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Description

本発明は、皮革様シートを用いたボール表皮材に関する。
ノンスリップ性が要求されるボール表皮材として皮革様シートが用いられている。例えば、下記特許文献1は、繊維絡合体を含有する基材と、基材表面に積層された多孔質弾性樹脂層とを含有する皮革様シートであって、多孔質弾性樹脂層が形成された面に凹凸表面を有し、凹凸表面は、頂面及び側面を有する凸部及び側面に連なる谷底面を有する凹部を有し、凸部の頂面が直径10〜500nmの開放孔を1000個/mm以上有する皮革様シートを開示する。
ボールはゲーム中に手で保持されるためにその表皮材は表面が汗で濡れる。そして、汗が表面に付着したまま放置した場合、多湿環境でボール表皮材に雑菌が繁殖しやすくなって悪臭が発生したりする原因になっていた。
天然皮革に抗菌性を付与する技術として、例えば、下記特許文献2は、天然皮革用コーティング剤として、液状オルガノポリシロキサン(A)と、片末端ラジカル重合性ポリシロキサンと、架橋剤と、触媒反応ブロッキング剤および/または反応遅延剤を含む硬化触媒とからなる無溶剤の一液性常温硬化型オルガノシロキサン組成物であって、バクテリアや真菌に対する強い殺菌作用を有する銀化合物または銀イオンを生じる化合物を含む皮革用コーティング剤を開示する。
国際公開2008/001716号パンフレット 特開2015−67790号公報
特許文献1に記載されたようなボール表皮材として用いられる皮革様シートにおいては、汗を吸収させてノンスリップ性を付与するために空孔が表層に形成されている。本件発明者らは、このような空孔に吸収された汗は、速やかに乾燥せず、空孔内が多湿環境になるために雑菌が繁殖しやすい環境であることに気付いた。
本発明は、上述した問題を解決すべく、ボール表皮材として用いられる皮革様シートに設けられた空孔に抗菌性を付与することにより、雑菌の繁殖を抑制することを目的とする。
本発明の一側面は、繊維絡合体を含有する基材と、基材に積層された多数の空孔を有する多孔質弾性樹脂層とを備え、多孔質弾性樹脂層は、空孔内に露出する抗菌剤粒子を含有し、表面にエンボス処理されて形成される凹凸形状を有し、空孔は、凹凸形状の凸部の頂面に存在する、外部に開かれた直径10〜500nmの範囲の開放孔を1000個/mm以上含み、開放孔内に抗菌剤粒子が露出しており、抗菌剤粒子は空孔1個あたりに、平均0.4個以上存在する、皮革様シートを含むボール表皮材である。このようなボール表皮材によれば、空孔が汗や水を吸収して多湿環境になったとしても、空孔内に抗菌剤粒子を存在させることにより雑菌の繁殖を抑制できる。このような空孔内に存在する抗菌剤粒子は、多孔質弾性樹脂層を形成する樹脂中に完全に埋没しているのではなく、空孔内に独立して存在するか、または、空孔の壁面に少なくとも一部分のみが埋め込まれて壁面から一部分が露出することにより、優れた抗菌性が発揮される。また、抗菌剤粒子は、凹凸形状の凸部の頂面に存在する外部に開かれた空孔(開放孔とも称する)内に存在することにより、より高い抗菌性能が発揮される。
抗菌剤粒子としては、銀を含有するものが、抗菌性や安全性に優れ、抗菌スペクトルも広い点から好ましい
また、上記皮革様シートは、JIS L−1902に準じた菌液吸収法による抗菌性評価において、洗濯3回後の皮革様シートの黄色ブドウ球菌に対する静菌活性値が2.2以上であることが好ましい。
また、空孔1個あたりに、平均0.4粒以上の抗菌剤粒子が存在するために充分な抗菌性能を発揮する点から好ましい。
表面にグリップ性を付与するための凹凸形状を有し、凹凸形状の凸部の頂面に汗を吸収させてノンスリップ性を付与するための外部に開かれた開放孔を含む、皮革様シートを含むボール表皮材であって、雑菌の繁殖を抑制できるボール表皮材が得られる。
実施例1で得られた皮革様シートの表層部の断面をマイクロスコープで100倍で撮影したときの画像である。 実施例1で得られた皮革様シートの表層部の断面をマイクロスコープで1000倍で撮影したときの画像である。 実施例1で得られた皮革様シートの表面をマイクロスコープで200倍で撮影したときの画像である。
本発明の一実施形態を以下に詳しく説明する。
本実施形態のボール表皮材に用いられる皮革様シート10は、後述する実施例1で得られた皮革様シートの写真である図1〜図3を参照すれば、繊維絡合体を含有する基材1と、基材1に積層された多数の空孔vを有する多孔質弾性樹脂層2とを備える。また、多孔質弾性樹脂層2は、空孔v内に露出する抗菌剤粒子3を含有する。空孔vの一部は、図3に示すような多孔質弾性樹脂層の表面に存在する開放孔voであることが好ましい。また、抗菌剤粒子3は開放孔vo内にも存在する。
繊維絡合体を含有する基材は、繊維絡合体と好ましくは繊維絡合体と複合化された高分子弾性体を含有する。繊維絡合体としては、繊維から形成された不織布や編織布が挙げられる。繊維絡合体を形成する繊維としては、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、セルロース系繊維、アクリル系繊維等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。繊維の平均繊度は、特に限定されないが、0.3dtex以下、さらには、0.0001〜0.1dtexであることが、得られる皮革様シートに天然皮革に近い柔軟な風合いを付与できる点から好ましい。
繊維絡合体の目付は、200〜1000g/m、さらには、300〜800g/mであることが好ましい。このような目付である場合には、繊維絡合体が充分なクッション性を有するものになり、それにより、多孔質弾性樹脂層の表面にグリップ性を付与するためのエンボス形状を形成させやすくなる。
繊維絡合体を含有する基材は、繊維絡合体と複合化される多孔質の高分子弾性体等の高分子弾性体を含有する。繊維絡合体を含有する基材が高分子弾性体を含有する場合には、天然皮革に似た風合いを与え、また、ボール表皮材として用いる場合に、ボールの表面タッチ性や反発性を高め、さらに、ボールの製造時の縫製性も改良される点から好ましい。高分子弾性体としては多孔質の高分子弾性体が好ましく用いられる。高分子弾性体を形成する樹脂の具体例としては、例えば、ポリウレタン,ポリエステル系エラストマー,各種ゴム,ポリ塩化ビニル樹脂,ポリアクリル酸系樹脂,ポリアミノ酸系樹脂,シリコーン系樹脂、およびこれらの変性物,共重合物,あるいは混合物等が挙げられる。これらの中では、ポリウレタンが風合いや機械的特性等のバランスに優れた基材が得られる点から好ましい。
繊維絡合体を含有する基材の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.4〜3.0mm程度であることが、機械的特性、重量、風合い等の特性のバランスに優れたボールが得られる点から好ましい。
本実施形態の皮革様シートは、繊維絡合体を含有する基材に積層された、多数の開かれたまたは閉じた空孔を有し、少なくとも一部の空孔内に露出する抗菌剤粒子を含有する多孔質弾性樹脂層を備える。このような多数の空孔を有し、少なくとも一部の空孔内に露出する抗菌剤粒子を含有する多孔質弾性樹脂層は、例えば、繊維絡合体を含有する基材の表面に、所定の量の抗菌剤粒子を配合した高分子弾性体溶液を塗布した後、貧溶剤を含む凝固浴に浸漬することにより高分子弾性体を多孔質状態で凝固させ、乾燥させることにより得られる。このようにして形成される多孔質弾性樹脂層は、その内部に、多数の空孔を有し、少なくとも一部の空孔内に抗菌剤粒子を露出させる。
多孔質弾性樹脂層を形成するための弾性樹脂としては、上述した多孔質の高分子弾性体と同様のものが用いられうる。それらの中では、多孔質のポリウレタンが、弾性、柔軟性、耐磨耗性、及び多孔構造の形成のしやすさ等の点から好ましく用いられる。
また、抗菌剤粒子としては、常温で固体である抗菌性能を有する粒子である。具体的には、例えば、抗菌成分として、抗菌・殺菌・防カビ・抗カビ・消臭作用を持つ銀単体や、酸化銀,塩化銀,硝酸銀,硫酸銀,炭酸銀,スルホン酸銀塩等の銀塩や、蟻酸銀,酢酸銀等の有機銀塩等の銀化合物等を含み、抗菌成分をゼオライト,シリカゲル,低分子ガラス,リン酸カルシウム,ケイ酸塩,酸化チタン等に担持させた粒子等が挙げられる。これらの中では、銀単体または銀化合物をゼオライトに担持させたゼオライト系抗菌剤粒子が取扱い性に優れる点から好ましい。抗菌剤粒子の粒子径は特に限定されないが、例えば、平均粒子径で0.1〜5μm、さらには1〜3μmであることが好ましい。
抗菌剤粒子の含有割合は、空孔に露出させうる限り特に限定されないが、例えば、多孔質弾性樹脂層の弾性樹脂成分に対して、1〜15質量%、さらには5〜10質量%程度であることが抗菌性能と耐摩耗性とのバランスの点から好ましい。
このようにして形成された多孔質弾性樹脂層の空孔には、上述のように空孔内に露出する抗菌剤粒子が存在する。ここで空孔内に露出するとは、空孔内に抗菌剤粒子が独立して存在していたり、空孔の壁に埋められて一部分が露出していたりする状態を意味する。このように露出する抗菌剤粒子の数としては、1個の空孔あたり平均で0.4粒であり、好ましくは0.6粒、さらに好ましくは1粒以上程度存在することが充分な抗菌性能を発揮させるために好ましい。
皮革様シートがボール表皮材として用いられる場合、多孔質弾性樹脂層の表面にはグリップ性を付与するために次のようなエンボス処理により凹凸形状を付与されることが好ましい。
本実施形態に係る皮革様シートにおいては、表面に空孔の一部分が開放されてなる多数の開放孔を存在させることが、吸水性に優れる点から好ましい。なお、開放孔も空孔の一部を形成するものであり、開放孔に露出する抗菌剤粒子が存在することがとくに好ましい。このような開放孔を存在させるために、本実施形態の皮革様シートにおいては、多数の空孔を有する多孔質弾性樹脂層の表面に、多孔質弾性樹脂層の厚みよりも高低差の大きい凹凸表面を有するエンボスロールを用いて、多孔質弾性樹脂層表面の凹凸形状の凸部になる部分にはエンボスロールの表面が実質的に接触しないようにして、エンボスロールを当接させることにより形成することが好ましい。多孔質弾性樹脂層の厚みよりも高低差の大きい凹凸表面を有するエンボスロールを用いることにより、多孔質弾性樹脂層表面の凸部が形成される部分にエンボスロール表面の凹部が接触しにくくなり、形成される凸部の頂面の開放孔を閉塞させずに微細な開放孔を維持させることができる。なお、凸部の側面には、開放孔が実質的に存在しないことが好ましい。
エンボス処理により形成される凹凸形状としては、石目調、砂地調等、従来から知られたエンボス形状が用途に応じて選ばれる。皮革様シートがボール表皮材として用いられる場合には、型押処理により形成された石目調であり、凹部谷底面に複数の亀裂を有し、亀裂の一部から繊維絡合体を構成する繊維が露出していることが、吸水性、ノンスリップ性、グリップ性、天然皮革に似た触感、耐摩耗性等のバランスに優れている点から好ましい。
このようにエンボス処理された多孔質弾性樹脂層は、凹凸形状の凸部になる部分の頂面に多数の開放孔を有する。多孔質弾性樹脂層の凹凸形状の凸部になる部分の頂面の開放孔は、直径が10〜500nmであり、30〜300nm、さらには50〜200nmであることが好ましい。多孔質弾性樹脂層の凹凸形状の凸部になる部分の頂面に存在する開放孔は、表面の耐摩耗性を低下させずに長時間連続使用され、プレー中に発生する大量の汗と接触しても、優れた吸水性で汗を吸収することによって高いグリップ性をボールに付与する。開放孔の数は、1000個/mm以上であり、さらには1500個/mm以上であることが充分な吸水性やグリップ性が得られる点から好ましい。開放孔の上限としては10000個/mm以下、とくには5000個/mm以下であることが、充分な耐磨耗性を維持する点から好ましい。
このようにして形成される多孔質弾性樹脂層の厚さは、30〜600μm、さらには、100〜500μmであることが湿潤時のグリップ性と表面物性を兼ね備える点から好ましい。
多孔質弾性樹脂層の表面には、着色処理等の表面処理が施されていてもよい。しかしながら、グラビア、スプレーなどで、顔料をバインダーに混合した溶剤系インキ、水系インキを塗布するような場合においては、開放孔が閉塞する傾向がある。従って、皮革様シートの表面を着色する場合には、多孔質弾性樹脂層自身に顔料を分散させるなどして着色することが好ましい。また、多孔質弾性樹脂層には、溶剤やインキ等の塗布を行うことは好ましくない。多孔質弾性樹脂層に塗布を行うことにより、形成された開放孔がふさがれてしまうためである。
本実施形態の皮革様シートは、多孔質樹脂層の空孔によりゲーム中に選手の手から出る汗をすばやく吸収し、グリップ性が維持される。また、空孔の表面に抗菌剤粒子が露出しているために、汗が吸収された空孔における雑菌の繁殖が抑制される。具体的には、本実施形態の皮革様シートは、JIS L−1902に準じた菌液吸収法による抗菌性評価において、洗濯3回後の皮革様シートの黄色ブドウ球菌に対する静菌活性値が0.8以上、さらには2.2以上であるような抗菌性が得られる。
次に本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
はじめに、本実施例における評価方法を、以下にまとめて示す。
[空孔内の抗菌剤粒子の存在の確認]
得られた皮革様シートの断面を、マイクロスコープにより倍率1000倍で観察し、観察された像を撮影した。得られた像から空孔一つ当たりに存在する抗菌剤粒子の平均粒数を算出した。なお、空孔一つ当たりに存在する平均粒数は、万遍なく選択した20個の空孔に含まれる抗菌剤粒子の平均として算出した。
[抗菌性]
JIS L−1902に準じた菌液吸収法による抗菌性評価において、洗濯3回後の黄色ブドウ球菌(NBRC 12732)に対する抗菌活性値を求めた。具体的には、各皮革様シート及び対照試料として標準布(綿100%、白布)をSKEマーク繊維製品の洗濯方法(標準洗濯法)によって3回洗濯し、洗濯3回後の各皮革様シートに黄色ブドウ球菌を接種し、接種直後及び18時間培養後の生菌数の常用対数値を求め、それに基づき静菌活性値または増殖値Fを算出した。
[吸水性]
得られた皮革様シートを直径4cmの円形にカットし、表面に0.2mLの水を滴下した。そして、シート裏面側を減圧し、シート表面から水が吸収される様子を観察し、以下の基準により評価した。
優 :速やかに表面から水を吸収する。
中立:緩やかな速度で水を吸収する。
劣 :水を吸収しない。
(実施例1)
島成分が6−ナイロン、海成分が低密度ポリエチレン(島成分/海成分=50/50(質量比))である、連続2層(海島)型混合紡糸繊維を溶融紡糸した。得られた繊維を延伸、クリンプ、カットすることにより、5dtex、カット長さ51mmのステープルが得られた。
得られたステープルをカードに通した後、クロスラッパー方式によりウェブが作製された。そして得られたウェブを所定の枚数重ねて積層した。次に1バーブのフェルト針を用いて980パンチ/cm2の針刺し密度で積層されたウェブをニードルパンチすることにより、目付450g/m2の不織布が得られた。
次に、得られた不織布を加熱乾燥した後、プレスすることにより表面を平滑にした。そして、16%のポリエーテル系ポリウレタンDMF溶液を平滑化された不織布に含浸させた。そして、前記溶液を含浸した不織布をDMF20%水溶液に浸漬することにより、ポリウレタンがスポンジ状に凝固された不織布とポリウレタンとの複合体が得られた。そして、前記複合体を湯洗した後、熱トルエン中で海島繊維中のポリエチレンを溶解除去することにより、平均繊度約0.01dtexの6−ナイロンの極細繊維と多孔質状のポリウレタンとからなる繊維絡合体を含有する基材が得られた。
得られた基材の表面に、茶色顔料を含むポリエーテル系ポリウレタン(「MP−145」大日本インキ化学工業株式会社製)のDMF溶液(固形分20%)に、ポリエーテル系ポリウレタンに対して7質量%の抗菌剤粒子(銀系抗菌剤(日揮触媒化成(株)製AIS)、平均一次粒子径0.3μm)を配合した樹脂液を350g/m2塗布した。そして、水中で凝固させた後、乾燥させることにより、厚み400μmの茶色の多孔質弾性樹脂層が形成された。
得られた多孔質弾性樹脂層表面をマイクロスコープにより観察したところ、その表面には、直径10〜500nmの開放孔が約7000個/mm2存在することが確認された。また、開放孔の平均直径は150nmであった。
多孔質弾性樹脂層が形成された基材表面を、バスケットボール用のエンボスロール(ロールの凹凸形状の高低差約700μm)を用いてエンボス処理することにより、表面に凹凸形状が付与された皮革様シートが得られた。なお、エンボス処理は、ロール表面温度170℃、プレス圧力10kg/cm2、処理時間30秒の条件で、エンボスロールの凹部(凸部形成部)に多孔質弾性樹脂層の表面が実質的に接触しないようにして行った。
得られた皮革様シートを垂直方向にスライスしたときの断面及び皮革様シートの表面の画像をマイクロスコープにより観察した。図1は100倍、図2は1000倍の断面の画像、図3は200倍の表面の画像である。
図2に示すように、多孔質弾性樹脂層の開放孔voを含む空孔vには抗菌剤粒子3が、一つの空孔あたり平均1.5粒存在していた。また、皮革様シート表面には図3に示すように、直径10〜500nmの範囲の開放孔voが約5000個/mm2存在しており、表面に観察された開放孔の平均直径は150nmであった。
得られた皮革様シートを用いて上記評価方法に基づいて、抗菌性及び吸水性を評価した。結果を下記表1に示す。
(実施例2)
ポリエーテル系ポリウレタンに対して7質量%の抗菌剤粒子を配合した代わりに、10質量%の抗菌剤粒子を配合した以外は実施例1と同様にして皮革様シートを得、評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリエーテル系ポリウレタンに対して7質量%の抗菌剤粒子を配合した代わりに、4質量%の抗菌剤粒子を配合した以外は実施例1と同様にして皮革様シートを得、評価した。結果を表1に示す。
(実施例4)
ポリエーテル系ポリウレタンに対して7質量%の抗菌剤粒子を配合した代わりに、2質量%の抗菌剤粒子を配合した以外は実施例1と同様にして皮革様シートを得、評価した。結果を表1に示す。
(実施例5)
ポリエーテル系ポリウレタンに対して抗菌剤として日揮触媒化成(株)製AISを7質量%配合する代わりに、(株)シナネンゼオミック製の抗菌剤粒子(銀系無機抗菌剤ゼオミックAW10D)を5質量%配合した以外は実施例1と同様にして皮革様シートを得、評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリエーテル系ポリウレタンに対して7質量%の抗菌剤粒子を配合した代わりに、抗菌剤粒子を配合しない以外は実施例1と同様にして皮革様シートを得、評価した。結果を表1に示す。
表1を参照すれば、空孔内に抗菌剤粒子が露出する本発明に係る実施例1〜5の皮革様シートにおいては、いずれも生菌活性値が増加した。また、抗菌剤の配合割合が4質量%以上の場合の実施例1〜3、5の皮革様シートにおいては、空孔内に露出する抗菌剤粒子が顕著に増加し、その結果、顕著に生菌活性値が高くなった。
本発明の皮革様シートは、バスケットボール、アメリカンフットボール、ラグビーボールおよびハンドボール等のボール表皮材として好ましく用いられる。

Claims (3)

  1. 繊維絡合体を含有する基材と、前記基材に積層された多数の空孔を有する多孔質弾性樹脂層とを備え、
    前記多孔質弾性樹脂層は
    記空孔内に露出する抗菌剤粒子を含有し
    表面にエンボス処理されて形成された凹凸形状を有し、
    記空孔は、前記凹凸形状の凸部の頂面に存在する、外部に開かれた直径10〜500nmの範囲の開放孔を1000個/mm以上含み、前記開放孔内に前記抗菌剤粒子が露出しており
    記抗菌剤粒子は前記空孔1個あたりに、平均0.4個以上存在する、皮革様シートを含むことを特徴とするボール表皮材。
  2. 前記抗菌剤粒子は、銀を含有する請求項1に記載のボール表皮材。
  3. JIS L−1902に準じた菌液吸収法による抗菌性評価において、洗濯3回後の該皮革様シートの黄色ブドウ球菌に対する静菌活性値が2.2以上である請求項1または2に記載のボール表皮材。
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