JP2000109735A - 水系インクジェット記録用インク組成物及びインクジェット記録方法 - Google Patents

水系インクジェット記録用インク組成物及びインクジェット記録方法

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JP2000109735A
JP2000109735A JP28709198A JP28709198A JP2000109735A JP 2000109735 A JP2000109735 A JP 2000109735A JP 28709198 A JP28709198 A JP 28709198A JP 28709198 A JP28709198 A JP 28709198A JP 2000109735 A JP2000109735 A JP 2000109735A
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Kiyohiko Takemoto
清彦 竹本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プリンタヘッドの目詰まり防止性を向上さ
せ、紙上での乾燥が早く、指触感が良好で、更ににじみ
も起きないインク水系インクジェット記録用インク組成
物及びインクジェット記録方法を提供する。 【解決手段】 インク組成物は、ピロリドンカルボン酸
又はその塩と着色剤とを含む。記録方法は前記インク組
成物を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水系インクジェッ
ト記録用インク組成物、及びそのインク組成物を用いる
インクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方法は、インク組成
物の小滴をプリンタヘッドから飛翔させ、紙などの記録
媒体上に付着させて印字を行う記録方法である。この方
法は、比較的低廉な装置で、高解像度が得られ、高品位
な画像を高速で印刷することができるという優れた特徴
を有している。通常、このインクジェット記録方法に用
いるインク組成物は、水を主成分とし、着色剤を含む他
に、プリンタヘッドの目詰まりを防止する目的で添加す
る湿潤剤や、その湿潤剤を紙中へ浸透させる目的で添加
する浸透剤を含んでいる。
【0003】前記の湿潤剤としては、湿潤効果が高く、
安価なことからグリセリンが広く使用されている。この
グリセリンと浸透剤(代表的にはトリエチレングリコー
ルモノブチルエーテル)との組合せにより、インク特性
や印字品質の点で種々の優れた効果がもたらされる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、プリン
タヘッドの目詰まり防止性を更に向上させる目的でグリ
セリンを過剰量で含有させると、プリンタヘッドの目詰
まり防止の点では好ましい効果が得られるが、紙上での
インク組成物の乾燥速度が遅くなり、しかもグリセリン
のべとべと感が紙上に残るので、指触感が悪化する。そ
の場合、トリエチレングリコールモノブチルエーテルな
どの浸透剤を一層多量に添加すれば、グリセリンを紙中
へ浸透させることができ、早く乾燥させ、指触感も向上
させることができるが、にじみが発生してしまう。
【0005】本発明者は、良好な湿潤効果と浸透効果と
を同時に得ることを目標として鋭意研究した結果、ピロ
リドンカルボン酸を用いることにより、プリンタヘッド
の目詰まり防止性を一層向上させながら、しかも、紙上
での乾燥が早く、指触感が良好で、更ににじみも起きな
いインク組成物を得ることに成功した。
【0006】また、本発明者は、前記のインク組成物
を、2液印字方式のインクジェット記録方法に適用する
か、又は予め多価金属塩を付与した記録媒体上に対する
インクジェット記録方法に適用すると良好な効果を得る
ことができることも見出した。
【0007】本発明は、こうした知見に基づくものでも
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、ピロリドンカ
ルボン酸及び/又はその塩と着色剤とを含むことを特徴
とする、水系インクジェット記録用インク組成物によっ
て達成することができる。
【0009】また、本発明は、前記の水系インクジェッ
ト記録用インク組成物を用いることを特徴とする、イン
クジェット記録方法にも関する。
【0010】更にまた、本発明は、多価金属塩又はポリ
アリルアミン若しくはその誘導体を含む反応液と、前記
の水系インクジェット記録用インク組成物とを、記録媒
体に付着させて印字を行うことを特徴とする、インクジ
ェット記録方法にも関する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明によるインク組成物は、ピ
ロリドンカルボン酸、すなわち5−オキソ−2−ピロリ
ジン−カルボン酸、及び/又はその塩を含有する。
【0012】ピロリドンカルボン酸の塩は、カルボキシ
ル基と塩を形成することのできる陽イオンとの塩であれ
ば特に限定されるものではないが、例えば、アルカリ金
属(例えば、ナトリウム、カリウム又はリチウム)の
塩、又はアンモニウム塩であることができる。更には、
ピロリドンカルボン酸の2分子とアルカリ土類金属(例
えば、マグネシウム又はカルシウム)の1分子との塩で
あることもできる。
【0013】ピロリドンカルボン酸又はその塩の含有量
は、インク組成物全体に対して、好ましくは1〜30重
量%、より好ましくは5〜20重量%である。
【0014】本発明のインク組成物は、水系インクジェ
ット記録用インク組成物において従来から使用されてい
る任意の着色剤、すなわち、任意の染料又は任意の顔料
を含むことができる。染料としては、例えば、酸性染
料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、直
接染料、建染染料、可溶性建染染料、及び反応分散染料
を挙げることができる。
【0015】具体的には、直接染料としては、C.I.
ダイレクトレッド2、4、9、23、26、31、3
9、62、63、72、75、76、79、80、8
1、83、84、89、92、95、111、173、
184、207、211、212、214、218、2
21、223、224、225、226、227、23
2、233、240、241、242、243、24
7;C.I.ダイレクトバイオレット7、9、47、4
8、51、66、90、93、94、95、98、10
0、101;C.I.ダイレクトイエロー8、9、1
1、12、27、28、29、33、35、39、4
1、44、50、53、58、59、68、86、8
7、93、95、96、98、100、106、10
8、109、110、130、132、142、14
4、161、163;C.I.ダイレクトブルー1、1
0、15、22、25、55、67、68、71、7
6、77、78、80、84、86、87、90、9
8、106、108、109、151、156、15
8、159、160、168、189、192、19
3、194、199、200、201、202、20
3、207、211、213、214、218、22
5、229、236、237、244、248、24
9、251、252、264、270、280、28
8、289、291;C.I.ダイレクトブラック9、
17、19、22、32、51、56、62、69、7
7、80、91、94、97、108、112、11
3、114、117、118、121、122、12
5、132、146、154、166、168、17
3、199を挙げることができる。
【0016】酸性染料としては、C.I.アシッドレッ
ド35、42、52、57、62、80、82、11
1、114、118、119、127、128、13
1、143、151、154、158、249、25
4、257、261、263、266、289、29
9、301、305、336、337、361、39
6、397;C.I.アシッドバイオレット5、34、
43、47、48、90、103、126;C.I.ア
シッドイエロー17、19、23、25、39、40、
42、44、49、50、61、64、76、79、1
10、127、135、143、151、159、16
9、174、190、195、196、197、19
9、218、219、222、227;C.I.アシッ
ドブルー9、25、40、41、62、72、76、7
8、80、82、92、106、112、113、12
0、127、129、138、143、175、18
1、205、207、220、221、230、23
2、247、258、260、264、271、27
7、278、279、280、288、290、32
6;C.I.アシッドブラック7、24、29、48、
52:1、172を挙げることができる。
【0017】反応性染料としては、C.I.リアクティ
ブレッド3、13、17、19、21、22、23、2
4、29、35、37、40、41、43、45、4
9、55、C.I.リアクティブバイオレット1、3、
4、5、6、7、8、9、16、17、22、23、2
4、26、27、33、34;C.I.リアクティブイ
エロー2、3、13、14、15、17、18、23、
24、25、26、27、29、35、37、41、4
2;C.I.リアクティブブルー2、3、5、8、1
0、13、14、15、17、18、19、21、2
5、26、27、28、29、38;C.I.リアクテ
ィブブラック4、5、8、14、21、23、26、3
1、32、34を挙げることができる。
【0018】塩基性染料としては、C.I.ベーシック
レッド12、13、14、15、18、22、23、2
4、25、27、29、35、36、38、39、4
5、46;C.I.ベーシックバイオレット1、2、
3、7、10、15、16、20、21、25、27、
28、35、37、39、40、48;C.I.ベーシ
ックイエロー1、2、4、11、13、14、15、1
9、21、23、24、25、28、29、32、3
6、39、40;C.I.ベーシックブルー1、3、
5、7、9、22、26、41、45、46、47、5
4、57、60、62、65、66、69、71;C.
I.ベーシックブラック8を挙げることができる。
【0019】顔料としては、有機顔料又は無機顔料、例
えば、インクジェット記録用インク組成物において従来
から使用されている有機顔料又は無機顔料を用いること
ができる。無機顔料としては、酸化チタン及び酸化鉄
や、コンタクト法、ファーネスト法、又はサーマル法な
どの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを
利用することができる。
【0020】また、有機顔料としては、アゾ顔料(例え
ば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、又は
キレートアゾ顔料)、多環式顔料(例えば、フタロシア
ニン顔料、ペリレン顔料、ベリノン顔料、アントラキノ
ン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオイ
ンジゴ顔料、イソインドリノン顔料、又はキノフタロン
顔料)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレー
ト、又は酸性染料型キレート)、ニトロ顔料、ニトロソ
顔料、又はアニリンブラックなどを利用することができ
る。これらの顔料のうち、水との親和性が良好な顔料を
用いるのが好ましい。
【0021】より具体的には、黒色インク用顔料とし
て、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、ア
セチレンブラック、若しくはチャンネルブラック等のカ
ーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、
又は銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック
11)、若しくは酸化チタン等の金属類、アニリンブラ
ック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料を
挙げることができる。
【0022】更に、カラーインク用顔料としてはC.
I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、
3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、1
7、23、24、34、35、37、42(黄色酸化
鉄)、53、55、74、81、83(ジスアゾイエロ
ーHR)、95、97、98、100、101、10
4、108、109、110、117、120、13
8、153、154;C.I.ピグメントレッド1、
2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカ
ーレット)、23、31、38、48:2(パーマネン
トレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッ
ド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B
(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(M
n))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブ
リリアントカーミン6B)、60:1、63:1、6
3:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、8
3、88、92、101(べんがら)、104、10
5、106、108(カドミウムレッド)、112、1
14、122(キナクリドンマゼンタ)、123、14
6、149、166、168、170、172、17
7、178、179、185、190、193、20
9、219;又はC.I.ピグメントブルー1、2、1
5(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、
15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、1
5:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、
56、60、63;等を使用することができる。
【0023】前記顔料の粒径は、特に限定されるもので
はないが、平均粒径として、好ましくは25μm以下、
より好ましくは1μm以下である。平均粒径が25μm
以下の顔料を用いることにより、目詰まりの発生を抑制
することができ、一層充分な吐出安定性を実現すること
ができる。
【0024】前記の着色剤を1種類で用いるか、又は2
種以上を適宜組合せて用いることができる。
【0025】前記着色剤の含有量は、インク組成物全体
に対して、好ましくは0.5〜25重量%、より好まし
くは2〜15重量%である。
【0026】本発明によるインク組成物は、場合によ
り、従来公知の湿潤剤を含有することができる。湿潤剤
としては、例えば、水溶性多価アルコール類、特には、
炭素数2〜10の2価〜5価アルコール類;含窒素炭化
水素溶媒、例えば、ホルムアミド類、イミダゾリジノン
類、ピロリドン類、あるいはアミン類;含硫黄炭化水素
溶媒を挙げることができ、それらの湿潤剤を1種又はそ
れ以上組み合わせて用いることができる。水溶性多価ア
ルコールとしては、例えば、炭素数3〜10の2価〜3
価アルコール、例えば、グリセリン、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,
2,6−ヘキサントリオールの1種又はそれ以上を組合
せて用いることができる。
【0027】これらの湿潤剤を、インク組成物全体に対
して、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1〜3
重量%の量で含有させることにより、目詰まり防止性、
あるいは吐出安定性を確保することができる。しかし、
含有量が多すぎると乾燥不良となることがあるので注意
が必要である。
【0028】本発明によるインク組成物は、場合によ
り、従来公知の浸透剤を含有することができる。浸透剤
としては、例えば、前記インク組成物中で臨界ミセル濃
度(cmc)以下の界面活性剤、1価アルコール、又は
多価アルコール誘導体を用いることができる。
【0029】前記の界面活性剤としては、陰イオン性、
陽イオン性、両性、及び/又は非イオン性のいずれをも
用いることが可能である。
【0030】陰イオン性界面活性剤としては、例えば、
アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン
酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N
−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリ
ン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸
塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラ
ウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール
型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルア
リールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチ
ルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸
塩、及び、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ−4−ビニ
ルピリジン誘導体などを挙げることができる。
【0031】両性界面活性剤としては、例えば、ラウリ
ルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カ
ルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウ
ムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミ
ノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシ
ンその他イミダゾリン誘導体などを挙げることができ
る。
【0032】さらに、非イオン性界面活性剤としては、
例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、
ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオ
キシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエ
チレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリル
エーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリ
オキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系、
ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエ
チレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステ
アリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタン
モノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビ
タンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエー
ト、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル
系、又は式(I):
【0033】
【化1】
【0034】(ここで、R11、R12、R13、及び
14はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基を
表し、n及びmはそれらの和が0〜30となる整数であ
る)で表されるアセチレングリコール系界面活性剤、例
えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−
4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−
3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−
3オール(例えば、日信化学のサーフィノール104、
82、465、485、TGなど)などがある。中で
も、泡立ち、又はノズル吐出の信頼性の良好な非イオン
系界面活性剤が好ましく、特に、エチレンオキサイド又
はプロピレンオキサイドを付加した界面活性剤、あるい
は、アセチレングリコールがより好ましい。
【0035】1価アルコールとしては、特に炭素数1〜
4の1価アルコール、例えば、メタノール、エタノー
ル、n−プロパノール、i−プロパノール、又はn−ブ
タノールなどを用いることができる。
【0036】また、多価アルコール誘導体としては、特
には、炭素数2〜6の2価〜5価アルコールと炭素数1
〜4の低級アルコールとの完全又は部分エーテルを用い
ることができる。ここで多価アルコール誘導体とは、少
なくとも1個のヒドロキシル基がエーテル化されたアル
コール誘導体であり、エーテル化されたヒドロキシル基
を含まない多価アルコールそれ自体を意味するものでは
ない。前記のエーテルとして好ましい多価アルコール低
級アルキルエーテルは、一般式(II): R21O−〔CH−CH(R23)−O〕−R22 (II) 〔式中、R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原
子、又は炭素数3〜6のアルキル基(好ましくはブチル
基)であり、R23は水素原子又は炭素数1〜4の低級
アルキル基、好ましくは水素原子、メチル基又はエチル
基であり、tは1〜8、好ましくは1〜4の整数である
が、但し、R21及びR22の少なくとも一方は炭素数
3〜6のアルキル基(好ましくはブチル基)である〕で
表される化合物である。
【0037】これらの多価アルコール低級アルキルエー
テルとしては、例えば、モノ、ジ若しくはトリエチレン
グリコール−モノ若しくはジ−C3−6−アルキルエー
テル、モノ、ジ若しくはトリプロピレングリコール−モ
ノ若しくはジ−C3−6−アルキルエーテル、より好ま
しくはトリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジ
エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレング
リコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノメチルエーテル、又はプロピレングリコールモノブチ
ルエーテルなどを挙げることができ、もっとも好ましい
ものはトリエチレングリコールモノブチルエーテルであ
る。
【0038】本発明によるインク組成物は、場合によ
り、従来公知の樹脂エマルジョンを併用することができ
る。この樹脂エマルジョンは、連続相である水と分散相
である樹脂成分(特に、熱可塑性樹脂成分)とからな
る。
【0039】本発明の好ましい態様によれば、この樹脂
成分は、親水性部分と、疎水性部分とを合わせもつ重合
体であるのが好ましい。また、これらの樹脂成分の粒子
径はエマルジョンを形成する限り特に限定されないが、
好ましくは150nm程度以下、より好ましくは5〜1
00nm程度である。
【0040】前記の樹脂エマルジョンにおける樹脂成分
(特に、熱可塑性樹脂成分)としては、インクジェット
記録用インク組成物において従来から使用されている樹
脂エマルジョンと同様の樹脂成分を使用することがで
き、具体的には、アクリル系重合体、例えば、ポリアク
リル酸エステル若しくはその共重合体、ポリメタクリル
酸エステル若しくはその共重合体、ポリアクリロニトリ
ル若しくはその共重合体、ポリシアノアクリレート、ポ
リアクリルアミド、ポリアクリル酸、又はポリメタクリ
ル酸;ポリオレフィン系重合体、例えば、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、
ポリスチレン若しくはそれらの共重合体、石油樹脂、ク
マロン・インデン樹脂、又はテルペン樹脂;酢酸ビニル
・ビニルアルコール系重合体、例えば、ポリ酢酸ビニル
若しくはその共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルアセタール、又はポリビニルエーテル;含ハロゲン
系重合体、例えば、ポリ塩化ビニル若しくはその共重合
体、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、又はフッ素ゴ
ム;含窒素ビニル系重合体、例えば、ポリビニルカルバ
ゾール、ポリビニルピロリドン若しくはその共重合体、
ポリビニルピリジン、又はポリビニルイミダゾール;ジ
エン系重合体、例えば、ポリブタジエン若しくはその共
重合体、ポリクロロプレン、又はポリイソプレン(ブチ
ルゴム);あるいはその他の開環重合型樹脂、縮合重合
型樹脂、又は天然高分子樹脂等を用いることができる。
【0041】これらの樹脂エマルジョンは、樹脂粒子を
場合により界面活性剤と共に水に混合することによって
調製することができる。例えば、アクリル系樹脂又はス
チレン−アクリル系樹脂のエマルジョンは、(メタ)ア
クリル酸エステル又はスチレンと、(メタ)アクリル酸
エステルと、場合により(メタ)アクリル酸と、界面活
性剤とを水に混合することによって得ることができる。
樹脂成分と界面活性剤との混合の割合は、通常10:1
〜5:1程度とするのが好ましい。界面活性剤の使用量
が前記範囲に満たない場合には、エマルジョンが形成さ
れにくく、また前記範囲を越える場合には、インクの耐
水性が低下したり、浸透性が悪化する傾向があるので好
ましくない。
【0042】界面活性剤は特に限定されないが、好まし
い例としては、アニオン系界面活性剤(例えば、ドデシ
ルベンザンスルホン酸ナトリウム、ラウルリル酸ナトリ
ウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェー
トのアンモニウム塩など)、ノニオン系界面活性剤(例
えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソル
ビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフ
ェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、
ポリオキシエチレンアルキルアミドなど)を挙げること
ができ、これらを単独又は二種以上混合して用いること
ができる。
【0043】また、分散相成分としての樹脂と水との割
合は、樹脂100重量部に対して水を好ましくは60〜
400重量部、より好ましくは100〜200重量部の
範囲が適当である。
【0044】このような樹脂エマルジョンとして、公知
の樹脂エマルジョンを用いることも可能であり、例えば
特公昭62−1426号、特開平3−56573号、特
開平3−79678号、特開平3−160068号、又
は特開平4−18462号各公報などに記載の樹脂エマ
ルジョンをそのまま用いることができる。
【0045】また、市販の樹脂エマルジョンを利用する
ことも可能であり、例えばマイクロジェルE−100
2、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジ
ョン;日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001
(アクリル系樹脂エマルジョン;大日本インキ化学工業
株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリ
ル系樹脂エマルジョン;大日本インキ化学工業株式会社
製)、SAE1014(スチレン−アクリル系樹脂エマ
ルジョン;日本ゼオン株式会社製)、又はサイビノール
SK−200(アクリル系樹脂エマルジョン;サイデン
化学株式会社製)などを挙げることができる。
【0046】また、本発明によるインク組成物は、必要
に応じて、その他の配合成分として、リン酸二水素カリ
ウム又はリン酸水素二ナトリウム等のpH調整剤、防カ
ビ、防腐又は防錆等の目的で安息香酸、ジクロロフェ
ン、ヘキサクロロフェン、ソルビン酸、p−ヒドロキシ
安息香酸エステル、エチレンジアミン四酢酸(EDT
A)、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ベゾチアゾリ
ン−3−オン〔製品名:プロキセルXLII(ICI
製)〕、又は3,4−イソチアゾリン−3−オン等を含
むことができる。更にノズル乾燥防止の目的で、尿素、
チオ尿素、又はエチレン尿素等を添加することができ
る。
【0047】本発明によるインク組成物の諸物性は適宜
制御することができるが、本発明の好ましい態様によれ
ば、インク組成物の粘度は、好ましくは25mPa・秒
以下、より好ましくは10mPa・秒以下(25℃)で
ある。粘度がこの範囲内にあると、インク組成物をイン
ク吐出ヘッドから安定に吐出させることができる。ま
た、インクの表面張力は適宜制御することができるが、
30〜50mN/m(25℃)であることが好ましい。
【0048】本発明のインクジェット記録用インク組成
物は、前記の各配合成分を任意の順序で適宜混合し、溶
解(又は分散)させた後、不純物などを濾過して除去す
ることにより、調製することができる。また、着色剤を
適宜選択し、更に必要により、選択された前記着色剤と
の組み合わせで他の配合成分を適宜選択し、カラーイン
クジェット記録用の本発明によるイエローインク組成
物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、ブラ
ックインク組成物、ブルーインク組成物、グリーンイン
ク組成物、又はレッドインク組成物を調製することがで
きる。
【0049】本発明による前記のインク組成物を、慣用
のインクカートリッジに収納して、慣用のインクジェッ
ト記録装置に挿入し、インクジェット記録方法を実施す
ることができる。また、イエローインク組成物、マゼン
タインク組成物、シアンインク組成物、ブラックインク
組成物、ブルーインク組成物、グリーンインク組成物、
又はレッドインク組成物の少なくとも1種(好ましくは
前記各色のインク組成物全て)を本発明によるインク組
成物として、マゼンタインク組成物を収納する前記のイ
ンクカートリッジと、イエローインク組成物を収納する
インクカートリッジと、シアンインク組成物を収納する
インクカートリッジと、場合によりブラックインク組成
物を収納するインクカートリッジとを組み合わせて挿入
するか、あるいはマゼンタインク組成物と、イエローイ
ンク組成物と、シアンインク組成物と、場合によりブラ
ックインク組成物とを、それぞれ別々に、仕切られた画
分中に収納するインクカートリッジを挿入したカラーイ
ンクジェット記録装置を用いて、カラーインクジェット
記録方法を実施することができる。
【0050】本発明によるインク組成物は、任意のイン
クジェット記録方法に、有利に用いることができる。
【0051】本発明による前記のインク組成物は、遊離
カルボン酸(すなわち、ピロリドンカルボン酸)を含有
しているので、2液印字方式のインクジェット記録方法
に、特に好ましく適用することができる。2液印字方式
は、例えば、特開平9−207424号公報に記載され
ているように、多価金属塩又はポリアミン若しくはその
誘導体を含有する反応液と、着色剤含有インク組成物と
を、別々のプリンタヘッドから記録媒体に印字し、記録
媒体上で両者を一緒にする方法である。
【0052】多価金属塩を形成する多価金属イオンとし
ては、例えば、カルシウムイオン(Ca2+)、銅イオ
ン(Cu2+)、ニッケルイオン(Ni2+)、マグネ
シウムイオン(Mg2+)、亜鉛イオン(Zn2+)、
又はバリウムイオン(Ba2+)などの2価金属イオ
ン、アルミニウムイオン(Al3+)、鉄イオン(Fe
3+)、又はクロムイオン(Cr3+)などの3価金属
イオンを挙げることができる。Ca2+又はMg2+
含む多価金属塩が好ましい。
【0053】前記の多価金属イオンと多価金属塩を形成
する陰イオンとしては、例えば、ハロゲンイオン、例え
ば塩素イオン(Cl)、ヨウ素イオン(I)、若し
くは臭素イオン(Br)、又は塩素酸イオン(ClO
)を挙げることができる。更に、陰イオンとして
は、硝酸イオン(NO )又はカルボン酸イオンを挙
げることができ、カルボン酸イオンとしては、例えば、
場合によりヒドロキシ基で置換されている炭素数1〜6
の飽和脂肪酸モノカルボン酸(好ましくはギ酸、酢酸、
又は乳酸)又は炭素数7〜11の炭素環式モノカルボン
酸(好ましくは安息香酸又はナフトエ酸)から誘導され
るイオンを挙げることができる。
【0054】本発明による2液印字方式のインクジェッ
ト記録方法に使用するポリアリルアミン及びポリアリル
アミン誘導体としては、水溶性であり、水中でプラスに
荷電するカチオン系高分子化合物であれば特に限定され
るものではない。例えば、式(III):
【0055】
【化2】
【0056】(式中、rは2以上の整数である)で表さ
れる化合物、式(IV):
【0057】
【化3】
【0058】(式中、sは2以上の整数であり、X
は陰イオンである)で表される化合物、又は式(V):
【0059】
【化4】
【0060】(式中、tは2以上の整数であり、X
は陰イオンである)で表される化合物を用いることがで
きる。前記の陰イオンX 又はX としては、例え
ば、ハロゲンイオン(例えば、塩素イオン、臭素イオ
ン、又はヨウ素イオン)、硝酸イオン、リン酸イオン、
硫酸イオン、又は酢酸イオン等を挙げることができる。
更に、アリルアミンとジアリルアミンとが共重合したポ
リマーやジアリルジメチルアンモニウムクロライドと二
酸化硫黄との共重合体を使用することができる。
【0061】本発明による前記のインク組成物は、多価
金属塩を表面上に担持して含む記録媒体を用いるインク
ジェット記録方法にも、特に好ましく適用することがで
きる。多価金属塩を表面上に担持して含む記録媒体は、
前記の多価金属塩又はポリアミン若しくはその誘導体を
含有する反応液で記録媒体の被印刷表面全体を処理して
調製することができる。なお、多価金属塩又はポリアリ
ルアミン若しくはその誘導体を含有する反応液は着色剤
を含んでいてもよい。
【0062】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。
【0063】(実施例1)以下の配合成分からなるイン
ク組成物を調製した。
【0064】 (1)ブラックインク1 カーボンブラックMA7(三菱化成株式会社製) 5重量% スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 1重量% ピロリドンカルボン酸 15重量% 2−ピロリドン 2重量% 水酸化カリウム 0.1重量% 純水 残量 (2)ブラックインク2 カーボンブラックRaven1080 5重量% (コロンビヤン・カーボン株式会社製) スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 1重量% ピロリドンカルボン酸アンモニウム塩 10重量% マルチトール 5重量% エタノール 4重量% 純水 残量 (3)カラーインク1 顔料 シアンインク C.I.ピグメントブルー15:3 2重量% マゼンタインク C.I.ピグメントレッド122 3重量% イエローインク C.I.ピグメントイエロー74 2重量% (4)溶媒体 スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 0.5重量% ピロリドンカルボン酸ナトリウム塩 15重量% エチレングリコール 15重量% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 3重量% Proxel−XLII(ICI社製−防腐剤) 0.3重量% 純水 残量 (比較例1)以下の配合成分からなるインク組成物を調
製した。
【0065】 (1)ブラックインク3 カーボンブラックMA7(三菱化成株式会社製) 5重量% スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 1重量% グリセリン 15重量% 2−ピロリドン 2重量% 水酸化カリウム 0.1重量% 純水 残量 (2)ブラックインク4 カーボンブラックRaven1080 5重量% (コロンビヤン・カーボン株式会社製) スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 1重量% グリセリン 10重量% マルチトール 5重量% エタノール 4重量% 純水 残量 《反応液》以下の配合成分からなる反応液を調製した。
【0066】 (1)反応液1 硝酸マグネシウム・六水和物 25重量% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10重量% グリセリン 5重量% 純水 残量 (2)反応液2 ポリアリルアミンPAA−HCl−3L 20重量% (樹脂成分50%、日東紡績社製) ジエチレングリコール 15重量% 純水 残量 (物性評価) (1)目詰まり特性 前記ブラックインク1〜3及びカラーインク1又は2を
用いて調製したインク組成物をインクジェットプリンタ
(HG−5130;セイコーエプソン株式会社製)に充
填し、10分間連続して印字した後、印字を停止した。
ヘッドにキャップをせずに、プリンタを40℃の雰囲気
温度及び25%の相対湿度の環境下に2週間放置した。
放置期間終了後、ノズルのクリーニング操作を行い、そ
の後で印字を行った。カスレや抜けなどの不良印字がな
く、初期と同等の印字が可能となるまでのクリーニング
操作の回数により、そのインクの目詰まり特性を3段階
で評価した。その結果を表1に示す。3段階評価(○、
△及び×)は以下のとおりである。 ○(良好):0〜5回のクリーニング操作で初期と同等
の印字が得られる。 △(適):6〜10回のクリーニング操作で初期と同等
の印字が得られる。 ×(不適):11回以上のクリーニング操作でも初期と
同等の印字は不可能。
【0067】
【表1】
【0068】(2)指触性 インクジェットプリンタ(MJ−700V2C;セイコ
ーエプソン株式会社製)を用いて、普通紙〔Xerox
P紙(登録商標);ゼロックス株式会社製〕に、前記
反応液1及び2を100%dutyで印刷した後、ブラ
ックインク1〜3及びカラーインク1で文字を印刷し
た。反応液とインクの吐出量は0.05μg/ドットで
印刷はいずれも360ドット/インチの密度であった。
印字物を5分間乾燥させた後、その印字物を25℃及び
50%の相対湿度の環境下で指で擦り、印字の汚れの発
生の有無を目視で観察し、3段階で評価した。その結果
を表2に示す。3段階評価(○、△及び×)は以下のと
おりである。 ○(良好):印字の汚れが観察されない。 △(適):印字の汚れが若干発生するが、文字の判別は
可能。 ×(不適):印字の汚れで文字の判別ができない。
【0069】(3)印字品質(にじみ) 前項(2)と同様の方法で、4種の普通紙〔(1)Xe
rox P紙(登録商標);ゼロックス株式会社製、
(2)Ricopy 6000紙(登録商標);リコー
株式会社製、(3)Xerox 4024紙(登録商
標);ゼロックス株式会社製、(4)Neenah B
ond紙(登録商標);キンバリークラーク社製〕の各
紙に印字し、印字のにじみの発生の有無を調べ、3段階
で評価した。その結果を表2に示す。3段階評価(○、
△及び×)は以下のとおりである。 ○(良好):にじみがなく鮮明な印字が得られる。 △(適):ひげ状ににじみが発生する紙がある。 ×(不適):文字の輪郭がはっきりしないほどにじみが
発生する紙がある。
【0070】
【表2】
【0071】
【発明の効果】本発明のインク組成物は、ピロリドンカ
ルボン酸又はその塩を含有しているので、プリンタヘッ
ドの目詰まり防止性(すなわち、吐出安定性)を一層向
上させながら、しかも、紙上での乾燥が早く、指触感が
良好で、更ににじみも起きないという優れた特性を有す
る。
【0072】本発明の水性インク組成物を、多価金属塩
又はポリアリルアミン若しくはその誘導体を含有する反
応液と組合せて使用すると、印字のにじみや印字ムラが
抑えられ、更にカラー印刷においてカラーブリードを有
効に防止することができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 2H086 BA02 BA53 BA55 BA59 4J039 AD23 BA10 BA11 BA17 BA29 BA30 BA31 BA32 BA36 BA37 BA38 BC07 BC19 BC39 BC50 BC60 BE01 BE02 BE33 CA03 CA06 EA10 EA41 EA44 EA47 GA24

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピロリドンカルボン酸及び/又はその塩
    と着色剤とを含むことを特徴とする、水系インクジェッ
    ト記録用インク組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の水系インクジェット記
    録用インク組成物を用いることを特徴とする、インクジ
    ェット記録方法。
  3. 【請求項3】 多価金属塩又はポリアリルアミン若しく
    はその誘導体を含む反応液と、請求項1に記載のインク
    組成物とを、記録媒体に付着させて印字を行うことを特
    徴とする、インクジェット記録方法。
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