WO2003040549A1

WO2003040549A1 - Pompe a injection et dispositif d'alimentation en carburant dme de moteur diesel dote de la pompe a injection

Info

Publication number: WO2003040549A1
Application number: PCT/JP2002/011657
Authority: WO
Inventors: Toshifumi Noda; Shinya Nozaki; Daijo Ushiyama; Yukihiro Hayasaka
Original assignee: Bosch Automotive Systems Corporation
Priority date: 2001-11-09
Filing date: 2002-11-08
Publication date: 2003-05-15
Also published as: EP1457666A1; KR20050044358A; US6955156B2; CN1585855A; US20050016499A1; JP2003206824A

Description

明細書インジェクションポンプ、及び該ィンジェクシヨンポンプを備えたディーゼルエンジンの D ME燃料供給装置

技丁分野

本発明は、ディ一ゼルエンジンの DM E燃料供給装置のィンジェクションポンプ、及び該ィンジヱクションポンプを備えたディ一ゼルェンジンの DM E燃料供給装置に関する。背景技術

ディーゼルエンジンによる大気汚染対策として、軽油の代わりに排気がクリーンな DME (ジメチルェ一テル）を燃料とするものが注目されている。 DME燃料は、従来の燃料である軽油と違って液化ガス燃料である。つまり、軽油と比較して沸点温度が低く、大気圧下で軽油が常温において液体であるのに対して、 DMEは、常温において気体となる性質を有している。そのため、従来のディーゼルエンジンに DME燃料を使用する際には、インジェクションポンプへの供給圧力が低いと、 DM E燃料が気化してしまう。よって、液体の DME燃料をインジヱクションポンプへ供給するためには、軽油燃料よりインジェクションポンプへの供給圧力を高くする必要がある。

したがって、従来のディ一ゼルエンジンに DM E燃料を使用すると、そのィンジェクションポンプへの高い供給圧力によって、エンジンの燃料噴射ノズルに D ME燃料を送出するィンジェクシヨンポンプのプランジャバレルとプランジャとの間の隙間から、インジェクションポンプのカム室に漏れる燃料の量が、軽油燃料を使用した場合より多くなつてしまうという問題が生じる。また、 D M Eは、軽油と比較して低粘度であるので、隙間から漏れやすくなり、さらにその量は多くなつてしまう。そして、プランジャバレルとプランジャとの間の隙間から漏れた D M E 燃料が、インジェクションポンプのカム室に流れ込んで気化し、気化した D M E燃料がエンジンのクランク室に侵入して引火する虞がある。

また、エンジン停止後に噴射系内に残留している D M E燃料が、燃料噴射ノズルのノズルシート部からエンジンのシリンダ内に漏れて気化し、シリンダ内に気化した D M E燃料が充満することによって、エンジンを始動する際にノッキング等の異常燃焼が生じて、エンジン始動が正常に行えず大きな振動や騒音が発生する虞がある。

これらの課題を解決する従来技術の一例としては、上述のプランジャバレルとブランジャとの間の隙間を小さくし、インジェクションポンプのカム室に漏れる D M E燃料の量を低減させた D M E燃料供給装置が、特閧平 1 0— 2 8 1 0 3 0号公報に開示されている。しかし、上記従来技術は、 D M E燃料の漏れ量を低減させただけに過ぎず、漏れた D M E 燃料による問題を解決するものではない。

一方、漏れた D M E燃料がエンジンのクランク室の潤滑油に侵入するのを防止すべく、 D M E燃料供給装置のィンジェクシヨンポンプのカム室と、エンジンのクランク室とを分離した構造とし、かつプランジャバレルとプランジャとの間の隙間からィンジェクションポンプのカム室に漏れた D M E燃料、及びエンジン停止後に噴射系内に残留している D M E燃料を電動コンプレッサ一等でタンクに回収する D M E燃料供給装置が公知のものとなっている。

このように、 D M E燃料供給装置のィンジ工クシヨンポンプのカム室と、エンジンのクランク室とを分離した構造であり、かつプランジャバレルとプランジャとの間の隙間からィンジヱクションポンプのカム室に漏れた D M E燃料を、電動コンプレッサ一等で燃料夕ンクに回収するので、気化した D M E燃料がエンジンのクランク室に侵入することを防止することができる。また、エンジン停止後に噴射系内に残留している D M E燃料を電動コンプレッサーで夕ンクに回収するので、エンジン停止後に噴射系内に残留している D M E燃料によって、エンジンを始動する際にノッキング等の異常燃焼が生じることを防止することができる。

しかしながら、ェンジン停止後に噴射系内に残留している D M E燃料を電動コンプレッサ一でタンクに回収しても、無噴射状態時にはィンジェクシヨンポンプエレメントのバルブが閉じた状態であるため、噴射系内において、インジェクションポンプエレメントの出口側と燃料噴射ノズルの入口側との間の燃料流路に残留している D M E燃料を回収することができない。そのため、噴射系内の D M E燃料を完全に回収することができず、依然としてエンジンを始動する際にノッキング等の異常燃焼が生じる虞が残るという問題があった。

本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、ェンジン停止後にインジェクションポンプエレメントと燃料噴射ノズルとの間に残留している D M E燃料を回収することが可能なディーゼルェンジンの D M E燃料供給装置を提供することにある。発明の開示

上記課題を達成するため、本発明の第 1の態様は、燃料タンク内の D M E燃料を所定の圧力に加圧し、フィードパイプへ送出するフイードポンプと、ディーゼルエンジンの駆動軸の回転が伝達されて回転するカムシャフトと係合するプランジャの上下動で開閉可能なデリバリバルブによって、前記フィードパイプを経由して送出された前記 D M E燃料が流れる油溜室の該 D M E燃料を、所定のタイミングで所定の量だけ前記ディ一ゼルエンジンの燃料噴射ノズルに連通しているィンジェクシヨンパィプへ送出するィンジェクションポンプエレメントを有するィンジェクションポンプと、前記燃料噴射ノズルからオーバーフローした前記 D M E燃料、及び前記ィンジェクションポンプからオーバ一フローした前記 D M E燃料を、前記燃料タンクへ戻すためのオーバ一フロー燃料パイプと、前記ディーゼルエンジン停止後、前記油溜室内、及び前記オーバーフロー燃料パイプ内に残留している前記 D M E燃料を、前記燃料タンクへ回収可能な残留燃料回収手段とを備えた前記ディーゼルエンジンの D M E燃料供給装置の前記ィンジヱクシヨンポンプであって、前記力ムシャフトのカムによってデリバリバルブが開閉する噴射状態と、前記力ムによって前記プランジャが上下動しても前記デリバリパルブが開閉しない無噴射状態とを切り換える噴射状態切換手段を有し、前記ィンジェクシヨンポンプエレメントは、前記無噴射状態の時にのみ、前記デリバリバルブが閉じた状態でも前記ィンジェクションパイプと前記油溜室とが連通する構成を成している、ことを特徴としたインジヱクシヨンポンプである。

このように、エンジン停止後、噴射状態切換手段によって無噴射状態に切り換えられた状態において、デリバリバルブが閉じた状態でも、ィンジェクションパイプと油溜室とが連通する構成を成しているので、ェンジン停止後、残留燃料回収手段によって油溜室の D M E燃料を回収する際に、インジェクションパイプ内に残留している D M E燃料を回収することができる。

これにより、本発明の第 1の態様に係るィンジェクシヨンポンプによれば、エンジン停止後、残留燃料回収手段によって油溜室の D M E燃料を回収する際に、インジェクションパイプ内に残留している D M E燃料を回収することができるので、ェンジン停止後にィンジェクシヨンボンプエレメントと燃料噴射ノズルとの間に残留している D M E燃料を回収することが可能になり、前述したノッキング等の異常燃焼によって、ェンジン始動が正常に行えず大きな振動や騒音が発生することを防止することができるという作用効果が得られる。

本発明の第 2の態様は、前記第 1の態様において、前記インジェクシヨンポンプエレメントは、略円柱体形状を成す前記プランジャが、前記噴射状態切換手段によって前記プランジャバレル内で周方向に回転し、該回転位置により前記 D M E燃料の噴射量が変化する構成を成しており、前記噴射量が 0 となる前記プランジャの回転位置において無噴射状態となり、かつ前記ィンジェクシヨンパイプと前記油溜室とを連通させるパ —ジ通路が構成される、ことを特徴としたィンジヱクションポンプである。

本発明の第 2の態様に係るィンジヱクションポンプによれば、噴射状態切換手段によってブランジャが周方向に回転し、その回転位置により D M E燃料の噴射量が変化する構成を成しており、その噴射量が 0となるプランジャの回転位置において無噴射状態となって、インジヱクションパイプと油溜室とを連通させるパージ通路が構成されることによって、本発明の第 1の態様による作用効果を得ることができるものである。

本発明の第 3の態様は、前記第 2の態様において、前記インジェクシヨンポンプエレメントは、前記ィンジェクシヨンパイプに連通しているデリバリバルブ揷設孔を有するデリバリバルプホルダと、前記デリバリバルブ揷設孔に往復動可能に揷設されている前記デリバリバルブと、前記デリバリバルブホルダと一体に配設され、前記デリノ、'リバルプのバルブ部が当接した状態で、前記ィンジェクションパイプと前記油溜室との連通が遮断されて閉弁状態となるバルブシート部を有するデリバリバルブシートと、前記デリバリバルブを前記デリバリバルブシ一トに付勢するデリノリスプリングと、前記デリバリバルブシ一トと一体に配設され、該デリバリパルプシ一トに連通している液圧室を有するプランジャバレルと、前記液圧室に往復動可能に揷設され、一端側が前記デリバリバルブに面している前記プランジャと、該プランジャを前記カム側に付勢するプランジャスプリングとを備え、前記噴射状態時には、前記閉弁状態から前記ブランジャが前記カムに押し上げられ、前記液圧室と前記油溜室との連通が遮断され、前記液圧室内の前記 D M E燃料が前記デリバリバルブを押し上げて閧弁状態となり、開弁状態の前記デリバリバルブから前記液圧室内の前記 D M E燃料が前記ィンジェクシヨンパイプへ圧送され、前記プランジャの外周面に形成されている切り欠き部を介して前記液圧室と前記油溜室とが再び連通し、前記液圧室内の液圧が低下して前記デリバリバルブが前記デリパリスプリングの付勢力によって閉弁し、前記無噴射状態時には、前記ブランジャの外周面に形成されているパージ溝と、前記プランジャバレルの内周面に形成されているパ一ジポ一トとが連通する回転位置となる如く、前記噴射状態切換手段によって前記プランジャが周方向に回転し、前記パージポート、前記パージ溝、及び前記デリバリバルブシ一トに形成され、前記ィンジェクシヨンパイプと前記パージポートとを連通させるパージ通路を介して前記ィンジヱクションパイプと前記油溜室とが連通する構成を成している、ことを特徴としたインジェクションポンプである。

このように、噴射状態切換手段によってプランジャが周方向に回転し、プランジャの外周面に形成されているパージ溝と、プランジャバレルの内周面に形成されているパージポートとが連通する回転位置まで回転した時点で、噴射状態が無噴射状態となる構成を成しているので、デリバリバルブシートに形成されているィンジェクションパイプとパ一ジポ一トとを連通させるパージ通路を介してィンジヱクシヨンパイプと油溜室とを連通させるパージ通路が構成され、エンジン停止後、残留燃料回収手段によって油溜室の D M E燃料を回収する際に、インジェクションパィプ内に残留している D M E燃料を回収することができる。

これにより、本発明の第 3の態様に係るィンジェクシヨンポンプによれば、噴射状態切換手段によってプランジャが周方向に回転し、プランジャの外周面に形成されているパージ溝と、プランジャバレルの内周面に形成されているパージポートとが連通する回転位置まで回転した時点で、噴射状態が無噴射状態となる構成を成していることによって、本発明の第 2の態様による作用効果を得ることができるものである。

本発明の第 4の態様は、前記第 1〜第 3のいずれか一の態様において、前記インジェクションポンプは、前記カムシャフトが配設され、潤滑油が貯留されているカム室が、前記ディーゼルエンジンの潤滑系と分離された専用潤滑系となっており、前記カム室には、前記 D M E燃料が混入した前記潤滑油から該 D M E燃料を分離するオイルセパレー夕と、前記カムシャフトのカムによって駆動され、分離した前記 D M E燃料を加圧して前記燃料タンクへ送出するコンプレッサ一とが配設されている、ことを特徴としたインジェクションポンプである。

このように、カム室が、ディーゼルエンジンの潤滑系と分離された専用潤滑系になっているので、インジェクションポンプエレメントのプランジャとブランジャバレルとの間の隙間からカム室に漏れた D M E燃料が、ディーゼルエンジンの潤滑系に侵入する虞がない。また、カム室に配設されたオイルセパレ一夕によって、 D M E燃料が混入した潤滑油から D M E燃料を分離し、分離された D M E燃料がコンプレッサーによつて燃料タンクへ送出されるので、 D M E燃料の混入による潤滑油の潤滑性能の低下等を防止することができる。さらに、コンプレッサーは、力ム室内のカムによって駆動されるので、電動モー夕等のコンプレッサーを駆動させる駆動源が必要ない。

これにより、本発明の第 4の態様に係るィンジェクションポンプによれば、本発明の第 1〜第 3のいずれか一の態様による作用効果に加えて、インジヱクシヨンポンプエレメントのプランジャとプランジャバレルとの間の隙間からカム室に漏れた D M E燃料が、ディーゼルエンジンの潤滑系に侵入する虞がないので、ディーゼルエンジンの潤滑系に侵入した D M E燃料が気化し、気化した D M E燃料がェンジンのクランク室に侵入して引火するといつた虞をなくすことができるという作用効果が得られる。

また、 D M E燃料の混入による潤滑油の潤滑性能の低下等を防止することができるので、潤滑油の潤滑性能の低下等によるィンジヱクシヨンポンプの性能低下を防止することができ、さらに、電動モー夕等のコンプレヅサ一を駆動させる駆動源が必要ないので、より省電力なィンジヱクションポンプが可能になるという作用効果も得られる。

本発明の第 5の態様は、前記第 2〜第 4のいずれか一の態様において、前記噴射状態切換手段は、前記ブランジャと係合して前記ブランジャを周方向に回転させる如く往復動可能に配設されたコントロールラックと、前記ディーゼルエンジンの回転数が許容最高回転数を超えないように前記コントロールラックのラック位置を燃料減方向へ引き戻す高速制御手段を有するガバナとを備え、前記コントロールラックは、前記ガバナの前記高速制御手段におけるフルラック位置と、前記噴射状態から前記無噴射状態へ切り換わる無噴射ラック位置との間の前記コントロ一ルラックの移動範囲外にパージラック位置が設定されており、前記ガバナは、前記残留燃料回収手段によって、前記ディーゼルエンジン停止後、前記油溜室内、及び前記オーバーフロー燃料パイプ内に残留している前記 D M E燃料を前記燃料タンクへ回収する際に、前記コントロールラックの T JP02/11657

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ラック位置を前記パージラック位置へ移動させ、前記インジェクションポンプエレメントは、前記コントロールラヅクのラヅク位置が前記パ一ジラック位置にある場合のみ、前記パージ通路が構成された状態で前記無噴射状態となる、ことを特徴としたインジェクションポンプである。

インジヱクシヨンボンプェレメントが無噴射状態となるコント口一ルラックのラック位置範囲に、パージラック位置が設定されており、ガバナによって制御されるコントロールラックのラック位置がパ一ジラック位置にある場合にのみインジェクションポンプエレメントのパージ通路が構成される。また、残留燃料燃料回収手段は、ディーゼルエンジン停止後に油溜室等に残留している D M E燃料を回収する際に、ガバナによつてコント口一ルラックをパ一ジラック位置に移動させる。したがって、ディ一ゼルエンジン停止後に油溜室等に残留している D M E燃料を回収する際にのみ、インジェクションポンプエレメントのパージ通路を構成することができるので、例えばアイドリングストップ等のディーゼルェンジン停止後に、無噴射状態のまま油溜室等に残留している D M E燃料を回収しない場合には、無噴射状態のままパージ通路を構成しないようにすることができる。

これにより、本発明の第 5の態様に係るィンジヱクションポンプによれば、前記第 1〜第 4のいずれか一の態様による作用効果に加えて、ディ一ゼルエンジン停止後に、無噴射状態のまま油溜室等に残留している D M E燃料を回収しない場合には、無噴射状態のままパージ通路を構成しないようにすることができるという作用効果が得られる。

また、このようなパージラヅク位置が設定されていることによって、ィンジヱクションポンプエレメント及びガバナの調整作業において、ノ、" —ジ通路が構成されるブランジャの回転位置と、コント口一ルラヅクのラック位置との調整を容易かつ確実に行うことが可能になるという作用効果が得られる。

本発明の第 6の態様は、前記第 5の態様において、前記パージラック位置は、前記無噴射ラック位置より無噴射状態側の前記コントロ一ルラックの移動範囲内に設定されている、ことを特徴としたインジェクションポンプである。

本発明の第 6の態様に係るィンジヱクションポンプによれば、前記第 5の態様による作用効果に加えて、パージラック位置は、無噴射ラック位置より無噴射状態側のコントロールラックの移動範囲内に設定されているので、噴射状態時にパージ通路が構成されてしまう虞をなくすことができるという作用効果が得られる。

本発明の第 7の態様は、前記第 1〜第 6のいずれか一の態様のィンジェクシヨンポンプを備えたディーゼルエンジンの D M E燃料供給装置でめる。

本発明の第 7の態様に係るディ一ゼルエンジンの D M E燃料供給装置によれば、ディーゼルエンジンの D M E燃料供給装置において、前述した本発明の第 1〜第 6のいずれか一の態様による作用効果を得ることができる。

本発明の第 8の態様は、前記第 7の態様において、前記残留燃料回収手段は、前記フィ一ドパイプと前記オーバ一フロ一燃料パイプとの間に配設されたァスビレー夕によって、前記フィードポンプから送出された前記 D M E燃料を、そのまま前記燃料タンクへ環流させ、前記油溜室内、及び前記ォ一バーフロー燃料パイプ内に残留している前記 D M E燃料が、環流する前記 D M E燃料に吸引されて、前記燃料タンクへ回収される構成を成している、ことを特徴としたディーゼルエンジンの D M E燃料供給装置である。

本発明の第 8の態様に係るディーゼルエンジンの D M E燃料供給装置によれば、前記第 7の態様による作用効果に加えて、新たに残留燃料回収用のポンプ等を設けずにフィ一ドポンプを駆動源として、油溜室内及びオーバ一フロー燃料パイプ内に残留している D ME燃料を燃料タンクに回収することができるという作用効果が得られる。

本発明の第 9の態様は、前記第 7又は第 8の態様において、前記フィ ―ドポンプは、前記燃料タンクの前記 DM E燃料の送出口近傍に配設され、該送出口は、前記燃料タンク内の前記 DME燃料の液面より下に位置している、ことを特徴としたディーゼルエンジンの DM E燃料供給装置である。

軽油を燃料とした従来のディーゼルエンジンの燃料供給装置は、ィンジェクションポンプに配設されたフィ一ドポンプによって、燃料タンク内の燃料を吸引していた。しかし、前述したように、 DME燃料は、常温大気圧時には気化して気体になってしまう性質を有しているので、ィンジェクシヨンポンプ側のフィードポンプによって燃料タンク内の DM E燃料を吸引すると、燃料タンク内の圧力が低下して DM E燃料が気化してしまう虞がある。

そこで、燃料タンクの DME燃料送出口を、燃料タンク内の DME燃料の液面より下に設け、フィードポンプを燃料タンクの D ME燃料の送出口近傍に配設して、 D ME燃料をィンジヱクシヨンポンプへ送出する構成とすることで、フィ一ドポンプで DM E燃料を送出する際の燃料夕ンク内の圧力の低下を少なくすることができる。

これにより、本発明の第 9の態様に係るディ一ゼルエンジンの D ME 燃料供給装置によれば、前記第 7又は第 8の態様による作用効果に加えて、燃料タンク内の DME燃料をインジェクションポンプへ送出する際において、燃料タンク内の圧力の低下を少なくすることができるので、燃料タンク内の D ME燃料が燃料タンク内の圧力の低下によって気化してしまう虞を少なくすることができるという作用効果が得られる。図面の簡単な説明

図 1は、本発明の好ましい実施形態に係るディーゼルエンジンの D M E燃料供給装置の概略構成を示したシステム構成図である。図 2は、本発明の好ましい実施形態に係るィンジェクションポンプのィンジェクシヨンポンプエレメントの近傍を示した要部斜視図である。図 3は、前記インジェクションポンプエレメントのプランジャバレルに揷設されているプランジャの一部を拡大して示した斜視図である。図 4は、前記インジェクシヨンポンプエレメントの断面を示した要部正面図であり、噴射状態時における吸入工程を示したものである。図 5は、前記インジェクションポンプエレメントの断面を示した要部正面図であり、噴射状態時における噴射工程の噴射始めを示したものである。図 6は、前記インジェクシヨンポンプエレメントの断面を示した要部正面図であり、噴射状態時における噴射工程の噴射終わりを示したものである。図 7は、前記インジェクションポンプエレメン卜の断面を示した要部正面図であり、無噴射状態時（ディーゼルエンジンの停止時）を示したものである。図 8は、前記ィンジェクシヨンポンプエレメントの断面を示した正面図である。図 9は、図 8に示したインジェクションポンプエレメントの X— X断面の平面図であり、図 9 ( a ) は、噴射状態、図 9 ( b ) は、無噴射状態を、それそれ示したものである。図 1 0は、本発明の好ましい実施形態に係るィンジェクシヨンポンプにおいて、ガバナのラック位置に対するガバナ線図とブランジャ有効ストローク線図とを示したものであり、図 1 0 ( a ) は、プランジャ有効ストローク線図、図 1 0 ( b ) は、ガバナ線図である。発明を実施するための最良の形態

以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。

まず、ディーゼルエンジンの D M E燃料供給装置の概略構成について説明する。

図 1は、本発明に係るディーゼルエンジンの D M E燃料供給装置の概略構成を示したシステム構成図である。

ディーゼルエンジン 2 0 0に D M E燃料を供給する； D M E燃料供給装置 1 0 0は、本発明に係るインジェクションポンプ 1を備えている。ィンジェクシヨンポンプ 1は、ディーゼルエンジン 2 0 0が有するシリンダ 3 1の数と同じ数のインジェクションポンプエレメント 2を備えている。フィ一ドポンプ 5は、燃料夕ンク 4に貯留されている D M E燃料を、所定の圧力に加圧してフイードパイプ 5 2へ送出する。燃料夕ンク 4の D M E燃料送出口は、燃料タンク 4内の D M E燃料の液面より下に設けられており、フィードポンプ 5を燃料タンク 4の D M E燃料の送出口近傍に配設されている。フィードパイプ 5 2へ送出された D M E燃料は、フィル夕 5 1でろ過され、 3方電磁弁 7 1を介してインジ：クシヨンポンプ 1へ送出される。 3方電磁弁 7 1は、噴射状態時（ディーゼルェンジン 2 0 0の運転時）には O N状態で、符号 Aで示した矢印の方向に連通している。

このように、燃料タンク 4の D M E燃料送出口が、燃料タンク 4内の D M E燃料の液面より下に設けられており、フィードポンプ 5を燃料夕ンク 4の D M E燃料の送出口近傍に配設して、 D M E燃料をィンジ工クシヨンポンプ 1へ送出する構成となっているので、燃料タンク 4内の圧力の低下を少なくすることができる。そして、それによつて、燃料タンク 4内の D M E燃料が、燃料夕ンク 4内の圧力の低下によって気化してしまう虞を少なくすることができる。インジェクションポンプ 1内のカム室（図示せず）は、ディ一ゼルェンジン 2 0 0の潤滑系と分離された専用潤滑系となっており、オイルセパレ一夕 6は、インジェクションポンプ 1内のカム室に漏れだした D M E燃料が混入したカム室内の潤滑油を、 D M E燃料と潤滑油とに分離し、潤滑油をカム室に戻す。オイルセパレー夕 6で分離された D M E燃料は、カム室内の圧力が大気圧以下になるのを防止するチェック弁 6 2を介して、カム室内のカムによって駆動されるコンプレッサー 6 1へ送出され、コンプレッサー 6 1で加圧された後、チェック弁 6 3、及びクーラ一 4 1を介して燃料タンク 4へ戻される。チェック弁 6 3は、ディーゼルェンジン 2 0 0の停止時に、燃料タンク 4から D M E燃料がカム室へ逆流するのを防止するために設けられている。

このように、インジェクションポンプ 1のカム室が、ディーゼルェンジン 2 0 0の潤滑系と分離された専用潤滑系になっているので、インジェクシヨンポンプエレメント 2からカム室に漏れた D M E燃料が、ディーゼルエンジン 2 0 0の潤滑系に侵入する虞がない。そして、それによつて、ディーゼルエンジン 2 0 0の潤滑系に侵入した D M E燃料が気化し、気化した D M E燃料がェンジンのクランク室に侵入して引火するといった虞をなくすことができる。

また、カム室に配設されたオイルセパレ一夕 6によって、 D M E燃料が混入した潤滑油から D M E燃料を分離し、分離された D M E燃料がコンプレッサ一 6 1によって燃料タンク 4へ送出されるので、 D M E燃料の混入による潤滑油の潤滑性能の低下等を防止することができる。そして、それによつて、潤滑油の潤滑性能の低下等によるインジヱクシヨンポンプ 1の性能低下を防止することができる。

さらに、コンプレッサー 6 1は、カム室内のカムによって駆動されるので、電動モ一夕等の駆動源が必要なく、それによつて、より省電力なインジェクションポンプ 1が可能になる。

燃料タンク 4からフィードポンプ 5によって所定の圧力に加圧されて送出された D M E燃料は、インジェクションポンプ 1の各インジェクシヨンポンプエレメント 2からインジェクションパイプ 3を経由して、所定のタイミングで所定の量だけディーゼルエンジン 2 0 0の各シリンダ 3 1に配設されている燃料噴射ノズル 3 2へ圧送される。インジヱクシヨンポンプ 1からオーバ一フローした： D M E燃料は、オーバーフロー燃料パイプ 8を経由し、オーバーフロー燃料の圧力を決めるチェック弁 9 1、及びクーラ一 4 1を介して燃料タンク 4へ戻される。また、各燃料噴射ノズル 3 2からオーバ一フ口一した D M E燃料は、オーバ一フロー燃料パイプ 9を経由し、オーバ一フロ一燃料の圧力を決めるチヱヅク弁 9 1及びクーラー 4 1を介して燃料夕ンク 4へ戻される。

さらに、 D M E燃料供給装置 1 0 0は、ディーゼルエンジン停止時に、インジェクションポンプ 1内の油溜室（図示せず）、オーバ一フロー燃料パイプ 8、及びオーバ一フロー燃料パイプ 9に残留している D M E燃料を、燃料タンク 4へ回収する「残留燃料回収手段」の構成要素として、ァスビレー夕 7、 3方電磁弁 7 1、及び 2方電磁弁 7 2を備えている。ァスピレー夕 7は、入口 7 aと出口 7 bと吸入口 7 cとを有している。入口 7 aと出口 7 bは真っ直ぐに連通しており、吸入口 7 cは、入口 7 aと出口 7 bとの間の連通路から、略垂直方向に分岐している。 3方電磁弁 7 1が 0 F Fの時に連通する連通路（符号 Bの矢印で示した連通方向）の出口側が入口 7 aに接続されており、クーラー 4 1を介して燃料タンク 4への経路へ出口 7 bが接続されている。また、吸引口 7 cは、噴射状態時（ディーゼルエンジン 2 0 0の運転時）には O F F状態となつている 2方電磁弁 7 2に接続されている。

無噴射状態時（ディーゼルエンジン 2 0 0の停止時）には、 3方電磁 16

弁 7 1を O F Fして符号 Bの矢印で示した方向の連通路を構成するとともに、 2方電磁弁 7 2を 0 Nして、オーバ一フロー燃料パイプ 8及びォ一バ一フロー燃料パイプ 9 とァスピレ一夕 7.の吸入口 7 cとの間を連通させる（符号 Cで示した矢印の方向）。したがって、フィードポンプ 5から送出された D M E燃料は、ィンジェクシヨンポンプ 1へ送出されずに、ァスピレ一夕 7へ送出され、入口 7 aから出口 7 bへ抜け、ク一ラー 4 1を介して燃料タンク 4へ戻り、再びフィードポンプ 5からァスピレ一夕 7へ送出される。つまり、ァスピレ一夕 7を介して D M E燃料液が環流する状態となる。そして、インジェクションポンプ 1内の油溜室、ォ —バーフロー燃料パイプ 8、及びオーバーフロー燃料パイプ 9に残留している D M E燃料は、入口 7 aと出口 7 bを流れる D M E燃料液の流れによって、吸引口 7 cから吸引されて燃料タンク 4へ回収されることになる。

このように、残留燃料回収手段は、フィードポンプ 5を駆動源としてァスピレー夕 7によって、油溜室、オーバ一フロー燃料パイプ 8、及びォ一バーフロー燃料パイプ 9の D M E燃料を吸引して燃料夕ンク 4へ回収する構成を成しているので、新たに残留燃料回収用のポンプ等を設ける必要がない。

次に、本発明に係るインジェクションポンプ 1を構成するインジェクシヨンポンプエレメント 2の概略構造について説明する。

図 2は、本発明に係るインジェクションポンプ 1のインジェクションポンプエレメント 2の近傍を示した要部斜視図である。

デリパリバルブホルダ 2 1は、デリノリバルブ揷設孔 2 1 1を有する形状を成しており、インジェクションポンプ 1の基体に固定されている。デリバリバルブ挿設孔 2 1 1 と連通している燃料液送出口 2 1 2には、インジェクションパイプ 3が接続される。デリバリノルブ揷設孔 2 1 1 には、デリバリバルブ 2 3が往復動可能に揷設されており、デリバリバルブ 2 3は、デリバリスプリング 2 2によって、デリノ、'リバルブホルダ 2 1 と一体に配設されているデリバリバルブシ一ト 2 4のバルブシート部 2 4 aに、バルブ部 2 3 1が当接する如く付勢されている。

プランジャバレル 2 5は、デリノ 'リバルプシート 2 4と一体に配設され、デリバリパルブシ一ト 2 4に連通している液圧室 2 5 aを有している。液圧室 2 5 aには、プランジャ 2 6が往復動可能に揷設されており、その一端側がデリパリノ"レブ 2 3に面している。プランジャ 2 6は、プランジャスプリング 2 7によって、カム 1 3側に付勢されている。プランジャ 2 6は、ディーゼルエンジン 2 0 0の駆動軸に連結され、ディーゼルエンジン 2 0 0の駆動力で回転するカムシャフト 1 2のカム 1 3によって、夕ぺヅト 2 8を介してデリバリバルブ 2 3側（符号 Dの矢印で示した方向）に押し上げられる。プランジャ 2 6のつば部 2 6 1は、コント口一ルラック 1 4 と係合して回転するピニオン 2 9 と一体の円筒状の部材であるスリーブ 2 9 1 と係合しており、ガバナ 1 5 (図 1 ) によつて位置が調節されるコント口一ルラヅク 1 4の往復動によってピニォン 2 9が回転し、プランジャ 2 6が周方向に回転する構成を成しており、このプランジャ 2 6の回転位置によって D M E燃料の噴射量が増減する c 図 3は、プランジャバレル 2 5に揷設されているプランジャ 2 6の一部を拡大して示した斜視図である。

インジェクションポンプ 1において、インジェクションポンプエレメント 2は、 D M E燃料を高圧にし、かつ噴射量を増減できる重要な部品である。そのため、プランジャ 2 6 とデリバリバルブ 2 3の摺動部は、超精密な仕上げが施されている。プランジャバレル 2 5の側壁面には、油溜室 1 1 と液圧室 2 5 aとを連通させる吸排ロ 2 5 1が形成されている。プランジャ 2 6には、切り欠き部 2 6 2が形成されている。切り欠き部 2 6 2は、プランジャ 2 6の外周面に図示の如く斜めに切り欠かれた溝であり、溝部分は、プランジャ 2 6の中央に形成されている孔 2 6 3に連通している。

ここで、プランジャ 2 6の作動について、図 4〜図 7を参照しながら説明する。

図 4は、本発明に係るィンジェクシヨンポンプエレメント 2の断面を示した要部正面図であり、噴射状態時（ディーゼルエンジン 2 0 0の運転時）における吸入工程を示したものである。また、図 5は、噴射状態時における噴射工程の噴射始めを示したものであり、図 6は、噴射状態時における噴射工程の噴射終わりを示したものである。

カム 1 3の下降工程においてプランジャ 2 6が下降し（符号 Eで示した矢印の方向）、プランジャ 2 6の上端面 2 6 4がブランジャバレル 2 5 の吸排ロ 2 5 1に覼くと、油溜室 1 1内の D M E燃料が吸排ロ 2 5 1から液圧室 2 5 a内に送られてくる。そして、カム 1 3の下死点で D M E 燃料の吸引が終了する（吸入工程）。カム 1 3が上昇行程になるとブランジャ 2 6も上昇し、プランジャ 2 6の上端面 2 6 4が吸排ロ 2 5 1を塞いだとき、油溜室 1 1と液圧室 2 5 aの連通が遮断される（噴射工程の噴射始め）。カム 1 3の上昇につれて D M E燃料は、デリバリバルブを押し上げて開き、インジェクションパイプ 3を介してディ一ゼルェンジン 2 0 0の噴射ノズルへ圧送されていく。そして、プランジャ 2 6の切り欠き部 2 6 2が吸排ロ 2 5 1に到達したときに、液圧室 2 5 a内の D M E燃料は、プランジャ 2 6の孔 2 6 4から切り欠き部 2 6 2、吸排ロ 2 5 1を介して、その液圧によって油溜室 1 1に流れ込む。それによつて、液圧室 2 5 a内の D M E燃料の液圧は低下して、デリバリバルブ 2 3は、デリバリスプリング 2 2の付勢力によって下降し、バルブ部 2 3 2がデリバリバルブシ一ト 2 4のバルプシ一ト部 2 4 aに当接した時点で閉弁状態となる（噴射工程の噴射終わり）。

上述した噴射始め（図 5 ) から噴射終わり（図 6 ) までのプランジャ 2 6のストロークを有効ストロークと言う。 D M E燃料の圧送は、この有効ストロークの間だけ行われ、有効ストロークの長さを変えることによって、圧送される D M E燃料の量の増減が行われる。切り欠き部 2 6 2は、図示の如く周方向に斜めに形成されているので、前述したように、コント口一ルラヅク 1 4 (図 2 ) の位置を変えることによって、プランジャ 2 6を周方向に回転させることで、プランジャ 2 6の切り欠き部 2 6 2が吸排ロ 2 5 1に到達する位置を変えることができる。そして、それによって、有効ストロ一クの長さを変えることができる構成となっている。

ここで、無噴射状態について説明する。

図 7は、本発明に係るィンジェクシヨンポンプエレメント 2の断面を示した要部正面図であり、無噴射状態時（ディーゼルエンジン 2 0 0の停止時）を示したものである。

コントロールラック 1 4の位置を、圧送される D M E燃料の量が 0になる位置、つまり、プランジャ 2 6の上端面 2 6 4が吸排ロ 2 5 1を塞いだとき、同時に切り欠き部 2 6 2 も吸排ロ 2 5 1に到達しているので、有効ストロークは 0となり、プランジャ 2 6が上昇しても液圧室 2 5 a と油溜室 1 1は連通した状態となる。したがって、カム 1 3によるブランジャ 2 6の上下動によって、圧送される D M E燃料が 0となり、この状態が無噴射状態である。これによつて、 D M E燃料の圧送は行われなくなり、ディーゼルエンジン 2 0 0への D M E燃料の供給がされなくなつてディーゼルエンジン 2 0 0が停止する。

図 8は、本発明に係るインジェクションポンプエレメント 2の断面を示した正面図である。デリバリパルプシ一ト 2 4には、パージ通路 2 4 2が形成されている。パージ通路 2 4 2は、その一方側が、燃料液送出口 2 1 2 と連通しており、他方側は、プランジャバレル 2 5に形成されているパージ通路 2 5 2に連通している。パージ通路 2 5 2は、プランジャバレル 2 5の内周面へ連通しているパージポート 2 5 3 と連通している。つまり、インジェクシヨンポンプエレメント 2は、燃料液送出口 2 1 2に接続されるィンジヱクションパイプ 3と、プランジャバレル 2 5の内周面とが連通する連通経路が形成されている。

つづいて、無噴射状態時にァスピレ一夕 7によって、インジェクションパイプ 3に残留している D M E燃料を回収する際の回収経路について説明する。

図 9は、図 8に示した本発明に係るィンジェクシヨンポンプエレメント 2の X— X断面の平面図であり、図 9 ( a ) は、噴射状態、図 9 ( b ) は、無噴射状態を、それぞれ示したものである。

図 9 ( a ) に示した噴射状態、つまり所定の D M E燃料を圧送可能な有効ストロークが得られるプランジャ 2 6の回転位置においては、プランジャ 2 6の外周面の軸方向に形成されているパージ溝 2 6 5は、プランジャバレル 2 5の内周面に形成されているパージポ一ト 2 5 3 と非連通状態となる位置関係となっている。

図 9 ( b ) に示した無噴射状態時には、プランジャ 2 6が周方向に回転し、プランジャ 2 6の外周面に形成されているパージ溝 2 6 5 と、プランジャバレル 2 5の内周面に形成されているパージポ一ト 2 5 3とが連通する回転位置となる。パージ溝 2 6 5は、プランジャ 2 6の上端面 2 6 4まで形成されているので、パージ溝 2 6 5は、孔 2 6 3、切り欠き部 2 6 2を介して油溜室 1 1へ連通している。つまり、無噴射状態時において、デリバリバルプ 2 3が閉じた状態でもインジェクションパイプ 3は、パージ通路 242、パージ通路 252、パ一ジポ一ト 2 53、パージ溝 2 6 5、孔 263、及び切り欠き部 262を介したパージ通路が構成されることによって油溜室 1 1へ連通することになる。したがつて、無噴射状態時にァスピレー夕 7で油溜室 1 1の DM E燃料を回収することによって、油溜室 1 1と連通しているインジェクションパイプ 3 の DM E燃料を、このパージ通路を介して回収することができる。

図 1 0は、本発明に係るインジェクションポンプ 1において、ガバナ 1 5のラック位置に対するガバナ線図とプランジャ有効ストローク線図とを示したものであり、図 1 0 (a) は、プランジャ有効ストロ一ク線図、図 1 0 (b) は、ガバナ線図である。

図 1 0 (a) に示したプランジャ有効ストローク線図は、ガバナ 1 5 (図 1) によってラック位置が調節されるコントロールラック 14 (図 2 ) のラヅク位置と、コントロールラヅク 14と係合して回転するブランジャ 2 6の回転位置によって増減するィンジェクションポンプエレメント 2の燃料噴射量との関係を示したものである（符号 L 1 )。また、コントロ一ルラック 14のラック位置は、符号 F Rがフルラック位置、符号 I Rがアイドルラック位置、符号 N Rが無噴射ラック位置、そして、符号 P Rがパージラック位置である。

図 1 0 (b) に示したガバナ線図は、ディーゼルエンジン 200の回転数に対するコントロールラック 14のラック位置を示したガバナ 1 5 の制御曲線である。ガバナ 1 5は、高速運転時には符号 L 2で示した制御曲線でコントロールラック 14のラック位置を調節し、低速運転時又はアイドリング状態においては符号 L 3で示した制御曲線でコントロ一ルラック 14のラック位置を調節する。符号 L 4で示した領域は、無噴射状態となる非制御領域を示したものである。

パージラック位置 PRは、無噴射ラック位置 NRより下側（無噴射領域側）に設定されている。コントロールラック 1 4が無噴射ラック位置 N Rまで移動してインジェクションポンプエレメント 2が無噴射状態となり、ディーゼルエンジン 2 0 0が停止した後、前述した残留燃料回収手段によって残留している D M E燃料を回収する際には、ガバナ 1 5がコントロールラック 1 4を、さらに無噴射方向に移動させ、ラック位置をパージラヅク位置 P Rまで移動させる。コントロールラヅク 1 4がパージラヅク位置 P Rに移動した時点で、プランジャ 2 6の回転位置は、プランジャ 2 6の外周面に形成されているパージ溝 2 6 5 と、プランジャバレル 2 5の内周面に形成されているパージポート 2 5 3とが連通する回転位置となる。

したがって、ディーゼルエンジン 2 0 0停止後に、無噴射状態のまま油溜室 1 1等に残留している D M E燃料を回収しない場合には、つまり、アイドリングストヅプ状態等においては、コントロールラック 1 4のラック位置を無噴射ラック位置 N Rとし、無噴射状態のままパージ通路を構成しないようにすることができる。また、このようなパージラック位置 P Rが設定されていることによって、インジェクションポンプエレメント 2及びガバナ 1 5の調整作業において、パージ通路が構成されるプランジャ 2 6の回転位置と、コントロールラック 1 4のラック位置との調整を容易かつ確実に行うことが可能になる。さらに、パージラック位置 P Rは、無噴射ラック位置 N Rより無噴射状態側のコントロールラック 1 4の移動範囲内に設定されているので、噴射状態時にパージ通路が構成されてしまう虞がない。

このようにして、本発明に係るディーゼルエンジンの D M E燃料供給装置 1 0 0によれば、ディ一ゼルエンジン 2 0 0停止時の無噴射状態時には（コントロールラヅク 1 4のラック位置がパージラック位置 P Rにある場合）、デリバリバルブ 2 3が閉じた状態でも、ィンジェクシヨンパイブ 3と油溜室 1 1とが連通する構成を成しているので、ディーゼルェンジン 2 0 0停止後、ァスピレー夕 7によって油溜室 1 1の D M E燃料を回収する際に、インジェクションパイプ 3内に残留している D M E燃料を回収することができる。そして、それによつて、前述したノヅキング等の異常燃焼によって、ディーゼルエンジン 2 0 0の始動が正常に行えず大きな振動や騒音が発生することを防止することができる。

尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。産業上の利用可能性

本発明に係るィンジェクションポンプは、ディーゼルエンジンの D M E燃料供給装置のィンジヱクションポンプとして好適に利用できる。また、本発明に係る D M E燃料供給装置は、ディーゼルエンジンの D M E 燃料供給装置として好適に利用できる。

Claims

請求の範囲

1 . 燃料タンク内の D M E燃料を所定の圧力に加圧し、フィードパィプへ送出するフィードポンプと、

ディ一ゼルエンジンの駆動軸の回転が伝達されて回転するカムシャフトと係合するプランジャの上下動で開閉可能なデリバリバルブによって、前記フィ一ドパイプを経由して送出された前記 D M E燃料が流れる油溜室の該 D M E燃料を、所定のタイミングで所定の量だけ前記ディーゼルエンジンの燃料噴射ノズルに連通しているィンジェクシヨンパイプへ送出するインジェクションポンプエレメントを有するインジェクションポンプと、

前記燃料噴射ノズルからオーバーフローした前記 D M E燃料、及び前記ィンジェクションポンプからオーバ一フローした前記 D M E燃料を、前記燃料タンクへ戻すためのオーバ一フロー燃料パイプと、

前記ディーゼルエンジン停止後、前記油溜室内、及び前記オーバーフロー燃料パイプ内に残留している前記 D M E燃料を、前記燃料タンクへ回収可能な残留燃料回収手段とを備えた前記ディーゼルエンジンの D M E燃料供給装置の前記ィンジェクシヨンポンプであって、

前記力ムシャフ卜のカムによってデリバリバルブが開閉する噴射状態と、前記カムによって前記ブランジャが上下動しても前記デリバリバルプが開閉しない無噴射状態とを切り換える噴射状態切換手段を有し、前記インジェクションポンプエレメントは、前記無噴射状態の時にのみ、前記デリバリバルブが閉じた状態でも前記ィンジェクションパイプと前記油溜室とが連通する構成を成している、ことを特徴としたインジェクションポンプ。

2 . 請求の範囲第 1項において、前記インジヱクシヨンポンプエレメントは、略円柱体形状を成す前記プランジャが、前記噴射状態切換手段によって前記ブランジャバレル内で周方向に回転し、該回転位置により前記 D M E燃料の噴射量が変化する構成を成しており、前記噴射量が 0となる前記プランジャの回転位置において無噴射状態となり、かつ前記インジェクションパイプと前記油溜室とを連通させるパージ通路が構成される、ことを特徴としたインジヱクシヨンポンプ。

3 . 請求の範囲第 2項において、前記インジェクションポンプエレメントは、前記ィンジェクシヨンパイプに連通しているデリバリバルブ揷設孔を有するデリバリバルブホルダと、前記デリバリバルブ揷設孔に往復動可能に揷設されている前記デリバリバルブと、前記デリバリパルプホルダと一体に配設され、前記デリバリバルブのバルブ部が当接した状態で、前記ィンジェクシヨンパイプと前記油溜室との連通が遮断されて閉弁状態となるバルブシート部を有するデリバリバルブシー卜と、前記デリパリバルブを前記デリノリバルブシートに付勢するデリバリスプリングと、前記デリバリバルブシートと一体に配設され、該デリバリバルブシ一トに連通している液圧室を有するブランジャバレルと、前記液圧室に往復動可能に揷設され、一端側が前記デリノ ^リバルブに面している前記プランジャと、該プランジャを前記カム側に付勢するブランジャスプリングとを備え、

前記噴射状態時には、前記閉弁状態から前記ブランジャが前記カムに押し上げられ、前記液圧室と前記油溜室との連通が遮断され、前記液圧室内の前記 D M E燃料が前記デリバリパルブを押し上げて開弁状態となり、開弁状態の前記デリバリバルブから前記液圧室内の前記 D M E燃料が前記ィンジェクションパイプへ圧送され、前記ブランジャの外周面に形成されている切り欠き部を介して前記液圧室と前記油溜室とが再び連通し、前記液圧室内の液圧が低下して前記デリバリパルブが前記デリバリスプリングの付勢力によって閉弁し、

前記無噴射状態時には、前記プランジャの外周面に形成されているパ —ジ溝と、前記ブランジャバレルの内周面に形成されているパージポートとが連通する回転位置となる如く、前記噴射状態切換手段によって前記プランジャが周方向に回転し、前記パージポート、前記パージ溝、及び前記デリバリバルプシ一トに形成され、前記ィンジヱクションパイプと前記パージポ一トとを連通させるパージ通路を介して前記ィンジェクシヨンパイプと前記油溜室とが連通する構成を成している、ことを特徴としたインジェクションポンプ。

4 . 請求の範囲第 1項〜第 3項のいずれか 1項において、前記インジェクシヨンポンプは、前記カムシャフトが配設され、潤滑油が貯留されているカム室が、前記ディーゼルエンジンの潤滑系と分離された専用潤滑系となっており、前記カム室には、前記 D M E燃料が混入した前記潤滑油から該 D M E燃料を分離するオイルセパレー夕と、前記カムシャフトのカムによって駆動され、分離した前記 D M E燃料を加圧して前記燃料タンクへ送出するコンプレッサーとが配設されている、ことを特徴としたインジェクションポンプ。

5 . 請求の範囲第 2項〜第 4項のいずれか 1項において、前記噴射状態切換手段は、前記プランジャと係合して前記ブランジャを周方向に回転させる如く往復動可能に配設されたコントロールラックと、前記ディ一ゼルエンジンの回転数が許容最高回転数を超えないように前記コントロールラックのラック位置を燃料減方向へ引き戻す高速制御手段を有するガバナとを備え、

前記コント口一ルラックは、前記ガバナの前記高速制御手段におけるフルラック位置と、前記噴射状態から前記無噴射状態へ切り換わる無噴射ラヅク位置との間の前記コント口一ルラックの移動範囲外にパージラック位置が設定されており、

前記ガバナは、前記残留燃料回収手段によって、前記ディーゼルェンジン停止後、前記油溜室内、及び前記オーバ一フロー燃料パイプ内に残留している前記 D M E燃料を前記燃料タンクへ回収する際に、前記コントロールラックのラック位置を前記パージラック位置へ移動させ、前記ィンジヱクシヨンポンプエレメントは、前記コントロールラックのラック位置が前記パ一ジラック位置にある場合のみ、前記パージ通路が構成された状態で前記無噴射状態となる、ことを特徴としたィンジェクシヨンポンプ。

6 . 請求の範囲第 5項において、前記パージラック位置は、前記無噴射ラック位置より無噴射状態側の前記コントロールラックの移動範囲内に設定されている、ことを特徴としたインジェクションポンプ。

7 . 請求の範囲第 1項〜第 &項のいずれか 1項に記載のィンジェクシヨンポンプを備えたディーゼルエンジンの D M E燃料供給装置。

8 . 請求の範囲第 7項において、前記残留燃料回収手段は、前記フイードパイプと前記オーバーフロー燃料パイプとの間に配設されたァスピレ一夕によって、前記フィードポンプから送出された前記 D M E燃料を、そのまま前記燃料タンクへ璟流させ、前記油溜室内、及び前記ォ一バーフロー燃料パイプ内に残留している前記 D M E燃料が、環流する前記 D M E燃料に吸引されて、前記燃料夕ンクへ回収される構成を成している、ことを特徴としたディーゼルエンジンの D M E燃料供給装置。

9 . 請求の範囲第 7項又は第 8項において、前記フィードポンプは、前記燃料タンクの前記 D M E燃料の送出口近傍に配設され、該送出口は、前記燃料タンク内の前記 D M E燃料の液面より下に位置している、ことを特徴としたディーゼルエンジンの D M E燃料供給装置。