JP3693212B2 - カラーインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の背景】
発明の分野
本発明は、記録媒体に二種のインク組成物を付着させて印字を行うインクジェット記録方法およびそれに用いられるインクセットに関する。
【0002】
背景技術
インクジェット記録方法は、インク組成物の小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度、高品位な画像を、高速で印刷可能であるという特徴を有する。通常インクジェット記録に使用されるインク組成物は、水を主成分とし、これに着色成分および目詰まり防止等の目的でグリセリン等の湿潤剤を含有したものが一般的である。
【0003】
一方、インクジェット記録方法として、最近新たに、多価金属塩溶液を記録媒体に適用した後、少なくとも一つのカルボキシル基を有する染料を含むインク組成物を適用する方法が提案されている(例えば、特開平5−202328号公報)。この方法においては、多価金属イオンと染料とから不溶性複合体が形成され、この複合体の存在により、耐水性がありかつカラーブリードがない高品位の画像を得ることができるとされている。
【0004】
また、pH感応性の染料を含む第一のインク組成物と、このpH感応性の染料が析出するようなpH値を有する第二のインク組成物を用いることが提案されている(特開平5−208548号公報)。この方法によれば、このような二つのインク組成物を用いることで、耐水性がありかつカラーブリードがない高品位の画像を得ることができるとされている。
【0005】
またさらに、少なくとも浸透性を付与する界面活性剤または浸透性溶剤および塩を含有するカラーインクと、この塩との作用により増粘または凝集するブラックインクとを組合せて使用することにより、画像濃度が高くかつカラーブリードがない高品位のカラー画像が得られるという提案もなされている(特開平6−106735号公報)。すなわち塩を含んだ第一の液と、インク組成物との二液を印字することで、良好な画像が得られるとするインクジェット記録方法が提案されている。
【0006】
また、その他にも二液を印字するインクジェット記録方法が提案されている(例えば、特開平3−240557号公報、特開平3−240558号公報)。
【0007】
【発明の概要】
本発明者等は、今般、このような二液を印字する記録方法において、特定組成のインク組成物を組み合わせて用いることで、にじみ、特にカラー間の混色にじみの少ない良好なカラー画像が実現できるとの知見を得た。本発明はかかる知見に基づくものである。
【0008】
よって、本発明は、良好なカラー画像が形成できるインクセットの提供をその目的としている。
【0009】
また、本発明は、このインクセットを用いた、良好なカラー画像を実現する記録方法の提供をその目的としている。
【0010】
そして、本発明の第一の態様によるインクセットは、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、およびシアンインク組成物を含んでなるインクセットであって、
マゼンタインク組成物およびシアンインク組成物が樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドを含んでなるものであり、かつ
イエローインク組成物が、マゼンタインク組成物およびシアンインク組成物中の着色剤および樹脂エマルジョンの分散および/または溶解状態を破壊しうる反応剤を含んでなるものである。
【0011】
また、本発明の第二の態様によるインクセットは、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、およびシアンインク組成物を含んでなるインクセットであって、
シアンインク組成物が樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドを含んでなるものであり、かつ
イエローインク組成物およびマゼンタインク組成物が、シアンインク組成物中の着色剤および樹脂エマルジョンの分散および/または溶解状態を破壊しうる反応剤を含んでなるものである。
【0012】
さらに、本発明の第三の態様によるインクセットは、イエローインク組成物、色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物、および色濃度の異なる二種のシアンインク組成物を含んでなるインクセットであって、
色濃度の薄い方のマゼンタインクおよび色濃度の薄い方のシアンインク組成物が、色濃度の濃い方のマゼンタインク組成物および色濃度の濃い方のシアンインク組成物中の着色剤の分散および/または溶解状態を破壊しうる反応剤を含んでなるものである。
【0013】
さらに、本発明の第四の態様によるインクセットは、イエローインク組成物、色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物、および色濃度の異なる二種のシアンインク組成物を含んでなるインクセットであって、
イエローインク組成物ならびに色濃度の薄い方のマゼンタインクおよび色濃度の薄い方のシアンインク組成物が、色濃度の濃い方のマゼンタインク組成物および色濃度の濃い方のシアンインク組成物中の着色剤の分散および/または溶解状態を破壊しうる反応剤を含んでなるものである。
【0014】
本発明の第五の態様によるインクセットは、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、およびブラックインク組成物を含んでなるインクセットであって、
前記ブラックインク組成物が樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドを含んでなるものであり、かつ
前記イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、およびシアンインク組成物が、前記ブラックインク組成物の中の着色剤および樹脂エマルジョンの分散および/または溶解状態を破壊しうる反応剤を含んでなるものである。
【0015】
また、本発明による記録方法は、上記の本発明によるインクセットを用いて印字を行うものである。
【0016】
【発明の具体的説明】
第一および第二の態様によるインクセット
本発明の第一および第二の態様によるインクセットは、基本的に、シアンインク組成物と、マゼンタインク組成物と、イエローインク組成物とからなる。さらに場合によって、ブラックインク組成物を含んでなる。本発明によるインクセットを構成するインク組成物は、着色剤と、水と、有機溶媒とを少なくとも含んでなる。
【0017】
そして本発明の第一の態様によるインクセットにおいては、マゼンタインク組成物およびシアンインク組成物は樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドを含んでなる。また、ブラックインク組成物がインクセットに含まれる場合には、このブラックインク組成物も樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドを含んでなるのが好ましい。そしてさらにこの態様においては、イエローインク組成物が、マゼンタインク組成物およびシアンインク組成物中の着色剤、ならびに樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドの分散および/または溶解状態を破壊しうる反応剤を含んでなる。
【0018】
また、本発明の第二の態様によるインクセットにおいては、シアンインク組成物は樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドを含んでなる。またブラックインク組成物が含まれる場合は、このブラックインク組成物も樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドを含んでなるのが好ましい。そしてさらにこの態様においては、イエローインク組成物およびマゼンタインク組成物が、シアンインク組成物中の着色剤、ならびに樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドの分散および/または溶解状態を破壊しうる反応剤を含んでなる。
【0019】
本発明によるインクセットによれば、良好なカラー画像を得ることができる。カラー画像の品質を劣化させる大きな原因は、異なる色の境界領域での不均一な色混じり、すなわちカラーブリードである。本発明によるインク組成物によれば、カラーブリードを有効に防止できる。すなわち、反応剤を含んだインク組成物と、この反応剤によって分散および/または溶解状態が崩壊される着色剤および樹脂エマルジョンを含むインク組成物とが記録媒体上で接触すると、この着色剤および樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドが凝集し、それ以降インク組成物の流れ込みによる色混じりが抑制される。
【0020】
本発明によるインクセットを構成する反応剤を含んでなるインク組成物(すなわち、本発明の第一の態様においてはイエローインク組成物、本発明の第二の態様においてはイエローインク組成物およびマゼンタインク組成物)は、着色剤と、水と、水溶性有機溶媒と、反応剤とを基本的に含んでなる。
【0021】
本発明において反応剤とは、上記の通り、反応剤を含まないインク組成物中の着色剤ならびに樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドの分散および/または溶解状態を破壊しうるものであれば限定されないが、その好ましい具体例としては、多価金属塩、ポリアリルアミン、ポリアリルアミン誘導体などが挙げられる。
【0022】
反応剤が多価金属塩である場合、その好ましい例としては、二価以上の多価金属イオンとこれら多価金属イオンに結合する陰イオンとから構成され、水に可溶な塩が挙げられる。多価金属イオンの具体例としては、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Ba2+などの二価金属イオンAl3+、Fe3+、Cr3+などの三価金属イオンがあげられる。陰イオンとしては、Cl-、NO3 -、I-、Br-、ClO3 -およびCH3COO-などがあげられる。
【0023】
とりわけ、Ca2+またはMg2+より構成される金属塩は、第一液のpH、得られる印刷物の品質という二つの観点から、好適な結果を与える。
【0024】
これら多価金属塩のインク組成物中における濃度は印字品質、目詰まり防止の効果が得られる範囲で適宜決定されてよいが、好ましくは0.1〜40重量%程度であり、より好ましくは5〜25重量%程度である。
【0025】
本発明の好ましい態様においては、多価金属塩は、二価以上の多価金属イオンと、これら多価金属イオンに結合する硝酸イオンまたはカルボン酸イオンとから構成され、水に可溶なものである。
【0026】
ここで、カルボン酸イオンは、好ましくは炭素数1〜6の飽和脂肪族モノカルボン酸または炭素数7〜11の炭素環式モノカルボン酸から誘導されるものである。炭素数1〜6の飽和脂肪族モノカルボン酸の好ましい例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ヘキサン酸などが挙げられる。特に蟻酸、酢酸が好ましい。
【0027】
このモノカルボン酸の飽和脂肪族炭化水素基上の水素原子は水酸基で置換されていてもよく、そのようなカルボン酸の好ましい例としては、乳酸が挙げられる。
【0028】
さらに、炭素数6〜10の炭素環式モノカルボン酸の好ましい例としては、安息香酸、ナフトエ酸等が挙げられ、より好ましくは安息香酸である。
【0029】
反応剤として好ましく用いられるポリアリルアミン及びポリアリルアミン誘導体は水に可溶で、水中でプラスに荷電するカチオン系高分子である。例えば、下記の式(a)、式(b)、および式(c)が挙げられる。
【0030】
【化1】
(式中、X-は塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硝酸イオン、燐酸イオン、硫酸イオン、酢酸イオン等を表す)
これら以外にもアリルアミンとジアリルアミンが共重合したポリマーやジアリルメチルアンモニウムクロライドと二酸化硫黄との共重合体を使用することもできる。
【0031】
これらポリアリルアミン及びポリアリルアミン誘導体の含有量は、インク組成物の0.5〜10重量%であることが好ましい。
【0032】
本発明によるインクセットを構成する反応剤を含むインク組成物の着色剤としては、上記反応剤によって凝集しないものでなければならないものであれば、種々の着色剤を利用することができる。本発明の好ましい態様によれば、着色剤として顔料または染料を用いることができる。さらに本発明の好ましい態様によれば、これらの顔料は分散剤または界面活性剤で水性媒体中に分散させて得られた顔料分散液としてインクに添加されるのが好ましい。好ましい分散剤としては、顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤、例えば高分子分散剤を使用することができる。
【0033】
分散剤の好ましい例としては、カチオン性分散剤、アニオン性分散剤、ノニオン性分散剤などが挙げられる。アニオン性分散剤の例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体が挙げられる。さらにアニオン性界面活性剤の例としては、ドデシルベンゼルスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩などが挙げられ、ノニオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられ、これらを単独または二種以上を混合して用いることができる。また、ノニオン性界面活性剤として市販のものを用いることも可能であり、その例としてはアセチレングリコール系界面活性剤としてのオルフィンYならびにサーフィノール82、104、440、465、485、およびTG(いずれもAir Products and Chemicals Inc. 製))、ソルスパース27000(ゼネカ株式会社製)が挙げられる。
【0034】
本発明の好ましい態様によれば、この反応剤を含むインク組成物の分散剤はノニオン性分散剤であることが好ましい。とりわけ反応剤が多価金属塩である場合、ノニオン性分散剤の利用が好ましい。このノニオン性分散剤の利用によってインク組成物の保存安定性を改善できるとの利点が得られる。また、誘電体薄膜素子を用いた記録ヘッドによるインクジェット記録方法において、良好な連続印字が行える。
【0035】
更に本発明の好ましい態様によれば、反応剤を含むインク組成物の分散剤がノニオン性分散剤である場合、反応剤を含まないインク組成物は分散剤としてアニオン性分散剤を含んでなることが好ましい。
【0036】
有機溶媒の具体例としては高沸点有機溶媒が挙げられる。高沸点有機溶媒は、インク組成物の乾燥を防ぐことによりヘッドの目詰まりを防止する。高沸点有機溶媒の好ましい例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類、尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミンなどがあげられる。
【0037】
高沸点有機溶媒の添加量は特に限定されないが、好ましくは0.5〜40重量%程度であり、より好ましくは2〜20重量%程度である。
【0038】
また、反応剤を含むインク組成物は、有機溶媒として低沸点有機溶剤を含んでいてもよい。低沸点有機溶剤の好ましい例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペンタノールなどがあげられる。特に一価アルコールが好ましい。低沸点有機溶剤は、インクの乾燥時間を短くする効果がある。低沸点有機溶剤の添加量は0.5〜10重量%が好ましく、より好ましくは1.5〜6重量%の範囲である。
【0039】
本発明の好ましい態様によれば、反応剤を含むインク組成物は浸透剤を含んでいてもよい。浸透剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等の各種界面活性剤、メタノール、エタノール、iso−プロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルなどがあげられる。
【0040】
本発明によるインクセットを構成する、樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドを含んでなるインク組成物(すなわち、本発明の第一の態様においてはマゼンタインク組成物およびシアンインク組成物、本発明の第二の態様においてはシアンインク組成物)は、着色剤と、水と、水溶性有機溶媒と、樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドとを基本的に含んでなる。
【0041】
これらインク組成物において用いられる着色剤としては、前記反応剤によってその分散および/または溶解状態を破壊されうるものであれば染料、顔料のいずれであってもよいが、顔料が有利である。
【0042】
染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料、など通常インク組成物、とりわけインクジェット記録に使用される各種染料を使用することができる。
【0043】
顔料としては、特別な制限なしに無機顔料、有機顔料を使用することができる。無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。
【0044】
本発明の好ましい態様によれば、これらの顔料は、分散剤または界面活性剤で水性媒体中に分散させて得られた顔料分散液としてインクに添加されるのが好ましい。好ましい分散剤としては、顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤、例えば高分子分散剤を使用することができる。分散剤の例としては、上記の反応剤を含んだインク組成物について説明したものが挙げられる。
【0045】
上記したように、本発明の好ましい態様によれば、反応剤を含むインク組成物の分散剤がノニオン性分散剤である場合、反応剤を含まないインク組成物は分散剤としてアニオン性分散剤を含んでなることが好ましい。アニオン性分散剤の好ましい例としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体が挙げられる。
【0046】
本発明の好ましい態様によれば、これらの共重合体は重量平均分子量が3.000〜50.000程度であるのが好ましく、より好ましくは5.000〜30.000程度、最も好ましくは7.000〜15.000程度である。
【0047】
分散剤の添加量は、顔料を安定に分散させ、本発明による他の効果を失わない範囲で適宜添加されて良い。本発明の好ましい態様によれば、その使用量は顔料:分散剤として1=0.06〜1:3程度の範囲が好ましく、より好ましくは1:0.125〜1:3程度の範囲である。
【0048】
なお、この顔料分散液に含まれる分散剤および界面活性剤がインク組成物の分散剤および界面活性剤としても機能するであろうことは当業者に明らかであろう。
【0049】
インクへの顔料の添加量は、0.5〜25重量%程度が好ましく、より好ましくは2〜15重量%程度である。
【0050】
インク組成物に含まれる樹脂エマルジョンとは、連続相が水であり、分散相が次のような樹脂成分であるエマルジョンを意味する。分散相の樹脂成分としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、架橋アクリル樹脂、架橋スチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、などがあげられる。
【0051】
本発明の好ましい態様によれば、この樹脂は親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。また、これらの樹脂成分の粒子径はエマルジョンを形成する限り特に限定されないが、150nm程度以下が好ましく、より好ましくは5〜100nm程度である。
【0052】
これらの樹脂エマルジョンは、樹脂モノマーを、場合によって界面活性剤とともに水中で分散重合することによって得ることができる。例えば、アクリル系樹脂またはスチレン−アクリル系樹脂のエマルジョンは、(メタ)アクリル酸エステル、または(メタ)アクリル酸エステルおよびスチレンを、界面活性剤とともに水中で分散重合させることによって得ることができる。樹脂成分と界面活性剤との混合の割合は、通常10:1〜5:1程度とするのが好ましい。界面活性剤の使用量が前記範囲にあることでより良好なインクの耐水性、浸透性が得られる。界面活性剤は特に限定されないが、好ましい例としてはアニオン性界面活性剤(例えばドデシルベンゼルスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩など)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなど)があげられ、これらを単独または二種以上を混合して用いることができる。また、アセチレングリコール(オレフィンY、ならびにサーフィノール82、104、440、465、485およびTG(いずれもAir Products and Chemicals Inc. 製))を用いることも可能である。
【0053】
また、分散相成分としての樹脂と水との割合は、樹脂100重量部に対して水60〜400重量部、好ましくは100〜200の範囲が適当である。
【0054】
このような樹脂エマルジョンとして、公知の樹脂エマルジョンを用いることも可能であり、例えば特公昭62−1426号、特開平3−56573号、特開平3−79678号、特開平3−160068号、特開平4−18462号などに記載の樹脂エマルジョンをそのまま用いることができる。
【0055】
また、市販の樹脂エマルジョンを使用することも可能であり、例えばマイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製)、などがあげられる。
【0056】
本発明の好ましい態様によれば、インク組成物は、樹脂エマルジョンをその樹脂成分がインクの0.1〜40重量%となるよう含有するのが好ましく、より好ましくは1〜25重量%の範囲である。
【0057】
樹脂エマルジョンは、前記反応剤との相互作用により、カラーブリードの発生を防止し、また着色成分の浸透を抑制し、さらに記録媒体への定着を促進する効果を有する。また、樹脂エマルジョンの種類によっては記録媒体上で皮膜を形成し、印刷物の耐擦性をも向上させる効果も有する。
【0058】
また、本発明に用いられるインク組成物は、無機酸化物コロイドを含んでいてもよい。無機酸化物コロイドの好ましい例としては、コロイダルシリカ、アルミナコロイドがあげられる。これらは、一般的には、SiO2、Al203等の超微粒子を水または有機溶媒中に分散したコロイド溶液である。市販されている無機酸化物コロイドとしては、分散媒が水、メタノール、2−プロパノール、n−プロパノール、キシレンなどであり、SiO2、Al203等の粒子の粒径が5〜100nmであるものが一般的である。また、無機酸化物コロイド溶液のpHは中性領域ではなく酸性またはアルカリ性に調製されているものが多い。これは、無機酸化物コロイドの安定分散領域が酸性側かアルカリ性側に存在するためであり、インク組成物に添加する場合には、無機酸化物コロイドの安定分散領域のpHとインクのpHとを考慮して添加する必要がある。
【0059】
インク組成物中の無機酸化物コロイドの添加量は、0.1〜15重量%となるよう添加するのが好ましく、二種以上の添加も可能である。
【0060】
本発明の好ましい態様によれば、樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドを含むインク組成物はアルギン酸誘導体を含んでなるのが好ましい。アルギン酸誘導体の好ましい例としては、アルギン酸アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩)アルギン酸有機塩(例えば、トリエタノールアミン塩)、アルギン酸アンモニウム塩、等が挙げられる。
【0061】
このアルギン酸誘導体のインク組成物への添加量は、好ましくは0.01〜1重量%程度であり、より好ましくは0.05〜0.5重量%程度である。
【0062】
アルギン酸誘導体の添加により良好な画像が得られる理由は確定できないが、反応剤、特に多価金属塩が、インク組成物中のアルギン酸誘導体と反応し、着色剤の分散状態を変化させ、着色剤の凝集および記録媒体への定着が促進されることに起因するものと考えられる。
【0063】
本発明の好ましい態様によれば、樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドを含むインク組成物は有機溶媒を含んでなるのが好ましい。この有機溶媒は、好ましくは低沸点有機溶剤であり、その好ましい例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペンタノールなどがあげられる。特に一価アルコールが好ましい。低沸点有機溶剤は、インクの乾燥時間を短くする効果がある。
【0064】
また、本発明の好ましい態様によれば、樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドを含むインク組成物は、さらに高沸点有機溶媒からなる湿潤剤を含んでなることが好ましい。高沸点有機溶媒剤の好ましい例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類、尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミンなどがあげられる。
【0065】
これら湿潤剤の添加量は、インクの0.5〜40重量%が好ましく、より好ましくは2〜20重量%の範囲である。また、低沸点有機溶剤の添加量はインクの0.5〜10重量%が好ましく、より好ましくは1.5〜6重量%の範囲である。
【0066】
本発明の好ましい態様によれば、樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドを含むインク組成物は糖を含有してなるのが好ましい。糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)および多糖類があげられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシシール、(ソルビット)、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などがあげられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、アルギン酸、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
【0067】
また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式HOCH2(CHOH)nCH2OH(ここで、n=2〜5の整数を表す)で表される)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ糖などがあげられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどがあげられる。
【0068】
これら糖類の含有量は、インクの0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%の範囲が適当である。
【0069】
その他、本発明によるインクセットを構成するインク組成物は、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤、防かび剤等を添加しても良い。
【0070】
第三および第四の態様によるインクセット
また、本発明の第三および第四の態様によるインクセットは、イエローインク組成物、色濃度の異なる二種のマゼンタインク組成物、および色濃度の異なる二種のシアンインク組成物を含んでなるインクセットであり、更に場合によってブラックインク組成物を含んでなる。
【0071】
第三の態様にあっては、色濃度の薄い方のマゼンタインク(場合によって淡色マゼンタインクともいう)および色濃度の薄い方のシアンインク組成物(場合によって淡色シアンインクともいう)に反応剤を含有させる。更に第四の態様にあっては、淡色マゼンタインクおよび淡色シアンインクに加えてイエローインク組成物にも反応剤を含有させる。本発明の第三および第四の態様において、この反応剤は少なくとも色濃度の濃い方のマゼンタインク組成物および色濃度の濃い方のシアンインク組成物、更に場合によってイエローインク組成物およびブラックインク組成物中の着色剤の分散および/または溶解状態を崩壊するものであればよい。
【0072】
好ましい態様によれば、本発明の第三および第四の態様にあっては、反応剤を含まないインク組成物は、樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドを含んでなり、反応剤が、樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドの分散および/または溶解状態を崩壊するものであるのが好ましい。すなわち、第三の態様のインクセットにあっては、イエローインク組成物、色濃度の濃い方のマゼンタインク組成物および色濃度の濃い方のシアンインク組成物、場合によってブラックインク組成物、が樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドを含んでなるものである。また第四の態様のインクセットにあっては、色濃度の濃い方のマゼンタインク組成物および色濃度の濃い方のシアンインク組成物、場合によってブラックインク組成物、が樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドを含んでなる。
【0073】
本発明の第三および第四の態様によるインクセットによれば、第一および第二の態様によるインクセットと同様に、良好なカラー画像を得ることができる。
【0074】
この第三および第四の態様によるインクセットを構成するインク組成物の具体的な組成は、基本的に上記第一および第二の態様によるインクセットを構成するインク組成物の組成と実質的に同様であってよい。色濃度の異なるインク組成物の色濃度の差は、染料濃度の大小により生じさせてもよく、また用いる着色剤の種類を適宜選択することで生じさせてもよい。
【0075】
第五の態様によるインクセット
本発明の第五の態様によるインクセットは、イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、およびブラックインク組成物を含んでなり、ブラックインク組成物が樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドを含んでなるものであり、かつイエローインク組成物、マゼンタインク組成物、およびシアンインク組成物が、ブラックインク組成物の中の着色剤および樹脂エマルジョンの分散および/または溶解状態を破壊しうる反応剤を含んでなるものである。
【0076】
本発明の第五の態様によるインクセットによれば、第一〜第四の態様によるインクセットと同様に、良好なカラー画像を得ることができる。
【0077】
この第五の態様によるインクセットを構成するインク組成物の具体的な組成は、基本的に上記第一および第二の態様によるインクセットを構成するインク組成物の組成と実質的に同様であってよい。
【0078】
インクジェット記録方法
本発明によるインクセットはインク組成物を用いた記録方式に用いられる。インク組成物を用いた記録方式とは、例えば、インクジェット記録方式、ペン等による筆記具による記録方式、その他各種の印字方式が挙げられる。特に本発明によるインク組成物は、インクジェット記録方法に好ましく用いられる。
【0079】
よって本発明の別の態様によれば、本発明によるインクセットを用いたインクジェット記録方法が提供される。インクジェット記録方法において、インク組成物のインクの順序は特に限定されない。すなわち、反応剤を含んだインク組成物が先に記録媒体に印字され、その後反応剤によって凝集する着色剤および樹脂エマルジョンを含んだインク組成物を印字してもよく、またその逆であってもよい。
【0080】
本発明の好ましい態様によれば、反応剤を含んだインク組成物により形成される画素の大きさが、反応剤を含まないインク組成物により形成される画素よりも小さくなるよう、吐出されるインク組成物の液滴のインク量を制御するのが好ましい。より具体的には、反応剤を含んだインク組成物による液滴のインク量を、反応剤を含まないインク組成物による液滴のインク量の30〜100重量%未満とするのが好ましい。このように構成することで、より良好な画像、とりわけにじみの極めて少ない画像、を実現することが出来る。
【0081】
【実施例】
以下本発明を以下の実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるれものではない。
【0082】
以下のインク組成物を常法に従い調製した。すなわち、着色剤成分を分散剤成分とともに分散した後、他の成分を加え混合し、一定以上の大きさの不溶成分を濾過して、インク組成物とした。
【0083】
イエローインク1
C.I.ピグメントイエロー17 2重量%
ソルスパース27000 1重量%
(ノニオン性分散剤、ゼネカ社製)
スクロース 0.7重量%
マルチトール 6.3重量%
グリセリン 10重量%
2‐ピロリドン 2重量%
サーフィノールTG 1重量%
硝酸マグネシウム・六水和物 5重量%
(反応剤)
純水 残量
【0084】
イエローインク2
C.I.アシッドイエロー23 3重量%
ジエチレングリコール 10重量%
サーフィノールTG 1重量%
ポリアリルアミンPAA−10C 30重量%
(反応剤、樹脂成分10%、日東紡績社製)
純水 残量
【0085】
イエローインク3
C.I.ピグメントイエロー74 2重量%
スチレン‐アクリル酸共重合体・アンモニウム塩
(アニオン性分散剤) 1重量%
グランドール PP−1000 5重量%
(大日本インキ(株)製、スチレン‐アクリル系樹脂エマルジョン、樹脂成分45%)
アルミナゾル−200 5重量%
(Al2O3含有量10%、日産化学製)
マルチトール 10重量%
グリセリン 10重量%
2‐ピロリドン 2重量%
サーフィノールTG 1重量%
純水 残量
【0086】
マゼンタインク1
C.I.ピグメントレッド57:1 2重量%
ソルスパース27000 1重量%
(ノニオン性分散剤)
スクロース 10重量%
グリセリン 5重量%
トリエタノールアミン 2重量%
サーフィノールTG 1重量%
塩化カルシウム 8重量%
(反応剤)
純水 残量
【0087】
マゼンタインク2
C.I.ダイレクトレッド9 3重量%
ジエチレングリコール 10重量%
サーフィノールTG 1重量%
ポリアリルアミンPAA−10C 30重量%
(反応剤)
純水 残量
【0088】
マゼンタインク3
C.I.ピグメントレッド122 3重量%
スチレン‐アクリル酸共重合体・アンモニウム塩
(アニオン性分散剤) 1重量%
マイクロジェルE−5002 3.5重量%
(スチレン‐アクリル系樹脂エマルジョン、樹脂成分29.2%、MFT=約80℃ 日本ペイント株式会社製)
スクロース 0.7重量%
マルチトール 6.3重量%
グリセリン 10重量%
2‐ピロリドン 2重量%
サーフィノールTG 1重量%
純水 残量
【0089】
淡色マゼンタインク1
C.I.ピグメントレッド122 0.5重量%
ソルスパース27000 0.3重量%
(ノニオン性分散剤)
ジエチレングリコール 10重量%
サーフィノールTG 1重量%
水酸化アンモニウム 1重量%
硫酸マグネシウム・四水和物 10重量%
(反応剤)
純水 残量
【0090】
シアンインク1
C.I.ダイレクトブルー199 3重量%
スノーテックスS 5重量%
(コロイダルシリカ、SiO2含有量30%、日産化学製)
ジエチレングリコール 10重量%
サーフィノールTG 1重量%
純水 残量
【0091】
シアンインク2
C.I.ダイレクトブルー199 3重量%
ジエチレングリコール 10重量%
サーフィノールTG 1重量%
ダンフィックス723 3重量%
(反応剤、樹脂成分35%、日東紡績社製)
水酸化カリウム 1重量%
純水 残量
【0092】
シアンインク3
C.I.ピグメントブルー15:3 2重量%
スチレン‐アクリル酸共重合体・アンモニウム塩
(アニオン性分散剤) 1重量%
マイクロジェルE−5002 3.5重量%
スクロース 0.7重量%
マルチトール 6.3重量%
グリセリン 10重量%
2‐ピロリドン 2重量%
サーフィノールTG 1重量%
純水 残量
【0093】
シアンインク4
C.I.ピグメントブルー15:3 2重量%
ソルスパース27000 1重量%
(ノニオン性分散剤、ゼネカ社製)
酢酸マグネシウム・四水和物 5重量%
(反応剤)
スクロース 0.7重量%
マルチトール 6.3重量%
グリセリン 10重量%
2−ピロリドン 2重量%
サーフィノール465 1重量%
エタノール 3重量%
純水 残量
【0094】
淡色シアンインク1
C.I.ピグメントブルー15:3 0.3重量%
ソルスパース27000 0.2重量%
(ノニオン性分散剤)
ジエチレングリコール 10重量%
サーフィノールTG 1重量%
水酸化アンモニウム 1重量%
硫酸マグネシウム・四水和物 10重量%
(反応剤)
純水 残量
【0095】
ブラックインク1
カーボンブラックRaven1080 5重量%
(コロンビヤン・カーボン株式会社製)
スチレン‐アクリル酸共重合体・アンモニウム塩
(アニオン性分散剤) 1重量%
ボンコート4001 4重量%
(アクリル系樹脂エマルジョン、樹脂成分50%、MFT=5℃、大日本インキ株式会社製)
スクロース 0.7重量%
マルチトール 6.3重量%
グリセリン 10重量%
2‐ピロリドン 2重量%
サーフィノールTG 1重量%
純水 残量
【0096】
ブラックインク2
カーボンブラックMA7 5重量%
(三菱化成株式会社製
ソルスパース27000 1重量%
(ノニオン性分散剤)
グリセリン 15重量%
サーフィノールTG 1重量%
ダンフィックス723 3重量%
(反応剤)
水酸化カリウム 1重量%
純水 残量
【0097】
印字評価試験1
下記の表中に記載のインクセット1および2によって、インクジェットプリンタMJ700V2C(セイコーエプソン株式会社製)を用いて印刷を行った。印刷は、以下の各紙にシアンインク、マゼンタインク、またはイエローインクのベタ印字(100%duty)部をそれぞれ形成した。このベタ部上に、ブラックインクによって文字を直ちに印刷した。但し、ブラックインクの付着するドットには必ずイエローインクを同時に付着させた。
【0098】
▲1▼Xerox P紙(ゼロックス株式会社)
▲2▼Ricopy 6200紙(リコー株式会社製)
▲3▼Xerox 4024紙((ゼロックス株式会社製)
▲4▼Neenah Bond書き(キンバリークラーク社製)
▲5▼Xerox R紙(ゼロックス株式会社製・再生紙)
▲6▼やまゆり(本州製紙株式会社製・再生紙)
得られた印刷物のブラックインクによる文字の境界部分での不均一な色の混じりの有無を調べた。その結果を、次の基準に従い評価した。
【0099】
各試験紙において、色の混じりがなく境界が鮮明な場合−優(A)
ひげ状に色の混じりが、発生する紙がある場合−良(B)
全ての試験紙において文字の輪郭がはっきりしないほど色の混りが発生した場合−不可(NG)
結果は、以下の表に示される通りであった。
【表1】
【0100】
印字評価試験2
下記の表に示されるインクセット3、4、5、および6によって、インクジェットプリンタMJ700V2Cを用いて、印字評価試験1と同様の紙にシアンインク、マゼンタインク、またはイエローインクのベタ印字(100%duty)部をそれぞれ形成した。このベタ部上に、シアンインク、マゼンタインク、およびイエローインクを重ねて印字したブラックによって文字を直ちに印刷した。ブラックによる文字の境界部分での不均一な色の混じりの有無を調べた。その結果を、上記評価試験1と同様の基準で評価した。その結果は次の表に示されるとおりであった。
【表2】
【0101】
印字評価試験3
下記の表に示されるインクセット7によって、インクジェットプリンタMJ700V2Cを用いて、印字評価試験1と同様の印刷を行った。但し、マゼンタのベタ印字部は淡色マゼンタインクおよびマゼンタインクを重ねて印刷し、またシアンのベタ印字部は淡色シアンインクおよびシアンインクを重ねて印刷して形成した。また、ブラックインクの付着するドットには必ず淡色マゼンタインクを同時に付着させた。ブラックインク組成物による文字の境界部分での不均一な色の混じりの有無を調べた。その結果を、上記評価試験1と同様の基準で評価した。その結果は次の表に示されるとおりであった。
【表3】
【0102】
印字評価試験4
下記の表に示されるインクセット8によって、インクジェットプリンタMJ700V2Cを用いて、印字評価試験1と同様の印刷を行った。但し、マゼンタのベタ印字部は淡色マゼンタインクおよびマゼンタインクを重ねて印刷し、またシアンのベタ印字部は淡色シアンインクおよびシアンインクを重ねて印刷して形成した。また、ブラックインクの付着するドットへのイエローインクの付着は行わなかった。ブラックインク組成物による文字の境界部分での不均一な色の混じりの有無を調べた。その結果を、上記評価試験1と同様の基準で評価した。その結果は次の表に示されるとおりであった。
【0103】
【表4】
【0104】
印字評価試験5
下記の表に示されるインクセット9を、印字評価試験1と同様に評価した。その結果は下記の表に示される通りであった。
【0105】
【表5】
【0106】
インクの保存安定性試験
上記で製造したインク組成物をサンプルビンに入れ、密閉し、50℃の環境下に保存した。3カ月後のインクの粘度、表面張力、およびpHを測定したところ、変化はほとんど観察されなかった。
Claims (11)
- イエローインク組成物、マゼンタインク組成物、およびシアンインク組成物を含んでなるインクセットであって、
マゼンタインク組成物およびシアンインク組成物が、顔料と、該顔料を該インク組成物中に分散させる高分子分散剤と、樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドとを含んでなるものであり、かつイエローインク組成物が、マゼンタインク組成物およびシアンインク組成物中の顔料および樹脂エマルジョンの分散および/または溶解状態を破壊しうる反応剤を含んでなるものであり、
前記反応剤が、多価金属塩またはポリアリルアミンもしくはその誘導体であり、
前記無機酸化物が、無水珪酸またはアルミナである、インクセット。 - ブラックインク組成物を更に含んでなる、請求項1に記載のインクセット。
- ブラックインク組成物が樹脂エマルジョンを含んでなり、かつ前記反応剤が、前記ブラックインク組成物の着色剤および樹脂エマルジョンおよび/または無機酸化物コロイドの分散および/または溶解状態を破壊しうるものである、請求項2記載のインクセット。
- 前記反応剤を含んでなるインク組成物がノニオン性分散剤を含んでなるものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクセット。
- 前記反応剤を含まないインク組成物がアニオン性分散剤を含んでなるものである、請求項4に記載のインクセット。
- 前記着色剤が顔料である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクセット。
- インク組成物を付着させて記録媒体に印字を行う記録方法であって、インク組成物として請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクセットのインク組成物を用いる、方法。
- インク組成物の液滴を吐出し記録媒体に付着させて印字を行うインクジェット記録方法であって、インク組成物として請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクセットのインク組成物を用いる、インクジェット記録方法。
- 反応剤を含んだインク組成物により形成される画素の大きさが、反応剤を含まないインク組成物により形成される画素よりも小さくなるよう、吐出されるインク組成物の液滴のインク量を制御する、請求項8に記載のインクジェット記録方法。
- 反応剤を含んだインク組成物による液滴のインク量を、反応剤を含まないインク組成物による液滴のインク量の30〜100重量%未満とする、請求項9に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項7〜10のいずれか一項に記載の方法によって記録が行われた、記録物。
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