明 細 書
研磨用パッド
技術分野
[0001] 本発明は、研磨用パッドに係り、特に、半導体ウェハや半導体基板,ガラス基板等 のように極めて高い加工精度が要求される加工対象物の表面を研磨加工する際に 用いられる研磨用パッドに関するものである。
背景技術
[0002] 従来から、 LSI等の半導体製造工程において、例えばシリコンウェハ表面に金属膜 や絶縁膜等の各種薄膜を多層に積層形成して半導体基板を製造するに際して各層 表面を平坦化するための処理方法の一つとして、 CMP法(Chemical Mechanical Poli shing )と称される化学的機械的研磨法が知られている。 CMP法は、一般に、合成樹 脂材やその発泡材からなる薄肉円板形状の研磨パッドを用い、微粒子と液体からな るスラリをウェハ(半導体基板)と研磨パッドの間に供給しつつ、研磨パッドとウェハを 相対的に回転作動せしめて研磨するものである。
[0003] ところで、 CMP法においては、複雑な微細構造の配線を多層に形成して半導体デ ノ イスの高集積化と高精度化を実現する等のために、ウェハの全面を高精度な平坦 化能力をもって研磨する研磨精度が要求される。また、 CMP法における研磨精度向 上の要求は、特に近年の半導体デバイスにおけるより一層の高密度化等に伴って、 研磨効率の確保と共に、より強くなつてきている。
[0004] そして、高度な研磨精度や平坦化能力を確保するためには、パッドやウェハの材質 ,要求される研磨精度などに応じて、研磨パッドにある程度の弾性が必要であること が広く知られている。即ち、研磨パッドに弾性を付与することで、ウェハ表面の凹凸に 沿わせて、研磨パッド表面に追従させること等が可能となって、研磨精度の向上が図 られるのである。しかし、実際に研磨を行う表面 (加工面)は、研磨パッドの耐久性や 研磨効率を確保する等の目的から硬質であることが要求されるため、研磨パッドに十 分な弾性を付与することは困難であった。要するに、従来構造の研磨パッドでは、要 求に応ずるに充分な「研磨精度」と「研磨効率」を両立して達成することが困難だった
のである。
[0005] 特に、近年では、超 LSI等の分野において、ウェハ上に形成される配線のメタル線 幅を 0. l x m以下と極めて狭小とし、研磨の均一性 2%以内で研磨すると共に、軟質 の銅や金等からなるメタル配線を新規に採用することなどが、既に実用化を考慮した 検討段階に入っている。このような現在の状況を考慮すると、満足できる研磨精度や 研磨能率を得るために、研磨パッドに関して更なる改良が、急務として切望されてい ることがわ力る。
[0006] なお、上述の如き問題に鑑み、多層構造の研磨パッドが提案されている(特許文献 1参照)。この多層構造の研磨パッドは、一般に、加工面に要求される物性を実現で きる硬質な材料で形成された表層に対して、樹脂含浸された圧縮繊維材などからな る弾性材料を裏層として貼り合わせた多層構造とされている。即ち、裏層によって弾 性を確保しつつ、表面によって研磨効率を確保することで、「研磨精度」と「研磨効率 」の両立が図られるようになつている。
[0007] し力しながら、このような多層構造の研磨パッドは、その製造が難しいという問題と、 層間剥離のおそれがあるという問題があり、必ずしも満足できるものではなかった。
[0008] 一方、特許文献 2 (特開 2001— 18165号公報)には、単一の材質からなる単層構 造の研磨パッドにおいて、不足しがちな弾性を補うために、裏面に直線状の溝を形 成したものが提案されている。かかる研磨パッドにおいては、パッド裏面の溝によって 機械的に弾性を向上させることが出来ることから、パッド表面での研磨効率を維持し つつ、弾性を付与して研磨精度を向上させることが可能である。し力も、多層構造の 研磨パッドのような製造上の問題や層間剥離の問題も回避されることとなる。
[0009] ところが、特許文献 2に記載の研磨パッドは、複数の新たな問題を内包しており、実 用的であるとは言レ、難レ、のである。
[0010] すなわち、特許文献 2に記載された従来構造の研磨パッドは、以下の(1)乃至 (4) の問題を内在していた。
(問題点 1)研磨パッドの材料等によっては、裏面に溝を形成するだけで十分な弾 性を実現することが難しい場合がある。特に、要求される弾性を付与するために多数 の溝を裏面に形成すると、溝が形成されていないパッド裏面の表面積が実質的に小
さくなつてしまうことから、回転プラテン等への研磨パッドの固着面積を十分に確保し 難くなるおそれがあり、裏面に形成可能な溝の数量が実質的に制限されてしまうこと もめる。
(問題点 2)裏面への溝形成だけでは不足しがちな研磨パッドの弾性を補うために、 表面にも溝を形成することが考えられる。し力 ながら、研磨パッドの表裏にそれぞれ 溝を形成することは、研磨パッドの製造が非常に煩雑となり、生産効率の大幅な低下 が懸念される場合がある。
(問題点 3)また、研磨パッドの成形条件等によって表裏の区別がある場合には、研 磨パッドの表裏にそれぞれ溝を形成すると、その後の表裏の区別が困難となり、表裏 を間違えて回転プラテン等に装着することに起因する研磨不良の発生が問題となる おそれもある。
(問題点 4)研磨パッドの裏面に溝を形成すると、溝の開口面積分だけ、研磨パッド の回転プラテン等への固着面積が減るだけでなぐ CMP法のようにスラリ等を供給し つつ研磨する場合には、力かるスラリ等が溝を通じて裏面の広い範囲に広がり易ぐ それに起因して研磨パッドの回転プラテン等からの剥離が発生するおそれもある。
[0011] 特許文献 1 :特開平 11 156701号公報
特許文献 2 :特開 2001— 18165号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0012] ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであり、その解 決課題とするところは、 CMP法をはじめとする各種の高精度な研磨加工において採 用され得る、新規な構造の研磨用パッドを提供することにある。
[0013] 特に、本発明の請求項 1,請求項 5,請求項 10および請求項 13に記載の発明は、 何れも、上述の(問題点 2)および(問題点 4)を特に効果的に解決することを目的の 一つとする。
[0014] また、本発明の請求項 2に記載の発明は、上述の(問題点 3)および(問題点 4)を 特に効果的に解決することを目的の一つとする。
[0015] また、本発明の請求項 3乃至 9および請求項 11乃至 13に記載の発明は、何れも、
上述の(問題点 1)および(問題点 4)を特に効果的に解決することを目的の一つとす る。
課題を解決するための手段
[0016] 以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様について記載する。
なお、以下に記載の各態様においてそれぞれ採用される複数の構成要素は、可能 な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特 徴は、以下に記載のものに限定されることなぐ明細書全体および図面に記載された もの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて 認、識されるものであることが理角军されるべきである。
[0017] すなわち、本発明の請求項 1に記載の発明は、薄肉円板形状を有しており、裏面 において支持面に固着されることにより研磨装置に装着され、表面において半導体 ウェハ等の加工対象物に対して研磨作用を施す研磨用パッドであって、前記裏面と 前記表面の両面に対して、中心軸周りで同心的に延びる複数条の環状凹溝を、同 一の断面形状と同一の径方向間隔で、略同じ数だけ形成したことを、特徴とする。
[0018] このような請求項 1に従う構造とされた研磨用パッドにおいては、研磨用パッド基板 の裏面だけでなぐ表面にも溝を形成したことにより、裏面の溝だけでなく表面の溝に よっても、研磨用パッドの弾性の向上が図られ得る。それ故、パッド基板の材質自体 の硬度により研磨効率を良好に確保しつつ、弾性による研磨精度の向上も実現可能 となる。特に、裏面の溝を著しく多くしたり大きくすることなぐ表面の溝によって、研磨 用パッドの弾性の向上が実現されることから、裏面の回転プラテン等への固着面積も 有利に確保することが出来る。
[0019] し力も、請求項 1に記載の研磨用パッドにおいては、表裏両面の溝が、何れも、同 一の断面形状と同一の径方向間隔で形成されていることから、それら表裏両面への 溝加工を、略同じ条件で行うことが可能となる。それ故、研磨用パッドの加工を、簡単 な装置構造と作動制御によって効率的に行うことが可能となると共に、加工装置の管 理等も容易となる。
[0020] 力 Pえて、請求項 1に記載の研磨用パッドにおいては、裏面に形成される凹溝が環状 凹溝とされていることから、研磨装置における回転プラテン等の装着面に研磨パッド
を重ね合わせた際、力かる裏面の凹溝がパッド外周面に開口することなぐ外部空間 に対して閉じた略密閉空間とされる。それ故、研磨に際してパッド表面に研磨液 (スラ リ)が供給されたとしても、研磨用パッドの裏面と回転プラテン等の装着面との間への 侵入が効果的に防止される。これにより、力かる研磨液の侵入に起因する研磨用パッ ドの研磨装置からの脱落や位置ずれを効果的に防ぐことが可能となる。
[0021] また、例えば研磨用パッドのパッド基板自体に表裏の設定がないような場合には、 請求項 1に記載の構造に従えば、表裏の凹溝を含めて両面何れも任意に使用できる 研磨パッドが実現可能となる。このような研磨パッドによれば、表裏を間違って研磨装 置に装着することに起因する加工上の不具合を完全に回避することが可能となり、研 磨パッドの表裏を判別しなければならない場合に比して、作業者の労力負担も大幅 に軽減することが可能となる。なお、請求項 1に記載の発明において、表面の環状凹 溝と裏面の環状凹溝は、径方向ピッチ乃至はは隣接する環状凹溝間の径方向間隔 が同一であれば良ぐ表裏両面の環状凹溝が互いに同一位置に形成されている必 要はない。例えば、表側の環状凹溝と裏側の環状凹溝が、径方向で相互に所定距 離だけずれた位置に形成されていても良い。表裏両面の環状凹溝の位置が径方向 で同じであっても或いはずれていても、上述の如き請求項 1に記載の発明の効果は 有効に発揮され得る。
[0022] また、本発明の請求項 2に記載の発明は、薄肉円板形状を有しており、裏面におい て支持面に固着されることにより研磨装置に装着され、表面において半導体ウェハ等 の加工対象物に対して研磨作用を施す研磨用パッドであって、前記裏面に対して中 心軸回りで同心的に延びる複数条の環状凹溝を形成する一方、前記表面に対して、 互いに平行に延びる複数条の直線凹溝を少なくとも一方向に形成したことを、特徴と する。
[0023] このような請求項 2に記載された発明に従う構造とされた研磨用パッドにおいては、 請求項 1に記載の発明と同様に表裏両面に形成された溝によって、研磨効率を良好 に確保しつつ、適度な弾性に基づく研磨精度の向上が図られ得ると共に、研磨装置 に対する装着面 (裏面)への研磨液の侵入も防止され得る。
[0024] それに加えて、請求項 2に記載の研磨用パッドにおいては、視認により明確に判別
される形状を有する溝を表面と裏面にそれぞれ形成することにより、研磨装置に対す る研磨用パッドの取付作業時に表裏の判別が、効率的に行えて作業効率の向上を 図ることが出来ると共に、取付時に表裏の取り違いといった問題が発生することを、容 易に且つ一層確実に回避することが出来る。
[0025] また、本発明の請求項 3に記載の発明は、薄肉円板形状を有しており、裏面におい て支持面に固着されることにより研磨装置に装着され、表面において半導体ウェハ等 の加工対象物に対して研磨作用を施す研磨用パッドであって、前記裏面に対して、 中心軸回りで同心的に延びる複数条の裏側環状凹溝を所定の径方向間隔で形成 すると共に、前記表面に対して、中心軸回りで同心的に延びる複数条の表側環状凹 溝を所定の径方向間隔で形成する一方、これら裏側環状凹溝と表側環状凹溝の何 れか一方の環状凹溝の径方向間に、他方の環状凹溝が一本乃至複数本位置するよ うにしたことを、特徴とする。
[0026] このような請求項 3に記載された発明に従う構造とされた研磨用パッドにおいては、 請求項 1に記載の発明と同様に表裏両面に形成された溝によって、研磨効率を良好 に確保しつつ、適度な弾性に基づく研磨精度の向上が図られ得ると共に、研磨装置 に対する装着面 (裏面)への研磨液の侵入も防止され得る。
[0027] しかも、研磨パッドの表面に形成された表側環状凹溝と裏面に形成された裏側環 状凹溝の径方向での位置関係を特定することにより、裏側環状凹溝によって研磨用 ノ ッドに対して付与される弾性を表面において一層有利に発揮させることができて、 研磨精度の更なる向上が実現可能となる。
[0028] また、本発明の請求項 4に記載の発明は、前記請求項 3に記載の発明に係る研磨 用パッドにおいて、前記表側環状凹溝を、前記裏側環状凹溝と同じ一定の径方向間 隔で形成すると共に、該表側環状凹溝が該裏側環状凹溝の径方向間の略中央部分 に位置するようにしたことを、特徴とする。
[0029] このような請求項 4に記載された発明に従う構造とされた研磨用パッドにぉレ、ては、 表側環状凹溝を裏側環状凹溝の径方向間の略中央部分に位置するようにされてい ることにより、表面において被加工物に対して当接せしめられる部分の裏面側に裏側 環状凹溝が位置せしめられている。それ故、研磨パッドの厚さ方向の荷重が作用せ
しめられた際に、表裏の各環状凹溝の径方向間に位置する部分で剪断的変形が生 ぜしめられることとなり、研磨パッドの材質が同じでも一層有効な弾性が実現可能とな る。
[0030] また、本発明の請求項 5に記載の発明は、前記請求項 4に記載の発明に係る研磨 用パッドにおいて、請求項 1に記載の構成を採用したことを、特徴とする。
[0031] また、本発明の請求項 6に記載の発明は、前記請求項 3に記載の発明に係る研磨 用パッドにおいて、前記裏側環状凹溝を、前記表側環状凹溝よりも小さな径方向間 隔で形成したことを、特徴とする。
[0032] このような請求項 6に記載された発明に従う構造とされた研磨用パッドにおいては、 裏側環状凹溝を表側環状凹溝に比して小さな径方向間隔で形成したことにより、裏 側環状凹溝による研磨用パッドに対する弾性の付与をより有利に実現することができ て、均一性や平坦性に優れた高精度な研磨処理を行うことが可能となる。特に、研磨 精度や研磨性能に大きな影響を与える表面に比して、研磨性能等に与える影響の 小さい裏面側の凹溝を小さな径方向間隔としたことにより、研磨性能を有利に確保し つつ、弾 ¾の更なる向上を図ることが可能となるのである。
[0033] また、本発明の請求項 7に記載の発明は、前記請求項 3乃至 6の何れかに記載の 発明に係る研磨用パッドにぉレ、て、前記裏側環状凹溝と前記表側環状凹溝の何れ か一方の環状凹溝の深さ寸法と、該一方の環状凹溝の径方向間に位置せしめられ た前記他方の環状凹溝の深さ寸法との合計値が、パッド全体の厚さ寸法よりも大きく されたことを、特徴とする。
[0034] このような請求項 7に記載された発明に従う構造とされた研磨用パッドにおいては、 表裏の凹溝の内面によって与えられる自由表面積を一層大きく設定することが可能 となる。それ故、研磨パッドの材料を同じにしつつ、弾性の更なる向上を図ることが可 能となるのである。
[0035] また、本発明の請求項 8に記載の発明は、前記請求項 3乃至 6の何れかに記載の 発明に係る研磨用パッドにおいて、前記裏側環状凹溝の深さ寸法と前記表側環状 凹溝の深さ寸法の合計値を、パッド全体の厚さ寸法よりも小さくしたことを、特徴とす る。
[0036] このような本請求項に記載された発明に従う構造とされた研磨用パッドにぉレ、ては 、裏側環状凹溝と表側凹溝を、互いの位置や大きさ等を特別に考慮することな 大 きな自由度をもって設計することが出来る。それ故、裏側の凹溝によって実現される 弾性の向上と、表側の凹溝によって実現される研磨精度や平坦性等の研磨性能とを 、両立して達成することが容易となるのである。
[0037] また、本発明の請求項 9に記載の発明は、薄肉円板形状を有しており、裏面におい て支持面に固着されることにより研磨装置に装着され、表面において半導体ウェハ等 の加工対象物に対して研磨作用を施す研磨用パッドにおいて、前記裏面に対して、 中心軸回りで同心的に延びる複数条の裏側環状凹溝を形成すると共に、それら複数 条の裏側環状凹溝を、何れも、その内周面と外周面が何れも中心軸に対して略一定 の傾斜角度を持って平行に傾斜せしめられた略一定の断面形状で周方向の全周に 亘つて延びる傾斜凹溝としたことを、特徴とする。
[0038] このような請求項 9に記載された発明に従う構造とされた研磨用パッドにおいては、 裏側環状凹溝を傾斜凹溝としたことにより、研磨パッドの厚さ方向の外荷重に際して 研磨パッドに生ぜしめられる変形に剪断成分を持たせることが可能となる。これにより 、研磨パッドの弾性を一層有利に向上させることが出来る。し力も、裏側環状凹溝は 、環状とされているが故に、剪断的な弾性変形が発生した場合でも、その変形方向 が全体として釣り合うこととなる。それ故、研磨面が特定方向に歪に変形することが抑 えられ、良好な弾性を達成しつつ、安定した研磨面精度が維持され得るのである。
[0039] なお、請求項 9に記載の研磨用パッドにおいても、研磨装置に対する装着面 (裏面 )への研磨液の侵入防止という効果は、請求項 1に記載の研磨用パッドと同様に発揮 され得る。
[0040] また、本発明の請求項 10に記載された発明は、前記請求項 9に記載の発明に係る 研磨用パッドにおいて、請求項 1乃至 7の何れかに記載の構成を採用したことを、特 徴とする。
[0041] また、本発明の請求項 11に記載された発明は、薄肉円板形状を有しており、裏面 において支持面に固着されることにより研磨装置に装着され、表面において半導体 ウェハ等の加工対象物に対して研磨作用を施す研磨用パッドにおいて、前記裏面に
対して中心軸回りで同心的に延びる複数条の環状凹溝を形成する一方、前記表面 に対して複数条の表側凹溝を形成すると共に、それら表側凹溝を、両側壁内面が略 平行に傾斜せしめられた傾斜凹溝としたことを、特徴とする。
[0042] このような請求項 11に記載された発明に従う構造とされた研磨用パッドにぉレ、ては
、請求項 1に記載の発明と同様に表裏両面に形成された溝によって、研磨効率を良 好に確保しつつ、適度な弾性に基づく研磨精度の向上が図られ得ると共に、研磨装 置に対する装着面 (裏面)への研磨液の侵入も防止され得る。
[0043] それに加えて、特に請求項 11に記載の研磨用パッドにおいては、表側凹溝を傾斜 溝としたことにより、研磨パッドの厚さ方向の外荷重に際して研磨パッドに生ぜしめら れる変形に剪断成分を持たせることが可能となる。これにより、研磨パッドの弾性を一 層有利に向上させることが出来る。
[0044] また、本発明の請求項 12に記載された発明は、請求項 11に記載された発明に係 る研磨用パッドにおいて、請求項 1乃至 10の何れかに記載の構成を採用したことを、 特徴とする。
[0045] また、本発明の請求項 13に記載された発明は、請求項 1乃至 12の何れかに記載さ れた発明に係る研磨用パッドにおいて、前記裏面に形成された複数条の環状凹溝 における幅寸法: B,深さ寸法: D,径方向ピッチ: Pを、下式:
0. 005mm ≤ B ≤ 3. Omm
0. lmm ≤ D ≤ 2. Omm
0. lmm ≤ P ≤ 5. Omm
の範囲で設定したことを、特徴とする。
[0046] このような請求項 13に記載された発明に従う構造とされた研磨用パッドにおいては 、裏面に形成された環状凹溝の各寸法を上記範囲内に設定することにより、研磨装 置に対する装着時の固着面積を確保しつつ、研磨用パッドに要求される弾性を一層 効果的に向上させることが可能となる。
発明の効果
[0047] 上述の説明から明ら力なように、本発明の請求項 1, 8, 9, 13に従う構造とされた研 磨用パッドにあっては、上述の従来技術の問題点における(問題点 2) , (問題点 4)を
解決することが可能となる。
[0048] また、本発明の請求項 2に従う構造とされた研磨用パッドにあっては、上述の従来 技術の問題点における(問題点 3), (問題点 4)を解決することが可能となる。
[0049] また、本発明の請求項 3乃至 8および 11乃至 13に従う構造とされた研磨用パッドに あっては、上述の従来技術の問題点における(問題点 1), (問題点 4)を解決すること が可能となる。
図面の簡単な説明
[0050] [図 1]本発明の一実施形態としての研磨用パッドを示す平面図である。
[図 2]図 1に示された研磨用パッドの研磨装置への装着状態を示した縦断面図である
[図 3]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
[図 4]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
[図 5]本発明の一実施形態としての研磨用パッドを示す平面図である。
[図 6]図 5に示された研磨用パッドの底面図である。
[図 7]図 5に示された研磨用パッドの研磨装置への装着状態を示した縦断面図である
[図 8]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
[図 9]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
[図 10]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
[図 11]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
[図 12]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
[図 13]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
[図 14]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
[図 15]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
[図 16]本発明の一実施形態としての研磨用パッドを示す平面図である。
[図 17]図 16に示された研磨用パッドの底面図である。
[図 18]図 16に示された研磨用パッドの研磨装置への装着状態を示した縦断面図で ある。
園 19]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 20]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 21]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 22]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 23]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 24]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 25]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 26]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 27]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 28]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 29]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 30]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 31]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 32]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 33]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 34]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 35]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 36]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 37]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 38]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 39]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 40]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 41]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 42]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 43]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 44]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 45]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。 園 46]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
園 47]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
園 48]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
園 49]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
園 50]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
園 51]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
園 52]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
園 53]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
園 54]本発明の実施形態としての研磨用パッドを示す平面図である。
園 55]図 54に示された研磨用パッドの研磨装置への装着状態を示した縦断面図で ある。
園 56]図 54に示された研磨用パッドの研磨装置への装着状態を示した縦断面図で ある。
園 57]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
園 58]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
園 59]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
園 60]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
園 61]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
園 62]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
園 63]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
園 64]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す平面図である。
園 65]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す平面図である。
園 66]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す平面図である。
園 67]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す平面図である。
園 68]本発明の実施形態としての研磨用パッドを示す平面図である。
園 69]図 68に示された研磨用パッドの研磨装置への装着状態を示した縦断面図で ある。
園 70]図 68に示された研磨用パッドの研磨装置への装着状態を示した縦断面図で ある。
[図 71]本発明の別の実施形態としての研磨用パッドを示す縦断面図である。
符号の説明
[0051] 10 :研磨用パッド、 14 :表面、 16 :表面凹溝、 18 :中心軸、 20 :裏面、 22 :裏面凹溝、 36:表面凹溝、 38:裏面凹溝、 40:表面内側壁面、 42:表面外側壁面、 44:裏面内 側壁面、 46 :裏面外側壁面、 48 :研磨用パッド、 50 :表面凹溝、 74 :研磨用パッド、 9 8 :研磨用パッド、 100 :研磨用パッド、 110 :研磨用パッド、 112 :研磨用パッド 発明を実施するための最良の形態
[0052] 以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、 図面を参照しつつ、詳細に説明する。
〔実施形態 A〕
[0053] 先ず、図 1 , 2には、請求項 1及び 13に記載された本発明の一実施形態としての研 磨用パッド 10が示されている。
[0054] より詳細には、この研磨用パッド 10は、全体に一定の厚さ寸法: Tを有する薄肉円 板形状のパッド基板 12によって形成されている。このパッド基板 12は、例えば硬質 の発泡或いは未発泡の合成樹脂材料や硬質ゴム材料,或いは繊維材料や無機材 料などをはじめとする各種の適当な材料によって形成されており、特に本実施形態 においては、発泡ウレタンによって形成されている。なお、パッド厚さ寸法は、限定さ れるものでなぐパッド基板 12の材質だけでなぐ加工対象となるウェハの材質や、要 求される加工精度などに応じて適宜に設定される。
[0055] また、力かるパッド基板 12の一方の面である表面 14には、周方向に延びる表側環 状凹溝としての表面凹溝 16が、パッド基板 12の中心軸 18の回りに形成されており、 表面 14に開口せしめられている。
[0056] 力かる表面凹溝 16は、本実施形態において、図 1に示されているように、それぞれ 中心軸 18を曲率中心として延びる、相互に曲率半径が異ならせられた多数の円形 の溝 16, 16, 16, · · ·によって構成されている。
[0057] 一方、パッド基板 12の他方の面である裏面 20には、表面 14と同様に周方向に延 びる裏側環状凹溝としての裏面凹溝 22が、パッド基板 12の中心軸 18の回りに形成 されており、裏面 20に開口せしめられている。力かる裏面凹溝 22は、本実施形態に
おいて、表面凹溝 16と同一形状とされた多数の円形の溝 22, 22, 22, ' "によって 構成されている。
[0058] ここにおいて、特に本実施形態では、表面凹溝 16の溝深さ: Dtと裏面凹溝 22の溝 深さ: Db,表面凹溝 16の溝幅: Btと裏面凹溝 22の溝幅: Bb,表面凹溝 16の径方向 ピッチ: Ptと裏面凹溝 22の径方向ピッチ: Pbが、それぞれ等しくされていると共に、表 面凹溝 16の形成位置と裏面凹溝 22の形成位置が径方向で互いに等しくされている
[0059] これにより、本実施形態において、表面凹溝 16が形成されたパッド基板 12の表面 14と裏面凹溝 22が形成されたパッド基板 12の裏面 20とが、互いに同一の形状を有 するようにされている。
[0060] なお、表面凹溝 16と裏面凹溝 22の各部寸法等の具体的な設定値は、パッド基板 1 2の材質や厚さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成さ れたメタル線の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定され るものであって、特に限定されるものでないが、一般に、表面凹溝 16と裏面凹溝 22 の溝幅: Bt, Bb、深さ: Dt, Db、径方向ピッチ: Pt, Pbの各値は、以下の範囲内で設 定されることが望ましい。
[0061] 〔略円形の周方向溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bt = Bb ≤ 3. Omm
0. lmm ≤ Dt = Db ≤ 2. Omm
0. lmm ≤ Pt = Pb ≤ 5. Omm
[0062] また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔略円形の周方向溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bt = Bb ≤ 2. Omm
(より一層好ましくは、 0. 005mm ≤ Bt = Bb ≤ 1. 0mm)
0. lmm ≤ Dt = Db ≤ 1. Omm
0. 2mm ≤ Pt = Pb ≤ 3. Omm
[0063] 蓋し、表面凹溝 16と裏面凹溝 22の溝幅: Bt, Bbが小さ過ぎると、研磨くず等による 表面凹溝 16の目詰まりが発生し易くなつて安定した効果が発揮され難いと共に、表
面凹溝 16と裏面凹溝 22による十分な弾性の確保が為され難い。一方、表面凹溝 16 と裏面凹溝 22の溝幅: Bt, Bbが大き過ぎると、表面凹溝 16のエッジ部分(開口端縁 部)におけるウェハとの接触面圧が増大して食い込み状の研磨等が発生し易ぐ安定 した研磨が実現され難いと共に、表面凹溝 16と裏面凹溝 22によって過大な弾性が 付与されて、研磨精度の低下を招くおそれがある。
[0064] また、表面凹溝 16と裏面凹溝 22の溝深さ: Dt, Dbが小さ過ぎると、研磨用パッド 1 0の表面 14における剛性が大きくなり過ぎて、研磨用パッド 10に付与される弾性が表 面 14において有効に発揮されずに精密な研磨が困難となる傾向にあると共に、研磨 用パッド 10に対して表面凹溝 16と裏面凹溝 22による十分な弾性の付与が為され難 レ、。一方、表面凹溝 16と裏面凹溝 22の溝深さ: Dt, Dbが大き過ぎると、製造が難し いばかりでなぐ研磨用パッド 10の表面 14が変形し易くなると共に、スティックスリップ の発生のおそれもあり、研磨が不安定となり易いと共に、表面凹溝 16と裏面凹溝 22 によって研磨用パッド 10に付与される弾性が大きすぎることによる研磨精度の低下が 問題となり易い。
[0065] 更にまた、表面凹溝 16と裏面凹溝 22の径方向ピッチ: Pt, Pbが小さ過ぎると、製造 が難しぐ研磨用パッド 10の表面 14及び裏面 20に変形や損傷が発生し易くなつて 安定した研磨が実現され難い。一方、表面凹溝 16と裏面凹溝 22の径方向ピッチ: Pt , Pbが大き過ぎると、表面凹溝 16及び裏面凹溝 22によって十分な弾性が研磨用パ ッド 10に対して付与されなくなって、所期の研磨精度の実現が困難となるおそれがあ る。
[0066] また、本実施形態においては、表面凹溝 16の溝深さ: Dtと裏面凹溝 22の溝深さ: Dbの合計値 (Dt + Db)力 パッド基板 12の厚さ寸法: Tよりも小さくされている。なお 、特に本実施形態においては、パッド基板 12の厚さ寸法: Tの値が以下の範囲内に 設定されている。
0. 5mm ≤ T ≤ 10. 0mm
より好ましくは、
1. 0mm ≤ T ≤ 3. 0mm
[0067] そして、このような表面 14及び裏面 20を有する研磨用パッド 10は、従来と同様にし
て、ウェハ等の研磨に用いられる。具体的には、例えば図 3に示されているように、研 磨装置の回転板 (支持板) 24の支持面上に載置されて、エアによる負圧吸引や両面 テープによる接着等の手段で該回転板に固定されて装着される。そして、中心軸 18 の回りに回転駆動せしめられつつ、表面 14に対してウェハ 26が重ね合わせられるこ とにより、研磨処理に供されることとなる。また、そのような研磨処理に際しては、従来 と同様に、一般に、研磨用パッド 10の表面 14とウェハ 26の被カ卩工面 28の対向面間 に対して研磨液 (スラリ) 30が供給されると共に、ウェハ自体もその中心軸回りに回転 駆動せしめられる。なお、研磨液 30は、例えば研磨用パッド 10の中央部分から研磨 用パッド 10の表面 14に供給され、研磨用パッド 10の中心軸 18回りの回転に伴う遠 心力の作用で研磨用パッド 10の表面に広がるようにされる。
[0068] このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド 10においては、上述した従 来技術の問題点における(問題点 1), (問題点 2) , (問題点 4)を有効に解決すること ができる。
[0069] すなわち、パッド基板 12の裏面 20に対して裏面凹溝 22を形成するだけでなぐ表 面 14にも表面凹溝 16を形成したことにより、裏面凹溝 22だけでなく表面凹溝 16によ つても、研磨用パッド 10の弾性の向上が図られ得る。それ故、ノ^ド基板 12の材質 自体の硬度により研磨効率を良好に確保しつつ、弾性による研磨精度の向上も実現 可能となる。
[0070] また、表面 14に形成される表面凹溝 16と裏面 20に形成される裏面凹溝 22が互い に略同一の断面形状,同一の径方向間隔で同じ数だけ形成されていることにより、 表面凹溝と裏面凹溝の形状が異なる場合に比して溝力卩ェが容易であると共に、加工 装置のメンテナンス等の保守,管理が簡単になる。
[0071] さらに、表面 14の形状や材質と裏面 20の形状や材質が互いに略同一とされている ことにより、回転板 24への固着方法によっては、表面 14と裏面 20の何れの面も加工 面 (研磨面)として利用することが可能であり、研磨用パッド 10を研磨装置の回転板( 支持板) 24の支持面上に載置する際に、表裏の確認が不要となる。それ故、高精度 の研磨を実現できる研磨用パッド 10を容易に取り付けることが可能となると共に、表 裏を誤って取り付けることを防ぐことができて確実な取付が可能となる。
[0072] また、裏面凹溝 22を周方向に延びる円環溝としたことにより、表面 14側に供給され る研磨液 30が外周面を伝って裏面 20側へ浸入することを有利に防ぐことができる。 それ故、研磨液 30が裏面 20と回転板 24の支持面との対向面間に浸入することに起 因する、研磨用パッド 10が研磨装置の回転板 24から脱落したり、回転板上で変位し たりといった問題の発生を防止することが出来て、高い信頼性をもって研磨処理を行 うことが可能となる。
[0073] さらに、裏面凹溝 22の幅寸法: Bb深さ寸法: Db,径方向ピッチ: Pbを上述した所定 の範囲内で設定することにより、研磨用パッド 10に十分な弾性を確保することが出来 ると共に、裏面 20と回転板 24との間で十分な固着力を得ることが出来て、高い信頼 性を実現することが可能となる。
[0074] 更にまた、表面凹溝 16の溝深さ: Dtと、裏面凹溝 22の溝深さ: Dbの合計値(Dt + Db)の値を、パッド基板 12の厚さ寸法よりも小さくしたことにより、研磨用パッド 10に 対して適度な弾性を付与すると共に、十分な剛性を保つことができて、研磨精度を高 度に確保することが可能となる。
[0075] また、図 3及び図 4には、請求項 1, 9, 10, 11, 12, 13に記載された本発明の別の 実施形態としての研磨用パッド 32, 34が示されている。なお、以下の説明において、 前記実施形態と実質的に同一とされた部材乃至は部位については、図中に同一の 符号を付すことにより説明を省略する。
[0076] より詳細には、研磨用パッド 32, 34を形成するパッド基板 12の表面 14には、同心 的に周方向に延びる多数の円形の溝によって構成された表側環状凹溝としての表 面凹溝 36が形成されていると共に、パッド基板 12の裏面 20には、同じく同心的に周 方向に延びる多数の円形の溝によって構成された裏側環状凹溝としての裏面凹溝 3 8が形成されている。
[0077] また、本実施形態においては、表面凹溝 36は、パッド基板の中心軸 18に対して一 定の角度で傾斜せしめられた傾斜溝によって形成されている。具体的には、例えば、 表面凹溝 36の内周側の側壁面(以下「表面内側壁面」とレ、う) 40と表面凹溝 36の外 周側の側壁面(以下「表面外側壁面」という) 42の何れもが中心軸 18に対して所定 角度: ct tだけ傾斜せしめられた傾斜面とされている。要するに、本実施形態におけ
る表面凹溝 36では、表面内側壁面 40と表面外側壁面 42が、互いに平行な面とされ ており、表面凹溝 36の周方向だけでなく深さ方向においても、表面凹溝 36の全体に 亘つて略一定の幅寸法: Btとされており、図 3に示された研磨用パッド 32においては 、かかる表面凹溝 36が、開口部に行くに従って次第に中心軸 18から外周側に離隔 して、パッド基板 12の径方向斜め外方に向かって開口せしめられている一方、図 4に 示された研磨用パッド 34においては、かかる表面凹溝 36が、開口部に行くに従って 次第に中心軸 18に接近して、パッド基板 12の径方向斜め内方に向かって開口せし められている。
[0078] さらに、本実施形態においては、裏面凹溝 38もまた、パッド基板の中心軸に対して 一定の角度で傾斜せしめられた傾斜溝によって形成されている。具体的には、例え ば、裏面凹溝 38の内周側の側壁面(以下「裏面内側壁面」とレ、う) 44と裏面凹溝 38 の外周側の側壁面(以下「裏面外側壁面」という) 46の何れもが中心軸 18に対して所 定角度: ct bだけ傾斜せしめられた傾斜面とされている。要するに、本実施形態にお ける裏面凹溝 38は、裏面内側壁面 44と裏面外側壁面 46が、互いに平行な面とされ ており、裏面凹溝 38の周方向だけでなく深さ方向においても、裏面凹溝 38の全体に 亘つて略一定の幅寸法: Bbとされており、図 3に示された研磨用パッド 32においては 、力かる裏面凹溝 38が、開口部に行くに従って次第に中心軸 18から外周側に離隔 して、パッド基板 12の径方向斜め外方に向かって開口せしめられている一方、図 4に 示された研磨用パッド 34においては、力かる裏面凹溝 38が、開口部に行くに従って 次第に中心軸 18に接近して、パッド基板 12の径方向斜め内方に向かって開口せし められている。
[0079] ここにおいて、特に本実施形態においては、表面凹溝 36の溝深さ: Dtと裏面凹溝 38の溝深さ: Db,表面凹溝 36の溝幅: Btと裏面凹溝 38の溝幅: Bb,表面凹溝 36の 径方向ピッチ: Ptと裏面凹溝 38の径方向ピッチ: Pb,表面凹溝 36の傾斜角:ひ tと裏 面凹溝 38の傾斜角: a bが、それぞれ等しい大きさとされており、表面凹溝 36と裏面 凹溝 38が同形状で表面 14と裏面 20にそれぞれ形成されている。これにより、本実施 形態における研磨用パッド 32, 34においては、その表面 14と裏面 20が同一形状と されている。
[0080] なお、表面凹溝 36と裏面凹溝 38の各部寸法等の具体的な設定値は、パッド基板 1 2の材質や厚さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成さ れたメタル線の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定され るものであって、特に限定されるものでないが、一般に、表面凹溝 36と裏面凹溝 38 の溝幅: Bt, Bb,深さ: Dt, Db,径方向ピッチ: Pt, Pbの各値は、以下の範囲内で設 定されることが望ましい。
[0081] 〔略円形の周方向溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bt = Bb ≤ 3. Omm
0. lmm ≤ Dt = Db ≤ 2. Omm
0. lmm ≤ Pt = Pb ≤ 10. Omm
—50度 ≤ a t= a b ≤ 50度
[0082] また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔略円形の周方向溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bt = Bb ≤ 2. Omm
(より一層好ましく ίま、 0. 005mm ≤ Bt = Bb ≤ 1. 0mm)
0. lmm ≤ Dt = Db ≤ 1. Omm
0. 2mm ≤ Pt = Pb ≤ 2. Omm
—45度 ≤ ひ t= ひ b ≤ 45度
[0083] 蓋し、表面内外側壁面 40, 42 (裏面内外側壁面 44, 46)の傾斜角度:ひ t (ひ b)が 小さ過ぎると、研磨用パッド 32, 34に十分な弾性を付与することができず、所期の性 能を発揮できないおそれがある。一方、表面内外側壁面 40, 42 (裏面内外側壁面 4 4, 46)の傾斜角度: a t (ひ b)が大き過ぎると、製造が難しくなるだけでなぐ表面凹 溝 36 (裏面凹溝 38)の側壁部分の強度が低下して面圧分布が安定し難くなつたり、 研磨用パッド 32, 34の耐久性が充分に得られ難くなるおそれがある。
[0084] このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド 32, 34においては、上述し た従来技術の問題点における(問題点 1) , (問題点 2) , (問題点 4)を有効に解決す ることが出来て、特に、中心軸 18に対して傾斜せしめられた傾斜溝によって表面凹 溝 36及び裏面凹溝 38が構成されていることにより、研磨用パッド 32, 34に対して比
較的大きな弾性を有利に付与することが可能となる。
〔実施形態 B〕
[0085] また、図 5〜図 7には、請求項 2及び 13に記載された本発明の一実施形態としての 研磨用パッド 48が示されてレ、る。
[0086] より詳細には、この研磨用パッド 48は、全体に一定の厚さ寸法: Tを有する薄肉円 板形状のパッド基板 12によって形成されている。このパッド基板 12は、例えば硬質 の発泡或いは未発泡の合成樹脂材料や硬質ゴム材料,或いは、繊維材料や無機材 料などをはじめとする各種の適当な材料によって形成されており、特に本実施形態 においては、発泡ウレタンによって形成されている。なお、パッド厚さ寸法は、限定さ れるものでなぐパッド基板 12の材質だけでなぐ加工対象となるウェハの材質や、要 求される加工精度などに応じて適宜に設定される。
[0087] また、力かるパッド基板 12の一方の面である表面 14には、図 5に示されているよう に、径方向一方向において直線的且つ相互に平行に延びる多数の溝 50, 50, 50, • · ·によって構成された直線凹溝としての表面凹溝 50が形成されており、表面 14に 開口せしめられている。
[0088] なお、表面凹溝 50の各部寸法等の具体的な設定値は、パッド基板 12の材質や厚 さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタル線 の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるものであつ て、特に限定されるものでなレ、が、一般に、表面凹溝 50の溝幅: Bt,深さ: Dt,径方 向ピッチ: Ptの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましレ、。
[0089] 〔直線状の凹溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bt ≤ 5. Omm
0. lmm ≤ Dt ≤ 2. Omm
0. lmm ≤ Pt ≤ 60. Omm
[0090] また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔直線状の凹溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bt ≤ 3. Omm
0. lmm ≥ Dt 丄. Omm
0. 2mm ≤ Pt ≤ 10. Omm
[0091] 蓋し、表面凹溝 50の溝幅: Btが小さ過ぎると、研磨くず等による表面凹溝 50の目 詰まりが発生し易くなつて安定した効果が発揮され難い。一方、表面凹溝 50の溝幅: Btが大き過ぎると、表面凹溝 50によって研磨用パッド 48に付与される弾性が大きく なりすぎると共に、表面凹溝 50のエッジ部分(開口端縁部)におけるウェハとの接触 面圧が増大して食い込み状の研磨等が発生し易ぐ安定した研磨が実現され難い。
[0092] また、表面凹溝 50の溝深さ: Dtが小さ過ぎると、研磨用パッド 48の表面 14の剛性 が大きくなり過ぎて、研磨用パッド 48に付与される弾性が表面 14において有効に発 揮されずに精密な研磨が困難となる傾向にある。一方、表面凹溝 50の溝深さ: Dtが 大き過ぎると、過大な弾性が表面凹溝 50によって研磨用パッド 48に付与される。更 に、製造が困難となる一方、研磨用パッド 48の表面 14が変形し易くなると共に、ステ イツタスリップの発生のおそれもあり、研磨が不安定となり易い。
[0093] 更にまた、表面凹溝 50の径方向ピッチ: Ptが小さ過ぎると、製造が難しぐ研磨用 ノ^ド 48の表面 14の変形や損傷が発生し易くなつて安定した研磨が実現され難い。 一方、表面凹溝 50の径方向ピッチ: Ptが大き過ぎると、研磨精度や研磨効率の低下 を招くおそれがある。
[0094] 一方、パッド基板 12の他方の面である裏面 20には、周方向に延びる多数の溝によ つて構成された裏側環状凹溝としての裏面凹溝 22が、パッド基板の中心軸 18を曲 率中心として形成されており、裏面 20に開口せしめられている。力かる裏面凹溝 22 は、本実施形態において、図 6に示されているように、それぞれ中心軸 18を曲率中 心として延びる、相互に曲率半径が異ならせられた多数の円形の溝 22, 22, 22, · · •によって構成されている。
[0095] なお、裏面凹溝 22の各部寸法等の具体的な設定値もまた、パッド基板 12の材質 や厚さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタ ル線の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるもので あって、特に限定されるものでなレ、が、一般に、裏面凹溝 22の溝幅: Bb,深さ: Db, 径方向ピッチ: Pbの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましい。
[0096] 〔略円形の周方向溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bb ≤ 3. Omm
0. lmm ≤ Db ≤ 2. Omm
0. lmm ≤ Pb ≤ 5. Omm
[0097] また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔略円形の周方向溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bb ≤ 2. Omm
(より一層好ましくは、 0. 005mm ≤ Bb ≤ 1. 0mm)
0. lmm ≥ Db ≥ 1. Omm
0. 2mm ≤ Pb ≤ 2. Omm
[0098] 蓋し、裏面凹溝 22の溝幅: Bbや溝深さ: Dbが小さ過ぎると、研磨用パッド 46に対し て十分な弾性を付与することが困難となり、所期の研磨精度を実現することが難しい 。一方、裏面凹溝 22の溝幅: Bbや溝深さ: Dbが大き過ぎると、研磨用パッド 48の表 面 14において発揮される弾性が必要以上に大きくなつて、研磨精度の低下を招くお それがある。
[0099] 更にまた、裏面凹溝 22の径方向ピッチ: Pbが小さ過ぎると、製造が難しぐ損傷等 が発生しやすくなつて安定した研磨実現され難い。一方、裏面凹溝 22の径方向ピッ チ: Pbが大き過ぎると、裏面凹溝 22を構成する円形の溝 22, 22, 22, · · ·の数が少 なくなるため、表面 14において発揮される弾性が研磨用パッド 48の径方向位置に応 じて大きく異なることとなり、均一な研磨を効率よく行うことが困難となる。
[0100] また、表面凹溝 50及び裏面凹溝 22の底面は、形状等が限定されるものでなぐ湾 曲面や平坦面等の何れであっても良いが、特に本実施形態では、表面凹溝 50及び 裏面凹溝 22の底面が研磨用パッド 48の中心軸 18に対して直交する平坦面とされて いる。このように表面凹溝 50と裏面凹溝 22の底面を研磨用パッド 48の表面と略平行 な平坦面とすることにより、表面凹溝 50と裏面凹溝 22の有効深さを大きく設定した場 合でも、表面凹溝 50と裏面凹溝 22の底壁部の間隙を有利に確保して良好な強度特 性を得ることが可能となる。
[0101] また、本実施形態においては、表面凹溝 50の溝深さ: Dtと裏面凹溝 22の溝深さ: Dbの合計値 (Dt + Db)力 パッド基板 12の厚さ寸法: Tよりも小さくされている。特に
本実施形態においては、パッド基板 12の厚さ寸法: Tの値が以下の範囲内に設定さ れている。
0. 5mm ≤ T ≤ 10. 0mm
より好ましくは、
1. Omm ≤ T ≤ 3. Omm
[0102] そして、このような表面 14及び裏面 20を有する研磨用パッド 48は、従来と同様にし て、ウェハ等の研磨に用いられる。具体的には、例えば図 7に示されているように、研 磨装置の回転板(支持板) 24の支持面上に載置されて、エアによる負圧吸引や両面 テープによる接着等の手段で該回転板 24に固定されて装着される。そして、中心軸 18の回りに回転駆動せしめられつつ、表面 14に対してウェハ 26が重ね合わせられ ることにより、研磨処理に供されることとなる。また、そのような研磨処理に際しては、 従来と同様に、一般に、研磨用パッド 48の表面 14とウェハ 26の被加工面 28の対向 面間に対して研磨液 (スラリ) 30が供給されると共に、ウェハ 26自体もその中心軸回り に回転駆動せしめられる。なお、研磨液 30は、例えば研磨用パッド 48の中央部分か ら研磨用パッド 48の表面に供給され、研磨用パッド 48の中心軸 18回りの回転に伴う 遠心力の作用で研磨用パッド 48の表面に広がるようにされる。
[0103] このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド 48においては、上述の従来 技術の問題点における(問題点 1), (問題点 3) , (問題点 4)を有効に解決することが できる。
[0104] すなわち、本実施形態においては、表面 14に形成された表面凹溝 50が直線的に 延びるように形成されている一方、裏面 20に形成された裏面凹溝 22が周方向に延 びるように形成されている。それ故、研磨用パッド 48の表面 14と裏面 20の形状が著 しく異なり、表面 14と裏面 20を視認によって容易に判別できるようになつている。従つ て、研磨用パッド 48の研磨装置に対する取付時に、表裏を取り違える等の問題が生 じるのを回避して確実に取り付けることが可能となる。
[0105] また、裏面凹溝 22を周方向に延びる円環溝としたことにより、表面 14側に供給され る研磨液 30が外周面を伝って裏面 20側へ浸入することを有利に防ぐことができる。 それ故、研磨液 30が裏面 20と回転板 24の支持面との対向面間に浸入することに起
因する、研磨用パッド 48が研磨装置の回転板 24から脱落したり、回転板 24上で変 位したりといった問題の発生を防止することが出来て、高い信頼性をもって研磨処理 を行うことが可能となる。
[0106] さらに、裏面凹溝 22の幅寸法: Bb,深さ寸法: Db,径方向ピッチ: Pbを上述した所 定の範囲内で設定することにより、研磨用パッド 48に十分な弾性を確保することが出 来ると共に、裏面 20と回転板 24との間で十分な固着力を得ることが出来て、高い信 頼性を実現することが可能となる。
[0107] 更にまた、表面凹溝 50の溝深さ: Dtと、裏面凹溝 22の溝深さ: Dbの合計値(Dt + Db)の値を、パッド基板 12の厚さ寸法よりも小さくしたことにより、研磨用パッド 48に 対して適度な弾性を付与すると共に、十分な剛性を保つことができて、研磨精度を高 度に確保することが可能となる。
[0108] 次に、図 8及び図 9には、請求項 2, 9, 10, 13に記載された本発明の別の実施形 態としての研磨用パッド 52, 54が示されている。なお、以下の説明において、前記実 施形態と同一の部材乃至は部位については、図中に同一の符号を付すことにより説 明を省略する。
[0109] 具体的には、パッド基板 12の一方の面である表面 14には、径方向一方向に直線 的に延びる多数の溝によって構成された表面凹溝 50が形成されており、表面 14に 開口せしめられている。
[0110] 一方、パッド基板 12の他方の面である裏面 20には、周方向に延びる裏面凹溝 38
、パッド基板 12の中心軸 18の回りに形成されており、裏面 20に開口せしめられて いる。力かる裏面凹溝 38は、本実施形態において、中心軸 18を曲率中心として同心 的に形成された多数の円形の溝 38, 38, 38, · · ·によって構成されている。
[0111] また、本実施形態においては、裏面凹溝 38がパッド基板の中心軸に対して一定の 角度で傾斜せしめられた傾斜溝によって形成されている。具体的には、例えば、裏 面凹溝 38の内周側の側壁面(以下「裏面内側壁面」とレ、う) 44と裏面凹溝 38の外周 側の側壁面(以下「裏面外側壁面」という) 46何れもが中心軸 18に対して所定角度: ひ bだけ傾斜せしめられた傾斜面とされている。要するに、本実施形態における裏面 凹溝 38は、裏面内側壁面 44と裏面外側壁面 46が、互いに平行な面とされており、
裏面凹溝 38の周方向だけでなく深さ方向においても、裏面凹溝 38の全体に亘つて 略一定の幅寸法: Bbとされており、図 8に示された研磨用パッド 52においては、かか る裏面凹溝 38が、開口部に行くに従って次第に中心軸 18から外周側に離隔して、 ノ^ド基板 12の径方向斜め外方に向かって開口せしめられている一方、図 9に示さ れた研磨用パッド 54においては、力かる裏面凹溝 38が、開口部に行くに従って次第 に中心軸 18に接近して、パッド基板 12の径方向斜め内方に向かって開口せしめら れている。
[0112] なお、裏面凹溝 38の各部寸法等の具体的な設定値もまた、パッド基板 12の材質 や厚さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタ ル線の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるもので あって、特に限定されるものでなレ、が、一般に、裏面凹溝 38の溝幅: Bb,深さ: Db, 径方向ピッチ: Pbの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましレ、。
[0113] 0. 005mm ≤ Bb ≤ 3. 0mm
0. lmm ≤ Db ≤ 2. 0mm
0. lmm ≥ Pb ≤ 5. 0mm
—50度 ≤ a b ≤ 50度
[0114] また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
0. 005mm ≤ Bb ≤ 2. 0mm
(より一層好ましくは、 0. 005mm ≤ Bb ≤ 1. 0mm)
0. lmm ≥ Db ≥ 1. 0mm
0. 2mm ≤ Pb ≤ 2. 0mm
—45度 ≤ ひ b ≤ —20度
又は、 20度 ≤ ひ b ≤ 45度
[0115] 蓋し、裏面内外側壁面 44, 46の傾斜角度:ひ bが小さ過ぎると、研磨用パッド 52, 54に十分な弾性を付与することができず、所期の性能を発揮できないおそれがある 。一方、裏面内外側壁面 44, 46の傾斜角度:ひ bが大き過ぎると、製造が難しくなる だけでな 裏面凹溝 38の側壁部分の強度が低下して面圧分布が安定し難くなつた り、研磨用パッド 52, 54の耐久性が充分に得られ難くなるおそれがある。
[0116] このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド 52, 54においては、上述し た従来技術の問題点における(問題点 1) , (問題点 2) , (問題点 3), (問題点 4)を有 効に解決することが出来る。
[0117] 次に、図 10及び図 11には、請求項 2, 11 , 12, 13に記載された本発明の別の実 施形態としての研磨用パッド 56, 58が示されている。なお、以下の説明において、前 記実施形態と同一の部材乃至は部位については、図中に同一の符号を付すことに より説明を省略する。
[0118] 具体的には、パッド基板 12の一方の面である表面 14には、径方向一方向に直線 的に延びる多数の溝によって構成された表面凹溝 60が形成されており、表面 14に 開口せしめられている。
[0119] また、本実施形態においては、表面凹溝 60は、パッド基板 12の中心軸(中心軸 18 に平行な直線)に対して一定の角度で傾斜せしめられた傾斜溝によって形成されて いる。具体的には、例えば、表面凹溝 60の内周側の側壁面(以下「表面内側壁面」と レ、う) 62と表面凹溝 60の外周側の側壁面(以下「表面外側壁面」とレ、う) 64の何れも が中心軸 18に対して所定角度: a t (中心軸 18に平行な直線との交角 = a t)だけ傾 斜せしめられた傾斜面とされている。要するに、本実施形態における表面凹溝 60で は、表面内側壁面 62と表面外側壁面 64が互いに平行な面とされており、表面凹溝 6 0の周方向だけでなく深さ方向においても、表面凹溝 60の全体に亘つて略一定の幅 寸法: Btとされており、図 10に示された研磨用パッド 56においては、かかる表面凹溝 60が、開口部に行くに従って次第に中心軸 18から外周側に離隔して、パッド基板 1 2の径方向斜め外方に向かって開口せしめられている一方、図 11に示された研磨用 ノ^ド 58においては、かかる表面凹溝 60が、開口部に行くに従って次第に中心軸 1 8に接近して、パッド基板 12の径方向斜め内方に向かって開口せしめられている。
[0120] なお、表面凹溝 60の各部寸法等の具体的な設定値は、パッド基板 12の材質や厚 さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタル線 の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるものであつ て、特に限定されるものでなレ、が、一般に、表面凹溝 60の溝幅: Bt,深さ: Dt,径方 向ピッチ: Pt,傾斜角度: a tの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましい。
[0121] 〔直線状の凹溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bt ≤ 5. 0mm
0. lmm ≤ Dt ≤ 2. Omm
0. lmm ≤ Pt ≤ 60. Omm
_ 30度 ≤ ひ t ≤ 30度
[0122] また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔直線状の凹溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bt ≤ 3. Omm
0. lmm ≥ Dt 丄. Omm
0. 2mm ≤ Pt ≤ 10. Omm
—30度 ≤ a t ≤ —10度
又は、 10度 ≤ a t ≤ 30度
[0123] 蓋し、表面内外側壁面 62, 64の傾斜角度: a tが小さ過ぎると、研磨用パッド 56, 5 8に十分な弾性を付与することができず、所期の性能を発揮できないおそれがある。 一方、表面内外側壁面 62, 64の傾斜角度: a tが大き過ぎると、製造が難しくなるだ けでなぐ表面凹溝 60の側壁部分の強度が低下して面圧分布が安定し難くなつたり 、研磨用パッド 56, 58の耐久性が充分に得られ難くなるおそれがある。
[0124] 一方、パッド基板 12の他方の面である裏面 20には、中心軸 18を曲率中心として周 方向に延びる多数の円形の溝 22, 22, 22, · · ·によって構成された裏面凹溝 22が、 パッド基板の中心軸 18の回りに形成されており、裏面 20に開口せしめられている。
[0125] このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド 56, 58においては、上述し た従来技術の問題点における(問題点 1) , (問題点 3) , (問題点 4)を有効に解決す ることが出来る。
[0126] 次に、図 12〜図 15には、請求項 2, 9, 10, 11, 12, 13に記載された本発明の別 の実施形態としての研磨用パッド 66, 68, 70, 72が示されている。なお、以下の説 明において、前記実施形態と同一の部材乃至は部位については、図中に同一の符 号を付すことにより説明を省略する。
[0127] 具体的には、研磨用パッド 66, 68, 70, 72には、その表面 14において径方向一
方向に直線的に延びる多数の傾斜溝によって構成された表面凹溝 60が形成されて いる一方、その裏面 20において周方向に延びる多数の傾斜溝によって構成された 裏面凹溝 38が形成されている。
[0128] なお、図 12に示されているように、研磨用パッド 66においては、表面凹溝 60が径 方向斜め外方に向かって開口して形成されていると共に、裏面凹溝 38が径方向斜 め内方に向かって開口して形成されている。
[0129] また、図 13に示されているように、研磨用パッド 68においては、表面凹溝 60が径方 向斜め内方に向かって開口して形成されていると共に、裏面凹溝 38が径方向斜め 外方に向かって開口して形成されている。
[0130] また、図 14に示されているように、研磨用パッド 70においては、表面凹溝 60が径方 向斜め外方に向かって開口して形成されていると共に、裏面凹溝 38が径方向斜め 外方に向かって開口して形成されている。
[0131] また、図 15に示されているように、研磨用パッド 72においては、表面凹溝 60が径方 向斜め内方に向かって開口して形成されていると共に、裏面凹溝 38が径方向斜め 内方に向かって開口して形成されている。
[0132] このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド 66, 68, 70, 72においては
、上述した従来技術の問題点における(問題点 1) , (問題点 2) , (問題点 3), (問題 点 4)を有効に解決することができる。
〔実施形態 C〕
[0133] また、図 16〜: 18には、請求項 1, 3, 4, 5, 8, 13に記載された本発明の実施形態 としての研磨用パッド 74が示されてレ、る。
[0134] より詳細には、この研磨用パッド 74は、全体に一定の厚さ寸法: Tを有する薄肉円 板形状のパッド基板 12によって形成されている。このパッド基板 12は、例えば硬質 の発泡或いは未発泡の合成樹脂材料や硬質ゴム材料,或いは、繊維材料や無機材 料などをはじめとする各種の適当な材料によって形成されており、特に本実施形態 においては、発泡ウレタンによって形成されている。なお、パッド厚さ寸法は、限定さ れるものでな パッド基板 12の材質だけでな 加工対象となるウェハの材質や、要 求される加工精度などに応じて適宜に設定される。
[0135] また、力かるパッド基板 12の一方の面である表面 14には、周方向に延びる円形溝 によって構成された表側環状凹溝としての表面凹溝 16が、パッド基板 12の中心軸 1 8の回りに形成されており、表面 14に開口せしめられている。
[0136] 力かる表面凹溝 16は、本実施形態において、図 16に示されているように、それぞ れ中心軸 18を曲率中心として延びる、相互に曲率半径が異ならせられた多数の円 形の溝 16, 16, 16, · · ·によって構成されている。
[0137] なお、表面凹溝 16の各部寸法等の具体的な設定値は、パッド基板 12の材質や厚 さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタル線 の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるものであつ て、特に限定されるものでなレ、が、一般に、表面凹溝 16の溝幅: Bt,深さ: Dt,径方 向ピッチ: Ptの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましレ、。
[0138] 〔略円形の周方向溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bt ≤ 3. Omm
0. lmm ≤ Dt ≤ 2. Omm
0. lmm ≤ Pt ≤ 10. Omm
[0139] また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔略円形の周方向溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bt ≤ 2. Omm
(より一層好ましくは、 0. 005mm ≤ Bt ≤ 1. 0mm)
0. lmm ≥ Dt ^ 1. Omm
0. 2mm ≤ Pt ≤ 2. Omm
[0140] 蓋し、表面凹溝 16の溝幅: Btが小さ過ぎると、研磨くず等による表面凹溝 16の目 詰まりが発生し易くなつて安定した効果が発揮され難い。一方、表面凹溝 16の溝幅: Btが大き過ぎると、表面凹溝 16によって研磨用パッド 74に付与される弾性が大きく なりすぎると共に、表面凹溝 16のエッジ部分(開口端縁部)におけるウェハとの接触 面圧が増大して食い込み状の研磨等が発生し易ぐ安定した研磨が実現され難い。
[0141] また、表面凹溝 16の溝深さ: Dtが小さ過ぎると、研磨用パッド 74の表面 14の剛性 が大きくなり過ぎて、研磨用パッド 74に付与される弾性が表面 14において有効に発
揮されずに精密な研磨が困難となる傾向にある。一方、表面凹溝 16の溝深さ: Dtが 大き過ぎると、過大な弾性が表面凹溝 16によって研磨用パッド 74に付与される。更 に、製造が困難となる一方、研磨用パッド 74の表面 14が変形し易くなると共に、ステ イツタスリップの発生のおそれもあり、研磨が不安定となり易い。
[0142] 更にまた、表面凹溝 16の径方向ピッチ: Ptが小さ過ぎると、製造が難しぐ研磨用 ノ^ド 74の表面 14の変形や損傷が発生し易くなつて安定した研磨が実現され難い。 一方、表面凹溝 16の径方向ピッチ: Ptが大き過ぎると、研磨精度や研磨効率の低下 を招くおそれがある。
[0143] 一方、力かるパッド基板 12の他方の面である裏面 20には、周方向に延びる円形溝 によって構成された裏側環状凹溝としての裏面凹溝 22が、パッド基板 12の中心軸 1 8の回りに形成されており、裏面 20に開口せしめられている。
[0144] 力かる裏面凹溝 22は、本実施形態において、図 17に示されているように、それぞ れ中心軸 18を曲率中心として延びる、相互に曲率半径が異ならせられた多数の円 形の溝 22, 22, 22, · · ·によって構成されている。
[0145] なお、裏面凹溝 22の各部寸法等の具体的な設定値もまた、パッド基板 12の材質 や厚さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタ ル線の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるもので あって、特に限定されるものでなレ、が、一般に、裏面凹溝 22の溝幅: Bb,深さ: Db, 径方向ピッチ: Pbの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましい。
[0146] 〔略円形の周方向溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bb ≤ 3. Omm
0. lmm ≤ Db ≤ 2. Omm
0. lmm ≥ Pb ≤ 5. Omm
[0147] また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔略円形の周方向溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bb ≤ 2. Omm
(より一層好ましくは、 0. 005mm ≤ Bb ≤ 1. 0mm)
0. lmm ≥ Db ≥ 1. Omm
0. 2mm ≤ Pb ≤ 2. Omm
[0148] 蓋し、裏面凹溝 22の溝幅: Bbや溝深さ: Dbが小さ過ぎると、研磨用パッド 74に対し て十分な弾性を付与することが困難となり、所期の研磨精度を実現することが難しい 。一方、裏面凹溝 22の溝幅: Bbや溝深さ: Dbが大き過ぎると、研磨用パッド 74の表 面 14において発揮される弾性が必要以上に大きくなつて、研磨精度の低下を招くお それがある。
[0149] 更にまた、裏面凹溝 22の径方向ピッチ: Pbが小さ過ぎると、製造が難しぐ損傷等 が発生しやすくなつて安定した研磨実現され難い。一方、裏面凹溝 22の径方向ピッ チ: Pbが大き過ぎると、裏面凹溝 22を構成する円形の溝 22, 22, 22, · · ·の数が少 なくなるため、表面 14において発揮される弾性が研磨用パッド 74の径方向位置に応 じて大きく異なることとなり、均一な研磨を効率よく行うことが困難となる。
[0150] また、表面凹溝 16及び裏面凹溝 22の底面は、形状等が限定されるものでなぐ湾 曲面や平坦面等の何れであっても良いが、特に本実施形態では、表面凹溝 16及び 裏面凹溝 22の底面が研磨用パッド 74の中心軸 18に対して直交する平坦面とされて いる。このように表面凹溝 16と裏面凹溝 22の底面を研磨用パッド 74の表面と略平行 な平坦面とすることにより、表面凹溝 16と裏面凹溝 22の有効深さを大きく設定した場 合でも、表面凹溝 16と裏面凹溝 22の底壁部の間隙を有利に確保して良好な強度特 性を得ることが可能となる。
[0151] さらに、特に本実施形態においては、表面凹溝 16の溝深さ: Dtと裏面凹溝 22の溝 深さ: Dbの合計値がパッド基板 12の厚さ寸法: Tよりも小さくされている。これにより、 研磨用パッド 74に対して弾性を適度に付与して、研磨精度の向上を図ることが出来 る。なお、特に本実施形態においては、パッド基板 12の厚さ寸法: Tの値が以下の範 圏内に設定されている。
0. 5mm ≤ T ≤ 10. Omm
より好ましくは、
1. Omm ≤ T ≤ 3. Omm
[0152] ここにおいて、特に本実施形態では、表面凹溝 16と裏面凹溝 22が互いに特定の 位置関係で形成されている。具体的には、隣り合う裏面凹溝 22, 22の径方向間の表
面 14側に表面凹溝 16が形成されており、特に本実施形態においては、裏面凹溝 22 , 22の径方向間における径方向略中央の表面 14側において一条の表面凹溝 16が 形成されている。更に、隣り合う表面凹溝 16の径方向中央部分には、その裏面 20に おいて、一条の裏面凹溝 22が形成されており、これによつて表面凹溝 16と裏面凹溝 22がパッド基板 12の表裏において径方向で互いにずれた位置に交互に形成されて いる。
[0153] そして、このような表面 14及び裏面 20を有する研磨用パッド 74は、従来と同様にし て、ウェハ等の研磨に用いられる。具体的には、例えば図 18に示されているように、 研磨装置の回転板 (支持板) 24の支持面上に載置されて、エアによる負圧吸引ゃ両 面テープによる接着等の手段で回転板 24に固定されて装着される。そして、中心軸 18の回りに回転駆動せしめられつつ、表面 14に対してウェハ 26が重ね合わせられ ることにより、研磨処理に供されることとなる。また、そのような研磨処理に際しては、 従来と同様に、一般に、研磨用パッド 74の表面 14とウェハ 26の被加工面 28の対向 面間に対して研磨液 (スラリ) 30が供給されると共に、ウェハ 26自体もその中心軸回り に回転駆動せしめられる。なお、研磨液 30は、例えば研磨用パッド 74の中央部分か ら研磨用パッド 74の表面に供給され、研磨用パッド 74の中心軸 18回りの回転に伴う 遠心力の作用で研磨用パッド 74の表面に広がるようにされる。
[0154] このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド 74においては、上述した従 来技術の問題点における(問題点 1), (問題点 2) , (問題点 4)を有効に解決すること が出来る。
[0155] すなわち、研磨用パッド 74の表面 14において、被加工物、つまり研磨対象物に対 して当接せしめられる部分 (接触面)に対して面圧が作用せしめられると、接触面に 作用した応力は軸方向下方に伝達されることとなる。ここで、本実施形態においては 、表面 14において接触面が形成されている部分の裏面 20側には、裏面凹溝 22が 形成されており、弾性が付与されているため、応力の作用によって弾性的に変形して 応力を逃すことが可能となっている。それ故、裏面 20と回転板(支持板) 24との固着 面積を十分に確保しつつ、裏面凹溝 22が形成されることによって発揮される弾性を 表面 14において有利に発揮させることが出来て、高い平坦性や均一性をもって研磨
処理を実現することが出来る。
[0156] また、研磨用パッド 74の表面 14と裏面 20の両面にそれぞれ形成された表面凹溝 1 6と裏面凹溝 22を共に周方向に延びる円形の溝としたことにより、溝の形成加工が容 易となって、研磨用パッドの生産効率の向上を図ることが可能となる。
[0157] また、裏面凹溝 22を周方向に延びる円環溝としたことにより、表面 14側に供給され る研磨液 30が外周面を伝って裏面 20側へ浸入することを有利に防ぐことができる。 それ故、研磨液 30が裏面 20と回転板 24の支持面との対向面間に浸入することに起 因する、研磨用パッド 74が研磨装置の回転板 24から剥離したり、回転板 24上で変 位したりといった問題の発生を防止することが出来て、高い信頼性をもって研磨処理 を行うことが可能となる。
[0158] さらに、裏面凹溝 22の幅寸法: Bb,深さ寸法: Db,径方向ピッチ: Pbを上述した所 定の範囲内で設定することにより、研磨用パッド 74に十分な弾性を確保することが出 来ると共に、裏面 20と回転板 24との間で十分な固着力を得ることが出来て、高い信 頼性を実現することが可能となる。
[0159] 更にまた、表面凹溝 16の溝深さ: Dtと、裏面凹溝 22の溝深さ: Dbの合計値(Dt + Db)の値を、パッド基板 12の厚さ寸法よりも小さくしたことにより、研磨用パッド 74に 対して適度な弾性を付与すると共に、十分な剛性を保つことができて、研磨精度を高 度に確保することが可能となる。
[0160] 次に、図 19と図 20には、請求項 3, 4, 8, 11〜: 13に記載された本発明の別の実施 形態としての研磨用パッド 76, 78が示されている。なお、以下の説明において、前記 実施形態と実質的に同一の部材乃至は部位については、図中に同一の符号を付す ことにより説明を省略する。
[0161] 具体的には、パッド基板 12の一方の面である表面 14には、中心軸を曲率中心とし て同心的に周方向に延びる多数の円形の溝 36, 36, 36, · · ·によって構成された表 面凹溝 36がパッド基板 12の中心軸 18の回りに形成されており、表面 14に開口せし められている。
[0162] また、本実施形態においては、表面凹溝 36は、パッド基板の中心軸(中心軸 18に 平行な直線)に対して一定の角度で傾斜せしめられた傾斜溝によって構成されてい
る。具体的には、例えば、表面凹溝 36の内周側の側壁面(以下「表面内側壁面」とい う) 40と表面凹溝 36の外周側の側壁面(以下「表面外側壁面」とレ、う) 42の何れもが 中心軸 18に対して所定角度: a t (中心軸 18に平行な直線との交角 = ひ t)だけ傾斜 せしめられた傾斜面とされている。要するに、本実施形態における表面凹溝 36では 、表面内側壁面 40と表面外側壁面 42が互いに平行な面とされており、表面凹溝 36 の周方向だけでなく深さ方向においても、表面凹溝 36の全体に亘つて略一定の幅 寸法: Btとされており、図 19に示された研磨用パッド 76においては、かかる表面凹溝 36が、開口部に行くに従って次第に中心軸 18から外周側に離隔して、パッド基板 1 2の径方向斜め外方に向かって開口せしめられている一方、図 20に示された研磨用 ノ^ド 78においては、かかる表面凹溝 36が、開口部に行くに従って次第に中心軸 1 8に接近して、パッド基板 12の径方向斜め内方に向かって開口せしめられている。
[0163] なお、表面凹溝 36の各部寸法等の具体的な設定値は、パッド基板 12の材質や厚 さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタル線 の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるものであつ て、特に限定されるものでなレ、が、一般に、表面凹溝 36の溝幅: Bt,深さ: Dt,径方 向ピッチ: Pt,傾斜角度: a tの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましい。
[0164] 〔略円形の周方向溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bt ≤ 3. 0mm
0. lmm ≤ Dt ≤ 2. 0mm
0. lmm ≤ Pt ≤ 10. 0mm
_ 30度 ≤ ひ t ≤ 30度
[0165] また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔略円形の周方向溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bt ≤ 2. 0mm
(より一層好ましくは、 0. 005mm ≤ Bt ≤ 1. 0mm)
0. lmm ≥ Dt ^ 1. 0mm
0. 2mm ≤ Pt ≤ 2. 0mm
—30度 ≤ a t ≤ —10度
又は、 10度 ≤ ひ t ≤ 30度
[0166] 蓋し、表面内外側壁面 40, 42の傾斜角度:ひ tが小さ過ぎると、研磨用パッド 76, 7 8に十分な弾性を付与することができず、所期の性能を発揮できないおそれがある。 一方、表面内外側壁面 40, 42の傾斜角度:ひ tが大き過ぎると、製造が難しくなるだ けでなぐ表面凹溝 36の側壁部分の強度が低下して面圧分布が安定し難くなつたり 、研磨用パッド 76, 78の耐久性が充分に得られ難くなるおそれがある。
[0167] 一方、パッド基板 12の他方の面である裏面 20には、周方向に延びる円形溝によつ て構成された裏面凹溝 22が、パッド基板の中心軸 18の回りに形成されており、裏面 20に開口せしめられている。力かる裏面凹溝 22は、本実施形態において、中心軸を 曲率中心として同心的に延びる多数の円形の溝 22, 22, 22, · · ·によって構成され ている。
[0168] このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド 76, 78においては、上述し た従来技術の問題点における(問題点 1) , (問題点 4)を有効に解決することができる
[0169] 次に、図 21と図 22には、請求項 3, 4, 8, 9, 10, 13に記載された本発明の別の実 施形態としての研磨用パッド 80, 82が示されてレ、る。
[0170] 具体的には、パッド基板 12の一方の面である表面 14には、中心軸を曲率中心とし て周方向に延びる、相互に曲率半径が異ならせられた多数の円形の溝 16, 16, 16 , …によって構成された表面凹溝 16が、パッド基板 12の中心軸 18の回りに形成さ れており、表面 14に開口せしめられている。
[0171] 一方、パッド基板 12の他方の面である裏面 20には、周方向に延びる円形溝によつ て構成された裏面凹溝 38が、パッド基板の中心軸 18の回りに形成されており、裏面 20に開口せしめられている。力かる裏面凹溝 38は、本実施形態において、中心軸を 曲率中心として同心的に延びる多数の円形の溝 38, 38, 38, · · ·によって構成され ている。
[0172] また、本実施形態においては、裏面凹溝 38は、パッド基板の中心軸 18 (中心軸 18 に平行な直線)に対して一定の角度で傾斜せしめられた傾斜溝によって形成されて いる。具体的には、例えば、裏面凹溝 38の内周側の側壁面(以下「裏面内側壁面」と
レ、う) 44と裏面凹溝 38の外周側の側壁面(以下「裏面外側壁面」とレ、う) 46の何れも が中心軸 18に対して所定角度: a t (中心軸 18に平行な直線との交角 = a t)だけ傾 斜せしめられた傾斜面とされている。要するに、本実施形態における裏面凹溝 38で は、裏面内側壁面 44と裏面外側壁面 46が互いに平行な面とされており、裏面凹溝 3 8の周方向だけでなく深さ方向においても、裏面凹溝 38の全体に亘つて略一定の幅 寸法: Btとされており、図 21に示された研磨用パッド 80においては、かかる裏面凹溝 38が、開口部に行くに従って次第に中心軸 18から外周側に離隔して、パッド基板 1 2の径方向斜め外方に向かって開口せしめられている一方、図 22に示された研磨用 ノ ッド 82においては、力かる裏面凹溝 38が、開口部に行くに従って次第に中心軸 1 8に接近して、パッド基板 12の径方向斜め内方に向かって開口せしめられている。
[0173] なお、裏面凹溝 38の各部寸法等の具体的な設定値は、パッド基板 12の材質や厚 さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタル線 の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるものであつ て、特に限定されるものでなレ、が、一般に、裏面凹溝 38の溝幅: Bb,深さ: Db,径方 向ピッチ: Pbの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましレ、。
〔略円形の周方向溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bb ≤ 3. 0mm
0. lmm ≤ Db ≤ 2. 0mm
0. lmm ≥ Pb ≤ 5. 0mm
_ 50度 ≤ ひ b ≤ 50度
[0174] また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔略円形の周方向溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bb ≤ 2. 0mm
(より一層好ましくは、 0. 005mm ≤ Bb ≤ 1. 0mm)
0. lmm ≥ Db ≥ 1. 0mm
0. 2mm ≤ Pb ≤ 2. 0mm
—45度 ≤ ひ b ≤ —20度
又は、 20度 ≤ a b ≤ 45度
[0175] 蓋し、裏面内外側壁面 44, 46の傾斜角度:ひ bが小さ過ぎると、研磨用パッド 80, 82に十分な弾性を付与することができず、所期の性能を発揮できないおそれがある 。一方、裏面内外側壁面 44, 46の傾斜角度:ひ bが大き過ぎると、製造が難しくなる だけでな 裏面凹溝 38の側壁部分の強度が低下して面圧分布が安定し難くなつた り、研磨用パッド 80, 82の耐久性が充分に得られ難くなるおそれがある。
[0176] このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド 80, 82においては、上述し た従来技術の問題点における(問題点 1) , (問題点 2) , (問題点 4)を有効に解決す ること力 Sできる。
[0177] また、図 23, 24には、請求項 3, 4, 8〜: 13に記載された本発明の別の実施形態と しての研磨用パッド 84, 86が示されている。なお、以下の説明において、前記実施 形態と実質的に同一の部材乃至は部位については図中に同一の符号を付すことに より説明を省略する。
[0178] 具体的には、研磨用パッド 84, 86には、その表面 14において中心軸 18を曲率中 心として同心的に周方向に延びる多数の傾斜溝によって構成された表面凹溝 36が 形成されている一方、その裏面 20において同じく中心軸 18を曲率中心として同心的 に周方向に延びる多数の傾斜溝によって構成された裏面凹溝 38が形成されている
[0179] なお、図 23に示されているように、研磨用パッド 84においては、表面凹溝 36が径 方向斜め外方に向かって開口して形成されていると共に、裏面凹溝 38が径方向斜 め内方に向かって開口して形成されている。
[0180] また、図 24に示されているように、研磨用パッド 86においては、表面凹溝 36が径方 向斜め内方に向かって開口して形成されていると共に、裏面凹溝 38が径方向斜め 外方に向かって開口して形成されている。
[0181] このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド 84, 86においては、上述し た従来技術の問題点における(問題点 1) , (問題点 2) , (問題点 4)を有効に解決す ること力 Sできる。
[0182] また、図 25, 26には、請求項 1 , 3, 4, 5, 8〜: 13に記載された本発明の別の実施 形態としての研磨用パッド 88, 90が示されている。なお、以下の説明において、前記
実施形態と実質的に同一の部材乃至は部位については図中に同一の符号を付すこ とにより説明を省略する。
[0183] 具体的には、研磨用パッド 88, 90には、その表面 14において中心軸 18を曲率中 心として同心的に周方向に延びる多数の傾斜溝によって構成された表面凹溝 36が 形成されている一方、その裏面 20において同じく中心軸 18を曲率中心として同心的 に周方向に延びる多数の傾斜溝によって構成された裏面凹溝 38が形成されている
[0184] また、図 25に示されているように、研磨用パッド 88においては、表面凹溝 36が径方 向斜め外方に向かって開口して形成されていると共に、裏面凹溝 38が径方向斜め 外方に向かって開口して形成されている。
[0185] また、図 26に示されているように、研磨用パッド 90においては、表面凹溝 36が径方 向斜め内方に向かって開口して形成されていると共に、裏面凹溝 38が径方向斜め 内方に向かって開口して形成されている。
[0186] このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド 88, 90においては、上述し た従来技術の問題点における(問題点 1) , (問題点 2) , (問題点 4)を有効に解決す ること力 Sできる。
[0187] さらに、図 27には、請求項 3, 8, 13に記載された本発明の別の実施形態としての 研磨用パッド 92が示されている。なお、以下の説明において、前記実施形態と実質 的に同一の部材乃至は部位については図中に同一の符号を付すことにより説明を 省略する。
[0188] 具体的には、パッド基板 12の一方の面である表面 14には、表面凹溝 16がパッド基 板 12の中心軸 18の回りに形成されており、表面 14に開口せしめられている一方、パ ッド基板 12の他方の面である裏面 20には、裏面凹溝 22がパッド基板の中心軸 18の 回りに形成されており、裏面 20に開口せしめられている。
[0189] ここにおいて、特に本実施形態では、裏面凹溝 22の径方向ピッチ: Ptが、表面凹 溝 16の径方向ピッチ: Pbに比して小さくされている。より詳細には、裏面凹溝 22が表 面凹溝 16の略二倍の径方向ピッチで形成されており、裏面凹溝 22は表面凹溝 16 に比して多く形成されてレ、る。
[0190] このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド 92においては、上述した従 来技術の問題点における(問題点 1), (問題点 4)を有効に解決することができる。
[0191] なお、図 27に示された研磨用パッド 92においては、表面凹溝と裏面凹溝が共に中 心軸に対して傾斜角度を有しない円形溝によって構成された表面凹溝 16と裏面凹 溝 22とされてレ、る。し力しながら、これらの各実施形態においても、図 28〜33にそれ ぞれ示されているように、表面凹溝として中心軸に対して傾斜せしめられた傾斜溝で 構成された表面凹溝 36を採用することが可能であると共に、図 30〜35にそれぞれ 示されているように、裏面凹溝としても中心軸に対して傾斜せしめられた傾斜溝で構 成された裏面凹溝 38を採用することが可能である。
[0192] 一方、図 36には、請求項 3, 6, 8, 13に記載された本発明の別の実施形態として の研磨用パッド 94が示されている。なお、以下の説明において、前記実施形態と実 質的に同一の部材乃至は部位については図中に同一の符号を付すことにより説明 を省略する。
[0193] 具体的には、パッド基板 12の一方の面である表面 14には、表面凹溝 16がパッド基 板 12の中心軸 18の回りに形成されており、表面 14に開口せしめられている一方、パ ッド基板 12の他方の面である裏面 20には、裏面凹溝 22がパッド基板の中心軸 18の 回りに形成されており、裏面 20に開口せしめられている。
[0194] ここにおいて、本実施形態では、裏面凹溝 22の径方向ピッチ: Pbが、表面凹溝 16 の径方向ピッチ: Ptに比して大きくされている。より詳細には、裏面凹溝 22が表面凹 溝 16の略半分の径方向ピッチで形成されており、裏面凹溝 22が表面凹溝 16に比し て多く形成されている。
[0195] これにより、裏面 20において裏面凹溝 22が形成されていることにより研磨用パッド 9 2に付与されている弾性が、より一層有効に発揮されることとなる。
[0196] このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド 94においては、上述した従 来技術の問題点における(問題点 1), (問題点 4)を有効に解決することができる。
[0197] なお、図 36にしめされた研磨用パッド 94においては、表面凹溝が中心軸に対して 傾斜角度を有しない円形溝によって構成された表面凹溝 16とされている。しかしな がら、これらの各実施形態においても、図 37〜44にそれぞれ示されているように、表
面凹溝として中心軸に対して傾斜せしめられた傾斜溝で構成された表面凹溝 36を 採用することが可能である。これにより、請求項 11に記載された本発明の構造を有す ることとなり、上述した従来技術の問題点における(問題点 1), (問題点 4)を有効に 角军決すること力 Sできる。
[0198] また、図 36にしめされた研磨用パッド 94においては、裏面凹溝が中心軸に対して 傾斜角度を有しない円形溝によって構成された裏面凹溝 22とされている。しかしな がら、図 39〜44にそれぞれ示されているように、裏面凹溝としては中心軸に対して 傾斜せしめられた傾斜溝で構成された裏面凹溝 38を採用することが可能である。こ れにより、請求項 9に記載された本発明の構造を有することとなり、上述した従来技術 の問題点における(問題点 1), (問題点 4)に加えて(問題点 2)を有効に解決すること ができる。
[0199] 次に、図 45には、請求項 3, 4, 7, 13に記載された本発明の実施形態としての研 磨用パッド 96が示されている。なお、以下の説明において、前記実施形態と実質的 に同一の部材乃至は部位については、図中に同一の符号を付すことにより説明を省 略する。
[0200] 具体的には、パッド基板 12の一方の面である表面 14には、表面凹溝 16がパッド基 板 12の中心軸 18の回りに形成されており、表面 14に開口せしめられている一方、パ ッド基板 12の他方の面である裏面 20には、裏面凹溝 22がパッド基板の中心軸 18の 回りに形成されており、裏面 20に開口せしめられている。
[0201] ここにおいて、本実施形態では、表面凹溝 16の溝深さ: Dtと裏面凹溝 22の溝深さ : Dbの合計値 (Dt + Db)力 パッド基板 12の厚さ寸法: Tよりも大きくされている。こ れにより、研磨用パッド 96には、より大きな弾性が有利に付与されることとなる。
[0202] このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド 96においては、上述した従 来技術の問題点における(問題点 1), (問題点 4)を有効に解決することができる。
[0203] なお、図 45に示された研磨用パッド 96においては、表面凹溝が中心軸に対して傾 斜角度を有しない円形溝によって構成された表面凹溝 16とされている。しかしながら 、図 46〜51にそれぞれ示されているように、表面凹溝として中心軸に対して傾斜せ しめられた傾斜溝で構成された表面凹溝 36を採用することが可能である。これにより
、請求項 11に記載された本発明の構造を有することとなり、上述した従来技術の問 題点における(問題点 1) , (問題点 4)を有効に解決することができる。
[0204] また、図 45に示された研磨用パッド 96においては、裏面凹溝が中心軸に対して傾 斜角度を有しない円形溝によって構成された裏面凹溝 22とされている。しかしながら 、図 48〜53にそれぞれ示されているように、裏面凹溝としては中心軸に対して傾斜 せしめられた傾斜溝で構成された裏面凹溝 38を採用することが可能である。これに より、請求項 9に記載された本発明の構造を有することとなり、上述した従来技術の問 題点における(問題点 1) , (問題点 4)に加えて(問題点 2)を有効に解決することがで きる。
〔実施形態 D〕
[0205] また、図 54〜56には、請求項 9, 13に記載された本発明の一実施形態としての研 磨用パッド 98, 100が示されている。
[0206] より詳細には、この研磨用パッド 98, 100は、全体に一定の厚さ寸法: Tを有する薄 肉円板形状のパッド基板 12によって形成されている。このパッド基板 12は、例えば 硬質の発泡或いは未発泡の合成樹脂材料や硬質ゴム材料,或いは繊維材料や無 機材料などをはじめとする各種の適当な材料によって形成されており、特に本実施 形態においては、発泡ウレタンによって形成されている。なお、パッド厚さ寸法は、限 定されるものでなぐパッド基板 12の材質だけでなぐ加工対象となるウェハの材質や 、要求される加工精度などに応じて適宜に設定される。
[0207] また、本実施形態におけるパッド基板 12の一方の面である表面 14は、溝などが形 成されてレ、なレ、平坦面とされてレ、る。
[0208] 一方、パッド基板 12の他方の面である裏面 20には、周方向に延びる円形溝によつ て構成された裏面凹溝 38が、パッド基板の中心軸 18の回りに形成されており、裏面 20に開口せしめられている。
[0209] 力かる裏面凹溝 38は、本実施形態において、図 54に示されているように、それぞ れ中心軸 18を曲率中心として延びる、相互に曲率半径が異ならせられた多数の円 形の溝 38, 38, 38, · · ·によって構成されている。
[0210] ここにおいて、特に本実施形態においては、裏面凹溝 38が円形の溝であると共に
、パッド基板 12の中心軸 18に対して一定の角度だけ傾斜せしめられた傾斜溝によつ て構成されている。具体的には、例えば、縦断の拡大説明図である図 55,図 56に示 されているように、力かる裏面凹溝 38は、その内周側の側壁面(以下「裏面内側壁面 」とレ、う) 44と外周側の側壁面(以下「裏面外側壁面」とレ、う) 46の何れも力 周方向の 全長に亘つて、中心軸 18に対して所定角度:ひ b (中心軸 18に平行な直線に対する 交角 = ひ b)だけ傾斜せしめられた傾斜面とされている。要するに、図 57, 58に示さ れた裏面凹溝 38では、裏面内側壁面 44と裏面外側壁面 46が、互いに平行な面とさ れており、裏面凹溝 38の周方向だけでなく深さ方向においても、裏面凹溝 38の全体 に亘つて略一定の幅寸法: Bbとされており、図 55に示された研磨用パッド 98におい ては、力かる裏面凹溝 38が、開口部に行くに従って次第に中心軸 18に接近して、パ ッド基板 12の径方向斜め内方に向かって開口せしめられている一方、図 56に示され た研磨用パッド 100においては、力かる裏面凹溝 38が、開口部に行くに従って次第 に中心軸 18から外周側に離隔して、パッド基板 12の径方向斜め外方に向かって開 口せしめられている。
[0211] なお、裏面凹溝 38の各部寸法等の具体的な設定値は、パッド基板 12の材質や厚 さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタル線 の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるものであつ て、特に限定されるものでなレ、が、一般に、裏面凹溝 38の溝幅: Bb,深さ: Db,径方 向ピッチ: Pbの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましレ、。
[0212] 〔略円形の周方向溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bb ≤ 3. 0mm
0. lmm ≤ Db ≤ 2. 0mm
0. lmm ≥ Pb ≤ 5. 0mm
_ 50度 ≤ ひ b ≤ 50度
[0213] また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔略円形の周方向溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bb ≤ 2. 0mm
(より一層好ましくは、 0. 005mm ≤ Bb ≤ 1. 0mm)
0. lmm ≤ Db ≤ 1. 0mm
0. 2mm ≤ Pb ≤ 2. Omm
—45度 ≤ ひ b ≤ —20度
又は、 20度 ≤ ひ b ≤ 45度
[0214] 蓋し、裏面凹溝 38の溝幅: Bbや溝深さ: Dbが小さ過ぎると、研磨用パッド 98, 100 に対して十分な弾性を付与することが困難となり、所期の研磨精度を実現することが 難しい。一方、裏面凹溝 38の溝幅: Bbや溝深さ: Dbが大き過ぎると、研磨用パッド 9 8, 100の裏面 20において発揮される弾性が必要以上に大きくなつて、研磨精度の 低下を招くおそれがある。
[0215] さらに、裏面凹溝 38の径方向ピッチ: Pbが小さ過ぎると、製造が難しぐ損傷等が 発生しやすくなつて安定した研磨実現され難い。一方、裏面凹溝 38の径方向ピッチ : Pbが大き過ぎると、裏面凹溝 38を構成する円形の溝 38, 38, 38, …の数が少な くなるため、裏面 20において発揮される弾性が研磨用パッド 98, 100の径方向位置 に応じて大きく異なることとなり、均一な研磨を効率よく行うことが困難となる。
[0216] 更にまた、裏面内外側壁面 44, 46の傾斜角度: a bが小さ過ぎると、研磨用パッド 98, 100に十分な弾性を付与することができず、所期の性能を発揮できないおそれ がある。一方、裏面内外側壁面 44, 46の傾斜角度: a bが大き過ぎると、製造が難し くなるだけでな 裏面凹溝 38の側壁部分の強度が低下して面圧分布が安定し難く なったり、研磨用パッド 98, 100の耐久性が充分に得られ難くなるおそれがある。
[0217] また、裏面凹溝 38の底面は、形状等が限定されるものでなぐ湾曲面や平坦面等 の何れであっても良いが、特に本実施形態では、裏面凹溝 38の底面が研磨用パッド 98, 100の中心軸 18に対して直交する平坦面とされている。このように裏面凹溝 38 の底面を研磨用パッド 98, 100の表面と略平行な平坦面とすることにより、裏面凹溝 38の有効深さを大きく設定した場合でも、裏面凹溝 38の底壁部の間隙を有利に確 保して良好な強度特性を得ることが可能となる。
[0218] そして、このような表面 14及び裏面 20を有する研磨用パッド 98, 100は、従来と同 様にして、ウェハ等の研磨に用いられる。具体的には、例えば図 55, 56に示されて いるように、研磨装置の回転板(支持板) 24の支持面上に載置されて、エアによる負
圧吸引や両面テープによる接着等の手段で回転板 24に固定されて装着される。そ して、中心軸 18の回りに回転駆動せしめられつつ、表面 14に対してウェハ 26が重ね 合わせられることにより、研磨処理に供されることとなる。また、そのような研磨処理に 際しては、従来と同様に、一般に、研磨用パッド 98, 100の表面 14とウェハ 26の被 加工面 28の対向面間に対して研磨液 (スラリ) 30が供給されると共に、ウェハ 26自体 もその中心軸回りに回転駆動せしめられる。なお、研磨液 30は、例えば研磨用パッド 98, 100の中央部分力も研磨用パッド 98, 100の表面に供給され、研磨用パッド 98 , 100の中心軸 18回りの回転に伴う遠心力の作用で研磨用パッド 98, 100の表面に 広がるようにされる。
[0219] このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド 98, 100においては、上述 した従来技術の問題点における(問題点 2) , (問題点 4)を有効に解決することができ る。
[0220] すなわち、裏面凹溝 38を中心軸に対して傾斜せしめられた傾斜溝としたことにより 、凹溝の形成によって研磨用パッド 98, 100に付与される弾性を、より有利に確保す ることが可能となって、研磨用パッド 98, 100に対する種々の要求性能に対して確実 に対応することが可能となる。しかも、傾斜溝を円環状に延びる態様で採用すること により、溝を傾斜せしめたことによって被加工物への接触面 (加工面)に作用する応 力に基づくパッド基板 12の弾性変形が、一方向に剪断的に発生することを効果的に 回避することが出来るため、ウェハ等の被力卩ェ物を軸直角方向で固定的に位置決め して保持することが出来て、高精度の研磨を安定して行うことが可能となる。
[0221] また、裏面凹溝 38を周方向に延びる円環溝としたことにより、表面 14側に供給され る研磨液 30が外周面を伝って裏面 20側へ浸入することを有利に防ぐことができる。 それ故、研磨液 30が裏面 20と回転板 24の支持面との対向面間に浸入することに起 因する、研磨用パッド 98, 100が研磨装置の回転板 24から剥離したり、回転板上で 変位したりといった問題の発生を防止することが出来て、高い信頼性をもって研磨処 理を行うことが可能となる。
[0222] さらに、裏面凹溝 38の幅寸法: Bb,深さ寸法: Db,径方向ピッチ: Pb, ひ bを上述し た所定の範囲内で設定することにより、研磨用パッド 98, 100に十分な弾性を確保
することが出来ると共に、裏面 20と回転板 24との間で十分な固着力を得ることが出 来て、高い信頼性を実現することが可能となる。
[0223] なお、本実施形態において表面 14は凹溝等が形成されていない平滑面とされてい た力 表面 14には、図 57〜60,或レ、は図 2〜4, 8〜: 15, 18〜49, 61〜67に示さ れているような各種形状を有する表面凹溝を形成することが可能である。具体的には 、例えば、中心軸 18を曲率中心として周方向に延びる多数の円形溝によって構成さ れた表面凹溝 16や、径方向一方向において直線的に延びる多数の直線溝によって 構成された表面凹溝 50, 中心軸 18を曲率中心として周方向に延びて、中心軸 18 ( 中心軸 18に平行な直線)に対して所定の傾斜角度をもって傾斜せしめられた多数の 円形溝によって構成された表面凹溝 36,径方向一方向において直線的に延びて、 中心軸 18 (中心軸 18に平行な直線)に対して所定の傾斜角度をもって傾斜せしめら れた多数の直線傾斜溝によって構成された表面凹溝 60,図 64に示されているように 、略直交する径方向二方向にそれぞれ延びる多数の直線溝によって構成された表 面凹溝 102,図 65に示されているように、円環凹溝によって構成された表面凹溝 16 (36)と直線溝によって構成された表面凹溝 50 (60)とを組み合わせて構成された表 面凹溝 104,図 66に示されているように、屈曲せしめられてジグザグに延びる表面凹 溝 106,図 67に示されているように、中心軸 18から放射状に延びる表面凹溝 108な ど、各種態様の表面凹溝が適宜に選択されて表面 14に形成され得る。
[0224] また、上述の説明力らも明ら力なように、図 3, 4, 10〜: 15, 21〜26, 30〜35, 41 〜44, 48〜53においてそれぞれ示されている前記各実施形態は、何れも本発明の 請求項 9に記載された発明の構造を有しており、本実施形態において説明したように 、従来技術の問題点における(問題点 2)と(問題点 4)を有効に解決することが可能 である。
〔実施形態 E〕
[0225] また、図 68〜70には、請求項 11, 12, 13に記載された本発明の一実施形態とし ての研磨用パッド 110, 112が示されている。
[0226] より詳細には、この研磨用パッド 110, 112は、全体に一定の厚さ寸法: Tを有する 薄肉円板形状のパッド基板 12によって形成されている。このパッド基板 12は、例え
ば硬質の発泡或いは未発泡の合成樹脂材料や硬質ゴム材料,或いは繊維材料や 無機材料などをはじめとする各種の適当な材料によって形成されており、特に本実 施形態においては、発泡ウレタンによって形成されている。なお、パッド厚さ寸法は、 限定されるものでなぐパッド基板 12の材質だけでなぐ加工対象となるウェハの材質 や、要求される加工精度などに応じて適宜に設定される。
[0227] また、力かるパッド基板 12の一方の面である表面 14には、周方向に延びる円形溝 によって構成された表面凹溝 36が、パッド基板 12の中心軸 18の回りに形成されて おり、表面 14に開口せしめられている。
[0228] 力かる表面凹溝 36は、本実施形態において、図 68に示されているように、それぞ れ中心軸 18を曲率中心として延びる、相互に曲率半径が異ならせられた多数の円 形の溝 36, 36, 36, · · ·によって構成されている。
[0229] また、本実施形態においては、表面凹溝 36は、パッド基板の中心軸(中心軸 18に 平行な直線)に対して一定の角度で傾斜せしめられた傾斜溝によって構成されてい る。具体的には、例えば、表面凹溝 36の内周側の側壁面(以下「表面内側壁面」とい う) 40と表面凹溝 36の外周側の側壁面(以下「表面外側壁面」とレ、う) 42の何れもが 中心軸 18に対して所定角度: a t (中心軸 18に平行な直線との交角 = a t)だけ傾斜 せしめられた傾斜面とされている。要するに、本実施形態における表面凹溝 36では 、表面内側壁面 40と表面外側壁面 42が互いに平行な面とされており、表面凹溝 36 の周方向だけでなく深さ方向においても、表面凹溝 36の全体に亘つて略一定の幅 寸法: Btとされており、図 69に示された研磨用パッド 110においては、かかる表面凹 溝 36が、開口部に行くに従って次第に中心軸 18から外周側に離隔して、パッド基板 12の径方向斜め外方に向かって開口せしめられている一方、図 70に示された研磨 用パッド 1 12においては、かかる表面凹溝 36が、開口部に行くに従って次第に中心 軸 18に接近して、パッド基板 12の径方向斜め内方に向かって開口せしめられている
[0230] なお、表面凹溝 36の各部寸法等の具体的な設定値は、パッド基板 12の材質や厚 さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタル線 の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるものであつ
て、特に限定されるものでなレ、が、一般に、表面凹溝 36の溝幅: Bt,深さ: Dt,径方 向ピッチ: Pt,傾斜角度:ひ tの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましい。
[0231] 〔略円形の周方向溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bt ≤ 3. 0mm
0. lmm ≤ Dt ≤ 2. 0mm
0. lmm ≤ Pt ≤ 10. 0mm
_ 30度 ≤ ひ t ≤ 30度
[0232] また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔略円形の周方向溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bt ≤ 2. 0mm
(より一層好ましくは、 0. 005mm ≤ Bt ≤ 1. 0mm)
0. lmm ≥ Dt 丄. 0mm
0. 2mm ≤ Pt ≤ 2. 0mm
—30度 ≤ a t ≤ —10度
又は、 10度 ≤ a t ≤ 30度
[0233] 蓋し、表面凹溝 36の溝幅: Btが小さ過ぎると、研磨くず等による表面凹溝 36の目 詰まりが発生し易くなつて安定した効果が発揮され難い。一方、表面凹溝 36の溝幅: Btが大き過ぎると、表面凹溝 36によって研磨用パッド 110, 112に付与される弾性が 大きくなりすぎると共に、表面凹溝 36のエッジ部分(開口端縁部)におけるウェハとの 接触面圧が増大して食い込み状の研磨等が発生し易ぐ安定した研磨が実現され難 レ、。
[0234] また、表面凹溝 36の溝深さ: Dtが小さ過ぎると、研磨用パッド 110, 112の表面 14 の剛性が大きくなり過ぎて、研磨用パッド 110, 112に付与される弾性が表面 14にお レ、て有効に発揮されずに精密な研磨が困難となる傾向にある。一方、表面凹溝 36の 溝深さ: Dtが大き過ぎると、過大な弾性が表面凹溝 36によって研磨用パッド 110, 1 12に付与される。更に、製造が困難となる一方、研磨用パッド 110, 112の表面 14が 変形し易くなると共に、スティックスリップの発生のおそれもあり、研磨が不安定となり 易い。
[0235] 更にまた、表面凹溝 36の径方向ピッチ: Ptが小さ過ぎると、製造が難しぐ研磨用 ノ^ド 110, 112の表面 14の変形や損傷が発生し易くなつて安定した研磨が実現さ れ難い。一方、表面凹溝 36の径方向ピッチ: Ptが大き過ぎると、研磨精度や研磨効 率の低下を招くおそれがある。
[0236] また、表面内外側壁面 40, 42の傾斜角度: a tが小さ過ぎると、研磨用パッド 110, 112に十分な弾性を付与することができず、所期の性能を発揮できないおそれがあ る。一方、表面内外側壁面 40, 42の傾斜角度: a tが大き過ぎると、製造が難しくな るだけでなぐ表面凹溝 36の側壁部分の強度が低下して面圧分布が安定し難くなつ たり、研磨用パッド 110, 112の耐久性が充分に得られ難くなるおそれがある。
[0237] 一方、パッド基板 12の他方の面である裏面 20には、周方向に延びる円形溝によつ て構成された裏面凹溝 22が、パッド基板の中心軸 18の回りに形成されており、裏面 20に開口せしめられている。
[0238] 力かる裏面凹溝 22は、本実施形態において、それぞれ中心軸 18を曲率中心とし て延びる、相互に曲率半径が異ならせられた多数の円形の溝 22, 22, 22, ' "によ つて構成されている。
[0239] なお、裏面凹溝 22の各部寸法等の具体的な設定値は、パッド基板 12の材質や厚 さ寸法,外径寸法の他、研磨対象となるウェハの材質やウェハに形成されたメタル線 の形状や材質、要求される研磨精度などを総合的に考慮して決定されるものであつ て、特に限定されるものでなレ、が、一般に、裏面凹溝 22の溝幅: Bb,深さ: Db,径方 向ピッチ: Pbの各値は、以下の範囲内で設定されることが望ましレ、。
[0240] 〔略円形の周方向溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bb ≤ 3. 0mm
0. lmm ≤ Db ≤ 2. 0mm
0. lmm ≥ Pb ≤ 5. 0mm
[0241] また、より好ましくは、以下の範囲内に設定される。
〔略円形の周方向溝の場合〕
0. 005mm ≤ Bb ≤ 2. 0mm
(より一層好ましくは、 0. 005mm ≤ Bb ≤ 1. 0mm)
0. lmm ≤ Db ≤ 1. 0mm
0. 2mm ≤ Pb ≤ 2. Omm
[0242] 蓋し、裏面凹溝 22の溝幅: Bbや溝深さ: Dbが小さ過ぎると、研磨用パッド 110, 11 2に対して十分な弾性を付与することが困難となり、所期の研磨精度を実現すること が難しい。一方、裏面凹溝 22の溝幅: Bbや溝深さ: Dbが大き過ぎると、研磨用パッド 110, 112の裏面 20において発揮される弾性が必要以上に大きくなつて、研磨精度 の低下を招くおそれがある。
[0243] さらに、裏面凹溝 22の径方向ピッチ: Pbが小さ過ぎると、製造が難しぐ損傷等が 発生しやすくなつて安定した研磨実現され難い。一方、裏面凹溝 22の径方向ピッチ : Pbが大き過ぎると、裏面凹溝 22を構成する円形の溝 22, 22, 22, …の数が少な くなるため、裏面 20において発揮される弾性が研磨用パッド 110, 112の径方向位 置に応じて大きく異なることとなり、均一な研磨を効率よく行うことが困難となる。
[0244] また、表面凹溝 36及び裏面凹溝 22の底面は、形状等が限定されるものでなぐ湾 曲面や平坦面等の何れであっても良いが、特に本実施形態では、表面凹溝 36と裏 面凹溝 22の底面が研磨用パッド 110, 112の中心軸 18に対して直交する平坦面と されている。このように表面凹溝 36と裏面凹溝 22の底面を研磨用パッド 110, 112の 表面と略平行な平坦面とすることにより、表面凹溝 36と裏面凹溝 22の有効深さを大 きく設定した場合でも、表面凹溝と裏面凹溝 22の底壁部の間隙を有利に確保して良 好な強度特性を得ることが可能となる。
[0245] また、本実施形態においては、表面凹溝 36の溝深さ: Dtと裏面凹溝 22の溝深さ: Dbの合計値 (Dt + Db)力 パッド基板 12の厚さ寸法: Tよりも小さくされている。なお 、特に本実施形態においては、パッド基板 12の厚さ寸法: Tの値が以下の範囲内に 設定されている。
0. 5mm ≤ T ≤ 10. 0mm
より好ましくは、
1. Omm ≤ T ≤ 3. Omm
[0246] そして、このような表面 14及び裏面 20を有する研磨用パッド 110, 112は、従来と 同様にして、ウェハ等の研磨に用いられる。具体的には、例えば図 69, 70に示され
ているように、研磨装置の回転板(支持板) 24の支持面上に載置されて、エアによる 負圧吸引や両面テープによる接着等の手段で回転板 24に固定されて装着される。 そして、中心軸 18の回りに回転駆動せしめられつつ、表面 14に対してウェハ 26が重 ね合わせられることにより、研磨処理に供されることとなる。また、そのような研磨処理 に際しては、従来と同様に、一般に、研磨用パッド 110, 112の表面 14とウェハ 26の 被カ卩工面 28の対向面間に対して研磨液 (スラリ) 30が供給されると共に、ウェハ 26自 体もその中心軸回りに回転駆動せしめられる。なお、研磨液 30は、例えば研磨用パ ッド 110, 112の中央部分から研磨用パッド 110, 112の表面に供給され、研磨用パ ッド 110, 112の中心軸 18回りの回転に伴う遠心力の作用で研磨用パッド 110, 112 の表面に広がるようにされる。
[0247] このような本実施形態に従う構造とされた研磨用パッド 110, 112においては、上述 した従来技術の問題点における(問題点 1) , (問題点 4)を有効に解決することができ る。
[0248] すなわち、研磨用パッド 110, 112の裏面 20に裏面凹溝 22を形成すると共に、表 面 14に表面凹溝 36を形成したことにより、研磨用パッド 110, 112に対して弾性を有 利に付与することが可能となる。しかも、表面凹溝 36を中心軸に対して傾斜せしめら れた傾斜溝によって構成したことにより、凹溝の形成によって研磨用パッド 110, 112 に付与される弾性をより一層有利に確保することが可能となって、研磨用パッド 110, 112に対する種々の要求性能に対して対応することが可能となる。
[0249] また、裏面凹溝 22を周方向に延びる円環溝としたことにより、表面 14側に供給され る研磨液 30が外周面を伝って裏面 20側へ浸入することを有利に防ぐことができる。 それ故、研磨液 30が裏面 20と回転板 24の支持面との対向面間に浸入することに起 因する、研磨用パッド 110, 112が研磨装置の回転板 24から剥離したり、回転板上 で変位したりといった問題の発生を防止することが出来て、高い信頼性をもって研磨 処理を行うことが可能となる。
[0250] なお、図 3, 4, 10〜15, 19, 20, 23〜26, 28〜33, 37〜42, 46〜53, 59, 60 , 63に示された各実施形態としての研磨用パッドは、請求項 11に記載された発明に 従う構造を有しており、本実施形態において示した上述の如き効果を有効に発揮す
ることが可能となる。
[0251] また、本実施形態においては、表面凹溝 36を構成する傾斜溝を円環状に延びる 態様で採用することにより、被カ卩ェ物への接触面 (加工面)に作用する応力に基づく ノ^ド基板 12の弾性変形が、溝を傾斜せしめたことによって一方向に剪断的に発生 することを効果的に回避することが出来るため、ウェハ等の被力卩ェ物を軸直角方向で 固定的に位置決めして保持することが出来て、高精度の研磨を安定して行うことが可 能となる。
[0252] さらに、表面凹溝 36及び裏面凹溝 22の幅寸法: Bb深さ寸法: Db,径方向ピッチ: Pbを上述した所定の範囲内で設定することにより、研磨用パッド 110, 112に十分な 弾性を確保することが出来ると共に、裏面 20と回転板 24との間で十分な固着力を得 ることが出来て、高い信頼性を実現することが可能となる。
[0253] 更にまた、表面凹溝 36の溝深さ: Dtと、裏面凹溝 22の溝深さ: Dbの合計値(Dt + Db)の値を、パッド基板 12の厚さ寸法よりも小さくしたことにより、研磨用パッド 110, 112に対して適度な弾性を付与すると共に、十分な剛性を保つことができて、研磨精 度を高度に確保することが可能となる。
[0254] 以上、本発明の幾つかの実施形態について説明してきた力 これはあくまでも例示 であって、本発明は、力かる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的 に解釈されるものではない。
[0255] 例えば、図 4〜60に示された各実施形態、即ち、実施形態 B, C, Dにおいて、表 面 14に形成される表面凹溝の溝幅: Bt,溝深さ: Dt,径方向ピッチ: Pt,傾斜角度: ひ tの各値と、裏面凹溝の溝幅: Bb,溝深さ: Db,径方向ピッチ: Pb,傾斜角度:ひ b の各値とは相互に異なっていても良レ、。具体的には、例えば、図 63に示されているよ うに、溝幅が相互に異なる表面凹溝 36と裏面凹溝 38を組み合わせて採用しても良 レ、。また、例えば、図 62に示されているように、溝深さが相互に異なる表面凹溝 16と 裏面凹溝 22を組み合わせて採用することも可能である。更に、例えば、図 63に示さ れているように、傾斜角度が相互に異なる傾斜溝によってそれぞれ形成された表面 凹溝 16と裏面凹溝 22を組み合わせて採用することも可能である。
[0256] また、図 5〜: 15に示された各実施形態、即ち、実施形態 Bに係る研磨用パッドおい
て、表面 14に形成される表面凹溝の形状は、前記各実施形態のものに何等限定さ れない。具体的には、例えば、図 64に示されているような略直交する二方向に延び る直線溝によって構成された格子状の表面凹溝 102や、図 65に示されているような 周方向に延びる円形溝と直線的に延びる直線溝とを組み合わせて構成された表面 凹溝 104なども適宜に採用され得る。
[0257] また、前記各実施形態において、表面凹溝 16, 36, 50, 60及び裏面凹溝 22, 38 の底面は、表面 14及び裏面 20と平行に広がる平坦面とされていたが、例えば、図 7 1に示すように、湾曲面によって構成されていても良い。
[0258] また、前記各実施形態において示された研磨用パッドはシリコンウェハ等の研磨の 他、ガラス基板の研磨などにも好適に採用され得る。
[0259] その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更 ,修正,改良等をカ卩えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施 態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるもので あることは、言うまでもなレ、。