明 細 書
鉄塔の基礎構造
技術分野
[0001] 本発明は、地盤中に打設した複数の杭体と、鉄塔の主脚柱とをコンクリート構造体 を介して接合した鉄塔の基礎構造に関する。
背景技術
[0002] 前記鉄塔の主脚柱を支持する基礎構造として、比較的支持層が深い場合には、図 6に示されるように、地盤に比較的口径の小さい複数の杭体 50, 50· ··を打設した後 、これら杭体 50, 50…の頂部と連結するように鉄筋コンクリートによってフーチング 5 1を造成し、このフーチング 51と鉄塔の主脚柱 52とを接続する方式が一般的となつ て ヽる(下記特許文献 1等参照)。
[0003] また、前記フーチング 51と主脚柱 52との定着構造に関しては、大別すると、ボルト 定着方式、いかり材定着方式、支圧板定着方式などが存在する。ボルト定着方式は 、図 6に示されるように、主脚柱 52の底面に設けられたベースプレート 53を複数本の アンカーボルト 54, 54…によって定着する方式であり、前記いかり材定着方式は、図 7(A)〜(: C)に示されるように、フーチング 51に埋設される主脚柱の下部周面に取付板 56を溶接等によって固設し、この取付板 56を挟んで左右対のアングル 57, 57をボ ルト接合したものを周囲に複数箇所設けた定着方式であり、前記支圧板定着方式は 、図 8に示されるように、フーチング 51に埋設される主脚柱 52の底面及び Z又は外 面に外方に突出するように設けたリング状等の支圧板 58, 58· ··によって定着する方 式である。
一方、フーチングと杭頭部との接合方式は、図 9(A)に示されるように、フーチング 5 1内に没入させた杭頭部の外面に、外方に突出するように設けたリング状等の支圧 板 59, 59· ··によって定着する支圧板接合方式や、図 9(B)に示されるように、杭頭部 とフーチング 51とに跨るように複数本の鉄筋 60, 60· ··を配設して接合する鉄筋接合 方式などが採用されている。
[0004] 一方で、基礎構造の簡略ィ匕を図るために、下記特許文献 2では、下端に杭径より大
径な掘削羽根を有する回転圧入用鋼管杭 70、 70· ··を、地中に斜め方向に圧入して 設置し、回転圧入用鋼管杭 70、 70· ··の上端に鉄塔脚部 71の下端部に連結固定し てなる鉄塔基礎構造において、地中に斜め方向に設置された回転圧入用鋼管杭 70 と上方に伸びる鉄塔脚部 71とが直線状になるように構成した鉄塔用基礎構造が提 案されている。
特許文献 1:特開平 9 3882号公報
特許文献 2 :特開 2003— 166254号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0005] 前記送電用鉄塔の基礎にお!、ては、図 11に示されるように、鉄塔の自重、電線の 自重の影響よりも、電線の延線張力や、台風や季節風などによる風荷重の影響を強 く受けることになる。その結果、転倒モーメントが他の要因による全圧縮荷重に比べ て大きくなるため、風下側の鉄塔脚部には圧縮加重が作用する一方で、風上側の鉄 塔脚部には圧縮荷重 (押込み力)の約 7割に及ぶ引揚荷重(引抜き力)が作用する。 また、前記押込み力と引抜き力による偶力によって曲げモーメントが作用するとともに 、水平力が作用することになる。
[0006] 従って、鉄塔脚部を支持する基礎 (フーチング)では、図 12に示されるように、主脚 柱 52とフーチング 51の定着部において、フーチングが浅くなり過ぎると、主脚柱 52 の基部を中心としたコーン状の剪断ひび割れ 61が発生し定着部破壊を引き起こすこ とがある。また、図 13に示されるように、杭体 50がフーチング 51の外縁に近すぎる場 合には定着部から外側に割裂ひび割れ状の剪断ひび割れ 62, 62· ··が発生し、定 着部破壊が起こることがある。さらに、フーチングが薄くなり過ぎると、同図に示される ように、杭体 50を中心としてコーン状の剪断ひび割れ 61が発生することがあるなどの 問題があった。
従って、これらの押込み力、引抜き力、曲げモーメント、水平力に対して十分な耐カ を有し、ひび割れを起こさないようにフーチング 51を設計すると、フーチング規模が 大型化してしまうとともに、フーチングが大規模となった分、掘削量が多くなるとともに 、コンクリート打設量が多くなるなどの問題も発生し、施工に多くの時間と手間が掛か
つていた。
[0007] 一方、前記特許文献 2記載の基礎構造の場合は、フーチングを有しな ヽため、前 述した問題点が解消されるようになるけれども、大口径の鋼管杭 70を地盤中に打設 するためには大型の重機類が必要となり、特に山岳地帯での鉄塔基礎の構築には 採用することができない、或いは困難であるなどの問題があった。
[0008] そこで本発明の主たる課題は、地盤中に比較的口径の小さい杭体を複数設置した 基礎構造形式において、基礎の小規模ィ匕を可能とすることにより、施工時間の短縮、 掘削量の低減、コンクリート打設量の縮小などを図った鉄塔の基礎構造を提供するこ とにある。
課題を解決するための手段
[0009] 前記課題を解決するために請求項 1に係る本発明として、地盤中に打設された複 数本の杭体と、鉄塔の主脚柱とをコンクリート構造体を介して接合した鉄塔の基礎構 造において、
前記コンクリート構造体は、内壁面に、周方向に沿って固設されたズレ止め用リブを 上下方向に複数段に亘つて有する鋼管内にコンクリートを打設することによって造成 された構造体とし、前記コンクリート構造体の下部側に、前記地盤中に打設された複 数本の杭体の頂部が接合され、かつ前記鉄塔主脚柱の下部に定着部材が設けられ
、前記定着部材が設けられた主脚柱部分が前記コンクリート構造体に埋設されてい ることを特徴とする鉄塔の基礎構造が提供される。
[0010] 上記請求項 1記載の本発明においては、先ず地盤中に打設された複数本の杭体と
、鉄塔の主脚柱とを接合するコンクリート構造体として、内壁面に、周方向に沿って固 設されたズレ止め用リブを上下方向に複数段に亘つて有する鋼管内にコンクリートを 打設することによって造成された構造体とする。
従来は、鉄塔主脚柱の定着部の設計は、コンクリートの許容引張応力度や許容剪 断応力度に基づいた定着耐カにより補強が成されていたが、安全性の検知力 十分 でないと予測される場合があり、一層の定着耐カ向上のために、経験則に基づく補 強が成されていたため、過剰補強が成されることがあった。本出願人はこのような状 況に鑑み、効率的な基礎の設計及び補強について鋭意検討を行った結果、特開 20
00-345571号公報において開示するように、主脚柱に継続的な応力が作用すると、コ ンクリートに水平のひび割れや垂直のひび割れ (割裂ひび割れ)が発生する。そして 、支圧定着方式の場合には、前記割裂ひび割れの発生による影響を大きく受け、こ の割裂ひび割れが発生した時は、その内の一つでも基礎表面にまで至ると破壊が生 じるとの知見を得るに至った。なお、本願発明者等は、割裂ひび割れに直交する方 向、すなわち主脚柱の周方向を鋼管により補強し、コンクリートの拘束を向上させて 割裂破壊を抑制することにより、定着耐カを飛躍的に向上できることを十数体の模型 実験や数値解析から得て!ヽる。
[0011] 従って、割裂ひび割れをできる限り抑制することができれば、定着耐力が向上し、 接合部 (基礎部分)が縮小化できるとの考えの下、上記構造のコンクリート構造体とし 、その下部側に、前記地盤中に打設された複数本の杭体の頂部が接合され、かつ前 記鉄塔主脚柱の下部に定着部材が設けられ、前記定着部材が設けられた主脚柱部 分が前記コンクリート構造体に埋設されている基礎構造とした。
[0012] その結果、前記鋼管が打設されたコンクリートを外部 (周囲)から拘束することにより 割裂ひび割れが防止され、コンクリート構造体の定着耐カを大幅に向上できるように なるとともに、杭体は鋼管内の内壁面近傍に近接して配置することができるようになる ため、コンクリート構造体の規模を大幅に縮小化できるようになる。また、コンクリート 構造体の規模を縮小化できることにより、施工時間の短縮、掘削量の低減、コンクリ 一ト打設量の縮小などが図れるようになる。
[0013] さらに、前記鋼管とコンクリートとからなるコンクリート構造体とすることにより、複数本 の杭を容易に設置することが可能であるとともに、主杭や副杭の施工誤差を容易に 吸収することが可能になる。
[0014] 請求項 2に係る本発明として、前記複数本の杭体は、口径力 00 φ mm以下又は口 径が前記鋼管径の 1Z6以下の小口径杭とする請求項 1記載の鉄塔の基礎構造が 提供される。杭体としては、大口径杭よりも口径が 400 φ mm以下又は口径が前記鋼 管径の 1Z6以下の小口径杭を複数本、好ましくは 4〜6本程度配置するのが望まし い。特に山岳地帯では大型重機を持ち込めないため、小型の削孔機械によって小 口径杭を必要本数だけ地盤に造成するのがよい。小口径杭としては、詳細には後述
するが、場所打ち杭や鋼管杭などとすることができる。
[0015] 請求項 3に係る本発明として、前記ズレ止め用リブは、前記鉄塔主脚柱の支圧板配 設部位を境に、その上部側及び下部側に夫々配設してある請求項 1、 2いずれかに 記載の鉄塔の基礎構造が提供される。
[0016] 上記請求項 3記載の本発明においては、前記ズレ止め用リブは、前記鉄塔主脚柱 の埋設部の支圧板配設部位を境に、その上部側及び下部側に夫々配設するように するものである。コンクリート構造体に作用する主脚柱力 の荷重は、風荷重や地震 荷重の方向によって押込み力、引抜き力の双方のケースがあるため、これらの荷重 の両者に対して、前記ズレ止め用リブを効果的に機能させるには、支圧板配設部位 を境に、その上部側及び下部側に夫々配設するようにするのが良い。
[0017] 請求項 4に係る本発明として、前記コンクリート構造体は、その大部分が地盤に埋 設されている請求項 1〜3いずれかに記載の鉄塔の基礎構造が提供される。
[0018] 前記コンクリート構造体は、地上に載置するような形態で築造することもできるが、 基礎の変位などを抑制するにはフーチングを同様に、地中に埋設し土圧抵抗によつ て変位を抑制し得る状態で築造するのが望まし 、。
[0019] 請求項 5に係る本発明として、前記鉄塔主脚柱の径を φ、前記鉄塔主脚柱におけ る支圧板の配設区間長を L、前記鋼管の内径を Dとするとき、 L/ Φ =2〜5であり、 かつ DZ Φ =2〜: LOの条件を満足している請求項 1〜4いずれかに記載の鉄塔の基 礎構造が提供される。
[0020] 請求項 6に係る本発明として、前記コンクリート構造体の鋼管周壁部より斜め下方 向に沿って打設された斜杭を備える請求項 1〜5 ヽずれかに記載の鉄塔の基礎構造 が提供される。
[0021] 上記請求項 6記載の本発明においては、前記コンクリート構造体の鋼管周壁部より 斜め下方向に向けて打設された斜杭を備えるようにするものである。斜杭を設けるこ とにより、特に引抜き耐カを大幅に向上できるようになる。
[0022] 請求項 7に係る本発明として、前記隣接する鉄塔主脚柱のコンクリート構造体同士 を連結する連結梁を備える請求項 1〜5いずれかに記載の鉄塔の基礎構造が提供さ れる。
上記請求項 7記載の本発明においては、隣接する鉄塔主脚柱のコンクリート構造 体同士を結合する連結梁を設けるようにするものである。コンクリート構造体を連結梁 で連結しておくことにより、基礎の変位を大幅に抑制することが可能となる。
[0023] 請求項 8に係る本発明として、前記鉄塔主脚柱の本数を 2乃至 4本とする請求項 1 〜5いずれかに記載の鉄塔の基礎構造が提供される。大きな鋼管柱の代わりに、トラ ス構造の支柱を 2乃至 4本有する上部構造にも使用することができ、小さな規模の鉄 塔の場合は、 1つの前記鋼管の中に 4本の主脚柱をすベて定着することができる。 発明の効果
[0024] 以上詳説のとおり本発明によれば、地盤中に比較的口径の小さい杭体を複数設置 した基礎構造形式において、コンクリート構造体として、内壁面に、周方向に沿って 固設されたズレ止め用リブを上下方向に複数段に亘つて有する鋼管内にコンクリート を打設することによって造成された構造体を採用するため、定着耐カを飛躍的に向 上させることができ、基礎部分を小規模ィ匕できるようになる。その結果、施工時間の短 縮、掘削量の低減、コンクリート打設量の縮小などを図り得るようになる。
発明を実施するための最良の形態
[0025] 以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
〔第 1形態例〕
図 1に示されるように、本発明に係る鉄塔基礎構造は、地盤中に打設された複数本 の杭体 1, 1…と、鉄塔の主脚柱 2とをコンクリート構造体 3を介して接合するに当たり 、前記コンクリート構造体 3として、内壁面に、周方向に沿って固設されたズレ止め用 リブ 4, 4…を上下方向に複数段に亘つて有する鋼管 5内にコンクリート 6を打設するこ とによって造成された構造体とし、前記コンクリート構造体 3の下部側に、前記地盤中 に打設された複数本の杭体 1, 1…の頂部が接合され、かつ前記鉄塔主脚柱 2の下 部外面に複数段に亘り支圧板 7, 7…が設けられ、前記支圧板 7, 7…が配設された 主脚柱部分 Kが前記コンクリート構造体 3に埋設されている構造とするものである。
[0026] 以下、より具体的に詳述すると、
前記コンクリート構造体 3としては、例えば径が 1000〜5000mm程度、厚みは約 2 0〜30mm程度の厚肉鋼管が好適に使用される。内壁面に固設されるズレ止め用リ
ブ 4, 4…としては、打設されるコンクリート 6との間で確実に滑りを防止し得る突起形 状であれば如何なる断面形状のものであってもよい。例えば、図 5(A)に示されるよう に、鉄筋 Z鋼棒 4aを鋼管 5の内壁面に沿って溶接によって固設してもよいし、図 5(B) に示されるように、角鋼材 4bを用いても良いし、図 5(C)に示されるようにフラットバー 4 cなどを用いてもよい。
[0027] なお、図示の例では前記鋼管 5として、鋼製の円形管としたが、角管や多角形管な どの鋼製管を用いることもできる。また、前記コンクリート構造体 3は、地上に載置する ような形態で築造することもできるが、土圧抵抗による変位量の低減を図るため、大 部分が地盤に埋設されて!ヽる状態で築造するのが望ま Uヽ。
前記主脚柱 2には、前述したように、風荷重等の方向によって、押込み力又は引抜 き力の双方が作用することになるため、押込み力と引抜き力との両者に対応可能とす るため、前記ズレ止め用リブ 4は、前記鉄塔主脚柱 2の支圧板配設部位 Kを境に、そ の上部側及び下部側のそれぞれに配設するようにするのが望ましい。実際には、前 記鋼管 5の上下方向にほぼ均等の間隔で配置するのが望ましい。
[0028] 前記主脚柱 2は、その下部外面に複数段に亘り、図示例では 3段に亘り支圧板 7, 7…が設けられ、この支圧板配設部位 Kが前記コンクリート構造体 3のほぼ中央に位 置するように、コンクリート構造体 3に埋設されている。前記主脚柱 2の断面寸法は特 に限定はないが、概ね 300〜3000mm程度とされる。前記支圧板 7としては、リング 板を前記主脚柱 2の周囲に溶接等によって固設した構造としたが、支圧板 7の平面 形状は多角形状等であってもよい。また、本形態例では、前記主脚柱 2の定着方式と して支圧板方式を採用したが、図 7に示される、いかり材定着方式を採用することもで きる。
[0029] さらに、図示例では鉄塔主脚柱 2として、鋼管柱の例を示したが、主脚柱 2としては 例えば、山形鋼とすることもでき、また、図 4に示されるように、主脚柱 2の数を 2乃至 4 本とし、これらを複数の斜材 2a、 2a…で連結した組立て柱 2'などを対象とすることも できる。
[0030] 前記杭体 1としては、杭種は問わず、鋼管杭、場所打ち杭、或いは既製杭などのい ずれ力とすることができる。前記杭体 1は、前記鋼管 5内に少なくとも 2本以上、好まし
くは 4〜6本程度均等配置できる径とすることが望ましいが、好ましくは施工性の点か ら、口径カ S400 φ mm以下又は口径が前記鋼管 5の径の 1Z6以下の小口径杭とする のが望ましい。前記小口径杭の施工は、例えば削孔により地盤中に穿孔を行ったな らば、この穿孔内に鋼管又は既製杭を挿入し、周囲にグラウト材又はコンクリート、高 流動性コンクリートなどの固化材を充填し固定するようにしてもよいし、穿孔内に組立 筋を挿入し、コンクリート又は高流動性コンクリートを充填することにより場所打ち杭と して造成したものとすることができる。前記地盤の穿孔は、地盤が弱い場合にはロー タリー式などを用い、岩盤か途中に岩盤層が介在するような地盤の場合には回転打 撃式のダウンザホールノ、ンマー(商標名)などを好適に使用することができる。
[0031] 前記杭体 1とコンクリート構造物 3との接合は、図示例では両者間に跨る定着鉄筋 8 , 8…を配設する鉄筋定着方式を採用しているが、鋼管杭の場合にはコンクリート構 造体 3内に挿入した杭頭部の外面に、外方に突出するように設けたリング状等の支 圧板によって定着を図る支圧板接合方式を採用してもよい。
[0032] 以上詳述した基礎構造の施工は、先ず最初に、コンクリート構造体 3の施工部を地 盤掘削したならば鋼管 5を設置し、次いで杭体 1, 1…のための穿孔を行い杭体 1、 1 …を地盤中に造成する。その後、定着筋 8, 8…を設置するとともに、主脚柱 2の基部 を鋼管 5内の所定の位置に位置決めし、仮固定部材(図示せず)によって固定を図る とともに、鋼管 5内に所定の鉄筋を配筋し、すべての配筋作業を終えたならば、コンク リートを打設する。
[0033] 〔第 2形態例〕
次いで、図 2に示される第 2形態例に係る基礎構造は、前記コンクリート構造体 3の 鋼管 5周壁部より斜め下方向に向けて打設された斜杭 10を設けるものである。斜杭 1 0をコンクリート構造体 3に対して一体的に備えることにより、押込み力の向上はもちろ んであるが、それ以上に引抜き耐カを大幅に向上できるようになる。なお、前記斜杭 10は図示例は 1本とした力 複数設けるようにしてもよい。
施工は、先ず最初に、コンクリート構造体 3の施工部を地盤掘削したならば、掘削部 の壁面より穿孔を行い斜杭 10を打設した後、鋼管 5を設置する。鋼管 5の壁面には、 予め前記斜杭 10との一体ィ匕を図るために定着筋 11の挿入口 5aが形成されている。
[0034] 次いで、杭体 1, 1…のための穿孔を行い杭体 1、 1…を地盤中に造成する。その後 、定着筋 8, 8…を設置するとともに、主脚柱 2の基部を鋼管 5内の所定の位置に位置 決めし、仮固定部材(図示せず)によって固定するとともに、鋼管 5内に所定の鉄筋を 配筋し、かつ鋼管 5の挿入口 5aから定着筋 11を挿入し、すべての配筋作業を終えた ならば、コンクリートを打設する。
また、前記鋼管 5の挿入口 5aの外側部分にも、コンクリートを打設し、斜杭 10の頭 部を固定し、コンクリート構造体 3との一体ィ匕を図るようにする。
[0035] 〔第 3形態例〕
次いで、図 3に示される第 3形態例に係る基礎構造は、隣接する鉄塔主脚柱 2のコ ンクリート構造体 3, 3同士を結合するように連結梁 12を設けるものである。コンクリー ト構造体 3, 3を連結梁 12によって相互に連結することにより、基礎の変位を大幅に 抑制できるようになる。
[0036] 施工は、先ず最初に、コンクリート構造体 3の施工部を地盤掘削したならば、掘削部 の壁面より水平穿孔を行い連結梁 12を設置するための通孔を形成するか、比較的 浅い場合にはオープン掘削により連結梁設置部分に溝を形成し、連結梁 12を造成 した後、鋼管 5を設置する。なお、鋼管 5の壁面には、予め前記連結梁 12との一体化 を図るために定着筋 11の挿入口 5aが形成されて 、る。
[0037] 次いで、杭体 1, 1…のための穿孔を行い杭体 1、 1…を地盤中に造成する。その後 、定着筋 8, 8…を設置するとともに、主脚柱 2の基部を鋼管 5内の所定の位置に位置 決めし、仮固定部材(図示せず)によって固定するとともに、鋼管 5内に所定の鉄筋を 配筋し、かつ鋼管 5の挿入口 5aから定着筋 11を挿入し、すべての配筋作業を終えた ならば、コンクリートを打設する。
[0038] また、前記鋼管 5の挿入口 5aの外側部分にも、コンクリートを打設し、連結梁 12の 端部を固定し、コンクリート構造体 3との一体ィ匕を図るようにする。
[0039] 〔本定着方式による定着耐力の設計〕
次に、本発明に係る鉄塔基礎の設計方法につ!、て説明する。
この設計方法は、割裂破壊を防止した上での破壊形態 (鋼管 5の降伏耐カ、支圧 板周囲のコンクリートの付着耐カ、ズレ止め用リブ 4の耐力)を終局耐カとしているた
め合理的な設計となる。
本接合方式による定着耐力の設計は、以下の事項を考慮し、下記に示す式に基づ いて設計することができる。
(1)コンクリートを拘束する前記鋼管 5の降伏耐カ(応力)は、次式 (1)にて決定する。
[数 1]
^ P · tan Θ f
— · · · ( 1 )
· π · τ · i γ I · γ c f :拘束する鋼管の許容引張応力度
p :設計鉛直荷重
t :拘束する鋼管の肉厚
:定着長 (支圧板最上段と最下段の間隔)
Θ :支圧板からコンクリートに伝達される支圧力の方向
Ύ ι :ずれ止めの施工条件に関する鋼管の強度低下係数
Y e :杭の施工誤差による偏芯に関する係数
(2)支圧板 7周囲のコンクリート付着耐カ (応力度)は、次式 (2)によって決定する。
[数 2] て = τ^≤ て ' ' ' ( 2 )
Ρ :設計鉛直荷重
Us :支圧板周囲の付着せん断周長
ί ι :定着長 (支圧板最上段と最下段の間隔)
て :鋼管で拘束されたコンクリートの許容付着応力度
(3)前記ズレ止め用リブ 4の耐カを検討するために、ズレ止め用リブ 4の溶接部のせん 断応力度は次式 (3)にて決定する。
[数 3]
P sh
sh < ( 3 )
nr,h - w - π · (D-2t) :設計鉛直荷重
て :溶接部の許容せん断応力度
nrib :ずれ止めの本数
W : 溶接部の脚長
D :拘束する鋼管の外径
t :拘束する鋼管の肉厚
y 2 :ずれ止めの施工条件による溶接部の強度低下係数
K :ずれ止めの応力のばらつきを考慮する係数
(4)前記ズレ止め用リブ 4に接するコンクリートの支圧応力度は、次式 (4)にて決定する 画
_
σ ca :コンクリートの許容支圧応力度
n„b :ずれ止めの本数
D :拘束する鋼管の外径
t :拘束する鋼管の肉厚
drib :ずれ止めの出幅
a : 2軸で拘束されたコンクリートの許容支圧応力度の割増係数 κ :ずれ止めの応力のばらつきを考慮する係数
(5)前記ズレ止め用リブ 4の内周に接するコンクリートのせん断応力度は、次式 (5)にて 決定する。
P :設計鉛直荷重
τ ha :鋼管で拘束されたコンクリートの許容付着応力度
D :拘束する鋼管の外径
t :拘束する鋼管の肉厚
dr,b :ずれ止めの出幅
£ rib :ずれ止めの設置幅 図面の簡単な説明
[図 1]第 1形態例に係る鉄塔の基礎構造を示す、(A)は縦断面図、(B)は横断面図であ る。
[図 2]第 2形態例に係る鉄塔の基礎構造を示す、 (A)は縦断面図、(B)は右側面図、 (C )は横断面図である。
[図 3]第 3形態例に係る鉄塔の基礎構造を示す縦断面図である。
[図 4]主脚柱 2の変形例を示す縦断面図である。
[図 5]ズレ止め用リブ 4の形態例図 (A)〜(C)である。
[図 6]従来の鉄塔の基礎構造を示す、(A)は縦断面図、(B)は横断面図である。
[図 7]主脚柱 52のいかり材定着方式を示す、(A)はフーチング縦断面図、(B)はいかり 材の平面図、(C)はいかり材の側面図である。
[図 8]主脚柱 52の支圧板定着方式を示す、(A)は縦断面図、(B)は横断面図である。
[図 9](A)は杭体 50の支圧板定着方式を示す図であり、(B)は鉄筋定着方式を示す図 である。
[図 10]従来例に係る簡易な鉄塔の基礎構造を示す側面図である。
[図 11]鉄塔基礎に対する風荷重による外力作用状態図である。
[図 12]フーチングの破壊形態 (その 1)を示す図である。
[図 13]フーチングの破壊形態 (その 2)を示す図である。
符号の説明
1···杭体、 2···主脚柱、 3···コンクリート構造体、 4.4a〜4c…ズレ止め用リブ、 5··· 鋼管、 6···コンクリート、 7…支圧板、 8· 11···定着筋、 10…斜杭、 12…連結梁