WO2006118097A1

WO2006118097A1 - 偏心バタフライ弁及びそれに用いられるシートリング

Info

Publication number: WO2006118097A1
Application number: PCT/JP2006/308619
Authority: WO
Inventors: Eiji Hisaki; Kenji Yamamoto; Kazuya Sugimoto
Original assignee: Tomoe Technical Research Company Limited
Priority date: 2005-04-28
Filing date: 2006-04-25
Publication date: 2006-11-09
Also published as: CN101163911A; CN100575756C; JPWO2006118097A1; JP4327217B2

Abstract

　偏心バタフライ弁に使用されるシートリングの構造を簡単にし、偏心バタフライ弁の弁体回動のトルクを小さくするとともに、安定したシール性能を持った偏心バタフライ弁を提供しようとする。　シートリングを一様な厚みＸを持った平板を円環状にしたもので構成し、内周面を断面凸形にし、円環状体の平らな１つの表面にだけ円環状の溝を同心に穿設し、溝の深さを厚みＸの５分の１以上４分の３以下の範囲内にし、溝底を溝底における円環状体の厚みの長さ以上内周面から離れたところに位置させるとともに、溝底をシートリングと弁体との接点を通り弁体外周面に垂直な垂線の作る曲面と、上記接点を通り上記表面に平行な平行面との間に存在させてこれをシートリングとする。シートリングの外側半部を弁本体とリテイナーで挟んで弁本体に固定し、内側半部を弁本体及びリテイナーから離してその間に隙間を存在させて偏心バタフライ弁とする。

Description

明細書

偏心バタフライ弁及びそれに用いられるシートリング

技術分野

[0001] この発明は、偏心バタフライ弁に関するものであり、また、偏心バタフライ弁に用いられるシートリングに関するものである。

背景技術

[0002] バタフライ弁は、流体通路を持った弁本体と、流体通路内に回動可能に付設された弁体とを主たる構成材料としている。そのほか、ノタフライ弁は弁体を回動可能に支持するために弁軸を必要とし、また全閉時に、流体通路の壁面と弁体外周との間を気密に保持するためにシートリングを必要としている。シートリングは円環状のもので、その内周面を露出させて流体通路に付設される。全閉時にシートリングと弁体外周とが密接する面は弁座面と呼ばれる。

[0003] バタフライ弁では、弁体が弁軸を中心として弁軸によって回動されるから、弁軸は弁体の中心を通って付設されることが多い。ところが、高温高圧の流体を流す場合には、弁体による流体通路の全閉を容易にし、且つ確実にするために、弁軸が弁体の中心力も外れたところに付設されることがある。このようなバタフライ弁は、弁軸が弁体に対して偏心しているから、とくに、偏心バタフライ弁と呼ばれる。偏心バタフライ弁の代表的なものは、弁軸が弁体の外周を連ねる平面カゝら外れたところに付設されて、弁座面を連ねる平面の片がわに突出しているものである。このような偏心バタフライ弁では弁体の外周面はテーパーが付された円錐面又は球面の一部で形成されている。

[0004] 偏心バタフライ弁では高温高圧の流体が流されるために、シートリングは耐熱性の材料で作られる。耐熱性の材料としては金属が用いられることもあるが、多くは弗素榭脂が用いられる。弗素榭脂は他の榭脂に比べると、反発弾性が極めて小さいものであるから、弗素樹脂でシートリングを作る場合には、弁座面の弾性を高めるようにェ夫する必要がある。このために、これまでは弗素榭脂製のシートリングは複雑な形状にすることが提案された。

[0005] 特開昭 55— 10104号公報は、偏心バタフライ弁の断面を第 1図に示したような形状にすることを提案している。それによれば、シートリング Cは外周部 Eを弁本体 Aとリティナ一 Bとの間に挟んで固定することにしている力内周部 Fを断面くの字状に屈曲させるとともに内周部 Fの内周面をテーパー状にすることが必要とされている。またシートリング Cの屈曲点 P力も弁体 Dの外周面におろした垂線 Qが、内周部 Fの内部を貫通することが必要だとされている。その結果、シートリング Cは弁本体 Aがわに溝が形成されるとともに、リティナ一 B側にも溝が形成されることとなり、断面は複雑な形状のものとなる。

特許文献 1 :特開昭 55— 10104号公報

[0006] 特公昭 58— 25910号公報は、第 2図に断面の一部を示したような偏心バタフライ弁にすることを提案している。そこでは、シートリング Cは、弁本体 Aとリティナ一 Bとに挟まれて固定されるところ、シートリング Cは弁座面 Hにテーパーが付され、弁本体 A とリティナ一 Bとに向力う面にそれぞれ溝 Kと溝 Jとが穿設されることが必要とされ、さらに弁座面 H力それらの溝 KiJまでに隙間 Lと Mとが形成されることが必要とされている。従って、シートリング Cは複雑な形状のものとなる。

特許文献 2：特公昭 58 - 25910号公報

[0007] また、特開昭 56— 124770号公報は、第 3図に断面構造の一部を示したような偏心バタフライ弁を提案している。そこでは、シートリング Cは弁本体 Aとリティナ一 Bとの間に挟まれて固定されるが、シートリング Cは外側のフランジ区域 P、中間の支持区域 Q、内側の密封区域 R及びその先端の構造部分 Sの 4部分で構成されており、支持区域 Qと密封区域 Rとは断面がほぼ U字状の簡単な形状にされているが、フランジ区域 Pが支持区域 Q力外側へ突出し、密封区域 Rの弁座面にはテーパーが付され、密封区域 Rの先端に構造部分 Sが突設されているので、シートリング Cは全体として複雑な形状となる。

特許文献 3：特開昭 56— 124770号公報

[0008] このように、偏心バタフライ弁用のシートリングは、広い面積にわたって弁体外周面に密接させるためにこれまで内周面にテーパーが付されてきた。また、これまでのシ一トリングは、凹凸の多い複雑な断面形状を持つべきものとされてきた。そのため、シ一トリングの製作に手間を必要とした。それだけでなぐ弁本体もシートリングに接する部分を複雑な形状にする必要があり、さらにリティナ一も複雑な形状にしなければならないことになつた。従って、それらの製造に手間を要することとなり、結果として、偏心バタフライ弁を容易に製造することができず、その結果偏心バタフライ弁は高価なものとなった。

[0009] 弗素榭脂製シートリングが付設された弁を可燃性流体に使用すると、火災などの災害の場合に、シートリングが焼失するおそれがある。シートリングが焼失すると、弁座でのシールが不可能になるため、災害による被害が拡大するおそれがある。この被害拡大を防ぐため、火災時にもシール性能を発揮できる構造が提案されており、この構造はフアイヤーセーフ構造と呼ばれて、る。

[0010] フアイヤーセーフ構造のバルブとしては、金属製のシートリングのみを用いたものが提案され、これは特開平 10— 281304号公報ゃ特開平 10— 292869号公報に記載されている。しかし、これらは金属製シートリングと弁体の弁座面が開閉動作時に常に接触して摺動するため、シール面に細かい傷が発生し、その結果、流体漏洩が発生するという欠点があった。

特許文献 4:特開平 10— 281304号公報

特許文献 5：特開平 10— 292869号公報

[0011] この欠点を解消するために、弗素樹脂からなるシートリングに加え、容易に焼失しない金属製のバックアップシートリングを組み込んだバタフライ弁力特開平 5— 1045 7号公報に記載されている。しかし、このバックアップシートリングは 3箇所の折曲部を持った複雑な形状としなければならないため、製作に手間が力かるという問題があつた。

特許文献 6：特開平 5 - 10457号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0012] この発明は上述の問題を解決し、偏心バタフライ弁をより安価に提供することを目的として、偏心バタフライ弁に使用されるシートリングの構造を簡単にし、これによつて弁体回動のトルクを小さくして、安定したシール性能を与え、また、簡単な形状のバックアップシートリングの追カ卩により、火災にも耐える構造にすることのできる偏心バタフライ弁を提供しょうとするものである。

課題を解決するための手段

[0013] この発明は、弁軸が偏心して付設されている弁体を弁本体の流体通路内に回動可能に付設し、流体通路の壁面にシートリングを付設して、シートリングの内周面を弁体外周面に密接できるようにした偏心バタフライ弁を前提とするものである。

[0014] この発明は、シートリングの構造を簡単にするために、一様な厚み Xを持った平板を円環状にしたものをシートリングの素材としている。この発明はこのような素材の平らな 1つの表面にだけ円環状に延びる溝を円環の中心と同心に穿設することとしている。その溝は円周方向では一様の幅と深さを持つものとされる。

[0015] この発明者は、上記の溝を特定の深さとし、且つその溝底を特定の位置に存在させると、得られたシートリングは、内周面が適度に変位できるようになるため、弁体回転のトルクを小さくして、容易に弁体に密接させることができ、従って流体漏洩を容易に防止できることを見出した。

[0016] その場合、溝の深さは平板状の円環状体の厚み Xの 5分の 1以上 4分の 3以下の範囲内のものとする。また溝底の位置は、円環状体の内周面力も溝底における円環状体の厚みの長さ以上離れたところに位置させ、且つシートリングと弁体との接点を通り

、弁体外周面に垂直な垂線の作る曲面と、上記接点を通り円環状体の平面に平行な平面との間にあることを必要とするのである。

[0017] このような溝を穿設されたシートリングは、溝を境にして溝の外側に位置する円環状の外側半部と、溝の内側に位置する円環状の内側半部とに分けて考えることができる。

[0018] 外側半部は弁本体とリティナ一との間に挟まれて弁本体に固定される部分である。

従って、外側半部は平板状そのままであってもよいが、挟んで固定するのに好都合な形状とすることちでさる。

[0019] これに対し、内側半部は弁体に密接すべき内周面を含んでいるから、特別な形状とする。その特別な形状の 1つは、内周面をテーパー状にしないで、内周面の断面を凸形にして厚みの中央部を内側へ突出させることである。これによつて、シートリングの内周面は広、面積で弁体の外周面に接触しな、で、周囲方向に延びる線で密接することとなる。

[0020] 内側半部のもう 1つの特徴は、内側半部と弁本体との関係と内側半部とリティナ一との関係である。即ち内側半部が弁本体とリティナ一との間に僅かな隙間を形成している、という関係である。これにより、内側半部は弁本体力ももリティナ一からも拘束されないで、流体の流動する方向に僅かに橈むことができることとなる。これに伴ない、シートリングの内周面は流体の圧力を受けて移動することができることとなる。

[0021] 上述の僅かな隙間はシートリングの内側半部の表面を後退させることによって形成してもよいが、また弁本体とリティナ一側の表面を後退させることによって形成することちでさる。

[0022] こうして、この発明は弁軸が偏心して付設されている弁体を弁本体の流体通路内に回動可能に付設し、流体通路の壁面にシートリングを付設して、シートリングの内周面を弁体外周面に密接可能とした偏心バタフライ弁において、シートリングは実質的に一様な厚み Xを持った平板状の円環状体力なり、内周面が断面凸形にされて厚みの中央部を内側へ突出させており、円環状体の実質的に平らな 1つの表面上に幅と深さの一様な溝が円環の中心と同心に円環状に穿設されており、溝の深さが上記厚み Xの 5分の 1以上 4分の 3以下とされ、溝底が上記内周面力溝底における円環状体の厚みの長さ以上離れたところに存在しており、かつ溝底がシートリングと弁体との接点を通り弁体外周面に垂直な垂線の作る曲面と、上記接点を通り上記表面に平行な平行面との間に存在するものをシートリングとし、シートリングは溝をリティナ一側に向けて溝の外側に位置する円環状の外側半部をリティナ一で押さえられて弁本体に固定され、溝の内側にある円環状の内側半部が弁本体とリティナ一力離れて、その間に僅かな隙間が存在していることを特徴とする、偏心バタフライ弁を提供するものである。

[0023] また、この発明は偏心バタフライ弁用シートリングを提供するものである。そのシートリングは、実質的に一様な厚み Xを持った平板状の円環状体力なり、内周面を断面凸形にされて厚みの中央部を内側へ突出させており、円環状体の実質的に平らな 1 つの表面上に幅と深さが一様な溝が円環と同心に円環状に穿設されており、溝の深さが上記厚み Xの 5分の 1以上 4分の 3以下とされ、溝底が上記内周面力溝底における円環状体の厚みの長さ以上離れたところに存在しており、かつ溝底がシートリングと弁体との接点を通り弁体外周面に垂直な垂線の作る曲面と、上記接点を通り上記表面に平行な平行面との間に存在する形状に弗素樹脂で一体に成形されていることを特徴とするものである。

[0024] また、この発明は、この発明に係るバタフライ弁用シートリングを使用して、フアイャ一セーフ構造にした偏心バタフライ弁を提供するものである。フアイヤーセーフ構造の偏心バタフライ弁は、この発明に係る上述の偏心バタフライ弁において、シートリングとリティナ一との間にバックアップシートリングが介在し、ノックアップシートリングは弾性を持った金属板で作られた円環状体で、内側端がリティナ一に沿ってリティナ一側に折曲されており、内側半部がリティナ一との間に隙間を存在させており、外側半部がリティナ一と弁本体との間に挟まれて固定されていることを特徴とするものである。

発明の効果

[0025] この発明では、シートリングが実質的に一様な厚み Xを持った平板状の円環状体からなり、内周面を断面凸形にするとともに、円環状体の実質的に平らな表面上に幅と深さが一様な溝を円環と同心に円環状に穿設した形状のものであり、シートリングの形状が簡単なために、これに接する弁本体とリティナ一の表面が簡単な形状となり、従って偏心バタフライ弁の製作に手間を要せず、安価に供給することができる。

[0026] また、この発明では、シートリングの内周面が断面凸形にされて、厚み方向の中央部が内側へ突出しているので、シートリングは突出した部分で弁体外周と接触することとなり、弁体に密接し易くなるとともに弁体回転のトルクを小さくすることができる。

[0027] また、この発明では溝が円環状体の 1つの表面上に、幅と深さの一様な溝を円環の中心と同心に円環状に穿設するので、溝の穿設が容易である。その溝の深さは厚み Xの 5分の 1以上 4分の 3以下とされ、溝底が円環状体の内周面力溝底における円環状体の厚みの長さ以上離れたところに存在し、且つ溝底がシートリングと弁体外周面との接点を通り弁体外周面に垂直な垂線の作る曲面と、上記接点を通り上記表面に平行な平行面との間に存在しているので、内側半部は外側半部に強固に接続されながら、溝を境にして僅かに折れ曲がることができ、従って内側半部の端に位置する内周面は恰も適度の弾性を持ったもののように作動する。これによつてシートリングは弁体に容易に密接し、流体漏洩のな、ものとして働く。

[0028] さらに、この発明のバタフライ弁ではシートリングの内側半部の表面力弁本体とリティナ一の表面から離れ、その間に僅かな隙間が存在しているので、シートリングは溝を境にして内側半部を流体通路の軸方向に僅かに橈むことができるものとなる。このため、弁体回転のトルクが小さくなり、弁の開閉を容易にすることができる。

[0029] その上に、この発明ではシートリングとリティナ一との間に、金属板製の円環状体からなるバックアップシートリングを介在させることとしたので、榭脂製のシートリングが火災などにより焼失したときにも、ノックアップシートリングが残存して弁体との間を全閉に維持することができ、従って耐火災性のバタフライ弁として役立つものとなる。

[0030] また、シートリングは、上述のように、簡単な形状のものであるから、弗素榭脂を材料として容易に一体に成形することができ、従って、安価に供給できてし力も弁体への取り付けも容易である。

図面の簡単な説明

[0031] [図 1]公知の偏心バタフライ弁の一部切欠断面図である。

[図 2]公知の他の偏心バタフライ弁の一部切欠断面図である。

[図 3]公知のさらに別の偏心バタフライ弁の一部切欠断面図である。

[図 4]この発明に係る偏心バタフライ弁の弁軸に垂直な断面図である。

[図 5]図 4の Vで示した一部の断面拡大図である。

[図 6]この発明に係る偏心バタフライ弁用シートリングの一部切欠斜視図である。

[図 7]この発明に係る偏心バタフライ弁の作動状態の説明図である。

[図 8]この発明に係る偏心バタフライ弁の他の作動状態の説明図である。

[図 9]この発明に係る他の偏心バタフライ弁の一部切欠拡大断面図である。

[図 10]この発明に係るさらに別の偏心バタフライ弁の一部切欠拡大断面図である。符号の説明

[0032] 1 弁本体

2 流体通路

3 弁体 4 シートリング

5 リティナ一

6 弁軸

7 溝

8 空隙

9 バックアップシートリング

10 ガスケット

31 外周面

41 外側半部

42 内側半部

43 内周面

45 凹面

47 窪み

90 バックアップシートリング 9の先端

91 バックアップシートリング 9の外側半部

92 バックアップシートリング 9の内側半部

発明を実施するための最良の形態

[0033] 次に、この発明を実施の一例について、図面に基づき説明する。図 4は、この発明に係る偏心バタフライ弁の中心を通り、弁軸に垂直に切断したときの断面図である。図 5は、図 4中の Vの部分の拡大断面図である。図 6は、図 4及び図 5において用いられているシートリングの一部切欠斜視図である。図 7及び図 8は、この発明に係る偏心バタフライ弁の使用状態説明図である。図 9は、この発明に係る別の偏心バタフラィ弁の一部切欠拡大断面図である。図 10はこの発明に係るさらに他の偏心バタフラィ弁の一部切欠断面図である。

[0034] この発明に係るバタフライ弁は、弁体の中心を通り弁軸に垂直な平面で切断すると、図 4に示したような形状となって表われる。図 4において、弁本体 1の流体通路 2内には弁体 3が回動可能に付設されている。流体通路 2にはシートリング 4が弁本体 1とリティナ一 5との間に挟まれて固定され、シートリング 4の内周面が流体通路内に露出している。弁軸 6は弁体 3に偏心して固定されている。すなわち、弁軸 6は弁体 3の外周面を連ねる平面から外れて、下方がわに片寄って付設されている。弁体 3はこのような弁軸 6を中心として回動するものとされて、るから、このバタフライ弁は偏心バタフライ弁である。

[0035] 図 4の弁体 3は、外周面 31が円環状体力もなるシートリングの流体通路方向の中心線と、弁軸 6の軸心を通り上記流体通路方向に垂直な平面との交点（以下、これを球面中心という）を中心とする球面上にある。弁体 3は弁軸 6を中心にして回動する過程で、弁体 3の外周面 31がシートリング 4に密接したり、シートリング 4力離れたりする。図 4は、外周面 31がシートリング 4の内周面に密接して弁体 3が流体の流れを完全に止めた状態、すなわち弁の全閉状態を示している。

[0036] シートリング 4は、図 5に拡大して示したように、実質的に一様な厚み Xを持った平板を円環状に打ち抜いた形状のもので構成されている。シートリング 4は円環状体の平らな 1つの表面上に円環と同心に円環状に穿設された溝 7を備えている。シートリング 4は溝 7を境にして円環状の外側半部 41と円環状の内側半部 42とに分けられる。外側半部 41は、弁本体 1に穿設された凹部に嵌め込まれ、リティナ一 5によって押圧されて弁本体に固定される部分である。これに対し、内側半部 42は溝 7によって可撓性を与えられて、弁体に密接する部分である。

[0037] 溝 7はシートリングの 1つの平らな表面上の特定な位置に穿設されて、特定の深さを持つべきものとされる。特定な深さとは、平板の厚み Xの 5分の 1以上 4分の 3以下の範囲内の深さである。溝は深さが平板の厚み方向に向力つているので、上記深さは平板の表面の垂直に測定した値である。溝 7は、円周方向では一様な幅と深さを持つちのとされる。

[0038] 溝 7は、その溝底が、 2つの観点から円環状体の特定な位置に存在すべきものとされる。その 1つは、溝底が内周面力表面に平行な方向に沿って溝底における円環状体の厚み a以上の長さ cでなければならない、と云うのである。もう 1つは、溝底がシ一トリングと弁体との接点を通り弁体外周面 L1に垂直な垂線 L2が、上述の球面中心を中心として回転して作る曲面と、上記接点を通り上記表面に平行な平行面との間（両端を含む）になければならない、と云うのである。 [0039] 溝 7の断面形状は、図 5に示すように、溝の深さよりも溝の幅が大きくされ、し力も溝底が大きな丸みを持って湾曲しており、椀状にされていることが好ましい。しかし、このような形状に限らず、幅が狭くて溝が狭谷状にされていてもよい。

[0040] シートリング 4の内周面 43は、従来のようにテーパーが付されないで、図 5に示したように、断面が凸形にされて、厚みの中央部が突出した形状とされる。凸形は単なる円弧状であってもよいが、図 5に示したように、厚み方向の中央部がやや尖った形状とすることが好ましい。

[0041] シートリング 4の内側半部 42の平らな表面は、図 5に示したようにリティナ一 5の表面に密接しないで、リティナ一 5の表面との間に僅かな幅 Yの隙間を形成している。同様に、シートリング 4の内側半部 42の裏面、すなわち弁本体 1に向力平らな表面は弁本体との間に僅かな幅の隙間を形成してヽる。

[0042] シートリング 4とリティナ一 5との間の隙間は、溝 7からシートリング 4の内周面 43までの全領域に形成される。隙間の幅は僅かなもので足り、流体通路内を流れる流体が溝内へ容易に流入できる程度であればよい。また、隙間の幅 Yは全領域にわたって等しいことが望ましい。その上で、さらに領域のところどころに半径方向に延びる窪みが形成されて、窪みが内周面力溝まで延びていることが好ましい。窪みは、複数条が等、間隔をお!/、て放射状に延びて、ることが好ま、。

[0043] シートリング 4と弁本体 1との間の隙間は、溝 7の底を通りシートリング 4の平らな裏面へ下ろした垂線の足 Uから、内周面 43までの全領域に形成される。シートリング 4は、外側半部 41が弁本体 1とリティナ一 5との間に挟まれて固定されているから、上記の隙間は、その断面が垂線の足 Uを頂点として、内周面 43がわへ向力つて開く三角形であることが好ましい。その三角形の頂角 Θは 3〜5度の角度とすることが好ましい。云いかえると、その隙間はシートリングの中心軸の周りに形成された回転空間であつて、中心軸を通る平面で切断したとき、常に垂線の足 Uを頂点として頂角が 3〜5度の角度をなす三角形として表われるものであることが好ましい。

[0044] 図 6は、この発明に係るシートリング 4の一部を斜視図で示している。図 6に示したシ一トリング 4は、外側半部 41の表面は実質的に平らな表面を形成しているがその表面の中央部に断面円弧状に僅かに窪む凹面 45を形成して、てもよ、。この凹面 45 はシートリングを弁本体とリティナ一との間に強固に固定するために設けられたものであって、必ずしも必要とされない。すなわち、外側半部 41の表面は、素材である平板の表面そのままであってもよい。また、内側半部 42のところどころに内周面 43から溝 7に達する窪み 47が設けられている。窪み 47は、内側半部 42がリティナ一 5側に押されてリティナ一に密接した場合に、溝 7への流体の流入又は溝 7からの流体の流出を容易にして、内側半部 42の橈むのを容易にするためのものである。

[0045] シートリング 4の内側半部 42は弁本体 1とリティナ一 5との間に隙間を存在させている力も、内側半部 42は弁本体 1とリティナ一 5により直接拘束されないで、自由な状態となつている。従って、内周面 43は隙間分だけ流体通路の軸線方向に移動できることとなっている。さら〖こ、内周面 43は溝 7の存在によって外側半部方向へも移動可能となっている。従って、シートリング 4の内周面 43は大きな反発弾性を持ったもののように行動できることとなる。こうして、シートリング 4は弁体回転時のトルクを減らし、弁体に容易に密接して流体漏洩の絶無を期待できるものとなる。

[0046] 図 7は弁体 3が全閉状態にあって、流体圧力が矢印の示すように上から下へ向かつて加えられたときのシートリング 4の変形状態を示している。流体が溝 7内へ進入し、流体圧力が溝 7の底を通る垂線の足 Uを支点として、シートリング 4の内側半部 42を下方に押し下げるので、内側半部 42の裏面 Q1が弁本体 1の表面に密接し、シートリング 4はシール効果を発揮する。

[0047] 図 8は、弁体 3が全閉状態にあって、流体圧力が矢印の示すように、下方から上方に向力つてカ卩えられたときのシートリング 4の変形状態を示している。流体圧力は、溝 7の底 Oを支点としてシートリング 4の内側半部 42を上方へ押圧する力内側半部 42 の表面 Q2がリティナ一 5の表面に密接してそれ以上押し上げられな、ので、この状態で密接が維持される。

[0048] こうして、この発明に係る偏心バタフライ弁は確実に流体漏洩を防止することができる。

[0049] なお、図 8に示したように、シートリング 4の外側半部 41の端が接する弁本体の表面に空隙 8を設けておくと、高温時のシートリング 4の熱膨張を空隙 8へ逃がすことができるので、温度条件に拘らず弁体 3のシートリング 4への密接を一層安定して維持することができる。空隙 8はシートリング 4の端に接する弁本体表面のうち、リティナ一側に位置する 30〜70%の範囲にすることが望ましい。

[0050] 図 5に示した例は、リティナ一 5の表面の一部を切欠してシートリングとの間に幅 Y の隙間を設けている。すなわち、シートリング 4の内側半部 42と向き合うリティナ一 5 の表面部分を切欠し、切欠部分に段を設けてシートリング 4とリティナ一 5との間に隙間を設けている。これに対し図 9に示した例は、リティナ一 5と向き合うシートリング 4の内側半部の表面を後退させて、シートリング 4とリティナ一 5との間に隙間を設けている。シートリング 4を弗素樹脂で一体に成形する場合には、図 9のようにすることが好ましい。

[0051] 図 10は、この発明に係るフアイヤーセーフ構造の偏心バタフライ弁の一部切欠拡大断面図である。図 10では、この発明に係るシートリング 4にさらにバックアップシートリング 9が付加されている。ノックアップシートリング 9は円環状体で作られ、シートリング 4とリティナ一 5との間に介在している。

[0052] ノックアップシートリング 9は弾性を持ったほぼ一様な厚みの金属板で作られており、機能の上で外側半部 91と内側半部 92とに分けられる。外側半部 91は、シートリング 4の外側へ延びていて、弁本体 1とリティナ一 5との間に挟まれてバックアップシートリング 9を固定するためのものである。

[0053] これに対し、内側半部 92は、シートリング 4の内側半部を覆うだけでなぐシートリング 4の内側半部よりも内側へ延びて、その先端 90がリティナ一 5側へ折曲されてリテイナ一 5の内周面に沿う形状とされている。

[0054] 弁体 3が開いている間は、バックアップシートリング 9の内側半部 92は、リティナ一 5 との間に常に隙間を存在させている。弁体 3が矢印方向に回動して来てシートリング 4に接触しシートリング 4を押圧したとき、バックアップシートリング 9はシートリング 4の湾曲に押されて湾曲し、リティナ一 5に密接する。このとき、弁体 3は外周面が上述の球面中心を中心とする球面上にあるものとされていて、他方、バックアップシートリングの板厚は小さくされているから、ノックアップシートリング 9の先端 90は弁体 3の外周面には接触しないこととなる。このため、通常の状態ではシートリング 4がリティナ一 5側へ橈む場合に、バックアップシートリング 9はその内側半部 92がその橈みに対して反力を与えるだけとなる。

[0055] ところが、火災などの災害の場合には、ノックアップシートリング 9は大きな役目を果たす。なぜならば、シートリング 4は弗素樹脂で作られているから、火災の場合にはシ一トリング 4は焼失するおそれがある。ところが、ノックアップシートリング 9は金属で作られているから、火災に遭っても容易に焼失しない。このため、シートリング 4が焼失したときにもバックアップシートリング 9はまだ残っていて、流体を止める働きをする。従つて、図 10に示したバタフライ弁は、耐火災性の大きいバタフライ弁として有用なものである。

[0056] ノックアップシートリング 9は、リティナ一 5と同じ金属で作ることもできる力また異なつた金属で作ることもできる。ノックアップシートリングは、例えばステンレス板、インコネル板、その他の金属板で作ることができる。なお、ノックアップシートリング 9の外側半部 91は、図 10に示したように、弁本体 1及びリティナ一 5との間にガスケット 10を介在させて、液体の漏洩を防ぐことが好ましい。

Claims

請求の範囲

[1] 弁軸が偏心して付設されている弁体を弁本体の流体通路内に回動可能に付設し、流体通路の壁面にシートリングを付設して、シートリングの内周面を弁体外周面に密接可能とした偏心バタフライ弁において、シートリングは、実質的に一様な厚み Xを持つた平板状の円環状体からなり、内周面が断面凸形にされて厚みの中央部を内側へ突出させており、円環状体の実質的に平らな 1つの表面上に幅と深さの一様な溝が円環と同心に円環状に穿設されており、溝の深さが上記厚み Xの 5分の 1以上 4分の 3以下にされ、溝底が上記内周面力溝底における円環状体の厚みの長さ以上離れたところに存在しており、かつ溝底がシートリングと弁体との接点を通り弁体外周面に垂直な垂線の作る曲面と、上記接点を通り上記表面に平行な平行面との間に存在するものをシートリングとし、シートリングは溝をリティナ一側に向けて溝の外側にある円環状の外側半部をリティナ一で押さえられて弁本体に固定され、溝の内側にある円環状の内側半部が弁本体とリティナ一とから離れて、その間に僅かな隙間が存在して!/、ることを特徴とする偏心バタフライ弁。

[2] 内側半部とリティナ一との間には、ところどころに隙間より深くされた窪みが内周面力溝に向かって付設されていることを特徴とする、請求項 1に記載の偏心バタフライ弁。

[3] シートリングの内側半部が弁本体との間に形成する隙間が、シートリングの中心を通る断面上で、溝底を通りシートリングの平らな裏面に下ろした垂線の足を頂点として、内周面に向かって開く三角形となって表われ、その三角形の頂角が 3〜5度の角度を持っていることを特徴とする、請求項 1又は 2に記載の偏心バタフライ弁。

[4] 上記シートリングとリティナ一との間にバックアップシートリングが介在し、ノックアツプシートリングは、弾性を持った金属板で作られた円環状体で、内側端がリティナ一に沿ってリティナ一側に折曲されて、内側半部がリティナ一との間に隙間を存在させており、外側半部がリティナ一と弁本体との間に挟まれて固定されていることを特徴とする、請求項 1 3の何れか 1つの項に記載の偏心バタフライ弁。

[5] 実質的に一様な厚み Xを持った平板状の円環状体力なり、内周面が断面凸形にされて厚みの中央部を内側へ突出させており、円環状体の実質的に平らな 1つの表面上に幅と深さが一様な溝が円環と同心に円環状に穿設されており、溝の深さが上記厚み Xの 5分の 1以上 4分の 3以下にされ、溝底が上記内周面力溝底における円環状体の厚みの長さ以上離れたところに存在しており、かつ溝底がシートリングと弁体との接点を通り弁体外周面に垂直な垂線の作る曲面と、上記接点を通り上記表面に平行な平行面との間に存在する形状に、弗素樹脂で一体に成形されていることを特徴とする偏心バタフライ弁用シートリング。

[6] 上記溝の内側に位置する円環状の内側半部では、上記平らな一つの表面が、全面にわたって僅かに切欠され、内側半部の厚みが溝の外側に位置する円環状の外側半部の厚みよりも薄くされていることを特徴とする、請求項 ₅に記載の偏心バタフラィ弁用シートリング。

[7] 上記溝の外側に位置する円環状の内側半部では、上記平らな一つの表面の反対側に位置する裏面が内周面に近づくに従って次第に大きく切欠され、切欠によって生じた表面が、溝底力も裏面におろした垂線の足を頂点とし、もとの裏面に対して 3 〜5度の角度で傾斜する直線が円環の中心の周りに回転して生じる円錐状の曲面となっていることを特徴とする、請求項 5又は 6に記載の偏心バタフライ弁用シートリング。