発酵処理物及びその製造方法 技術分野
本発明は、 ゥコンの根茎等を、 乳酸菌、 酵母、 枯草菌等により発酵さ せることで、 特定の成分の含有量を増加させると共に、 優れた抗酸化活 性を有する発酵処理物やその製明造方法、 これを含有する食品素材や食品 に関する。 田
書
背景技術
ゥコンはショゥガ科クルクマ属の多年草で、 インド ·東南アジア ' 中 国南部などの熱帯地方で多く栽培され、. 日本では沖緙地方で主に栽培さ れており、 古くから利胆薬として、 肝臓炎, 胆道炎, 胆石症, カタル性 黄疸などの治療に用いられているほか、 芳香性健胃薬としても用いられ ている。 また、 漢方では、 吐血, 鼻血, 血尿の際に内服して止血作用が あるとされており、 乾燥した根茎物を蒸留して得た油は、 軽い殺菌性が あり、 制酸薬として少量で駆風, 健胃, 食欲増進及び強壮薬として用い られている。 ゥコンには、 春に開花する春ゥコン (Curcuma aromatica Salisbury) や、 秋に開花する秋ゥコン (Curcuma 1 onga L. ) 等の種類が あり、 いずれもクルミンを含有し、特に秋ゥコンはその含有量が 3. 6 % と高く、 抗酸化活性を有し、 注目されている。
一方、 ゥコンの根茎又はその乾燥粉末に、 アミラーゼ及びプロテア一 ゼを作用させた後、 又は作用させながら、 該ゥコンの根茎又はその乾燥 粉末を培地として乳酸発酵を行う発酵ゥコンの製造法 (例えば、 特開 2 0 0 2 - 6 5 1 9 9号公報参照。) や、 ゥコンの根茎を乾燥して粉碎し、
このゥコンの根茎の粉枠物にィースト菌を混合して発酵させるゥコンの 製造方法 (例えば、 特開平 1 0— 2 9 5 3 2 4号公報参照。) や、 ゥコン に植物性油を加え、 更にイーストを混合してなる混合体を常温保持又は 微温加熱して発酵させることを特徴とするゥコンの苦味除去抑制方法 (例えば、 特開平 1 0— 8 4 9 0 8号公報参照。) 等が知られている。 こ れらの方法によって得られる発酵ゥコンは、 その有用成分を損なうこと なく、風味の改善されたゥコンを生産性よく製造できるようにし、また、 短時間で発酵させて、 特有の苦みや香りを除去した発酵ゥコンを生産性 よく製造することができ、 得られる発酵ゥコンはミネラル成分を豊富に 含有するものである。 しかしながら、 これらの食品は、 食味をよくする ために発酵を利用するものであって、 発酵により抗酸化活性作用を強化 させたり、 特定の成分を発現させたり、 また、 特定成分を選択的に増加 させた発酵植物を食品や食品素材として活用することは全く考えられて いない。 '
本発明の課題は、 抗酸化活性を有する有効成分を含量し、 発酵により 更に抗酸化活性を強化させ優れた天然資源の更なる有効利用を図り、 特 に、 沖縛で多く栽培されているゥコンを発酵処理することにより、 食味 の向上を図ると共に、 発酵前には含有されず発酵により発現する有効成 分を見い出し、 また、 発酵によりその含有量を増加させ、 これらの有効 利用を図った発酵処理物やその製造方法、 かかる発酵処理物を含有する 食品や、 食品素材を提供することにある。
本発明者らは、 抗酸化活性作用等を有する有効成分を含有する優れた 天然資源の開発のため、 沖縛に自生する植物について、 また、 食材とし て利用されていない植物についても有効利用を図る研究を行ない、 アミ ラーゼ阻害活性や、 抗酸化活性を有する成分を含有するグアバの葉を発 酵処理することにより、 これらの活性が増進されつつ渋味やえぐ味が抑
制され食味が改善されることを見い出し、 発酵させたグアバの葉を含む 発酵食材を既に開発した (特願 2 0 0 1— 6 3 1 4 2号)。 更に、 沖耩で 街路樹としてよく見られるモモ夕マナについて研究を行い、 その葉を乳 酸菌等を用いて発酵させることにより得られる発酵処理植物が、 発酵前 には含有されないケルセチンを含有した優れた抗酸化活性を有すること の知見を得て、 かかる発酵処理物を含む発酵食材についても開発してい る (特願 2 0 0 2— 2 9 2 8 0 5号)。 また、 本発明者らは、 ニガナ等の キク科植物の葉や、 シークヮーサ一等のミカン科植物の外果皮を乳酸菌 等により発酵処理すると、 食味が向上され、 摂取しやすくなると共に、 血圧上昇抑制作用が強化されることを見い出し、 二ガナゃシークヮ一サ を用いた乳酸発酵処理物等を開発し (特願 2 0 0 2— 2 3 6 1 5 5号)、 更に、 ョモギを乳酸菌等を用いて発酵させることにより得られる発酵処 理物が、 発酵前には有しない AC E阻害活性を有することを見い出し、 ョモギを用いた乳酸発酵処理物等を開発した (特願 2 0 0 3 - 6 2 5 8 6号)。 本発明者らは、 沖網でよく見られるゥコンについて、 その根茎を 乳酸菌等を用いて発酵することにより、 食味の改善を図り、 摂取が容易 となる醱酵ゥコンについて開発している (特許第 2 94 94 1 1号)。そ して、 優れた有効成分を多量に含有するゥコンについて更なる食味の改 善や、 有効成分の利用を図るため鋭意研究をし、 従来は密閉容器中で発 酵させていたものを、 密閉容器中の空気を二酸化炭素や窒素ガスで置換 してより嫌気度を高めて発酵処理を行なうことにより、 予測を超えて特 定成分の含有量が顕著に増加し、 抗酸化活性が強化されることの知見を 得て、 本発明を完成するに至った。 発明の開示
すなわち本発明は、 ゥコン (Curcuma longa L. ) の発酵処理物であつ
て、 特定条件下の HP L C分析において、 各ピーク値が 2 1 8 ( 3分)、 1 6 3 (4. 5分)、 7 4 5 (2 1分)、 2 7 ( 2 8分)、 1 8 ( 2 8. 8 分)、 2 6 0 0 ( 2 9. 5分)、 2 9 1 ( 3 1. 5分)、 1 0 0 ( 3 2分)、 2 7 ( 3 2. 3分)、 3 6 3 ( 3 2. 8分)、 1 7 0 0 ( 3 6. 2分)、 1 0 9. 1 ( 3 6. 5分)、 5 3 6 (4 8分) (単位は mAU) であり、 抗 酸化活性が強化した発酵処理物 (請求項 1 ) に関し、 好ましくは、 アミ ノ酸の含有量を増加させたことを特徴とする請求項 1記載の発酵処理物 (請求項 2) や、 アミノ酸が、 ァーァミノ酪酸、 グルタミン酸、 スレオ ニン、 プロリン、 ァラニン、 ノ リン、 ロイシン、 イソロイシン、 チロシ ン、 フエ二ルァラニン、 ヒスチジン、 リジン又はアルギニンであること を特徴とする請求項 2記載の発酵処理物 (請求項 3) や、 クェン酸又は リンゴ酸の含有量を増加させたことを特徴とする請求項 1〜 3のいずれ か記載の発酵処理物 (請求項 4) や、 0. 1〜 3mmの粒径を有するゥ コンの根茎乾燥体であることを特徵とする請求項 1〜 4のいずれか記載 の発酵処理物 (請求項 5 ) や、 乳酸菌、 乳酸菌と酵母、 乳酸菌と枯草菌、 又は乳酸菌と酵母と枯草菌により発酵させて得られることを特徴とする 請求項 1〜 5のいずれか記載の発酵処理物 (請求項 6) や、 乳酸菌が、 ス ト レプ ト コ ッ カ ス属 ( Storeptococcus ) ラ ク トバシルス属 (Lactobaci Uus)、 ロイコノス卜ック属 (Leuconos toe)、 ぺディォコッ カス属 (Pediococcus)、 ビフィ ドバクテリゥム属 (Bifidobacterium) 又 はテトラジェノコッカス属(Tetragenococcus) のいずれかに属すること を特徴とする請求項 6記載の発酵処理物 (請求項 7) や、 ストレプトコ ッカス属に属する菌が、 ス トレプトコッカス · サーモフィルス (S. i ermophilus) であることを特徴とする請求項 7記載の発酵処理物 (請 求項 8) や、 ラク トバシルス属に属する菌が、 ラク トバシルス · プラン 夕リム(L. p 1 ant arum)、ラクトバシルス *デルブリツキ(L. delbruckii),
ラクトバシルス ·ペントサス (L. pentosus) 又はラク 卜バシルス · カセ ィ (L. casei) のいずれかに属することを特徴とする請求項 7記載の発 酵処理物 (請求項 9) や、 テトラジェノコッカス属に属する菌が、 テト ラジェノ .ハ口フィルス (T. alophilus) であることを特徴とする請求 項 7記載の発酵処理物 (請求項 1 0 ) や、 酵母が、 カンジダ属 (Candida) 又はサッカロマイセス属(Saccharomyces) に属することを特徴とする請 求項 6記載の発酵処理物 (請求項 1 1 ) や、 カンジダ属に属する菌が、 カンジダ * ビルサチルス ( versatilis) であることを特徴とする請求 項 1 1記載の発酵処理物 (請求項 1 2) や、 サッカロマイセス属に属す る菌が、 サッカロマイセス 'セレビシァェ (S. cerevisiae) であること を特徴とする請求項 1 1記載の発酵処理物(請求項 1 3)や、枯草菌が、 バシルス ·ズブチルス (B. subtilis) であることを特徴とする請求項 6 記載の発酵処理物 (請求項 1 4) や、 ラク 卜バシルス · プランタリム、 ストレプトコッカス ·サ一モフィルス、 バシルス · ズブチルスの混合菌 による発酵処理物であることを特徴とする請求項 6記載の発酵処理物 (請求項 1 5) に関する。
また本発明は、 請求項 1〜 1 5のいずれか記載の発酵処理物を含有す ることを特徴とする食品素材又は食品 (請求項 1 6) に関する。
さらに本発明は、 ゥコン (Curcuma longa L.) を発酵させ、 特定条件 下の H P L C分析において、各ピーク値が、 2 1 8 (3分)、 1 6 3 (4. 5分)、 7 4 5 ( 2 1分)、 2 7 ( 2 8分)、 1 8 ( 2 8. 8分)、 2 6 0 0 ( 2 9. 5分)、 2 9 1 ( 3 1. 5分)、 1 0 0 ( 3 2分)、 2 7 ( 3 2. 3分)、 3 6 3 ( 3 2. 8分)、 1 7 0 0 ( 3 6. 2分)、 1 0 9. 1 ( 3 6. 5分)、 5 3 6 (4 8分) (単位は mAU) であり、 抗酸化活性を強 化させることを特徴とする発酵処理物の製造方法(請求項 1 7 )に関し、 好ましくは、 アミノ酸の含有量を増加させることを特徴とする請求項 1
7記載の発酵処理物の製造方法 (請求項 1 8 ) や、 アミノ酸が、 Ύーァ ミノ酪酸、 グルタミン酸、 スレオニン、 プロリン、 ァラニン、 パリン、 ロイシン、 イソロイシン、 チロシン、 フエ二ルァラニン、 ヒスチジン、 リジン又はアルギニンであることを特徴とする請求項 1 8記載の発酵処 理物の製造方法 (請求項 1 9) や、 クェン酸又はリンゴ酸の含有量を増 加させることを特徴とする請求項 1 7〜 1 9のいずれか記載の発酵処理 物の製造方法 (請求項 2 0) や、 ゥコンが 0. 1〜 3 mmの粒径を有す る根茎の乾燥体であることを特徴とする請求項 1 7〜 2 0のいずれか記 載の発酵処理物の製造方法 (請求項 2 1 ) や、 乳酸菌、 乳酸菌と酵母、 乳酸菌と枯草菌、 又は乳酸菌と酵母と枯草菌を用いて発酵させることを 特徴とする請求項 1 7〜 2 1のいずれか記載の発酵処理物の製造方法 (請求項 2 2 )や、乳酸菌が、ストレプトコッカス属(Storeptococcus)、 ラクトバシルス属(Lactobacillus)、ロイコノストツク属(Leuconostoc)、 ぺディ ォコ ッカス属 ( Pediococcus ) , ピフ イ ドバクテリ ゥム属 (Bi f idobacter ium 又はテトラジェノコッカス属 (Tetragenococcus) のいずれかに属することを特徴とする請求項 2 2記載の発酵処理物の製 造方法 (請求項 2 3 ) や、 ストレプトコッカス属に属する菌が、 ストレ プトコッカス 'サーモフィルス (S. t ermophilus) であることを特徴と する請求項 2 3記載の発酵処理植物の製造方法 (請求項 24) や、 ラク トバシルス属に属する菌が、 ラク トバシルス · プランタリム (L. plantarum), ラク トバシルス ·デルブリツキ (L. delbruckii), ラクト バシルス 'ペントサス (L. pentosus) 又はラク トバシルス ·カセィ (L. casei)のいずれかに属することを特徴とする請求項 2 3記載の発酵処理 物の製造方法(請求項 2 5)や、テトラジェノコッカス属に属する菌が、 テトラジェノ ·ハロフィルス (T. halophilus) であることを特徴とする 請求項 2 3記載の発酵処理物の製造方法 (請求項 2 6 ) や、 酵母が、 力
ンジダ属 (Candida) 又はサッカロマイセス属 (Sacchar omyces) に属す ることを特徴とする請求項 2 2記載の発酵処理物の製造方法 (請求項 2 7 ) や、 カンジダ属に属する菌が、 カンジダ · ビルサチルス (C. versatilis) であることを特徴とする請求項 2 7記載の発酵処理物の製 造方法 (請求項 2 8) や、 サッカロマイセス属に属する菌が、 サッカ ロマイセス 'セレビシァェ (S. cerevisiae) であることを特徵とする請 求項 2 7記載の発酵処理物の製造方法 (請求項 2 9) や、 枯草菌が、 バ シルス ·ズブチルス (B. subtilis) であることを特徵とする請求項 2 2 記載の発酵処理物の製造方法 (請求項 3 0 ) や、 ラク トバシルス · ブラ ンタリム、 ストレプトコッカス ·サーモフィルス、 バシルス · ズブチル スの混合菌を用いることを特徴とする請求項 2 2記載の発酵処理物の製 造方法 (請求項 3 1 ) や、 乾物体 1重量部に対し 2〜 1 0重量部の水分 の存在下で発酵させることを特徴とする請求項 2 1〜 3 1のいずれか記 載の発酵処理物の製造方法 (請求項 3 2) や、 炭水化物及び Z又は蛋白 質を添加して発酵させることを特徴とする請求項 1 7〜 3 2のいずれか 記載の発酵処理物の製造方法 (請求項 3 3 ) や、 蛋白質が、 米ぬか及び Z又はふすまであることを特徴とする請求項 3 3記載の発酵処理物の製 造方法 (請求項 3 4) や、 脱酸素処理を行ない発酵させることを特徴と する請求項 1 7〜 3 2のいずれか記載の発酵処理物の製造方法 (請求項 3 5 ) や、 脱酸素処理が、 二酸化炭素又は窒素ガスを用いた処理である ことを特徴とする請求項 3 5記載の発酵処理物の製造方法(請求項 3 6) に関する。 図面の簡単な説明
第 1図は、 本発明の発酵処理物の抗酸化活性を示す図である。
第 2図は、 本発明の発酵処理物の抗酸化活性を示す図である。
第 3図は、 本発明の発酵処理物の 2 2 0 nmにおける H P L C分析を 示す図である。 発明を実施するための最良の形態
本発明は、 ゥコン (Curcuma longa L. ) の発酵処理物であって、 特定 条件下の H P L C分析において、 各ピーク値が、 2 1 8 ( 3分)、 1 6 3 (4. 5分)、 7 4 5 ( 2 1分)、 2 7 ( 2 8分)、 1 8 ( 2 8. 8分)、 2 6 0 0 ( 2 9. 5分)、 2 9 1 ( 3 1. 5分)、 1 0 0 ( 3 2分)、 2 7 (3 2. 3分)、 3 6 3 ( 3 2. 8分)、 ' 1 7 0 0 ( 3 6. 2分)、 1 0 9. 1 ( 3 6. 5分)、 5 3 6 (48分) (単位は mAU) であり、 抗酸化活 性が強化した発酵処理物であれば、 特に制限されるものではない。 本発 明に適用されるゥコンは、 ショウガ科 (Zingiberaceae) に属し、 発酵処 理の対象となる部分は、 葉、 茎、 根等いずれであってもよいが、 根茎等 の地下部が好適であり、 生体であっても、 乾燥体であってもよいが、 特 に、 乾燥体が好ましく、 0. 1〜 3 mmの粒径としたものは菌と混合し て発酵の進行が促進されるため、 好ましい。
本発明の発酵処理物は、 未発酵のゥコンが有する抗酸化活性が更に促 進され、 顕著な抗酸化活性を示すものである。 抗酸化活性は 8 0 %エタ ノール水溶液で抽出したサンプルを D P P H法等により測定することが できる。 ここで、 D P PH法とは、 黒紫色の 2 , 2—ジフエ二ルー 1一 ピクリルヒドラジル (D P PH) がラジカルと容易に反応しラジカルの 捕捉により黒紫色が退色することを利用し、 吸光度の変化量から抗酸化 活性の強度を検出する方法である。 被検体液に D P PHを添加したとき の退色変化量は、 被検体の酸化反応の進行と並行して進行する D P PH のラジカル捕捉による D P P Hの消費量、 即ち、 D P PHと反応したラ ジカル量であり、 この D P PHによるラジカル消費量は被検体のラジカ
ル捕捉 (酸化反応) と競合して進行した D P P Hのラジカル捕捉の結果 であり、 D P P Hの酸化反応速度に相当し、 この D P P H酸化反応に拮 抗する被検体の酸化反応速度にも相当するところから、 被検体の抗酸化 活性の指標となるものである。 このラジカル消費量は、 その値が小さい ものほど、 即ち、 D P P Hの消費量が少ないものほど被検体のラジカル 捕捉反応 (酸化反応) が高速に進行したことを示し、 被検体の抗酸化活 性が高いことを意味する。
本発明の発酵処理物の抗酸化活性の測定は、 発酵処理物の 8 0 %エタ ノール抽出液又は熱水抽出液を D P P Hに添加して 3 0秒後における吸 光度を測定し、 D P P H添加前における吸光度との差から、 発酵処理物 の抽出液無添加のコントロールにおける吸光度の減少を 1 0 0として換 算した吸光度の減少率、 即ち、 ラジカル消費率を求めることができる。 このようにして得られた本発明の発酵処理物のラジカル消費率は、 図 1 に示すように、 コントロールと比較して低く、 本発明の発酵処理物は未 発酵のものが示す抗酸化活性がより向上されており、 既存の商品より優 れた抗酸化活性を示す。
また、 本発明の発酵処理物の抗酸化活性は、 自動酸化によるロダン鉄 法により測定することができる。 ロダン鉄法は、 被検体の存在下で、 リ ノール酸の自動酸化に伴い生成する過酸化物により F e 2+力 F e 3+に 変化し、 生成された F e 3+とチオシアン酸アンモニゥムが反応してでき る赤色物質の吸光度を測定して生成した過酸化物の量を求め、 被検体の 抗酸化活性を評価する方法である。 この生成された過酸化物の量が小さ いものほど、 即ち、 酸化されたリノ一ル酸の量が少ないほど被検体の抗 酸化活性が高いことを示す。 発酵ゥコンを抽出するのに使用するェタノ ールをコントロールとして用い、 コントロールを用いた場合の吸光度の 差を 1 0 0としたときの、 本発明の発酵処理物についての過酸化物の生
成量の値を、 図 2に示す。 本発明の発酵処理物において、 発酵により抗 酸化活性が著しく向上し、 従来の発酵ゥコンに対しても、 抗酸化活性が 顕著に向上している。
本発明の発酵処理物は特定条件下の HP L C分析において、 図 3に示 すように、 各ピーク値が、 2 1 8 ( 3分)、 1 6 3 (4. 5分)、 7 4 5 (2 1分)、 2 7 ( 2 8分)、 1 8 (2 8. 8分)、 2 6 0 0 ( 2 9. 5分)、 2 9 1 ( 3 1. 5分)、 1 0 0 ( 3 2分)、 2 7 ( 3 2. 3分)、 3 6 3 ( 3 2. 8分)、 一 9 ( 3 3. 5分)、 1 7 0 0 ( 3 6. 2分)、 1 0 9. 1 ( 3 6. 5分)、 5 3 6 (48分) (単位は mAU) である。 上記 H P L C分 析における特定条件としては、 サンプルとして発酵ゥコンを 8 0 %エタ ノール水溶液で抽出し、 1 0 mgZmLに調製したものを用い、 D e v e 1 o s i 1 OD S -HG- 5 内径 4. 6 X 2 5 0 mmの力ラムを用 い、 移動相は 0. 1 %T F A—メタノールの 0〜 1 0 0 %までのグラジ ェント分析とし、 流速を 1 mLZm i n、 注入量は 1 0 Lとし、 HP L C (C LAS S— VP : (株) 島津製作所) を用いるものである。 本発明の発酵処理物は、 従来の醱酵ゥコンと比較して、 アルギニン、 リジン、 ヒスチジン、 フエ二ルァラニン、 チロシン、 イソロイシン、 口 イシン、 ノ リン、 ァラニン、 プロリン、 スレオニン、 グルタミン酸、 ァ ーァミン酪酸等のアミノ酸や、 クェン 、 リンゴ酸、 乳酸等の有機酸や リン酸の有効成分の含有量が増加したものである。 本発明の発酵処理物 1 0 0 g中のアミノ酸等の含有量を表 1に、 有機酸等の含有量を表 2に 示す。 表中、 タンパク質の値はゲルダール法により、 窒素 ' タンパク質 換算係数を 6. 2 5として求めた値であり、 リボフラビンと δ—トコフ エロールの値は、 H P L Cにより測定した値を示し、 アミノ酸の値はァ ミノ酸自動分析法による測定値を示す。 また、 本発明の発酵処理物は、 ミネラルについては発酵前のゥコンと比較してカルシウムの含有量が増
加したものである。本発明の発酵処理物のミネラル含有量を表 3に示す。 本発明の発酵処理物のミネラルについて、 具体的には、 試料 0. 5 g をュニシールに入れ、 硝酸 1 OmLを加え、 1 50 °Cで 90分間反応さ せ、 放冷後、 1 0 0 mLトールビ一カーにおいて、 同量の塩酸/過酸化 水素溶液を 1 0 mL加えサンドバス上にて蒸発乾固した後、 希塩酸 1 0 mLを加え加熱し、 放冷後 5 OmLに定容し測定用サンプルとして適宜 希釈し、 原子吸光度計 (AA— 660 : SH I MAZ U社製) を用い吸 光度を測定し、 測定値から濃度を算出し、 その含有量を求めたものであ る。 表中、 単位は mg%である。
(表 1 )
成分名 発酵ゥコン 従来品 タンパク質 1 0. 0 g 7. 0 g リボフラビン 0. 54 m g 0. 22 m g
(ビタミン B
2)
δ トコフェロー 0. 1 m g 検出せず
ル
アルギニン 1 1 m g 1 0 m g
リジン 6 m g 1 m g ヒスチジン 2 m g 1 m g
フエ二ルァラ二 2 m g 検出せず
ン
チロシン 3 m g 2 m g ロイシン 6 m g 2 m g イソロイシン 4 m g 2 m g
バリン 8 m g 4 m g ァラニン 1 6 m g 1 0 m g プロリン 6 m g 3 m g グルタミン酸 23 m g 1 1 m g
スレオニン 4 m g 2 m g
ァーァミノ酪酸 1 3 m g 4 m g
(表 2 )
*単位は mgZg
(表 3 )
Ca Mg K Na Fe Zn 発酵前 148.72 227.5: 3416; 28.35' 28.59 4.88 酸酵ゥコン 170.68 237.5ί 3252 37: 29.08 5.13 本発明の発酵処理物の製造方法は、 ゥコン (Curcuma longa L.) を発 酵させ、特定条件下の H P L C分析において、 各ピーク値が、 2 1 8 ( 3 分)、 1 6 3 (4. 5分)、 7 4 5 ( 2 1分)、 2 7 ( 2 8分)、 1 8 ( 2 8. 8分)、 2 6 0 0 ( 2 9. 5分)、 2 9 1 ( 3 1. 5分)、 1 0 0 ( 3 2分)、 2 7 ( 3 2. 3分)、 3 6 3 ( 3 2. 8分)、 1 7 0 0 ( 3 6. 2 分)、 1 0 9. 1 ( 3 6. 5分)、 5 3 6 ( 4 8分) (単位は mAU) であ り、抗酸化活性を強化させる方法であれば特に制限されるものではない。 発酵処理するために使用される微生物としては、 乳酸菌、 酵母、 枯草菌 を挙げることができ、 これらを単独又は 2種以上を適宜組み合わせて使 用することもでき、 これらのうち乳酸菌を用いることが好ましく、 乳酸 菌単独、 乳酸菌と酵母、 乳酸菌と枯草菌、 又は乳酸菌と酵母と枯草菌等 の組み合わせとして使用することができる。
本発明の発酵処理物の製造方法に用いられる乳酸菌としては、 ストレ プ卜コッカス属(Storeptococcus)、 ラク 卜ノ シリレス属(Lactobacillus)、 ロイコノストック属(Leuconostoc)、ぺディォコッカス属(Pediococcus)、 ビフィ ドバクテリゥム属 (Bifidobacterium) 又はテトラジェノコッカス 属 (Tetragenococcus) のいずれかに属する菌が好ましく、 特にラク ト
バシルス属が好ましレ 上記ストレプトコッカス属に属する菌としては、 ストレプトコッカス ·サーモフィルス (S. thermophilus) であることが 好ましく、 ストレプトコッカス 'サーモフィルス I F 01 3 9 5 7菌株 を具体的に例示することができる。 また、 ラク トバシルス属に属する菌 としては、 ラク トバシルス · プランタリム (L. plantrum)、 ラク トバシ ルス ·デルブリツキ (L. delbruckii) , ラク トバシルス .ペントサス (L. pentosus) 又はラク 卜バシルス · カセィ (L. casei) のいずれかに属す る菌であることが好ましく、 これらの菌のうち、 特にラク トパシルス · プラン夕リムが好ましい。 かかるラク トバシルス · プランタリムとして I F O 1 4 7 1 2菌株ゃ I F O 1 4 7 1 3菌株を、 ラク トバシルス ' デ ルブリツキとして I F 01 3 9 5 3菌株を、 ラク トバシルス ' ペントサ スとして I F O 1 2 0 1 1菌株を、 ラク トバシルス · カセィとして I F O 1 5 8 8 3菌株を、 それぞれ具体的に例示することができる。 また、 テトラジェノコッカス属に属する菌としては、 テトラジェノ 'ハロフィ ルス (T. halophilus) であることが好ましく、 テトラジェノ 'ハロフィ ルス I F 0 1 2 1 7 2菌株を具体的に例示することができる。 これら乳 酸菌は、 ゥコンの乾物 1 gあたり、 通常 1 0 3〜 1 0 7個、 特に 1 0 6 〜 1 0 7個用いることが好ましい。
また、 本発明の発酵処理物の製造方法において用いられる酵母は、 主 として香りの改善のために添加され、 かかる酵母としては、 カンジダ属 (Candida) 又はサッカロマイセス属 ( Saccharomyces) に属する菌が 好ましい。 かかるカンジダ属に属する菌として、 カンジダ * ビルサチル ス (Candida versatilis) であることが好ましく、 カンジダ ' ビルサチ ルスとして I F O 1 0 0 3 8菌株を具体的に例示することができる。 サ ッカロマイセス属に属する菌として、 サッカロマイセス ·セレビシァェ (S. cerevisiae) であることが好ましく、 サッカロマイセス ·セレビシ
3
ァェとして I F O 0 5 5 5菌株を具体的に例示することができる。 これ ら酵母菌は、 ゥコンの乾物 l gあたり、 通常 1 0 3〜 1 0 7個、 特に 1 0 6〜 1 0 7個用いることが好ましい。
更に、 本発明の発酵処理物の製造方法において用いられる枯草菌とし ては、 バシルス · ズブチルス (B. subtilis) I F 03 0 1 3菌株を具体 的に例示することができる。これら枯草菌は、ゥコンの乾物 1 gあたり、 通常 1 0 3〜 1 0 7個、 特に 1 0 6〜 1 0 7個用いることが好ましい。 本発明の発酵処理物の製造方法において、 好ましく用いられる微生物 群としては、 乳酸菌、 酵母及び枯草菌を含む微生物群が好ましく、 これ ら微生物群の中でも、 ラクトバシルス , プランタリム、 ストレプトコッ カス ·サ一モフィルス、 バシルス · ズブチルスの混合菌であることが好 ましく、 これらはョモギの乾物に対し、 菌数として同数を使用すること が好ましい。このような菌数の組合せにおいて菌を使用することにより、 発酵時間の短縮を図り、 ひいては雑菌の繁殖を抑制することができる。 本発明の発酵処理物の製造方法においては、 上記ゥコンの根茎乾燥体 を、 3 mm以下、 好ましくは 0. 5〜 1. 0 mmの粒径まで粉砕する。 3 mm以下の粒径とすることにより、 発酵菌との接触面積を十分に確保 することができ、 発酵を効果的に進行させることができ、 0. 5〜 1. 0 mmの範囲の粒径であれば、 かかる効果がより顕著に得られる。 この ような植物の粉砕物に、 発酵の進行を促進するため、 乾物 1重量部に対 し、 1〜 1 0重量部、 特に 1〜 2重量部程度の水分を添加することが好 ましい。 かかる粉砕植物に、 上述の菌又は菌群を添加する。 菌群は各々 菌を培養後、 培地へ添加する前に予め混合し、 乾燥体である場合の植物 の重量に対して、 1〜 1 0重量%添加することが好ましい。 発酵は、 温 度 2 0〜 5 0 °C、 好ましくは 4 0 °Cで行なわれることが好ましく、 発酵 時間は、 p Hや、 菌数等の条件による発酵の進行状況や、 嗜好により適
宜選択することができ、例えば、 p H 4〜 5、菌数 1 0 6以上であれば、 約 7 2時間とすることが好ましい。 発酵処理時、 脱酸素処理を行なうこ とが好ましく、 発酵処理中、 脱酸素ガスを循環させて行なうこともでき るが、 脱酸素処理後、 密閉容器中で静置培養において発酵させることも できる。 かかる脱酸素処理は二酸化炭素、 窒素ガス等により行なうこと が好ましい。 発酵形式は、 液体培養でなく固体培養が好ましい。
かかる発酵処理において、 発酵菌の資化剤として炭水化物や蛋白質を 添加することができる。 資化剤としての炭水化物は市販のブドウ糖、 蔗 糖、 廃糖蜜等の糖が好ましく、 これらの添加量としては培地当たり 1〜 1 0重量%が好ましく、 特に 3重量%前後が適当である。 資化剤として の蛋白質は米糠、 ふすま等が好ましく、 これらの添加量としては培地当 たり 1〜 5重量%が好ましい。 これらの資化剤は 1種を単独で、 又は 2 種以上を混合して用いてもよい。
発酵終了後、 乾燥機により水分値が 1 0重量%以下となるように乾燥 させることが好ましく、 乾燥方法としては、 加熱乾燥や凍結乾燥による ことができ、加熱乾燥の場合は、品温が 1 0 0 °c以下で行われることが、 生理活性成分の失活を防止することができるため好ましい。 乾燥後、 必 要に応じて加熱等公知の方法により滅菌処理を行なうことにより、 特定 条件下の H P L C分析において、 各ピーク値が、 2 1 8 ( 3分)、 1 6 3 (4. 5分)、 74 5 ( 2 1分)、 2 7 ( 2 8分)、 1 8 ( 2 8. 8分)、
2 6 0 0 ( 2 9. 5分)、 2 9 1 ( 3 1. 5分)、 1 0 0 ( 3 2分)、 2 7 ( 3 2. 3分)、 3 6 3 ( 3 2. 8分)、 1 7 0 0 ( 3 6. 2分)、 1 0 9.
1 ( 3 6. 5分)、 5 3 6 (4 8分) (単位は mAU) であり、 抗酸化活 性が強化した発酵ゥコンが得られる。 かかる特定条件とは、 サンプルと して発酵ゥコンを 8 0 %エタノール水溶液で抽出し、 l OmgZmLに 調製したものを用い、 D e v e l o s i l OD S -HG- 5 内径 4.
6 X 2 5 0 mmのカラムを用い、 移動相は 0. 1 %T FA—メタノール の 0〜1 0 0 %までのグラジェント分析とし、 流速を l mLZm i n 注入量は 1 0 i Lとし、 HP L C (C LA S S— VP : (株) 島津製作所) を用いるものであり、 本発明の発酵処理方法によって得られた発酵処理 物は、 食品素材や、 エキスの原料として使用される発酵処理物として好 適である。
本発明の発酵処理物は、 食品素材としては発酵処理物自体や、 飲用水 に抽出したエキスから作製する夕ブレット、 顆粒、 カプセル等や、 ティ —バック、 ペッ トボトル、 缶、 ドリンク剤用の茶葉を挙げることができ る。 また、 発酵処理物自体や抽出したエキスから作製する顆粒等をふり かけ等の食品素材として利用したり、 健康食品として利用することもで きる。 また、 かかるエキスや顆粒を飲用水や、 ジュース等に溶解した飲 料や、 パン、 ケ一キ、 煎餅などの焼き菓子、 羊羹などの和菓子、 冷菓、 チューインガム、ゼリ一等のパン ·菓子類や、 うどん、 そば等の麵類や、 かまぼこ、 ハム、魚肉ソーセージ等の魚肉練り製品や、 みそ、 しょう油、 ドレッシング、 マヨネーズ、 甘味料等の調味類や、 チーズ、 バタ一、 ョ 一ダルト、 アイスクリーム、 プディング等の乳製品や、 豆腐、 こんにや く、 その他佃煮等の各種総菜に配合した食品として使用することができ る。
また、 本発明の発酵処理物のエキス等を抗酸化活性組成物や肥満抑制 剤等の医薬品として用いることもでき、 その場合は、 薬学的に許容され る通常の担体、 結合剤、 安定化剤、 賦形剤、 希釈剤、 pH緩衝剤、 崩壊 剤、 可溶化剤、 溶解補助剤、 等張剤などの各種調剤用配合成分を添加す ることができる。 またこれら予防若しくは治療剤は、 経口的又は非経口 的に投与することができる。 すなわち通常用いられる投与形態、 例えば 粉末、 顆粒、 カプセル剤、 シロップ剤、 懸濁液等の剤型で経口的に投与
することができ、 あるいは、 例えば溶液、 乳剤、 懸濁液等の剤型にした ものを注射の型で非経口投与することもできる他、 スプレー剤の型で鼻 孔内投与することもできる。
(実施例)
以下、 実施例により本発明をより具体的に説明するが、 本発明の技術 的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
実施例 1 :発酵処理物の製造
乾燥したゥコンの根茎 3 0 gを 0. 1〜 3 mmの粒径に粉碎し容器に 入れた。 ゥコンを入れた容器に水 1 5 0 g、 糖蜜 0. 9 gを添加した。 かかる粉碎ゥコンを収納した容器に二酸化炭素を供給しながら、 ラクト バシルス · プランタリム、 ストレプトコッカス 'サーモフィルス、 バシ ルス ·ズブチルスの各々の菌を培養後、菌数 1 : 1 : 1の割合で混合し、 ゥコンの重量に対し、 1 0重量%を添加し、 容器を密閉し、 静置培養に より発酵を行った。 発酵温度は 4 0°C、 発酵時間は 7 2時間とした。 そ の後、 乾燥機により水分値が 1 0重量%以下になるまで 6 0°Cで乾燥し た後、 滅菌処理 ( 1 3 0 °C蒸気、 5〜 1 5秒) を行い、 醱酵ゥコン 3 0 を得た。
実施例 2 :発酵処理物の抗酸化活性の測定
実施例 1で得られた醱酵ゥコンについて、 醱酵ゥコン 1 mgに対して 8 0 %エタノール 1 mLで抽出したサンプルを調製した。 サンプル 0. 0 5mI^;:、 0. 0 5M Uスー塩酸緩衝液(p H 7. 4) (WAKO (株) 社製) 0. 9 5mLと、 0. 1 mMD P P H—エタノール溶液 (WAK 〇 (株) 社製) 1. OmLと、 1 0 0 %エタノール 1. OmLとを混合 して得た試薬を添加した。 試薬添加前と、 添加 3 0秒後の吸光度 ( 5 1 7 nm) を分光光度計 (島津 (株) 社製、 UV— 1 2 0 0 V) を用いて 測定した。 コントロールとして水を用い、 コントロールの試薬添加前後
の吸光度の差を 1 00としたときの、 サンプルの試薬添加前後の吸光度 の差の値を、 ラジカル消費率として求めた。 結果を表 4に示す。
比較例として、 発酵前、 従来の発酵ゥコン、 クルクミンについて同様 に行なった。 結果を表 4に示す。
(表 4)
結果からも、 醱酵ゥコンは優れた抗酸化活性を有することが明らかで ある。 実施例 3 : 発酵処理物の抗酸化活性の測定
実施例 1で得られた醱酵ゥコン 1 gを、 80 %エタノール 50 mLで 抽出した。抽出したサンプル 1 Omgに、 エタノール 0. 4mL、水 0. 4mL、 50 mMリン酸緩衝液 ( p H 7. 0) 0. 8mL、 2. 5 % U ノール酸 Zエタノール溶液 0. 4mLを加え、 40°Cの恒温槽に 7日間 放置した。 この混合液 0. lmLに、 75 %エタノール水溶液 4. 7 m L、 30 %チォシアン酸アンモニゥム 0. lmL、 20 mM塩化第一鉄 / 3. 5 %塩酸0. lmLを加え、 3分後の波長 50 0 nmにおける吸 光度を分光光度計 (島津 (株) 社製、 UV— 1 200 V) を用いて測定 した。 結果を表 5に示す。 コントロールとして 80 %エタノール水溶液 を用い、 コントロールの吸光度の差を 1 00としたときの、 サンプルの 吸光度を脂質過酸化率として求めた。 結果を表 4に示す。
比較例として、 発酵前、 従来の発酵ゥコン、 クルクミンについて同様 に行なった。 結果を表 5に示す。
(表 5 )
結果からも、 醱酵ゥコンは優れた抗酸化活性を有することが明らかで ある。 産業上の利用可能性
本発明の発酵処理物やその製造方法によれば、 元来ミネラル等が豊富 であり優れた有効成分を含有するゥコン植物について発酵処理をするこ とにより食感や食味の改善を図り、 抗酸化活性が高く、 特定の成分の含 有量が増加した発酵処理物を得ることができ、 また、 かかる有効成分が 変化した発酵処理物を含有させることにより優れた食品や食品素材とす ることができ、 その利用価値が大きい。