JP2015168764A - コーティング剤 - Google Patents

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Yuji Yoshida
裕治 吉田
圭一 藤瀬
Keiichi Fujise
圭一 藤瀬
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Abstract

【課題】親水性および耐久性に優れるコーティング剤を提供する。
【解決手段】ビニルピロリドンを含有する単量体(a)を重合してなるセクション(A)と、ビニルピロリドン以外のエチレン性不飽和単量体を含有する単量体(b)を重合してなるセクション(B)とを少なくとも一つずつ有し、上記セクション(A)を形成する工程とセクション(B)を形成する工程とを有するリビングラジカル重合法により形成された共重合体を含有するコーティング剤を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、コーティング剤およびこれを塗布してなる物品に関する。
コーティング剤は、基材表面に所望の特性を付与できることから、プラスチック、ガラス、金属などに広く使用されている。特に、これらの基材が水や湿気と接触する用途に使用される場合は、基材表面に親水性を付与するためのコーティング剤が使用されている。
このような親水性を付与し得るコーティング剤を用いて親水化する方法としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)と架橋剤を用いることにより四フッ化エチレン樹脂(PTFE)多孔質膜を親水化する方法(特許文献1)、ポリオキシエチレン鎖を有する水溶性有機化合物、スルホン酸基などを有する親水性ポリマーに、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールの水溶性誘導体および特定の水溶性ポリマーを用いることにより金属材料を親水化する方法(特許文献2)などが開示されている。
特開2007−100088号公報 特開平9−316434号公報
しかしながら、これらのコーティング剤は、親水性が十分ではなく、また、耐久性が劣るという問題がある。そこで、本発明は、親水性および耐久性に優れるコーティング剤を提供することを目的とする。
本発明のコーティング剤は、化学構造の異なる2以上のセクションを有する共重合体を含有してなるコーティング剤であって、上記の課題を解決するために、共重合体がビニルピロリドンを含有する単量体(a)を重合してなるセクション(A)と、ビニルピロリドン以外のエチレン性不飽和単量体を含有する単量体(b)を重合してなるセクション(B)とを少なくとも一つずつ有し、上記セクション(A)を形成する工程とセクション(B)を形成する工程とを有するリビングラジカル重合法により形成されたものとする。
上記ビニルピロリドン以外のエチレン性不飽和単量体(b)としては、α,β−不飽和カルボン酸及びその誘導体、α,β−不飽和ケトン、不飽和炭化水素化合物、シアノ基含有不飽和炭化水素化合物、ビニルエーテル化合物、ビニルエステル化合物、不飽和アルコール化合物、芳香族アルケニル化合物、並びに、炭素数7以上のN−ビニルアミン化合物から選ばれた1種又は2種以上が用いられる。
上記セクション(A)はビニルピロリドンを50重量%以上含有する単量体(a)を重合して得ることが好ましい。
また、上記セクション(B)は上記ビニルピロリドン以外のエチレン性不飽和単量体を60重量%以上含有する単量体(b)を重合して得ることが好ましい。
上記リビングラジカル重合法としては、可逆的付加開裂連鎖移動重合法が好適に用いられる。この可逆的付加開裂連鎖移動重合法には、ジチオカルバミン酸エステル及びキサントゲン酸エステルから選ばれた少なくとも1種の連鎖移動剤を用いることができる。
上記セクション(A)は、ポリビニルピロリドンからなるブロック単位であることが好ましい。このブロック単位は、ビニルピロリドン5分子以上が単独重合してなることが好ましい。
上記共重合体中、セクション(A)の割合が30〜97重量%の範囲内であり、セクション(B)の割合が3〜70重量%の範囲内であることが好ましい。
上記共重合体は、末端にジチオカルバメート基又はキサンタート基を有することが好ましい。
本発明の物品は、上記いずれかのコーティング剤を塗布して得られるものである。
本発明のコーティング剤によれば、親水性と耐久性に優れるコーティング層を形成することができる。
本発明のコーティング剤に含有される重合体は、リビングラジカル重合法により逐次形成されたセクション(A)とセクション(B)とを少なくとも1つずつ有する共重合体を含有するものである。
上記セクション(A)は、ビニルピロリドンを含有する単量体(a)を重合してなるものであり、構成モノマーの50重量%以上がビニルピロリドンであることが好ましい。
セクション(A)は、構成モノマーとしてビニルピロリドンのみを有することが特に好ましく、その重合数は5以上が好ましく、7以上がより好ましく、10以上がさらに好ましい。上記範囲内とすることにより、コーティング層の親水性と耐久性をさらに向上することができる。
上記セクション(A)は、数平均分子量が500以上であることが好ましく、1,000以上であることがより好ましい。また、1,000,000以下であることが好ましく、300,000以下であることがより好ましく、200,000以下であることがさらに好ましく、100,000以下であることが最も好ましい。上記範囲内とすることにより、コーティング層の親水性と耐久性をさらに向上することができる。
上記共重合体における上記セクション(A)の含有量は、30重量%以上であることが好ましく、50重量%以上であることがより好ましい。また、97重量%以下であることが好ましく、95重量%以下であることがより好ましい。上記範囲内とすることにより、コーティング層の親水性と耐久性をさらに向上することができる。
次に、セクション(B)の構成モノマーとしては、ビニルピロリドン以外のエチレン性不飽和単量体を用いることができる。このようなビニルピロリドン以外のエチレン性不飽和単量体としては、例えば、α,β−不飽和カルボン酸及びその誘導体、α,β−不飽和ケトン、不飽和炭化水素化合物、シアノ基含有不飽和炭化水素化合物、ビニルエーテル化合物、ビニルエステル化合物、不飽和アルコール化合物、芳香族アルケニル化合物、並びに、炭素数7以上のN−ビニルアミン化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。ここで、芳香族アルケニル化合物とは、アルケニル基で置換された芳香環を有する化合物である。また、N−アルケニルアミン化合物とは、窒素原子上にアルケニル基を有する化合物である。なお、上記ブロック単位の構成モノマーを2種以上用いる場合は、これらの構造はブロック構造であってもランダム構造であってもよい。
α,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、けい皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、トランス−2−ヘキサン酸などが挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。
α,β−不飽和カルボン酸の誘導体としては、α,β−不飽和カルボン酸塩、α,β−不飽和カルボン酸無水物、α,β−不飽和カルボン酸クロリド、α,β−不飽和カルボン酸エステル、α,β−不飽和カルボン酸アミド、マレイミド化合物等が挙げられる。
α,β−不飽和カルボン酸塩としては、例えば、上記α,β−不飽和カルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸無水物としては、例えば、上記α,β−不飽和カルボン酸の無水物が挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸クロリドとしては、例えば、上記α,β−不飽和カルボン酸のカルボン酸クロライドが挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどが挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸アミドとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−(t−ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、クロトンアミドなどが挙げられる。マレイミド化合物としては、例えば、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどが挙げられる。
α,β−不飽和ケトンとしては、例えば、イソプロピリデンアセトン、ジイソプロピリデンアセトン、2−シクロヘキセン−1−オン、2−シクロペンテン−1−オン、3−デセン−2−オン、3−メチル−3−ブテン−2−オン、メチルビニルケトン、3−ノネン−2−オン、3−オクテン−2−オンなどが挙げられる。
不飽和炭化水素化合物としては、例えば、エチレン、プロペン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン及び1−オクテンなどのアルケン、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−シクロヘキサジエン、1,3−シクロヘプタジエン、1,3−シクロオクタジエン、2,5−ジメチル−2,4−ヘキサジエン及びクロロプレンなどの共役ジエンが挙げられる。
シアノ基含有不飽和炭化水素化合物としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−シアノエチルアクリロニトリルなどが挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、例えば、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル2−クロロエチルエーテル、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、2,3−ジヒドロフラン、1,4−ジオキセン、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、イソプロペニルメチルエーテルなどが挙げられる。
ビニルエステル化合物としては、例えば、酢酸ビニル、酪酸ビニル、酢酸イソプロペニル、カプリン酸ビニル、安息香酸ビニルなどが挙げられる。
不飽和アルコールとしては、例えば、アリルアルコール、けい皮アルコールなどが挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−ブチルスチレン、4−フェニルスチレン、4−フルオロスチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、4−クロロスチレン、4−ブロモスチレン、4−ヨードスチレン、4−ヒドロキシスチレン、4−アミノスチレン、4−カルボキシスチレン、4−アセトキシスチレン、4−シアノメチルスチレン、4−クロロメチルスチレン、4−メトキシスチレン、4−ニトロスチレン、4−スチレンスルホン酸ナトリウム、4−スチレンスルホン酸クロリド、4−ビニルフェニルボラン酸、α−メチルスチレン、トランス−β−メチルスチレン、2−メチル−1−フェニルプロペン、1−フェニル−1−シクロヘキセン、β−ブロモスチレン、β−スチレンスルホン酸ナトリウム、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−イソプロペニルナフタレン、1−ビニルイミダゾールなどの芳香族ビニル化合物が挙げられる。
炭素数7以上のN−ビニルアミン化合物としては、例えば、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルカルバゾールなどが挙げられる。
これらのうち、コーティング層の親水性と耐久性をより向上できることから、α,β−不飽和カルボン酸及びその誘導体、シアノ基含有不飽和炭化水素化合物、並びに、ビニルエステル化合物が好ましい。また、さらに優れた親水性と耐久性が得られることから、α,β−不飽和カルボン酸アミド及びビニルエステル化合物が好ましく、アクリルアミド及び酢酸ビニルがより好ましい。
上記セクション(B)は、構成モノマーとしてビニルピロリドン以外のエチレン性不飽和単量体を60重量%以上含有することが好ましく、80重量%以上含有することがより好ましく、90重量%以上含有することがさらに好ましく、100重量%含有することが最も好ましい。上記範囲内とすることにより、コーティング層の親水性と耐久性をさらに向上することができる。
上記セクション(B)は、数平均分子量が500以上であることが好ましく、1,000以上であることがより好ましい。また、1,000,000以下であることが好ましく、300,000以下であることがより好ましく、100,000以下であることがさらに好ましく、50,000以下であることが最も好ましい。上記範囲内とすることにより、コーティング層の親水性と耐久性をさらに向上することができる。
上記共重合体における上記セクション(B)の含有量は、3重量%以上であることが好ましく、5重量%以上であることがより好ましい。また、70重量%以下であることが好ましく、50重量%以下であることがより好ましい。上記範囲内とすることにより、コーティング層の親水性と耐久性をさらに向上することができる。
上記セクション(B)には、ビニルピロリドンが含まれていてもよいが、5分子以上連続した部分は含まないものとする。
本発明で用いる共重合体は、上記セクション(A)と上記セクション(B)をそれぞれ少なくとも1つ含むものとする。すなわち、セクション(A)とセクション(B)が一つずつ直鎖状に結合したA−B構造のほか、A−B−A構造又はB−A−B構造、あるいはセクション(A)又は上記セクション(B)をさらに有する構造をとることもできる。
また、本発明に用いる共重合体は、本発明の目的に反しない範囲であれば、上記セクション(A)及び上記セクション(B)以外の構造単位を含有していてもよい。
本発明に用いる共重合体は、末端にジチオカルバメート基またはキサンタート基を有することが好ましい。
ジチオカルバメート基としては、例えば、N,N−ジメチルジチオカルバメート基、N,N−ジエチルジチオカルバメート基、N−メチル−N−フェニルジチオカルバメート基、N,N−ジフェニルジチオカルバメート基、N−メチル−N−(4−ピリジル)ジチオカルバメート基、N,N−ジ(4−ピリジル)ジチオカルバメート基などが挙げられる。また、キサンタート基としては、例えば、メチルキサンタート基、エチルキサンタート基、プロピルキサンタート基、フェニルキサンタート基などが挙げられる。これらのうち、末端にジチオカルバメート基を有する共重合体であることが好ましい。
本発明に用いる共重合体は、線状共重合体であることが好ましい。
本発明に用いる共重合体は、数平均分子量が1,000以上であることが好ましく、2,000以上であることがより好ましい。また、2,000,000以下であることが好ましく、600,000以下であることがより好ましく、300,000以下であることがさらに好ましく、150,000以下であることが最も好ましい。上記範囲内とすることにより、コーティング層の親水性と耐久性をさらに向上することができる。
本発明に用いる共重合体の製造方法は、リビングラジカル重合法により製造することができ、具体的には原子移動ラジカル重合法(ATRP法)、可逆的付加開裂連鎖移動重合法(RAFT法)及びニトロキシドを介した重合法(NMP法)などの方法が好適に用いられ、可逆的付加開裂連鎖移動重合法(RAFT重合法)が特に好ましい。
可逆的付加開裂連鎖移動重合法(RAFT重合法)では、例えば、可逆的付加開裂連鎖移動剤(RAFT剤)とラジカル重合開始剤の存在下、上記セクション(A)の構成モノマーの重合反応を行い、続いて、上記セクション(B)の構成モノマーの重合反応を行う。また、上記セクション(B)の構成モノマーの重合反応を行い、続いて、上記セクション(A)の構成モノマーの重合反応を行うこともできる。
RAFT剤としては、例えば、ジチオカルバミン酸エステルやキサントゲン酸エステルが挙げられる。
ジチオカルバミン酸エステルとしては、例えば、シアノメチル−メチル(フェニル)カルバモジチオアート、シアノメチル−ジフェニルカルバモジチオアート、1−スクシンイミジル−4−シアノ−[N−メチル−N−(4−ピリジル)カルバモチオイルチオ]ペンタノアート、2−シアノプロパン−2−イル−N−メチル−N−(ピリジン−4−イル)カルバモジチオアート、シアノメチル−メチル−(4−ピリジル)カルバモジチオアート、メチル−2−プロピオネート−メチル−(4−ピリジル)カルバモジチオアート、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−(4−ピリジル)チウラムジスルフィドなどが挙げられる。
キサントゲン酸エステルとしては、例えば、キサントゲン酸−O−エチル−S−ベンジル、キサントゲン酸−O−エチル−S−シアノメチル、キサントゲン酸−O−エチル−S−(2−シアノプロプ−2−イル)などが挙げられる。
また、ラジカル重合開始剤としては、従来公知の化合物が使用でき、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ペルオキシ酢酸t−ブチル、ペルオキシ安息香酸t−ブチル、ペルオキシオクタン酸t−ブチル、ペルオキシネオデカン酸t−ブチル、ペルオキシイソ酪酸t−ブチル、過酸化ラウロイル、ペルオキシピバリン酸t−アミル、ペルオキシピバリン酸t−ブチル、過酸化ジクミル、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウムなどの過酸化水素類、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブテノニトリル)、4,4’−アゾビス(4−ペンタン酸)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(t−ブチルアゾ)−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(1,1)−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、二塩化2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、二塩化2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミド)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]及び2,2’−アゾビス(イソブチリルアミド)二水和物などのアゾ化合物、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸アンモニウムなど)と還元剤(例えば、メタ亜硫酸水素ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウムなど)との組み合わせ、有機過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル及びクメンハイドロパーオキサイドなど)と3級アミン(例えば、ジメチルアニリン及びアニリンなど)との組み合わせ、有機過酸化物(例えば、過酸化ベンゾイル及びクメンハイドロパーオキサイドなど)と遷移金属化合物(例えば、コバルトナフテートなど)との組み合わせなどのレドックス系開始剤が挙げられる。
なお、本発明の共重合体の末端にジチオカルバメート基やキサンタート基を導入する方法は特に限定されないが、例えば上記のようにジチオカルバミン酸エステルやキサントゲン酸エステルを用いたRAFT重合法を行うことにより得ることができる。
上記リビングラジカル重合反応は、溶液重合法、エマルジョン重合法、バルク重合法、懸濁重合法等のいずれの方法でも行うことができる。また、単量体の供給方法としては、バッチ法、半バッチ法、連続法、逐次供給法等のいずれも採用可能である。
重合反応溶媒は、使用する単量体の種類に応じて適宜選択することができる。例えば、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール及び2−ブタノールなどのアルコール、アセトニトリルなどのニトリル化合物、トルエン、キシレン及び石油ナフサなどの芳香族炭化水素、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン及びアセトンなどのケトン系溶媒、酢酸ブチル及び酢酸ヘキシルなどのエステル系溶媒、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン及びジオキサンなどのエーテル系溶媒、プロピレングリコールモノメチルエーテル酢酸エステルなどのグリコールエーテルエステルが挙げられる。
上記リビングラジカル重合を行う際の重合温度(液温)は、−20℃〜200℃が好ましく、40℃〜160℃がより好ましい。
反応溶液からの生成物の単離は、公知の方法で行うことができる。例えば、反応溶媒や未反応モノマーを除去し、不溶性の溶媒を用いて析出させることにより単離することができる。また、生成物の単離が不要である場合は、反応溶液をそのまま使用することも可能である。
なお、リビングラジカル重合法で得られた共重合体には、後処理としての化学反応を行って、官能基の変換等を行うことができ、本発明のコーティング剤に用いる共重合体は、そのような後処理が行われた共重合体も含むものとする。リビングラジカル重合法で得られた共重合体の後処理の例としては、酢酸ビニルなどに由来するエステル基を加水分解して水酸基に変換する反応、アクリル酸などに由来するカルボキシ基を、ポリエチレングリコールなどの水酸基含有化合物と脱水縮合してエステル化する反応、アクリル酸などに由来するカルボキシ基を、臭化アリルや臭化アルキルと反応させてエステル化する反応、アクリル酸2−ヒドロキシエチルなどに由来する水酸基を、臭化アリルや臭化アルキルと反応させてエーテル化する反応等が挙げられる。これらのうち、コーティング層の親水性と耐久性がさらに優れることから、酢酸ビニルなどに由来するエステル基を加水分解して水酸基に変換する反応がより好ましい。
上記共重合体の含有量は、コーティング剤100重量部に対して、0.1重量部以上であることが好ましく、0.5重量部以上であることがより好ましく、1重量部以上であることがさらに好ましい。また、50重量部以下であることが好ましく、25重量部以下であることがより好ましく、10重量部以下であることがさらに好ましい。上記範囲内とすることにより、コーティング層の親水性と耐久性をさらに向上することができる。
本発明のコーティング剤は、溶媒を含有することができる。このような溶媒としては。前記重合反応溶媒などを用いることができる。これらのうち、水、アルコールなどが好ましい。
本発明のコーティング剤には、耐久性を向上させる目的で架橋剤を用いることが好ましい。架橋剤としては、エピクロロヒドリン、グリオキザール類、尿素系化合物、メラミン系化合物、グリシジル化合物、イソシアネート化合物、ホルムアルデヒドなどアルデヒド類、硼酸、硼砂などの硼酸系化合物、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、硫酸亜鉛などの無機金属塩などが挙げられる。このうち、反応性、皮膜強度、耐水性付与の点でイソシアネート化合物が好ましい。中でも、加熱によって解離するブロック化剤でブロックされたブロック化イソシアネートが好ましい。
これらは通常、水に溶解もしくは分散した状態で安定に存在し、基材の表面に塗布したのち、熱をかけると、ブロック化剤が解離し、そこで上記共重合体と架橋反応して、親水性、耐水性のある皮膜が形成される。
架橋剤の添加量は、共重合体の固形分に対し0.1〜50重量%であり、好ましくは1.0〜30重量%である。上記範囲内とすることにより、親水性と耐久性がより優れたものとなる。
本発明のコーティング剤は、上記成分以外に、界面活性剤、防カビ剤、防腐剤、防錆剤、レベリング剤、コロイダルシリカ、アルコキシシラン、充填剤、着色剤、消泡剤、抗菌剤、紫外線吸収剤等を含有してもよい。
界面活性剤としては、ノニオン系、カチオン系及びアニオン系があるが、親水性の持続性及び塗布作業性の観点からアニオン系が好ましい。アニオン系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸−ホルマリン縮合物のナトリウム塩等を使用することができる。アニオン系界面活性剤の添加量は1〜10重量部である。上記範囲内とすることにより、耐久性がより優れたものとなる。
防カビ剤及び防腐剤としては、第4級アンモニウム塩、含窒素硫黄化合物、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(BIT)、有機ヨウ素系化合物、ベンズイミダゾール系化合物等を使用することができる。添加量は0.15〜1.5重量部が好ましい。
本発明のコーティング剤が適用される基材は特に限定されず、樹脂、金属、ガラスなどが使用できる。樹脂としては、例えば、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)、ポリアクリロニトリル樹脂、酢酸セルロース樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル樹脂などが挙げられる。金属としては、アルミニウム、銅、マンガン、ケイ素、マグネシウム、亜鉛、ニッケルおよびこれらを含有する合金などが挙げられる。
本発明のコーティング剤による表面処理方法は、特に限定されないが、例えば下記方法
が例示できる。
基材が樹脂である場合、例えば、リバースロールコート法、ダイコーター法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、バーコーター法、アプリケーター法等を用いて基材上にコーティング剤を塗布し、熱処理する方法が挙げられる。
また、上記樹脂が繊維や膜である場合は、パディング法によりコーティング剤を樹脂に付与し、熱処理する方法が挙げられる。
基材が金属である場合、下地処理として、脱脂処理、耐食性皮膜の形成などを行うことができる。脱脂処理は、溶剤もしくはアルカリ溶液等を用いることができる。使用できる溶剤は、例えば、トリクロルエチレン、パークロルエチレン、ガソリン、ノルマルヘキサンなどが挙げられる。また、使用できるアルカリ溶液は、例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどの溶液が挙げられる。
また、耐食性皮膜の形成は、クロメート処理、ジルコニウム処理、プライマー処理などにより行うことができる。クロメート処理は、無水クロム酸と硫酸、硝酸、フッ酸およびリン酸などの添加剤を含有する処理液を用いることができる。ジルコニウム処理は、ポリアクリル酸とジルコンフッ化物などを含有する処理液を用いることができる。プライマー処理は、レゾール型水溶性フェノール樹脂(フェノールとホルマリンとのアルカリ触媒下での初期重合物)などのフェノール系プライマーを用いることができる。
上記の下地処理を実施した金属に、本発明のコーティング剤を塗布して熱処理することにより、表面処理を行うことができる。塗布方法としては、従来公知の方法を使用でき、例えば、ロールコート法、浸漬法、スプレー法、刷毛塗り法などが使用できる。
基材がガラスである場合、本発明のコーティング剤を塗布して熱処理することにより、表面処理を行うことができる。塗布方法としては、従来公知の方法を使用でき、例えば、フローコート法、スピンコート法、ディップコート法、リバースコート法、フレキソ印刷法、ロールコート法、カーテンコート法、ノズルコート法、スプレーコ−ト法、スクリーン印刷法などが使用できる。
本発明のコーティング剤は、形成される皮膜の膜厚が0.05〜5g/mとなるように塗布することが好ましい。上記範囲内とすることにより、親水性と耐久性がさらに優れるコーティング層を得ることができる。
本発明のコーティング剤は、基材として膜状または繊維状の樹脂を用いる場合、基材に対して、固形分換算で0.1〜10重量%となるように用いることが好ましい。上記範囲内とすることにより、親水性と耐久性がさらに優れるコーティング層を得ることができる。
つぎに、本発明の実施例について比較例とあわせて説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」「%」等とあるときは、特にことわらない限りは重量基準とする。
(共重合体の合成)
[合成例1]
窒素導入管、温度計、還流管を取り付けた反応容器に、50%アクリルアミド水溶液320重量部を仕込んだ。続いて、2−シアノプロパン−2−イル−N−メチル−N−(ピリジン−4−イル)カルバモジチオアート2重量部、アゾビスイソブチロニトリル2重量部、水44重量部、アセトニトリル50重量部、p−トルエンスルホン酸一水和物1.7重量部からなる混合物を仕込み、窒素吹き込みによる脱酸素を行い、70℃で16時間反応させることにより、ポリ(アクリルアミド)を得た(数平均分子量19,000、アクリルアミドの転化率99%)。
得られた反応溶液に、N,N−ジメチルアミノピリジン1.5重量部、アゾビスイソブチロニトリル1.5重量部及びN−ビニルピロリドン650重量部を投入し、窒素吹き込みによる脱酸素を行い、70℃で16時間反応させ、減圧下で溶媒を除去することにより、構成モノマーとしてビニルピロリドンを含有するセクション(A)と、構成モノマーとしてアクリルアミドを含有するセクション(B)とを有し、末端にN−メチル−N−(4−ピリジル)ジチオカルバメート基を有する共重合体1を得た(数平均分子量99,000、N−ビニルピロリドン転化率98%)。
[合成例2]
窒素導入管、温度計、還流管を取り付けた反応容器に、2−シアノプロパン−2−イル−N−メチル−N−(ピリジン−4−イル)カルバモジチオアート2重量部、アゾビスイソブチロニトリル1重量部、p−トルエンスルホン酸一水和物1.7重量部、アクリロニトリル160重量部及びアセトニトリル700重量部を仕込み、窒素吹き込みによる脱酸素を行い、70℃で16時間反応させることにより、ポリ(アクリロニトリル)を得た(数平均分子量20,000、アクリロニトリルの転化率99%)。
得られた反応溶液に、N,N−ジメチルアミノピリジン1.5重量部、アゾビスイソブチロニトリル1.5重量部及びN−ビニルピロリドン650重量部を投入し、窒素吹き込みによる脱酸素を行い、70℃で16時間反応させ、減圧下で溶媒を除去することにより、構成モノマーとしてビニルピロリドンを含有するセクション(A)と、構成モノマーとしてアクリロニトリルを含有するセクション(B)とを有し、末端にN−メチル−N−(4−ピリジル)ジチオカルバメート基を有する共重合体2を得た(数平均分子量99,000、N−ビニルピロリドン転化率96%)。
[合成例3〜9]
アクリロニトリル160重量部を表1に記載の原料に変更した以外は合成例2と同様の操作を行い、表1に記載の共重合体3〜9をそれぞれ得た。
[合成例10]
2−シアノプロパン−2−イル−N−メチル−N−(ピリジン−4−イル)カルバモジチオアートを10重量部とした以外は合成例1と同様の操作を行い、表1に記載の共重合体10を得た。
[合成例11]
N−ビニルピロリドンの使用量を60重量部とした以外は合成例10と同様の操作を行い、表1に記載の共重合体11を得た。
[合成例12]
窒素導入管、温度計、還流管を取り付けた反応容器に、シアノメチル−N−メチル−N−フェニルジチオカルバマート1.5重量部、アゾビスイソブチロニトリル2重量部、N−ビニルピロリドン650重量部及びアセトニトリル700重量部を仕込み、窒素吹き込みによる脱酸素を行い、70℃で16時間反応させることにより、ポリ(N−ビニルピロリドン)を得た(数平均分子量78,000、N−ビニルピロリドン転化率96%)。
得られた反応溶液に、アゾビスイソブチロニトリル1.5重量部及び酢酸ビニル160重量部を投入し、窒素吹き込みによる脱酸素を行い、70℃で16時間反応させ、減圧下で溶媒と残存モノマーを除去することにより、構成モノマーとしてビニルピロリドンを含有するセクション(A)と、構成モノマーとして酢酸ビニルを含有するセクション(B)とを有し、末端にN−メチル−N−フェニルジチオカルバメート基を有する共重合体12を得た(数平均分子量96,000)。
[合成例13]
窒素導入管、温度計、還流管を取り付けた反応容器に、2−シアノプロパン−2−イル−N−メチル−N−(ピリジン−4−イル)カルバモジチオアート2重量部、アゾビスイソブチロニトリル1重量部、p−トルエンスルホン酸一水和物1.7重量部、アクリロニトリル80重量部及びアセトニトリル700重量部を仕込み、窒素吹き込みによる脱酸素を行い、70℃で16時間反応させた後、2−エチルヘキシルメタクリレート80重量部及びアゾビスイソブチロニトリル1重量部を投入し、窒素吹き込みによる脱酸素を行い、70℃で16時間反応させることにより、アクリロニトリルと2−エチルヘキシルメタクリレートのブロック共重合体を得た(数平均分子量19,000)。
得られた反応溶液に、N,N−ジメチルアミノピリジン1.5重量部、アゾビスイソブチロニトリル1.5重量部及びN−ビニルピロリドン650重量部を投入し、窒素吹き込みによる脱酸素を行い、70℃で16時間反応させ、減圧下で溶媒を除去することにより、構成モノマーとしてビニルピロリドンを含有するセクション(A)と、構成モノマーとしてアクリロニトリル及び2−エチルヘキシルメタクリレートを含有するセクション(B)とを有し、末端にN−メチル−N−(4−ピリジル)ジチオカルバメート基を有する共重合体13を得た(数平均分子量99,000)。
[合成例14]
反応容器に、合成例12で得られたブロック共重合体12を10重量部、メタノール40重量部、水酸化ナトリウム1重量部を仕込み、70℃で4時間反応させ、減圧下で溶媒を除去することにより、後処理によって、構成モノマーとしてビニルピロリドンを含有するセクション(A)と、構成モノマーとしてビニルアルコールを含有するセクション(B)とを有する共重合体14を得た(数平均分子量87,000)。
[合成例15]
窒素導入管、温度計、還流管を取り付けた反応容器に、アゾビスイソブチロニトリル5重量部、N−ビニルピロリドン650重量部、50%アクリルアミド320重量部及び水1200重量部を仕込み、窒素吹き込みによる脱酸素を行い、70℃で16時間反応させ、減圧下で溶媒を除去することにより、ビニルピロリドンとアクリルアミドとのランダム共重合体15を得た(数平均分子量130,000)。
[合成例16]
窒素導入管、温度計、還流管を取り付けた反応容器に、50%アクリルアミド水溶液1300重量部を仕込んだ。続いて、2−シアノプロパン−2−イル−N−メチル−N−(ピリジン−4−イル)カルバモジチオアート2重量部、アゾビスイソブチロニトリル2重量部、水44重量部、アセトニトリル50重量部、p−トルエンスルホン酸一水和物1.7重量部からなる混合物を仕込み、窒素吹き込みによる脱酸素を行い、70℃で16時間反応させることにより、ポリ(アクリルアミド)を得た(数平均分子量76,000、アクリルアミドの転化率97%)。
得られた反応溶液に、N,N−ジメチルアミノピリジン1.5重量部、アゾビスイソブチロニトリル1.5重量部、アセトニトリル100重量部、及び酢酸ビニル160重量部を投入し、窒素吹き込みによる脱酸素を行い、70℃で16時間反応させ、減圧下で溶媒を除去することにより、酢酸ビニルとアクリルアミドとのブロック共重合体16を得た(数平均分子量90,000)。
Figure 2015168764
実施例に用いた架橋剤は以下の通りである。
(架橋剤1)
ブロック化イソシアネート(商品名:エラストロンBN−69、第一工業製薬社製)
(架橋剤2)
メチル化メラミン(商品名:MX−035、三和ケミカル社製)
(架橋剤3)
メラミン系化合物(商品名:ベッカミンM−3、DIC社製)
(1)アルミニウム板を用いた評価
表2に記載の重合体(上記共重合体1〜16またはK値30のポリビニルピロリドン(PVP))10重量%、架橋剤3重量%を含有する水溶液を調整し、コーティング剤を得た。
アルミニウム板を脱脂後、ジルコニウム系表面処理剤(商品名:アロヂン1690/1691、日本ペイント社製)をバーコート法により塗布し、150℃で15秒間乾燥することにより、アルミニウム板上にジルコニウムを5mg/m含む耐食性皮膜を形成した。ここに、上記コーティング剤を、乾燥膜厚が0.2g/mとなるようにバーコート法により塗布し、240℃で30秒間乾燥することにより、試験片を得た。得られた試験片を用いて、下記の方法で、耐久性、耐食性を評価した。結果を表2に示す。
(a)耐久性
各試験片を流水(流水量5リットル/時間、水道水)に17時間さらし、次に80℃で7時間乾燥するサイクルを5回繰り返した後で、乾燥した親水性皮膜について、水滴の接触角測定を行った。水滴の接触角は、固液界面解析装置(商品名:Drop Master500、協和界面化学社製)により測定した。親水性の評価基準は以下の通りである。
◎:接触角20°未満
○:接触角20°以上30°未満
△:接触角30°以上40°未満
×:接触角40°以上
(b)耐食性
各試験片に対してJIS−Z−2371に基づく塩水噴霧試験を500時間行い、平面部における白錆発生の面積率で耐食性を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:白錆発生せず
○:白錆発生の面積率0%を越え10%未満
△:白錆発生の面積率10%以上50%未満
×:白錆発生の面積率50%以上
Figure 2015168764
(2)PTFE膜を用いた評価
表3に記載の重合体(上記共重合体1〜16またはK値30のポリビニルピロリドン(PVP))10重量部、架橋剤4重量部を水で希釈溶解することにより固形分濃度2重量%のコーティング剤を得た。基材として、微孔性PTFE膜(孔径:0.2μm、厚さ200μmのポリエステル不織布との積層体)を用い、前処理として、エタノールに含浸した後、これをイオン交換水で置換した。続いて、上記コーティング剤でパディング処理し、絞り率150重量%となるようにマングルで絞り、さらに120℃で5分間加熱処理することにより、試験片を作製した。得られた試験片を用いて、下記の方法で親水性および耐久性を評価した。結果を表3に示す。
(a)親水性
得られた試験片に、10cmの高さから、スポイトを用いて水を1滴(約0.05mL)垂らし、以下の基準で評価した。
◎:水滴が1分以内にPTFE多孔質膜に浸透する
○:水滴が1分を超え、5分以内にPTFE多孔質膜に浸透する
△:水滴が5分以内にPTFE多孔質膜に浸透しないが、PTFE多孔質膜がわずかに濡れる
×:水滴が全くPTFE多孔質膜に浸透せず、PTFE多孔質膜が濡れない
(b)耐久性
得られた試験片を、0.6重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液(25℃)に10時間浸漬した。続いて、イオン交換水で洗浄し、25℃で10時間乾燥させることにより評価サンプルを作製した。得られた評価サンプルについて、上記親水性と同様の方法で評価した。
Figure 2015168764
(3)ガラスを用いた評価
表4に記載の重合体(上記共重合体1〜16またはK値30のポリビニルピロリドン(PVP))10重量部、架橋剤3重量部、ポリビニルアセタール樹脂溶液(商品名:エスレックKX−5、積水化学工業社製)40重量部、コロイダルシリカ(商品名:スノーテックスOS、日産化学工業社製)10重量部、テトラエトキシシラン3重量部、エタノール30重量部、水10重量部、p−トルエンスルホン酸0.01重量部を混合することによりコーティング剤を得た。このコーティング剤を、予め洗浄したガラス板にフローコート法により塗布し、20℃で10分間乾燥後、120℃で10分間加熱処理することにより、試験片を作成した。得られた試験片を用いて、下記の方法で、耐久性を評価した。結果を表4に示す。
(a)耐久性
各試験片を流水(流水量5リットル/時間、水道水)に1時間さらし、次に80℃で7時間乾燥するサイクルを5回繰り返した後で、乾燥した親水性皮膜について、水滴の接触角測定を行った。水滴の接触角は、固液界面解析装置(商品名:Drop Master500、協和界面化学社製)により測定した。評価基準は以下の通りである。
◎:接触角10°未満
○:接触角10°以上20°未満
△:接触角20°以上30°未満
×:接触角30°以上
Figure 2015168764
本発明のコーティング剤によれば、親水性と耐久性に優れるコーティング層を形成することができるため、樹脂、ガラスおよび金属などの各種基材に対して、長期にわたって高い親水性を付与することができる。

Claims (11)

  1. 化学構造の異なる2以上のセクションを有する共重合体を含有してなるコーティング剤であって、
    前記共重合体は、ビニルピロリドンを含有する単量体(a)を重合してなるセクション(A)と、ビニルピロリドン以外のエチレン性不飽和単量体を含有する単量体(b)を重合してなるセクション(B)とを少なくとも一つずつ有し、
    前記セクション(A)を形成する工程とセクション(B)を形成する工程とを有するリビングラジカル重合法により形成された
    ことを特徴とするコーティング剤。
  2. 前記ビニルピロリドン以外のエチレン性不飽和単量体(b)が、α,β−不飽和カルボン酸及びその誘導体、α,β−不飽和ケトン、不飽和炭化水素化合物、シアノ基含有不飽和炭化水素化合物、ビニルエーテル化合物、ビニルエステル化合物、不飽和アルコール化合物、芳香族アルケニル化合物、並びに、炭素数7以上のN−ビニルアミン化合物から選ばれた1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1に記載のコーティング剤。
  3. 前記セクション(A)がビニルピロリドンを50重量%以上含有する単量体(a)を重合して得られたことを特徴とする、請求項1又は2に記載のコーティング剤。
  4. 前記セクション(B)が前記ビニルピロリドン以外のエチレン性不飽和単量体を60重量%以上含有する単量体(b)を重合して得られたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーティング剤。
  5. 前記リビングラジカル重合法が、可逆的付加開裂連鎖移動重合法であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコーティング剤。
  6. 前記可逆的付加開裂連鎖移動重合法に、ジチオカルバミン酸エステル及びキサントゲン酸エステルから選ばれた少なくとも1種の連鎖移動剤が用いられたことを特徴とする、請求項5に記載のコーティング剤。
  7. 前記セクション(A)が、ポリビニルピロリドンからなるブロック単位であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のコーティング剤。
  8. 前記ブロック単位が、ビニルピロリドン5分子以上が単独重合してなることを特徴とする、請求項7に記載のコーティング剤。
  9. 前記共重合体中、前記セクション(A)の割合が30〜97重量%の範囲内であり、前記セクション(B)の割合が3〜70重量%の範囲内であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のコーティング剤。
  10. 前記共重合体が、末端にジチオカルバメート基又はキサンタート基を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のコーティング剤。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載のコーティング剤を塗布してなる物品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2020180215A (ja) * 2019-04-25 2020-11-05 大塚化学株式会社 表面改質剤組成物

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