WO2007049762A1 - アルブミン変性剤 - Google Patents
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Abstract
プロテアーゼによりアルブミンを効率良く分解するためのアルブミン変性剤の提供。
炭素数12以上の炭化水素基を有する第四級アンモニウムまたはその塩を含むアルブミン変性剤とする。アルブミン変性剤の存在下、試料中のアルブミンをプロテアーゼで分解し、得られたアルブミン分解物の糖化部分とFAODとを反応させ、前記糖化部分とFAODとの酸化還元反応を測定することにより、アルブミンに対する糖化アルブミンの割合(GA(%))を決定する。
Description
明 細 書
アルブミン変性剤
技術分野
[0001] 本発明は、アルブミン変性剤に関する。
背景技術
[0002] 血球中の糖ィ匕アルブミン(GA)は、生体内血糖値の過去の履歴 (約 2〜3週間)を 反映していることから、糖尿病の診断や治療等における重要な指標とされている。糖 化アルブミンは、アルブミンのリジン残基の ε -ァミノ基が糖ィ匕されており、その量(%) は、総アルブミン量に対する糖ィ匕アルブミン量の割合(%)で表される。
[0003] 糖ィ匕アルブミンの測定方法としては、一般に、高速液体クロマトグラフィー (HPLC) 法等があげられるが、簡便且つ安価な方法として、以下のような酵素法が実用化され ている。この方法は、まず、フルクトシルアミノ酸ォキシダーゼ(以下、「FAOD」という )をアルブミンの糖ィ匕部分に作用させ、過酸化水素を発生させる。この過酸化水素量 は、前記アルブミンの糖ィ匕量に対応する。この反応液に、さらにペルォキシダーゼ( 以下、「POD」という)と酸化により発色する発色基質とを添加し、 PODを触媒として 過酸化水素と発色基質との間で酸化還元反応させる。そして、前記発色基質の発色 程度を測定してアルブミンの糖ィ匕量を求め、糖ィ匕量と総アルブミン量とから糖ィ匕アル ブミンの割合 (以下、「GA (%)」とも 、う)を算出できる。
[0004] 前述のように、糖ィ匕アルブミンは、リジン残基の ε -ァミノ基の糖ィ匕が特徴であるため 、 FAODが糖ィ匕されたリジン残基に効率良く作用することが望まれている。この FAO Dはタンパク質には直接作用し難いことから、通常、プロテアーゼ処理によってアル ブミンの分解物を調製し、これに FAODを作用させて 、る。
[0005] しカゝしながら、血液試料中のアルブミンは、精製された試薬レベルのアルブミンと異 なり、例えば、ピリルビンゃリポタンパク質等の様々な物質が結合しているため、プロ テアーゼによって、 FAODが作用し易いような断片を得ることが困難である。このため 、血清や血漿等の試料中におけるアルブミンを測定する際には、試料に多量のプロ テアーゼを添加して反応性を高める必要があるが(特許文献 1)、これによつて以下の
ような問題が生じている。
'多量のプロテアーゼの存在によって、糖ィ匕アルブミンの測定に使用する他の試薬中 の酵素等が失活する。
'多量のプロテアーゼが含まれる場合、その試薬のごく一部が、他の測定試薬に混 在するだけで、他の試薬における酵素や抗体が失活し、他の測定試薬が使用できな くなる。
•多量のプロテアーゼを添加するために、高濃度プロテアーゼ溶液が必要となるが、 プロテアーゼが自己消化し、安定性が低下する。
'ドライ系の測定を目的とする場合、例えば、試験片の作製に必要な高濃度のプロテ ァーゼ溶液の調製が困難である。
'多量のプロテアーゼによりコストが高くなる。
特許文献 1 :国際公開第 2002Z061119号パンフレット
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] そこで、本発明は、プロテアーゼによりアルブミンを効率良く分解するためのアルブ ミン変性剤の提供を目的とする。
課題を解決するための手段
[0007] 本発明は、アルブミン変性剤であって、炭素数 12以上の炭化水素基を有する第四 級アンモ-ゥムまたはその塩を含むことを特徴とする。
[0008] 本発明は、プロテアーゼによって試料中のアルブミンを分解する方法であって、本 発明のアルブミン変性剤の存在下、試料のプロテアーゼ処理を行うことを特徴とする
[0009] また、本発明の糖ィ匕アルブミンの測定方法は、プロテアーゼにより試料中のアルブ ミンを分解する工程、得られたアルブミン分解物の糖ィ匕部分と FAODとを反応させる 工程、前記糖化部分と FAODとの酸化還元反応を測定することにより、アルブミンに おける糖ィ匕アルブミンの割合を決定する工程とを含み、前記アルブミンの分解工程 にお 、て、本発明のアルブミン変性剤の存在下で試料のプロテアーゼ処理を行うこと を特徴とする。
[0010] なお、本発明にお 、て、「アルブミン」とは、糖ィ匕アルブミンおよび非糖ィ匕アルブミン の両方を意味する。
発明の効果
[0011] 本発明のアルブミン変性剤を用いれば、メカニズムは不明であるが、アルブミンを変 性できるため、その存在下でプロテアーゼ処理を行うことによって、効率良くアルブミ ンの分解を行うことができる。このため、例えば、少ないプロテアーゼで十分なアルブ ミン分解が実現でき、従来のようにプロテアーゼを多量に使用することによる問題も回 避できる。したがって、このようなアルブミン変性剤を用いる本発明のアルブミン分解 方法ならびに糖ィヒアルブミンの測定方法によれば、従来よりも効率よく糖ィヒアルブミ ンの測定を行うことができ、糖尿病の診断や治療等、医療分野において極めて有用 であるといえる。また、このように、炭素数 12以上の炭化水素基を有する第四級アン モ -ゥムまたはその塩がアルブミンを変性でき、これによつてアルブミンの分解がプロ テアーゼにより効率よく行われることは、本発明者らが初めて見出したことである。こ のため、前述のような第四級アンモ-ゥムを含む本発明のアルブミン変性剤は、前述 のような医療分野において極めて有用な試薬となる。
図面の簡単な説明
[0012] [図 1]図 1は、本発明の実施例において、アルブミンの分解程度を表す吸光度の経時 変化を示すグラフである。
発明を実施するための最良の形態
[0013] 本発明のアルブミン変性剤は、前述のように炭素数 12以上の炭化水素基を有する 第四級アンモ-ゥムまたはその塩 (以下、あわせて「第四級アンモ-ゥム」とも 、う)を 含むことを特徴とする。
[0014] 前記炭化水素基の炭素数は、 12以上であればよぐ好ましくは 14以上、より好まし くは 16以上である。また、炭素数の上限は、特に制限されない。例えば、炭素数 14 〜18の炭化水素基が好ましい。また、本発明のアルブミン変性剤は、炭素数 12以上 の炭化水素基を有する第四級アンモ-ゥムまたはその塩の混合物を含んでもよい。 例えば、本発明のアルブミン変性剤は、炭素数 14以上の炭化水素基を有する第四 級アンモ-ゥムまたはその塩の混合物を含むアルブミン変性剤を好ましく含む。
[0015] 前記炭化水素基は、例えば、直鎖または分枝のアルキル、直鎖または分枝であり 置換基を有するアルキル、置換基を有するァリール等があげられ、前記置換基は、 互いに同一である力または異なり、前記置換基は、例えば、ハロゲン、直鎖もしくは分 枝アルキル、フエニル、ヒドロキシ、直鎖もしくは分枝 C〜Cアルコキシであり、前記ァ
1 6
リールは、例えば、フエ-ルまたはシクロへキシルである。また、これらに代えて、直鎖 または分枝鎖アルキルカルボ-ルであってもよい。
[0016] 第四級アンモ-ゥムの具体例としては、例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモ-ゥ ム、臭化セチルトリメチルアンモ-ゥム、臭化へキサデシルトリメチルアンモ-ゥム、塩 化ベンザルコ -ゥム(C H— CH— N+(CH )— R C1—;R = C H 〜C H )、塩ィ匕
6 5 2 3 2 8 17 18 37 ベンジルジメチルテトラデシルアンモ-ゥム、塩化べンゼトニゥム((CH ) C-CH -
3 3 2
C(CH ) -C H -O-CH -CH—O— CH - CH—N+(CH )—CH—C H CI—
3 2 6 4 2 2 2 2 3 2 2 6 5
)、臭化ミリスチルトリメチルアンモ-ゥム、ココナットァミンアセテート(RNH -CH CO
2 3
OH ;R=C〜C )、塩ィ匕ラウリルトリメチルアンモ -ゥム等があげられる。これらの化
8 18
合物は、いずれか一種類でもよいし、二種類以上を使用してもよい。
[0017] また、本発明のアルブミン変性剤は、前述の第四級アンモ-ゥムを含んでいればよく 、これのみ力も構成されてもよいし、他の化合物をさらに含んでもよい。本発明におい て、このように本発明のアルブミン変性剤が前述の第四級アンモ-ゥムまたはその塩 のほかに他の化合物を含んでいるものを本発明のアルブミン変性用組成物ともいう。 他の化合物としては、例えば、エチレンジァミン四酢酸 (EDTA)、トランス 1, 2—ジ アミノシクロへキサン— N, N, Ν', Ν'—テトラ酢酸(CyDTA)、 Ο, Ο'—ビス(2—アミ ノエチル)エチレングリコール Ν, Ν, Ν', N' テトラ酢酸(EGTA)、ジエチレントリ アミン五酢酸(DTPA)等のキレート剤;ァセチルトリプトファン等のカルボン酸; MOP S、 PIPES, MOPSO、 EPPS等のスルホン酸系等の緩衝剤があげられる。これらは V、ずれか一種類でもよ 、し、二種類以上を併用してもょ 、。
[0018] 本発明のアルブミン変性剤および本発明のアルブミン変性用組成物の形態は、例 えば、液体でもよいし、粉体、固体等でもよい。本発明のアルブミン変性剤における 前記第四級アンモ-ゥムの含有量は特に制限されないが、例えば、後述する試料や 反応液等に添加した際、必要とされる濃度になるように設定すればよい。
[0019] つぎに、本発明のアルブミンの分解方法は、前述のように、本発明のアルブミン変 性剤または本発明のアルブミン変性用組成物の存在下、試料のプロテアーゼ処理を 行うことを特徴とする。
[0020] 本発明にお 、て、試料に対するアルブミン変性剤または本発明のアルブミン変性 用組成物の添加順序は、特に制限されず、例えば、プロテアーゼの添加前、添加と 同時、添加後のいずれであってもよい。また、本発明のアルブミン変性用組成物は、 プロテアーゼを含むものであってもよ 、。
[0021] 前記プロテアーゼとしては、例えば、メタ口プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、セリ ンカルボキシぺプチダーゼ、プロティナ一ゼ 、ブロメライン、パパイン、ブタ脾臓由 トリプシン、 Bacillus subtilis由来プロテアーゼ、 AsOegillus orvzae由 プロテ ァーゼ等が使用でき、好ましくはエンドプロテアーゼである。市販品としては、例えば
、メタ口プロテアーゼ(アークレイ社製)、プロテアーゼ A「ァマノ」 G (天野ェンザィム社 製)、プロテアーゼ M「ァマノ」 G (天野ェンザィム社製)、プロテアーゼ S「ァマノ」 G ( 天野ェンザィム社製)、ぺプチダーゼ R (天野ェンザィム社製)、パパイン M— 40 (天 野ェンザィム社製)、商品名プロテアーゼ N (フル力社製)、商品名プロテアーゼ N「ァ マノ」(天野製薬社製)、 Easite属由来メタ口プロティナーゼ (東洋紡社製:商品名ト ョチーム)等があげられる。
[0022] プロテアーゼ処理の反応液における前記第四級アンモ-ゥムの添加割合は、特に 制限されないが、例えば、 0. 02〜20mmolZLの範囲であり、好ましくは 0. l〜3m molZLである。血漿試料 lml当たりの第四級アンモ-ゥムの添加割合は、例えば、 0. 003〜4mmolの範囲であり、好ましくは 0. 015〜0. 6mmolである。なお、本発 明のアルブミン変性剤および本発明のアルブミン変性用組成物における第四級アン モ-ゥムの含有量は、前述のように特に制限されず、試料に添加した際、プロテア一 ゼ処理の反応液における第四級アンモ-ゥムの添加割合を上述のような範囲に調整 できる含有量であることが好まし 、。
[0023] 前記反応液におけるプロテアーゼの添加割合は、例えば、 0. 01-20, 000KU/ Lの範囲であり、好ましくは 1〜1, 600KUZLあり、より好ましくは 1〜500KUZLで ある。血漿試料 lmlあたりのプロテアーゼの添加割合は、例えば、 1〜8, 000KUの
範囲であり、好ましくは 1〜240KUであり、より好ましくは 1〜60KUであり、さらにより 好ましくは 1〜35KUである。ここで、 KUは、 103 X U (酵素単位)である。酵素単位 U は、使用するプロテアーゼの製造業者が提供する酵素単位 Uを用いてもよぐまたは 、 1Uが、 30°C、 1分間にミルクカゼイン (例えば、メルク社製)を分解して: gのチロ シンの相当する呈色を示すプロテアーゼ活性度と定義される酵素単位 Uであっても よい。すなわち、プロテアーゼ溶液を、適当な酵素希釈溶液 (例えば、 20mM 酢酸 バッファー(pH7. 5)、 lmM 酢酸カルシウム、 lOOmM 塩ィ匕ナトリウム)に適度に( 例えば、 10〜20Uとなるように)希釈し、この液 lmLを試験管にとり 30°Cに加温する 。これに予め 30°Cの加温しておいた基質(0. 6% ミクルカゼイン)溶液を 5mLカロえ る。 10分後、 5mLの反応停止液(0. 11M トリクロル酢酸、 0. 22M 酢酸ナトリウム 、 0. 33M 酢酸)を加え反応を停止させる。その後、そのまま 30°C、 30分加温を続 けて沈殿を凝集させ、フィルター(例えば、東洋ろ紙 No. 131 (9cm) )でろ過してろ 液を得る。このろ液 2mLに、 5mLの 0. 55M 炭酸ナトリウム溶液、 lmLの 3倍希釈 フォリン試薬を加え 30°C、 30分反応した後 660nmの吸光度を測定する。この吸光 度と、別途 L チロシンを用 ヽて作成した標準曲線とを使用してプロテアーゼの酵素 活性度を測定する。その結果、 30°C、 1分間に基質 (ミルクカゼイン)を分解して: L g のチロシンの相当する呈色を示すプロテアーゼ活性度に相当するプロテア一ゼの量 を 1Uと定義できる。なお、本発明のアルブミン変性用組成物がプロテアーゼを含む 態様である場合、第四級アンモ-ゥム及びプロテアーゼの含有量は、前述のように特 に制限されず、試料に添加した際、プロテアーゼ処理の反応液における第四級アン モ -ゥムおよびプロテアーゼの添加割合を上述のような範囲に調整できる含有量で あることが好ましい。
プロテアーゼ処理の条件は特に制限されないが、処理温度は、例えば、 10〜40°C の範囲であり、好ましくは 25〜37°Cである。処理時間(特に上限)は制限されないが 、例えば、 0. 1〜60分程度でプロテアーゼ処理を行うことが可能であり、例えば、 0. 5〜5分処理を行うことが好ましい。本発明の方法によれば、本発明のアルブミン変性 剤(第四級アンモ-ゥム)を添加しない従来の方法に比べて、約 1Z10以下に分析 時間を短縮することが可能である。
[0025] 前記プロテアーゼ処理は、例えば、緩衝液中で行うことが好ましぐトリス塩酸緩衝 液、 EPPS緩衝液、 PIPES緩衝液、リン酸緩衝液、 ADA緩衝液、クェン酸緩衝液、 酢酸緩衝液等が使用できる。また、プロテアーゼ反応液の pHは、例えば、 4〜10の 範囲であり、例えば、前述のような緩衝液によって pHを調整してもよい。
[0026] プロテアーゼ処理の際、本発明のアルブミン変性剤にカ卩えて、さらに、前述のような 化合物を共存させてもよい。前記化合物の添加割合は、特に制限されないが、例え ば、以下のような条件があげられる。
[0027] つぎに、本発明の糖ィヒアルブミン測定方法は、前述のように、プロテアーゼにより試 料中のアルブミンを分解する工程、得られたアルブミン分解物の糖ィ匕部分と FAOD とを反応させる工程、前記糖ィヒ部分と FAODとの酸ィヒ還元反応を測定することにより 、アルブミンに対する糖ィ匕アルブミンの割合を決定する工程とを含み、前記アルブミ ンの分解工程にお!、て、本発明のアルブミン変性剤の存在下で試料のプロテアーゼ 処理を行うことを特徴とする。
[0028] 前記 FAODとしては、例えば、アミノ酸側鎖のアミノ基( ε -ァミノ基)が糖化された 糖ィ匕ァミン (例えば、糖ィ匕アミノ酸、糖ィ匕ペプチド)を基質として、過酸化水素を発生 する反応を触媒する酵素が好ましい。このような触媒反応は、下記式(1)で表すこと ができる。
[0029] R' - CO - CH -NH -R2 + H O + O
2 2 2
→ R' - CO - CHO + NH -R2 + H O …ひ)
2 2 2
[0030] 前記式(1)において、 R1は、水酸基もしくは糖化反応前の糖に由来する残基 (糖残 基)を意味する。前記糖残基 (R1)は、反応前の糖がアルドースの場合はアルドース 残基であり、反応前の糖がケトースの場合、ケトース残基である。例えば、反応前の 糖がグルコースの場合は、アマドリ転位により、反応後の構造はフルクトース構造をと る力 この場合、糖残基 (R1)は、グルコース残基 (アルドース残基)となる。この糖残 基 (R1)は、例えば、
[CH (OH) ] - CH OH
n 2
で示すことができ、 nは、 0〜6の整数である。
[0031] 前記式(1)において、 ε -ァミノ基が糖ィ匕されている糖ィ匕ァミンの R2は、下記式(2)
で示すことができる。
[0032] —R5— CH (NH—R6)—CO—R7 · ' · (2)
[0033] 前記式(2)において、 R5は、アミノ酸側鎖基のうち、糖化されたァミノ基以外の部分 を示す。例えば、糖ィ匕されたアミノ酸がリジンの場合、 R5は
-CH -CH -CH -CH
2 2 2 2
であり、
例えば、糖ィ匕されたアミノ酸がアルギニンの場合、 R5は、
-CH -CH -CH -NH-CH (ΝΗ )
2 2 2 2
である。
[0034] また、前記式(2)にお 、て、 R6は、水素、アミノ酸残基またはペプチド残基であり、 例えば、下記式(3)で示すことができる。なお、下記式(3)において、 ηは 0以上の整 数であり、 R3は、アミノ酸側鎖基を示し、アミノ酸側鎖基は全て同一でも、異なってい ても良い。
[0035] - (CO -CR3H-NH) —H … )
[0036] また、前記式(2)にお 、て、 R7は、水酸基、アミノ酸残基またはペプチド残基であり 、例えば、下記式 (4)で示すことができる。なお、下記式 (4)において、 nは 0以上の 整数であり、 R3は、前述と同様にアミノ酸側鎖基を示し、アミノ酸側鎖基は全て同一で も、異なっていても良い。
[0037] - (NH-CHR3-CO) —OH · ' · (4)
[0038] なお、本発明における FAODは、前記式(1)において示される ε -ァミノ基が糖ィ匕 された糖ィ匕ァミンに加えて、 a -ァミノ基が糖化された糖ィ匕ァミンをも基質とする触媒 機能を有していてもよい。
[0039] FAODの中でも、 ε -アミノ基が糖ィ匕された糖ィ匕ァミンに特異的に作用する FAOD
(以下、「FAOD-S」という)としては、例えば、フサリウム属由来 FAOD (日本生物ェ 学会大会 平成 12年度 「Fusarium oxysporum由来アミノ酸ォキシダーゼの某 質特異性の変換;藤原真紀 他」)等があげられる。また、 ε -アミノ基が糖化された糖 化ァミンおよび a -ァミノ基が糖ィ匕された糖ィ匕ァミンの両方に作用する FAOD (以下、 「FAOD- « S」)としては、例えば、市販の商品名 FOD (旭化成社製)、ギペレラ属由
来 FAOD (特開平 8— 154672号公報)、フサリウム属由来 FAOD (特開平 7— 2892 53号公報)、ァスペルギルス属由来 FAOD (WO99Z20039号)等があげられる。
[0040] 以下に、本発明の糖ィ匕アルブミン測定方法の一例を示すが、これには制限されな い。
[0041] まず、前述と同様にして、本発明のアルブミン変性剤の存在下で、アルブミン含有 試料をプロテアーゼ処理する。前記試料の種類は、特に制限されないが、例えば、 全血、血漿、血清、溶血試料等があげられる。
[0042] そして、前記プロテアーゼ処理により得られたアルブミン分解物を FAODで処理す る。これによつて、アルブミン分解物における ε -ァミノ基の糖ィ匕部分に FAODが作 用し、前記式(1)に示すように過酸ィ匕水素が生成される。
[0043] FAOD処理は、前記プロテアーゼ処理と同様に緩衝液中で行うことが好ましぐ前 記緩衝液としては、特に制限されず、前記プロテアーゼ処理と同様の緩衝液が使用 できる。 FAOD処理の条件は、特に制限されないが、反応液の pHは、例えば、 6〜9 であり、処理温度は、例えば、 10〜38°Cの範囲であり、好ましくは 25〜37°Cである。 処理時間も特に制限されず、例えば、 0. 1〜60分、好ましくは 0. 1〜5分である。
[0044] FAOD処理の反応液における FAODの添カ卩割合は、例えば、 0. 01〜50KUZL の範囲であり、好ましくは 0. 2〜: L0KUZLである。また、血漿試料 lml当たりの FA ODの添加割合は、例えば、 0. 01〜10KUの範囲であり、好ましくは 0. 04〜: L 5K Uである。
[0045] つぎに、前記アルブミン分解物の糖ィ匕部分と FAODとの酸ィ匕還元反応を測定する 。この酸化還元反応の測定は、例えば、前記式(1)の反応によって生じる過酸ィ匕水 素量や、前記反応で消費される酸素量の測定によって行うことができる。
[0046] 前記過酸化水素量は、例えば、ペルォキシダーゼ (POD)と酸化により発色する基 質 (以下、「発色基質」)とを用いて、これらと発生した過酸化水素との反応により前記 発色基質を発色させ、この発色程度の測定によって算出することができる。なお、過 酸化水素量は、 POD等を用いた酵素的手法の他に、電気的手法等によって測定す ることちでさる。
[0047] 前記酸化により発色する基質 (発色基質)としては、特に制限されず、例えば、 10
(カルボキシメチルァミノカルボ-ル)—3, 7—ビス(ジメチルァミノ)フエノチアジン またはその塩(例えば、商品名 DA— 67、和光純薬社製)、 N, N, Ν', Ν', Ν", Ν〃 —へキサ(3-スルホプロピル)一 4, 4', 4"—トリアミノトリフエ-ルメタンへキサナトリウ ム塩 (例えば、商品名 TPM— PS、同仁化学社製)、 N— (カルボキシメチルァミノ力 ルボニル)—4, 4'—ビス(ジメチルァミノ)ジフエ-ルァミンナトリウム、オルトフエ-レン ジァミン (OPD)、トリンダー試薬と 4—ァミノアンチピリンとを組合せた基質等があげら れる。トリンダー試薬としては、例えば、フエノール、フエノール誘導体、ァ-リン誘導 体、ナフトール、ナフトール誘導体、ナフチルァミン、ナフチルァミン誘導体等があげ られる。また、 4ーァミノアンチピリンの他に、ァミノアンチピリン誘導体、バニリンジアミ ンスルホン酸、メチルベンズチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)、スルホン化メチルベン ズチアゾリノンヒドラゾン(SMBTH)等も使用できる。中でも、前述の第四級ァミンの 還元力によっても、酸ィ匕により発色した色素が消失し難いことから、 10— (カルボキシ メチルァミノカルボ-ル) 3, 7—ビス(ジメチルァミノ)フエノチアジンおよび TPM- P Sが好ましい。
[0048] POD反応は、前記プロテアーゼ処理と同様に緩衝液中で行われることが好ましぐ 前述のような緩衝液が使用できる。 POD処理の条件は、特に制限されないが、反応 液の pHは、例えば、 5〜9であり、処理温度は、例えば、 10〜40°Cの範囲であり、好 ましくは 25〜37°Cである。処理時間も特に制限されず、例えば、 0. 1〜5分である。
[0049] POD反応液における PODの添加割合は、例えば、 0. 01〜600KU/Lの範囲で ある。前記反応液における発色基質の添加割合は、例えば、 0. 001〜10mmolZL の範囲であり、好ましくは 0. 001〜2mmolZLである。
[0050] このように発色基質を用いた場合は、例えば、その発色 (例えば、反応液の吸光度 )を分光光度計で測定すればょ 、。過酸ィヒ水素量はアルブミンの糖ィヒ量 (糖化アル ブミン量)に対応するため、測定した吸光度力も糖ィ匕アルブミンの濃度を算出できる。 そして、下記式より、試料中の全アルブミン濃度に対する糖ィ匕アルブミン濃度の割合 (100分率)を算出できる。この割合は、一般に、 GA (%)として表記できる。なお、ァ ルブミン量 (濃度)は、従来公知の方法や、市販の試薬キットによって測定できる。
[0051] GA(%) = (糖ィ匕アルブミン濃度/アルブミン濃度) X 100
[0052] 吸光度力もの糖ィ匕アルブミン濃度の算出は、例えば、既知糖ィ匕アルブミン量と吸光 度との関係をプロットした検量線を用いることによって行える。例えば、糖化アルブミ ン量が既知であるアルブミン標準液について、前述と同様にして吸光度測定を行い 、この標準液の測定値と既知糖ィ匕アルブミン量との関係を示す検量線を作成してお く。そして、この検量線に前述のように測定した吸光度を代入することによって、糖ィ匕 アルブミン濃度が算出できる。
[0053] 以上のような糖ィ匕アルブミンの測定において、各処理工程は、前述のように別々に 行ってもよいが、例えば、以下に示すような組合せで各処理を同時に行ってもよい。 また、プロテアーゼ、 FAOD、 POD、発色基質の添加順序も特に制限されない。
[0054] 1 : プロテアーゼ処理 +アルブミン分解物の FAOD処理
2 : FAOD処理 + POD処理
3 : プロテアーゼ処理 + FAOD処理 + POD処理
[0055] また、本発明の糖ィ匕アルブミンの測定方法においては、他のタンパク質による影響 を低減するため、例えば、本発明のアルブミン変性剤または本発明のアルブミン変性 用組成物の添加前に、プロテアーゼと FAODとを試料に添カ卩し (さらに、 PODを添 加してもよい)、前処理としてのプロテアーゼ処理および FAOD処理を行ってもよい。 試料中に他の糖ィ匕タンパク質が存在すると、プロテアーゼ処理によって他の糖ィ匕タン パク質も分解され、その分解物に FAODが作用して過酸ィ匕水素が発生し、その量を も測定することとなり、測定誤差が生じる場合がある。このような場合、予め試料に前 記前処理を行っておけば、本発明の変性剤または変性用組成物の添カ卩によりアル ブミンを変性させ、その分解を促進する前に、他の糖化タンパク質はすでに前処理 用プロテア一ゼと前処理用 FAODにより処理されるため、他の糖ィ匕タンパク質による 影響を軽減できる。
[0056] 前処理用プロテアーゼとアルブミン分解用のプロテアーゼは、同じ種類であっても 異なる種類であってもよい。同じ種類のプロテアーゼを使用する場合には、前処理用 およびアルブミン用として、その都度、試料に添加してもよいし、前処理用プロテア一 ゼを添加してから、他のタンパク質に作用させるために一定時間おいた後、さらにプ 口テアーゼを添加することなぐ本発明のアルブミン変性剤または本発明のアルブミ
ン変性用組成物の添加によりアルブミン分解を促進させてもよい。また、異なる種類 のプロテアーゼを使用する場合には、前処理用として、例えば、他の糖化タンパク質 を選択的に分解するプロテアーゼを使用することもできる。 FAODは、同じ種類であ ることが好ましぐ前処理用に添加した FAODをそのまま利用してアルブミン分解物と 反応させてもよいし、前処理用およびアルブミン分解物の処理用として、その都度添 カロすることちでさる。
[0057] 本発明の糖ィ匕アルブミンの測定方法を簡便に行うために、上述のアルブミン変性 剤、酵素や基質等を複数の混合試薬としてキット化することも可能である。下記表 1に 、混合試薬の組合せを例示するが、これには制限されない。なお、各試薬は、試料に 対して番号順 (第 1→第 2)に添加していけばよい。下記表 1のとおり、本発明のアル ブミン変性用組成物は、第 1試薬 (組み合わせ 2)にも第 2試薬 (組み合わせ 1、 3〜5 )にもなることができる。
[0058] [表 1] 組合せ 第 1試薬 第 2試薬
(1 ) FAOD プロテア一ゼ
+ POD +発色基質
+第四級アンモニゥ厶
(2) プロテア一ゼ FAOD
+第四級アンモニゥ厶 + POD
+発色基質
(3) プロテアーゼ 第四級アンモニゥ厶
+ F AO D +発色基質
+ P O D
(4) プロテアーゼ POD
+ F AOD +第四級アンモニゥ厶
+発色基質
(5) プロテア一ゼ FAOD
+ POD
+第四級アンモニゥム
+発色基質
また、本発明のアルブミン変性剤である第四級アンモ-ゥムは、さらに、発色基質で ある 10—(カルボキシメチルァミノカルボ-ル)—3, 7—ビス(ジメチルァミノ)フエノチ ァジンまたはその塩 (例えば、商品名 DA— 67、和光純薬社製)の液体での安定性 を向上することもできる。このため、第四級アンモ-ゥムを、発色基質を含む試薬に添
カロしておくことも好ましい。これによつて、発色基質の安定化を向上させ、且つ、試料 への添加によってアルブミンを変性してプロテアーゼによるアルブミン分解を促進す ることちでさる。
[0060] 以下、実施例および比較例により本発明を更に具体的に説明する力 本発明はこ れらに限定されるものではない。
実施例 1
[0061] 第四級アンモ-ゥムの存在下で血漿試料のプロテアーゼ処理を行い、アルブミン 分解の効率の向上を確認した。
[0062] <第 1試薬: Rl >
Tricine 50mmol/L、pH8)
FAOD (アークレイ社製、以下同じ) 2. 5KU/L
POD 2KU/L
[0063] <第 2試薬: R2>
添加剤 0. 2g/L
メタ口プロテアーゼ(アークレイ社製、以下同じ) 1300KUZL
発色試薬 0. 05mmol/L
(商品名 DA-67、和光純薬社製)
[0064] <第 2試薬への添加剤 >
実施例
塩化ステアリルトリメチルアンモ-ゥム※1 (ナカライテスタ社製)
塩化ステアリルトリメチルアンモ-ゥム※ 2 (商品名コータミン 86Pコンク:花王社製) 臭化セチルトリメチルアンモ -ゥム
臭化へキサデシルトリメチルアンモ -ゥム
塩化ベンザルコニゥム 塩化べンゼトニゥム
臭化ミリスチルトリメチルアンモ -ゥム (ナカライテスタ社製)
ココナットァミンアセテート (商品名ァセタミン 24 :花王社製)
塩ィ匕ラウリルトリメチルアンモ -ゥム (商品名コータミン 24P:花王社製) 臭化ラウリルトリメチルアンモ -ゥム
比較例
臭化べンジルトリェチルアンモ -ゥム
臭化べンジルトリメチルアンモ -ゥム
塩ィ匕テトラェチルアンモ -ゥム
アミポール (ベタイン型両性界面活性剤) (商品名アミポール:日華化学社製)
[0065] <血漿試料 >
健常者の血漿を所定の希釈倍率 (0倍、 2倍、 4倍)となるように精製水で希釈したも のを試料とした。試料における血漿の含有率によって、未希釈の試料は「1. 0」、 2倍 希釈の試料は「0. 5」、4倍希釈の試料は「0. 25」とし、コントロールの精製水は、「0」 と表記する。
[0066] <測定方法 >
血漿試料 1. 2 Lと前記第 1試薬 (Rl) 78 Lを混合して 37°Cで 5分間インキュべ ートした後、前記第 2試薬 (R2) 26 μ Lを添加して 37°Cでプロテアーゼ処理ならびに 発色反応を行った。そして、第 2試薬添加直前の反応液における波長 658nmの吸 光度 (A )と、第 2試薬の添加 5分後の反応液における波長 658nmの吸光度 (A )と
0 5 を、生化学自動分析装置 (商品名 JCA— BM8 :日本電子社製、以下同じ)によって 測定し、その差 (A— A )を求めた。これらの結果を下記表 2に示す。また、第 2試薬
5 0
の添加剤として塩化ステアリルトリメチルアンモ-ゥムを使用した場合の吸光度の経 時変化を図 1に示す。
[0067] [表 2]
第 2試薬 試料
0 0.25 0.5 1 .0 添加化合物 炭素数
精製水 4倍 2倍 未希釈 くコントロール >
無添加 0.000 -0.002 -0.004 0.001 ぐ実施例 1 >
塩化ステアリルトリメチルアンモニゥム 1 1 7 0.000 0.01 7 0.024 0.050 塩化ステアリルトリメチルアンモニゥム 2 1 7 0.000 0.01 1 0.023 0.046 臭化セチルトリメチルアンモニゥム 1 6 0.000 0.01 5 0.021 0.045 臭化へキサデシルトリメチルアンモニゥム 1 6 0.000 0.01 4 0.01 9 0.043 塩化ベンザルコニゥム 8- 1 8 0.000 0.01 2 0.01 7 0.044 混合物
塩化べンジルジメチルテトラデシルアンモ 1 4 0.000 0.01 2 0.01 6 0.042 ニゥム
塩化べンゼトニゥム 1 4 0.000 0.01 0 0.01 8 0.049 臭化ミリスチルトリメチルアンモニゥム 1 4 0.000 0.008 0.01 2 0.033 ココナット ァミンアセテート 8- 1 8 0.000 0.005 0.01 3 0.038 混合物
塩化ラウリルトリメチルアンモニゥム 1 2 0.000 0.006 0.01 4 0.026 臭化ラウリルトリメチルアンモニゥム 1 2 0.000 0.005 0.006 0.024
<比較例 1 >
臭化べンジルトリェチルアンモニゥ厶 6 0.000 0.003 -0.003 - 0.001 臭化べンジルトリメチルアンモニゥム 6 0.000 0.003 -0.002 0.000 塩化亍トラエチルアンモニゥム 5 0.000 0.003 -0.001 -0.002 アミポール 0.000 0.001 0.004 0.003 単位:^ lAbs
[0068] 前記表 2に示すように、炭素数 12以上の炭化水素基を有する第四級アンモニゥム 塩を用いた実施例 1は、それ以外の第四級アンモ-ゥムゃ界面活性剤を使用した比 較例 1と比べて、アルブミンの分解が格段に効率良く行われていることがわかる。また 、比較例 1では、血漿試料の種類 (血漿の含有率)によって吸光度の差がほとんど見 られなカゝつた。これに対して、実施例 1では、希釈倍率が低い程、すなわち試料中の 血漿含有率が高い程、高い吸光度を示す結果となり、試料中の血漿含有率と吸光度 増加は相関関係を示した。このことから、実施例 1の第四級アンモ-ゥムによって、ァ ルブミンが変性し、プロテアーゼによる分解が効率よく行われていることがわかる。さ らに、図 1に示すように、塩化ステアリルトリメチルアンモ-ゥムを使用した実施例では 、第 2試薬の添加直後において、コントロールよりも吸光度の増加が見られた。つまり 、第四級アンモ-ゥムを添加すると、迅速にプロテアーゼによる分解が行われ。このこ とから、第四級アンモ-ゥムの添カ卩時点は特に制限されず、プロテアーゼ処理時に 共存さえして 、ればよ 、と!/、える。
[0069] (比較例 2)
さらに、添加剤として各種界面活性剤(下記表 3記載)を使用して、プロテアーゼに
よるアルブミン分解の効率向上を確認した。
[0070] <第 1試薬 >
MOPS 30mmol/L(pH7. 5)
FAOD 10KU/L
POD 2KU/L
界面活性剤 2gZLまたは lOgZL
[0071] <第 2試薬 >
メタ口プロテアーゼ 10, 000KU/L
発色試薬 0. 05mmol/L
(商品名 TPM-PS、同仁化学社製)
CaCl 5mmol/L
2
MOPS 150mmol/L (pH7. 5)
[0072] <血漿試料 >
健常者の血漿を所定の希釈倍率 (0倍、 1Z3倍、 2倍、 4倍)となるように精製水で 希釈したものを試料とした。試料における血漿の含有率によって、未希釈の試料は「 1. 0」、 1Z3倍希釈の試料は「0. 75」、 2倍希釈の試料は「0. 5」、4倍希釈の試料 は「0. 25」とし、コントロールの精製水は、「0」と表記する。
[0073] <測定方法 >
血漿試料 1. 2 μ Lと前記第 1試薬 78 μ Lを混合して 37°Cで 5分間インキュベートし た後、前記第 2試薬 26 Lを添加して 37°Cで 5分間インキュベートした。そして、第 2 試薬添加直前の反応液における波長 658nmの吸光度 (A )と、第 2試薬の添加 5分
0
後の反応液における波長 658nmの吸光度 (A )とを、前記生化学自動分析装置によ
5
つて測定し、その差 (A— A )を求めた。これらの結果を下記表 3に示す。
5 0
[0074] [表 3]
添加剤 試料
0 0.25 0.5 0.75 1.0 界面活性剤の種類 ¾度
精製水 4倍 2倍 1/3倍 未希釈 ぐコン トロール >
無添加 0 000 0 003 0. 004 0. 005 0. 007
<比較例 2 >
商品名 Synpe ron i c PE し 64 10g/L 0 000 0 000 0. 002 0. 004 0. 005
2g /L 0 000 0 001 0. 003 0. 004 0 007 商品名 Amps-58 2 g /L 0 000 0 000 0. 001 0. 003 0. 004 商品名 Ainps-XIOO lOg/L 0 000 0 002 0. 003 0. 004 0. 006
2g /L 0 000 0 001 0. 003 0 005 0 007 商品名工マルゲン A60 lOg/L 0 000 0 002 0. 002 0 003 0 004
2 g /L 0 000 0 001 0. 003 0 004 0 005 商品名 Br i j 98 lOg/L 0 000 0 001 0. 002 0 004 0 005
2 g /L 0 000 0 002 0. 003 0 004 0 005 商品名 Tween20 2 g IV 0 000 0 002 0. 003 0. 004 0. 006 商品名 MEGA 8 2 g /L 0 000 0 002 0. 004 0. 005 0. 005 商品名 DCHP lOg/L 0 000 0 003 0. 003 0. 003 0. 001
2 g /L 0 000 0 002 0. 004 0. 005 0. 006 商品名プル口ニック F88 lOg/L 0 000 0 000 0. 003 0. 004 0. 005
2 g /L 0 000 0 000 0. 002 0. 003 0. 008 コール酸 2 g /L 0 000 0 002 0. 003 0. 005 0. 004
単位 : Abs
[0075] 前記表 3に示すように、各種界面活性剤をプロテアーゼと共存させても、アルブミン 分解の効率の向上は確認されな力つた。
産業上の利用可能性
[0076] 以上のように、本発明のアルブミン変性剤によれば、その存在下でプロテアーゼ処 理を行うことによって、効率良くアルブミンの分解を行うことができる。このため、例え ば、少ないプロテアーゼで十分なアルブミン分解が実現でき、従来のようにプロテア ーゼを多量に使用することによる問題も回避できる。したがって、このようなアルブミン 変性剤を用いる本発明のアルブミン分解方法ならびに糖ィ匕アルブミンの測定方法に よれば、従来よりも効率よく糖ィ匕アルブミンの測定を行うことができ、糖尿病の診断や 治療等、医療分野において極めて有用であるといえる。
Claims
[1] アルブミン変性剤であって、炭素数 12以上の炭化水素基を有する第四級アンモ-ゥ ムまたはその塩を含むことを特徴とするアルブミン変性剤。
[2] 塩化ステアリルトリメチルアンモ-ゥム、臭化セチルトリメチルアンモ-ゥム、臭化へキ サデシルトリメチルアンモ-ゥム、塩化ベンザルコ-ゥム、塩化べンジルジメチルテトラ デシルアンモ-ゥム、塩化べンゼトニゥム、臭化ミリスチルトリメチルアンモ-ゥム、ココ ナットァミンアセテートおよび塩ィ匕ラウリルトリメチルアンモ-ゥムカもなる群力も選択さ れた少なくとも一つの第四級アンモ-ゥムまたはその塩を含む請求項 1記載のアルブ ミン変性剤。
[3] 炭素数 14以上の炭化水素基を有する第四級アンモ-ゥムまたはその塩を含む請求 項 1記載のアルブミン変性剤。
[4] 炭素数 14以上の炭化水素基を有する第四級アンモ-ゥムまたはその塩の混合物を 含む請求項 1記載のアルブミン変性剤。
[5] 炭素数 16以上の炭化水素基を有する第四級アンモ-ゥムまたはその塩を含む請求 項 1記載のアルブミン変性剤。
[6] 炭素数 14〜18の炭化水素基を有する第四級アンモ-ゥムまたはその塩を含む請求 項 1記載のアルブミン変性剤。
[7] 塩化ステアリルトリメチルアンモ-ゥム、臭化セチルトリメチルアンモ-ゥム、臭化へキ サデシルトリメチルアンモ-ゥム、塩化ベンザルコ-ゥム、塩化べンジルジメチルテトラ デシルアンモ-ゥム、塩化べンゼトニゥム、臭化ミリスチルトリメチルアンモ -ゥムおよ びココナットァミンアセテートからなる群力 選択された少なくとも一つの第四級アンモ
-ゥムまたはその塩を含む請求項 3記載のアルブミン変性剤。
[8] 請求項 1記載のアルブミン変性剤を含むアルブミン変性用組成物であって、さらにプ 口テアーゼを含み、前記プロテアーゼは、前記第四級アンモ-ゥム 0. 02〜20mmol 当たり 1〜1, 600, 000U含まれるアルブミン変性用組成物。
[9] 請求項 1記載のアルブミン変性剤を含むアルブミン変性用組成物であって、さらにプ 口テアーゼを含み、前記プロテアーゼは、前記第四級アンモ-ゥム 0. 02〜20mmol 当たり 1〜500, 000U含まれるアルブミン変性用組成物。
[10] 請求項 1記載のアルブミン変性剤を含むアルブミン変性用組成物であって、さらにプ 口テアーゼを含み、試料 lmlあたり 0. 003〜4mmolの前記第四級アンモ-ゥム及び 1-60, OOOUの前記プロテアーゼを添カ卩して使用するアルブミン変性用組成物。
[11] 請求項 1記載のアルブミン変性剤を含むアルブミン変性用組成物であって、さらにプ 口テアーゼを含み、試料 lmlあたり 0. 003〜4mmolの前記第四級アンモ-ゥム及び 1-35, OOOUの前記プロテアーゼを添カ卩して使用するアルブミン変性用組成物。
[12] 糖ィ匕アルブミンの測定に用いる請求項 1記載のアルブミン変性剤。
[13] 糖ィ匕アルブミンの測定に用いる請求項 3記載のアルブミン変性剤。
[14] アルブミンの分解方法であって、アルブミンを含む試料にプロテアーゼを添加するェ 程、及び、前記プロテアーゼの添加前、添加と同時、または、添加の後に請求項 1に 記載のアルブミン変性剤を添加する工程を含み、前記プロテアーゼの添加濃度が、 1〜1, 600, 000UZLであるアルブミンの分解方法。
[15] 前記プロテアーゼの添加濃度が、 1-500, 000UZLである請求項 14記載のアル ブミンの分解方法。
[16] アルブミンの分解方法であって、アルブミンを含む試料にプロテアーゼを添加するェ 程、及び、前記プロテアーゼの添加前、添加と同時、または、添加の後に請求項 1に 記載のアルブミン変性剤を添加する工程を含み、前記プロテアーゼの添加量が、前 記試料 lml当たり 1〜60, 000Uであるアルブミンの分解方法。
[17] 前記プロテア一ゼの添カ卩量力 前記試料 lml当たり 1〜35, 000Uである請求項 16 記載のアルブミンの分解方法。
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