明 細 書
へキサヒドロキシトリフエ二レン · 1水和物の結晶及びその製造方法 技術分野
[0001] 本発明は、へキサヒドロキシトリフエ-レン · 1水和物の結晶及びその製造方法に関 する。
背景技術
[0002] 2, 3, 6, 7, 10, 11一へキサヒドロキシトリフエ-レン(以下「ΗΗΤΡ」という)は、ディ スコティック液晶等の機能性光学材料を製造するための原料として有用である。
[0003] 今日まで、 ΗΗΤΡの結晶は、例えば、特開平 8— 119894号公報、特開平 9— 1186 42号公報、特開平 9— 301906号公報、特開平 11— 255781号公報又は特開平 11 —255690号公報に記載されて ヽる方法で製造されて!、る。
[0004] 特開平 8— 119894号公報は、 2, 3, 6, 7, 10, 11一へキサアルコキシトリフエ-レ ンをヨウ化水素で脱アルキルィ匕することにより ΗΗΤΡを製造する方法を開示している 。この特許公報では、 ΗΗΤΡ結晶は、脱アルキルィ匕反応後の反応液中に析出した 結晶を濾別することにより単離されている。
[0005] 特開平 9— 118642号公報は、 ΗΗΤΡの遷移金属錯体及び Ζ又はキノン体を還元 処理することにより ΗΗΤΡを製造する方法を開示している。この特許公報では、 ΗΗ TP結晶は、還元処理後、反応液に沈殿する析出物を洗浄し、乾燥することにより製 造される。
[0006] 特開平 9 301906号公報は、 HHTPのカルボン酸エステル化物又は炭酸エステ ルイ匕物を加水分解及び Z又はアルコール分解することにより HHTPを製造する方法 を開示している。この特許公報では、 HHTP結晶は、加水分解及び Z又はアルコー ル分解処理後に析出する結晶を洗浄し、乾燥することにより製造される。
[0007] 特開平 11— 255781号公報は、 2, 3, 6, 7, 10, 11—へキサキスシリルォキシ卜リフ ェ-レンを脱シリルイ匕することにより HHTPを製造する方法を開示している。この特許 公報では、 HHTP結晶は、脱シリル化反応後の反応液から析出する結晶を洗浄し、 乾燥することにより製造される。
[0008] 特開平 11 255690号公報は、 HHTPとゲストィ匕合物とからなる包接化合物カもゲ ストィ匕合物を脱離させることにより HHTP結晶を製造する方法を開示している。
[0009] しかしながら、上記各特許公報に記載の方法で製造される HHTP結晶は、いずれ も熱安定性に乏しいという重大な欠点を有している。従って、該 HHTP型結晶を原料 として用いて得られる機能性光学材料が組み込まれた機器は、耐久性に乏しぐ長 期に亘つて所望の性能を発揮できなくなる不都合がある。
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0010] 本発明の課題は、熱安定性に優れた HHTP結晶(2, 3, 6, 7, 10, 11一へキサヒド ロキシトリフエ-レン · 1水和物 A型結晶、この結晶を以下「HHTP— A型結晶」という) 及びその製造方法を提供することである。
課題を解決するための手段
[0011] 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねてきた結果、特定の条件下 で HHTPを結晶化させることにより、熱安定性に優れた HHTP結晶を製造できること を見いだした。本発明は、斯カる知見に基づき完成されたものである。
[0012] 本発明は、下記 1一 9に示す HHTP— A型結晶及び該結晶の製造方法を提供する
1.モノクロメーターを通した λ = 1. 5418Aの銅放射線で得られる X線回折スぺタト ルが格子面間隔(d) 9. 0— 10. 1にピークを有する、 HHTP— A型結晶。
2.モノクロメーターを通した λ = 1. 5418Aの銅放射線で得られる X線回折スぺタト ルが格子面間隔(d) 9. 5-9. 7にピークを有する、上記 1に記載の HHTP— A型結 晶。
3.熱分解温度 (Td)が約 139°Cである上記 1又は 2に記載の HHTP— A型結晶。
4.熱分解温度 (Td)が約 139°Cである HHTP— A型結晶。
5. HHTP結晶のアセトン一水混合溶液カゝらアセトンを減圧下に留去することにより、 HHTP結晶を析出させる、 HHTP— A型結晶の製造方法。
6.アセトンを留去する際の温度が 5— 65°C程度である上記 5に記載の製造方法。
7.アセトンを留去する際の温度が 10— 55°C程度である上記 5に記載の製造方法。
8.アセトンを留去する際の減圧度が 20kPa程度以下である上記 5に記載の製造方 法。
9.アセトンを留去する際の減圧度が 0. 13— 18kPa程度である上記 5に記載の製造 方法。
[0013] HHTP— A型結晶
本発明の HHTP— A型結晶は、 HHTPの 1水和物からなっている。
[0014] 本発明の HHTP— A型結晶は、モノクロメーターを通した λ = 1. 5418Aの銅放射 線で得られる X線回折スペクトルが格子面間隔(d) 9. 0— 10. 1にピークを有してい る。本発明の HHTP— A型結晶は、モノクロメーターを通した λ = 1. 5418 Αの銅放 射線で得られる X線回折スペクトルが格子面間隔 (d) 9. 5-9. 7にピークを有してい る。図 2に本発明の HHTP— A型結晶の X線回折スペクトル図を示す。
[0015] 本発明の HHTP— A型結晶の熱分解温度 (Td)は約 139°Cである。
[0016] HHTP— Α¾ί結晶の觀告方法
本発明の HHTP— Α型結晶は、例えば、 HHTP結晶をアセトン及び水の混合物に 溶解し、次いでこの溶液を減圧下に保持して、該溶液力もアセトンを留去すること〖こ より製造される。
[0017] 原料の HHTP結晶としては、公知の HHTP結晶を広く使用できる。例えば、上述し た特開平 8— 119894号公報、特開平 9— 118642号公報、特開平 9— 301906号公 報、特開平 11—255781号公報又は特開平 11—255690号公報に記載されている 方法で製造される HHTP結晶を ヽずれも使用できる。これらの特許文献に記載され ている方法で製造される HHTP結晶を本発明の方法で処理することにより、本発明 の HHTP— A型結晶を製造することができる。
[0018] 本発明においては、原料である HHTP結晶をアセトン及び水の混合物に溶解する 。この操作は、 HHTP結晶をアセトン及び水の混合物に溶解できる限り、公知の溶解 手段を広く適用することができる。原料の HHTP結晶はアセトン可溶性であるので、 まず HHTP結晶をアセトンに溶解しておき、次 、でこの溶液に水を加えるのが望まし い。
[0019] アセトン及び水は、アセトン一水混合溶液中の水 100容量部に対するアセトンの割
合が 50容積部程度以上、好ましくは 50— 120容積部程度、より好ましくは 100— 12 0容積部程度となるように、使用する。 HHTP結晶を含む水溶液を使用する場合、反 応液に含まれて 、る水の量を考慮して、アセトン及び水の混合割合を調節するのが 好ましい。
[0020] アセトンは、原料の HHTP結晶 lg当たり、通常 20ml程度以上、好ましくは 20— 60 ml程度、より好ましくは 20— 25ml程度となるように使用する。
[0021] 本発明では、 HHTP結晶をアセトン及び水の混合物に溶解した溶液を減圧下に保 持して、該溶液力もアセトンを留去する。
[0022] アセトンを留去する際の温度は、通常 5— 65°C程度、好ましくは 10— 55°C程度、よ り好ましくは 15— 50°C程度である。アセトンを留去する際の温度が上記範囲より高く なると、 HHTP結晶が分解して副生物が生成し、 HHTP結晶の純度が低下し、所望 の HHTP結晶を得ることが困難になる。逆に、アセトンを留去する際の温度が上記範 囲より低くなると、アセトン一水混合溶液を冷却するためのエネルギーが必要になり、 またアセトンの留去に長時間を要するので、経済的ではない。
[0023] アセトンを留去する際の減圧度は、通常 20kPa程度以下、好ましくは 0. 13— 18k Pa程度、より好ましくは 1. 3— 14. 5kPa程度である。減圧度を上記範囲より小さくす ると、高性能の真空ポンプが必要になり、また留去されるアセトンをトラップするための 冷却凝縮装置の負荷が非常に高くなるので、経済的に好ましくない。
[0024] 本発明の HHTP— A型結晶は、アセトンに可溶、水に不溶であるために、アセトンを 留去するに伴って、アセトン一水混合溶液から析出してくる。この析出物を慣用されて いる分離手段、例えば濾過等により単離し、通常の乾燥手段に従い乾燥することによ り、本発明の HHTP-A型結晶を製造することができる。
発明の効果
[0025] 本発明の HHTP— A型結晶は、優れた熱安定性を備えて!/、る。従って、本発明 HH TP— A型結晶を原料として用いて得られる機能性光学材料が組み込まれた機器は、 耐久性に優れ、長期に亘つて所望の性能を発揮でき、高い信頼性を保持することが できる。
[0026] 本発明の製造方法により、本発明の HHTP— A型結晶を容易に、工業的に有利に
製造することができる。
図面の簡単な説明
[0027] [図 1]参考例 1で得られた HHTP— B型結晶の X線回折スペクトル図である。
[図 2]実施例 1で得られた HHTP-A型結晶の X線回折スペクトル図である。
[図 3]実施例 1で得られた HHTP-A型結晶の IR ^ベクトル図である。
発明を実施するための最良の形態
[0028] 以下に参考例、実施例、比較例及び試験例を掲げて、本発明をより一層明らかに する。
[0029] 参考例 1
カテコール 16. 5g (0. 15モル)を、 70%硫酸水溶液 50mlに分散し、過硫酸アン モ-ゥム 34. 2g (0. 15モル)をカ卩えた。この混合物を室温で 7時間撹拌した後、沈殿 を濾取し、水洗した。この沈殿物にアセトン 300ml及び活性炭 1. 5gをカ卩え、室温で 30分撹拌した後、不溶物を濾別した。濾液にイオン交換水 300mlを加え、常圧下(1 01. 3kPa)、留去温度(56— 100°C)の条件で、アセトンを留去した。得られた沈殿 物を濾取し、減圧乾燥することにより、 HHTP結晶(この結晶を、以下「: HHTP— B型 結晶」という) 14. 2g (収率 83. 1%、純度〉 99%)を得た。
[0030] 得られた結晶の X線粉末回折スペクトルの測定は、株式会社リガク製の RINT200 0/PCを用いて行った。モノクロメーターを通した λ = 1. 5418 Αの銅放射線で得ら れる X線回折スペクトルは、図 1に示すような回折パターンを有していた。
[0031] この X線回折パターンの主なピークは、以下の通りである。
[0032] 2 Θ d 相対強度 (IZI )
11. 360 7. 7828 0. 35
17. 160 5. 1631 0. 52
18. 200 4. 8703 0. 14
22. 560 3. 9380 0. 25
26. 080 3. 4139 0. 20
27. 640 3. 2247 1. 00
33. 860 2. 6452 0. 11
44. 840 2. 0197 0. 15。
[0033] 実施例 1
上記参考例 1で得られた HHTP— B型結晶 14. 2gを、アセトン 300mlに溶解し、更 にイオン交換水 300mlを加えた後、減圧下にアセトンを留去した。この時、留去温度 は 23°Cから 50°Cに徐々に上昇し、減圧度は 17. IkPa力 12. IkPaに徐々に変ィ匕 した。アセトンを留去するに伴って、沈殿物が析出するので、この沈殿物を濾取し、減 圧乾燥することにより、 HHTP— A型結晶 13. 5g (収率 95. 0%、純度 > 99%)を得 た。 〇〇 〇
[0034] 得られた結晶の X線粉末回折スペ寸クOO C C
寸トルの
0 0 測定は、株式会社リガク製の RINT200 0/PCを用いて行った。モノクロメーターを通した λ = 1. 5418 Αの銅放射線で得ら れる X線回折スペクトルは、図 2に示すような回折パターンを有していた。
[0035] この X線回折パターンの主なピークは、以下の通りである。
[0036] 2 Θ d 相対強度 (IZI )
9. 220 9. 5838 1. 00
10. 160 8. 6992
17. 200 5. 1512
26. 340 3. 3808
27. 660 3. 2224 0. 41。
[0037] 上記で得られた結晶につ 、て、熱分析 (TG/DTA)を行った。
[0038] 熱分析 (TGZDTA)の条件は、次の通りである。
TGZDTA測定装置: SEIKO I&E製の TGZDTA200
測定温度範囲: 20— 600°C
昇温速度: 10°CZ分
キャリアーガス:窒素(200mlZ分)
アルミニウム製オープンサンプルパン上に、 HHTP結晶(約 10mg)を量り取り、そ の上から、アルミニウム製クリンビングカバー(中央部ガス抜き穴有り)を被せて、上記 測定装置のサンプル皿上に置き、上記測定条件で TGZDTA測定を行った。尚、リ ファレンスは α ΑΙ Ο (約 10mg)とした。
[0039] 熱分析 (TG/DTA)の結果、上記で得られた HHTP結晶の熱分解温度 (Td)は 約 139°Cであった。
[0040] IR ^ベクトルの測定条件は、次の通りである。
測定装置:解析側 QIR-RFX3002,日本電子データコム (株)製)、センサー側(
Dura Scope、 bENb IR Technologies社製)
測定様式:ダイヤモンド ATR法
バックグラウンド:空気。
[0041] 実施例 2
カテコール 16. 5g (0. 15モル)を、 70%硫酸水溶液 50mlに分散し、過硫酸アン モ-ゥム 34. 2g (0. 15モル)をカ卩えた。この混合物を室温で 7時間撹拌した後、沈殿 を濾取し、水洗した。この沈殿物にアセトン 300ml及び活性炭 1. 5gをカ卩え、室温で 30分撹拌した後、不溶物を濾別した。濾液にイオン交換水 300mlを加え、減圧下に アセトンを留去した。この時、留去温度は 22°Cから 50°Cに徐々に上昇し、減圧度は 1 7. 6kPaから 11. 9kPaに徐々に変化した。アセトンを留去するに伴って、沈殿物が 析出するので、この沈殿物を濾取し、減圧乾燥することにより、 HHTP— A型結晶 14 . 2g (収率 83. 1%、純度〉 99%)を得た。
[0042] この結晶を粉末 X線回折測定した結果、図 2に示す回折パターンと同じ回折パター ンを有していた。また、該結晶を熱分析 (TGZDTA)したところ、熱分解温度 (Td)は 約 139°Cであった。
[0043] 実施例 3
カテコール 16. 5g (0. 15モル)を、 70%硫酸水溶液 50mlに分散し、過硫酸アン モ-ゥム 34. 2g (0. 15モル)をカ卩えた。この混合物を室温で 7時間撹拌した後、沈殿 を濾取し、水洗した。この沈殿物にアセトン 360ml及び活性炭 1. 5gをカ卩え、室温で 30分撹拌した後、不溶物を濾別した。濾液にイオン交換水 300mlを加えた後、減圧 下にアセトンを留去した。この時、留去温度は 18°Cから 50°Cに徐々に上昇し、減圧 度は 14. IkPaから 12. IkPaに徐々に変化した。アセトンを留去するに伴って、沈殿 物が析出するので、この沈殿物を濾取し、減圧乾燥することにより、 HHTP— A型結 晶 14. 3g (収率 83. 6%、純度 > 99%)を得た。
[0044] この結晶を粉末 X線回折測定した結果、図 2に示す回折パターンと同じ回折パター ンを有していた。また、該結晶を熱分析 (TGZDTA)したところ、熱分解温度 (Td)は 約 139°Cであった。
[0045] 実施例 4
カテコール 16. 5g (0. 15モル)を、 70%硫酸水溶液 50mlに分散し、過硫酸アン モ-ゥム 34. 2g (0. 15モル)をカ卩えた。この混合物を室温で 7時間撹拌した後、沈殿 を濾取し、水洗した。この沈殿物にアセトン 500ml及び活性炭 1. 5gをカ卩え、室温で 30分撹拌した後、不溶物を濾別した。濾液にイオン交換水 1000mlを加えた後、減 圧下にアセトンを留去した。この時、留去温度は 25°Cから 65°Cに徐々に上昇し、減 圧度は 20. OkPaから 18. OkPaに徐々に変化した。アセトンを留去するに伴って、沈 殿物が析出するので、この沈殿物を濾取し、減圧乾燥することにより、 HHTP— A型 結晶 14. Og (収率 81. 9%、純度 > 99%)を得た。
[0046] この結晶を粉末 X線回折測定した結果、図 2に示す回折パターンと同じ回折パター ンを有していた。また、該結晶を熱分析 (TGZDTA)したところ、熱分解温度 (Td)は 約 139°Cであった。
[0047] 実施例 5
カテコール 16. 5g (0. 15モル)を、 70%硫酸水溶液 50mlに分散し、過硫酸アン モ-ゥム 34. 2g (0. 15モル)をカ卩えた。この混合物を室温で 7時間撹拌した後、沈殿 を濾取し、水洗した。この沈殿物にアセトン 850ml及び活性炭 1. 5gをカ卩え、室温で 30分撹拌した後、不溶物を濾別した。濾液にイオン交換水 800mlを加えた後、減圧 下にアセトンを留去した。この時、留去温度は 5°Cから 45°Cに徐々に上昇し、減圧度 は 0. 67kPa力ら 0. 13kPaに徐々に変化した。アセトンを留去するに伴って、沈殿物 が析出するので、この沈殿物を濾取し、減圧乾燥することにより、 HHTP— A型結晶 1 4. lg (収率 82. 5%、純度〉 99%)を得た。
[0048] この結晶を粉末 X線回折測定した結果、図 2に示す回折パターンと同じ回折パター ンを有していた。また、該結晶を熱分析 (TGZDTA)したところ、熱分解温度 (Td)は 約 139°Cであった。
[0049] 参考例 2
特開平 9 40596号公報記載の方法により HHTP前駆体を合成した。即ち、 1, 2— ジメトキシベンゼン 400g (2. 89モル)及び無水塩化第二鉄 944g (5. 76モル)をジク ロロメタン 4リットルに溶解し、室温で 20時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を濃 縮し、残渣を 3リットルの水に投入して不溶物を濾取した。これをァセトニトリル 1リット ル中に加えてスラリーの状態で室温下 5時間撹拌した。次にこれを吸引濾過し、濾別 した結晶を 40°Cで 12時間減圧乾燥すると、 2, 3, 6, 7, 10, 11一へキサメトキシトリ フエ-レンが 360g得られた。
[0050] 参考例 3
特開平 7-330650号公報記載の方法により HHTP前駆体を合成した。即ち、温水 (270ml)中に塩ィ匕第二鉄 · 6水和物 460g (l. 70モル)を完全に溶解し、そこへ 1, 2 ージメトキシベンゼン 60g (0. 43モル)を添加した。次に激しく撹拌しながら、室温下、 濃硫酸 980mlを 2時間かけて徐々に添加した。添加終了から 24時間後、氷水 4リット ルを徐々に添加し、 1時間後、反応混合物を吸引濾過し、濾別した結晶を 40°Cで 12 時間減圧乾燥すると、 2, 3, 6, 7, 10, 11一へキサメトキシトリフエ二レン力 5g得られ た。
[0051] 参考例 4
特開 2003— 201263号公報記載の方法により HHTP前駆体を合成した。即ち、 1 , 2—ジメ卜キシベンゼン 400g (2. 89モル)、無水塩ィ匕第二鉄 1644g (10. 14モル) 及びメタンスルホン酸 139g (l. 45モル)をクロ口ベンゼン 4リットル中に混合した後、 水 364mlを添加して 10°C以下で 4時間撹拌した。反応終了後、ァセトニトリル 3リット ル及び水 2リットルをカ卩えて水層を除去した。更に、ァセトニトリル 2リットルを添カロし、 析出した結晶を吸引濾過した。濾別した結晶を 40°Cで 6時間送風乾燥すると、 2, 3, 6, 7, 10, 11—へキサメトキシトリフエ-レンが 346g得られた。
[0052] 比較例 1
特開平 8—119894号公報に記載されて 、る方法に従 、、 HHTP結晶を製造した。 即ち、参考例 2で得た、 2, 3, 6, 7, 10, 11—へキサメ卜キシ卜リフエ-レン 51. 0g (0. 12モル)を窒素雰囲気下、酢酸 250mlに溶解した。この溶液に、 57%ヨウ化水素酸 水溶液 50ml (0. 19モル)を加え、窒素雰囲気下、撹拌しながら 6時間還流した。反
応液を室温まで冷却後、苛性ソーダ水溶液で中和し、反応混合物を吸引濾過し、濾 別した結晶を 40°Cで 12時間減圧乾燥することにより、 HHTP結晶 40. 6g (収率 95.
0%、純度〉 99%)が得られた。
[0053] この結晶を粉末 X線回折測定した結果、図 1に示す回折パターンと同じ回折パター ンを有していた。また、該結晶を熱分析 (TGZDTA)したところ、熱分解温度 (Td)は 約 162°Cであった。従って、この結晶は HHTP— B型結晶であることを確認した。
[0054] 比較例 2
特開平 8—119894号公報に記載されて 、る方法に従 、、 HHTP結晶を製造した。 即ち、参考例 3で得た、 2, 3, 6, 7, 10, 11—へキサメ卜キシ卜リフエ-レン 51. Og (0. 12モル)を窒素雰囲気下、酢酸 250mlに溶解した。この溶液に、 57%ヨウ化水素酸 水溶液 50ml (0. 19モル)を加え、窒素雰囲気下、撹拌しながら 6時間還流した。反 応液を室温まで冷却後、苛性ソーダ水溶液で中和し、反応混合物を吸引濾過し、濾 別した結晶を 40°Cで 12時間減圧乾燥することにより、 HHTP結晶 40. 4g (収率 94. 5%、純度〉 98%)が得られた。
[0055] この結晶を粉末 X線回折測定した結果、図 1に示す回折パターンと同じ回折パター ンを有していた。また、該結晶を熱分析 (TGZDTA)したところ、熱分解温度 (Td)は 約 162°Cであった。従って、この結晶は HHTP— B型結晶であることを確認した。
[0056] 比較例 3
特開平 8—119894号公報に記載されて 、る方法に従 、、 HHTP結晶を製造した。 即ち、参考例 4で得た、 2, 3, 6, 7, 10, 11—へキサメトキシトリフエ-レン 51. Og (0. 12モル)を窒素雰囲気下、酢酸 250mlに溶解した。この溶液に、 57%ヨウ化水素酸 水溶液 50ml (0. 19モル)を加え、窒素雰囲気下、撹拌しながら 6時間還流した。反 応液を室温まで冷却後、苛性ソーダ水溶液で中和し、反応混合物を吸引濾過し、濾 別した結晶を 40°Cで 12時間減圧乾燥することにより、 HHTP結晶 40. Og (収率 93. 5%、純度〉 99%)が得られた。
[0057] この結晶を粉末 X線回折測定した結果、図 1に示す回折パターンと同じ回折パター ンを有していた。また、該結晶を熱分析 (TGZDTA)したところ、熱分解温度 (Td)は 約 162°Cであった。従って、この結晶は HHTP— B型結晶であることを確認した。
[0058] 比較例 4
特開平 9—118642号公報に記載されて 、る方法に従 、、 HHTP結晶を製造した。 即ち、カテコール 16. 5g (0. 15モル)及び塩化第二鉄 · 6水和物 81. Og (0. 3モル) の混合物を、 50°Cに加熱し 7時間撹拌した。得られた反応混合物を 3規定の塩酸水 溶液 300mlに投入し、沈殿を濾別して水洗した。この沈殿物をメタノールに溶解し、 不溶部分を濾別した後、濾液に水を加えて析出した沈殿を濾別して得た結晶を、 40 °Cで 12時間減圧乾燥することにより、 HHTP結晶 7. 8g (収率 45. 6%、純度 > 98 %)が得られた。
[0059] この結晶を粉末 X線回折測定した結果、図 1に示す回折パターンと同じ回折パター ンを有していた。また、該結晶を熱分析 (TGZDTA)したところ、熱分解温度 (Td)は 約 162°Cであった。従って、この結晶は HHTP— B型結晶であることを確認した。
[0060] 比較例 5
特開平 9—118642号公報に記載されて 、る方法に従 、、 HHTP結晶を製造した。 即ち、カテコール 16. 5g (0. 15モル)及び塩化第二鉄 · 6水和物 81. Og (0. 3モル) の混合物を、 40°Cに加熱し 7時間撹拌した。得られた反応混合物を 3規定の塩酸水 溶液 300mlに投入し、沈殿を濾別して水洗した。この沈殿物を 10重量%のハイド口 サルファイトナトリウム水溶液で、沈殿が灰色になるまで洗浄後、再び水洗して、吸引 濾過を行って得た結晶を、 40°Cで 12時間減圧乾燥することにより、 HHTP結晶 12. 6g (収率 73. 6%、純度 > 97%)が得られた。
[0061] この結晶を粉末 X線回折測定した結果、図 1に示す回折パターンと同じ回折パター ンを有していた。また、該結晶を熱分析 (TGZDTA)したところ、熱分解温度 (Td)は 約 162°Cであった。従って、この結晶は HHTP— B型結晶であることを確認した。
[0062] 比較例 6
特開平 9— 301906号公報に記載されている方法に従い、 HHTP結晶を製造した。 即ち、無水塩化第二鉄 500g (3. 08モル)に氷冷下、水 333mlを加えた。この混合 物に、 41wt%のカテコール水溶液 277g (l. 03モル)を投入し、 50°Cで 1時間撹拌 した。反応終了後、 3規定塩酸水溶液 2. 3リットルを加え、ー晚静置した。析出した粗 結晶 HHTPを濾別して水洗後、窒素気流中で一昼夜風乾した。乾燥した粗結晶 H
HTP25gに、無水酢酸 500ml、亜鉛末 25g及びトリェチルァミン 20mlをカ卩え、 1時 間還流撹拌した。反応混合物を 80— 100°Cの温度で熱時濾過し、ー晚静置した。 生じた結晶を濾別し、無水酢酸、アセトン、メタノールで洗浄、乾燥することにより、 2, 3, 6, 7, 10, 11 キサァセトキシトリフエ-レン(HATP)結晶が 30. 8g得られた。
[0063] 上記で得られた HATP結晶を 2. 5容積%の無水酢酸ージメチルホルムアミド(DM F)溶液 240mlに溶解後、熱濾過を行い、ー晚静置した後、濾過し、 DMF及びメタノ ールで洗浄して乾燥することにより、純度の高い HATP結晶 19. 5gが得られた。
[0064] このようにして得られた HATP結晶 16. 5g (0. 028モル)をエタノール 150mlに懸 濁させ、これに 10%水酸ィ匕ナトリウム水溶液 82mlを添加したところ、反応液が濃紺 色に変化した。還流下 2時間撹拌後、反応液を 300mlの水に投入し、 6規定塩酸を 用いて pHを 1. 0に調整した。反応液中に析出した固形分を濾別し、 40°Cで 12時間 減圧乾燥することにより、 HHTP結晶 7. 8g (収率 80. 0%、純度 > 99%)が得られた
[0065] この結晶を粉末 X線回折測定した結果、図 1に示す回折パターンと同じ回折パター ンを有していた。また、該結晶を熱分析 (TGZDTA)したところ、熱分解温度 (Td)は 約 162°Cであった。従って、この結晶は HHTP— B型結晶であることを確認した。
[0066] 比較例 7
特開平 11 255781号公報に記載されて 、る方法に従 、、 HHTP結晶を製造した 。即ち、比較例 2で得られた HHTP— B型結晶 10. 4g (0. 03モル)のテトラヒドロフラ ン(THF) (100ml)溶液に、 N, N—ジメチル卜リメチルシリルァミン 25. 4g (0. 22モ ル)を加え、室温下 30分間撹拌し、次に加熱還流した。 3時間後、反応液をロータリ 一エバポレーターで濃縮し、 n キサン 300ml及び酢酸ェチル 30mlを添カ卩した。 その溶液に活性炭を加え、 30分間撹拌後、吸引濾過して濾液を濃縮することにより 、結晶性の固体 22. lgを得た。これをァセトニトリルを用いて再結晶化し、へキサキス トリメチルシリルォキシトリフエ-レン (HMSTP)結晶 16. Ogを得た。
[0067] 上記で得られた HMSTP結晶 16. 0g (0. 021モル)を酢酸 400ml中で約 1時間カロ 熱還流後、反応液を室温まで冷却して析出した結晶を濾別し、 40°Cで 12時間減圧 乾燥することにより、 HHTP結晶 6. 8g (収率 94. 0%、純度〉 99%)が得られた。
[0068] この結晶を粉末 X線回折測定した結果、図 1に示す回折パターンと同じ回折パター ンを有していた。また、該結晶を熱分析 (TGZDTA)したところ、熱分解温度 (Td)は 約 162°Cであった。従って、この結晶は HHTP— B型結晶であることを確認した。
[0069] 比較例 8
特開平 11—255690号公報に記載されて 、る方法に従 、、 HHTP結晶を製造した 。即ち、カテコール 15. Og (0. 14モル)及び塩化第二鉄 · 6水和物 146. 8g (0. 54 モル)の混合物を、 50— 60°Cに加熱し 7時間撹拌した。得られた反応混合物を 3規 定の塩酸水溶液 200mlに投入し、沈殿を濾別して水洗、飽和重曹水洗した。得られ た固体を、 40°Cで 12時間減圧乾燥すると、 HHTPを含有する黒色固体 17. Ogが得 られた。
[0070] 得られた黒色固体をシクロペンタノン 100mlに加熱溶解した後、熱時濾過を行い、 濾液を減圧濃縮することにより、粗結晶の HHTPとシクロペンタノンカ なる包接ィ匕合 物 6. 13gが得られた。更に、このものをシクロペンタノン 100mlに加熱溶解した後、 室温まで冷却すると、 HHTP1分子に対してシクロペンタノン 3分子が包接された結 晶 7. 13gが得られた。
[0071] この包接結晶を減圧下、 95°Cで 12時間乾燥することにより、 HHTP結晶 4. Og (収 率 25. 0%、純度 > 99%)が得られた。
[0072] この結晶を粉末 X線回折測定した結果、図 1に示す回折パターンと同じ回折パター ンを有していた。また、該結晶を熱分析 (TGZDTA)したところ、熱分解温度 (Td)は 約 162°Cであった。従って、この結晶は HHTP— B型結晶であることを確認した。
[0073] 試験例 1
実施例 1一 5で得られた HHTP— A型結晶及び比較例 1一 8で得られた HHTP— B 型結晶を各々遮光ガラス瓶に入れ、 60°Cの恒温槽中で 1ヶ月間放置した。その後、 これらの結晶を取り出し、 X線測定を実施したところ、これらの結晶の X線回折パター ンは、それぞれ変化は認められな力つた。
[0074] 試験例 2
実施例 1一 5で得られた HHTP— A型結晶及び比較例 1一 8で得られた HHTP— B 型結晶の各々 50mgをメタノールに溶解し、全量 100mlのメタノール溶液を調製した
。このメタノール溶液をセルに入れ、メタノールをリファレンスとして紫外可視分光分析 を行った。セルとして光路長 10mmのものを使用し、紫外可視分光分析機器は日立 製作所製のスぺクトロフォトメーター U— 3000を用いた。 360nm及び 520nmでの吸 光度 bsorbance) U定し 7こ。
[0075] 実施例 1一 5で得られた HHTP— A型結晶及び比較例 1一 8で得られた HHTP— B 型結晶を遮光ガラス瓶に入れ、 60°Cの恒温槽中で 1ヶ月間放置した後、これらの結 晶 50mgについても、上記と同様にして、 360nm及び 520nmでの吸光度を測定し た。
[0076] 結果を表 1に示す。
[0077] [表 1]
表 1から、実施例 1一 5で得られた HHTP— A型結晶は、熱安定性に優れており、 6 0°Cで 1ヶ月間放置する前後の着色度合いは同レベルであることが分かる。また、表 1 から、比較例 1一 8で得られた HHTP— B型結晶は、熱安定性に乏しく、 60°Cで 1ヶ月 間放置した場合、著しく着色することが分力る。