WO2006115116A1

WO2006115116A1 - ビニルピロリドン系共重合体及びその製造方法

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Publication number: WO2006115116A1
Application number: PCT/JP2006/308114
Authority: WO
Inventors: Daisuke Imai; Keiko Izumi; Yoshitomo Nakata
Original assignee: Nippon Shokubai Co., Ltd.
Priority date: 2005-04-19
Filing date: 2006-04-18
Publication date: 2006-11-02
Also published as: JP2006299043A; TWI374896B; JP4738046B2; TW200704655A

Abstract

表面平滑性、均一度、及び、耐水性が良好な架橋塗膜を得させる、Ｎ－ビニルピロリドンと２－ヒドロキシエチル（メタ）アクリレート等の水酸基含有（メタ）アクリレートとを必須構成成分とするビニルピロリドン系共重合体と、これを容易に得ることができる製造方法を提供する。Ｎ－ビニルピロリドン由来の構成単位（Ａ）と水酸基含有（メタ）アクリレート由来の構成単位（Ｂ）とを、両者合計に対する比率で表したとき前記（Ａ）が５０～９５質量％、前記（Ｂ）が５０～５質量％の割合で含むビニルピロリドン系共重合体であって、フィケンチャー法によるＫ値が１２以上であり、かつ、水不溶分が０．５質量％（固形分基準）以下であるビニルピロリドン系共重合体である。

Description

明細書

ビュルピロリドン系共重合体及びその製造方法

技術分野

[0001] 本発明は、 N—ビュルピロリドンと 2—ヒドロキシェチル (メタ）アタリレート等の水酸基含有 (メタ）アタリレートを必須構成成分とするビュルピロリドン系共重合体及びその製造方法に関する。

背景技術

[0002] N—ビュルピロリドンと 2—ヒドロキシェチル（メタ）アタリレートとの共重合体（以下「NV P/HE (M) A共重合体」と称することもある）は、親水性のピロリドン基とイソシァネート等の架橋剤と反応しうる水酸基とを併せ持つといった利点を有することから、例えば

、耐水性と親水性とを兼ね備えた膜を得させる硬化性樹脂組成物の原料ポリマー等として有用であることが知られている。例えば、 N—ビュルアミド単位を有する重合体と、活性水素と反応する官能基を 2個以上有する化合物と、多価金属化合物とを必須成分として含む硬化性樹脂組成物（特許文献 1参照）における好ましい重合体として利用されている。

[0003] NVPZHE (M) A共重合体は、従来、 N—ビュルピロリドンと重合開始剤とを含む水

(溶媒）の中に 2—ヒドロキシェチル (メタ）アタリレートを添加して重合させることにより得られており、 NVPZHE (M) A共重合体の製造方法としては一般に該方法が採用されている。

特許文献 1 :特開 2003— 286381号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0004] し力しながら、従来の技術で得られた NVPZHE (M) A共重合体は、これを原料ポリマーとした硬化性樹脂組成物を製膜して架橋させた場合、形成された架橋塗膜の表面平滑性が悪くなつたり、架橋後に未反応原料等を除去するための水洗を施す際にゲルが膨潤したりする等の問題が生じるほか、形成された架橋塗膜の均一度が低くなってしまう等の問題が生じていた。また、従来の NVP/HE (M) A共重合体を原料ポリマーとする架橋塗膜は耐水性が低いという問題もあった。

以上のことは、 2—ヒドロキシェチル (メタ）アタリレートに代表される水酸基含有 (メタ）アタリレートを一方の原料モノマーとするビュルピロリドン系共重合体に共通する問題であった。

[0005] そこで、本発明が解決しょうとする課題は、上述の諸問題を生じない良好な架橋塗膜を得させる、 N—ビュルピロリドンと 2—ヒドロキシェチル (メタ）アタリレート等の水酸基含有 (メタ）アタリレートとを必須構成成分とするビュルピロリドン系共重合体と、これを容易に得ることができる製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0006] 本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、従来の NVP ZHE (M) A共重合体を原料ポリマーとして用いたときに前述の問題が起きる原因が、 2—ヒドロキシェチル (メタ）アタリレートが重合中に架橋反応を受けやすいために、水不溶分 (すなわちゲル分）が多くなつたり、分子量分布が広くなつたりすることにあることを見出した。すなわち、従来の技術で得られた NVPZHE (M) A共重合体を原料ポリマーとした硬化性樹脂組成物を製膜して架橋させた場合、水不溶分が多いことにより、架橋塗膜の表面平滑性が悪くなつたり、架橋後の水洗の際にゲルが膨潤したりする等の問題が生じるほか、分子量分布が広いことにより、架橋塗膜の均一度が低くなつてしまう等の問題が生じていたのである。本発明者は、更に、架橋塗膜の耐水性が NVP/HE (M) A共重合体の K値に影響されていることも見出した。

[0007] そこで、本発明者は、 N—ビュルピロリドンと水酸基含有 (メタ）アタリレートとを必須構成成分としながらも、少なレ、水不溶分含有率及び/又は低分散度を達成できるビニルピロリドン系共重合体と、これを容易に得ることができる製造方法について、種々検討し、実験を重ねた結果、つぎの知見に到達し、本発明を完成した。すなわち、 N— ビニルピロリドンと水酸基含有 (メタ）アタリレートの共重合比を特定の範囲に設定するとともに、共重合する際に、 i)特定量の連鎖移動剤の存在下で重合させるようにする、もしくは、特定のアルコールを一定以上含む溶媒中で重合させるようにすることによって、水不溶分が極めて少ない共重合体を得ることができること、 ii)連鎖移動剤としてメルカプト化合物を用い、特定量の該連鎖移動剤の存在下で重合させるようにする力、もしくは、特定のアルコールを一定以上含む溶媒中で重合させるようにすることによって、分散度が極めて低い共重合体を得ることができること、そして、 iii) N—ビニルピロリドン Z水酸基含有 (メタ）アタリレート共重合体は、フィケンチャー法による K値が 12以上になるようにすること、を見出し、本発明を完成したのである。

[0008] したがって、本発明に力かる第一のビュルピロリドン系共重合体は、 N—ビュルピロリドン由来の構成単位 (A)と水酸基含有 (メタ）アタリレート由来の構成単位 (B)とを、両者合計に対する比率で表したとき前記 (A)が 50〜95質量％、前記（B)が 50〜5 質量％の割合で含むビエルピロリドン系共重合体であって、フィケンチャー法による K値が 12以上であり、かつ、水不溶分が 0. 5質量％ (固形分基準）以下である、ことを特徴とする。

本発明に力かる第二のビニルピロリドン系共重合体は、 N—ビエルピロリドン由来の構成単位 (A)と水酸基含有 (メタ）アタリレート由来の構成単位 (B)とを、両者合計に対する比率で表したとき上記 (A)が 50〜95質量％、上記（B)が 50〜5質量％の割合で含むビニルピロリドン系共重合体であって、フィケンチャー法による K値が 12以上であり、かつ、分散度が 1. 8以下である。

[0009] そして、本発明に力かる第三のビニルピロリドン系共重合体は、 N—ビニルピロリドン由来の構成単位 (A)と水酸基含有 (メタ）アタリレート由来の構成単位 (B)とを、両者合計に対する比率で表したとき上記 (A)が 50〜95質量％、上記（B)が 50〜5質量 %の割合で含むビュルピロリドン系共重合体であって、フィケンチャー法による K値力 S12以上であり、水不溶分が 0. 5質量％ (固形分基準）以下であり、かつ、分散度が 1. 8以下である。

つぎに、本発明にかかる第一のビュルピロリドン系共重合体の製造方法は、 N—ビニルピロリドン (a)と水酸基含有 (メタ）アタリレート (b)とを、両者合計に対する比率で表したとき上記（a)が 50〜95質量％、上記（b)が 50〜5質量％の割合で含む単量体成分を重合するにあたり、単量体成分に対して 0. 01質量％以上の連鎖移動剤の存在下で重合を行うものである。該製造方法において、特に好ましい態様は、上記連鎖移動剤としてメルカプトィ匕合物を用いる態様である。

[0010] そして、本発明に力かる第二のビニルピロリドン系共重合体の製造方法は、 N—ビニルピロリドン (a)と水酸基含有 (メタ）アタリレート (b)とを、両者合計に対する比率で表したとき上記（a)が 50〜95質量％、上記（b)が 50〜5質量％の割合で含む単量体成分を重合するにあたり、炭素数 1〜5のアルコールを 10質量％ (溶媒全量に対する割合)以上含有する溶媒中で重合を行うものである。

発明の効果

[0011] 本発明によれば、 N—ビニルピロリドンと水酸基含有 (メタ）アタリレートとを必須構成成分としながらも、少なレ、水不溶分含有率及び/又は低分散度を達成できるビニルピロリドン系共重合体、つまりは、良好な架橋塗膜を得させる N—ビニルピロリドンと水酸基含有 (メタ）アタリレートとの共重合体、を容易に得ることができる。

発明を実施するための最良の形態

[0012] 以下、本発明に力かるビュルピロリドン系共重合体とその製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなぐ以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。

〔ビニルピロリドン系共重合体〕

本発明のビュルピロリドン系共重合体 (第一、第二及び第三のビュルピロリドン系共重合体;以下、単に「本発明のビニルピロリドン系共重合体」と称する場合は同様である。）は、 N—ビニルピロリドン由来の構成単位 (A)と水酸基含有 (メタ）アタリレート由来の構成単位 (B)とを、両者合計に対する比率で表したとき上記 (A)が 50〜95質量％、上記（B)が 50〜5質量％の割合で含むものである。好ましくは、上記 (A)が 60 〜90質量％、上記（B)が 40〜： 10質量％であり、より好ましくは、上記 (A)力 5〜85 質量％、上記（B)が 35〜： 15質量％である。 N—ビニルピロリドン由来の構成単位 (A )と水酸基含有 (メタ）アタリレート由来の構成単位 (B)の相互割合 (共重合比）が上記範囲であれば、例えば、耐水性と親水性とを兼ね備えた良好な架橋塗膜を得させるのに適した共重合体となりうるのである。 N—ビュルピロリドン由来の構成単位 (A)が上記範囲よりも多いと（水酸基含有 (メタ）アタリレート由来の構成単位（B)が上記範囲よりも少ないと）、架橋剤との反応性が高いとレ、う水酸基含有 (メタ）アタリレートに由来する利点が発現されに《なり、逆に、 N—ビニルピロリドン由来の構成単位 (A)が上記範囲よりも少ないと（水酸基含有 (メタ）アタリレート由来の構成単位（B)が上記範囲よりも多いと）、ゲル化が起こりやすくなり水不溶分の多い共重合体となったり、分散度が高レ、（分子量分布が広レ、）共重合体となったりしてしまう。

[0013] 本発明のビュルピロリドン系共重合体は、 N—ビュルピロリドン由来の構成単位 (A) と水酸基含有 (メタ）アタリレート由来の構成単位 (B)のほかに、〔ビュルピロリドン系共重合体の製造方法〕の項で後述する N—ビュルピロリドンと共重合可能な単量体（他の単量体）由来の構造単位を有するものであってもよレ、。他の単量体由来の構造単位をも有する場合には、該他の単量体由来の構造単位の割合は全構造単位に対して 20質量％未満であることが好ましぐ 10質量％未満であることがより好ましい。以上の構成において、本発明の第一のビュルピロリドン系共重合体は、水不溶分が固形分基準で 0. 5質量％以下 (すなわち、固形分基準での水不溶分含有率が 0. 5 質量％以下）であるものである。好ましくは 0. 3質量％以下、より好ましくは 0. 1質量 %以下であるのがよい。このように、固形分基準での水不溶分含有率が 0. 5質量％以下であれば、例えば、製膜して架橋させた際に、形成された架橋塗膜の表面平滑性が悪くなつたり、架橋後に未反応原料等を除去するための水洗を施す際にゲルが膨潤したりする、といった問題を回避することができる。なお、固形分基準での共重合体の水不溶分含有率は、実施例で後述する方法によって測定されるものである。

[0014] 本発明の第一のビニルピロリドン系共重合体は、後述する本発明の第一又は第二のビュルピロリドン系共重合体の製造方法によって容易に得られるものであるが、これに限定されるものではない。

本発明の第二のビュルピロリドン系共重合体は、分散度が 1. 8以下であるものであつて、好ましくは 1. 75以下、より好ましくは 1. 70以下である。このように、分散度が 1. 8以下であれば、例えば、製膜して架橋させた際に、形成された架橋塗膜の均一度が悪くなつてしまう、といった問題を回避することができる。なお、分散度は、重量平均分子量 Z数平均分子量で求められるパラメータであり、実施例で後述する方法によって測定すること力 Sできる。

[0015] 本発明の第二のビュルピロリドン系共重合体は、後述する本発明の第一のビュルピ口リドン系共重合体の製造方法のなかで特にメルカプトィヒ合物を連鎖移動剤として用レ、る方法（前述した特に好ましい態様）か、もしくは、後述する本発明の第二のビニルピロリドン系共重合体の製造方法によって容易に得られるものであるが、これに限定されるものではない。

本発明の第三のビニルピロリドン系共重合体は、水不溶分が 0. 5質量％ (固形分基準）以下であり、かつ、分散度が 1. 8以下であるものである。つまり、本発明の第三のビュルピロリドン系共重合体は、前述した本発明の第一のビュルピロリドン系共重合体の要件 (水不溶分含有率）と前述した本発明の第二のビニルピロリドン系共重合体の要件（分散度）とを同時に満足するものであり、本発明における最も好ましい態様であると言える。ここで、水不溶分及び分散度に関しては、それぞれ前述した説明が同様に適用できる。

[0016] 本発明のビュルピロリドン系共重合体及び後述するその製造方法において、構造単位 (B)をもたらす水酸基含有 (メタ）アタリレート (b)としては、 2—ヒドロキシェチノレ (メタ）アタリレート、ヒドロキシプロピル (メタ）アタリレート、ヒドロキシブチル (メタ）アタリレート、 2—ヒドロキシエトキシェチル (メタ）アタリレート等が挙げられる力 S、なかでも、架橋剤との反応性、架橋塗膜の耐水性の点からみて、 2—ヒドロキシェチノレ (メタ）アタリレートが好ましレ、。 2—ヒドロキシェチル（メタ）アタリレートとしては、 2—ヒドロキシェチルメタアタリレート（HEMA)であっても良いが、 2—ヒドロキシェチルアタリレート（HE A)の方がより好ましレ、。 2—ヒドロキシェチルアタリレート（HEA)は、親水性が高いため、これを原料モノマーとするビュルピロリドン系共重合体から得られる架橋塗膜の親水性を上げる、未架橋部の水洗性を良くする、という利点を有するほか、その架橋反応性が良いため、ビュルピロリドン系共重合体と架橋剤との反応性をも高くするとレ、う利点を有するからである。

[0017] 本発明の第三のビュルピロリドン系共重合体は、前述した第二のビュルピロリドン系共重合体と同様、後述する本発明の第一のビニルピロリドン系共重合体の製造方法のなかで特にメルカプト化合物を連鎖移動剤として用いる方法（前述した特に好ましい態様）か、もしくは、後述する本発明の第二のビュルピロリドン系共重合体の製造方法によって容易に得られるものである力これに限定されるものではない。

本発明のビュルピロリドン系共重合体は、フィケンチャー法による K値が 12以上であることが必要であり、 15以上であることが好ましぐ 20以上であることがより好ましい。 K値が 12未満であると架橋塗膜とした場合の耐水性が低下する傾向があるからである。本発明のビュルピロリドン系共重合体における Κ値の上限は、問わないのである力 90以下であることが好ましぐ 80以下であることがより好ましい。フィケンチャー法による Κ値が 90を超えると、例えば、架橋塗膜とした場合に製膜後の水洗性が不充分になる等の傾向があるからである。

[0018] なお、本発明において、 Κ値とは、ビュルピロリドン系共重合体を、重合体が溶解する任意の溶媒に 1質量％の濃度で溶解させ、その溶液の粘度を 25°Cにおいて毛細管粘度計によって測定し、これらの測定値を用いて下記フィケンチャー式で計算される値である。

(log 7] rel) /C= [ (75K0²) / (1 + 1. 5K0C)〕 +Κ0

K= 1000K0

ただし、 Cは、溶液 lOOmL中のビエルピロリドン系共重合体の g数を示し、 7] relは、溶媒に対する溶液の粘度を示す。

本発明のビュルピロリドン系共重合体は、その用途が制限されるものではなぐあらゆる用途に用いることができる。その用途の一例を挙げれば、各種無機物や有機物の分散剤、凝集剤、増粘剤、粘着剤、接着剤、表面コーティング剤、架橋性組成物等であり、より具体的には、泥土分散剤、セメント材料分散剤、セメント材料用增粘剤、洗剤用ビルダー、洗剤用色移り防止剤、重金属補足剤、金属表面処理剤、染色助剤、染料定着剤、泡安定剤、乳化安定剤、インク染料分散剤、水性インク安定剤、塗料用顔料分散剤、塗料用シックナー、感圧接着剤、紙用接着剤、スティック糊、医療用接着剤、貼付剤用粘着剤、化粧パック用粘着剤、樹脂用フイラ一分散剤、記録紙用コーティング剤、インクジェット紙用表面処理剤、感光性樹脂用分散剤、帯電防止剤、保湿剤、吸水性樹脂用原料、肥料用バインダー、高分子架橋剤、樹脂相溶化剤、写真薬添加剤、化粧用調剤添加剤、整髪料助剤、ヘアスプレー添加剤、サンスクリーン組成物用添加剤等であるが、その特長を最も有効に活かしうる用途としては、例えば、耐水性と親水性とを兼ね備えた膜を得させうる硬化性樹脂組成物の原料ポリマーが挙げられ、架橋塗膜等として利用される。

[0019] 本発明のビュルピロリドン系共重合体は、 N—ビニルピロリドン由来の構成単位 (A) と水酸基含有 (メタ）アタリレート由来の構成単位 (B)とが、全構成単位中の 80質量 %以上を占めるものであることが好ましレ、。 (A)と（B)とが全構成単位中大部分を占めることによって、（A)に由来して、親水性が高ぐかつ、各種基材との密着性に優れ、（B)に由来して、架橋剤との反応性が高いビュルピロリドン系共重合体となる。このような効果を充分に得るためには、 80質量％程度であることが必要である。 80質量 %未満であると、充分な親水性、各種記載との密着性、及び架橋剤との反応性を有さないビュルピロリドン系共重合体となるおそれがある。

[0020] 〔ビニルピロリドン系共重合体の製造方法〕

本発明のビュルピロリドン系共重合体の製造方法 (第一及び第二のビュルピロリドン系共重合体の製造方法；以下、単に「本発明のビュルピロリドン系共重合体の製造方法」と称する場合は同様である。）は、 N—ビュルピロリドン (a)と水酸基含有 (メタ）アタリレート (b)とを、両者合計に対する比率で表したとき上記（a)が 50〜95質量％、上記 (b)が 50〜5質量％の割合で含む単量体成分を重合するものである。好ましくは、上記（a)が 60〜90質量％、上記（b)が 40〜： 10質量％であり、より好ましくは、上記（a)が 65〜85質量％、上記（b)が 35〜： 15質量％である。 N—ビュルピロリドン（a) と水酸基含有 (メタ）アタリレート (b)の相互割合が上記範囲であれば、水不溶分が少なレ、（後述する範囲の）共重合体を得させることができるのである。 N—ビュルピロリドン (a)が上記範囲よりも多いと（水酸基含有 (メタ）アタリレート (b)が上記範囲よりも少ないと）、得られる共重合体において架橋剤との反応性が高いという水酸基含有 (メタ )アタリレートに由来する利点が発現されに《なり、逆に、 N—ビニルピロリドン (a)が上記範囲よりも少ないと（水酸基含有 (メタ）アタリレート (b)が上記範囲よりも多レ、と）、ゲル化が起こりやすくなり得られる共重合体が水不溶分の多いものとなったり、得られる共重合体が分散度が高レ、（分子量分布が広い)ものとなったりしてしまう。

[0021] 上記単量体成分は、 N—ビュルピロリドン (a)及び水酸基含有 (メタ）アタリレート（b) を必須とするものである力そのほかに、 N—ビュルピロリドンと共重合可能な単量体 (他の単量体）をも含有するものであってよレ、。他の単量体としては、特に限定されることなく、具体的には、例えば、 1) (メタ）アクリル酸メチル、（メタ）アクリル酸ェチル、（メタ）アクリル酸ブチル、（メタ）アクリル酸シクロへキシル等の（メタ）アクリル酸エステル類； 2) (メタ）アクリルアミド、及び、 N_モノメチノレ（メタ）アタリノレアミド、 N モノェチル (メタ）アクリルアミド、 N, N—ジメチル (メタ）アクリルアミド等の（メタ）アクリルアミド誘導体類； 3) (メタ）アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル (メタ）アクリルアミド、ビュルピリジン、ビュルイミダゾール等の塩基性不飽和単量体； 4)ビニルホノレムアミド、ビュルァセトアミド、ビュルォキサゾリドン等のビュルアミド類； 5) (メタ）アタリル酸、ィタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体； 6) 無水マレイン酸、無水ィタコン酸等の不飽和酸無水物類； 7)プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビュルエステル類； 8)ビュルエチレンカーボネート及びその誘導体； 9) スチレン及びその誘導体； 10) (メタ）アクリル酸 2—スルホン酸ェチル及びその誘導体； 11)ビニルスルホン酸及びその誘導体； 12)メチルビニルエーテル、ェチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類； 13)エチレン、プロピレン、オタテン、ブタジエン等のォレフィン類；等が挙げられる。これら単量体のうち、 N ビュルピロリドンとの共重合性等の点からは、 1)〜8)が特に好適である。上記他の単量体は、 1種のみであってもよいし 2種以上であってもよい。上記単量体成分が上記他の単量体をも含有する場合には、該他の単量体の含有量が全単量体成分に対して 20質量％未満であることが好ましぐ 10質量％未満であることがより好ましい。

[0022] 本発明の第一のビニルピロリドン系共重合体の製造方法においては、上記単量体成分に対して 0. 01質量％以上の連鎖移動剤の存在下で重合を行うことが重要である。これにより、水不溶分の少ない共重合体を得ることができる。本発明の第二のビニルピロリドン系共重合体の製造方法においても、同様に、上記単量体成分に対して 0 . 01質量％以上の連鎖移動剤を用いることが好ましい態様であることは勿論である。なお、後述するように、連鎖移動剤を逐次添加する場合には、重合が行われている間中どの時点にぉレ、ても連鎖移動剤が単量体成分に対して上記範囲である（言レ、換えれば、重合が行われている間の全ての時点において、各時点で反応系内に存在する連鎖移動剤がその時点で反応系内に存在する単量体成分に対して上記範囲である）ようにすればよい。

[0023] 上記連鎖移動剤としては、メルカプト化合物、次亜リン酸及びその塩、亜硫酸水素塩、重亜硫酸塩等が好ましく挙げられる。これらの中でも、メルカプト化合物、次亜リン酸及びその塩がより好ましい。連鎖移動剤は、 1種のみであってもよいし 2種以上であつてもよい。

上記連鎖移動剤としてメルカプト化合物を用いる態様は、分散度の低い共重合体を容易に得ることができる点で、本発明の第一のビュルピロリドン系共重合体の製造方法において特に好ましい態様であり、これにより、前述した本発明の第二又は第三のビュルピロリドン系共重合体を容易に得ることができる。

[0024] 上記連鎖移動剤として好ましく用いうるメルカプト化合物としては、例えば、 2—メルカプトエタノール、 1, 3—メルカプトプロパノール、 1 チォグリセロール等のメルカプトアルコール、 3—メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、メルカプト酢酸等のメルカプトカルボン酸及びこれらの塩、ェチルー 2—メルカプトアセテート、システィン、 n ードデシルメルカプタンが挙げられ、これらの中でもメルカプトアルコールが好ましぐ 2—メルカプトエタノールがより好ましい。

上記連鎖移動剤の使用量は、単量体成分に対して 0. 01質量％以上であればよい力好ましくは、単量体成分に対して 0. 05〜5質量％であるのがよい。

[0025] 本発明の第二のビニルピロリドン系共重合体の製造方法においては、炭素数 1〜5 のアルコールを 10質量％ (溶媒全量に対する割合)以上含有する溶媒 (以下「特定溶媒」と称することもある）中で重合を行うことが重要である。これにより、水不溶分が少なぐ分散度が低い共重合体を得ることができる。本発明の第一のビュルピロリドン系共重合体の製造方法においても、同様に、上記特定溶媒中で重合を行うことが好ましい態様であることは勿論である。なお、後述するように、溶媒を逐次添加する場合には、重合が行われている間中どの時点においても特定溶媒が溶媒全量に対して上記範囲である（言い換えれば、重合が行われている間の全ての時点において、各時点で反応系内に存在する特定溶媒がその時点で反応系内に存在する溶媒全量に対して上記範囲である）ようにすればょレ、。

[0026] 上記炭素数 1〜5のアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、ェチルアルコーノレ、イソプロピルアルコール、 2_メチル _ 1 _プロパノール等が挙げられる。上記炭素数 1〜5のアルコールは、 1種のみであってもよいし、 2種以上であってもよレ、。上記炭素数 1〜5のアルコールは、溶媒全量に対する割合で 10質量％以上（言い換えれば、特定溶媒中 10質量％以上)含有されておればよいが、好ましくは 15質量％以上、より好ましくは 20質量％以上含有されていることである。

上記特定溶媒としての好ましい態様としては、例えば、上記炭素数:!〜 5のアルコールと水との混合溶媒が挙げられる。水を 30質量％以上含有することが好まし 50質量％以上含有することがより好ましい。特定溶媒中の水が 30%未満であると、重合時の N ビュルピロリドンの反応が遅くなる傾向がある。

[0027] 上記特定溶媒が上記炭素数 1〜5のアルコール以外の溶媒 (他の溶媒)をも含む場合、該他の溶媒は、水であることが好ましい（本発明の第一のビニルピロリドン系共重合体の製造方法において、上記炭素数 1〜5のアルコールを特定量含む特定溶媒を用いない場合には、水を主成分とする溶媒中で重合を行うことが好ましい）。上記特定溶媒や本発明の第一のビニルピロリドン系共重合体の製造方法における溶媒には、水以外の他の溶媒が含有されていても勿論よいが、その場合、溶媒全量に対して 10質量％以下の範囲内とすることが望ましい。

上記水以外の他の溶媒としては、例えば、 1一へプタノール等の炭素数 6以上のアルコーノレ；プロピレングリコールモノメチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のアルキレングリコールのエーテル（アセテート）類；ジメチルホルムアミド、 N メチルピロリドン等のアミド類；酢酸ェチル、酢酸ブチル、 γ ブチロラタトン等のエステル類；へキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類；シクロへキサン等の脂環式飽和炭化水素類；シクロへキセン等の脂環式不飽和炭化水素類；ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類；アセトン、メチルェチルケトン等のケトン類；ジクロロェタン、クロロホノレム、四塩ィ匕炭素等のハロゲンィ匕炭化水素類；ジェチルエーテル、ジォキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類；ジメチルスルホキシド等のスルホン酸エステル類；ジメチルカーボネート、ジェチルカーボネート等の炭酸エステル類；エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の脂環式炭酸エステル類；等が挙げられる。

[0028] 上記特定溶媒の使用量、及び、本発明の第 1のビニルピロリドン系共重合体の製造方法において用いる溶媒の使用量については、特に限定はなぐ生産性等を考慮して適宜設定すればよいが、単量体成分の濃度が 10質量％以上となるようにすることが好ましい。

本発明のビニルピロリドン系共重合体の製造方法においては、従来公知の重合開始剤を用いることができる。上記重合開始剤としては、例えば、 2, 2'—ァゾビスイソブチロニトリル、 2, 2'—ァゾビス（2—メチルプロピオンアミジン）二塩酸塩、ジメチル一 2, 2'—ァゾビスイソブチレート、 4， 4，一ァゾビス（4—シァノバレイツク酸）等のァゾ系重合開始剤；ベンゾィルバーオキシドや過酸化水素等の過酸化物等のラジカル重合系重合開始剤；三フッ化ホウ素又はその錯体、塩ィヒ鉄 (11)、ジェチル塩化アルミ二ゥム、ジェチル亜鉛、ヘテロポリ酸、活性白土等のカチオン重合系重合開始剤；等が挙げられる。これらの中でも、ァゾ系重合開始剤が重合効率の点から好ましぐ特に、ジメチル一 2, 2'—ァゾビスイソブチレートがより好ましい。重合開始剤は、 1種のみであってもよいし 2種以上であってもよい。

[0029] 上記重合開始剤の使用量については、特に限定されないが、単量体成分に対して 0 . 05質量％以上とすることが好ましい。より好ましくは、単量体成分に対して 0. 1質量 %以上とするのがよい。重合開始剤の使用量が 0. 05質量％未満であると、未反応単量体が多量に残存する恐れがある。

本発明のビュルピロリドン系共重合体の製造方法においては、上記重合開始剤とともに、適宜必要に応じて任意の助触媒、 pH調節剤、緩衝剤等を用いることもできる。本発明のビニルピロリドン系共重合体の製造方法において、単量体成分、重合開始剤、溶媒 (特定溶媒）、連鎖移動剤などの仕込み方法については、特に制限はない力特に、単量体成分に関しては、上記水酸基含有 (メタ）アタリレート（b)は逐次添加により反応器に投入することが好ましレ、。上記水酸基含有 (メタ）アタリレート (b)を逐次添加ではなく一括添加すると、水不溶分が多く生成してしまう恐れがある。具体的には、逐次添加とは、連続的な添加（例えば、一定時間をかけて滴下する態様）であってもよいし、断続的な添加（例えば、原料を複数回に分けて投入する態様）であつてもょレ、し、両者を組み合わせた添カ卩であってもよい。

[0030] 本発明の第 1及び第 2のビニルピロリドン系共重合体の製造方法において、上記重合を行う際の重合温度（反応液の温度）は、 50°C以上とすることが好まし 60°C以上とすることがより好ましい。本発明のビュルピロリドン系共重合体の製造方法においては、上記重合で得られた反応液に蒸留を施すことにより、未反応の水酸基含有 (メタ）アタリレート及び溶媒中の水以外の成分（アルコールなど）を除去して水溶液を得るようにしてもよい。

本発明のビュルピロリドン系共重合体は、前述のように、フィケンチャー式による K値を 12以上とするものである力 K値を大きくしょうとすると、水不溶分が増えやすぐ分子量分布も広がりやすいのである力上述する本発明の製造方法によると、このような問題が起きにくいのである。

[0031] 本発明のビュルピロリドン系共重合体を得るための原料モノマーの一方である水酸基含有 (メタ）アタリレートが 2—ヒドロキシェチル (メタ）アタリレートである場合にぉレヽては、 2—ヒドロキシェチルメタアタリレート（HEMA)よりも 2—ヒドロキシェチルアタリレート（HEA)を用いる方が好ましいことは、前述した。 2—ヒドロキシェチルアタリレート（HEA)は、架橋反応性が高ぐそのため、これを原料モノマーとするビュルピロリドン系共重合体の架橋反応性を高くするからである。しかし、反面、 2—ヒドロキシェチルアタリレート（HEA)は、ビニルピロリドン系共重合体を得るための重合中における架橋反応もより一層受けやすいため、通常は、水不溶分が少なくて分子量分布の狭い共重合体を得ることが難しいのであるが、上述する本発明の製造方法によれば、 2 ーヒドロキシェチルアタリレート（HEA)を原料モノマーとする場合のこのような困難性を克服できる。

[0032] 本発明のビュルピロリドン系共重合体の製造方法は、 N—ビュルピロリドン (a)と水酸基含有 (メタ）アタリレート (b)とが、重合に供される単量体成分中の 80質量％以上を占めることが好ましい。（a)と (b)とが重合に供される単量体成分の大部分を占めることによって、（a)に由来して、親水性が高ぐかつ、各種基材との密着性に優れ、（b) に由来して、架橋剤との反応性が高いビュルピロリドン系共重合体を製造することができる。このようなビュルピロリドン系共重合体を製造するためには、（a)と (b)とが、単量体成分中の 80質量％程度であることが必要である。 80質量％未満であると、充分な親水性、各種記載との密着性、及び架橋剤との反応性を有するビニルピロリドン系共重合体を製造することができなレ、おそれがある。

実施例 [0033] 以下に、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなレ、。以下では、特に断りのない限り、「質量部」を単に「部」と、「質量％」を単に「％」と記すものとする。

実施例及び比較例においては、水不溶分含有率及び分散度を下記のようにして測定した。

<水不溶分含有率 >

10%濃度に調整したビュルピロリドン系共重合体溶液 500g (ポリマー固形分 50g)を、 JIS— Z8801に準じた篩（呼び寸法 45 x m、直径 75mm、深さ 20mm)で濾過し、篩上に残存したゲルをイオン交換水 lOOOgで洗浄する。この篩を 80°Cで 1時間乾燥させたのち、その重量を測定して、濾過前後における重量増加分 (Xg)を求め、下記式に基づき水不溶分含有率を算出する。

[0034] 水不溶分含有率（％) =〔重量増加分 (Xg) /ポリマー固形分（50g)〕 X 100

<分散度 >

得られたビュルピロリドン系共重合体溶液について下記の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー（GPC)にて分析を行うことによりポリスチレン換算での重量平均分子量 (Mw)と数平均分子量 (Mn)を求め、 (Mw) / (Mn)に従って分散度を算出する。

カラム：昭和電工（株）製「Shodex KD— G」、「Shodex LF804」、「Shodex KD801」

溶離液：0. 1。/。臭化リチウム含有ジメチルホルムアミド溶液

溶離液流量: 0. 8mLZ分

注入量： 10 z L

カラムオーブン： 40°C

検出器:示差屈折計 (RI)

サンプノレ濃度： 0. 5%

(実施例 1)

冷却管、窒素導入ライン、温度計を備えた重合容器に、イオン交換水 70部をカロえ、攪拌しながら窒素を導入して窒素雰囲気とした。重合容器をオイルバスで加熱して内温を 98。Cにした後、 N_ビュルピロリドン（NVP) 33. 7部、 2—ヒドロキシェチルアタリレート（HEA) 7. 9部、 25%アンモニア水 0. 5部、 30%次亜リン酸水溶液 1. 26部、イオン交換水 7. 2部を混合したモノマー溶液 (A1)と、 4， 4，一ァゾビス _4_シァノ吉草酸（日宝化学社製「NC25」）0. 24部、トリエタノーノレアミン 0. 26部、イオン交換水 17. 6部を混合溶解させた開始剤溶液 (A1)とを、それぞれ 1時間かけて連続的に滴下した。続いて、イオン交換水 2. 6部に 2—ヒドロキシェチルアタリレート（HEA) O . 5部を溶解させたモノマー溶液（B1)を 15分間かけてカ卩えた。更に、加熱攪拌を 10 5分間続ける間に、イオン交換水 3部に 4, 4'—ァゾビス— 4—シァノ吉草酸（日宝化学社製「NC25」）0. 07部、トリエタノールァミン 0. 08部を溶解させた開始剤溶液（B 1)を 3回に分けて投入して、 NVP/HEA共重合体の溶液（無色透明、固形分 30. 1%)を得た。

[0035] 得られた溶液中の NVP/HEA共重合体は、 K値が 28. 0、水不溶分含有率が 0. 0 9%、重量平均分子量が 77, 640、数平均分子量が 38, 969、分散度が 1. 99であつた。

(実施例 2)

実施例 1において、モノマー溶液（A1)に替えて、 N—ビエルピロリドン（NVP) 29. 5 咅 2—ヒドロキシェチノレアタリレート（HEA) 11. 9咅 25⁰/₀アンモニア水 0· 5咅 30 %次亜リン酸水溶液 1. 26部、イオン交換水 7. 2部を混合したモノマー溶液 (A2)を用いるように変更し、モノマー溶液 (B1)に替えて、イオン交換水 2. 6部に 2—ヒドロキシェチルアタリレート（HEA) O. 76部を溶解させたモノマー溶液 (B2)を用いるように変更したこと以外は、実施例 1と同様にして、 NVP/HEA共重合体の溶液（無色透明、固形分 29. 9%)を得た。

[0036] 得られた溶液中の NVPZHEA共重合体は、 K値が 26. 2、水不溶分含有率が 0. 1 1%、重量平均分子量が 75, 832、数平均分子量が 41， 883、分散度が 1. 81であつた。

(実施例 3)

実施例 1において、 2—ヒドロキシェチルアタリレート（HEA)に替えて 2—ヒドロキシェチルメタクリレー MHEMA)を用いるように変更したこと以外は、実施例 1と同様にして、 NVP/HEMA共重合体の溶液（無色透明、固形分 29. 5%)を得た。

得られた溶液中の NVPZHEA共重合体は、 K値が 28. 5、水不溶分含有率が 0. 0 8%、重量平均分子量が 82, 286、数平均分子量が 45， 329、分散度が 1. 82であつた。

[0037] (実施例 4)

冷却管、窒素導入ライン、温度計を備えた重合容器に、イオン交換水 50部をカロえ、攪拌しながら窒素を導入して窒素雰囲気とした。重合容器をオイルバスで加熱して内温を 90°Cにした後、 N—ビエルピロリドン（NVP) 33. 6部、 2—ヒドロキシェチルアタリレート（ΗΕΑ) 7· 9部、 2—メルカプトエタノール 0· 13部、イオン交換水 34部を混合したモノマー溶液 (Α4)と、ジメチルー 2, 2 '—ァゾビスイソプチレート（和光純薬社製「 V601」）0. 42部、イソプロピルァノレコーノレ 2. 3部、イオン交換水 1 · 5部を混合溶解させた開始剤溶液 (A4)とを、それぞれ 1時間かけて連続的に滴下した。続いて、ィォン交換水 9· 6部に 2—ヒドロキシェチルアタリレート（HEA) O. 5部を溶解させたモノマー溶液（B4)を 15分間かけてカ卩えた。更に、加熱攪拌を 135分間続ける間に、ィォン交換水 0. 3部及びイソプロピルアルコール 0. 45部にジメチノレー 2, 2，ーァゾビスイソプチレート（和光純薬社製「V601」） 0. 08部を溶解させた開始剤溶液（B4)を 4 回に分けて投入して、 NVP/HEA共重合体の溶液（無色透明、固形分 30. 1 %)を得た。

[0038] 得られた溶液中の NVPZHEA共重合体は、 K値が 30. 0、水不溶分含有率が 0. 0 0%、重量平均分子量が 93, 316、数平均分子量が 59， 364、分散度が 1. 57であつた。

(実施例 5)

冷却管、窒素導入ライン、温度計を備えた重合容器に、イオン交換水 10部、ェチルアルコール 10部をカ卩え、攪拌しながら窒素を導入して窒素雰囲気とした。重合容器をオイルバスで加熱して内温を 80°Cにした後、 N—ビュルピロリドン（NVP) 16. 8部、 2—ヒドロキシェチルアタリレート（HEA) 4. 2部、イオン交換水 11部、ェチルアルコール 11部を混合したモノマー溶液（A5)と、ジメチル _ 2， 2，一ァゾビスイソブチレート（和光純薬社製「V601」）0. 21部、エチルアルコール 3. 4部、イオン交換水 3. 4 部を混合溶解させた開始剤溶液 (A5)とを、それぞれ 2時間かけて連続的に滴下した。更に、加熱攪拌を 2時間続けて、 NVPZHEA共重合体の溶液（無色透明、固形分 31. 0%)を得た。

[0039] 得られた溶液中の NVPZHEA共重合体は、 K値が 35. 1、水不溶分含有率が 0. 0 4%、重量平均分子量が 127, 069、数平均分子量が 78， 385、分散度が 1. 62であった。

(実施例 6)

冷却管、窒素導入ライン、温度計を備えた重合容器に、イオン交換水 17部、ェチルアルコール 3. 3部をカ卩え、攪拌しながら窒素を導入して窒素雰囲気とした。重合容器をオイルバスで加熱して内温を 80°Cにした後、 N—ビニルピロリドン（NVP) 16. 8部、 2—ヒドロキシェチノレアタリレート（HEA) 3. 8咅 2—メノレカプトエタノーノレ 0. 02咅、イオン交換水 14. 4部、エチルアルコール 6. 2部を混合したモノマー溶液（A6)と、ジメチルー 2, 2'—ァゾビスイソブチレート（和光純薬社製「V601」）0. 21部、ェチルアルコール 4部を混合溶解させた開始剤溶液 (A6)とを、それぞれ 2時間かけて連続的に滴下した。続いて、イオン交換水 2. 6部及びエチルアルコール 1. 1部に 2—ヒドロキシェチルアタリレート（HEA) 0. 42部を溶解させたモノマー溶液（B6)を 1時間かけて加えた。続いて、ェチノレアルコーノレ 0. 4部にジメチル一 2, 2，一ァゾビスイソブチレート（和光純薬社製「V601」） 0. 02部を溶解させた開始剤溶液 (B6)を投入したのち、内温を 85°Cに昇温し、更に 30分間加熱攪拌を続けた。次いで、イオン交換水 20部をカ卩え、蒸留装置を取り付け、オイルバスを 125°Cまで昇温して蒸留を開始した。留出量が 20部となった時点で更にイオン交換水 10部を投入し、蒸留を続けた。その後、更に 10部が留出した時点（合計留出量が 30部となった時点）で重合容器を冷却して、 NVPZHEA共重合体の溶液を得た。溶液（無色透明、固形分 30. 8%)を得た。

[0040] 得られた溶液中の NVPZHEA共重合体は、 K値が 34. 0、水不溶分含有率が 0. 0 2%、重量平均分子量が 113, 685、数平均分子量が 69， 026、分散度が 1. 65であった。

(実施例 7) 冷却管、窒素導入ライン、温度計を備えた重合容器に、イオン交換水 17部、ェチルアルコール 3. 3部をカ卩え、攪拌しながら窒素を導入して窒素雰囲気とした。重合容器をオイルバスで加熱して内温を 80°Cにした後、 N—ビュルピロリドン（NVP) 16. 8部、 2—ヒドロキシェチルアタリレート（HEA) 3. 8部、 2 _メルカプトエタノール 0. 05部、イオン交換水 14. 4部、エチルアルコール 6. 2部を混合したモノマー溶液（A7)と、ジメチル _ 2， 2 '—ァゾビスイソブチレート（和光純薬社製「V601」）0. 21部、ェチルアルコール 4部を混合溶解させた開始剤溶液 (A7)とを、それぞれ 2時間かけて連続的に滴下した。続いて、イオン交換水 2. 6部及びエチルアルコール 1. 1部に 2—ヒドロキシェチルアタリレート（HEA) 0. 42部を溶解させたモノマー溶液（B7)を 1時間かけて加えたのち、内温を 85°Cに昇温し、更に 30分間加熱攪拌を続けた。続いて、ェチルアルコール 0. 4部にジメチルー 2, 2，ーァゾビスイソブチレート（和光純薬社製「 V601 j ) 0. 02部を溶解させた開始剤溶液（B7)を投入したのち、更に 30分間加熱攪拌を続けた。次いで、イオン交換水 20部を加え、蒸留装置を取り付け、オイルバスを 130°Cまで昇温して蒸留を開始した。留出量が 20部となった時点で更にイオン交換水 10部を投入し、蒸留を続けた。その後、更に 10部が留出した時点 (合計留出量が 30部となった時点）で重合容器を冷却して、 NVP/HEA共重合体の溶液（無色透明、固形分 30. 7%)を得た。

得られた溶液中の NVPZHEA共重合体は、 K値が 28. 6、水不溶分含有率が 0. 0 1 %、重量平均分子量が 76 , 860、数平均分子量が 49， 837、分散度が 1. 54であつた。

(比較例 1 )

冷却管、窒素導入ライン、温度計を備えた重合容器に、イオン交換水 20部をカロえ、攪拌しながら窒素を導入して窒素雰囲気とした。重合容器をオイルバスで加熱して内温を 95。Cにした後、 N—ビュルピロリドン（NVP) 16. 8部、 2—ヒドロキシェチルアタリレート（HEA) 4. 2部、イオン交換水 16. 4部を混合したモノマー溶液（Ac l )と、 4, 4 '—ァゾビス _ 4 _シァノ吉草酸（日宝化学社製「NC25」）0. 75部、トリエタノールァミン 0. 76部、イオン交換水 1 1. 1部を混合溶解させた開始剤溶液 (Ac l )とを、それぞれ 2時間かけて連続的に滴下した。更に、加熱攪拌を 2時間続けて、 NVP/HEA 共重合体の溶液 (無色透明、固形分 33. 3%)を得た。

[0042] 得られた溶液中の NVPZHEA共重合体は、 K値が 29. 7、水不溶分含有率が 0. 5 7%、重量平均分子量が 93, 963、数平均分子量が 48， 551、分散度が 1. 94であつた。

(比較例 2)

冷却管、窒素導入ライン、温度計を備えた重合容器に、イオン交換水 50部をカロえ、攪拌しながら窒素を導入して窒素雰囲気とした。重合容器をオイルバスで加熱して内温を 90°Cにした後、 N—ビエルピロリドン（NVP) 33. 6部、 2—ヒドロキシェチルアタリレート（ΗΕΑ) 7· 9部、イオン交換水 27. 9部を混合したモノマー溶液 (Ac2)と、ジメチル— 2, 2'—ァゾビスイソブチレート（和光純薬社製「V601」） 2. 1部、イソプロピルアルコール 4部、イオン交換水 4. 4部を混合溶解させた開始剤溶液 (Ac2)とを、それぞれ 1時間かけて連続的に滴下した。続いて、イオン交換水 9. 6部に 2—ヒドロキシェチルアタリレート（ΗΕΑ) 0· 5部を溶解させたモノマー溶液（Bc2)を 15分間かけて加えた。更に、加熱攪拌を 45分間続けて、 NVP/HEA共重合体の溶液（無色透明、固形分 31. 0%)を得た。

[0043] 得られた溶液中の NVP/HEA共重合体は、 K値が 31. 9、水不溶分含有率が 0. 6 4%、重量平均分子量が 110, 575、数平均分子量が 53, 419、分散度が 2. 07であった。

(比較例 3)

冷却管、窒素導入ライン、温度計を備えた重合容器に、イオン交換水 50部をカロえ、攪拌しながら窒素を導入して窒素雰囲気とした。重合容器をオイルバスで加熱して内温を 90。Cにした後、 N—ビュルピロリドン（NVP) 33. 6部、 2—ヒドロキシェチルアタリレート（HEA) 7. 9部、イオン交換水 32. 1部を混合したモノマー溶液（Ac3)と、ジメチル _ 2， 2，—ァゾビスイソブチレート（和光純薬社製「V601」）1. 26部、イソプロピルアルコール 2. 4部、イオン交換水 2. 6部を混合溶解させた開始剤溶液 (Ac3)とを、それぞれ 1時間かけて連続的に滴下した。続いて、イオン交換水 9. 6部に 2—ヒドロキシェチルアタリレート（HEA) 0. 5部を溶解させたモノマー溶液（Bc3)を 15分間力けて加えた。更に、加熱攪拌を 105分間続ける間に、イオン交換水 0. 13部、イソプ口ピノレアノレコーノレ 0. 12部にジメチノレー 2, 2，一ァゾビスイソブチレート（和光純薬社製「V601」）0. 06部を溶解させた開始剤溶液（Bc3)を 3回に分けて投入して、 NVP ZHEA共重合体の溶液 (無色透明、固形分 31. 0%)を得た。

[0044] 得られた溶液中の NVPZHEA共重合体は、 K値が 37. 3、水不溶分含有率が 1. 0 3%、重量平均分子量が 158, 628、数平均分子量が 75， 975、分散度が 2. 09であった。

[0045] 以上の結果を表 1に示す。

[0046] [表 1]

産業上の利用可能性

本発明に力かるビュルピロリドン系共重合体は、例えば、耐水性と親水性とを兼ね備えた膜を得させる硬化性樹脂組成物の原料ポリマー等として好適に用いることができる。

Claims

請求の範囲

[1] N ビュルピロリドン由来の構成単位 (A)と水酸基含有 (メタ）アタリレート由来の構成単位 (B)とを、両者合計に対する比率で表したとき前記 (A)が 50〜95質量％、前記 (B)が 50〜5質量％の割合で含むビュルピロリドン系共重合体であって、フィケンチヤー法による K値が 12以上であり、かつ、水不溶分が 0. 5質量％ (固形分基準）以下であることを特徴とするビニルピロリドン系共重合体。

[2] N ビュルピロリドン由来の構成単位 (A)と水酸基含有 (メタ）アタリレート由来の構成単位 (B)とを、両者合計に対する比率で表したとき前記 (A)が 50〜95質量％、前記 (B)が 50〜5質量％の割合で含むビュルピロリドン系共重合体であって、フィケンチヤー法による K値が 12以上であり、かつ、分散度が 1. 8以下であることを特徴とするビュルピロリドン系共重合体。

[3] N -ビュルピロリドン由来の構成単位 (A)と水酸基含有 (メタ）アタリレート由来の構成単位 (B)とを、両者合計に対する比率で表したとき前記 (A)が 50〜95質量％、前記 (B)が 50〜5質量％の割合で含むビュルピロリドン系共重合体であって、フィケンチヤー法による K値が 12以上であり、水不溶分が 0. 5質量％ (固形分基準）以下であり、かつ、分散度が 1. 8以下であることを特徴とするビュルピロリドン系共重合体。

[4] N -ビュルピロリドン由来の構成単位 (A)と水酸基含有 (メタ）アタリレート由来の構成単位 (B)とが、全構成単位中の 80質量％以上を占めることを特徴とする請求項 1〜3 のいずれかに記載のビュルピロリドン系共重合体。

[5] N ビュルピロリドン (a)と水酸基含有 (メタ）アタリレート (b)とを、両者合計に対する比率で表したとき前記（a)が 50〜95質量％、前記（b)が 50〜5質量％の割合で含む単量体成分を重合するにあたり、単量体成分に対して 0. 01質量％以上の連鎖移動剤の存在下で重合を行うことを特徴とするビュルピロリドン系共重合体の製造方法

[6] 前記連鎖移動剤としてメルカプト化合物を用いることを特徴とする請求項 5記載のビニルピロリドン系共重合体の製造方法。

[7] N—ビュルピロリドン (a)と水酸基含有 (メタ）アタリレート (b)とを、両者合計に対する比率で表したとき前記（a)が 50〜95質量％、前記（b)が 50〜5質量％の割合で含む単量体成分を重合するにあたり、炭素数 1〜5のアルコールを 10質量％ (溶媒全量に対する割合）以上含有する溶媒中で重合を行うことを特徴とするビニルピロリドン系共重合体の製造方法。

N—ビュルピロリドン (a)と水酸基含有 (メタ）アタリレート (b)とが、重合に供される単量体成分中の 80質量％以上を占めることを特徴とする請求項 5〜7のいずれかに記載のビニルピロリドン系共重合体の製造方法。