明 細 書
半導体加速度センサ
技術分野
[0001] 本発明は、半導体加速度センサに関し、詳しくは、固定部に対して細長いビーム部 で連結された錘部を有し、加速度が印加されると、ビーム部が橈んで錘部が加速度 方向へ移動することを利用して、加速度を検出する半導体加速度センサに関する。 背景技術
[0002] 従来から、加速度が印加されたときの固定部に対する錘部の移動を基に加速度を 検出する半導体加速度センサが知られている。この加速度センサは、固定部から延 びる片持ち梁状の橈み部 (薄肉のビーム部)先端に設けられた可動部である錘部を 有し、加速度が印加された時に橈み部が橈んで錘部が移動し、その変化を電気的に 検知する構成とされている。錘部の移動を電気的に検知する方式としては、例えば、 特開 2000— 338124号公報、特開平 7 - 159432号公報に記載の加速度センサの ように、錘部を連結する橈み部にゲージ抵抗を形成し、このゲージ抵抗の抵抗値の 変化を計測することによって、橈み部の橈みを検出するようにしたものや、錘部自身 を電極に形成し、錘部が移動して固定電極部との距離が変化することにより生じる静 電容量変化を検出するようにしたもの等がある。
[0003] この種の加速度センサにおいては、加速度が印加された時の錘部の移動の円滑を 図るために、錘部の体積 (重量)は大きぐ橈み部は可能な限り薄肉に形成してあるこ とから、錘部の急な移動や、通常の移動範囲を超える移動が生じた時には、橈み部 が破損して加速度の検出が不能になってしまう虞があった。
[0004] そこで、上記不具合が生じないように、錘部の周りの空間に錘部の移動を制限する ストツバを形成した加速度センサが開発されている。例えば、上記特許公報 1に記載 の加速度センサでは、錘部の移動する空間の上下にストッパを形成して、本来の加 速度検出方向である上下方向にぉ 、て錘部が一定以上変位しな 、ように図ると共に 、錘部の側方にもストッパを形成して、側方からの衝撃が加わった時に錘部は殆ど移 動せず、橈み部の破損が生じないように図っている。
[0005] 一方、固定部と錘部を連結するビーム部 (橈み部)の長さを長くして、加速度センサ としての感度を向上させた加速度センサがある。この加速度センサ 50は、図 16に示 すように、ビーム部 51を、錘部 52の対向する 2辺に基端 51aを有し、錘部 52の隣接 する 2辺に沿って延びる L字状に形成し、 2本のビーム部 51が錘部 52の周囲を取り 巻く構造としている。このセンサ 50では、上下方向(図 16の紙面を貫く方向)に加速 度が印加された時に、ビーム部 51が橈んで、錘部 52が上方又は下方へと移動する 。そして、この加速度センサ 50では、ビーム部 51の長さが十分に長く形成できる分、 加速度の検出感度が相当に向上する長所があるが、上記特許公報 1に示されたよう な、錘部 52の側方への移動を制限するストツバが容易には形成できず、錘部 52の水 平方向への過大な移動によってビーム部 51が破損してしまう虞があった。
[0006] また、上記のように 2本のビーム部 51が錘部 52の周囲を取り巻く構造の加速度セン サでは、特許公報 1及び 2に記載の、片持ち梁状の橈み部によって連結された錘部 とは異なり、錘部 52は水平方向のいずれの方向(前後左右方向)へも移動可能であ り、そのいずれの方向への移動も簡易なストツバによって有効に制限することは困難 であった。
[0007] そこで、本発明は、上記構造の半導体加速度センサにおいて、錘部の本来の加速 度検出方向である上下方向に直交する水平方向において、錘部の移動範囲が制限 され、側方のいずれの方向からの衝撃が印加された場合にも、固定部と錘部を連結 するビーム部に過大な応力が掛カ ず、ビーム部の破損が生じない半導体加速度セ ンサを提供することを目的とする。
[0008] 上記目的を達成するための本発明は、固定部と、この固定部に対して細長い橈み 性のあるビーム部で連結された錘部とを持ち、加速度が印加された時の前記錘部の 移動を電気的に検知する半導体加速度センサにおいて、前記ビーム部は、垂直方 向の加速度がセンサに印加された時に、前記錘部の垂直移動を許容するように、前 記錘部の対向する 2辺に基端を有し、錘部の前記に隣接する 2辺に沿って延びる L 字状に形成されており、前記ビーム部の基端の近傍であって前記錘部と前記固定部 の間の間隙に、前記固定部力 錘部に向けて突出する凸部と、前記錘部から固定部 に向けて突出して前記凸部を囲む受止め凹部と、を備え、前記凸部は、水平方向の
加速度がセンサに印加された時に、前記受止め凹部の内壁に当接することにより、 前記錘部の水平移動を制限する。
これにより、錘部の本来の加速度検出方向である上下方向に直交する水平方向に おいて、錘部の移動範囲が制限され、側方のいずれの方向からの衝撃が印加された 場合にも、固定部と錘部を連結するビーム部に過大な応力が掛カもず、ビーム部の 破損が生じなくなる。
[0009] また、本発明は、固定部と、この固定部に対して細長い橈み性のあるビーム部で連 結された錘部とを持ち、加速度が印加された時の前記錘部の移動を電気的に検知 する半導体加速度センサにおいて、前記ビーム部は、垂直方向の加速度がセンサに 印加された時に、前記錘部の垂直移動を許容するように、前記錘部の対向する 2辺 に基端を有し、錘部の前記に隣接する 2辺に沿って延びる L字状に形成されており、 前記錘部の底部に凹所が形成され、前記錘部の直下方の固定部に、前記凹所に緩 く嵌合するストツバが形成され、水平方向の加速度がセンサに印加された時に、前記 ストツバが前記凹所の内壁に当接することによって前記錘部の水平移動及び垂直下 方移動を制限する。
これにより、錘部の本来の加速度検出方向である上下方向に直交する水平方向に おいて、錘部の移動範囲が制限されると共に、垂直下方への移動も制限されるので 、側方力ゝらの衝撃及び錘部を直下方へ移動させる衝撃が印加された場合にも、固定 部と錘部を連結するビーム部に過大な応力が掛カ ず、ビーム部の破損が生じなく なる。
[0010] また、本発明は、固定部と、この固定部に対して細長い橈み性のあるビーム部で連 結された錘部とを持ち、加速度が印加された時の前記錘部の移動を電気的に検知 する半導体加速度センサにおいて、前記ビーム部は、垂直方向の加速度がセンサに 印加された時に、前記錘部の垂直移動を許容するように、前記錘部の対向する 2辺 に基端を有し、錘部の前記に隣接する 2辺に沿って延びる L字状に形成されており、 前記錘部の下方の固定部に、前記錘部の底部を囲むストツバが形成され、水平方向 の加速度がセンサに印加された時に、前記錘部の底部が前記ストツバの内面に当接 することによって前記錘部の水平移動を制限することを特徴とする。
これにより、錘部の本来の加速度検出方向である上下方向に直交する水平方向に おいて、錘部の移動範囲が制限され、側方のいずれの方向からの衝撃が印加された 場合にも、固定部と錘部を連結するビーム部に過大な応力が掛カもず、ビーム部の 破損が生じなくなる。
図面の簡単な説明
[図 1]図 1 (a)は本発明の第 1の実施形態に係る半導体加速度センサの上面図、 図 1 (b)は上記センサのシリコン基板部分の上面図。
[図 2]図 2は図 1 (b)における A— A線断面図。
[図 3]図 3は上記第 1の実施形態に係る半導体加速度センサにおけるシリコン基板の 上面図。
[図 4]図 4は図 3の B部の拡大図。
[図 5]図 5は上記第 1の実施形態に係る半導体加速度センサにおけるシリコン基板の 凸部と受止め凹部を示す拡大図。
[図 6]図 6は上記凸部と受止め凹部の他の例を示す拡大図。
[図 7]図 7は上記凸部と受止め凹部のさらに他の例を示す拡大図。
[図 8]図 8は本発明の第 2の実施形態に係る半導体加速度センサにおけるシリコン基 板の凸部と受止め凹部を示す拡大図。
[図 9]図 9は本発明の第 3の実施形態に係る半導体加速度センサにおける下側のガ ラス部とシリコン基板部分の縦断面図。
[図 10]図 10は上記下側のガラス部とシリコン基板部分の製造工程を示す図。
[図 11]図 11は上記下側のガラス部とシリコン基板部分の縦断面図。
[図 12]図 12は上記下側のガラス部とシリコン基板部分の横断面図。
[図 13]図 13は本発明の第 4の実施形態に係る半導体加速度センサにおける下側の ガラス部とシリコン基板部分の縦断面図。
[図 14]図 14は上記下側のガラス部とシリコン基板部分の横断面図。
[図 15]図 15は上記下側のガラス部とシリコン基板部分の縦断面図。
[図 16]図 16は従来の半導体加速度センサにおけるシリコン基板の上面図。
発明を実施するための最良の形態
[0012] 以下、本発明の第 1の実施形態について図面を参照して説明する。まず、本実施 形態の半導体加速度センサの全体構造について、図 1と図 2を参照して説明する。 本実施形態の加速度センサ 1は、固定部 2、錘部 3及びビーム部 4を形成したシリコン 基板 5と、シリコン基板 5を上下力 挟んで接合したガラス部 6、 7とからなり、下側のガ ラス部 7に形成した凹所 7aと、シリコン基板 5の上面に形成した凹所 5aによって錘部 3の上下移動空間が形成される(図 2)。上側のガラス部 6下面には導電性の薄膜に より固定極 8が形成され、この固定極 8にスルーホール 9を貫通した導通引出し金属 膜 11を介して電圧が印加される。また、上側のガラス部 6に形成された別のスルーホ ール 12を貫通した導通引出し金属膜 13を介してシリコン基板 5自体に電圧が印加さ れ、加速度 a印加時に錘部 3が上方へ移動して、錘部 3と固定極 8との距離が変化し た時の電気的な変化、すなわち静電容量値の変化を検出するようになっている。ガラ ス部 6の上面に形成された金属膜 11、 13は短絡を防止するため所定の距離 dだけ 離間して形成される(図 l (a) )。固定極 8の基端部 8aとシリコン基板 5との間には絶縁 性を高めるために酸ィ匕膜 (SiO ) 14が形成してある。なお、図 1と図 2は、半導体加速
2
度センサ 1の全体構造を示すために細部につ ヽては省略して示してあり、シリコン基 板 5の正確な構造については、図 3と図 4を参照して次に説明する。
[0013] 本実施形態のシリコン基板 5は、錘部 3を構成する平面視正方形の部分を取り巻く ように細長い L字状のビーム部 4を 2本形成してあり、これらビーム部 4の一端 4aは錘 部 3の対向する 2辺に連結し、他端 4bは固定部 2側に連結してある。そして、本実施 形態のシリコン基板 5では、ビーム部 4の錘部 3に連結した一端 4aに隣接する箇所に 、固定部 2側力も錘部 3へ突出する凸部 15と、錘部 3側から固定部 2へ突出し、凸部 15を囲む受止め凹部 16とを形成してある。凸部 15の外形と受止め凹部 16の内壁は ほぼ同一形状になっていて、錘部 3が上下方向に直交する水平方向(図 3における X Y方向)のいずれの方向への移動も、凸部 15が受止め凹部 16に受止められることに よって制限されるようになっている。従って、側方からの衝撃が加速度センサ 1に加え られても、錘部 3は大きく変位することはなぐビーム部 4に過大な応力が掛カつてビ ーム部 4が破損してしまうことがな 、。
[0014] 上述のようにして錘部 3の水平方向移動が制限されているので、水平方向の衝撃
が印加されてもビーム部 4が破損して加速度センサ 1が測定不能になってしまう虞が ないが、衝撃力が過大であったり、衝撃が大頻度で繰り返し印加されるような場合に は、凸部 15自身が破損してしまう可能性が生じる。この場合には、凸部 15又は受止 め凹部 16の根元部内に次のような構造で空隙を形成して、凸部 15又は受止め凹部 16の耐衝撃性を向上させることができる。
[0015] つまり、図 5に示すように、凸部 15の根元部内に、凸部 15の突出方向に直交する 方向に延び、その長さがほぼ凸部 15の幅程度の空隙 17を形成する。このように構成 すれば、錘部 3に図 5の下方向への衝撃が加わって受止め凹部 16が凸部 15に衝突 する時の衝撃が、凸部 15がその長さ方向(矢印 C)に橈むことによって緩衝され、凸 部 15自身が破損してしまう虡を低減できる。
[0016] また、図 6に示すように、凸部 15の根元部内に形成した空隙 17を、凸部 15の突出 方向に沿って凸部内へも延びる略 T字状に形成すれば、凸部 15の橈み性が、長さ 方向(矢印 C)だけではなぐ幅方向(矢印 D)へも付与されて、凸部 15の耐衝撃性が さらに向上する。
[0017] さらに、図 7に示すように、受止め凹部 16の根元部内に、凸部 15の幅方向に延び る空隙 18を形成すれば、受止め凹部 16が凸部 15に衝突する時の、受止め凹部 16 側が受ける矢印 E方向の衝撃を緩衝して、凸部 15及び受止め凹部 16が破損してし まう虡を低減することができる。この受止め凹部 16の根元部内に空隙 18を形成する 構造の場合には、凸部 15の根元部内に空隙 17を形成する構造に比べて、凸部 15 自身の大きさを大きくすることなく同程度の耐衝撃性を得ることができるので、その分 受止め凹部 16の大きさも小形にできる。従って、加速度を受ける錘部 3の体積 (重量 )を減少しなくて済み、それだけ加速度センサとしての感度の低下を抑制できる。な お、空隙 17又は空隙 18を形成することによって、凸部 15又は受止め凹部 16の耐衝 撃性を向上できると共に、錘部 3に伝わる衝撃が緩衝されるので、錘部 3自身の破損 、さらにはビーム部 4の破損も防止できる効果がある。
[0018] 次に、第 2の実施形態について、図 8を参照して説明する。本実施形態の半導体加 速度センサ 1の全体構造は、第 1の実施形態と同一であり、凸部 15と受止め凹部 16 の形状が次のとおりのテーパ形状に形成してある。つまり、凸部 15の先端が先窄まり
のテーパ状 15aに形成してあり、凹部 16には凸部先端のテーパ形状 15aと同一形状 のテーパ状受け部 16aを形成してある。従って、側方からの衝撃が印加されて錘部 3 が水平移動し、受止め凹部 16が凸部 15に向かって衝突する時、受止め凹部 16と凸 部 15は、双方のテーパ面に沿って滑りながら当接し、衝撃が緩和される。つまり、受 止め凹部 16が凸部 15に向かって当接する時の方向が、テーパ面に直角な方向であ る場合以外では、受止め凹部 16が凸部 15に及ぼす衝撃力はテーパ面に沿う分力と 、テーパ面に直角な面に沿う分力とに分かれるので、凸部 15に加わる衝撃力が緩和 される。従って、凸部 15自身が破損してしまう虞を低減することができる。また、衝撃 が緩和されることによって、錘部 3の破損、さらにはビーム部 4の破損も防止できる効 果がある。
[0019] 次に、第 3の実施形態について図 9と図 10を参照して説明する。本実施形態の半 導体加速度センサ 1の全体構造も、第 1の実施形態とほぼ同一である力 錘部 3の水 平移動を制限するために凸部 15及び受止め凹部 16に代えて、錘部 3の底部に方形 の凹所 3aを形成し、下側のガラス部 7上に凹所 3aに緩く嵌合するストツバ 21を形成し てある(図 9)。錘部 3の凹所 3aがストッパ 21に緩く嵌合することによって、錘部 3の水 平移動が制限されると共に、錘部 3の垂直下方への移動が制限される。従って、加速 度センサ 1が側方からの衝撃を受けた時に、錘部 3が大きく水平方向へ移動すること がなぐビーム部 4の破損が生じない。また、錘部 3の垂直下方への過大な移動が制 限されるので、ビーム部 4の橈み量が過大になることがなぐその点でもビーム部 4の 破損を防止することができる。
[0020] なお、ストッパ 21は、台座であるガラス部 7の上に形成したシリコン等力もなるストツ パ材料 22を、 ICP (Inductively Coupled Plasma)エッチング又は RIE (Reactiv e Ion Etching)等の異方性エッチングによって形成し、別工程で作成したシリコン 基板 5を陽極接合して製造する(図 10)。このようにガラス部 7の上に別材料を形成し 、これを加工してストッパ 21とする方力 加工が容易である。さらにストッパ 21の材料 をシリコン基板 5のシリコン材よりも軟質の材料とすれば、ストッパ 21自身によって、錘 部 3がストッパ 21に衝突する時の衝撃を吸収させることができ、錘部 3及びビーム部 4 に伝わる衝撃を低減することによって錘部 3及びビーム部 4の破損を防止することが
できる。
[0021] また、ガラス部 7の上に形成したストッパ材料 22をカ卩ェする方法は、 ICPエッチング 又は RIE等のドライエッチングに限らず、異方性ウエットエッチングによって行っても よい。異方性ウエットエッチングによる方力 枚葉カ卩ェではないため、量産性が向上 する。
[0022] さらに、本実施形態では、錘部 3の底部の凹所 3aが方形であり、ストッパ 21が凹所 3aに嵌合する方形であるために、加速度センサ 1にカ卩えられる側方力もの衝撃のうち 、ストッパ 21の外周面に垂直な方向の衝撃に対する耐衝撃性と、ストッパ 21の外周 面に垂直な方向を外れる方向力もの衝撃(例えば、ストッパ 21の角部への衝撃)に対 する耐衝撃性が異なる力 次の構造を採用すれば、水平方向いずれの方向の衝撃 に対しても均等に耐衝撃性を得ることができる。
[0023] つまり、図 11と図 12に示したように、ガラス部 7の上に形成するストッパ 21を裁頭円 錐形状 21aに形成し、錘部 3底面の凹所の内面 3bを、ストツバ 21に緩く嵌合する、ス トツパ 21の円錐形状 21aと相似形に形成する。この構造であれば、ストッパ 21の外周 面が円形となるので、水平方向(図 12における XY方向)いずれの方向からの衝撃に 対しても均等な耐衝撃性能が得られる。従って、ストツバ 21自身の破損を防止できる
[0024] 次に、第 4の実施形態について、図 13と図 14を参照して説明する。本実施形態の 半導体加速度センサ 1の全体構造も、第 1の実施形態とほぼ同一であるが、錘部 3の 水平移動を制限するために凸部 15及び受止め凹部 16に代えて、下側のガラス部 7 上に錘部 3の底部を囲む四角枠状のストッパ 22を形成してある。錘部 3の底部が四 角枠状のストッパ 22に囲まれることによって錘部 3の水平移動が制限される。従って、 加速度センサ 1が側方からの衝撃を受けた時に、錘部 3が大きく水平方向へ移動す ることがなく、ビーム部 4の破損が生じない。また、本実施形態では、第 3の実施形態 のように錘部 3に凹所 3aを形成する必要がないので、錘部 3の体積 (重量)が減少す ることがなぐその分加速度センサとしての感度を高く維持できる利点がある。
[0025] さらに、本実施形態では、図 15に示したように、錘部 3の底部を裁頭四角錘形状 3c に形成し、ストッパ 22の内面を錘部の外周面に沿った傾斜面 22aに形成することが
できる。この場合には、錘部 3が水平移動して錘部 3の底部とストッパ 22の内面が衝 突する時に、その衝突の衝撃が傾斜面 22aに沿った分力と傾斜面 22aに垂直な方 向の分力に分けられるので、錘部 3とストッパ 22のそれぞれが受ける衝撃力が低減さ れ、錘部 3及びストッパ 22の破損を防止することができる。
[0026] また、本実施形態における下側のガラス部 7上に形成したストッパ 22も、第 3の実施 形態におけるストッパ 21と同様に、ガラス部 7とは別の材料であって、シリコン基板 5 のシリコン材よりも軟質の材料で形成すれば、錘部 3の底部が、それを囲む四角枠状 のストッパ 22に衝突する時の衝撃を、ストッパ 22自身によって吸収させることができ、 錘部 3及びビーム部 4の破損を防止することができる。さらに、ガラス部 7の上に形成 したストツバ材料を加工する方法も、第 3の実施形態と同様に、 ICPエッチング又は R IE等のドライエッチングに限らず、異方性ウエットエッチングによって行うことができる 。異方性ウエットエッチングによる方力 枚葉カ卩ェではないため、量産性が向上する。
[0027] 以上のように、固定部 2と錘部 3を連結するビーム部 4が錘部 3を取卷くように略 L字 状に形成された半導体加速度センサ 1において、ビーム部 4の錘部 3への連結基端 部 4aに凸部 15と、それに嵌り込む受止め凹部 16を形成したので (第 1及び第 2の実 施形態)、簡単な構造であっても錘部 3の水平方向移動が制限され、側方力 の衝 撃が印加された場合にも、ビーム部 4に過大な応力が掛カもない。従って、ビーム部 4の破損が生じず、加速度の測定が不能になってしまうことがな!、。
[0028] また、凸部 15と、それに嵌り込む受止め凹部 16に代わる構成として、錘部 3の底部 に凹所 3aを形成し、ガラス部 7上にストツバ 21を形成したので (第 3の実施形態)、錘 部 3の水平方向移動が制限されると共に、垂直下方への移動が制限され、ビーム部 4に過大な応力が掛カ ない。従って、ビーム部 4の破損が生じず、加速度の測定が 不能になってしまうことがない。
[0029] さらに、凸部 15と、それに嵌り込む受止め凹部 16に代わる構成として、ガラス部 7 上に、錘部 3の底部を囲む四角枠状のストツバ 22を形成したので (第 4の実施形態) 、錘部 3の水平方向移動が制限され、ビーム部 4に過大な応力が掛カ ない。従って 、ビーム部 4の破損が生じず、加速度の測定が不能になってしまうことがない。
[0030] なお、本出願は、 日本国特許出願 2005— 024959号に基づいており、その特許
出願の内容は、参照によって本出願に組み込まれる。