WO2006109580A1 - 既設建物の耐震補強構造及び耐震補強工法 - Google Patents

既設建物の耐震補強構造及び耐震補強工法 Download PDF

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Hiroshi Kuramoto
Takashi Taguchi
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National University Corporation Toyohashi University Of Technology
Yahagi Construction Co., Ltd.
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    • E04G23/02Repairing, e.g. filling cracks; Restoring; Altering; Enlarging
    • E04G23/0218Increasing or restoring the load-bearing capacity of building construction elements

Abstract

 建物の外側からだけで施工でき、鉄筋及び介在補強体(筋違材)を用いない、耐震性に優れた既設建物の耐震補強構造及び耐震補強工法を提供すること。  既設建物の外壁面に位置する柱体12又は梁体14にアンカーボルト18が打設され、上記アンカーボルト18に補強用形鋼20が固定されて柱体12又は梁体14に配置され、上記アンカーボルト18及び補強用形鋼20を囲むように繊維補強コンクリート28が打設され、上記補強用形鋼20と繊維補強コンクリート28とからなる鉄骨コンクリート合成構造部材10が既設建物の外壁面に一体となるように設けられる既設建物の耐震補強構造とする。また、さらに地震に強い建物が要求される場合には、上記補強部位に、筋違型あるいは間柱型の制震部材を設けたものとすることも可能である。

Description

明 細 書
既設建物の耐震補強構造及び耐震補強工法
技術分野
[0001] 本発明は、既設建物の耐震補強構造及び耐震補強工法に関し、更に詳しくは、鉄 骨コンクリート合成構造部材を用いた既設建物の耐震補強構造及び耐震補強工法 に関するものである。
背景技術
[0002] 従来、既設建物の耐震補強工法としては、既設建物の左右の柱体の対向内面部と 上下の梁体の対向内面部にそれぞれ補強体を設置して枠体とすることにより補強す る鉄骨枠付ブレース工法が行われて 、た。
[0003] し力しながら、左右の柱体及び上下の梁体の間には通常窓ガラスや出入り口用等 のサッシが取り付けられているため、補強施工時にはそれらをー且撤去し、再度取り 付けるなどの作業が必要となる。この場合、その作業は建物の内部力もも行うため、 その建物の使用者等に不便を与えるものであった。
[0004] そのため、例えば特許第 3051071号には、建物の外部からの作業で施工できる既 設建物の耐震補強工法が提案されて!、る。
[0005] この特許第 3051071号で示される耐震補強構造における補強体は、図 6に示すよ うに、柱体 42にアンカーボルト 46が打設され、そのアンカーボルト 46にナット 48と座 板 50を用いて鋼板 52が取付けられ、その鋼板 52の周囲にフープ筋 54が配され、こ れらを型枠で囲ってその型枠中にコンクリート 56が打設されたもの(鉄筋鉄骨コンクリ ート部材)からなつている。
[0006] また、その耐震補強構造は、補強体 40をより強固なものとするため、図 7に示すよう に、柱体 42や梁体 44に取り付けられた鋼板 52同士を介在補強体 (筋違材) 58で連 結して補強したものが主となっている。
[0007] そして、この特許第 3051071号では、既設建物の外壁面に位置する柱体や梁体 の外側に上記補強体 40を設置しているため、外部作業のみで既設建物の耐震補強 ができるものとなっている。 [0008] し力しながら、特許第 3051071号に示される耐震補強構造では、地震による圧縮 や引張りなどの応力に対して、補強体に高い耐カゃ靭性などを持たせるためには、 鋼板 (鉄骨)にフープ筋 (鉄筋)を配さなければならず、そのため、耐震補強の施工が 複雑となり、工程全体として時間やコストがかかるものとなる。
[0009] さらに、その鉄骨にはプレート状の鋼板を用いているため、補強建物の水平耐力の 向上は期待できない。そのため、柱と柱、梁と梁あるいは柱と梁とを介在補強体 (筋 違材)などで連結して補強する必要性があった。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] 本発明が解決しょうとする課題は、建物の外側カゝらだけで施工でき、鉄筋及び介在 補強体 (筋違材)を用いな!/ヽ、耐震性に優れた既設建物の耐震補強構造及び耐震 補強工法を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0011] 上記課題を解決するために本発明の既設建物の耐震補強構造は、請求項 1に記 載のように、既設建物の外壁面に位置する柱体若しくは梁体にアンカーボルトが打 設されると共に、前記アンカーボルトに補強用形鋼が固定され、前記アンカーボルト 及び補強用形鋼を囲むように繊維補強コンクリートが打設され、補強用形鋼—繊維 補強コンクリートとからなる鉄骨コンクリート合成構造部材が前記既設建物の外壁面 に一体となり、設けられていることを要旨とする。
[0012] この場合、上記既設建物の耐震補強構造において、請求項 2に記載のように、上 記柱体の外壁面には上記アンカーボルトを介して上記鉄骨コンクリート合成構造部 材が設けられ、上記梁体の外壁面には上記アンカーボルトを介して若しくは上記アン カーボルトを介さずに上記鉄骨コンクリート合成構造部材又は在来の鉄筋コンクリー ト部材力鉄骨部材が設けられて 、ることが望ま 、。
[0013] また、さらに地震に対して強い建物が要求される場合には、上記既設建物の耐震 補強構造において、請求項 3に記載のように、前記鉄骨コンクリート合成構造部材か らなる前記柱体の補強体と前記鉄骨コンクリート合成構造部材又は前記在来の鉄筋 コンクリート部材か前記鉄骨部材カもなる前記梁体の補強体とで囲まれた枠体に、筋 違型の制震部材を自由に設けることも可能である。
[0014] 同様に、上記既設建物の耐震補強構造において、請求項 4に記載のように、前記 鉄骨コンクリート合成構造部材又は前記在来の鉄筋コンクリート部材か前記鉄骨部 材からなる前記梁体の補強体間に、間柱型の制震部材を自由に設けることも可能で ある。
[0015] 一方、本発明の既設建物の耐震補強工法は、請求項 5に記載のように、既設建物 の外壁面に位置する柱体若しくは梁体にアンカーボルトを打設する工程と、前記アン カーボルトに補強用形鋼を固定してこの形鋼を前記既設建物の外壁面側に配置す る工程と、前記アンカーボルトと補強用形鋼とを囲むように型枠を組む工程と、前記 型枠中に繊維補強コンクリートを打設する工程とからなり、補強用形鋼—繊維補強コ ンクリート部材 (鉄骨コンクリート合成構造部材)を前記既設建物の外壁面に一体とな るように設けることを要旨とする。
発明の効果
[0016] 請求項 1に記載の既設建物の耐震補強構造によれば、上記繊維補強コンクリート は、コンクリート中に繊維を加えたものであり、鉄骨コンクリート合成構造とすれば鉄筋 を配さなくても鉄筋鉄骨コンクリート構造と同程度の耐カ、変形能力を有するため、鉄 筋を用いなくても耐震補強が可能となり、施工の簡略化とコスト低減が図れる。
[0017] また、その鉄骨は、曲げに対して強い耐カを有する形鋼であることから、従来の耐 震補強構造では必要であった介在補強体 (筋違材)が不要となり、柱体と梁体の補 強だけで既設建物の補強を行うことができるようになる。
[0018] さらに、上記鉄骨コンクリート合成構造部材が、アンカーボルトを介して強固に既設 建物の外壁面の柱体若しくは梁体と一体化されるため、これらの補強部材が既設建 物と一体となって作用し、補強建物の耐震性は向上することとなる。
[0019] そして、請求項 2に記載のように、上記既設建物の耐震補強構造では、上記柱体を 、上記アンカーボルトを介して上記鉄骨コンクリート合成構造部材で補強し、上記梁 体は、上記アンカーボルトを介して若しくは上記アンカーボルトを介さずに上記鉄骨 コンクリート合成構造部材又は在来の鉄筋コンクリート部材か鉄骨部材で補強するこ とができるため、従来の鉄筋鉄骨コンクリート構造部材を用いる必要がなぐ施工の簡 略化とコスト低減が図れる。なお、上記梁体に上記鉄骨コンクリート合成構造部材を 用いな 、場合には、より 、つそう施工の簡略化とコスト低減が図れるものとなる。
[0020] また、さらに地震に強い建物が要求される場合には、請求項 3に記載のように、上 記既設建物の耐震補強構造にお!ヽて、柱体と梁体に施した補強体で囲まれた枠体 に筋違型の制震部材を自由に設けることも可能であり、これにより建物の地震による 振動に対する耐カを高めるだけでなぐ地震による振動エネルギーを吸収して振動 エネルギーを低減させるため、建物の揺れ自体を軽減して倒壊を防ぐことができる。
[0021] 同様に、請求項 4に記載のように、上記既設建物の耐震補強構造において、梁体 に施した補強体間に間柱型の制震部材を自由に設けることも可能であり、建物の地 震による振動に対する耐カを高めるだけでなぐ地震による振動エネルギーを吸収し て振動エネルギーを低減させるため、建物の揺れ自体を軽減して倒壊を防ぐこともで きる。
[0022] 一方、請求項 5に記載の既設建物の耐震補強工法によれば、既設建物の外壁面 に位置する柱体若しくは梁体に上記鉄骨コンクリート合成構造部材を打設するため、 建物の外側力 だけで施工可能となり、その建物を使用しながら工事を進めることが でき、使用者等に不便さを感じさせないものとなる。
[0023] これによつて、一般的なビルや集合住宅等の多層多スパン建物の耐震補強に用い ることがでさるよう〖こなる。
図面の簡単な説明
[0024] [図 1]本発明の一実施形態に係る既設柱体又は既設梁体と鉄骨コンクリート合成構 造部材の要部断面図である。
[図 2]既設建物の外壁側の柱体及び梁体にアンカーボルトと H形鋼を配設させた状 態を示した図である。
[図 3]ビルや集合住宅等の多層階建物における補強構造の断面図である。
[図 4]既設建物の外壁側の柱体と梁体に設けられた補強体からなる枠体に、筋違型 の制震部材を設けた耐震補強構造の一例である。
[図 5]既設建物の外壁側の梁体に設けられた補強体間に、間柱型の制震部材を設け た耐震補強構造の一例である。 [図 6]従来の鉄筋鉄骨コンクリート工法を用いた既設建物の補強構造の断面図である
[図 7]従来の介在補強体 (筋違材)を用いた鉄筋鉄骨コンクリート工法におけるコンク リート打設前の構造を示した図である。
発明を実施するための最良の形態
[0025] 本発明の実施形態を、図 1〜図 5を用いて詳細に説明する。
[0026] 図 1は、本実施形態に係る既設建物の耐震補強構造の一例を示すものであり、既 設建物の柱体 12又は梁体 14と鉄骨コンクリート合成構造部材 10の断面図である。 図示のように、既設柱体 12又は梁体 14には取付孔 16が空けられており、この取付 孔 16にはアンカーボルト 18が打設され、接着剤等を用いて固定されている。そして、 このアンカーボルト 18には形鋼 20の揷通孔 22から形鋼 20が通されており、この形 鋼 20は、ナット 24及び座板 26で挟んでアンカーボルト 18に固定されている。更に、 そのアンカーボルト 18と形鋼 20とを囲むように、繊維補強コンクリート 28が打設され ている。
[0027] 上記鉄骨コンクリート合成構造部材 10は、少なくとも形鋼 20と繊維補強コンクリート
28とを含むもの力 なるものである。
[0028] 上記形鋼 20は、例えば、その断面形状によって分類される H形鋼、 I形鋼、溝形鋼
(断面匚形)、山形鋼 (断面 L形)等が挙げられる。より好ましくは、 H形鋼、 I形鋼、溝 形鋼(断面匚形)などである。これらは、引張り、曲げ、圧縮といった応力に対して高
Vヽ耐カを有するものだ力 である。
[0029] 一方、プレート状の鋼板は、引張り耐カは高いものの、曲げ耐力が低いことからあま り好ましくない。
[0030] 本実施形態にぉ 、ては、上記形鋼を鉄骨材料として用いて 、ることから、補強体は 、外壁面に対して平行方向の曲げ耐カ、水平耐力が向上するため、従来の耐震補 強工法にお!、て水平耐カを高めるために必要であった介在補強体 (筋違材)を用い る必要がなくなり、柱体と梁体の補強だけで既設建物の補強を行うことができるように なる。
[0031] 上記繊維補強コンクリート 28にカ卩えられる繊維は、ビニロンファイバー、ステンレス ファイバ一等が好ましい。
[0032] 上記ビニロンファイバーやステンレスファイバーなどの繊維をコンクリートに加え、鉄 骨コンクリート合成構造とすることによって、鉄筋鉄骨コンクリート構造と同程度の耐カ
、変形能力を有するようになる。それによつて、鉄筋を用いない鉄骨コンクリートで耐 震補強が可能となり、施工の簡略化とコスト低減が図れることとなる。
[0033] 図 2は、既設建物の外壁側の柱体 12及び梁体 14にアンカーボルト 18と H形鋼 20 を配設させた状態の一例を示す図である。図のように、柱体 12には縦方向に、梁体 1 4には横方向に、それぞれ H形鋼 20が配置され、適度に間隔をあけて打設されたァ ンカーボルト 18に固定されている。
[0034] 本実施形態にぉ 、ては、従来の耐震補強工法にお!、て用いて!/、たプレート状の鋼 板ではなぐ引張り、曲げ、圧縮といった応力に対して高い耐カを有する H形鋼を鉄 骨材料に用いているため、柱体 12及び梁体 14にそれぞれ配置された H形鋼 20の 間を補強するための介在補強体 (筋違材)は必要な ヽ。
[0035] そして、 1つの H形鋼 20aと、その隣り合う他の H形鋼 20bは、接合部材 30で接合さ れている。これによつて、より耐カゃ靭性に富んだ補強柱部若しくは補強梁部となつ て既設建物を補強する。
[0036] 図 3は、ビルや集合住宅等の多層階建物における耐震補強の一実施例を示してい る。同図に示す耐震補強構造は、集合住宅におけるべランダなどの廊下側に露出し た既設柱体、既設梁体に適用した場合を例示するものである。
[0037] 既設柱体 12と既設梁体 14の外壁側にある廊下 32の上下方向に貫通孔 34が形成 され、その貫通孔 34を上下方向に貫通して、アンカーボルト 18と H形鋼 20が既設柱 体 12に配置される。一方、既設梁体 14にも、廊下 32と平行にアンカーボルト 18と H 形鋼 20が配置される。そして、これら H形鋼 20を囲むようにしてコンクリート型枠を配 置し、繊維補強コンクリート 28が打設されて、既設柱体 12及び既設梁体 14に鉄骨コ ンクリート合成構造部材 10が連設されて 、る。
[0038] なお、この鉄骨コンクリート合成構造部材 10中には H形鋼 20が配置されている力 その 1つの H形鋼と上下し合う他の H形鋼とは接合部材 30で接合されて一体とされ ているため、多層におよぶ場合も既設柱体 12を補強することができる。 [0039] 本発明の内容である図 2などに示す耐震補強構造は、図 7に示す従来の耐震補強 構造のように、柱体と梁体の補強体で囲まれた枠体に耐震補強体の強度を補うため の介在補強体 (筋違材)を設けて!/ヽな ヽため、この枠体内部に筋違型や間柱型と!、 つたさまざまな制震部材をとりつけることができる。
[0040] そこで以下に、上記耐震補強構造に制震部材を取付けたものからなる耐震補強構 造について説明する。
[0041] 図 4は、既設建物の外壁面に位置する柱体と梁体に一体的に設けられた鉄骨コン クリート合成構造部材等の補強体からなる枠体に、筋違型の制震部材 (35a、 35b) を設けた耐震補強構造の一例である。図 4 (a)はこの枠体に筋違型の制震部材が 1 本設けられたものであり、図 4 (b)は筋違型の制震部材が 2本設けられたものである。 図 4 (b)は、柱側がコンクリート合成構造部材 10による補強で、梁側は鉄骨部材 11に よる補強力もなつて 、るが、特に限られるものではな 、。
[0042] 制震部材 (35a, 35b)は、例えば、この枠体に取付けられたガセット 38に、制震部 材(35a、 35b)の端部に備えたクレビス継手 39等の継手を、ピンやボルト等で固定し て建物に取付けることができる。
[0043] この制震部材 (35a, 35b)は、筒状や棒状の鋼材、コンクリート等力 なる剛体の支 材(37a、 37b)の一部分に、地震等により建物に加わる振動エネルギーを吸収し建 物の変位を小さくするためのダンパー(36a、 36b)を有する。このダンパー(36a、 36 b)としては、例えば、速度依存性の粘性抵抗を利用して建物に加わる振動に対して 減衰性能を発揮するオイルダンパーや粘弾性ダンパー、部材の変形履歴に伴うエネ ルギー消費を利用して減衰性能を発揮する履歴型ダンパー等がある。
[0044] オイルダンパーは、例えば、シリンダー内に充填されたオイルをピストンの押し引き による圧力差によって、オイルがシリンダー内に設けられた弁を通過するときに生じる 抵抗力によって地震エネルギーを吸収するものである。
[0045] 粘弾性ダンパーは、例えば、鋼材間に高分子材料などの粘弾性体をサンドイッチ 状に挟みこんだ基本構造を有するものなどがあり、振動によって鋼材が相互にずれ たときに、この粘弾性体が変形して振動エネルギーを吸収することができる。
[0046] 履歴型ダンパーは、低降伏点鋼材等の塑性変形を利用して振動エネルギーを吸 収するものである。筋違型のものとしては、例えば、座屈を防止するための座屈補剛 材の内側に芯材として低降伏点鋼材を用いたものなどがある。
[0047] 図 5は、既設建物の外壁面に位置する梁体に一体的に設けられた鉄骨コンクリート 合成構造部材等の補強体間に、間柱型の制震部材 35cを設けた耐震補強構造の一 例である。図示するものは、柱側がコンクリート合成構造部材 10による補強で、梁側 は鉄骨部材 11による補強力 なって 、るが、特に限られるものではな 、。
[0048] この制震部材 35cも、図 4に示すものと同様、その一部分に、地震等により建物に 加わる振動エネルギーを吸収し建物の変位を小さくするためのダンパー 36cを有す る。この間柱型の制震部材 35cのダンパー 36cは、例えば、粘弾性ダンパーや履歴 型ダンパー等が挙げられる。
[0049] 筋違型のものと同様、粘弾性ダンパーには高分子材料などの粘弾性体が用いられ 、履歴型ダンパーには、間柱の一部に低降伏点鋼材を用いたもの等がある。
[0050] 図 4、 5に示すものとすることによって、建物の地震による振動に対する耐カを高め るだけでなく、地震による振動エネルギーを吸収して振動エネルギーを低減させるこ とにより、建物の揺れ自体を軽減して倒壊を防ぐことができる。そして、耐震構造と制 震構造が組み合わされるため、更に地震に強い建物とすることができる。
[0051] 次に、本実施形態に係る既設建物の耐震補強工法について説明する。この耐震補 強工法は、次の工程(1)〜 (4)を含むものからなるものである。
[0052] 工程(1)は、既設建物の外壁面に位置する柱体若しくは梁体にアンカーボルトを打 設する工程である。
[0053] この場合、上記アンカーボルトの打設は、上記柱体と上記梁体の両方に行っても良 いし、柱体のみ又は梁体のみに行うこともできる。そして、既設建物の柱体や梁体に 、一定のピッチで打設する。このアンカーボルトは、柱体や梁体の軸方向に沿って一 列に打設しても良いし、 2列又は 3列に打設することもできる。好ましくは、複数列に打 設することである。柱体若しくは梁体に、より強固に鉄骨コンクリート合成構造部材が 固定される力もである。なお、アンカーボルトは、柱体や梁体に打設した際、接着剤 等によって固定ィ匕される。
[0054] 工程 (2)は、上記アンカーボルトに補強用形鋼を固定してこの補強用形鋼を既設 建物の外壁面側に配置する工程である。
[0055] 例えば、既設柱体などから 10cm程度の位置に形鋼を配置し、アンカーボルトに取 り付けることができる。
[0056] この場合、アンカーボルトによる H形鋼の固定は、上記アンカーボルトの打設によつ て、上記柱体と上記梁体の両方に行う場合もあるし、柱体のみ又は梁体のみに行う 場合もある。
[0057] 例えば、柱体のみアンカーボルトによる H形鋼の固定を行う場合には、柱体は鉄骨 コンクリート合成構造部材で補強し、一方、梁体は、アンカーボルトを介さずに鉄骨コ ンクリート合成構造部材ある 、は在来の鉄筋コンクリート部材、鉄骨部材などで補強 することができる。
[0058] 工程 (3)は、上記アンカーボルトと補強用形鋼とを囲むように型枠を組む工程であ る。
[0059] 工程 (4)は、上記型枠中に繊維補強コンクリートを打設する工程である。アンカーボ ルトと補強用形鋼を包み込むようにコンクリートを打設する。
[0060] このように、本発明に係る既設建物の耐震補強工法においては、上記鉄骨コンクリ ート合成構造部材を用いるため、地震による曲げや圧縮、引張りなどの応力に対して 柱体や梁体の剛性及び耐カともに充分な値を有することとなり、従来の工法では必 要であった介在補強体 (筋違材)が不要となり、柱体、梁体の補強のみで既設建物の ネ ΐ強を行うことができることとなる。
[0061] 少なくとも上記工程(1)〜 (4)を経ることにより、本発明の既設建物の耐震補強工法 が実施されることとなる。そして、上記鉄骨コンクリート合成構造部材は、上記既設建 物の外壁面に設けられたものとなり、既設建物と一体となって作用するため、既設建 物の耐震性は向上することとなる。また、建物の外側力もだけで施工可能とであり、そ の建物を使用しながら工事を進めることができるものである。それによつて、建物の使 用者等に不便さを感じさせないものとなる。
[0062] なお、前記制震部材を取付ける工程を組み込むことも可能である。この場合には、 耐震構造と制震構造が組み合わされるため、更に地震に強い建物とすることもできる [0063] 以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形 態に何ら限定されるものではなぐ本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が 可能である。
[0064] 例えば、上記実施形態において、 H形鋼のみについて示している力 用いる形鋼 は、その断面形状が I形でも L形でも構わない。また、 H形鋼であっても、アンカーボ ルトを通す位置は、そのウェブ部分であっても、フランジ部分であっても構わない。 産業上の利用可能性
[0065] 本発明に係る既設建物の耐震補強構造及び耐震補強工法は、鉄骨鉄筋コンクリ ート建築、鉄筋コンクリート建築、鉄骨建築等の各種の建築構造物や、必要によって は土木構造物等の耐震補強に使用することができる。

Claims

請求の範囲
[1] 既設建物の耐震補強構造であって、既設建物の外壁面に位置する柱体若しくは梁 体にアンカーボルトが打設されると共に、該アンカーボルトに補強用形鋼が固定され 、前記アンカーボルト及び補強用形鋼を囲むように繊維補強コンクリートが打設され、 補強用形鋼-繊維補強コンクリートとからなる鉄骨コンクリート合成構造部材が前記 既設建物の外壁面に一体となり、設けられていることを特徴とする既設建物の耐震補 強構造。
[2] 前記柱体の外壁面には前記アンカーボルトを介して前記鉄骨コンクリート合成構造 部材が設けられ、前記梁体の外壁面には前記アンカーボルトを介して若しくは前記 アンカーボルトを介さずに前記鉄骨コンクリート合成構造部材又は在来の鉄筋コンク リート部材か鉄骨部材が設けられていることを特徴とする請求項 1に記載の既設建物 の耐震補強構造。
[3] 前記鉄骨コンクリート合成構造部材力 なる前記柱体の補強体と前記鉄骨コンクリ ート合成構造部材又は前記在来の鉄筋コンクリート部材か前記鉄骨部材力 なる前 記梁体の補強体とで囲まれた枠体に、筋違型の制震部材が設けられて 、ることを特 徴とする請求項 1又は 2に記載の既設建物の耐震補強構造。
[4] 前記鉄骨コンクリート合成構造部材又は前記在来の鉄筋コンクリート部材か前記鉄 骨部材からなる前記梁体の補強体間に、間柱型の制震部材が設けられていることを 特徴とする請求項 1又は 2に記載の既設建物の耐震補強構造。
[5] 既設建物の耐震補強工法であって、既設建物の外壁面に位置する柱体若しくは梁 体にアンカーボルトを打設する工程と、該アンカーボルトに補強用形鋼を固定して該 形鋼を前記既設建物の外壁面側に配置する工程と、前記アンカーボルトと補強用形 鋼とを囲むように型枠を組む工程と、該型枠中に繊維補強コンクリートを打設するェ 程とからなり、補強用形鋼 繊維補強コンクリート部材 (鉄骨コンクリート合成構造部 材)を前記既設建物の外壁面に一体となるように設けることを特徴とする既設建物の 耐震補強工法。
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