JP2024084056A - タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】電子タグがタイヤの外部からの刺激に対して保護されたタイヤを提供する。【解決手段】タイヤ100は、ゴムで形成されたタイヤ本体10と、タイヤ本体10のサイドウォール部2に配置された電子タグ7と、タイヤ本体10の幅方向における、サイドウォール部2の外側表面上に配置されたカバー8と、を備え、幅方向に沿って外側から見た場合、カバー8が電子タグ7を覆っている。【選択図】図1
Description
本発明は、タイヤに関する。
例えば、電波を用いて情報の書き込み又は読み出しを行うことができる非接触型の情報記録再生装置として、受動式無線周波数識別トランスポンダ(以下「トランスポンダ」と称する)がある。トランスポンダをタイヤに取り付け、トランスポンダにタイヤに関する情報を書き込み又は読み出しすることによって、タイヤの管理を行う場合がある(例えば、特許文献1参照)。トランスポンダ又はその機能は、電子タグ、ICタグ、RFタグ、RFIDタグなどと称される装置により実現される。
特許文献1には、電子部品(電子タグの一例)を被覆ゴムで被覆した部品が埋設された空気入りタイヤが開示されている。このタイヤにおいて、電子部品の一例は、RFIDタグである。
特許文献2には、タイヤへのRFIDタグ(電子タグの一例)の設置構造が開示されている。この設置構造では、タイヤ内部にRFIDタグと、このRFIDタグのアンテナコイルに電磁的に結合した検出コイルとが設けられると共に、このタイヤの周方向に沿ってループアンテナが設けられ、検出コイルとループアンテナとが直列回路を構成するようになっている。この設置構造において、ループアンテナは、タイヤの内側部もしくは内周部に沿って埋設するか、または内側面または内周面に沿って接着等により貼り付けて固定布設する場合が開示されている。
タイヤは、使用時などに、外部から種々の刺激を受ける。タイヤへの外部からの刺激としては例えば、石ころなどがタイヤに接触または衝突する際の外力、気温や日射による熱、土や泥又は砂(特に、油分を含んだ泥や砂、いわゆる、オイルサンド、タールサンド)などの汚れ、及びこれら力や熱、汚れに伴う劣化が例示される。しかし、たとえば特許文献1、2に記載されるようなタイヤや設置構造にあっては、これら刺激に対する電子タグの保護が十分ではない場合があった。すなわち、従来のタイヤにあっては、タイヤの外部からの刺激に対して電子タグの保護が十分でない場合があった。そのため、例えば、タイヤ製造販売時から廃棄にいたるまでのタイヤのライフサイクル全体にわたる、電子タグによるタイヤの管理ができなくなる場合などがあった。そこで、電子タグがタイヤの外部からの刺激に対して保護されたタイヤの提供が望まれる。
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、電子タグがタイヤの外部からの刺激に対して保護されたタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係るタイヤは、
ゴムで形成されたタイヤ本体と、
前記タイヤ本体のサイドウォール部に配置された電子タグと、
前記タイヤ本体の幅方向における、前記サイドウォール部の外側表面上に配置され、カバーと、を備え、
前記幅方向に沿って外側から見た場合、前記カバーが前記電子タグを覆っている。
ゴムで形成されたタイヤ本体と、
前記タイヤ本体のサイドウォール部に配置された電子タグと、
前記タイヤ本体の幅方向における、前記サイドウォール部の外側表面上に配置され、カバーと、を備え、
前記幅方向に沿って外側から見た場合、前記カバーが前記電子タグを覆っている。
上記構成によれば、カバーによって、外部からの刺激(例えば、タイヤの幅方向の力)に対して電子タグを保護することができる。
本発明に係るタイヤでは、更に、
前記カバーの弾性率は、前記サイドウォール部のゴムの弾性率よりも小さい。
前記カバーの弾性率は、前記サイドウォール部のゴムの弾性率よりも小さい。
上記構成によれば、カバーはタイヤの変形に追従して変形しやすくなり、カバーがサイドウォール部から脱落しにくくなる。これにより、タイヤの外部からの刺激(例えば、衝撃力)に対する電子タグの保護を確実ならしめることができる。
本発明に係るタイヤでは、更に、
前記電子タグは、内部の回路を被覆するゴム状の被覆材を有し、
前記カバーの弾性率は、前記被覆材の弾性率よりも小さくてもよい。
前記電子タグは、内部の回路を被覆するゴム状の被覆材を有し、
前記カバーの弾性率は、前記被覆材の弾性率よりも小さくてもよい。
上記構成によれば、電子タグがゴム状の被覆材で被覆されてタイヤの外部からの刺激から保護される。そして、カバーのゴムの弾性率がこの覆材の弾性率よりも大きいことで、カバーが、タイヤの外部からの刺激による電子タグの変形を抑制することができる。
本発明に係るタイヤでは、更に、
前記カバーの表面の色は、前記サイドウォール部の表面の色と異なってもよい。
前記カバーの表面の色は、前記サイドウォール部の表面の色と異なってもよい。
上記構成によれば、作業者は、サイドウォールのどの位置に電子タグが配置されているのかを容易に把握することができる。
本発明に係るタイヤでは、更に、
前記電子タグは、前記カバーと前記サイドウォール部との間に配置されていてもよい。
前記電子タグは、前記カバーと前記サイドウォール部との間に配置されていてもよい。
上記構成によれば、タイヤへの電子タグの装着を簡便なものとしつつ、電子タグを保護することができる。
本発明に係るタイヤでは、更に、
前記カバーは、繊維状材料を含んでもよい。
前記カバーは、繊維状材料を含んでもよい。
上記構成によれば、カバーの強度が向上する。これにより電子タグの保護を確実ならしめることができる。
本発明に係るタイヤでは、更に、
前記カバーの裏面は、前記サイドウォール部の外側表面よりも表面粗さが粗くてもよい。
前記カバーの裏面は、前記サイドウォール部の外側表面よりも表面粗さが粗くてもよい。
上記構成によれば、カバーの接着強度が向上する。これにより電子タグの保護を確実ならしめることができる。
本発明によれば、電子タグがタイヤの外部からの刺激に対して保護されたタイヤを提供
することができる。
することができる。
図面に基づいて、本発明の実施形態に係るタイヤについて説明する。
(第一実施形態)
図1には、本実施形態に係るタイヤ100の斜視図を示している。
図1には、本実施形態に係るタイヤ100の斜視図を示している。
タイヤ100は、軸心Gを中心とする、およそ円形状の環状に形成されている。図1では、タイヤ100の幅方向を方向Wで示している。また、タイヤ100の周方向を方向Cで示している。
以下の説明では、タイヤ100の幅方向と同じ方向を単に幅方向と称する。以下の説明において、軸心Gに沿う方向(軸方向)は、幅方向と同じである。
また、以下の説明では、タイヤ100の周方向と同じ方向を単に周方向と称する。
まず、タイヤ100の概要を説明する。タイヤ100は、ゴムで形成されたタイヤ本体10と、タイヤ本体10のサイドウォール部2に配置された電子タグ7と、タイヤ本体10の幅方向における、サイドウォール部2における外側表面20上に配置されたカバー8と、を備えている。サイドウォール部2を幅方向に沿って外側から見た場合、カバー8は電子タグ7を覆っている。カバー8の弾性率は、サイドウォール部2のゴムの弾性率よりも小さい。
タイヤ100では、電子タグ7がタイヤの外部からの刺激に対して保護される。
以下、タイヤ100について詳述する。
図2には、タイヤ100における周方向に交差する断面であって、電子タグ7とカバー8を含む部分の断面図である。図2では、タイヤ100の径方向を方向Rで示している。タイヤ100は、いわゆる空気入りタイヤである。
図1、図2に示すように、タイヤ本体10は、タイヤ本体10、タイヤ本体10の側部
に配置され、タイヤ100をリムに固定させるビード部1、タイヤ本体10の側部であるサイドウォール部2、タイヤ本体10の径方向外側の外周部分であって、路面と接するトレッド部3、サイドウォール部2に配置された電子タグ7及びカバー8を備えている。
に配置され、タイヤ100をリムに固定させるビード部1、タイヤ本体10の側部であるサイドウォール部2、タイヤ本体10の径方向外側の外周部分であって、路面と接するトレッド部3、サイドウォール部2に配置された電子タグ7及びカバー8を備えている。
タイヤ本体10は、内部構造として、タイヤ本体10の骨格を形成するコード層であるカーカス5、ビード部1の内部骨格となり、カーカス5を支持するビードコア4及びトレッド部3の表面とカーカス5の間において周方向に沿って張られた補強帯であるベルト6を有している。
ビード部1、サイドウォール部2及びトレッド部3はそれぞれゴムを含む。ビード部1及びサイドウォール部2のゴムをサイドゴムと称する。トレッド部3のゴムをトレッドゴムと称する。
ビードコア4、カーカス5及びベルト6はサイドゴム及びトレッドゴムに包埋されている。
タイヤ本体10では、トレッド部3の幅方向における両端部に、サイドウォール部2の径方向外側の端部が一体に接続されている。サイドウォール部2の径方向内側の端部にはビード部1が一体に接続されている。すなわち、周方向に交差するタイヤ本体10の断面は、アルファベットのC字形状となっている。
以下の説明において、単に表面と記載した場合、タイヤ本体10のC字形状における、C字の弧の外側の表面のことをいう。例えば、トレッド部3の表面とは、タイヤ本体10のC字の弧の外側の表面であって、トレッド部3の部分の表面である。
トレッド部3には、図1,図2に示すように、トレッドパターンが形成されており、外周面が路面に接する複数の凸部30(踏面の一例)と、凸部30に対して相対的に径方向内側に凹んだ複数の凹部31とが形成されている。凹部31は、例えば、周方向溝である。なお、外周面とは、タイヤ100における、トレッド部3の径方向外側の面のことである。
電子タグ7は、図3、図4に示すように、送受信機能及び記憶機能を有する小型の電子回路である。図3には、正面視で見た電子タグ7を示している。図4には側面視で見た電子タグ7を示している。電子タグ7は、例えば正面視で矩形状のシート状である。電子タグ7は、例えば、そのシート状形状におけるシート面をサイドウォール部2の表面に沿わせるようにして(平行にして)サイドゴム内に配置されてよい。
電子タグ7の一例は、電子タグ、ICタグ、RFタグ、RFIDタグなどと称される装置である。電子タグ7は、送受信機能と記憶機能とを実現するインレット70、例えば、ICチップなどの半導体回路71と、この回路に接続されたアンテナ回路72とを内部の回路として含み得る。電子タグ7は、これらインレット70が配置されたフィルム状の基板78と、これらインレット70及び基板78を被覆し、保護する被覆材79を有してよい。基板78は例えばポリイミドフィルムであってよい。被覆材79は、ゴム状の材質のもの、例えばシリコンゴムであってよい。
電子タグ7には、タイヤ100に関する情報が記録されてよい。電子タグ7は、電子タグ7の読み取り装置のような外部端末と通信してよく、記録されたタイヤ100に関する情報を外部端末に送出してよい。また、電子タグ7は、外部端末から受信した新たな情報を記録してよい。タイヤ100に関する情報の一例は、タイヤ100の型式、流通販売に係る情報、使用履歴や修理履歴、タイヤ100のリサイクルや廃棄に必要な情報(例えば
、タイヤ100の構成材料に係る情報)である。すなわち、本実施形態における電子タグ7は、電波を用いてタイヤ100に係る情報の書き込み又は読み出しを行うことができる非接触型の情報記録と再生を実現する装置であってよい。
、タイヤ100の構成材料に係る情報)である。すなわち、本実施形態における電子タグ7は、電波を用いてタイヤ100に係る情報の書き込み又は読み出しを行うことができる非接触型の情報記録と再生を実現する装置であってよい。
図2に示すように、タイヤ100では、電子タグ7は、タイヤ本体10のいずれかの部材内に埋設されていてもよい。このようにすることで、タイヤ本体10を構成する複数の部材の間の位置に挟み込まれて配置される場合と比較して、電子タグ7に加わる負荷を低減できる。これにより、電子タグ7の耐久性を向上させることができる。
電子タグ7は、周方向に沿ってみた断面(幅方向断面視)でのタイヤ外面に沿う方向であるペリフェリ長さ方向において、剛性の異なる部材の境界となる位置に、配置されないことが好ましい。このようにすることで、電子タグ7は、剛性段差に基づき歪みが集中し易い位置に、配置されない。そのため、電子タグ7に加わる負荷を低減できる。これにより、電子タグ7の耐久性を向上させることができる。本例では、電子タグ7は、例えば、周方向に沿ってみた断面において、カーカス5の端部と、このカーカス5の端部に隣接する部材(例えばサイドゴム等)と、の境界となる位置に配置されないことが好ましい。
電子タグ7の数は特に限定されない。タイヤ100は、1個のみの電子タグ7を備えてもよく、2個以上の電子タグ7を備えてもよい。
電子タグ7は、例えば、サイドウォール部2に配置されてよい。電子タグ7は、例えば、電子タグ7と通信可能な外部端末に対して近い一方側のサイドウォール部2に配置されてよい。このようにすることで、電子タグ7と外部端末との通信性を高めることができる。
電子タグ7は、タイヤ100の最大幅となる位置より径方向の内側であって、かつ、ビード部1のビードコア4より径方向の外側の位置に配置されることが好ましい。このようにすることで、電子タグ7の耐久性を向上させることができるとともに、電子タグ7と外部端末との通信が、ビードコア4により阻害され難く、電子タグ7の通信性を高めることができる。
また、サイドゴムが径方向に隣接する同種又は異種の複数のゴム部材から構成されている場合に、電子タグ7は、サイドゴムを構成する複数のゴム部材の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
図5には、図2で示した断面図における、サイドウォール部2の部分であって、電子タグ7の周囲を含む部分を拡大した拡大断面図を示している。図6には、図1で示した斜視図における、サイドウォール部2の部分であって、カバー8の周囲を含む部分を拡大した図を示している。
図5、図6では、電子タグ7が、一方のサイドウォール部2における、タイヤ100の最大幅となる位置より径方向の内側、かつ、ビード部1のビードコア4より径方向の外側の位置であり、サイドゴムの肉厚内部(表面より内側)であって、幅方向における、カーカス5(図5参照)よりも外側(図2に示す領域25)に配置されている場合を例示している。すなわち、電子タグ7は、タイヤ本体10のサイドウォール部2のサイドゴムに埋設(配置)されている。なお、幅方向における外側とは、トレッド部3からみてサイドウォール部2の側と同じ側である。
カバー8は、電子タグ7が損傷しないように電子タグ7を外部の刺激から保護するための、薄い板状(シート状又はフィルム状)の部材である。カバー8は、例えばゴムで形成
されてよい。これによりカバー8とサイドゴムとの接着性が向上する場合がある。カバー8は、予め板状に形成されたものであってよい。
されてよい。これによりカバー8とサイドゴムとの接着性が向上する場合がある。カバー8は、予め板状に形成されたものであってよい。
カバー8は、サイドウォール部2の表面であって、電子タグ7と、径方向及び周方向において同じ位置に配置されている。カバー8は、接着剤などによりサイドウォール部2の表面に貼付されて固定されてよい。
図5、図6に示すように、タイヤ100では、幅方向に沿って外側から見た場合、カバー8が電子タグ7を覆っている。
本実施形態のタイヤ100では、サイドウォール部2の表面に対して垂直な視点で見た場合、電子タグ7はカバー8で完全に隠れている。
換言すると、電子タグ7の形状をサイドウォール部2の表面に垂直に投影した電子タグ7の正射影像7s(図6参照)は、カバー8が貼付されたサイドウォール部2の表面の領域内に位置している。
このようにカバー8が電子タグ7を覆うことで、電子タグ7がタイヤ100の外部からの刺激に対して保護される。なお、タイヤ100への外部からの刺激の一例は、例えば縁石のような路面や道路の凹凸のタイヤ100への接触又は衝突や、他の車両などにより弾き飛ばされた石ころなどの飛翔物の衝突、交通事故時の他の車両などの衝突や接触などによって加わる外力(特に、幅方向の力)、気温や日射による熱、土や泥又は砂(特に、油分を含んだ泥や砂、いわゆる、オイルサンド、タールサンド)などの汚れ、及びこれら力や熱、汚れに伴う劣化が例示される。
図7には、カバー8と電子タグ7との位置関係の説明図を示している。図7は、カバー8を正面視で見る視点で図示している。カバー8は、図6、図7に示すように、電子タグ7の正射影像7sの外周よりも、2mm以上広い範囲を覆うことが望ましい(図7に示す、正射影像7sの外周とカバー8の外周との距離dが2mm以上)。カバー8は、電子タグ7の正射影像7sの外周よりも、5mm以上広い範囲を覆うことが更に望ましい。これにより、電子タグ7をより確実に保護することができる。カバー8は、電子タグ7の正射影像7sの外周よりも、15mm広い範囲を覆えば電子タグ7を十分に保護することができる。すなわち、カバー8は、電子タグ7の正射影像7sの外周よりも、15mm以内の範囲を覆えば電子タグ7の保護は十分である。
カバー8の表面の色はサイドウォール部2の表面の色と異ならせるとよい。これにより、電子タグ7と通信する装置の使用者は、サイドウォール部2のどの位置に電子タグ7が配置されているのかを容易に把握することができる。
カバー8は、例えば、サイドウォール部2における他の部分とは異なる色に着色された素材で形成してよい。
また、カバー8の表面に、着色剤の塗布などによりサイドウォール部2における他の部分とは異なる色を着色してもよい。
また、サイドウォール部2における他の部分とは異なる色を発色するようにカバー8の表面に表面処理又は表面加工を施してもよい。
なお、カバー8の色をサイドウォール部2の色と異ならせる、とは、色彩、色調、明度、模様、光沢など、目視によって相違を把握できる違いがあること、すなわち、目視によ
る識別性を有することを意味する。また、カバー8の色をサイドウォール部2の色と異ならせるとの概念には、発光又は蓄光するような表面加工がカバー8に施されている場合も含まれる。
る識別性を有することを意味する。また、カバー8の色をサイドウォール部2の色と異ならせるとの概念には、発光又は蓄光するような表面加工がカバー8に施されている場合も含まれる。
なお、カバー8の色をサイドウォール部2の色と異ならせる場合であって、特に、色相、明度又は彩度を異ならせる場合、分光測色計又は色彩色差計で色の違いを評価してよい。このような色の違いの評価に用いることのできる分光測色計又は色彩色差計の一例は、日本電色工業(株)のハンディ型分光色差計(型式:NF333)である。
カバー8の色をサイドウォール部2の色と異ならせる場合、その色の違いを色差(ΔE*、CIE DE2000色差式による)で見た場合、10以上であるとよい。例えばカバー8の明度をサイドウォール部2の明度と異ならせる場合、明度の違い(ΔL*)は10以上であるとよい。これにより、カバー8の識別性が高くなる。なお、本実施形態における色差は、上記のハンディ型分光色差計(型式:NF333)で計測した値を基準とする。
カバー8では、サイドウォール部2における他の部分とは異なる色とすることで目視による位置や範囲の識別性を持たせる以外に、その色によって、サイドウォール部2の表面からの電子タグ7の埋め込み深さを示すようにしてもよい。例えば、カバー8が黄色の場合は、表面から1mm以上5mm未満の深さ、カバー8が青色の場合は、表面から5mm以上15mm未満の深さ、といった具合である。これにより、タイヤ100を廃棄やリサイクルする際のゴム材料と電子タグ7との分別作業が容易となる。
カバー8では、その色によって電子タグ7の埋め込み深さを示す以外に、形状によって電子タグ7の埋め込み深さを示すようにしてもよい。例えば、カバー8の四隅が角張った矩形状に描かれる場合は、電子タグ7の埋め込み深さが表面から1mm以上5mm未満の深さ、カバー8の四隅が面取りされた矩形状で描かれる場合の場合は、表面から5mm以上15mm未満の深さ、といった具合である。
カバー8の表面は、光の反射率の高い鏡面状とされてもよい。これにより、日射に伴う紫外線によるカバー8の劣化や、赤外線による発熱に起因して生じる電子タグ7の故障を防止できる場合がある。
カバー8の弾性率は、サイドゴムの弾性率(例えば3.5MPa以上5.0MPa以下)と同等でよい。これにより、カバー8がサイドウォール部2の変形に追従して変形可能となり、カバー8のサイドウォール部2からの剥離が抑制される。
カバー8の弾性率(ヤング率)は、サイドゴムの弾性率よりも小さいことが好ましい。これにより、カバー8が外部の刺激によるサイドウォール部2の変形に対してより追従しやすくなりカバー8のサイドウォール部2からの剥離がより良く抑制される。
カバー8の弾性率は、サイドゴムの弾性率の90%以上110%以下であるとよく、好ましくは、サイドゴムの弾性率の90%以上100%未満である。サイドゴムの弾性率の90%以上110%以下であるとよく、好ましくは、サイドゴムの弾性率の90%以上100%未満である。なお、本実施形態における弾性率は、JIS K 6394に準拠して計測した値を用いる。本実施形態における弾性率は、引張方法により初期荷重1600g、動歪み±4%、周波数52Hz、温度25℃の条件下で測定する貯蔵弾性率である。
カバー8の弾性率は、電子タグ7の被覆材79(図3、図4参照)の弾性率よりも小さいことが好ましい。これにより、カバー8が電子タグ7よりも変形しやすくなって、外部
の刺激によるサイドウォール部2の変形に伴って電子タグ7に加わる力が小さくなる。
の刺激によるサイドウォール部2の変形に伴って電子タグ7に加わる力が小さくなる。
電子タグ7の被覆材79(図3、図4参照)の弾性率は、サイドゴムの弾性率よりも大きいことが好ましい。被覆材79の弾性率は、例えば8.0MPa以上9.5MPa以下とされる。これにより、外部の刺激によるサイドウォール部2の変形に伴う力を電子タグ7の周囲のサイドゴムが受け止めて、サイドウォール部2の変形に伴う力が電子タグ7に加わりにくくなる。
なお、カバー8及び電子タグ7の被覆材79の弾性率は、サイドゴムと同様にしてJIS K 6394に準拠して計測した値を用いる。
カバー8は、ゴム中に繊維状材料を含むとよい。これにより、カバー8が丈夫になる。例えば、カバー8が裂けたり破れたりしにくくなる。これにより、電子タグ7の保護を確実ならしめることができる。
カバー8中に含み得る繊維状材料は、例えば、有機繊維やスチールなどの金属繊維(金属製の線材)が挙げられる。
カバー8中に含み得る繊維状材料は、有機繊維であることが好ましい。カバー8中に含み得る繊維状材料は、有機繊維であると、タイヤ100の廃棄やリサイクルを行う際に、カバー8から金属繊維を分離する必要が無くなるため廃棄やリサイクルが簡便なものとなる。また、カバー8の製造や形成も容易になる。また、有機繊維は、電子タグ7の通信の障害ともならない。
カバー8中に含み得る有機繊維の一例は、ナイロン、ポリエステル、ポリアミドの繊維である。繊維状材料としてこれら以外の繊維を用いてもよい。
有機繊維の繊維径は、0.4mm以上0.8mm以下であることが好ましい。有機繊維の繊維径をこの範囲とすることで、電子タグ7の保護に十分な程度にカバー8を丈夫なものとすることができる。
なお、カバー8中に含ませる繊維状材料として導電性の金属繊維を用いる場合、電子タグ7のアンテナ性能を向上させることができる場合がある。電子タグ7のアンテナ性能を向上させたい場合、例えば、カバー8中において、隣接する金属繊維同士を平行に配置するとよい。
カバー8の表面は、サイドウォール部2の表面と比べて、平滑性が異なるようにされるとよい。これにより、後述するように、カバー8に汚れが付着しにくくなり、また、カバー8から汚れが落ちやすくなる。
カバー8の表面は、サイドウォール部2の表面よりも、平滑性が高くされることが好ましい。換言すると、カバー8の表面は、サイドウォール部2の表面よりも表面粗さが小さいことが好ましい。これにより、カバー8の表面に土や泥又は砂などの汚れが付着しにくくなる。また、カバー8の表面に土や泥又は砂が一旦付着したとしても、これら土や泥又は砂が剥離しやすくなる(汚れが落ちやすくなる)。そして、カバー8に汚れが付着しにくくなり、また、カバー8から汚れが落ちやすくなることで、例えば汚れの油分によってカバー8やサイドウォール部2のゴムや電子タグ7の被覆材79が膨潤や劣化して電子タグ7の保護が低下したり、電子タグ7の機能が障害(つまり、故障又は破損)されたりすることを回避することができる。
また、カバー8の表面は、サイドウォール部2の表面よりも、平滑性が低く(粗い表面と)されてもよい。これにより、カバー8の表面がサイドウォール部2の表面よりも平滑性が高くされる場合と同様に、カバー8に汚れが付着しにくくなり、また、カバー8から汚れが落ちやすくなる。
サイドウォール部2の表面の算術平均粗さが10μm以上60μm以下である場合、カバー8の表面の平滑性と、泥などの付着のしやすさ又は剥離しやすさの関係は、例えば以下のようである。カバー8の表面の算術平均粗さ(いわゆるRa)が6μm以下の場合、こびりつきやすい泥(一例として、粒径が6μm以上50μm以下)が付着しづらく、また剥離しやすくなる。カバー8の表面の算術平均粗さが80μm以上の場合も同様に、こびりつきやすい泥が付着しづらく、また剥離しやすくなる。なお、サイドウォール部2の表面やカバー8の表面の算術平均粗さは、ISO25178に準拠して測定した値である。算術平均粗さは、市販の表面性状測定機(例えば、形状解析レーザー顕微鏡や3D形状測定機)を利用して測定することができる。測定方法は接触式と非接触式のいずれであっても良い。
カバー8の表面は、サイドウォール部2の表面よりも、表面張力が小さく加工されるとよい。例えば、カバー8の表面に撥水性の被膜が形成されるなどしてよい。これにより、カバー8の表面に泥などの汚れが付着しにくくなり、また、カバー8から汚れが落ちやすくなって、上記同様に、電子タグ7の保護が低下したり機能が障害されたりことを回避することができる。
カバー8の表面の撥水性を高めるためには、例えば、カバー8中に疎水性物質を含有させたり、フッ素樹脂、シラン化合物及びシリコーン油のような撥水化剤を含有させたりするとよい。また、カバー8の表面の撥水性を高めるためには、フッ素樹脂、シラン化合物及びシリコーン油を含む皮膜をカバー8の表面に形成してもよい。
なお、カバー8の表面の親水性を高めることで、カバー8に汚れが付着しにくくなる場合もある。カバー8の表面の親水性を高めるためには、例えば、カバー8中に、セルロースのような親水性物質(水酸基のような親水基を有する物質)を含有させてもよい。これにより、表面に汚れの中でも水分含有量が多い泥がカバー8の表面に付着しても、付着した泥が、タイヤ等から取れやすくなる場合がある。
カバー8の表面には耐油性の加工が施されてもよい。例えば、カバー8の表面に耐油性の被膜が形成されるなどしてよい。これにより、上記同様に、電子タグ7の保護が低下したり機能が障害されたりことを回避することができる。
カバー8の裏面(サイドウォール部2に対向する側の面、サイドウォール部2への接着面)は、カバー8の表面よりも、粗い表面(表面粗さが粗い、面粗度の粗い表面)とされるとよい。また、カバー8の裏面は、サイドウォール部2の表面よりも、粗い表面とされるとさらによい。カバー8の裏面を粗い表面とすることで、カバー8をサイドウォール部2へ貼付するさいの接着性が良くなる場合がある。例えば、接着剤を用いてカバー8をサイドウォール部2へ接着する場合の接着性や接着力が向上する場合がある。これにより、これにより、電子タグ7の保護を確実ならしめることができる。カバー8の裏面の算術平均粗さは、10μm以上50μm以下の範囲であることが好ましい。なお、カバー8の裏面の算術平均粗さも、サイドウォール部2の表面やカバー8の表面の算術平均粗さと同様に、ISO25178に準拠して測定した値である。
(第二実施形態)
第一実施形態では、タイヤ100において、電子タグ7がタイヤ本体10のサイドウォ
ール部2のサイドゴムに埋設(配置)されている場合を説明した。第二実施形態は、図8、図9に示すように、タイヤ100において、電子タグ7が、カバー8とサイドウォール部2との間に配置されている点で第一実施形態とは異なり、その他は第一実施形態と同じである。以下の説明では、第一実施形態との相違点について詳述し、第一実施形態と同じ点についての説明は適宜省略する。
第一実施形態では、タイヤ100において、電子タグ7がタイヤ本体10のサイドウォ
ール部2のサイドゴムに埋設(配置)されている場合を説明した。第二実施形態は、図8、図9に示すように、タイヤ100において、電子タグ7が、カバー8とサイドウォール部2との間に配置されている点で第一実施形態とは異なり、その他は第一実施形態と同じである。以下の説明では、第一実施形態との相違点について詳述し、第一実施形態と同じ点についての説明は適宜省略する。
図8には、本実施形態のタイヤ100について、図5と同様にして示した、サイドウォール部2の部分であって、電子タグ7の周囲を含む部分を拡大した拡大断面図を示している。また、図9には、カバー8及び電子タグ7を、カバー8の面外方向から見た状態であって、カバー8が電子タグ7を覆っている状態を説明するための模式図を示している。
図8、図9に示すように、本実施形態におけるタイヤ100では、電子タグ7は、図8に示すように、カバー8とサイドウォール部2との間に配置されている。すなわち、電子タグ7は、サイドウォール部2の表面に接着材などにより貼付されて固定されている。カバー8は、サイドウォール部2の表面上に配置された電子タグ7の全面を覆うようにしてサイドウォール部2の表面に固定されてよい。
このように、電子タグ7をカバー8とサイドウォール部2との間に配置することで、電子タグ7と外部端末との通信性を高めることができる。また、タイヤ100を廃棄やリサイクルする際のゴム材料と電子タグとの分別作業が容易となる。また、電子タグ7のサイドウォール部2への取り付け(装着)が簡便となる。
以上のようにして、電子タグがタイヤの外部からの刺激に対して保護されたタイヤを提供することができる。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、カバー8が薄い板状(シート状又はフィルム状)の部材であり、カバー8は予め板状に形成されたものであってよいこと、及び、カバー8は接着剤などによりサイドウォール部2の表面に貼付されて固定されてよいこと説明した。しかし、カバー8は、予め板状に形成されたものである場合に限られない。カバー8は、例えば、液状(塗液状)の材料(例えば、ゴムを溶媒に溶解させたものやエマルションとしたもの)をサイドウォール部2の表面に塗布して形成されたものであってもよい。
(1)上記実施形態では、カバー8が薄い板状(シート状又はフィルム状)の部材であり、カバー8は予め板状に形成されたものであってよいこと、及び、カバー8は接着剤などによりサイドウォール部2の表面に貼付されて固定されてよいこと説明した。しかし、カバー8は、予め板状に形成されたものである場合に限られない。カバー8は、例えば、液状(塗液状)の材料(例えば、ゴムを溶媒に溶解させたものやエマルションとしたもの)をサイドウォール部2の表面に塗布して形成されたものであってもよい。
(2)上記実施形態では、カバー8が薄い板状である場合を説明し、図5や図9では、カバー8を一層で描いて説明した。しかし、カバー8は複数の層が積層されたものであってもよい。
(3)上記実施形態では、図5、図8に示すように、電子タグ7が、一方のサイドウォール部2における、タイヤ100の最大幅となる位置より径方向の内側、かつ、ビード部1のビードコア4より径方向の外側の位置であり、サイドゴムの肉厚内部(表面より内側)であって、幅方向における、カーカス5よりも外側(図10に示す領域25に対応する位置)に配置されている場合を例示して説明した。しかし、電子タグ7の配置はこれに限られない。なお、図10では、カバー8の図示は省略している。
他の例として、電子タグ7は、カーカス5とサイドゴムとの間やトレッドゴムとサイドゴムとの間(例えば、図10に示す位置21)に配置されてよい。
また、電子タグ7は、径方向において、タイヤ100の最大幅となる位置と、トレッド部3の表面(トレッド面)の位置との間(例えば、図10に示す位置22)に配置されてよい。このようにすることで、電子タグ7が、タイヤ100の最大幅となる位置より径方
向の内側に配置される構成と比較して、径方向でのタイヤ100の外側からの電子タグ7との通信性を高めることができる。
向の内側に配置される構成と比較して、径方向でのタイヤ100の外側からの電子タグ7との通信性を高めることができる。
また、電子タグ7は、タイヤ100の最大幅となる位置より径方向の内側(例えば、図10に示す領域23)に配置されていてもよい。このようにすることで、電子タグ7は、剛性の高いビード部1近傍に配置される。そのため、電子タグ7に加わる負荷を低減できる。これにより、電子タグ7の耐久性を向上させることができる。具体的には、電子タグ7は、ビードコア4と径方向又は幅方向で隣接する位置(例えば、図10に示す領域24)に配置されてもよい。ビードコア4近傍は歪みが集中し難い。そのため、電子タグ7に加わる負荷を低減できる。これにより、電子タグ7の耐久性を向上させることができる。なお、図10に示す例では、領域23は領域24及び領域25を含んでいる。
上記のような各領域に電子タグ7が配置される場合であっても、カバー8がサイドウォール部2を幅方向に沿って外側から見た場合に電子タグ7を覆っていればよい。
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、タイヤに適用できる。
1 :ビード部
10 :タイヤ本体
100 :タイヤ
2 :サイドウォール部
20 :外側表面
21 :位置
22 :位置
23 :領域
24 :位置
25 :位置
3 :トレッド部
30 :凸部
31 :凹部
4 :ビードコア
5 :カーカス
6 :ベルト
7 :電子タグ
70 :インレット
71 :半導体回路
72 :アンテナ回路
78 :基板
79 :被覆材
7s :射影像
8 :カバー
C :方向
d :距離
G :軸心
R :方向
W :方向
10 :タイヤ本体
100 :タイヤ
2 :サイドウォール部
20 :外側表面
21 :位置
22 :位置
23 :領域
24 :位置
25 :位置
3 :トレッド部
30 :凸部
31 :凹部
4 :ビードコア
5 :カーカス
6 :ベルト
7 :電子タグ
70 :インレット
71 :半導体回路
72 :アンテナ回路
78 :基板
79 :被覆材
7s :射影像
8 :カバー
C :方向
d :距離
G :軸心
R :方向
W :方向
Claims (7)
- ゴムで形成されたタイヤ本体と、
前記タイヤ本体のサイドウォール部に配置された電子タグと、
前記タイヤ本体の幅方向における、前記サイドウォール部の外側表面上に配置されたカバーと、を備え、
前記幅方向に沿って外側から見た場合、前記カバーが前記電子タグを覆っているタイヤ。 - 前記カバーの弾性率は、前記サイドウォール部のサイドゴムの弾性率よりも小さい請求項1に記載のタイヤ。
- 前記電子タグは、内部の回路を被覆するゴム状の被覆材を有し、
前記カバーの弾性率は、前記被覆材の弾性率よりも小さい請求項1に記載のタイヤ。 - 前記カバーの表面の色は、前記サイドウォール部の色と異なる請求項1に記載のタイヤ。
- 前記電子タグは、前記カバーと前記サイドウォール部との間に配置されている請求項1に記載のタイヤ。
- 前記カバーは、繊維状材料を含む請求項1から5の何れか一項に記載のタイヤ。
- 前記カバーの裏面は、前記サイドウォール部の外側表面よりも表面粗さが粗い請求項1から5の何れか一項に記載のタイヤ。
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