JP4352154B2 - 糖化ヘモグロビンの選択的測定方法 - Google Patents

糖化ヘモグロビンの選択的測定方法 Download PDF

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本発明は、全血中に存在するヘモグロビンの糖化量を測定する方法に関する。
血液中の糖化ヘモグロビンは、生体内血糖値の過去の履歴を反映しているため、糖尿病の診断や治療等における重要な指標とされている。
このような糖化ヘモグロビンは、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法、ミニカラム法、免疫法等により、ヘモグロビンの糖化量または糖化率として測定されている。最近では、糖化アミノ酸酸化還元酵素(FAOD)を用いた酵素法により、糖化タンパク質を測定できる方法が開発されており、この酵素法を用いたヘモグロビン糖化量(糖化ヘモグロビン)の測定が試みられている。
しかしながら、この方法には、次のような問題がある。糖化ヘモグロビンは血球内成分であるため、測定に際して血球の溶血処理が不可欠である。しかし、全血を試料とする場合、全血の状態で血球を溶血させると、血球成分と血漿成分とが混合した状態となる。このため、溶血処理した全血試料には、血球中成分である糖化ヘモグロビンだけでなく、特に、血漿中成分であり含有率も高いアルブミンも存在し、その糖化物である糖化アルブミンも存在するため、前記糖化アルブミンも同様にFAODの作用を受け、糖化ヘモグロビンと共に測定されてしまう。したがって、前記糖化アルブミン等の他の糖タンパク質による影響を除去するために、全血試料から血漿と血球とを分離することが余儀なくされており、操作も煩雑であった。
そこで、本発明の目的は、全血試料の分離を行わずに、他の糖タンパク質が影響することなく、前記全血試料中のヘモグロビン糖化量を正確かつ容易に測定できるヘモグロビン糖化量の測定方法の提供である。
前記目的を達成するために、本発明のヘモグロビン糖化量の測定方法は、全血中の糖化ヘモグロビンを選択的にプロテアーゼで分解し、この糖化ヘモグロビン分解物の糖化部分とFAODとを反応させ、この酸化還元反応を測定することによりヘモグロビン糖化量を決定する方法である。なお、本発明において、「ヘモグロビン糖化量」とは、ヘモグロビン糖化率も含む。
このように、他のタンパク質やペプチドと区別して、糖化ヘモグロビンだけをプロテアーゼで選択的(特異的)に分解すれば、FAODはタンパク質および長いポリペプチド鎖には作用し難いため、全血について血球分離操作を行わなくても、他の糖化タンパク質、特に糖化アルブミン等の影響を受けることなくヘモグロビン糖化量を測定できる。このため、測定試料は、例えば、溶血処理した全血試料でもよい。
本発明の測定方法において、糖化ヘモグロビンを選択的に分解するには、例えば、前記プロテアーゼとして、糖化ヘモグロビンを選択的に分解するプロテアーゼを用いればよい。なお、本発明では、糖化ヘモグロビンを選択的に分解するプロテアーゼを用いる方法に、特に限定されず、その他の手段により、糖化ヘモグロビンを選択的に分解してもよい。また、一般のプロテアーゼと、糖化ヘモグロビンを選択的に分解するプロテアーゼとを併用してもよい。
前記プロテアーゼは、ブロメライン、パパイン、ブタ膵臓由来トリプシン、メタロプロテイナーゼ、Bacillus subtilis由来プロテアーゼであることが好ましい。前記Bacillus subtilis由来プロテアーゼとしては、例えば、商品名プロテアーゼN(シグマ・アルドリッチ社製)、商品名プロテアーゼN「アマノ」(天野エンザイム(株)製)等があげられる。前記メタロプロテイナーゼとしては、Bacillus属由来メタロプロテイナーゼ(EC3.4.24.4)(例えば、東洋紡績(株)製:商品名トヨチーム)等があげられる。これらの中でもより好ましくはメタロプロテイナーゼ、ブロメライン、パパインであり、特に好ましくはメタロプロテイナーゼである。
本発明の測定方法において、前記FAODは、糖化タンパク質、糖化ペプチドおよび糖化アミノ酸からなる群から選択された少なくとも一つの糖化アミンを基質とし、前記糖化アミンにおけるα−アミノ基糖化部分および側鎖アミノ基糖化部分の少なくとも一方に作用して、過酸化水素を生成する反応を触媒する酵素であることが好ましい。
本発明の測定方法において、前記FAODと反応させる糖化ヘモグロビン分解物の糖化部分は、使用するFAODの触媒反応により異なるが、例えば、アミノ酸残基側鎖の糖化アミノ基や糖化α−アミノ基であることが好ましい。この中でも、後述する触媒機能を有するFAODが作用し易いことから、前記アミノ酸残基側鎖の糖化アミノ基であることが好ましく、例えば、リジン残基側鎖の糖化アミノ基、アルギニン残基側鎖の糖化アミノ基等があげられる。
本発明の測定方法において、前記プロテアーゼは、全血1mLに対して1,000〜10,000,000Uの範囲で添加することが好ましく、また、前記FAODは、全血1mLに対して500〜40,000Uの範囲で添加することが好ましい。
本発明の測定方法において、前記酸化還元反応の測定は、前記反応により生じる過酸化水素量の測定もしくは前記反応で消費される酸素量の測定であることが好ましい。
本発明の測定方法において、前記過酸化水素量の測定は、ペルオキシダーゼ(以下、「POD」という)と酸化により発色する基質とを用いた測定であることが好ましい。
本発明の測定方法において、前記酸化により発色する基質としては、特に制限されず、例えば、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウム、オルトフェニレンジアミン(OPD)、トリンダー試薬と4−アミノアンチピリンとを組み合せた基質等があげられる。前記トリンダー試薬としては、例えば、フェノール、フェノール誘導体、アニリン誘導体、ナフトール、ナフトール誘導体、ナフチルアミン、ナフチルアミン誘導体等があげられる。また、前記4−アミノアンチピリンの他に、アミノアンチピリン誘導体、バニリンジアミンスルホン酸、メチルベンズチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)、スルホン化メチルベンズチアゾリノンヒドラゾン(SMBTH)等も使用できる。このような発色性基質の中でも、特に好ましくは、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウムである。
つぎに、本発明のHbA1cの測定方法は、前記本発明のヘモグロビン糖化量の測定方法によるヘモグロビン糖化量とHbA1cの量との相関関係から作成された検量線を準備し、前記本発明のヘモグロビン糖化量の測定方法から得られた全血試料中のヘモグロビン糖化量を前記検量線に代入することにより、前記全血試料中におけるHbA1cの量を求める測定方法である。
本発明者らは、さらに鋭意研究を行った結果、前記本発明のヘモグロビン糖化量の測定方法により求められる全血試料中におけるヘモグロビン糖化量が、前記全血試料中のHbA1cの量と高い相関関係にあることを見出した。HbA1cは、ヘモグロビンのβ−鎖N末端のα−アミノ基が糖化された糖化ヘモグロビンをいい、糖化ヘモグロビンの中でも、特に重要な糖尿病の診断等における指標とされている。従来の方法によると、HbA1cの測定は、糖化部分の中でも、HbA1cの特徴的構造部位であるβ−鎖N末端のα−アミノ基糖化部分に、FAODを特異的に作用させ、その酸化還元反応を測定する必要があった。この場合、使用するFAODが、例えば、α−アミノ基糖化部位に対して基質特異性が高いことや、前記α−アミノ基糖化部位に十分に作用すること等が要求されているため、特別な方法をとらざるを得なかった。しかし、本発明のHbA1c測定方法によれば、糖尿病診断の重要な指標となるHbA1cの測定を、正確かつ簡便に行うことができ、HbA1cの測定を臨床検査等において実用化することが可能となる。
本発明のHbA1cの測定方法において、前記検量線は、標準試料の既知HbA1c量と、前記本発明のヘモグロビン糖化量の測定方法による前記標準試料のヘモグロビン糖化量との相関関係から作成された検量線であることが好ましい。
つぎに、本発明の測定キットは、ヘモグロビン糖化量の測定に使用される測定キットであって、他のタンパク質およびペプチドと区別して糖化ヘモグロビンを選択的に分解するプロテアーゼを含む。このキットを使用すれば、前記本発明の測定方法を容易に実施できる。
本発明の測定キットにおいて、プロテアーゼは、ブロメライン、パパイン、ブタ膵臓由来トリプシン、メタロプロテイナーゼ、Bacillus subtilis由来のプロテアーゼからなる群から選択された少なくとも一つのプロテアーゼであることが好ましい。また、本発明の測定キットは、さらに、糖化アミノ酸酸化還元酵素を含むことが好ましい。前記糖化アミノ酸酸化還元酵素は、糖化タンパク質、糖化ペプチドおよび糖化アミノ酸からなる群から選択された少なくとも一つの糖化アミンを基質とし、前記糖化アミンにおけるα−アミノ基糖化部分および側鎖アミノ基糖化部分の少なくとも一方に作用して、過酸化水素を生成する反応を触媒する酵素であることが好ましい。本発明の測定キットは、さらに、ペルオキシダーゼおよび酸化により発色する基質を含むことが好ましい。前記酸化により発色する基質は、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウムであることが好ましい。
つぎに、本発明の測定試薬は、ヘモグロビン糖化量の測定に使用される測定試薬であって、他のタンパク質およびペプチドと区別して選択的に糖化ヘモグロビンを分解するプロテアーゼを含有する。この試薬を用いれば、前記本発明の測定方法を容易に実施できる。
本発明の測定試薬において、プロテアーゼは、ブロメライン、パパイン、ブタ膵臓由来トリプシン、メタロプロテイナーゼ、Bacillus subtilis由来のプロテアーゼからなる群から選択された少なくとも一つのプロテアーゼであることが好ましい。また、本発明の測定試薬は、さらに、糖化アミノ酸酸化還元酵素を含むことが好ましい。前記糖化アミノ酸酸化還元酵素は、糖化タンパク質、糖化ペプチドおよび糖化アミノ酸からなる群から選択された少なくとも一つの糖化アミンを基質とし、前記糖化アミンにおけるα−アミノ基糖化部分および側鎖アミノ基糖化部分の少なくとも一方に作用して、過酸化水素を生成する反応を触媒する酵素であることが好ましい。本発明の測定試薬は、さらに、ペルオキシダーゼおよび酸化により発色する基質を含むことが好ましい。前記酸化により発色する基質は、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウムであることが好ましい。
本発明の測定方法において使用できるFAODとしては、下記式(1)に示す反応を触媒するFAODであることが好ましい。
1−CO−CH2−NH−R2 + H2O + O2
→ R1−CO−CHO + NH2−R2 + H22 ・・・(1)
前記式(1)において、R1−CO−CH2−NH−R2 は、例えば、糖化タンパク質、糖化ペプチドおよび糖化アミノ酸である。前記式(1)において、R1は、水酸基もしくは糖化反応前の糖に由来する残基(糖残基)を示す。前記糖残基(R1)は、糖化反応前の糖がアルドースの場合はアルドース残基であり、糖化反応前の糖がケトースの場合、ケトース残基である。例えば、糖化反応前の糖がグルコースの場合は、アマドリ転位により、糖化反応後の構造はフルクトース構造をとるが、この場合、糖残基(R1)は、グルコース残基(アルドース残基)となる。この糖残基(R1)は、例えば、
−[CH(OH)]n−CH2OH
で示すことができ、nは、0〜6の整数である。
前記式(1)において、R2は、特に制限されないが、α−アミノ基が糖化されている場合と、それ以外のアミノ基が糖化されている場合とで異なる。
前記式(1)において、α−アミノ基が糖化されている場合、R2は、下記式(2)で示すアミノ酸残基またはペプチド残基である。
−CHR3−CO−R4 ・・・(2)
前記式(2)において、R3はアミノ酸側鎖基を示し、また、R4は水酸基、アミノ酸残基またはペプチド残基を示し、例えば、下記式(3)で表わすことができる。下記式(3)において、nは、0以上の整数であり、R3は、前述と同様にアミノ酸側鎖基を示す。
−(NH−CR3H−CO)n−OH ・・・(3)
また、前記式(1)において、α−アミノ基以外のアミノ基が糖化されている(アミノ酸側鎖基が糖化されている)場合、R2は下記式(4)で示すことができる。
Figure 0004352154
前記式(4)において、R5は、アミノ酸側鎖基のうち、糖化されたアミノ基以外の部分を示す。例えば、糖化されたアミノ酸がリジンの場合、R5は、
−CH2−CH2−CH2−CH2
であり、
例えば、糖化されたアミノ酸がアルギニンの場合、R5は、
−CH2−CH2−CH2−NH−CH(NH2)−である。
前記式(4)において、R6は、水素、アミノ酸残基またはペプチド残基であり、例えば、下記式(5)で表わすことができる。なお、下記式(5)において、nは0以上の整数であり、R3は、前述と同様にアミノ酸側鎖基を示す。
−(CO−CR3H−NH)n−H ・・・(5)
また、前記式(4)において、R7は、水酸基、アミノ酸残基またはペプチド残基であり、例えば、下記式(6)で表わすことができる。なお、下記式(6)において、nは0以上の整数であり、R3は、前述と同様にアミノ酸側鎖基を示す。
−(NH−CHR3−CO)n−OH ・・・(6)
使用するFAODの触媒反応は、前述のような反応であれば特に制限されないが、前記式(1)において、α−アミノ基以外のアミノ基に糖が結合した糖化部位(前記R2が前記式(4)に示す構造である)に作用する触媒反応であることが好ましい。また、前記FAODは、このような触媒機能のみに制限されず、さらにα−アミノ基に糖が結合した糖化部位(前記R2が前記式(2)に示す構造である)に作用する触媒機能を併せ持ってもよい。
このようなFAODとしては、例えば、フサリウム由来、ギベレラ由来、アスペルギルス由来のものがあり、市販の商品名フルクトシル・アミノ酸オキシダーゼ(旭化成社製)、商品名ケトアミンオキシダーゼ(ジェンザイム社製)等が使用できる。
つぎに、本発明のヘモグロビン糖化量の測定方法の一例について説明する。
まず、全血を溶血する。この溶血方法は、特に制限されず、例えば、界面活性剤を用いる方法、超音波による方法、浸透圧の差を利用する方法等が使用できる。この中でも、操作の簡便性等の理由から、界面活性剤を用いる方法が好ましい。
前記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン−p−t−オクチルフェニル エーテル(Triton系界面活性剤等)、ポリオキシエチレン ソルビタン アルキル エステル(Tween系界面活性剤等)、ポリオキシエチレン アルキル エーテル(Brij系界面活性剤等)等の非イオン性界面活性剤が使用でき、具体的には、例えば、商品名TritonX−100、商品名Tween−20、商品名Brij35等があげられる。前記界面活性剤による処理条件は、通常、処理溶液中の血球濃度が1〜10体積%の場合、前記処理溶液中の濃度が0.1〜1重量%になるように前記界面活性剤を添加し、室温で5秒〜1分程度攪拌すればよい。
また、前記浸透圧の差を利用する場合は、例えば、全血の体積に対し2〜100倍体積量の精製水を添加して溶血させる。
つぎに、前記溶血試料に対し、前記プロテアーゼを用いてプロテアーゼ処理を行い、前記試料中の糖化ヘモグロビンを選択的に分解する。前記プロテアーゼ処理は、通常、緩衝液中で行われ、その処理条件は、例えば、使用するプロテアーゼの種類、糖化ヘモグロビンの量等により適宜決定される。
前記プロテアーゼとしてパパインを用いて、前記溶血試料を処理する場合、通常、反応液中のプロテアーゼ濃度100〜30,000U/L、反応液中のヘモグロビン濃度0.1〜40g/L、反応温度15〜60℃、反応時間10分〜40時間、pH5〜9の範囲である。また、前記緩衝液の種類も特に制限されず、例えば、トリス塩酸緩衝液、EPPS緩衝液、PIPES緩衝液、リン酸緩衝液、ADA緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液等が使用できる。
また、前記プロテアーゼとしてメタロプロテイナーゼを用いて、前記溶血試料を処理する場合、例えば、反応液中のプロテアーゼ濃度10〜10,000KU/L、反応液中のヘモグロビン濃度0.02〜40g/L、反応温度15〜60℃、反応時間2分〜40時間、pH6〜11の範囲であり、好ましくは、反応液中のプロテアーゼ濃度100〜8,000KU/L、反応液中のヘモグロビン濃度0.1〜10g/L、反応温度15〜60℃、反応時間2分〜1時間、pH7〜10の範囲である。前記緩衝液は、前述と同様のものが使用できる。また、他のプロテイナーゼも同様に使用できる。
つぎに、前記プロテアーゼ処理により得られた糖化ヘモグロビン分解物を、FAODで処理する。このFAOD処理により、前記式(1)に示す反応が触媒される。具体的には、FAODが、例えば、前記糖化ヘモグロビン分解物のリジン残基側鎖およびアルギニン残基側鎖の糖化アミノ基に作用する。また、FAODの種類によっては、その触媒機能により、さらに、糖化α−アミノ基にも作用してもよい。
このFAOD処理は、前記プロテアーゼ処理と同様に緩衝液中で行うことが好ましく、前記緩衝液としては、特に制限されず、前記プロテアーゼ処理と同様の緩衝液が使用できる。
この処理条件は、例えば、反応液中のFAOD濃度200〜30,000U/L、反応液中のヘモグロビン濃度0.02〜30g/L、反応温度15〜37℃、反応時間1〜20分、pH7〜9の範囲であり、反応液中のFAOD濃度1,000〜20,000U/L、反応液中のヘモグロビン濃度0.1〜5g/L、反応温度15〜37℃、反応時間1〜5分、pH7〜9の範囲である。
つぎに、前記FAOD処理によって生じた過酸化水素の量を、前記PODおよび酸化により発色する基質を用いて、酸化還元反応を利用して測定する。
このPODによる酸化還元反応は、通常、緩衝液中で行われ、その条件は、例えば、過酸化水素濃度等により適宜決定される。通常、反応液中のPOD濃度1〜100,000IU/L、基質濃度0.0001〜1mmol/L、反応温度20〜37℃、反応時間1〜5分、pH6〜9であり、好ましくは、反応液中のPOD濃度1,000〜50,000IU/L、基質濃度0.0002〜0.1mmol/L、反応温度20〜37℃、反応時間1〜5分、pH6〜9である。また、前記緩衝液は、特に制限されず、前記FAOD処理等と同様の緩衝液等が使用できる。
なお、前記過酸化水素量は、前記POD等を用いた酵素的手法の他に、例えば、電気的手法により測定することもできる。
前記酸化により発色する基質を用いた場合は、その発色(反応液の吸光度)を分光光度計で測定することにより、過酸化水素の濃度を測定でき、これから前記試料中のヘモグロビン糖化量を測定できる。
この測定において、各処理工程は、前述のように別々に行ってもよいが、例えば、以下に示すような組み合わせで同時に行ってもよい処理工程がある。
1 : 溶血処理+プロテアーゼ処理
2 : プロテアーゼ処理+FAOD処理
3 : FAOD処理+POD処理
また、前記FAOD、PODおよび前記基質の添加順序も、特に制限されない。
つぎに、本発明のHbA1cの測定方法の一例について説明する。
まず、全血試料について、前述と同様にしてヘモグロビン糖化量の測定を行う。他方、糖化ヘモグロビンのうちHbA1c量が既知である糖化ヘモグロビン標準液を準備し、これについて、前述と同様にしてヘモグロビン糖化量の測定を行い、この標準液についての測定値と既知のHbA1c量との関係を示す検量線を作成する。前述のように、前記ヘモグロビン糖化量の測定値とHbA1c量とは相関関係にあるため、この検量線に、本発明の測定方法による前記全血試料におけるヘモグロビン糖化量の測定値を代入することにより、前記全血試料中のHbA1c量を求めることができる。なお、検量線の作成において、前記ヘモグロビン糖化量の測定値としては、最終的に求めたヘモグロビン糖化量だけでなく、前記ヘモグロビン糖化量の測定においてPOD処理によって得られた反応液の吸光度値でもよいし、前記吸光度から求めた過酸化水素量を使用してもよい。このように、本発明のHbA1c測定方法によれば、発明者らが新たに見出した相関関係を利用して、ヘモグロビン糖化量の測定値から全血中のHbA1c量を高精度かつ簡便に測定できる。
糖化ヘモグロビンおよび糖化アルブミンを含む試料をパパインで処理し、さらにFAODによる酸化還元反応を行い、発生した過酸化水素の測定を行った。測定に用いた試料、試薬およびその方法を以下に示す。
(試料)
糖化率22.5%のヒト血清アルブミン(シグマ社製)
糖化率14%のヒトヘモグロビン
なお、このヒトヘモグロビン試料は、以下の方法により調製し、その糖化率は、イオン交換カラムを使用したHPLC法により求めた。
(ヒトヘモグロビンの調製)
健常者の全血を遠心分離(1500G、10分)して血球を回収し、これを生理食塩水で数回洗浄した後、ほぼ当量の精製水を添加して血球を溶血させた。この溶血液を遠心分離して血球膜を除去したものを、商品名GLYCO・GELII(ピアス社製)に供し、常法により糖化タンパク質含有画分を分取したものをヒトヘモグロビン試料とした。
(酸化還元反応液Aの組成)
FAOD(旭化成工業社製、以下同じ) 2.09KU/L
POD(TypeIII:東洋紡績社製、以下同じ) 730U/L
N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミンナトリウム
(商品名DA64:和光純薬工業社製、以下同じ) 1.46mmol/L
Tris−HCl緩衝液(pH8.0) 73mmol/L
(方法)
前記各試料(ヒト血清アルブミン、ヒトヘモグロビン)1mLに、1KU/Lのパパイン(シグマ・アルドリッチ社製)1mLを添加し、40℃で24時間反応させた。そして、これらの溶液0.018mLに前記酸化還元反応液A 0.15mLをそれぞれ添加して酸化還元反応を開始し、反応開始5分後の各反応液の主波長694nm、副波長884nmにおける吸光度を、生化学自動分析装置(商品名JCA−BM8 :日本電子社製、以下同じ)を用いて測定した。これらの結果を下記表1に示す。
パパインの代わりに1g/Lのブロメライン(天野エンザイム株式会社、以下同じ)1mLを用いた以外は、実施例1と同様にして前記各試料(ヒト血清アルブミン、ヒトヘモグロビン)を処理して吸光度の測定を行った。これらの結果を下記表1に示す。
(比較例1)
パパインの代わりに1g/Lのα−キモトリプシン1mLを用いた以外は、前記実施例1と同様にして前記各試料(ヒト血清アルブミン、ヒトヘモグロビン)を処理して吸光度の測定を行った。これらの結果を下記表1に示す。
Figure 0004352154
前記表1に示すように、実施例1および2のパパインおよびブロメラインによれば、ヒトヘモグロビン試料について高い吸光度が見られ、かつ、ヒト血清アルブミン試料についてはわずかな吸光度であることから、糖化アルブミンをほとんど分解せずに、糖化ヘモグロビンを選択的に分解できることがわかった。これに対して比較例1のα−キモトリプシンは、前記両試料について同様に高い吸光度が見られることから、糖化ヘモグロビンだけでなく糖化アルブミンにも作用し、選択的ではないことがわかる。
(実施例3および比較例2)
試料として全血、血漿、血球をそれぞれ用い、各種プロテアーゼで処理し、糖化ヘモグロビンの測定を行った。
(全血試料の調製)
ヘパリンナトリウム入り採血管を用いて健常者から全血を採取し、これに精製水を加えて8倍希釈して、前記全血中の血球を溶血させたものを全血試料とした。
(血漿試料の調製)
前記健常者の全血を遠心分離(1500G、10分)して血球を分離除去し、得られた上清に精製水を添加して8倍希釈したものを血漿試料とした。
(血球試料の調製)
前記遠心分離により得られた血球に、精製水を加えて16倍に希釈し、前記血球を溶血させたものを血球試料とした。
(プロテアーゼ)
ブロメライン、パパイン(ロッシュ社製)、エラスターゼ(和光純薬工業社製)、α−キモトリプシン(和光純薬工業社製)、プロテナーゼK(和光純薬工業社製)を精製水に溶解し、濃度4g/Lの各種プロテアーゼ溶液をそれぞれ調製した。
(酸化還元反応液Bの組成)
POD 20KU/L
商品名DA64 0.04mmol/L
リン酸カリウム緩衝液(pH7.0) 0.1mol/L
(酸化還元反応液Cの組成)
FAOD 14.3KU/L
リン酸カリウム緩衝液(pH7.0) 0.1mol/L
(測定方法)
前記各試料0.2mL、前記プロテアーゼ溶液0.1mLおよびリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)0.7mLを混合し、37℃で24時間反応させた。反応後、各反応液を商品名ウルトラフリー4ユニット5K(ミリポア社製)に供して遠心分離を行い、ろ液を回収した。前記各ろ液25μLに、前記酸化還元反応液B45μLを添加し、5分後に、さらに前記酸化還元反応液C20μLを添加して反応を開始し、反応開始5分後の各反応液の主波長694nm、副波長884nmにおける吸光度を、前記生化学自動分析装置を用いて測定した。この結果を下記表2に示す。なお、ブロメラインおよびパパインは実施例3であり、エラスターゼ、α−キモトリプシン、プロテナーゼKは比較例2である。
Figure 0004352154
前記表2に示すように、実施例3では、血漿試料について吸収はほとんど確認されなかった。このことから、実施例3で用いたプロテアーゼによれば糖化ヘモグロビンを選択的に分解でき、例えば、血漿由来の糖化アルブミン等をほとんど分解しないことがわかる。これに対して、比較例2では、糖化ヘモグロビンが存在しないはずの血漿試料中においても吸収が確認された。これは、比較例に用いたプロテアーゼによると、糖化ヘモグロビンと他の糖化タンパク質とを選択することなく分解してしまうため、例えば、血漿試料においては糖化アルブミン等が分解され、その結果、吸収が見られたと考えられる。
(糖化ヘモグロビン標準液の調製)
精製水にHbA1c標準試薬(SRL社製)を溶解して、HbA1c濃度がそれぞれ4.3%、7.8%、11.2%、14.7%であり、かつ、ヘモグロビン濃度が10g/Lである糖化ヘモグロビン標準液を調製した。また、精製水にHbA1c標準試薬(国際試薬社製)を溶解して、HbA1c濃度がそれぞれ5.5%、10.8%であり、かつ、ヘモグロビン濃度が10g/Lである糖化ヘモグロビン標準液を調製した。
(各種プロテアーゼ溶液の調製)
各種プロテアーゼを精製水に溶解して、濃度2g/LのブロメラインF(天野エンザイム株式会社製)溶液および濃度1g/Lのパパイン(ロッシュ社製)溶液を調製した。
(測定方法)
各濃度の糖化ヘモグロビン標準液0.5mL、プロテアーゼ溶液0.4mLおよび1.0mol/L リン酸カリウム緩衝液(pH8.0)0.1mlを混合し、37℃で24時間反応させた。反応後、前記反応液を商品名ウルトラフリーMC 分子量5000(ミリポア社製、以下同じ)に供して遠心分離を行い、ろ液を回収した。前記ろ液25μLを精製水によって2倍希釈した後、この希釈液に前記酸化還元反応液B45μLを添加し、5分後、さらに前記酸化還元反応液C20μLを添加して反応を開始した。そして、反応開始5分後の各反応液の主波長694nm、副波長884nmにおける吸光度を、前記生化学自動分析装置を用いて測定した。これらの結果を下記表3および図1のグラフに示す。
Figure 0004352154
図1は、糖化ヘモグロビン標準溶液中のHbA1c濃度と吸光度の相関関係を示すグラフである。パパインについての相関式はy=210x+2.2、その相関係数はr=0.998であり、ブロメラインについての相関式はy=1321x+1.0、その相関係数はr=0.968であった。
前記表3および図1に示すように、糖化ヘモグロビン標準液中のHbA1c濃度の増加に伴い吸光度が増加したことから、HbA1c濃度と吸光度(本発明の測定方法による糖化ヘモグロビンの測定値に相当)は高い相関関係にあることがわかる。したがって、このHbA1c濃度と前記吸光度との検量線を予め準備すれば、全血試料中の糖化ヘモグロビンについて前述のように測定を行い、この測定値と前記検量線とから全血試料中のHbA1c量を間接的に求めることができる。
溶血試料をメタロプロテイナーゼ、パパイン、Bacillus subtillis由来のプロテアーゼで処理して、本発明の測定方法によりヘモグロビンの糖化量を測定し、さらに、これからHbA1c量を求めた。測定に用いた試料、試薬およびその方法を以下に示す。
(試料の調製)
採取した健常者および糖尿病患者の全血(合計12検体)をそれぞれ約6時間静置して赤血球を沈降させ、これら血球画分0.1mLに0.05重量%TritonX−100水溶液を1.4mL添加して溶血させたものを溶血試料とした。
(標準液の調製)
0.05重量%TritonX−100水溶液に、HbA1c標準試薬(国際試薬社製)を溶解して、HbA1c濃度(%)がそれぞれ5.5%、10.5%であり、かつ、ヘモグロビン濃度が200g/Lである糖化ヘモグロビン標準液を調製した。
(プロテアーゼ溶液の調製)
メタロプロテイナーゼ(東洋紡績社製)、商品名プロテアーゼN「アマノ」(天野エンザイム株式会社製)およびパパイン(ロシュ社製)を精製水に溶解して、濃度1g/Lの各種プロテアーゼ溶液をそれぞれ調製した。
(酸化還元反応液D)
POD 20KU/L
商品名DA−64 0.04mmol/L
リン酸緩衝液(pH8.0) 0.8mol/L
(酸化還元反応液E)
FAOD 14.3KU/L
リン酸カリウム緩衝液(pH8.0) 0.1mmol/L
(ヘモグロビン糖化量の測定方法)
サンプル0.2mL、プロテアーゼ溶液0.16mLおよび0.1mol/L リン酸カリウム緩衝液(pH8.0)0.04mLを混合し、37℃で36時間反応させた。反応後、前記反応液を前記商品名ウルトラフリーMC分子量5000に供して遠心分離を行い、ろ液を回収した。前記ろ液25μLを精製水によって2倍希釈した後、この希釈液に酸化還元反応液D45μLを添加し、5分後に酸化還元反応液E20μLを添加して反応を開始した。そして、反応開始2分後の反応液の主波長751nm、副波長884nmにおける吸光度測定を行った。この測定値は、ヘモグロビンの糖化量に相当する吸光度である。
(ヘモグロビン濃度の測定方法)
商品名ヘモグロビンテストワコー(和光純薬工業社製)を用いてシアンメトヘモグロビン法により、サンプルのヘモグロビン濃度を測定した。
(検量線の作成)
前記各標準液について、自動測定器(商品名HA−8150:アークレイ株式会社製)を用いてHbA1c濃度(%)を測定した。一方、前記各標準液について、本発明の前記ヘモグロビン糖化量の測定方法により、ヘモグロビンの糖化量に相当する吸光度の測定を行い、また、前記ヘモグロビン濃度測定方法によりヘモグロビン濃度を測定した。そして、前記ヘモグロビン糖化量に相当する吸光度をヘモグロビン濃度で割った値の百分率(%)と、前記自動測定器による測定値(%)とから一次回帰式を作成し、これを検量線とした。前記百分率は、ヘモグロビン糖化率(%)に比例する。以下に、前記各プロテアーゼを使用した場合の検量線の式を示す。
(検量線)
プロテアーゼ 一次回帰式
メタロプロテイナーゼ y=15846x+3.2
プロテアーゼN「アマノ」 y=16659x+3.3
パパイン y=17258x+3.4
(HbA1cの測定方法)
前記各溶血試料について、前記ヘモグロビン糖化率の測定方法によりヘモグロビンの糖化量に相当する吸光度測定を行い、前記ヘモグロビン濃度の測定方法によりヘモグロビン濃度の測定を行った。そして、前記糖化量に相当する吸光度を前記ヘモグロビン濃度で割った百分率をヘモグロビン糖化率とし、これを前記各検量線に代入することにより前記試料中のHbA1c量を求めた。また、対照として、前記各試料について前記自動測定器によりHbA1c量を測定した。これらの結果を図2に示す。図2は、本発明の測定方法により検量線から求めたHbA1c量と、前記自動測定器で測定したHbA1c量との相関関係を示すグラフである。
図示のように、本発明の測定方法により検量線から求めたHbA1c(%)と、前記自動測定器によるHbA1c(%)測定値との相関係数は、メタロプロテイナーゼの場合0.9937、プロテアーゼNの場合0.993、パパインの場合0.9941と非常に高く、前記自動測定器と同様の測定精度でHbA1c量を求められることがわかった。
血漿試料を添加した溶血試料をメタロプロテイナーゼで処理してヘモグロビンの糖化量を測定し、前記血漿試料の添加による前記糖化量の変化を調べた。
(試料の調製)
採取した健常者(1検体)および糖尿病患者の全血(合計検体:患者検体、患者検体2)を遠心分離(1000g、約15分間)し、各検体の血球画分および血漿画分を回収した。そして、検体毎に、血球画分0.01mLに、血漿画分を所定量(0mL、0.005mL、0.010mL、0.015mL、0.020mL)添加し、この混合液に下記溶血試薬0.3mLをそれぞれ加えて溶血させたものを溶血試料とした。
そして、前記各溶血試料0.01mLに下記メタロプロテイナーゼ試薬0.065mLを加え、37℃で5分間インキュベーションした。さらに、下記酸化還元反応液F 0.045mLを添加して37℃で2分間インキュベーションした後、前記反応液の主波長751nm、副波長805nmにおける吸光度測定を行った。この測定値は、ヘモグロビンの糖化量に相当する吸光度である。血漿画分添加量によって反応溶液量が異なるため、反応溶液当たりの吸光度を補正した値を下記表4に示す。
(溶血試薬)
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 9g/L
CHES緩衝液(pH9.4) 100mmol/L
(メタロプロテイナーゼ試薬:pH5.5)
メタロプロテイナーゼ(東洋紡績社製) 4000KU/L
WST−3(同仁化学社製) 2mmol/L
MES 5mmol/L
CaCl2 5mmol/L
NaCl 50mmol/L
※ WST−3:2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルフォフェニル)−2H−テトラゾリウム モノソディウム塩
(酸化還元反応液F)
FAOD 30KU/L
POD 90KU/L
DA−64 0.06mmol/L
リン酸緩衝液(pH7.0) 200mmol/L
Figure 0004352154
前記表4に示すように、血球画分に血漿画分を種々の濃度で添加しても、得られる吸光度にはほとんど変化が見られなかった。このことから、本発明の測定方法によれば、血漿中の糖化タンパク質により、糖化ヘモグロビンの糖化量の測定に影響が生じてないことがわかる。
以上のように、本発明の測定方法によれば、全血試料中の糖化ヘモグロビンの糖化率を、血球分離を行うことなく、簡便かつ高精度で測定できる。また、本発明の測定方法によるヘモグロビン糖化量の測定値とHbA1c量とは高い相関関係にあるため、この相関関係から検量線を作成すれば、全血試料中の糖化ヘモグロビンの糖化量を測定するだけで、高精度かつ簡便にHbA1c量を決定することができる。このため、本発明の測定方法を、例えば、臨床検査の分野等に適用すれば、大量の検体を容易に測定することができ、糖化ヘモグロビン、特にHbA1cの糖尿病診断等の指標物質としての信頼性および重要性がさらに向上する。
図1は、本発明の測定方法の一実施例において、HbA1c濃度と吸光度との相関関係を示したグラフである。 図2は、本発明の測定方法のその他の実施例において、検量線から求めたHbA1c(%)と自動測定器で測定したHbA1c(%)との相関関係を示したグラフである。

Claims (4)

  1. ヘモグロビン糖化量の測定方法であって、
    溶血試薬を用い、全血、全血を静置沈降させた血球画分、及び、全血由来の血球と血漿との混合物からなる群から選択される試料を溶血して血球成分と血漿成分とが混合した溶血試料を調製する工程、
    前記溶血試料において選択的に糖化ヘモグロビンを分解可能なプロテアーゼであるメタロプロテアーゼ(エキソ型プロテアーゼを除く)を用いて前記溶血試料をプロテアーゼ処理して糖化ヘモグロビン分解物を得る工程、及び、
    前記プロテアーゼ処理物を、前記糖化ヘモグロビン分解物に含まれるα−アミノ基糖化部分及び側鎖アミノ基糖化部分の少なくとも一方に作用して過酸化水素を生成する反応を触媒する糖化アミノ酸酸化還元酵素と反応させる工程を含む、ヘモグロビン糖化量の測定方法。
  2. 請求項1記載の測定方法によるヘモグロビン糖化量とHbA1c量との相関関係から全血試料中におけるHbA1c量を求める工程を含む、HbA1cの測定方法。
  3. ヘモグロビン糖化量の測定キットであって、
    全血、全血を静置沈降させた血球画分、及び、全血由来の血球と血漿との混合物からなる群から選択される試料を溶血して血球成分と血漿成分とが混合した溶血試料を調製するために使用する溶血試薬と、
    前記溶血試料において選択的に糖化ヘモグロビンを分解して糖化ヘモグロビン分解物を得るためのプロテアーゼであるメタロプロテアーゼ(エキソ型プロテアーゼを除く)を含むプロテアーゼ試薬と、
    前記糖化ヘモグロビン分解物に含まれるα−アミノ基糖化部分及び側鎖アミノ基糖化部分の少なくとも一方に作用して過酸化水素を生成する反応を触媒する糖化アミノ酸酸化還元酵素とを含む、ヘモグロビン糖化量の測定キット。
  4. HbA1c測定のために使用する請求項3記載のヘモグロビン糖化量の測定キット。
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