JP4701634B2 - インク組成物、それを用いたインクジェット記録方法および記録物 - Google Patents
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また、近年では写真調に近い風合いを持つ記録媒体として光沢紙が多く採用されるようになっているが、特定の色がブロンズ現象を起こすことにより印刷物表面での光沢感にバラツキが生じ、画像の風合いを著しく損ねてしまうことから、画像全体の均一な光沢感を保つ観点からも、その改善が強く望まれるところである。
すなわち本発明は以下の構成を有する。
(1)少なくとも水と下記一般式(II)で表されるシアン系染料と2位にカルボキシル基を有するナフタレン骨格を持つ化合物を含んでなるインク組成物であって、リチウムイオンと、ナトリウムイオン及び/又はカリウムイオンを含有することを特徴とするインク組成物。
(2)前記シアン系染料が、前記一般式(II)におけるMが銅元素であり、イオン性親水性基を有するZがスルホアルキル基である(1)に記載のインク組成物。
(3)前記スルホアルキル基のカウンターカチオンがリチウムカチオンである(2)に記載のインク組成物。
(4)さらに尿素を含有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載のインク組成物。
(5)前記尿素をインク組成物の1〜6重量%含有することを特徴とする(4)に記載のインク組成物。
(7)前記2位にカルボキシル基を有するナフタレン骨格を持つ化合物のカルボキシル基のモル数に対し、ナトリウムイオンとカリウムイオンのモル数の合計が0.3倍以上であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれか一項に記載のインク組成物。
(8)前記シアン系染料のイオン性親水性基を有するスルホアルキル基のモル数と前記2位にカルボキシル基を有するナフタレン骨格を持つ化合物のカルボキシル基のモル数の合計に対し、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンのモル数の合計が0.8倍以上1.2倍以下であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれか一項に記載のインク組成物。
(9)前記2位にカルボキシル基を有するナフタレン骨格を持つ化合物が、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−メトキシ−2−ナフトエ酸、6−メトキシ−2−ナフトエ酸、6−エトキシ−2−ナフトエ酸、6−プロポキシ−2−ナフトエ酸の少なくとも一種である、(1)〜(8)のいずれか一項に記載のインク組成物。
(11)前記シアン系染料と、前記2位にカルボキシル基を有するナフタレン骨格を持つ化合物の含有比率が、重量比で、1:0.2〜1:10の範囲である、(1)〜(10)のいずれか一項に記載のインク組成物。
(13)前記インクジェット記録方法が、電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するインクジェットヘッドを用いた記録方法である、(12)に記載のインク組成物。
(14)インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法であって、インク組成物として(1)〜(13)のいずれか一項に記載のインク組成物を使用することを特徴とするインクジェット記録方法。
(15)(1)〜(13)のいずれか一項に記載のインク組成物を用いて記録された、又は(14)に記載の記録方法により記録されたことを特徴とする記録物。
これらは置換基を有していても良く、置換基の例としては、後述のZ、Y1、Y2、Y3およびY4が更に置換基を有することが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。
中でも、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、およびスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基およびスルホ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
(ロ)Zに関しては、これらが、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基であり、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換ヘテロ環基が好ましく、置換アルキル基が最も好ましい。
(ハ)Y1〜Y4に関しては、これらが、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、およびスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、およびスルホ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
(ニ)a1〜a4はそれぞれ独立に1または2であることが好ましく、特に1であることが好ましい。b1〜b4はそれぞれ独立に、3または2であることが好ましく、特に3であることが好ましい。
(ホ)Mは、Cu、Ni、Zn、またはAlであることが好ましく、なかでもCuであることが最も好ましい。
(ヘ)フタロシアニン化合物の分子量は、750〜3000の範囲が好ましく、更に995〜2500の範囲の分子量が好ましく、その中でも995〜2000の範囲の分子量が好ましく、特に995〜1800の範囲の分子量が最も好ましい。
Zに関しては、一般式(I)の中のZと同義であり、好ましい例も同じである。
a21〜a24は、4≦a21+a22+a23+a24≦8、好ましくは4≦a21+a22+a23+a24≦6を満たし、かつそれぞれ独立に1または2の整数を表す。特に好ましくはa21=a22=a23=a24=1の場合である。
X21、X22、X23、X24、Y21、Y22、Y23、Y24、Y25、Y26、Y27およびY28の少なくとも1つは、イオン性親水性基またはイオン性親水性基を置換基として有する基である。
イオン性親水性基の例は、一般式(I)におけるX1、X2、X3、X4の例と同義であり、好ましい例も同じである。
但し、本発明における一般式(III)で表されるフタロシアニン化合物が、L(2価の連結基)を介してPc(フタロシアニン環)が2量体(例えば、Pc−M−L−M−Pc)または3量体を形成する場合において、好ましい分子量、例えば特に好ましい分子量は、上記記載の特に好ましい分子量(995〜1800の範囲)の2倍(2量体の場合)、または3倍(3量体の場合)である。ここで、上記2または3量体の好ましい分子量は、連結基Lを含んだ値である。
(ロ)Zに関しては、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換ヘテロ環基が好ましく、置換アルキル基が最も好ましい。
(ハ)Y21〜Y28に関しては、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、およびスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、およびスルホ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
(ニ)a11〜a14は、それぞれ独立に、1または2であることが好ましく、特にa11=a12=a13=a14=1であることが好ましい。
(ホ)Mは、Cu、Ni、Zn、またはAlであることが好ましく、なかでもCuであることが最も好ましい。
(ヘ)フタロシアニン化合物の分子量は、750〜2500の範囲が好ましく、更に995〜2500の範囲の分子量が好ましく、その中でも995〜2000の範囲の分子量が好ましく、特に995〜1800の範囲の分子量が最も好ましい。
a31、a32、a33、a34は、それぞれ独立に、1または2の整数を表し、特に1であることが好ましく、その中でもa31=a32=a33=a34=1であることが最も好ましい。
Z1、Z2、Z3およびZ4の少なくとも1つはイオン性親水性基を置換基として有する。
イオン性親水性基の例は、前記一般式(I)におけるZの例と同義であり、好ましい例も同じである。
フタロシアニン化合物の分子量は、750〜2500の範囲が好ましく、更に995〜2500の範囲の分子量が好ましく、その中でも995〜2000の範囲の分子量が好ましく、特に995〜1800の範囲の分子量が最も好ましい。
さらに、置換基の異なる2種類以上の一般式(VI)及び/又は一般式(VII)を用いて染料を調製する場合には、一般式(V)で表される化合物は、置換基の種類、位置が異なる染料混合物となっている。
また、好ましい態様として、カルボキシル基を有する芳香族化合物をアルカリ金属塩として含有させるか、中和剤としてのアルカリ金属の水酸化物とともに含有させることが挙げられる(本明細書においては、カルボキシル基を有する芳香族化合物のアルカリ金属塩もカルボキシル基を有する芳香族化合物に含める)。アルカリ金属の中でもリチウムが、耐ブロンズ性の改善の点で特に好ましいばかりでなく、耐目詰り性の点でも好ましい。
カルボキシル基を有する芳香族化合物としては、具体的には、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−メトキシ−2−ナフトエ酸、3−エトキシ−2−ナフトエ酸、3−プロポキシ−2−ナフトエ酸、6−メトキシ−2−ナフトエ酸、6−エトキシ−2−ナフトエ酸、6−プロポキシ−2−ナフトエ酸等が挙げられる。
リチウムイオンの含有量は、前記シアン系染料のイオン性親水性基を有するスルホアルキル基のモル数に対し、リチウムイオンのモル数が1.2倍以上であることが好ましく、1.4〜3.0倍がより好ましい。リチウムイオンの存在により、カルボキシル基を有する芳香族化合物の耐ブロンズの効果が向上し、インク組成物の耐目詰まりの信頼性も良好なものとなる。また、着色剤中の−SO3 -基にリチウムイオンを結合させた場合、着色剤の溶解性が向上する。
ナトリウムイオン及び/又はカリウムイオンは、インクノズルがより厳しい使用条件におかれた場合(たとえば印刷中に電源が切られてプリントヘッドがホームポジションに戻らず、ノズルがキャッピングされないまま放置された場合)、カルボキシル基を有する芳香族化合物のリチウム塩が析出して目詰まりやインク滴曲がりを生ずるのを防止する効果を奏し、他の特性を低下させることなく目詰まり等の信頼性がさらに向上したインク組成物とすることができる。−COO-基にナトリウムイオン、カリウムイオンが結合した場合、リチウムイオンが結合したよりも溶解性が高く、芳香族化合物が乾燥によりノズル近傍に析出しにくくなったためと考察される。
ナトリウムイオン及び/又はカリウムイオンの含有量は、前記シアン系染料のイオン性親水性基を有するスルホアルキル基のモル数に対し、ナトリウムとカリウムのモル数の合計が0.7倍以下であることが好ましく、0.1〜0.6倍であることがより好ましい。この範囲で用いることにより、インク組成物の耐ブロンズの効果を低下させることなくリチウム塩の析出を防止できる。
このようなpHを確保するうえで、前記シアン系染料のイオン性親水性基を有するスルホアルキル基と前記カルボキシル基を有する芳香族化合物のカルボキシル基のモル数の合計に対し、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンのモル数の合計が0.8倍以上1.2倍以下であることが好ましい。
また、pHを確保したうえでリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンのモル数の合計が上記範囲を超える場合があるが(例えば、NaCl、KCl等を添加し、1.2倍以上とする)、インク中必要以上にイオンが溶解している場合、染料の溶解性を低下させることもあり、好ましくない。
保湿剤を含むことにより、インクジェット記録方式において、水分の蒸発を抑制してインクを保湿することができる。また、水溶性有機溶剤であれば、吐出安定性を向上させたり、インク特性を変化させたりすることなく粘度を容易に変更することができる。
水溶性有機溶剤は、溶質を溶解する能力を持つ媒体を指しており、有機性で蒸気圧が水より小さい水溶性の溶媒から選ばれる。具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類、アセトニルアセトン等のケトン類、γ−ブチロラクトン、リン酸トリエチル等のエステル類、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、チオジグリコール等が望ましい。
また、糖類は、マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、マルトース等が好ましい。
保湿剤は、インク組成物全量に対して5〜50重量%、より好ましくは、5〜30重量%、さらに好ましくは、5〜20重量%の範囲で添加されることが好ましい。5重量%以上であれば、保湿性が得られ、また、50重量%以下であれば、インクジェット記録に用いられる粘度に調整しやすい。
その含有量は、0.5〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは、1〜5重量%である。その含有量を、0.5重量%以上とすることで、添加することによる本発明における着色剤の溶解性向上を図ることができ、10重量%以下とすることで、インク組成物が接する各種部材との耐材料性を悪化させることがない。
なお、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
実施例1〜10及び比較例1〜7のインク組成物を表3に示す配合割合で各成分を混合して溶解させ、孔径1μmのメンブランフィルターにて加圧濾過を行なって、各インク組成物を調製した。表3中に示すインク組成物の各成分はインク組成物全量に対する各成分の重量%を示す。なお、比較例4の組成では2−ナフトエ酸が完全に溶解せず、評価に使用できるインク組成物が得られなかった。また、比較例5についてはインクpHが11.8となり、プリンタ部品の耐インク性に問題を生じて評価が行えなかった。
この組成におけるシアン染料のイオン性親水性基を有するスルホアルキル基のモル数に対するリチウムイオンのモル数及びナトリウムイオン+カリウムイオンのモル数、2−ナフトエ酸のカルボキシル基のモル数に対するナトリウムイオン+カリウムイオンのモル数の比率等は表4に示すとおりである。
上記実施例1〜10及び比較例1〜3、6、7のインク組成物を、インクジェットプリンタStylus Color 880(セイコーエプソン株式会社製)を用いて、これの専用カートリッジ(Cyan室)に充填し、インクジェット専用記録媒体(PM写真用紙;セイコーエプソン株式会社製、型番;KA420PSK)に対し以下のように印刷、評価を行った。
実施例1及び比較例1のインク組成物を充填したカートリッジを用い、それぞれのインク組成物に対し、OD(Optical Density)値が0.9〜1.1の範囲に入るようにDutyを調整して印刷を行った。これを直射日光のあたらない常温常湿環境にて1日放置した後、得られた記録物の耐オゾン性を以下の条件下で評価した。
オゾンウェザーメーターOMS−H型(商品名、(株)スガ試験機製)を用い、24℃60%RH、オゾン濃度10ppmの条件下にて、記録物を12時間曝露した。
曝露サンプルのOD値(Optical Density)を、反射濃度計(「Spectrolino」Gretag社製)を用いて測定した。各測定値を以下の式に代入することにより、退色後の光学濃度残存率(Relict Optical Density;ROD)を得た。
ROD(%)=(Dn/D0)×100
(Dn:照射試験後のOD、D0:照射試験前のOD)
A:ROD(%)85%以上
B:ROD(%)70%以上85%未満
C:ROD(%)55%以上70%未満
D:ROD(%)55%未満
この結果、実施例1のインク組成物ではA、比較例1のインク組成物ではDの評価であった。
実施例1〜10及び比較例2、3、6、7のインク組成物を充填したカートリッジを用い、最大インク打ち込み量に対し32分割したパッチ画像を、32℃65%RH環境下で印刷した(32:最大、0:印刷無し)。ブロンズが発生した階調を、目視で判断した。結果を表5に示す。
実施例1〜10及び比較例2、3、6、7のインク組成物を充填したカートリッジを用い、10分間連続して印刷し、全てのノズルが正常に吐出していることを確認後、60℃15%RHの環境に3週間放置した。放置後、全ノズルが初期と同等に吐出するまでクリーニング動作を繰り返し、以下の判断基準により、回復しやすさを評価し、その結果を表5に示した。
A:1〜4回のクリーニング操作で初期と同等に回復。
B:5〜8回のクリーニング操作で初期と同等に回復。
C:9〜12回のクリーニング操作で初期と同等に回復。
D:現実的な回数のクリーニング操作では回復せず。
(目詰り回復性)
実施例1〜10及び比較例2、3、6、7のインク組成物を充填したカートリッジを用い、10分間連続して印刷し、全てのノズルが正常に吐出していることを確認後、インクカートリッジを装着したまま、記録ヘッドをヘッドキャップから外した状態で、40℃20%RHの環境に1週間、及び2週間放置した。放置後、全ノズルが初期と同等に吐出するまでクリーニング動作を繰り返し、以下の判断基準により、回復しやすさを評価し、その結果を表5に示した。
A:1〜4回のクリーニング操作で初期と同等に回復。
B:5〜8回のクリーニング操作で初期と同等に回復。
C:9〜12回のクリーニング操作で初期と同等に回復。
D:現実的な回数のクリーニング操作では回復せず。
上記目詰りが回復したプリンタを使用し、duty40%でベタパターンを印刷した。以下の判定基準に従い、目視により判断した。結果を表5に示した。
A:ベタが埋まっており、初期と変化無し。
B:初期と比較し、若干変化している。
C:ベタが埋まらず、筋が多い。
耐目詰まり性(キャップあり)についてもシアン系染料のイオン性親水性基を有するスルホアルキル基のモル数に対し、リチウムのモル数が1.2倍以上であり、かつ、ナトリウムとカリウムのモル数の合計が0.7倍以下であるものは、リチウムイオン及びナトリウムイオン、又はカリウムイオンは含有するが、好ましい範囲から外れるものよりも性能が向上している(実施例4に対する実施例1、実施例6,7に対する実施例10)。また、尿素の含有量を6重量%以下とするほうが、尿素による耐目詰まり性の低下が少ない(実施例3に対する実施例2)。
耐目詰まり性(キャップなし)の回復性及びインク滴曲がりの性能については、NaOHの使用により向上している。尿素の含有量は、6重量%以下とするほうが尿素による回復性の低下が少なく(実施例3に対する実施例2、10)、1重量%以上とするとインク滴曲がりを低減できる(実施例2に対する実施例10)。また、2−ナフトエ酸のカルボキシル基のモル数に対し、ナトリウムとカリウムのモル数の合計が0.3倍以上であるもののほうが効果が高い(実施例5に対する実施例1、実施例8,9に対する実施例10)。
Claims (15)
- 少なくとも水と下記一般式(II)で表されるシアン系染料と2位にカルボキシル基を有するナフタレン骨格を持つ化合物を含んでなるインク組成物であって、リチウムイオンと、ナトリウムイオン及び/又はカリウムイオンを含有することを特徴とするインク組成物。
(式中、Mは、水素原子、金属元素またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。R 1 〜R 4 はそれぞれ独立に−SO 2 Zを表す。Zは、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。但し、4つのZのうち少なくとも1つはイオン性親水性基を置換基として有する。) - 前記シアン系染料が、前記一般式(II)におけるMが銅元素であり、イオン性親水性基を有するZがスルホアルキル基である請求項1に記載のインク組成物。
- 前記スルホアルキル基のカウンターカチオンがリチウムカチオンである請求項2に記載のインク組成物。
- さらに尿素を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記尿素をインク組成物の1〜6重量%含有することを特徴とする請求項4に記載のインク組成物。
- 前記シアン系染料のイオン性親水性基を有するスルホアルキル基のモル数に対し、リチウムイオンのモル数が1.2倍以上であり、かつ、ナトリウムイオンとカリウムイオンのモル数の合計が0.7倍以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記2位にカルボキシル基を有するナフタレン骨格を持つ化合物のカルボキシル基のモル数に対し、ナトリウムイオンとカリウムイオンのモル数の合計が0.3倍以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記シアン系染料のイオン性親水性基を有するスルホアルキル基のモル数と前記2位にカルボキシル基を有するナフタレン骨格を持つ化合物のカルボキシル基のモル数の合計に対し、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンのモル数の合計が0.8倍以上1.2倍以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記2位にカルボキシル基を有するナフタレン骨格を持つ化合物が、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−メトキシ−2−ナフトエ酸、6−メトキシ−2−ナフトエ酸、6−エトキシ−2−ナフトエ酸、6−プロポキシ−2−ナフトエ酸の少なくとも一種である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記2位にカルボキシル基を有するナフタレン骨格を持つ化合物をインク組成物全量に対して0.1〜10重量%含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記シアン系染料と、前記2位にカルボキシル基を有するナフタレン骨格を持つ化合物の含有比率が、重量比で、1:0.2〜1:10の範囲である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のインク組成物。
- インクジェット記録方法において用いられる、請求項1〜11のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記インクジェット記録方法が、電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するインクジェットヘッドを用いた記録方法である、請求項12に記載のインク組成物。
- インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法であって、インク組成物として請求項1〜13のいずれか一項に記載のインク組成物を使用することを特徴とするインクジェット記録方法。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載のインク組成物を用いて記録された、又は請求項14に記載の記録方法により記録されたことを特徴とする記録物。
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