明 細 書
中性脂肪代謝制御剤、それを含有する飲食品、食品添加物及び医薬 技術分野
[0001] 本発明は、リンゴまたはホップ苞より得られる中性脂肪代謝制御剤、それを含有す る飲食品、食品添加物及び医薬に関する。
背景技術
[0002] 近年日本において、食生活の欧米化などによって様々な生活習慣病が増加傾向 にあり、その中の一つ高脂血症を見分けるバロメータとして、コレステロールと並んで 中性脂肪がある。中性脂肪はトリグリセライドとも呼ばれ、グリセロールに 3つの脂肪酸 が結合した物質であり、我々が通常「脂肪」と呼んでいるものである。中性脂肪は、身 体のエネルギー源として貯蓄されている力 一定以上に増加すると高脂血症の一種 である「高トリグリセライド症」になり、動脈硬化や血栓症の原因となる。こうした状態に ならない為には、中性脂肪値が高くならないよう、普段力 食生活等に留意をしなけ ればならない。
[0003] 平成 14年国民栄養調査結果によると、中性脂肪値が 150 mg/dL以上の割合は男 性で 39%、女性で 24%にのぼる。脂肪の過剰摂取はたんに体脂肪の増加のみなら ず、各種のいわゆる生活習慣病の発症のリスクを高めることが指摘されてきた。現在 、動脈硬化性疾患は日本人の死因統計で癌と並んで大きな位置を占め、またその多 くは働き盛りに突然発症して、社会的にも家庭的にも極めて大きな損失を与えること から、その効果的な予防及び治療対策の確立は必須の課題である (非特許文献 1)。
[0004] 中性脂肪は、リポたんぱくの一種カイロミクロンとして、また、肝臓で合成されるリポ たんぱくの一種 (VLDL)として血液中に運ばれ、通常は、体内で脂肪酸とグリセリンと いう物質に分解され、脂肪酸が筋肉などでエネルギー源として消費される。使われな 力つた脂肪酸は、細胞に蓄えられ、エネルギーが必要になった時に取り出される。 中性脂肪は、健康な成人の場合、空腹時、血液中に 50〜150
mg/dL存在し、食後 3— 5時間後に最高値となるが、中性脂肪がこの正常値を超える と、脂肪が皮膚の下や内臓の周りにたまり肥満となったり、肝臓にたまり脂肪肝となる
。また、脂肪の多い食事や大量の酒を飲んで、中性脂肪値が非常に高くなると、激し い腹痛を伴う急性すい炎を起こすことがある。肝臓でできた VLDLは、最終的に"悪玉 リポたんぱぐ'に変化し、 VLDL力多いと、 "善玉リポたんぱぐ'が少なくなりやすぐ悪 玉リポたんぱくの性質をさらに悪くし、動脈硬化を起こす要因となる。
[0005] 植物界に広く存在するポリフエノールは、最近の研究によって様々な生理機能性を 有することが確認されており、特許文献 1には「プロシア-ジンを有効成分とする抗肥 満剤」が、特許文献 2には「ホップより得られるリパーゼ阻害物質」が、特許文献 3には 「リパーゼ阻害剤」が、特許文献 4には「リパーゼ活性阻害剤」が公開されている。しか しながら、当該発明によると、ヒトあるいは動物において吸収 ·代謝後の血清中の中 性脂肪濃度を調節することに関して全く言及しておらず、何ら実施例も設定されてい ない。
特許文献 1:特開平 9-291039号公報
特許文献 2 :特開 2001-321166号公報
特許文献 3:特開 2001-226274号公報
特許文献 4 :特開 2003-342185号公報
非特許文献 1 :動脈硬化性疾患診療ガイドライン、日本動脈硬化学会編、 2002 発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] 薬物治療の普及は安易に薬剤に依存し、ライフスタイルの改善が十分おこなわれ ない恐れもある。しかしながら、現状では、天然物由来であって、総合的脂質代謝に 対する幅広い機能性を有し、かつ、副作用の可能性が極めて小さいという点におい て、十分満足できるものは見出されておらず、これらの性質を満足する中性脂肪代謝 制御剤が切望されている。
[0007] 本発明が解決しょうとする課題は、中性脂肪吸収を抑制する効果があり、普通食を 摂取し、食事制限がなぐ天然物質由来で安全性が高ぐ中性脂肪代謝制御作用を 有する飲食品、食品添加物または医薬を提供することにある。
課題を解決するための手段
[0008] 上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、本発明者らはリンゴ抽出物また
はホップ苞抽出物が、中性脂肪代謝制御作用を有することを見出し、本発明を完成 するに至った。
[0009] すなわち、本発明は以下の内容を要旨とするものである。
(1) リンゴ抽出物またはホップ苞抽出物を有効成分として含有してなることを特徴と する中性脂肪代謝制御剤。
(2) 前記リンゴ抽出物がリンゴ由来ポリフエノールであることを特徴とする(1)に記載 の中性脂肪制御剤。
(3) ホップ苞抽出物であり、かつポリフエノール様物質を吸着する吸着樹脂に吸着 する物質である中性脂肪低減剤。
(4) ホップ苞抽出物であり、分画分子量 1, 000以上の限外ろ過膜により処理した 際に膜を透過しない物質である中性脂肪低減剤。
(5) ホップ苞に含有されるポリフエノール様物質であり、かつ分画分子量が 1, 000 以上の限外ろ過膜により処理した際に膜を透過しない物質である中性脂肪低減剤。
(6) (1)ないし (5)のいずれか 1項に記載の中性脂肪代謝制御剤を含有する飲食
P
PPo
(7) (1)ないし (5)のいずれか 1項に記載の中性脂肪代謝制御剤を含有する食品 添加物。
(8) (1)ないし (5)のいずれか 1項に記載の中性脂肪代謝制御剤を含有する医薬。 発明の効果
[0010] 本発明のリンゴ抽出物またはホップ苞抽出物を有効成分とする中性脂肪代謝制御 剤は、副作用が極めて少なく中性脂肪の吸収を抑制することができる。
[0011] また、上記の中性脂肪代謝制を有効成分として含有する飲食品、食品添加物及び 医薬は、副作用が極めて少なく中性脂肪の吸収を抑制することができる。
図面の簡単な説明
[0012] [図 1]リンゴ由来のポリフエノールを摂取した健常人の血清中性脂肪濃度推移を示す グラフである。
[図 2]ホップ由来のポリフエノールを摂取した健常人の血清中性脂肪濃度推移を示す グラフである。
発明を実施するための最良の形態
[0013] 本発明におけるリンゴ由来ポリフエノールは、リンゴ抽出物中に有効成分として含ま れているものである。本発明における中性脂肪代謝制御剤は、リンゴ抽出物あるいは リンゴ由来ポリフエノールのいずれでもよいが、好ましくはリンゴ由来ポリフエノールで ある。精製度の高いリンゴポリフエノールは、飲食品等に添加する場合、おりや濁りを 発生しにくぐまた、飲食品等自身に与える風味の影響も抑えることができるといった 加工上の応用性が高い。
[0014] さらに、本発明のリンゴ由来ポリフエノールにはプロシア-ジン類が含まれている。
プロシア-ジン類とは、具体的には、カテキンが縮重合したプロシア-ジン Bl、プロシ ァ-ジン B2、プロシア-ジン C1等を合せての総称である。
[0015] 本発明で使用するリンゴ由来ポリフエノールを含有するリンゴ抽出物は、バラ科リン ゴ属植物の果実、例えば、フジ、陸奥、津軽、スターキング ·デリシャス等の栽培品種 及び原種リンゴ等より公知抽出手段により抽出して得られる。
[0016] 果実としては成熟果実、未熟果実ともに用いることができるが、より多くのポリフヱノ ール化合物を含有すること、及び広範な生理作用を有する各種活性成分を多量に 含むことから、未熟果実が特に好ましい。
[0017] 本発明のリンゴ抽出物中に含有されるリンゴ由来ポリフエノールは、リンゴ果実、若 しくは未熟果実の搾汁果汁、抽出液より精製されたポリフ ノール画分力 なるもの であるが、当該ポリフ ノール画分の精製は、搾汁果汁、抽出液を吸着剤で処理する ことにより行なわれ、吸着剤に吸着する画分 (以下、吸着画分という)にポリフ ノール は含有されている。吸着剤としては、ポリフエノールを吸着するものであれば特に限 定されな!/ヽが、例えば親水性ビュルポリマー榭脂 (東ソ一社製「トヨパール HW40J )、 スチレンージビュルベンゼン榭脂(三菱化学社製「セパビーズ SP— 850」)、ゲル型 合成樹脂(三菱化学社製「ダイヤイオン HP- 20」 )を挙げることができる。
[0018] 吸着剤に吸着した吸着画分を、例えばエタノール等の含水アルコールで溶出させ ることにより、ポリフエノール画分が精製される。当該ポリフエノール画分は、次いで濃 縮処理することにより液体製剤を得ることができ、さら〖こ、当該液体製剤を噴霧乾燥も しくは凍結乾燥処理することにより粉末製剤を得ることもできる。
[0019] リンゴ由来ポリフエノール中においては、プロシア-ジン類は大部分が 2量体及び 3 量体として存在している力 高分子プロシア-ジン類は、加熱やアルカリ等の処理で 変性や酸化分解されやす ヽ。
[0020] 一方、低分子プロシア-ジン類は体内に吸収される力 高分子プロシア-ジン類は 容易には体内に吸収されず、多くは排泄されると考えられている。
[0021] し力しながら、分子量の違いよる機能性の違いについては、検討はほとんどされて いない。
[0022] リンゴ由来ポリフエノールの原料となるリンゴ抽出物の抽出方法としては、例えば洗 浄した原料を pH3. 2〜4. 6、好ましくは pH3. 5〜4. 3で破砕し、得られた果汁にぺ クチナーゼを 5〜75。C、好ましくは 30〜60。Cで 10〜: LOOppm、好ましくは 20〜30p pmで清澄ィ匕を行い、遠心分離後、 5〜75°C、好ましくは 15〜25°Cで珪藻土 (商品 名「シリカ 300S」、中央シリカ社製)濾過によりさらに清澄ィ匕を行い、清澄果汁を得る。 或いはへキサン、クロ口ホルム等の有機溶媒による分配及び濾過を行い、清澄抽出 液を得る。
[0023] 次いで清澄果汁を 0〜40°C、好ましくは 15〜25°C、 pHl. 5〜4. 2、好ましくは pH 3. 0〜4. 0で前記吸着剤を充填した吸着カラムに通液し、ポリフエノール類を吸着さ せる。続いて純水を通液し、カラム中の非吸着物質 (糖類、有機酸類等)を除去した 後、 10〜90%、好ましくは 30〜80%のエタノールで吸着画分を溶出する。得られた 吸着画分力もエタノールを 25〜100°C、好ましくは 35〜90°Cで減圧留去し、濃縮液 をそのままで液体のリンゴ由来ポリフエノールとしてもよい。或いはデキストリン等の粉 末助剤を添加し、噴霧乾燥又は凍結乾燥を行い、リンゴ由来ポリフエノールの粉末品 としてちよい。
[0024] 製剤(リンゴ由来ポリフエノール)中における総ポリフエノール中のプロシア-ジン類 の含有率としては、好ましくは 20〜100重量%、より好ましくは 30〜90重量%、特に好 ましくは 40〜65重量%である。更に、プロシア-ジンに占める 2量体及び 3量体の割 合は、好ましくは 20〜80重量%、より好ましくは 25〜70重量%、特に 30〜70重量%が 好ま 、。この範囲であると血清及び Zあるいは肝臓中性脂肪代謝制御する効果が 明瞭に発現される。
[0025] また、プロシア-ジン類の含有量の 10〜80重量%、好ましくは 15〜70重量%が、 2 量体及び Z又は 3量体力 選ばれたものであると、製剤としての呈味が更に優れ、無 理なく連用できるため、好ましい。
[0026] 本発明で使用するホップ苞由来ポリフエノールを含有するホップ苞抽出物は、ホッ プ毬果よりルブリン部分を除いて得られるものであり、一般に、ホップ毬果を粉砕後、 篩い分けによってルブリン部分を除くことによってホップ苞を得る。しかし、最近のビ ール醸造において、ホップ苞を篩い分けして除去する手間を省くために、ビール醸 造に有用でないホップ苞を取り除かずにホップ毬果をそのままペレット状に成形し、 ホップペレットとして、ビール醸造に利用する傾向にある。したがって、本発明の原料 としては、ホップ苞を含むものであれば特に限定せず、ホップ苞を含むホップ毬果や ホップペレットを原料としてもなんら問題な 、。
[0027] ホップ苞抽出物の抽出方法としては、特に限定されるものではないが、例えば原料 であるホップ苞またはホップ苞を含むホップ毬果やホップペレットなどを、 4〜95°C、 好ましくは 30〜60°Cで 0〜50%、好ましくは 10〜40%のエタノールと混和し、抽出 する。原料と抽出溶媒の割合は、 1 : 20〜100 (重量比)、好ましくは1 : 30〜90 (重量 比)であり、攪拌下、 20〜60分、好ましくは 30〜50分で行う。 5〜75°C、好ましくは 1 5〜25°Cで珪藻土 (商品名「シリカ 300S」、中央シリカ社製)濾過によりさらに清澄ィ匕 を行う。ホップ苞抽出物は中性脂肪代謝制御作用を有するため、中性脂肪代謝制御 剤として有用である。
[0028] また、ホップ苞抽出物に含まれるポリフエノール様物質が中性脂肪代謝制御作用を 有するため、中性脂肪代謝制御剤として有用である。
[0029] ホップ苞抽出物力 ポリフエノール様物質を得るには、例えば、ホップ苞抽出物をポ リフエノール様物質を吸着する吸着樹脂で吸着処理して、ホップ苞抽出液力 ホップ 苞由来ポリフエノール様物質を分離精製すればよい。吸着処理方法は特に限定され ないが、例えばホップ苞抽出液を 0〜40°C、好ましくは 15〜25°Cで吸着樹脂に吸着 させればよい。
[0030] 吸着榭脂は、ポリフ ノール様物質を吸着するものであれば特に限定されないが、 例えば親水性ビュルポリマー榭脂(東ソ一社製「トヨパール HW40」)、スチレンージビ
-ルベンゼン榭脂 (三菱ィ匕学社製「セパビーズ SP— 825」)、ゲル型合成樹脂 (三菱 化学社製「ダイヤイオン HP-20」)を挙げることができる。これらの吸着榭脂を充填した 吸着カラムにホップ苞抽出物を通液し、ポリフエノール様物質を吸着させる。続いて 純水を通液し、カラム中の非吸着物質 (糖類、有機酸類等)を除去した後、 10〜90 %、好ましくは 30〜80%のエタノールでポリフエノール様物質を溶出させればよい。
[0031] ホップ苞抽出物またはホップ苞に含有されるポリフエノール様物質のうち、分画分子 量 1, 000以上の限外ろ過膜で処理した際に膜を透過しない物質が小腸内で生体へ の侵入を制御する点で好まし ヽ。
[0032] 次に、限外ろ過膜を用いる方法について述べる。上記の抽出工程または吸着工程 で得られたホップ苞抽出物またはホップ苞由来ポリフエノール様物質を含む処理液 を、分画分子量が 1, 000以上、好ましくは 10, 000-50, 000の限外ろ過膜で処理 する。その際必要があれば、ホップ苞由来ポリフエノール様物質を含む処理液を減圧 濃縮し、エタノール濃度を下げておくこともできる。また処理は、抽出溶媒の有機溶媒 濃度や抽出溶媒とホップまたはホップ苞の割合にもよるが、およそ上残り液の量が処 理開始時の iZio〜iZioo、好ましくは 1Z20〜1Z100になるまで行う。その際 の圧力は 9. 8kPa〜981kPa、好ましくは 98kPa〜686kPaである。このまま液体状態 で利用することも可能であるが、下記記述のとおり、乾燥させることもできる。得られた 画分力もエタノールを 25〜100°C、好ましくは 35〜90°Cで減圧濃縮し、濃縮液をそ のまま或いはデキストリン等の粉末助剤を添加し、噴霧乾燥又は凍結乾燥を行 、、 抽出粉末品を得る。
[0033] なお、ホップ苞由来ポリフエノール様物質であって、分画分子量 1, 000以上の限 外ろ過膜により処理した際に膜を通過しない物質を得る方法は、上記方法に限定さ れるものではなぐホップ苞由来抽出物を分画分子量 1, 000以上の限外ろ過膜で処 理した後、限外ろ過膜を透過しない処理液を、ゲル状高分子で吸着処理をしてもよ い。
[0034] 本発明のリンゴ抽出物を中性脂肪代謝制御剤として血清及び Zあるいは肝臓中性 脂肪代謝制御する効果を得るための成人 1日あたりの投与量は、プロシア-ジン類と して、 100〜2500
mgであるが、好ましくは 150〜1500 mg、更に好ましくは 150〜1000 mg、特に 150〜75 0 mgであるのが好ましい。
[0035] 本発明のホップ苞抽出物を中性脂肪代謝制御剤として血清中性脂肪低減効果を 得るための成人 1日あたりのホップ苞抽出物投与量は、 200〜5000 mgであるが、好ま しくは 300〜3000
mg、更に好ましくは 300〜2000 mg、特に 300〜1500 mgであるのが好ましい。
[0036] 本発明のリンゴ抽出物を中性脂肪代謝制御剤として利用する場合、プロシア-ジン 類の吸収の点から、 1日あたりのリンゴ抽出物量またはリンゴ由来ポリフエノール量を 少ない回数で摂取する方がプロシア-ジン類の血中濃度が高くなり、プロシア-ジン 類の作用を発現しやすい。
[0037] 本発明の中性脂肪代謝制御剤は、飲料を含む、広く食品一般に食品添加物として 添加して用いることができ、例えばスープ類、飲料 (ジュース、ミネラルウォーター、コ 一ヒー、茶、ノンアルコールビール等)、菓子類(ガム、キャンディー、チョコレート、ス ナック、ゼリー等)、麵類 (そば、うどん、ラーメン等)、アルコール飲料 (ビール、発泡 酒、カクテル、チューハイ、焼酎、 日本酒、ウィスキー、ブランデー、ワイン等)に好適 に用いられる。
[0038] 本発明のリンゴ抽出物を中性脂肪代謝制御剤として含む飲料の場合は、飲料中の リンゴ抽出物またはリンゴ由来ポリフエノール中に含まれるプロシア-ジン類の含有量 は 0.05〜1.25重量%、好ましくは 0.15〜0.75重量%、特に 0.3〜0.5重量%が好ましい 。この量であるとプロシア-ジン類の多量の摂取が容易でありながら、苦味を生じなく 好ましい。また 0.05重量%以上であると、飲用時にコクを持った味となり好ましい。
[0039] 本発明のホップ苞抽出物を中性脂肪代謝制御剤として含む飲料の場合は、飲料 中のホップ苞抽出物の含有量は 0.05〜1.25重量%、好ましくは 0.15〜0.75重量%、 特に 0.3〜0.5重量%が好ましい。この量であるとホップ苞抽出物の多量の摂取が容 易でありながら、苦味を生じなく好ましい。また 0.05重量%以上であると、飲用時にコ クを持った味となり好ま 、。
[0040] 本発明の中性脂肪代謝制御剤を含む食品の場合は、食品の一部として中性脂肪 を含有する食品に用いることができる。力かる中性脂肪含有食品としては、例えば特
定の機能を発揮して健康増進を図る健康食品が挙げられる。具体的には、かかる中 性脂肪を含有したホイップクリーム類、アイスクリーム類、チョコレート類、ドレッシング 類、ソース類、揚げ物類等が挙げられる。
[0041] 本発明のリンゴ抽出物を中性脂肪代謝制御剤として食品添加剤や医薬に用いる場 合の製剤としては、製剤中、プロシア-ジン類が、 0.05〜1.25重量0 /0、好ましくは 0.15 〜0.75重量0 /0、更に 0.3〜0.5重量%含有するのが好ましい。この量であるとプロシア 二ジン類の苦味がなぐ多量の摂取が容易であり、投与回数、効果の点で好ましい。
[0042] 本発明のホップ苞抽出物を中性脂肪代謝制御剤として食品添加剤や医薬に用い る場合の製剤としては、製剤中、プロシア-ジン類が、 0.05〜1.25重量%、好ましくは 0.15〜0.75重量%、更に 0.3〜0.5重量%含有するのが好ましい。この量であるとホッ プ苞抽出物の苦味がなぐ多量の摂取が容易であり、投与回数、効果の点で好まし い。
[0043] 本発明の中性脂肪代謝制御剤を含む医薬品の剤形は特に限定されないが、例え ば錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤等の固形製剤、水剤、懸濁剤、シ ロップ剤、乳剤等の液剤等の経口投与剤が挙げられる。この経口投与剤は、形態に 応じて当分野において通常用いられる賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性 剤、アルコール類、水、水溶性高分子、甘味料、矯味剤、酸味料、薬剤用担体等を 添加して通常使用されている方法によって製造することができる。プロシア-ジン類 は、経口投与用医薬品中に、医薬品の用途及び形態によっても異なる力 一般に 0. 1〜100重量%、特に 1〜80重量%含有するのが好ましい。
[0044] 実施例
次に、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施 例に限定されるものではない。
[0045] (製造例 1)
青森県産リンゴ幼果 300kgを破砕、圧搾し果汁 210kgを得た。得られた果汁にぺ クチナーゼ 30ppmで清澄ィ匕を行い、遠心分離後、珪藻土 (シリカ 300S、中央シリカ 社製)濾過により清澄ィ匕を行 、清澄果汁を得た。清澄果汁を吸着カラム (セパヒーズ HP- 20、三菱化学社製)に通液し、ポリフエノール類を吸着させた。続いて純水を通
液し、カラム中の非吸着物室 (糖類、有機酸類など)を除去したのち、 80%アルコー ルで溶出した。得られた画分力 アルコールを減圧濃縮し、抽出粉末品約 2kを調製 した。抽出粉末品を逆相計高速液体クロマトグラフィーを用いて検定したところ、クロ ロゲン酸類 (約 20%)、フロレチレン配糖体類 (約 5%)、フラボノール類 (約 15%)、プ 口アントシァ-ジン (約 50%)及びその他褐変物質 (約 10%)力もなることが確認でき た。更に、このプロシアジニン類は、マトリックス支援レーザーイオン化一飛行時間型 質量分析計 (MALDI— TOF/MS、アプライドバイォシステム社製)による解析の結 果、フラボノール類である力テキンゃェビカテキン力も構成される 2量体から 15量体 までのオリゴマーやポリマーであることが確認された。(M.Ohnishi— kameyama et al .Mass
Spectrometry, 11, 31,—36, 1997)
[0046] (試験例 1)プロシア-ジン類の測定
フィルター(0.8 μ m)で濾過した液体のリンゴリンゴ由来ポリフエノールを、高速液体 クロマトグラフ (日立社製、型式 L7000)を用い、逆相液体クロマトグラフ用パックドカ ラム ODS C18 (4.6mm φ X 250mm, GLサイエンス社製)に装着し、カラム温度 35°Cで グラジェント法により行った。移動相 A液はリン酸カリウム 10mmol/L含有の 10%メタノ ール水溶液、 B液はリン酸カリウムを 10mmol/L含有の 10%メタノール水溶液とし、試 料注入量は 20
μ L、 UV検出器波長は 280 nmの条件で行った。
[0047] (試験例 2)リンゴ由来ポリフ ノールのリパーゼ阻害作用
lmgZmLのブタ脾臓リパーゼ (脂質分解酵素)、水もしくは 8〜: LOOO /z gZmLリ ンゴ由来ポリフエノール水溶液、 0. ImM ォレイン酸メチルゥンベリフエロンを 1容: 1 容: 2容で混合し、室温で 60分間反応させた。 5容の 0. 1N 塩酸を加えた後、さらに 5容の 0. 1M クェン酸 3ナトリウムをカ卩え、励起 320nm、吸収 450nmの蛍光量を測 定してリパーゼ活性によりォレイン酸メチルゥンベリフエロン力 遊離した 4—メチルゥ ンべリフエロン量を算出した。製造例 1で得られたリンゴ由来ポリフエノールの添加に よる、 4ーメチルゥンベリフエロン遊離量の抑制率を以て、リパーゼ阻害率とした。
[0048] 製造例 1で得られたリンゴ由来ポリフエノール水溶液の添カ卩により、 4ーメチルゥン
ベリフエロンの遊離量はリンゴ由来ポリフエノールの濃度に依存して低下し、 IC50値 は 412 gZmLであった。リンゴ由来ポリフエノールにリパーゼ阻害活性が確認され た (表 1)。
[表 1]
表 1 . リンゴ由来ポリフエノ一ルのリパーゼ阻害活性 リンゴ由来ホ Ίフ Iノ-ル濃度 ( g mL) リパーゼ阻害率 (%)
16 3
31 6
63 11
125 19
250 34
500 56
1000 87
[0050] (試験例 3)リンゴ由来ポリフ ノールの中性脂肪代謝制御作用(動物)
20時間絶食した 7週齢の雄性 ddY系マウス(一群 9匹)から眼窩採血を行い、 10m LZkgのサラダ油を経口投与した後、直ちに lOmLZkgの水、もしくは 10% (wZv) のリンゴ由来ポリフエノール水溶液 (製造例 1)を経口投与した。 60分、 120分、 180 分後に再度眼窩採血を行い、血漿を分離して中性脂肪濃度を測定した。リンゴ由来 ポリフエノールの投与により、サラダ油負荷後の血漿中性脂肪値上昇が顕著に抑制 され、リンゴ由来ポリフ ノールに中性脂肪分吸収抑制作用が認められた (表 2)。
[0051] [表 2]
表 2 . 各試験群の血漿中性脂肪値 (mg dL)の推移
サラダ油負荷後の時間
0分 6 0分 1 2 0分 1 8 0分 水 96士 6 121 ± 16 145± 19 121 ±9
一 10%リンゴ由来ホ°リフ Iノ-ル 95±8 89±9 105± 19 88± 10
[0052] 使用したリンゴ由来ポリフエノール:
プロシア二ジン類 63. 8%
成分 2量体 11. 1%
3量体 12. 3%
4量体 8. 7%
5量体 5. 9%
6量体 4. 9%
7量体以上 20. 9%
総ポジフエノーノレ類 93. 5%
[0053] (比較例 1)錠剤
ラタトース 140gとコーンスターチ 17gとを混合し、この混合物をあらかじめコーンスタ ーチ 70gから調整したペーストとともに顆粒ィ匕した。得られた顆粒にステアリン酸マグ ネシゥム lgを加えてよく混合し、この混合物を打錠機にて打錠して錠剤 1000個を製 し 7こ。
[0054] (実施例 1)錠剤
製造例 1で得られたリンゴ由来ポリフエノール 150gとラタトース 90gとコーンスターチ 17gを混合し、この混合物をあら力じめコーンスターチ 70gから調整したペーストとと もに顆粒ィ匕した。得られた顆粒にステアリン酸マグネシウム lgをカ卩えてよく混合し、こ の混合物を打錠機にて打錠して錠剤 1000個を製造した。
使用したリンゴ由来ポリフエノール:
プロシア二ジン類 52. 0%
成分 2量体 13. 5%
31体 15. 1%
41体 5. 0%
51体 3. 4%
61体 2. 8%
71体以上 12. 1(
総ポジフエノーノレ類 91. 2%
(実施例 2)錠剤
製造例 1で得られたリンゴ由来ポリフエノール 60gとラタトース 90gとコーンスターチ 1 7gを混合し、この混合物をあら力じめコーンスターチ 70gから調整したペーストととも に顆粒ィ匕した。得られた顆粒にステアリン酸マグネシウム lgをカロえてよく混合し、この 混合物を打錠機にて打錠して錠剤 1000個を製造した。
使用したリンゴ由来ポリフエノール:
プロシア二ジン類 52. 0%
成分 2量体 13. 5%
31体 15. 1%
41体 5. 0%
51体 3. 4%
61体 2. 8%
71体以上 12. 1(
総ポジフエノーノレ類 91. 2%
[0056] (試験例 4)リンゴ由来ポリフ ノールの中性脂肪代謝制御作用(ヒト)
次に、臨床試験により、リンゴ由来ポリフ ノールの血清中性脂肪の代謝制御作用 を検討した。
[0057] 血清総中性脂肪が 150 mg/dL以下である健康な試験対象者 12名(20〜65歳の男) に試験食である錠剤 10個(対照群 (比較例 1、リンゴ由来ポリフエノール含量
0 mg)、投与群(実施例 1、リンゴ由来ポリフエノール含量 1500 mg)及び (実施例 2、リ ンゴ由来ポリフエノール含量 600mg) )を市販のコーンクリームポタージュスープ(「ス ジャータたっぷりコーンクリームポタージュ生」(商品名、名古屋製酪 (株)製、) 200g に雪印無塩バター (雪印乳業 (株)製) 17gと雪印ラード (雪印乳業 (株)製) 14gを添 加し、加温溶解した)とともに摂取させた。試験対象者の血清総中性脂肪値 (TG)を 測定した。投与群では血清総中性脂肪値 (TG)が低下した。その結果を図 1に示す。 図 1中、 Pは対照群、 A1500は実施例 1の錠剤の投与群(リンゴ由来ポリフエノール含 量 1500mg)、 A600は実施例 2の錠剤の投与群(リンゴ由来ポリフエノール含量 600mg) を表す。また、各種血液検査力も異常は認められな力つた。摂取期間中、問題となる ような訴えは全く見られな力つた。
[0058] (試験例 5)リンゴ由来ポリフ ノールの安全性試験
{ 14日間反復投与毒性試験 }
SD系ラット(日本チヤ一ルスリバ一)の雌雄を各 3匹に分け、リンゴ由来のポリフエノ ールを 2000、 3000 mg/kg量、胃ゾンデにて 14日間投与を行った。実験時の一般状態
、体重に異常は見られず、実験終了後の一般血液検査及び解剖所見も異常が見ら れなかった。
[0059] {90日間反復投与毒性試験 }
SD系ラット(日本チヤ一ルスリバ一)の雌雄を各 10匹に分け、リンゴ由来のポリフエノ ールを 500、 1000、 2000 mg/kg量、胃ゾンデにて 90日間投与を行った。実験時の一 般状態、体重に異常は見られず、実験終了後の一般血液検査及び解剖所見も異常 が見られなカゝつた。
[0060] {変異原性試験)
SD系ラット(日本チヤ一ルスリバ一)の雄性を 5匹に分け、リンゴ由来のポリフエノー ルを 500、 1000、 2000 mg/kg量、胃ゾンデにて投与を行った。一般状態、体重に異常 は見られず、小核をもつ多染性赤血球及び多染性赤血球の出現頻度において、陰 性対照群と比較して有意な差はなぐ小核誘発性は陰性であった。
[0061] (製造例 2)ゲル型合成樹脂によるホップ毬花力 の調製
ホップ毬花 20gを乳鉢で粉砕し、 2Lの水で攪拌下、 90°C、 40分間抽出した。ろ過 後、放冷し、抽出液を親水性ビュルポリマー榭脂 (東ソ一社製トヨパール HW40) 80 mLを充填したカラムに 2時間かけて通液し(SV=12. 5)、ついで 400mLの 5%ェ タノール水溶液で洗浄した。さらに同カラムに 80%エタノール水溶液 400mLを通液 し、同溶出液を回収し、凍結乾燥して無臭のかすかに苦味を呈した淡黄色の粉末 0 . 8gを得た。ホップ毬花からの収率は 4%であった。
[0062] (製造例 3)ゲル型合成樹脂によるホップ苞カ の調製
ホップ苞 20gを 600mLの 50%エタノール水溶液で攪拌下、 80°C、 40分間抽出し た。ろ過後、容積が 300mLになるまで減圧濃縮し、その濃縮液をスチレン—ジビ- ルベンゼン榭脂(三菱ィ匕学社製セパビーズ SP— 825) 80mLを充填したカラムに 1時 間かけて通液し(SV=3. 75)、ついで 400mLの水で洗浄した。さらに同カラムに 80 %エタノール水溶液 400mLを通液し、同溶出液を回収し、凍結乾燥して無臭のかす かに苦味を呈した淡黄色の粉末 1. 6gを得た。ホップ苞からの収率は 8%であった。
[0063] (製造例 4)限外ろ過膜によるホップ毬花力 の調製
ホップ毬花 20gを乳鉢で粉砕し、 2Lの水で攪拌下、 95°C、 40分間抽出した。ろ過
後、放冷し、抽出液を分画分子量が 50, 000の限外ろ過膜 (アミコン社製 XM50)に より、 98kPa、室温下、 20mLになるまで処理した。得られた上残り液を減圧乾固 し、無臭のかすかに苦味を呈した淡黄色の粉末 0. 2gを得た。ホップ毬花からの収率 は 1%であった。
[0064] (製造例 5)限外ろ過膜によるホップ苞からの調製
ホップ苞 20gを 600mLの 50%エタノール水溶液で攪拌下、 80。C、 40分間抽 出した。ろ過後、抽出液を分画分子量が 10, 000の限外ろ過膜 (アミコン社製 YM10 )により、 294kPa、室温下、 60mLになるまで処理した。得られた上残り液を凍結乾燥 して無臭のかすかに苦味を呈した淡黄色の粉末 0. 8gを得た。ホップ苞カもの収率 は 4%であった。
[0065] (製造例 6)ゲル型合成樹脂によるホップ苞カ の調製品のさらなる精製)
製造例 2 (ゲル型合成樹脂によるホップ苞カもの調製)で得たゲル型合成樹脂によ るホップ苞からの調製品 0. 8gを、 500mLの 10%エタノール水溶液に溶解し、分画 分子量が 10, 000の限外ろ過膜 (アミコン社製 YM 10)により、 98kPa、室温下、 20m Lになるまで処理した。得られた上残り液を凍結乾燥して無臭のかすかに苦味を呈し た淡黄色の粉末 0. 4gを得た。
[0066] (試験例 6)ホップ苞由来ポリフエノールの測定
フィルター(0.8 μ m)で濾過した液体のホップ苞抽出物を、高速液体クロマトグラフ( 日立社製、型式 L7000)を用い、逆相液体クロマトグラフ用パックドカラム ODS C18 (4.6mm X 250mm, GLサイエンス社製)に装着し、カラム温度 35°Cでグラジェン ト法により行った。移動相 A液はリン酸カリウム 10mmol/L含有の 10%メタノール水溶 液、 B液はリン酸カリウムを 10mmol/L含有の 10%メタノール水溶液とし、試料注入量 mO μ UV検出器波長は 280
nmの条件で行った。
[0067] (試験例 7)ホップ由来ポリフ ノールの中性脂肪低減作用(動物)
まず、ホップ由来ポリフ ノール単回投与による中性脂肪分吸収阻害作用を検討し た。 20時間絶食した 7週齢の雄性 ddY系マウス(一群 9匹)から眼窩採血を行い、 10 mLZkgのサラダ油を経口投与した後、直ちに lOmLZkgの水、 2% (wZv)ホップ
由来ポリフエノール水溶液、もしくは 10% (w/v)のホップ由来ポリフエノール水溶液 を経口投与した。 60分、 120分、 180分後に再度眼窩採血を行い、血漿を分離して 中性脂肪濃度を測定した。ホップ由来ポリフエノールの投与により、サラダ油負荷後 の血漿中性脂肪値上昇が顕著に抑制され、ホップ由来ポリフ ノールに脂肪分吸収 抑制作用が認められた (表 3)。
[0068] [表 3]
表 3. 各試難の血漿中性脂肪値 On^dL)の推移
サラダ油負荷後の時間
0分 6 0分 1 2 0分 1 8 0分 水 83± 10 102±24 184±32 184±48
2%ホップ由来ホ°リフ^ -ル 93士 Π 107±21 156±34 165±46
10%ホップ由来ホ°リフ Iノ-ル 87± 12 64±9 103±31 87± 18
[0069] (比較例 2)錠剤
ラタトース 140gとコーンスターチ 17gとを混合し、この混合物をあらかじめコーンスタ ーチ 70gから調整したペーストとともに顆粒ィ匕した。得られた顆粒にステアリン酸マグ ネシゥム lgを加えてよく混合し、この混合物を打錠機にて打錠して錠剤 1000個を製 し 7こ。
[0070] (実施例 3)錠剤
製造例 3で得られたホップ苞抽出物 30gとラタトース 90gとコーンスターチ 17gとを混 合し、この混合物をあら力じめコーンスターチ 70gから調整したペーストとともに顆粒 化した。得られた顆粒にステアリン酸マグネシウム lgを加えてよく混合し、この混合物 を打錠機にて打錠して錠剤 1000個を製造した。
使用したホップ苞ポリフエノール:
[0071] (実施例 4)錠剤
製造例 3で得られたホップ苞抽出物 60gとラタトース 90gとコーンスターチ 17gとを混 合し、この混合物をあら力じめコーンスターチ 70gから調整したペーストとともに顆粒 化した。得られた顆粒にステアリン酸マグネシウム lgを加えてよく混合し、この混合物 を打錠機にて打錠して錠剤 1000個を製造した。
[0072] (実施例 5)錠剤
製造例 3で得られたホップ苞抽出物 150gとラタトース 90gとコーンスターチ 17gとを
混合し、この混合物をあら力じめコーンスターチ 70gから調整したペーストとともに顆 粒化した。得られた顆粒にステアリン酸マグネシウム lgを加えてよく混合し、この混合 物を打錠機にて打錠して錠剤 1000個を製造した。
[0073] (試験例 8)ホップ由来ポリフ ノールの中性脂肪低減作用(ヒト)
次に、ホップ由来ポリフエノール単回摂取による中性脂肪吸収阻害作用を検討した 血清総中性脂肪が 150 mg/dL以下である健康な試験対象者 6名(20〜65歳の男) に試験食である錠剤 5個(対照群 (比較例 2、ホップ由来ポリフエノール含量
0 mg)、投与群(実施例 3、ホップ由来ポリフエノール含量 600 mg) )を市販のコーンク リームポタージュ
スープ(「スジャータたっぷりコーンクリームポタージュ生」(商品名、名古屋製酪 (株) 製) 200gに雪印無塩バター (雪印乳業 (株)製) 17gと雪印ラード (雪印乳業 (株)) 14 gを添加し、加温溶解した)とともに摂取させた。試験対象者の血清総中性脂肪値を 測定した。投与群では中性脂肪が低下した。その結果を図 2に示す。図 2中、 Pは 対照群、 H600は投与群 (ホップ由来ポリフエノール含量 600 mg)を表す。また、各種 JUL
液検査力も異常は認められな力つた。摂取期間中、問題となるような訴えは全く見ら れなかった。
[0074] (試験例 9)ホップ由来ポリフエノールの中性脂肪低減作用(ヒト)
さらに、ホップ由来ポリフエノール継続摂取による中性脂肪低減作用を検討した。
[0075] 血清中性脂肪が 150〜400 mg/dLである境界領域の試験対象者 56名(20〜69歳の 男女)に試験食である錠剤 (対照群 (比較例 1、製造例 3で調製したホップ苞抽出物 0 mg: 14名)、低用量群(実施例 3、製造例 3で調製したホップ苞抽出物 300 mg: 14名) 、中用量群(実施例 4、ホップ苞抽出物 600 mg: 14名)、高用量群(実施例 5、製造例 3で調製したホップ苞抽出物
1500 mg: 14名))を 1日 2回 4週間摂取させた。対照群では中性脂肪が上昇したのに 対し、投与群では用量依存的に値が低下した (表 4)。また、各種血液検査、尿検査 力も異常は認められな力つた。摂取期間中、問題となるような訴えは全く見られなか
つた o
[0076] [表 4]
[0077] (試験例 10)ホップ苞抽出物の安全性試験
{ 14日間反復投与毒性試験 }
SD系ラット(日本チヤ ルスリバ一)の雌雄を各 2匹に分け、製造例 5で調製したホッ プ苞抽出物を 2000 3000 mg/kg量、胃ゾンデにて 14日間投与を行った。実験時の 般状態、体重に異常は見られず、実験終了後の一般血液検査及び解剖所見も異常 が見られなカゝつた。
[0078] {28日間反復投与毒性試験)
SD系ラット(日本チヤ ルスリバ一)の雌雄を各 6匹に分け、製造例 5で調製したホッ プ苞抽出物を 500 1000 2000 mg/kg量、胃ゾンデにて 28日間投与を行った。実験 時の一般状態、体重に異常は見られず、実験終了後の一般血液検査及び解剖所見 も異常が見られな力つた。
[0079] {変異原性試験)
ICR系マウス(日本チヤ ルスリバ一)の雄性を 6匹に分け、製造例 5で調製したホッ プ苞抽出物を 500 1000 2000 mg/kg量、胃ゾンデにて投与を行った。一般状態、体 重に異常は見られず、小核をもつ多染性赤血球及び多染性赤血球の出現頻度にお いて、陰性対照群と比較して有意な差はなぐ小核誘発性は陰性であった。
産業上の利用可能性
[0080] リンゴ抽出物またはホップ苞抽出物を有効成分とする中性脂肪代謝制御剤は、副 作用が極めて少なく中性脂肪の吸収を抑制することができるので、本発明は有用で ある。
[0081] また、上記の中性脂肪代謝制御剤を有効成分として含有する飲食品、食品添加物
及び医薬は、副作用が極めて少なく中性脂肪の吸収を抑制することができるので、 本発明は有用である。