WO2005103365A1

WO2005103365A1 - 消臭性スエード調皮革様シート

Info

Publication number: WO2005103365A1
Application number: PCT/JP2005/007879
Authority: WO
Inventors: Masaru Makimura; Norio Makiyama
Original assignee: Kuraray Co., Ltd.
Priority date: 2004-04-27
Filing date: 2005-04-26
Publication date: 2005-11-03
Also published as: TWI356860B; EP1741827B1; JPWO2005103365A1; KR20070001246A; EP1741827A1; CN1946897A; US7867600B2; CN100507143C; JP4621662B2; TW200606301A; US20070212962A1; EP1741827A4

Abstract

　立毛繊維の集毛や消臭剤による外観の低下（白化）することなく、表面外観に優れ、高い消臭効果とソフトな触感を併せ持つスエード調皮革様シートを提供する。　本発明は、極細繊維を含有する繊維絡合体と粒子状消臭剤とを含有する消臭性皮革様シートであって、該極細繊維の表面積が該繊維絡合体の単位体積当り、３×１０3～９×１０4ｃｍ2／ｃｍ3であり、平均一次粒子径が０．１μｍ以下の消臭剤の少なくとも一部が該極細繊維の表面に存在していることを特徴とする消臭性スエード調皮革様シートである。

Description

消臭性スエード調皮革様シート

技術分野

[0001] 本発明は、靴のライニングや中敷、手袋、衣料、家具などに用いられ、生活環境から付着する悪臭を除去するのに有効な消臭性スエード調皮革様シートに関する。背景技術

[0002] 従来、人間の汗、体臭あるいはタバコ、ペットなどの悪臭物質を除去するために、様々な消臭性能を有する布帛類が提案されている。例えば、消臭用靴中敷として、力ルボン酸遷移金属塩を含有する高分子からなる繊維を用いた靴中敷が提案されている（特許文献 1参照)。し力しながら、この靴中敷は、消臭剤が繊維中に練り込まれているために、引裂強度、摩耗強度を強化する目的で弾性重合体等を含浸すると、靴中敷の繊維表面が該重合体により被覆されて、消臭性が低下してしまう。一方、繊維表面を露出させた状態のままでは表面摩耗性が弱いという問題がある。

また、布帛表面に形成された、特定の計算式により求めた空孔率が 20〜70%の微多孔榭脂皮膜中に、消臭性を有する物質が含まれた消臭性透湿防水布帛が提案されている（特許文献 2参照)。し力しながら、この布帛は、スエード調の皮革様シートには適用できない。

また、繊維布帛に酸ィ匕チタン光触媒が榭脂バインダーで固定された繊維布帛が提案されている（特許文献 3参照)。し力しながら、この繊維布帛は榭脂バインダーで固定されているため、繊維同士が固定され、ソフトな風合いの布帛が得られ難いという問題点がある。

また、銀、亜鉛などの金属イオンを保持した平均粒径 1 m以下 (実質的には 0. 5 μ m程度)のリン酸塩粒子を含有する繊維直径 3〜 10 μ mの中細繊維 (A)と繊維直径が 1 m以下の極細繊維 (B)とが特定の割合で混在する収束繊維よりなる絡合不織布と弾性重合体とから構成され、外観と耐久性に優れた抗菌性スエード調人工皮革が提案されている (特許文献 4参照)。しかしながら、特許文献 4では消臭剤の粒子径が大きぐ立毛繊維が集毛（立毛繊維が集って太、株の様になること)し易、ため外観が悪ィ匕しやすぐまた十分な量の抗菌剤を付与すると表面外観が白化し易いという問題点がある。

さらに、銀を坦持させた微粒子二酸ィ匕チタンが榭脂バインダーを介在せずに繊維表面に付与されている抗菌防臭繊維が提案されている (特許文献 5参照)。しかしながら、この繊維は抗菌防臭機能に優れ、風合低下が少なぐかつ耐洗濯性を有すると記載されているものの、消臭剤の付着量が少ない場合は、極細繊維力もなるスエード調皮革様シートにした場合十分な消臭効果が得られ難いという問題点がある。

[0003] 特許文献 1 :特開平 02— 63403号公報

特許文献 2：特開平 01 - 280073号公報

特許文献 3：特開平 08 -074171号公報

特許文献 4：特開平 6— 346376号公報

特許文献 5：特開平 10— 280270号公報

発明の開示

[0004] 本発明は、人間の汗、体臭やタバコ、ペットなどの生活環境力付着する悪臭を除去するのに有効な消臭効果を持ち、天然皮革調のソフトさと優美な立毛外観を有する消臭性スエード調皮革様シートを提供することにある。

[0005] 本発明者らは前記課題を解決するために鋭意研究した結果、極細繊維を含有する繊維絡合体の単位体積あたりの極細繊維の表面積が特定の範囲にあり、さらに粒子状消臭剤の少なくとも一部を該極細繊維表面に存在させることにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成した。

すなわち、本発明は、下記の消臭性スエード調皮革様シートを提供する。

(1)極細繊維を含有する繊維絡合体と粒子状消臭剤とを含有する消臭性皮革様シートであって、該極細繊維の表面積が該繊維絡合体の単位体積当り、 3 X 10³〜9 X 10⁴cm²/cm³であり、平均一次粒子径が 0.： L m以下の消臭剤の少なくとも一部が該極細繊維の表面に存在していることを特徴とする消臭性スエード調皮革様シート。

(2)繊維絡合体が、絡合空間に繊維絡合体に対して 0〜150質量％の高分子弾性体を含有して、る上記（1)記載の消臭性スエード調皮革様シート。

(3)繊維絡合体が、極細繊維の束状繊維カゝらなる上記（1)または（2)記載の消臭性スエード調皮革様シート。

(4)消臭剤が、無機光半導体である上記（1)または (2)記載の消臭性スエード調皮革様シート。

(5)消臭剤の少なくとも一部が、極細繊維の表面を覆うように存在している上記（1)または（2)記載の消臭性スエード調皮革様シート。

(6)消臭剤の存在量力繊維絡合体の単位体積当り 0. 001〜0. 05g/cm³である上記（1)または (2)記載の消臭性スエード調皮革様シート。

(7)皮革様シートが、極細繊維の繊維絡合体からなる皮革様シート基体、もしくは極細繊維の繊維絡合体と高分子弾性体とからなる皮革様シート基体の少なくとも片面に立毛面を有するものである上記（1)または（2)記載の消臭性スエード調皮革様シート。

本発明によれば、人間の汗、体臭やタバコ、ペットなどの生活環境力付着する悪臭を除去するのに有効な優れた消臭性能を持ち、天然皮革調のソフトな触感と外観を有する消臭性スエード調皮革様シートを提供することができる。本発明のスエード調皮革様シートは、立毛繊維の集毛や消臭剤による外観の低下（白化)もないので、衣料用はもとより、インテリア用、靴、袋物、各種手袋などに好適に用いることができる発明を実施するための最良の形態

本発明の消臭性スエード調皮革様シートは、極細繊維を含有する繊維絡合体であつて、極細繊維の表面積が該繊維絡合体の単位体積当り、 3 X 10³〜9 X 10⁴cm²/ cm³である繊維絡合体に、平均一次粒子径が 0. 1 μ m以下の粒子状消臭剤の少なくとも一部が該極細繊維の表面に存在していることが特徴である。

極細繊維を含有する繊維絡合体は、 (1)極細繊維を生成するための極細繊維発生型繊維を製造する工程、 (2)該極細繊維発生型繊維をウエッブ積層体とする工程、（3)該ウエッブ積層体から繊維絡合体を製造する工程、（4)該繊維絡合体に高分子弾性体を含浸させ凝固体とする工程、 (5)該凝固体を極細繊維に変成する工程、 (6)少なくとも片面に繊維立毛を形成する工程、（7)得られた繊維立毛基体を必要により着色、仕上げする工程、を行うことにより得ることができる。極細繊維を含有する繊維絡合体の製造方法について、以下に順次説明する。

[0007] (1.極細繊維発生型繊維の製造）

本発明の極細繊維を生成するための極細繊維発生型繊維は、相溶性を有しなヽ 2 種以上の熱可塑性ポリマーを、公知の方法により複合紡糸または混合紡糸することにより得ることができる。ここで、複合紡糸とは、紡糸ノズルを-一ドルパイプ方式の複合紡糸ノズルを用いて紡糸する方法を代表とする方法であり、相溶性を有しな、2種以上のポリマーを、紡糸口金部で口金規制して、海成分中に島成分を押し出して複合紡糸する方法をいう。また、混合紡糸とは、相溶性を有しない 2種以上のポリマーをチップブレンドし、後同一溶融系で溶融して紡糸する方法をいう。

極細繊維発生型繊維の代表例は、ヽゎゆる海島型断面を有する複合繊維（以下、「海島型繊維」という）と呼ばれるものである。海島型繊維としては、例えば、海成分が溶剤または水酸ィ匕ナトリウム等の分解剤により、溶解もしくは分解することにより該繊維から海成分が除去され、島成分が残ってフィブリル化する抽出型繊維や、機械的にまたは処理剤によって各ポリマーからなる繊維をフイブリル化する分割型複合繊維などが挙げられる。これらの中では、スエード調皮革様シートとしての風合いの観点から、海成分を抽出、除去する抽出型繊維が好ましい。

[0008] 海島型繊維の島成分ポリマーとしては、溶融紡糸が可能で、強度等の繊維物性を十分に発揮することのできるポリマーであって、紡糸条件下で海成分ポリマーより溶融粘度が大きぐかつ表面張力が大きいポリマーが好ましい。

力かるポリマーとしては、例えば 6—ナイロン、 66—ナイロン等のポリアミド系ポリマ一およびコポリマー、ポリエチレンテレフタート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑性ポリエステルおよびこれらのコポリマーなどを挙げることができる。島成分ポリマーには、必要に応じてカーボン、酸化チタン、顔料などの着色剤や、難燃剤、耐光剤などの機能性付与剤などの各種添加剤を含有させることが好ましい。

また、海島型繊維の海成分ポリマーとしては、島成分ポリマーとはその溶解性、分解性を異にし、溶解、除去に用いられる溶剤または分解剤等への溶解性が大きぐ島成分ポリマーとの相溶性の小さ、ポリマーが好まし、。力かる海成分ポリマーとしては、例えばポリエチレン、変性ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、変性ポリェステル、ポリビュルアルコール、変性ポリビュルアルコールなどが挙げられる。

[0009] 本発明における極細繊維を生成する極細繊維発生型繊維、すなわち海島型繊維の好適な海成分と島成分の体積比率は、海成分 Z島成分 = 30Z70〜70Z30の範囲である。海成分が 30体積％を超えると、溶解または分解除去する成分の量が十分となり、十分な柔軟性が得られる。また、海成分が 70体積％未満であると、溶解または分解除去後の島成分ポリマー力もなる極細繊維の絶対量が適量となり、皮革様シートにしたときに十分な物性が確保でき、また溶解または分解除去する成分が必要以上に多くなることが避けられ、生産性、経済性の観点からも好ましい。

[0010] 海成分ポリマーを溶解除去した後の、島成分ポリマーからなる極細繊維の平均繊度 ίま、 ldtex以下、好ましく ίま 0. 2dtex以下、より好ましく ίま 0. 0005〜0. 07dtex、更に好ましくは 0. 001-0. Oldtexである。該平均繊度が ldtex以下であると、該繊維を用いた繊維絡合体の柔軟性が損なわれてゴヮゴヮとした触感となることが避けられる。 0. 07dtex以下の場合には、高級感ある微細な立毛繊維に覆われたスエード調のものとなる。また、 0. 0005以上であると発色性を十分確保することが可能である

[0011] (2.ウエッブ積層体の製造）

極細繊維発生型繊維は、従来公知の方法によって、フィラメントあるいはステープルとすることができる。ステーブルとする場合、複合紡糸または混合紡糸後、延伸、捲縮、熱固定、カットなどの処理を行う。該ステーブルには例えばシリコーンなどの油剤を付与してもよい。油剤としては、繊維間の摩擦を下げる効果のあるポリオルガノシロキサンや各種の変性されたシリコーン系の油剤、繊維間をまとめ対金属間の摩擦を下げる効果のある鉱物油系の油剤、その他帯電防止剤などの公知の油剤が挙げられる。これらの油剤を繊維の特質を考慮しながらブレンドして付与するが、その工程としては繊維の捲縮前、捲縮後、他の繊維との混綿時のいずれでもよい。また、極細繊維発生型繊維ステーブルに種類の異なる油剤を付与してもよヽ。該極細繊維発生型繊維ステーブルは、カード、ニードルパンチ工程での巻き付きや繊維割れなどのトラブルを起こし易いため、極細繊維発生型繊維に摩擦係数を軽減する油剤を重点的に付与することが好ましい。

次いで、極細繊維発生型繊維ステーブルを、公知の方法によりカード、ウエッバーを通してランダムウエッブまたはクロスラップウエッブに形成し、形成されたウエッブを積層すること〖こよりウエッブ積層体を得ることができる。

[0012] (3.繊維絡合体の製造）

上記で得られたウエッブ積層体は、ニードルパンチ工程に送られて繊維絡合体である不織布に加工される。該ニードルパンチ工程における-一ドルパンチのフェルト針は公知のものが用いられるが、ウエッブの厚さ方向への絡合を行うには繊維切れの起きにくい 1パーブ針が好適に用いられる。また、不織布の表面の比重を上げるためには 3パーブ、 6パーブ、 9パーブなどの多パーブの針を使用することもできる。目的によってこれらの針を組み合わせて使用することもできる。

[0013] ニードルパンチ工程におけるパンチ数は使用する針の形状や、ウエッブの厚みにより異なるが、通常 200〜2500ノンチ Zcm²、好ましくは 500〜2000パンチ/ cm²の範囲で設定される。一般的にウエッブ積層体の-一ドルパンチにおいては、ニードルパンチ条件が強すぎる場合には極細繊維発生型繊維の切断や繊維割れがおこり、絡合が向上せず、また-一ドルパンチ条件が弱すぎる場合には厚み方向に並ぶ繊維数の不足をまねき絡合が向上しな、し、美し、毛羽密度の高、高級感あるスエード面が得られにくくなる。

[0014] 次に、ニードルパンチされたウエッブ積層体は表面を平滑ィ匕し、厚みを規制すると共に、最終的に得られるスエード調皮革様シートにぉヽて繊維絡合体中の極細繊維比重を所望のレベルに制御することができるため、厚さ方向にプレスする。プレス後の不織布比重は、 0. 18以上とするのが好ましぐより好ましくは 0. 19〜0. 45である。プレスの方法は、複数の加熱ロール間を通す方法、予熱した不織布を冷却ロール間に通す方法など従来公知の方法を利用することができ、極細繊維発生型繊維中の海成分ポリマーすなわちポリエチレンなどの低溶融粘度成分の溶融'圧着により、繊維絡合体 (不織布）のより一層の平滑ィ匕を達成することができる。なお、この工程において、テンションやプレスなどによる形態変化を抑制する目的で、ポリビュルアルコール、デンプン、榭脂ェマルジヨンなどの除去が可能な接着剤を該繊維絡合体に付与することは差し支えない。

[0015] (4.高分子弾性体の含浸）

プレスされた繊維絡合体 (不織布）には、所望により高分子弾性体の溶液または分散液を含浸してスポンジ状の凝固体とする。これにより、スエード調皮革様シートとしての風合いや力学的物性を所望のレベルに調節するとともに、極細繊維が皮革様シートから脱落するのを防止し、さらに、ヌバック調あるいは半銀付調皮革様シートとして表面被覆層を形成する際の接着性を向上させるなどの目的を達成することができる。

高分子弾性体としては、従来力皮革様シートの製造に用いられている榭脂、例えば、ポリウレタン系榭脂、ポリ塩ィ匕ビ二ル系榭脂、ポリアクリル酸系榭脂、ポリアミノ酸系榭脂、シリコーン系榭脂、およびこれらの共重合体、並びにこれらの二種以上の混合物などが好適に用いられる。これらの中でも、天然皮革様の風合い、触感などを得る観点から、ポリウレタン系榭脂が好ましい。

[0016] 高分子弾性体を繊維絡合体に付与する際には、必要に応じてカーボン、酸化チタン、顔料、染料などの着色剤、難燃剤、酸化防止剤、耐光剤、界面活性剤、発泡剤などの機能性付与剤などの各種の添加剤を、高分子弾性体に予め含有させることが好ましい。

高分子弾性体は、水系ェマルジヨンの形でまたは有機溶剤に溶解した溶液の形で、繊維絡合体に含浸させた後、感熱凝固、乾燥凝固、湿式凝固などを適宜行うことによりスポンジ状に凝固させる。本発明の皮革様シートを構成する繊維絡合体に対する該高分子弾性体の付与量は、風合い、力学的物性などと消臭機能をバランスの観点から、質量比で 0〜150質量％、好ましくは 5〜150質量％、更に好ましくは 10〜12 5質量％である。質量比が 150質量％を超えると、皮革様シートとしての力学的物性や表面被覆層との接着性などは向上する傾向にあるが、皮革様シートの風合いがゴム様になり一般的には好まれなくなる傾向になる。また、消臭剤が付着した極細繊維の割合が少なくなり、繊維絡合体の単位体積当りの極細繊維の表面積が小さくなり、相対的に高分子弾性体の表面積が増大することで、高分子弾性体への消臭剤付着が顕著になり、付着した消臭剤が極端に脱落しやすい状態となってしまう。 [0017] (5.極細繊維への変成）

上記のプレスされた繊維絡合体もしくは繊維絡合体に高分子弾性体を含浸させて得られるスポンジ状の凝固体は、含まれる海成分ポリマーが除去され、該繊維絡合体の単位体積当りの表面積が 3 X 10³〜9 X 10⁴cm²/cm³である極細繊維または極細繊維の束状繊維 (以下、総称して「極細繊維」という)に変成される。この場合、島成分ポリマーと高分子弾性体に対しては非溶剤であり、海成分ポリマーに対しては溶剤または分解剤となる液体を用いて、繊維絡合体もしくはスポンジ状凝固体から、該海成分ポリマーを溶解または分解除去することにより、極細繊維およびその束状繊維の繊維絡合体からなる皮革様シート基体〔1〕、もしくは極細繊維およびその束状繊維の繊維絡合体と高分子弾性体とからなる皮革様シート基体〔2〕を得ることができる。繊維絡合体の単位体積当りの極細繊維の表面積が 3 X 10³〜9 X 10⁴cm²/cm³の範囲にあれば、本発明の効果を十分達成することができる。繊維絡合体の単位体積当りの極細繊維の表面積は、 4 X 10³〜7 X 10⁴cm²Zcm³の範囲にあるのがより好ましい。該表面積が 3 X 10³cm²/cm³未満の場合は、十分な消臭効果と緻密で優れた立毛外観が得られず、 9 X 10⁴cmソ cm³を超えた場合は、発色性が悪くなり高級なスエード感が得られ難、ため好ましくな、。

皮革様シート基体〔1〕および〔2〕の厚みは用途に応じて任意に選択でき、特に限定されるものではないが、通常 0. 3〜3mm程度、好ましくは 0. 5〜2. 5mm程度である。

[0018] (6.繊維立毛の形成）

スエード調皮革様シートとするためには、上記の皮革様シート基体〔1〕もしくは〔2〕の少なくとも片面を起毛処理して、極細繊維を主体とした繊維立毛面を形成させる。繊維立毛面を形成させる方法としては、これらのシート基体のそれぞれを所望の厚さに厚み合わせを行った後もしくは厚み合わせを行う前に、サンドペーパーなどによるパフイング処理、針布起毛処理する方法などが挙げられる。厚み合わせを行っていないものは、その後所望の厚さに厚み合わせを行い、スエード調の皮革様シートを得ることがでさる。

[0019] (7.繊維立毛基体の着色、仕上げ）得られたスエード調皮革様シートを着色する方法としては、ゥインス、ダッシュライン、サーキユラ一等の従来公知の染色機を用いた浸染法が好ましく用いられる。

使用する染料は、酸性染料、含金錯塩染料などのポリアミド極細繊維とポリウレタンを染色する染料が好ましぐ特に 2 : 1型金属錯塩染料が好ましい。 2 : 1型金属錯塩染料を用いる染色に先立って、あらかじめ硫ィ匕染料、建染染料などの洗濯堅牢度を低下させない染料で下染めしておくことが好ましい。染色においては、染液の染料濃度が高いほど、濃色が得られるが、洗濯堅牢度が低いものとなりやすいので、染料濃度は 3%以下であることが好ましい。また、染色後のシートが濡れた状態でブラシ処理することも堅牢度向上のために好ましい。

染色したスエード調皮革様シートは、必要に応じて耐光処理、揉み、柔軟化処理、ブラッシングなどの仕上げ処理を行、、繊維立毛シート状のスエード調皮革様シート製品とする。

[0020] (消臭剤）

本発明で使用される消臭剤としては、平均一次粒子径が 0. 1 m以下のものであればあらゆる消臭剤を使用することが可能である。活性炭、榷、赤松、樫、竹などの植物を焼成して得られる炭などの炭類、シリカなど物理的な吸着機能を有する物理吸着タイプの消臭剤、光触媒タイプの消臭剤などが用いられる。光触媒タイプの消臭剤としては、紫外線などの光線の照射により活性酸素を生成させ、多くの有害物、悪臭物を酸化分解し、光酸化触媒として機能する光触媒機能を有する、金属 Zフタ口シァニン触媒などの微粒子状の消臭剤が挙げられる。

光触媒タイプの消臭剤を用いると物理吸着タイプの消臭剤のような単なる吸着作用による消臭効果だけではなぐ触媒作用による分解を利用した根本的な消臭効果が得られるため、消臭 (または脱臭）の効果が長期間にわたり持続するので、より好まし V、。光触媒タイプと物理吸着タイプの両者の消臭剤を併用するのも好ま、用例である。

[0021] 光触媒タイプの消臭剤としては、有機もしくは無機のいずれの光半導体も使用できるが、安定性、易入手性、取扱い性などの点力無機光半導体が好ましぐ特に微粒子状の無機光半導体が好ましい。例えば、硫化物半導体、金属カルコゲナイト、酸ィ匕物半導体などが代表例として挙げられるが、 GaAs、 Si, Seなども本発明の消臭剤に含まれる。これらは単独でまたは 2種類以上を組み合わせて使用することができる。これらの光触媒タイプの消臭剤のうち、 CdS, ZnSなどの硫化物半導体、 TiO、 Zn

2

0、 WO、 SnOなどの酸化物半導体が好ましぐ特に TiO、 ZnOなどの酸化物半導

3 2 2

体が好ましい。そして、酸化物半導体に消臭機能を有する、例えば金、銀、銅、亜鉛等の金属成分が担持されているのが好ましい。また、その光触媒タイプの消臭剤を構成する光半導体の結晶構造は特に制限されない。例えば TiOは、アナターゼ型、

2

ブルカイト型、ルチル型、アモルファス型などのいずれであってもよいが、アナターゼ型の TiOが好ましい。

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[0022] 上記の消臭剤は、少なくともその一部力スエード調皮革様シートの極細繊維の表面に存在している必要があり、消臭剤の少なくとも一部が該極細繊維の表面を覆うように存在して、ることが好まし!/、。

本明細書において、「存在」という用語は、付着、吸着などを包含する概念であり、「覆う」 t 、う用語は消臭剤が極細繊維の表面一面に存在して、ることを意味する。本発明における繊維絡合体を構成する極細繊維の表面は、単位体積当りで見ると、特に 2dtex以上の通常繊度の繊維に比べて極めて大きい表面積を有する。この大きい表面積に消臭剤が存在することで、通常繊維の表面に消臭剤が存在している場合に比べて、消臭剤と悪臭物質との接触頻度が格段に多くなり、消臭効果を極めて効率的に高めることができる。し力も、極細繊維自体が通常繊度の繊維に比べて極めて高い物理吸着能を有する。そのため、通常繊度の繊維を用いた場合、光触媒タイブの消臭剤が有効に機能して消臭効果が発現するまでのタイムラグにより、用いた光触媒量に見合う消臭効果が直ぐには発現しないという問題があるが、極細繊維を用いた場合は力かる問題点を克服することもできる。

[0023] 消臭剤の少なくとも一部を極細繊維の表面に存在させる方法としては、微粒子状の消臭剤を極細繊維の表面に直接接触させるのが好ましヽ。前記の皮革様シート基体〔1〕および〔2〕は、単位体積当りの表面積が極めて大きい極細繊維力もできているため、微粒子状の消臭剤は、物理吸着を主体とした存在であっても、繊維表面から容易に脱落することはない。従って、バインダーとなる榭脂を実質上必要としないため、極細繊維同士が必要以上に固着することがなぐ皮革様シートとしての風合いが極端に硬くなることがない。特に、極細繊維の束状繊維の表面に、消臭剤を直接接触させることが、消臭性能および消臭性能の継続性の点で最も効果が高、。

[0024] これに対して、消臭剤力 Sいくら微粒子状であっても、皮革様シートを構成する繊維の表面積が該繊維絡合体の単位体積当り 3 X 10³cmソ cm³未満である場合、消臭効果は著しく低下する。例えば、 2dtex以上の通常繊度の繊維あるいはそれからなる糸であれば、単位体積当りの表面積が小さいために、存在する微粒子状の消臭剤は凝集 ·会合による二次粒子化が急激に進行し、消臭剤自体の表面積が著しく減少してしまう。その結果、消臭剤の存在量当りの消臭効果は著しく低下するとともに、繊維表面を覆うような状態が達成できなくなる。また、実用上有効な消臭機能を発揮させるために必要な微粒子状消臭剤の量力前記極細繊維の場合と同程度であったとしても、繊維の単位表面積当りに存在させねばならな、微粒子状消臭剤の量が多くなつてしまうため、消臭剤により表面が白化、集毛し易ぐスエード調表面外観を著しく損なうものとなる。さらに、該消臭剤が繊維表面力も脱落しないようにバインダー榭脂で皮革様シートの繊維表面に該消臭剤を固着させる必要があるため、バインダー榭脂によって繊維同士ある、は繊維と皮革様シート中の樹脂が固着し、風合、が硬ヽものとなってしまう。また、消臭剤をコーティングによって皮革様シートの表面のみに選択的に存在させる場合には、バインダーにより固着させる必要があるため、表面の外観が変化し、触感もソフトなものが得られな、。

[0025] 微粒子状の消臭剤の粒子径は、極細繊維の表面に物理吸着を利用してほぼ一様に覆うように存在できる大きさであることが好ましぐ本発明で用いる極細繊維の直径以下であることが好ましい。

微粒子状の消臭剤の粒子径の大きさの上限値は、極細繊維の繊維径により多少異なるが、極細繊維の表面に存在可能な平均一次粒子径の大きさは 0.1 m以下であり、好ましく ίま 0. 001〜0. 05 ^ m,より好ましく ίま 0.001〜0. 02 /z mである。このため、消臭剤としては、平均一次粒子径が 0.1 μ m以下になるように 0. 05 μ m以下の大きさの微粒子を 30質量％以上含むものが好ましい。そして、上記範囲の平均一次粒子径と極細繊維の表面積が該繊維絡合体の単位体積当り、 3 X 10³〜9 X 10⁴cm² /cm³である繊維絡合体との組み合せを採用することで、消臭機能 (効果および継続性）が飛躍的に向上し、かつ集毛やスエード表面の白化がない優美なスエード外観を兼ね備えることが可能となる。

[0026] 上記の微粒子状消臭剤を皮革様シート基体〔1〕もしくは〔2〕に存在させて消臭性皮革様シートを得るためには、微粒子状の消臭剤が分散した処理液を皮革様シート基体〔1〕もしくは〔2〕に付与した後、分散媒の液体を除去する方法をとるのが好ましい。微粒子状消臭剤は、使用する処理液中で均一に分散している必要があるため、水を分散媒液として消臭剤がコロイド粒子として分散している水性ゾル状処理液が好ましく用いられる。処理液自体が溶剤系ではなぐ水性液であることで、工業的な大量生産を前提とした場合には、防爆装置を必要とせず、皮革様シート基体〔1〕もしくは〔 2〕を溶解することなぐ含浸等の処理が可能であることから好ましい。

[0027] 消臭剤の存在量は、極細繊維を含有する繊維絡合体の単位体積当り 0. 001-0.

05g/cm³、さらに好ましくは 0. 005-0. 03g/cm³程度である。極細繊維の表面を覆うのに好適な量以上の消臭剤を存在させると、消臭剤の微粒子が、極細繊維の表面のみならず、極細繊維の間や極細繊維と榭脂の間に凝集 ·会合して二次粒子の状態で存在することになり、存在量に見合った消臭剤としての効果が得られない。また、凝集'会合した二次粒子が極細繊維の自由度を低下させ、硬い風合いのものとなつたり、消臭性皮革様シートの表面に二次粒子の状態で析出してしまい、外観への悪影響や微粒子状消臭剤の脱落も顕著になり、皮革様シートとしての商品価値が大きく損なわれることになる。一方、消臭剤の存在量が 0. OOlg/cm³未満の場合、十分な消臭効果が得られ難い。

[0028] また、光触媒タイプの消臭剤を用いる場合には、物理吸着タイプの消臭剤と組み合わせて使用することにより、遮光下で光触媒が機能しない状況下においても高い消臭性を発揮させることができる。光触媒タイプの消臭剤と物理吸着タイプの消臭剤との比率は特に制限はなぐ物理吸着タイプの消臭剤 100質量部に対して、光触媒タイブの消臭剤は通常 1〜： LOOO質量部、好ましくは 20〜500質量部である。また、光触媒タイプの消臭剤と物理吸着タイプの消臭剤は混合された状態で存在していることが好ましい。両者が別々で存在する場合、すなわち物理吸着タイプの消臭剤が単独で存在する場合には、吸着機能のみが作用し、飽和して消臭能力が低下するため好ましくない。

物理吸着タイプの消臭剤は、悪臭成分のガスなどを吸着し、かつ光触媒タイプの消臭剤により悪臭を分解するまでの間の吸着場所としての働きをもつ。光触媒タイプの消臭剤が粒体の場合には、物理吸着タイプの消臭剤と同様の吸着機能を有する物質となるため好ましい。物理吸着タイプの消臭剤としては、光触媒機能の活性を阻害しない化合物であれば特に制限はなぐ公知の吸着性物質を用いることができる。その好適例としては、 4価金属のリン酸塩、 2価金属の水酸化物、二酸化チタンなどが挙げられる。

[0029] 上記の皮革様シート基体〔1〕もしくは〔2〕に消臭剤を存在させる方法は特に限定されないが、後処理による消臭機能低下の防止および連通孔内に消臭剤を存在させる観点から、できるだけ最後に、消臭剤を分散した液中にシート基体を浸潰して含浸させる方法が好ましい。消臭剤を分散させる分散液は、皮革様シート基体〔1〕もしくは〔2〕を変質させず消臭剤の性能を低下させるものでなければ特に限定されな!、。好適には、水もしくは必要に応じて浸透剤としてアルコール類などを添加した水が使用される。消臭機能の低下がなければ、消臭剤の凝集を防ぐため界面活性剤などを添加しても構わない。また、分散液中の消臭剤の濃度は、消臭機能および後処理の観点から、 0. 01〜30質量％であることが好ましぐ 0. 1〜5質量％であることがさらに好ましい。また、含液率 (ピックアップ率）は、消臭剤を極細繊維の表面を覆うように付着させる観点から、 30〜90質量％とすることが好ましい。

本発明の消臭性皮革様シートは、高い消臭効果とソフトな触感を併せ持つもので、衣料用はもとより、インテリア用、靴、袋物、各種手袋などに好適に使用できる。実施例

[0030] 次に本発明を実施例で具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び％はことわりのない限り質量部、質量％を表す。

なお、極細繊維の表面積の測定は次の手順により行った。

(1)得られた皮革様シートの厚みを測定する。 (2)繊維絡合体 (不織布)の単位面積当りの繊維質量を求める。高分子弾性体など繊維以外の物質を含有する場合には、溶剤などを用いて該高分子弾性体を除去するか、あるいは繊維を除去して除去前との質量差を求める。

(3)上記 (2)で求めた繊維質量を上記（1)で得られた厚みで除して単位体積当りの繊維質量を求める。

(4)絡合不織布を構成する極細繊維の断面積を、走査型電子顕微鏡により任意の 1 0点で測定し、その平均値を求める。

(5)皮革様シートを構成する繊維の比重と上記 (4)で求めた平均断面積から、同等の面積を有する円の円周に換算した後に、繊維 lg当りの表面積を求める。

(構成繊維の比重 /0 (g/cm³)と円周（ Rem)とから、 K R (cm) / p (g/cm³) = R/ P (cm²/g)の式により算出する)。

(6)上記（5)で求めた表面積と上記（3)で求めた繊維質量を乗じて単位体積当りの表面積を求める。

なお、繊維の断面積は繊維側面の面積に比べて非常に小さいため、本発明にお V、ては、極細繊維の表面積は極細繊維の側面の面積のみとして、る。

実施例 1

複合紡糸製造装置を用いて、島成分が 6—ナイロン、海成分が高流動性低密度ポリエチレン (海成分 Z島成分の体積比 =40Z60)の海島型繊維を紡糸した。得られた海島型繊維を延伸し、クリンプ、カットして、約 4dtex、カット長さ 51mmのステープル繊維を得た。該ステープル繊維をカードに通し、クロスラッパ一方式によりウエッブとし、積層した。次に針に 1箇所のパーブのついたフェルト針を用いて 980パンチ Zc m²の針刺し密度で-一ドルパンチして目付 450gZm²の不織布 (繊維絡合体)を得た。

この不織布を加熱後、プレスして表面を平滑にし、不織布の比重を 0. 28とした後に、 15%のポリウレタンのジメチルホルムアミド（以下、 DMFと略す)溶液を含浸し、 DMF水溶液で凝固し、湯洗し、熱トルエンで繊維中の海成分であるポリエチレンを抽出除去し、約 0. 05dtexの太さの 6—ナイロンの極細繊維束力もなる繊維絡合体とポリウレタン (繊維絡合体に対して 60質量％)とからなり、極細繊維の表面積が繊維絡合体の単位体積あたり 5. 3 X 10³cm²Zcm³である皮革様シートを得た。

このシートを厚みの中間で 2分割し、分割面をサンドペーパーでパフイングして厚さを 0. 5mmとした後、分割面と反対側の面をエメリーパフ機で処理して立毛面を形成し、下記の 2 : 1型金属錯塩染料を用いてゥインスタイプの染色機にて浸染染色した。

染料:ラニールブルー BW (住友ィ匕学株式会社製） 1. 2%

均染剤： 1%

染色後、ソービング、水洗し、乾燥後に、ァトミボール TZ—R (触媒ィ匕成工業株式会社製、アナターゼ型 TiO—Zn担持コロイド、平均一次粒子径 0. 005 m) 15部、

2

水 85部および浸透剤 0. 1部力なる消臭剤液を含液率 60質量％で含浸した。これを乾燥後に揉み'整毛することで厚さ 0. 7mm,目付 210g/m²の消臭性のスエード調皮革様シートを得た。

この消臭性スエード調皮革様シートは、表面全体が極細繊維立毛で覆われ、立毛繊維同士が集毛することなぐスエードの特徴であるライティング効果とソフトな触感を有し、さらに透明感および深みのある青色の色調の優美な外観を有するものであつた。この消臭性皮革様シートを電子顕微鏡で観察したところ、一部の消臭剤が繊維表面を覆うように存在して！/、た。

この消臭性皮革様シートの消臭性能を、日本化学繊維検査協会の「ガスの除去性能評価試験及び放出性」に示す方法により、硫ィ匕水素ガスを用いて 5日間測定を繰り返した結果、 5日後でも初濃度に対して 10分の 1以下のガス濃度に減じる十分な消臭性能を有していた。

実施例 2

混合紡糸製造装置を用いて、島成分が 6—ナイロン、海成分が高流動性低密度ポリエチレン (海成分 Z島成分の体積比 = 50/50)からなる海島型繊維を紡糸した。得られた繊維を実施例 1と同様に処理して、目付 450gZm²の不織布 (繊維絡合体）を得た。

この不織布を加熱後、プレスして表面を平滑にし、不織布の比重を 0. 28とした後に、 13%の DMF溶液を含浸し、 DMF水溶液で凝固し、湯洗し、熱トルエンで繊維中の海成分であるポリエチレンを抽出除去し、約 0. 004dtexの太さの 6—ナイロンの極細繊維束カゝらなる繊維絡合体とポリウレタン (繊維絡合体に対して 60質量％)とからなり、極細繊維の表面積が繊維絡合体の単位体積あたり 1. 8 X 10⁴cm²/cm³である皮革様シートを得た。

このシートを実施例 1と同様に処理して、厚さ 0. 7mm,目付 220gZm²の消臭性のスエード調皮革様シートを得た。

この消臭性皮革様シートの消臭性能を、実施例 1と同様に評価した結果、 5日後でも初濃度に対して 10分の 1以下のガス濃度に減じる十分な消臭性能を有していた。実施例 3

混合紡糸製造装置を用いて、島成分が 6—ナイロン、海成分が高流動性低密度ポリエチレン (海成分 Z島成分の体積比 = 50Z50)からなる約 3500島の海島型繊維を紡糸し、ニードルパンチ後の不織布の目付を 550gZm²、プレス後の比重を 0. 35 とした以外は実施例 1と同様にして平均単繊度が 0. 0006dtexの 6—ナイロンの極細繊維束力もなる繊維絡合体とポリウレタン (繊維絡合体に対して 45質量％)とからなる消臭性のスエード調皮革様シートを得た。得られた消臭性のスエード調皮革様シートの極細繊維の表面積が繊維絡合体の単位体積あたり 5. 7 X 10⁴cm²/cm³であり、厚さ。. 7mm、目付 260gZm²であった。

この消臭性スエード調皮革様シートは、表面全体が極細繊維立毛で覆われ、立毛繊維同士が集毛することなぐスエードの特徴であるライティング効果とソフトな触感を有し、さらに透明感および深みのある青色の色調の優美な外観を有するものであつた。また、電子顕微鏡で観察したところ一部の消臭剤が繊維表面を覆うように存在していた。

この消臭性皮革様シートの消臭性能を、実施例 1と同様に評価した結果、 5日後でも初濃度に対して 10分の 1以下のガス濃度に減じる十分な消臭性能を有していた。 [0034] 実施例 4

複合紡糸製造装置を用いて、島成分が 6—ナイロン、海成分が高流動性低密度ポリエチレン (海成分 Z島成分の体積比 =40Z60)からなる 180島の海島型繊維を紡糸し、パフイング後の厚さを 0. 6mmとした以外は実施例 2と同様にして平均単繊度が 0. Oldtexの 6—ナイロンの極細繊維束力もなる繊維絡合体とポリウレタン (繊維絡合体に対して 45質量％)とからなる消臭性のスエード調皮革様シートを得た。

得られた消臭性のスエード調皮革様シートの極細繊維の表面積が繊維絡合体の単位体積あたり 9. 9 X 10³cm²/cm³であり、厚さ 0. 7mm、目付 250gZm²であった。この消臭性スエード調皮革様シートは、表面全体が極細繊維立毛で覆われ、立毛繊維同士が集毛することなぐスエードの特徴であるライティング効果とソフトな触感を有し、さらに透明感および深みのある青色の色調の優美な外観を有するものであつた。また、電子顕微鏡で観察したところ一部の消臭剤が繊維表面を覆うように存在していた。

この消臭性皮革様シートの消臭性能を、実施例 1と同様に評価した結果、 5日後でも初濃度に対して 10分の 1以下のガス濃度に減じる十分な消臭性能を有していた。

[0035] 実施例 5および 6

実施例 1と同様にして、平均一次粒子径が 0. 01 /z m (実施例 5)および 0. 015 m (実施例 6)であり、厚さ 0. 7mm、目付 270g/m²の消臭性のスエード調皮革様シートを得た。

それぞれの消臭性スエード調皮革様シートは、表面全体が極細繊維立毛で覆われ、立毛繊維同士が集毛することなぐスエードの特徴であるライティング効果とソフトな触感を有し、さらに透明感および深みのある青色の色調の優美な外観を有するものであった。また、電子顕微鏡で観察したところ一部の消臭剤が繊維表面を覆うように存在していた。

これらの消臭性皮革様シートの消臭性能を、実施例 1と同様に評価した結果、 5日後でも初濃度に対して 10分の 1以下のガス濃度に減じる十分な消臭性能を有していた。

[0036] 比較例 1 複合紡糸製造装置を用いて、島成分が 6—ナイロン、海成分が高流動性低密度ポリエチレンで、カット後の繊度が 5dtexの、 16島の海島型繊維を紡糸した以外は実施例 2と同様にして平均単繊度が 0. 2dtexの 6—ナイロンの極細繊維束力もなる繊維絡合体とポリウレタン (繊維絡合体に対して 50質量％)とからなり、繊維絡合体の単位体積あたりの繊維の表面積が 2. 4 X 10³cm²/cm³である皮革様シートを得た。該皮革様シ一トを用いて、実施例 4と同様にして、厚さ 0. 7mm, 目付 220gZm²の消臭性のスエード調皮革様シートを得た。

この消臭性スエード調皮革様シートは、表面全体が太めの極細繊維立毛で覆われ、立毛繊維同士が集毛することがなぐ透明感および深みのある青色の色調の外観を有するものであった力スエードの特徴であるライティング効果とソフトな触感に劣つていた。

この消臭性皮革様シートの消臭性能を、実施例 1と同様に評価した結果、 1日後こそ高い消臭効果を示したが、徐々に効果が減少し、 3日後では初濃度に対して 2分の 1程度のガス濃度に減じる効果しか見られず、 5日後ではほとんど消臭効果が得られなかった。

[0037] 比較例 2

消臭剤の組成を他の光触媒タイプで粒子径約 2 μ mのものを使用した以外は実施例 1と同様にして、厚さ 0. 7mm、目付 280gZm²の消臭性のスエード調皮革様シー卜を得た。

この消臭性スエード調皮革様シートは、シート層および表面の立毛繊維同士がバインダ一により接着固定され、集毛状態となっており、スエードの特徴であるライティング効果がなぐごわごわした風合!ヽのものであった。

[0038] 比較例 3

複合紡糸製造装置を用いて、島成分が 6—ナイロン、海成分が高流動性低密度ポリエチレンで、カット後の繊度が 5dtexの、 36島の海島型繊維を紡糸し、ニードルパンチ後の不織布の目付を 300g/m²、プレス後の比重を 0. 16とし、含浸するポリウレタンの DMF溶液の濃度を 25%とした以外は実施例 4と同様にして平均単繊度が 0. 09dtexの 6—ナイロンの極細繊維束力もなる繊維絡合体とポリウレタン (繊維絡合体に対して 130質量％)とからなる消臭性のスエード調皮革様シートを得た。得られた消臭性のスエード調皮革様シートの極細繊維の表面積は繊維絡合体の単位体積あたり 2. 9 X 10³cm²Zcm³であり、厚さ 0. 7mm、目付 180gZm²であった。

この消臭性スエード調皮革様シートは、表面全体が極細繊維立毛で覆われ、立毛繊維同士が集毛することがなぐ透明感および深みのある青色の色調の外観を有するものであった力スエードの特徴であるライティング効果とソフトな触感に劣って！/、たこの消臭性皮革様シートの消臭性能を、実施例 1と同様に評価した結果、 1日後こそ高い消臭効果を示したが、徐々に効果が減少し、 3日後では初濃度に対して 2分の 1程度のガス濃度に減じる効果しか見られず、 5日後ではほとんど消臭効果が得られなかった。

産業上の利用可能性

本発明のスエード調皮革様シートは、人間の汗、体臭やタバコ、ペットなどの生活環境力付着する悪臭を除去するのに有効な優れた消臭性能を持ち、天然皮革調のソフトな触感と外観を有し、しかも立毛繊維の集毛や消臭剤による外観の低下（白ィ匕）がないので、衣料用はもとより、インテリア用、靴、袋物、各種手袋などに好適に使用することができる。

Claims

請求の範囲

[1] 極細繊維を含有する繊維絡合体と粒子状消臭剤とを含有する消臭性皮革様シートであって、該極細繊維の表面積が該繊維絡合体の単位体積当り、 3 X 10³〜9 X 10⁴ cm²/cm³であり、平均一次粒子径が 0.： L m以下の消臭剤の少なくとも一部が該極細繊維の表面に存在していることを特徴とする消臭性スエード調皮革様シート。

[2] 繊維絡合体が、絡合空間に繊維絡合体に対して 0〜150質量％の高分子弾性体を含有している請求項 1記載の消臭性スエード調皮革様シート。

[3] 繊維絡合体が、極細繊維の束状繊維カゝらなる請求項 1または 2記載の消臭性スェード調皮革様シート。

[4] 消臭剤が、無機光半導体である請求項 1または 2記載の消臭性スエード調皮革様シート。

[5] 消臭剤の少なくとも一部が、極細繊維の表面を覆うように存在している請求項 1または 2記載の消臭性スエード調皮革様シート。

[6] 消臭剤の存在量が、繊維絡合体の単位体積当り 0. 001〜0. 05g/cm³である請求項 1または 2記載の消臭性スエード調皮革様シート。

[7] 皮革様シートが、極細繊維の繊維絡合体からなる皮革様シート基体、もしくは極細繊維の繊維絡合体と高分子弾性体とからなる皮革様シート基体の少なくとも片面に立毛面を有するものである請求項 1または 2記載の消臭性スエード調皮革様シート。