明 細 書
水素燃料自動車における水素タンク冷却装置、水素タンク冷却方法、及 び水素燃料自動車
技術分野
[0001] 本発明は、水素燃料自動車における水素タンク冷却装置、水素タンク冷却方法、 及び水素燃料自動車に係る。詳しくは本発明は、水素吸蔵材を内蔵した水素タンク と、冷房装置と、を搭載した水素燃料自動車において、従来に比較して短時間で水 素タンクに水素を充填することができる技術に関する。
背景技術
[0002] 近年、地球温暖化を抑制する意識が高まり、特に車両力 排出される二酸ィ匕炭素 を低減することを目的として、燃料電池電気自動車や水素エンジン自動車等、水素 を燃料とした水素燃料自動車の開発が盛んである。水素燃料自動車は、水素ガスが 充填された水素タンクを水素供給源として搭載するものが一般的である。
[0003] 水素の貯蔵及び輸送の方法として、ある温度及び圧力の条件のもとで水素を吸蔵 して水素化物になり、必要時に別の温度及び圧力の条件のもとで水素を放出する「 水素吸蔵合金」といわれる金属の利用が着目されている。水素吸蔵合金を使用した 水素タンクは、同じ容積でより多くの水素を貯蔵することができるため、注目されてい る。
[0004] 水素タンクへの水素ガスの充填は、ガソリンスタンドや LPガススタンドに相当する水 素ステーションと呼ばれる設備で行なわれる。例えば、水素ステーションは、複数本 のボンべからなる水素カードルと、水素カードルカ 供給される水素を車両の水素タ ンクに充填するデイスペンサ(充填機)とを備えている。そして、デイスペンサのホース 先端に設けられた力ブラを前記水素タンクの充填口に連結した状態で、水素カード ルと水素タンクとの圧力差により、水素タンクに水素ガスを充填する。
[0005] 水素タンクに水素ガスを充填しているとき、水素タンク内の温度が高くなるため、水 素タンクを冷却しながら水素ガスを充填しないと充填に時間がかかる。また、水素吸 蔵合金に水素を吸蔵させて水素の充填量を高める場合、水素吸蔵合金による水素
吸蔵反応は発熱反応のため、冷却しな 、と水素吸蔵反応が円滑に進まな 、。
[0006] 水素吸蔵合金内蔵の水素タンクを搭載した燃料電池自動車において、水素吸蔵 合金カゝら水素を放出させる際に水素吸蔵合金を加熱するための熱媒体として燃料電 池を冷却後の熱媒体を使用するとともに、水素吸蔵合金に水素を吸蔵させる際に水 素吸蔵合金を冷却するための熱媒体としても同じ熱媒体を使用するシステムが考え られる。このシステムでは、熱媒体の冷却は燃料電池自動車に装備されたラジェータ により冷却される。そして、燃料電池の運転時には燃料電池を冷却後の熱媒体で水 素吸蔵合金を加熱して水素の放出を円滑に行なわせ、水素タンクへの水素充填時 には、燃料電池の運転を停止して、ラジェータで冷却された熱媒体を燃料電池の冷 却に使用せずに水素吸蔵合金の冷却に使用する。この場合、燃料電池の運転時に は、熱媒体による燃料電池の冷却及び水素吸蔵合金の加熱が円滑に行なわれる。
[0007] しかし、水素吸蔵合金に水素を吸蔵させる場合、即ち水素タンクへの水素の充填 時に、多量 (例えば、 5kg)の水素を短時間(例えば、 5分以内)で高圧 (例えば、 35 MPa)に充填しょうとすると、一般的な車載用のラジェータ及びファンでは水素吸蔵 合金からの発熱及びガス圧縮熱の外部放出能力が不足する。
[0008] 水素燃料自動車においても、内燃機関をエンジンとした自動車と同様に、空調装 置あるいは冷房装置が装備される割合が多い。特許文献 1は、圧縮された冷媒ガス を凝縮するコンデンサ及び膨張した冷媒液を蒸発するエバポレータを有する冷房装 置と、水素吸蔵合金内蔵タンク内に設けられて熱冷媒流路の一部を形成する熱交換 装置と、を有する水素燃料自動車を開示する。前記熱交換装置は、水素吸蔵合金内 蔵タンク内に配設された第 1熱交換器と、前記冷房装置によって冷却される被冷却 空気の通路および冷房装置のコンデンサを冷却する冷却空気の通路の少なくとも一 方に配設された第 2熱交^^と、を有している。この水素燃料自動車は、冷房装置と 別個の熱交換装置を設けてあり、水素吸蔵合金力 の水素放出に伴う水素吸蔵合 金の冷熱は、第 1熱交換器によって熱交換装置の冷媒に伝達され、この冷媒に伝達 された冷熱は、第 2熱交換器によって冷房装置の被冷却空気もしくは冷房装置のコ ンデンサを冷却する空気に伝達される。即ち、水素吸蔵合金の冷熱を利用すること により、冷房装置のエネルギー消費が低減される。
[0009] また、特許文献 2は、熱媒体循環系と、該熱媒体を冷却する冷却部と、該熱媒体を 加熱する加熱部とを備えた車載用水素吸蔵合金システムを開示する。熱媒体循環系 は、車両に搭載される水素吸蔵合金に対し熱媒体を循環させて該熱媒体と前記水 素吸蔵合金とで熱交換を行なう。この車載用水素吸蔵合金システムは、前記水素吸 蔵合金に水素を充填するときには前記冷却部を、前記水素吸蔵合金から水素を放 出させるときには前記加熱部をそれぞれ選択的に作動させる。
[0010] さて、一般的な車載用のラジェータ及びファン (例えば、冷却水流量: 60LZmin、 風速:最大 2mZs)を作動させた状態で、外気温 30° Cで水素タンクに水素を充填さ せた場合、水素タンクが空の状態から 5分間経過時では、満タン水素量の約 85% (4 . 25kg)しか充填できない。 5分で満タンの 95% (4. 75kg)以上の水素を水素タンク に充填させるためには、ファン風速を 6mZs以上にする必要がある。しかし、この風 速が出せるファンを燃料電池自動車に搭載した場合、大きな設置スペースが必要に なるとともに、水素充填時以外は能力が過剰のファンを燃料電池自動車に装備する ことになる。
[0011] 特許文献 1には、水素吸蔵合金内蔵タンク内の水素吸蔵合金からの水素放出に伴 う水素吸蔵合金の冷熱を、冷房装置の被冷却空気もしくは冷房装置のコンデンサを 冷却する空気を冷却することに利用することは記載されている。しかし、特許文献 1に は、水素吸蔵合金内蔵タンクに水素充填を短時間で行なうことに関しては何ら記載 がない。
[0012] 特許文献 2は、水素吸蔵合金を車両に搭載した状態 (オンボードの状態)で水素の 充填を行なうことを可能にすることを目的としている。し力しながら、特許文献 2は、水 素の充填を車載のラジェータ及びファンを使用して水素タンクを冷却する場合に比 較して短時間で行なうという本願の目的に関しては何ら記載がない。
特許文献 1 :特開平 7—186711号公報
特許文献 2:特開 2000— 88196号公報
発明の開示
[0013] 本発明の目的は、水素充填時に車載のラジェータ及びファンを使用して水素タンク を冷却する場合に比較して、水素充填時間を短くすることができる水素燃料自動車
における水素タンク冷却装置を提供することにある。更に本発明は、水素タンク冷却 方法及び水素燃料自動車を提供する。
[0014] 上記目的を達成するため、本発明は、水素燃料自動車における水素タンク冷却装 置を提供する。前記水素燃料自動車は、水素吸蔵材を収容すると共に熱交換器を 内蔵する水素タンクを含む。前記熱交換器は熱媒体が流れる熱媒管を含む。駆動部 は、前記水素タンクから供給される水素を燃料として用いて車両を駆動する。前記水 素燃料自動車は、前記駆動部と熱交換可能で且つ前記熱媒管に供給可能な熱媒 体が流れる熱媒流路と、前記熱媒流路を流れる熱媒体を冷却するためのラジェータ とを有する。冷房装置は、冷媒ガスを圧縮する圧縮機、圧縮された冷媒ガスを凝縮す るコンデンサ、膨張した冷媒液を蒸発させるエバポレータ、及び、冷媒循環回路、を 有する。前記冷媒循環回路には前記圧縮機、コンデンサ及びエバポレータが設けら れる。前記水素燃料自動車は、膨張した冷媒液を前記エバポレータを迂回させて前 記圧縮機に吸入させるように、前記冷媒循環回路力も分岐するバイパス流路を備え る。切換部は、前記冷媒液が前記エバポレータを経て前記圧縮機に吸入される状態 と、前記エバポレータを迂回して前記バイパス流路を流れる状態とに切換可能である
。水素吸蔵材冷却部は、前記バイパス流路を流れる冷媒液を用いて前記水素吸蔵 材を冷却する。
[0015] 本発明は更に、水素燃料自動車に搭載された水素タンクに水素を充填する際の水 素タンク冷却方法を提供する。前記水素燃料自動車は、前記水素タンクを冷却する ための熱媒体が流れる熱媒流路と、前記熱媒流路に流れる熱媒体を冷却するラジェ ータと、冷房装置と、を備える。前記冷却方法は、前記水素タンクに水素を充填する 時に、前記ラジェ一タに風を当てるためにファンを駆動するとともに前記冷房装置を 駆動することと、前記冷房装置の冷媒を使用して前記水素タンクの冷却を補助するこ とと、を備える。
[0016] 本発明は更に、水素燃料自動車を提供する。該水素燃料自動車は、水素吸蔵材 を収容すると共に熱交 を内蔵する水素タンクであって、前記熱交 は熱媒体 が流れる熱媒管を含むことと、前記水素タンクから供給される水素を燃料として用い て車両を駆動する駆動部と、前記駆動部と熱交換可能で且つ前記熱媒管に供給可
能な熱媒体が流れる熱媒流路と、前記熱媒流路を流れる熱媒体を冷却するためのラ ジエータとを備える。冷房装置は、冷媒ガスを圧縮する圧縮機、圧縮された冷媒ガス を凝縮するコンデンサ、膨張した冷媒液を蒸発させるエバポレータ、及び、冷媒循環 回路、を有する。前記冷媒循環回路には前記圧縮機、コンデンサ及びエバポレータ が設けられる。バイパス流路は、膨張した冷媒液を前記エバポレータを迂回させて前 記圧縮機に吸入させるように、前記冷媒循環回路から分岐する。切換部は、前記冷 媒液が前記エバポレータを経て前記圧縮機に吸入される状態と、前記エバポレータ を迂回して前記バイパス流路を流れる状態とに切換可能である。水素吸蔵材冷却部 は、前記バイパス流路を流れる冷媒液を用いて前記水素吸蔵材を冷却する。
図面の簡単な説明
[0017] [図 1]本発明を具体化した第 1の実施形態の熱媒体及び冷房装置の冷媒の流通経 路を示す模式図。
[図 2]水素燃料自動車と水素ステーションの概略構成図。
[図 3]本発明の第 2の実施形態の水素タンクの構成を示す模式図。
[図 4A]本発明の別の実施形態の熱交換部及び冷媒管を示す模式斜視図。
[図 4B]図 4Aの部分断面図。
[図 5A]本発明のさらに別の実施形態の熱交^^の模式図。
[図 5B]本発明のさらに別の実施形態の熱交^^の模式図。
発明を実施するための最良の形態
[0018] 以下、本発明を具体ィ匕した第 1の実施形態を説明する。
[0019] 図 2に示すように、水素燃料自動車 11は、車両駆動用の水素燃料駆動部としての 燃料電池 12と、 2本の水素タンク 13と、ラジェータ 14と、冷房装置 15とを備えている 。燃料電池 12、水素タンク 13及びラジェータ 14は、燃料電池 12を冷却する熱媒体 を水素タンク 13に供給可能とする熱媒流路 16を介して連結されて 、る。水素タンク 1 3は、水素充填口 17aを備えた配管 17に連結されている。配管 17から各水素タンク 1 3に水素ガスの充填が可能である。
[0020] また、水素燃料自動車 11は、水素ステーション 51で水素タンク 13に水素ガスの充 填を行なうように構成されている。水素ステーション 51は、水素ガスを貯蔵する蓄ガス
設備 52と、蓄ガス設備 52から供給される水素ガスを水素燃料自動車 11の水素タン ク 13に充填するデイスペンサ(充填機) 53とを備えている。なお、図 2においては、水 素燃料自動車 11、蓄ガス設備 52、デイスペンサ 53等の大きさの比は、実際の比と異 なる。
[0021] 水素ステーション 51の蓄ガス設備 52は、所定圧力で水素ガスが充填された複数の ボンべ 54aが配管 54bで連結された水素カードルで構成されて!、る。図 2では便宜 上ボンべ 54aを 3本図示している力 実際はボンべ 54aの本数は例えば 10本以上で ある。各ボンべ 54aには満充填状態において所定圧力(例えば、 44MPa)に水素ガ スが充填されている。デイスペンサ 53は、先端にカプラ 55を備えたホース 56を備える とともに、図示しない質量流量計、流量調整弁、開閉弁等を装備して、水素カードル 力も供給される水素ガスをホース 56を介して充填する公知の構成となって 、る。ディ スペンサ 53は、カプラ 55を水素タンク 13への水素充填口 17aに連結して、水素の充 填を行なう。
[0022] 次に図 1に従って燃料電池システムを詳細に説明する。
[0023] 燃料電池 12は、例えば固体高分子型の燃料電池からなり、水素タンク 13から供給 される水素を、空気圧縮機 18から供給される空気中の酸素と反応させて直流の電気 エネルギー(直流電力)を発生する。定常運転時に燃料電池 12を冷却可能にするた め、前記熱媒流路 16の一部が第 1熱交換部 16aとして燃料電池 12内に配置されて いる。
[0024] 水素タンク 13は、タンク本体 19と、水素吸蔵材としての水素吸蔵合金 MHを内部に 収容した水素吸蔵用ユニット 20と、タンク本体 19内で水素吸蔵用ユニット 20を支持 する支持体 21とを備えている。また、水素タンク 13内には、水素吸蔵合金 MHとの間 で熱交換を行なう熱媒体の流路として、前記熱媒流路 16の一部が第 2熱交換部 16b として配置されて ヽる。この実施形態では熱媒体として LLC (ロングライフクーラント) が使用されて 、る。第 2熱交換部 16bの周囲には水素吸蔵合金 MHとの間の熱交換 の効率を高めるための多数のフィン 22が設けられて 、る。水素吸蔵合金 MHとして は公知のものが使用されている。第 2熱交換部 16b及びフィン 22により熱交換器が 構成され、第 2熱交換部 16bは該熱交換器の熱媒管を構成する。
[0025] 各水素タンク 13は、燃料電池 12の水素供給ポート(図示せず)に配管 23を介して 連結され、燃料電池 12に水素を供給する。水素タンク 13は、満充填状態において 所定圧力(例えば、約 35MPa)の高圧で水素を貯蔵し、図示しない減圧弁で圧力を 減圧して燃料電池 12に一定の圧力(例えば、 0. 3MPa程度)で供給する。各水素タ ンク 13は、水素充填口 17aを備えた配管 17に連結され、配管 17から複数の水素タ ンク 13に同時に水素ガスの充填が可能である。
[0026] 空気圧縮機 18は、燃料電池 12の酸素供給ポート(図示せず)に配管 24を介して 連結され、燃料電池 12に圧縮空気を供給する。空気圧縮機 18は図示しないエアタリ ーナでゴミ等が除去された空気を圧縮して配管 24に吐出する。
[0027] ラジェータ 14は、モータ 25により回転されるファン 26を備える。ファン 26による送風 により、ラジェータ 14からの放熱が効率よく行なわれる。
[0028] 第 1熱交換部 16aの入口及びラジェータ 14の出口の中間には第 1電磁三方弁 28 が設けられている。熱媒流路 16は、第 1電磁三方弁 28からラジェータ 14の入口に連 結されるまでの本流部分 16cを含む。第 1電磁三方弁 28は、ラジェータ 14から流れ てきた熱媒体が燃料電池 12の第 1熱交換部 16aの入口に供給される状態と、ラジェ ータ 14から流れてきた熱媒体が第 1熱交換部 16aに供給されずに本流部分 16cを流 れる状態とに切換可能に構成されている。本流部分 16cには、第 2電磁三方弁 29が 水素タンク 13と同じ数だけ設けられている。第 1熱交換部 16aの出口は、全ての第 2 電磁三方弁 29より上流で本流部分 16cに連結されている。また、本流部分 16cには 、全ての第 2電磁三方弁 29より下流に、ポンプ 27が設けられている。ポンプ 27は、熱 媒流路 16内の熱媒体をラジェータ 14の入口に送る。
[0029] 各水素タンク 13の第 2熱交換部 16bの入口は、本流部分 16cに第 2電磁三方弁 29 を介して連結されている。また、各第 2熱交換部 16bの出口は、同第 2熱交換部 16b に対応する第 2電磁三方弁 29よりも下流で、本流部分 16cに連結されている。各第 2 電磁三方弁 29は、本流部分 16cを流れる熱媒体を、該第 2電磁三方弁 29に対応す る第 2熱交換部 16bの入口へのみ通過可能な第 1の状態と、本流部分 16cを流れる 熱媒体を第 2熱交換部 16bの入口ではなく本流部分 16cの下流へのみ通過可能な 第 2の状態とに切換可能に構成されている。本流部分 16cのラジェータ 14の入口付
近には、ラジェータ 14に流れ込む熱媒体の温度を検知する温度センサ 30が設けら れている。
[0030] 前記空気圧縮機 18、モータ 25、ポンプ 27、第 1電磁三方弁 28、および第 2電磁三 方弁 29は、制御装置 31からの指令によって運転あるいは切換制御される。ポンプ 2 7は、制御装置 31からの指令信号に基づいて駆動、停止及び流量変更が可能であ る。制御装置 31には、温度センサ 30の検出信号と、燃料電池 12の温度を検出する 温度センサ(図示せず)の検出信号と、水素タンク 13内の圧力を検出する圧力セン サ(図示せず)の検出信号と、が入力される。制御装置 31は、水素タンク 13への水素 充填時の温度センサ 30の検出信号に基づいて、冷房装置用制御装置に冷媒圧縮 機 33の容量変更の指令信号を出力する。即ち、制御装置 31は、熱媒流路 16を流 れる熱媒体の温度に対応して冷媒圧縮機 33の容量を制御する制御部としても機能 する。
[0031] 冷房装置 15はフロンを冷媒とする。冷房装置 15の冷媒循環回路 32には、冷媒ガ スを圧縮する冷媒圧縮機 33と、圧縮された冷媒ガスを凝縮するコンデンサ 34と、膨 張弁 35と、膨張した冷媒液を蒸発させるエバポレータ 36と、が設けられている。コン デンサ 34は、冷媒圧縮機 33から吐出された高圧高温の冷媒ガスをファン 37により冷 却して高圧の液冷媒にする。膨張弁 35は、高圧の液冷媒を低圧の霧状の冷媒とす る。エバポレータ 36は、霧状の冷媒を蒸発させて、ファン 38により送られる空気を冷 媒の蒸発潜熱で冷却する。冷媒圧縮機 33は、図示しない冷房装置用制御装置から の指令により容量即ち冷房能力が変更可能に構成されている。冷房装置 15は車載 用の公知のものを使用できる。冷房装置用制御装置は、前記制御装置 31からの指 令信号によっても冷媒圧縮機 33の容量を調整可能に構成されている。
[0032] 冷房装置 15の冷媒循環回路 32からは、膨張した冷媒液をエバポレータ 36を迂回 して冷媒圧縮機 33に吸入される状態にするノ ィパス流路 39が分岐されている。バイ パス流路 39の膨張弁 35寄りの分岐部には、切換部としての第 3電磁三方弁 40が設 けられている。第 3電磁三方弁 40は、膨張弁 35を通過した冷媒液がエバポレータ 36 を経て冷媒圧縮機 33に吸入される状態と、エバポレータ 36を迂回してノ ィパス流路 39を流れる状態とに切換可能に構成されている。第 3電磁三方弁 40は制御装置 31
力 の指令信号によって切換制御される。
[0033] 本流部分 16cの、第 1熱交換部 16aの出口との連結部より下流、且つ、最も上流の 第 2電磁三方弁 29より上流の部位には、熱交翻41が設けられている。熱交翻4 1は、バイパス流路 39を流れる冷媒液と、熱媒流路 16を流れる熱媒体との間で熱交 換を行なう。ノ ィパス流路 39の一部は、熱交翻 41内を通過し、且つ、熱交翻 41 内において熱媒流路 16に螺旋状に巻き付くように配設されている。熱交換器 41は、 バイパス流路 39を流れる冷媒液により水素吸蔵合金 MHを冷却する水素吸蔵材冷 却部を構成する。本実施形態では、バイパス流路 39を流れる冷媒液は、熱媒流路 1 6を流れる熱媒体を介して間接的に水素吸蔵合金 MHを冷却する。
[0034] なお、水素燃料自動車 11は、水素タンク 13への水素充填時のように燃料電池 12 を使用できないとき等に冷房装置 15やモータ 25等に電力を供給したり、燃料電池 1 2で発電された余剰の電力を充電したりするための図示しな!ヽ二次電池を備えて ヽ る。
[0035] 次に、前記のように構成された装置の作用を説明する。
[0036] 燃料電池 12は、環境温度が燃料電池 12の発電が可能な予め設定された温度 (設 定温度)以上の場合に通常運転が行なわれる。制御装置 31は環境温度を計測する 温度センサ(図示せず)の検出信号に基づいて、環境温度が前記設定温度以上であ れば始動時から通常運転を行!、、環境温度が設定温度未満の場合には暖機を行な つた後、通常運転に移行する。通常運転時には、水素タンク 13から水素が燃料電池 12のアノード電極に供給される。また、空気圧縮機 18が駆動されて、空気が所定の 圧力に加圧されて燃料電池 12の力ソード電極に供給される。
[0037] また、固体高分子型燃料電池は 80° C程度で効率よく発電が行なわれるが、水素 と酸素との化学反応は発熱反応のため、燃料電池 12で発電を継続すると、反応熱の ため燃料電池 12の温度が 80° C程度の適正温度よりも上昇する。この温度上昇を 防止するため、熱媒流路 16内には、ラジェータ 14で冷却された熱媒体が循環させら れる。また、水素吸蔵合金 MHからの水素の放出は吸熱反応のため、反応を円滑に 進めるためには水素吸蔵合金 MHを加熱する必要がある。よって、熱媒体は、発電 中の燃料電池 12を冷却して温まつた後、水素吸蔵合金 MHを加熱して水素タンク 1
3から水素を放出させる。
[0038] 制御装置 31は、燃料電池 12の運転時には、第 1電磁三方弁 28を熱媒体が第 1熱 交換部 16aの入口に供給される状態に保持するとともに、水素タンク 13内の圧力を 検出する圧力センサの検出信号に基づいて各第 2電磁三方弁 29を切換制御する。 制御装置 31は、いずれかの水素タンク 13内の圧力が予め設定された第 1の設定圧 力以下になると、熱媒体が当該水素タンク 13を加熱する状態、即ち熱媒体が対応す る第 2熱交換部 16bを流れる状態に第 2電磁三方弁 29を切り換える指令信号を出力 する。また、制御装置 31は、水素タンク 13内の圧力が予め設定された第 2の設定圧 力以上になると、熱媒体が当該水素タンク 13内を流れない状態に第 2電磁三方弁 2 9を切り換える指令信号を出力する。
[0039] 制御装置 31は、全ての水素タンク 13において、熱媒体による加熱を予め設定され た所定時間継続しても第 1の設定圧力に達しない状態になった時点で、水素タンク 1 3に水素を充填することが必要になったと判断する。そして、制御装置 31は報知部( 例えばランプ等の表示部)を駆動させる。
[0040] 水素タンク 13に水素ガスを充填 (貯蔵)する際 (水素充填時)、即ち水素吸蔵合金 MHに水素ガスを吸蔵させる場合には、水素燃料自動車 11を水素ステーション 51に 停車させる。制御装置 31は、水素充填時には、熱媒体が燃料電池 12の第 1熱交換 部 16aに供給されずに本流部分 16cを流れる状態に切り換える指令信号を第 1電磁 三方弁 28へ出力し、各第 2電磁三方弁 29には熱媒体を水素タンク 13の第 2熱交換 部 16bへ供給する状態に切り換える指令信号を出力する。従って、ラジェータ 14で 冷却された熱媒体は、燃料電池 12の第 1熱交換部 16aを経ずに各水素タンク 13の 第 2熱交換部 16bに供給される状態となる。また、制御装置 31は、冷房装置 15の第 3電磁三方弁 40に、冷媒液をバイパス流路 39を経て冷媒圧縮機 33へ供給する状態 に切り換える指令信号を出力する。よって、第 3電磁三方弁 40は、冷媒液をバイパス 流路 39を経て冷媒圧縮機 33へ供給する状態になる。
[0041] 従って、水素タンク 13に水素を充填する時には、熱媒流路 16を流れる熱媒体は、 ラジェータ 14で冷却されるとともに、熱交^^ 41においても冷却される状態となる。 そして、デイスペンサ 53のカプラ 55が水素充填口 17aに連結され、水素タンク 13に
水素ステーション 51からの水素が充填される。
[0042] 水素カードルカも水素タンク 13内に供給された水素ガスは、水素吸蔵合金 MHと 反応して水素化物となって水素吸蔵合金 MHに吸蔵される。水素の吸蔵反応は発熱 反応であるので、水素の吸蔵反応で発生した熱を除去しないと更なる吸蔵反応が円 滑に進行しない。しかし、本実施形態では、熱媒流路 16を流れる熱媒体は、ラジェ ータ 14だけによつて冷却されるのではなぐ熱交^^ 41においても冷却される。なぜ ならば、水素タンク 13への水素充填時には、膨張弁 35を通過することにより低温で 霧状となった冷媒は、エバポレータ 36に供給されずにバイパス流路 39を流れる状態 となり、熱交 において液冷媒と熱媒体との熱交換によって液冷媒が蒸発する 際に周囲から蒸発潜熱を奪うことによって熱媒体が冷却される。従って、熱媒体は燃 料電池 12の第 1熱交換部 16aを流れず、本流部分 16cから第 2熱交換部 16bを通る ことで水素タンク 13とラジェータ 14との間で循環するとともに、ラジェータ 14及び熱 交 41の両方で冷却される。このように冷却された熱媒体により、水素吸蔵合金 MHの発熱が除去されて水素の吸蔵反応が円滑に進行する。その結果、例えば、外 気温度 30° C、熱媒体の流速 60LZminの条件で、水素タンク 13に空の状態から 5 分で満タン (充填量 5kg)の 95% (4. 75kg)以上の水素を充填させることができる。
[0043] また、制御装置 31は、冷房装置 15の冷媒圧縮機 33の容量を、熱媒流路 16を流れ る熱媒体の温度に対応して制御する。制御装置 31は、図示しないメモリに記憶され たデータと、温度センサ 30の出力信号と、に基づいて冷媒圧縮機 33の適切な容量 を求め、その求めた容量で冷媒圧縮機 33が駆動されるように冷房装置用制御装置 に指令信号を出力する。そして、冷房装置用制御装置は、水素充填時には、制御装 置 31からの指令信号に基づいて冷媒圧縮機 33の容量を制御して冷媒圧縮機 33の 運転を行なう。
[0044] 水素タンク 13を冷却する場合、該水素タンク 13への水素充填開始時カゝら冷媒圧縮 機 33を一定容量で運転して、バイパス流路 39を流れる冷媒液で熱媒流路 16中の熱 媒体を冷却すれば、冷媒圧縮機 33の制御が簡単となる。しかし、熱交換器 41で熱 媒体を冷却するのに必要な単位時間当たりの冷媒液量は、熱媒体の温度によって 適正量が異なる。従って、冷媒圧縮機 33の容量を一定として短時間で水素充填を行
なう場合、冷媒圧縮機 33は、熱媒体の温度が最大のときに合わせた容量で水素充 填完了まで駆動されるため、熱媒体の温度が低いとき (熱負荷が低いとき)には無駄 なエネルギーを消費することになる。しかし、本実施形態では、冷媒圧縮機 33は、熱 負荷に合わせて容量が調整されて駆動されるため、冷媒圧縮機 33の容量が一定の 場合に比較して、同じ水素充填期間であってもエネルギー消費量を少なくできる。
[0045] 本実施形態は以下の利点を有する。
[0046] (1)水素燃料自動車 11の水素タンク冷却装置は、燃料電池 12の冷却用に使用さ れる熱媒体と、水素タンク 13の水素吸蔵合金 MHの冷却用あるいは加熱用に使用さ れる熱媒体と、が共通の熱媒流路 16を流れるように構成される。水素タンク冷却装置 は、熱媒流路 16を流れる熱媒体を冷却するためのラジェータ 14を備えている。また 、水素タンク冷却装置は、車載用の冷房装置 15の冷媒循環回路 32から分岐される バイパス流路 39を備える。ノ ィパス流路 39は、膨張した冷媒液をエバポレータ 36を 迂回して冷媒圧縮機 33に吸入される状態にする。水素タンク冷却装置は、バイパス 流路 39を流れる冷媒液により水素吸蔵合金 MHを冷却する水素吸蔵材冷却部を備 えている。従って、車載のラジェータ 14のみで水素吸蔵合金 MHを冷却する場合に 比較して、短時間で水素タンク 13に水素充填を行なうことができる。
[0047] (2)水素吸蔵材冷却部として機能する熱交換器 41は、冷房装置 15の冷媒循環回 路 32から分岐したバイパス流路 39を流れる冷媒液で直接に水素吸蔵合金 MHを冷 却するのではない。熱交^^ 41は、水素タンク 13の外において熱媒流路 16を流れ る熱媒体をバイパス流路 39を流れる冷媒液で冷却し、この冷却された熱媒体で間接 的に水素吸蔵合金 MHを冷却する。そして、バイパス流路 39は、熱媒流路 16の途 中に設けられた熱交 の一部を構成する。従って、水素タンク 13の構造を変更 せずに、バイパス流路 39を流れる冷媒液と熱媒流路 16に流れる熱媒体との間で熱 交換を行なう熱交 を熱媒流路 16の途中に設けることで、容易に水素吸蔵材 冷却部を実現することができる。
[0048] (3)冷媒圧縮機 33は容量可変に構成されている。水素タンク冷却装置は、熱媒流 路 16を流れる熱媒体の温度に対応して冷媒圧縮機 33の容量を制御する制御装置 3 1を備えている。従って、冷媒圧縮機 33は、熱負荷に合わせて容量が調整されて駆
動されるため、冷媒圧縮機 33の容量が一定の場合に比較して、水素タンク 13に水 素充填する時間が同じであってもエネルギー消費量を少なくできる。
[0049] (4)熱媒流路 16には第 1電磁三方弁 28が設けられている。第 1電磁三方弁 28は、 熱媒体が燃料電池 12の第 1熱交換部 16aを流れる状態と、第 1熱交換部 16aに供給 されずに本流部分 16cを流れる状態、即ち第 1熱交換部 16aを経ずに水素タンク 13 の第 2熱交換部 16bに流れる状態と、に切換可能である。そして、水素充填時には、 熱媒体が燃料電池 12の第 1熱交換部 16aを経ずに水素タンク 13の第 2熱交換部 16 bを流れる状態で、ラジェータ 14および熱交換器 41によって熱媒体が冷却される。 従って、燃料電池 12を使用していた状態から直ぐに水素タンク 13に水素充填を行な う場合でも、熱媒体が燃料電池 12を経由せずラジェータ 14、本流部分 16cおよび水 素タンク 13を循環する状態に直ちに切り換えられる。よって、燃料電池 12の余熱で 熱媒流路 16を流れる熱媒体が加熱されるのを回避することができ、熱媒体を効率良 く冷却することができる。
[0050] (5)本流部分 16cには、最も上流の第 2電磁三方弁 29よりも上流の部位に、熱交換 器 41が設けられている。従って、熱交 41で冷却された熱冷媒は、各水素タンク 13内の水素吸蔵合金 ΜΗの冷却に有効に利用される。また、第 2電磁三方弁 29を 制御することにより、温度の高い、つまり水素吸蔵反応の進行が遅い水素タンク 13内 の水素吸蔵合金 ΜΗを集中して冷却する事もできる。
[0051] (6)水素燃料自動車 11は水素タンク 13を複数本備える。各水素タンク 13に熱媒体 を供給する熱媒流路 16には、各水素タンク 13の第 2熱交換部 16bに対応して第 2電 磁三方弁 29を備えている。各第 2電磁三方弁 29は、熱媒流路 16を流れる熱媒体を 、対応する水素タンク 13の第 2熱交換部 16bに供給する状態と、供給しない状態とに 切換可能である。従って、制御装置 31からの指令信号により、各水素タンク 13を適 正な温度状態とするように熱媒体の移動経路を変更することができ、水素タンク 13内 の水素吸蔵合金 MHの加熱及び冷却を適正に行なうことが容易になる。
[0052] 次に本発明の第 2の実施形態を図 3に従って説明する。本実施形態は、バイパス流 路 39を流れる冷媒液により水素吸蔵合金 MHを冷却する水素吸蔵材冷却部として、 バイパス流路 39を流れる冷媒液が水素タンク 13内で水素吸蔵合金 MHと熱交換を
行なうことにより、水素吸蔵合金 MHを直接冷却する点が前記第 1の実施形態と異な つており、その他の構成は同じである。前記第 1の実施形態と同一部分は同一符号 を付して詳 ヽ説明を省略する。
[0053] 図 3に示すように、各水素タンク 13内には、第 2熱交換部 16bと別に冷媒管 42が設 けられている。冷媒管 42はフィン 22を貫通するとともにフィン 22に溶接等で固着され ている。冷媒管 42はノ ィパス流路 39の一部として構成され、バイパス流路 39を流れ る冷媒液は、順次各冷媒管 42を流れるように構成されている。この実施形態では、 冷房装置 15の冷媒液は水素タンク内に設けられた冷媒管を流れる際に水素吸蔵合 金 MHとの間で直接熱交換を行なって水素吸蔵合金 MHの冷却を行なう。
[0054] 従って、この実施形態においては、前記第 1の実施形態の効果(1) , (3) , (4) , (6 )と同様の効果を有する他に次の効果を有する。
[0055] (7)バイパス流路 39を流れる冷媒液により水素吸蔵合金 MHを冷却する水素吸蔵 材冷却部は、水素タンク 13内に、第 2熱交換部 16bと別に設けられた冷媒管 42であ り、バイパス流路 39を流れる冷媒液が冷媒管 42を流れるように構成されている。従つ て、冷房装置 15の冷媒液が水素タンク 13内に設けられた冷媒管 42に流れるため、 冷房装置 15の冷媒液による水素吸蔵合金 MHに対する冷却効果が、第 1の実施形 態のように水素吸蔵合金 MHを間接的に冷却する構成に比較して向上する。
[0056] 実施形態は前記に限定されるものではなぐ例えば、次のように構成してもよい。
[0057] 前記バイパス流路 39を流れる冷媒液を水素タンク 13内に流すための冷媒管 42は 、第 2の実施形態のように第 2熱交換部 16bから完全に独立した構成ではなぐ第 2 熱交換部 16bと冷媒管 42とを二重管としてもよい。例えば、図 4Aおよび図 4Bに示す ように、第 2熱交換部 16bとしての U字状の管の内部に、小径の U字状の冷媒管 42 を挿入した構成の二重管を使用する。冷媒管 42の入口部 42a及び出口部 42bは、 冷媒管 42の U字管の端部から該 U字管に直交する状態で、第 2熱交換部 16bの管 壁を貫通するように形成されている。そして、冷媒管 42の入口部 42a及び出口部 42 bにバイパス流路 39が連結される。冷媒管 42の一部は、第 2熱交換部 16bの内面に 接触する状態で配置されている。この場合、冷媒管 42内を流れる冷媒液は、一部は 第 2熱交換部 16b内の熱媒体と熱交換を行い、他の一部は第 2熱交換部 16bの管壁
を介して水素吸蔵合金 MHとの間で熱交換を行なう。
[0058] つまり、図 4Aおよび図 4Bでは、冷媒管 42の下部が第 2熱交換部 16bの下部の内 面に接触する。冷媒管 42内の上部を流れる冷媒液は、第 2熱交換部 16b内の熱媒 体と熱交換を行ない、冷媒管 42内の下部を流れる冷媒液は、第 2熱交換部 16bの管 壁を介して水素吸蔵合金 MHとの間で熱交換を行なう。従って、一部の冷媒液が熱 媒体を介さずに水素吸蔵合金 MHを冷却することができるため、熱交 を設け る場合に比較して、水素吸蔵合金 MHを冷却する効率が良くなる。
[0059] 熱媒流路 16を流れる熱媒体と、バイパス流路 39を流れる冷媒液と、の間で熱交換 を行なう熱交換器は、第 1の実施形態の熱交換器 41のように、熱媒流路 16を区画す る管の壁と、バイノス流路 39を区画する管の壁と、を介して熱が伝達される構成に限 らない。例えば、図 5Aに示すように、熱媒流路 16の途中に二重管式の熱交 を設け、内側管 43aが熱媒流路 16の一部を区画し、外側管 43bがバイパス流路 39 の一部を区画するように、熱媒流路 16及びバイパス流路 39を設けてもよい。この場 合、熱媒体と冷媒液は一つの管 43aの壁を介して熱交換を行なうため、熱媒流路 16 の管壁とバイパス流路 39の管壁とを含む二つの管壁を介して熱交換を行なう第 1の 実施形態に比較して、熱交換が効率良く行なわれる。
[0060] 図 5Bに示すように、バイパス流路 39の途中に二重管式の熱交換器 43を設け、内 側管 43aがバイパス流路 39の一部を区画し、外側管 43bが熱媒流路 16の一部を区 画するように、熱媒流路 16及びバイパス流路 39を設けてもよい。この場合も、熱媒体 と冷媒液は一つの管 43aの壁を介して熱交換を行なうため、二つの管壁を介して熱 交換される第 1の実施形態に比較して熱交換が効率良く行なわれる。
[0061] 前記水素タンク 13の外部に熱交換器 41又は熱交換器 43を設ける場合、最も上流 の第 2電磁三方弁 29よりも上流ではなぐ最も上流の水素タンク 13の第 2熱交換部 1 6bの入口に熱交^^ 41又は熱交^^ 43を設けてもよい。また、各水素タンク 13の 第 2熱交換部 16bの入口毎に熱交換器 41又は熱交換器 43を設けてもよい。その場 合、水素タンク冷却装置全体としては熱交 又は熱交 は複数となるが、 これら複数の熱交換器 41又は熱交換器 43をバイパス流路 39に対して直列に接続し ても良いし、並列に接続しても良いし、直列接続と並列接続を組み合わせても良い。
ノ ィパス流路 39の途中に更に電磁三方弁などを設けて複数の熱交換器 41又は熱 交換器 43に選択的に冷媒液を流すように制御しても良!、。
[0062] 前記第 1電磁三方弁 28を省略して、熱媒体が必ず燃料電池 12を経て水素タンク 1
3へ供給されるように熱媒流路 16を構成してもよい。
[0063] 複数の前記第 2電磁三方弁 29を全て省略して、熱媒体が必ず全ての水素タンク 1
3内の第 2熱交換部 16bへ供給されるように熱媒流路 16を構成してもよい。
[0064] 前記複数の第 2熱交換部 16bを直列に接続するように熱媒流路 16を構成したが、 並列に複数の第 2熱交換部 16bを接続するように構成しても良いし、直列接続と並列 接続を組み合わせても良 ヽ。
[0065] 前記複数の冷媒管 42を直列に接続するようにバイパス流路 39を構成したが、並列 に複数の冷媒管 42を接続するように構成しても良いし、直列接続と並列接続を組み 合わせても良い。
[0066] 前記冷房装置 15の冷媒はフロンに限らず、例えば二酸ィ匕炭素としてもよい。冷媒 を二酸化炭素とした場合、フロンに比較してバイパス流路 39を流れる冷媒の圧力が 高いため、第 2の実施形態の場合に二酸化炭素を冷媒として使用すると、冷媒管 42 の内圧が上昇するため、水素タンク 13内で冷媒管 42に外側力も作用するタンク内圧 に抗するために冷媒管 42に必要な強度を低くすることが可能になる。
[0067] 前記水素燃料自動車 11に搭載される水素タンク 13の本数は 2本に限らず、 1本あ るいは 3本以上としてもよい。即ち、燃料電池 12と複数の水素タンク 13とが連結され た構成であってもよいし、燃料電池 12に 1つの水素タンク 13から水素を供給する構 成であってもよい。
[0068] 前記水素タンク 13を複数本搭載する場合、配管 17から各水素タンク 13に同時に 水素ガスが充填される構成に限らず、各水素タンク 13への分岐配管毎にバルブを設 け、水素タンク 13の 1本ずつ順に充填可能にしてもよい。
[0069] 前記水素カードルのボンべ 54a及び水素燃料自動車 11の水素タンク 13に満充填 した時の圧力は、前記の圧力に限定されない。例えば、燃料電池自動車に搭載され る水素タンク 13には満充填の際の圧力が 25MPaのものもあり、その場合、水素カー ドルのボンべ 54aの圧力は 44MPaより低くてもよ!ヽ。
[0070] 前記燃料電池 12は、固体高分子型の燃料電池に限らず、リン酸型燃料電池ゃァ ルカリ型燃料電池等、燃料電池を冷却するのに熱媒体を使用する燃料電池であれ ばよい。
[0071] 前記水素タンク 13は、水素吸蔵合金以外の水素吸蔵材、例えば、活性炭素繊維( activated carbon fiber)や単層カーボンナノチューブを収容した構成としてもよい。
[0072] 前記水素燃料自動車 11は、水素燃料駆動部として燃料電池 12を搭載した燃料電 池自動車に限らず、水素エンジンを搭載した水素エンジン車であってもよい。
[0073] 前記水素ステーション 51の蓄ガス設備 52は、満充填時の水素タンク 13内の圧力よ り大きな圧力で水素ガスが充填された複数のボンべ 54aからなる水素カードルで構 成されたものに限らない。例えば、ボンべ 54aより大きな高圧タンクを蓄ガス設備 52 に使用してもよい。
[0074] 前記水素ステーション 51は、水素タンク 13に満充填した時の圧力より低い圧力の 水素ガスが蓄ガス設備 52のボンべ 54aやタンクに充填されており、ボンべ 54aやタン クの水素ガスを圧縮器で圧縮して加圧した水素ガスを水素タンク 13へ供給する構成 としてもよい。この場合、最初力も高圧で多量の水素ガスを水素ステーション 51に貯 蔵する必要がない。