JP2004202666A - 研磨装置、研磨部材、および研磨方法 - Google Patents

研磨装置、研磨部材、および研磨方法 Download PDF

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Abstract

【課題】効率的な冷却が可能であり、かつ、冷却に際して研磨に悪影響を及ぼさない研磨装置、研磨部材、および研磨方法を提供する。
【解決手段】研磨装置1の保持ヘッド5によりウェハSを保持し、研磨定盤2に研磨パッド3を貼着し、ウェハSの被研磨面Saと研磨パッド3の研磨面Sbとを接触させ、保持ヘッド5と研磨定盤2との相対運動による被研磨面Saの研磨において、研磨パッド3を、研磨面Sbを除いて研磨パッド3の冷媒流路15内の冷媒を用いて直接的に冷却する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被研磨物を研磨する研磨装置と、そこに用いられる研磨部材および研磨方法に関する。
特定的には、本発明は、研磨面を除く領域において研磨部材を直接的に冷却する研磨装置、研磨部材、および研磨方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
被研磨物と研磨部材とを接触させて被研磨物を研磨する研磨装置は、たとえば、半導体装置の製造工程におけるCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械研磨)や、液晶表示装置用ガラス板、樹脂の研磨に用いられている。
このような研磨装置においては、被研磨物を研磨する研磨部材の研磨面に、研磨により熱が発生する。
研磨部材として、たとえば、ポリウレタン製の研磨パッドが用いられているが、研磨パッドの熱伝導性は悪かった。このため、被研磨物および研磨パッドの研磨面の研磨中の温度上昇を抑制することは困難であった。
被研磨物および研磨面の温度上昇は、研磨速度や研磨特性の変化につながる。
【0003】
従来は、研磨中の温度上昇を抑制するために、たとえば、研磨パッド表面に気体を直接噴射していた(たとえば、特許文献1参照)。
また、研磨パッドを設置する定盤を冷却することも知られている(たとえば、特許文献2参照)。
さらには、研磨に用いるスラリーと呼ばれる研磨剤を、冷却して研磨面に供給することも知られている(たとえば、特許文献3参照)。
【0004】
研磨特性の変動を抑制するために、研磨に用いる硬質層と、この硬質層を支持する軟質層との複層構造を有する研磨パッドにおいて、硬質層に溝を設けた研磨パッドも知られている(たとえば、特許文献4参照)。
【0005】
【特許文献1】
特許第2993497号公報
【特許文献2】
特許第2838021号公報
【特許文献3】
特許第3260542号公報
【特許文献4】
特許第3324643号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、研磨パッド表面に気体を噴射する手法においては、被研磨物の表面は直接冷却されないため、冷却効果が弱い。また、スラリーの蒸発等の条件変化により、研磨に悪影響を及ぼす可能性がある。
定盤を冷却する場合には、研磨パッドを介して被研磨物を冷却することになり、冷却効果が弱い。
スラリーを冷却する手法においては、冷却によりスラリーの凝集や沈降が発生する可能性がある。また、スラリーが不可逆な反応を起こして変質し、研磨に悪影響を及ぼす可能性もある。
【0007】
また、従来の、研磨パッドに溝を設ける手法においては、溝によって、研磨パッドへの半導体ウェハの吸着を抑制することや、硬質層を部分的に変形させて研磨の均一性を制御することは可能であっても、半導体ウェハを冷却することは考慮されていなかった。
さらに、従来は硬質層にのみ、その表面に溝が設けられていたため、研磨に用いて変質したスラリーが研磨パッドに溜り易く、研磨に悪影響を及ぼす可能性もあった。
【0008】
このように、従来の冷却手法にはいずれも不都合な点が存在していた。
本発明の第1の目的は、研磨部材を効率的に冷却することができ、かつ、研磨に悪影響を及ぼさない研磨装置を提供することにある。
本発明の第2の目的は、効率的な冷却が可能であり、かつ、冷却に際して研磨に悪影響を及ぼさない研磨部材を提供することにある。
本発明の第3の目的は、研磨部材を効率的に冷却することができ、かつ、研磨に悪影響を及ぼさない研磨方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る研磨装置は、被研磨物を保持する保持手段と、当該被研磨物を研磨する研磨部材を備える研磨手段とを有し、前記被研磨物の被研磨面と前記研磨部材の研磨面とを接触させ、前記保持手段と前記研磨手段との相対運動により前記被研磨面を研磨する研磨装置であって、前記研磨部材を、前記研磨面を除いて冷媒を用いて直接的に冷却する冷却手段を有する研磨装置である。
【0010】
本発明に係る研磨部材は、被研磨物を研磨面により研磨する研磨部材であって、前記研磨面を除く領域を、冷媒を用いて直接的に冷却する冷却部を有する研磨部材である。
【0011】
また、本発明に係る研磨部材は、被研磨物を研磨面により研磨する研磨層と、前記研磨層を支持する支持層とを有し、前記支持層に、前記研磨層を冷却する冷媒を流す溝を設けた研磨部材、の構成を採用することも可能である。
さらにまた、前記溝は、前記支持層ではなく、前記研磨層のうちの、前記研磨面を除く領域に設けてもよい。
【0012】
本発明に係る研磨方法は、被研磨物と、当該被研磨物を研磨する研磨部材とを接触させ、前記被研磨物の被研磨面と前記研磨部材の研磨面との相対運動により前記被研磨面を研磨する研磨方法であって、前記研磨部材を、冷媒を用いて冷却する冷却手段を用意し、前記研磨部材を、前記研磨面を除いて冷媒を用いて直接的に冷却して前記被研磨物の前記被研磨面を研磨する研磨方法である。
【0013】
本発明においては、保持手段が被研磨物を保持し、研磨手段が備える研磨部材と対向するように被研磨物を位置させる。研磨において、保持手段と研磨手段は、被研磨物の被研磨面と研磨部材の研磨面とを所定の圧力で接触させて配置される。
被研磨面と研磨面とが接触した状態において、保持手段と研磨手段とが相対運動を行なうことにより、研磨面によって被研磨面が研磨される。
冷却手段は、研磨において、冷媒によって、研磨面を除いて研磨部材を直接的に冷却する。
これにより、研磨面および被研磨面を含めた被研磨物に悪影響を与えることなく、研磨部材および被研磨物が冷却される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら述べる。
まず、本発明に係る研磨装置の一実施形態について述べる。
以下では、本発明に係る研磨装置により金属配線が形成された半導体ウェハ(以下、単にウェハと称する)のCMPを行なう場合を例にとり説明するが、本発明はCMP以外の研磨にも適用可能である。
【0015】
図1が、本発明に係る研磨装置の一実施形態の構成概念図である。
図1に示す研磨装置1は、研磨定盤2と、研磨定盤2に設けられた冷媒供給部70と、冷媒供給部70に接続されるポンプ80と、研磨パッド3と、研磨パッド3に設けられた冷媒流路15と、保持ヘッド5とを有している。
研磨定盤2が本発明における研磨手段の一実施態様に相当し、研磨パッド3が本発明における研磨部材の一実施態様に相当し、保持ヘッド5が本発明における保持手段の一実施態様に相当している。また、ポンプ80および冷媒供給部70が、本発明における供給手段の一実施態様に相当している。
【0016】
保持ヘッド5は、例えば所定の厚みを有する円盤状をしており、バッキング材8とリテーナリング9とを有している。
バッキング材8は、図1に図解のように、保持ヘッド5の一端面に配置されている。バッキング材8は、たとえば吸着によりウェハSを保持する。
保持ヘッド5およびバッキング材8の外側に、環状のリテーナリング9が、その内径を保持ヘッド5の外径に嵌合させて装着、固定されている。リテーナリング9は、バッキング材8によって保持されるウェハSの、保持ヘッド5からの飛び出しを防ぐためのものである。
ウェハSが、本発明における被研磨物の一実施態様に相当する。
【0017】
保持ヘッド5は、バッキング材8が装着されている端面とは反対側の端面に連結されている回転軸6を介して、モーター60により回転軸6を中心として回転可能になっている。
回転軸6は、支持アーム7により支持されている。
【0018】
研磨定盤2は、研磨パッド3を保持するための研磨パッド保持面を備えており、図1に示すように、研磨パッド保持面を保持ヘッド5に対向させて配置されている。研磨定盤2は、研磨パッド保持面とは反対側の面に連結されている回転軸4を介して、図示しないモーターにより回転軸4まわりに回転可能になっている。
【0019】
研磨パッド保持面は、例えば、ウェハSの直径の2倍以上の直径を有する円形状をしている。
また、研磨定盤2は、後述する冷媒によって変質しない材料によって構成されることが好ましい。研磨定盤2の材料としては、たとえばステンレスやセラミックスを用いる。
【0020】
ウェハSを研磨するための研磨パッド3は、例えば、弾性を有するポリウレタンにより形成されており、図1に示すように、研磨定盤2の研磨パッド保持面のほぼ全面に、例えば、両面接着テープ等の接着手段により貼着、固定される。
【0021】
冷媒供給部70およびポンプの機能については後述する。
以下では、上記構成の研磨装置1を用いて、金属配線が形成されたウェハSに対して研磨処理を行なう場合の動作について述べる。
例えば、層間絶縁膜に、配線用溝に加えてコンタクトホールも溝として開け、配線用溝とコンタクトホールを同時に金属で埋め込んで金属配線を形成するデュアルダマシン(dual damascene)法においてCMPを用いる段階においては、ウェハSは図2(a)の断面図に示すように構成される。
図2(a)においては、例えば、図示しない不純物拡散領域が適宜形成されているシリコン等の半導体基板10上に、例えば酸化シリコンからなる層間絶縁膜20が形成されている。
この層間絶縁膜20には、バリア膜25の、将来、コンタクトおよび金属配線となる所定のパターンが溝状に形成されている。
バリア膜25は、例えば配線を構成する材料が銅であり、層間絶縁膜が酸化シリコンで形成されている場合に、銅が酸化シリコンへの拡散係数が大きく、酸化されやすいため、これを防止するために設けられる。
【0022】
バリア膜25上には、バリア膜25による溝を埋め込むように、例えばメッキ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スパッタ法等の手法により形成された、例えば銅膜30が形成されている。
【0023】
上記構成のウェハSを研磨するにあたっては、ウェハSを、その被研磨面Saを研磨可能なように外側に向けて、バッキング材8にたとえば水吸着させる。これにより、ウェハSがバッキング材8に保持される。
ウェハSをバッキング材8により保持した保持ヘッド5は、回転軸6および支持アーム7を介して図1中の矢印Z方向に移動され、ウェハSの被研磨面Saを研磨パッド3の研磨面Sbに所定の圧力で接触させる。
図1においてウェハSはその被研磨面Saを図中下向きにして保持されているため、図2においては、矢印Zは図中上向きになる。
【0024】
上記接触状態において、研磨剤供給管13から研磨剤(スラリー)Lを、研磨パッド3の研磨面Sbおよび被研磨面Saとの界面に供給しながら、研磨定盤2および保持ヘッド5をそれぞれ、例えば図1中の矢印Ra,Rb方向に所定回転数で回転させる。
以上により、図2(b)に示すように、層間絶縁膜20上の余分な銅膜30およびバリア膜25が化学的機械研磨され、銅配線35およびコンタクト40とが形成される。
【0025】
以上のようなCMP等の研磨においては、研磨面Sbと被研磨面Saとの接触状態における相対運動により、研磨パッド3および被研磨物に熱が発生する。
研磨パッド3および被研磨物に熱が発生すると、研磨速度や研磨特性の変化につながる。これにより、ウェハSの研磨の場合には、ディッシングやエロージョン、リセスと呼ばれる研磨の不均一が発生する。特に、配線材料に銅やアルミニウム等の比較的軟質の材料を用いた場合には、図2(b)に示したような、配線35表面の中央部付近が過剰に除去されて窪むディッシングが発生し易い。ディッシングが発生すると、配線35の断面積が不足するため、配線抵抗値不足等の不良の原因となる。
【0026】
本実施形態においては、研磨中の研磨パッド3およびウェハSの発熱を抑制し、ウェハSの被研磨面Saの不均一な研磨を防止して高品質なウェハSを得るために、研磨パッド3およびウェハSを冷却する冷却手段を有している。
以下で、冷却手段について詳細に述べる。
【0027】
図1に示すように、本実施形態においては、研磨パッド3に、冷媒が供給される溝15を設けている。溝15には、溝15内に冷媒が単に入っているように冷媒を供給することもできるし、冷媒を強制的に供給して溝15を流れるようにすることもできる。
溝15に冷媒を単に供給するだけの場合には、溝15自体が本発明における冷却手段の一実施態様に相当し、溝15に冷媒を強制的に供給して流す場合には、溝15は本発明における冷媒流路の一実施態様に相当する。
【0028】
冷媒が研磨面Sbに現われてスラリーLの濃度や組成等の条件が変化して研磨に悪影響を及ぼさないように、溝15は、研磨面Sbを除く領域に設ける。一例として、溝15は、研磨パッド3における研磨面Sbとは反対側の面に設ける。
溝15は、研磨パッド3の製造時に同時に形成してもよいし、研磨パッド3を円盤状に形成した後にたとえば切削により形成してもよい。
溝15の形状や分布状態については後述する。
【0029】
上記のように、研磨パッド3の研磨面Sbとは反対側の研磨定盤2側の面に溝15を設けた場合には、溝15の部分において研磨パッド3が薄くなる。このため、溝15内に自然に入り込む空気によって裏側から研磨面Sbが冷却される。
この場合には、溝15内に入り込む、研磨パッド3に発生する熱の温度よりも低い温度の空気が、本発明における冷媒に相当することになる。
【0030】
溝15内に空気を強制的に供給すると、冷却効果がさらに向上する。
溝15に供給する冷媒としては、空気だけでなく、一例として、窒素ガス、水、アルコール等の流体を用いることもできる。好適には、冷媒と研磨定盤2とが接触する場合に、研磨定盤2を変質させない冷媒を用いる。
【0031】
溝15に冷媒を強制的に供給する場合には、たとえば、図1に示すように、研磨定盤2および研磨パッド3を研磨定盤2に貼着する図示しない貼着層を通過する冷媒供給部70を設ける。冷媒供給部70としては、たとえば、中空の配管を用いる。冷媒供給部70は、その一端が溝15に連通するようにしておく。冷媒供給部70と溝15とは、回転軸4の回転中心軸上において連通させることが、溝15への冷媒の供給の利便性の点から好ましい。
冷媒供給部70の他端は、たとえばロータリージョイントによって、ポンプ80に連結している配管に接続する。
以上の構成により、ポンプ80によって冷媒供給部70を介して溝15に供給することができる。溝15に供給して冷却に用いた冷媒は、溝15の一部を研磨パッド3の外部に開放しておき、開放した部分から研磨パッド3の外部に排出されるようにしておけばよい。
冷媒を強制的に供給する場合には、溝15、冷媒供給部70、およびポンプ80を含めた冷媒供給機構が本発明における冷却手段の一実施態様に相当する。
【0032】
溝15に供給した冷媒を回収して再利用することもできる。このような場合には、図1に示すように、たとえば研磨定盤2に通路状の冷媒回収部75を設けておく。冷媒回収部75の一端は、溝15のうちの冷媒供給部70との連通部とは異なる部分に連通させる。冷媒回収部75の他端は、たとえば回転軸4およびロータリージョイントを介して冷媒冷却機50に連結している配管に接続する。
冷媒冷却機50はさらに、ポンプ80に接続しておく。
この場合、冷媒回収部75および冷媒冷却機50が、本発明における回収手段の一実施態様に相当する。
【0033】
以上のような構成により、ポンプ80の吸引または吐出により、冷媒供給部70を介して溝15に冷媒が供給される。
冷却効果の高い冷媒が溝15を流れることによって、研磨パッド3が直接的に冷却され、研磨面Sbにおける研磨に悪影響を及ぼすことなく、研磨面Sbが冷却される。
溝15には冷媒が強制的に供給されることから、冷却に用いられた冷媒は新たな冷媒によって排出され、冷媒回収部75を通って回収されて冷媒冷却機50に送られる。
冷媒冷却機50においては、冷却に用いられて温度が上昇した冷媒を、冷却に適した温度に再び冷却する。
冷媒冷却機50によって冷却された冷媒は、再びポンプ80によって冷媒供給部70へと送られる。
【0034】
上記の構成により、冷媒を循環利用することができる。冷媒を循環利用するための構成は上述の構成に限らないが、図1に示すように、研磨パッド3および研磨定盤2の外部に冷媒が現われないようにしておけば、冷媒がスラリーLや外気と混じることがなく、回収が容易になり、再利用の効率も上昇する。
【0035】
研磨パッド3による冷却効果は、溝15の形状や分布等の条件によって大きく変動する。したがって、以下において本発明に係る研磨部材の実施形態をさらに詳細に述べる。
【0036】
研磨部材の第1実施形態
図3(a)〜(c)が、本発明に係る研磨部材の第1実施形態を示す図である。なお、図5を除く以下の図3〜9において、(a)が研磨部材の研磨面Sb側からみた平面図を示しており、(b)が(a)に示す平面図の部分拡大図を示しており、(c)が(b)に示す部分の側面図を示している。
以下においても、研磨部材の一実施態様として、たとえば図1に図解の研磨装置1に用いられる研磨パッドを例に挙げて述べる。
【0037】
図3に示す研磨パッド100は、図3(b),(c)に図解のように、一例として幅w、深さhの断面矩形状の複数の溝100aを有している。溝100aが、図1における溝15に相当する。
溝100aは、研磨パッド100の研磨面Sbとは反対側の研磨定盤2の研磨パッド保持面への貼着面Scにおいて、研磨面Sbおよび貼着面Scに平行なある一方向に、ピッチdで互いにほぼ平行に形成されている。
溝100aは、前述の溝15と同様に、冷媒を流す。
溝100aの深さhが深いほど冷却効果は大きくなるが、冷却による熱分布の不均一や研磨面Sbの変形等の不都合が生じる可能性がある。本実施形態においては、深さhは研磨面Sbまでは達しないものとする。
【0038】
本第1実施形態のように溝100aを設けて研磨パッド100を冷媒によって直接的に冷却することによって、研磨パッド100の断熱性が高く研磨定盤2の冷却によって研磨面Sbを効率的に冷却することが困難な場合にも、研磨面Sbを効率的に冷却することができる。
また、その際に冷媒が研磨面Sbに現われないため、研磨に悪影響を及ぼすことがない。
その結果、研磨精度の向上にも寄与し、ウェハSの品質を向上させることもできる。
溝100aに冷媒を強制的に供給せず、溝100aに自然に入り込む空気を冷媒とした場合には、特別な冷却機構を用いることなく研磨パッド100およびウェハSを冷却することができる。したがって、研磨装置1のコスト、および研磨におけるランニングコストの上昇を抑制することができる。また、研磨装置1の大型化を防止することも可能である。
【0039】
研磨部材の第2実施形態
図4(a)〜(c)が、本発明に係る研磨部材の第2実施形態を示す図である。
図4に示す研磨パッド110は、第1実施形態の場合よりも冷却効果を高めるための研磨パッドである。
研磨パッド110は、溝100のかわりに、格子状の溝110aを設けた点が、第1実施形態の研磨パッド100とは異なっている。それ以外の、溝110aの断面形状や機能等の点は第1実施形態の場合と同じであるため、詳細な記述は省略する。
【0040】
格子状の溝110aのピッチは、一例として図4においては互いに直交する両方向において同じピッチdとしたが、溝110aのピッチは、各方向において異なる大きさであってもよい。
このように格子状の溝110aを設けた場合には、溝のピッチdが同じであれば、研磨パッドに対する冷媒の接触面積が第1実施形態よりも大きくなり、第1実施形態よりも冷却能力が向上する。
また、研磨パッド110に対して冷媒が均等に供給され易くなるために、研磨面Sbにおける熱分布が均一化し、研磨精度の向上も期待できる。
【0041】
研磨部材の第3実施形態
図5(a)〜(d)が、本発明に係る研磨部材の第3実施形態を示す図である。図5(a)が、研磨部材の第3実施形態に係る研磨パッド120の研磨面Sb側から見た平面図を示しており、図5(b)が、図5(a)における断面I−Iから見た断面図を示している。また、図5(c)が図5(a)の部分拡大図を示しており、図5(d)が、図5(c)に示す部分の側面図を示している。
【0042】
図5に示すように、研磨パッド120は、溝15として、研磨パッド120における中心部の供給孔121に連通しており、研磨パッド120の外周部に向かう螺旋状の溝120aを有している点が、これまでの実施形態の場合と異なっている。
溝120aの断面形状や機能等の他の点はこれまでの実施形態と同じであるため、詳細な記述は省略する。
図5(b)に示すように、螺旋状の溝120aのピッチdは、一例として、研磨面Sbの半径方向において一定であるとしたが、場所に応じてピッチを変化させてもよい。
【0043】
供給孔121は、研磨面Sbから見た場合にたとえば円形状をなし、研磨パッド120の貼着面Scから、研磨面Sbへ達しない深さまで形成される。供給孔121は図1に示す冷媒供給部70に連結され、冷媒供給部70からの冷媒は供給孔121を介して溝120aに供給される。
以上のことから、冷媒は供給孔121から溝120aに沿って研磨パッド120を螺旋状に通って研磨パッド120の外周部まで到達するため、研磨パッド120における冷媒の滞留時間が長くなる。したがって冷媒を有効利用することになり、第1、第2実施形態の場合と比較して冷媒のコストを削減することができる。
また、本第3実施形態においても、第1、第2実施形態の場合と同様に、従来よりも効率的に研磨パッド120およびウェハSを冷却することができる。
【0044】
研磨部材の第4実施形態
図6(a)〜(c)が、本発明に係る研磨部材の第4実施形態を示す図である。
図6に示す研磨パッド130も、第1、第2実施形態の場合よりも冷却効果を高めるための研磨パッドである。
研磨パッド130は、溝120aのかわりに、供給孔121から放射状に伸びる複数の溝130aを設けた点が、第3実施形態の研磨パッド120とは異なっている。それ以外の、溝130aの断面形状や機能等の点は第3実施形態の場合と同じであるため、詳細な記述は省略する。
【0045】
複数の溝130aは、第3実施形態の場合と同じ供給孔121に連通しており、この供給孔121から、一例として均等に放射状に伸びている。したがって、冷媒は研磨パッド130の半径に相当する距離を流れた時点で研磨パッド130の外周部に到達する。これにより、特に溝130aに強制的に冷媒を供給する場合には、研磨パッド130における冷媒の滞留時間を短くすることができる。
冷媒の滞留時間が短くなることから、研磨時に、冷媒の温度上昇が起こる前に温度の低い新たな冷媒を溝130aに供給させ易くなり、第1、第2実施形態の場合よりも冷却効率が上昇する。
【0046】
研磨部材の第5実施形態
図7(a)〜(c)が、本発明に係る研磨部材の第5実施形態を示す図である。
図7に示す研磨パッド140は、積層構造の研磨パッドの一例を示したものである。
研磨パッド140は、一例として、研磨に用いる研磨層141と、研磨層141の研磨面Sbとは反対側の面にたとえば貼着される支持層142との2つの層を有している。
【0047】
研磨層141は、これまでの単層の研磨パッドと同様に、たとえばポリウレタンによって形成される。
支持層142には、ある程度の弾性を有し研磨層141に用いられる材料よりも軟質の材料を用いる。支持層142は、研磨の際には、研磨層141と研磨定盤2の研磨パッド保持面との間に配置され、研磨層141を支持する。
比較的軟質の支持層142で研磨層141を支持することによって、被研磨面Saと研磨面Sbとを所定の圧力で接触させた場合に、支持層142が適宜変形して、被研磨面Saと研磨面Sbとを均一に接触させることができるようになる。
【0048】
本実施形態においては、支持層142に、第4実施形態と同様に供給孔121から放射状に伸びる溝140aが設けられている。
本実施形態においては、溝140aの深さhは、最大でも支持層142の厚さと同じであるとする。
その他の、溝140aの断面形状や機能等の点は第4実施形態の場合と同じであるため、詳細な記述は省略する。
【0049】
本実施形態においては、弾性を持たせるために支持層142の密度が小さく研磨層141よりもさらに支持層142の断熱性が高い場合であっても、支持層142に溝140aを設けることによって、研磨層141を介して研磨面Sbを冷却することができる。
また、支持層142にのみ溝140aを形成するのであれば、溝140aの成形加工が容易であり、溝140aの形成後に支持層142を研磨層141に貼り合わせることにより、溝140a付の研磨パッドを容易に製造することができ、コスト上昇も抑制可能である。
【0050】
研磨部材の第6実施形態
図8(a)〜(c)が、本発明に係る研磨部材の第6実施形態を示す図である。
図8に示す研磨パッド150は、第5実施形態に係る研磨パッド140よりも冷却効果の向上を図ったものであり、研磨パッド150に設けた溝150aの深さhが、研磨層141にまで達している点が、研磨パッド140とは異なっている。ただし、これまでの実施形態と同じく、溝150aは研磨面Sbまでは達しない深さにする。
それ以外は第5実施形態の場合と同じであるため、詳細な記述は省略する。
【0051】
本第6実施形態によれば、これまでの実施形態の効果に加えて、第5実施形態の場合よりさらに研磨面Sbに近い位置まで冷媒を供給することができるため、第5実施形態よりも冷却効率を向上させることができる。
【0052】
研磨部材の第7実施形態
冷媒を流す溝は、必ずしも研磨パッドの貼着面Scに設ける必要はない。
図9(a)〜(c)に、貼着面Sc以外の領域に溝を設けた、研磨部材の第7実施形態を示す。
図9に示す研磨パッド160は、冷媒を流すための溝160aを、研磨面Sbおよび貼着面Scを除く部分に設けている点が、第6実施形態の場合と異なっている。それ以外の点は第6実施形態の場合と同じであるため、詳細な記述は省略する。
【0053】
溝160aは、一例として、研磨パッド160の研磨層141において、研磨層141と支持層142との境界面に設けられる。
しかしながら、溝160aは支持層142の側に設けてもよいし、研磨層141と支持層142とにまたがって形成してもよい。
ただし、本第7実施形態においても、これまでと同様に、溝160aは研磨面Sbには達しないものとする。
【0054】
本実施形態によれば、溝160aの設計の自由度が向上する。また、研磨層141または支持層142のいずれか一方に溝160aを形成する場合には、研磨層141と支持層142との位置合わせに高い精度を必要とせず、研磨パッド160の製造が容易になる。
【0055】
研磨部材の第8実施形態
これまでの実施形態においては、研磨面Sbは平坦なままであったが、各種機能を果たすための溝や孔を研磨面Sbに設けてもよい。
図10(a)に、第8実施形態に係る研磨パッド170を、研磨面Sb側から見た平面図を示し、図10(b)に、図10(a)の部分拡大図を示す。
また、図11(a)が図10(b)に示す部分の側面図であり、図11(b)が、研磨パッド170を2層にした、第8実施形態の変形形態を示す側面図である。
【0056】
図10(b)および図11(a)に示すように、研磨パッド170には、その貼着面Scに第2実施形態と同様の格子状の溝170aが設けられているとともに、研磨面Sbにも、一例として格子状の溝170bが設けられている。
貼着面Scに設けられる溝170aは、これまでの実施形態と同様に、冷媒によって研磨パッド170を直接的に冷却するための溝である。格子状の溝170aは、一例として、第2実施形態と同じく互いに直交する両方向において同じピッチdで設けるものとする。
【0057】
一方、研磨面Sbに設けられる溝170bは、溝170aと同じ格子状の溝であるが、ウェハSの研磨面Sbへの吸着防止やスラリーLの保持等の、研磨パッド170の冷却とは異なる目的のための溝である。
したがって、溝170bの互いに直交する両方向のピッチduは、溝170aのピッチdと同じであってもよいが、ピッチdとは異なっていることが、互いに異なる機能を果たすという点から好ましい。
溝170bの幅wuおよび深さhuも、機能の違いから、溝170aの幅wと深さhとは異なっていることが好ましい。
【0058】
本実施形態においては、溝170aと溝170bとを、研磨パッド170の剛性や冷却効率を考慮して、互いに連通しないように、図10(b)に示すように互いにピッチをずらして形成している。しかし、溝170aの深さhと溝170bの深さhuとが、互いに連通しない大きさであれば、溝170aと溝170bとを研磨面Sbから見て重ねて形成してもよい。
これら以外の点はこれまでの実施形態の場合と同じであるため、詳細な記述は省略する。
【0059】
本実施形態によれば、研磨パッドの冷却に加えて、ウェハSの吸着防止やスラリーLの保持など、他の機能を研磨パッドに持たせることが可能になる。
【0060】
なお、研磨パッド170を複層構造にすることもできる。図11(b)には一例として、第5〜第7実施形態のように、研磨パッド170を、研磨層171と支持層172とを有する2層構造にした場合が示されている。
溝170a,170bの構成や機能は、単層構造の研磨パッド170の場合と同じである。
冷却用の溝170aを設けることにより、研磨パッドを複層構造にした場合にも、研磨パッド170を直接的に冷却することが可能になる。
【0061】
研磨部材の第9実施形態
スラリーLの保持のためには、第8実施形態に示したような格子状の溝170bではなく、スラリーLが入り込み、流動しないような孔を設けることが好ましい。図12には、このような孔180bを有する研磨パッド180が示されている。
第8実施形態と同様に、図12(a)が、研磨面Sb側から見た研磨パッド180の平面図を示しており、図12(b)が、図12(a)の部分拡大図を示している。また、図13(a)が図12(b)に示す部分の側面図であり、図13(b)が、研磨パッド180を2層にした、第9実施形態の変形形態を示す側面図である。
【0062】
図12(b)および図13(a)に示すように、研磨パッド180の研磨面Sbには、一例として断面円形の孔180bが、研磨面Sbに直交するように複数個、所定のピッチで設けられている。
また、研磨パッド180の貼着面Scには、一例として、第8実施形態の場合と同じ格子状の溝170aが設けられている。
図12(b)および図13(a)に示すように、溝170aと孔180bとは、互いに連通しないように配置される。
【0063】
研磨においては、研磨面Sbに供給されたスラリーLが孔180bに入り込む。孔180bはある程度の深さがあり、互いに独立しているため、孔180bに入り込んだスラリーLはその場に留まり易くなり、研磨面Sbの他の領域へ流動しにくくなる。
このため研磨面Sbの濡れ性が向上し、研磨における被研磨面Saと研磨面Sbとの界面におけるスラリーLの供給が確保される。
【0064】
研磨パッド180は、第8実施形態の場合と同様に、複層構造にすることも可能である。図13(b)には一例として、図11(b)に示す研磨パッド170と同じ研磨層171と支持層172を有する2層構造の研磨パッド180が示されている。
溝170a,および孔180bの構成や機能は、単層構造の研磨パッド180の場合と同じである。
冷却用の溝170aを設けることにより、研磨パッドを複層構造にした場合にも、研磨パッド180を直接的に冷却することが可能になる。
【0065】
なお、孔180bの深さを、図13(a)に示す単層構造の場合には、研磨パッド180を貫通する大きさとし、図13(b)に示す2層構造にした場合には、研磨層171の厚さと同じ大きさとした。しかしながら、孔180bならびに溝170aの形状や配置は、溝170a内の冷媒が研磨面Sbに現われない限りは、適宜変更することができる。
【0066】
以上、冷媒を用いて直接的に冷却可能な研磨パッドを示したが、冷媒による冷却効果は、研磨パッドに設ける溝の形状や配置によって変化する。
以下では、最適な溝形状およびその配置を求めるための実験について述べる。
【0067】
前述の研磨パッド100,110,130,140,150を作成し、図1に示す研磨装置1を用いて研磨を行ない、各研磨パッドの温度測定を行った。
測定には放射温度計を用い、SiウェハSを60sec研磨した時の最高上昇温度を調べた。
なお、SiウェハSは、図2に示すCu膜30の膜厚Fが1.5μmであり、Taバリア膜25の膜厚が20nmであり、SiOの層間絶縁膜20を有する構造であるとした。
また、研磨条件は、
加工圧:300HPa
スラリーL:SiO系スラリー(JSR製CMS7301)
回転数:ウェハSに対する研磨パッドの周速を60m/minに規定
とした。
【0068】
研磨パッドとしては、単層の研磨パッド100,110および130には、ローデルニッタ製のIC1000(ポリウレタン製。厚さT0=1.2mm)を用いた。
また、2層の研磨パッド140,150においては、研磨層141としてローデルニッタ製のIC1000(ポリウレタン製。厚さT1=1.2mm)を、支持層142としてローデルニッタ製のSUBA400(ポリウレタン製。厚さT2=1.2mm)を用いた。
また、各研磨パッドにおいて、溝幅wは2mmとした。溝深さhについては、単層の研磨パッド100,110,130においては0.4mmに固定し、2層の研磨パッド140,150においてはそれぞれ0.4mm,1.2mm,1.6mmの3種類に変化させた。放射状の溝については、図に示すように、供給孔121周りに研磨パッドを12等分するように形成した。
研磨パッド100,110においては、ピッチdを15mmとした。
【0069】
さらに、比較例として、研磨面Sbにも貼着面Scにも溝の形成されていない研磨パッドを、単層のものと2層のものを、以下のように1種類ずつ用意し、同様の実験を行なった。
比較例1:ローデルニッタ製IC1000(ポリウレタン製単層)
比較例2:ローデルニッタ製IC1000/SUBA400(ポリウレタン製2層)
【0070】
放射状の溝を有する研磨パッド130(単層、溝深さh=0.4mm)および研磨パッド150(2層、溝深さh=1.6mm)に対しては、溝130a,150aに強制的に空気または水を流し、その流量と温度を変えて、同様の実験を行った。
また、研磨パッド100,110については、研磨パッドの溝幅w(mm)、溝深さh(mm)、溝ピッチd(mm)を変えて、図2に示す配線形成用パターンウェハ(Cu膜30の膜厚F=500nm、Ta膜25の膜厚20nm、SiOの層間絶縁層パターン20)を、配線35以外のSiO上部のCuが完全に無くなるまで研磨し、100μmパッド部のディッシングDを段差計にて調べた。
以上の条件における、冷媒を強制的に供給しない場合の実験結果を以下の表1に、空気または水を強制的に供給した場合の実験結果を表2および表3に、溝形状と配置を変化させた場合の実験結果を表4にそれぞれ示す。
【0071】
【表1】
実験結果1
Figure 2004202666
【0072】
【表2】
実験結果2
Figure 2004202666
【0073】
【表3】
実験結果3
Figure 2004202666
【0074】
【表4】
実験結果4
Figure 2004202666
【0075】
表4における(※1)は実験番号3と同じ条件であり、(※2)は実験番号4と同じ条件である。従って結果も同じになる。
特に実験結果1から、これまで述べてきた実施形態のように研磨パッドに冷却用の溝を設けると、冷媒を強制的に供給しない場合であっても、従来よりも冷却効果が向上することが分かる。
研磨パッドを積層構造にした場合にも、研磨面Sbにまで達しない程度の深さhの溝を設けることにより、研磨面Sbの温度を下げることができる。
【0076】
また、特に実験結果2から、冷媒として空気等の気体を用いた場合には、気体の温度が0℃以上20℃以下であり、気体の流量が1000cm3/min以上であることが望ましいことが分かった。
気体の温度が0°以下になると結露が生じる可能性が高い。また、実験結果から、気体の温度が20°以上の場合であってもある程度の冷却効果は認められるが、気体の温度が、研磨装置1を設置している場所の室温以上になると、冷却効果は低くなると考えられる。以上のことと、実験結果2から、気体の温度が0℃以上20℃以下の場合に、特に顕著な効果が得られることが言える。
また、実験結果2から、気体の流量については、1000cm3/min以上の場合に、特に顕著な効果が得られるといえる。
【0077】
実験結果3からは、冷媒として水等の液体を用いた場合には、液体の温度が0℃以上20℃以下であり、液体の流量が300cm3/min以上であることが望ましいことが分かる。
気体の場合と同様に、液体の温度が、0℃以下になると結露が生じる可能性が高く、室温よりも高くなると効果が低くなると考えられる。実験結果3からは、20℃以上の場合にも冷却効果は認められるものの、0℃以上20℃以下の場合に、特に顕著な効果が得られることが言える。
また、液体は気体に較べて熱容量が大きいため、少ない量でより多くの熱を吸吸することができる。実験結果3から、液体の流量が300cm3/min以上であれば、特に顕著な効果が得られることが分かる。
【0078】
溝幅wが大きくなると、溝部分における変形により、ウェハSの平坦化精度が低下する。
同様に、ピッチdが小さくなってもウェハSの平坦化精度は低下する。
特に実験結果4から、ウェハSのディッシング量に着目すれば、研磨パッドの冷却用の溝としては、溝幅wが0mm<w<5mmであり、ピッチdが、研磨パッドに複数の溝が形成される範囲で、10mmよりも大きいことが好ましいことが分かる。これらの条件のであれば、ウェハSにおいて溝以外の広い断面積を確保することができるため、ウェハSの平坦化精度を落とさず、かつ、十分な冷却効果を得ることができる。
【0079】
以上、本発明の実施の形態について述べてきたが、本発明は上記の実施の形態に限定されない。上記実施形態における形状、材質や各種数値等の記載は、本発明を説明するための一例であり、特許請求の範囲内で適宜変更可能である。
たとえば、溝15の断面形状は矩形に限らず、円形でも半円径でもよい。また、溝15のかわりに、好ましくは熱伝導性の良い材料で形成した管を埋め込んでもよい。溝15は、研磨パッド3の側面に設けることや、研磨定盤2に設けることも可能である。
また、本発明は、研磨パッド3が3層以上の場合にも適用可能である。研磨パッドとしても、ポリウレタン製の研磨パッドに限らず、不織布、スエード状研磨パッド、その他樹脂材料製の研磨パッドなど、全ての材質の研磨パッドにおいて同様の効果を得ることができる。固定砥粒が含有されている研磨パッドについても、本発明を適用することができる。
さらに、本発明は、半導体ウェハの研磨だけでなく、研磨パッドを用いるガラスや樹脂等の対象物の研磨一般に広く適用可能である。
【0080】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、研磨部材を効率的に冷却することができ、かつ、研磨に悪影響を及ぼさない研磨装置を提供することができる。
また、本発明によれば、効率的な冷却が可能であり、かつ、冷却に際して研磨に悪影響を及ぼさない研磨部材を提供することもできる。
さらに、本発明によれば、研磨部材を効率的に冷却することができ、かつ、研磨に悪影響を及ぼさない研磨方法を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る研磨装置の一実施形態の概略構成図である。
【図2】図2は、半導体ウェハの化学的機械研磨の一例を説明するための断面図であり、図2(a)は研磨前の状態を、図2(b)は研磨後の状態をそれぞれ示している。
【図3】図3は、本発明に係る研磨部材の第1実施形態を示す図である。
【図4】図4は、本発明に係る研磨部材の第2実施形態を示す図である。
【図5】図5は、本発明に係る研磨部材の第3実施形態を示す図である。
【図6】図6は、本発明に係る研磨部材の第4実施形態を示す図である。
【図7】図7は、本発明に係る研磨部材の第5実施形態を示す図である。
【図8】図8は、本発明に係る研磨部材の第6実施形態を示す図である。
【図9】図9は、本発明に係る研磨部材の第7実施形態を示す図である。
【図10】図10は、本発明に係る研磨部材の第8実施形態を示す平面図およびその部分拡大図である。
【図11】図11は、図10に図解した研磨部材の拡大部分の側面図であり、図11(a)が1つの実施形態を、図11(b)が変形形態を示している。
【図12】図12は、本発明に係る研磨部材の第9実施形態を示す平面図およびその部分拡大図である。
【図13】図13は、図12に図解した研磨部材の拡大部分の測面図であり、図13(a)が1つの実施形態を、図13(b)が変形形態を示している。
【符号の説明】
1…研磨装置、2…研磨定盤、3,100,110,120,130,140,150,160,170,180…研磨部材(研磨パッド)、5…保持手段(保持ヘッド)、15,100a,110a,120a,130a,140a,150a,160a,170a…冷媒流路、50…冷媒冷却機、70…冷媒供給部、75…冷媒回収部、80…ポンプ、S…被研磨物(半導体ウェハ)

Claims (15)

  1. 被研磨物を保持する保持手段と、当該被研磨物を研磨する研磨部材を備える研磨手段とを有し、前記被研磨物の被研磨面と前記研磨部材の研磨面とを接触させ、前記保持手段と前記研磨手段との相対運動により前記被研磨面を研磨する研磨装置であって、
    前記研磨部材を、前記研磨面を除いて冷媒を用いて直接的に冷却する冷却手段
    を有する研磨装置。
  2. 前記冷却手段は、
    前記研磨面を除く領域において前記冷媒を流す冷媒流路と、
    前記冷媒流路に前記冷媒を強制的に供給する供給手段と
    を有する請求項1に記載の研磨装置。
  3. 前記研磨部材の冷却に用いた前記冷媒を循環させて再利用する回収手段をさらに有する
    請求項2に記載の研磨装置。
  4. 被研磨物を研磨面により研磨する研磨部材であって、
    前記研磨面を除く領域を、冷媒を用いて直接的に冷却する冷却部
    を有する研磨部材。
  5. 前記冷却部は、前記研磨面を除く領域において前記冷媒を流す冷媒流路を有する
    請求項4に記載の研磨部材。
  6. 被研磨物を研磨面により研磨する研磨層と、
    前記研磨層を支持する支持層と
    を有し、
    前記支持層に、前記研磨層を冷却する冷媒を流す溝を設けた
    研磨部材。
  7. 被研磨物を研磨面により研磨する研磨層と、
    前記研磨層を支持する支持層と
    を有し、
    前記研磨層における前記研磨面を除く領域に、当該研磨層を冷却する冷媒を流す溝を設けた
    研磨部材。
  8. 前記溝は、前記支持層から連続して、前記研磨面を除いた前記研磨層の領域まで設けられている
    請求項6に記載の研磨部材。
  9. 前記支持層は、前記溝に前記冷媒を供給するための供給孔を有する
    請求項6〜8のいずれかに記載の研磨部材。
  10. 前記溝は、前記供給孔に連通して、当該供給孔から放射状に設けられている
    請求項9に記載の研磨部材。
  11. 前記溝の幅は5mmより小さい
    請求項6〜8のいずれかに記載の研磨部材。
  12. 前記溝は、所定ピッチで格子状に複数設けられている
    請求項6〜8のいずれかに記載の研磨部材。
  13. 複数の前記溝間の前記ピッチは、10mmよりも大きい
    請求項12に記載の研磨部材。
  14. 被研磨物と、当該被研磨物を研磨する研磨部材とを接触させ、前記被研磨物の被研磨面と前記研磨部材の研磨面との相対運動により前記被研磨面を研磨する研磨方法であって、
    前記研磨部材を、冷媒を用いて冷却する冷却手段を用意し、
    前記研磨部材を、前記研磨面を除いて冷媒を用いて直接的に冷却して前記被研磨物の前記被研磨面を研磨する
    研磨方法。
  15. 前記冷却手段を用意するに際し、前記研磨面を除く領域において前記冷媒を流す冷媒流路を前記冷却手段に設け、
    前記被研磨面の研磨において、前記冷媒流路に前記冷媒を強制的に供給して前記研磨面を冷却する
    請求項14に記載の研磨方法。
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