明 細 書
インク組成物、それを用いたインクジェット記録方法および記録物 技術分野
[0001] 本発明は、インクジェット記録に好適なインク組成物、特に、耐ブロンズ性に優れた インク組成物、それを用いたインクジェット記録方法及び該記録方法によって記録さ れた記録物に関する。
背景技術
[0002] 記録は、微細なノズルからインク組成物を小滴として吐出し、文字や 画像 (以下、単に「画像」と 、うこともある。)を記録媒体表面に記録する方法である。 インクジェット記録方式としては、電歪素子を用いて電気信号を機械信号に変換して 、ノズルヘッド部分に貯えたインク組成物を断続的に吐出して記録媒体表面に文字 や画像を記録する方法、ノズルヘッド部分に貯えたインク組成物を吐出部分に極近 い一部を急速に加熱して泡を発生させて、その泡による体積膨張で断続的に吐出し て、記録媒体表面に文字や画像を記録する方法等が実用化されて 、る。
[0003] また、インクジェット記録用のインク組成物としては、安全性や印字特性の面力 各 種染料を水または有機溶剤、あるいはそれらの混合液に溶解させたものが一般的で あるが、様々な特性において、万年筆やボールペンの様な筆記具用インク組成物に 比較し、より厳密な条件が要求される。
[0004] 特に、近年になって、広告用の印刷物の作成にインクジェットプリンタが採用される ようになって来ていることもあって、複数のインク組成物を使用してカラー画像を形成 する際には一段と厳し 、要求がなされるようになってきて!/、る。
なぜなら、複数のインク組成物によって形成されたカラー画像にあっては、一色でも 色相の劣るものが存在すると、その色相のために画像全体としての色バランスが劣り 、品質の高 、画像が得られがた 、ことになる力らである。
特に、色材として金属フタロシアニン系染料を使用したインク組成物においては、 ベタ印刷(100 %Dutyの塗りつぶし印刷)など高 Dutyで印刷を行った部分に赤浮き 現象(以下、「ブロンズ現象」という)が見られる等がある。このような場合、画像全体と
しての色バランスが不均一となって画像品質を低下させるため、その改善が望まれて いる。
また、近年では写真調に近い風合いを持つ記録媒体として光沢紙が多く採用され るようになっている力 特定の色がブロンズ現象を起こすことにより印刷物表面での光 沢感にバラツキが生じ、画像の風合いを著しく損ねてしまうことから、画像全体の光沢 感を保つ観点力もも、その改善が強く望まれるところである。
[0005] また、上記のようなインク組成物を用いて作成された印刷物力 室内は勿論のこと 室外にも設置されることがあるため、太陽光を初めとして種々の光や外気 (オゾン、窒 素酸化物、硫黄酸化物等)に晒されることとなり、耐光性、耐ガス性に優れたインク組 成物の開発がなされているが、特に、耐ガス性の改善を図ったシアンインク組成物に おいてブロンズ現象が目立ちその改善が望まれている。
[0006] また、インクジェット記録用インク組成物にぉ 、て、水に対する溶解性の乏 U、染料 を用いた場合などにおいて、酸性度の強い記録媒体に印刷を行うと、いわゆるブロン ズ現象が起こることが知られて 、る。
この対策として pH維持剤としてアルコールアミン類を添加することや、紙中への浸 透力を上げることが一般的に行われている。基本的にブロンズ現象は紙表面でイン ク組成物が乾燥することによる、染料の結晶化が原因とされ、上記方法はこの溶解性 を上げることにより結晶化を防ぐ、もしくは結晶化する前に紙中に浸透させるという観 点から、有効である。し力しながら、前者は添カ卩により pHが容易に 11付近に上昇し てしまい、プリンタのノズルの腐食を引き起こすことや、さらには人体への影響が懸念 され、後者は浸透性が過剰に増した場合、いわゆるブリード現象等その他の印刷品 質の悪化が引き起こされ、万全の解決策ではない。
これらに代わる対策として、この課題を解決する為に 2—ォキソ一才キサゾリドンや、 1 , 3—ビス ( βヒドロキシェチル)尿素を添加したインク組成物が提案されて ヽる(例え ば、特許文献 1参照)。
また、塩基性アミノ酸を添加することでこの課題の解決を図ったインク組成物が提案 されている(例えば、特許文献 2参照)。
しかし、残念ながら、本発明者らの種々の調査 ·研究の結果から、上記に記載され
ているような対策を用いても、本発明の課題とするところの印刷物堅牢性 (耐光性'耐 ガス性)に優れたシアン系染料を用いたインク組成物においては、ブロンズ現象の解 消 ·緩和にはなんら効果がな 、ことが判明した。
[0007] 特許文献 1:特開平 6— 25575号公報
特許文献 2 :特開平 7-228810号公報
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0008] そこで、本発明は、上記のような事情を考慮してなされたものであって、その目的と するところは、印刷物堅牢性 (主に耐ガス性、耐光性)に優れたインク組成物を提供 すること、更にブロンズ現象の点でも改善されたインク組成物を提供すること、更に耐 目詰り性の点でも改善されたインク組成物を提供すること、それらを用いたインクジェ ット記録方法及び該記録方法によって記録された記録物を提供することである。 課題を解決するための手段
[0009] 本発明者らは、種々の公知のシアン系染料の耐光性、耐ガス性、ブロンズ現象の 防止策等について更なる調査'研究を続けた結果、シアン系染料を含有するインク 組成物にカルボキシル基を有する芳香族化合物及び z又はその塩を添加したところ 、特定のシアン染料に対しては一段とその改善が見られること、さらには添加する力 ルポキシル基を有する化合物の塩がリチウム塩である場合、ブロンズ現象の改善効 果も著しく優れ、耐目詰り性においても著しく良好な結果を示すことを見いだし、この 知見に基づき本発明を完成したものである。
[0010] すなわち上記課題は以下の発明により解決された。
(1)少なくとも、水と下記一般式 (I)で表されるシアン系染料とカルボキシル基を有 する芳香族化合物及び Z又はその塩を含んでなることを特徴とするインク組成物。
(式中 X、 X、 X及び Xは、それぞれ独立に、—SO— Z及び SO— Zの!、ずれかを
1 2 3 4 2
表す。ここで、 Zは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしく は無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無 置換のァラルキル基、置換もしくは無置換のァリール基、または置換もしくは無置換 のへテロ環基を表す。
Y、 Y、 Y及び Yは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シ
1 2 3 4
クロアルキル基、アルケニル基、ァラルキル基、ァリール基、ヘテロ環基、シァノ基、ヒ ドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、ァリールォキシ基、 アミド基、ァリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルァミノ基、アルキルチオ基、ァリ 一ルチオ基、アルコキシカルボ-ルァミノ基、スルホンアミド基、力ルバモイル基、ァ ルコキシカルボ-ル基、ヘテロ環ォキシ基、ァゾ基、ァシルォキシ基、力ルバモイル ォキシ基、シリルォキシ基、ァリールォキシカルボ-ル基、ァリールォキシカルボ-ル アミノ基、イミド基、ヘテロ環チォ基、ホスホリル基、ァシル基またはイオン性親水性基 を表し、各々の基は、さらに置換基を有していてもよい。
a一 aおよび b— bは、それぞれ X—Xおよび Y— Yの置換基数を表す。そして a
1 4 1 4 1 4 1 4
一 aは、それぞれ独立に、 0— 4の整数であり、すべてが同時に 0になることはない。
b
1一 bは、それぞれ独立に、 0— 4の整数を表す。
4
Mは、水素原子、金属元素またはその酸ィヒ物、水酸ィヒ物もしくはハロゲン化物を表 す。
但し、 X 1つは、イオン性親水性基
1、X
2、X
3、X
4、Y
1、Y
2、Y及び Υのうち少なくとも
3 4
であるカゝまたはイオン性親水性基を置換基として有する基である。)
(2)前記一般式 (I)で表されるシアン系染料が下記一般式 (II)で表されることを特徴と する(1)記載のインク組成物。
[0013] 一般式 (Π)
[化 4]
3
[0014] (式中、 Μは一般式 (I)におけると同義であり、 R一 Rはそれぞれ独立に SO Zを
1 4 2 表す。 Zは一般式 (I)におけると同義である。但し、 4つの Zのうち少なくとも 1つはィォ ン性親水性基を置換基として有する。 )
(3)前記シアン系染料が、前記一般式 (II)における Mが銅元素であり、イオン性親水 性基を有する Zがスルホアルキル基である(2)記載のインク組成物。
(4)前記スルホアルキル基のカウンタ一力チオンがリチウムカチオンである(3)に記 載のインク組成物。
[0015] (5)前記カルボキシル基を有する芳香族化合物及び Z又はその塩力 カルボキシル 基を 1つ有する芳香族化合物及び Z又はその塩である、(1)一(4)のいずれか 1項 に記載のインク組成物。
[0016] (6)前記カルボキシル基を有する芳香族化合物及び Z又はその塩力 ナフタレン骨 格を持つ化合物及び Z又はその塩である、 (1)一 (5)のいずれか一項に記載のイン ク組成物。
[0017] (7)前記ナフタレン骨格を持つ化合物及び Z又はその塩力 ナフタレン骨格にカル ボキシル基と、 - OR基 (Rは水素原子又は炭素数 1一 6のアルキル基)とを有する化 合物である、 (6)に記載のインク組成物。
(8)前記ナフタレン骨格を持つ化合物及び Z又はその塩が、ナフタレン骨格にカル ボキシル基を一つと、 OR基 (Rは水素原子又は炭素数 1一 6のアルキル基)を一つ とを有する化合物である、 (7)に記載のインク組成物。
(9)前記ナフタレン骨格を持つ化合物及び Z又はその塩が、 2位にカルボキシル基 を有する化合物及び Z又はその塩である、 (6)一 (8)の 、ずれか一項に記載のイン ク組成物。
[0018] (10)前記 2位にカルボキシル基を有し、ナフタレン骨格を持つ化合物及び Z又はそ の塩が、 1ーヒドロキシー 2 ナフトェ酸、 2 ナフトェ酸、 3—ヒドロキシー 2 ナフトェ酸、 6 —ヒドロキシー 2—ナフトェ酸、 3—メトキシー 2 ナフトェ酸、 6—メトキシー 2—ナフトェ酸、 6 エトキシー 2 ナフトェ酸、 6 プロポキシ 2 ナフトェ酸及びそれらの塩の少なくとも 一種である、 (9)に記載のインク組成物。
(11)前記塩が、リチウム塩である、(1)一(10)のいずれか一項に記載のインク組成 物。
[0019] (12)前記カルボキシル基を有する芳香族化合物及び Z又はその塩をインク組成物 全量に対して 0. 1— 10重量%含んでなる、(1)一(11)のいずれか一項に記載のィ ンク組成物。
[0020] (13)前記シアン系染料と、前記カルボキシル基を有する芳香族化合物及び Z又は
その塩の含有比率が、重量比で 1 : 0. 1— 1 : 10の範囲である、(1)一(12)のいずれ か一項に記載のインク組成物。
[0021] (14)更に、ノニオン系界面活性剤を含んでなる、(1)一(13)のいずれか一項に記 載のインク組成物。
[0022] (15)前記ノ-オン系界面活性剤力 アセチレングリコール系界面活性剤である、 (1
4)に記載のインク組成物。
[0023] (16)前記ノ-オン系界面活性剤をインク組成物全量に対して 0. 1— 5重量%含んで なる、(14)または(15)に記載のインク組成物。
[0024] (17)更に、浸透促進剤を含んでなる、 (1)一 (16)のいずれか一項に記載のインク組 成物。
[0025] (18)前記浸透促進剤が、グリコールエーテルである、 (17)に記載のインク組成物。
[0026] (19) 20°Cにおけるインク組成物の ρΗ力 8. 0— 10. 5である、(1)一(18)のいず れか一項に記載のインク組成物。
[0027] (20)インクジェット記録方法において用いられる、(1)一(19)のいずれか一項に記 載のインク組成物。
[0028] (21)前記インクジェット記録方法が、電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成す るインクジェットヘッドを用いた記録方法である、 (20)に記載のインク組成物。
[0029] (22)インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うイン クジェット記録方法であって、インク組成物として(1)一(21)のいずれか一項に記載 のインク組成物を使用することを特徴とするインクジェット記録方法。
(23) (1)一(21)のいずれか一項に記載のインク組成物を用いて記録された、又は( 22)に記載の記録方法により記録されたことを特徴とする記録物。
発明の効果
[0030] 本発明は、インク組成物の着色剤として上記一般式 (I)で表わされる金属フタロシ ァニン系染料を使用し、カルボキシル基を有する芳香族化合物及び Ζ又はその塩を 含有させることにより、該インク組成物を用いて記録したものは、印刷物堅牢性 (主に 耐ガス性、耐光性)に優れ、ブロンズ現象の生じない画像が得られるという優れた効 果を奏する。
図面の簡単な説明
[0031] [図 1]実施例及び比較例で使用した染料 (C. I.ダイレクトブルー 199)の分光特性 ( 吸収波長)を示す図である。
発明を実施するための最良の形態
[0032] 本発明のインク組成物は、水又は、水と水溶性有機溶剤からなる水性媒体中に、 少なくとも下記一般式 (I)で表されるシアン系染料とカルボキシル基を有する芳香族 化合物及び Z又はその塩を含有し、必要に応じ、保湿剤、粘度調整剤、 pH調整剤 やその他の添加剤を含んでなることができる。
まず、本発明のインク組成物で使用される一般式 (I)で表されるフタロシア-ンィ匕合 物について詳細に説明する。
[0033] 一般式 (I)
[化 5]
[0034] 前記一般式(I)にお ヽて、 X、 X、 Xおよび Xは、それぞれ独立に、—SO— Zまた
1 2 3 4
は— SO— Zを表し、特に— SO— Zが好ましい。
2 2
[0035] Zは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシ クロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のァラルキ
ル基、置換もしくは無置換のァリール基、または置換もしくは無置換のへテロ環基を 表し、特に置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のァリール基、置 換もしくは無置換のへテロ環基が好ましぐその中でも置換アルキル基、置換ァリー ル基、置換へテロ環基が好ましぐさらに置換アルキル基、置換ァリール基が好ましく 、置換アルキル基が最も好ましい。
[0036] Zが表す置換または無置換のアルキル基は、炭素原子数が 1一 30のアルキル基が 好ましい。置換基の例としては、後述の Z、 Y、 Y、 Yおよび Yが更に置換基を有す
1 2 3 4
ることが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。
[0037] Zが表す置換または無置換のシクロアルキル基は、炭素原子数が 5— 30のシクロア ルキル基が好ましい。置換基の例としては、後述の Z、 Y、 Y、 Yおよび Yが更に置
1 2 3 4 換基を有することが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。
[0038] Zが表す置換または無置換のァルケ-ル基は、炭素原子数が 2— 30のアルケニル 基が好ましい。置換基の例としては、後述の Z、 Y、 Y、 Yおよび Yが更に置換基を
1 2 3 4
有することが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。
[0039] Zが表す置換または無置換のァラルキル基は、炭素原子数が 7— 30のァラルキル 基が好ましい。置換基の例としては、後述の Z、 Y、 Y、 Yおよび Yが更に置換基を
1 2 3 4
有することが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。
[0040] Zが表す置換または無置換のァリール基は、炭素原子数が 6— 30のァリール基が 好ましい。置換基の例としては、後述の Z、 Y、 Y、 Yおよび Yが更に置換基を有す
1 2 3 4
ることが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。
[0041] Zが表すへテロ環基としては、 5員または 6員環のものが好ましぐそれらは更に縮 環していてもよい。また、芳香族へテロ環であっても非芳香族へテロ環であっても良 い。以下に Zで表されるヘテロ環基を、置換位置を省略してヘテロ環の形で例示する 力 置換位置は限定されるものではなぐ例えばピリジンであれば、 2位、 3位、 4位で 置換することが可能である。ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノ リン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドー ル、フラン、ベンゾフラン、チォフェン、ベンゾチォフェン、ピラゾール、イミダゾール、 ベンズイミダゾール、トリァゾーノレ、ォキサゾール、ベンズォキサゾール、チアゾーノレ、
ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソォ キサゾール、ベンズイソォキサゾール、ピロリジン、ピぺリジン、ピぺラジン、イミダゾリ ジン、チアゾリンなどが挙げられる。中では芳香族へテロ環基が好ましぐその好まし い例を先と同様に例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、 ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリァゾール、チアゾール、ベンゾチ ァゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾールが挙げられる。 これらは置換基を有していても良ぐ置換基の例としては、後述の Z、 Y
1、 Y
2、 Yお 3 よび Yが更に置換基を有することが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。
4
[0042] Y、 Y、 Y及び Yは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シ
1 2 3 4
クロアルキル基、アルケニル基、ァラルキル基、ァリール基、ヘテロ環基、シァノ基、ヒ ドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、ァリールォキシ基、 アミド基、ァリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルァミノ基、アルキルチオ基、ァリ 一ルチオ基、アルコキシカルボ-ルァミノ基、スルホンアミド基、力ルバモイル基、ァ ルコキシカルボ-ル基、ヘテロ環ォキシ基、ァゾ基、ァシルォキシ基、力ルバモイル ォキシ基、シリルォキシ基、ァリールォキシカルボ-ル基、ァリールォキシカルボ-ル アミノ基、イミド基、ヘテロ環チォ基、ホスホリル基、ァシル基、カルボキシル基、また はスルホ基を表し、各々はさらに置換基を有していてもよい。
中でも、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ァリール基、シァノ基、アルコキシ 基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、力ルバモイル基、アルコキシカルボ-ル 基、カルボキシル基、およびスルホ基が好ましぐ特に水素原子、ハロゲン原子、シァ ノ基、カルボキシル基およびスルホ基が好ましぐ水素原子が最も好ましい。
[0043] Y、 Y、 Y、 Y及び Zがさらに置換基を有することが可能な基であるときは、以下に
1 2 3 4
挙げたような置換基をさらに有してもよい。
[0044] ハロゲン原子 (例えば、塩素原子、臭素原子);炭素数 1一 12の直鎖または分岐鎖 アルキル基、炭素数 7— 18のァラルキル基、炭素数 2— 12のアルケニル基、炭素数 2— 12の直鎖または分岐鎖アルキニル基、側鎖を有して 、てもよ 、炭素数 3— 12の シクロアルキル基、側鎖を有して 、てもよ 、炭素数 3— 12のシクロアルケ-ル基(上 記基の具体的例として、例えばメチル、ェチル、プロピル、イソプロピル、 tーブチル、 2
ーメチルスルホニルェチル、 3—フエノキシプロピル、トリフルォロメチル、シクロペンチ ル):ァリール基(例えば、フエ-ル、 4 t ブチルフエ-ル、 2, 4—ジー tーァミルフエ- ル);ヘテロ環基 (例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリァゾリル、 2—フリル、 2—チェ- ル、 2—ピリミジ -ル、 2—ベンゾチアゾリル);アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ 、 2—メトキシェトキシ、 2—メチルスルホ -ルエトキシ);ァリールォキシ基(例えば、フエ ノキシ、 2—メチルフエノキシ、 4 tーブチルフエノキシ、 3—-トロフエノキシ、 3 tーブチ ルォキシカルボ-ルフエノキシ、 3—メトキシカルボ-ルフエノキシ);ァシルァミノ基(例 えば、ァセトアミド、ベンズアミド、 4— (3— tーブチルー 4ーヒドロキシフエノキシ)ブタンァ ミド);アルキルアミノ基 (例えば、メチルアミ入ブチルァミノ、ジェチルアミ入メチルブ チルァミノ);ァ-リノ基 (例えば、フエ-ルアミ入 2—クロロア-リノ);ゥレイド基 (例えば 、フエ-ルゥレイド、メチルウレイド、 N, N ジブチルウレイド);スルファモイルァミノ基 (例えば、 N, N—ジプロピルスルファモイルァミノ);アルキルチオ基(例えば、メチル チォ、ォクチルチオ、 2—フ ノキシェチルチオ);ァリールチオ基(例えば、フ -ルチ ォ、 2 ブトキシー 5 tーォクチルフエ二ルチオ、 2 カルボキシフエ二ルチオ);アルキ ルォキシカルボ-ルァミノ基(例えば、メトキシカルボ-ルァミノ);スルホンアミド基(例 えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、 p—トルエンスルホンアミド);カル バモイル基(例えば、 N—ェチルカルバモイル、 N, N ジブチルカルバモイル);スル ファモイル基(例えば、 N—ェチルスルファモイル、 N, N—ジプロピルスルファモイル、 N, N—ジェチルスルファモイル);スルホ-ル基(例えば、メチルスルホ -ル、ォクチ ノレスノレホニノレ、フエ-ノレスノレホニノレ、 4ーメチノレフエ-ノレスノレホニノレ);ァノレキノレオキシ カルボ-ル基(例えば、メトキシカルボ-ル、ブチルォキシカルボ-ル);ヘテロ環ォキ シ基 (例えば、 1 フエ二ルテトラゾールー 5—ォキシ、 2—テトラヒドロビラニルォキシ); ァゾ基(例えば、フエ-ルァゾ、 4ーメトキシフエ-ルァゾ、 4 ビバロイルァミノフエ-ル ァゾ、 2—ヒドロキシー 4 プロパノィルフエ-ルァゾ);ァシルォキシ基(例えば、ァセトキ シ);カルバモイルォキシ基(例えば、 N—メチルカルバモイルォキシ、 N フエ-ルカ ルバモイルォキシ);シリルォキシ基(例えば、トリメチルシリルォキシ、ジブチルメチル シリルォキシ);ァリールォキシカルボ-ルァミノ基(例えば、フエノキシカルボ-ルアミ ノ);イミド基 (例えば、 N—スクシンイミド、 N フタルイミド);ヘテロ環チォ基 (例えば、 2
—ベンゾチアゾリルチオ、 2, 4—ジーフエノキシー 1, 3, 5—トリァゾールー 6—チォ、 2—ピ リジルチオ);スルフィエル基(例えば、 3—フエノキシプロピルスルフィエル);ホスホ- ル基(例えば、フエノキシホスホニル、ォクチルォキシホスホ-ル、フエ-ルホスホニル );ァリールォキシカルボ-ル基(例えば、フエノキシカルボ-ル);ァシル基(例えば、 ァセチル、 3—フエ-ルプロパノィル、ベンゾィル);イオン性親水性基(例えば、カル ボキシル基、スルホ基、 4級アンモ-ゥム基、スルホニルスルファモイル基およびァシ ルスルファモイル基);その他シァノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基等が挙げられ る。これらの置換基の中でも、ヒドロキシ基、アルコキシ基、スルファモイル基、スルホ ンアミド基、ァシルァミノ基、力ルバモイル基、シァノ基およびイオン性親水性基が好 ましぐ中でもヒドロキシ基
、スルファモイル基、イオン性親水性基が特に好ましい。
[0045] 一般式 (I)において a— a
1 4、 b— bは、それぞれ X— X
1 4 1 4、 Y— Yの置換基数を表
1 4
す。そして a— aは、それぞれ独立に、 0— 4の整数であり、 b
4 1一 bは、それぞれ独立
1 4
に、 0 4の整数である。ここで、 a aおよび b b力 ^以上の整数であるとき、複数
1 4 1 4
の X Xおよび Y Yはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
1 4 1 4
[0046] aおよび bは、 a +b =4の関係を満たし、それぞれ独立に、 0— 4の整数を表し、
1 1 1 1
特に好ましいのは、 aが 1または 2を表し、 bが 3または 2を表す組み合わせであり、そ
1 1
の中でも a力^を表し、 bが 3を表す組み合わせが最も好ましい。
[0047] aおよび bは、 a +b =4の関係を満たし、それぞれ独立に、 0— 4の整数を表し、
2 2 2 2
特に好ましいのは、 aが 1または 2を表し、 bが 3または 2を表す組み合わせであり、そ
2 2
の中でも a力^を表し、 bが 3を表す組み合わせが最も好ましい。
2 2
[0048] aおよび bは、 a +b =4の関係を満たし、それぞれ独立に、 0— 4の整数を表し、
3 3 3 3
特に好ましいのは、 aが 1または 2を表し、 bが 3または 2を表す組み合わせであり、そ
3 3
の中でも a力^を表し、 bが 3を表す組み合わせが最も好ましい。
3 3
[0049] aおよび bは、 a +b =4の関係を満たし、それぞれ独立に、 0— 4の整数を表し、
4 4 4 4
特に好ましいのは、 aが 1または 2を表し、 bが 3または 2を表す組み合わせであり、そ
4 4
の中でも a力^を表し、 bが 3を表す組み合わせが最も好ましい。
4 4
[0050] Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲンィ匕
物を表す。
[0051] Mとして好ましいものは、水素原子の他に、金属元素として、 Li、 Na、 K、 Mg、 Ti、 Zr 、 V、 Nb、 Ta、 Cr、 Mo、 W、 Mn、 Fe、 Co、 Niゝ Ru、 Rh、 Pd、 Os、 Ir、 Pt、 Cu、 Ag、 Au、 Zn 、 Cd、 Hg、 Al、 Ga、 In、 Siゝ Ge、 Sn、 Pb、 Sb、 Bi等が挙げられる。酸化物としては、 VO、 GeO等が好ましく挙げられる。 また、水酸化物としては、 Si(OH)、 Cr(OH)、 Sn(OH)
2 2 2 等が好ましく挙げられる。さらに、ハロゲン化物としては、 A :i、 SiCl、 VC1、 VC1、
2 2
VOCl、 FeCl、 GaCl、 ZrCl等が挙げられる。なかでも、 Cu、 Ni、 Zn、 Al等が好ましぐ C uが最も好ましい。
[0052] また、一般式 (I)で表されるフタロシア-ンィ匕合物は、 L (2価の連結基)を介して Pc
(フタロシアニン環)が 2量体 (例えば、 Pc— M— L M— Pc)または 3量体を形成しても よぐそのとき複数個存在する Mは、それぞれ同一であっても異なるものであってもよ い。
[0053] Lで表される 2価の連結基は、ォキシ基 O—、チォ基 S—、カルボ-ル基ー CO—、 スルホ -ル基 SO—、イミノ基ー NH—、メチレン基 CH—、及びこれらを組み合わせ
2 2
て形成される基が好ましい。
[0054] 上記一般式(I)にお!/、て、フタロシアニン化合物の分子量は 750— 3000の範囲が 好ましく、さらに 995— 2500の範囲の分子量力 S好ましく、その中でも 995— 2000の 分子量が好ましぐ特に 995— 1800の範囲の分子量が最も好ましい。
[0055] 一般式 (I)で表されるフタロシア-ンィ匕合物力 L (2価の連結基)を介して Pc (フタ ロシアニン環)が 2量体 (例えば、 Pc— M— L M— Pc)または 3量体を形成する場合に おいて、好ましい分子量、例えば特に好ましい分子量は、上記記載の特に好ましい 分子量(995— 1800の範囲)の 2倍(2量体の場合)、または 3倍(3量体の場合)であ る。ここで、上記 2または 3量体の好ましい分子量は、連結基 Lを含んだ値である。
[0056] 一般式(I)で表されるフタロシアニン化合物は、 X、X、X、X、Y、Y、Y及び Υ
1 2 3 4 1 2 3 4 の少なくとも 1つは、イオン性親水性基であるカゝまたはイオン性親水性基を置換基と して有する基である。
[0057] 置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基 (一 SO— X+)、カルボキシル基 (一 C
3
O— X+)、および 4級アンモニゥム基(一 N+RR,R,,X— )、ァシルスルファモイル基(一 SO
2 2
N+X— COR)、スルホ-ルカルバモイル基(一 CON+X— SO R)、スルホニルスルファモ
2
ィル基 (一 SO N+X— SO R)等が含まれる。好ましくは、スルホ基、カルボキシル基およ
2 2
び 4級アンモ-ゥム基であり、特にスルホ基が好ましい。スルホ基、カルボキシル基、 ァシルスルファモイル基、スルホ-ルカルバモイル基およびスルホニルスルファモイ ル基は塩の状態であってもよぐ塩を形成する対イオンの例には、アルカリ金属ィォ ン (例、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン)、アンモ-ゥムイオン、有機力 チオン (例、テトラメチルダァ-ジ -ゥムイオン)、有機及び Z又は無機ァ-オン (例、 ハロゲンイオン、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン)が含まれる。な お、上記カツコ内の Xは、水素原子または対イオン、 R、 R'、 R"は置換基を表す。
[0058] 一般式 (I)で表されるフタロシア-ンィ匕合物は、一分子中にイオン性親水性基また はイオン性親水性基を置換基として有する基が少なくとも 1つ存在しているので、水 性媒体中に対する溶解性または分散性が良好となる。このような観点から、一般式 (I )で表されるフタロシア-ンィ匕合物としては、一分子中にイオン性親水性基を少なくと も 2個有するものが好ましぐ複数個のイオン性親水性基の少なくとも 1個がスルホ基 であるものがより好ましぐその中でも一分子中にスルホ基を少なくとも 2個有するもの が最も好ましい。
[0059] 上記一般式 (I)で表されるフタロシア-ンィ匕合物として特に好ま 、化合物は、下 記 (ィ)一(へ)の組み合わせを有する化合物である。
[0060] (ィ) X—Xに関しては、これらが、それぞれ独立に、 SO— Zが好ましい。
1 4 2
(口) zに関しては、これらが、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置 換もしくは無置換のァリール基、置換もしくは無置換のへテロ環基であり、その中でも 置換アルキル基、置換ァリール基、置換へテロ環基が好ましぐ置換アルキル基が最 も好ましい。
(ハ) Y— Yに関しては、これらが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アル
1 4
キル基、ァリール基、シァノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基 、力ルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボ-ル基、カルボキシル基、お よびスルホ基が好ましぐ特に水素原子、ハロゲン原子、シァノ基、カルボキシル基、 およびスルホ基が好ましく、水素原子が最も好まし 、。
(二) a— aはそれぞれ独立に 1または 2であることが好ましぐ特に 1であることが好ま
1 4
しい。 b一 bはそれぞれ独立に、 3または 2であることが好ましぐ特に 3であることが
1 4
好ましい。
(ホ) Mは、 Cu、 Ni、 Zn、または A1であることが好ましぐなかでも Cuであることが最も 好ましい。
(へ)フタロシアニン化合物の分子量は、 750— 3000の範囲力 S好ましく、更に 995—
2500の範囲の分子量が好ましぐその中でも 995— 2000の範囲の分子量が好まし く、特に 995— 1800の範囲の分子量力最も好まし!/ヽ。
[0061] 前記一般式 (I)で表される化合物の好ま 、置換基の組み合わせにつ 、ては、種 々の置換基の少なくとも 1つが前記の好ましい基である化合物が好ましぐより多くの 種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましぐ全ての置換基が前記 好ま 、基である化合物が最も好ま U、。
[0062] 一般式 (I)で表されるフタロシアニンィ匕合物の中でも、下記一般式 (III)で表される 構造のフタロシア-ンィ匕合物がさらに好ましい。以下に、本発明で用いる一般式 (III) で表されるフタロシア-ンィ匕合物について詳しく述べる。
[0063] 一般式 (III)
[化 6]
[0064] 前記一般式(III)において、 X 、X 、X および X は、それぞれ独立に、—SO— Z
21 22 23 24
および SO— Zのいずれかを表し、特に SO— Zが好ましい。
2 2
Zに関しては、一般式 (I)の中の Zと同義であり、好ましい例も同じである。
[0065] Y 一 Y に関しては、それぞれ独立に一般式 (I)の中の Y、 Y、 Y、 Yとそれぞれ
21 28 1 2 3 4 同義であり、好ましい例も同じである。
a 、a は、 4≤a a ≤8、好ましくは 4≤a +a +a a ≤6を満た
21 24 21 22 23 24 21 22 23 24 し、かつそれぞれ独立に 1または 2の整数を表す。特に好ましくは a =a : =a =a
21 22 23 24
= 1の場合である。
[0066] Mは前記一般式 (I)における Mと同義である。
X 、Χ 、Χ 、Χ 、Υ 、Υ 、Υ 、Υ 、Υ 、Υ 、Υ および Υ の少なくとも 1つは、
21 22 23 24 21 22 23 24 25 26 27 28
イオン性親水性基またはイオン性親水性基を置換基として有する基である。
イオン性親水性基の例は、一般式 (I)における X、 X、 X、 X
1 2 3 4の例と同義であり、好 ましい例も同じである。
[0067] 一般式 (III)で表されるフタロシアニン化合物は、イオン性親水性基またはイオン性 親水性基を置換基として有する基が一分子中に少なくとも 1つ存在して!/ヽるので、水 性媒体中に対する溶解性または分散性が良好となる。このような観点から、一般式(
III)で表されるフタロシア-ンィ匕合物は、一分子中にイオン性親水性基を少なくとも 2 個有するものが好ましぐ複数個のイオン性親水性基の少なくとも 1個がスルホ基であ るものがより好ましぐその中でも一分子中にスルホ基を少なくとも 2個有するものが最 も好ましい。
[0068] 上記一般式(III)にお!/、て、フタロシアニン化合物の分子量は 750— 3000の範囲 力 S好ましく、さらに 995— 2500の範囲の分子量力 S好ましく、その中でも 995— 2000 の分子量が好ましぐ特に 995— 1800の範囲の分子量が最も好ましい。
但し、本発明における一般式 (III)で表されるフタロシアニン化合物力 L (2価の連 結基)を介して Pc (フタロシアニン環)が 2量体(例えば、 Pc— M— L M— Pc)または 3 量体を形成する場合において、好ましい分子量、例えば特に好ましい分子量は、上 記記載の特に好ま U、分子量(995— 1800の範囲)の 2倍(2量体の場合)、または 3 倍(3量体の場合)である。ここで、上記 2または 3量体の好ましい分子量は、連結基 L を含んだ値である。
[0069] 上記一般式 (III)で表されるフタロシアニン化合物として特に好ま 、化合物は、下 記 (ィ)一(へ)の組み合わせを有する化合物である。
[0070] (ィ) X —X に関しては、それぞれ独立に、 -SO -Zが好ましい。
21 24 2
(口) zに関しては、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは 無置換のァリール基、置換もしくは無置換のへテロ環基が好ましぐその中でも置換 アルキル基、置換ァリール基、置換へテロ環基が好ましぐ置換アルキル基が最も好 ましい。
(ハ) Y — Y に関しては、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、
21 28
ァリール基、シァノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、力ルバ モイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボ-ル基、カルボキシル基、およびスル ホ基が好ましぐ特に水素原子、ハロゲン原子、シァノ基、カルボキシル基、およびス ルホ基が好ましぐ水素原子が最も好ましい。
(二) a — a は、それぞれ独立に、 1または 2であることが好ましぐ特に a = a = a
11 14 11 12 13 a = 1であることが好ましい。
14
(ホ) Mは、 Cu、 Ni、 Zn、または A1であることが好ましぐなかでも Cuであることが最も
好ましい。
(へ)フタロシアニン化合物の分子量は、 750— 2500の範囲力 S好ましく、更に 995—
2500の範囲の分子量が好ましぐその中でも 995— 2000の範囲の分子量が好まし く、特に 995— 1800の範囲の分子量力最も好まし!/ヽ。
[0071] 前記一般式 (III)で表される化合物の好ま 、置換基の組み合わせにつ 、ては、種 々の置換基の少なくとも 1つが前記の好ましい基である化合物が好ましぐより多くの 種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましぐ全ての置換基が前記 好ま 、基である化合物が最も好ま U、。
[0072] 一般式 (III)で表されるフタロシアニン化合物の中でも、下記一般式 (IV)で表される 構造のフタロシア-ンィ匕合物がさらに好ましい。以下に、本発明で用いる一般式 (IV) で表されるフタロシア-ンィ匕合物について詳しく述べる。
[0073] 一般式 (IV)
[化 7]
[0074] 一般式 (IV)の Z、 Z、 Z、 Zに関しては、それぞれ独立 -般式 (I)中の zと同義
1 2 3 4
であり、好ましい例も同じである。
[0075] q、 q、 q、 qは、それぞれ独立に、 1または 2の整数を表し、特に 2であることが好ま
2 3
しぐその中でも q =q =q =q = 2であることが最も好ましい。
1 2 3 4
a、 a、 a、 a は、それぞれ独立に、 1または 2の整数を表し、特に 1であることが
31 32 33 34
好ましぐその中でも a a a a = 1であることが最も好ましい。
31 32 33 34
[0076] Mは、前記一般式 (I)における Mと同義である。
Z、 Z
2、 Zおよび Zの少なくとも 1つはイオン性親水性基を置換基として有する。
1 3 4
イオン性親水性基の例は、前記一般式 (I)における zの例と同義であり、好ましい例 も同じである。
フタロシアニン化合物の分子量は、 750— 2500の範囲力 S好ましく、更に 995— 25
00の範囲の分子量が好ましぐその中でも 995— 2000の範囲の分子量が好ましく、 特に 995— 1800の範囲の分子量が最も好ましい。
[0077] 本発明で用いる一般式 (I)で表される化合物の中では、下記一般式 (II)で表される 化合物が特に好ましい。
[0078] 一般式 (Π)
[化 8]
式中、 Mは一般式 (I)におけると同義であり、 R ぞれ独立に SO Zを表
1一 Rはそれ
4 2 す。 Zは一般式 (I)における Zと同義であり、好ましい例も同じである。但し、 4つの Zの うち少なくとも 1つはイオン性親水性基を置換基として有する。
[0079] 上記化合物のうち、一般式 (II)における Mが銅元素であり、イオン性親水性基を置 換基として有する Zがスルホアルキル基である化合物がより好ましぐさらにはスルホ 基が塩の状態であり、塩を形成する対カチオンがリチウムカチオンである化合物が好 ましい。
[0080] 本発明で用いることのできる下記一般式 (V)で表されるフタロシア-ンィ匕合物は、 例えば下記一般式 (VI)で表されるフタロニトリルイ匕合物及び Z又は下記一般式 (VII) で表されるジィミノイソインドリン誘導体と M - (Y) dで表される金属誘導体を反応させ ることにより合成される。なお、式中、 Z及び Z— Zは一般式 (I)における Zと同義であ
1 4
り、 Mは一般式 (I)における Mと同義である。 Yはハロゲン原子、酢酸陰イオン、ァセ チルァセトネート、酸素などの 1価又は 2価の配位子を示し、 dは 1一 4の整数である。
M— (Y) dで示される金属誘導体としては、 Al、 Si、 Ti、 V、 Mn, Fe、 Co、 Ni、 Cu、 Z n、 Ge、 Ru、 Rh、 Pd、 In、 Sn、 Pt、 Pbのハロゲン化物、カルボン酸誘導体、硫酸塩 、硝酸塩、カルボニル化合物、酸化物、錯体等が挙げられる。具体例としては塩化銅 、臭化銅、沃化銅、塩化ニッケル、臭化ニッケル、酢酸ニッケル、塩ィ匕コバルト、臭化 コバルト、酢酸コバルト、塩化鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、沃化亜鉛、酢酸亜鉛、塩ィ匕 バナジウム、ォキシ三塩化バナジウム、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、塩化アルミ ユウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ァセチルアセトンマンガン、塩化マンガン、塩 化鉛、酢酸鉛、塩化インジウム、塩ィ匕チタン、塩化スズ等が挙げられる。
[0081] [化 9]
[0082] このようにして得られる前記一般式 (V)で表される化合物は通常、 R (SO— Z )
1 2 1、 R
2
(SO— Z )、 R (SO— Z )、 R (SO Z )の各置換位置における異性体である下記
2 2 3 2 3 4 2 4 一 般式 (a)— 1一 (a) 4で表される化合物の混合物となって 、る。
さらに、置換基の異なる 2種類以上の一般式 (VI)及び Z又は一般式 (VII)を用いて 染料を調製する場合には、一般式 (V)で表される化合物は、置換基の種類、位置が 異なる染料混合物となって!/、る。
[0083] [化 10]
[0084] 本発明に用いるシアン染料の例としては、特開 2002-249677号、同 2003— 213 167号、同 2003-213168号公報のほか、特願 2003— 13792号明細書中に記載 の該当する構造の化合物を挙げることができるが、特に好まし 、ものは下記表に挙 げるものである。表 1、表 2に記載の化合物については、上記公報もしくは明細書中 に記載の方法で合成できる。もちろん、出発化合物、色素中間体および合成方法に ついて、これらに限定されるものではない。
[0085] [表 1]
-般式 におい
化合物
化合物
化合物 (
化合物
表中、(S02R,)、(S02R2)の各鬣换基の導入位雷 IIS序は Iffi不同である,
(上述 (《 — 1 ~ ( _4で表される異性体を表す)
m. ^の¾は、フタロシアニン 導体合成時に用いたフタロニトリル K導体の仕込みモル比である。
[0087] 一般に、シアン系染料を含有したインク組成物を用いてインクジェット専用記録媒 体 (特に光沢系記録媒体)等にベタ印刷した場合に、ブロンズ現象が見られることがあ る。そのようなシアン系染料の中でも、耐光性及び耐ガス性の両方に優れたシアン系 染料ほど、それを含有したインク組成物を用いてインクジェット専用記録媒体 (特に光 沢系記録媒体)等にベタ印刷した場合、ブロンズ現象が強くなる傾向がある。
耐光性及び耐ガス性の両方に優れ、かつ、ブロンズ現象がなぐ高画質なインクジ エツト記録物を得るためには、更には、空気中に存在するオゾン、窒素酸化物や硫黄 酸ィ匕物存在下のような酸ィ匕性ガス雰囲気下での変退色を防止できるインクジェット記 録物を得るためには、上述のシアン系染料に下記のカルボキシル基を有する芳香族 化合物を含有せしめることにより達成することができる。
[0088] 染料の含有量は、一般式 (I)で表される化合物の種類、溶媒成分の種類等により 決められるが、インク組成物全重量に対し、好ましくは 0. 1— 10重量%、さらに好ま しくは 0. 5— 5重量%の範囲である。 0. 1重量%以上とすることで、記録媒体上での 発色性又は画像濃度を確保でき、 10重量%以下とすることで、インク組成物の粘度 調整が容易となり吐出信頼性や目詰まり性等の特性が容易に確保できる。
[0089] 本発明のインク組成物は、上記のような、シアン系染料を含有したインク組成物を 用いてベタ印刷した場合に見られるブロンズ現象を弱める、もしくは無くするために、 カルボキシル基を有する芳香族化合物又はその塩を少なくとも 1種含有する。
本発明にお ヽては、水と上記一般式 (I)で表されるシアン系染料とカルボキシル基 を有する芳香族化合物又はその塩を少なくとも 1種含有するインク組成物であれば、 シアンインク組成物は勿論のこと、例えば、ブラックインク組成物等のシアンとは異な る色のインク組成物であっても、ベタ印刷した場合に見られるブロンズ現象を弱める、 もしくは無くすることができる。これら各種のインク組成物を作製するためには、従来 公知の他の染料と併用することができる。
[0090] 本発明で使用されるカルボキシル基を有する芳香族化合物又はその塩としては、 分子構造中にカルボキシル基を少なくとも 1つ有する芳香族化合物又はその塩であ ればいかなるものでも良いが、カルボキシル基は 1つであるものが好ましぐまた、ナ フタレン骨格を有するものが好まし 、。ナフタレン骨格にカルボキシル基とともに o
R基 (Rは水素原子または炭素数 1一 6のアルキル基)を有するものも好ましく用いるこ とができ、ナフタレン骨格を有する化合物又はその塩においてカルボキシル基、 O R基は 1つであることが好ましい。また、 2位にカルボキシル基を有し、ナフタレン骨格 を持つ化合物又はその塩がより好ましぐさらに好ましいものとしては、 2位にカルボキ シル基を有し、ナフタレン骨格を持つ化合物のアルカリ金属塩が挙げられる。 2位に カルボキシル基を有し、ナフタレン骨格を持つ化合物のアルカリ金属塩の中でもリチ ゥム塩が、耐ブロンズ性の改善の点で特に好ましいばかりでなぐ耐目詰り性の点で も好ましい。
[0091] カルボキシル基を有する芳香族化合物又はその塩としては、具体的には、 2—ヒドロ キシー 1 ナフトェ酸、 1ーヒドロキシー 2 ナフトェ酸、 1 ナフトェ酸、 2 ナフトェ酸、 3— ヒドロキシー 2 ナフトェ酸、 6—ヒドロキシー 2 ナフトェ酸、 3—メトキシー 2—ナフトェ酸、 6—メトキシー 2 ナフトェ酸、 6 エトキシー2 ナフトェ酸、 6 プロポキシ 2 ナフトェ酸 、 4ーヒドロキシ安息香酸、 2, 6 ナフタレンジカルボン酸等及びそれらの塩 (特に、リ チウム塩)が挙げられる。
カルボキシル基を有する芳香族化合物の塩は、塩の形で添加され、インク中に含
有されることも可能であり、また、カルボキシル基を有する芳香族化合物と塩基とが別 々に添加され、インク中に含有されることも可能である。
[0092] これらのカルボキシル基を有する芳香族化合物及び Z又はその塩の含有量は、力 ルポキシル基を有する芳香族化合物及び Z又はその塩の種類、染料の種類、溶媒 成分の種類等により決められる力 インク組成物全重量に対し、好ましくは 0. 1— 10 重量%、さらに好ましくは、 0. 5— 5重量%の範囲である。
[0093] 本発明のインク組成物においては、シアン系染料とカルボキシル基を有する芳香 族化合物及び Z又はその塩の含有比率は、重量比で、好ましくは 1 : 0. 1-1 : 10、 より好ましくは 1 : 0. 3— 1 : 6の範囲であることが好ましい。 1 : 0. 1よりもカルボキシル 基を有する芳香族化合物及び Z又はその塩の比率を高くすることで、ブロンズ現象 の改善効果が十分に得られ、また、 1 : 10よりもカルボキシル基を有する芳香族化合 物及び Z又はその塩の比率を低くすることで、目詰まり信頼性などを容易に確保でき る。
[0094] 所定の染料およびカルボキシル基を有する芳香族化合物及び Z又はその塩の量 を安定して溶解させるためには、インク組成物の pH (20°C)は 8. 0以上であることが 好ましい。また、インク組成物が接する各種部材との耐材料性を考慮すると、インク組 成物の pHは 10. 5以下であることが好ましい。これらの事項をよりよく両立させるため には、インク組成物の pHを 8. 5— 10. 0に調整することがより好ましい。
[0095] 本発明のインク組成物は、さらに蒸気圧が純水よりも小さい水溶性有機溶剤及び Z 又は糖類カゝら選ばれる保湿剤を含むことができる。
保湿剤を含むことにより、インクジェット記録方式において、水分の蒸発を抑制して インクを保湿することができる。また、水溶性有機溶剤であれば、吐出安定性を向上 させたり、インク特性を変化させることなく粘度を容易に変更させたりすることができる
[0096] 水溶性有機溶剤は、溶質を溶解する能力を持つ媒体を指しており、有機性で蒸気 圧が水より小さい水溶性の溶媒力も選ばれる。具体的には、エチレングリコール、プ ロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、 2—ブテン 1, 4ージオール 、 2—メチルー 2, 4 ペンタンジオール、グリセリン、 1, 2, 6—へキサントリオール、ジェ
チレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコー ル類、ァセトニルアセトン等のケトン類、 γ—ブチロラタトン、リン酸トリェチル等のエス テル類、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、チォジグリコール 等が望ましい。
[0097] また、糖類は、マルチトール、ソルビトール、ダルコノラタトン、マルトース等が好まし い。
保湿剤は、インク組成物全量に対して好ましくは 5— 50重量%、より好ましくは、 5 一 30重量%、さらに好ましくは、 5— 20重量%の範囲で添加される。 5重量%以上で あれば、保湿性が得られ、また、 50重量%以下であれば、インクジェット記録に用い られる粘度に調整しやすい。
[0098] また、本発明のインク組成物には、溶剤として含窒素系有機溶剤を含んでなること が好ましい。含窒素系有機溶剤としては、 1, 3—ジメチルー 2—イミダゾリジノン, 2—ピ 口リドン, Ν-メチル -2-ピロリドン, ε一力プロラタタム等が挙げられ、中でも、 2-ピロリ ドンが好適に用いられることができる。それらは、単独または 2種以上併用して用いら れることちでさる。
その含有量は、 0. 5— 10重量%が好ましぐさらに好ましくは、 1一 5重量%である 。その含有量を、 0. 5重量%以上とすることで、添加することによる本発明の色材の 溶解性向上を図ることができ、 10重量%以下とすることで、インク組成物が接する各 種部材との耐材料性を悪化させることがな 、。
[0099] また、本発明のインク組成物には、インクの速やかな定着(浸透性)を得ると同時に 、 1ドットの真円度を保つのに効果的な添加剤として、ノ-オン系界面活性剤を含む ことが好ましい。
[0100] 本発明に用いられるノ-オン系界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール 系界面活性剤が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤として、具体的には
、サーフィノール 465、サーフィノール 104 (以上、 Air Products and Chemicals, Inc. 製、商品名)、オルフイン STG、オルフイン PD001 (以上、日信化学工業 (株)製、商品 名)等が挙げられる。その添加量は好ましくは 0. 1— 5重量%、より好ましくは 0. 5— 2重量%である。添加量を 0. 1重量%以上とすることで、十分な浸透性を得ることが
でき、また、 5重量%以下とすることで、画像のにじみの発生を防止し易い。
[0101] さらに、ノ-オン系界面活性剤にカ卩えて、浸透促進剤として、グリコールエーテル類 を添加することにより、より浸透性が増すとともに、カラー印刷を行った場合の隣り合う カラーインクとの境界のブリードが減少し、非常に鮮明な画像を得ることができる。
[0102] 本発明で用いることのできるダリコールエーテル類としては、エチレングリコールモノ ブチノレエーテノレ、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール モノェチノレエーテル、プロピレングリコーノレモノメチノレエーテル、ジプロピレングリコー ルモノェチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリ コールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられ る。その添力卩量は好ましくは 3— 30重量%、より好ましくは 5— 15重量%である。添カロ 量が 3重量%未満であると、ブリード防止の効果が得られない。また、 30重量%を越 えると画像ににじみが発生するばかりか、油状分離が起きるためにこれらのグリコー ルエーテル類の溶解助剤が必要となり、それに伴ってインクの粘度が上昇し、インク ジェットへッドでは吐出が難しくなる。
[0103] さらに、本発明のインク組成物には、必要に応じて、トリエタノールアミンゃアルカリ 金属の水酸化物等の pH調整剤、尿素およびその誘導体等のヒドロトロピー剤、アル ギン酸ナトリウム等の水溶性ポリマー、水溶性榭脂、フッ素系界面活性剤、防カビ剤 、防鲭剤等が添加されてもよい。
[0104] 本発明のインク組成物の調製方法としては、たとえば、各成分を十分混合溶解し、 孔径 0. 8 mのメンブランフィルターで加圧濾過したのち、真空ポンプを用いて脱気 処理して調製する方法などがある。
[0105] 次に、上述のインク組成物を用いた本発明の記録方法について説明する。本発明 の記録方法はインク組成物を微細孔力 液滴として吐出させ、該液滴を記録媒体に 付着させて記録を行うインクジェット記録方式がとりわけ好適に使用できるが、一般の 筆記具用、記録計、ペンプロッタ一等の用途にも使用できることは言うまでもない。
[0106] インクジェット記録方式としては、従来公知の方式はいずれも使用でき、特に圧電 素子の振動を利用して液滴を吐出させる方法 (電歪素子の機械的変形によりインク 滴を形成するインクジェットヘッドを用いた記録方法)や熱エネルギーを利用する方
法においては優れた画像記録を行うことが可能である。
実施例
[0107] 次に、本発明の実施例と比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
なお、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
[0108] [実施例 1一 17及び比較例 1一 5]
実施例 1一 17及び比較例 1一 5のインク組成物を表 3に示す配合割合で各成分を 混合して溶解させ、孔径: mのメンブランフィルタ一にて加圧濾過を行なって、各ィ ンク組成物を調製した。
[0109] [表 3]
*1:図 1に示す分光特性 (吸収波長)を有するものを使用。
[0110] なお、表中に示すインク組成物の各成分はインク組成物全量に対する各成分の重 量%を示し、残量は水である。
[0111] 上記の実施例 1一 17及び比較例 1一 5に記載のインク組成物を、インクジェットプリ ンタ EM930C (セイコーエプソン株式会社製)を用いて、これの専用カートリッジ(Cy an室)に充填して、インクジェット専用記録媒体 (PM写真用紙、専用光沢フィルム: いずれもセイコーエプソン株式会社製)に印字し、各評価を行なった。得られた結果 を表 4に示す。
[0112] 《ブロンズ評価》
上記のカートリッジを用い、 1インチ平米当たり 1. 5-2. 2mgの打ち込み量になる ようにベタ印字し得られた印刷物を、光沢度計 (PG— 1M :日本電色工業株式会社) を用いて測定し (測定角度 60° )、光沢度を求めた。印字は、 25°C40%RHの環境 で行った。
得られた光沢度と以下の式力も得た値をブロンズの判定基準とした。
[0113] 光沢度(印刷物) -光沢度 (記録媒体)
[評価基準]
評価 A : 15未満
評価 B : 15以上 35未満
評価 C : 35以上 55未満
評価 D : 55以上
[0114] 《耐オゾン性評価》
上記のカートリッジを用い、 OD(Optical Density)力 0. 9—1. 1の範囲に入るよう に印加 Dutyを調整して印刷を行って得られた印刷物を、オゾンウエザーメーター O MS— H型(商品名、(株)スガ試験機製)を用い、 24°C、相対湿度 60%RH、オゾン 濃度 20ppmの条件下にて、印刷物を所定時間(6, 12時間)曝露した。
曝露後、それぞれの印刷物の ODを、濃度計(「SpeCtrolino」 Gretag社製)を用い て測定し、次式により光学濃度残存率 (ROD)を求め、下記判定基準により、評価し た。
[0115] ROD (%) = (D/D ) X 100
D :曝露試験後の OD
D:曝露試験前の OD
0
(但し、測定条件は、 Filter: Red,光源: D50,視野角: 2度)
[判定基準]
A RODが 90%以上
評価 B : RODが 80%以上 90%未満
評価 C: RODが 70%以上 80%未満
評価 D: RODが 70%未満
[0116] 《耐目詰り性評価》
上記のカートリッジをインクジェットプリンタ EM930C (セイコーエプソン株式会社製 )に充填し、初期的に正常に吐出することを確認後、本体電源を切り、インクカートリツ ジを装填した状態のまま、 40°C、 20%RHの環境下に放置した。所定の時間放置後 、 EM930Cを取り出し、温度が常温にまで下がるのを待って電源を入れ、インクが正 常に吐出するかを見た。また正常に吐出しない場合は、 EM930C所定のタリーニン グ回復動作を行い、その後印字を行って、正常に吐出するようになるまでのタリー- ング回復動作の必要回数を求め、下記基準により評価した。
[0117] [判定基準]
評価 A:電源 ON、またはクリーニング動作 1回で正常に吐出
評価 B:クリーニング動作 2— 3回で正常に吐出
評価 C:クリーニング動作 4一 6回で正常に吐出
評価 D:クリーニング動作を 6回行っても正常に吐出しな ヽ