WO2005087375A1

WO2005087375A1 - 金属担体触媒装置からの貴金属回収方法

Info

Publication number: WO2005087375A1
Application number: PCT/JP2004/003384
Authority: WO
Inventors: Shigeru Nakatsu; Tomonao Yokota
Original assignee: Ishifuku Metal Industry Co., Ltd.
Priority date: 2004-03-15
Filing date: 2004-03-15
Publication date: 2005-09-22
Also published as: CN1925915A; US20070183951A1; DE112004002800T5

Abstract

本発明は、内燃機関の排気ガス浄化用等における使用済の金属担体触媒装置の金属担体から、該金属担体を実質的に破砕したり溶解したりすることなく、貴金属含有触媒成分担持ウオッシュコー卜を効率的に分離回収する方法を提供するものであり、その方法は、ウオッシュコートが設けられた金属担体と該ウオッシュコートに担持された貴金属を含有する触媒成分とからなる金属担体触媒装置を、硫酸及び硝酸を含有する混酸水溶液で処理することからなる。

Description

明細書

金属担体触媒装置からの貴金属回収方法技術分野

本発明は、使用済の金属担体触媒装置の金属担体から貴金属含有触媒成分担持ゥォッシュコートを分離回収し、さらに貴金属を回収する方法に関する。背景技術

内燃機関の排気ガス浄化用触媒装置に用いられる触媒担体としては、セラミック担体と金属担体とがある。

セラミック担体触置から貴金属を回収する方法としては、塩酸、王水等による酸溶解が一般的である。しかしながら、この酸溶解法を金属担体触媒装置に適用すると、金属担体の溶解に多量の酸が必要となり、しかも溶解液から貴金属を効果的に分離することが困難であるとレ、う問題がある。

そのため、金属担体触媒装置からの貴金属の回収方法について、従来から各種の提案がなされている。

例えば、特開平 8— 2 6 6 9 1 1号公報には、貴金属を担持した金属製ハニカム体からなる金属担体に酸素過剰炎をあてることにより、該ハエカム体を燃焼させ酸化物粒として落下させ粉砕した後、例えば磁選により酸化物を除去して貴金属を回収する方法が開示されており、また、特開平 1 1— 1 5 8 5 6 3号公報には、金属担体触媒コンバータの金属担体を高温に加熱し、次いで該金属担体を冷水によって急速に冷却して該金属担体から貴金属を含有するゥォッシュコート層を剥離することにより、金属担体触媒コンバータから貴金属を回収する方法が開示されている。

さらに、特開平 8— 3 4 6 1 9号公報には、金属担体基材上に耐火性無機酸化物の層が形成され且つ該耐火性無機酸化物の層中に貴金属を含有する金属担体触媒を、 3 0容量％以上の硫酸及び/又は燐酸の溶液中に浸漬し加熱して金属担体触媒の触媒層を溶解することによって、金属担体触媒を金属担体基材と触媒層とに分離し、溶解液及ぴ触媒層の未溶解残渣中から貴金属を回収する方法が開示されている。しかし、この方法では、酸溶液が触媒層の溶解に消費されている時には反応が穏やかに進行するが、触媒層が少なくなると金属担体基材が急激に溶解するため、触媒層の選択的分離が困難になる等の問題がある。発明の開示

本発明の主たる目的は、内燃機関の排気ガス浄化用等における使用済の金属担体触媒装置の金属担体から、該金属担体を実質的に破碎したり溶解したりすることなく、貴金属含有触媒成分担持ゥォッシュコートを効率的に分離回収する方法. を提供することである。

本発明の別の目的は、分離回収された貴金属含有触媒成分担持ゥォッシュコ一トから貴金属を回収する方法を提供することである。

本発明のさらに別の目的ないし特徴は、以下の説明から明らかとなるであろう。本発明者らは、上記の如き目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、今回、使用済の金属担体触媒装置を硫酸と硝酸を含有する混酸水溶液で処理すると、金属担体を実質的に溶解することなく、金属担体から、貴金属含有触媒成分担持ゥォッシュコートを容易に分離回収することができることを見出し、本発明を^するに至った。

かくして、本発明は、ゥォッシュコートが設けられた金属担体と該ゥォッシュコートに担持された貴金属を含有する触媒成分とからなる金属担体触媒装置を、硫酸及び硝酸を含有する混酸水溶液で処理することを特徴とする金属担体触媒装置からの触媒成分担持ゥォッシュコートの分離回収方法を提供するものである。本明は、また、上記の方法により分離回収された触媒成分担持ゥォッシュコ一ト及び回収した混酸水溶液から、それ自体既知の方法により貴金属を回収することを特徴とする金属担体触 »置からの貴金属回収方法を提供するものである。図面の簡単な説明

図 1は、実施例 1及び 2で用いる方法を概略的に示すフローシートである以下、本発明の方法についてさらに詳細に説明する。 ' 本発明の方法に従い処理される金属担体触媒装置としては、例えば、耐熱ステンレス鋼や鉄一クロムーアルミユウム合金のような耐熱性金属の箔で形成されたハニカム構造体のような金属担体の表面に、活性アルミナ、ジルコニァ等の耐火性無機酸化物の多孔質層、すなわちゥォッシュコートを形成し、該層に白金、口ジゥム、パラジウム等の貴金属からなる触媒成分を担持したもの、或いはかかる触媒成分担持金属担体を耐熱金属製外筒内に収容したもの等が挙げられる。これらは、一般に、自動車やボイラー等の各種内燃機関の排ガス浄化のために多く使用されており、自動車等の場合には廃車手続の後に廃棄され、そしてボイラー等の場合には触媒能が低下すると取り替えられている。

本発明は、かかる使用済の金属担体触媒装置を、硫酸と硝酸を含有する混酸水溶液で処理するものである。該混酸水溶液において、硫酸は主としてゥォッシュコートに含まれるアルミナ等の金属酸化物を溶解し、ゥォッシュコートを脆ィ匕させるのに役立ち、他方、硝酸は金属担体表面に酸化被膜を形成せしめて、金属担体が硫酸によって溶解されるのを抑制する、すなわち、金属担体を溶解から保護するのに役立つ。

しかして、本発明において使用される混酸水溶液中における硫酸及び硝酸の濃度は、厳密に制限されるものではなく、処理対象とする金属担体触媒装置の材質や形状等に応じて変えることができるが、一般には、硫酸は 5〜5 0重量％、好ましくは 7 . 5〜4 0重量％、さらに好ましくは 1 0〜3 0重量％の範囲内の濃度、そして硝酸は 0 . 1〜5重量％、好ましくは 0 . 5〜4重量％、さらに好ましくは 1〜 3重量％の範囲内の濃度とすることができる。

上記混酸水溶液には、必要に応じて、任意成分として、例えば、燐酸、酢酸、蓚酸、クェン酸、及びこれらの塩等を少量、好ましくは 1〜5重量％の範囲内の濃度で含有せしめることもできる。

前記の金属担体触媒装置の混酸水溶液による処理は、例えば、使用済の金属担体触媒装置を混酸水溶液中に浸漬す όことにより行うことができる。その際の該混酸水溶液の温度は特に制限されるものではないが、一般には、常温ないし約 1

5 0 °Cの範囲内の温度とすることができる。し力し、低温ではゥォッシュコート層の溶解に時間がかかるので、通常は約 6 0〜約 1 0 0 °Cの温度で処理するのが好適である。また、処理時間も特に限定されないが、硝酸が消費されて金属担体表面に新たに酸化被膜が形成されなくなる前に反応を終了させるのが好ましい。なお、この混酸水溶液による処理は、必要に応じて、複数回繰り返して行ってもよい。

かくして、金属担体触媒装置の金属担体上の貴金属含有触媒成分担持ゥォッシュコート層のかなりの部分は混酸中に溶解し、処理条件によってゥォッシュコ一ト層の一部が未溶解の状態で金属担体から剥離し、未溶解残渣の状態で混酸中に分離回収される。一方、金属担体は実質的に溶解されることなく、混酸水溶液から取り出すことができる。

以上の如くして分離回収される貴金属成分担持ゥォッシュコートを溶解した状態で含有する、場合によって未溶解残渣を含む混酸水溶液は、次いで必要に応じて、通常の固一液分離手段によって、触媒成分担持ゥォッシュコートを溶解含有する混酸水溶液と未溶解残渣とに分離した後、それぞれから、それ自体既知の貴金属回収方法、例えば「高純度技術大系」第 3卷高純度物質製造プロセス第 IV 編 573〜576頁（1997年 12月 12日、フジテクノシステム株式会社発行；横浜国立大学工学部物質工学科教授大矢晴彦監修）に記載の方法に従い、貴金属を回収することができる。

具体的には、例えば、触媒成分担持ゥォッシュコートを溶解含有する混酸水溶液から、該水溶液を水素や鉄粉等の還元性物質を用いて還元処理することにより、. 貴金属を析出させることができ、析出する貴金属は、必要に応じて、王水に溶军してさらに精製することができる。他方、未溶解残渣は、王水で該残渣を溶解させた後、その溶液から通常の方法（例えば沈殿分離法）で貴金属を回収することができる。

以上に述べた本発明の方法によれば、金属担体触媒装置を硫酸及び硝酸を含有する混酸水溶液で処理することにより、硫酸が金属担体上の触媒成分担持ゥォッシュコ一ト層を溶解するように作用するのと同時に、硝酸が金属担体表面に酸ィ匕被膜を形成するように作用して金属担体表面を硫酸による溶解から保護し、その結果、金属担体を実質的に溶解させることなく、金属担体から触媒成分担持ゥォッシュコートを効果的に分離回収することができる。実施例

以下、本努明の方法を実施例によりさらに具体的に説明するが、これら実施例は本発明の範囲を限定するためのものではないことを了解すべきである。

参考例 1

直径 900mm、高さ 1260腿の耐熱ステンレス鋼ハエカム体（以下、金属担体という；容量 800_CC) に活性アルミナ 140gをコートし、焼き付けた後、金属担体 1個あたり白金（Pt) 0. 3g、パラジウム（Pd) 2. 3g及びロジウム（Rh) 0. 3gを担持させることにより、金属担体触媒装置を作製した。実施例 1

図 1に示すフローシートに従い、参考例 1で作製した金属担体触媒装置を、 2 0重量％の硫酸及び 2重量％の硝酸を含む水溶液中に浸漬し、 8 0 °Cで 5時間処理した。放冷後、金属担体（1 ) を上記水溶液から取り出し、該金属担体を水洗し、その洗液を該水溶液と一緒にして、未溶解残渣を含む水溶液（2 ) を得た。回収された金属担体は、活性アルミナをコートする前の金属担体と外 ffiJ同じであり、何ら溶解している形跡は認められなかった。

水溶液（2 ) を濾過して、未溶解残渣（3 ) と水溶液（4 ) に分離した後、水溶液（4 ) に鉄（Fe) 粉 10gを加えて還元処理し、貴金属（Pt、 Pd、 Rh) 成分（5 ) を析出させ、回収した。次いで、この回収した貴金属成分（5 ) と未溶解残麼（3 ) を王水中に投入し溶解させ、溶液化した貴金属成分（6 ) を得た。金属担体（1 ) 上に残留した貴金属成分及ぴ溶液化した貴金属成分（6 )のそれぞれを I C P (誘導結合アルゴンプラズマ）発光分析法に従って分析し、 Pt、 Pd及び Rhを定量した。その結果を表一 1に示す。実施例 2

図 1に示すフローシートに従い、参考例 1で作製した金属担体触媒装置を、 2 0重量％の硫酸及び 2重量％の硝酸を含む水溶液中に浸漬し、 8 0 °Cで 5時間処理し、金属担体（1 ) を上記水溶液から取り出し、新たに調製した 2 0重量％の硫酸及び 2重量％の硝酸を含む水溶液中に浸漬し、再び 8 0 °Cで 5時間処理した。放冷後、該金属担体を水洗し、その洗液を該水溶液と一緒にして、未溶解残渣を含む水溶液（2 ) を得た。回収された金属担体は、活性アルミナをコートする前の金属担体と夕 Ml上同じであり、何ら溶解している形跡は認められなかった。水溶液（2 ) を濾過して、未溶解残渣（3 ) と水溶液（4 ) に分離した後、水溶液（4 ) に鉄（Fe) 粉 10gを加えて還元処理し、貴金属（Pt、 Pd、 Rh) 成分（5 ) を析出させ、回収した。次いで、この回収した貴金属成分（5 ) と未溶解残渣（3 ) を王水中に投入し溶解させ、溶液化した貴金属成分（6 ) を得た。金属担体（1 ) 上に残留した貴金属成分及び溶液化した貴金属成分（6 ) のそれぞれを実施例 1 と同様にして分析し、 Pt、 Pd、及び Rhを定量した。その結果を表一 1に示す。比較例 1

2 0重量％の硫酸及び 2重量％の硝酸を含む水溶液の代わりに、 2 0重量％の硫酸を含む水溶液を用い、且つ新たに調製した該水溶液中を用いて浸漬処理を 3 回繰り返して行う以外、実施例 1と同様の操作を行った。その結果を表ー1に示す。なお、浸漬処理によって金属担体（1 ) が一部溶解していることが確認された。比較例 2

2 0重量％の硫酸及び 2重量％の硝酸を含む水溶液の代わりに、 3 0重量％の硫酸及び 5重量％の燐酸を含む水溶液を用い、且つ新たに調製した該水溶液中を用いて浸漬処理を 3回繰り返して行う以外、実施例 1と同様の操作を行った。その結果を表一 1に示す。なお、浸漬処理によって金属担体（1 ) がー部溶解していることが確認された。比較例 3

2 0重量％の硫酸及び 2重量％の硝酸を含む水溶液の代わりに、 3 0重量％の燐酸を含む水溶液を用い、且つ新たに調製した該水溶液中を用いて浸潰処理を 3 回繰り返して行う以外、実施例 1と同様の操作を行った。その結果を表一 1に示す。なお、浸漬処理によって金属担体（1 ) がー部溶解していることが確認された。

表一 1

※ 貴金属成分溶液化率 (％) =

溶液化した貴金属成分 (g) 金属担体に残留した貴金属成分 (g) +溶液ィヒした貴金属成分 (g)

Claims

請求の範囲

1 . ゥォッシュコートが設けられた金属担体と該ゥォッシュコートに担持された貴金属を含有する触媒成分とからなる金属担体触媒装置を、硫酸及び硝酸を含有する混酸水溶液で処理することを特徴とする金属担体触媒装置からの触媒成分担持ゥォッシュコートの分離回収方法。

2 . 混酸水溶液が、硫酸を 5〜 5 0重量％の範囲内の濃度で、そして硝酸を 0 . 1〜 5重量％の範囲内の濃度で含有する請求の範囲第 1項に記載の方法。

3 . 混酸水溶液が、硫酸を 1 0 ~ 3 0重量％の範囲内の濃度で、そして硝酸を 1〜 3重量％の範囲内の濃度で含有する請求の範囲第 1項に記載の方法。

4 . 混酸水溶液による処理を常温ないし約 1 5 0 °Cの範囲内の温度で行う請求の範囲第 1項に記載の方法。

5 . 混酸水溶液による処理を約 6 0〜約 1 0 0 °Cの範囲内の温度で行う請求の範囲第 1項に記載の回収方法。

6 . 請求の範囲第 1〜 5項にいずれかに記載の方法により分離回収された触媒成分担持ゥォッシュコ一ト及ぴ回収した混酸水溶液から、それ自体既知の方法により貴金属を回収することを特徴とする金属担体触媒装置からの貴金属の回収方法。