明 細 書
含フッ素エーテル化合物
技術分野
[0001] 本発明は不活性媒体等として有用である新規な含フッ素エーテルィ匕合物に関する 背景技術
[0002] 従来、含フッ素不活性媒体としては、 C F または C F 等のペルフルォロアルカン
5 12 8 18
類、下式(2)で表される化合物等のペルフルォロエーテル類、および (C F ) N等の
4 9 3 ペルフルォロアルキルアミン類等が知られて ヽる。これらの含フッ素不活性媒体は、 エレクトロニクス分野における絶縁油、サーマルショックテストやリークテスト等の媒体
、医療分野における酸素運搬剤、工業分野における洗浄剤または水きり剤等に用い られて 、る (たとえば非特許文献 1参照)。
[0003] [化 1]
非特許文献 1 :山辺正顕、松尾仁編、「フッ素系材料の最新動向」、シーエムシー出 版、 1994年、 p.172— 176
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0004] しかし、含フッ素不活性媒体の多くは、原料の大量入手が困難であり、工業的な製 造が困難であった。また、含フッ素不活性媒体においては、化合物の沸点、融点お よび蒸気圧等の物性がきわめて重要であり、これらの物性は化合物の構造により大き く異なる。含フッ素不活性媒体を使用する際には、用途に応じた最適の物性を示す 化合物を選択する必要があるが、近年の含フッ素不活性媒体の用途の拡大に伴つ て、多様な構造の含フッ素不活性媒体が必要とされている。しかし、これまでに知ら れて 、る含フッ素不活性媒体は、炭素数が異なる複数の化合物の混合物である場
合が多ぐ単一組成でかつ高純度の含フッ素不活性媒体が求められる医療分野等 の分野においては、使用できる含フッ素不活性媒体が限られる問題があった。
課題を解決するための手段
[0005] 本発明は、上記課題を解決する目的でなされたものであり、不活性媒体等として有 用でありかつ新規な化合物を提供する。すなわち、本発明は以下の発明を提供する
[0006] 表される化合物。
RF1OCFRF2CFRF2ORF1- · · (1)
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
RF1:炭素数 4一 7の直鎖ペルフルォロアルキル基。
RF2:フッ素原子、またはトリフルォロメチル基。
[0007] < 2 >下式(la)で表される化合物、または下式(lb)で表される化合物。
F(CF ) OCF(CF )CF(CF )0(CF ) F--- (la)
2 4 3 3 2 4
F(CF ) OCF(CF )CF(CF )0(CF ) F--- (lb)
2 6 3 3 2 6
[0008] <3>下式 (4)で表される化合物の 2分子をカップリング反応させる、または、下式( 5)で表される化合物および下式 (6)で表される化合物力 なる群力 選ばれる少なく とも 1種の化合物の 2分子をカップリング反応させることを特徴とする下式(1)で表さ れる化合物の製造方法。
RF1OCFRF2COF--- (4)
RF1OCFRF2COOH- · · (5)
RF1OCFRF2COOM- · · (6)
RF1OCFRF2CFRF2ORF1- · · (1)
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
RF1:炭素数 4一 7の直鎖ペルフルォロアルキル基。
RF2:フッ素原子、またはトリフルォロメチル基。
M:アルカリ金属原子。
[0009] <4>式 (4)で表される化合物の 2分子を光カップリング反応によりカップリング反 応させる < 3 >に記載の製造方法。
[0010] < 5 >式(5)で表される化合物および式 (6)で表される化合物からなる群力 選ば れる少なくとも 1種の化合物の 2分子を電解カップリング反応によりカップリング反応さ せる < 3 >に記載の製造方法。
[0011] く 6>RF1が F(CF ) または F(CF )一のいずれかであり、 RF2がトリフルォロメチ
2 4 2 6
ル基である <3>— <5>の!、ずれかに記載の製造方法。
[0012] <7>< 1 >またはく 2 >に記載の化合物力 なる不活性冷媒。
発明の効果
[0013] 本発明によれば、不活性媒体として有用であり、かつ新規な含フッ素エーテルィ匕合 物が提供される。
発明を実施するための最良の形態
[0014] 本明細書においては、式(1)で表される化合物をィ匕合物 (1)のようにも記す。他の式 で表される化合物についても同様である。また、特に記載のない限り、圧力はゲージ 圧で表す。
[0015] 本発明の化合物(1)は下式で表される化合物である。
RF1OCFRF2CFRF2ORF1- · · (1)。
ただし、 RF1は炭素数 4一 7の直鎖ペルフルォロアルキル基である。ペルフルォロア ルキル基とは、アルキル基中の炭素原子に結合した水素原子の全部がフッ素原子に 置換された基を表す。 RF1としては— (CF ) F、— (CF ) F、または— (CF ) Fが好ま
2 4 2 5 2 6 しぐ (CF ) Fまたは- (CF ) Fが特に好ましい。 RF2は、フッ素原子またはトリフル
2 4 2 6
ォロメチル基であり、トリフルォロメチル基が好まし 、。
[0016] 化合物(1)としては、不活性媒体としての有用性の点から、下記化合物(la)または 下記化合物(lb)が好ましい。
F(CF ) OCF(CF )CF(CF )0(CF ) F— (la)、
2 4 3 3 2 4
F(CF ) OCF(CF )CF(CF )0(CF ) F--- (lb)G
2 6 3 3 2 6
本発明の化合物(1)の製造においては、公知または周知の方法が採用でき、該方 法としては以下の方法等が挙げられる。
[0017] [方法 1]下記化合物(3)を液相中でフッ素と反応させる方法によりフッ素化する方 法。
[方法 2]下記化合物(3)を高原子価金属フッ化物によってフッ素化する方法。該方 法としては、たとえば三フッ化コバルトを用いてフッ素化するコバルトフッ素化法が挙 げられる。
[方法 3]下記化合物(3)を電気化学的フッ素化反応 (以下、 ECF法と記す)により フッ素化する方法。
[方法 4] 2分子の下記化合物 (4)、または、下記化合物(5)および下記化合物(6) 力 なる群力 選ばれる少なくとも 1種の化合物の 2分子をカップリング反応させる方 法。
R'OCX'R^X^^R1 - · · (3)、
RF1OCFRF2COF' - ' (4)、
RF1OCFRF2COOH- · · (5)、
RF1OCFRF2COOM- · · (6)。
[0018] ただし、式中の RF1および RF2は前記と同じ意味を表し、 X1および X2は、それぞれ独 立に水素原子またはフッ素原子を表す。 R1と RF1、 R2と RF2はそれぞれ対応し、 R1は RF1中のフッ素原子の一部または全部が水素原子に置換された基、または該置換さ れた基の炭素 炭素結合が不飽和結合になった基を示す。 R1としては、 RF1と同一炭 素骨格を有するアルキル基が好まし 、。
[0019] RF2がフッ素原子である場合の R2は水素原子であり、 RF2がトリフルォロメチル基で ある場合の R2はメチル基である。 Mはアルカリ金属原子を示す。該アルカリ金属原子 としては、ナトリウム原子、カリウム原子、またはリチウム原子等が挙げられ、化合物(6 )の調製が容易であることから、ナトリウム原子またはカリウム原子が好ま 、。
[0020] 前記方法 1一 3における化合物(3)は公知の化合物である力 または公知の化合 物に公知の手法を適用することによって得ることができる。化合物(3)としては、下記 化合物(3c)および下記化合物(3d)等が挙げられる。
H (CH ) OCH CH 0 (CH ) Η· · · (3c)、
2 4 2 2 2 4
H (CH ) OCH CH 0 (CH ) Η· · . (3d)。
2 6 2 2 2 6
[0021] 方法 1の液相フッ素化法は、たとえば特許第 2945693号公報に記載の方法に従 つて実施できる。また、方法 2のコバルトフッ素化法、方法 3の ECF法によるフッ素化
は公知の方法で実施でき、反応条件は、化合物(3)の反応性、および安定性等によ り適宜変更されうる。
[0022] 前記方法 1一 3によって化合物(3)をフッ素化することにより、化合物(3)中の炭素 原子に結合した水素原子の全てがフッ素原子に変換されるか、または炭素 炭素不 飽和結合にフッ素原子が付加する。よってフッ素化反応によれば、たとえばィ匕合物( 3c)力 は下記化合物(lc)が生成し、化合物(3d)力 は下記化合物(Id)が生成す る。
F (CF ) OCF CF 0 (CF ) F— (lc)、
2 4 2 2 2 4
F (CF ) OCF CF 0 (CF ) F- - - (ld) 0
2 6 2 2 2 6
[0023] 方法 4における化合物 (4)は公知の化合物である力 または公知の化合物に公知 の手法を適用することによって得ることができる。該手法としては、下記方法 a、下記 方法 b、下記方法 c等が挙げられる。
[方法 a]液相フッ素化反応で得たペルフルォロエステルのエステル結合を分解す る方法。
[方法 b]交換反応を利用する方法。
[方法 c]へキサフルォロプロピレンォキシド(以下、 HFPOと略記する。)の付加反 応を利用する方法。
[0024] 方法 aは、下記化合物(7)を原料として、本出願人による国際公開 00Z56694号 パンフレット等に記載の方法にしたがって実施できる。すなわち、化合物(7)と下記 化合物(8)とをエステルイ匕反応させて下記化合物(9)を得て、つぎに該化合物(9)を 液相中でフッ素化して下記化合物 (10)を得て、さらに該化合物(10)においてエステ ル結合の分解反応を行うことにより下記化合物 (4)を得る方法によって実施できる(た だし、式中の R
1 R
2、 R
F1、および R
F2は前記と同じ意味を示し、 R
fはペルフルォロイ匕 された 1価の有機基を示す。ペルフルォロ化された 1価の有機基としては、ペルフル ォロアルキル基、またはペルフルォロ(エーテル性酸素原子含有)アルキル基が好ま しい。化合物(7)は公知の化合物である力、または公知の化合物に公知の手法を適 用することによって得ることができる。;)。方法 aは、原料の入手が容易である点、およ び種々の構造の化合物 (4)を作り分けられる点で好ま 、。
[0025] [化 2]
(9)
Fゥ
*- RF1 OCFRF2CF2OCORf (10) —— - RF1OCFRF2COF (4)
[0026] 方法 bは、下記化合物(12)を下記化合物(13)とともに加熱することによって実施 できる(ただし、式中の RF1および RF2は前記と同じ意味を示し、 R1C>は 1価の有機基で あり、ペルフルォロアルキル基または(エーテル性酸素原子含有)ペルフルォロアル キル基が好ましい。 ) o方法 bにおける交換反応とは、化合物(12)中の COOH部分 を COF部分に交換する反応である。該交換反応は平衡反応であるため、生成する 化合物 (4)を反応蒸留等の手法によって系外へ抜き出しながら反応を行うことが好ま しい。
[0027] [化 3]
RF1 OCFRF2COOH (12) + R10COF(13) —— ^
RF1OCFRF2COF (4) + R10COOH(15) 方法 cは、化合物 (4)の RF2がトリフルォロメチル基である下記化合物 (4A)の入手 方法として有用な方法である。方法 cは、下記化合物(11)に HFPOを付加させる方 法によって実施できる(ただし、式中の RF3は炭素数 3— 6の直鎖ペルフルォロアルキ ル基であり、化合物 (4A)における RF3CF—部分は、化合物 (4)における RF1部分に
2
相当する。)。
[0028] [化 4]
F3 HFPO F3
RF3C0F (11 ) RF3CF2OCF(CF3)COF (4A)
[0029] 化合物(11)は公知の化合物である力、または公知の化合物に公知の手法を適用 することによって得ることができる。化合物(11)の合成方法としては、下記化合物(1 6)を下記化合物(13)とともに加熱し、化合物(16)の COOH部分を COFに変換 する方法、下記化合物(17)を発煙硫酸と反応させ、化合物(17)の末端のヨウ素原 子を COFに変換する方法等が挙げられる(ただし、式中の RF3および R1C>は前記と
同じ意味を示す。 ) oまた、式 R3OHで表される化合物 (ただし、 R3は炭素数 3— 6の 直鎖アルキル基を示し、 3と対応する基である。)を用いて、本出願人による国際公 開 00Z56694号パンフレット等に記載の方法に従って合成することもできる。
[0030] [化 5]
„ R10COF (13) „ S03 F3
RhJCOOH (16) RF3COF (11) ^ R JCF2I (17)
[0031] 化合物 (4)としては、入手が容易である点およびカップリング反応によって得られる 不活性媒体の有用性の点から、下記化合物 (4a)または下記化合物 (4b)が好まし 、
F (CF ) OCF (CF ) COF · · · (4a)、
2 4 3
F (CF ) OCF (CF ) COF · · · (4b)。
2 6 3
また、方法 4における化合物(5)および化合物(6)は公知の化合物である力 また は公知の化合物に公知の手法を適用することによって得ることができる。
[0032] 本発明にお 、ては、化合物(5)は、化合物 (4)の加水分解反応によって得ることが 好ましい。
化合物(6)は、化合物(5)を極性溶媒に溶解させた溶液中にアルカリ金属水酸ィ匕 物をカ卩えることによって溶液または懸濁液として得ることが好ましい。アルカリ金属水 酸ィ匕物としては、水酸化ナトリウム、水酸ィ匕カリウム、水酸化リチウム等が挙げられ、化 合物(6)の調製が容易である点および極性溶媒への溶解性が良好である点から、水 酸ィ匕ナトリウムまたは水酸ィ匕カリウムが好ましい。極性溶媒としては、水;メタノール、 エタノール等のアルコール類;ァセトニトリル等の-トリル類;エチレングリコール、プロ ピレンダリコール等のグリコール類等力 選ばれる 1種の溶媒または 2種以上を混合 した混合溶媒が好ましい。溶媒としては、後述する電解カップリング反応において用 いられる溶媒と同一の溶媒を選択することが特に好ましい。該溶媒を選択することに より、化合物(6)を溶媒力も分離することなくカップリング反応に付すことができる。
[0033] 化合物(5)としては、入手が容易である点およびカップリング反応によって得られる 不活性媒体の有用性の点から、下記化合物(5a)または下記化合物(5b)が好ましく 、化合物(6)としては、下記化合物(6a)、下記化合物(6b)、下記化合物(6e)、また
は下記化合物(6f)が好まし 、。
F (CF ) OCF (CF ) COOH · · · (5a)
2 4 3
F (CF ) OCF (CF ) COOH- (5b)、
2 6 3
F (CF ) OCF (CF ) COONa • (6a)、
2 4 3
F (CF ) OCF (CF ) COONa •(6b) ,
2 6 3
F (CF ) OCF (CF ) COOK- (6e)、
2 4 3
F (CF ) OCF (CF ) COOK- (6f)。
2 6 3
[0034] 本発明における化合物(1)の製造方法としては、高純度の化合物を工業的に効率 よく製造できることから、方法 4によることが好ましい。
[0035] 方法 4としては、 2分子の化合物 (4)を光カップリング反応によってカップリングする 方法、化合物(5)および化合物(6)力もなる群力も選ばれる少なくとも 1種の化合物 の 2分子を電解カップリング反応によってカップリングする方法が好ましぐ化合物(5 )の 1分子と化合物(6)の 1分子とを、または化合物(6)の 2分子を、電解カップリング 反応によってカップリングする方法がとりわけ好ましい。
[0036] これらの方法におけるカップリング反応では、 COF、 -COOH,または COOM が結合した炭素原子上に、それぞれラジカルが発生し、 2分子の該ラジカルがカップ リングすることにより、化合物(1)が得られる。たとえば、 2分子の化合物 (4a)からは 化合物(la)が、 2分子の化合物 (4b)力 は化合物(lb)が得られる。
[0037] 方法 4におけるカップリング反応には公知の手法を適用することができる。光カップ リング反応を行う場合、光源としては低圧水銀灯、中圧水銀灯、または高圧水銀灯が 好ましい。反応温度は、 0— + 100°Cが好ましぐ反応効率が良好であることから 0— + 50°Cが特に好ましい。反応は無溶媒で行ってもよぐペルフルォロカーボン類また はペルフルォロエーテル類等の光反応に不活性な溶媒を使用して行ってもょ ヽ。反 応圧力は大気圧、減圧、または加圧のいずれであってもよぐ大気圧が好ましい。
[0038] 電解カップリング反応を行う場合は、化合物(6)、または、化合物(5)および化合物
(6)からなる支持電解質を電気化学的な脱炭酸反応によって化合物(1)を得ることが できる。電解カップリング反応に用いられる電解装置の電極としては、酸化還元電位 が高 、電極 (例えば白金電極等)が好まし!/ヽ。電解カップリング反応の電流密度は、
0. 02-1. OAZcm2程度が採用され、発熱の制御が容易である点および反応効率 が良好である点力 0. 03-0. 5AZcm2が好ましい。高い電流密度で反応を実施 する場合には反応に伴う発熱を制御することが困難となり、低い電流密度で反応を 実施する場合には効率が悪くなるため、工業的製法としては実用上好ましくない。
[0039] 電解カップリング反応は、無溶媒で行っても、溶媒の存在下で行ってもよい。溶媒 の存在下で反応を行う場合、溶媒としては極性溶媒を用いることが好ましい。極性溶 媒としては、メタノール、エタノール等のアルコール類;ァセトニトリル等の-トリル類; 水等が挙げられ、これらから選択される 1種の溶媒、または 2種以上を混合した混合 溶媒が使用できる。支持電解質として化合物 (5)と化合物 (6)とを混合して使用する 場合、反応効率を向上させるために、化合物(5) 1リットルあたりィ匕合物(6)を 0. 5— 2. 0モル含有させることが好ましい。
[0040] 電解カップリング反応は、ノ ツチ式で実施してもよぐ化合物(5)および Zまたは化 合物(6)を電解槽に連続的に供給しながら反応を行う連続反応方式で実施してもよ ぐ効率が良い点力 後者が好ましい。電解カップリング反応の反応温度は通常 10 一 + 100°Cであり、 0— + 50°Cが好ましい。電解槽としてはガラス製または榭脂製の 電解槽が用いられ、絶縁性が良好であることからガラス製またはフッ素榭脂製の電解 槽を用いることが好ましい。反応圧力は、大気圧、減圧、または加圧のいずれであつ てもよぐ大気圧が好ましい。
[0041] カップリング反応によって、化合物(1)を含む反応粗生物が得られる。反応粗生物 は後処理を行うことが好ましい。後処理の方法としては、抽出、洗浄、クロマトグラフィ 一、加熱、および蒸留等が挙げられ、これらのうちから選ばれる 1つの方法または 2つ 以上の方法の組み合わせにより適宜実施できる。洗浄を行う場合、水、または NaHC
O、KHCO等のアルカリ金属重炭酸塩の水溶液を用いて行うことが好ましい。加熱
3 3
を行う場合は、反応粗生物を加熱還流することによるのが好ましぐ KF等のアルカリ 金属フッ化物の存在下に加熱還流するのが特に好ましい。
[0042] 化合物(1)を、高純度かつ単一組成の化合物が必要とされる医療分野等の分野に おいて用いる場合は、反応粗生物を KFの存在下に加熱還流し、つぎに 10%KHC o水溶液によって洗浄した後、蒸留することが好ましい。
3
[0043] 化合物(1)は用途に応じた純度に精製することが好ましぐ高純度の品質が要求さ れる用途においてはガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、 NMR等に よって測定される純度を 98%以上にすることが好ましぐ 99%以上にすることが特に 好ましい。
[0044] 本発明においては、方法 4によって化合物(1)の製造を行った場合には高収率で 目的とする化合物(1)を製造でき、不純物の副生が少ない利点がある。また、方法 4 は、医療分野等で用いられる高純度かつ単一組成の化合物(1)を得る方法としても 好適な方法である。
[0045] 方法 4においては、カップリング反応の原料の入手が容易であること、および用途に 応じた最適の物性を示す構造の作り分けが容易であることから、方法 aで得たィ匕合物 (4)を用いることが好ま 、。化合物(5)および化合物(6)としては、該化合物 (4)か ら得た化合物(5)または化合物(6)を用いることが好ま 、。 RF2がトリフルォロメチル 基である場合の化合物 (4)としては、化合物(11)に HFPOを付加する方法で得たィ匕 合物(4A)が好まし ヽ。 RF2がトリフルォロメチル基である場合の化合物(5)およびィ匕 合物(6)としては、該化合物 (4A)力 得られる下記化合物(5A)および下記化合物 (6A) (ただし、式中の記号は前記と同じ意味を示す。)が好ましい。本発明の化合物 (1)を医療用分野にぉ 、て用いる場合は、化合物(5A)および化合物(6A)を用い て方法 4を実施することが好ま U、。
RF3CF OCF (CF ) COOH- · · (5A)
2 3
RF3CF OCF (CF ) COOM- · · (6A) 0
2 3
[0046] 本発明の化合物(1)は、不活性媒体として有用あり、かつ新規な化合物である。該 化合物は、エレクトロニクス分野における絶縁油、サーマルショックテストやリークテス ト等の媒体、医療分野における酸素運搬剤、工業分野における洗浄剤または水きり 剤等として有効に用いうる。また、化合物(1)の大部分は 0°C以下の融点を有するこ とから、前記用途における使用可能温度範囲が幅広い利点を有しており、この性質 を利用して不凍液または冷媒等としても有効に用いうる。
実施例
[0047] 以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する力 本発明はこれらの例によ
つて限定されない。なお、以下においてガスクロマトグラフィーを GC、ガスクロマトダラ フー質量分析を GC— MS、 GCのピーク面積比より求まる純度を GC純度、収率を GC 収率と記し、テトラメチルシランを TMS、窒素ガスで 20%に希釈したフッ素ガスを 20 %希釈フッ素ガスと記す。また、 NMR ^ベクトルデータはみかけの化学シフト範囲と して示した。
[0048] [例 1]化合物(la)の合成例(その 1)
[例 1 l]HFPO付加反応による化合物 (4a)の合成例
[0049] [化 6]
Fゥ C— CF
F(CF2)3COF (1 1a) + \ / —— ^ F(CF2)4OCF(GF3)GOF (4a)
O
[0050] 内容積 2L (リットル)のノ、ステロイ C製オートクレープに、脱水乾燥した CsF (42g)を 仕込んだ後、反応器内を脱気した。この反応器中に F (CF ) COF (1200g)および
2 3
テトラグライム(210g)を仕込み、反応器を 20°Cに冷却した。反応温度が 0°C以上 に上がらな 、ように供給量をコントロールしながら HFPO (922g)を連続的に供給し た。反応終了後、 2層に分離したので、フルォロカーボン層(下層)(2044g)を回収し た。これを蒸留精製することにより、化合物 (4a) (1510g) (GC純度 99%)を回収し た。化合物(4a)の構造は19 FNMR ^ベクトルおよび GC— MSスペクトル解析により決 疋した。
[0051] 化合物(4a)の NMR ^ベクトル;
19FNMR(282. 7MHzゝ溶媒: CDC1、標準物質: CC1 F): δ (ppm) 26. 5 (IF)
3 3
、—78. 8― 79. 4 (IF)、—81. 6 (3F)、— 82. 3 (3F)、— 86. 1― 86. 6 (1F)、— 126. 7― 127. 1 (4F)、— 131. 1 (1F)。
化合物(4a)の GC— MSスペクトル;
MS (EI法、 mZz) : 335 (M+— COF)、 313、 219、 169、 147、 131、 119、 100、 97、 69、 50、 47 (calculated Exact mass of C F O : 382. 05)。
7 14 2
[0052] [例 1 2]光カップリング反応による化合物(la)の合成例
[0053] [化 7]
2 F(GF2)4OCF(GF3)COF (4a) F(CF2)4OCF(CF3)CF(CF3)0(CF2)4F (1a)
[0054] コンデンサを備えた内容積 lOOmLのガラス製高圧水銀灯反応器 (光源は石英製 のジャケットを有す。)に撹拌子を入れ、例 1 1で得たィ匕合物 (4a) (146. 2g)を仕込 んだ。反応液中の溶存酸素を除くため、アルゴン気流下で、 1時間加熱還流を行つ た。次いで石英製ジャケット内に冷却水を循環させて光源を冷却しながら、室温で 16 7時間の光照射を実施した。光照射終了後、粗液(132. 8g)を回収した。粗液にお ける化合物(la)の GC純度は 64. 0%であり、化合物(4a)が 18. 5%残存していた。 化合物 (4a)の転ィ匕率は 83. 2%であり、化合物(la)の選択率は 79. 6%であった。 また、化合物(la)の GC収率は 66. 3%であった。粗液を減圧蒸留し、化合物(la) を留分として回収した。留分の GC純度は 99. 5%であった。化合物(la)の沸点は 8 5°C-88°C/8. OkPa (絶対圧)であり、常温で液体であった。化合物(la)の構造は 19FNMR ^ベクトルおよび GC— MSスペクトル解析により決定した。ただし、下式にお いてに Fに記した a— mの記号は、 19FNMRにおけるフッ素原子の帰属を特定するた めの記号である。また、 19FNMRの帰属は二次元 NMR(C— F cosy)の相関より決 疋した。
[0055] [化 8]
[0056] 化合物(la)の NMR ^ベクトル;
19FNMR(282. 7MHzゝ溶媒: CDC1、標準物質: CC1 F): δ (ppm)— 81. 0 an
3 3
d -87. 0 (Fa and Fm、 each 3F)、— 126. 8 (Fb and Fk、 4F)、— 126. 4― 1
26. 3 (FC and F^, 4F) , -79. 6― 81. 1 (Fd and F\ 4F) , -140. 1 and
141. 4 (Fe and Fgゝ each IF) , -79. 1 and -78. 0 (Ff and Fh、 each 3F ) .
化合物(la)の GC— MSスペクトル;
MS (EI法、 m/z) :435 (M+-OCF CF CF CF )、 335、 263、 219、 197、 169
2 2 2 3
、 150、 131、 119、 100、 97、 69、 47.
MS (CI法、 mZzゝメタン): 651 (M+— F)、 689 (M+ +F)
(Calculated Exact Mass of C F O : 669. 95)。
12 26 2
[0057] [例 2]化合物(la)の合成例(その 2)
[例 2— 1]加水分解反応による化合物(5a)の合成例
[0058] [化 9]
F(CF2)4OCF(CF3)COF (4a) —— F(CF2)4OCF(CF3)GOOH (5a)
[0059] 内容積 200mLのハステロィ製オートクレーブに、例 1 1で得た化合物(4a) (100g )および HCFC-225 (旭硝子社製、商品名: AK-225) (100g)を仕込んだ。反応 温度が 30°Cを超えないように冷却し、激しく撹拌しながら、水(5. 65g)を滴下した。 滴下終了後、 2時間撹拌を続けた後に、反応器を加温し AK— 225を留去させながら 副生した HFを除去した。オートクレープを開放して粗液を回収し、減圧蒸留を行うこ とによって、化合物(5a) (84. 4g)を得た。収率は 84. 8%であった。沸点は 77. 2°C /1. 33kPa (絶対圧)であった。
[0060] 化合物(5a)の NMR ^ベクトル;
19FNMR(282. 7MHzゝ溶媒: CDC1、標準物質: CC1 F): δ (ppm)— 79. 0 an
3 3
d -85. 8 (AB、 2F)、— 81. 6 (3F)、— 82. 6 (3F)、— 126. 8 (2F)、— 127. 1 (2F) 、 -132. 8 (IF) .
1HNMR(282. 7MHzゝ溶媒: CDC1、標準物質: TMS): δ (ppm) 9. 3 (COOH
3
)。
[0061] [例 2— 2]電解カップリング反応による化合物(la)の合成例(その 1)
[0062] [化 10]
2 F(CF2)4OCF(CF3)COOH (5a) —— ^ F(CF2)4OGF(CF3)CF(GF3)0(CF2)4F (1a)
[0063] 50mLのガラスバイアルに撹拌子を入れ、水(19. 2g)、水酸化ナトリウム(1. 6g)、 例 2— 1で得たィ匕合物(5a) (15. lg)、およびァセトニトリル (0. 8g)を氷冷下でこの順 番に仕込み、電極を浸漬させた。陽極および陰極としては、白金よりなる網(80メッシ ュ、 30mm四方)を用い、参照極には銀 ·塩ィ匕銀電極を用いた。各々の電極は、短絡 防止のためポリエチレン製の粗い網状の袋に入れて使用し、 3mmの間隔で互いに 平行になるように対向して配置した。溶液中に浸漬された電極の表面積は約 9cm2で あった。氷冷下、 1. OAの電流値において 1. 1時間通電した。通電直後から電極付 近より激しい発泡が観測された。電流密度は 0. l lAZcm2であり、総電荷量は 41m Fであり、陽極 陰極間の電圧は、 5. 5— 6Vであった。
[0064] 電解終了後、反応粗液が 2層に分離したので、下層(11. 5g)を分離回収した。下 層における化合物(la)の GC純度は 94. 8%であり、化合物(5a)は検出されなかつ た。上層に CF CH OH (0. 24g)を内部標準として添加したのち、一部をサンプリン
3 2
グして重水に溶解し、 19FNMRで定量分析したところ、化合物(5a)の 9. 25%相当 量の残存が確認されたが、化合物(la)は検出されな力つた。化合物(5a)の転化率 は 89. 0%であり、化合物(la)の選択率は 91. 7%であった。また、化合物(la)の G C収率は 81. 6%であった。
[0065] [例 3]電解カップリング反応による化合物(la)の合成例(その 2)
底部にバルブを備え、本体に冷却水流通用ジャケットを備えた内容積 1. 5Lのガラ ス製セパラブルフラスコに、メカニカルスターラー、撹拌翼、ジムロート、プランジャー ポンプ、および内温計を設置した。電極として、白金網(80メッシュ、 20cm X 10cm) を用いた。各々をポリエチレンメッシュの袋に入れて短絡防止したものを筒状に重ね 合せ、撹拌翼を取り囲むように設置した。ジムロートと本体に備えたジャケットには 0°C に冷却した冷媒を循環させた。
[0066] 例 2— 1と同様の方法で得たィ匕合物(5a) (684g)、水酸ィ匕ナトリウム (48. Og)、ァセ トニトリル(135mL)、およびイオン交換水(900mL)を仕込み、激しく撹拌しながら 2
5Aの電流値において 16. 8時間通電した。電流密度は 0. 125AZcm2であり、総電 荷量は 15. 7Fであり、陽極 陰極間の電圧は 11一 13Vであった。通電開始時から 1 4. 4時間後までの間、化合物(5a)をプランジャーポンプを用いて 300gZh(0. 81m olZh)の速度で連続添加した。化合物(5a)の添加量は 4320gであり、総使用量は 5004gであった。
[0067] 反応の進行とともに粗生成物がフラスコ底部に沈降したので、適時、底部のバルブ より抜き出しながら、反応を継続した。回収した粗生成物の合計量は 4572gであった 。粗生成物を GCにより分析した結果、化合物(la)を 94. 3% (GC純度)含んでいた 。 GC収率は 97%であり、電流効率は 84%であった。
[0068] [例 4]電解カップリング反応による化合物(la)の合成例(その 3)
[0069] [化 11]
F(CF2)3COOH + F(CF2)3OGF(CF3)COF F(CF2)3COF (11a) + F(CF2)3OCF(CF3)COOH
[0070] — 5°Cに冷却した還流器を備えた蒸留塔に、 F (CF ) COOH (500g)および FCO
2 3
CF (CF ) 0 (CF ) F (780g)を仕込み、内圧を 0. IMPa、熱媒温度を 120— 150
3 2 3
°Cに保って加熱還流を行った。反応の進行とともに生成した化合物(11a)を系外へ 抜き出し、化合物(11a) (460g) (GC純度 99%)を回収した。化合物(11a)の構造 は NMR分析によって決定した。この化合物(11a)を用い、例 1—1と同様の方法でィ匕 合物 (4a)を得て、つぎに例 2— 1と同様の方法で化合物(5a)を得て、つぎに例 3と同 様の方法でィ匕合物(la)を得た。
[0071] [例 5]電解カップリング反応による化合物(la)の合成例(その 4)
[例 5— 1]エステルイ匕反応による化合物(9a)の合成例
[0072] [化 12]
H(GH2)4OCH(CH3)CH2OH (7a) + F(GF2)3OCF(CF3)GOF (8a)
H(CH2)4OCH(GH3)GH2OCOGF(CF3)0(GF2)3F (9a)
[0073] 内容積 2Lのハステロィ C製オートクレープに化合物(7a) (500g)を入れた。反応器 を冷却して、大気圧で内温が 30°C以下に保たれるようにゆっくりと化合物(8a) (130
Og)を導入した。同時に充分に撹拌しながら、窒素ガスをパブリングさせ、反応により 生じた HFを系外に追い出した。化合物(8a)の全量を導入後、 30°Cでさらに 12時間 反応させて生成物を得た。生成物を NMRおよび GCによって分析した結果、化合物 (9a)が 99. 0%生成しており、未反応の化合物(7a)は検出されな力つた。この生成 物(9a)は精製することなぐ以下の反応に使用した。
[0074] [例 5— 2]フッ素化反応による化合物(10a)の合成例
[0075] [化 13]
H(GH2)4OGH(CH3)GH2OGOGF(CF3)0(CF2)3F (9a)
^ F(CF2)4OCF(CF3)CF2OCOCF(GF3)0(CF2)3F (10a)
[0076] 500mLのニッケル製オートクレーブに、 R— 113 (312g)を加え、撹拌しながら 25°C に保った。オートクレーブガス出口には、 20°Cに保持した冷却器、 NaFペレット充填 層、および- 10°Cに保持した冷却器を直列に設置した。また- 10°Cに保持した冷却 器からは凝集した液をオートクレープに戻すための液体返送ラインを設置した。ォー トクレーブに窒素ガスを室温で 1時間吹き込んだ後、 20%希釈フッ素ガスを室温で流 速 9. 45LZhで 1時間吹き込んだ。つぎに 20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込 みながら、例 5-1で得たィ匕合物(9a) (10g)を R-113 (100g)に溶解した溶液を 6時 間かけて注入した。つぎに、 20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き込みながらオート クレーブ内圧力を 0. 15MPaまで昇圧し、ベンゼンを R— 113に溶解した溶液(ベン ゼン濃度 =0. OlgZmL)を、内温を 25°C力 40°Cにまで昇温しながら 9mL注入し 、オートクレープのベンゼン溶液注入口を閉め、 0. 3時間撹拌を続けた。つぎに反応 器内圧力を 0. 15MPaに、反応器内温度を 40°Cに保ちながら、前記ベンゼンの R— 113溶液(6mL)を注入し、オートクレーブのベンゼン溶液注入口を閉め、 0. 3時間 撹拌を続けた。さらに同様の操作を 1回繰り返した。ベンゼンの注入総量は 0. 22g、 R— 113の注入総量は 21mLであった。さらに 20%希釈フッ素ガスを同じ流速で吹き 込みながら 1時間撹拌を続けた。つぎに、反応器内圧力を大気圧にして、窒素ガスを 1時間吹き込んだ。生成物を19 FNMRで分析した結果、化合物(10a)が収率 95. 4 %で含まれて 、ることを確認した。
[0077] [例 5— 3]熱分解反応による化合物 (4a)の合成例
[0078] [化 14]
F(CF2)4OCF(GF3)GF2OCOCF(CF3)0(CF2)3F (10a) ~"► F(CF2)4OCF(CF3)COF (4a)
[0079] 10°Cに冷却した還流器を備えた 2Lのフラスコに、例 5—2で得たィ匕合物(10a) (20 OOg)と KF粉末(16g)とを仕込み、 100— 130°Cに保った熱媒を用いて 24時間加熱 撹拌した。冷却後、 KFを除去し、得られた粗液を蒸留して化合物 (4a) (960g)を得 た。化合物 (4a)の純度は 99%であった。
[0080] [例 5— 4]
例 5— 3で得た化合物 (4a)を用い、例 2— 1と同様の方法でィ匕合物(5a)を得て、つ ぎに例 3と同様の方法でィ匕合物(la)を得た。
[0081] [例 6]化合物(lb)の合成例
[例 6— 1]F (CF ) COFの合成例
2 5
[0082] [化 15]
F(CF2)6I —— F(CF2)5COF
[0083] 滴下ロート、温度計、撹拌機を備えた 2Lの 4つ口フラスコに 60%発煙硫酸(1019g )および五塩化リン(16g)を仕込み、室温で、 F (CF ) I (893g)を 3時間かけて滴下
2 6
した。全量の 3分の 1を滴下したところで加熱を開始し、内温を 70°Cに保った。滴下 終了後、 70°Cにて 14. 5時間撹拌しながら反応させた。反応終了後、冷却し静置す ることにより、反応粗生成物が 2層に分離した。上層(580g)を回収し、 100%硫酸で 洗浄した。上層を GCで分析したところ、目的とする F (CF ) COFが 64. 0%、原料
2 5
力 2%含まれていた。原料転ィ匕率は 76. 9%、目的物の GC収率は 58. 7%であ つた。上層を精留することにより、 GC純度 99%以上の目的物(330g)を得た。沸点 は 62。CZ(1. 01325 X 10— 2) kPa (絶対圧)であつた。
[0084] [例 6— 2] HFPO付加反応による化合物 (4b)の合成例
[0085] [化 16] CF3
F(CF2)5COF + '"2C-CF —— ^ F(CF2)6OCF(CF3)COF (4b)
O
[0086] 内容積 700mLのステンレス製オートクレーブの固体投入ロカ 無水 CsF (21. 2g
)を仕込み、反応器を密閉した。反応器内を脱気した後、例 6— 1で得た F (CF ) CO
2 5
F (292g)とテトラグライム(107g)を吸引させて仕込んだ。続いて反応器内の温度を 0°C以下、圧力を OMPa以下に保ちながら HFPO (159g)をゆっくり仕込んだ。室温 で一晩撹拌して反応させた後、撹拌を止め 2時間静置した。つぎにオートクレープを 開放し、反応粗生成物を回収した。反応粗生成物は 2層に分離しており、下層(430 g)を回収した。下層を GC分析したところ、目的とする化合物 (4b)が 82. 1%、原料 が 5. 8%含まれていた。原料転化率は 91. 5%であり、化合物(4b)の GC収率は 79 . 6%であった。該下層を精留することにより、 GC純度 99%以上の化合物 (4b) (31 8g)を得た。沸点は 123°C/ (1. 01325 X 10— 2) kPa (絶対圧)であった。
[0087] [例 6— 3]光カップリング反応による化合物(lb)の合成例
[0088] [化 17]
2 F(CF2)6OCF(CF3)COF (4b)—— ^ F(CF2)6OCF(CF3)CF(CF3)0(CF)6F (11b)
[0089] 化合物 (4a) (146. 2g)をィ匕合物 (4b) (115. Olg)に変更し、光照射時間を 100 時間とする以外は、例 1 2と同様に反応を行い、反応粗液(108. Og)を回収した。 反応粗液における化合物(lb)の GC純度は 63. 4%であり、化合物 (4b)が 21. 1% 残存していた。化合物 (4b)の転ィ匕率は 80. 2%であり、化合物(lb)の選択率は 82 . 3%であった。また、化合物(lb)の GC収率は 66. 0%であった。反応粗液を減圧 蒸留することにより、化合物(lb)を留分として回収した。留分の GC純度は 98. 6% であった。化合物(lb)の沸点は 108°CZl. lkPa (絶対圧)であり、常温で液体であ つた。化合物(lb)の構造は19 FNMR ^ベクトルおよび GC— MSスペクトル解析により 決定した。ただし、下式においてに Fに記した a— rの記号は、 19FNMRにおけるフッ 素原子の帰属を特定するための記号である。また、 19FNMRの帰属は二次元 NMR( C-F cosy)の相関より決定した。
[0090] [化 18]
[0091] 化合物(4b)の NMR ^ベクトル;
19FNMR (282. 7MHzゝ溶媒: CDC1、標準物質: CC1 F): δ (ppm)— 81. 8 (Fa
3 3
and Fr、6F)、— 122. 5, -123. 2, -124. 7― 126. 0 (AB quartet)、—126 . 7 (Fb、 Fc、 Fd、 Fe、 Fm、 Fn、 FP、 or F each 2F)、一 79. 4 81. 3 (Ff and Fk、 4F)、— 140. 2 and —141. 6 (Fg and ゝ each IF) , -78. 0 and -79. 2 (Fh and 、 each 3F)。
[0092] 化合物(4b)の GC— MSスペクトル;
MS (EI法、 m/z) : 535 (M -OCF CF CF CF CF CF )、 435、 319、 231、 2
2 2 2 2 2 3
19、 181、 169、 150、 131、 119、 100、 97、 69、 50、 47.
MS (CI法、 mZzゝメタン): 851 (M+— F)、 889 (M+ +F) .
(Calculated Exact Mass of C F O : 869. 94)。
16 34 2
[0093] [例 7]安定性試験の例
例 1の方法で得た化合物(la)および例 6の方法で得たィ匕合物(lb)をそれぞれ PT FE (ポリテトラフルォロエチレン)で内面をコーティングしたステンレス製密封容器に 入れ、無水フッ化水素を加えて密封し、 100°Cで 240時間放置する。放置後の化合 物(la)およびィ匕合物(lb)を GC分析すると、分解物の生成は認められな!/、。
産業上の利用可能性
[0094] 本発明の化合物(1)は、不活性媒体として有用あり、かつ新規な化合物である。該 化合物は、エレクトロニクス分野における絶縁油、サーマルショックテストやリークテス ト等の媒体、医療分野における酸素運搬剤、工業分野における洗浄剤、または水き り剤等として有効に用いうる。また、本発明の該化合物(1)の大部分は 0°C以下の融
点を有することから、前記用途における使用可能温度範囲が幅広い利点を有してお り、この性質を利用して不凍液、または冷媒等としても有効に用いうる。