JP4632176B2 - アンテナ及び無線通信機 - Google Patents
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まず、特許文献1に開示されたアンテナでは、1辺の長さがλ/2という非常に長いアンテナ長を必要とするので、携帯電話等のような小型で且つ高密度の機器に実装することは困難である。また、分岐素子を設けることで、分岐素子を設ける前のコの字状のループアンテナ単体の共振周波数が変化してしまうので、分岐素子を設けた後におけるループアンテナ単体の共振周波数の合わせ込みを再度行う必要があり、余分な調整作業が強いられる。
これに対して、周波数可変回路を備えた複共振のアンテナが出願人によって国際出願されている(国際出願番号PCT/JP2005/022342)。しかし、このアンテナは、周波数可変回路を用いて周波数を調整すると、複数の共振周波数全体が変化してしまい、所定の共振周波数のみを調整することは難しい。
かかる構成により、アンテナが所定帯域の周波数で送受信する際には、放射電極が当該所定帯域の周波数で共振する。このとき、インダクタが、当該周波数で高インピーダンスとなるので、追加放射電極は当該周波数で共振しない。また、上記所定帯域の周波数より低い周波数では、インダクタが高インピーダンスにならないので、追加放射電極は、この周波数で共振することができる。そして、リアクタンス可変回路を用いて追加放射電極による共振周波数を制御することができる。すなわち、放射電極による共振と追加放射電極による共振との複共振化が図られている。しかも、放射電極と追加放射電極とがインダクタによって周波数的に分離されているので、追加放射電極を接続した後の放射電極の共振周波数が、接続前の共振周波数と同じである。つまり、放射電極の共振周波数に影響を与えることなく、追加放射電極の共振周波数を変化させることができる。
かかる構成により、可変容量ダイオードの容量値を制御電圧で変化させることで、追加放射電極の共振周波数を制御することができる。また、追加放射電極が、この可変容量ダイオードを含むリアクタンス可変回路を介してグランドに接地されているので、インダクタだけで追加放射電極の共振周波数を発生させる場合に比べて、この可変容量ダイオードを用いることで、追加放射電極の共振周波数を容易にコントロールすることができる。また、インダクタのインダクタンス値を小さくしても、この可変容量ダイオードによって共振が可能となるので、インダクタを小さくしてアンテナを小型に設計することが可能となる。
かかる構成により、単一の同調電圧で追加放射電極の共振周波数を1対の可変容量ダイオードによってより広い範囲で変化させることができる。
かかる構成により、単一の同調電圧で複数段のリアクタンス可変回路を制御し、追加放射電極の共振周波数をさらに広い範囲で変えることができる。さらに、第2のインダクタをチョークコイルとして用いることで、各リアクタンス可変回路が直列共振回路だけで構成される状態になり、リアクタンスを線形に変化させることができる。また、第2のインダクタをインダクタとして用いることで、各リアクタンス可変回路が直列共振回路と上記直列回路との並列共振回路の状態になり、リアクタンスを非線形に変化させることができる。
かかる構成により、放射電極を誘電体基体上に設け、放射電極の先端と放射電極との間隙を変えることで、間隙間の容量値を変化させることができる。
かかる構成により、複数の共振周波数を独立又は同時に制御することができる。
かかる構成により、基板のデットスペースを利用して、アンテナ体積を大きくすることができる。
特に、請求項4の発明によれば、複数段のリアクタンス可変回路によって、追加放射電極の共振周波数をさらに広い範囲で変えることができるだけでなく、第2のインダクタをチョークコイルとして用いたり、通常のインダクタとして用いることで、きめ細かな周波数調整を行うことができる。
この実施例のアンテナ1は、携帯電話等の無線通信機に設けられている。
図1に示すように、アンテナ1は、放射電極2と追加放射電極3とを備え、無線通信機の基板100の非グランド領域101に形成されている。
かかる構成の放射電極2の送受信帯域は、高周波のUHF帯であり、放射電極2の長さやインダクタ111,112による整合回路等がUHF帯の周波数で共振するように設定されている。
なお、このインダクタ4の接続個所は、放射電極2の開放先端2aから離れた個所が好ましい。開放先端2aにおける電界が最大となるため、インダクタ4が開放先端2aに近いと開放先端2aと追加放射電極3との間に不要な容量が発生して、追加放射電極3の共振周波数に悪影響を与えるおそれがあるからである。このため、この実施例では、インダクタ4を、放射電極2の水平部21と垂直部22との折り曲げ部2bに装荷した。勿論、インダクタ4の装荷位置は、電界が小さい個所ならば良く、この折り曲げ部2bに限定されるものではない。
図2は、このようなリアクタンス可変回路5の具体的回路図を示す。
リアクタンス可変回路5の具体的回路は種々考えられるが、この実施例では、図2(a)に示す直列共振回路や図2(b)に示す並列共振回路を採用することができる。
図2(a)に示すリアクタンス可変回路5は、可変容量ダイオード51とインダクタ52とを直列に接続した直列共振回路である。具体的には、アンテナは開放端の容量値で大きく周波数が変化するため、可変容量ダイオード51のアノード側がグランド領域102に接続され、インダクタ52の一方端部が追加放射電極3の先端部に接続されている。そして、インダクタ52の他方端部と可変容量ダイオード51のカソード側とが接続され、これら可変容量ダイオード51とインダクタ52との接続点が、高周波カット用抵抗121及びDCパスコンデンサ122を介して同調電圧源120に接続されている。
これにより、同調電圧源120からの同調電圧Vcが可変容量ダイオード51のカソードに印加されると、可変容量ダイオード51の容量値が変化して、リアクタンス可変回路5のリアクタンス値が同調電圧Vcの大きさに対応して変化する。
かかるリアクタンス値は、リアクタンス可変回路5が直列共振回路であることから、同調電圧Vcに対応して線形的に変化する。
一方、図2(b)に示すリアクタンス可変回路5は、コンデンサ53とインダクタ54との直列回路を可変容量ダイオード51に並列に接続した並列共振回路である。そして、可変容量ダイオード51のアノード側がグランド領域102に接続され、カソード側に同調電圧源120が接続されている。
これにより、同調電圧源120からの同調電圧Vcが可変容量ダイオード51のカソードに印加されると、可変容量ダイオード51の容量値が変化して、リアクタンス可変回路5のリアクタンス値が同調電圧Vcの大きさに対応して変化する。
かかるリアクタンス値は、リアクタンス可変回路5が並列共振回路であることから、同調電圧Vcに対応して非線形的に変化する。
図3は、複共振の可変状態を説明するための線図である。
上記したように、アンテナ1が、インダクタ111,112の整合回路を介して同調電圧源120に接続された放射電極2によるアンテナ部と、追加アンテナ部6とで構成されているので、図3の実線の曲線S1で示すように、放射電極2のアンテナ部によるUHF帯の共振周波数f1と、追加アンテナ部6によるRF−ID帯,FM帯又はVHF帯の共振周波数f2との複共振状態が実現される。
すなわち、放射電極2のアンテナ部と追加放射電極3を含む追加アンテナ部6とがインダクタ4によって周波数的に完全に分離され、互いに影響を与えないので、放射電極2のアンテナ部の共振周波数f1は、追加放射電極3やインダクタ4を追加することによって変化することはなく、あくまでも共振周波数f1である。したがって、追加放射電極3やインダクタ4の追加によって放射電極2等の設計を変更する必要はない。
このとき、図2に示すように、追加放射電極3の先端部が、可変容量ダイオード51をを含む直列共振回路(又は並列共振回路)としてのリアクタンス可変回路5を介してグランド領域102に接地されているので、追加アンテナ部6とグランド領域102との間に可変容量ダイオード51による大きな容量値を得ることができ、この結果、共振周波数f2をより広い帯域で容易に変化させることができる。
しかも、上記したように、放射電極2のアンテナ部と追加放射電極3を含む追加アンテナ部6とがインダクタ4によって周波数的に完全に分離され、互いに影響を与えないので、同調電圧Vcを用いてリアクタンス可変回路5のリアクタンス値を変化させると、図3の破線の曲線直線S2で示すように、放射電極2のアンテナ部の共振周波数f1は変化せず、追加放射電極3を含む追加アンテナ部6の共振周波数f2のみが独立に周波数f2′に変化する。
すなわち、同調電圧Vcによって共振周波数f2のみを独立に制御することができる。
図4は、この発明の第2実施例に係るアンテナを示す概略平面図であり、図5は、複共振の可変状態を説明するための線図である。
この実施例は、リアクタンス可変回路の構造が上記第1実施例と異なる。
すなわち、図4に示すように、リアクタンス可変回路5を、互いに向き合った1対の可変容量ダイオード51−1,51−2で構成した。
具体的には、可変容量ダイオード51−1,51−2のアノード側をグランド領域102,インダクタ4の先端部にそれぞれ接続し、これら可変容量ダイオード51−1,51−2の接続点であるカソードを同調電圧源120に接続した。
したがって、この実施例のアンテナによれば、追加アンテナ部6の共振周波数f2を広い範囲で制御可能となる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
図6は、この発明の第3実施例に係るアンテナを示す概略平面図であり、図7は、複共振の可変状態を説明するための線図である。
この実施例は、図6に示すように、直列に接続した複数段のリアクタンス可変回路5(5−1〜5−n)を備えている点が、上記第1及び第2実施例と異なる。
具体的には、各リアクタンス可変回路5を、可変容量ダイオード51と第1のインダクタとしてのインダクタ52との直列共振回路に、コンデンサ55と第2のインダクタとしてのインダクタ54とを並列に接続した構成とする。そして、これら複数のリアクタンス可変回路5(5−1〜5−n)を、隣り合うリアクタンス可変回路5の可変容量ダイオード51,51のカソード側が向き合うように、直列に接続した。この際、リアクタンス可変回路5−1,5−2やリアクタンス可変回路5−3,5−4のように、隣り合う2つのリアクタンス可変回路5を、1つのコンデンサ55を共用した状態で直列に接続した。そして、最終段のリアクタンス可変回路5(5−n)の可変容量ダイオード51のアノード側をインダクタ52を介してグランド領域102に接地した。
また、同調電圧源120は、インダクタ123を介して向き合う可変容量ダイオード51,51のカソード側に接続し、同調電圧Vcを各可変容量ダイオード51のカソードに印加するようになっている。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1及び第2実施例と同様であるので、その記載は省略する。
図8は、この発明の第4実施例に係るアンテナを示す斜視図である。
この実施例は、放射電極2と、追加放射電極3及びインダクタ4を含む追加アンテナ部の一部とを誘電体基体7に設けた点が、上記第1ないし第3実施例と異なる。
具体的には、図8に示すように、放射電極2の基端部20を誘電体基体7の前面に形成し、水平部21から開放先端2a迄を誘電体基体7の上面に形成した。一方、追加放射電極3においては、その基端部3a側を誘電体基体7の前面の右端に形成すると共に、先端部3b側を非グランド領域101上に形成した。そして、インダクタ4を誘電体基体7の前面右上部に設けて、放射電極2の折り曲げ部2bと追加放射電極3の基端部3aとをこのインダクタ4で接続した。また、リアクタンス可変回路5,給電部110のインダクタ111,112,同調電圧源120の高周波カット用抵抗121及びDCパスコンデンサ122は、非グランド領域101上に設け、これらを、非グランド領域101上に形成した導体パターン110a,120aで接続した。
また、この実施例においても、第1実施例の放射電極と同様に、放射電極2の開放先端2aと基端部20との間の間隙Gを変えることで、間隙G間の容量値を変化させることができるが、放射電極2が誘電体基体7上に設けられているので、間隙G間の容量値を第1実施例の場合よりもより大きく変化させることができる。
しかし、この実施例において、追加放射電極3の全長を長くするような変形例も考えることができる。
例えば、図9(a)に示すように、追加放射電極3の先端部3bを基板100の右縁101a側に曲げ、右縁101aに沿わせてリアクタンス可変回路5に接続したものや、図9(b)に示すように、追加放射電極3の先端部3bを基板100の右縁101a側に曲げ、右側面101bで回り込ませた後、回り込み部3cをリアクタンス可変回路5に接続したもの等を考案することができる。このように、基板に接地する位置を変更することにより基板電流の流れを制御し、アンテナ効率を向上させることができる。
また、この実施例では、放射電極2と追加アンテナ部6の一部を誘電体基体7に設けた例を示したが、これに限らず、放射電極,インダクタ,追加放射電極及びリアクタンス可変回路の全て又は一部を誘電体基体7上に設けるものであれば良い。したがって、インダクタ4や追加放射電極3だけでなく、リアクタンス可変回路5をも誘電体基体7上に設けたものもこの発明の範囲に含まれる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1ないし第3実施例と同様であるので、その記載は省略する。
図10は、この発明の第5実施例に係るアンテナを示す概略平面図であり、図11は、複共振の可変状態を説明するための線図である。
この実施例は、追加放射電極を、放射電極に複数接続した点が上記第1ないし第4実施例と異なる。
具体的には、図10に示すように、インダクタ4Aと追加放射電極3Aとリアクタンス可変回路5Aとを、放射電極2の折り曲げ部2bに直列に接続すると共に、同調電圧源120からの導体パターン120aを放射電極2の水平部21のほぼ中央部に接続した。そして、インダクタ4Bと追加放射電極3Bとリアクタンス可変回路5Bとを、この導体パターン120aに直列に接続すると共に、インダクタ4Cと追加放射電極3Cとリアクタンス可変回路5Cとを、この導体パターン120aに直列に接続した。
これにより、アンテナが、放射電極2によるアンテナ部の他に、インダクタ4Aと追加放射電極3Aとリアクタンス可変回路5Aとによる第1の追加アンテナ部と、インダクタ4Bと追加放射電極3Bとリアクタンス可変回路5Bとによる第2の追加アンテナ部と、インダクタ4Cと追加放射電極3Cとリアクタンス可変回路5Cとによる第3の追加アンテナ部とを有することとなる。
なお、図10中、符号113は、直流カット用のコンデンサである。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1ないし第4実施例と同様であるので、その記載は省略する。
この実施例のアンテナは、放射電極2を基板100の非グランド領域101上に配設し、追加放射電極3,インダクタ4及びリアクタンス可変回路5の内のいずれか又は全てを、非グランド領域101の裏面(図1の裏面)に配設した構成をとる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1ないし第5実施例と同様であるので、その記載は省略する。
Claims (8)
- 所定帯域の共振周波数を有し且つ先端開放で基端を給電部に接続した放射電極と、
この放射電極の共振周波数以上の周波数で高インピーダンスになるインダクタを介して放射電極の途中から分岐され、共振周波数を制御するためのリアクタンス可変回路を介してグランドに接地された追加放射電極と
を具備することを特徴とするアンテナ。 - 上記リアクタンス可変回路は、その容量値を制御電圧で変化可能な可変容量ダイオードを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。 - 上記リアクタンス可変回路は、カソード側を向き合わせた状態で直列に接続され且つ上記制御電圧がカソード側に印加される1対の上記可変容量ダイオードを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のアンテナ。 - 上記リアクタンス可変回路を、上記制御電圧がカソード側に印加される可変容量ダイオードと第1のインダクタとの直列共振回路に、コンデンサと第2のインダクタとの直列回路を並列に接続して構成し、
複数の上記リアクタンス可変回路を、可変容量ダイオードのカソード側が向かい合うよう直列に接続して、最終段のリアクタンス可変回路に含まれる可変容量ダイオードのアノード側をグランドに接地した、
ことを特徴とする請求項2に記載のアンテナ。 - 上記放射電極,インダクタ,追加放射電極及びリアクタンス可変回路の全て又は一部を誘電体基体上に設けた、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のアンテナ。 - 上記追加放射電極を、上記放射電極に複数接続した、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のアンテナ。 - 上記放射電極を基板の一方の面に配設し、
上記インダクタと上記追加放射電極と上記リアクタンス可変回路の内のいずれか又は全てを、上記基板の他方の面に配設した、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のアンテナ。 - 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のアンテナを具備する、
ことを特徴とする無線通信機。
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