WO2004022362A1 - フィルム状電子装置を装着した空気入りタイヤ及びそのフィルム状電子装置の装着方法 - Google Patents

Abstract

　フィルム状電子装置の両面に配置したシート状部材内で摺動自在なフィルム状電子装置をタイヤ表面またはタイヤ内部に装着した空気入りタイヤである。

Description

曰月糸田 β フィルム状電子装置を装着した空気入りタイャ及びそのフィルム状電子装置の装 着方法 技 術 分 野

本発明は、 フィルム状電子装置を装着した空気入りタイヤ及びそのフィルム状 電子装置の装着方法に関し、更に詳しくは、 フィルム状電子装置の破断を防ぐ ことができるフィルム状電子装置を装着した空気入りタイャ及びそのフィルム状 電子装置の装着方法に関する。

背 景 技 術

近年、空気入りタイヤを識別するための情報や、 タイヤの内圧、 温度、 及び回 転数などの情報を得るために、送信機と受信機の機能を併せ持つトランスボンダ を装着するようにした空気入りタイヤが提案されている （例えば、 実開平 7— 3 0 1 0 4号公報） 。 このような空気入りタイヤに使用されるトランスボンダは、 通常、 コィル状に巻回したァンテナと情報を格納する集積回路とを円筒状のガラ ス保護容器内に収容した構成になっている。

トランスボンダを用いた空気入りタイヤは、 集積回路に格納された様々な情報 を必要に応じて簡単に得ることができるため、 極めて有用である。 しかし、 その 反面、 上述した構成のトランスボンダは、 コストが高いため、 空気入りタイヤの コストを大きく上昇させるという問題があった。

そこで、本発明者は、上記対策として、 一般に使用されている安価なフィルム 状のトランスボンダ（ I S 0で標準化された 1 3 ΜΗ ζ帯の周波数を使用するト ランスボンダ） を空気入りタイヤに埋設して使用してみたところ、 フィルム状の トランスボンダは耐久性がガラス保護容器を使用したものに比べて大きく劣るこ とがわかった。

即ち、 空気入りタイヤをリムに装着し、 内圧を付与してィンフレートさせた際 に、 空気入りタイヤに装着したトランスポンダが空気入りタイャの膨張変形によ り引つ張られて破断するという問題が生じるのである。 発 明 の 開 示

本発明の目的は、安価なフィルム状のトランスボンダなどのフィルム状電子装 置を空気入り夕ィャに装着してもフィルム状電子装置が破断するのを防止するこ とが可能なフィルム状電子装置を装着した空気入りタイャ及ぴそのフィルム状電 子装置の装着方法を提供することにある。

上記目的を達成する本発明のフィルム状電子装置を装着した空気入りタイヤは、 フィルム状電子装置の両面に配置したシ一ト状部材内で摺動自在な該フィルム状 電子装置をタィャ表面またはタイャ内部に装着したことを特徴とする。

本発明のフィルム状電子装置の装着方法は、 フィルム状電子装置を摺動自在に シ一ト状部材間に収容したフィルム状電子装置収容シート体を形成し、該シ一ト 体を未加硫タイヤの内部または表面、 または加硫済タイヤの表面に装着すること を特徴とする。

上述した本発明によれば、空気入りタイヤに内圧を付与してィンフレートさせ た際に、空気入りタイヤの膨張変形に伴ってシート状部材が引張変形するが、 フ ィルム状電子装置はシート状部材内で移動するため、 引張変形の影響を受けるこ とがない。 また、走行時に空気入りタイヤが圧縮変形を受けてもフィルム状電子 装置はその影響を回避することができる。 従って、空気入りタイヤに装着した際 のフィルム状電子装置の破断を防止することができ、安価なフィルム状電子装置 の使用が可能になる。

図面の簡単な説明

図 1は、本発明の空気入りタイヤの一実施形態を示す要部断面図である。

図 2は、 図 1のフィルム状電子装置収容シート体の拡大断面図である。

図 3は、 図 2のトランスボンダの平面図である。

図 4は、 図 2のトランスボンダの要部拡大断面図である。

図 5は、 フィルム状電子装置収容シート体をサイドウオール部外側表面に貼り 付けた未加硫タイヤを加硫機の金型にセットする前の工程を示す説明図で、 （a ) は平面図、 （b ) は断面図である。

図 6は、表面にタイヤを識別する情報を表示したトランスボンダの一例を示す 平面図である。 発明を実施するための最良の形態

以下、本発明の実施の形態について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。 図 1は本発明のフィルム状電子装置を装着した空気入りタイャの一実施形態を 示し、 1はトレッド部、 2はサイドウォール部、 3はビード部である。

左右のビード部 3間に力一力ス層 4が装架され、 その両端部 4 aがビードコア 5の周りにビードフイラ一 6を挟み込むようにしてタイャ内側から外側に折り返 されている。 トレッド部 1の力一カス層 4外周側には複数のベルト層 7が設けら れ、 その外周側に複数のベルトカバー層 8を配置している。 力一カス層 4の内側 には、 インナーライナ一層 9が設けられている。

ビ一ド部 3におけるカーカス層 4とインナーライナ一層 9との間のタイヤ内部 には、 フィルム状トランスボンダ 2 0 (図 2， 3参照） を収容したフィルム状電 子装置収容シート体 1 0が装着してある。

フィルム状電子装置収容シート体 1 0は、 図 2に示すように、 トランスボンダ 2 0が摺動自在な材料からなる 2枚のシート状部材 1 1 , 1 2を重ねて全周縁部 を接着した構成になっており、 両シート状部材 1 1 , 1 2間に密閉した室部 1 3 が形成されている。 トランスボンダ 2 0がこの室部 1 3に収容され、 トランスポ ンダ 2 0の両面に配置された状態となる両シート状部材 1 1， 1 2内で摺動自在 になっている。 一方のシート状部材 1 1がカーカス層 4の内面に、他方のシート 4犬部材 1 がィンナ一ライナ一層 9の外面にそれぞれ固着している。

フィルム状のトランスボンダ 2 0は、 I S◦で標準化された 1 3 M H z帯の周 波数を使用するトランスボンダを使用しており、 図 3に示すように、 ポリイミド、 ナイ口ン、 ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂からなるフィルム基材 1の —方の面 2 1 aに、 印刷形成されたコイル状のアンテナ 2 2と、 ろう付けなどに より固着した集積回路 2 3を備えている。

このフィルム基材 2 1の一方の面 2 1 a上に、 図 4に示すように、 接着層 1 4 を介してフィルム基材 2 1と同様の材料からなる保護層 2 5を積層してある。 夕 ィャに取り付けるトランスボンダの厚さとしては、 好ましくは、 0 . 2〜0 . 8 腿の範囲にするのがよい。

2 0は、 ァンテナ 2 2が集積回路 1 3に接続され、 集積回路 2 3に格納された様々なタイャ識別情報をアンテナ 2 2を介してトランスボンダ 2 0の読取り/書込み器 （不図示） により読み取ることができ、 また読取り/書込 み器により集積回路 2 3に新たな情報を格納できるようになつている。

上記トランスボンダ 2 0を空気入りタイヤに装着するには、 先ず、 トランスポ ンダ 2 0をシート状部材 1 1， 1 2間にサンドイッチ状に配置した後、 シート状 部材 1 1， 1 2の周縁部を接着し、 トランスボンダ 2 0を摺動自在にシート状部 材 1 1 , 1 2間の室部 1 3に収容したフィルム状電子装置収容シート体 1 0を形 成する。

このフィルム状電子装置収容シート体 1 0を、従来の未加硫タイヤの製造工程 において、 インナーライナ一層 9をタイヤ成形ドラム上に巻き付けた後、 そのィ ンナ一ライナ一層 9上に貼り付けて、 未加硫タイャの内部に配置するようにする。 その未加硫タイャを加硫成形することにより、 図 1の空気入りタイヤを得ること ができる。

上述した本発明によれば、空気入りタイヤをリムに装着し、 内圧を付与してィ ンフレ一トさせた際に、空気入り夕ィャの膨張変形に伴ってシート状部材 1 1， 1 2が引っ張られる。 トランスボンダ 2 0はシート状部材 1 1， 1 2内で摺動自 在になっているため、空気入りタイヤの膨張変形に応じてシート状部材 1 1 , 1 2内を移動するので、 引張り変形を受けることがない。

また、走行時に空気入りタイヤが圧縮変形を受けた際にも、 トランスボンダ 2 0がシ一ト状部材 1 1 , 1 2内で移動できるので、 その影響を回避することがで きる。 従って、 空気入りタイヤに装着したフィルム状トランスボンダ 2 0の破断 を防ぐことができる。 そのため、 I S Oで標準化された 1 3 M H z帯の周波数を 使用する安価なフィルム状トランスボンダ 2 0を用いることが可能になり、 トラ ンスボンダを装着した空気入りタイヤにおいて、大幅なコスト上昇を招くような ことがない。

本発明において、 トランスボンダ 2 0は、 上述したようにカーカス層 4とイン ナ一ライナー層 9との間に設けるのが、 トランスボンダ 2 0に対するタイヤの引 張圧縮変形の影響を最も小さくする上で好ましいが、 それに限定されず、例えば、 カーカス層 4とその外側のサイドウオール部のゴム部との間に配置することもで きる。

その場合のトランスボンダ 0の装着は、 トランスポンダ 2 0を 4又容したフィ ルム状電子装置収容シート体 1 0を、 従来の未加硫タイヤの製造工程において、 カーカス層 4をタイャ成形ドラム上に巻き付けた後、 その力一カス層 4上に貼り 付けて、未加硫タイヤの内部に配置するようにする。

また、上記実施形態では、 トランスボンダ 2 0を収容したフィルム状電子装置 収容シート体 1 0をタイヤ内部に装着する例を示したが、 それに代えて、 図 1に 示すように、 タイヤ表面に装着するようにしてもよい。

夕ィャ表面は、 夕ィャ外側表面 T 1であっても内側表面 T 2であってもよい。 タイヤ外側表面 T 1の場合にはサイドウオール部 2に装着するのがよく、 また夕 ィャ内側表面 T 2の場合にはサイドウォ一ル部 2やビード部 3に装着することが できる。 このようなタイヤ表面へのトランスボンダ 2 0の装着は、 トランスポン ダ 2 0を収容したフィルム状電子装置収容シート体 1 0を接着剤などにより加硫 済タイヤの表面に接着する。 あるいは加硫機にセッ卜する前の未加硫タイヤの表 面に貼り付けるようにする。

フィルム状電子装置収容シ一ト体 1 0を未加硫タイヤのサイドウォール部外側 表面に貼り付けた場合には、以下のようにして未加硫タイヤを加硫機の金型にセ ットし、 加硫成形するのがよい。

一般に、 サイドウオール部 2の外側表面には、 メーカ一名などを示す凹凸模様 が形成されているが、 その凹凸部を避けた位置に装着するのがよい。 そこで、 図 5に示すように、未加硫タイヤ T uを加硫機の金型にセッ卜する前に、 回転テ一 ブル 3 0上に金型セット時と同じ横倒しの状態で、 フィルム状電子装置収容シ一 ト体 1 0を上側にして載置する。 その上方にトランスボンダ 2 0の読み取りアン テナ 3 1を配置し、 回転機構 3 2により回転テーブル 3 0が回転した際に、 それ に伴つて回転する未加硫タイヤ T uに貼り付けたフィルム状電子装置収容シ一ト 体 1 0のトランスボンダ 2 0から発信される応答信号を読み取りアンテナ 3 1で 受信し、 その受信信号に基づいて読み取りアンテナ 3 1に接続された不図示のコ ンピュータがフィルム状電子装置収容シート体 1 0の位置を割り出し、 その位置 をコンピュータに予めィンプットされたデータに基づいて凹凸模様が形成されな い位置に位相調整して、 回転を停止させる。 その状態で不図示のローダにより未 加硫タイヤを搬送して金型にセッ卜し、加硫成形する。

フィルム状電子装置収容シート体 1 0をタイヤ外側表面 T 1に装着する場合に は、 図 6に示すように、 トランスボンダ 1 0の外表面 2 0 aに集積回路 1 3に格 納されたタイヤ識別情報と同様の情報 Iを表示するようにしてもよい。 これによ りトランスボンダ 2 0の読取り器が無くてもタイヤ識別情報を得ることができる。 図では、情報 Iの内容をコード化した数字やアルファべットで示しているが、 文字であってもよい。 その色は、 目視により判読できればいずれの色を採用して もよい。 このようにトランスボンダ 2 0の外表面 2 0 aにタイヤを識別する情報 Iを表示した場合には、 シート状部材 1 1 , 1 2の少なくとも表面側に位置する シート状部材を後述する条件に加えて透明材料から構成する。

フィルム状電子装置収容シート体 1 0を構成するシート状部材 1 1 , 1 2とし ては、 トランスボンダ 2 0が習動でき、 かつタイヤに装着した際にタイヤ '性能に 悪影響を与えないものであればいずれの材料を使用してもよく、例えば、融点が 1 5 0 °C以上でシ一ト状部材に成形した際の摩擦係数が低い樹脂から構成するの がよい。 その樹脂としては、例えば、 フッ素樹脂を好ましく挙げることができる。 シ一ト状部材 1 1， 1 2は、 シ一ト状であれば織物や編み物であってもよい。 また、 シート状部材 1 1， 1 2をトランスボンダ 1 0が摺動し難い材料で構成 する一方、 そのシート状部材のトランスボンダ I 0に接する内面にトランスボン ダ 2 0が摺動し易くなる材料をコ一ティングし、 トランスボンダ 2 0をシート状 部材 1 1， 1 2内で摺動するようにしてもよい。

本発明は、上記実施形態では、 フィルム状のトランスボンダ 2 0を装着した空 気入りタイヤについて説明したが、 トランスボンダ 2 0に代えて他のフィルム状 の電子装置を装着する空気入りタイヤにも好適に用いることができる。

以上説明したように本発明は、 フィルム状電子装置の両面に配置したシ一ト状 部材内で摺動自在な該フィルム状電子装置をタィャ表面またはタイャ内部に装着 したので、 タイヤの変形により引張圧縮を受けてもフィルム状電子装置がシート 状部材間で自由に摺動するため、 その引張圧縮の影響を回避することができる。 従つて、安価なフィルム状の電子装置を装着してもその破断を防ぐことができる。 産業上の利用可能性

上述した優れた効果を有する本発明は、 フィルム状電子装置を装着した空気入 りタイヤにおいて、極めて有効に利用することができる。

Claims

請 求 の 範 囲

1 . フィルム状電子装置の両面に配置したシ一ト状部材内で摺動自在な該フィ ルム状電子装置を夕ィャ表面またはタイャ内部に装着した空気入りタイヤ。

2 . 前記両面に配置した両シ一ト状部材の周縁部を接着し、該両シート状部材 間に前記フィルム状電子装置が摺動可能な室部を有する請求項 1に記載の空気入 りタイヤ。

3 . 前記フィ

材上に設けた、

る請求項 1または に記載の空気入りタイヤ。

4 . 前記フィルム状トランスボンダをタイヤ外側表面に装着し、前記両シート 状部材の少なくとも表面側に位置するシート状部材を透明材料から構成し、前記 フィルム状トランスボンダの表面に前記タイヤ識別情報と同様の情報を表示した 請求項 3に記載の空気入りタイヤ。

5 . 前記フィルム状トランスボンダの厚さが 0 . 2〜0 . 8 mmである請求項 3 または 4に記載の空気入りタイヤ。

6 . 前記シート状部材が融点 1 5 0 °C以上の樹脂からなる請求項 1 , 2 , 3 , 4または 5に記載の空気入りタイヤ。

7 . 前記樹脂がフッ素樹脂である請求項 6に記載の空気入りタイヤ。

8 . フィルム状電子装置を摺動自在にシート状部材間に収容したフィルム状電 子装置収容シート体を形成し、該シート体を未カロ硫タイヤの内部または表面、 ま たは加硫済タイヤの表面に装着するフィルム状電子装置の装着方法。