記単位板材よりも厚さの大きいクラッド板材を形成し、該クラッド板材に、前記ガラス遷移温度以上であって前記結晶化温度よりも低い過冷却液体温度域にて金型プレス加工を施すことにより、燃料電池の高分子固体電解質膜を覆う電極層上に片側の板面を積層したとき、前記電極層との間にガス拡散層を形成する凹部を前記クラッド板材の前記板面に形成することを特徴とする燃料電池用金属セパレータの製造方法。
  8. 前記Ni基アモルファス金属として、前記結晶化温度と前記ガラス遷移温度との差が30℃以上であるものを使用し、前記塑性加工を前記過冷却液体温度域であって前記結晶化温度よりも20℃以上低い温度にて実施する請求項7記載の燃料電池用金属セパレータの製造方法。
  9. 前記結晶化温度と前記ガラス遷移温度との間の過冷却液体温度域に加工温度を設定し、前記アモルファス金属材料の単位板材を複数枚積層して前記加工温度に昇温し、当該加工温度における材料の結晶化潜伏期間内に収まる保持時間にて、それら単位板材を前記加工温度にて積層方向に加圧して互いに接合・一体化することにより前記クラッド板材を得るとともに、該クラッド板材を結晶化開始前に前記ガラス遷移温度以下へ冷却した後、前記金型プレス加工を行なう請求項8記載の燃料電池用金属セパレータの製造方法。
  10. 前記クラッド板材を、前記単位板材の積層体を圧延ロールの間で加熱しつつ圧延することにより製造する請求項9記載のアモルファス金属材料加工体の製造方法。
  11. 前記クラッド工程において前記圧延ロールを加熱し、前記単位板材の積層体を、該加熱された圧延ロールとの接触により前記加工温度に昇温する請求項10記載のアモルファス金属材料加工体の製造方法。
  12. 前記単位板材は、厚さ0.05mm未満の急冷薄帯である請求項8ないし請求項11のいずれか1項に記載のアモルファス金属材料加工体の製造方法。
  13. 高分子固体電解質膜と、その第一主表面を覆う第一電極層と、同じく第二主表面を覆う第二電極層と、請求項1記載の燃料電池用金属セパレータとして前記第一電極層上に積層されるとともに、前記凹部により燃料ガス用のガス拡散層を形成する第一セパレータと、請求項1記載の燃料電池用金属セパレータとして前記第二電極層上に積層されるとともに、前記凹部により酸化剤ガス用のガス拡散層を形成する第二セパレータと、
    を有することを特徴とする燃料電池。
  14. 前記燃料電池用金属セパレータを構成する前記Ni基アモルファス金属が、Nb、Ti、Zr、Hf、Co、Fe及びBの1種又は2種以上を副成分とするNi基アモルファス金属よりなる請求項13記載の燃料電池。
  15. 前記燃料電池用金属セパレータを構成する前記Ni基アモルファス金属が、
    Ni含有率が50原子%以上65原子%以下とされ、
    Nb含有率が10原子%以上28原子%以下とされ、
    Zr、Ti及びHfの1種以上よりなる金属成分M1の合計含有率が10原子%以上28原子%以下とされ、
    Nbと前記金属成分M1との合計含有率が35原子%以上42原子%以下とされてなる請求項14記載の燃料電池。
  16. 前記高分子固体電解質膜が、スルホン酸基を有する高分子材料により構成されてなる請求項14又は請求項15に記載の燃料電池。
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