WO2006008831A1

WO2006008831A1 - 介護用衣服

Info

Publication number: WO2006008831A1
Application number: PCT/JP2004/010832
Authority: WO
Inventors: Kiyo Sasamori
Original assignee: Heart Care Service, Inc.
Priority date: 2004-07-22
Filing date: 2004-07-29
Publication date: 2006-01-26
Also published as: JP2006037242A

Abstract

　手先の不自由な被介護者が、手を使わなくても衣服の着脱を容易に行うことできる介護用衣服がないという課題があった。　課題を解決するための手段として、打合せ部の一方を磁性繊維、もう一方を永久磁石とし、磁力により打合せ部を付着する。このようにすることで、片側の打合せ部に取り付けられた永久磁石をもう片側の磁性繊維のどこに当てても打合せ部を接合することができるため、手先の不自由な被介護者にとっては、より容易に衣服の着脱を行うことが可能となる。

Description

明細書

介護用衣服

技術分野

[0001] 本発明は、衣服の打合せ部に磁性体を含んだ繊維を用いることにより、着脱を容易に行うことができる介護用衣服に関する。

背景技術

[0002] 手先の不自由な老人や身体障害者などの被介護者のため、着脱容易な介護用衣服が必要とされている。従来のように、打合せ部にボタンやファスナーを使用する場合、手先の不自由な被介護者には細かい作業が行えず、衣服の着脱が困難であつた。この問題を解決するため、特許文献 1のように衣服の打合せ部を永久磁石により接合することで、着脱を容易にするという方法が考えられている。この方法では、永久磁石をプラスチック磁石とし、片側に凸部、もう片側に凹部の構造を設けることにより、両者を合わせることを容易にし、結果として着脱動作を容易にすることができる。特許文献 1 :特開平 8-13211

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0003] しかし、永久磁石を用いることによつても、凸部と凹部とを合わせる手間がかかり、なお着脱を行うのに困難さが残った。また永久磁石の面積が小さいため、両打合せ部の永久磁石を合わせるのは手先の不自由な被介護者には手間がかかる。被介護者には両手がほとんど使えないという場合も想定されるため、手を使わずに衣服の着脱が行えるような形態がより好ましい。

課題を解決するための手段

[0004] 上記課題を解決するため、請求項 1では磁性体を含む繊維 (磁性繊維）を利用して織られた一方の打合せ部と、永久磁石を配置した他方の打合せ部と、を有する介護用衣服を提供する。このようにすることで、片側の打合せ部に取り付けられた永久磁石をもう片側の磁性繊維のどこに当てても打合せ部を接合することができる。本発明の介護用衣服を用いれば、両手を使わなくても、衣服を机や壁に押し付けるだけで容易に着脱が行える。

[0005] 請求項 2では、片側の打合せ部の全体が磁性繊維から成り、もう片側には永久磁石が取り付けられた介護用衣服を提供する。片側の打合せ部の全体を磁性繊維とすることで、衣服の着脱をより容易に行うことができる。

[0006] 請求項 3では、磁性繊維と永久磁石の付着力が、介護用衣服の打合せ部を壁に押し付ける程度で衣服の着脱が可能となる程度である介護用衣服を提供する。手先の不自由な被介護者が自力で衣服の着脱を行うためには、磁性繊維と永久磁石の付着力が、壁に押し付けて打合せ部が外れる程度でなければならない。

[0007] 請求項 4では、その付着力力 Sl.O X 10³ 1.0 X 10⁴N/m²の範囲とした介護用衣服を提供する。この付着力は大気圧の 10分の 1から 100分の 1の範囲である。付着力力 Sこの程度の大きさであれば、打合せ部を壁に押し付けて外すことができる。

[0008] 請求項 5では、磁性体が有機材料中に分散された介護用衣服を提供する。このようにすることで、介護用衣服が雨、汗、洗濯などで濡れた場合でも繊維に含まれた磁性体が水と触れることがなくなり、磁性体の鲭を防止することができる。

発明の効果

[0009] 本発明によれば、手先の不自由な被介護者が衣服の着脱を容易に行うことができる。特に本発明は、打合せ部を磁力で付着するため、被介護者が手を使わなくても壁等に押し付けるだけで衣服の着脱を行うことができる。

発明を実施するための最良の形態

[0010] 図 1は本発明の概念を表した図である。従来の介護用衣服では、ボタンの留め外しに、手を使わなければならず、手先の不自由な被介護者にとっては自力で衣服の着脱が行えず被介護者の自立を促すことができなかった（図 1(a))。一方、本発明は衣月 Sのボタンではなぐ重ねあわせ部（打合せ部）を磁力により付着しているため、衣服の着脱を、手を使わずに固形物、例えば壁、机の端、床に押し付けて擦り合わせるだけで行うことができる。そのため、衣服の着脱において介護者を必要とせず、手先の不自由な被介護者の自立には好ましレ、形態であるとレ、える。

[0011] 以下に本発明の具体的な実施形態の一例を示す。

[0012] くく実施形態 1〉〉図 2に本実施形態における介護用衣服を示す。片側の打ち合せ部は、ディスク状永久磁石が取り付けられ、もう一方の打合せ部は、ディスク状永久磁石に対応する位置周辺が軟磁性体の性質を持つ磁性繊維により構成される。ここで軟磁性体とは磁場が存在するときに限り磁石としての性質を示す磁性体のことを表す。一方磁場が存在しなくても磁石としての性質を示す磁性体を硬磁性体という。図 3のように磁性繊維の構成としては、例えば、有機材料中に磁性粉を均一に分散させたものがある。このような構成にすることで、介護用衣服を洗濯するとき、あるいは雨や汗で介護用衣服が濡れるときなどでも、磁性繊維に含まれる磁性体に水分が付着し、磁性体が劣化することを避けること力 Sできる。磁性繊維を構成する有機材料としては、ポリエステル、ナイロン、木綿、ゴムなどが挙げられる。磁性繊維に含まれる磁性粉としては、鉄、鉄合金、 MnZnフヱライト、 NiZnフヱライトなどの軟磁性体が挙げられる。また磁性繊維は、磁性体を糸状に伸ばしたものでも良レ、。

[0013] 本発明における介護用衣服は、手先の不自由な被介護者が打合せ部を壁に押し付ける程度で打合せ部を外すことができることを特徴とする。そのためには打合せ部の磁力による付着力力 S1.0 X 10³— 1.0 X 10⁴N/m²の範囲であるのが好ましい。付着力がこれより大きいと、手を使わなければ衣服の着脱を行うことができないし、付着力力 Sこれより小さいと打合せ部が外れやすくなる。

[0014] くく実施形態 2〉〉

図 4に本実施形態における介護用衣服を示す。片側の打合せ部は、ディスク状永久磁石が取り付けられ、もう一方の打合せ部は、全体が軟磁性体の性質を持つ磁性繊維により構成される。このようにすることで、ディスク状永久磁石を、対応する磁性体の正確な位置に重ね合わせる必要がなくなるため、手先の不自由な被介護者が打合せ部を付着させることがより容易になる。このように打合せ部の全体が磁性体で構成されている場合の磁性体の幅は 2cm程度から 5cm程度であることが望ましい。これより狭い場合には、例えば、手先の不自由な被介護者が自ら付着をすることが困難となったり、また、付着面積が小さいために付着力が弱まってしまうからである。これより広い場合には、例えば、風などで衣服が揺れた際に意図していない箇所に打合せ部が付着してしまうため、衣服としての実用性が乏しくなってしまうからである。 [0015] ディスク状永久磁石の取り付け形態としては、衣服の表面部分に取り付けられていてもよいし、裏面部分に取り付けられていてもよい。打合せ部を重ね合わせた際に、表面部分にディスク状永久磁石の部分が突き出す形態の場合には、ディスク状永久磁石の部分を机や床などの固形物にひっかけることが可能なため、手先の不自由な被介護者が容易に脱衣することができる。

[0016] くく実施形態 3〉〉

図 5に本実施形態における介護用衣服の他の実施形態を示す。片側の打ち合わせ部は、軟磁性体としての性質を示す磁性繊維から成り、もう片側の打合せ部は硬磁性体としての性質を示す磁性繊維から成る。軟磁性体としての性質を示す磁性繊維は実施形態 1と同様である。硬磁性体としての性質しての性質を示す磁性繊維は、フェライト、サマリウム磁石、ネオジゥム磁石などの硬磁性体の粉末を有機材料中に分散させたものが好ましい。打合せ部を両方とも磁性繊維とすることで、衣服が軽くなり、またディスク状永久磁石を用いる場合と異なり、磁性体が濡れて劣化するという恐れもなレ、。ここで、硬磁性体の粉末を有機材料中に分散させる場合には、磁極を同一方法に配向させる必要がある。配向させる方法の一例としては、予め硬磁性体の粉末の磁極を統一に配向しておき、当該状態を保ったまま有機材料中に分散させる方法や、あるいは、硬磁性体の粉末を有機材料に分散させた後に、外部から磁界を加えて磁化する方法がある。更には、磁性繊維を衣服に縫い込んだ後に外部から磁界をカ卩えて磁化する方法もある。各種手間を考慮すると、配向させるタイミングとしては、硬磁性体の粉末を有機材料中に分散させた後に磁化することが望ましい。

[0017] くく実施形態 4〉〉

図 6は本発明における介護用衣服の他の実施形態を示す。打ち合せ部は両方とも硬磁性体としての性質を示す磁性繊維により構成される。打ち合わせ部が磁力で付着するように、打ち合わせ部を重ね合わせたときの磁気モーメントは同じ向きになるように構成されている。両側を硬磁性体とすることで、実施形態 3より磁力による付着力力はり強くなり、打合せ部が外れに《なる。

図面の簡単な説明

[0018] [図 1]本発明を説明するための概念図 [図 2]実施形態 1を説明するための概念図

[図 3]実施形態 1の磁性繊維の構成を説明するための概念図園 4]実施形態 2を説明するための概念図

[図 5]実施形態 3を説明するための概念図

[図 6]実施形態 4を説明するための概念図

符号の説明

020 介護用衣服

021 ディスク状永久磁性

022 軟磁性

023 磁気性繊維

Claims

請求の範囲

[1] 磁性体を含む繊維を利用して織られた一方の打合せ部と、

永久磁石を配置した他方の打合せ部と、

を有する介護用衣服。

[2] 前記一方の打合せ部の全体が磁性体を含む繊維を利用して織られたものである請求項 1に記載の介護用衣服。

[3] 前記一方の打合せ部と、他方の打合せ部との磁力による付着力は、打合せ部が磁力により重ねあわされた状態で、着用者が打合せ部を固定物に擦り付けることで、両打合せ部の付着力がなくなる程度の付着力である請求項 1又は 2に記載の介護用衣服。

[4] 前記付着力は、 1.0 X 10³— 1.0 X 10⁴N/m²である請求項 3に記載の介護用衣服。

[5] 前記磁性体を含む繊維は、磁性材料を有機材料中に分散して生成した繊維である請求項 1から 4のいずれか一に記載の介護用衣服。