WO2006112020A1

WO2006112020A1 - 除電装置

Info

Publication number: WO2006112020A1
Application number: PCT/JP2005/007299
Authority: WO
Inventors: Tsukasa Igarashi
Original assignee: Koganei Corporation
Priority date: 2005-04-15
Filing date: 2005-04-15
Publication date: 2006-10-26

Abstract

　装置本体１２には外部から空気が供給される空気流入口１７が形成されるとともに放電針２２が装着されており、装置本体１２には放電針２２を囲むように外側電極としてのキャップ２３が設けられている。キャップ２３に形成された貫通孔２４にはセラミックス材料からなるノズル２５が取り付けられるようになっている。放電針２２と外側電極とには電源ユニット３２から電力が供給される。ノズル２５は空気流入口１７に連通する通路２６が形成された案内管部２７とその先端部に設けられた先端壁部２８とを有し、先端壁部２８にはコロナ放電によりイオン化された空気を被処理物に吹き付ける噴出口２９が形成されている。

Description

明細書

除電装置

技術分野

[0001] 本発明は静電気が帯電した電子部品などを被処理物としてこれの静電気を除去するための除電装置に関する。

背景技術

[0002] 電子部品の製造や組立を行う場合に、電子部品や電子部品の製造組立を行う治具などに静電気が帯電していると、 ESD(electrostatic discharge)による半導体ディバイスなどの電子部品の回路破壊が発生したり、電子部品ゃジグなどにほこり等の異物が付着して製品の歩留まりが低下したり、さらには搬送過程の電子部品が相互に静電気により吸着されて円滑に電子部品を搬送することができなくなることがある。そこで、ィオナイザ一ないしイオン発生器とも言われる除電装置を用いて静電気が帯電した部位や部品を被処理物としてこれにイオンィ匕された空気を吹き付けるようにして、る。電気エネルギーにより空気をイオンィ匕するには、針状の放電電極に高電圧を印カロして放電電極の回りに不平等電界を発生させることにより不平等電界の部分でコロナ放電を発生させ、コロナ放電によりその周囲の空気をイオンィ匕している。放電電極にプラスの高電圧を印加すると電極近傍の空気の電子を吸収して空気はプラスの電荷を持つイオンとなり、マイナスの高電圧を印加すると電子を放出するために空気はマイナスの電荷を持つイオンとなる。

[0003] 放電電極に交流高電圧を印加するとプラスマイナスの空気イオンが基本的に等量発生し、このイオンィ匕した空気を帯電した被処理物に吹き付けると、被処理物は同極性のイオンとは反発し、反対極性のイオンを吸収する。反対極性のイオンが被処理物に接触すると徐々に帯電電荷が減少して同量のプラスマイナスイオンが接触するようになり、被処理物は低ヽ電位で平衡状態となり中和される。

[0004] このような除電装置には、ファンタイプとノズルタイプがある。ファンタイプの除電装置は、ファンとこのファンにより吹き出される空気を案内するダクトとを有する除電装置であり、ダクトの外側に設けられた導体とダクトの内側に設けられた放電針との間に高電圧を印加すると、ダクト内を流れる空気が放電針のコロナ放電によりイオンィ匕され、イオン化された空気を被処理物に向けて吹き付けられることにより被処理物の帯電を除去することができる (特許文献 1参照)。

[0005] 一方、ノズルタイプの除電装置は、コンプレッサなどの空気圧源から配管を介して供給される空気を案内する貫通孔が形成された導体と、導体の貫通孔の中心部に軸方向に組み込まれた放電針とを有する除電装置であり、導体に設けられた継手にノズルを取り付けることにより、貫通孔内でコロナ放電によりイオンィ匕された空気をノズルから噴出させて被処理物に直接吹き付けることにより被処理物の帯電を除去することができる。このタイプはブロータイプとも言われ、放電針の外面と導体の貫通孔の内周面とを空気を介して相互に対向させるようにしたり、特許文献 2に記載のように放電調整用の絶縁材料を導体の貫通孔の内周面に取り付けるようにしたものがある。特許文献 1：米国特許第 6137670号公報

特許文献 2：特開 2003 - 243199号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0006] ファンタイプの除電装置は、ファンが被処理物の周囲の空気を吸い込んでダクト内に供給するタイプであるので、周囲の空気にゴミ等の異物が存在すると、その異物がファンにより吸い込まれて被処理物に吹き付けられることになる。これに対して、ノズルタイプの除電装置は、ノズル力離れた箇所に配置された空気圧源力の空気をノズルに対してフィルタを介して供給することができるので、ゴミ等を含まな、清浄な空気をイオンィ匕させて被処理物に吹き付けることができるという利点があり、クリーンルーム内における被処理物の静電気を中和するために好適である。

[0007] 特に、クリーンルーム内における被処理物の帯電を防止するには、できるだけゴミ等の異物を含まな!/、イオンィ匕空気を発生させる必要がある力従来のノズルタイプの除電装置においては、継手に取り付けられて被処理物にイオンィ匕空気を吹き付けるノズルは金属材料が使用されており、コロナ放電により空気がプラズマ化し、金属製のノズルがプラズマに曝露することにより、ノズルがスパッタ蒸発してゴミを形成し、異物となって被処理物に吹き付けられることになる。また、コロナ放電により窒素酸ィ匕物が生成されると、水分と窒素酸化物とが反応して硝酸溶液になり、金属製のノズルが腐食してノズルの耐久性を低下させることになる。このためノズルの交換頻度が高くなる。

[0008] 本発明の目的は、清浄なイオンィ匕空気を発生させることができる除電装置を提供することにめる。

[0009] 本発明の他の目的は、ノズルのスパッタ蒸発および腐食発生を防止して異物の発生を抑制し、さらに耐久性に優れた除電装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

[0010] 本発明の除電装置は、被処理物にイオン化空気を吹き付けて被処理物の静電気を除去する除電装置であって、空気流入口が形成されるとともに放電針が装着される装置本体と、前記空気流入口に連通する通路が形成され当該通路内に前記放電針が組み込まれる案内管部、および前記通路に連通する噴出口が形成され前記案内管部の先端に設けられた先端壁部を備え、セラミックス材料により形成されるノズルと、前記案内管部の外側に設けられる外側電極とを有することを特徴とする。

[0011] 本発明の除電装置は、前記ノズルをアルミナセラミックス、イットリアセラミックス、イツトリウム 'アルミニウム'ガーネット、またはジルコ-アセラミックスの何れかの耐プラズマ性の高いセラミックスにより形成することを特徴とする。

[0012] 本発明の除電装置は、前記放電針と前記外側電極とに電気的に接続される電源ユニットを有することを特徴とする。

[0013] 本発明の除電装置は、前記噴出口を複数個前記先端壁部に形成することを特徴とする。

発明の効果

[0014] 本発明によれば、放電針が装着される装置本体に放電針を囲むようにしてセラミツタス製のノズルを直接取り付け、ノズルにより絶縁してその外側に電極としての導体を設けるようにしたので、外側電極と放電針とに電圧を印加してコロナ放電により生成されるプラズマは導体に接触することなぐノズルの先端部に設けられた噴出口からィオンィ匕された空気が被処理物に向けて噴出されることになる。このように、噴出口から噴出されたイオンィ匕空気は導体に接触することが防止されるので、イオン化空気が導体に接触することに起因する異物の発生が防止されて、異物を含まない清浄なィォン化空気を被処理物に吹き付けることができる。

[0015] また、ノズルをセラミックス材料により形成することによって、ノズルがプラズマに曝露してもスパッタ蒸発によるノズル力の異物の発生および腐食の発生が防止され、ノズルの耐久性を向上させることができる。ノズルのセラミックス材料としては、アルミナセラミックス等の耐プラズマ性の材料が使用される。

図面の簡単な説明

[0016] [図 1]本発明の一実施の形態である除電装置を示す斜視図である。

[図 2]装置本体に取り付けられた状態におけるノズルとキャップを示す拡大断面図である。

[図 3]ノズルの先端面を示す正面図である。

[図 4]除電装置に空気を供給する空気回路図を示す概略図である。

[図 5]本発明の除電装置を用いてノズル力噴出されるイオンィ匕空気中の異物の量を測定した実験結果を、従来の除電装置と比較して示すデータである。

発明を実施するための最良の形態

[0017] 以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図 1に示すように、除電装置 10はケース 11に取り付けられる榭脂製の装置本体 12を有し、装置本体 12 には継手 13が取り付けられている。図 4に示すように、継手 13にはコンプレッサなどの空気供給源 14に接続される配管 15が接続されるようになっており、配管 15には空気を清浄ィ匕するためのフィルタ 16が設けられている。継手 13は図 2に示すように、装置本体 12に形成された空気流入口 17に連通しており、空気流入口 17にはフィルタ 16によりゴミ等が除去されて清浄化された空気が供給される。継手 13には配管 15を介して空気流入口 17に供給される空気の流量を調整するために可変絞り 18が図 1 に示すように設けられて、る。

[0018] 装置本体 12の端面には空気流入口 17が開口するノズル取付孔 21が形成され、装置本体 12にはノズル取付孔 21の中心に位置させて金属製の放電針 22が取り付けられて、る。ノズル取付孔 21には外側電極としての金属製のキャップ 23が取り付けられるようになっており、キャップ 23は先端に向けて外径が小さくなるようにテーパ形状となっている。キャップ 23の装置本体 12に対する取付は、キャップ 23をノズル取付孔 21に圧入するようにしても良ぐノズル取付孔 21に雌ねじを形成しこれにキャップ 2 3をねじ結合するようにしても良、。

[0019] キャップ 23の中心部に形成された貫通孔 24にはノズル 25が装着されており、ノズル 25は、図 2に示すように、空気流入口 17に連通する通路 26が形成された円筒形状の案内管部 27を有し、案内管部 27の先端には先端壁部 28が設けられている。ノズル 25はセラミックス材料により案内管部 27と先端壁部 28とが一体に形成されている。先端壁部 28の外周面はテーパ形状となっており、ノズル 25の先端壁部 28には、それぞれ通路 26に連通して通路 26内を流れてイオンィ匕された空気を外部に噴出する噴出口 29が複数形成されている。噴出口 29はノズル 25の径方向の先端面 28aに開口する噴出口と、テーパ面 28bに開口する 6つの噴出口との合計 7つ設けられている。テーパ面 28bに開口する 6つの噴出口 29は、図 3に示すように円周方向にピッチ角 Θ置きに設けられており、この角度 Θは 60度となっている。

[0020] 装置本体 12とキャップ 23との間には導通リング 31が挟み付けられるようになつており、導通リング 31と放電針 22はケーブルを介して電源ユニット 32に接続され、電源ュニット 32は図 1に示すケース 11の内部に組み込まれている。放電針 22とキャップ 23 は対をなして放電電極を構成しており、電源ユニット 32から数 kV以上の高周波電圧が放電電極に供給されるようになって!/、る。

[0021] 除電装置 10がクリーンルーム内に設けられた電子部品製造装置や電子部品等の量産品の組立ないし製造ラインにおいて使用される場合には、クリームルーム内の清浄化された空気をコンプレッサ 14により吸い込み、これをさらにマイクロフィルタなどのフィルタ 16により清浄化した後にノズル 25内に供給し、ノズル 25内でコロナ放電によりイオンィ匕された空気はノズル 25から被処理物に直接吹き付けられる。し力も、ノズル 25の先端部には複数の噴出口 29が設けられているので、被処理物の広い範囲にイオン化空気を吹き付けることができる。

[0022] このように、導体製の外側電極としてのキャップ 23に形成された貫通孔 24には、セラミックス製のノズル 25が直接組み込まれており、ノズル 25の中心軸と同心状に放電針 22が配置されて!、るので、ノズル 25は放電針 22と外側電極としてのキャップ 23との間に設けられて両電極間の電界強度を調整する誘電体として機能するとともに、通路 26内にお、て生成されたプラズマが外側電極などの導体に直接曝露することを防止することができる。したがって、放電針 22とキャップ 23との間に印加される電圧によりコロナ放電が発生し、コロナ放電により通路 26内を流れる空気がプラズマに変化し、ノズルがプラズマに曝露しても、ノズル 25はセラミックス材料により形成されているので、プラズマによるノズル 25からのスパッタ蒸発の発生が防止されることになり、ノズル 25から噴出されるイオンィ匕空気の中に異物が入り込むことを防止することができる。

[0023] し力も、ノズル 25がキャップ 23に直接組み込まれており、イオン化された空気はノズル 25に形成された噴出口 29から噴出して被処理物に吹き付けられることになるので、イオン化された空気は被処理物に吹き付けられるまで導体に接触することが防止される。また、コロナ放電によって窒素酸ィ匕物が生成され、窒素酸化物が水分と反応して硝酸が生成されてもノズル 25には腐食が発生することなぐノズル 25の耐久性を金属製ノズルに比して大幅に向上させることができる。

[0024] ノズル 25に用いるセラミックス材料としては、アルミナセラミック (A1 0 イットリアセラ

2 3

ミックス (Y 0 ),イットリウム 'アルミニウム 'ガーネット (YAG)、またはジルコ-アセラミツ

2 3

タス (ZrO )等のように耐プラズマ性を有するものが使用されて！、る。

2

[0025] 図 5は本発明の除電装置を用 V、てノズルから噴出されるイオンィ匕空気中の異物の量を測定した実験結果を、従来の除電装置と比較して示すデータである。本発明の除電装置にぉ、てはアルミナセラミックス製のノズル 25を使用し、比較例では特許文献 2に記載される継手の先端に金属製のノズルを取り付けて、それぞれにつ、てパ一ティクルカウンタ一によりノズル力噴出されるイオンィ匕空気などの発塵量を 2時間測定した。

[0026] 図 5に示すように、実験によれば、比較例の除電装置では粒径 0. 1 μ m以下のゴミが 53個発生し、粒径 0. 1〜0. 2 /z mのゴミが 37個発生した力本発明の除電装置ではそれぞれ 3個および 0であった。このように、本発明のようにノズル 25をセラミックス製とすることにより、金属製のノズルに比してノズルからの異物の発生を飛躍的に低減することが可能となった。特に、粒径が 0. 3 m以下の微細な異物ないしゴミの発生を確実に防止することができ、被処理物に清浄な空気を吹き付けて被処理物に帯電された静電気を中和することができることが判明した。

[0027] 本発明は前記実施の形態に限定されるものではなぐその要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。たとえば、ノズル 25の先端壁部 28には放射状にイオンィ匕空気を吹き付けるように複数の噴出口 29が形成されている力少なくとも 1つの噴出口 29を設けるようにすれば良、。

産業上の利用分野

[0028] 本発明の除電装置は、電子部品の製造や組立を行う量産品の製造工程において電子部品やその製造装置などに帯電した静電気を除去するために使用される。

Claims

請求の範囲

[1] 被処理物にイオンィ匕空気を吹き付けて被処理物の静電気を除去する除電装置であって、

空気流入口が形成されるとともに放電針が装着される装置本体と、

前記空気流入口に連通する通路が形成され当該通路内に前記放電針が組み込まれる案内管部、および前記通路に連通する噴出口が形成され前記案内管部の先端に設けられた先端壁部を備え、セラミックス材料により形成されるノズルと、前記案内管部の外側に設けられる外側電極とを有することを特徴とする除電装置。

[2] 請求項 1記載の除電装置にお!、て、前記ノズルをアルミナセラミックス、イットリアセラミックス、イットリウム 'アルミニウム 'ガーネット、またはジルコ-アセラミックスの何れかの耐プラズマ性のセラミックスにより形成することを特徴とする除電装置。

[3] 請求項 1記載の除電装置において、前記放電針と前記外側電極とに電気的に接続される電源ユニットを有することを特徴とする除電装置。

[4] 請求項 1記載の除電装置において、前記噴出口を複数個前記先端壁部に形成することを特徴とする除電装置。