JP3745438B2 - インクジェット記録用インク組成物および記録方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の背景】
発明の分野
本発明は、インクジェット記録用インク組成物および記録方法に関し、詳しくはインク組成物と多価金属塩を含んでなる第一液を記録媒体に付着させ、その後この記録媒体に前記インク組成物を印字するインクジェット記録方法に関する。
【0002】
背景技術
インクジェット記録方法は、インク組成物の小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷方法である。この方法は、比較的安価な装置で高解像度、高品位な画像を、高速で印刷可能であるという特徴を有する。通常インクジェット記録に使用されるインク組成物は、水を主成分とし、これに着色成分および目詰まり防止等の目的でグリセリン等の湿潤剤を含有させたものが一般的である。
【0003】
一方、インクジェット記録方法として、最近新たに、多価金属塩溶液を記録媒体に適用した後、少なくとも一つのカルボキシル基を有する染料材を含むインク組成物を適用する方法が提案されている(例えば、特開平5−202328号公報)。この方法においては、多価金属イオンと染料から不溶性複合体が形成され、この複合体の存在により、耐水性があり、かつカラーブリードがない高品位の画像を得ることができるとされている。
【0004】
また、少なくとも浸透性を付与する界面活性剤または浸透性溶剤および塩を含有するカラーインクと、この塩との作用により増粘または凝集するブラックインクとを組合せて使用することにより、画像濃度が高くかつカラーブリードがない高品位のカラー画像が得られるという提案もなされている(特開平6−106735号公報)。すなわち塩を含んだ第一の液と、インク組成物との二液を印字することで、良好な画像が得られるとするインクジェット記録方法が提案されている。
【0005】
【発明の概要】
本発明者等は、今般、このような二液を印字するインクジェット記録方法において、インク組成物が水溶性樹脂を含んでなり、かつインク組成物中に遊離して存在する水溶性樹脂が、良好な印字、とりわけ真円度が高くにじみが少ない印字の実現に重要であるとの知見を得た。本発明はかかる知見に基づくものである。
【0006】
従って、本発明は、二液を印字するインクジェット記録方法において、良好な画像が実現できる方法の提供をその目的としている。
【0007】
そして、本発明によるインクジェット記録方法は、
多価金属塩を含んでなる第一液を記録媒体に付着させ、その後該記録媒体にインク組成物を印字するインクジェット記録方法であって、
前記インク 組成物が、顔料と、水溶性樹脂と、水溶性有機溶媒と、水とを含んでなり、かつ前記水溶性樹脂の一部はインク組成物中に遊離して存在し、インク組成物中に遊離して存在する前記水溶性樹脂の量が、インク組成物基準で0.3〜5重量%であることを特徴とするもの、である。
【0008】
【発明の具体的説明】
本発明によるインクジェット記録方法は、多価金属塩を含んでなる第一液を記録媒体に付着させ、その後この記録媒体にインク組成物を印字する工程を含んでなるものである。そして本発明においては、インク組成物が水溶性樹脂を含んでなるものであり、かつインク組成物中の遊離水溶性樹の量を前記のように特定の範囲とするものである
【0009】
インク組成物
本発明のインク組成物に用いられる水溶性樹脂とは、純水に可溶なものだけではなく、アミン等を溶解させたアルカリ水溶液など広く水溶液に可溶な樹脂をも意味するものとする。本発明において用いられる樹脂は、より好ましくは、インク組成物において分散剤として用いることができる水溶性樹脂を意味するものとする。
【0010】
本発明において用いられるインク組成物中において、その水溶性樹脂の一部は遊離して存在する(なお、以下で「インク組成物中に遊離して存在する水溶性樹脂」を、単に「遊離水溶性樹脂」と呼ぶことがある)。ここで、「インク組成物中に遊離して存在する」とは、水溶性樹脂がインク組成物中において顔料などの粒子成分に吸着せずに溶解している状態にあることを意味するものとする。すなわち、本発明におけるインク組成物にあっては、水溶性樹脂を、顔料などの粒子成分の分散に必要とされる量を超えて含んでなることを意味する。従って、インク組成物中における遊離水溶性樹脂の量は、インク組成物を遠心分離などにより顔料などの粒子成分をそれに吸着している水溶性成分とともに沈殿させて、上澄みと分け、この上澄み中の水溶性樹脂量を測定することで求めることができる。
【0011】
本発明においては、この遊離水溶性樹脂の量が、印字のにじみを防止するのに有効な量とされてなる。本発明の好ましい態様によれば、インク組成物中の遊離水溶性樹脂の量は、印字されるドットの4πS/L(ここで、Sはドット面積であり、Lはドットの周長である)で表される真円度を1〜0.9の範囲、好ましくは1〜0.95の範囲に置くのに有効な量とされてなる。さらに本発明の好ましい態様によれば、遊離水溶性樹脂の量は、インク組成物基準で0.3重量%以上、好ましくは0.3〜5重量%、より好ましくは0.5〜3重量%とされる。
【0012】
本発明におけるこの水溶性樹脂のインク組成物への添加は、インク組成物が顔料分散液を出発原料とし、この顔料分散液に他のインク組成物成分を添加して製造される場合、その顔料分散液に含まれる分散剤としての水溶性樹脂の量を制御することで実質的に行われてよい。また、顔料分散液由来の水溶性樹脂のみならず、更に水溶性樹脂を添加して行われてもよい。後者の場合、後から添加される水溶性樹脂は、顔料分散液に含まれる水溶性樹脂と同一であっても異なるものであってもよい。
【0013】
本発明において好ましく用いられる水溶性樹脂の例としては、リグニンスルホン酸、セラックなどの天然高分子、ポリアクリル酸、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体あるいはこれらの塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、リン酸塩などの陰イオン性高分子などがあげられる。
【0014】
このような水溶性樹脂の分子量の範囲は特に限定されないが3000〜50000の範囲が好ましく、より好ましくは7000〜15000の範囲である。
【0015】
また、市販の水溶性樹脂を使用することも可能であり、例えば、ジョンクリル62(スチレン−アクリル系樹脂 ジョンソンポリマー社製)、モビニールS−100A(変性酢酸ビニル樹脂 ヘキスト合成社製)、ジュリマーAT−210(ポリアクリル酸エステル共重合体 日本純薬(株)製)などがあげられる。これらのうち、カルボキシル基を含んでなる樹脂が好ましい。
【0016】
本発明のインク組成物は樹脂エマルジョンを含むことができる、このような樹脂エマルジョンは、連続相が水であり、分散相が次のような樹脂成分であるエマルジョンを意味する。分散相の樹脂成分としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂などがあげられる。
【0017】
本発明の好ましい態様によれば、この樹脂は親水性部分と疎水性部分とを併せ持つ重合体であるのが好ましい。また、これらの樹脂成分の粒子径はエマルジョンを形成する限り特に限定されないが、150nm程度以下が好ましく、より好ましくは5〜100nm程度である。
【0018】
これらの樹脂エマルジョンは、樹脂粒子を、場合によって界面活性剤とともに水に混合することによって得ることができる。例えば、アクリル系樹脂またはスチレン−アクリル系樹脂のエマルジョンは、(メタ)アクリル酸エステルまたはスチレンと、(メタ)アクリル酸エステルと、場合により(メタ)アクリル酸エステルと、界面活性剤とを水に混合することによって得ることができる。樹脂成分と界面活性剤との混合の割合は、通常10:1〜5:1程度とするのが好ましい。界面活性剤の使用量が前記範囲にあることでより良好なインクの耐水性、浸透性が得られる。界面活性剤は特に限定されないが、好ましい例としてはアニオン性界面活性剤(例えばドデシルベンゼルスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩など)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなど)があげられ、これらを単独または二種以上を混合して用いることができる。
【0019】
また、分散相成分としての樹脂と水との割合は、樹脂100重量部に対して水60〜400重量部、好ましくは100〜200の範囲が適当である。
【0020】
また、市販の樹脂エマルジョンを使用することも可能であり、例えばマイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製)、などがあげられる。
【0021】
本発明に使用するインク組成物は、樹脂エマルジョンを、その樹脂成分がインク組成物の0.1〜40重量%となるよう含有するのが好ましく、より好ましくは1〜25重量%の範囲である。
【0022】
樹脂エマルジョンは、多価金属イオンとの相互作用により、着色成分の浸透を抑制し、さらに記録媒体への定着を促進する効果を有する。また、樹脂エマルジョンの種類によっては記録媒体上で皮膜を形成し、印刷物の耐擦性をも向上させる効果も有する。
【0023】
本発明においては、顔料として特別な制限なしに無機顔料、有機顔料を使用することができる。無機顔料としては、酸化チタンおよび酸化鉄に加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。また、有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。
【0024】
本発明の好ましい態様によれば、これらの顔料は、分散剤で水性媒体中に分散させて得られた顔料分散液としてインク組成物に添加されるのが好ましい。好ましい分散剤としては、顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤、例えば高分子分散剤、界面活性剤を使用することができる。なお、この顔料分散液に含まれる分散剤および界面活性剤が後記するインク組成物の界面活性剤としても機能するであろうことは当業者に明らかであろう。
【0025】
インク組成物への顔料の添加量は、0.5〜25重量%程度が好ましく、より好ましくは2〜15重量%程度である。
【0026】
有機溶媒は、好ましくは低沸点有機溶剤であり、その好ましい例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、iso−ブタノール、n−ペンタノールなどがあげられる。特に一価アルコールが好ましい。低沸点有機溶剤は、インクの乾燥時間を短縮する効果がある。
【0027】
本発明に用いられる、インク組成物は界面活性剤を含むことができる。界面活性剤の例としては、上記の界面活性剤およびアセチレングリコール(オレフィンY、ならびにサーフィノール82、104、440、465、および485(いずれもAir Products and Chemicals Inc. 製))が挙げられる。
【0028】
本発明の好ましい態様によれば、インク組成物は糖を含有してなるのが好ましい。糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類および四糖類を含む)および多糖類があげられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、アルドン酸、グルシシール、ソルビット、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などがあげられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、アルギン酸、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
【0029】
また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式HOCH2 (CHOH)n CH2 OH(ここで、n=2〜5の整数を表す)で表される)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ糖などがあげられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどがあげられる。
【0030】
これら糖類の含有量は、インクの0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%の範囲が適当である。
【0031】
また、本発明の好ましい態様によれば、本発明に使用するインク組成物は、さらに高沸点有機溶媒を含んでなることが好ましい。高沸点有機溶媒剤の好ましい例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオグリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、トリエチレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類、尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、トリエタノールアミンなどがあげられる。
【0032】
これら湿潤剤の添加量は、インク組成物の0.5〜40重量%が好ましく、より好ましくは2〜20重量%の範囲である。また、低沸点有機溶剤の添加量はインクの0.5〜10重量%が好ましく、より好ましくは1.5〜6重量%の範囲である。
【0033】
その他、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤、防かび剤等を添加しても良い。
【0034】
第一液
本発明において用いられる第一液は、基本的に多価金属塩と、水と、好適には高沸点有機溶媒とを含んでなる。
【0035】
本発明において、第一液に含まれる多価金属塩は、2価以上の多価金属イオンと、これら多価金属イオンに結合する好適には硝酸イオンまたはカルボン酸イオンとから構成され、水に可溶なものである。
【0036】
ここで、カルボン酸イオンは、好ましくは炭素数1〜6の飽和脂肪族モノカルボン酸および炭素数7〜11の炭素環式モノカルボン酸からなる群から選択されるカルボン酸から誘導されるものである。炭素数1〜6の飽和脂肪族モノカルボン酸の好ましい例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、ヘキサン酸などが挙げられる。特に蟻酸、酢酸が好ましい。
【0037】
このモノカルボン酸の飽和脂肪族炭化水素基上の水素原子は水酸基で置換されていてもよく、そのようなカルボン酸の好ましい例としては、乳酸が挙げられる。
【0038】
さらに、炭素数6〜10の炭素環式モノカルボン酸の好ましい例としては、安息香酸、ナフトエ酸等が挙げられ、より好ましくは安息香酸である。
【0039】
一方、多価金属イオンの具体例としては、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+、Ba2+などの二価金属イオンAl3+、Fe3+、Cr3+などの三価金属イオンがあげられる。
【0040】
とりわけ、上記陰イオンと、Ca2+またはMg2+より構成される金属塩は、第一液のpH、得られる印刷物の品質という2つの観点から、好適な結果を与える。
【0041】
これら多価金属塩の第一液中における濃度は印字品質、目詰まり防止の効果が得られる範囲で適宜決定されてよいが、好ましくは0.1〜40重量%程度であり、より好ましくは5〜25重量%程度である。
【0042】
高沸点有機溶媒の好ましい例としては、インク組成物の項で記載したものが挙げられる。高沸点有機溶媒は、第一液の乾燥を防ぐことによりヘッドの目詰まりを防止する。
【0043】
高沸点有機溶媒の添加量は特に限定されないが、好ましくは0.5〜40重量%程度であり、より好ましくは2〜20重量%程度である。
【0044】
本発明の好ましい態様によれば、高沸点有機溶媒としてトリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンを添加するのが好ましい。更に、それらに加えpH調整のためにトリエタノールアミンを添加するのも好ましい。これらを組み合わせて添加する場合、トリエチレングリコールモノブチルエーテルおよびグリセリンの添加量はそれぞれ10〜20重量%程度および1〜15重量%程度が好ましく、更にトリエタノールアミンが添加される場合、その添加量は、0〜2.0重量%程度が好ましい。
【0045】
その他必要に応じて各種pH調整剤、防腐剤、防かび剤などを添加してもよい。
【0046】
また、この第一液は、カラー着色剤を添加して着色され、インク組成物の機能を兼ね備えたものとされてもよい。
【0047】
インクジェット記録装置
本発明によるインクジェット記録方法を実施するインクジェット記録装置につて以下、図面を用いて説明する。
【0048】
図1のインクジェット記録装置は、インク組成物および第一液をタンクに収納し、インク組成物および第一液がインクチューブを介して記録ヘッドに供給される態様である。すなわち、記録ヘッド1とインクタンク2とがインクチューブ3で連通される。ここで、インクタンク2は内部が区切られてなり、インク組成物、場合によって複数のカラーインク組成物の部屋と、第一液の部屋とが設けられてなる。
【0049】
記録ヘッド1は、キャリッジ4に沿って、モータ5で駆動されるタイミングベルト6によって移動する。一方、記録媒体である紙7はプラテン8およびガイド9によって記録ヘッド1と対面する位置に置かれる。なお、この態様においては、キャップ10が設けられてなる。このキャップ10には吸引ポンプ11が連結され、いわゆるクリーニング操作を行う。吸引されたインク組成物はチューブ12を介して廃インクタンク13に溜め置かれる。
【0050】
記録ヘッド1のノズル面の拡大図を図2に示す。1bで示される部分が第一液のノズル面であって、第一液が吐出されるノズル21が縦方向に設けられてなる。一方、1cで示される部分がインク組成物のノズル面であって、ノズル22、23、24、25からはそれぞれイエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、そしてブラックインク組成物が吐出される。
【0051】
さらにこの図2に記載の記録ヘッドを用いたインクジェット記録方法を図3を用いて説明する。記録ヘッド1は矢印A方向に移動する。その移動の間に、ノズル面1bより第一液が吐出され、記録媒体7上に帯状の第一液付着領域31を形成する。次に記録媒体7が紙送り方向矢印Bに所定量移送される。その間記録ヘッド1は図中で矢印Aと逆方向に移動し、記録媒体7の左端の位置に戻る。そして、既に第一液が付着している第一液付着領域にインク組成物を印字し、印字領域32を形成する。
【0052】
また、図4に記載のように記録ヘッド1において、ノズルを全て横方向に並べて構成することも可能である。図中で、41aおよび41bは第一液の吐出ノズルであり、ノズル42、43、44、45からはぞれぞれイエローインク組成物、マゼンタインク組成物、シアンインク組成物、そしてブラックインク組成物が吐出される。このような態様の記録ヘッドにおいては、記録ヘッド1がキャリッジ上を往復する往路、復路いずれにおいても印字が可能である点で、図2に示される記録ヘッドを用いた場合よりも速い速度での印字が期待できる。
【0053】
さらに、インクジェット記録装置には、インク組成物の補充がインクタンクであるカートリッジを取り替えることで行われるものがある。また、このインクタンクは記録ヘッドと一体化されたものであってもよい。
【0054】
このようなインクタンクを利用したインクジェット記録装置の好ましい例を図5に示す。図中で図1の装置と同一の部材については同一の参照番号を付した。図5の態様において、記録ヘッド1aおよび1bは、インクタンク2aおよび2bと一体化されてなる。記録ヘッド1aまたは1bをそれぞれインク組成物および第一液を吐出するものとする。印字方法は基本的に図1の装置と同様であってよい。そして、この態様において、記録ヘッド1aとインクタンク2aおよび記録ヘッド1aおよびインクタンク2bは、キャリッジ4上をともに移動する。
【0055】
第一液の記録媒体への付着に関しては、インク組成物を付着させる場所にのみ選択的に第一液を付着させるという方法と、紙面全体に第一液を付着させる方法のいずれの態様であってもよい。前者が第一液の消費量を必要最小限に抑えることができ経済的であるが、第一液とインク組成物双方を付着させる位置にある程度の精度が要求される。一方、後者は、前者に比べ第一液およびインク組成物の付着位置の精度の要求は緩和されるが、紙面全体に大量の第一液を付着させることとなり、乾燥の際、紙がカールしやすい。従って、いずれの方法を採用するかは、インク組成物と第一液との組み合わせを考慮して決定されてよい。
【0056】
【実施例】
以下本発明を以下の実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0057】
インク組成物の製造に際しては、まず顔料と所定量の顔料分散剤と水とをジェットミルを用いて顔料の平均粒径が1μm以下になるまで混合攪拌し、顔料分散液を調製した。次いで、他の成分を加え混合後、3μmのメンブランフィルターによって加圧ろ過してインク組成物を製造した。
【0058】
インク組成物
インク1
カーボンブラック Raven 1080 5重量%
(コロンビアン・カーボン株式会社製)
スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 1重量%
マイクロジェル E−5002 4重量%
(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、樹脂成分
29.2%、MFT=約80℃、日本ペイント株式会社製)
スクロース 0.7重量%
マルチトール 6.3重量%
グリセリン 10重量%
2−ピロリドン 2重量%
エタノール 4重量%
ジョンクリル 62 0.5重量%
(ジョンソンポリマー社製、樹脂成分34%)
純水 残量
このインク中の遊離水溶性樹脂量は0.3重量%であった。
【0059】
インク2
カーボンブラック Raven 1080 2重量%
(コロンビアン・カーボン株式会社製)
スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 1重量%
マイクロジェル E−5002 7重量%
(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、樹脂成分
29.2%、MFT=約80℃、日本ペイント株式会社製)
スクロース 0.7重量%
マルチトール 6.3重量%
グリセリン 10重量%
2−ピロリドン 2重量%
エタノール 4重量%
モビール S−100A 3重量%
(変性酢酸ビニル樹脂、樹脂成分50%、ヘキスト合成社製)
純水 残量
このインク中の遊離水溶性樹脂量は1.6重量%であった。
【0060】
インク3
KETBLUEEX−1 2重量%
(大日本インキ化学工業株式会社製)
スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 1重量%
ボンコート4001 2重量%
(アクリル系樹脂エマルジョン、樹脂成分50%、
MFT=約5℃、大日本インキ株式会社製)
スクロース 0.7重量%
マルチトール 6.3重量%
グリセリン 10重量%
2−ピロリドン 2重量%
エタノール 4重量%
ジュリマーAT−210 5重量%
(ポリアクリル酸エステル共重合体、樹脂成分30%、
日本純薬(株)製)
純水 残量
このインク中の遊離水溶性樹脂量は1.5重量%であった。
【0061】
インク4
カーボンブラック Raven 1080 5重量%
(コロンビアン・カーボン株式会社製)
スチレン−アクリル酸共重合体(分散剤) 1重量%
マイクロジェル E−5002 10重量%
(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、樹脂成分
29.2%、MFT=約80℃、日本ペイント株式会社製)
スクロース 0.7重量%
マルチトール 6.3重量%
グリセリン 10重量%
2−ピロリドン 2重量%
エタノール 4重量%
純水 残量
このインク中の遊離水溶性樹脂量は0.15重量%であった。
【0062】
第一液
以下の組成の第一液を、以下の成分を混合し、室温で1時間攪拌を行い、その後室温で5μmのメンブランフィルターで組成物を吸引ろ過して調製した。
硝酸マグネシム・6水和物 25重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 5重量%
グリセリン 20重量%
イオン交換水 残量
印字評価試験:真円度
インクジェットプリンターMJ−700V2C(セイコーエプソン(株)製)を用い、Xerox 4024 3R 721(ゼロックス(株)製)およびXerox R(ゼロックス(株)製、再製紙)の2紙に印刷を行なった。印刷は第一液を100%dutyで印刷した後、インク組成物によりドットを印刷した。
【0063】
インク組成物によるドットの真円度を4πS/L2 と定義したとき(ここで、Sはドット面積であり、Lはドットの周長である)、真円度を次のように評価した。
両紙において1〜0.9の場合…◎
いずれかまたは両紙において0.9〜0.8の場合…○
いずれかまたは両紙において0.8未満…×
それらの結果は第1表に示される通りであった。
【0064】
Figure 0003745438

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による方法を実施するインクジェット記録装置を示す図であって、この態様においては記録ヘッドとインクタンクがそれぞれ独立してなり、インク組成物および第一液はインクチューブによって記録ヘッドに供給される。
【図2】記録ヘッドのノズル面の拡大図であって、1bが第一液のノズル面であり、1cがインク組成物のノズル面である。
【図3】図2の記録ヘッドを用いたインクジェット記録を説明する図である。図中で、31は第一液付着領域であり、32は第一液が付着されてた上にインク組成物が印字された印字領域である。
【図4】記録ヘッドの別の態様を示す図であって、吐出ノズルが全て横方向に並べて構成されたものである。
【図5】本発明による方法を実施するインクジェット記録装置を示す図であって、この態様においては記録ヘッドとインクタンクが一体化されてなる。
【符号の説明】
1 記録ヘッド
2 インクタンク
3 インクチューブ
21 第一液吐出ノズル
22、23、24、25 インク組成物吐出ノズル
31 第一液付着領域
32 印字領域

Claims (4)

  1. 多価金属塩を含んでなる第一液を記録媒体に付着させ、その後該記録媒体にインク組成物を印字するインクジェット記録方法であって、
    前記インク 組成物が、顔料と、水溶性樹脂と、水溶性有機溶媒と、水とを含んでなり、かつ前記水溶性樹脂の一部はインク組成物中に遊離して存在し、インク組成物中に遊離して存在する前記水溶性樹脂の量が、インク組成物基準で0.3〜5重量%であることを特徴とする、方法。
  2. 前記インク組成物が樹脂エマルジョンをさらに含んでなるものである、請求項1に記載の方法。
  3. 請求項1または2に記載のインクジェット記録方法に用いられるインク組成物であって、
    顔料と、水溶性樹脂と、水溶性有機溶媒と、水とを含んでなり、前記水溶性樹脂の一部はインク組成物中に遊離して存在し、インク組成物中に遊離して存在する前記水溶性樹脂の量が、インク組成物基準で0.3〜5重量%であることを特徴とする、インク組成物。
  4. 樹脂エマルジョンをさらに含んでなるものである、請求項3に記載のインク組成物。
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