明 細 書 電子部材用粘着テープ 技術分野
本発明は、 半導体ウェハや電子基板などの電子部材を切削、 研磨する際に、 これら電子部材に貼り付けて使用するための電子部材用粘着テープに関する。 背景技術
電子部材用粘着テープとしては、 支持体の片面又は両面にアクリル樹脂系粘 着剤やウレタン樹脂系粘着剤を積層したものが知られている。 例として例えば 特開平 10— 338853号がある。 ダイシングテープに関連する特許として は、 例えば、 特開昭 60— 196956号、 特開昭 60— 223 139号があ る。 放射線重合性化合物としてウレタンアクリル系オリゴマーを使った特許と して、例えば特開昭 6 1 - 28572号、特開昭 62 - 153376号がある。 アクリルベースのベースポリマーを使用したものとして、 例えば特開昭 60 - 1 89938号、特開昭 60 - 196956号、特開昭 62— 1 53375号、 特開昭 63— 205383号、 特開 2002— 256234号がある。 粘着剤 に酢酸ビニル系樹脂を使ったものとしては特開昭 59 - 1 15539号、 特開 平 3— 52787号、 特開 2002— 256234号がある。
本発明は新規な電子部材用粘着テープを提供するものである。 この電子部材 用粘着テープは、 電子部材の貼付面に凹凸や反りがある場合に特に好適に使用 することができる。 発明の開示
本発明は支持体の片面又は両面に積層された粘着剤層を有する電子部材用 粘着テープにおいて、 粘着剤層が、 酢酸ビニル重合体とエネルギー線重合性化 合物とを含有することにより、 上記課題を解決できることを見出し本発明を完 成した。
本発明は下記の要旨を有することを特徴とする。
1. 支持体の片面又は両面に酢酸ビニル重合体とエネルギー線重合性化合物と を含有する粘着剤層を有する電子部材用粘着テープ。
2. 粘着剤層が、 酢酸ビニル重合体 100重量部に対して、 エネルギー線重合 性化合物 10〜250重量部を有する、上記 1に記載の電子部材用粘着テープ。
3. 粘着剤層が、 酢酸ビニル重合体 100重量部に対して、 エネルギー線重合 性化合物 10〜250重量部を有し、 エネルギー線重合性化合物 1 00重量部 に対して、 エネルギー線重合開始剤 0. 5〜10重量部を有する上記 1に記載 の電子部材用粘着テープ。
4. 酢酸ビニル重合体が、 酢酸ビニル成分を 7 Omo 1 %以上含有する共重合 体である上記 1乃至 3のいずれか一項に記載の電子部材用粘着テープ。
5. 酢酸ビニル重合体が、 酢酸ビニルモノマーのみを重合させて得られた単独 重合体である上記 1乃至 4のいずれか一項に記載の電子部材用粘着テープ。
6. 酢酸ビニル重合体の重合度が、 50〜3000である上記 1乃至 5のいず れか一項に記載の電子部材用粘着テープ。
7. 粘着剤層の厚みが少なくとも 100 mである上記 1乃至 6のいずれか一 項に記載の電子部材用粘着テープ。
8. 粘着剤の 10〜30°Cのいずれかの温度における周波数 1 Hzでの動的粘 弾性は、 エネルギー線照射前では、 t an <5が 1以上であり、 かつ貯蔵弾性率 が 1 05 d y n e/c m2以上 1 08 d y n eZcm2未満である上記 1乃至 7 のいずれか一項に記載の電子部材用粘着テープ。
9. 粘着剤の 10〜30°Cのいずれかの温度における周波数 1 Hzでの動的粘 弾性は、エネルギー線照射後では、 108dyn eZcm2以上 l O H d y n e Z cm2以下である上記 1乃至 8のいずれか一項に記載の電子部材用粘着テー プ。
10. 上記 1乃至 9のいずれか一項に記載の電子部材用粘着テープを凹凸のあ る電子部材に貼り付け、 エネルギー線照射により粘着剤を硬化し電子部材を固 定した後に、 電子部材を切削あるいは研磨する方法。
1 1. 上記 1乃至 1 0のいずれか一項に記載の電子部材用粘着テープを凹凸の ある電子部材に貼り付け、 電子部材を切削あるいは研磨した後に、 エネルギー 線照射により粘着剤を硬化し電子部材を剥離することを特徴とする電子部材を 切削あるいは研磨する方法。
12. 電子部材が半導体ウェハである上記 10または 1 1に記載の電子部材を 切削あるいは研磨する方法。 図面の簡単な説明
図 1 :本発明の電子部材用粘着テープを模式的に示した断面図である。
図 2 :本発明の電子部材用粘着テープによって、 電子部材を固定した状態を 模式的に示した断面図である。
符号の説明
1 支持体
2 粘着剤層
3 電子部材 発明の実施の形態
本発明の電子部材用粘着テープは、 支持体の片面又は両面に酢酸ビニル重合 体とエネルギー線重合性化合物とを含有する粘着剤層を有するものである。 酢酸ビエル重合体
粘着剤層が、 電子部材の貼付面の凹凸や反りに追従して変形し、 電子部材を 安定的に固定するために、 酢酸ビニル重合体は、 酢酸ビニル成分が、 好ましく は、 7 O m o 1 %以上含有する共重合体を用いることが好ましい。 酢酸ビニル モノマーのみを重合して得られた単独重合体を使うこともできる。
酢酸ビニル重合体における、 酢酸ビエルモノマーに共重合させるモノマー成 分としては、 上記効果を阻害しないものであれば特に限定するものではない。 例えば、 バーサチック酸ビニル、 ステアリン酸ビニル、 ラウリルビニルエーテ ル、 メチルビニルエーテル、 メチル (メタ) ァクリレート、 アクリルアミド、 メタクリルアミド、 N , N—ジメチルアクリルアミド、 アクリル酸、 クロトン 酸、 マレイン酸、 フマール酸、 ィタコン酸、 ビニルスルホン酸、 アクリルスル ホン酸、 ジメチルアミノエチルメタクリレート、 ビニルイミダゾール、 ビニル ピリジン、 ピニルサクシイミド、 ビニレン力一ポネート、 ァリルアルコール、 ァリルァセテ一卜などがある。
酢酸ビニル重合体の重合度は 5 0〜3 0 0 0が好ましく、 さらに好ましくは 1 0 0〜1 5 0 0である。 重合度は、 J I S K 6 7 2 5 (ポリ酢酸ビニル 試験方法) の平均重合度である。 重合度が小さいと電子部材の貼付面に糊残り が発生することがあり、 大きいと粘着剤層が硬く脆くなつて電子部材の貼付面 の凹凸や反りに追従しにくくなる恐れがある。 エネルギー線重合性化合物
エネルギー線重合性化合物は、 電子線、 ガンマ線あるいは紫外線などのエネ ルギ一線を照射することにより重合する化合物であり、 好ましくは、 その構造 中に 2個以上の官能基を有する化合物である。 例えば以下のような化合物が例 示される。 ァクリレート系化合物、 ウレタンァクリレート、 ウレタンァクリレ
一卜系オリゴマー及び 又はモノマー、 エポキシァクリレート、 ポリエステル ァクリレー卜等の単体又は混合系など。
ァクリレート系化合物としては、 例えばトリメチロールプロパントリァクリ レート、 テトラメチロールメタンテトラァクリレート、 ペンタエリスリトール トリァクリレート、 ペンタエリスリ トールテトラァクリレート、 ジペン夕エリ スリトールモノヒドロキシペン夕ァクリレート、 ジペンタエリスリ トールへキ サァクリレートあるいは 1, 4ーブチレングリコールジァクリレート、 1 , 6 —へキサンジオールジァクリレート、ポリエチレングリコ一ルジァクリレート、 オリゴエステルァクリレー卜等が挙げられる。
ウレタンァクリレートとしては、 例えばポリエステルウレタンァクリレート、 ポリエーテルウレタンァクリレート、 2官能ウレタンァクリレート、 3官能ゥ レタンァクリレート、 4官能ウレタンァクリレート、 5官能ウレ夕ンァクリレ ート、 6官能ウレタンァクリレート等が挙げられる。
ウレタンァクリレート系オリゴマーは、 炭素一炭素二重結合を少なくとも二 個以上有するエネルギー線重合性化合物である。 例えばポリエステル型又はポ リエーテル型等のポリオール化合物と、 多価イソシァネー卜化合物例えば 2 , 4—トリレンジイソシアナート、 2, 6—トリレンジイソシアナート、 1, 3 —キシリレンジイソシアナ一ト、 1 , 4 _キシリレンジイソシアナート、 ジフ ェニルメタン 4, 4—ジイソシアナ一ト等を反応させて得られる末端ィソシァ ナートウレタンプレボリマに、ヒドロキシル基を有するァクリレートあるいは、 メタクリレ一ト例えば 2—ヒドロキシェチルァクリレート、 2—ヒドロキシェ チルメ夕クリレート、 2—ヒドロキシプロピルァクリレー卜、 2—ヒドロキシ プロピルメタクリレート、 ポリエチレングリコールァクリレート、 ポリエチレ ングリコールメタクリレート等を反応させて得られるものがある。
エポキシァクリレートとしては、 エポキシ基とァクリル酸又はメタクリル酸 との反応によって合成されるものである。 例えば、 ビスフエノール A型、 ビス フエノール S型、 ビスフエノール F型、 エポキシ油化型、 フエノールノポラッ ク型、 脂環型等が挙げられる。
ポリエステルァクリレートとしては、 ジオール、 ポリオールと 2塩基酸より 合成したポリエステル骨格に残った O H基に、 アクリル酸を縮合してァクリレ ートにしたものである。 例えば無水フタル酸/プロピレンォキサイドジオール /アクリル酸、 アジピン酸/ ^ 1 , 6—へキサンジオールノアクリル酸、 トリメ リッ卜酸 Zジェチレングリコール Zァクリル酸等が挙げられる。
エネルギー線として、 紫外線を照射する場合には、 光量 2 0 ~ 1 0 0 O m J
/ c m 2の範囲が良く、好ましくは光量 5 0〜5 0 0 m J Z c m 2の範囲が良い。 粘着剤にけるエネルギー線重合性化合物の含有量は、 酢酸ビエル重合体 1 0 0重量部に対して、 好ましくは、 1 0〜2 5 0重量部、 さらに好ましくは 3 0 〜2 0 0重量部である。 エネルギー線重合性化合物は、 粘着剤層中で 3次元網 状重合することによって粘着剤層自体の凝集力を高め、 剥離させる際に電子部 材の貼付面へ糊残りを発生しにくくさせる共に、 酢酸ビニル重合体のバインダ 一となつて、 酢酸ビエル重合体を電子部材の凹凸に追従させる効果がある。 粘着剤層にはさらにエネルギー線重合開始剤を配合することができる。 紫外 線を用いる場合にそのようにするのが好ましい。 紫外線のエネルギーは電子線 やガンマ線に比べて低いため、 粘着剤層に配合したエネルギー線重合性化合物 の重合に時間がかかってしまったり、 重合が不均一に進んで電子部材用粘着テ ープを剥離した際に電子部材の貼付面に糊残りが発生することがあるからであ る。
エネルギー線重合開始剤の配合量は、 エネルギー線重合性化合物 1 0 0重量 部に対して、 好ましくは、 0 . 5〜1 0重量部が良く、 さらに好ましくは 1〜 6重量部が良い。
エネルギー線重合開始剤としては、 例えば以下のものが挙げられる。 クロ口 ァセトフエノン、 ジエトキシァセトフエノン、 ヒドロキシァセ卜フエノン、 1 —ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、 α—アミノアセトフエノン、 2 ーメチルー 1一 (4一 (メチルチオ) フエニル) — 2—モルホリノープロパン - 1一オン、 2—ヒドロキシ一 2—メチルー 1一フエニルプロパン一 1—オン、 1一 (4—イソプロピルフエニル) _ 2—ヒドロキシ— 2 _メチルプロパン一 1 _オン、 1 _ ( 4—ドデシルフェニル) _ 2—ヒドロキシ— 2—メチルプロ パン一 1 _オン、 混合光開始剤、 4一 (2—ヒドロキシエトキシ) 一フエニル ( 2—ヒドロキシー 2 _プロピル) ケトン、 ァリルケトン含有光開始剤、 ベン ゾイン、 ベンゾインメチルエーテル、 ベンゾインェチルエーテル、 ベンゾイン イソプロピルエーテル、ベンゾィンィソブチルエーテル、ベンゾィンエーテル、 ベンジルジメチルケタール、 ベンゾフエノン、 ベンゾィル安息香酸、 ベンゾィ ル安息香酸メチル、 4一フエ二ルペンゾフエノン、ヒドロキシベンゾフエノン、 アクリル化べンゾフエノン、 4 _ベンゾィルー 4 ' ーメチルジフエニルサルフ アイド、 3 , 3, 一ジメチルー 4ーメトキシベンゾフエノン、 メチルー 0—べ ンゾィルベンゾェ一ト、 チォキサンソン、 2—クロルチオキサンソン、 2—メ チルチオキサンソン、 2, 4一ジメチルチオキサンソン、 イソプロピルチォキ サンソン、 2, 4ージクロ口チォキサンソン、 2 , 4—ジェチルチオキサンソ
ン、 2 , 4—ジイソプロピルチォキサンソン、 《—ァシルォキシムエステル、 —ァシロキシムエステル、 ァシルホスフィンオキサイド、 メチルフエニルダ リオキシレート、 ダリオキシエステル、 3—ケトクマリン、 2—ェチルアンス ラキノン、 カンファーキノン、 ベンジル、 9, 1 0—フエナンスレンキノン、 アンスラキノン、 ジベンゾスベロン、 4 ', 4 " —ジェチルイソフタ口フエノ ン、ミヒラーケトン、環状光開始剤、テトラメチルチウラムモノサルフアイド、 3 , 3 ' , 4 , 4, ーテトラ ( t一ブチルパーォキシ力ルポニル) ベンゾフエノ ン等がある。 上記クロロアセトフエノンとしては、 4—フエノキシジクロロア セトフエノン、 4— t—プチル一ジクロロアセトフエノン、 4一 tーブチルー トリクロロァセトフエノン等。
さらに、 粘着剤層には、 必要に応じてエネルギー線開始助剤を配合すること ができる。 エネルギー線重合開始助剤は、 それ自体はエネルギー線の照射によ つて活性化しないが、 エネルギー線重合開始剤と併用することによりエネルギ 一線重合開始剤を単独で使用した際より開始反応が促進することができる。 エネルギー線開始助剤としては、 例えば脂肪族、 芳香族ァミンなどがある。 例えば、 トリエタノールァミン、 メチルジェ夕ノールアミン、 トリイソプロパ ノールァミン、 n—ブチルァミン、 N—メチルジェ夕ノールァミン、 ジェチル アミノエチルメ夕クリレート、 ミヒラーケトン、 4, 4 ' —ジェチルアミノフ ェノン、 4, 4, 一ジェチルァミノべンゾフエノン、 2—ジメチルァミノ安息 香酸ェチル、 4ージメチルァミノ安息香酸エヂル、 4ージメチルァミノ安息香 酸 (nブトキシ) ェチル、 4—ジメチルァミノ安息香酸イソアミル、 4ージメ チルァミノ安息香酸 2—ェチルヒキシル、 重合性 3級ァミン、 トリェチルアミ ン、 テトラェチルペンタァミン、 ジメチルァミノエーテル等がある。
さらに、 必要に応じてトリェチルァミン、 テトラェチルペンタァミン、 ジメ チルァミノエーテル等のアミン化合物を重合促進剤として併用することもでき る。
粘着剤層が設けられる支持体は、 好ましくはエネルギー線を透過するもので あり、 従来公知の合成樹脂を採用できる。 例えば、 ポリ塩化ビニル、 ポリブテ ン、 ポリブタジエン、 ポリウレタン、 エチレン—酢酸ビニルコポリマ、 ポリエ チレンテレフ夕レート、 ポリエチレン、 ポリプロピレン等、 あるいはそれらの 架橋体がある。 支持体は単層のもの、 あるいは複層のものを使用できる。 支持 体の表面に、 剥離剤の塗布やプラズマエッチングなどの剥離処理をすることが できる。支持体の厚みは、好ましくは、 1 0〜5 0 0 ^ m、特に好ましくは、 2 0〜2 0 0 x mとすることができる。
表面に凹凸のある電子部材に本発明の電子部材用粘着テープを使用する場 合、 粘着剤層を厚くすることが好ましい。 その厚みは、 好ましくは 100 m 以上、 特に好ましくは 200 im以上である。 厚みが小さいと、 粘着剤層が電 子部材の表面に十分に貼り付けることができない。 好ましくは、 表面に凹凸の ある電子部材に電子部材用粘着テープを使用するなどの場合、 粘着剤は、 エネ ルギ一線照射前の粘着剤の 10〜30 のいずれかの温度における周波数 1 H zでの動的粘弾性が t an <5が好ましくは 1以上、特に好ましくは 1. 5以上 であって 5以下である。 また、 エネルギー線照射前の粘着剤の貯蔵弾性率が好 ましくは 105dyn eZcm2以上 108dy n e Z c m2未満、特に好ましく は、 105 d y n e/cm2以上 107 d y n e Z c m2未満である。 そして、 エネルギー線照射後は、 上記貯蔵弾性率が、 好ましくは 108dyn eZcm2 以上 10 dy n eZcm2以下である。
従来のダイシングテープのように粘着剤層の厚みが薄いと、 高バンプ基板を 十分に固定することができず、 欠けや割れ、 バリ等の不良が発生することがあ つた。 粘着剤層の厚みを厚くすることにより、 これらの高バンプ基板を固定す るためのダイシングテ一プに応用できる。 粘着剤厚みを厚くすることにより、 凹凸電子部材に粘着剤層が追従でき、 エネルギー線を照射して硬化後、 しっか りと固定できる。
本発明では、 電子部材用粘着テープの粘着剤層上にポリエチレンラミネート 紙、 剥離処理プラスチックフィルム等の剥離紙又は剥離シートを密着させるこ とができる。 これにより保存、 運搬が容易となる。
本発明では、 電子部材用粘着テープを電子部材に貼り付けて、 電子部材を切 削あるいは研磨することができる。 例えば半導体ウェハの回路面に電子部材用 粘着テープを貼り付けて、ウェハの裏面をバックグラインドすることができる。 あるいはダイシングして、半導体を一つ一つのチップに分離することができる。 エネルギー線照射のタイミングは切削あるいは研磨の目的により適宜設定する ことができる。 例えば、 電子部材用粘着テープを電子部材に貼着した後にエネ ルギ一線を照射し、 電子部材を固定した後に、 電子部材を切削あるいは研磨す ることができる。 電子部材の表面に凹凸がある場合、 エネルギー線を照射し粘 着剤層を硬化させることにより電子部材を固定することができる。 電子部材用 粘着テープを電子部材に貼り付け、 電子部材を切削あるいは研磨した後に、 ェ ネルギ一線照射により粘着剤を硬化し電子部材を剥離することができる。 この 方法は電子部材の表面の凹凸が比較的少ない場合に好適に使用することができ る。 電子部材としては半導体ウェハのバックグラインや、 ガラスエポキシなど
の基板のダイシングに本発明の電子部材用粘着テープを好適に使用することが できる。 実施例
以下に本発明について例を用いて具体的に説明する。 なお、 以下において、 例 1 7、 例 9 1 5は実施例であり、 例 8は比較例である。 例 1 7
表 1及び図 1を参照しつつ説明する。 実施例 1 7の電子部材用粘着テープ は、 厚さ 100 mの支持体の片面に、 厚さ 100 mになるように粘着剤層 を積層させたものである。 ここで、 支持体は、 ポリエチレンテレフ夕レート製 であり、 粘着剤層は、 重合度 800の酢酸ビニル単独重合体 100重量部に対 して、 エネルギー線重合性化合物としてウレタンァクリレート系オリゴマーを 1 50重量部配合したものである。 以下の実施例及び比較例は特に記載しない 限り、 本実施例と同様のものである。 表 1
表 1で保持性は、 試験体をダイシング装置 (株式会社ディスコ製、 ダイシン グソ一 DAD— 2H/6 T) を用いて、 3. 8mmX 7. Ommの大きさに切 断した際の切断片の状態を観察したものであり、 切断片が 1つも剥離しなかつ たものを 「1」、 1つでも剥離してしまったものを 「2」 とした。 ここで、 保持 性の試験に用いた試験体は、 図 2に示すように、 直径 15 Omm、 厚さ 300 mのガラス一エポキシ樹脂基板の一面へ、 高さ 100 mの凸状体を X方向
及び Y方向の間隔がそれぞれ 1 mmになるように複数配置された電子部材 3に、 電子部材用粘着テープ 2を載置して 2 k g f のローラーで 1往復圧着させた後、 エリアビーム型電子線照射装置 (日新ハイボルテージ株式会社製、 キュアトロ ン EBC 300— 60) を用いて加速電圧 160 kvで l OMr adの電子線 を支持体 1側から照射して固定して得たものである。
表 1で糊残り性は、 上記試験体を 65°Cで 7日間保存した後、 電子部材用粘 着テープを剥離させ 200倍の顕微鏡で電子部材 3の貼付面を観察したもので あり、 電子部材 3の貼付面に粘着剤が発見されなかったものを 「1」、 粘着剤が 後述の例 8 (比較例) と同程度以上発見されたものを 「2」 とした。
表 1の保存安定性は、 電子部材用粘着テープを蛍光燈下で 12時間暴露した 前後のプローブタック値 (J I S Z 0237 (199 1年版) に準拠して 測定;) を比較したものであり、 暴露後の値が、 暴露前の値の 70%以上を示 したものを 「1」、 70%未満であったものを 「2」 とした。
例 1にあっては、 目標とする電子部材用粘着テープが得られた。
例 2の電子部材用粘着テープは、 例 1における酢酸ビニル重合体の重合度を 1 200に変更したものである。 例 2にあっても、 目標とする電子部材用粘着 テープが得られた。
例 3の電子部材用粘着テープは、 実施例 1における酢酸ビニル重合体を、 酢 酸ピニル成分 8 Omo 1 %、 クロトン酸成分 2 Omo 1 %の共重合体に変更し たものである。 実施例 3にあっても、 目標とする電子部材用粘着テープが得ら れた。
例 4及び例 5の電子部材用粘着テープは、 例 1におけるエネルギー線重合性 化合物の配合量を、 それぞれ 30重量部及び 200重量部に変更したものであ る。 例 4及び例 5にあっても、 目標とする電子部材用粘着テープが得られた。 例 6及び例 7の電子部材用粘着テープは、 例 1における粘着剤層 2に、 エネ ルギ一線重合開始剤としての 1—ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンを それぞれ、 1. 0重量部及び 8. 0重量部配合し、 紫外線照射装置 (ゥシォ電 機株式会社製、 UVC4800— 4) を用いて照度 8 OmWで光量 1 5 Om J Zcm2の紫外線を支持体側から照射し、 粘着剤層 2に配合されたエネルギー 線重合性化合物を固定させて得たものである。 例 6及び例 7にあっても、 目標 とする電子部材用粘着テープが得られた。 例 8〜 15
表 2を参照しつつ説明する。 なお、 表 2中の例 8は比較例である。
表 2
例 8 (比較例) の電子部材粘着用テープは、 例 1における酢酸ビニル重合体 を、 アクリル樹脂に変更したものである。 例 8にあっては、 保持性及び糊残り 性が悪かった。
例 9及び例 1 0の電子部材用粘着テープは、 例 1における酢酸ビニル重合体 の重合度を、 それぞれ 4 0及び 3 2 0 0に変更したものである。 例 9にあって は糊残り性が悪く、 例 1 0にあっては保持性が悪かった。
例 1 1の電子部材用粘着テープは、 例 1における酢酸ビニル重合体を、 酢酸 ビニル成分 6 O m o 1 %、 クロトン酸成分 4 O m o 1 %の共重合体に変更した ものである。 例 1 1にあっては、 保持性が悪かった。
例 1 2及び例 1 3の電子部材用粘着テープは、 例 1におけるエネルギー線重 合性化合物の配合量を、 それぞれ 8重量部及び 3 0 0重量部に変更したもので ある。 例 1 2及び例 1 3にあっては、 保持性が悪かつた。
比較例 1 4及び例 1 5の電子部材用粘着テープは、 例 6におけるエネルギー 線重合開始剤の配合量を、 それぞれ 0 . 3重量部及び 1 8 . 0重量部に変更し たものである。 例 1 4にあっては糊残り性が悪く、 例 1 5にあっては保存安定 性が悪かった。 例 1 6〜 2 0
表 3に示す粘着剤を厚みが 1 0 0 のポリエチレンテレフ夕レートの基 材にそれぞれ 5 0〜1 0 0 0 積層させ電子部材用粘着テープを作成した。
重合度 3 0 0のポリ酢酸ビニル 1 0 0重量部に対し、 エネルギー線重合性化合 物としてウレタンァクリレート系オリゴマーを 5 0重量部、 エネルギー線重合 開始剤として 2, 2—ジメトキシー 1 , 2—ジフエニルェタン— 1一オンを 4 部配合した。 これらをそれぞれ 1 0 0 mの P ETフィルムに例 1 6では 5 0 0 、例 1 7では 2 0 0 m、例 1 8は 1 0 0 0 m、例 1 9では 1 0 m、 例 2 0では 5 0 m塗工し、粘着シートとした。粘着剤を、動的粘弾性装置(レ オメトリック社製 R SA— Π) にて周波数 1 Hzにて温度範囲一 1 0^から 4 0°Cにて温度分散測定を実施した。 サンプル形状は、 エネルギー線照射前にお いては、 直径 4. 7 5mmX厚み 5. 0mm, であり、 照射後においては、 幅 0. 5mmX長さ 4mmX厚み 0. 1 mmであった。 昇温速度は 2 °CZ分であ つた。 エネルギー線照射前は圧縮測定であり、 エネルギー線照射後は引張り測 定であった。 いずれもひずみ量は 0. 1 %であった。 このうち 2 0°Cでの貯蔵 弾性率、 t a n 0を抜き出した値を表 3に示す。 表 3
これらの粘着フィルムを電子部材に貼り合せ、 該テープの基材側から紫外線
(照度: 8 0mW、 光量: 1 5 OmJ ) を照射した。
照射後に、 フィルムを剥離し、 粘着剤層が電子部材に十分追従したものを 「1」、 それより劣るものを 「2」 とした。 また手で電子部材を持ち上げテープ が剥離しないものを 「1」、 それより劣るものを 「2」 とした。
ここで用いた電子部材は、凹凸の深さが 2 0 0 urn,凹部間隔が 5 0 0 βΐη、 凸部間隔が 2 0 0 であった。
産業上の利用可能性
支持体と、 支持体の片面又は両面に積層された粘着剤層を有する電子部材用 粘着テープにおいて、 粘着剤層が、 酢酸ビニル重合体と、 エネルギー線重合性 化合物とを有することにより、 電子部材の貼付面に凹凸や反りがあっても、 電 子部材を安定的に保持できると共に、 糊残りの少ない電子部材用粘着テープが 得られる。