明細書
エノンエステルの製造法 技術分野
本発明は、 リグナン誘導体の製造原料であるエノンエステル中間体の新規な製 造方法に関する。 背景技術
本発明により製造されるリグナン誘導体は、 動脈硬化症、 特にァテローム性動脈硬化 症の治療に有用な化合物である (特許文献 1、 2参照) 。 また該リグナン誘導体および 中間体の製法も報告されている (特許文献 3、 4参照) 。 特許文献 3では、 実施例 1〜 9において、 ラクトン化合物とエノンエステルとのマイケル付加反応によるリダナン誘 導体の製法が記載され、 参考例 4において中間体であるエノンエステルの製造方'法が記 載されている。 また、 特許文献 4では、 リンゴ酸誘導体とグリニャル試薬との反応によ り中間体であるエノンエステルの製造方法が報告されている。
(特許文献 1 ) 特開平 0 5— 3 1 0 6 3 4号公報
(特許文献 2 ) 国際公開第 9 3 / 0 8 1 5 5号パンフレッ ト
(特許文献 3 ) 特開平 0 6— 3 4 5 6 9 5号公報
(特許文献 4 ) 国際公開第 9 5 / 3 3 7 0 7号パンフレッ ト 発明の開示
上記、 特許文献 3の参考例 4では、 まずブロモ体からォキシム化合物を調製し、 ィソォキサゾリン誘導体を得ている。 ォキシム化合物からィソォキサゾリン誘導 体への反応は、 溶媒として トルエン存在下で行われている。 ブロモ体からイソォ キサゾリ ン誘導体までの反応収率は 4 9 . 5 %であり、 工業的製法として満足の いく製法ではなかった。 続くイソォキサゾリンの還元反応は、 パラジウム触媒を 用い、 メタノール存在下で行われている。 パラジウムは貴金属であり、 工業的製
造に本触媒を用いるのは、 大量使用時の入手性およびコス ト面に問題が生じる場 合がある。 また、 上記 2工程 (ォキシム化合物からイソォキサゾリン誘導体への 反応と、 続くイソォキサゾリンの還元反応) は、 トルエンおよびメタノール、 即 ち異なる溶媒を使用して行われているので、 反応の後処理が煩雑となり効率的で はなかった。
本発明は、 上記エノンエステルの製造法の改良に関する。 例えば、 ォキシム化 合物からイソォキサゾリン誘導体の反応収率が、 溶媒を選択した結果、 好ましく は酢酸ェチルを用いることにより向上することが明らかとなった。 また、 溶媒と して前工程と同じ酢酸ェチルを使い、 安価で入手容易なラネ一二ッケル触媒を用 いて還元反応を行ったところ、 パラジウム触媒を用いた時とほぼ同等の収率であ つた。 さらに常温において油状であったェノンエステルは、 結晶化の溶媒や温度 を種々検討した結果、 低温下、 アルコール溶媒から良好な収率で結晶化され得る ことを見出し、 以下に示す本発明を完成した。
すなわち、 本発明は、
で示される化合物 ( 1 ) と式 :
^■C0,CH
3 (2) で示される化合物 ( 2 ) を酢酸ェチル中で反応させることを特徴とする式
で示される化合物 ( 3 ) の製造方法。
2 . 上記 1記載の方法により化合物 ( 3 ) を得た後、 これをラネーニッケル存在 下で還元することを特徴とする式 :
で示される化合物 (4) の製造方法。
3. 還元を酢酸ェチル中で行う上記 2記載の製造方法。
4. 上記 2または 3記載の方法により化合物 (4) を得た後、 これを脱水するこ とを特徴とする、 式 :
で示される化合物 ( 5 ) の製造方法。
5. 上記 4で示される化合物 ( 5 ) をアルコールから結晶化することを特徴とす る化合物 ( 5 ) の結晶の製造方法。
6. 上記 4で示される化合物 ( 5 ) の結晶
7. 上記 4または 5記載の方法によりエノンエステルまたはその結晶を得た後、 これを式 :
で示される化合物 ( 6 ) と反応させて、 式 :
で示される化合物 ( 7 ) を得た後、 これを脱水することを特徴とする式
で示される化合物 (8) の製造方法に関する。 発明を実施するための最良の形態
本発明に係る化合物または結晶の製造法を以下に詳しく説明する。 本発明製法 は、 以下の 2製法から構成される。
第 1製法
ii) 結晶化による (5) の精製
第 2製法
第 1製法の i) は、 ォキシム化合物 ( 1 ) とアクリル酸エステル (2) とを酸 化剤の存在下に反応させてイソォキサゾリン化合物 (3) を得た後、 生成したィ
ソォキサゾリン化合物 (3 ) をラネ一ニッケル触媒存在下、 水素化分解反応に付 してケトアルコール化合物 (4) に導き、 さらに脱水してェノンエステル (5 ) を合成するルートである。
ϋ) は、 種々の溶媒を用い、 低温下で ( 5 ) の結晶化および精製を行う工程で ある。
第 2製法は、 エノンエステル (5 ) とラク トン化合物 ( 6 ) とを塩基存在下に 反応させて化合物 ( 7) を合成した後、 脱水して目的とするリグナン誘導体 (8) を得るルートを示している。 反応条件の説明
(第 1製法)
原料のォキシム化合物 (1) は、 文献 (例、 特開平 6-345695) の方法に従って合成で ぎる。
9 1 0 1 即ち、 1一ブロモ一2—ェチルブタン (9) をグリニャル試薬に調製した後、 ホルミル 化し、 得られたホルミル誘導体 (10) をヒドロキシルァミンと反応させて (1) を得 る。
ホルミル化剤としては、 NNージメチルホルムアミ ド、 1一ホルミルピぺリジン、 1 一ホルミルピロリジン、 ホルミルモルホリン、 Nーメチルー N一フエニルホルムアミ ド、 N— チルー N一ピリジン一 2—ィルーホルムアミ ド、 —メチルー Nーピリミジ ン一 2—ィル一ホルムアミ ド、 (2—ジメチルアミノエチル)一 N—メチルホルムァ ミ ド等が例示される。 好ましくは、 ^Nージメチルホルムアミ ド、 1—ホルミルピペリ ジン、 特に好ましくは、 N ^ジメチルホルムアミ ドである。
ォキシム化剤としては、 ヒ ドロキシルァミンおよびその塩 (塩酸、 硝酸、 硫酸、 シユウ酸、 過塩素酸等) である。
ォキシム化合物 ( 1 ) とアクリル酸エステル ( 2 ) の使用割合は特に制限され ないが、 通常は、 (2 ) を ( 1 ) に対してモル換算で等量もしくは小過剰量、 好 ましくは、 1 : 1 ~ 1 : 3、 さらに好ましくは 1 : 1〜 1 : 1 . 5で使用する。 本 反応は、 所望により ト リエチルアミン等の塩基存在下で行われても良い。
使用する酸化剤としては、 次亜塩素酸ナト リウム、 次亜塩素酸カリウム、 次亜 塩素酸リチウム、 次亜塩素酸カルシウム、 次亜塩素酸アンモニゥム、 次亜臭素酸 ナト リウム、 N一クロロコハク酸ィ ミ ド、 Nーブロモコハク酸ィ ミ ド、 クロラミ ンー T、 1一クロ口べンゾト リァゾ一ル、 塩素、 臭素、 第 3級プチルヒポクライ ト、 硝酸セリウムアンモニゥム、 ジァセトキショードベンゼン、 ジクロロヨード ベンゼン、 二酸化マンガン、 酢酸水銀 (11)、 酸化水銀 (11)、 ジメチルジォキシラン、 塩素酸ナト リウム、 亜臭素酸ナト リウム等が例示される。
反応溶媒は、 水、 テトラヒ ドロフラン、 ジェチルエーテル、 ジォキサン等のェ 一テル類、 η—へキサン、 η—ペンタン等の炭化水素類、 アセトン、 メチルェチル ケトン等のケトン類、 ベンゼン、 トルエン等の芳香族炭化水素類、 塩化メチレン、 クロ口ホルム、 ジクロルェタン等のハロゲン化炭化水素類、 ァセ トニト リル等の 二ト リル類、 N,Nージメチルホルムアミ ド、 へキサメチルホスホリ ック ト リアミ ド等のアミ ド類、 メタノール、 エタノール、 2—プロパノール、 第 3級ブ夕ノー ル等のアルコール類、 酢酸メチル、 酢酸ェチル、 酢酸プロピル等のエステル類等 が例示される。 これらの溶媒は単独で使用しても、 2種以上を混合して使用して もよい。 中でもエステル類、 エーテル類、 アルコール類が好ましく、 特にエステ ル類 (例、 酢酸ェチル) が好ましい。 酢酸ェチルを使用した場合、 ォキシム化合 物 ( 1 ) からイソォキサゾリン化合物 ( 3 ) への反応の吸率は、 例えば約 8 4 % になる。 その結果、 原料のブロモ体 (化合物 9 ) からの収率は約 7 6 %に達する。 本反応は、 通常一 2 0 °Cから 4 0 V 好ましくは、 一 5 °Cから室温にて、 数分 から数時間で完結する。
イソォキサゾリン化合物 (3 ) と接触還元触媒の使用割合は、 (3 ) に対し、 0 . 1〜 5 0重量%であって、 好ましくは 1 ~ 1 0重量%である。
本接触還元反応は、 酸存在下で行われてもよい。 酸としては、 酢酸、 プロピオン酸等 の有機酸、 塩酸、 硼酸等の無機酸である。
接触還元触媒としては、 ラネーニッケル、 ラネーコバルト、 ラネー銅、 ラネ一 鉄等のラネ一触媒、 パラジウム炭素等の貴金属系触媒である。 好ましくは、 ラネ —触媒、 特にラネ一ニッケル触媒である。
本発明における反応は、 好ましくは水素ガス中で行われ、 その水素圧は 0 . 1 ~ 1 0 M P a、 好ましくは 0 . 1 ~ 2 M P aである。
溶媒としては、 水、 メタノール、 エタノール等のアルコール系溶媒、 トルエン、 キシ レン等の芳香族炭化水素系溶媒、 テトラヒドロフラン、 エーテル等のエーテル系溶媒、. 酢酸ェチル、 酢酸メチル等のエステル系溶媒等である。 これらの溶媒は単独で使用し ても、 2種以上を混合して使用してもよい。 好ましくは、 エステル系溶媒、 アル コール系溶媒、 特に酢酸ェチルである。
反応温度は、 1 0〜7 0 °C、 好ましくは 2 0〜4 0 °Cが適当であり、 通常 1〜数十時 間程度で反応は終了する。
還元反応で得たケトアルコール化合物 (4 ) は、 好ましくは有機溶媒中で活性化剤を 用いて脱水反応を行い、 ェノンエステル (5 ) に変換できる。
活性化剤としては、 塩化メタンスルホニル、 塩化パラトルエンスルホニル、 塩化ベン ゼンスルホニル、 メタンスルホン酸無水物等のスルホニル化剤、 塩化ァセチル、 無水酢 酸、 塩化べンゾィル、 安息香酸無水物等のァシル化剤、 クロロリン酸ジェチル、 クロ口 リン酸ジフヱニル等のリン酸化剤、 塩化チォニル、 ォキシ塩化リン、 五塩化リン、 三臭 化リン等のハロゲン化剤である。 好ましくは、 スルホニル化剤であり、 特に好ましくは 塩化メタンスルホニルである。
有機溶媒としては、 前記の工程と同様の溶媒を使用し得るが、 好ましくは酢酸ェチル である。
この反応は- 1 0〜 7 0 °C、 好ましくは 0 ~ 4 0 で、 0 . 5〜 1 0時間、 好ましくは 1 ~ 2時間である。
ェノンエステル ( 5 ) は、 常温においては油状であり、 ( 5 ) の単離精製は、
当業界で慣用されている方法 (例えば、 蒸留) を利用して行われる。 しかし、 好 ましくは結晶化によって得られる。 これによつて、 ェノンエステル ( 5 ) を実質 的に純粋に得ることができる。
結晶化のために使用する可溶性溶媒としては、 テトラヒ ドロフラン、 ジェチル エーテル等のエーテル類、 n—へキサン、 n—ペンタン等の炭化水素類、 アセ トン、 メチルイソプチルケトン等のケトン類、 ベンゼン、 トルェン等の芳香族炭化水素 類、 メタノール、 エタノール、 2—プロパノール、 第 3級ブ夕ノール等のアルコ ール類、 酢酸メチル、 酢酸ェチル等のエステル類等である。 これらの溶媒は単独 で使用しても、 2種以上を混合して使用してもよい。 また水を混合しても使用で きる。 中でもエステル類、 ケトン類、 アルコール類が好ましく、 特にアルコール 類 (例、 メタノール) が好ましい。
溶媒の使用量は、 化合物 ( 5 ) に対し総量が 0 . 5 ~ 1 0 0重 S部であり、 好ま しくは 1〜 5 0重量部であり、 特に好ましくは 1 ~ 1 5重量部である。 上記結晶 化方法において、 溶液を冷却すると結晶が析出してくる場合もあるが、 析出しな い場合には、 例えば、 冷却下、 超音波処理や攪拌等の刺激を与える、 種結晶を加 える等により結晶を析出させてもよい。 結晶化に適切な冷却温度は、 一 1 5 0 ~ 4 °Cであり、 好ましくは一 8 0〜一 2 0 °Cである。
(第 2製法)
化合物 ( 6 ) は公知の方法 (例、 特開平 6— 3 4 5 6 9 5 ) に従って製造でき る。
第 1工程で使用する化合物 ( 5 ) および化合物 ( 6 ) の使用割合は特に制限さ れないが、 通常は、 化合物 ( 5 ) を化合物 ( 6 ) に対して等量もしくは過剩量、 好ましくは 1 : 1〜 1 : 2で使用する。
使用する塩基としては、 通常用いられるジアルキル金属アミ ド類、 例えば、 リ チウムジイソプロピルアミ ド、 ナト リウムジシクロへキシルアミ ド等、 また、 ビ ス (ト リアルキルシリル) 金属アミ ド類、 例えば、 リチウムビス (ト リメチルシ
リル) アミ ド類、 カリウムビス (ト リメチルシリル) アミ ド、 ナト リウムビス (ト リェチルシリル) ァミ ド等を用いることができ、 好ましくは、 リチウムビス (ト リメチルシリル) アミ ドを用いる。
反応溶媒は、 例えば、 テトラヒ ドロフラン、 ジェチルエーテル、 ジォキサン等 のエーテル類、 n—へキサン、 n—ペンタン等の炭化水素類、 ベンゼン、 トルエン 等の芳香族炭化水素類、 塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、 NN一ジメチ ルホルムアミ ド、 へキサメチルホスホリヅク ト リアミ ド等のァミ ド類を単独で、 又はそれらを混合して使用できる。 好ましい溶媒は、 テトラヒ ドロフラン、 塩化 メチレン、 NNージメチルホルムアミ ド、 へキサメチルホスホリ ック ト リアミ ド である。 ' .
本工程の反応は、 通常— 1 0 0 °Cから 1 0 0 °C、 好ましくは一 8 0 °Cから室温 にて、 数分から数時間で完結する。
第 2工程で使用する酸としては無機酸又は有機酸を使用でき、 例えば塩酸、 硫 酸、 ト リフルォロ酢酸、 スルホン酸類 (メタンスルホン酸、 p—トルエンスルホ ン酸等) 、 ルイス酸 (三フヅ化ホウ素、 四塩化チタン等) を用いることができ、 好ましくは、 Ξフッ化ホウ素、 メタンスルホン酸を用いる。 使用量については特 に制限はないが、 好ましくは 1から 2当量を用いる。
反応溶媒は、 ベンゼン、 トルエン等の芳香族炭化水素類、 塩化メチレン等のハ ロゲン化炭化水素類、 ァセ トニト リル等の二ト リル類を使用する。
本反応は、 通常、 一 7 0 °Cから 1 0 0 °C、 好ましくは、 一 2 0 °Cから室温にて 数分から数時間で完結する。
以下に実施例及び参考例を記載し、 本発明をさらに詳細に説明するが、 これらは本発 明の限定を意図するものではない。
(略号)
D M F =NN—ジメチルホルムアミ ド、 T H F =テトラヒドロフラン、 P a =パスカル、 M P a 二メガパスカル、 1 t o r r = 1.33322xl0
2P a、 H P L C 二高速液体クロマトグ ラフ、 常温二 1 5 〜 2 5 °C
DL-リンゴ酸 1 1
DL-リンゴ酸 ( 5 0 · 2 k g, 3 74 m o 1 ) に無水酢酸 (40. 0 k g 3 9 2 m o 1 ) を加え、 8 0 °Cで 3 0分間加熱した。 反応溶液を 45 °Cに冷却した後、 塩化ァセチル (48. O k g, 6 1 1 mo l) を 1 8 0分かけて加え、 同温で 3 0分間攪拌した。 2 CTCに冷却後、 種晶 ( 1 0 0 g) を加え、 トルエン (2 3 0 k g) にて希釈し、 1 5°Cで 40分間、 一 5°Cで 6 ◦分間晶析を行った。 結晶を ろ取した後、 — 5 °Cに冷却したトルエン ( 1 72 k g) で洗浄し、 化合物 ( 1 1 ) の未乾結晶 (58. 7 k g) を得た。 実施例
9 1 0 1 マグネシウム (3 3 1 g 1 3. 62mo l) を THF (8. 8 L) に懸濁し. 窒素置換後 6 5 °Cに加熱した。 化合物 (9) (6 6 g 0. 40 mo l) を加え.
1 5分間加熱を続けた。 さらに化合物 ( 9 ) (2 1 82 g 1 3. 22 m o 1 ) を 8 5分かけて加え、 1 時間加熱還流を続け、 反応液を 2 0°C付近に冷却した。
1一ホルミルピぺリジン ( 1 464 g:、 1 2. 94mo l) の THF (2. 2 L) 溶液を 1 0 0分かけて加え、 2 0°C付近で 1時間攪拌した。 上記の操作を繰返し、 化合物 ( 1 0) の反応溶液を同量得た。 ヒ ドロキシルアミン塩酸塩 (2 2 7 1 g
3 2. 6 8 m 01 ) を水 ( 6. 6 L) に溶解し、 窒素雰囲気下、 1 1 °C付近に冷 却した。 化合物 ( 1 0) の反応液を合せ、 5 0分かけて滴下し、 2 CTC付近で 1 時間攪拌した。 反応液に水 (2 0 L) および酢酸ェチル ( 1 1 L) を加えて分液
し、 有機層を 1 0 %食塩水 ( 2 X 1 8 L) で洗浄した。 それぞれの水層を酢酸ェ チル ( 1 1 L) で抽出し、 有機層を合併後、 減圧濃縮して化合物 ( 1 ) ( 3 2 7 7 g、 9 3. 1 %) を得た。 実施例 2
1 4. 3 %次亜塩素酸ナト リゥム水溶液 ( 1 7. 7 k g、 34. O O mo l) と 酢酸ェチル ( 8 L) の混合溶液を 5 °C付近に冷却し、 化合物 ( 1 ) (2. 0 k g) . ァクリル酸メチル (2) ( 1 8 1 2mL、 2 0. 1 2 mo l) およびト リェチル ァミン (324mL、 2. 32 m o 1 ) の酢酸ェチル (8 L) 溶液を 1 0 0分か けて滴下した。反応液を 1 0分間攪拌した後に分液し、 有機層を水 ( 1 5. 3 L)、 氷冷した 3 %亜硫酸ナト リ ゥム水溶液 ( 1 5. 3 L) 、 水 ( 2 X 1 5 · 3 L) で 順次洗浄した。 それそれの水層を酢酸ェチル (8 L) で抽出し、 有機層を合併後 無水硫酸ナト リウムで乾燥し、 減圧濃縮して化合物 ( 3 ) ( 2 7 78 84.
9 1 0 1 マグネシウム (6. 6 1 g、 2 72 mmo l) を THF ( 1 7 0mL) に懸濁 し、 触媒量のヨウ素を加えた後に窒素置換、 6 0 °Cに加熱した。化合物 ( 9 ) ( 1. 8 0 g、 1 0. 9 mm o 1 ) を加え、 5 0分間加熱を続けた。 さらに化合物 ( 9 ) (43. 1 0 g、 2 6 1. l mmo l) を 80分かけて加え、 1 時間加熱還流を 続け、 反応液を 2 0 °C付近に冷却した。 DMF ( 1 8. 8 9 g、 258. 4 mm
o l) の THF (40 mL) 溶液を 7 0分かけて加え、 2 0°C付近で 1時間攪拌 した。 ヒ ドロキシルァミン塩酸塩 (22. 2 1 g、 3 1 0. 1 mm o 1 ) を水 ( 6 6. 6 mL) に溶解し、 窒素雰囲気下、 1 3 °C付近に冷却した。 先の反応液を 7 5分かけて滴下し、 1 7°C付近で 1時間攪拌した。 反応液に水 ( 1 80 mL) お よび酢酸ェチル ( 1 0 0 mL) を加えて分液し、 有機層を 1 0 %食塩水 (2 X 1 8 0 mL) で洗浄した。 それぞれの水層を酢酸ェチル ( 1 0 0 mL) で抽出し、 有機層を合併後、 減圧濃縮して化合物 ( 1 ) ( 6 5. 43 g) を得た。 実施例 4
(A) 1 2. 5 6 %次亜塩素酸ナト リゥム水溶液 (2 3 5 mL、 3 9 6. 5 mm o 1 ) と酢酸ェチル (9 3 mL) の混合溶液を 1 °C付近に冷却し、 実施例 3で得 た化合物 ( 1 ) (49. 1 g) およびアクリル酸メチル ( 2 ) (2 0. 1 7 g、 2 34. 3 mm o 1 ) の酢酸ェチル (64 mL) 溶液を 9 0分かけて滴下した。 反応液を 3 0分間攪拌した後に分液し、有機層を水( 1 7 5 mL)、氷冷した 3 % 亜硫酸ナト リゥム水溶液 ( 1 7 5 mL) 、 水 (2 x l 75 mL) で順次洗浄した。 それぞれの水層を酢酸ェチル ( 94mL) で抽出し、 有機層を合併後、 減圧濃縮 して化合物 (3 ) ( 6 2. 7 6 g) を得た。
(B ) 化合物 ( 1 ) (8. 3 5 g、 64. 6 mmo l) およびァクリル酸メチル ( 7. 5 6 mL、 84. 0 mm o 1 ) の酢酸ェチル ( 1 6. 5 m L ) 溶液を 1 °C 付近に冷却し、 1 2. 5 6 %次亜塩素酸ナト リウム水溶液 ( 44. 0 g、 7 1. 0 mm o 1 ) を 55分かけて滴下した。 反応液を 3 0分間攪袢した後に分液し、 有機層を水 (3 5 mL) 、 氷冷した 3 %亜硫酸ナト リゥム水溶液 ( 3 5 mL) 、 水 ( 2 X 3 5 mL) で順次洗浄した。 それぞれの水層を酢酸ェチル ( 1 6. 5 m L) で抽出し、 有機層を合併した後、 減圧濃縮して化合物 (3) を得た。
実施例 5
化合物 (3) (4 1. 84 g) に酢酸ェチル (64mL) 、 酢酸 (2 7. 1 2 mL) 、 水 ( 1 8. 8 mL) およびラネ—ニッケル ( 1. 04 g) を加え、 水素 雰囲気下 (◦ . 4MP a) 、 3 0°C付近で 5. 3時間攪拌した。 ラネーニッケル をろ別し、 酢酸ェチル ( 4 X 5 mL) で洗浄した。 ろ液と洗浄液を合併し、 水 ( 8 0 mL) を加えて分液した。 有機層を 7. 5 %炭酸水素ナト リゥム水溶液 ( 3 X 8 0 mL) 1 5 %食塩水 ( 2 X 7 0 mL) で順次洗浄した。 それぞれの水層を 酢酸ェチル (40 mL) で抽出し、 有機層を合併後、 減圧濃縮して化合物 (4) (3 7. 1 2 g ) を得た。 実施例 6
4 5
化合物 (4) ( 1 8 · 1 6 g) に酢酸ェチル ( 3 1 mL) を加え、 窒素雰囲気 下、 氷冷下にト リェチルァミン ( 2 5. 5 0 g)および塩化メ夕ンスルホニル ( 1 1. 5 7 g) を加えて 2 0 °C付近で 1. 5時間攪拌した。 反応液に水 (7 0 mL) および酢酸ェチル ( 54mL) を加えて分液した。 有機層を水 ( 2 X 7 0 mL) 、 1 N塩酸水溶液 (7 0 mL) 、 水 (7 0 mL:) 、 7 %炭酸水素ナト リゥム水溶液 ( 7 0 mL) および 5 %食塩水 (7 0mL) で順次洗浄した。 それそれの水層を 酢酸ェチル ( 3 3 mL) で抽出し、 有機層を合併後 1 9. 54 gまで減圧濃縮し た。 濃縮液に酢酸ェチル ( 2 0 mL) を加え、 1 6. 9 2 gまで減圧濃縮した。 濃縮残渣のうち 8. 46 gを減圧蒸留して淡黄色油状物質の化合物 ( 5 ) (6.
8 9 g、 実施例 3から 48. 9 % ) を得た。 沸点 : 9 2〜 1 0 6 °C ( 1. 6 x 1 02 P a)
1 H - NMR ( CD C 13 ) p p m) 6 : 0. 8 6 (t, J= 7. 5 H z , 6 H) , 1. 2 2 - 1. 44 (m, 4 H) , 1. 87 (q u i nt e t , J= 6. 6 H z 1 H) , 2. 54 (d, J= 6. 6 H z , 2 H) , 3. 82 (s , 3 H) , 6. 6 7 (d, J= 1 5. 9 H z, 1 H) , 7. 0 9 (d, J= 1 5. 9 H z , 1 H)
(化合物 (5) の結晶化検討)
常温において油状物質である化合物 ( 5 ) は 4 °C以下に冷却すると結晶化する ことが判明した。 各種溶媒中結晶化を検討した結果、 メタノール、 トルエン、 ァ セ トン、 酢酸ェチル、 メチルイソプチルケトン、 へキサン等から結晶化可能であ つた。 表 1は、 メタノール、 酢酸ェチル、 アセトン溶媒を用いた時の回収率の結 果であり、 特にメタノールが好ましい。
実施例 Ί
粗生成物 ( 5 ) ( 3 3. 7 k g) を 4分割し、 それぞれをメタノール (7 9 k g) に溶解して— 40°Cで 3 0分、 一 6 0°Cで 6 0分間冷却して晶析を行った。 得られた結晶をろ取し、 一 6 0°Cに冷却したメタノール ( 1 2 3 k g) で洗浄し た後、 化合物( 5 )の結晶を得た (化合物( 5 ) として合計 2 5. 8 k g, 6 5 %) , HP L C純度 : 9 5.6 %, HP L C : S H I MAD ZU製 HP L C、 カラム ; CO SMO S I L 0 D S -M S 4.6 x 2 5 0 mm 実施例 8 (化合物 (5) の融点測定)
化合物 ( 5) の結晶を 3 °C付近に温度調節した恒温槽に入れ 1 3°Cまで徐々に
昇温した。 9. 6 °C付近で一定温度を示した後、 8. 7 °C付近に温度低下し、 そ の後徐々に 1 3 °Cまで温度上昇した。 化合物 (5) の融点は 9〜 1 0°Cと決定し た。
融点測定器: T a nd D社の 「おんどとり T R— 7 1 S」 を使用。
温度制御装置 (恒温槽) : E Y E L A COOL ; E C S - 5 0 , THERMO C 〇NTR〇 LLER'; THD— 5 0 , S T I R PUMP ; S TR- 1 , WAT E R BATH ; S B C— 24 実施例 9
窒素気流下、 2 5. 9重量%リチウムビス (ト リメチルシリル) アミ ド一 T H F溶液 (2 9. 3 k g、 46. 6 2 m o 1 ) を THF ( 1 0 k ) で希釈し、 - 6 0 °C付近においてラク トン ( 6) ( 1 4. 0 kg、 38. 8 5 mo l) の DM F (3 3 k g) — THF (3 1 k g) 溶液を 4. 5時間かけて滴下した。 更に 1 0分間攪拌した後、 ェノ ンエステル (5 ) (9. 3 k g、 46. 9 1 mo l) の T H F ( 1 9 k g) 溶液を 2. 5時間かけて滴下した。 滴下終了後、 2 5. 9重 量%リチウムビス (ト リメチルシリル) アミ ドー THF溶液 (2 0. 4k g、 3 1. 0 8 m o 1 ) を約 5 0分かけて滴下し、 0 °Cまで昇温して、 氷冷下 2時間攪 拌した。 反応液に水 (45 k g) と 3 5 %合成塩酸 ( 1 6. 0 k g) を加え、 酢 酸ェチルで抽出した。 減圧濃縮した残渣をメタノールより結晶化した後、 ァセト ンーメ夕ノールで再結晶し、 化合物 ( 7 ) ( 1 2. 1 k g, 5 5. 8 %) を得た c 実施例 1 0
化合物 ( 7 ) ( 9. 0 0 k g、 1 6. l l mo l ) のァセトニトリル ( 2 5.
0 k ) 懸濁液に、 メ夕ンスルホン酸 ( 1.8 6 k ) を加え、 室温で約 1 0 0分 間攪拌した。 反応液に水 ( 3 6. 5 k g) を加え、 氷冷下、 約 9 0分間攪拌し、 析出した結晶を濾取した。ァセ トン一メタノールより再結晶して化合物( 8 ) ( 7.
3 7 k , 8 4. 7 %) を得た。
1 H - NMR (CD C 13 j p p m) δ 0. 8 3 (t , J= 7. 0 H z , 6 H) , 1 . 2 0 - 1 . 4 2 (m, 4 H) , 1 . 9 6— 2. 1 2 (m, 1 H) , 2. 7 3 (d , J= 6. 0 H z , 2 H) , 3. 2 5 ( s , 3 H) , 3. 44 ( s , 3 H) , 3. 8 6 ( s, 3 H) , 3. 8 9 ( s, 3 H) , 3. 9 3 ( s, 3 H) , 4. 0
4 ( s , 3 H) , 6. 7 8 - 6. 9 0 ( m , 3 H) , 7. 7 3 ( s, 1 H) , 1 4. 3 8 ( s, 1 H) 産業上の利用可能性
本発明は、 工業的に有利なェノンエステルの製法を提供する。 本発明を利用すること により、 リグナン誘導体を工業的に効率よく生産することができる。