明 細 書
アントリルァリーレン誘導体、有機エレクト口ルミネッセンス素子用材料、及 びそれを用いた有機エレクト口ルミネッセンス素子
技術分野
[0001] 本発明は、アントリルァリーレン誘導体、それを利用した有機エレクト口ルミネッセン ス素子材料、及び有機エレクト口ルミネッセンス素子に関し、さら〖こ詳しくは、発光輝 度及び発光効率が高ぐ長寿命な有機エレクト口ルミネッセンス素子及びそれを実現 する新規なアントリルァリーレン誘導体に関するものである。
背景技術
[0002] 有機エレクト口ルミネッセンス素子(以下エレクト口ルミネッセンスを ELと略記すること がある)は、電界を印加することにより、陽極より注入された正孔と陰極より注入された 電子の再結合エネルギーにより蛍光性物質が発光する原理を利用した自発光素子 である。イーストマン 'コダック社の C. W. Tang等による積層型素子による低電圧駆 動有機 EL素子の報告(C. W. Tang, S. A. Vanslyke,アプライドフィジックスレタ ーズ (Applied Physics Letters) , 51卷、 913頁、 1987年等)がなされて以来、 有機材料を構成材料とする有機 EL素子に関する研究が盛んに行われている。 Tan g等は、トリス(8—キノリノラト)アルミニウムを発光層に、トリフエ-ルジァミン誘導体を 正孔輸送層に用いている。積層構造の利点としては、発光層への正孔の注入効率を 高めること、陰極より注入された電子をブロックして再結合により生成する励起子の生 成効率を高めること、発光層内で生成した励起子を閉じ込めること等が挙げられる。 この例のように有機 EL素子の素子構造としては、正孔輸送 (注入)層、電子輸送性 発光層の二層型、又は正孔輸送 (注入)層、発光層、電子輸送 (注入)層の 3層型等 力 く知られている。こうした積層型構造素子では注入された正孔と電子の再結合効 率を高めるため、素子構造や形成方法の工夫がなされている。
[0003] また、発光材料としてはトリス(8—キノリノラト)アルミニウム錯体等のキレート錯体、 クマリン誘導体、テトラフエ-ルブタジエン誘導体、ビススチリルァリーレン誘導体、ォ キサジァゾール誘導体等の発光材料が知られており、それからは青色力 赤色まで
の可視領域の発光が得られることが報告されており、カラー表示素子の実現が期待 されている(例えば、特許文献 1、特許文献 2、及び特許文献 3等)。
また、発光材料としてフエ二ルアントラセン誘導体を用いた素子が特許文献 4に開 示されている。さらにアントラセンの 9, 10位にナフチル基を有する材料が特許文献 5 に開示されている。このようなアントラセン誘導体は青色発光材料として用いられるが
、素子寿命の改善が求められていた。
[0004] さらにアントラセンの 9, 10位にフルオランテン基を有する材料が特許文献 6に開示 されている。このようなアントラセン誘導体は青色発光材料として用いられるが、素子 寿命の改善が求められていた。
また特許文献 7に種々のアントラセン誘導体を正孔輸送材料として用いることが開 示されて!/ヽる。しカゝしながら発光材料としての評価は未だ成されて ヽなかった。
特許文献 8には、非対称アントラセン誘導体を青色発光材料として用いた素子が、 発光効率が高く長寿命であることが開示されている。これら非対称アントラセン誘導 体は優れた青色発光材料であるものの、その一部の誘導体はガラス転移温度 (Tg) がやや低 ヽと 、う欠点を有しており、その改善が望まれて 、た。
[0005] 特許文献 1 :特開平 8— 239655号公報
特許文献 2 :特開平 7— 183561号公報
特許文献 3:特開平 3 - 200289号公報
特許文献 4:特開平 8 - 12600号公報
特許文献 5:特開平 11― 3782号公報
特許文献 6:特開 2001— 257074号公報
特許文献 7:特開 2000— 182776号公報
特許文献 8: WO 2004- 18587号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] 本発明は、前記の課題を解決するためなされたもので、発光効率が高ぐ長寿命の 有機 EL素子を提供することを目的とする。さらには本発明の有機 EL素子に用いられ る発光材料として、十分なガラス転移温度を有し、特に好適なアントリルァリーレン誘
導体を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、下記一般式 (I )〜 (ΠΙ)で表されるアントリルァリーレン誘導体はガラス転移温度が向上し、それを発 光材料として用いると、発光効率が高ぐ長寿命な有機 EL素子を作製することが可 能であることを見出した。
すなわち、本発明における課題の第一の解決法は、下記一般式 (i)〜(m)で表さ れるアントリルァリーレン誘導体である。
[化 1]
( I I I )
[0008] 本発明における課題の第二の解決法は、上記一般式 (I)〜 (ΠΙ)で表されるアントリ ルァリーレン誘導体を単独もしくは混合物の成分として含有する有機 EL素子材料を 用いることである。
[0009] 本発明における課題の第三の解決法は、陰極と陽極間に少なくとも発光層を含む 一層又は複数層からなる有機薄膜層が挟持されている有機エレクト口ルミネッセンス 素子において、該有機薄膜層の少なくとも一層が、上記有機 EL素子材料を含有す る有機エレクト口ルミネッセンス素子を製造することである。 発明の効果
[0010] 本発明は、前記の課題を解決するためなされたもので、発光効率が高ぐ長寿命の 有機 EL素子を提供することができる。さらには本発明の有機 EL素子に用いられる発 光材料として、十分なガラス転移温度を有し、特に好適なアントリルァリーレン誘導体 を提供することが可能になる。
発明を実施するための最良の形態
[ooii] 本発明の第一の発明は、上記一般式 (i)〜(m)で表されるアントリルァリーレン誘 導体である。
[0012] 一般式 (I)〜 (III)にお 、て、 Ar1は置換もしくは無置換の核炭素数 6〜50の芳香族 炭化水素基、下記一般式 (A)で示す力ルバゾリレン基、又は下記一般式 (B)で示す トリプチセ-レン基である。 Ar2は置換もしくは無置換の核炭素数 6〜50の芳香族炭 化水素基、下記一般式 (A)で示す力ルバゾリレン基、下記一般式 (B)で示すトリプチ セ-レン基、又は下記一般式(C)で示すフルォレニレン基である。
[0013] [ィ匕 4]
( A ) ( B ) ( C )
[0014] 前記一般式 (A)〜(C)において、 Ri〜R5はそれぞれ独立に、水素原子、芳香族炭 化水素基、芳香族複素環基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ァラル キル基、ァリールォキシ基、ァリールチオ基、アルコキシカルボ-ル基、シリル基、力 ルボキシル基、ハロゲン原子、シァノ基、ニトロ基、又はヒドロキシル基を示す。又、 R1 〜R5は連結基でもよい。
[0015] 前記一般式 (Ι)〜(ΠΙ)及び (A)〜(C)において、 Rはそれぞれ独立に、芳香族炭 化水素基、芳香族複素環基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ァラル キル基、ァリールォキシ基、ァリールチオ基、アルコキシカルボ-ル基、シリル基、力 ルボキシル基、ハロゲン原子、シァノ基、ニトロ基、又はヒドロキシル基を示す。
前記一般式 (I)及び (A)〜(C)にお 、て、 R及び 〜 がアルキル基の時、隣接 するアルキル基どうしで結合し、縮合環を形成しても良 、。
a〜mは、それぞれ独立に 0〜4の整数を示す。 p, q, r及び sは、それぞれ独立に 0 〜3の整数を示し、それぞれのベンゼン環上の置換基 Rはそれぞれ同じでも異なつ ていても良い。
X, Υ, Zはそれぞれ独立に、水素、核炭素数 6〜30の芳香族炭化水素基、又は核 炭素数 5〜30の芳香族複素環基を示すが、 p = q=r = 0の時、 Yは水素ではない。
[0016] 一般式 (I)〜(III)における Ar1及び Ar2である核炭素数 6〜50の置換もしくは無置 換の芳香族炭化水素基、 Rの芳香族炭化水素基及び前記一般式 (A)〜 (C)におけ る Ri〜R5の芳香族炭化水素基の具体例としては、フエ-ル基、ナフチル基、アントリ ル基、フヱナントリル基、ナフタセニル基、ピレニル基、クリセ-ル基等が挙げられ、好 ましくは、フエニル基、ナフチル基、アントリル基、フエナントリル基、ピレニル基等が挙
げられる。
なお、これらの芳香族炭化水素基は、さらに置換基により置換されているのも良ぐ 好ましい置換基として、アルキル基 (メチル基、ェチル基、プロピル基、イソプロピル 基、 n ブチル基、 s ブチル基、イソブチル基、 t ブチル基、 n ペンチル基、 n— へキシル基、 n—へプチル基、 n—ォクチル基、ヒドロキシメチル基、 1ーヒドロキシェ チル基、 2—ヒドロキシェチル基、 2—ヒドロキシイソブチル基、 1, 2—ジヒドロキシェ チル基、 1, 3 ジヒドロキシイソプロピル基、 2, 3 ジヒドロキシー t ブチル基、 1, 2 , 3 トリヒドロキシプロピノレ基、クロロメチノレ基、 1 クロロェチノレ基、 2 クロロェチノレ 基、 2 クロ口イソブチル基、 1, 2 ジクロロェチル基、 1, 3 ジクロロイソプロピル基 、 2, 3 ジクロロー t—ブチル基、 1, 2, 3 トリクロ口プロピル基、ブロモメチル基、 1 ブロモェチル基、 2—ブロモェチル基、 2—ブロモイソブチル基、 1, 2—ジブロモェ チル基、 1, 3 ジブロモイソプロピル基、 2, 3 ジブ口モー t ブチル基、 1, 2, 3— トリブロモプロピル基、ョードメチル基、 1ーョードエチル基、 2—ョードエチル基、 2— ョードイソブチル基、 1, 2 ジョードエチル基、 1, 3 ジョードイソプロピル基、 2, 3 ジョードー t—ブチル基、 1, 2, 3 トリョードプロピル基、アミノメチル基、 1ーァミノ ェチル基、 2—アミノエチル基、 2—ァミノイソブチル基、 1, 2—ジアミノエチル基、 1, 3 ジァミノイソプロピル基、 2, 3 ジァミノ一 t ブチル基、 1, 2, 3 トリァミノプロピ ル基、シァノメチル基、 1ーシァノエチル基、 2—シァノエチル基、 2—シァノイソブチ ル基、 1, 2 ジシァノエチル基、 1, 3 ジシァノイソプロピル基、 2, 3 ジシァノー t —ブチル基、 1, 2, 3 トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、 1— -トロェチル基、 2 -トロェチル基、 2 -トロイソブチル基、 1, 2 ジニトロェチル基、 1, 3 ジニトロ イソプロピル基、 2, 3 ジニトロ— t—ブチル基、 1, 2, 3 トリニトロプロピル基、シク 口プロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、 4ーメチルシク 口へキシル基、 1—ァダマンチル基、 2—ァダマンチル基、 1 ノルボル-ル基、 2—ノ ルボルニル基等)、炭素数 1〜6のアルコキシ基 (エトキシ基、メトキシ基、 i—プロポキ シ基、 n—プロポキシ基、 s—ブトキシ基、 t—ブトキシ基、ペントキシ基、へキシルォキ シ基、シクロペントキシ基、シクロへキシルォキシ基等)、核原子数 5〜40のァリール 基、核原子数 5〜40のァリール基で置換されたァミノ基、核原子数 5〜40のァリール
基を有するエステル基、炭素数 1〜6のアルキル基を有するエステル基、シァノ基、二 トロ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
一般式 (I)〜 (III)における R及び一般式 (A)〜(C)における!^〜 である芳香族 複素環基の具体例としては、 1 ピロリル基、 2 ピロリル基、 3 ピロリル基、ピラジュ ル基、 2 ピリジ-ル基、 3 ピリジ-ル基、 4 ピリジ-ル基、 1 インドリル基、 2—ィ ンドリル基、 3—インドリル基、 4—インドリル基、 5—インドリル基、 6—インドリル基、 7 —インドリル基、 1—イソインドリル基、 2—イソインドリル基、 3—イソインドリル基、 4— イソインドリル基、 5 イソインドリル基、 6 イソインドリル基、 7 イソインドリル基、 2 フリル基、 3 フリル基、 2 べンゾフラ-ル基、 3 べンゾフラ-ル基、 4一べンゾ フラ-ル基、 5 べンゾフラ-ル基、 6 べンゾフラ-ル基、 7 べンゾフラ-ル基、 1 イソべンゾフラ-ル基、 3—イソべンゾフラ-ル基、 4 イソべンゾフラ-ル基、 5—ィ ソベンゾフラ -ル基、 6—イソべンゾフラ-ル基、 7—イソべンゾフラ-ル基、キノリル基 、 3—キノリル基、 4 キノリル基、 5—キノリル基、 6—キノリル基、 7—キノリル基、 8— キノリル基、 1 イソキノリル基、 3 イソキノリル基、 4 イソキノリル基、 5 イソキノリ ル基、 6 イソキノリル基、 7 イソキノリル基、 8 イソキノリル基、 2 キノキサリニル 基、 5 キノキサリニル基、 6 キノキサリニル基、 1一力ルバゾリル基、 2—力ルバゾリ ル基、 3—力ルバゾリル基、 4一力ルバゾリル基、 9一力ルバゾリル基、 1 フエナントリ ジ-ル基、 2—フエナントリジ-ル基、 3—フエナントリジ-ル基、 4—フエナントリジ- ル基、 6—フエナントリジ-ル基、 7—フエナントリジ-ル基、 8—フエナントリジ-ル基、 9 フエナントリジ-ル基、 10 フエナントリジ-ル基、 1—アタリジ-ル基、 2—アタリ ジ-ル基、 3—アタリジニル基、 4—アタリジニル基、 9—アタリジニル基、 1, 7 フエナ ントロリン— 2—ィル基、 1, 7 フエナント口リン— 3—ィル基、 1, 7 フエナント口リン —4—ィル基、 1, 7 フエナント口リン一 5—ィル基、 1, 7 フエナント口リン一 6—ィル 基、 1, 7 フ mナン卜 Pジン 8—ィノレ基、 1, 7 フ mナン卜 Pジン 9ーィノレ基、 1, 7 —フエナント口リン— 10—ィル基、 1, 8 フエナント口リン— 2—ィル基、 1, 8 フエナ ントロリン— 3—ィル基、 1, 8 フエナント口リン— 4—ィル基、 1, 8 フエナント口リン —5—ィル基、 1, 8 フエナント口リン— 6—ィル基、 1, 8 フエナント口リン— 7—ィル 基、 1, 8 フエナント口リン一 9—ィル基、 1, 8 フエナント口リン一 10—ィル基、 1, 9
—フエナント口リン— 2—ィル基、 1, 9 フエナント口リン— 3—ィル基、 1, 9 フエナ ントロリン— 4—ィル基、 1, 9 フエナント口リン— 5—ィル基、 1, 9 フエナント口リン —6—ィル基、 1, 9 フエナント口リン— 7—ィル基、 1, 9 フエナント口リン— 8—ィル 基、 1, 9—フエナント口リン— 10—ィル基、 1, 10—フエナント口リン— 2—ィル基、 1, 10 フエナント口リン— 3—ィル基、 1, 10 フエナント口リン— 4—ィル基、 1, 10 フ ェナント口リン一 5—ィル基、 2, 9 フエナント口リン一 1—ィル基、 2, 9 フエナント口 リン一 3—ィル基、 2, 9 フエナント口リン一 4—ィル基、 2, 9 フエナント口リン一 5— ィル基、 2, 9 フエナント口リン一 6—ィル基、 2, 9 フエナント口リン一 7—ィル基、 2 , 9 フエナント口リン一 8—ィル基、 2, 9 フエナント口リン一 10—ィル基、 2, 8 フ ェナント口リン一 1—ィル基、 2, 8 フエナント口リン一 3—ィル基、 2, 8 フエナント口 リン 4ーィル基、 2, 8 フエナント口リン一 5—ィル基、 2, 8 フエナント口リン一 6— ィル基、 2, 8 フエナント口リン一 7—ィル基、 2, 8 フエナント口リン一 9—ィル基、 2 , 8 フエナント口リン一 10—ィル基、 2, 7 フエナント口リン一 1—ィル基、 2, 7 フ ェナント口リン一 3—ィル基、 2, 7 フエナント口リン一 4—ィル基、 2, 7 フエナント口 リン 5—ィル基、 2, 7 フエナント口リン一 6—ィル基、 2, 7 フエナント口リン一 8— ィル基、 2, 7 フエナント口リン一 9—ィル基、 2, 7 フエナント口リン一 10—ィル基、 1 フエナジ-ル基、 2—フエナジ-ル基、 1 フエノチアジ-ル基、 2—フエノチアジ -ル基、 3 フエノチアジ-ル基、 4 フエノチアジ-ル基、 10 フエノチアジ-ル基 、 1 フエノキサジ-ル基、 2 フエノキサジ-ル基、 3 フエノキサジ-ル基、 4 フエ ノキサジニル基、 10 フエノキサジニル基、 2—ォキサゾリル基、 4ーォキサゾリル基、 5—ォキサゾリル基、 2 ォキサジァゾリル基、 5 ォキサジァゾリル基、 3 フラザ- ル基、 2 チェ-ル基、 3 チェ-ル基、 2 メチルピロ一ルー 1ーィル基、 2 メチル ピロ一ルー 3—ィル基、 2 メチルピロ一ルー 4ーィル基、 2 メチルピロ一ルー 5—ィ ル基、 3 メチルピロ一ルー 1ーィル基、 3 メチルピロ一ルー 2—ィル基、 3 メチル ピロ一ルー 4ーィル基、 3 メチルピロ一ルー 5—ィル基、 2 t—ブチルピロ一ルー 4 ーィル基、 3—(2 フエ-ルプロピル)ピロ一ルー 1ーィル基、 2—メチルー 1 インド リル基、 4ーメチルー 1 インドリル基、 2—メチルー 3 インドリル基、 4ーメチルー 3 インドリル基、 2 t ブチル 1 インドリル基、 4 t ブチル 1 インドリル基、 2 t
—ブチル 3—インドリル基、 4—t—ブチル 3—インドリル基等が挙げられる。
[0019] 一般式 (I)〜(III)における R及び一般式 (A)〜(C)における!^〜 であるアルキ ル基の具体例としては、メチル基、ェチル基、プロピル基、イソプロピル基、 n—ブチ ル基、 s ブチル基、イソブチル基、 t ブチル基、 n ペンチル基、 n—へキシル基、 n—へプチル基、 n—ォクチル基、ヒドロキシメチル基、 1ーヒドロキシェチル基、 2—ヒ ドロキシェチル基、 2 ヒドロキシイソブチル基、 1, 2 ジヒドロキシェチル基、 1, 3— ジヒドロキシイソプロピル基、 2, 3 ジヒドロキシ一 t—ブチル基、 1, 2, 3 トリヒドロキ シプロピル基、クロロメチル基、 1—クロ口ェチル基、 2—クロ口ェチル基、 2—クロロイ ソブチル基、 1, 2 ジクロロェチル基、 1, 3 ジクロロイソプロピル基、 2, 3 ジクロ ロー t ブチル基、 1, 2, 3 トリクロ口プロピル基、ブロモメチル基、 1 ブロモェチル 基、 2 ブロモェチル基、 2 ブロモイソブチル基、 1, 2 ジブロモェチル基、 1, 3— ジブロモイソプロピル基、 2, 3 ジブ口モー t ブチル基、 1, 2, 3 トリブロモプロピ ル基、ョードメチル基、 1ーョードエチル基、 2—ョードエチル基、 2—ョードイソブチル 基、 1, 2 ジョードエチル基、 1, 3 ジョードイソプロピル基、 2, 3 ジョードー t— ブチル基、 1, 2, 3 トリョードプロピル基、アミノメチル基、 1—アミノエチル基、 2 ァ ミノェチル基、 2 ァミノイソブチル基、 1, 2 ジアミノエチル基、 1, 3 ジァミノイソプ 口ピル基、 2, 3 ジァミノ一 t—ブチル基、 1, 2, 3 トリァミノプロピル基、シァノメチ ル基、 1ーシァノエチル基、 2—シァノエチル基、 2—シァノイソブチル基、 1, 2—ジシ ァノエチル基、 1, 3 ジシァノイソプロピル基、 2, 3 ジシァノー t—ブチル基、 1, 2 , 3 トリシアノプロピル基、ニトロメチル基、 1— -トロェチル基、 2 -トロェチル基、 2 -トロイソブチル基、 1, 2 ジ-トロェチル基、 1, 3 ジ-トロイソプロピル基、 2, 3 ジニトロ— t—ブチル基、 1, 2, 3 トリ-トロプロピル基等が挙げられる。
[0020] 一般式 (I)〜(III)における R及び一般式 (A)〜(C)における!^〜 であるシクロア ルキル基の具体例としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペン チル基、シクロへキシル基、 4ーメチルシクロへキシル基、 1ーァダマンチル基、 2 ァ ダマンチル基、 1 ノルボルニル基、 2—ノルボル-ル基等が挙げられる。
一般式 (I)〜(ΠΙ)における R及び一般式 (A)〜(C)における Ri〜R5であるアルコキ シ基は、 OYで表される基であり、 Yの例としては、前記アルキル基と同様の具体例
が挙げられる。
[0021] 一般式 (I)〜(III)における R及び一般式 (A)〜(C)における!^〜 であるァラルキ ル基の具体例としては、ベンジル基、 1 フエ-ルェチル基、 2—フエ-ルェチル基、 1—フエ-ルイソプロピル基、 2—フエ-ルイソプロピル基、フエ-ルー t ブチル基、 a ナフチルメチル基、 1 α ナフチルェチル基、 2— a ナフチルェチル基、 1 a ナフチルイソプロピル基、 2— a ナフチルイソプロピル基、 13 ナフチルメ チル基、 1— β ナフチルェチル基、 2 - β ナフチルェチル基、 1— β ナフチル イソプロピル基、 2— β—ナフチルイソプロピル基、 1—ピロリルメチル基、 2— ( 1—ピ 口リル)ェチル基、 ρ—メチルベンジル基、 m—メチルベンジル基、 o メチルベンジル 基、 p クロ口べンジノレ基、 m—クロ口べンジノレ基、 o クロ口べンジノレ基、 p ブロモ ベンジル基、 m—ブロモベンジル基、 o ブロモベンジル基、 p ョードベンジル基、 m—ョードベンジル基、 o ョードベンジル基、 p ヒドロキシベンジル基、 m—ヒドロキ シベンジル基、 o ヒドロキシベンジル基、 p ァミノべンジル基、 m—ァミノべンジル 基、 o ァミノべンジノレ基、 p 二トロべンジノレ基、 m—二トロべンジノレ基、 o 二トロべ ンジル基、 p シァノベンジル基、 m シァノベンジル基、 o シァノベンジル基、 1 ヒドロキシ - 2—フエ-ルイソプロピル基、 1—クロ口一 2—フエ-ルイソプロピル基等 が挙げられる。
[0022] 一般式 (I)〜(III)における R及び一般式 (A)〜(C)における!^1〜!^であるァリール ォキシ基は、—OY'と表され、 Y'の例としてはフエニル基、 1—ナフチル基、 2—ナフ チル基、 1 アントリル基、 2 アントリル基、 9 アントリル基、 1—フエナントリル基、 2 フエナントリル基、 3—フエナントリル基、 4 フエナントリル基、 9 フエナントリル基 、 1 ナフタセ-ル基、 2 ナフタセ-ル基、 9 ナフタセ-ル基、 1ーピレ-ル基、 2 —ピレ-ル基、 4 ピレ-ル基、 2 ビフエ-ルイル基、 3 ビフエ-ルイル基、 4 ビ フエ-ルイル基、 p ターフェ-ルー 4—ィル基、 p ターフェ-ルー 3—ィル基、 p— ターフェ-ルー 2—ィル基、 m—ターフェ-ルー 4—ィル基、 m—ターフェ-ルー 3— ィル基、 m—ターフェ-ルー 2—ィル基、 o トリル基、 m—トリル基、 ρ トリル基、 ρ— t ブチルフエ-ル基、 p— (2 フエ-ルプロピル)フエ-ル基、 3—メチルー 2 ナフ チル基、 4—メチル 1—ナフチル基、 4—メチル 1—アントリル基、 4,一メチルビフ
ェ-ルイル基、 4"—tーブチルー p—ターフェ-ルー 4ーィル基、 2 ピロリル基、 3— ピロリル基、ピラジュル基、 2 ピリジニル基、 3 ピリジ-ル基、 4 ピリジニル基、 2 —インドリル基、 3—インドリル基、 4—インドリル基、 5—インドリル基、 6—インドリル基 、 7—インドリル基、 1—イソインドリル基、 3—イソインドリル基、 4—イソインドリル基、 5 イソインドリル基、 6 イソインドリル基、 7 イソインドリル基、 2 フリル基、 3 フリ ル基、 2 べンゾフラ-ル基、 3 べンゾフラ-ル基、 4一べンゾフラ-ル基、 5 ベン ゾフラ-ル基、 6 べンゾフラ-ル基、 7 べンゾフラ-ル基、 1 イソべンゾフラ-ル 基、 3—イソべンゾフラ-ル基、 4 イソべンゾフラ-ル基、 5—イソべンゾフラ-ル基、 6 イソべンゾフラ-ル基、 7 イソべンゾフラ-ル基、 2 キノリル基、 3 キノリル基 、 4 キノリル基、 5 キノリル基、 6 キノリル基、 7 キノリル基、 8 キノリル基、 1 イソキノリル基、 3—イソキノリル基、 4 イソキノリル基、 5—イソキノリル基、 6—イソキ ノリル基、 7 イソキノリル基、 8 イソキノリル基、 2 キノキサリニル基、 5 キノキサリ -ル基、 6 キノキサリ-ル基、 1一力ルバゾリル基、 2—力ルバゾリル基、 3—力ルバ ゾリル基、 4一力ルバゾリル基、 1—フエナントリジ-ル基、 2—フエナントリジ-ル基、 3 —フエナントリジ-ル基、 4—フエナントリジ-ル基、 6—フエナントリジ-ル基、 7—フエ ナントリジ-ル基、 8—フエナントリジ-ル基、 9—フエナントリジ-ル基、 10—フエナン トリジニル基、 1—アタリジニル基、 2—アタリジニル基、 3—アタリジ-ル基、 4—アタリ ジ-ル基、 9—アタリジ-ル基、 1, 7—フエナント口リンー2—ィル基、 1, 7—フエナン トロリン— 3—ィル基、 1, 7 フエナント口リン— 4—ィル基、 1, 7 フエナント口リン— 5—ィル基、 1, 7 フエナント口リン— 6—ィル基、 1, 7 フエナント口リン— 8—ィル基 、 1, 7 フエナント口リン— 9—ィル基、 1, 7 フエナント口リン— 10—ィル基、 1, 8— フエナント口リン— 2—ィル基、 1, 8 フエナント口リン— 3—ィル基、 1, 8 フエナント 口リン— 4—ィル基、 1 , 8 フエナント口リン— 5—ィル基、 1, 8 フエナント口リン— 6 —ィル基、 1, 8 フエナント口リン— 7—ィル基、 1, 8 フエナント口リン— 9—ィル基 、 1, 8 フエナント口リン— 10—ィル基、 1, 9 フエナント口リン— 2—ィル基、 1, 9— フエナント口リン— 3—ィル基、 1, 9 フエナント口リン— 4—ィル基、 1, 9 フエナント 口リン— 5—ィル基、 1 , 9 フエナント口リン— 6—ィル基、 1, 9 フエナント口リン— 7 —ィル基、 1, 9 フエナント口リン— 8—ィル基、 1, 9 フエナント口リン— 10—ィル基
、 1, 10 フエナント口リン— 2—ィル基、 1, 10 フエナント口リン— 3—ィル基、 1, 1 0 フエナント口リン— 4—ィル基、 1, 10 フエナント口リン— 5—ィル基、 2, 9 フエ ナント口リン一 1—ィル基、 2, 9 フエナント口リン一 3—ィル基、 2, 9 フエナントロリ ン一 4—ィル基、 2, 9 フエナント口リン一 5—ィル基、 2, 9 フエナント口リン一 6—ィ ル基、 2, 9—フエナント口リンー7—ィル基、 2, 9—フエナント口リンー8—ィル基、 2, 9 フエナント口リン一 10—ィル基、 2, 8 フエナント口リン一 1—ィル基、 2, 8 フエ ナント口リン一 3—ィル基、 2, 8 フエナント口リン一 4—ィル基、 2, 8 フエナントロリ ン一 5—ィル基、 2, 8 フエナント口リン一 6—ィル基、 2, 8 フエナント口リン一 7—ィ ル基、 2, 8—フエナント口リンー9ーィル基、 2, 8—フエナント口リン 10—ィル基、 2 , 7 フエナント口リン一 1—ィル基、 2, 7 フエナント口リン一 3—ィル基、 2, 7 フエ ナント口リン一 4—ィル基、 2, 7 フエナント口リン一 5—ィル基、 2, 7 フエナントロリ ン一 6—ィル基、 2, 7 フエナント口リン一 8—ィル基、 2, 7 フエナント口リン一 9—ィ ル基、 2, 7 フエナント口リン 10—ィル基、 1 フエナジ-ル基、 2 フエナジ-ル 基、 1 フエノチアジ-ル基、 2 フエノチアジ-ル基、 3 フエノチアジ-ル基、 4ーフ エノチアジ-ル基、 1 フエノキサジ-ル基、 2 フエノキサジ-ル基、 3 フエノキサ ジニル基、 4 フエノキサジニル基、 2—ォキサゾリル基、 4ーォキサゾリル基、 5—ォ キサゾリル基、 2 ォキサジァゾリル基、 5 ォキサジァゾリル基、 3 フラザニル基、 2 チェ-ル基、 3 チェ-ル基、 2 メチルピロ一ルー 1ーィル基、 2 メチルピロ一 ルー 3—ィル基、 2—メチルピロール— 4—ィル基、 2—メチルピロール— 5—ィル基、 3 メチルピロ一ルー 1ーィル基、 3 メチルピロ一ルー 2—ィル基、 3 メチルピロ一 ルー 4—ィル基、 3—メチルピロール— 5—ィル基、 2— t—ブチルピロール— 4—ィル 基、 3—(2 フエ-ルプロピル)ピロ一ルー 1ーィル基、 2—メチルー 1 インドリル基 、 4ーメチルー 1 インドリル基、 2—メチルー 3 インドリル基、 4ーメチルー 3 インド リル基、 2 t ブチル 1 インドリル基、 4 t ブチル 1 インドリル基、 2 tーブチ ル 3—インドリル基、 4 t—ブチル 3—インドリル基等が挙げられる。
一般式 (I)〜(III)における R及び一般式 (A)〜(C)における!^〜 であるァリール チォ基は、 SY'と表され、 Y'の例としては、前記ァリールォキシ基の Y'と同様の例 が挙げられる。
一般式 (I)〜(ΠΙ)における R及び一般式 (A)〜(C)における Ri〜R5であるアルコキ シカルボ-ル基は、 COOZと表され、 Zの例としては、前記アルキル基と同様の例 が挙げられる。
一般式 (I)〜(ΠΙ)における R及び一般式 (A)〜(C)における Ri〜R5であるシリル基 の具体例としては、例えば、トリメチルシリル基、トリェチルシリル基、 t ブチルジメチ ルシリル基、ビュルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基等が挙げられる。 一般式 (I)〜(ΠΙ)における R及び一般式 (A)〜(C)における Ri〜R5であるハロゲン 原子は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
また、前記 Ri〜R5の置換基としては、前記 Α 〜Αι:3の置換基と同様の例が挙げら れる。
[0024] 一般式 (I)〜 (ΠΙ)で表されるアントリルァリーレン誘導体の具体例を下記に示すが
、これら例示化合物に限定されるものではない。
[0025] [化 5]
AN一"
[0027] [ィ匕 7]
[0028] [化 8]
AN一 47 AN— 48
[0029] [ィ匕 9]
AN -59 AN一 60
[0030] [化 10]
AN一 71 AN一 72
AN -84
AN一 83
[0032] [化 12]
[0033] [化 13]
AN— 99 AN— 104
AN— 1 1 5
次に、本発明のアントリルァリーレン誘導体の製造方法について説明する。一般式 (Ι)〜(ΠΙ)のアントリルァリーレン誘導体は、例えば、以下の合成スキーム Scheme 1〜3の 、ずれかによつて製造できる。
なお、下記スキームにおいて、 Ha^ Hal8はハロゲン原子であり、 R'は水素原子
又は置換もしくは無置換のアルキル基であって、隣接するアルキル基同士は結合し ていてもよい。
[化 15]
ffi0037l
[0038] Schemel〜3〖こ示すよう〖こ、ハロゲン化反応、ホウ酸化反応、及び鈴木カップリン グ反応等を適宜組合わせて段階的に実施することにより、一般式 (I)〜 (ΠΙ)で表され るアントリルァリーレン化合物を合成することが出来る。
2箇所以上ハロゲン化されたァリール化合物とボロン酸誘導体を位置選択的に反 応させる場合は、全て同種のハロゲン原子でハロゲンィ匕されたァリールイ匕合物を用 いても反応は可能である力 より位置選択的に反応させる場合は、希望の反応部位 のみを他のハロゲン原子に比べてより反応性の高 、ハロゲン原子 (反応性: I > Br > Cl> >F)でハロゲン化したァリールイ匕合物を用いたほうが、より高い選択性で反応 を行うことが出来る。また、ハロゲン化ァリール化合物とハロゲン化ァリールボロン酸 の反応を行う際には、ハロゲン化ァリールボロン酸のハロゲン原子に比べて、ハロゲ ン化ァリールイ匕合物のハロゲン原子がより反応性の高いハロゲン原子である方が好 ましい。
[0039] 鈴木カップリング反応は、これまでに数多くの報告(Chem. Rev. , Vol. 95, No.
7, 2457 (1995)等)がなされており、これらに記載の反応条件で実施することが出 来る。
反応は通常、常圧下、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気下で実施される 力 必要に応じて加圧条件下に実施することも出来る。反応温度は 15〜300°Cの範 囲であるが、特に好ましくは 30〜200°Cである。
反応溶媒としては、水、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、 1, 2 ージメトキシェタン、ジェチルエーテル、メチルー t ブチルエーテル、テトラヒドロフラ ン、ジォキサン等のエーテル類、ペンタン、へキサン、ヘプタン、オクタン、シクロへキ サン等の飽和炭化水素類、ジクロロメタン、クロ口ホルム、四塩化炭素、 1, 2—ジクロ ロェタン、 1, 1, 1 トリクロロェタンなどのハロゲン類、ァセトニトリル、ベンゾ-トリル 等の二トリル類、酢酸ェチル、酢酸メチル、酢酸ブチル等のエステル類、 N, N ジメ チルホルムアミド、 N, N ジメチルァセトアミド、 N—メチルピロリドン等のアミド類など を単一又は混合して使用することが出来る。特に好ましくは、トルエン、 1, 2—ジメト キシェタン、ジォキサン、及び水である。溶媒の使用量はァリールボロン酸及びその 誘導体に対して 3〜50重量倍、特に好ましくは 4〜20重量倍である。
反応に用いる塩基は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム水酸化力リウ ム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、、炭酸リチウム、ふつ 化カリウム、フッ化セシウム、塩化セシウム、臭化セシウム、炭酸セシウム、リン酸力リウ ム、メトキシナトリウム、 t ブトキシカリウム、 t ブトキシナトリウム、 t ブトキシリチウム 等である。特に好ましくは炭酸ナトリウムである。これらの塩基の使用量はァリールボ ロン酸及びその誘導体に対して 0. 7〜10モル当量の範囲であり、特に好ましくは 0. 9〜6モル当量である。
[0040] 反応に用いる触媒は、テトラキス(トリフエ-ルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(ト リフエ-ルホスフィン)パラジウム、ジクロロ [ビス(ジフエ-ルホスフイノ)ェタン]パラジゥ ム、ジクロロ [ビス(ジフエ-ルホスフイノ)プロパン]パラジウム、ジクロロ [ビス(ジフエ- ルホスフイノ)ブタン]パラジウム、、ジクロロ [ビス(ジフエ-ルホスフイノ)フエ口セン]パラ ジゥム等のパラジウム触媒、テトラキス(トリフエ-ルホスフィン)ニッケル、ジクロロビス( トリフエ-ルホスフィン)ニッケル、ジクロロ [ビス(ジフエ-ルホスフイノ)ェタン]ニッケル 、ジクロロ [ビス(ジフエ-ノレホスフイノ)プロパン]ニッケル、ジクロロ [ビス(ジフエ-ノレホ スフイノ)ブタン]ニッケル、、ジクロロ [ビス(ジフエ-ルホスフイノ)フエ口セン]ニッケル 等のニッケル触媒等である。特に好ましくはテトラキス(トリフエ-ルホスフィン)パラジ ゥムである。これらの触媒の使用量はハロゲン化アントラセン誘導体に対して 0. 001 〜1モル当量の範囲であり、特に好ましくは 0. 01〜0. 1モル当量である。
ハロゲンィ匕合物のハロゲン原子としてはヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、フッ素 原子をあげることが出来るが、特に好ましくはヨウ素原子、臭素原子である。
[0041] ホウ酸化反応は、既知の方法(日本ィ匕学会編 ·実験化学講座第 4版 24卷 61〜90 頁や J. Org. Chem. , Vol. 60, 7508 (1995)等)により実施することが可能である 。例えばハロゲンィ匕ァリール化合物のリチォ化もしくはグリニャール反応を経由する 反応の場合、通常、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性雰囲気下で実施され、反応 溶媒としては不活性溶媒が用いられる。例えばペンタン、へキサン、ヘプタン、ォクタ ン、シクロへキサン等の飽和炭化水素類、 1, 2—ジメトキシェタン、ジェチルエーテ ル、メチルー t ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジォキサン等のエーテル類、ベ ンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類を単一もしくは混合溶媒として用
いることが出来る。特に好ましくはジェチルエーテル及びトルエンである。溶媒の使 用量はハロゲンィ匕ァリールイ匕合物に対し 3〜50重量倍、特に好ましくは 4〜20重量 倍である。
[0042] リチォ化剤としては n ブチルリチウム、 t ブチルリチウム、フエ-ルリチウム、メチ ルリチウム等のアルキル金属試薬、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムビストリメチ ルシリルアミド等のアミド塩基を用いることが出来る。特に好ましくは n—プチルリチウ ムである。また、グリニャール試薬はハロゲンィ匕ァリールイ匕合物と金属マグネシウムの 反応により調製することが出来る。ホウ酸トリアルキルとしてはホウ酸トリメチル、ホウ酸 トリェチル、ホウ酸トリイソプロピル、ホウ酸トリブチル等を使用することが出来る。特に 好ましくはホウ酸トリメチル、ホウ酸トリイソプロピルである。
リチォ化剤及び金属マグネシウムの使用量はハロゲンィ匕ァリールイ匕合物に対し 1〜 10モル当量、特に好ましくは 1〜2モル当量であり、ホウ酸トリアルキルの使用量はハ ロゲン化ァリール化合物に対し 1〜10モル当量、特に好ましくは 1〜5モル当量であ る。反応温度は— 100〜50°C特に好ましくは— 75〜10°Cである。
[0043] 本発明のアントリルァリーレン誘導体は、有機 EL素子用発光材料であると好ましく 、また有機 EL素子用ホスト材料であると特に好ま 、。
本発明の有機 EL素子は、陽極と陰極間に少なくとも発光層を含む一層又は複数 層からなる有機薄膜層が挟持されている有機エレクト口ルミネッセンス素子において、 前記有機薄膜層が前記一般式 (Ι)〜(ΠΙ)に記載のアントリルァリーレン誘導体から 選ばれる少なくとも 1種類を単独もしくは混合物の成分として含有する。
また、本発明の有機 EL素子は、前記発光層が、さらにァリールアミンィ匕合物及び Ζ 又はスチリルアミンィ匕合物を含有すると好ま U、。
[0044] スチリルァミン化合物としては、下記一般式 (Α)で表されるものが好ま 、。
[化 17]
( A )
(式中、 Ar
3は、フエ-ル基、ビフエ-ル基、ターフェ-ル基、スチルベン基、ジスチリ ルァリール基カゝら選ばれる基であり、 Ar
4及び Ar
5は、それぞれ水素原子又は炭素数 が 6〜20の芳香族炭化水素基であり、
Ar
4及び Ar
5は置換されていてもよい。 p は 1〜4の整数である。さらに好ましくは Ar
4又は Ar
5の少なくとも一方はスチリル基で 置換されている。 )
ここで、炭素数が 6〜20の芳香族炭化水素基としては、フエニル基、ナフチル基、 アントラニル基、フエナントリル基、ターフェニル基等が挙げられる。
ァリールアミンィ匕合物としては、下記一般式 (B)で表されるものが好ま 、。
[化 18]
(式中、 Ar6〜Ar。は、置換もしくは無置換の核炭素数 5〜40のァリール基である。 q は 1〜4の整数である。 )
[0046] ここで、核炭素数が 5〜40のァリール基としては、例えば、フエ-ル基、ナフチル基 、アントラ-ル基、フエナントリル基、ピレ-ル基、コ口-ル基、ビフヱ-ル基、ターフェ -ル基、ピロ一リル基、フラ-ル基、チオフヱ-ル基、ベンゾチオフヱ-ル基、ォキサ ジァゾリル基、ジフ 二ルアントラニル基、インドリル基、カルバゾリル基、ピリジル基、 ベンゾキノリル基、フルオランテュル基、ァセナフトフルオランテュル基、スチルベン 基、ペリレ-ル基、クリセ-ル基、ピセ-ル基、トリフエ-レニル基、ルビセ-ル基、ベ ンゾアントラセ-ル基、フエ-ルアントラ-ル基、ビスアントラセ-ル基、又は下記一般 式 (C) , (D)で示されるァリール基等が挙げられ、ナフチル基、アントラ-ル基、クリセ -ル基、ピレニル基、又は一般式 (D)で示されるァリール基が好ましい。
[0047] [化 19]
(一般式 (C)において、 rは 1〜3の整数である。 )
[0048] なお、前記ァリール基の好ましい置換基としては、炭素数 1〜6のアルキル基 (ェチ ル基、メチル基、 i—プロピル基、 n—プロピル基、 s ブチル基、 t—ブチル基、ペン チル基、へキシル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基等)、炭素数 1〜6のアル コキシ基(エトキシ基、メトキシ基、 i プロポキシ基、 n プロポキシ基、 s ブトキシ基 、 t—ブトキシ基、ペントキシ基、へキシル才キシ基、シクロペントキシ基、シクロへキシ ルォキシ基等)、核炭素数 5〜40のァリール基、核炭素数 5〜40のァリール基で置 換されたアミノ基、核炭素数 5〜40のァリール基を有するエステル基、炭素数 1〜6の アルキル基を有するエステル基、シァノ基、ニトロ基、ハロゲン原子等が挙げられる。
[0049] 以下、本発明の有機 EL素子構成について説明する。
本発明の有機 EL素子の代表的な素子構成としては、
(1)陽極 Z発光層 Z陰極
(2)陽極 Z正孔注入層 Z発光層 Z陰極
(3)陽極 Z発光層 Z電子注入層 Z陰極
(4)陽極 Z正孔注入層 Z発光層 Z電子注入層 Z陰極
(5)陽極 Z有機半導体層 Z発光層 Z陰極
(6)陽極 Z有機半導体層 Z電子障壁層 Z発光層 Z陰極
(7)陽極 Z有機半導体層 Z発光層 Z付着改善層 Z陰極
(8)陽極 Z正孔注入層 Z正孔輸送層 Z発光層 Z電子注入層 Z陰極
(9)陽極 Z絶縁層 Z発光層 Z絶縁層 Z陰極
do)陽極 Z無機半導体層 Z絶縁層 Z発光層 Z絶縁層 Z陰極
(11)陽極 Z有機半導体層 Z絶縁層 Z発光層 Z絶縁層 Z陰極
(12)陽極 Z絶縁層 Z正孔注入層 Z正孔輸送層 Z発光層 Z絶縁層 Z陰極
(13)陽極 z絶縁層 z正孔注入層 z正孔輸送層 z発光層 z電子注入層 z陰極 などの構造を挙げることができる。
これらの中で通常(8)の構成が好ましく用いられる力 これらに限定されるものでは ない。
また、本発明の有機 EL素子において、本発明のアントリルァリーレンィ匕合物は、上 記のどの有機層に用いられてもよ 、が、これらの構成要素の中の発光帯域もしくは正 孔輸送帯域に含有されて 、ることが好ま 、。特に好ましくは発光層に含有されて!ヽ る場合である。含有させる量は 30〜: LOOモル%力 選ばれる。
[0050] この有機 EL素子は、通常透光性の基板上に作製する。この透光性基板は有機 EL 素子を支持する基板であり、その透光性については、波長 400〜700nmの可視領 域の光の透過率が 50%以上であるものが望ましぐさらに平滑な基板を用いるのが 好ましい。
このような透光性基板としては、例えば、ガラス板、合成樹脂板などが好適に用いら れる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、ノ リウム 'ストロンチウム含有ガラス、 鉛ガラス、アルミノケィ酸ガラス、ホウケィ酸ガラス、ノ リウムホウケィ酸ガラス、石英な どで成形された板が挙げられる。また、合成樹脂板としては、ポリカーボネート榭脂、 アクリル榭脂、ポリエチレンテレフタレート榭脂、ポリエーテルスルフイド榭脂、ポリスル ホン榭脂などの板が挙げられる。
[0051] 次に、陽極は、正孔を正孔輸送層又は発光層に注入する役割を担うものであり、 4 . 5eV以上の仕事関数を有することが効果的である。本発明に用いられる陽極材料 の具体例としては、酸化インジウム錫 (ITO)、酸化インジウムと酸ィ匕亜鉛の混合物 (I ZO)、 ITOと酸化セリウムの混合物(ITCO)、 IZOと酸化セリウムの混合物(IZCO)、 酸化インジウムと酸ィ匕セリウムの混合物 (ICO)、酸ィ匕亜鉛と酸ィ匕アルミニウムの混合 物 (AZO)、酸ィ匕錫 (NESA)、金、銀、白金、銅等が適用できる。
陽極はこれらの電極物質を蒸着法やスパッタリング法等の方法で薄膜を形成させる こと〖こより作製することができる。
このように発光層からの発光を陽極から取り出す場合、陽極の発光に対する透過率 が 10%より大きくすることが好ましい。また陽極のシート抵抗は、数百 ΩΖ口以下が
好ましい。陽極の膜厚は材料にもよる力 通常 10nm〜l μ m、好ましくは 10〜200n mの範囲で選択される。
[0052] 本発明の有機 EL素子においては、発光層は、
(i)注入機能;電界印加時に陽極又は正孔注入層より正孔を注入することができ、陰 極又は電子注入層より電子を注入することができる機能
(ii)輸送機能;注入した電荷 (電子と正孔)を電界の力で移動させる機能
(iii)発光機能;電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能 を有する。
この発光層を形成する方法としては、例えば蒸着法、スピンコート法、 LB法等の公 知の方法を適用することができる。発光層は、特に分子堆積膜であることが好ましい 。ここで分子堆積膜とは、気相状態の材料化合物から沈着され形成された薄膜や、 溶液状態又は液相状態の材料化合物から固体化され形成された膜のことであり、通 常この分子堆積膜は、 LB法により形成された薄膜 (分子累積膜)とは凝集構造、高 次構造の相違や、それに起因する機能的な相違により区分することができる。
また特開昭 57— 51781号公報に開示されているように、榭脂等の結着剤と材料ィ匕 合物とを溶剤に溶力して溶液とした後、これをスピンコート法等により薄膜ィ匕すること によっても、発光層を形成することができる。
本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、発光層に、本発明のアントリル ァリーレン誘導体からなる発光材料以外の他の公知の発光材料を含有させてもよぐ また、本発明の発光材料を含む発光層に、他の公知の発光材料を含む発光層を積 層してちょい。
[0053] 次に、正孔注入'輸送層は、発光層への正孔注入を助け、発光領域まで輸送する 層であって、正孔移動度が大きぐイオンィ匕エネルギーが通常 5. 5eV以下と小さい。 このような正孔注入 ·輸送層としてはより低い電界強度で正孔を発光層に輸送する材 料が好ましぐさらに正孔の移動度力 例えば 104〜: L06V/cmの電界印加時に、少 なくとも 10—4cm2ZV'秒であるものが好ましい。このような材料としては、従来、光導 伝材料にぉ ヽて正孔の電荷輸送材料として慣用されて ヽるものや、有機 EL素子の 正孔注入層に使用されて 、る公知のものの中から任意のものを選択して用いること
ができる。
具体例としては、例えば、トリァゾール誘導体 (米国特許 3, 112, 197号明細書等 参照)、ォキサジァゾール誘導体 (米国特許 3, 189, 447号明細書等参照)、イミダ ゾール誘導体 (特公昭 37— 16096号公報等参照)、ポリアリールアルカン誘導体( 米国特許 3, 615, 402号明細書、同第 3, 820, 989号明細書、同第 3, 542, 544 号明細書、特公昭 45— 555号公報、同 51— 10983号公報、特開昭 51— 93224号 公報、同 55— 17105号公報、同 56— 4148号公報、同 55— 108667号公報、同 55 — 156953号公報、同 56— 36656号公報等参照)、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン 誘導体 (米国特許第 3, 180, 729号明細書、同第 4, 278, 746号明細書、特開昭 5 5— 88064号公報、同 55— 88065号公報、同 49— 105537号公報、同 55— 5108 6号公報、同 56— 80051号公報、同 56— 88141号公報、同 57— 45545号公報、 同 54— 112637号公報、同 55— 74546号公報等参照)、フ -レンジァミン誘導体 (米国特許第 3, 615, 404号明細書、特公昭 51— 10105号公報、同 46— 3712号 公報、同 47— 25336号公報、特開昭 54— 53435号公報、同 54— 110536号公報 、同 54— 119925号公報等参照)、ァリールァミン誘導体 (米国特許第 3, 567, 450 号明細書、同第 3, 180, 703号明細書、同第 3, 240, 597号明細書、同第 3, 658 , 520号明細書、同第 4, 232, 103号明細書、同第 4, 175, 961号明細書、同第 4 , 012, 376号明細書、特公昭 49— 35702号公報、同 39— 27577号公報、特開昭 55— 144250号公報、同 56— 119132号公報、同 56— 22437号公報、西独特許 第 1, 110, 518号明細書等参照)、ァミノ置換カルコン誘導体 (米国特許第 3, 526, 501号明細書等参照)、ォキサゾール誘導体 (米国特許第 3, 257, 203号明細書等 に開示のもの)、スチリルアントラセン誘導体 (特開昭 56— 46234号公報等参照)、フ ルォレノン誘導体 (特開昭 54— 110837号公報等参照)、ヒドラゾン誘導体 (米国特 許第 3, 717, 462号明細書、特開昭 54— 59143号公報、同 55— 52063号公報、 同 55— 52064号公報、同 55— 46760号公報、同 55— 85495号公報、同 57— 11 350号公報、同 57— 148749号公報、特開平 2— 311591号公報等参照)、スチル ベン誘導体 (特開昭 61— 210363号公報、同第 61— 228451号公報、同 61— 146 42号公報、同 61— 72255号公報、同 62— 47646号公報、同 62— 36674号公報、
同 62— 10652号公報、同 62— 30255号公報、同 60— 93455号公報、同 60— 94 462号公報、同 60— 174749号公報、同 60— 175052号公報等参照)、シラザン誘 導体 (米国特許第 4, 950, 950号明細書)、ポリシラン系(特開平 2— 204996号公 報)、ァニリン系共重合体 (特開平 2— 282263号公報)、特開平 1 211399号公報 に開示されている導電性高分子オリゴマー (特にチォフェンオリゴマー)等を挙げるこ とがでさる。
正孔注入層の材料としては上記のものを使用することができる力 ポルフィリン化合 物 (特開昭 63— 2956965号公報等に開示のもの)、芳香族第三級ァミン化合物及 びスチリルァミン化合物(米国特許第 4, 127, 412号明細書、特開昭 53— 27033号 公報、同 54— 58445号公報、同 54— 149634号公報、同 54— 64299号公報、同 5 5— 79450号公報、同 55— 144250号公報、同 56— 119132号公報、同 61— 295 558号公報、同 61— 98353号公報、同 63— 295695号公報等参照)、特に芳香族 第三級ァミン化合物を用いることが好ま 、。
また米国特許第 5, 061, 569号に記載されている 2個の縮合芳香族環を分子内に 有する、例えば 4, 4,—ビス(N— (1—ナフチル)—N フエ-ルァミノ)ビフエ-ル( 以下 NPDと略記する)、また特開平 4— 308688号公報に記載されているトリフエ- ルァミンユニットが 3つスターバースト型に連結された 4, 4',4"—トリス(N— (3—メチ ルフエ-ル)—N—フエ-ルァミノ)トリフエ-ルァミン(以下 MTDATAと略記する)等 を挙げることができる。
また、 p型 Si、 p型 SiC等の無機化合物も正孔注入層の材料として使用することがで きる。
正孔注入、輸送層は上述した化合物を、例えば真空蒸着法、スピンコート法、キヤ スト法、 LB法等の公知の方法により薄膜ィ匕することにより形成することができる。正孔 注入、輸送層としての膜厚は特に制限はないが、通常は 5ηπι〜5 /ζ πιである。
また、有機半導体層は発光層への正孔注入又は電子注入を助ける層であって、 1 0_1QSZcm以上の導電率を有するものが好適である。このような有機半導体層の材 料としては、含チオフヱンオリゴマーゃ特開平 8— 193191号公報に開示してある含 ァリールァミンオリゴマー等の導電性オリゴマー、含ァリールァミンデンドリマー等の
導電性デンドリマー等を用いることができる。
[0056] 次に、電子注入層'輸送層は、発光層への電子の注入を助け、発光領域まで輸送 する層であって、電子移動度が大きぐまた付着改善層は、この電子注入層の中で 特に陰極との付着が良い材料力もなる層である。
また、有機 EL素子は発光した光が電極 (この場合は陰極)により反射するため、直 接陽極から取り出される発光と、電極による反射を経由して取り出される発光とが干 渉することが知られている。この干渉効果を効率的に利用するため、電子輸送層は 数 nm〜数 mの膜厚で適宜選ばれるが、特に膜厚が厚いとき、電圧上昇を避ける ために、 104〜10V/cmの電界印加時に電子移動度が少なくとも 10— 5cm2ZVs以 上であることが好ましい。
電子注入層に用いられる材料としては、 8—ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金 属錯体やォキサジァゾール誘導体が好適である。上記 8—ヒドロキシキノリン又はそ の誘導体の金属錯体の具体例としては、ォキシン(一般に 8—キノリノール又は 8—ヒ ドロキシキノリン)のキレートを含む金属キレートォキシノイドィ匕合物、例えばトリス(8— キノリノール)アルミニウムを電子注入材料として用いることができる。
[0057] 一方、ォキサジァゾール誘導体としては、以下の一般式で表される電子伝達化合 物が挙げられる。
[化 20]
N-
A 、0' —。— Ar 8人 0
(式中、 Ar
1
及び Ar
9はそれぞれ置換又は無置換のァリール基 を示し、それぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。また Ar
4、
Ar
8は置 換又は無置換のァリーレン基を示し、それぞれ同一であっても異なって 、てもよ 、) ここでァリール基としてはフエ-ル基、ビフエ-ル基、アントラ-ル基、ペリレニル基、
ピレニル基が挙げられる。また、ァリーレン基としてはフエ-レン基、ナフチレン基、ビ フエ-レン基、アントラ-レン基、ペリレニレン基、ピレニレン基などが挙げられる。また
、置換基としては炭素数 1〜10のアルキル基、炭素数 1〜10のアルコキシ基又はシ ァノ基等が挙げられる。この電子伝達ィ匕合物は薄膜形成性のものが好まし 、。
上記電子伝達性ィ匕合物の具体例としては下記のものを挙げることができる。
[化 21]
さらに、電子注入層及び電子輸送層に用いられる材料として、下記一般式 (E)〜Ci )で表されるちのち用いることがでさる。
[化 22]
(一般式 (E)及び (F)中、 A A3は、それぞれ独立に、窒素原子又は炭素原子であ る。
Ar1は、置換もしくは無置換の核炭素数 6〜60のァリール基、又は置換もしくは無
置換の核炭素数 3〜60のへテロアリール基であり、 Ar2は、水素原子、置換もしくは 無置換の核炭素数 6〜60のァリール基、置換もしくは無置換の核炭素数 3〜60のへ テロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数 1〜20のアルキル基、又は置換もしく は無置換の炭素数 1〜20のアルコキシ基、あるいはこれらの 2価の基である。ただし 、 Ar1及び Ar2のいずれか一方は、置換もしくは無置換の核炭素数 10〜60の縮合環 基、又は置換もしくは無置換の核炭素数 3〜60のモノへテロ縮合環基である。
ΐλ L2及び Lは、それぞれ独立に、単結合、置換もしくは無置換の核炭素数 6〜60 のァリーレン基、置換もしくは無置換の核炭素数 3〜60のへテロアリーレン基、又は 置換もしくは無置換のフルォレニレン基である。
Rは、水素原子、置換もしくは無置換の核炭素数 6〜60のァリール基、置換もしくは 無置換の核炭素数 3〜60のへテロアリール基、置換もしくは無置換の炭素数 1〜20 のアルキル基、又は置換もしくは無置換の炭素数 1〜20のアルコキシ基であり、 ηは 0〜5の整数であり、 ηが 2以上の場合、複数の Rは同一でも異なっていてもよぐまた 、隣接する複数の R基同士で結合して、炭素環式脂肪族環又は炭素環式芳香族環 を形成していてもよい。)で表される含窒素複素環誘導体。
[0060] HAr-L-Ar'-Ar2 (G)
(式中、 HArは、置換基を有していてもよい炭素数 3〜40の含窒素複素環であり、 L は、単結合、置換基を有していてもよい炭素数 6〜60のァリーレン基、置換基を有し て!、てもよ 、炭素数 3〜60のへテロアリーレン基又は置換基を有して!/、てもよ!/、フル ォレニレン基であり、 Ar1は、置換基を有していてもよい炭素数 6〜60の 2価の芳香族 炭化水素基であり、 Ar2は、置換基を有していてもよい炭素数 6〜60のァリール基又 は置換基を有して 、てもよ 、炭素数 3〜60のへテロアリール基である。 )で表される 含窒素複素環誘導体。
(H )
[0062] (式中、 X及び Yは、それぞれ独立に炭素数 1〜6の飽和若しくは不飽和の炭化水素 基、アルコキシ基、ァルケ-ルォキシ基、アルキ-ルォキシ基、ヒドロキシ基、置換若 しくは無置換のァリール基、置換若しくは無置換のへテロ環又は Xと Υが結合して飽 和又は不飽和の環を形成した構造であり、 R〜Rは、それぞれ独立に水素、ハロゲ
1 4
ン原子、置換もしくは無置換の炭素数 1から 6までのアルキル基、アルコキシ基、ァリ ールォキシ基、パーフルォロアルキル基、パーフルォロアルコキシ基、アミノ基、アル キルカルボ-ル基、ァリールカルボ-ル基、アルコキシカルボ-ル基、ァリールォキ シカルボニル基、ァゾ基、アルキルカルボ-ルォキシ基、ァリールカルボ-ルォキシ 基、アルコキシカルボ-ルォキシ基、ァリールォキシカルボ-ルォキシ基、スルフィ- ル基、スルフォ-ル基、スルファ-ル基、シリル基、力ルバモイル基、ァリール基、へ テロ環基、ァルケ-ル基、アルキ-ル基、ニトロ基、ホルミル基、ニトロソ基、ホルミル ォキシ基、イソシァノ基、シァネート基、イソシァネート基、チオシァネート基、イソチォ シァネート基もしくはシァノ基又は隣接した場合には置換若しくは無置換の環が縮合 した構造である。 )で表されるシラシクロペンタジェン誘導体。
[0063] [化 24]
(式中、 R〜R及び Zは、それぞれ独立に、水素原子、飽和もしくは不飽和の炭化
1 8 2
水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロ環基、置換アミノ基、置換ボリル基、アルコキシ
基又はァリールォキシ基を示し、 X、 Y及び Zは、それぞれ独立に、飽和もしくは不飽
1
和の炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロ環基、置換アミノ基、アルコキシ基又は ァリールォキシ基を示し、 Zと Zの置換基は相互に結合して縮合環を形成してもよく
1 2
、 nは 1〜3の整数を示し、 nが 2以上の場合、 Zは異なってもよい。但し、 nが 1、 X、 Y
1
及び Rカ チル基であって、 R力 水素原子又は置換ボリル基の場合、及び nが 3で
2 8
Zがメチル基の場合を含まない。)で表されるボラン誘導体。
1
( J )
[0066] [式中、 Q1及び Q2は、それぞれ独立に、下記一般式 (K)で示される配位子を表し、 L は、ハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロア ルキル基、置換もしくは無置換のァリール基、置換もしくは無置換の複素環基、 O R^R1は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロ アルキル基、置換もしくは無置換のァリール基、置換もしくは無置換の複素環基であ る。)又は— O Ga Q3 (Q4) (Q3及び Q4は、 Q1及び Q2と同じ)で示される配位子を 表す。 ]
[0067] [化 26]
[式中、環 A1及び A2は、置換基を有してよい互いに縮合した 6員ァリール環構造であ る。]
この金属錯体は、 n型半導体としての性質が強ぐ電子注入能力が大きい。さらに は、錯体形成時の生成エネルギーも低いために、形成した金属錯体の金属と配位子
との結合性も強固になり、発光材料としての蛍光量子効率も大きくなつている。
一般式 (K)の配位子を形成する環 A1及び A2の置換基の具体的な例を挙げると、 塩素、臭素、ヨウ素、フッ素のハロゲン原子、メチル基、ェチル基、プロピル基、プチ ル基、 s ブチル基、 t ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、ォクチル 基、ステアリル基、トリクロロメチル基等の置換もしくは無置換のアルキル基、フエ-ル 基、ナフチル基、 3—メチルフエ-ル基、 3—メトキシフエ-ル基、 3—フルオロフェ- ル基、 3—トリクロロメチルフエ-ル基、 3—トリフルォロメチルフエ-ル基、 3— -トロフ ェニル基等の置換もしくは無置換のァリール基、メトキシ基、 n—ブトキシ基、 t—ブト キシ基、トリクロロメトキシ基、トリフルォロエトキシ基、ペンタフルォロプロポキシ基、 2 , 2, 3, 3—テ卜ラフルォロプロポキシ基、 1, 1, 1, 3, 3, 3 へキサフルォロ 2 プ 口ポキシ基、 6— (パーフルォロェチル)へキシルォキシ基等の置換もしくは無置換の アルコキシ基、フエノキシ基、 p -トロフエノキシ基、 p—t—ブチルフエノキシ基、 3— フルオロフエノキシ基、ペンタフルォロフエ-ル基、 3—トリフルォロメチルフエノキシ基 等の置換もしくは無置換のァリールォキシ基、メチルチオ基、ェチルチオ基、 t—プチ ルチオ基、へキシルチオ基、ォクチルチオ基、トリフルォロメチルチオ基等の置換もし くは無置換のアルキルチオ基、フエ-ルチオ基、 p -トロフエ-ルチオ基、 p—t—ブ チルフヱ-ルチオ基、 3—フルオロフヱ-ルチオ基、ペンタフルオロフヱ-ルチオ基、 3—トリフルォロメチルフエ-ルチオ基等の置換もしくは無置換のァリールチオ基、シ ァノ基、ニトロ基、アミノ基、メチルァミノ基、ジェチルァミノ基、ェチルァミノ基、ジェチ ルァミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルァミノ基、ジフエ-ルァミノ基等のモノ又はジ 置換アミノ基、ビス(ァセトキシメチル)アミノ基、ビス(ァセトキシェチル)アミノ基、ビス ァセトキシプロピル)アミノ基、ビス(ァセトキシブチル)アミノ基等のァシルァミノ基、水 酸基、シロキシ基、ァシル基、メチルカルバモイル基、ジメチルカルバモイル基、ェチ ルカルバモイル基、ジェチルカルバモイル基、プロィピルカルバモイル基、ブチルカ ルバモイル基、フエ-ルカルバモイル基等の力ルバモイル基、カルボン酸基、スルフ オン酸基、イミド基、シクロペンタン基、シクロへキシル基等のシクロアルキル基、フエ -ル基、ナフチル基、ビフエ-ル基、アントラ-ル基、フエナントリル基、フルォレ -ル 基、ピレニル基等のァリール基、ピリジ-ル基、ビラジニル基、ピリミジニル基、ピリダ
ジニル基、トリアジニル基、インドリ-ル基、キノリニル基、アタリジ-ル基、ピロリジ- ル基、ジォキサニル基、ピベリジ-ル基、モルフオリジ-ル基、ピペラジニル基、トリア チニル基、カルバゾリル基、フラニル基、チオフェニル基、ォキサゾリル基、ォキサジ ァゾリル基、ベンゾォキサゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾチアゾリ ル基、トリァゾリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ブラニル基等の複素環基 等がある。また、以上の置換基同士が結合してさらなる 6員ァリール環もしくは複素環 を形成しても良い。
本発明の有機 EL素子の好ま 、形態に、電子を輸送する領域又は陰極と有機層 の界面領域に、還元性ドーパントを含有する素子がある。ここで、還元性ドーパントと は、電子輸送性化合物を還元ができる物質と定義される。したがって、一定の還元性 を有するものであれば、様々なものが用いられ、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類 金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲンィ匕物、アルカリ 土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物又は 希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、 アルカリ金属の有機錯体、アルカリ土類金属の有機錯体、希土類金属の有機錯体か らなる群力も選択される少なくとも一つの物質を好適に使用することができる。
また、より具体的に、好ましい還元性ドーパントとしては、 Na (仕事関数: 2. 36eV) 、K (仕事関数: 2. 28eV)、Rb (仕事関数: 2. 16eV)及び Cs (仕事関数: 1. 95eV) 力 なる群力 選択される少なくとも一つのアルカリ金属や、 Ca (仕事関数: 2. 9eV) 、 Sr (仕事関数: 2. 0〜2. 5eV)、及び Ba (仕事関数: 2. 52eV)力 なる群力 選択 される少なくとも一つのアルカリ土類金属が挙げられる仕事関数が 2. 9eV以下のも のが特に好ましい。これらのうち、より好ましい還元性ドーパントは、 K、 Rb及び Csか らなる群力 選択される少なくとも一つのアルカリ金属であり、さらに好ましくは、 Rb又 は Csであり、最も好ましのは、 Csである。これらのアルカリ金属は、特に還元能力が 高ぐ電子注入域への比較的少量の添加により、有機 EL素子における発光輝度の 向上や長寿命化が図られる。また、仕事関数が 2. 9eV以下の還元性ドーパントとし て、これら 2種以上のアルカリ金属の組合わせも好ましぐ特に、 Csを含んだ組み合 わせ、例えば、 Csと Na、 Csと K、 Csと Rbあるいは Csと Naと Κとの組み合わせである
ことが好ましい。 Csを組み合わせて含むことにより、還元能力を効率的に発揮するこ とができ、電子注入域への添加により、有機 EL素子における発光輝度の向上や長 寿命化が図られる。
[0070] 本発明においては陰極と有機層の間に絶縁体や半導体で構成される電子注入層 をさらに設けても良い。この時、電流のリークを有効に防止して、電子注入性を向上さ せることができる。このような絶縁体としては、アルカリ金属カルコゲ -ド、アルカリ土 類金属カルコゲニド、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン 化物からなる群から選択される少なくとも一つの金属化合物を使用するのが好ましい 。電子注入層がこれらのアルカリ金属カルコゲ-ド等で構成されていれば、電子注入 性をさらに向上させることができる点で好ましい。具体的に、好ましいアルカリ金属力 ルコゲ-ドとしては、例えば、 Li 0、 K 0、 Na S、 Na Se及び Na Oが挙げられ、好ま
2 2 2 2 2
しいアルカリ土類金属カルコゲ-ドとしては、例えば、 CaO、 BaO、 SrO、 BeO、 BaS 、及び CaSeが挙げられる。また、好ましいアルカリ金属のハロゲン化物としては、例 えば、 LiF、 NaF、 KF、 CsF、 LiCl、 KC1及び NaCl等が挙げられる。また、好ましい アルカリ土類金属のハロゲン化物としては、例えば、 CaF、 BaF、 SrF、 MgF及び
2 2 2 2
BeFといったフッ化物や、フッ化物以外のハロゲン化物が挙げられる。
2
また、電子輸送層を構成する半導体としては、 Ba、 Ca、 Sr、 Yb、 Al、 Ga、 In、 Li、 Na、 Cd、 Mg、 Si、 Ta、 Sb及び Znの少なくとも一つの元素を含む酸化物、窒化物又 は酸ィ匕窒化物等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。また、電子 輸送層を構成する無機化合物が、微結晶又は非晶質の絶縁性薄膜であることが好 ましい。電子輸送層がこれらの絶縁性薄膜で構成されていれば、より均質な薄膜が 形成されるために、ダークスポット等の画素欠陥を減少させることができる。なお、この ような無機化合物としては、上述したアルカリ金属カルコゲ -ド、アルカリ土類金属力 ルコゲ -ド、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物等が 挙げられる。
[0071] 次に、陰極としては、仕事関数の小さい (4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合 物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具 体例としては、ナトリウム、ナトリウム一カリウム合金、マグネシウム、リチウム、セシウム
、マグネシウム '銀合金、アルミニウム Z酸化アルミニウム、 AlZLi 0、 Al/LiO、 Al
2 2
ZLiF、アルミニウム 'リチウム合金、インジウム、希土類金属などが挙げられる。
この陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成さ せること〖こより、作製することができる。
ここで、発光層からの発光を陰極力 取り出す場合、陰極の発光に対する透過率 は 10%より大きくすることが好ましい。また、陰極としてのシート抵抗は数百 Ω /ロ以 下が好ましぐさらに、膜厚は通常 ΙΟηπ!〜 1 μ m、好ましくは 50〜200nmである。
[0072] また、一般に、有機 EL素子は、超薄膜に電界を印加するために、リークやショート による画素欠陥が生じやすい。これを防止するために、一対の電極間に絶縁性の薄 膜層を挿入しても良い。
絶縁層に用いられる材料としては、例えば、酸ィ匕アルミニウム、弗化リチウム、酸化リ チウム、弗ィヒセシウム、酸ィヒセシウム、酸ィヒマグネシウム、弗ィヒマグネシウム、酸ィ匕カ ルシゥム、弗化カルシウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、酸化珪素、酸化ゲルマ- ゥム、窒化珪素、窒化ホウ素、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化バナジウム等が 挙げられる。これらの混合物や積層物を用いてもよい。
[0073] 次に、本発明の有機 EL素子を作製する方法にっ 、ては、例えば上記の材料及び 方法により陽極、発光層、必要に応じて正孔注入層、及び必要に応じて電子注入層 を形成し、最後に陰極を形成すればよい。また、陰極から陽極へ、前記と逆の順序で 有機 EL素子を作製することもできる。
以下、透光性基板上に、陽極 Z正孔注入層 Z発光層 Z電子注入層 Z陰極が順次 設けられた構成の有機 EL素子の作製例について説明する。
まず、適当な透光性基板上に、陽極材料からなる薄膜を 1 μ m以下、好ましくは 10 〜200nmの範囲の膜厚になるように、蒸着法あるいはスパッタリング法により形成し 、陽極とする。次に、この陽極上に正孔注入層を設ける。正孔注入層の形成は、前述 したように真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、 LB法等の方法により行うことがで きるが、均質な膜が得られやすぐかつピンホールが発生しにくい等の点力 真空蒸 着法により形成することが好ましい。真空蒸着法により正孔注入層を形成する場合、 その蒸着条件は使用する化合物 (正孔注入層の材料)、目的とする正孔注入層の結
晶構造や再結合構造等により異なるが、一般に蒸着源温度 50〜450°C、真空度 10— 7〜: LO— 3Torr、蒸着速度 0. 01〜50nmZ秒、基板温度 50〜300°C、膜厚 5nm〜 5 μ mの範囲で適宜選択することが好ましい。
[0074] 次に、この正孔注入層上に発光層を設ける。この発光層の形成も、本発明に係る 発光材料を用いて真空蒸着法、スパッタリング、スピンコート法、キャスト法等の方法 により、発光材料を薄膜ィ匕することにより形成できるが、均質な膜が得られやすぐか つピンホールが発生しにく 、等の点力 真空蒸着法により形成することが好ま U、。 真空蒸着法により発光層を形成する場合、その蒸着条件は使用する化合物により異 なるが、一般的に正孔注入層の形成と同様な条件範囲の中から選択することができ る。膜厚は 10〜40nmの範囲が好ましい。
[0075] 次に、この発光層上に電子注入層を設ける。この場合にも正孔注入層、発光層と同 様、均質な膜を得る必要から真空蒸着法により形成することが好ましい。蒸着条件は 正孔注入層、発光層と同様の条件範囲から選択することができる。
そして、最後に陰極を積層して有機 EL素子を得ることができる。陰極は金属力も構 成されるもので、蒸着法、スパッタリングを用いることができる。しかし、下地の有機物 層を製膜時の損傷力 守るためには真空蒸着法が好まし 、。
以上の有機 EL素子の作製は、一回の真空引きで、一貫して陽極から陰極まで作 製することが好ましい。
[0076] 本発明の有機 EL素子の各層の形成方法は特に限定されない。従来公知の真空 蒸着法、スピンコーティング法等による形成方法を用いることができる。本発明の有 機 EL素子に用いる、前記一般式 (1)で示される化合物を含有する有機薄膜層は、 真空蒸着法、分子線蒸着法 (MBE法)あるいは溶媒に解かした溶液のデイツビング 法、スピンコーティング法、キャスティング法、バーコート法、ロールコート法等の塗布 法による公知の方法で形成することができる。
本発明の有機 EL素子の各有機層の膜厚は特に制限されないが、ピンホール等の 欠陥や、効率を良くするため、通常は数 nmから 1 μ mの範囲が好ましい。
なお、有機 EL素子に直流電圧を印加する場合、陽極を +、陰極を一の極性にして 、 5〜40Vの電圧を印加すると発光が観測できる。また逆の極性で電圧を印加しても
電流は流れず、発光は全く生じない。さらに交流電圧を印加した場合には陽極が + 、陰極が一の極性になった時のみ均一な発光が観測される。印加する交流の波形は 任意でよい。
実施例
[0077] 以下、本発明を実施例をもとに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない 限り、以下の実施例に限定されない。
[0078] 合成実施例 1 (AN - 4の合成)
アルゴン雰囲気下、 3, 5—ジブ口モヨードベンゼンとフエ-ルボロン酸から合成した 3, 5 ジブロモビフエ-ル 20gを無水 THF200mLに溶解し、 70°Cに冷却した。 1 . 6M ノルマルブチルリチウムへキサン溶液 42mLを滴下し、 30分攪拌した。 1, 2 —ジョ一ドエタン 19gを投入し、 5時間攪拌した。一晩放置後、水、塩化メチレンをカロ え、更に亜硫酸水素ナトリウムを黒褐色の反応液が黄色になるまで添加した。有機層 を抽出し、水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレーター にて溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:へキサン )にて精製することで、 3 ブロモ 5 ョードビフエ-ル 19. 5gを無色オイルとして得 た (収率 85%)。
アルゴン雰囲気下、得られた 3ーブロモー 5ーョードビフエ-ル i2g、 1 ナフタレン ボロン酸 5. 7g、テトラキストリフエ-ルホスフィンパラジウム 1. lgをトルエン lOOmLに 溶解し、更に 2M—炭酸ナトリウム水溶液 55mLを加えて、 7時間加熱還流した。放冷 後、有機層を抽出し、水、飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ェ バポレーターにて溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶 媒:へキサン/トルエン = 5/1)にて精製することで、 3—ブロモ 5— (ナフタレン一
1—ィル)ビフヱ-ル 8. lgを白色固体として得た (収率 67%)。
アルゴン雰囲気下、得られた 3ーブロモー 5 (ナフタレン 1 ィル)ビフエ-ル 7.
6g、既知の方法により得られた、 10— (ナフタレン— 2—ィル)アントラセン— 9 ボロ ン酸 8g、テトラキストリフエ-ルホスフィンパラジウム 0. 95gを 1, 2 ジメトキシェタン( DME) 80mL及びトルエン 10mLに溶解し、更に 2M—炭酸ナトリウム水溶液 40mL を加えて、 9. 5時間加熱還流した。一晩放置後、析出晶をろ別し、水、メタノールで
洗浄、加熱トルエンで洗浄することで、 目的の化合物 (AN— 4) 6. 6gを白色固体とし て得た(収率 54%)。得られた化合物の FD— MS (フィールドディソープシヨンマス分 析)を測定したところ、 C H = 582に対し mZz = 582が得られたことから、この化合
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物を AN— 4と同定した。
[0079] 合成実施例 2 (AN— 10の合成)
合成実施例 1にお 、て、 1—ナフタレンボロン酸の代わりに 2—ナフタレンボロン酸 を用いた他は同様の操作を行 、、 目的の化合物 (AN— 10)を白色固体として得た( 収率 55%)。得られた化合物の FD— MS (フィールドディソープシヨンマス分析)を測 定したところ、 C H = 582に対し mZz = 582が得られたことから、この化合物を AN
46 30
10と同定した。
[0080] 合成実施例 3 (AN— 14の合成)
市販の 2, 6 ジブ口モナフタレン 12g、市販の 3 ビフエ-ルボロン酸 l lg、及びト ルェン 180mLを混合した。更にテトラキストリフエ-ルホスフィンパラジウム 5. 7gと 2 M—炭酸ナトリウム水溶液 90mLをカ卩え、アルゴン置換した。 7. 5時間加熱還流した 後、放冷し、析出晶をろ別、トルエン抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて洗浄し た後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。エバポレーターにて溶媒を留去した後、残 渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:へキサン Zトルエン = 5Z1)にて 精製することで、 2— (ビフエ-ルー 3—ィル) 6 ブロモナフタレン 7. 8gを白色固 体として得た (収率 51%)。
得られた 2— (ビフエ-ルー 3—ィル)—6 ブロモナフタレン 5. 2g、既知の方法に より合成した 3— (9—フエ-ルアントラセン— 10—ィル)フエ-ルボロン酸 6. 4g、 DM E60mL、及びトルエン 20mLを混合した。更にテトラキストリフエ-ルホスフィンパラジ ゥム 0. 67gと 2M—炭酸ナトリウム水溶液 60mLを加え、アルゴン置換した。 10時間 加熱還流した後、放冷し、析出晶をろ別した。結晶を水、メタノールで洗浄した後、加 熱トルエンで洗浄することで、 目的の化合物 (AN— 14) 7. Ogを白色固体として得た (収率 74%)。得られた化合物の FD— MS (フィールドディソープシヨンマス分析)を 測定したところ、 C H =658に対し mZz = 658が得られたことから、この化合物を
52 34
AN— 14と同定した。
合成実施例 4 (AN— 22の合成)
既知の方法、もしくは 2 ブロモ 6 ョードナフタレンとフエニルボロン酸との反応 により合成した 2 ブロモ 6 フエ-ルナフタレン 12gに無水エーテル 90mL及び 無水トルエン 30mLをカ卩え、アルゴン置換した。 40。Cに冷却し、 1. 6M ノルマル ブチルリチウムへキサン溶液 29mLを滴下し、一時間攪拌した。ー且— 5°Cまで昇温 し、再び— 40°Cに冷却した後、ボロン酸トリイソプロピルエステル 29mLをエーテルに 希釈し、滴下した。 4時間攪拌した後、一晩放置した。 10%希塩酸にて酸性ィ匕した後 、白色固体をろ別し、水、へキサンにて洗浄した。乾燥後の白色結晶重量は 6. 8gで あった。ろ過母液を飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、エバポレ 一ターにて溶媒を留去した。得られた淡黄色固体を塩化メチレンにて洗浄し、乾燥 することで白色結晶 3. lgを得た。先の白色結晶と合わせ、 2 フエ二ルナフタレン— 6—ボロン酸 9. 9gを得た(収率 94%)。
アルゴン雰囲気下、得られた 2 フエ-ルナフタレン 6 ボロン酸 6. 5gと 3 ブロ モヨードベンゼン 7. 8gをトルエン lOOmL及び DME20mLに溶解し、テトラキストリフ ェ-ルホスフィンパラジウム 0. 95gを加えた。更に 2M—炭酸ナトリウム水溶液 50mL を加えて、 8時間加熱還流した。一晩放置後、トルエン抽出し、飽和食塩水で洗浄し た後、エバポレーターにて溶媒を留去した。加熱トルエンに溶解し、再結晶を行うこと で、 2— (3—ブロモフエ-ル)— 6—フエ-ルナフタレン 6. 7gを白色結晶として得た( 収率 71%)。
アルゴン雰囲気下、既知の方法により得られた 10 (4 ナフタレン 1ーィルーフ ェ -ル)アントラセン 9 ボロン酸 6g、上記方法により得られた 2—(3 ブロモフエ -ル) 6 フエ-ルナフタレン 5. lgを DME80mLに分散し、テトラキストリフエ-ル ホスフィンパラジウム 0. 5g、及び 2M—炭酸ナトリウム水溶液 24mLを加え、 8時間加 熱還流した。一晩放置後、析出晶をろ別し、水、メタノールで洗浄、加熱トルエンで洗 浄することで、 目的の化合物 (AN— 22) 5. 8gを白色固体として得た (収率 62%)。 得られたィ匕合物の FD— MS (フィールドディソープシヨンマス分析)を測定したところ 、C H =658に対し mZz = 658が得られたことから、この化合物を AN— 22と同定
52 34
した。
[0082] 合成実施例 5 (AN— 23の合成)
既知の方法、もしくは 1 ブロモ 4 ョードナフタレンとフエニルボロン酸との反応 により合成した 1ーブロモー 4 フエ-ルナフタレン 14gに無水エーテル 130mL及び 無水トルエン 50mLをカ卩え、アルゴン置換した。 40。Cに冷却し、 1. 6M ノルマル ブチルリチウムへキサン溶液 37mLを滴下し、一時間攪拌した。ー且、 5°Cまで昇 温し、再び— 40°Cに冷却した後、ボロン酸トリイソプロピルエステル 34mLをエーテル に希釈し、滴下した。 3. 5時間攪拌した後、一晩放置した。 10%希塩酸にて酸性ィ匕 した後、酢酸ェチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後 、エバポレーターにて溶媒を留去した。得られた白色固体を塩化メチレンにて洗浄し 、乾燥することで 1 フエ二ルナフタレンー4 ボロン酸 10gを白色結晶として得た (収 率 80%)。
アルゴン雰囲気下、 1—フエ-ルナフタレン— 4 ボロン酸 11. 6gと 3 ブロモヨ一 ドベンゼン 14. 5gをトルエン 160mL及び DME30mLに溶解し、テトラキストリフエ- ルホスフィンパラジウム 1. 79gを加えた。更に 2M—炭酸ナトリウム水溶液 90mLをカロ えて、 8時間加熱還流した。一晩放置後、トルエン抽出し、飽和食塩水で洗浄した後 、エバポレーターにて溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展 開溶媒:へキサン Zトルエン =5Zl)にて精製することで、 1 (3—プロモフヱ-ル) 4 フエ二ルナフタレン 10. 4gを白色固体として得た(収率 62%)。
アルゴン雰囲気下、既知の方法により得られた 10 (4 ナフタレン 1ーィルーフ ェ -ル)アントラセン一 9一ボロン酸 5. 6g、上記方法により得られた 1一 (3 ブロモフ ェニノレ) 4 フエニノレナフタレン 4. 5gを DME70mL〖こ分散し、テトラキストリフエ二 ルホスフィンパラジウム 0. 7g、及び 2M—炭酸ナトリウム水溶液 30mLをカ卩え、 7時間 加熱還流した。一晩放置後、析出晶をろ別し、水、メタノールで洗浄、加熱トルエンで 洗浄することで、 目的の化合物 (AN— 23) 6. 7gを淡黄色固体として得た (収率 81 %)。得られたィ匕合物の FD— MS (フィールドディソープシヨンマス分析)を測定したと ころ、 C H =658に対し mZz = 658が得られたことから、この化合物を AN— 23と
52 34
同定した。
[0083] 合成実施例 6 (AN— 28の合成)
合成実施例 4において、 10— (4 ナフタレン 1ーィルーフエ-ル)アントラセン 9 ボロン酸の代わりに 10— (ナフタレン一 2—ィル)アントラセン一 9 ボロン酸を用 V、た他は同様の操作を行!ヽ、 目的の化合物 (AN— 28)を灰白色固体として得た (収 率 79%)。得られた化合物の FD— MS (フィールドディソープシヨンマス分析)を測定 したところ、 C H = 582に対し mZz = 582が得られたことから、この化合物を AN—
46 30
28と同定した。
合成実施例 7 (AN— 32の合成)
2, 6 ジブ口モナフタレン、もしくは 2 ブロモー 6 ョードナフタレンと 1 ナフタレ ンボロン酸との反応により合成した 2 ブロモー 6 (ナフタレン 1 ィル)ナフタレ ン 5. 4gに無水エーテル 20mL及び無水トルエン 30mLを加え、アルゴン置換した。
30°Cに冷却し、 1. 6M ノルマルブチルリチウムへキサン溶液 l lmLを滴下し、 一時間攪拌した。ー且、 10°Cまで昇温した後、 70°Cに冷却し、ボロン酸トリイソ プロピルエステル 11 mLをエーテルに希釈し、滴下した。 3. 5時間攪拌した後、ー晚 放置した。 10%希塩酸にて酸性ィ匕した後、エーテルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し た。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、エバポレーターにて溶媒を留去した。得られた白 色固体を塩化メチレンにて洗浄し、乾燥することで 2— (ナフタレン一 1—ィル)ナフタ レン 6 ボロン酸 3. 2gを白色結晶として得た (収率 67%)。
アルゴン雰囲気下、 2— (ナフタレン一 1—ィル)ナフタレン一 6 ボロン酸 3. 2gと 4
—ブロモヨードベンゼン 2. 8gをトルエン 30mLに溶解し、テトラキストリフエニルホスフ インパラジウム 0. 23gを加えた。更に 2M—炭酸ナトリウム水溶液 28mLをカ卩えて、 8.
5時間加熱還流した。一晩放置後、トルエン抽出し、飽和食塩水で洗浄した後、エバ ポレーターにて溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒
:トルエン =)にて精製することで、 2— (4—ブロモフエ-ル) 6— (ナフタレン一 1— ィル)ナフタレン 3. 6gを淡黄色固体として得た (収率 83%)。
アルゴン雰囲気下、既知の方法により得られた 10—(ナフタレン 2—ィル)アントラ センー9 ボロン酸 4. 64g、上記方法により得られた 2—(4 ブロモフエニル)ー6— (ナフタレン一 1—ィル)ナフタレン 4. 55gを DME40mLに分散し、テトラキストリフエ -ルホスフィンパラジウム 0. 26g、及び 2M—炭酸ナトリウム水溶液 25mLをカ卩え、 8
時間加熱還流した。析出晶をろ別し、水、メタノールで洗浄した後、加熱トルエンで洗 浄することで、 目的の化合物 (AN— 32) 5. Ogを灰白色固体として得た (収率 71%) 。得られたィ匕合物の FD— MS (フィールドディソープシヨンマス分析)を測定したとこ ろ、 C H =632に対し mZz = 632が得られたことから、この化合物を AN— 32と同
50 32
し 7こ。
[0085] 合成実施例 8 (AN— 49の合成)
市販の 3—ブロモヨードベンゼン l lg、市販の 3—ビフエ-ルボロン酸 8. 7g、及びト ルェン 130mLを混合した。更にテトラキストリフエ-ルホスフィンパラジウム 0. 9gと 2 M—炭酸ナトリウム水溶液 75mLをカ卩え、アルゴン置換した。 8時間加熱還流した後、 放冷し、析出晶をろ別、トルエン抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて洗浄した後 、無水硫酸ナトリウムにて乾燥した。エバポレーターにて溶媒を留去した後、残渣をシ リカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:へキサン)にて精製することで、 3—プロ モー m—ターフェ-ル 11. 8gを白色固体として得た(収率 96%)。
得られた 3—ブロモー m—ターフェ-ル 5. lg、既知の方法により合成した 10—(フ ェナントレン一 9—ィル)アントラセン一 9—ボロン酸 7. 9g、 DME52mLを混合した。 更にテトラキストリフエ-ルホスフィンパラジウム 0. 95gと 2M-炭酸ナトリウム水溶液 3 OmLをカ卩え、アルゴン置換した。 7. 5時間加熱還流した後、放冷し、析出晶をろ別し た。結晶を水、メタノールで洗浄した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶 媒:へキサン Zトルエン =4Zl)にて精製することで、 目的の化合物 (AN— 49) 8. 6 gを白色固体として得た(収率 90%)。得られた化合物の FD— MS (フィールドデイソ ープシヨンマス分析)を測定したところ、 C H = 582に対し mZz = 582力得られた
46 30
ことから、この化合物を AN— 49と同定した。
[0086] 合成実施例 9 (AN— 52の合成)
アルゴン雰囲気下、既知の方法により得られた 10—(6—フエ-ルナフタレンー2— ィル)アントラセン— 9—ボロン酸 l lg、市販の 3—ブロモビフエ-ル 5. 7gを DME80 mL、及びトルエン 20mLに分散し、テトラキストリフエ-ルホスフィンパラジウム 1. 13g 、及び 2M—炭酸ナトリウム水溶液 45mLをカ卩え、 9時間加熱還流した。一晩放置後、 析出晶をろ別し、水、メタノールで洗浄した後、加熱トルエンで洗浄することで、 目的
の化合物 (AN— 52) 6. lgを淡黄色固体として得た (収率 47%)。得られた化合物の FD— MS (フィールドディソープシヨンマス分析)を測定したところ、 C H = 532に
42 28 対し mZz = 532が得られたことから、この化合物を AN— 52と同定した。
[0087] 合成実施例 10 (AN— 53の合成)
アルゴン雰囲気下、既知の方法により得られた 10—(6 フエ-ルナフタレンー2— ィル)アントラセン一 9—ボロン酸 8. 4g、 2— (3—ブロモフエ-ル)ナフタレン 5. 35g を DME80mL、及びトルエン 30mLに分散し、テトラキストリフエ-ルホスフィンパラジ ゥム 0. 87g、及び 2M—炭酸ナトリウム水溶液 40mLを加え、 9時間加熱還流した。 一晩放置後、析出晶をろ別し、水、メタノールで洗浄した後、加熱トルエンで洗浄す ることで、 目的の化合物 (AN— 53) 6. 9gを淡黄色固体として得た (収率 63%)。得 られた化合物の FD— MS (フィールドディソープシヨンマス分析)を測定したところ、 C H = 582に対し mZz = 582が得られたことから、この化合物を AN— 53と同定し
46 30
た。
[0088] 合成実施例 11 (AN— 85の合成)
アルゴン雰囲気下、合成実験例 4で得られた 2 フエ-ルナフタレン 6 ボロン酸 8gと 4 ブロモ 3' ョードビフエニル 11. 6gをトルエン 150mLに溶解し、テトラキ ストリフエ-ルホスフィンパラジウム 0. 75gを加えた。更に 2M—炭酸ナトリウム水溶液 49mLをカ卩えて、 8時間加熱還流した。ー晚放置後、トルエン抽出し、飽和食塩水で 洗浄した後、エバポレーターにて溶媒を留去した。加熱トルエンに溶解し、再結晶を 行うことで、 4 ブロモ 3'— (4 フエ-ルナフタレン一 1ィル)ビフエ-ル 9. 3gを白 色結晶として得た (収率 66%)。
アルゴン雰囲気下、既知の方法により得られた 10—(ナフタレン 2—ィル)アントラ センー9 ボロン酸 6. 2g、上記方法により得られた 4ーブロモー 3'—(4 フエ-ル ナフタレン一 1—ィル)ビフエ-ル 7gを DMElOOmLに分散し、テトラキストリフエ-ル ホスフィンパラジウム 0. 38g、及び 2M—炭酸ナトリウム水溶液 25mLをカ卩え、 8時間 加熱還流した。一晩放置後、析出晶をろ別し、水、メタノールで洗浄、加熱トルエンで 洗浄することで、 目的の化合物 (AN— 85) 6. 7gをベージュ色固体として得た (収率 63%)。得られた化合物の FD— MS (フィールドディソープシヨンマス分析)を測定し
たところ、 C H =658に対し mZz = 658が得られたことから、この化合物を AN— 8
52 34
5と同定した。
[0089] 合成実施例 12 (AN— 89の合成)
アルゴン雰囲気下、既知の方法により得られた 10一 (3一(ナフタレン一 2—ィル)フ ェ -ル)アントラセン一 9 ボロン酸 9. 2g、 2, 6 ジブ口モナフタレンと 2 ナフタレン ボロン酸より既知の方法により得られた 2 ブロモー 6 (ナフタレン 2 ィル)ナフ タレン 6gを DME150mLに分散し、テトラキストリフエ-ルホスフィンパラジウム 0. 42 g、及び 2M—炭酸ナトリウム水溶液 27mLをカ卩え、 8時間加熱還流した。一晩放置後 、析出晶をろ別し、水、メタノールで洗浄、加熱トルエンで洗浄することで、 目的の化 合物 (AN— 89) 7. 2gを淡黄色固体として得た (収率 63%)。得られた化合物の FD — MS (フィールドディソープシヨンマス分析)を測定したところ、 C H =632に対し
50 32
mZz = 632が得られたことから、この化合物を AN— 89と同定した。
[0090] 合成実施例 13 (AN— 92の合成)
アルゴン雰囲気下、既知の方法により得られた 3—(9 (ナフタレン 2 ィル)ァ ントラセン一 10—ィル)フエ-ルボロン酸 8. 4g、 2 ブロモ 6— (ナフタレン一 2—ィ ル)ナフタレン 6gを DME150mLに分散し、テトラキストリフエ-ルホスフィンパラジゥ ム 0. 42g、及び 2M—炭酸ナトリウム水溶液 27mLを加え、 8時間加熱還流した。一 晚放置後、析出晶をろ別し、水、メタノールで洗浄、加熱トルエンで洗浄することで、 目的の化合物 (AN— 92) 6. 7gを淡黄色固体として得た (収率 58%)。得られた化 合物の FD— MS (フィールドディソープシヨンマス分析)を測定したところ、 C H =6
50 32
32に対し mZz = 632が得られたことから、この化合物を AN— 92と同定した。
[0091] 合成実施例 14 (AN— 95の合成)
アルゴン雰囲気下、既知の方法により得られた 10一 (3一(ナフタレン一 2—ィル)フ ェ -ル)アントラセン一 9 ボロン酸 9. 9g、 2 ブロモ 6— (3—ビフエ-ル)ナフタレ ン 7gを DME150mLに分散し、テトラキストリフエ-ルホスフィンパラジウム 0. 45g、 及び 2M—炭酸ナトリウム水溶液 30mLをカ卩え、 7. 5時間加熱還流した。一晩放置後 、析出晶をろ別し、水、メタノールで洗浄、加熱トルエンで洗浄することで、 目的の化 合物 (AN— 95) 7. 2gを淡黄色固体として得た (収率 56%)。得られた化合物の FD
— MS (フィールドディソープシヨンマス分析)を測定したところ、 C H =658に対し
52 34
mZz = 658が得られたことから、この化合物を AN— 95と同定した。
[0092] 合成実施例 15 (AN— 96の合成)
合成実施例 14において、 10— (3— (ナフタレン— 2—ィル)フエ-ル)アントラセン — 9 ボロン酸の代わりに 10— (4— (ナフタレン一 1 ィル)フエ-ル)アントラセン一 9 ボロン酸を用いた他は同様の操作を行 、、 目的の化合物 (AN— 96)をクリーム 色固体として得た(収率 61%)。得られた化合物の FD— MS (フィールドディソープシ ヨンマス分析)を測定したところ、 C H =658に対し
52 34 mZz = 658が得られたことから
、この化合物を AN— 96と同定した。
[0093] 合成実施例 16 (AN— 99の合成)
アルゴン雰囲気下、既知の方法により得られた 4一(9 (ナフタレン 2 ィル)ァ ントラセン一 10—ィル)フエ-ルボロン酸 9. 8g、 1, 4 ジブ口モナフタレンと 2 ナフ タレンボロン酸より既知の方法により得られた 1ーブロモー 4 (ナフタレン 2—ィル )ナフタレン 7gを DME150mLに分散し、テトラキストリフエ-ルホスフィンパラジウム 0 . 49g、及び 2M—炭酸ナトリウム水溶液 32mLをカ卩え、 8時間加熱還流した。一晩放 置後、析出晶をろ別し、水、メタノールで洗浄、加熱トルエンで洗浄することで、 目的 の化合物 (AN— 99) 7. 6gを淡黄色固体として得た (収率 57%)。得られた化合物の FD— MS (フィールドディソープシヨンマス分析)を測定したところ、 C H =632に
50 32 対し mZz = 632が得られたことから、この化合物を AN— 99と同定した。
[0094] 実施例 1 (AN- 10の評価)
25mm X 75mm X 1. 1mm厚の ITO透明電極付きガラス基板(ジォマティック社製 )をイソプロピルアルコール中で超音波洗浄を 5分間行なった後、 UVオゾン洗浄を 3 0分間行なった。洗浄後の透明電極ライン付きガラス基板を真空蒸着装置の基板ホ ルダ一に装着し、まず透明電極ラインが形成されている側の面上に前記透明電極を 覆うようにして膜厚 60nmの N, N,一ビス(N, N,一ジフエ-ルー 4 ァミノフエ-ル) — N, N ジフエ-ル— 4, 4,—ジァミノ— 1, 1,—ビフエ-ル膜(以下「TPD232膜」 と略記する。)を成膜した。この TPD232膜は、正孔注入層として機能する。 TPD23 2膜の成膜に続けて、この TPD232膜上に膜厚 20nmの N, N, Ν' , Ν,—テトラ(4
—ビフエ-ル)一ジアミノビフエ-レン層以下「TBDB層」を成膜した。この膜は正孔 輸送層として機能する。さらに膜厚 40nmの AN— 10を蒸着し成膜した。同時に発光 分子として、下記のスチリル基を有するァミン化合物 BD1を AN— 10に対し、重量比 AN— 10 : BD1 =40 : 2で蒸着した。この膜は、発光層として機能する。この膜上に 膜厚 10nmの Alq膜を成膜した。これは、電子注入層として機能する。この後還元性ト '、一パントである Li (Li源:サエスゲッタ一社製)と Alqを二元蒸着させ、電子注入層 ( 陰極)として Alq: Li膜 (膜厚 lOnm)を形成した。この Alq: Li膜上に金属 A1を蒸着さ せ金属陰極を形成し有機 EL発光素子を形成した。この素子に通電試験を行ったとこ ろ、電圧 6. 93V、電流密度 lOmAZcm2にて 660cdZm2の青色発光が得られた。 初期輝度を 1 OOOcd/m2にしてこの有機 EL素子の半減寿命を測定した結果を表 1 に示す。また、ホスト材料である AN— 10のガラス転移温度 (Tg)を表 1に示す。
[化 27]
B D A 1 q
[0095] 実施例 2〜6
発光層の材料として AN— 10の代わりに表 1に記載の化合物を用いた以外は実施例 1と全く同様に有機 EL素子を作製した。初期輝度を lOOOcdZm2にしてこの有機 EL 素子の半減寿命を測定した結果を表 1に示す。また、各ホスト材料のガラス転移温度 (Tg)を表 1に示す。
[0096] 実施例 7
実施例 1にお 、て発光層の材料として、アミンィ匕合物 BD1の代わりにアミンィ匕合物
BD2を用いた以外は同様にして有機 EL素子を作成し、実施例 1と同様にして半減 寿命を測定した。それらの結果を表 1に示す。また、ホスト材料である AN— 10のガラ ス転移温度 (Tg)を表 1に示す。
[化 28]
[0097] 実施例 8
実施例 1にお 、て発光層の材料として、アミンィ匕合物 BD1の代わりにアミンィ匕合物 BD3を用いた以外は同様にして有機 EL素子を作成し、実施例 1と同様にして半減 寿命を測定した。それらの結果を表 1に示す。また、ホスト材料である AN— 10のガラ ス転移温度 (Tg)を表 1に示す。
[0098] 実施例 9〜14
発光層の材料として AN— 10の代わりに表 1に記載の化合物を用いた以外は実施 例 1と全く同様に有機 EL素子を作製した。初期輝度を lOOOcdZm2にしてこの有機 EL素子の半減寿命を測定した結果を表 1に示す。また、各ホスト材料のガラス転移 温度 (Tg)を表 1に示す。
[0099] 比較例 1〜10
発光層の材料として AN— 10の代わりに表 1に記載の化合物を用いた以外は実施 例 1と全く同様に有機 EL素子を作製した。初期輝度を lOOOcdZm2にしてこの有機 EL素子の半減寿命を測定した結果を表 1に示す。また、各ホスト材料のガラス転移
温度 (Tg)を表 1に示す。
[0100] 比較例 11
発光層の材料として AN-10の代わりに an-3を、ァミン化合物 BD1の代わりにアミ ン化合物 BD2を用いた以外は実施例 1と全く同様に有機 EL素子を作製した。初期 輝度を 1 OOOcdZm2にしてこの有機 EL素子の半減寿命を測定した結果を表 1に示 す。また、ホスト材料である an— 3のガラス転移温度 (Tg)を表 1に示す。
[0101] 比較例 12
発光層の材料として AN— 10の代わりに an- 11を用いた以外は実施例 1と全く同様 に有機 EL素子を作製した。初期輝度を lOOOcd/m2にしてこの有機 EL素子の半減 寿命を測定した結果を表 1に示す。また、各ホスト材料のガラス転移温度 (Tg)を表 1 に示す。
[0102] 比較例で用いた化合物の化学構造は下記に示すとおりである。
[化 30]
[0103] [表 1]
表 1
比較例に記載の化合物 an— 3、 an— 9を用 、た有機 EL素子は長寿命であるが、 ガラス転移温度が低い。これらの化合物に芳香族炭化水素基を導入した化合物 an
—1、 an— 2、及び an— 10はガラス転移温度が向上する力 寿命が大きく低下した。 一方、芳香族炭化水素基を導入する部位を工夫した例示化合物 AN— 10、 AN— 5 2、及び AN— 53はガラス転移温度を向上しつつ、更なる長寿命化が達成された。 また、比較例に記載の化合物 an— 5はガラス転移温度が高ぐ比較的長寿命であ るが、ガラス転移温度を更に向上すべく芳香族炭化水素基を導入した化合物 an— 6 、 an— 7では、ガラス転移温度が向上したものの、寿命が大きく低下した。一方、芳香 族炭化水素基を導入する部位を工夫した例示化合物 AN— 32はガラス転移温度が 大きく向上し、更なる長寿命化が達成された。また、 AN— 32は比較例に記載の an —8と比較しても、長寿命である。
更に比較例に記載の化合物 an— 4に芳香族炭化水素基を導入した化合物 AN— 23、及びその類縁体 AN— 22もガラス転移温度が大きく向上し、長寿命であった。 本発明者らはガラス転移温度 (Tg)を高める為に有効である芳香族基の導入に関 して、導入部位 ¾|¾意検討した結果、下記に示す部位へ導入した場合にのみ素子 寿命を保持しつつガラス転移温度を向上することが可能であり、下記に示した部位以 外へ導入した場合はガラス転移温度は向上するものの、素子寿命が大きく短寿命化 することを見出した。
(a)一般式 (I)〜 (ΠΙ)における Ar2に一つ以上の芳香族炭化水素基、又は芳香族 複素環基を導入した時、すなわち(q=r = 0、かつ Yが水素原子)ではない時
(b)一般式 (I)〜 (ΠΙ)における Ar2へ上記芳香族基を導入しな 、時、すなわち(q = r=0、かつ Yが水素原子)である時は、次の場合に限られる。
ァ.一般式 (Π)において s≠0、又は Zが水素原子ではない。
ィ.一般式 (I)〜(ΠΙ)にお 、て 半 0、又は Xが水素原子ではな 、。
これらの結果力 判るように本発明のアントリルァリーレン誘導体は従来技術に比べ て、高ガラス転移温度であり長寿命である。
産業上の利用可能性
以上詳細に説明したように、本発明の有機 EL素子に用いられる発光材料は、十分 なガラス転移温度を有するアントリルァリーレン誘導体であって、本発明のアントリル ァリーレン誘導体を用いた有機 EL素子は、発光効率が高ぐ長寿命である。このた
め、本発明の有機 EL素子は、実用性が高ぐ壁掛テレビ等の平面発光体やディスプ レイのバックライト等の光源として有用である。有機 EL素子、正孔注入'輸送材料、さ らには電子写真感光体や有機半導体の電荷輸送材料としても用いることができる。