明 細 書
アンテナ及び無線通信機
技術分野
[0001] この発明は、無線通信に利用されるアンテナ及び無線通信機に関するものである。
背景技術
[0002] 近年、携帯電話等の無線通信機において、広帯域ィ匕のために複共振ィ匕ゃマルチ バンド化が進められている。そして、複数の共振周波数を制御して、広帯域な送受信 が可能なアンテナが研究されている。また、周波数を可変させて広帯域ィ匕を図ったァ ンテナも考えられている。
従来、このようなアンテナとしては、例えば特許文献 1〜特許文献 3に開示されたも のがある。
[0003] 特許文献 1に開示されたアンテナは、 逆 F型アンテナ装置である。具体的には、ァ ンテナ素子が、接地導体上に平行に配置され、少なくとも 1つの結合素子が、これら 接地導体とアンテナ素子との間に、平行に設けられている。そして、アンテナ素子が 、短絡導体によって接地導体に電気的に接続されると共に、給電用同軸ケーブルの 給電点に接続されている。このように、アンテナ素子の他に結合素子を備えることに より、 2つの共振周波数を得るようにしている。
[0004] 特許文献 2に開示されたアンテナは、アンテナ素子と、このアンテナ素子に直列あ るいは並列接続して共振回路を形成する可変容量素子とを備え、上記制御電圧を 可変容量素子に印カロして、共振周波数を変化させるようになっている。
[0005] 特許文献 3に開示されたアンテナは、放射素子と同調回路が直列に接続された構 成をなし、同調回路は、第 1インダクタンス素子と可変容量素子を有した並列回路と が直列に接続された構成をなす。そして、直列接続された第 1アンテナエレメントと第 2アンテナエレメントとによって第 1の共振周波数を得、また、第 1アンテナエレメントの みで第 2の共振周波数を得る。さらに、給電素子力 設けた第 3アンテナエレメントに よって、第 3の共振周波数を得るようにしている。
[0006] 特許文献 1 :特開 2003— 51712号公報
特許文献 2:特開 2002— 232313号公報
特許文献 3:特開 2004— 320611号公報
発明の開示
[0007] し力し、上記した従来のアンテナでは、次のような問題がある。
特許文献 1に開示のアンテナでは、逆 F型アンテナ装置であるので、携帯電話等の ような小型で薄型の無線通信機に実装する場合には、接地導体力 アンテナ素子迄 の高さを小さくしなければならないため、結合素子の取付位置が低い位置に限定さ れてしまう。このため、複共振の共振周波数の制御には限界があり、その帯域幅は、 逆 Fアンテナ素子の帯域幅の 1. 5倍程度しか広がらない。そして、比帯域幅は数% 程度が限界であった。
[0008] 一方、特許文献 2に開示のアンテナでは、上記制御電圧によって、共振周波数を 変化させることができるが、可変容量素子でなる周波数可変用の共振回路をアンテ ナ素子の給電部付近に設けて 、るので、給電部とアンテナ素子との整合条件が変化 してしまう。このため、複雑な整合回路が必要不可欠となる。これに対して、周波数可 変用の共振回路をアンテナ素子の先端部に設ける例が開示されている。この例では 、複雑な回路構成を必要としない反面、電界が最大 (電流密度最小)のアンテナ素子 先端部に、共振回路を設けているので、共振周波数を大きく変化させることができな い。また、 1つの可変容量素子を制御してアンテナの共振周波数を所望の範囲で変 ィ匕させるには、大きな上記制御電圧が必要であり、携帯電話等の無線通信機に求め られる低電圧化の要求に応えることができな 、。
[0009] また、特許文献 3に開示のアンテナでは、複共振可能で且つ共振周波数を変化さ せることができるが、第 3アンテナエレメントが同調回路を介さずに給電素子と並列に 接続されているので、第 3の共振周波数は大きく変化させることができない。そして、 並列回路が放射素子の給電部付近に設けられているので、上記特許文献 2に開示 のアンテナと同様の問題点を有する。
[0010] この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、低電圧で、複数の共 振周波数を同時に所望範囲だけ変化させることができるアンテナ及び無線通信機を 提供することを目的とする。
[0011] 上記課題を解決するために、請求項 1の発明は、先端開放の放射電極を周波数可 変回路を介して給電電極に接続してなる第 1アンテナ部と、周波数可変回路の途中 に接続された先端開放の追加放射電極と給電電極とでなる第 2アンテナ部とを具備 するアンテナであって、周波数可変回路は、給電電極に接続され且つそのリアクタン ス値を直流の制御電圧で変化可能な第 1リアクタンス回路に、第 1アンテナ部の放射 電極に接続された第 2リアクタンス回路を接続してなり、第 2アンテナ部の追加放射電 極は、上記第 1及び第 2リアクタンス回路の接続点から分岐されている構成とした。 カゝかる構成により、第 1アンテナ部が、給電電極と周波数可変回路と放射電極とで 構成され、第 2アンテナ部が給電電極と周波数可変回路の第 1リアクタンス回路と追 加放射電極とで構成される。これにより、第 1アンテナ部による共振周波数と第 2アン テナ部による共振周波数との複共振状態を得ることができる。そして、周波数可変回 路の第 1リアクタンス回路のリアクタンス値を変化させることにより、第 1アンテナ部の 共振周波数と第 2アンテナ部の共振周波数とが同時に変化する。すなわち、周波数 可変回路によって、複数の共振周波数を同時に所望範囲だけ変化させることができ る。ところで、単共振のアンテナで広帯域ィ匕を図る場合には、大きな制御電圧を周波 数可変回路に加えて、共振周波数を広い範囲で変化させる必要がある。しかし、この 発明のアンテナであれば、低い制御電圧で、周波数の異なる複数の共振周波数を 同時に変化させることができるので、低電圧の制御電圧を用いて、広帯域ィ匕を図るこ とがでさる。
[0012] 請求項 2の発明は、請求項 1に記載のアンテナにおいて、第 2リアクタンス回路は、 そのリアクタンス値を制御電圧で変化可能である構成とした。
力かる構成により、第 2リアクタンス回路のリアクタンス値を制御電圧によって所望範 囲で変化させることができ、この結果、第 1アンテナ部の共振周波数を多彩に変化さ せることができる。
[0013] 請求項 3の発明は、請求項 1に記載のアンテナにおいて、第 2リアクタンス回路は、 そのリアクタンス値が固定値である構成とした。
力かる構成により、周波数可変回路のリアクタンス値は、第 1リアクタンス回路の可 変リアクタンス値と第 2リアクタンス回路の固定リアクタンス値との和になり、第 1リアクタ
ンス回路のリアクタンス値を変えることで、第 1及び第 2アンテナ部の共振周波数が同 時に変化する。
[0014] 請求項 4の発明は、請求項 2に記載のアンテナにおいて、第 1リアクタンス回路は、 可変容量素子を含む直列回路又は可変容量素子を含む並列回路であり、第 2リアク タンス回路は、可変容量素子を含む直列回路又は可変容量素子を含む並列回路で あり、第 1及び第 2リアクタンス回路の可変容量素子の同極同士を接続して第 1及び 第 2リアクタンス回路の接続点とし、可変容量素子の容量を制御するための制御電圧 をこの接続点に印加する構成とした。
[0015] 請求項 5の発明は、請求項 3に記載のアンテナにおいて、第 1リアクタンス回路は、 可変容量素子を含む直列回路又は可変容量素子を含む並列回路であり、第 2リアク タンス回路は、固定容量素子を含む直列回路又は固定容量素子を含む並列回路で あり、第 1リアクタンス回路の可変容量素子を第 2リアクタンス回路に接続して第 1及び 第 2リアクタンス回路の接続点とし、可変容量素子の容量を制御するための制御電圧 をこの接続点に印加する構成とした。
[0016] 請求項 6の発明は、請求項 1ないし請求項 5のいずれかに記載のアンテナにおいて 、インダクタを、第 1リアクタンス回路と第 2リアクタンス回路とを跨ぐように、第 1及び第 2リアクタンス回路に並列に接続した構成とする。
カゝかる構成により、当該インダクタを使用することで、第 1アンテナ部や第 2アンテナ 部でカバーする周波数よりも低い周波数帯で共振する第 3のアンテナ部を構成する ことができる。
[0017] 請求項 7の発明は、請求項 1ないし請求項 6のいずれかに記載のアンテナにおいて 、追加放射電極は、共振周波数を制御するためのインダクタを介して、接続点から分 岐している構成とした。
[0018] 請求項 8の発明は、請求項 1ないし請求項 7のいずれかに記載のアンテナにおいて 、追加放射電極とは別体の 1つ以上の追加放射電極を接続点から分岐させた構成と する。
力かる構成により、さらなる多共振ィ匕が可能となる。
[0019] 請求項 9の発明は、請求項 8に記載のアンテナにおいて、別体の 1つ以上の追カロ
放射電極のそれぞれを、第 1リアクタンス回路と同構造の別のリアクタンス回路を介し て接続点力 分岐させ、この別のリアクタンス回路の可変容量素子の容量を制御する ための別の制御電圧をこのリアクタンス回路に印加する構成とした。
力かる構成により、各追加放射電極についてのアンテナ部の共振周波数を、各ァ ンテナ部毎に自由に変化させることができる。
[0020] 請求項 10の発明は、請求項 1ないし請求項 9のいずれかに記載のアンテナにおい て、追加放射電極とは別体の追加放射電極を放射電極の途中に接続した構成とす る。
[0021] 請求項 11の発明は、請求項 10に記載のアンテナにおいて、別体の追加放射電極 をインダクタを介して放射電極に接続した構成とする。
[0022] 請求項 12の発明は、請求項 1ないし請求項 11のいずれかに記載のアンテナにお いて、第 1アンテナ部は、給電電極と放射電極の開放先端とが間隔を介して対向配 置されたループ形状をなす構成とした。
力かる構成により、給電電極と放射電極の開放先端との間隔を変化させることにより
、第 1アンテナ部のリアクタンス値を変えることができる。
[0023] 請求項 13の発明は、請求項 1ないし請求項 12のいずれかに記載のアンテナにお いて、給電電極と周波数可変回路と放射電極と追加放射電極等のアンテナ要素の 全て又は一部を誘電体基体上に形成した構成とする。
力かる構成により、誘電体基体の誘電率を変化させることにより、第 1及び第 2アン テナ部のリアクタンス値を変えることができる。
[0024] 請求項 14の発明は、請求項 1ないし請求項 13のいずれかに記載のアンテナにお いて、第 1アンテナ部の放射電極,第 2アンテナ部の追加放射電極,及び 1つ以上の 別体の追加放射電極のうちの 、ずれかの電極又は全ての電極にぉ 、て、その電極 の途中又は開放先端を、インダクタ単体又はリアクタンス回路を介してグランドに接続 した構成とする。
力かる構成により、インダクタ単体又はリアクタンス回路に基づく新たな共振を得るこ とがでさる。
[0025] 請求項 15の発明は、請求項 14に記載のアンテナにおいて、リアクタンス回路は、
直列共振回路又は並列共振回路のいずれかの回路、又はこれら直列共振回路と並 列共振回路との複合回路である構成とした。
[0026] 請求項 16の発明は、請求項 14又は請求項 15に記載のアンテナにおいて、 FMの 電波, VHF帯の電波,及び UHF帯の電波を受信可能に設定した構成とする。
[0027] そして、請求項 17の発明に係る無線通信機は、請求項 1ないし請求項 16のいずれ かに記載のアンテナを具備する構成とした。
[0028] 以上詳しく説明したように、請求項 1ないし請求項 16の発明のアンテナによれば、 複共振状態を実現することができ、しかも、低い制御電圧で、広帯域ィ匕を図ることが できるという優れた効果がある。これにより、携帯電話等のように、低電源電圧化が要 求される無線通信機等にも適用することができる。
特に、請求項 2の発明に係るアンテナによれば、周波数可変回路の第 2リアクタンス 回路も可変であるので、第 1アンテナ部の共振周波数をより多彩に変化させることが できる。
また、請求項 3の発明に係るアンテナによれば、周波数可変回路の第 2リアクタンス 回路が固定であるので、低コストで、第 1及び第 2アンテナ部の共振周波数に異なる 変化量を与えることができる。
また、請求項 6の発明に係るアンテナによれば、インダクタンスを追加して使用する ことで、給電電極とこのインダクタと放射電極とでなる第 3のアンテナ部を構成すること ができ、新たに低 、共振周波数の帯域を確保することができる。
また、請求項 8の発明に係るアンテナによれば、さらなる多共振ィ匕が可能となり、マ ルチメディアに対応したマルチバンドのアンテナを提供することができる。
特に、請求項 9の発明に係るアンテナによれば、各共振周波数を多彩に変化させる ことができる。
また、請求項 14ないし請求項 16の発明に係るアンテナによれば、アンテナ体積を 小さく保ちながら、新たな共振を付加させることができる。
特に、請求項 15の発明に係るアンテナにおいて、リアクタンス回路を直列共振回路 とすることで、この直列共振回路が接続された電極の共振周波数に対する影響を小 さくすることができ、また、リアクタンス回路を並列共振回路とすることで、装荷インダク
タの定数を小さくすることが可能となり、チップ部品が持つ自己共振周波数の問題を 解決することができる。さらに、リアクタンス回路を直列共振回路と並列共振回路との 複合回路にすることで、直列共振回路の持つ利点と並列共振回路の持つ利点との 双方の利点を得ることができる。
そして、請求項 17の発明によれば、低電圧で、広帯域の送受信が可能な無線通信 機を提供することができる。
図面の簡単な説明
圆 1]この発明の第 1実施例に係るアンテナを示す概略平面図である。
圆 2]複共振の可変状態を説明するための線図である。
[図 3]低電圧で広帯域ィ匕が可能であることを説明するための線図である。
圆 4]この発明の第 2実施例に係るアンテナを示す概略平面図である。
圆 5]直列回路の第 1リアクタンス回路の具体例を示す回路図である。
圆 6]可変の第 2リアクタンス回路の具体例を示す回路図である。
圆 7]この発明の第 3実施例に係るアンテナを示す概略平面図である。
圆 8]固定の第 2リアクタンス回路の具体例を示す回路図である。
[図 9]第 3実施例の一変形例を示す概略平面図である。
圆 10]この発明の第 4実施例に係るアンテナを示す概略平面図である。
圆 11]並列回路の第 1リアクタンス回路の具体例を示す回路図である。
[図 12]第 4実施例の変形例を示す概略平面図であり、図 12の(a)は第 1変形例を示 し、図 12の (b)は第 2変形例を示し、図 12の(c)は第 3変形例を示す。
圆 13]この発明の第 5実施例に係るアンテナを示す概略平面図である。
[図 14]付加したインダクタの特性によって生じるリターンロス曲線図であり、図 14の(a
)は、インダクタをチョークコイルとして設定した場合を示し、図 14の(b)は、インダクタ を共振周波数調整用として設定した場合を示す。
[図 15]第 5実施例の変形例を示す概略平面図であり、図 15の(a)は第 1変形例を示 し、図 15の (b)は第 2変形例を示す。
圆 16]この発明の第 6実施例に係るアンテナを示す概略平面図である。
圆 17]この発明の第 7実施例に係るアンテナを示す斜視図である。
[図 18]この発明の第 8実施例に係るアンテナを示す概略平面図である。
[図 19]付加したインダクタの特性によって生じるリターンロス曲線図である。
[図 20]この発明の第 9実施例に係るアンテナを示す概略平面図である。
[図 21]付加した 2つのインダクタの特性によって生じるリターンロス曲線図である。
[図 22]この発明の第 10実施例に係るアンテナを示す概略平面図である。
[図 23]付加した 3つのインダクタの特性によって生じるリターンロス曲線図である。
[図 24]この発明の第 11実施例に係るアンテナを示す概略平面図である。
[図 25]付加した直列共振回路の特性によって生じるリターンロス曲線図である。
[図 26]インダクタ単体のリアクタンスと直列共振回路のリアクタンスとを比較して示す 線図である。
[図 27]この発明の第 12実施例に係るアンテナを示す概略平面図である。
[図 28]付加した直列共振回路の特性によって生じるリターンロス曲線図である。
[図 29]この発明の第 13実施例に係るアンテナを示す概略平面図である。
[図 30]付加した直列共振回路の特性によって生じるリターンロス曲線図である。
[図 31]放射電極を追加放射電極に直接形成した変形例を示す概略平面図である。 符号の説明
[0030] 1…アンテナ、 2…第 1アンテナ部、 3…第 2アンテナ部、 4…周波数可変回路、
4a…第 1リアクタンス回路、 4b…第 2リアクタンス回路、 5…給電電極、 6…放射 電極、 6' , 7, 1' …追加放射電極、 9…直列共振回路、 9' …並列共振回路 、 10· · ·複合回路、 40, 41, 43, 46, 47, 90〜94, 94' , 111, 112· · ·インダクタ 、 42, 44· · ·可変容量ダイオード、 45, 48, 95, 95' …コンデンサ、 60· "開放 先端、 61, 70, 71 · · ·共振周波数調整用インダクタ、 100· · ·回路基板、 101…非 グランド領域、 102· · ·グランド領域、 110…送受信部、 120…受信周波数制御 部、 121, DC…高周波カット用抵抗、 122· · ·パスコンデンサ、 G…間隔、 M, Ml, Μ2· · ·変化量、 P…接続点、 Vc…制御電圧、 fO, fa, fb, fc, fl, f2…共振 周波数。
発明を実施するための最良の形態
[0031] 以下、この発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
実施例 1
[0032] 図 1は、この発明の第 1実施例に係るアンテナを示す概略平面図である。
この実施例のアンテナ 1は、携帯電話等の無線通信機に設けられている。 図 1に示すように、アンテナ 1は、無線通信機の回路基板 100の非グランド領域 10 1に形成されており、グランド領域 102上に搭載されている送受信部 110との間で高 周波信号のやり取りを行う。また、直流の制御電圧 Vcが、送受信部 110内に設けら れて 、る受信周波数制御部 120からアンテナ 1に入力されるようになって 、る。
[0033] アンテナ 1は、第 1アンテナ部 2と第 2アンテナ部 3とを有し、これら第 1及び第 2アン テナ部 2, 3が周波数可変回路 4を共有した構造になっている。
[0034] 第 1アンテナ部 2は、放射電極 6を周波数可変回路 4を介して給電電極 5に接続し てなる。具体的には、インダクタ 111, 112で構成される整合回路が非グランド領域 1 01上に形成され、導体パターンである給電電極 5がこの整合回路を介して送受信部 110に接続されている。すなわち、給電電極 5は、第 1アンテナ部 2の給電部をなす。 また、放射電極 6は、給電電極 5に周波数可変回路 4を介して接続され、その開放先 端 60が給電電極 5に所定の間隔 Gを介して対向する形状の導体パターンである。こ れにより、第 1アンテナ部 2は、全体として、ループ形状をなす。そして、間隔 Gによつ て給電電極 5と放射電極 6との間に容量が生じるため、この間隔 Gの大きさを変化さ せることにより、第 1アンテナ部 2のリアクタンス値を所望値に変えることができる。
[0035] 周波数可変回路 4は、第 1アンテナ部 2の給電電極 5と放射電極 6との間に介設さ れ、リアクタンス値の可変によって第 1アンテナ部 2の電気長を変え、第 1アンテナ部 2 の共振周波数を可変とする回路である。
周波数可変回路 4は、給電電極 5に接続され且つそのリアクタンス値を制御電圧 Vc で変化可能な第 1リアクタンス回路 4a (図 1で「jXl」と記す)に、放射電極 6に接続さ れた第 2リアクタンス回路 4b (図 1で「jX2」と記す)を接続した回路構造になっている。 第 1リアクタンス回路 4aとしては、可変容量素子を含む直列回路又は可変容量素 子を含む並列回路がある。
一方、第 2リアクタンス回路 4bとしては、制御電圧 Vcによってそのリアクタンス値が 制御可能な回路、即ち可変容量素子を含む直列回路又は可変容量素子を含む並
列回路や、そのリアクタンス値が固定な回路、即ち固定容量素子を含む直列回路又 は固定容量素子を含む並列回路である。
これら第 1リアクタンス回路 4aと第 2リアクタンス回路 4bとの接続点 Pが、高周波カツ ト用抵抗 121及び DCパスコンデンサ 122を介して受信周波数制御部 120に接続さ れている。
これにより、受信周波数制御部 120からの制御電圧 Vcが接続点 Pに印加されると、 第 1及び第 2リアクタンス回路 4a, 4bのリアクタンス値が制御電圧 Vcの大きさに対応 して変化する。
[0036] 第 2アンテナ部 3は、周波数可変回路 4の途中に接続された先端開放の追加放射 電極 7と給電電極 5とでなる。
具体的には、導体パターンの追加放射電極 7が、第 1及び第 2リアクタンス回路 4a, 4bの接続点 Pに、第 2アンテナ部 3の共振周波数を制御するための共振周波数調整 用インダクタ 70を介して接続されている。これにより、第 2アンテナ部 3は、給電電極 5 と周波数可変回路 4の第 1リアクタンス回路 4aと追加放射電極 7とで構成される。そし て、制御電圧 Vcが接続点 Pに印加されて、周波数可変回路 4の第 1リアクタンス回路 4aのリアクタンス値が変化すると、第 2アンテナ部 3の電気長が変わり、第 2アンテナ 部 3の共振周波数が可変となる。
[0037] 次に、この実施例のアンテナが示す作用及び効果について説明する。
図 2は、複共振の可変状態を説明するための線図であり、図 3は、低電圧で広帯域 化が可能であることを説明するための線図である。
上記したように、第 1アンテナ部 2が、給電電極 5と周波数可変回路 4と放射電極 6と で構成され、第 2アンテナ部 3が給電電極 5と周波数可変回路 4の第 1リアクタンス回 路 4aと追加放射電極 7とで構成されているので、第 1アンテナ部 2による共振周波数 f 1と第 2アンテナ部 3による共振周波数 f2との 2共振状態を得ることができる。そして、 放射電極 6の長さを追加放射電極 7よりも長く設定しておくと、第 1アンテナ部 2による 共振周波数 flが第 2アンテナ部 3による共振周波数 f2よりも低くなり、図 2の実線で示 すリターンロス曲線 S1を得る。そこで、第 2リアクタンス回路 4bが、上記したように、制 御電圧 Vcで制御可能な可変回路である場合には、制御電圧 Vcを受信周波数制御
部 120から周波数可変回路 4の接続点 Pに印加することにより、第 1及び第 2リアクタ ンス回路 4a, 4bのリアクタンス値が変化して、第 1アンテナ部 2の電気長が変化する。 この結果、図 2の破線で示すリターンロス曲線 S2で示すように、第 1アンテナ部 2の共 振周波数 flが制御電圧 Vcの大きさに対応した変化量 Mlだけ移動して、周波数 fl ' に至る。そして、同時に、第 2アンテナ部 3の共振周波数 f2が、可変容量ダイォー ド 42のリアクタンス値の変化に対応した変化量 M2だけ移動して、周波数 に至る 。したがって、第 1及び第 2リアクタンス回路 4a, 4bの部品設定によって、共振周波数 flの変化量 Mlと共振周波数 f2の変化量 M2を等しくしたり、異ならしめたりして、こ れら共振周波数 fl, f2を所望範囲で変化させることができる。また、第 2リアクタンス 回路 4bもリアクタンス値が可変であるので、第 1アンテナ部 2の共振周波数 flを多彩 に変ィ匕させることができる。
また、この実施例のアンテナ 1によれば、低電圧の制御電圧 Vcで広帯域ィ匕を図るこ とができる。すなわち、図 3の(a)に示すように、共振周波数 flのみの単共振のアンテ ナで周波数 fl〜f3迄の送受信が可能なように広帯域ィヒを図る場合、大きな制御電 圧 Vcを周波数可変回路に加えて、共振周波数 flを変化量 Mだけ変化させ、周波数 fl〜周波数 f 3まで変化させるようにしなければならない。したがって、このようなアン テナは低電圧化が要求される携帯電話等の無線通信機には適当でない。
これに対して、この実施例のアンテナ 1では、 2共振状態の共振周波数 fl, f2を制 御電圧 Vcによって同時に変化させることができる。このため、図 3の(b)に示すように 、共振周波数 f2を所望周波数 f2' (=f3)まで変化させると共に、共振周波数 flを 共振周波数 f 2の最低周波数 f 2以上の周波数 まで変化させるようにすることで、 周波数 fl〜f3迄の広帯域の送受信が可能となる。このとき、共振周波数 fl, f2の変 化量はそれぞれ Ml, M2であり、いずれの変化量も単共振の場合の変化量 Mに比 ベて極めて小さい。すなわち、このアンテナ 1では、僅かな変化量 Mlや変化量 M2 だけ変化させる低電圧の制御電圧 Vcによって、共振周波数 fl, f2を周波数 fl〜f3 の範囲で変化させることができるので、周波数が fl〜f 3という広帯域での送受信が 可能になる。したがって、この実施例のアンテナ 1を用いることで、携帯電話等のよう に、低電源電圧化が要求される無線通信機等でも広帯域の送受信が可能となる。
また、このアンテナ 1において、単共振の場合と同じ大きさの制御電圧 Vcを周波数 可変回路 4に印加した場合には、周波数 fl〜f 3を遙かに越えた広い範囲での送受 信が可能となる。周波数可変回路 4の部品の設定いかんによって、単共振の場合の 帯域の倍以上の帯域を確保することもできる。
実施例 2
[0039] 図 4は、この発明の第 2実施例に係るアンテナを示す概略平面図であり、図 5は、直 列回路の第 1リアクタンス回路 4aの具体例を示す回路図であり、図 6は、可変の第 2リ ァクタンス回路 4bの具体例を示す回路図である。
この実施例のアンテナ 1は、第 1実施例の第 1リアクタンス回路 4a及び第 2リアクタン ス回路 4bに対して具体的な可変の直列回路を適用したものである。
第 1リアクタンス回路 4aとしては、可変容量素子を含む直列回路又は可変容量素 子を含む並列回路があるが、この実施例では、可変容量素子を含む直列回路を適 用した。ところで、可変容量素子を含む直列回路としては、図 5の (a)及び (b)に示す 直列回路が挙げられる。この例では、図 5の(a)の直列回路を適用した。
一方、第 2リアクタンス回路 4bとしては、可変容量素子を含む直列回路又は可変容 量素子を含む並列回路や、固定容量素子を含む直列回路又は固定容量素子を含 む並列回路があるが、この実施例では、可変容量素子を含む直列回路又は可変容 量素子を含む並列回路を適用した。ところで、可変容量素子を含む直列回路又は可 変容量素子を含む並列回路としては、図 6の(a)〜(d)に示す回路が挙げられる。こ の例では、可変回路である図 6の(a)の直列回路を適用した。
[0040] すなわち、図 4に示すように、給電電極 5に接続されたインダクタ 41に、可変容量素 子としての可変容量ダイオード 42のアノード側を接続した直列回路で第 1リアクタン ス回路 4aを構成し、放射電極 6に接続されたインダクタ 43に、可変容量素子としての 可変容量ダイオード 44のアノード側を接続した直列回路で第 2リアクタンス回路 4bを 構成した。そして、これら可変容量ダイオード 42, 44の同極同士 (力ソード側同士)を 接続し、その接続点 Pを、高周波カット用抵抗 121及び DCパスコンデンサ 122を介し て受信周波数制御部 120に接続している。ところで、可変容量ダイオード 42, 44の アノード側の電位を共にゼロ電位にする必要があることから、インダクタ 4cをインダク
タ 41の給電電極 5側の端部とインダクタ 43の放射電極 6側の端部との間に接続した これにより、制御電圧 Vcが受信周波数制御部 120から周波数可変回路 4の接続点 Pに印カロされると、可変容量ダイオード 42, 44の容量値が変化して、第 1アンテナ部 2の電気長が変化し、第 1アンテナ部 2の共振周波数が制御電圧 Vcの大きさに対応 した共振周波数に変位する。これと同時に、第 2アンテナ部 3の共振周波数も、可変 容量ダイオード 42のリアクタンス値の変化に対応して変位する。
[0041] なお、この実施例では、直列接続回路である第 1リアクタンス回路 4aに接続される 第 2リアクタンス回路 4bとして、インダクタ 43と可変容量ダイオード 44とを直列に接続 した図 6の(a)に示す回路を適用した力 これに限るものではなぐ可変容量ダイォー ド 44を含むあらゆる直列回路又は並列回路を適用することができる。したがって、第 2リアクタンス回路 4bとして、図 6の(d)に示す並列回路のいずれをも適用することが できる。
実施例 3
[0042] 次に、この発明の第 3実施例について説明する。
図 7は、この発明の第 3実施例に係るアンテナを示す概略平面図であり、図 8は、固 定の第 2リアクタンス回路 4bの具体例を示す回路図である。
上記第 2実施例では、第 1リアクタンス回路 4aとして、可変容量素子を含む直列回 路を適用し、第 2リアクタンス回路 4bとして、可変容量素子を含む直列回路又は可変 容量素子を含む並列回路を適用したが、この実施例では、第 2リアクタンス回路 4bと して、固定容量素子を含む直列回路又は固定容量素子を含む並列回路を適用した ところで、固定容量素子を含む直列回路又は固定容量素子を含む並列回路として は、図 8の(a)〜(e)に示す回路が挙げられる。この例では、固定回路である図 8の(a )の直列回路を適用した。
[0043] 具体的には、図 7に示すように、周波数可変回路 4の第 1リアクタンス回路 4aを、上 記第 1実施例と同様に、インダクタ 41と可変容量ダイオード 42との直列回路で構成し 、第 2リアクタンス回路 4bを、固定容量素子としてのコンデンサ 45とインダクタ 43との
直列回路で構成した。そして、第 1リアクタンス回路 4aの可変容量ダイオード 42を第 2リアクタンス回路 4bのコンデンサ 45に接続して、その接続点 Pに、可変容量ダイォ ード 42の容量を制御するための制御電圧 Vcを印加するようにした。
[0044] 力かる構成により、第 2リアクタンス回路 4bのリアクタンス値が固定であるので、高価 な可変容量ダイオード 44等を必要とせず、その分低コストで製造することができる。 その他の構成、作用及び効果は、上記第 2実施例と同様であるので、その記載は 省略する。
[0045] なお、この実施例では、直列接続回路である第 1リアクタンス回路 4aに接続される 第 2リアクタンス回路 4bとして、インダクタ 43とコンデンサ 45とを直列に接続した図 8 の(a)に示す回路を適用したが、これに限るものではなぐコンデンサ 45を含むあら ゆる直列回路又は並列回路を適用することができる。したがって、第 2リアクタンス回 路 4bとして、図 8の(e)に示す並列回路を適用することもできる。すなわち、図 9に示 すように、インダクタ 43とコンデンサ 45とを並列に接続した並列回路で第 2リアクタン ス回路 4bを構成し、可変容量ダイオード 42の力ソード側を第 2リアクタンス回路 4bに 接続することで、この実施例と同様の作用効果を得ることができる。
実施例 4
[0046] 次に、この発明の第 4実施例について説明する。
図 10は、この発明の第 4実施例に係るアンテナを示す概略平面図であり、図 11は 、並列回路の第 1リアクタンス回路 4aの具体例を示す回路図である。
上記第 2及び第 3実施例では、第 1リアクタンス回路 4aとして、可変容量素子を含む 直列回路を適用したが、この実施例では、第 1リアクタンス回路 4aとして、可変容量素 子を含む並列回路を適用した。
ところで、可変容量素子を含む並列回路としては、図 11の (a)及び (b)に示す回路 が挙げられる。この例では、図 11の(a)の並列回路を適用した。
すなわち、図 10に示すように、インダクタ 47及び共用のコンデンサ 48でなる直列回 路を、インダクタ 41及び可変容量ダイオード 42でなる直列回路に並列に接続して、 並列回路の第 1リアクタンス回路 4aを構成した。また、第 2リアクタンス回路 4bにおい ても同様に、インダクタ 46及び共用のコンデンサ 48でなる直列回路を、インダクタ 43
及び可変容量ダイオード 44でなる直列回路に並列に接続して、並列回路の第 2リア クタンス回路 4bを構成した。
そして、可変容量ダイオード 42, 44の同極同士を接続して、その接続点 Pに可変 容量ダイオード 42, 44の容量を制御するための制御電圧 Vcを印加するようにした。
[0047] 力かる構成により、周波数可変回路 4の第 1リアクタンス回路 4aが並列回路になつ ているので、直列回路を用いた場合に比べて、第 1リアクタンス回路 4aのリアクタンス 値を大きく変化させることができる。
また、インダクタ 46, 47のいずれかをチョークコイルとして用いることにより、第 1及 び第 2リアクタンス回路 4a, 4bの一方を直列回路構成のリアクタンス回路とし、他方を 並列回路構成のリアクタンス回路とすることができる。したがって、例えばインダクタ 4 6をチョークコイルとして用いることで、第 2アンテナ部 3を、給電電極 5とインダクタ 41 及び可変容量ダイオード 42の直列回路と追加放射電極 7とで構成することとなり、か かる条件下で、共振周波数 f2の設定と可変範囲が決まることとなる。なお、コンデン サ 48は、直流カット用のコンデンサとして機能する。
その他の構成、作用及び効果は、上記第 2及び第 3実施例と同様であるので、その 記載は省略する。
[0048] なお、この実施例では、並列回路である第 1リアクタンス回路 4aに接続される第 2リ ァクタンス回路 4bとして、図 8の(c)に示す並列回路を接続した例を示した力 これに 限るものではなぐ第 2リアクタンス回路 4bとして、図 6及び図 8に示すあらゆる回路を 適用することができることは勿論である。したがって、図 12に示すような変形が可能で ある。すなわち、第 1リアクタンス回路 4aと第 2リアクタンス回路 4bとの接続の組合せと して、図 12の(a)〖こ示すように、図 11の(a)の並列回路と図 6の(d)に示す可変並列 回路の組合せや、図 12の(b)〖こ示すよう〖こ、図 11の(b)の並列回路と図 8の(a)に示 す固定直列回路の糸且合せ、及び図 12の(c)に示すように、図 11の(a)の並列回路と 図 8の(d)に示す固定並列回路の組合せ等を採用することができる。
実施例 5
[0049] 次に、この発明の第 5実施例について説明する。
図 13は、この発明の第 5実施例に係るアンテナを示す概略平面図であり、図 14は
付加したインダクタの特性によって生じるリターンロス曲線図であり、図 14の(a)は、ィ ンダクタをチョークコイルとして設定した場合を示し、図 14の (b)は、インダクタを共振 周波数調整用として設定した場合を示す。
この実施例は、図 13に示すように、インダクタ 40を周波数可変回路 4の第 1及び第 2リアクタンス回路 4a, 4bを跨ぐように並列に付加した点力 上記第 1ないし第 4実施 例と異なる。
ここでは、第 1リアクタンス回路 4aとして図 5の(a)に示した可変直列回路を採用す ると共に、第 2リアクタンス回路 4bとして、図 6の (b)に示した可変回路を採用して構 成した周波数可変回路 4に、インダクタ 40を並列に接続した例について説明する。 すなわち、インダクタ 40を給電電極 5と放射電極 6との間に配し、その両端を、可変 容量ダイオード 42, 44の力ソード側にそれぞれ接続した。
[0050] したがって、インダクタ 40をチョークコイルとして設定することで、雑音を帯域内から 除去することができると共に、任意の共振周波数のみを大きく動かすことができる。こ れにより、図 14の(a)の実線リターンロス曲線 S1及び破線リターンロス曲線 S2で示 すように、共振周波数 flの変化量 Mlが共振周波数 f2の変化量 M2よりも大きくなる ように、共振周波数 flのみを大きく変化させることができる。
[0051] また、インダクタ 40を共振周波数調整用インダクタとして設定することで、給電電極 5とこのインダクタ 40と放射電極 6とでなる第 3のアンテナ部を構成することができる。 この結果、図 14の (b)の実線リターンロス曲線 S1に示すように、第 1アンテナ部 2の 共振周波数 flよりも低い周波数領域に、この第 3のアンテナ部による新たな共振周 波数 fOを生成して、その低い帯域を確保することができる。また、破線リターンロス曲 線 S2に示すように、インダクタ 40のインダクタンス値を調整することで、第 3のアンテ ナ部の共振周波数 fOを任意に変化させることができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第 1ないし第 4実施例と同様であるので、そ の記載は省略する。
[0052] なお、この実施例では、第 1リアクタンス回路 4aとして、図 5の(a)に示した可変直列 回路を採用すると共に、第 2リアクタンス回路 4bとして、図 6の (b)に示した可変回路 を採用して、周波数可変回路 4を構成したが、インダクタ 40を第 1及び第 2リアクタン
ス回路 4a, 4bを跨ぐように並列に付加してあればよぐ周波数可変回路 4の構造に限 定はない。したがって、図 15に示すようなアンテナを考えることができる。
すなわち、図 15の (a)に示すように、上記第 2実施例で適用した構造の周波数可 変回路 4に、インダクタ 40を並列に接続しても、この実施例と同様の作用効果を得る ことができる。また、図 15の(b)に示すように、第 2リアクタンス回路 4bに、インダクタ 4 3とコンデンサ 45との直列回路を採用しても、この実施例と同様の作用効果を得るこ とがでさる。
実施例 6
[0053] 次に、この発明の第 6実施例について説明する。
図 16は、この発明の第 6実施例に係るアンテナを示す概略平面図である。 この実施例は、上記第 4実施例において、第 2アンテナ部 3の追加放射電極 7とは 別体の追加放射電極 を共振周波数調整用インダクタ 71を介して接続点 Pに接続 すると共に、追加放射電極 を共振周波数調整用インダクタ 61を介して放射電極 6に接続した構成とした。そして、制御電圧 Vcを接続点 Pに印加するようにした。 これにより、給電電極 5と第 1リアクタンス回路 4aと共振周波数調整用インダクタ 71 と追加放射電極 7' とで第 3のアンテナ部が形成されると共に、給電電極 5と周波数 可変回路 4と追加放射電極 とによって第 4のアンテナ部が形成され、 4共振のァ ンテナを実現することができる。すなわち、さらなる多共振ィ匕が可能となり、マルチメ ディアに対応したマルチバンドのアンテナを提供することができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記実施例と同様であるので、その記載は省略 する。
実施例 7
[0054] 次に、この発明の第 7実施例について説明する。
図 17は、この発明の第 7実施例に係るアンテナを示す斜視図である。
この実施例は、給電電極 5と周波数可変回路 4と放射電極 6と追加放射電極 7等の アンテナ要素を所定の誘電体基体上に形成した構成とする。
この実施例では、図 17に示すように、図 15の(a)に示したアンテナを誘電体基体 8 表面に形成した例について説明する。
[0055] 具体的には、誘電体基体 8は、正面 80と両側面 81, 82と上面 83と下面 84と裏面 8 5とを有する直方体状をなし、回路基板 100の非グランド領域 101上に載置されてい る。
そして、給電電極 5が、この誘電体基体 8の左側において、正面 80から上面 83に 亘つてパターン形成されている。非グランド領域 101上には、パターン 113が形成さ れ、インダクタ 112を通じて送受信部 110に接続されている。そして、給電電極 5の一 方の端部 5aがこのパターン 113に接続され、他方の端部 5bが周波数可変回路 4に 接続されている。この周波数可変回路 4において、第 1リアクタンス回路 4aのインダク タ 41及び可変容量ダイオード 42と第 2リアクタンス回路 4bのインダクタ 43及び可変 容量ダイオード 44は、それぞれチップ部品であり、上面 83上に形成されたパターン 4 8を介して接続されている。
そして、インダクタ 40が、この第 1リアクタンス回路 4a及び第 2リアクタンス回路 4bを 跨ぐようにして、上面 83上に形成されている。すなわち、パターン 48と平行なパター ン 49が形成され、このパターン 49の途中にインダクタ 40が介設されて!/、る。
放射電極 6は、パターン 48, 49の接続部から上面 83の上隅を右方に延び、側面 8 1を下降した電極部 6aを有する。そして、電極部 6bが、電極部 6aと連続した状態で、 下面 84の左方に延び、側面 82を上昇している。そして、この電極部 6bの上端力 上 面 83上に隅に形成された電極部 6cに連結している。すなわち、放射電極 6は、電極 部 6a〜6cで成り、全体としてループ形状をなす。
また、周波数可変回路 4の可変容量ダイオード 42, 44との接続部からは、パターン 72が引き出され、上面 83及び正面 80を伝わって、非グランド領域 101上の形成され 受信周波数制御部 120に至るパターン 123と接続している。そして、パターン 72の 途中に、高周波カット用抵抗 121が介設されている。
追加放射電極 7は、上記のようなパターン 72に対して垂直方向を向くように、パター ン形成され、共振周波数調整用インダクタ 70を介してパターン 72に接続されて 、る
[0056] 力かる構成により、誘電体基体 8の誘電率を変化させることにより、第 1及び第 2アン テナ部 2, 3のリアクタンス値を調整することができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第 1ないし第 6実施例と同様であるので、そ の記載は省略する。
なお、この実施例では、給電電極 5等のアンテナ要素のほぼ全てを誘電体基体 8に 形成したが、アンテナ要素の一部を誘電体基体 8に形成しても良い。また、この実施 例では、図 15の(a)に示したアンテナを誘電体基体 8表面に形成したが、これに限る ものではなぐ上記した全ての実施例のアンテナを誘電体基体 8表面に形成すること ができることは勿論である。
実施例 8
[0057] 次に、この発明の第 8実施例について説明する。
図 18は、この発明の第 8実施例に係るアンテナを示す概略平面図であり、図 19は 付加したインダクタの特性によって生じるリターンロス曲線図である。
この実施例は、図 18に示すように、第 2アンテナ部 3の追加放射電極 7の途中に単 体のインダクタ 90を接続した点力 上記実施例とは異なる。
具体的には、インダクタ 90の一方端 90aを追加放射電極 7の先端部側に接続する と共に、他方端 90bをグランド領域 102 (図 1参照)に接続した。
[0058] 力かる構成により、図 19のリターンロス曲線 S1で示すように、インダクタ 111と給電 電極 5と周波数可変回路部分 4' とによる共振周波数が fOであり、インダクタ 111と給 電電極 5と周波数可変回路 4と放射電極 6とによる共振周波数が flであり、インダクタ 111と給電電極 5と周波数可変回路 4と共振周波数調整用インダクタ 70と追加放射 電極 7とによる共振周波数が f 2であるとすると、インダクタ 111と給電電極 5と周波数 可変回路 4と共振周波数調整用インダクタ 70と追加放射電極 7とインダクタ 90とによ る共振周波数 faが新たに生成される。
インダクタ 90としては、追加放射電極 7とグランド領域 102に接続した状態で、高ィ ンピーダンスとなるインダクタが選択されており、これにより、アンテナ利得の劣化を防 止している。そして、このように高インピーダンスのインダクタ 90を採用することで、ィ ンダクタ 111と給電電極 5と周波数可変回路 4と共振周波数調整用インダクタ 70と追 加放射電極 7とによる共振周波数 f2に大きな影響を与えることなぐ分岐元の追加放 射電極 7が持つ周波数より低い周波数である新たな共振周波数 faを生成することが
できる。カゝかる低周波の共振周波数を電極のみで形成する場合には、相当長い電極 を用いなければならず、アンテナ体積が大きくなつてしまう。しかし、この実施例のよう に、電極を用いずにインダクタ 90で新たな共振周波数 faを生成することで、アンテナ 体積の小型化を図ることができる。
また、可変容量ダイオード 42, 44を含む周波数可変回路 4が給電電極 5と放射電 極 6との間及び給電電極 5と追加放射電極 7との間に介在しているので、制御電圧 V cを周波数可変回路 4に印加することで、図 19の破線で示すリターンロス曲線 S2のよ うに、共振周波数 fO, fa, fl, f 2を全体的に変化させることができる。
そして、共振周波数 fO, fa, fl, f 2を適宜設定することで、 FMの電波, VHF帯の 電波,及び UHF帯の電波が受信可能となる。
その他の構成、作用及び効果は、上記実施例と同様であるので、その記載は省略 する。
[0059] なお、この実施例では、インダクタ 90を第 2アンテナ部の追加放射電極 7の途中に 接続した構成としたが、インダクタ 90を追加放射電極 7の開放先端部 7a側に設けて も良い。但し、インダクタ 90を開放先端部 7a側に近づけすぎると、アンテナ利得が劣 化するおそれがあるので、この点を留意して、インダクタ 90を追加放射電極 7に接続 することが好ましい。
また、この実施例では、インダクタ 90を第 2アンテナ部の追加放射電極 7にのみ接 続した構成とした力 インダクタ 90を追加放射電極 7に接続せず、第 1アンテナ部 2の 放射電極 6の途中にのみ接続しても良 、。
さらに、この実施例では、インダクタ 90に 1つのインダクタ 90を接続した力 これに 限らず、複数のインダクタ 90を並列に接続することもできる。
実施例 9
[0060] 次に、この発明の第 9実施例について説明する。
図 20は、この発明の第 9実施例に係るアンテナを示す概略平面図であり、図 21は 、付加した 2つのインダクタの特性によって生じるリターンロス曲線図である。
この実施例は、図 20に示すように、第 1アンテナ部 2の放射電極 6の途中にも単体 のインダクタ 91を接続した点力 上記第 8実施例とは異なる。
具体的には、インダクタ 91の一方端 91aを放射電極 6の折曲部 6dに接続すると共 に、他方端 91bをグランド領域 102に接続した。
これにより、図 21のリターンロス曲線 S 1で示すように、インダクタ 111と給電電極 5と 周波数可変回路部分 4' とによる共振周波数 f0、インダクタ 111と給電電極 5と周波 数可変回路 4と共振周波数調整用インダクタ 70と追加放射電極 7とインダクタ 90とに よる共振周波数 fa、インダクタ 111と給電電極 5と周波数可変回路 4と放射電極 6とに よる共振周波数 fl、インダクタ 111と給電電極 5と周波数可変回路 4と共振周波数調 整用インダクタ 70と追加放射電極 7とによる共振周波数 f 2の他に、インダクタ 111と 給電電極 5と周波数可変回路 4と放射電極 6とインダクタ 91とによって、分岐元の放 射電極 6が持つ周波数より低い周波数である新たな共振周波数 fbが新たに生成され る。
このインダクタ 91もインダクタ 90と同様に高インピーダンスなインダクタであり、 共振周波数 fbは、共振周波数 faと flとの間に位置する低い共振周波数である。 そして、制御電圧 Vcを周波数可変回路 4に印加することで、図 21の破線で示すリ ターンロス曲線 S2のように、共振周波数 fO, fa, fb, fl, f 2を全体的に変化させること ができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第 8実施例と同様であるので、その記載は 省略する。
実施例 10
次に、この発明の第 10実施例について説明する。
図 22は、この発明の第 10実施例に係るアンテナを示す概略平面図であり、図 23 は、付加した 3つのインダクタの特性によって生じるリターンロス曲線図である。
この実施例は、図 22に示すように、第 2アンテナ部 3の追加放射電極 7とは別体の 追加放射電極 6, , T が設けられたアンテナにおいて、追加放射電極 6, , T に も、単体のインダクタ 92, 93をそれぞれ接続した点が、上記第 8及び第 9実施例とは 異なる。
具体的には、インダクタ 92の一方端 92aを放射電極 6の折曲部 6eに接続すると共 に、他方端 92bをグランド領域 102に接続した。そして、インダクタ 93の一方端 93aを
追加放射電極 の開放先端に接続すると共に、他方端 93bをグランド領域 102〖こ 接続した。
これにより、図 23のリターンロス曲線 S 1で示すように、共振周波数 fO, fa, fl, f2の 他に、インダクタ 111と給電電極 5と周波数可変回路 4と放射電極 6と共振周波数調 整用インダクタ 61と追加放射電極 とインダクタ 92とによって、分岐元の追加放射 電極 が持つ周波数より低 、周波数である新たな共振周波数 fbが新たに生成され 、インダクタ 111と給電電極 5と周波数可変回路 4と共振周波数調整用インダクタ 71 と追加放射電極 とインダクタ 93とによって、分岐元の追加放射電極 が持つ周 波数より低い周波数である新たな共振周波数 fcが新たに生成される。
これらのインダクタ 92, 93もインダクタ 90, 91と同様に高インピーダンスなインダク タであり、共振周波数 fbは、共振周波数 faと flとの間に位置する低い周波数であり、 共振周波数 fcは、共振周波数 fOと faとの間に位置する低い周波数である。
そして、制御電圧 Vcを周波数可変回路 4に印加することで、図 23の破線で示すリ ターンロス曲線 S2のように、共振周波数 fO, fc, fa, fb, fl, f 2を全体的に変化させ ることがでさる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第 8及び第 9実施例と同様であるので、その 記載は省略する。
実施例 11
次に、この発明の第 11実施例について説明する。
図 24は、この発明の第 11実施例に係るアンテナを示す概略平面図であり、図 25 は、付加した直列共振回路の特性によって生じるリターンロス曲線図であり、図 26は 、インダクタ単体のリアクタンスと直列共振回路のリアクタンスとを比較して示す線図で ある。
この実施例は、図 24に示すように、第 2アンテナ部 3の追加放射電極 7に、リアクタ ンス回路としての直列共振回路 9を接続した点が、上記第 8ないし第 10実施例と異な る。
具体的には、直列共振回路 9を直列接続されたインダクタ 94とコンデンサ 95とで構 成し、インダクタ 94の一方端 94aを追加放射電極 7の先端部側に接続すると共に、コ
ンデンサ 95の一方端 95aをグランド領域 102に接続した。
これにより、図 25のリターンロス曲線 S1で示すように、共振周波数 fO, fl, f2の他 に、インダクタ 111と給電電極 5と周波数可変回路 4と共振周波数調整用インダクタ 7 0と追加放射電極 7と直列共振回路 9による共振周波数 faが新たに生成される。 そして、制御電圧 Vcを周波数可変回路 4に印加することで、図 25の破線で示すリ ターンロス曲線 S2のように、共振周波数 fO, fa, fl, f 2を全体的に変化させることが できる。
[0063] ところで、図 26のリアクタンス曲線 R1に示すように、直列共振回路 9のような直列共 振回路では、リアクタンス曲線 R2で示すインダクタ 90〜93のようなインダクタ単体に 比べて、周波数に対するリアクタンスの変化勾配が大きい。したがって、追加共振に 必要なインダクタ単体のリアクタンスと直列共振回路のリアクタンスとが同値であれば 、分岐元の電極 (この実施例では追加放射電極 7)が持つ共振周波数でのリアクタン スは、インダクタ単体の場合と比べて直列共振回路の方が大きくなる。すなわち、この 実施例において、インダクタ 90の代わりに直列共振回路 9を追加放射電極 7に接続 することで、インダクタ 111と給電電極 5と周波数可変回路 4と共振周波数調整用イン ダクタ 70と追加放射電極 7とよる共振周波数 f2に大きな影響を与えることなぐ新たな 共振周波数 faを得ることができ、この結果、動作特性に優れたアンテナを提供するこ とがでさる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第 8ないし第 10実施例と同様であるので、 その記載は省略する。
実施例 12
[0064] 次に、この発明の第 12実施例について説明する。
図 27は、この発明の第 12実施例に係るアンテナを示す概略平面図であり、図 28 は、付加した直列共振回路の特性によって生じるリターンロス曲線図である。
この実施例は、図 27に示すように、第 2アンテナ部 3の追加放射電極 7に、リアクタ ンス回路としての並列共振回路 9' を接続した点が、上記第 11実施例と異なる。 具体的には、並列共振回路^ を並列接続されたインダクタ 94' とコンデンサ 95 ' とで構成し、並列共振回路 9' の一方端 9a' を追加放射電極 7の先端部側に接
続すると共に、他方端の一方端 9 をグランド領域 102に接続した。
これにより、図 28のリターンロス曲線 S1で示すように、共振周波数 fO, fl, f2の他 に、インダクタ 111と給電電極 5と周波数可変回路 4と共振周波数調整用インダクタ 7
0と追加放射電極 7と並列共振回路 9' による共振周波数 faが新たに生成される。 そして、制御電圧 Vcを周波数可変回路 4に印加することで、図 28の破線で示すリ ターンロス曲線 S2のように、共振周波数 fO, fa, fl, f 2を全体的に変化させることが できる。
[0065] ところで、上記第 11実施例の直列共振回路 9で大きなリアクタンスを得るためには、 定数 (nH)の大きなインダクタ 94を用いる必要がある。一般には、インダクタ 94として はチップ部品を用いる。そして、大きな定数のチップ部品を用いると、自己共振周波 数が下がり、その誘導性が劣化する。これに対して、この実施例のように、並列共振 回路 9' を用いることで、小さな定数のインダクタ 94' で大きなリアクタンスを得ること ができる。したがって、並列共振回路^ を用いることで、チップ部品が抱える自己共 振周波数の問題を解決することができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第 11実施例と同様であるので、その記載は 省略する。
実施例 13
[0066] 次に、この発明の第 13実施例について説明する。
図 29は、この発明の第 13実施例に係るアンテナを示す概略平面図であり、図 30 は、付加した直列共振回路の特性によって生じるリターンロス曲線図である。
この実施例は、図 29に示すように、第 2アンテナ部 3の追加放射電極 7に、リアクタ ンス回路として、直列共振回路 9と並列共振回路 9' との複合回路 10を接続した点 力 上記第 11及び第 12実施例と異なる。
具体的には、直列共振回路 9と並列共振回路 9' とを直列に接続して、複合回路 1 0を構成し、直列共振回路 9のインダクタ 94の一方端 94aを追加放射電極 7の先端部 側に接続すると共に、並列共振回路^ の一方端 9 をグランド領域 102に接続し た。
これにより、図 30のリターンロス曲線 S1で示すように、共振周波数 fO, fl, f2の他
に、インダクタ 111と給電電極 5と周波数可変回路 4と共振周波数調整用インダクタ 7 0と追加放射電極 7と複合回路 10による共振周波数 faが新たに生成される。
そして、制御電圧 Vcを周波数可変回路 4に印加することで、図 30の破線で示すリ ターンロス曲線 S2のように、共振周波数 fO, fa, fl, f 2を全体的に変化させることが できる。
[0067] カゝかる構成により、追加放射電極 7による共振周波数 f2に大きな影響を与えること なぐ新たな共振周波数 faを得ることができるという直列共振回路 9の利点と、インタ、 クタチップ部品が抱える自己共振周波数の問題を解決することができるという並列共 振回路^ の利点との双方を享受することができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第 11及び第 12実施例と同様であるので、 その記載は省略する。
[0068] なお、この発明は、上記実施例に限定されるものではなぐ発明の要旨の範囲内に お 、て種々の変形や変更が可能である。
例えば、上記実施例では、追加放射電極を共振周波数調整用インダクタを介して 周波数可変回路 4の接続点 Pや放射電極 6の途中に接続した例を挙げて説明したが 、図 31に示すように、第 2アンテナ部 3を構成する追加放射電極 7とは別体の追加放 射電極 を放射電極 6の途中に直接形成することもできる。