明 細 書
ゥエッジのずれ防止構造
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本発明は、 PC構造物において、 PC鋼材の端部を定着するのに用いるゥエッジの ずれ防止構造に関するものである。特に、 PC鋼材の長手方向に対して同じ位置に ゥエッジの分割片を配置することができ、 かつ、 円周方向に対しても均等に分割 片を配置することができる定着用ゥエッジを提供することができるゥエッジずれ 防止構造に関するものである。 背景技術
PC鋼より線などの PC鋼材を PC構造物に定着する構造として、ゥエッジとアン カーディスクを用いた構造が知られている (例えば特開平 8— 6 8 1 5 8号公報 (第 4図) ) 。 この定着構造は、 例えば第 7図に示すように、 複数の PC鋼より線 30の外周を内 '外トランぺット体 41, 42で覆い、 コンクリート構造物 60の端面 側にリブキャストアンカ一 43を配置したものである。
リブキャストアンカ一 43上にはアンカーディスク 46が配置される。 アンカー ディスク 46は、 PC鋼より線 30の貫通孔を複数有する円盤状のもので、 この貫通 孔の一部はテーパー状に形成されて後述するゥエッジ 10 がはめ込まれるように 構成されている。
ここで、 PC鋼より線 30の端部にはゥエッジ 10が装着される。 ゥエッジ 10は 複数の分割片 11を組み合わせることで円錐台状に形成される。 分割片 11を組み 合わせた状態で、 ゥエッジ 10の中心部には軸方向に伸びる円孔が形成される。 こ の円孔内にて PC鋼より線 30がゥエッジ 10に把持される。 各分割片 11は、 ゴム や鋼製の拘束リング 20 でばらばらにならないように一体化される。 拘束リング 20は、 例えば、 円錐台状に組み合わせたゥエッジの外周にはめられる Oリングで ある。
ゥエッジが装着された PC鋼より線は、ジャッキで所定の緊張力が付与され、 こ の緊張状態でゥエッジをアンカーディスクの貫通孔にはめ込むことで PC鋼より
線が PC構造物に定着される。
前述したように、ゥエッジは複数の分割片の組み合わせで構成されているので、 ゥエッジは定着後において、 長手方向に対して均一に、 円周方向に均等に配置さ れることが望ましい。 .
しかし、 上記のゥエッジでは、 PC鋼材の長手方向および円周方向に各分割片が 不均一に配置され、 PC鋼材にかかる付加応力も不均一に作用する場合があるとい う問題があった。 )
即ち、 PC鋼材の緊張前において、 各分割片を長手方向に均一に配置しておくこ とはできる。 しかしながら、 緊張作業時は、 PC鋼材を緊張しながらジャッキの定 着板で分割片の端部を押してアンカ一ディスクの貫通孔に仮状態ではめ込むよう にしているので、 各分割片の端面が定着板に不均一に当接、 例えば片当たりして しまうと、 分割片が長手方向に対して斜めに押し出されてしまう。 このように一 部の分割片が斜めに押し出されてしまうと、 各分割片が不均一、 かつ、 不均等な 状態に配置されてしまう。
また、 PC鋼材を所定の力で緊張させた後に、緊張を開放すると、 PC鋼材が縮み、 それに伴って PC鋼材に把持されているゥエッジも移動する。この移動によりゥェ ッジがアンカーディスクの貫通孔にさらに強くはめ込まれる。 このとき、 PC鋼材 の軸がアンカーディスクの貫通孔の中心軸に対して斜めにずれてしまうと、 ゥェ ッジの分割片が貫通孔に片当たりしてしまい、 各分割片が不均一な状態に配置さ れてしまう虞もある。
従って、本発明の目的は、 PC鋼材の外周に分割片を長手方向に均一に配置して、 PC鋼材にかかる付加応力の偏りを防止できるゥエッジのずれ防止構造を提供す ることにある。 発明の開示
本発明は、 複数の分割片がばらばらに長手方向に移動しないように連結手段で 各分割片を連結することにより上記の目的を達成する。
すなわち、 本発明は、 n個 (η>1)の分割片を組み合わせることで円錐状に形成 されて PC鋼材を把持するゥエッジのずれ防止構造であって、各分割片の長手方向
へのずれを規制し、 周方向への移動を許容して、 少なくとも n-1個の分割片の隣 接間隔における側面を連結する連結手段とを具えることを特徴とする。
分割片を組み合わせて PC鋼材を把持すると、各分割片の間には隙間が形成され る。緊張時、 この隙間により各分割片はそれぞれ個別に PC鋼材の長手方向に移動 したり、 周方向に動いたりして不均一な配置が起こる。
本発明では、 連結手段により各分割片が長手方向へずれてしまうのを規制し、 かつ、 周方向への移動を許容するように各分割片を周方向に連結する。 この連結 手段により、 PC鋼材のゥエッジ定着後において、 各分割片の配置を長手方向に均 一に保持して、 PC鋼材に均一に付加応力が作用するようにすることができる。 なお、 ゥエッジをアンカーディスクの貫通孔に圧入する際に、 ゥエッジは、 締 め込みにより分割片の隣接間隔が狭くなつていく。 そのため、 分割片は、 ゥエツ ジの締め込み動作により周方向への移動を許容する必要がある。 したがって、 本 発明における周方向への移動を許容するようにとは、 ゥエッジの締め込み動作に より分割片が周方向へ移動できるようにすることを意味する。
通常、 このゥエッジは、 分割片を組み合わせた場合に、 円錐台状に形成される ものである。 すなわち、 分割片の各々は、 ゥエッジの軸方向と直交する断面が扇 形に形成されている。
一般に、 各分割片は、組み合わせた場合に、 内側に円孔を形成して PC鋼材との 接触面を構成する。 この分割片の内面には山型の歯を形成して、 PC鋼材を緊張 · 定着した場合、 この歯が PC鋼材にかみこむことで PC鋼材に導入された荷重を負 担する。 分割片の数は特に限定されない。 一般に 2〜3偭程度である。
連結手段としては、隣り合う分割片のゥエツジ太径側側面に接続されるピンと、 分割片を円錐状に保持する拘束リングとにより構成することができる。
具体的には、 扇形状の分割片のゥエッジ太径側側面となる平面部の両面に、 ピ ンが揷入される挿入穴を形成する。 この挿入穴は、 隣合う分割片の挿入穴と対向 するように形成される。
そして、 隣合う分割片の一方の挿入穴にピンの一端部を挿入し、 ピンの他端部 を他方の挿入穴に挿入して、 順次分割片をピンで周方向に結合していく。 このピ ンによる結合で全ての分割片を同じ方向に同期して移動させることができるので、
それぞれの分割片がばらばらに長手方向に移動して位置ずれしてしまうことを阻 止することができる。
さらに、 各分割片の太径側外周には環状溝を形成し、 この環状溝に拘束リング を装着し Tゥエッジを円錐状に保持する。 拘束リングには、 ゴムリングなどの弾 性体を用いることが好ましい。
以上のように、 連結手段として、 ピンと拘束リングを用いることにより、 全て の分割片は常に揃つた状態で同じ方向に移動してずれることがないので、 PC鋼材 の外周に分割片を長手方向に均一に配置して、 PC鋼材にかかる付加応力を均一に することができる。
さらに、 本発明では、 ピンの長さと挿入穴の深さを、 ピンが抜けないようにピ ンが挿入穴内を摺動し、 かつ、 ゥエッジをアンカ一ディスクの貫通孔に圧入して 分割片の隣接間隔が狭くなつてもピンが揷入穴の底部に当たらないように設定す ることにより、 分割片の周方向への移動が許容される。
また、 他の連結手段としては、 それぞれの分割片のゥエッジ太径側端面に突設 される突出部と、 この突出部の側面に周方向に貫通形成される揷通用孔と、 全て の挿通用孔に揷通されるリング部材とを有するように構成することが挙げられる。 断面扇形状の分割片に円弧状のリング揷通用孔を一方の側面から他方の側面に わたって形成することは困難である。 本発明では、 分割片のゥエッジ太径側端面 の一部を突出させて突出部を形成し、 この突出部の側面に周方向に延びる長さの 短い揷通用孔を形成することによりリング部材を簡単に揷通させることができる。 本発明では、 突出部の側面は、 分割片の側面の一部であり、 リング部材を突出 部に形成する揷通用孔に順次揷通させていくことにより、 一つのリング部材で複 数の分割片の側面が連結される。
リング部材で各分割片が連結され、 しかも、 このリング部材は、 突出部の挿通 用孔により長手方向の移動が規制されるので、 分割片がばらばらに長手方向に移 動してしまうのを阻止することができる。
この場合も、 全ての分割片は常に揃った状態で同じ方向に移動するので、 PC鋼 材の外周に分割片を長手方向に均一に配置して、 PC鋼材にかかる付加応力を均一 にすることができる。
さらに、 本発明では、 突出部の揷通用孔にリング部材を揷通させているだけで あるので、 分割片の周方向への移動は許容される。
また、 突出部は、 一つの分割片に対して円弧方向の中央部に一つ設けてもよい が、 円弧方向の両端部に設けることが好ましい。 また、 突出部を円弧方向両端と 中央に設けるようにしてもよい。 このように一つの分割片に複数の突出部を設け ることにより、 リング部材を保持する箇所を多くできるので、 分割片の長手方向 のずれをより良好に防止することができる。
突出部を一つの分割片の円弧方向両端部に形成する場合は、 隣合う分割片の突 出部の間に、 前記リング部材が揷通されるリング状弾性部材を介在させることが 好ましい。
このように、 突出部の間にリング状弾性部材を介在させることにより、 分割片 同士の接触を防止するとともに、 各分割片の間に形成される隙間を均等に維持し て、 分割片を周方向にも均等に配置することができる。
さらに、 連結手段は、 分割片を平面状に展開可能に、 隣り合う分割片の側面を 弾性を有する合成樹脂材料で結合して構成するようにしてもよい。 合成樹脂材料 は、 シリコーンゴムなどの弾性変形がしゃすく、 射出成形が行なえる材料で形成 することが好ましい。
例えば三つの分割片からゥエツジを構成する場合、 分割片を円錐状に配置した ときに分割片の間にできる隙間は三箇所 (n個) 形成される。 この三箇所の隙間 のうち、 一箇所を除く全ての隙間 (n-1 個)を弾性合成樹脂材料で埋めるようにし て隣り合う分割片を連結する。
分割片を弹性合成樹脂材料で連結する場合、 所定の隣接間隔をとつて分割片を 円錐状に配置した状態で、 分割片を弾性合成樹脂材料で連結するようにしてもよ いし、 分割片を板状に展開した状態で、 分割片を弾性合成樹脂材料で連結するよ うにしてもよい。
分割片を円錐状のまま弾性合成樹脂材料で連結する場合には、 各分割片は弾性 合成樹脂材料により円錐状に保持される。そのためゥエッジを PC鋼材に装着させ る際には、 ゥエッジを広げて弾性合成樹脂材料を弾性変形させることにより PC 鋼材に嵌める。 なお、 ゥエッジが円錐状に保持されるので、 従来使用していた拘
束リングを用いなくても円錐形状を保持できるが、 拘束リングを用いてもよい。 また、 分割片を板状に展開した状態で、 分割片を弾性合成樹脂材料で連結する 場合には、 分割片は、 弾性合成樹脂材料を介して一枚の板状に形成される。 この ように板状に形成された場合には、 弾性合成樹脂材料を弾性変形させて分割片を PC鋼材に巻きつけ、 拘束リングでゥエッジを円錐状に保持することができる。 弾性合成樹脂材料は、 分割片の側面全体を覆うように設けてもよいし、 分割片 の位置ずれを防止できれば側面における長手方向の一部に設けるようにしてもよ い。
この場合も、 全ての分割片は弹性合成樹脂材料により連結されるので、 各分割 片は常に揃った状態で同じ方向に移動し、 PC鋼材の外周に分割片を長手方向に均 一に配置して、 PC鋼材にかかる付加応力を均一にすることができる。
さらに、 分割片を弾性合成樹脂材料により連結しているので、 分割片の周方向 への移動は、 この弾性合成樹脂材料の弾性変形により許容される。
なお、 本発明にかかるゥエッジは、裸の PC鋼より線はもちろん、エポキシ樹脂 などの樹脂被覆を設けた PC鋼より線に対しても適用できる。 図面の簡単な説明
第 1図は、 (A)は本発明の実施例 1にかかるゥエッジの側面図、 (B)はその端面 図、
第 2図は、 (A)は本発明の実施例 2にかかるゥエッジの側面図、 (B)はその端面 図、
第 3図は、本発明の実施例 2に用いるリング部材を示し、(A)はその平面図、 (B) はその側面図、
第 4図は、 第 2図に示すゥエッジにリング部材、 リング状弾性部材、 拘束リン グを装着した状態を示し、 (A)はその側面図、 (B)はその端面図、
第 5図は、 (A)は本発明の実施例 3にかかるゥエッジの側面図、 (B)はその端面 図、
第 6図は、 第 5図に示す実施例 3にかかるゥエツジの展開図、
第 7図は、 (A)は PC鋼より線の定着構造を示す断面図、 (B)は (A)図の破線部の
拡大図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明の実施の形態を説明する。
(実施例 1 )
実施例 1のゥエッジについて第 1図に基づいて説明する。第 1図 (A)はゥエッジ の側面図、 (B)はゥエッジの端面図である。
本発明にかかるゥエッジ 10は、 第 1図(B)に示すように、 3つの分割片 11から なっている。各分割片 11はほぼ扇状の断面をもち、一端は径が大きく、 他端は径 が小さいテーパー状に形成されている。 3つの分割片 11を組み合わせるとほぼ円 錐台状に形成される。
この分割片 11は、 円弧面を持つ断面が扇形のものである。 この分割片の内面は PC鋼より線との接触面となる個所で、分割片 11を組み合わせることで PC鋼より 線を把持する円孔を形成する。 さらに、 分割片の内面には山型の歯を形成して、 PC鋼より線をより強固に把持できるように構成している。
一方、 ゥエッジ 10の太径側の外周には環状溝 12が形成されている。 環状溝 12 には、 拘束リング 20が嵌め込まれる。 拘束リング 20は、 ゴム製の 0リングであ る。 この拘束リング 20により分割片 11が円錐状に保持される。
そして、分割片 11における両側の側面 13で、 前記環状溝 12より太径側に、 ピ ン揷入穴 14を形成する。各分割片 11の挿入穴 14は、 全て、長手方向において同 じ位置に設けている。
これら挿入穴 14には、 ピン 50が掙入される。 ピン 50の両端部がそれぞれ隣り 合う分割片 11 の挿入穴 14に挿入されることにより、 隣り合う分割片 11がピン 50を介して周方向に連結される。 なお、 ピン 50を挿入穴 14へ挿入したとき、 分. 割片 11の側面 13の間に所定の隙間が形成されるように、ピン 50の長さおよび揷 入穴 14の深さを設定している。 即ち、 ピン 50の長さおよび挿入穴 14の深さは、 ゥエッジ 10を PC鋼材に装着してから定着完了までに、 ピン 50を挿入穴 14に挿 入したままで、 しかも、 定着完了時にピンが挿入穴の底部に当たらないように設 定している。
以上のように本実施例では、 ピン 50により各分割片 11を連結する連結手段を 構成している。
そして、 全ての挿入穴 14にピン 50が揷入されると、 第 1図 (B)に示すように、 全ての分割片 11がピン 50を介してリング状に連結される。 このピン 50により、 各分割片 11は、長手方向端部が常に揃った状態になって均一に配置される。 この ように分割片 11をピン 50で結合しているので、 PC鋼より線を緊張している時、 または、緊張開放後においても、各分割片 11は長手方向に常に均一の位置に配置 されたままにできる。従って、 PC鋼より線に均一な付加応力を作用させることが できる。
さらに、 本実施例では、 既存の分割片に揷入穴 14を形成して、 この挿入穴 14 にピン 50を挿入することができるので、 分割片の型を設計変更する必要がなく、 部品点数の増加をピン 50のみとすることができる。
以上のゥエッジも、第 7図 (A)の定着構造などに用いられる点で従来のゥェッジ と共通している。 この定着構造は、 複数の PC鋼より線 30の外周を内 ·外トラン ぺット体 41 , 42で覆い、コンクリート構造物 60の端面側にリブキャストアンカー 43を配置したものである。
内 ·外トランぺット体 41, 42の端部にはリセスチューブ 44が装着される。 内 · 外トランぺット体 41, 42およびリブキャストアンカ一 43の外周には、スパイラル 筋 45が配置されている。 また、 リブキャストアンカー 43上にはアンカ一デイス ク 46が配置される。
ァンカーディスク 46は、 PC鋼より線 30の貫通孔を複数有する円盤状のもので、 この貫通孔の一部はテーパー状に形成されて上記のゥエッジ 10 がはめ込まれる ように構成されている。そして、アンカーディスクと PC鋼より線の端部はグラウ トキヤップ 47により覆われる。
もちろん、第 7図 (A)に示す定着構造はゥェッジを用いる定着構造の一例であり、 他にも、 ①内外トランペット体を用いない一重管シースを用いた構造、 ②リブキ ャストアンカ一を用いず、コンクリート端面に配置されるプレートを用いた構造、 ③ PC鋼より線を複数ではなく 1本のみ配置する構造などが挙げられる。
(実施例 2 )
次に、 分割片をリング部材で連結する実施例 2を第 2図および第 3図に基づい て説明する。 第 2図 (A)はゥエッジの側面図、 (B)はゥエッジの端面図であり、 第 3図はリングの平面図 (A)と側面図 (B)である。
各分割片 1 1を連結する連結手段は、 それぞれの分割片 1 1のゥエッジ太径側端 面に突設される突出部 51と、 この突出部 51の側面に周方向に貫通形成される挿 通用孔 52と、全ての挿通用孔 52に揷通されるリング部材 53とにより構成される。 また、本実施例においてもゥエッジ 10の円錐形状を確実に保持するため、拘束リ ングを用いており、実施例 1とおなじゴム製の 0リングを用いて、環状溝 12に装 着する。
突出部 51は、分割片 1 1のゥエッジ太径側端面の円弧方向両端部に設けている。 このとき、 突出部 51の側面は、 分割片 1 1の側面の一部となる。 そして、 これら 突出部 51に周方向に延びる揷通用孔 52を形成している。
リング部材 53は、第 3図に示すように、金属材料からなる線状の長尺体を環状 に曲げてリング状に成形して構成される。リング部材 53の端部は斜めの切り口と なるように形成されている。
そして、このリング部材 53の一端部を突出部 51に形成する挿通用孔 52に順次 揷通させていくことにより、 一つのリング部材 53で全ての分割片 1 1が周方向に 連結される。
また、第 4図に示すように、リング部材 53を挿通用孔 52に揷通させていく際、 隣合う分割片 1 1の突出部 51の間に、前記リング部材 53が揷通されるリング状弹 性部材 54を介在させてもよい。
以上のように、 本実施例では、 リング部材 53で各分割片 1 1の側面が連結され ることにより、分割片 1 1がばらばらに長手方向に移動してしまうのを阻止するこ とができる。 この場合も、全ての分割片 1 1は常に揃った状態で同じ方向に移動す るので、 PC鋼材の外周に分割片を長手方向に均一に配置して、 PC鋼材にかかる付 加応力を均一にすることができる。
さらに、本実施例では、突出部 51の揷通用孔 52にリング部材 53を揷通させて いるだけであるので、 分割片の周方向への移動は許容される。
また、突出部 51は、一つの分割片に対して円弧方向の両端部に設けられている ので、 リング部材 53を一つの分割片 1 1において二箇所で保持することができ、 分割片 11の長手方向のずれをより良好に防止することができる。
さらに、隣合う分割片 1 1の突出部 51の間に、 リング状弾性部材 54を介在させ ることで、 分割片同士の接触を防止でき、 各分割片の間に形成される隙間を均等 に維持して、 分割片を周方向にも均等に配置することができる。
(実施例 3 )
次に、 分割片の側面同士を弾性合成樹脂材料で連結したゥエッジを第 5図に基 づいて説明する。 第 5図 (A)はゥエッジの側面図、 (B)は端面図である。
実施例 3における連結手段は、分割片 1 1を平面状に展開可能に、隣り合う分割 片 1 1の側面 13を弾性を有する合成樹脂材料 55で結合して構成している。
分割片 1 1は、 第 5図に示すように、 3つ具えており、 分割片 1 1を円錐状に配 置したときに分割片の間にできる隙間は三箇所形成される。 本実施例では、 分割 片 1 1 を円錐状に配置した状態のまま、 この三箇所の隙間を弾性合成樹脂材料 55 で埋めるようにしている。 弾性合成樹脂材料 55 のうち、 二つは隣り合う分割片 1 1 と結合させており、 残りの一つは、 一側面のみを分割片 1 1 と結合し、 他方の 側面は開放させて、 分割片 1 1を円錐状にしたときに、 弾性合成樹脂材料 55が分 割片 1 1と接触するようにしている。 また、 弾性合成樹脂材料 55は、 シリコーン ゴムなどの弾性材料を用いている。
このように、 分割片 1 1を弾性合成樹脂材料 55で結合するので、 弾性合成樹脂 材料 55の部分を介して、 第 5図 (B)に示すように、 円錐状を保持した状態で分割 片の側面が連結される。 さらに、 分割片を非連結部分から広げて、 弾性合成樹脂 材料を弾性変形させることにより、 ゥエッジを、 第 6図に示すように一枚の板状 に展開することができる。
また、 円錐状のゥ工ッジを板状に展開させた状態から弾性合成樹脂材料を弾性 回復させることにより、ゥエッジを元の円錐状に戻すことができる。このように、 本実施例のゥエッジは、 円錐状のゥエッジを板状に展開させながら、 PC鋼材に巻 き付けることができる。
この場合、 ゥエッジに拘束リングを装着しなくてもよいが、 PC鋼より線に分割 片を巻き付けた後、分割片 1 1に端部開放型の拘束リングを装着するようにしても よい。 また、 ゥエッジを板状に展開させることなく、 PC鋼より線をゥエッジ内に 揷通させるようにしてもよい。 このときゥエッジに拘束リングを装着しておいて ちょい。
弾性合成樹脂材料は、 分割片の側面全体を覆うように設けてもよいし、 分割片 の位置ずれを防止できれば長手方向の一部に設けるようにしてもよい。
この場合も、 全ての分割片は弹性合成樹脂材料により連結されるので、 各分割 片は常に揃った状態で同じ方向に移動し、 PC鋼材の外周に分割片を長手方向に均 一に配置して、 PC鋼材にかかる付加応力を均一にすることができる。
さらに、 分割片を弹性合成樹脂材料により連結しているので、 分割片の周方向 への移動は、 この弾性合成樹脂材料の弾性変形により許容される。
また、 本実施例では、 分割片の側面を弾性合成樹脂材料で結合する構成である ため、 分割片には既存の物を使用することができ、 分割片を設計変更する必要が なく、 分割片の側面の連結が可能となる。 産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明によれば、 連結手段により、 分割片を PC鋼材の外 周に長手方向にずれることなく均一に、 さらに、 円周方向に均等に配置すること ができる。 そのため、 PC鋼材を均等に保持することができ、 定着部の性能を向上 させることができる。 また、 PC鋼材の緊張作業も、 従来のゥエッジを用いた場合 と何ら変わりがなく、 特別の器具や装置を用いて緊張を行う必要もない。