明 細 書
挿入装置
技術分野
[0001] 本発明は、医療装置の体腔内への挿入性を向上させる挿入装置に関する。
背景技術
[0002] 従来、内視鏡が備える細長の挿入部を管腔内に挿入することにより、管腔内の臓器 を観察し、必要に応じて挿入部に設けられている処置具挿通用チャンネル内に処置 具を揷通させて、各種治療及び処置を行える内視鏡が広く利用されて 、る。
[0003] 一般的に細長な挿入部を有する内視鏡には、挿入部の先端側に湾曲部が設けら れている。湾曲部は、この湾曲部を構成する湾曲駒に接続されている操作ワイヤが 進退されることによって、例えば上下方向及び左右方向に湾曲動作する。操作ワイヤ の進退は、術者が操作部に設けられている例えば湾曲ノブを回動操作することによ つて行うことができる。
[0004] 挿入部を複雑に入り組んだ管腔である、例えば大腸などのように 360° のループを 描く管腔に挿入する際、術者は、湾曲ノブを操作して湾曲部を湾曲動作させると共に 、挿入部を捻り操作して、挿入部の先端部を観察目的部位に向けて挿入していく。
[0005] しかし、複雑に入り組んだ大腸に、患者に苦痛を与えることなぐ挿入部を、短時間 にスムーズに揷通させることができるようになるまでには熟練を要する。経験の浅い術 者においては、挿入部を深部まで挿入していく際に、挿入方向を見失って挿通に手 間取ってしまうおそれや、挿入部を深部に向けて挿通させていく際に腸の走行状態 を変形させてしまうおそれがあった。このため、挿入部の挿入性を向上させるための 各種提案がなされている。
[0006] 例えば、特開平 10— 113396号公報には、生体管の深部まで容易に、且つ低侵襲 で医療機器を誘導し得る、医療機器の推進装置が示されている。この推進装置では 、回転部材に、この回転部材の軸方向に対して斜めのリブが設けてある。このため、 回転部材を回転動作させることにより、回転部材の回転力がリブによって推進力に変 換され、推進装置に連結されている医療機器が前記推進力によって、深部方向に移
動される。
[0007] し力しながら、特開平 10— 113396号公報の医療機器の推進装置においては、挿 入補助部材としての回転部材が医療機器の先端側に該医療機器に対して回転可能 ではあるが、この医療機器に略一体的に設けられる構成になっている。したがって、 例えば医療機器の先端に被検体内を観察するための観察手段、あるいは被検体内 の処置を行う処置具を揷通するための処置具揷通用チャンネルの開口の少なくとも 一方が備えられている場合、それら医療機器に前記技術を適用すると、次の不具合 が発生する。被検体を観察する際には、回転部材によって観察手段の観察視野を妨 げるおそれがある。被検体の処置対象部位に対して処置を行う場合には、回転部材 が処置の際の邪魔になるおそれがある。
[0008] 本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、医療機器の有する機能を低下さ せることなぐ医療装置の体腔内への挿入性を向上させる挿入装置を提供することを 目的にしている。
発明の開示
課題を解決するための手段
[0009] 本発明の挿入装置は、挿入装置は、被検体に挿入されて、被検体内において医療 行為を行う医療機器の被検体内への挿入を補助し、被検体内への挿入方向に前記 医療機器に対して相対的に進退可能な挿入部と、前記挿入部を挿入軸方向を中心 に回転させ、前記被検体内への前記挿入部の挿入に際して推進力を発生させる回 転部とを有している。
図面の簡単な説明
[0010] [図 1]図 1は挿入装置の構成を説明する図
[図 2]図 2は挿入部案内部材の構成を説明する図
[図 3]図 3は挿入部案内部材の大腸内への挿入状態を説明する図
[図 4]図 4は盲腸部近傍まで挿入された挿入部案内部材を示す図
[図 5]図 5は挿入部案内部材を内視鏡の挿入部に設けられている処置具挿通用チヤ ンネルに挿通する手順を説明する図
[図 6]図 6は挿入部案内部材を案内にして内視鏡の挿入部を大腸内に挿入している
状態を説明する図
圆 7]図 7は挿入部案内部材の他の構成を説明する図
圆 8]図 8は挿入部案内部材の別の構成を説明する図
圆 9]図 9は第 1案内管部と第 2案内管部とを有する挿入部案内部材の構成例を説明 する図
圆 10]図 10は第 1案内管部と第 2案内管部とを構成する金属素線を示す図
[図 11]図 11は図 10の XI— XI線断面図
[図 12]図 12は図 10の XII— XII線断面図
圆 13]図 13は第 1案内管部と第 2案内管部とを有する挿入部案内部材の他の構成を 説明する図
圆 14]図 14は第 1案内管部と第 2案内管部とを有する挿入部案内部材の別の構成を 説明する図
圆 15]図 15は挿入部案内部材の別の構成を説明する図
圆 16]図 16は挿入部案内部材のまた他の構成を説明する図
圆 17]図 17は挿入部案内管の構成を説明する図
圆 18]図 18は挿入部案内管の先導子が S字状結腸部に到達した状態を示す図 圆 19]図 19は挿入部案内管の先導子が S字状結腸部の腸壁の襞を乗り越えた状態 を示す図
圆 20]図 20は挿入部案内管の先導子が S字状結腸部を通過した状態を示す図 圆 21]図 21は挿入部案内管、大腸内における先導子、及びワイヤ部材の可撓状態 を示した大腸全体を示す図
圆 22]図 22は先導子が盲腸部近傍まで到達した状態における挿入部案内管の可撓 状態を示す図
圆 23]図 23はワイヤシャフトが貫通する貫通孔を有する先導子の構成を説明する図 [図 24]図 24は異なる偏心軸を有するワイヤシャフトの構成を説明する図
圆 25]図 25は挿入部案内管の横断面図
圆 26]図 26からワイヤシャフトの中間より挿入部案内管を見た正面図
圆 27]図 27は挿入部案内管の先導子が大腸の屈曲部に到達した状態を示す図
圆 28]図 28は挿入部案内管が回転した図
[図 29]図 29は挿入部案内管の構成を説明する図
圆 30]図 30は挿入部案内管の先導子が大腸の屈曲部に到達した状態を示す図 圆 31]図 31は挿入部案内管の先導子が大腸の腸壁の襞を乗り越える状態を説明す る図
[図 32]図 32は挿入部案内管の構成を説明する図
[図 33]図 33は挿入部案内管の構成を説明する図
圆 34]図 34は球体と保持部材が設けられた挿入部案内管の構成を説明する図 圆 35]図 35は球体と保持部材が設けられた挿入部案内管の先端部分の横断面図 圆 36]図 36は複数の回転子が設けられた挿入部案内管の構成を説明する図
[図 37]図 37は挿入部案内管の要部を拡大して示す要部拡大図。
圆 38]図 38は挿入部案内管の先端先導部材が S字状結腸部の屈曲部位の壁面に 接触した状態を示す図
圆 39]図 39はさらに挿入部案内管が進行されて先端先導部材の一部が屈曲した状 態を示す図
圆 40]図 40はさらに挿入部案内管が進行されて先端先導部材の一部がさらに屈曲 した状態を示す図
圆 41]図 41は挿入部案内管が盲腸部近傍まで挿入された状態を示す図 圆 42]図 42は挿入部案内管の構成の一部を拡大して示す要部拡大図
圆 43]図 43は挿入部案内管を大腸に挿入する際の作用を示し、挿入部案内管の先 端先導部材が S字状結腸部の屈曲部位の壁面に接触した状態を示す図
圆 44]図 44は挿入部案内管を大腸に挿入する際の作用を示し、さらに挿入部案内 管を押し込んで先端先導部材の一部が屈曲した状態を示す図
圆 45]図 45は挿入部案内管を大腸に挿入する際の作用を示し、さらに挿入部案内 管を押し込んで先端先導部材の一部がさらに屈曲した状態を示す図
[図 46]図 46は挿入装置において用いられる内視鏡用挿入補助具の構成の一部を拡 大して示す要部拡大図。
[図 47]図 47は挿入装置において用いられる内視鏡用挿入補助具の構成の一部を拡
大して示す要部拡大図。
圆 48]図 48は挿入部案内管を大腸に挿入する際の作用を示し、挿入部案内管の先 端先導部材が S字状結腸部の屈曲部位の壁面に接触した状態を示す図
圆 49]図 49は挿入部案内管を大腸に挿入する際の作用を示し、さらに挿入部案内 管が押し込んで先端先導部材の一部が屈曲した状態を示す図
圆 50]図 50は挿入部案内管を大腸に挿入する際の作用を示し、挿入部案内管が押 し込んで先端先導部材の一部がさらに屈曲した状態を示す図
圆 51]図 51はカプセル内視鏡が設けられた挿入部案内管の構成を説明する図 圆 52]図 52は挿入部案内管のカプセル型内視鏡が大腸の屈曲部に到達した状態を 示す図
圆 53]図 53は挿入部案内管のカプセル型内視鏡が大腸の腸壁の襞を乗り越える状 態を説明する図
圆 54]図 54はカプセル内視鏡が設けられた挿入部案内管の構成を説明する図 圆 55]図 55は図 54のカプセル内視鏡が設けられた挿入部案内管の先端部分の断 面図
圆 56]図 56はカプセル内視鏡が設けられた挿入部案内管の構成を説明する図 圆 57]図 57はカプセル内視鏡が設けられた挿入部案内管の構成を説明する図 圆 58]図 58は図 57のカプセル内視鏡が設けられた挿入部案内管の先端部分の横 断面図
圆 59]図 59はバルーンが設けられた挿入部案内管の横断面図
圆 60]図 60はバルーンが設けられた挿入部案内管が大腸の屈曲部に到達した図 圆 61]図 61は大腸内に挿入された挿入部案内管のバルーンの膨張を説明する図 圆 62]図 62は案内部材回転装置の構成を説明する長手方向断面図
圆 63]図 63は案内部材回転装置の構成を説明する正面図
圆 64]図 64は案内管を回転させるととともに直進移動させられる案内管回転装置を 説明する長手方向断面図
圆 65]図 65は案内管回転装置を説明する正面図
圆 66]図 66は挿入部に案内管揷通補助具を装着した内視鏡と挿入部案内部材とを
説明する図
圆 67]図 67は挿入部に先端キャップを装着した内視鏡と挿入部案内部材とを説明 する図
圆 68]図 68は挿入部に案内管揷通孔を形成した案内管揷通凸部を設けた内視鏡と 挿入部案内部材とを説明する図
圆 69]図 69は挿入部案内部材をとらえながら挿入される内視鏡の挿入部を説明する 図
圆 70]図 70は挿入装置の他の構成例を説明する図
圆 71]図 71は挿入装置の構成を説明する図
圆 72]図 72は挿入部案内部材の構成を説明するとともに、内視鏡の挿入部と挿入部 案内部材との位置関係を説明する図
[図 73]図 73は大腸内に配置された挿入部の外周側に配置された挿入部案内部材を 説明する図
[図 74]図 74は大腸の盲腸部近傍まで到達した挿入部の外周側に配置された挿入部 案内部材を説明する図
圆 75]図 75は位置決め回動手段を設けた挿入部案内部材及び挿入部の構成を説 明する図
圆 76]図 76は内視鏡の挿入部と挿入部案内部材との他の配置位置関係を説明する 図
圆 77]図 77は挿入部案内部材カも挿入部の湾曲部を突出させた状態で挿入部を大 腸内に挿入している状態を説明する図
圆 78]図 78は挿入部案内部材カも挿入部の湾曲部を突出させた状態で挿入部をさ らに大腸内の深部まで挿入させた状態を説明する図
圆 79]図 79は挿入部案内部材の構成を説明する図
[図 80]図 80は挿入部案内部材を案内部材回転装置によって大腸内に挿通させる状 態を説明する図
圆 81]図 81は挿入部案内部材を肛門から挿入した状態を説明する図
圆 82]図 82は挿入部案内部材を大腸の深部まで挿入させた状態を説明する図
[図 83]図 83は大腸の深部まで挿入され挿入部案内部材の内孔を介して内視鏡の挿 入部を盲腸部近傍に挿入した状態を説明する図
発明を実施するための最良の形態
[0011] 以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図 1乃至図 6を参照して挿入装置の第 1の実施形態を説明する。
図 1に示すように本実施形態の挿入装置 1は、医療装置である内視鏡 2と、内視鏡 用挿入補助具 3とで主に構成されて!、る。
[0012] 内視鏡 2は観察装置であり、挿入部 11、操作部 12、及びユニバーサルコード 13を 備えて構成されている。挿入部 11は長尺であり、例えば 500mm以上の長さを有す る。操作部 12は、挿入部 11の基端側に設けられている。ユニバーサルコード 13は操 作部 12の側部カも延出している。
[0013] 挿入部 11は先端側力 順に先端硬性部 14、湾曲部 15、及び可撓管部 16を連設 して構成されている。湾曲部 15は、例えば上下左右方向に湾曲自在に構成されて いる。可撓管部 16は柔軟性を有している。操作部 12には処置具入口 17が設けられ ている。処置具入口 17は、挿入部 11内に設けられてい処置具を揷通するための揷 通管路である処置具挿通用チャンネル(図 5の符号 1 la参照)に連通して 、る。
[0014] 内視鏡 2には外部装置として光源装置 4、ビデオプロセッサ 5及びモニタ 6が備えら れている。光源装置 4は内視鏡 2に照明光を供給する。ビデオプロセッサ 5は信号処 理回路を有し、内視鏡 2に設けられている図示しない撮像素子を駆動させる駆動信 号の供給とともに、撮像素子で光電変換されて伝送された電気信号を映像信号に生 成してモニタ 6へ出力する。モニタ 6の画面上にはビデオプロセッサ 5から出力された 映像信号を受けて内視鏡画像が表示される。
[0015] 内視鏡用挿入補助具 3は、挿入補助部材であって挿入部案内部材である例えば、 案内管 21と、案内管回転装置 22とで主に構成されている。案内管回転装置 22は、 回転部であるモータ 23と案内管固定部 24とを有している。モータ 23は、案内管 21を 案内管長手軸廻り(以下、軸廻りと記載する)の所定方向に回転させる。モータ 23は 、患者 7が横たわるベッド 8の近くに配置される、例えば回転装置用カート(以下、力 ートと略記する) 25の台 25aの上に設置される。具体的に、モータ 23は図示しない固
定部材によって、モータ 23のモータ軸 23aが台 25aの上部平面に対して平行になる ように、台 25a上に固定されている。
[0016] モータ 23のモータ軸 23aには案内管固定部 24がー体的に固定されるようになって いる。モータ軸 23aに固定された案内管固定部 24には案内管 21の一端部である基 端側端部が着脱自在に取り付けられるようになって 、る。
[0017] したがって、モータ 23を駆動状態にしてモータ軸 23aが回転すると、このモータ軸 2
3aに一体固定されていた案内管固定部 24に取り付けられた案内管 21が軸廻りに回 転する。
[0018] なお、符号 26は案内管 21が手術室内の床に触れるのを防止する保護管である。
保護管 26の内孔には案内管 21が遊嵌状態で挿通される。このことによって、案内管 21が床等に直接接触することが防止される。保護管 26の端部 26a、 26bは、それぞ れ保護管保持部材 27、 28に着脱自在に取付け固定される。一方の保護管保持部 材 27はベッド 8上に例えば高さ位置調整可能なスタンド 29を介して配置される。他方 の保護管保持部材 28はカート 25に設けられたテーブル 25b上にモータ 23に対畤し て配置される。前記保護管 26の代わりに雨樋形状等、図中長手上面側が開口して 可撓性を有する凹状部材を用いるようにしてもょ 、。
[0019] 図 2に示す案内管 21は体腔内へ挿入されるいわゆる挿入部であって、体腔内への 挿通性を考慮した例えば螺旋管である。案内管 21は、例えばステンレス製で所定の 径寸法の金属素線 31を螺旋状に 2層に卷回して所定の可撓性を有するように形成 したものである。したがって、案内管 21の外表面には、金属素線 31の表面が形成す る、螺旋形状部 21aが設けられている。
[0020] なお、金属素線 31を、多条 (例えば 4条)に巻いて案内管 21を構成するようしてもよ い。また、金属素線 31を螺旋状に巻いていくとき、金属素線間の密着度を高めたり、 螺旋の角度を変化させることによって、案内管 21の特性を種々設定することができる 。さらに、案内管 21の外径寸法は、内視鏡 2の処置具挿通用チャンネル 11a内に挿 通可能に設定される。
[0021] 上述のように構成した挿入装置 1の作用を説明する。
案内管 21を大腸に挿入するための準備手順を説明する。
[0022] 内視鏡 2の挿入部 11を大腸の例えば盲腸部まで挿通するに当たって、まず、医療 従事者 (スタッフと略記する)は、保護管 26と所望の挿入性を備えた案内管 21とを準 備する。次に、スタッフは、保護管 26のそれぞれの端部を、保護管保持部材 27、 28 に固定する。次いで、スタッフは、保護管 26の内孔に案内管 21を挿通させる。そして 、保護管 26から突出されている案内管 21の一端部を、モータ軸 23aに固定されてい る案内管固定部 24に取り付け、他端部を例えばスタンド 29に配置する。このことによ つて、案内管 21を大腸内に挿通させるための準備が完了する。なお、内視鏡用挿入 補助具 3の準備とともに、内視鏡 2、光源装置 4、ビデオプロセッサ 5、及びモニタ 6の 準備も行う。
[0023] 案内管 21を大腸に挿入する手順を説明する。
[0024] まず、図 1に示されているように術者 (不図示)は、案内管 21の先端側部を把持して 、ベッド 8上に横たわつている患者 7の肛門 71から案内管 21の先端部を大腸内に挿 入する。すると、案内管 21の外表面に形成されている螺旋形状部 21aが腸壁に接触 する。このとき、案内管 21に形成されている螺旋形状部 21aと腸壁の襞との接触状 態が、雄ねじと雌ねじとの関係になる。
[0025] この接触状態において、案内管回転装置 22のモータ 23を回転駆動状態にする。
すると、案内管固定部 24が回転して、この案内管固定部 24に取り付けられている案 内管 21が所定の回転をする。すると、図 3の矢印に示すように案内管 21の螺旋形状 部 21aが基端側力も先端側に移動するように軸廻り方向に回転した状態になる。
[0026] このことによって、回転された案内管 21の螺旋形状部 21aと腸壁の襞との接触部分 に、雄ねじが雌ねじに対して移動するような、案内管 21を前進させる推進力が発生 する。つまり、螺旋形状部 21aは、挿入部であり、推進力発生部である。そして、案内 管 21は、推進力によって大腸内を深部に向力つて進行していく。このとき、術者は、 把持している案内管 21を押し進めるように手元操作を行ってもよい。なお、推進力は 、案内管 21を押し進める手元操作の補助であってもよい。
[0027] 肛門 71から挿入された案内管 21は、前記推進力、及び術者の手元操作によって、 直腸 72から S字状結腸部 73に向力つて進んでいく。そして、図 3に示すように案内管 21が S字状結腸部 73に到達する。このとき、案内管 21の螺旋形状部 21aと腸壁との
接触長が長い。そのため、螺旋形状部 21aの一部が S字状結腸部 73の襞に接触し ている状態や、案内管 21が複雑に屈曲している状態でも安定した推進力が得られる 。カロえて、案内管 21が十分な可撓性を有していることから、容易に位置が変化する S 字状結腸部 73の走行状態を変化させることなぐ腸壁に沿ってスムーズに前進して S 字状結腸部 73を通過して ヽく。
[0028] この後、回転状態の案内管 21は、 S字状結腸部 73と可動性に乏しい下行結腸部 7 4との境界である屈曲部を通過し、下行結腸部 74と可動性に富む横行結腸部 75と の境界である脾湾曲 76を通過し、横行結腸 75と上行結腸部 78との境界である肝湾 曲 77の壁に沿うようにスムーズに前進していく。そして、図 4に示すように大腸の走行 状態を変化させることなぐ例えば目的部位である盲腸部 79近傍に到達する。
[0029] 術者によって案内管 21が盲腸部 79近傍まで到達したと判断されたなら、術者から の指示の元、スタッフは、保護管 26から突出している案内管 21の基端部を案内管固 定部 24から取り外す。そして、案内管 21を保護管 26から抜去する。
[0030] なお、本実施形態において案内管回転装置によって回転される案内管 21の回転 方向を、一方向(前進させる方向)のみに設定するようにしたり、左右回転を一定周期 、若しくは、任意の切り替えて行うように設定してもよい。案内管回転装置の左右の回 転を組み合わせることによって、案内管は体腔内で前進と後退とを繰り返す。このこと により、前進時、案内管の先端が、万一、腸の襞や小さな凹みに引つ力かった場合で も、後退時にその引つ力かりが外れる。そして、次に、前進するときには、腸の位置が 案内管の位置と微妙にずれることで、再び引つ力かることなく前進させることができる
[0031] 内視鏡 2の挿入部 11を大腸内に挿入する手順を説明する。
[0032] 術者は、保護管 26から抜去された案内管 21の基端部を、図 5の矢印に示すように 先端硬性部 14の先端面 14aに設けられている処置具挿通用チャンネル 11aに連通 している先端開口 14bから操作部 12側に向けて挿入していく。そして、案内管 21の 基端部を、図中の一点鎖線に示すように操作部 12に設けられている処置具入口 17 力 突出させる。
[0033] 術者は、案内管 21が処置具入口 17から所定量突出したことを確認したなら、挿入
部 11を大腸内に挿入するため、内視鏡 2を観察可能な状態にする。そして、術者は 、挿入部 11の処置具挿通用チャンネル 11a内に案内管 21が挿通されている状態で 、挿入部 11を構成する先端硬性部 14を肛門 71から大腸内に挿入する。すると、先 端硬性部 14の先端面に設けられている照明窓 14cから出射されている照明光で照 らされた大腸内の観察画像が観察部を構成する観察窓 14dを通して撮像素子の撮 像面に結像され、モニタ 6の画面上に案内管 21の画像を含んだ内視鏡画像が表示 される。
[0034] ここで、術者は、モニタ 6の画面上において大腸内に揷通されている案内管 21の延 出方向を確認しながら、湾曲部 15を湾曲させる操作や、挿入部 11を捻る操作等を 行いながら図 6に示すように挿入部 11を挿入していく。この際、予め大腸内に挿通さ れている案内管 21が、挿入部 11の挿入方向を示す目印になるので、術者は挿入方 向を見失うことなく大腸内の深部に向けての挿入作業をスムーズに行える。そして、 挿入部 11の先端硬性部 14が盲腸部 79近傍まで挿入される。
[0035] 術者は、挿入部 11が目的部位である盲腸部 79近傍に到達したことをモニタ 6の画 面上に表示されている内視鏡画像で確認したなら、大腸内の内視鏡検査を行うため に挿入部 11の引き戻し操作に移行する。その際、案内管 21を処置具挿通用チャン ネル 1 la内に揷通させたままの状態、又は案内管 21を処置具揷通用チャンネル 1 la から抜去した状態で検査を行う。
[0036] なお、内視鏡 2の挿入部 11を大腸に挿入させている状態において、案内管 21が、 大腸の深部力 肛門側へ戻ってしまった場合について説明する。そのような場合、術 者は、処置具挿通用チャンネル 11a内に案内管 21を挿通させたままの状態で、案内 管 21の基端部をモータ 23のモータ軸に固定されている案内管固定部 24に取り付け る。その後、術者は、再度、前述の案内管 21を大腸に挿入する動作を行って例えば 盲腸部 79近傍に到達させて、再度、内視鏡 2の挿入部 11を大腸に挿入する動作を 行う。
[0037] このように、案内管を、予め、大腸内の目的部位まで挿通させ、その後、体外に配 置されている案内管の基端部側を内視鏡に設けられた処置具挿通用チャンネル内 に挿通し、この処置具挿通用チャンネル内に案内管が挿通されている状態の挿入部
を大腸内に挿入していく。このことによって、内視鏡の観察窓を通して大腸内に挿通 配置されている案内管の観察を行いながら挿入部を深部に向けて挿入することがで きる。したがって、術者は、挿入部を挿入させていく挿入方向を見失うことなく挿入部 を挿入することができる。カロえて、案内管の挿入状態の観察を行うことによって、適切 な湾曲操作、捻り操作を行いながら挿入部をすることができる。このため、挿入部の 管腔の深部までの挿入をスムーズに短時間で行える。
[0038] また、案内管と案内管回転装置とで構成される内視鏡用挿入補助具において、案 内管の外表面に螺旋形状部を設けたことにより、案内管を例えば大腸内に挿入させ た状態で、案内管の螺旋形状部と腸壁の襞との接触状態が、いわゆる雄ねじと雌ね じとの関係になる。そして、この接触状態において、案内管回転装置のモータを回転 駆動させて、案内管を軸廻り方向に回転させることによって、案内管の回転力が推進 力に変換されて、雄ねじが雌ねじに対して移動するように、回転状態の案内管が大 腸の深部に向力つて進行させることができる。
[0039] 本実施形態にぉ 、ては、内視鏡の挿入部を挿入させる管腔を大腸として説明して いるが、挿入部が挿入される管腔は大腸に限定されるものではなぐ口腔から食道、 胃及び小腸まで等の管腔であってもよ 、。
[0040] また、本実施形態においては案内管 21を、所定の径寸法の金属素線 31を螺旋状 に 2層に卷回して構成した螺旋管としているが、案内管 21の構成はこれに限定され るものではなぐ以下の図 7から図 16までに示すような構成にしてもよい。
[0041] 図 7から図 16を参照して案内管の他の構成例を説明する。
図 7に示す案内管 21Aは、線径の異なる 2種類の金属素線 32、 33を組み合わせ て例えば一条の螺旋を卷回して螺旋形状部 21aを構成して 、る。この構成にお 、て 、金属素線 32、 33の線径は適宜選択設定される。
[0042] このように、案内管 21Aでは、螺旋形状部 21aが線径の異なる 2種類の金属素線 3 2、 33で構成される。このこと〖こよって、螺旋形状部 21aを形成する凹凸の大きさを適 宜変化させて、螺旋形状部 21aが腸壁の襞に接触した際に発生する推進力を適宜 調整することができる。
[0043] 図 8に示す案内管 21Bは、前述したように金属素線を螺旋状に卷回して構成する
代わりに、成形によって予め螺旋形状部 21aを設けて構成された軟質榭脂パイプ部 材 34、又は軟質榭脂部材で形成されて!ヽるパイプ部材の外周面を切削加工して螺 旋形状部 21aを形成した軟質榭脂パイプ部材 34によって構成する。
[0044] このように、案内管 21Bは、螺旋形状部 21aを有する軟質榭脂パイプ部材 34で構 成される。このことによって、成型によって安価な案内管を得ることができるので、案 内管の使い捨てが実現可能になる。また、螺旋形状部 21aを成形、切削等によって 形成することによって、螺旋形状部 21aの形状、ピッチの変更等を容易に行うことが できる。したがって、管腔に適した螺旋形状部 21aを備えた案内管の提供や、術者の 要望する形状の螺旋形状部 21aを備えた案内管の提供を行える。
[0045] 図 9に示す案内管 21Cにおいては、体腔内に挿入される先端から中途部までを構 成する第 1案内管部 20Aの可撓性と、体腔外に配置される中途部から基端までを構 成する第 2案内管部 20Bの可撓性とを変化させている。具体的には、第 1案内管部 2 OAの可撓性を第 2案内管部 20Bの可撓性に比べて柔軟に構成している。そのため 、案内管 21Cを構成する図 10に示す金属素線 35を、図 11に示すように断面形状を 曲がり易い円形で形成した先端側部 35aと、図 12に示すように断面形状を曲がり難 V、角形で形成した基端側部 35bとで構成して 、る。
[0046] このように、案内管 21Cでは、体腔外に位置するように構成される第 2案内管部 20 Bの可撓性を、体腔内に挿入される第 1案内管部 20Aの可撓性より硬くして構成され る。このことによって、可撓性を一律に構成した上述の案内管 21、 21A、 21Bに比べ て、案内管 21 Cの先端部側への回転力の伝達性を大幅に向上させることができる。 また、案内管 21Cにおいては、第 1案内管部 20Aを複雑に入り組んだ管腔内の深部 までスムーズに挿通させることができる一方、第 2案内管部 20Bを内視鏡 2の処置具 揷通用チャンネル 1 laにスムーズに揷通させることができる。
[0047] なお、体腔内に挿入配置される先端から中途部までを構成する第 1の案内管部 20 Aの可撓性と、体腔外に配置される中途部から基端までを構成する第 2の案内管部 2 OBの可撓性とを変化させる構成は、前記図 9ないし前記図 12に示した金属素線 35 の断面形状に限定されるものではない。
[0048] 例えば、図 13に示す案内管 21Dでは、異なる 2種類の金属素線 36、 37を使用し
て第 1の案内管部 20Aの可撓性と、第 2の案内管部 20Bの可撓性とを変化させる。 具体的には、第 1の案内管部 20Aを構成する金属素線 36と、第 2の案内管部 20Bを 構成する金属素線 37とでは、例えば、線径、或いは、材質の特性、又は熱処理等の 違いによって可撓性が変化される。符号 38は異なる金属素線 36、 37どうしを一体的 に連結するための連結固定部材 38である。
[0049] また、図 14に示す案内管 21Eでは、同一の金属素線 39を使用する一方で、金属 素線を卷回して構成される螺旋部分の層数を変化させることにより、第 1の案内管部 20Aの可撓性と、第 2の案内管部 20Bの可撓性とを変化させる。この場合、第 1の案 内管部 20Aの外径寸法を、第 2の案内管部 20Bの外径寸法より細径に形成する。
[0050] さらに、前記図 8に示した榭脂製の案内管 21Bにおいて、図示は省略するが管の 肉厚を変えることによって、第 1の案内管部 20Aの可撓性と、第 2の案内管部 20Bの 可撓性とを変化させるようにしてもょ ヽ。この場合にお 、ても前述と同様に外径寸法 を変化させる。
[0051] 上述した案内管 21、 21A、 21B、 21C、 21D、 21Eは、素線を卷回したり、榭脂部 材に螺旋を設けた構成を示している。しかし、図 15に示すようにチューブ体 41に螺 旋形状部 21aを構成する粗巻きコイル 42を被せるように配置させて案内管 21Fを構 成するようにしてもょ 、。符号 43は粗巻きコイル 42の端部をチューブ体 41に一体に 固定する固定部である。粗巻きコイル 42の端部は、固定テープ 44aと接着剤 44bと によって、チューブ体 41に一体固定される。
[0052] 上述した案内管 21、 21A、 21B、 21C、 21D、 21E、 21Fにおいては螺旋形状部 2 laを全長に亙って連続的に設けている。しかし、図 16に示すように第 1の案内管部 2 OAにおいて、螺旋形状部 21aの推進力を考慮した上で等間隔、或いは任意の間隔 で、螺旋形状部 21aを有する螺旋体部 21bを部分的に複数、設ける構成にしている 。このこと〖こよって、案内管 21Gにおいては、螺旋形状部 2 laと体壁との接触部分が 減少されて、体壁に力かる負担の軽減を図れる。
[0053] 上述したように、螺旋形状部を部分的に複数、あるいは連続的に設けることによつ て、管腔内壁と螺旋形状部との接触面積を確保できる。このことによって、案内管の 推進力の向上を図れる。
[0054] 図 17乃至図 28を参照して挿入装置の第 2実施形態を説明する。
本実施形態の挿入装置の構成は、上述した第 1の実施形態と略同様の構成であり 、挿入部案内部材の先端側に先端先導部材が設けられている構成が第 1の実施形 態と異なっている。したがって、上述の第 1の実施形態と同様の構成については、そ の図示及び詳細な説明は省略し、異なる部材のみについて以下に説明する。
[0055] 図 17を参照して先端先導部材を有する案内管 21の構成を説明する。
図に示すように案内管 21は可撓性を考慮した螺旋管であり、金属素線 31を螺旋状 に 2層に卷回して形成されている。したがって、案内管 21の外表面には金属素線 31 の表面が形成する螺旋形状部 21aが設けられている。
[0056] 本実施形態の案内管 21の先端部には先端先導部材を構成する先導子 50とワイヤ シャフト部材 (以下、単にワイヤ部材と略記する) 51とが設けられている。ワイヤ部材 5 1は案内管 21の先端力 延出するように設けられている。具体的に、ワイヤ部材 51は 、案内管 21の先端部に対して、例えば、ろう接などによる固定部 52によって一体的 に固定されている。先導子 50はワイヤ部材 51の先端に設けられた略球体である。
[0057] ワイヤ部材 51は、案内管 21の長手中心軸と同じ軸上に長手中心軸を有するように 、固定部 52によって案内管 21の先端に固定される。したがって、ワイヤ部材 51は、 案内管 21と同心軸上に設けられる。ワイヤ部材 51は 10mmから 100mmの長さを有 し、例えば、ステンレス又はピアノ線などの金属単線で形成されている。また、ワイヤ 部材 51は、案内管 21の可撓性よりも高い可撓性を有している。言い換えれば、ワイ ャ部材 51は案内管 21より橈み易く構成されている。
[0058] なお、ワイヤ部材 51は、前述した金属単線に限定されることなぐ金属より線であつ ても良い。また、ワイヤ部材 51の材質は、所定の可撓性を有する、ブラスティックなど の石油化合物又はゴムなどの弾性体でも良い。さらに、ワイヤ部材 51は、超弾性合 金ワイヤでも良い。超弾性合金ワイヤをワイヤ部材 51に使用することによって、極度 に屈曲させても元に戻る復元力が強くなる。このため、 Uターンされることなぐ管腔 内の深部方向に案内管 21が挿入し易くなる。
[0059] 次に、ワイヤ部材 51の先端に固定される先導子 50について、詳細に説明する。
[0060] 先導子 50は例えば金属部材で略球体に形成され、その表面は滑らかな案内面に
なっている。この略球体である先導子 50は、その中心点がワイヤ部材 51の長手軸上 に位置するように、ワイヤ部材 51の先端に取り付けられている。先導子 50の直径は、 所定の直径、 2mmから 30mmの範囲に設定される。また、先導子 50の直径寸法は 、患者 7の管腔内径、或いは内視鏡 2の処置具揷通用チャンネル 11aの内径のいず れかに応じて選択的に設定される。
[0061] なお、先導子 50の材質についても金属部材に限定されることなぐ生体適合性を 有してその表面が滑らかな略球面の案内面を有するプラスチックなどの石油化合物 又はゴムなどの弾性体であっても良い。つまり、大腸などの管腔の内壁の襞を乗り越 えるための滑り性が良好であること、つまり摩擦係数が小さな材質であるものが好まし い。また、先導子 50は、軽量な材質が好ましぐ軽量ィヒにおいては、先導子 50の内 部を例えば中空にしても良い。さらに、透明な榭脂等で構成することも好ましい。
[0062] 上述のように構成した先導子 50を備えた案内管 21の作用を説明する。
ここで、案内管 21を大腸に挿入するための準備手順は、上述の第 1の実施形態と 同様であるのでその説明は省略する。
[0063] 次に、案内管 21を大腸に挿入する動作を説明する。
まず、前記図 1に示されているように術者 (不図示)は、案内管 21の先端側部を把 持して、ベッド 8上に横たわつている患者 7の肛門 71から案内管 21の先端部を大腸 内に挿入する。すると、案内管 21の外表面に形成されている螺旋形状部 21aが腸壁 に接触する。このとき、案内管 21に形成されている螺旋形状部 21aと腸壁の襞との接 触状態が、雄ねじと雌ねじとの関係になる。
[0064] この接触状態において、術者は、案内管回転装置 22のモータ 23を回転駆動させ る。すると、案内管 21が軸廻り方向に回転される。このとき、案内管 21の先導子 50は 、案内管 21及びワイヤ部材 51からの回動が伝達され軸廻り方向に回転される。回転 された案内管 21の螺旋形状部 21aと腸壁の襞との接触部分に、雄ねじが雌ねじに 対して移動するような、案内管 21を前進させる推進力が発生する。そして、案内管 2 1は、推進力によって直腸 72を S字状結腸部 73に向力つて進行していく。
[0065] 図 18に示すように案内管 21の先導子 50が S字状結腸部 73に到達する。このとき、 案内管 21の先導子 50の案内面が S字状結腸部 73の襞に接触した状態になる。襞
を有する S字状結腸部 73の腸壁に接触する先導子 50は、案内管 21の回転に合わ せて回転しながら、その略球状表面である案内面の一部分と接触する襞をスムーズ に乗り越える。さらに、案内管 21が大腸内部を前進すると、先導子 50は、ワイヤ部材 51によって S字状結腸部の屈曲部分に沿って押されることにより、案内管 21を進行 方向に誘導していく。
[0066] それに合わせて、図 19に示すようにワイヤ部材 51が S字状結腸部の屈曲部分に沿 つて橈み、その後、図 20、図 21に示すようにワイヤ部材 51が接続されている案内管 21の先端部分が同じように橈んで、 S字状結腸部 73の側壁に沿って誘導される。ま た、先導子 50が S字状結腸部 73の腸壁に接触している状態においても、案内管 21 の螺旋形状部 21aと腸壁の襞とが雄ねじと雌ねじとの関係になる。このため、回転さ れている状態の案内管 21は、可撓性に富んで容易に位置が変化する S字状結腸部 の位置を変化させることなぐ腸壁に沿ってスムーズに前進していく。
[0067] そして、回転されている状態の案内管 21は、先導子 50が腸壁の襞を乗り越えなが らワイヤ部材 51の橈み方向に引きずられるように、 S字状結腸部 73を通過する。こう して、図 22に示すように、案内管 21は、 S字状結腸部 73と可動性に乏しい下行結腸 部 74との境界となる屈曲部、下行結腸部 74と可動性に富む横行結腸部 75との境界 となる屈曲部である脾湾曲 76、横行結腸部 75と上行結腸部 78との境界となる屈曲 部である肝湾曲 77の腸壁に沿うようにスムーズに前進し、大腸の走行状態を変化さ せることなく例えば盲腸部 79近傍に到達する。
[0068] この進行過程において、案内管 21の螺旋形状部 21aと腸壁との接触長が長いため 、先導子 50が腸壁に接触している状態、及び案内管 21が複雑に屈曲している状態 においても、安定した推進力が得られる。カロえて、案内管 21が十分な可撓性を有し ているので、大腸の内部を進行中に、例えば、容易に位置が変化する S字状結腸部 73の位置を変化させることなぐ腸壁に沿ってスムーズに前進していく。
[0069] 案内管 21の先端の先導子 50が盲腸部 79近傍まで到達せられたら、保護管 26か ら突出している案内管 21の基端部を案内管固定部 24から取り外す。その後、案内 管 21を基端部側から保護管 26から抜去する。
[0070] 次に行われる手順、すなわち内視鏡 2の挿入部 11を大腸内に挿入する手順、及び
大腸内の内視鏡検査手順については、上述の第 1の実施形態と全く同様であるので その説明は省略する。
[0071] このように、本実施形態の挿入装置によれば、案内管を管腔内、例えば大腸などに 挿入する際、案内管の先端側に設けた先導子の略球面である案内面の一部が腸壁 の襞に接触することによって、腸壁の襞を容易に乗り越えることができる。
[0072] また、案内管のワイヤ部材が先導子の進行方向に橈むことによって、案内管は大腸 などの各屈曲部の屈曲に沿って、深部方向に向力つて容易に挿入させることができ る。
[0073] したがって、予め管腔内に挿通された案内管に沿わせて、内視鏡の挿入部を推し 進めていくことによって、深部までの挿入を容易に行うことができる。これらのことによ つて、患者に苦痛を与えることなぐよりスムーズ、且つ、短時間で内視鏡の挿入部を 目的部位まで挿入することが可能になる。
[0074] なお、先導子の構成は上述した実施形態に限定されるものではなぐ例えば図 23 に示すような構成であってもよい。本実施形態の先導子 50Aは、図 23に示すよう〖こ 先導子中心にワイヤ部材 51が揷通配置される貫通孔を有して 、る。ワイヤ部材 51の 先端、及び中途部所定位置には、先導子 50を回動自在に狭設する一対のストツバ 5 laが設けられている。これらストッパ 51aの外形は、先導子 50に設けられた貫通孔の 開口よりも大きく設定されている。したがって、先導子 50は、ワイヤ部材 51の長手軸 廻りに回動自在に配置されて!、る。
[0075] この構成の先導子 50Aにおいては、表面である案内面が腸壁に接触すると、ワイ ャ部材 51が空回りする。また、大腸などの屈曲部に達すると、先導子 50は適度な回 動を行う。その結果、先導子 50は、その案内面が腸壁に必要以上の回転負荷を与 えることなぐ且つ腸壁の襞を容易に乗り越えられる。従って、案内管 21を、よりスム ーズに大腸などの深部まで到達させることができる。
[0076] また、ワイヤ部材 51と案内管との位置関係は上述した実施形態で示したようにワイ ャ部材 51と案内管 21とを同心軸上に設ける構成に限定されるものではなぐ図 24乃 至図 26に示すような構成であってもよい。
[0077] 本実施形態においては、図 24に示すように案内管 21の先端に設けられるワイヤ部
材 51の長手軸と、案内管 21の長手軸とは異なる軸を有している。つまり、ワイヤ部材 51は、案内管 21の中心軸に対して偏心して設けられている。言い換えれば、ワイヤ 部材 51の長手軸は、案内管 21の回転軸力も位置ずれした偏心軸である。
[0078] 図 25及び図 26に示すようにワイヤ部材 51の基端部分は、案内管 21の管路内面と 偏心部材 53の表面とで挟まれるように、案内管 21の先端部分に挿入され、固定部 5 2によって一体的に固定されている。ワイヤ部材 51の先端には先導子 50が固定され ている。そして、ワイヤ部材 51の長手軸が先導子 50の中心を通るように配置されて いる。つまり、案内管 21の先端には偏心軸を有するワイヤ部材 51が設けられ、ワイヤ 部材 51の先端には先導子 50が設けられている。
[0079] 図 27及び図 28を参照して案内管 21の中心軸に対して偏心したワイヤ部材 51を有 する案内管 21の作用を説明する。
案内管 21が軸廻り方向に回転されて、案内管 21が雄ねじが雌ねじに対して移動 するように大腸内を進行していく。そして、図 27に示すように案内管 21が大腸の屈曲 部に到達したとき、先導子 50の案内面の一部が腸壁に接触する。この状態において 案内管 21は回転しているため、図 28に示すように、先導子 50は、ワイヤ部材 51の偏 心軸に合わせて軸廻り方向の位置がずらされる。よって、先導子 50は、案内管 21の 回転に伴って軸廻り方向の位置を変えながら腸壁を動くため、腸壁の襞をスムーズ に乗り越え易くなる。従って、案内管 21は、容易に大腸などの深部まで到達すること ができる。
[0080] 図 29乃至図 35を参照して挿入装置の第 3実施形態を説明する。
本実施形態の挿入装置の構成は、上述した第 2の実施形態と略同様の構成であり 、挿入部案内部材の先端側に設けられている先端先導部材の構成が若干、第 2の 実施形態と異なっている。したがって、上述の第 1の実施形態と同様の構成について は、その図示及び詳細な説明は省略し、異なる部材のみについて以下に説明する。
[0081] 図 29に示すように本実施形態の案内管 21の先端にはワイヤ部材 51が取り付けら れている。そして、このワイヤ部材 51には、複数、ここでは、 5つの先導子 50Aが設け られる。 5つの先導子 50Aには、その中心を通るように貫通孔が設けられている。貫 通孔にはワイヤ部材 51が挿通される。貫通孔の径寸法は、ワイヤ部材 51の直径より
大きく設定されている。また、ワイヤ部材 51の先端には、先導子 50Aの貫通孔の開 口よりも外形の大きなストッパ 51aが設けられている。 5つの先導子 50Aは、ストッパ 5 laによって、ワイヤ部材 51から脱落しな 、ように設けられる。
[0082] よって、ワイヤ部材 51が挿通する 5つの先導子 50Aのうち、最先端の先導子 50A の先端開口部側の表面にストツバ 51aが当接し、最後端の先導子 50Aの基端開口 部側の表面に案内管 21の先端面側と当接する。従って、 5つの先導子 50Aは、ワイ ャ部材 51から脱落することが防止され、ワイヤ部材 51に対して回動自在、又は停止 することができる。
[0083] 図 30及び図 31を参照して複数の先導子 50Aを設けた案内管 21の作用を説明す る。
案内管 21が軸廻り方向に回転されて、案内管 21が雄ねじが雌ねじに対して移動 するように、大腸内を進行していく。そして、図 30に示すように案内管 21の先端側に 位置する先導子 50Aの案内面の一部が大腸などの腸壁、特に S字状結腸部 73 (図 21参照)などの屈曲部の腸壁に当接、接触する。このとき、先端の先導子 50Aは、ヮ ィャ部材 51に対して、回転自在なため、案内管 21が回転しても先端の先導子 50A は回転しない。従って、先端の先導子 50Aが接触する大腸などの腸壁に無駄な負 荷を与えることがない。
[0084] また、図 31に示すように、大腸などの屈曲部の腸壁を通過する 5つの先導子 50A は回動自在なため、案内管 21と一緒に回転するワイヤ部材 51の影響が少ない。この ため、 5つの先導子 50Aは、通過する腸壁の襞の状態に合わせて矢印に示すように 、軸廻り方向、又は軸廻り方向と反対方向のうち、最良の方向に回転することができ る。つまり、各先導子 50Aの案内面は、軸廻り方向又は軸廻り方向と反対方向のうち 、どちらか一方に回転しながら腸壁の襞をスムーズに乗り越えていく。
[0085] そして、さらに、案内管 21が大腸内部を進むと、スムーズに S字状結腸部 73の屈曲 部分に沿って先導子 50Aが誘導される。それに合わせて、ワイヤ部材 51が S字状結 腸部 73の屈曲部分に沿って橈み、接続されている案内管 21の先端部分が同じよう に橈んで引きずられるように誘導されていく。つまり、回転されている状態の案内管 2 1は、先端の先導子 50Aが腸壁の襞を乗り越えながらワイヤ部材 51の橈み方向に引
きずられるように、大腸の各屈曲部を通過して、容易に大腸などの深部まで到達する ことができる。
[0086] 以上の結果、第 2実施形態の効果に加え、案内管 21の 5つの先導子 50Aが、腸壁 と接触したときに、回転しなかったり、特に管腔の各屈曲部においては、ワイヤ部材 5 1の回転に影響されず、自在に回転するため、腸壁に無理な負荷を与えることなぐ 腸壁の襞を容易に乗り越えることができる。
[0087] 従って、術者は、案内管及び内視鏡 2の挿入部 11をスムーズに大腸などの深部ま で到達させることができる。このことによって、患者に苦痛を与えることなくスムーズに 、かつ短時間で内視鏡の挿入部を目的部位まで挿入することができる。
[0088] なお、図 32に示すようにワイヤ部材 51に複数の、ここでは 5つの先導子を設ける際 、最先端に位置する先導子 50をワイヤ部材 51に固定し、 4つの先導子 50Aに、その 中心を通るようにワイヤ部材 51が挿通する貫通孔を設けて、最先端の先導子 50以 外の先導子 50A力 Sワイヤ部材 51の長手軸廻りに回動自在にしてもょ 、。
[0089] また、図 33に示すように例えば 8つの先導子をワイヤ部材 51に設け、先端と中間の 2つの先導子 50をワイヤ部材 51に固定して、残りの 6つの先導子 50Aに、その中心 を通るようにワイヤ部材 51が挿通する貫通孔を設けて、 6つの先導子 50A力ワイヤ部 材 51の長手軸廻りに回動自在にしてもよい。
[0090] 先導子の配置例としては、図 33に示すように例えば先端と中間の先導子 50の間に 、回動自在な 6つの先導子 50Aのうち 3つを設け、それら以外の 3つの先導子 50Aを ワイヤ部材 51上の基端側、つまり、中間の先導子 50から案内管 21までのワイヤ部材 51上に設ける。この結果、ワイヤ部材 51の回動力が、先端と中間に位置するワイヤ 部材 51に固定される先導子 50に伝達されて、案内管 21の推進力がより向上する。
[0091] さらに、第 2実施形態及び第 3実施形態においては、案内管 21の先端にワイヤ部 材 51を設け、そのワイヤ部材 51に対して少なくとも 1つの先導子を設けた構成の先 端先導部材を示しているが、先端先導部材の構成はこれらに限定されるものではなく 、図 34及び図 35に示すような構成であってもよい。
[0092] 図 34及び図 35に示すように本実施形態においては、案内管 21の先端側に、例え ば 3つの球体を狭持する滑らかな外表面で構成された案内面を有する保持部材 55
を設ける構成である。この保持部材 55は、分割される 2つの部材で構成され、それぞ れの構成部材の内部に等間隔に 3つの穴部 56を有する。これら 3つの穴部 56には、 表面に案内面を有する球体 57がそれぞれ配置される。分割する 2つの構成部材の 先端には、キャップ 50aが設けられる。このキャップ 50aによって分割された 2つの構 成部材を一体にして保持部材 55が構成される。
[0093] 保持部材 55は略円柱形状であり、その外周面の対向する 2方向に面取り 55aが施 されている。従って、球体 57の案内面の一部が保持部材 55の有するその面取り 55a 力も露出される。さらに、 3つの穴部 56の穴径は、球体 57の直径より若干、大きい径 に設定されている。この結果、保持部材 55内に配置された球体 57は、自在に多様な 回転をすることができる。このため、上述したように球体 57が自在に回動されて案内 管 21を容易に挿入することができる。
[0094] 又、図 36に示すように案内管 21の先端に、複数の、ここでは 4つの一対の回転子 5 8をワイヤ部材 51の長手方向軸に対して略直交するように設けるようにしてもよい。こ れら一対の回転子 58は、例えば略ドーナッツ形状をしており、その表面に大腸など の腸壁の襞を乗り越えるための滑らかな案内面を有している。回転子 58に設けられ ているそれぞれの貫通孔には支軸 59が貫通される。これら支軸 59の両端には、回 転子 58の貫通孔より大きい抜け止め部 59aが設けられる。したがって、これら回転子 58は、支軸 59に対して回動自在に配置される。また、これら回転子 58は、ワイヤ部 材 51の先端側から、交互に、直交する方向の軸を有するように配置されている。つま り、隣り合う回転子 58の回動軸は、交互に略直交する方向になっている。
[0095] このことによって、案内管 21を大腸の深部方向へ前進させた際、回転子 58が回動 されて、回転子 58の案内面に接触する腸壁の襞を容易に乗り越えることができる。
[0096] 図 37乃至図 41を参照して本発明の第 4実施形態を説明する。
本実施形態の挿入装置の構成は、上述した第 2実施形態と略同様の構成であり、 挿入部案内部材の先端側に設けられる先端先導部材の構成が若干、第 2の実施形 態と異なっている。したがって、上述の第 2の実施形態と同様の構成については、そ の図示及び詳細な説明は省略し、異なる部材のみについて以下に説明する。
[0097] 図 37に示す案内管 21は体腔内への挿通性を考慮した螺旋管である。案内管 21
は、例えばステンレス製で所定の径寸法の金属素線 31を螺旋状に 2層に卷回して所 定の可撓性を有するように形成したものである。
[0098] 案内管 21の先端部には、先導子 50とワイヤシャフト部材 (以下、単にワイヤ部材と 略記する) 60とで構成された先端先導部材が設けられて 、る。ワイヤ部材 60は第 1 の軟性部 61と、第 2の軟性部 62とで構成されている。先導子 50は、先導部材の最先 端を構成する、外表面が円滑に形成された略球体である。第 1の軟性部 61は、案内 管 21寄りの部位である基端部側に設けられた可撓性を有する線状部材である。第 2 の軟性部 62は、先導子 50と第 1の軟性部 61とを連設する可撓性を有する線状部材 である。
[0099] 本実施形態において、案内管 21と、第 1の軟性部 61と、第 2の軟性部 62とは、い ずれも可撓性を有し、第 1の軟性部 61は、第 2の軟性部 62よりも柔軟性を有するよう に設定されている。
[0100] すなわち、両軟性部 61、 62の可撓性を比較すると、
第 2の軟性部 62の可撓性 > 第 1の軟性部 61の可撓性
の関係になっている。
[0101] また、第 2の軟性部 62は、案内管 21よりも柔軟性を有するように、若しくは両者が略 同等の可撓性を有するように設定されている。
[0102] すなわち、案内管 21の可撓性と、第 2の軟性部 62の可撓性を比較をすると、 案内管 21の可撓性 ≥ 第 2の軟性部 62の可撓性
の関係になっている。
[0103] したがって、案内管 21と、第 1の軟性部 61と、第 2の軟性部 62との間では、
案内管 21の可撓性 ≥ 第 2の軟性部 62の可撓性 > 第 1の軟性部 61の可撓 性
の関係が設定されている。
[0104] また、第 1の軟性部 61と第 2の軟性部 62との長さの関係は、
第 2の軟性部 62の長さ ≥ 第 1の軟性部 61の長さ
となるように設定されている。
なお、先導子 50の直径は、案内管 21の直径よりも大きく設定されている。
[0105] 上述のように軟性部 61、 62の可撓性を設定した先端先導部材を設けた案内管の 作用を説明する。
ここで、案内管 21を大腸に挿入するための準備手順は、上述した第 1実施形態と 同様であるのでその説明は省略する。
[0106] 次に、案内管 21を大腸に挿入する動作を説明する。
まず、前記図 1に示されているように術者 (不図示)は、案内管 21Aの先端側部を把 持して、ベッド 8上に横たわつている患者 7の肛門から案内管 21の先端部の先端先 導部材を構成する先導子 50、ワイヤ部材 60を大腸内に挿入し、続いて案内管 21を 挿入する。すると、案内管 21の外表面に形成されている螺旋形状部 21aが腸壁に接 触する。このとき、案内管 21に形成されている螺旋形状部 21aと腸壁の襞との接触 状態が、雄ねじと雌ねじとの関係になる。
[0107] この接触状態において、案内管回転装置 22のモータ 23を回転駆動状態にする。
すると、案内管固定部 24が回転して、この案内管固定部 24に取り付けられている案 内管 21の基端部が所定の回転をする。この回転は、基端部から先端側に伝達され て、図 38の矢印に示すように案内管 21の螺旋形状部 21aが基端側力も先端側に移 動するように軸廻り方向に回転した状態になる。
[0108] このことによって、回転された案内管 21の螺旋形状部 21aと腸壁の襞との接触部分 に、雄ねじが雌ねじに対して移動するような、案内管 21を前進させる推進力が発生 する。すると、案内管 21は、推進力によって大腸内を深部に向力つて進んでいく。こ のとき、術者は、把持している案内管 21を押し進めるように手元操作してもよい。
[0109] 肛門 71から挿入された案内管 21は、前記推進力及び術者の手元操作によって、 直腸 72から S字状結腸部 73に向力つて進んでいく。そして、図 38に示すように案内 管 21が S字状結腸部 73に到達する。このとき、案内管 21の外表面に形成されている 螺旋形状部 21aと腸壁との接触長が長いため、回転されている案内管 21は、屈曲し ているとともに可動性に富む S字状結腸部 73をスムーズに前進していく。すると、案 内管 21の先導子 50が S字状結腸部 73の壁面に当接した状態になる。
[0110] この状態で案内管 21に対してさらに所定の推進力が働くと、図 39に示す状態にな る。このときの状態は、先導子 50が S字状結腸部 73の屈曲部位の壁面に接触した状
態 (前記図 38参照)から案内管 21をさらに押し込んだことにより、第 1の軟性部 61が 屈曲すると同時に、先導子 50が壁面に沿って挿入方向へと進行する。このとき、第 2 の軟性部 62は、第 1の軟性部 61に比較して硬質に形成されていることから、先導子 50を壁面に沿って進行させる作用をする。さらに、案内管 21が推進力によって押し 込まれると、図 40に示すように先導子 50が壁面に沿って円滑に前進する。
[0111] その後、先導子 50は S字状結腸部 73を通過し、これに追従して案内管 21も同方 向に円滑に進行する。この進行状態において、案内管 21を壁面に対して押し込み 過ぎたとしも、第 1の軟性部 61が壁面に応じて屈曲することになる。このため、先導子 50は、腸管の壁面に形成される凹凸に入り込む等によってその進行を阻害されるこ ともなぐ円滑に進行する。
[0112] そして、回転されている状態の案内管 21は、 S字状結腸部 73を通過し、その後、 S 字状結腸部 73と可動性に乏しい下行結腸部 74との境界である屈曲部、下行結腸部 74と可動性に富む横行結腸部 75との境界である脾湾曲 76、横行結腸 75と上行結 腸部 78との境界である肝湾曲 77の壁に沿うようにスムーズに前進して、図 41に示す ように大腸の走行状態を変化させることなぐ例えば目的部位である盲腸部 79近傍 に到達する。
[0113] 術者によって案内管 21の先端先導部材が盲腸部 79近傍にまで到達したと判断さ れると、術者力もの指示を受けてスタッフは、保護管 26から案内管 21を抜去する。そ して、内視鏡 2の挿入部 11を大腸内に挿入する作業に移る。
[0114] 次に行われる手順、すなわち内視鏡 2の挿入部 11を大腸内に挿入する手順、及び 大腸内の内視鏡検査手順については、上述の第 1の実施形態と全く同様であるので その説明は省略する。
[0115] このように、案内管の先端部位に先端先導部材を設ける際、本実施形態のように先 端先導部材を構成するワイヤ部材を部位によって異なる軟性を有するように設定して いる。このことによって、案内管を例えば大腸内に挿入した状態で、先導子が腸管の 壁面に接触した後、さらに案内管が推進力によって前進された場合に、第 1の軟性 部が屈曲し、これに伴って先導子が壁面に沿って円滑に進行させることができる。
[0116] なお、図 42に示すように案内管 21Hを、外表面に螺旋形状部 21aの構成されてい
ない、すなわち体腔内への挿通性だけを考慮して被検体と接触しうる部位の少なくと も一部の外表面に例えば、潤滑性を向上させる親水性ポリマーコートを施した細長 形状で軟性なチューブ体 63で構成するようにしてもょ ヽ。
[0117] このようにチューブ体 63に可撓性を設定した先端先導部材を設けた案内管の作用 を説明する。
ここで、案内管 21Hを大腸に挿入するための準備手順は、上述した第 4実施形態と 同様であるのでその説明は省略する。
[0118] 次に、案内管 21Hを大腸に挿入する動作を説明する。
まず、前記図 1に示されているように術者 (不図示)は、案内管 21Aの先端側部を把 持して、ベッド 8上に横たわつている患者 7の肛門から案内管 21の先端部の先端先 導部材を構成する先導子 50、ワイヤ部材 60を大腸内に挿入し、続いて案内管 21を 挿入する。すると、案内管 21Hを構成するチューブ体 63の外表面の一部と腸壁とが 接触する。このとき、人体の水分と親水性ポリマーとが結合して、チューブ体 63の表 面に水の膜が形成されて大腸との間の潤滑性が向上する。
[0119] この接触状態において、案内管回転装置 22のモータ 23を回転駆動状態にする。
すると、案内管固定部 24が回転して、この案内管固定部 24に取り付けられている案 内管 21の基端部が所定の回転をする。この回転は、基端部から先端側に伝達され て、図 43の矢印に示すように案内管 21Hのチューブ体 63が軸廻り方向に回転した 状態になる。このとき、術者は、把持している案内管 21Hを押し進めるように手元操 作する。
[0120] このことによって、回転されたチューブ体 63の外表面が全周に亙って腸壁の襞と接 触する。すると、チューブ体 63の潤滑性が向上して、手元操作によって案内管 21H が大腸内を深部に向力つてスムーズに進んでいく。
[0121] そして、図 43に示すように案内管 21Hが S字状結腸部 73に到達する。このとき、案 内管 21の先導子 50が S字状結腸部 73の屈曲部位の壁面に接触した状態である。こ の状態において、さらに案内管 21Hが押し進められると、図 44に示す状態に変化す る。このとき、図 43に示した先導子 50が S字状結腸部 73の屈曲部位の壁面に接触し た状態において案内管 21Hが押し込まれることによって、第 1の軟性部 61が屈曲す
ると同時に、先導子 50が壁面に沿って挿入方向へ進行する。このとき、第 2の軟性部 62は、第 1の軟性部 61に比較して硬質に形成されていることから、先導子 50を壁面 に沿って進行させる。
[0122] この状態から、さらに、案内管 21Hを押し込む手元操作を行う。すると、図 45に示 すように先導子 50は壁面に沿って円滑に前進して、先導子 50は S字状結腸部 73を 通過する。すると、先導子 50の移動に追従して案内管 21Hも同方向に円滑に進行 する。この状態において、たとえ案内管 21Hを押し込み過ぎたとしも、第 1の軟性部 6 1が壁面に応じて屈曲変形する。このため、先導子 50が、腸管の壁面に形成されて いる襞の凹みに入り込んだり、凸部に引つ力かる等の進行を阻害されることなぐ円 滑に進行する。
[0123] このように、案内管を管腔内挿通性を考慮したチューブ体で構成することによって、 この接触状態において、案内管回転装置のモータを回転駆動させて、案内管を軸廻 り方向に回転させることによって、案内管の回転力が推進力に変換されて、雄ねじが 雌ねじに対して移動するように、回転状態の案内管が大腸の深部に向力つて進行さ せることができる。
[0124] なお、挿入部案内管の可撓性を設定した先端先導部材の構成は前記第 4実施形 態に限定されるものではなぐ以下の図 46や図 47に示すように構成してもよい。なお 、前記第 4実施形態と同様の構成については、その図示及び詳細な説明は省略し、 異なる部材のみについて以下に説明する。
[0125] 図 46に示すように本実施形態においては、案内管 21の先端に固設される先端先 導部材を、第 4実施形態と同様に形成された先導子 50と、線状部材からなる第 1の 軟性部 64と、複数の略球体を連設して形成される第 2の軟性部 65とを一体に連設し た形態で構成している。
[0126] 本実施形態において、先導子 50と、第 1の軟性部 64とは、前記第 1の軟性部 64か ら延出する同様の線状部材 64aによって連設されている。線状部材 64aは、第 2の軟 性部 65を構成する複数 (本実施形態において 4個)の略球体 65aを貫通して串刺し 状態で保持している。第 1の軟性部 64と、第 2の軟性部 65との境界部位にはストツバ 64bが設けられている。
[0127] 本実施形態における案内管 21の可撓性と、第 1の軟性部 64の可撓性と、第 2の軟 性部 65の可撓性とは、上述の第 4の実施形態における各部材の関係と全く同様に設 定されている。
[0128] すなわち、第 1の軟性部 64の可撓性と、第 2の軟性部 65の可撓性を比較すると、 第 2の軟性部 65の可撓性 > 第 1の軟性部 64の可撓性
になっている。
[0129] また、案内管 21の可撓性と、第 2の軟性部 65の可撓性を比較すると、
案内管 21の可撓性 ≥ 第 2の軟性部 65の可撓性
になっている。
[0130] したがって、案内管 21の可撓性と、第 1の軟性部 64の可撓性と、第 2の軟性部 65 の可撓性の間には、
案内管 21の可撓性 ≥ 第 2の軟性部 65の可撓性 > 第 1の軟性部 64の可撓 性
の関係で可撓性が設定されている。
[0131] また、第 1の ^性部 64の長さと、第 2の ^性部 65の長さとは、
第 2の ^性部 65の長さ ≥ 第 1の ^性部 64の長さ
の関係となるように設定されて 、る。
[0132] さらに、先導子 50の直径は案内管 21の直径よりも大きく設定されている。
[0133] このように構成された軟性部 65、 64を備える案内管 21の作用は、上述の第 4の実 施形態と全く同様である。また、これによつて得られる効果も同様である。さらに、第 1 の軟性部 64と同一素材で形成された線状部材 64aに、略球体 65aを配置するのみ で、第 1の軟性部 64とは可撓性の異なる第 2の軟性部 65を構成できる。したがって、 生産性の向上、及び製造コストの低減ィ匕に寄与することができる。
[0134] 一方、図 47に示すように本実施形態においては、案内管 21の先端に固設される 先端先導部材を、最先端部に設けられ前記先導子 50と、関節部 66と、線状部材か らなる第 1の軟性部 64A、 64Bと、複数の略球体を連設して形成される一組の第 2の 軟性部 65とを一体に連設した形態で構成している。関節部 66は、先導子 50と同様 に略球体力もなる可動性連結部である。
[0135] 本実施形態において、先導子 50と第 1の軟性部 64とは、前記第 1の軟性部 64から 延出する同様の線状部材 64aによって連設されている。この線状部材 64aは、一組 の第 2の軟性部 65を構成する複数 (本実施形態では 4 X 2 = 8)の略球体 65aを貫通 し串刺し状態で保持して 、る。
[0136] 第 1の軟性部 64と基端側の第 2の軟性部 65との境界部位にはストッパ 64bが設け られて 、る。基端側の第 2の軟性部 65と関節部 66との境界部位にもストッパ 64bが 設けられて 、る。関節部 66と先端側の第 2の軟性部 65との境界部位にもストツバ 64 bが設けられている。そして、先端側から、先導子 50、第 2の軟性部 65、第 1の軟性 部 64B、関節部 66、第 1の軟性部 64B、第 2の軟性部 65、及び第 1の軟性部 64Aの 順に配列されている。つまり、本実施形態における先端先導部材においては、一組 の第 2の軟性部 65を関節部 66を挟んで配置することで、屈曲し得る部位が二箇所 設けて構成される。
[0137] ここで、本実施形態における案内管 21の可撓性と、第 1の軟性部 64A、 64Bの可 橈性と、第 2の軟性部 65の可撓性とは、上述の第 1の実施形態における各部材の関 係と全く同様に設定されている。すなわち、第 1の軟性部 64A、 64Bの可撓性と、第 2 の軟性部 65の可撓性とを比較すると、
第 2の軟性部 65の可撓性 > 第 1の軟性部 64A、 64Bの可撓性
の関係になる。
[0138] また、案内管 21の可撓性と、第 2の軟性部 65の可撓性を比較すると、
案内管 21の可撓性 ≥ 第 2の軟性部 65の可撓性
の関係になる。
[0139] したがって、案内管 21の可撓性と、第 1の軟性部 64A、 64Bの可撓性と、第 2の軟 性部 65の可撓性では、
案内管 21の可撓性 ≥ 第 2の軟性部 65の可撓性 > 第 1の軟性部 64A、 64B の可撓性
の関係で可撓性が設定されている。
[0140] また、第 1の軟性部 64A、 64Bの長さと、第 2の軟性部 65の長さとの関係は、
第 2の軟性部 65の長さ ≥ 第 1の軟性部 64Aの長さ〉 第 1の軟性部 64Bの長さ
の関係となるように設定されて 、る。
[0141] さらに、先導子 50の直径は案内管 21の直径よりも大きく設定されている。
[0142] このように構成された軟性部 65、 64B、 64B、 65、 64Aを備える案内管 21の作用 は以下の通りである。
[0143] 案内管 21を大腸に挿入するための準備手順は、上述の実施形態と同様であるの でその説明は省略する。
[0144] 次に、案内管 21を大腸に挿入する手順を説明する。
[0145] まず、術者(図示せず)は、案内管 21の先端側部を把持して、ベッド 8上に横たわつ ている患者 7の肛門力 先導子 50、軟性部 65、 64B、 64B、 65、 64Aを備える案内 管 21を大腸内に挿入する。すると、案内管 21の先導子 50が腸壁に接触する。
[0146] この接触状態において、術者は案内管回転装置のモータを回転駆動させ、案内管 21を把持して、体腔内に向けて進めていく。このことによって、案内管 21は大腸内を 深部に向力つて進んでいく。そして、肛門から挿入された案内管 21は、推進力及び 術者の手元操作によって直腸力も S字状結腸部 73に向力つて進んで、図 48に示す ように案内管 21が S字状結腸部 73に到達する。この図 48に示す状態では、案内管 21の先端に突出する先導子 50が S字状結腸部 73の屈曲部位の壁面に接触してい る。この状態から、さらに案内管 21が押し進められると、図 49に示す状態になる。
[0147] このとき、先導子 50が S字状結腸部 73の屈曲部位の壁面に接触した状態力も案内 管 21が押し進められたことにより、第 1の軟性部 64Bが関節部 66を中心として屈曲 する。また、それと同時に、先導子 50が壁面に沿って挿入方向へと進行して、関節 部 66が壁面に接触した状態になる。ここで、一組の第 2の軟性部 65は、第 1の軟性 部 64A、 64Bに比較して硬質に形成されていることから、先導子 50を壁面に沿って 進行させる作用をする。
[0148] さらに、案内管 21が押し込まれると、図 50に示すように先導子 50は壁面に沿って 円滑に前進する。そして、先導子 50は S字状結腸部 73を通過し、これに追従して案 内管 21も同方向に円滑に進行する。この状態において、案内管 21を壁面に対して 押し込み過ぎた場合でも、第 1の軟性部 64A、 64Bが壁面に応じて屈曲するので先 導子 50は、腸管の壁面に形成される凹みに入り込む、或いは凸部にひつ力かる等の
進行を阻害されることなぐ円滑に進行して、例えば目的部位である盲腸部近傍にま で到達する。
[0149] 術者によって案内管 21の先端先導部材が盲腸部近傍にまで到達したと判断される と、術者力もの指示を受けてスタッフは、保護管 26から案内管 21を抜去する。そして
、内視鏡 2の挿入部 11を大腸内に挿入する作業に移る。
[0150] 次に行われる手順、すなわち内視鏡 2の挿入部 11を大腸内に挿入する手順につ いては、上述の実施形態と全く同様であるのでその説明は省略する。
[0151] 以上説明したように、本実施形態においては一組の第 2の軟性部 65を関節部 66を 挟んで配設するように構成したことにより、より複雑な屈曲部位に対しても有効に活用 することができる。
[0152] これらのことによって、挿入補助部材として後述する 、わゆるオーバーチューブ (ス ライディングチューブとも呼ばれる)のような内視鏡の挿入部を内部に挿通する形式 の挿入補助部材を用いる場合、被検体内に挿入される部位の外径はオーバーチュ ーブの外径になる。これに対して、上述した挿入補助部材 (案内管 21)を内視鏡の処 置具揷通チャンネルにに挿通させるように構成した場合には、被検体内に挿入され る部位の外径は内視鏡の挿入部の外径になる。したがって、被検体内へ挿入される 部位がオーバーチューブより太径になることが防止され、被検体が患者である場合、 患者により多くの負担を強いることを防止できる。
[0153] また、挿入補助部材の先端部を観察部の観察視野領域に対して進退自在に構成 することで、例えば被検体の観察時や被検体の対象部位に処置等の行為を行う際、 挿入補助部材を観察部の観察視野領域外に配置可能となる。このため、挿入補助 部材が観察や処置等の行為の妨げになることを極力防止することができる。
[0154] 図 51乃至図 61を参照して本発明の第 5実施形態を説明する。
本実施形態においては先導子 30をカプセル形状のカプセル型内視鏡 80としてお り、この構成が前述した実施形態とは異なっている。したがって、上述した実施形態と 同様の構成については、その図示及び詳細な説明は省略し、異なる部材のみにつ いて以下に説明する。
[0155] 図 51に示すカプセル型内視鏡 80は、その表面が滑らかな案内面として構成されて
いる。カプセル型内視鏡 80の先端側には、画像を撮像するための観察部を構成す る観察窓 81、及び照明光を照射するための照明窓 82が備えられている。
[0156] カプセル型内視鏡 80が固定されたワイヤ部材 51の基端側は案内管 21に固定され ている。したがって、カプセル型内視鏡 80は、案内管 21の回転に伴って回転する。 このため、案内管 21が回転中において、図示しないモニタの画面上に表示される映 像がその回転に合わせて回転してしまうおそれがある。この不具合を防止するため、 本実施形態においては、案内管回転装置 22の回転周期に合わせて、図示しないビ デォプロセッサによって、モニタに表示される映像の回転修正処理を行って、モニタ の画面上に通常の内視鏡画像が表示されるようになって!/、る。
[0157] なお、このカプセル型内視鏡 80は、デイスポーサブルタイプであってもリュースタイ プであっても良い。また、カプセル型内視鏡 80の外表面である案内面に潤滑性を向 上させる処理を施すようにしてもょ ヽ。
[0158] 本実施の形態の挿入装置 1の案内管 21の作用を説明する。
なお、案内管 21を大腸に挿通させるまでの準備等は、上述した実施形態と同様で あるため、その説明を省略する。
[0159] まず、術者は、患者 7がベッド 8上に寝力されている状態において、案内管 21の力 プセル型内視鏡 80側を肛門 71から大腸内に挿入する。すると、案内管 21の外周面 が腸壁に接触した状態になる。ここで、術者は、案内管回転装置 22のモータ 23を回 転駆動させる。すると、案内管 21が軸廻り方向に回転されて、この案内管 21は雄ね じが雌ねじに対して移動するように、大腸内を進行して!/、く。
[0160] すると、図 52に示すように案内管 21の先端側に位置するカプセル型内視鏡 80の 案内面の一部が大腸などの腸壁、例えば S字状結腸部などの屈曲部の腸壁に当接 、接触する。このとき、カプセル型内視鏡 80は、案内管 21の回転力ワイヤ部材 51に 伝達されているため、案内管 21の回転に伴って回転状態になる。このとき、カプセル 型内視鏡 80の観察窓 81を通して撮像された映像は、ビデオプロセッサによって案内 管回転装置 22の回転周期に合わせて回転修正処理されることによって、モニタの画 面上に通常の内視鏡画像として表示される。このこと〖こよって、術者は、カプセル型 内視鏡 80の腸壁に対する状態を画面上力も的確に判断することができるので、推進
力に加えて、最適な手元操作を行って案内管 21をスムーズに大腸の深部に向けて 進められる。
[0161] また、図 53に示すように大腸などの屈曲部の腸壁を通過するカプセル型内視鏡 80 は、その通過する腸壁の襞の状態に合わせて、案内管 21と一緒に回転するワイヤ部 材 51の回転が伝達されることによって、軸廻り方向に回転する。したがって、カプセ ル型内視鏡 80の案内面は、軸廻り方向に回転しながら腸壁の襞をスムーズに乗り越 えていく。
[0162] さらに、案内管 21が大腸内部を進むと、スムーズに S字状結腸部の屈曲部分に沿 つてカプセル型内視鏡 80が誘導され、それに合わせて、ワイヤ部材 51が S字状結腸 部の屈曲部分に沿って橈む。すると、ワイヤ部材 51が接続されている案内管 21の先 端部分が同様に橈みながら引きずられるように誘導される。
[0163] そして、回転されている状態の案内管 21は、カプセル型内視鏡 80が腸壁の襞を乗 り越えながらワイヤ部材 51の橈み方向に引きずられるように、大腸の各屈曲部を通過 する。そして、案内管 21の先端に位置するカプセル型内視鏡 80が盲腸部近傍まで 到達したことを画面上で確認したら、術者は、大腸内の内視鏡検査を行うため、例え ば、案内管 21の引き戻しを行う。そして、引き戻しながら、大腸の内視鏡観察を行う。
[0164] このことによって、本実施形態によれば、上述した実施形態のように案内管 21を所 定部位まで挿通させた後に、改めて内視鏡 2の挿入部 11を患者 7の管腔内に挿入さ せることなく内視鏡観察を行うことができる。
[0165] 従って、術者は、カプセル型内視鏡 80を備えた案内管 21を容易に大腸などの深 部まで到達させることができるとともに、患者 7に苦痛を与えることなくスムーズ、かつ 短時間で内視鏡観察を行うことができる。また、カプセル型内視鏡 80を案内管 21の 先端面より前方側に配置したことによって、案内管 21によって視野が妨げられること が確実に防止される。
[0166] なお、本実施形態においては図 51において観察窓 81、照明窓 82を説明のため力 プセル型内視鏡 80の先端側案内面力も突出させた状態にしているが、観察窓 81、 照明窓 82は先端側案内面に対して面一致状態である。
[0167] また、図 54に示すように案内管 21の先端部に、支持部材 83と、抜け止め部材 84と
を設けるようにしても良い。抜け止め部材 84は、カプセル型内視鏡 80が先端に固定 されるワイヤ部材 51を回動自在に支持するとともに、抜け止めを兼ねている。
[0168] 具体的には、図 55に示すように抜け止め部材 84は筒状であり、内部空間の底面中 央にはワイヤ部材 51が揷通配置される貫通孔が形成されて!、る。ワイヤ部材 51の基 端部には、抜け止め部 85が設けられるようになつている。抜け止め部 85の外形は、 貫通孔の径寸法より大きく設定されている。したがって、抜け止め部材 84の内部に抜 け止め部 85が配置された状態において。ワイヤ部材 51が案内管 21から脱落するこ とが防止されている。
[0169] なお、抜け止め部材 84は、ワイヤ部材 51を揷通配置された後、案内管 21の支持 部材 83に対して固着されるようになっている。この構成によれば、ワイヤ部材 51の先 端に固定されて 、るカプセル型内視鏡 80は、案内管 21に対して回動自在になる。
[0170] この結果、カプセル型内視鏡 80の外径が大きくなつても、腸壁に必要以上の回転 負荷、つまり、必要以上のカプセル型内視鏡 80の案内面による摩擦が腸壁に付与さ れることを確実に防止することができる。また、カプセル型内視鏡 80の観察窓 81を通 して撮像した映像が案内管 21の回転と共に回転しなくなるため、案内管回転装置 22 の回転周期に合わせて、図示しないビデオプロセッサによって、画像処理する場合 に比べて、モニタに通常の映像表示させる画像処理を容易に行える。
[0171] なお、カプセル型内視鏡 80を備えた案内管 21の構成は前述した実施形態に限定 されるものではなぐ例えば図 56に示すようにカプセル型内視鏡 80に、その中心を 貫通する長手方向貫通孔 80aを設け、その長手方向貫通孔 80aに案内管 21の先端 力も突出するように固定された軟性部 86を貫通配置させるようにしても良 、。軟性部 86は、可撓性の高い棒状部材である。軟性部 86には、この軟性部 86に配置された カプセル型内視鏡 80が脱落することを防止するストッパ 86aが設けられるようになつ ている。本図においては、カプセル型内視鏡 80と軟性部 86とによって、先端先導部 材が構成される。
[0172] この構成によれば、カプセル型内視鏡 80の形状が大きいものであっても、軟性部 8 6が進行方向の腸壁に沿うようにガイドする。このため、カプセル型内視鏡 80の先端 側案内面と腸壁との間で生じる抵抗を軽減することができる。また、カプセル型内視
鏡 80より先端側突出するにある軟性部 86の先端部が該カプセル型内視鏡 80の観 察窓 81を通して観察されることによって、モニタの画面上に軟性部 86の画像が表示 される。このため、術者は、カプセル型内視鏡 80から突出する軟性部 86を確認する ことによって、案内管 21の進行方向を認識することが可能になって、挿通性のより向 上を図ることができる。
[0173] また、図 57に示すように案内管 21の先端部に円環状の固定部材 87を設け、その 固定部材 87に対してカプセル型内視鏡 80を取り付ける構成にしても良い。この構成 においても、カプセル型内視鏡 80を案内管 21の先端面より前方側に配置されるの で、案内管 21によって視野が妨げられることが確実に防止される。
[0174] カプセル型内視鏡 80は、その表面が滑らかな案内面を有し、先端側に画像を撮像 するための観察窓 81及び照明光を照射するための照明窓 82を有している。カプセ ル型内視鏡 80の基端側には案内管 21に設けられた固定部材 87の内孔に挿入され る固定突起部 88が設けられている。カプセル型内視鏡 80の固定突起部 88は略円 柱形状をしており、案内管 21の固定部材 87に形成されている内孔に対して所定の 嵌め合 、で配置されるようになって 、る。
[0175] そして、カプセル型内視鏡 80の固定突起部 88は、図 58に示すように案内管 21の 固定部材 87に挿入配置された状態で、固定部材 87に設けられた固定ねじ 89によつ て一体的に固定されるようになって!/、る。
[0176] なお、案内管 21の先端側に先端先導部材を取り付けることなぐ図 59に示すように 案内管 21の先端側に膨張、収縮するバルーン 90を設けるようにしても良い。
[0177] 案内管 21の先端部には略筒状の中空口金 91が固定される。中空口金 91にはバ ルーン 90の内部に気体を送る、或いは内部の空気を吸引するためのチューブ 92が 連通されている。中空口金 91の先端側外周面にはバルーン 90の基端部が気密的 に接続されている。
[0178] チューブ 92の他端部は、内部にパッキン 95を有する口金 93と気密に接続されて いる。この口金 105の基端開口部は、図示しない送気吸引ポンプに接続される送気 吸引管路 94と接続される。送気吸引管路 94と口金 93との接続部は、口金 93の内部 に設けられているパッキン 95によって気密性が確保されている。従って、バルーン 90
の内部と送気吸引ポンプとは気密に連通される。
[0179] 送気吸引ポンプ力 送気される気体、例えば、空気等は、送気吸引管路 94、口金 93、チューブ 92、中空口金 91を通って、バルーン 90の内部に送りこまれる。このこと によって、バルーン 90内部に空気が充満されて、その空気圧によってバルーン 90が 略球状に膨張する。膨張時のバルーン 90には略球状の案内面が形成される。案内 面は、柔軟で、且つ滑らかである。なお、バルーン 90の内部の空気力 送気吸引ポ ンプによって吸引されると、バルーン 90は収縮する。
[0180] 図 60に示すように管腔内、例えば、大腸の屈曲部に案内管 21が到達すると、腸壁 の襞にその先端に設けられるバルーン 90の先端面が当接する。この時、送気吸引ポ ンプからバルーン 90の内部に空気を送る。すると、図 61に示すようにバルーン 90は 膨張する。バルーン 90が略球状に膨張することによって、その表面である案内面の 一部が腸壁の襞に接触し、案内管 21の先端部分は腸壁の屈曲に沿うように湾曲さ れる。さらに、案内管 21はその推進力によって、バルーン 90の案内面がスムーズに 腸壁の襞を乗り越えることにより、大腸の深部へ向力つて進行していく。
[0181] このように、膨脹されたバルーンが、柔軟性に富み、滑らかに腸壁の襞を乗り越え て、案内管が大腸の深部へ挿入されることによって、バルーン力 管腔内壁が必要 以上の負荷が係ることをより確実に防止することができる。
[0182] なお、上述した実施形態においては、モータ 23のモータ軸 23aに固定された案内 管固定部 24に、案内管 21の一端部である基端側端部を取り付けて案内管 21を回 転させる構成を示しているが、案内管回転装置 22の構成は上述した実施形態に限 定されるものではなぐ例えば図 62及び図 63に示すような案内管回転装置 22A、或 いは図 64及び図 65に示すような案内管回転装置 22B等であってもよい。
[0183] 図 62及び図 63に示す案内管回転装置 22Aは、装置本体部 151と、装置カバー部 152と、案内管回転用モータ(以下、回転用モータと略記する) 153とで構成したもの である。この案内管回転装置 22Aでは、装置本体部 151の上部平面 15 laの所定位 置には案内管 21が配置される案内部材配置溝 (以下、溝と略記する) 151bが形成さ れている。
[0184] 回転用モータ 153は、溝 151bに配置された案内管 21を軸廻りに回転させるモータ
である。回転用モータ 153のモータ軸 153aには回転体である、所定の弾性力を有す る、回転用ローラ 153bが固設されている。回転用ローラ 153bは、案内管 21に対して 所定の押圧力で当接した状態で配置される。このことによって、回転用モータ 153の 回転駆動力が案内管 21に伝達されて、この案内管 21が回転される。
[0185] 回転用モータ 153は例えば L字形状の取付具 154によって装置カバー部 152の所 定位置に取り付けられている。取付具 154によって装置カバー部 152に取り付けられ た回転用モータ 153のモータ軸 153aは、装置本体部 151の上部平面 151aに対し て平行であり、かつ溝 15 lbに対しても平行な位置関係に設置される。したがって、回 転用モータ 153を駆動させて回転用ローラ 153bを所定方向に回転させることによつ て、案内管 21が軸廻りに回転させられる。
[0186] 一方、図 64及び図 65に示す案内管回転装置 22Bは、装置本体部 155と、装置力 バー部 156と、回転用モータ(以下、第 1モータと略記する) 153と、案内管送りモー タ(以下、第 2モータと略記する) 157とで構成されている。装置本体部 155の上部平 面 155aの所定位置には、案内管 21が配置される案内管配置溝 (以下、溝と略記す る) 155bが形成されている。
[0187] 第 1モータ 153は、溝 155b内に配置された案内管 21を軸廻りに回転させるモータ である。第 1モータ 153のモータ軸 153aには回転用ローラ 153bが固設されている。 回転用ローラ 153bは所定の弾性力を有しおり、案内管 21に対して所定の押圧力で 当接する。このことによって、第 1モータ 153の回転駆動力は、回転用ローラ 153bを 介して案内管 21に伝達されて、この案内管 21を回転させる。
[0188] 一方、第 2モータ 157は、溝 155bに配置された案内管 21を案内管長手軸方向に 対して所定の速さで直進移動(以下、直動とも記載する)させるモータである。第 2モ ータ 157のモータ軸 157aには直動用ローラ 157bが固設されている。直動用ローラ 1 57bは所定の弾性力を有しており、案内管 21に対して所定の押圧力で当接する。こ のことによって、第 2モータ 157の回転駆動力は、直動用ローラ 157bを介して案内管 21に伝達されて、この案内管 21を直動させる。
[0189] 第 1モータ 153は第 1モータ取付具 154によって装置カバー部 156の所定位置に 取り付けられる。第 2モータ 157は第 2モータ取付具 158によって装置カバー部 156
の所定位置に取り付けられる。
[0190] 第 1モータ取付具 154によって装置カバー部 156に取り付けられた第 1モータ 153 のモータ軸 153aは、装置本体部 155の上部平面 155aに対して平行でかつ溝 155b に対しても平行な位置関係で設置される。一方、第 2モータ取付具 158によって装置 カバー部 156に取り付けられた第 2モータ 157のモータ軸 157aは、装置本体部 155 の上部平面 155aに対して平行でかつ溝 155bに対して直交する位置関係に設置さ れる。
[0191] したがって、第 1モータ 153を駆動させて回転用ローラ 153bを所定方向に回転さ せることによって案内管 21が軸廻りに回転する。また、第 2モータ 157を駆動させて 直動用ローラ 157bを所定方向に回転させることによって案内管 21が長手軸方向に 対して直動される。
[0192] また、上述した実施形態においては案内管 21を管腔内に挿通配置させた後、この 案内管 21の中途部より基端側を内視鏡 2の挿入部 11に設けられている処置具揷通 用チャンネル 11 a内に挿通して、案内管 21の観察画像を画面上で確認しながら揷 入部 11を大腸内の深部まで挿入するとしている。しかし、図 66乃至図 69に示すよう に案内管 21を観察しながら内視鏡 2の挿入部 11を体腔内の深部まで挿入するよう にしてもよい。
[0193] 図 66乃至図 69を参照して体腔内に配置された案内管を観察しながら内視鏡の挿 入部を体腔内の深部まで挿入する方法について説明する。
図 66においては、挿入部 11の先端硬性部 14に案内管揷通補助具 145を装着す る構成になっている。案内管揷通補助具 145には案内管揷通孔 145aを有する案内 管挿通用凸部 145bが設けられている。案内管揷通孔 145aには案内管 21が挿通さ れるようになっている。
[0194] つまり、本図の構成においては、体腔内に案内管 21を挿通させた後、この案内管 2 1の中途部より基端側を内視鏡 2の挿入部 11に設けられて ヽる処置具挿通用チャン ネル 11a内に挿通させることなぐ先端硬性部 14に装着された案内管揷通補助具 14 5に設けられている案内管揷通孔 145aに挿通させる。
[0195] この後、上述した実施形態と同様に、術者は、挿入部 11を大腸内に挿入するため
に内視鏡 2を観察可能な状態にして、案内管揷通補助具 145が装着されている挿入 部 11の先端硬性部 14を肛門 71から大腸内に挿入する。すると、モニタ 6の画面上に 案内管 21の画像を含んだ内視鏡画像が表示される。ここで、術者は、モニタ 6の画 面上で案内管 21の延出方向を確認しながら、湾曲部 15を湾曲させる操作や、挿入 部 11を捻る操作等を行って、挿入部 11の先端硬性部 14を大腸内の深部に向けて 挿入する。このことによって、上述した実施形態と同様の作用及び効果に加えて、案 内管 21を処置具挿通用チャンネル 11a内に挿通させる煩わしさから解放される。
[0196] なお、図 67に示すように案内管揷通補助具 145の代わりに、案内管揷通孔 146a を設けた先端キャップ 146を挿入部 11の先端硬性部 14に装着するようにしても同様 の作用及び効果を得られる。また、図 68に示すように挿入部 11に案内管揷通補助 具 145や先端キャップ 146を装着する代わりに、挿入部 11の先端硬性部 14に案内 管揷通孔 14eを形成した案内管挿通用凸部 14fを設けるようにしても同様の作用及 び効果を得られる。
[0197] 又、図 69においては、体腔内に挿通させた案内管 21を、内視鏡 2の挿入部 11に 設けられている処置具揷通用チャンネル 11a内に揷通させたり、案内管揷通孔 145a 、 146a, 14eに挿通させることなぐ体腔内に案内管 21が配置されている状態にお いて挿入部 11を管腔内の深部に向けて挿入していく。
[0198] つまり、案内管 21が大腸内に挿通されている状態で、内視鏡 2の挿入部 11を肛門 71から大腸内に挿入して、モニタ 6の画面上に案内管 21の画像を表示させる。そし て、体腔内に挿通されている案内管 21の延出方向を画面上で確認しながら、湾曲部 15を湾曲させる操作や、挿入部 11を捻る操作等を行いながら挿入部 11の先端硬性 部 14を大腸内の深部に挿入する。このこと〖こよって、術者は、案内管 21を処置具挿 通用チャンネル 11a内や、案内管揷通孔 145a、 146a, 14eに揷通させる煩わしさか ら解放される。
[0199] また、図 70に示すように案内管 21の基端部を、予め、案内管固定部 24に取り付け 、この案内管 21の先端側を処置具入口 17から処置具挿通用チャンネル 11a内に挿 通させて、先端開口 14bから突出させるようにしてもよい。なお、符号 49は保護管で あり、保護管保持部材 28と処置具入口 17との間に配置される。その他の構成は前記
図 1に示した挿入装置 1と同様であり、同部材には同符号を付して説明を省略する。
[0200] 本実施形態における挿入装置 1の作用を説明する。
上述のように先端開口 14bから突出させた案内管 21の大腸への挿入手順を説明 する。
まず、挿入部 11に設けられている処置具挿通用チャンネル 11aの先端開口力 突 出されている案内管 21の先端側部を把持する。そして、ベッド 8上に横たわつている 患者 7の肛門から案内管 21の先端部を大腸内に挿入する。その後、前述したように モータ 23を回転駆動状態にする。このことによって、回転状態の案内管 21が、直腸 72、 S字状結腸部 73、下行結腸部 74、横行結腸部 75、上行結腸部 78の各壁に沿 うようにスムーズに前進していく。この結果、大腸の走行状態を変化させることなぐ例 えば目的部位である盲腸部 79近傍に案内管 21の先端部が到達する。
[0201] 術者は、案内管 21の先端部が盲腸部 79近傍まで到達したと判断したなら、引き続 き、内視鏡 2の挿入部 11の先端硬性部 14を肛門 71から大腸内に挿入する。つまり、 案内管 21を大腸内に挿入後、引き続き、内視鏡 2の挿入部 11を大腸内に挿入する 。そして、前述したと同様に、術者は、モニタ 6の画面上に表示される案内管 21の延 出方向を確認しながら、湾曲部 15を湾曲させる操作や、挿入部 11を捻る操作等を 行って、挿入部 11の先端硬性部 14を大腸内の深部に向けて挿入していく。この際、 術者は挿入方向を見失うことなぐ挿入部 11の先端硬性部 14をスムーズに盲腸部 7 9近傍に向けて挿入できる。
[0202] このように、挿入部に設けられている処置具挿通用チャンネルに案内管を予め挿通 させた状態にして、まず、案内管だけを大腸内の目的部位まで挿通させる。このこと によって、案内管を目的部位まで挿通させた後、この案内管を処置具挿通用チャン ネルに挿通させる手順を省いて内視鏡の挿入部の体腔内への挿入を行うことができ る。したがって、案内管の挿入開始から内視鏡の挿入部の挿入開始までの時間が短 縮される。なお、その他の作用及び効果は前述した実施形態と同様である。
[0203] 図 71乃至図 78を参照して本発明の第 6実施形態を説明する。
図 7に示すように本実施形態の挿入装置 100は、内視鏡 102と、内視鏡用挿入補 助具 103とで主に構成されて ヽる。
[0204] 内視鏡 102は、挿入部 111、操作部 112、及びユニバーサルコード 113を備えて 構成されている。操作部 112は、挿入部 111の基端側に設けられている。ュ-バー サルコード 113は操作部 112の側部から延出している。
[0205] 挿入部 111は先端側から順に、先端硬性部(図 72の符号 114参照)、湾曲部(図 7 2の符号 115参照)、及び可撓管部 116を連設して構成されている。湾曲部 115は、 例えば上下左右方向に湾曲自在に構成されている。可撓管部 116は柔軟性を有し ている。操作部には処置具入口 117が設けられている。処置具入口 117は、挿入部 111内に設けられて 、る処置具を揷通するための処置具揷通用チャンネル(不図示 )に連通している。
[0206] 内視鏡 102には外部装置として光源装置 4、ビデオプロセッサ 5及びモニタ 6が備 えられている。光源装置 4は内視鏡 102に照明光を供給する。ビデオプロセッサ 5は 信号処理回路を有し、内視鏡 102に設けられている図示しない撮像素子を駆動させ る駆動信号の供給とともに、撮像素子で光電変換されて伝送された電気信号を映像 信号に生成してモニタ 6へ出力する。モニタ 6の画面上にはビデオプロセッサ 5から出 力された映像信号を受けて内視鏡画像が表示される。
[0207] 内視鏡用挿入補助具 103は、挿入部案内部材である例えば、案内管 121と、前記 案内管回転装置 22Aとで主に構成されている。案内管回転装置 22Aは、例えば患 者 7が横たわるベッド 8上に設置される。
[0208] 図 72に示すように案内管 121の内部空間である内孔には内視鏡 102の挿入部 11 1が配置される。具体的に、案内管 121は、回動部材 131と、補助具本体部 132と、 螺旋管部 133とで構成されて!、る。
[0209] 回動部材 131は、管状の回転本体部 131aと、この回転本体部 131aの内周面側に 配置される複数のベアリング 13 lbとで構成されている。回動部材 131は装着部であ り、この回動部材 131の内周面側には例えば、内視鏡 102の挿入部 111を構成する 先端硬性部 114が配置される。この配置状態において、回動部材 131は先端硬性 部 114に対して回動自在である。
[0210] 一方、螺旋管部 133は、例えばステンレス製で所定の径寸法の金属素線 133aを 螺旋状に卷回して所定の可撓性を有するように形成したものである。螺旋管部 133
の外表面には金属素線 133aの表面が形成する螺旋形状部 133bが設けられている 。なお、金属素線を多条 (例えば 4条)に巻いて、螺旋形状部 133bを形成するように してもよい。この場合、螺旋状に巻いていくときに、金属素線間の密着度を高めたり、 螺旋の角度を変化させることによって、案内管 121の特性を種々設定することができ る。
[0211] 補助具本体部 132の先端側内周面の所定位置には、回動部材 131が例えば固定 ネジ 134によって一体的に固定されている。また、補助具本体部 132の基端側外周 面には螺旋管部 133の一端部が例えば糸巻き接着 (不図示)によって一体的に固定 されている。つまり、内視鏡 102の挿入部 111は、補助具本体部 132及び螺旋管部 133に対して遊嵌配置されている。この配置状態において、案内管 121は内視鏡 10 2の揷入部 111を覆!、包む!/、わゆるオーバーチューブであり、このオーバーチューブ が内視鏡 102の揷入部になっている。
[0212] したがって、回動部材 131、補助具本体部 132及び螺旋管部 133を一体にして構 成した案内管 121は、挿入部 111に対して回動自在であるとともに、矢印に示すよう に進退自在である。
なお、補助具本体部 132の先端側には体腔内の体壁や粘膜に傷等を付けることを 防止するための面取り加工が施されている
上述のように構成した挿入装置 100の作用を説明する。
内視鏡 102の挿入部 111を大腸に挿入するまでの準備手順を説明する。
[0213] 内視鏡 102の挿入部 111を大腸の例えば盲腸部まで挿通するに当たって、まず、 スタッフは、所定の内径寸法を有する回動部材 131を備えた案内管 121を準備する 。次に、案内管 121の内孔に内視鏡 102の挿入部 111を挿通していく。そして、挿入 部 111の先端硬性部 114を例えば図 72の中心線より上側の図に示すように回動部 材 131に対して所定量だけ突出、或いは略面一致状態に配置する。この内視鏡配 置状態において、内視鏡 102の観察視野が案内管 121Aによって妨げられることが 防止されている。
[0214] 次いで、案内管 121が被せられている状態の挿入部 111を案内管回転装置 22A に配置する。このとき、案内管 121の先端面を例えば、装置本体部 151の先端側端
面力 所定量だけ突出させた状態で溝 151b内に配置する。また、光源装置 4、ビデ ォプロセッサ 5及びモニタ 6をオン状態にする。このことによって、案内管 121を挿入 部 111に装着した状態で、挿入部 111を大腸の深部に向けて挿入する準備が完了 する。
[0215] 案内管 121を装着した内視鏡 102の挿入部 111を大腸に挿入する手順の一例を 説明する。
前記図 71に示されて ヽるように術者 (不図示)は、挿入部 111の手元側を把持し、 案内管 121が被されている状態の案内管 121の先端側部を、ベッド 8上に横たわつ ている患者 7の肛門から大腸内に挿入する。すると、先端硬性部 114の先端面に設 けられている照明窓 (不図示)から出射された照明光で照らされた大腸内の観察画 像が観察部 114aを構成する観察窓 114bを通して撮像素子の撮像面に結像されて 、モニタ 6の画面上に内視鏡画像が表示される。このとき、案内管 121を構成する螺 旋管部 133の外表面に形成されている螺旋形状部 133bが腸壁に接触する。
[0216] この接触状態において、螺旋管部 133に形成されている螺旋形状部 133bと腸壁と の接触状態が、雄ねじと雌ねじとの関係になる。ここで、案内管回転装置 22Aの回転 用モータ 153を回転駆動させる。回転用ローラ 153bが回転されることによって、案内 管 121が図 73の矢印に示すように軸廻りに回転される。つまり、案内管 121は、回転 用モータ 153の回転駆動力が回転用ローラ 153bを介して螺旋管部 133に伝達され ることによって、挿入部 111に対して軸廻りに回転した状態になる。
[0217] 案内管 121が回転されることによって、螺旋形状部 133bと腸壁との接触部分に、 雄ねじが雌ねじに対して移動するような、案内管 121を前進させる推進力が発生する 。すると、案内管 121は、推進力によって直腸 72の壁に沿うように前進して例えば図 73中の破線に示すように大腸内の深部に向かって進んでいく。このとき、前記図 72 の中心線より下側の図に示すように案内管 121の先端側部が先端硬性部 114の先 端面より突出した状態になる。このことにより、先端硬性部 114の先端面に設けられて いる観察光学系の観察範囲の一部が案内管 121の回動部材 131によって遮られる
[0218] このとき、術者の観察しているモニタ 6の画面上には、大腸の画像の一部が案内管
121によって遮られた内視鏡画像が表示される。つまり、術者は、画面上に表示され る内視鏡画像の一部に案内管 121の画像を確認したとき、案内管 121が前進したと 判断する。そして、手元操作によって挿入部 111を所定量押し込み操作する。すると 、挿入部 111が案内管 121の内孔内を前方に移動されることにより、再び、前記図 7 2の中心線より上側の図で示したように先端硬性部 114が回動部材 131に対して所 定量だけ突出、或いは略面一致状態になる。このとき、画面上には案内管 121の画 像の含まれて 、な 、、大腸の内視鏡画像だけが表示される。
[0219] つまり、術者は、モニタ 6の画面上に表示される内視鏡画像の一部に、案内管 121 の画像の有無を確認し、案内管 121の画像が表示されているときにはその画像の位 置から突出量を判断して、湾曲部 115を湾曲させる操作や、挿入部 111を捻る操作 、或いは挿入部 111を押し込む手元操作を行って、挿入部 111を大腸内の深部に 向けて挿入させていく。
[0220] そして、図 73の破線に示すように案内管 121が S字状結腸部 73近傍等、屈曲部に 到達したとき、案内管 121の外表面に形成されている螺旋形状部 133bと腸壁との接 触長が長いため、回転されている案内管 121は、屈曲しているとともに可動性に富む S字状結腸部 73を推進力によってスムーズに前進していく。このとき、術者は、モニタ 6の画面上に表示される内視鏡画像を観察する。そして、内視鏡画像を遮る案内管 1 21の画像を確認したなら、適宜、手元操作を行って、挿入部 111の先端硬性部 114 を、腸壁に対してでなぐ案内管 121の内孔内に対して移動させていく。
[0221] つまり、推進力による案内管 121の大腸内での移動と、術者が案内管 121の内孔 内に対して挿入部 111を押し込み操作して前進させる移動とを繰り返し行う。このこと によって、案内管 121及び挿入部 111は、 S字状結腸部 73を通過し、その後、 S字状 結腸部 73と可動性に乏しい下行結腸部 74との境界である屈曲部、下行結腸部 74と 可動性に富む横行結腸部 75との境界である脾湾曲 76、横行結腸 75と上行結腸部 7 8との境界である肝湾曲 77の壁に沿うようにスムーズに前進して、図 74に示すように 大腸の走行状態を大きく変化させることなぐ例えば目的部位である盲腸部 79近傍 に到達する。
[0222] 術者は、画面上に表示される内視鏡画像から挿入部 111が盲腸部 79近傍まで到
達したと判断したなら、案内管回転装置 22Aの回転用モータ 153の回転を停止させ る。このことによって、案内管 121の前進が停止される。ここで、大腸内の内視鏡検査 を行うために挿入部 111の引き戻しに移行する。その際、案内管 121を挿入部 111 に装着した状態で、かつ挿入部の先端硬性部 114を所定量だけ突出、或いは略面 一致状態にさせて検査を行う。
[0223] なお、本実施形態の内視鏡用挿入補助具 103に、回転用モータ 153の駆動制御 を行うため、図示しな!、フットスィッチを設けるようにしてもよ!/、。
[0224] このように、螺旋形状部を設けた螺旋管部を有する案内部材の内孔に内視鏡の挿 入部を配置し、案内部材が装着されている状態の挿入部を大腸内に挿入して、案内 部材を回転状態にすることによって、挿入部に対して案内部材が回転することによつ て、その回転力が推進力に変換されて、挿入部を被う案内部材が大腸及びこの挿入 部に対して移動する。そして、術者が案内部材の移動を観察している内視鏡画像に よって確認したとき、挿入部を案内部材に対して移動させる。そして、案内部材の推 進力による大腸に対する移動と、挿入部の案内部材の内孔に対する術者の手元操 作による移動とを繰り返し行うことによって、案内部材を介して挿入部を大腸の深部 に向けて挿入することができる。
[0225] このこと〖こよって、術者は、モニタの画面上に表示される案内部材の画像を確認し たとき、適切な湾曲操作、及び捻り操作を行えるとともに、押し込み操作力量を軽減 して挿入部の管腔の深部までの挿入を短時間でスムーズに行うことができる。
[0226] また、案内部材と案内部材回転装置とで構成される内視鏡用挿入補助具では、案 内部材を構成する螺旋管部の外表面に螺旋形状部を設けている。このため、案内部 材を被せた状態の挿入部を例えば大腸内に挿入させた状態において、案内部材に 形成されている螺旋形状部と腸壁との接触状態が、いわゆる雄ねじと雌ねじとの関係 になる。したがって、この接触状態において、案内部材回転装置を構成するモータを 回転駆動させることによって、案内部材の軸廻り方向の回転力は、雄ねじが雌ねじに 対して移動するような推進力に変換されて、案内部材を大腸に対してスムーズに移 動させることができる。
[0227] なお、前述した実施形態にお!、ては案内部材の推進力によって案内部材だけを移
動させ、その後、挿入部を案内部材の内孔に対して移動させて、案内部材の移動と 挿入部の移動とを繰り返し行って、挿入部を大腸の深部に向けて挿入するとしている
。しかし、以下に示すように内視鏡 102の挿入部 111、及び案内管 121 Aを構成する ことによって、案内管 121Aの推進力によって挿入部 111を体腔内の深部に移動さ せるようにしてちょい。
[0228] 図 75を参照して内視鏡 102の挿入部 111を体腔内の深部まで挿入する他の構成 を説明する。
[0229] 図に示すように本実施形態の案内管 121Aは、内視鏡 102の挿入部 111に対して 同位置で回動自在な構成である。つまり、補助具本体部 132A及び挿入部 111を構 成する先端硬性部 114には、案内管 121 Aが挿入部 111に対して進退移動すること を無くすための、位置決め回動手段が設けられている。
[0230] 位置決め回動手段は、補助具本体部 132Aの内周面所定位置に設けられた周溝 132aと、先端硬性部 114の外周面に配置されて、周溝 132aに係入配置される係止 部材 135とで構成されている。係止部材 135は、例えば所定の弾性力を有している。
[0231] 案内管 121Aの内孔に、内視鏡 102の挿入部 111を挿通させる際、案内管 121A の補助具本体部 132Aを係止部材 135の付勢力に抗して、先端硬性部 114の所定 位置に外嵌配置する。このこと〖こよって、先端硬性部 14に設けた係止部材 135が、 補助具本体部 132Aの周溝 132a内に係止配置される。すると、案内管 121Aは、挿 入部 111に対して進退移動することなぐ回動自在になる。この内視鏡配置状態にお いて、内視鏡 102の先端面は、補助具本体部 132Aの先端面より突出するように補 助具本体部 132Aより前方側に配置されている。。したがって、内視鏡 102の観察視 野が案内管 121Aによって妨げられることが確実に防止される。
[0232] そして、例えば前記図 73に示したように螺旋管部 133の外表面に形成されている 螺旋形状部 133bが腸壁に接触した状態において、回転用モータ 153を回転駆動さ せて、案内管 121Aに推進力が発生させたとき、案内管 121Aは推進力によって直 腸 72の壁に沿うように前進を開始する。このとき、案内管 121Aを構成する補助具本 体部 132Aの周溝 132aに、先端硬性部 114に設けた係止部材 135が係止配置され ているため、前記案内管 121Aの移動に伴って、挿入部 111も一体的に前進される。
つまり、案内管 121Aが大腸内の深部に向力つて移動することによって、この案内管 121Aの内孔内に係止配置されている挿入部 111も同様に大腸内の深部に向かつ て移動される。
[0233] このように、案内管を構成する補助具本体部に周溝を形成する一方、内視鏡の挿 入部を構成する先端硬性部に係止部材を設けて案内管を挿入部に対して進退移動 することなぐ回動自在な構成にする。このこと〖こよって、案内管が回転して推進力を 発生している状態において、内視鏡の挿入部は、案内管の進退に伴って大腸に対し て進退移動させることができる。
[0234] なお、本実施形態においては、位置決め回動手段を、補助具本体部 132Aの内周 面所定位置に設ける周溝 132aと、先端硬性部 114の外周面に配置されて、周溝 13 2aに係入配置される係止部材 135とで構成している。しかし、位置決め回動手段は これに限定されるものではなぐ先端硬性部側に周溝を設け、補助具本体部 132A の内周面側に係止部材を設ける構成等であってもよい。
[0235] また、本実施形態においては、モータの回転方向を、案内部材を案内部材長手軸 廻りの一方向に回転させるとしている力 モータは案内部材を、左回転 Z右回転に 任意に回転させられるタイプであってもよい。
[0236] 又、本実施形態においては挿入部 111の深部までの挿入を、案内管 121の大腸に 対する移動と、挿入部 111の案内管 121の内孔に対する手元操作による移動とを、 画面上の内視鏡画像で確認しながら繰り返し行うことによって実現している。しかし、 以下に示すように案内管 121を介して内視鏡 102の挿入部 111を体腔内の深部まで 挿人するようにしてもよ ヽ。
[0237] 図 76ないし図 78を参照して内視鏡 102の揷入部 111を体腔内の深部まで挿入す る別の構成を説明する。
図 76に示すように本実施形態においては、案内管 121の先端面を挿入部 111を 構成する可撓管 116上に配置させている。つまり、内視鏡 102の湾曲部 115は、案 内管 121の先端面より先端側に配置されて 、る。
[0238] 術者は、案内管 121の配置される挿入部 111を大腸内に挿入する際、内視鏡 102 を観察可能な状態にする。そして、案内管 121の先端面力も突出している挿入部 11
1を肛門 71から大腸内に挿入する。すると、モニタ 6の画面上に内視鏡 102のとらえ た内視鏡画像が表示される。ここで、術者は、内視鏡画像を観察しながら挿入部 111 を大腸内の深部に向けて挿入していく。すると、案内管 121も肛門 71から大腸内に 挿入される。ここで、術者は、案内管 121の推進力を利用して、内視鏡画像を観察し ながら、図 77及び図 78に示すように挿入部 111を大腸内の深部に向けて移動させ ていく。
[0239] つまり、術者は、モニタ 6の画面上に表示されている内視鏡画像力 挿入方向を判 断して、湾曲部 115を適切に湾曲動作させること、及び挿入部 111を捻る操作等の 手元操作に専念する。そして、挿入部 111を深部に向けて移動させる手元操作に関 しては、案内管 121の推進力に依存する。このこと〖こよって、挿入部の管腔深部まで の挿入を、スムーズに行うことができる。
[0240] 図 79ないし図 83を参照して本発明の第 7実施形態を説明する。
[0241] 図 79に示すように本実施形態の挿入部案内部材である案内管 140は、体腔内へ の挿通性を考慮した螺旋管であり、例えばステンレス製で所定の径寸法の金属素線 141を螺旋状に卷回して所定の可撓性を有するように形成したものである。したがつ て、案内管 140の外表面には金属素線 141の表面が形成する螺旋形状部 141aが 設けられる。なお、案内管 140の内径寸法は、前記内視鏡 102の挿入部 111が揷通 可能に設定される。
[0242] 図 80に示すように本実施形態の内視鏡用挿入補助具 103Aは、案内管 140と、案 内管回転装置 22Aとを備えて構成されている。本実施形態において、案内管 140は 、ドラム 142に卷回されている保護チューブ 143内に回転可能で、かつ摺動自在に 遊嵌配置されている。ドラム 142は例えばドラム用カート 144の台 144a上に設置され ている。その他の構成は第 6実施形態と同様であり、同部材には同符号を付して説 明を省略する。
[0243] 案内管 140を大腸に挿入する手順を説明する。
まず、図 80に示すように術者 (不図示)は、案内管 140の先端側部を把持して、ベ ッド 8上に横たわつている患者 7の肛門から案内管 140の先端部を大腸内に挿入す る。すると、案内管 140の外表面に形成されている螺旋形状部 141aが腸壁に接触
する。このとき、案内管 140に形成されている螺旋形状部 141aと腸壁との接触状態 力 雄ねじと雌ねじとの関係になる。
[0244] この接触状態において、案内管回転装置 22の回転用モータ 153を回転駆動状態 にする。すると、図 81の矢印に示すように案内管 140の螺旋形状部 141aが基端側 力 先端側に移動するように軸廻り方向に回転した状態になる。
[0245] このこと〖こよって、回転された案内管 140の螺旋形状部 141aと腸壁の接触部分に 、雄ねじが雌ねじに対して移動するような、案内管 140を前進させる推進力が発生す る。すると、案内管 140は、推進力によって大腸内を深部に向力つて進んでいく。この とき、術者は、把持している案内管 140を押し進めるような手元操作を行ってもよい。
[0246] すると、肛門 71から挿入された案内管 140は、推進力及び術者の手元操作によつ て、直腸 72から S字状結腸部 73に向かって進んでいく。そして、図 81に示すように 案内管 140が S字状結腸部 73近傍に到達する。このとき、案内管 140の外表面に形 成されている螺旋形状部 141aと腸壁との接触長が長いため、回転されている案内管 140は、屈曲して可動性に富む S字状結腸部 73をスムーズに前進して 、く。
[0247] その後、回転されている状態の案内管 140は、 S字状結腸部 73を通過し、 S字状結 腸部 73と可動性に乏しい下行結腸部 74との境界である屈曲部、下行結腸部 74と可 動性に富む横行結腸部 75との境界である脾湾曲 76、横行結腸 75と上行結腸部 78 との境界である肝湾曲 77の壁に沿うようにスムーズに前進していく。そして、図 82に 示すように大腸の走行状態を変化させることなぐ例えば目的部位である上行結腸部 78の肝湾曲 77近傍に到達する。
[0248] 術者によって目的部位に到達したと判断されたなら、続いて、肛門 71から外部に突 出している案内管 140の基端側開口力も案内管 140の内孔内に内視鏡 102の挿入 部 111を挿入する。そして、術者は、モニタ 6の画面上において案内管 140の延出方 向を確認しながら、湾曲部 115を湾曲させる操作や、挿入部 111を捻る操作等を行 いながら挿入部 111を挿入を行う。すると、図 83に示すように大腸内に位置する案内 管 140の先端側開口力も挿入部 111が突出して、先端硬性部 114が盲腸部 79近傍 に配置される。
[0249] 本実施形態においては、挿入部 111が大腸内に挿通された案内管 140の内孔内
を先進して、大腸の深部に案内される。このため、術者は、挿入させる方向を見失うこ となぐ挿入力量を大幅に軽減して挿入部 111をスムーズに盲腸部 79近傍に挿入さ せることができる。そして、術者は、挿入部 111が目的部位である盲腸部 79近傍に到 達したことをモニタ 6の画面上で確認したなら、引き続き、大腸内の内視鏡検査を行う
[0250] このように、案内部材と内視鏡の挿入部を組み合わせることなぐ予め、案内部材を 大腸内の目的部位まで挿通させ後、体外に配置されている案内部材の基端側開口 力 内視鏡の挿入部を案内部材の内孔内に挿通させる。このことによって、術者は、 挿入部を挿入させる挿入方向を見失うことなぐかつ、適切な湾曲操作、捻り操作を 行って、僅かな挿入力量で内視鏡の挿入部を目的部位に挿入することができる。
[0251] これらのことによって、挿入補助部材の内部に内視鏡等の医療機器を挿通させるこ とで、外径の異なる挿入部を有する複数の医療機器に対して汎用性が高まる。また、 挿入補助部材が揷入部の外周側に位置するため、処置具揷通チャンネルを有する 医療機器においては該処置具揷通チャンネルが挿入補助部材によって使用されな い。
[0252] したがって、処置具揷通チャンネルを 1つだけ有する内視鏡等の医療機器におい ては、処置具を使用して病変部等の対象部位に対して処置を行う際に、挿入補助部 材を処置具揷通チャンネル力 抜去する等の作業を行うことなく瞬時に処置を行うこ とができるので、処置性の向上を図れる。
[0253] なお、上述したように、医療機器を内部に挿通して医療機器の挿入を補助する挿 入補助部材を回転させるように構成することで、医療機器を挿入補助部材の先端側 力 突出させておくことにより、被検体の観察あるいは処置等を行う際に挿入補助部 材によってそれらを妨げられることを防止することができので、観察あるいは処置性の 更なる向上を図ることができる。
[0254] なお、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなぐ発明の要 旨を逸脱しな 、範囲で種々変形実施可能である。