JP2005180193A - ディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ノズルリターンパイプ内の圧力変動によって燃料噴射ノズルの開弁圧が変動し、燃料噴射ノズルの燃料噴射特性が低下してしまうことを防止する。
【解決手段】 ノズルリターンパイプ7へ燃料噴射ノズル9からオーバーフローした液化ガス燃料が電動コンプレッサー23に吸引されて燃料タンク4へ戻される構成を成しているので、ノズルリターンパイプ7は、電動コンプレッサー23に吸引されることによって一定の負圧状態に維持される。ノズルリターンパイプ7内は、電動コンプレッサー23に吸引されることによって、略一定の圧力に規制されることになるので、燃料噴射ノズル9の弁に対して作用するノズルリターンパイプ7内の圧力の変動を少なくすることができ、それによって、ノズルリターンパイプ7内の圧力の変動によって燃料噴射ノズル9の燃料噴射特性が低下してしまう虞を少なくすることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】 ノズルリターンパイプ7へ燃料噴射ノズル9からオーバーフローした液化ガス燃料が電動コンプレッサー23に吸引されて燃料タンク4へ戻される構成を成しているので、ノズルリターンパイプ7は、電動コンプレッサー23に吸引されることによって一定の負圧状態に維持される。ノズルリターンパイプ7内は、電動コンプレッサー23に吸引されることによって、略一定の圧力に規制されることになるので、燃料噴射ノズル9の弁に対して作用するノズルリターンパイプ7内の圧力の変動を少なくすることができ、それによって、ノズルリターンパイプ7内の圧力の変動によって燃料噴射ノズル9の燃料噴射特性が低下してしまう虞を少なくすることができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、セタン価向上剤が添加されたLPガス(以下「高セタン価LPガス」という。)やDME(ジメチルエーテル)等の液化ガスを燃料としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置に関する。
ディーゼルエンジンによる大気汚染対策として、軽油の代わりに排気がクリーンな高セタン価LPガスやDMEを燃料とするものが注目されている。これらの燃料は、従来の燃料である軽油と違って液化ガス燃料である。つまり、軽油と比較して沸点温度が低く、大気圧下で軽油が常温において液体であるのに対して、高セタン価LPガスやDMEは、常温において気体となる性質を有している。
このような性質を有する液化ガスを燃料としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置は、一般的に、液化ガス燃料が気化しないようにフィードポンプ等によって加圧された状態で燃料タンクからインジェクションポンプの油溜室へ供給され、インジェクションポンプから高圧な液化ガス燃料がインジェクションパイプを通ってディーゼルエンジンの各燃料噴射ノズルへ圧送される。そして、燃料噴射ノズルからオーバーフローした液化ガス燃料は、ノズルリターンパイプへ送出され、油溜室からオーバーフローした液化ガス燃料は、オーバーフロー燃料パイプへ送出され、ノズルリターンパイプ及びオーバーフロー燃料パイプへ送出された液化ガス燃料はオーバーフローリターンパイプを経由して、クーラー等で冷却された後に燃料タンクへ戻される(特許文献1等)。
このような従来の液化ガス燃料供給装置は、燃料噴射ノズルからオーバーフローした液化ガス燃料がノズルリターンパイプに送出され、燃料噴射ノズルからのオーバーフローによって燃料タンクへ押し出される。つまり、ディーゼルエンジンの運転時には、ノズルリターンパイプ内に燃料噴射ノズルからオーバーフローして送出された液化ガス燃料が常に充填された状態となる。そのため、ノズルリターンパイプ内の圧力は、不安定で温度等の条件によって変動し易い状態となる。
燃料噴射ノズルは、ノズルリターンパイプ内の圧力がノズル開弁圧に影響を及ぼすため、つまり、ノズルリターンパイプ内の圧力が燃料噴射ノズルの弁に対して閉弁方向に作用するため、従来の液化ガス燃料供給装置は、不安定で変動しやすいノズルリターンパイプ内の圧力の影響によって、燃料噴射ノズルの開弁圧が変動し、燃料噴射ノズルの燃料噴射特性が低下してしまうという問題があった。
本願発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、ノズルリターンパイプ内の圧力変動によって燃料噴射ノズルの開弁圧が変動し、燃料噴射ノズルの燃料噴射特性が低下してしまう虞を少なくすることにある。
上記課題を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、燃料タンクからフィードパイプを経由して供給された液化ガス燃料(DMEを除く)を、所定のタイミングで所定の量だけディーゼルエンジンの燃料噴射ノズルに連通しているインジェクションパイプへ送出するインジェクションポンプと、前記燃料噴射ノズルからオーバーフローした前記液化ガス燃料を前記燃料タンクへ戻すノズルリターンパイプと、該ノズルリターンパイプ内の圧力を所定の範囲の圧力に規制するノズルリターンパイプ内圧力規制手段とを備えたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置である。
このように、燃料噴射ノズルからオーバーフローした液化ガス燃料が送出されるノズルリターンパイプ内の圧力を所定の範囲の圧力に規制するので、燃料噴射ノズルの弁に対して閉弁方向に作用するノズルリターンパイプ内の圧力の変動を少なくすることができる。
これにより、本願請求項1に記載の発明に係るディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置によれば、燃料噴射ノズルの弁に対して閉弁方向に作用するノズルリターンパイプ内の圧力の変動を少なくすることができるので、ノズルリターンパイプ内の圧力の変動によって燃料噴射ノズルの燃料噴射特性が低下してしまう虞を少なくすることができる。
本願請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記ノズルリターンパイプ内圧力規制手段は、前記燃料噴射ノズルから前記ノズルリターンパイプへオーバーフローした液化ガス燃料を吸引して前記燃料タンクへ送出するコンプレッサーを備えている、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置である。
本願請求項2に記載の発明に係るディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置によれば、ノズルリターンパイプへオーバーフローした液化ガス燃料をコンプレッサーで吸引するので、ノズルリターンパイプ内は略一定の負圧状態となり、それによって、本願請求項1に記載の発明による作用効果を得ることができる。また、ノズルリターンパイプ内は、コンプレッサーで吸引されて略一定の負圧状態となるので、ノズルリターンパイプ内の液化ガス燃料は気化しやすくなり、その気化熱によってノズルリターンパイプ及び燃料噴射ノズルが冷却され、ノズルリターンパイプ及び燃料噴射ノズルの温度が上昇することによって燃料噴射ノズルの燃料噴射特性が低下する虞も少なくすることができる。
本願請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記ディーゼルエンジンの潤滑系と分離された専用潤滑系となっている前記インジェクションポンプのカム室内の潤滑油に混入した前記液化ガス燃料を分離するオイルセパレータを備え、該オイルセパレータにて分離された前記液化ガス燃料は、前記コンプレッサーによって吸引されて前記燃料タンクへ送出される、ことを特徴としたディーゼルエンジンのDME燃料供給装置である。
前述したように、液化ガス燃料は、常温において気体となる性質を有しているので、液体の液化ガス燃料をインジェクションポンプへ供給するためには、軽油燃料よりインジェクションポンプへの供給圧力を高くする必要がある。そのため、インジェクションポンプへの高い供給圧力によって、ディーゼルエンジンの燃料噴射ノズルに液化ガス燃料を送出するインジェクションポンプのプランジャバレルとプランジャとの間の隙間から、インジェクションポンプのカム室に漏れる燃料の量が、軽油燃料を使用した場合より多くなってしまうという問題が生じる。また、液化ガスは、軽油と比較して低粘度であるので、隙間から漏れやすく、さらにその量は多くなってしまう。そして、プランジャバレルとプランジャとの間の隙間から漏れた液化ガス燃料が、インジェクションポンプのカム室に流れ込んで気化し、気化した液化ガス燃料がディーゼルエンジンのクランク室に侵入して引火する虞がある。
そこで、カム室をディーゼルエンジンの潤滑系と分離された専用潤滑系とし、カム室内の潤滑油に混入した液化ガス燃料をオイルセパレータで分離し、ノズルリターンパイプ内を吸引するコンプレッサーで吸引、加圧して燃料タンクへ送出することによって、このような問題が生じる虞を少なくすることができる。そして、このように、ノズルリターンパイプ内の液化ガス燃料を吸引する手段と、オイルセパレータで潤滑油から分離された液化ガス燃料を吸引、加圧して燃料タンクへ送出する手段とを1つのコンプレッサーで行うことによって、ノズルリターンパイプ内圧力規制手段を備えた液化ガス燃料供給装置を低コストに構成することができる。
これにより、本願請求項3に記載の発明に係るディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置によれば、本願請求項2に記載の発明による作用効果に加えて、コンプレッサーを共用とすることによって、ノズルリターンパイプ内圧力規制手段を備えた液化ガス燃料供給装置を低コストに構成することができるという作用効果が得られる。
本願請求項4に記載の発明は、請求項2又は3において、前記コンプレッサーは、前記インジェクションポンプのカムを駆動力源として動作する、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置である。
本願請求項4に記載の発明に係るディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置によれば、本願請求項2又は3に記載の発明による作用効果に加えて、インジェクションポンプのカムを駆動力源としたコンプレッサーによって、省電力な液化ガス燃料供給装置を低コストで構成することができるという作用効果が得られる。
本願請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか1項において、前記ノズルリターンパイプの圧力を所定の圧力に維持するとともに、前記コンプレッサーから前記ノズルリターンパイプへ前記液化ガス燃料が逆流することを防止する逆止弁が、前記ノズルリターンパイプに配設されている、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置である。
このように、ノズルリターンパイプの配設された逆止弁によって、コンプレッサーからノズルリターンパイプへ液化ガス燃料が逆流することを防止することができるとともに、ノズルリターンパイプ内の圧力を略一定の圧力に規定して維持することができるので、ノズルリターンパイプ内の圧力の変動をより少なくすることができる。
これにより、本願請求項5に記載の発明に係るディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置によれば、本願請求項2〜4のいずれか1項に記載の発明による作用効果に加えて、ノズルリターンパイプ内の圧力の変動をより少なくすることができるので、ノズルリターンパイプ内の圧力の変動によって燃料噴射ノズルの燃料噴射特性が低下してしまう虞をさらに少なくすることができるという作用効果が得られる。
本願請求項6に記載の発明は、請求項1において、前記ノズルリターンパイプ内圧力規制手段は、前記ノズルリターンパイプ内の圧力に応じて前記ノズルリターンパイプの連通状態を開閉可能な機構を有する圧力規制装置を備えている、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置である。
本願請求項6に記載の発明に係るディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置によれば、ノズルリターンパイプ内の圧力に応じてノズルリターンパイプの連通状態を開閉可能な機構を有する圧力規制装置によって、燃料噴射ノズルの弁に対して閉弁方向に作用するノズルリターンパイプ内の圧力の変動を少なくすることができ、それによって、本願請求項1に記載の発明による作用効果を得ることができる。
本願請求項7に記載の発明は、請求項1において、前記ノズルリターンパイプ内圧力規制手段は、前記ノズルリターンパイプを大気中に開放する構成を成している、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置である。
本願請求項7に記載の発明に係るディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置によれば、ノズルリターンパイプを大気中に開放することによって、ノズルリターンパイプ内が略一定の大気圧状態となるので、燃料噴射ノズルの弁に対して閉弁方向に作用するノズルリターンパイプ内の圧力の変動を少なくすることができ、それによって、本願請求項1に記載の発明による作用効果を得ることができる。
本願請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項において、前記インジェクションパイプを冷却する手段を備える、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置である。
このように、インジェクションパイプを冷却する手段を備えているので、液化ガス燃料供給装置による発熱やディーゼルエンジンからの熱等がインジェクションパイプへ伝達してインジェクションパイプの温度が上昇してしまうことを防止することができる。
これにより、本願請求項8に記載の発明に係るディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置によれば、本願請求項1〜7のいずれか1項に記載の発明による作用効果に加えて、インジェクションパイプの温度が上昇してしまうことを防止することができるので、燃料噴射ノズルへ圧送される液化ガス燃料の温度が上昇することを防止することができ、それによって、燃料噴射ノズルによる液化ガス燃料の噴射特性が不安定になってしまう虞を少なくすることができるという作用効果が得られる。また、インジェクションパイプの温度が上昇してしまうことを防止することができるので、ディーゼルエンジンを停止したが、間もなくエンジンを再起動したような場合において、インジェクションパイプへ燃料タンクから液化ガス燃料を充填した際に、充填した液化ガス燃料の一部が気化して液化ガス燃料を完全に充填しきることができない虞を少なくすることができるという作用効果が得られる。
本願請求項9に記載の発明は、請求項8において、前記インジェクションパイプは、前記インジェクションポンプから前記燃料噴射ノズルへ送出された前記液化ガス燃料が流れる噴射燃料通路と、該噴射燃料通路に流れる前記液化ガス燃料を冷却する冷却媒体が流れる冷却媒体通路とを有し、前記燃料噴射通路の外周面を前記冷却媒体が流れる如く前記冷却媒体通路が構成されている二重管構造を成している、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置である。
このように、インジェクションパイプが噴射燃料通路と、噴射燃料通路に流れる液化ガス燃料を冷却する冷却媒体が流れる冷却媒体通路とを有する二重管構造を成しているので、冷却媒体によってインジェクションパイプの温度が上昇することを防止することができる。
これにより、本願請求項9に記載の発明に係るディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置によれば、インジェクションパイプが噴射燃料通路と、噴射燃料通路に流れる液化ガス燃料を冷却する冷却媒体が流れる冷却媒体通路とを有する二重管構造を成していることによって、本願請求項8に記載の発明による作用効果を得ることができる。
本願請求項10に記載の発明は、請求項9において、前記インジェクションパイプは、外周面に断熱性を有する被膜が施されている、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置である。
本願請求項10に記載の発明に係るディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置によれば、本願請求項9に記載の発明による作用効果に加えて、インジェクションパイプの外周面に施された断熱性を有する被膜によって、インジェクションパイプの周囲からの熱を遮断することができるので、インジェクションパイプの温度上昇をより確実に防止することができるという作用効果が得られる。
本願請求項11に記載の発明は、請求項9又は10において、前記インジェクションポンプからオーバーフローした前記液化ガス燃料を前記燃料タンクへ戻すためのオーバーフローリターンパイプと、前記燃料噴射ノズルからオーバーフローした前記液化ガス燃料を前記オーバーフローリターンパイプへ連通させるノズルリターンパイプとを備え、前記冷却媒体通路は、前記フィードパイプから前記ノズルリターンパイプへ前記液化ガス燃料が前記冷却媒体として流れる構成を成している、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置である。
本願請求項11に記載の発明に係るディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置によれば、本願請求項9又は10に記載の発明による作用効果に加えて、フィードパイプから油溜室に入る前の比較的低温な液化ガス燃料を冷却媒体として利用することによって、つまり、フィードパイプから冷却媒体通路及びノズルリターンパイプを経由して燃料タンクへ液化ガス燃料を循環させる冷却媒体循環経路を構成することによって、燃料タンク内の液化ガス燃料を冷却媒体として効率的にインジェクションパイプを冷却することができるので、インジェクションパイプを冷却する手段を低コストで構成することができるという作用効果が得られる。
本願請求項12に記載の発明は、請求項2〜11のいずれか1項において、前記液化ガス燃料を冷却媒体とする冷却サイクルによって前記フィードパイプに流れる前記液化ガス燃料を冷却する供給燃料冷却装置と、前記インジェクションポンプ内の前記液化ガス燃料の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段にて検出した前記インジェクションポンプ内の温度に基づいて、前記インジェクションパイプへ送出される前記液化ガス燃料の温度が一定になる如く、前記供給燃料冷却装置を制御して前記フィードパイプに流れる前記液化ガス燃料の温度を制御する供給燃料温度制御部を備える、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置である。
このように、温度検出手段にて検出したインジェクションポンプ内の温度に基づいて、インジェクションパイプへ送出される液化ガス燃料の温度が一定になる如く、供給燃料冷却装置を制御してフィードパイプに流れる液化ガス燃料の温度を制御することによって、油溜室内の液化ガス燃料の温度を一定の温度に制御することができる。
これにより、本願請求項12に記載の発明に係るディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置によれば、本願請求項2〜11のいずれか1項に記載の発明による作用効果に加えて、油溜室内の液化ガス燃料の温度を一定の温度に制御することができるので、油溜室の液化ガス燃料の温度を一定に維持することができ、それによって、液化ガス燃料の噴射量の温度補正を行わずに液化ガス燃料の噴射特性を安定させることができるという作用効果が得られる。
本願請求項13に記載の発明は、請求項12において、前記供給燃料冷却装置は、前記液化ガス燃料を冷却媒体とした燃料冷却器と、前記冷却媒体としての前記液化ガス燃料を前記燃料タンクから前記燃料冷却器へ供給する冷却媒体供給パイプと、該冷却媒体供給パイプを開閉可能な冷却媒体供給パイプ開閉弁とを備え、前記燃料冷却器にて前記冷却媒体供給パイプに流れる前記液化ガス燃料を気化させ、前記液化ガス燃料が気化することによる気化熱を利用して前記フィードパイプに流れる前記液化ガス燃料を冷却する構成を成しており、前記供給燃料温度制御部が前記冷却媒体供給パイプ開閉弁を開閉制御することによって制御される、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置である。
前述したように、液化ガス燃料は、常温で気体となる性質を有しているので、液化ガス燃料を冷却媒体とした冷却サイクルを構成し、液化ガス燃料が気化することによる気化熱を利用してフィードパイプ内の液化ガス燃料を冷却することができる。つまり、液化ガス燃料の冷却媒体としての優れた特性を有効利用した燃料冷却器によってフィードパイプ内の液化ガス燃料を冷却するので、供給燃料冷却装置を合理的に構成することができる。
これにより、本願請求項13に記載の発明に係るディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置によれば、本願請求項12に記載の発明による作用効果に加えて、液化ガス燃料の冷却媒体としての優れた特性を有効利用した燃料冷却器によって、供給燃料冷却装置を合理的に構成することができるので、ディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置のコストを低減させることができるという作用効果が得られる。
本願請求項14に記載の発明は、請求項13において、前記燃料タンクから前記燃料冷却器へ供給されて気化した前記液化ガス燃料は、前記コンプレッサーへ送出される、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置である。
前述したように、前記液化ガス燃料は、常温で気体となる性質を有しており、かつ粘性も低いことからインジェクションポンプ内において、インジェクションポンプエレメントのプランジャからカム室内に液化ガス燃料が漏れ出てしまう。そこで、インジェクションポンプのカム室をディーゼルエンジンの潤滑系と分離した専用潤滑系とし、カム室内に漏れ出て潤滑油に混入した液化ガス燃料をオイルセパレータで分離してコンプレッサーで燃料タンクへ送出する。それによって、カム室に液化ガス燃料が漏れ出す虞をなくすことができる。そして、燃料冷却器へ供給されて気化した液化ガス燃料が、上記コンプレッサーへ送出される構成を成していることによって、オイルセパレータにて潤滑油と分離されて液化ガス燃料と、燃料冷却器へ供給されて気化して液化ガス燃料とを1つのコンプレッサーで加圧して燃料タンクへ送出することができるので、供給燃料冷却装置を効率的に構成することができる。
これにより、本願請求項14に記載の発明に係るディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置によれば、本願請求項13に記載の発明による作用効果に加えて、供給燃料冷却装置を効率的に構成することができるので、ディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置のコストをより低減させることができるという作用効果が得られる。
本願請求項15に記載の発明は、請求項1〜14のいずれか1項において、前記インジェクションポンプから送出された前記液化ガス燃料は、コモンレールへ供給され、該コモンレールから各燃料噴射ノズルへ送出される構成を成している、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置である。
本願請求項15に記載の発明に係るディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置によれば、コモンレール式ディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置において、前述した本願請求項1〜14のいずれか1項に記載の発明による作用効果を得ることができる。
本願発明によれば、ノズルリターンパイプ内の圧力変動によって燃料噴射ノズルの開弁圧が変動し、燃料噴射ノズルの燃料噴射特性が低下してしまうことを防止することができる。
以下、本願発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、本願発明に係るディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置の第1実施例について説明する。図1は、本願発明に係る液化ガス燃料供給装置の第1実施例を示した概略構成図である。
まず、本願発明に係るディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置の第1実施例について説明する。図1は、本願発明に係る液化ガス燃料供給装置の第1実施例を示した概略構成図である。
ディーゼルエンジンに液化ガス燃料を供給する本願発明に係る液化ガス燃料供給装置100は、インジェクションポンプ1を備えている。ここでは、液化ガス燃料としてセタン価が40〜55程度、望ましくは50以上の高セタン価LPガス(セタン価向上剤が添加されたLPガス)を用いた場合を示す。セタン価向上剤としては、公知の硝酸エステル、亜硝酸エステルおよび有機過酸化物等であり、具体的にはDTBP(Di-tertiary butyl peroxide)又は2HEN(2-Ethylhexylnitrate)である。また、LPガスは軽油に比べて潤滑性が低いので、潤滑性向上剤として公知のアルキルエステルが添加されている。
燃料タンク4の液相部4aの液化ガス燃料は、液相燃料出口41からフィルタ51でろ過された後、フィードパイプ5及び3方電磁弁21を介してインジェクションポンプ1の油溜室11へ供給される。噴射状態時(ディーゼルエンジンの運転時)には、3方電磁弁21はON状態、他の3方電磁弁31はOFF状態を取り、燃料タンク4と油溜室11とを連通させる。インジェクションポンプ1は、ディーゼルエンジンが有するシリンダの数と同じ数のインジェクションポンプエレメント2を備えている。インジェクションポンプエレメント2の燃料送出口には、インジェクションパイプ3が接続されており、インジェクションパイプ3は、燃料噴射ノズル9へ接続され、インジェクションポンプ1から送出される高圧に圧縮された液化ガス燃料は、インジェクションパイプ3を介して燃料噴射ノズル9へ圧送される。燃料噴射ノズル9からオーバーフローした液化ガス燃料は、ノズルリターンパイプ7を介して燃料タンク4へ戻される。
カム室12は、ディーゼルエンジンの潤滑系と分離された専用潤滑系となっており、オイルセパレータ13は、インジェクションポンプエレメント2からカム室12に漏れだした、液化ガス燃料が混入したカム室12内の潤滑油を、液化ガス燃料と潤滑油とに分離して潤滑油をカム室12に戻す。オイルセパレータ13で分離された液化ガス燃料は、カム室12内の圧力が大気圧以下になるのを防止するチェック弁14を介して、電動コンプレッサー23へ送出され、電動コンプレッサー23で加圧された後、燃料タンク4へ戻される。また、「油溜室燃料冷却装置」を構成する燃料冷却器6に冷却媒体として供給された液化ガス燃料も電動コンプレッサー23によって加圧された後、燃料タンク4へ戻される。
電動コンプレッサー23にて加圧された液化ガス燃料は、3方電磁弁22がOFFしている場合には、「空冷冷却器」としてのクーラー42によって冷却されてから燃料タンク4へ戻される(第1のリターン経路)。また、3方電磁弁22がONしている場合には、クーラー42を経由しないで、つまり冷却されずに燃料タンク4へ戻される(第2のリターン経路)。そして、燃料タンク4内には、燃料タンク内の温度を検出する「燃料タンク内温度検出手段」としての燃料タンク内温度センサ4cが配設されている。したがって、燃料タンク内温度センサ4cの検出温度に基づいて、燃料タンク内温度制御部30によって3方電磁弁22をON/OFF制御することで、燃料タンク4に戻す液化ガス燃料の温度を調節することができ、それによって、燃料タンク4内の液化ガス燃料の温度を制御することができる。尚、逆止弁43は、第2のリターン経路から液化ガス燃料がクーラー42へ逆流することを防止するためのものである。
油溜室11の外側には、油溜室11の液化ガス燃料を冷却するための「油溜室燃料冷却装置」が配設されており、油溜室11内には、油溜室11の液化ガス燃料の温度を検出する「油溜室燃料温度検出手段」としての油溜室内温度センサ11aが配設されている。「油溜室燃料冷却装置」は、燃料冷却器6、燃料気化器15、冷却媒体供給パイプ62、及び冷却媒体供給パイプ開閉電磁弁16を有している。燃料気化器15には、フィードパイプ5から燃料タンク4の液化ガス燃料が冷却媒体として供給される。冷却媒体としての液化ガス燃料は、冷却媒体供給パイプ開閉電磁弁16が開く(OFF状態)ことによって燃料気化器15へ供給され、燃料気化器15で気化された液化ガス燃料は、燃料冷却器6に供給され、その気化熱によって油溜室11内の液化ガス燃料が冷却される。燃料冷却器6に冷却媒体として供給された液化ガス燃料は、オーバーフローリターンパイプ8を経由して電動コンプレッサー23に吸引されて燃料タンク4へ戻される。また、ノズルリターンパイプ7へ燃料噴射ノズル9からオーバーフローした液化ガス燃料も電動コンプレッサー23に吸引されて燃料タンク4へ戻される。そして、油溜室燃料冷却装置制御部10が油溜室内温度センサ11aの検出温度に基づいて、冷却媒体供給パイプ開閉電磁弁16を開閉制御することによって、油溜室11内の液化ガス燃料の温度を略一定の温度に制御することができる。
このような構成を成す液化ガス燃料供給装置100において、停止状態からディーゼルエンジンを運転する際には、まず、3方電磁弁21はON状態、3方電磁弁31はOFF状態とし、燃料タンク4と油溜室11との連通経路を構成する。つづいて、3方電磁弁22及び電動コンプレッサー23をONすると、オーバーフローリターンパイプ8が吸引され、ON状態の3方電磁弁22によって連通している第2のリターン経路が加圧され、燃料タンク4内の気相部4bが加圧される。燃料タンク4内の気相部4bが加圧されることによって、液相部4aの液化ガス燃料がフィードパイプ5へ送出され、油溜室11及びインジェクションパイプ3へ液化ガス燃料が充填される。
冷却媒体供給パイプ開閉電磁弁16が開制御され、フィードパイプ5から燃料気化器15へ冷却媒体として供給された液化ガス燃料は、前述したように、燃料気化器15によって気化されて燃料冷却器6へ送出され、その気化熱によって油溜室11内に充填された液化ガス燃料が冷却される。また、ノズルリターンパイプ7内の圧力を所定の範囲の圧力に規制するための本願発明に係る「ノズルリターンパイプ内圧力規制手段137」は、ノズルリターンパイプ7へ燃料噴射ノズル9からオーバーフローした液化ガス燃料が電動コンプレッサー23に吸引されて燃料タンク4へ戻される構成を成しているので、ノズルリターンパイプ7は、電動コンプレッサー23に吸引されることによって一定の負圧状態に維持される。
各部に液化ガス燃料が充填された時点で、燃料タンク4内の液化ガス燃料は、燃料冷却器6によって冷却された油溜室11内の液化ガス燃料と、燃料タンク4内の液化ガス燃料との温度差によって生じる両者間の相対的な圧力差によって、フィードパイプ5へと圧送される。つまり、当該実施例に示した液化ガス燃料供給装置100は、燃料タンク4から液化ガス燃料をインジェクションポンプ1へ送出するためのポンプを備えておらず、油溜室11内の液化ガス燃料を冷却することによって生じる油溜室11と燃料タンク4内との圧力差によって、燃料タンク4内の液化ガス燃料をインジェクションポンプ1へ供給する構成を成している。
そして、ディーゼルエンジン停止後、シリンダ内に気化した液化ガス燃料が充満することによって、ディーゼルエンジンを再始動する際に生じるノッキング等の異常燃焼を防止するために、油溜室11及びインジェクションパイプ3へ充填されている液化ガス燃料を「残留燃料回収手段」によって燃料タンク4へ回収する。「残留燃料回収手段」は、3方電磁弁21、3方電磁弁31、電動コンプレッサー23、及びこれらを制御する残留燃料回収制御部20とで構成される。
ディーゼルエンジン停止後、3方電磁弁21がOFFされると、油溜室11とオーバーフローリターンパイプ8とが連通し、電動コンプレッサー23の吸引力によって、油溜室11及びインジェクションパイプ3へ充填されている液化ガス燃料がオーバーフローリターンパイプ8を経由して燃料タンク4へ回収される。3方電磁弁22をOFFすることによって、回収される液化ガス燃料は、第1のリターン経路でクーラー42によって冷却されてから燃料タンク4へ回収される。
また、3方電磁弁21をOFFする前に3方電磁弁31をONすると、燃料タンク4の気相送出口44から気相部4bの気化した液化ガス燃料が気相出力パイプ311を介してフィードパイプ5の油溜室11側の部分に充填される。気相部4bの気化した液化ガス燃料は、絞り部312によってさらに加圧されてフィードパイプ5へ充填され、それによって、フィードパイプ5内の液体の液化ガス燃料を油溜室11側へ圧送する。このように、油溜室11及びインジェクションパイプ3へ充填されている液化ガス燃料を電動コンプレッサー23によって回収する前に、前記フィードパイプ5内に気化した液化ガス燃料を前記の如く充填することによって、電動コンプレッサー23による液化ガス燃料の回収をアシストし、その回収時間を短縮することができる。
このようにして、当該実施例に示した液化ガス燃料供給装置100は、ノズルリターンパイプ7内の圧力を所定の範囲の圧力に規制するための本願発明に係る「ノズルリターンパイプ内圧力規制手段137」は、ノズルリターンパイプ7へ燃料噴射ノズル9からオーバーフローした液化ガス燃料が電動コンプレッサー23に吸引されて燃料タンク4へ戻される構成を成しているので、ノズルリターンパイプ7内は、電動コンプレッサー23に吸引されることによって、略一定の負圧状態となる。したがって、ノズルリターンパイプ7内は、略一定の圧力に規制されることになるので、燃料噴射ノズル9の弁に対して作用するノズルリターンパイプ7内の圧力の変動を少なくすることができ、それによって、ノズルリターンパイプ7内の圧力の変動によって燃料噴射ノズル9の燃料噴射特性が低下してしまう虞を少なくすることができる。また、ノズルリターンパイプ7内は、コンプレッサー23で吸引されて略一定の負圧状態となるので、ノズルリターンパイプ7内の液化ガス燃料は気化しやすくなり、その気化熱によってノズルリターンパイプ7及び燃料噴射ノズル9が冷却される。それによって、燃料噴射ノズル9の温度上昇を低減させることができるので、燃料噴射ノズル9による液化ガス燃料の噴射特性をより安定させることができる。
また、第2実施例としては、フィードポンプで燃料タンク4の液化ガス燃料を圧送し、油溜室11から液化ガス燃料をオーバーフローさせて燃料タンク4へ戻す構成を成すものが挙げられる。図2は、本願発明に係る液化ガス燃料供給装置100の第2実施例を示した概略構成図である。尚、第2実施例を含めて他の実施例の説明において、先に説明した実施例と同じ部分については、同一符号を付してその説明は省略する。
当該実施例に示した液化ガス燃料供給装置100は、燃料タンク4内の液化ガス燃料を油溜室11へ送出する手段としてフィードポンプ52を備えている。フィードポンプ52は、燃料タンク4に貯留されている液化ガス燃料を、所定の圧力に加圧してフィードパイプ5へ送出する。燃料タンク4の液化ガス燃料送出口41は、燃料タンク4内の液化ガス燃料の液面より下に設けられており、フィードポンプ52が燃料タンク4の液化ガス燃料送出口41近傍に配設されている。フィードパイプ5へ送出された液化ガス燃料は、フィルタ51でろ過され、3方電磁弁21を介してインジェクションポンプ1へ送出される。3方電磁弁21は、噴射状態時(ディーゼルエンジンの運転時)にはONで図示の方向に連通している。
燃料タンク4からフィードポンプ52によって所定の圧力に加圧されて送出された液化ガス燃料は、インジェクションポンプ1の各インジェクションポンプエレメント2からインジェクションパイプ3を経由して、燃料噴射ノズル9へ圧送される。オーバーフロー燃料パイプ81には、油溜室11内の液化ガス燃料の圧力を所定の圧力に維持するとともに、オーバーフローした液化ガス燃料が燃料タンク4に戻る方向にのみ液化ガス燃料の流れ方向を規定するオーバーフローバルブ82が配設されている。インジェクションポンプ1からオーバーフローした液化ガス燃料は、オーバーフロー燃料パイプ81を経由し、オーバーフローバルブ82、オーバーフローリターンパイプ8、及びクーラー42を介して燃料タンク4へ戻される。また、各燃料噴射ノズル9からオーバーフローした液化ガス燃料は、ノズルリターンパイプ7を介して燃料タンク4へ戻される。
インジェクションポンプ1内のカム室12は、ディーゼルエンジンの潤滑系と分離された専用潤滑系となっており、オイルセパレータ13は、インジェクションポンプ1内のカム室12に漏れ出た液化ガス燃料が混入したカム室12内の潤滑油を液化ガス燃料と潤滑油とに分離し、潤滑油をカム室12に戻す。オイルセパレータ13で分離された液化ガス燃料は、カム室12内の圧力が大気圧以下になるのを防止するチェック弁(逆止弁)14を介してコンプレッサー17へ送出され、コンプレッサー17で加圧された後、チェック弁(逆止弁)18、及びクーラー42を介して燃料タンク4へ戻される。チェック弁18は、ディーゼルエンジンの停止時に、燃料タンク4から液化ガス燃料がカム室12へ逆流するのを防止するために設けられている。コンプレッサー17は、カム室12内のカム112を駆動力源とするコンプレッサーとなっている。
当該実施例に示した液化ガス燃料供給装置100の「残留燃料回収手段」は、アスピレータ71、3方電磁弁21、2方電磁弁24、及び残留燃料回収制御部20を備えている。残留燃料回収制御部20は、ディーゼルエンジンの運転/停止状態(液化ガス燃料供給装置100の噴射/無噴射状態)を検出し、各状態に応じて3方電磁弁21、2方電磁弁24、及びフィードポンプ52等のON/OFF制御を実行し、ディーゼルエンジン停止時には、油溜室11及びオーバーフロー燃料パイプ81に残留している液化ガス燃料を回収する制御を実行する。
アスピレータ71は、入口7aと出口7bと吸入口7cとを有している。入口7aと出口7bは真っ直ぐに連通しており、吸入口7cは、入口7aと出口7bとの間の連通路から、略垂直方向に分岐している。3方電磁弁21がOFFの時に連通する連通路の出口側が入口7aに接続されており、クーラー42を介して燃料タンク4への経路へ出口7bが接続されている。また、吸引口7cは、噴射状態時(ディーゼルエンジンの運転時)にはOFF状態で閉じている2方電磁弁24に接続されている。
残留燃料回収制御部20は、無噴射状態時(ディーゼルエンジンの停止時)には、3方電磁弁21をOFFしてフィードパイプ5からアスピレータ71の入口7aへの連通路を構成するとともに、2方電磁弁24をONして、オーバーフローバルブ82の上流側のオーバーフロー燃料パイプ81とアスピレータ71の吸入口7cとの間を連通させる。したがって、フィードポンプ52から送出された液化ガス燃料は、インジェクションポンプ1へ送出されずに、アスピレータ71へ送出され、入口7aから出口7bへ抜け、オーバーフローバルブ82の下流側のオーバーフロー燃料パイプ81、オーバーフローリターンパイプ8、及びクーラー42を介して燃料タンク4へ戻り、再びフィードポンプ52からアスピレータ71へ送出される。つまり、アスピレータ71を介して燃料タンク4の液化ガス燃料液が環流する状態となる。そして、インジェクションポンプ1内の油溜室11、及びオーバーフローバルブ82の上流側のオーバーフロー燃料パイプ81に残留しているDME燃料は、入口7aから出口7bへ流れる液化ガス燃料の流れによって生じる吸引力によって気化され、気化した液化ガス燃料が吸引口7cから吸引され、入口7aから出口7bへ流れる液化ガス燃料に吸収されて燃料タンク4へ回収される。
そして、ノズルリターンパイプ7内の圧力を所定の範囲の圧力に規制するための本発明に係る「ノズルリターンパイプ内圧力規制手段137」は、ノズルリターンパイプ7へ燃料噴射ノズル9からオーバーフローした液化ガス燃料をコンプレッサー17にて吸引して燃料タンク4へ戻す構成を成している。ノズルリターンパイプ7内は、コンプレッサー17に吸引されることによって、略一定の負圧状態となる。したがって、ノズルリターンパイプ7内は、コンプレッサー17に吸引されることによって、略一定の圧力に規制されることになるので、燃料噴射ノズル9の弁に対して作用するノズルリターンパイプ7内の圧力の変動を少なくすることができる。
このように、燃料タンク4の液化ガス燃料をフィードポンプ52で圧送し、オーバーフローした液化ガス燃料を燃料タンク4へ戻す、いわゆる循環型の液化ガス燃料供給装置100においても、ノズルリターンパイプ7内をコンプレッサー17にて吸引して、略一定の圧力に規制することによって、ノズルリターンパイプ7内の圧力の変動によって燃料噴射ノズル9の燃料噴射特性が低下してしまう虞を少なくすることができる。
さらに、第3実施例としては、上記第2実施例に加えて、インジェクションパイプ3を冷却する手段を備えたものが挙げられる。図3は、本願発明に係る液化ガス燃料供給装置100の第3実施例を示した概略構成図である。
当該実施例に示した液化ガス燃料供給装置100は、インジェクションパイプ3を冷却する手段として、インジェクションパイプ3が噴射燃料通路31と冷却媒体通路32とを有する二重管構造となっている。噴射燃料通路31は、インジェクションポンプエレメント2の送出口と燃料噴射ノズル9とを連通させ、インジェクションポンプエレメント2から圧送される油溜室11の高圧な液化ガス燃料を燃料噴射ノズル9へ送出する。冷却媒体通路32は、噴射燃料通路31の外周面に形成されており、油溜室11の入口手前のフィードパイプ5とノズルリターンパイプ7とを連通させ、フィードポンプ52によってフィードパイプ5へ送出される燃料タンク4内の液化ガス燃料が、噴射燃料通路31を流れる液化ガス燃料を冷却する冷却媒体として流れる。なお、インジェクションパイプ3の外周面に断熱性を有する被膜113が施されて、インジェクションパイプ3の周囲からの熱を遮断することができるように構成され、インジェクションパイプ3の温度上昇をより確実に防止することができるようになっている。
つまり、フィードポンプ52が動作しているときに冷却媒体通路32には、フィードパイプ5からパイプ34を経由して液化ガス燃料が流れ込み、パイプ33を経由してノズルリターンパイプ7へ液化ガス燃料が流れ出て、コンプレッサー17によって吸引されて燃料タンク4へ戻る循環経路で燃料タンク4内の液化ガス燃料が冷却媒体として流れる。そして、冷却媒体通路32を流れる液化ガス燃料によって、噴射燃料通路31が冷却され、それによって、噴射燃料通路31の温度が上昇することを防止することができる。また、無噴射状態時に冷却媒体通路32に残留している液化ガス燃料は、前述の「残留燃料回収手段」によって回収される。
このようにして、当該実施例に示した液化ガス燃料供給装置100は、ノズルリターンパイプ7内の圧力を所定の範囲の圧力に規制するための本願発明に係る「ノズルリターンパイプ内圧力規制手段137」は、ノズルリターンパイプ7内をコンプレッサー17にて吸引して、略一定の圧力に規制することによって、ノズルリターンパイプ7内の圧力の変動によって燃料噴射ノズル9の燃料噴射特性が低下してしまう虞を少なくすることができる。また、それに加えて、冷却媒体通路32を流れる冷却媒体としての液化ガス燃料によって噴射燃料通路31が冷却され、燃料噴射ノズル9へ圧送される液化ガス燃料の温度が上昇することを防止することができるので、燃料噴射ノズル9による液化ガス燃料の噴射特性をより安定させることができる。
さらに、第4実施例としては、前述した第2実施例に加えて、インジェクションポンプ1に供給する液化ガス燃料を冷却する「供給燃料冷却装置153」を備えたものが挙げられる。図4は、本願発明に係る液化ガス燃料供給装置100の第4実施例を示した概略構成図である。
液化ガス燃料供給装置100は、「供給燃料冷却装置153」として、油溜室11内の液化ガス燃料の温度を検出する油溜室内温度センサ11aと、液化ガス燃料を冷却媒体とし、冷却媒体としての液化ガス燃料を気化させる燃料気化器55を有する燃料冷却器53と、液化ガス燃料を燃料タンク4から燃料冷却器53へ供給する冷却媒体供給パイプ5aと、冷却媒体供給パイプ5aを開閉可能な冷却媒体供給パイプ開閉電磁弁54と、供給燃料温度制御部50とを備えている。供給燃料温度制御部50は、油溜室内温度センサ11aにて検出した油溜室11内の液化ガス燃料の温度に基づいて、油溜室11からインジェクションパイプ3へ送出される液化ガス燃料の温度が一定になる如く、冷却媒体供給パイプ開閉電磁弁54を制御してフィードパイプ5に流れる液化ガス燃料の温度を制御する。
燃料冷却器53は、冷却媒体供給パイプ5aに流れる液化ガス燃料を燃料気化器55にて気化させ、液化ガス燃料が気化することによる気化熱を利用してフィードパイプ5に流れる液化ガス燃料を冷却する構成を成している。供給燃料温度制御部50は、油溜室内温度センサ11aで検出した油溜室11内の液化ガス燃料の温度が所定の温度より高い場合には、冷却媒体供給パイプ開閉電磁弁54を開制御して、燃料冷却器53に冷却媒体としての液化ガス燃料を供給してフィードパイプ5を流れる液化ガス燃料を冷却し、油溜室内温度センサ11aで検出した油溜室11内の液化ガス燃料の温度が所定の温度以下の場合には、冷却媒体供給パイプ開閉電磁弁54を閉制御して、燃料冷却器53に冷却媒体としての液化ガス燃料を供給しない。
このようにして、当該実施例に示した液化ガス燃料供給装置100は、ノズルリターンパイプ7内の圧力を所定の範囲の圧力に規制するための本願発明に係る「ノズルリターンパイプ内圧力規制手段137」は、ノズルリターンパイプ7内をコンプレッサー17にて吸引して、略一定の圧力に規制することによって、ノズルリターンパイプ7内の圧力の変動によって燃料噴射ノズル9の燃料噴射特性が低下してしまう虞を少なくすることができる。また、それに加えて、フィードパイプ5に流れる液化ガス燃料を冷却制御することによって、油溜室11内の液化ガス燃料の温度を一定に維持することができるので、インジェクションポンプ1で液化ガス燃料の噴射量の温度補正を行うことなく燃料噴射ノズル9の噴射特性を安定させることができる。
さらに、本願発明に係る液化ガス燃料供給装置100の第5実施例としては、上記第2実施例において、液化ガス燃料供給装置100をコモンレール式にしたものが挙げられる。図5は、本願発明に係る液化ガス燃料供給装置100の第5実施例を示した概略構成図である。
このように、インジェクションポンプ1から圧送される液化ガス燃料が、各燃料噴射ノズル9が連結されているコモンレール91を介して供給されるコモンレール式液化ガス燃料供給装置100においても本願発明の実施は可能であり、本願発明による作用効果を得ることができるものである。
さらに、本願発明に係る液化ガス燃料供給装置100の第6実施例としては、ノズルリターンパイプ7内の圧力に応じてノズルリターンパイプ7の連通状態を開閉可能な機構を有する圧力規制装置を備えたものが挙げられる。図6は、本願発明に係る液化ガス燃料供給装置100の第6実施例を示した概略構成図である。
ノズルリターンパイプ7がオーバーフロー燃料パイプ81を介してオーバーフローリターンパイプ8に連通している点を除いて、基本的な全体構成は、第2実施例に示した液化ガス燃料供給装置100と同様である。そして、ノズルリターンパイプ7内の圧力を所定の範囲の圧力に規制するための本願発明に係る「ノズルリターンパイプ内圧力規制手段137」として、ノズルリターンパイプ7内の圧力に応じてノズルリターンパイプ7の連通状態を開閉可能な機構を有する圧力規制装置72が配設されている。圧力規制装置72は、ノズルリターンパイプ7の上流側、つまり、燃料噴射ノズル9が連結されている側の圧力を検出するセンサ172を有しており、該センサ172で検出した圧力に応じて弁を開閉して、ノズルリターンパイプ7の上流側の圧力を略一定の範囲に規制する。したがって、燃料噴射ノズル9の弁に対して作用するノズルリターンパイプ7内の圧力の変動を少なくすることができ、それによって、ノズルリターンパイプ7内の圧力の変動によって燃料噴射ノズル9の燃料噴射特性が低下してしまう虞を少なくすることができる。
さらに、本願発明に係る液化ガス燃料供給装置100の第7実施例としては、ノズルリターンパイプ7を大気中に開放する構成を成しているものが挙げられる。図7は、本願発明に係る液化ガス燃料供給装置100の第7実施例を示した概略構成図である。
基本的な全体構成は、第2実施例に示した液化ガス燃料供給装置100と同様である。そして、ノズルリターンパイプ7内の圧力を所定の範囲の圧力に規制するための本願発明に係る「ノズルリターンパイプ内圧力規制手段137」としてノズルリターンパイプ7を大気中に開放する構成を成していることによって、ノズルリターンパイプ内が略一定の大気圧状態となって略一定の圧力に規制されることになるので、ノズルリターンパイプ7内の圧力の変動によって燃料噴射ノズル9の燃料噴射特性が低下してしまう虞を少なくすることができる。また、ノズルリターンパイプ7内の液化ガス燃料は、気化して大気中に放出されるので、その気化熱によって燃料噴射ノズル9が冷却される。それによって、燃料噴射ノズル9の温度上昇を低減させることができるので、燃料噴射ノズル9による液化ガス燃料の噴射特性をより安定させることができる。
尚、本願発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本願発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
本願発明は、セタン価向上剤が添加されたLPガス等の液化ガスを燃料としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置に利用可能である。
1 インジェクションポンプ、2 インジェクションポンプエレメント、
3 インジェクションパイプ、4 燃料タンク、5 フィードパイプ、
6 燃料冷却器、7 ノズルリターンパイプ、8 オーバーフローリターンパイプ、
9 燃料噴射ノズル、10 油溜室燃料冷却装置制御部、11 油溜室、12 カム室、
13 オイルセパレータ、14 チェック弁、15 燃料気化器、
16 冷却媒体供給パイプ開閉電磁弁、17 コンプレッサー、
23 電動コンプレッサー
3 インジェクションパイプ、4 燃料タンク、5 フィードパイプ、
6 燃料冷却器、7 ノズルリターンパイプ、8 オーバーフローリターンパイプ、
9 燃料噴射ノズル、10 油溜室燃料冷却装置制御部、11 油溜室、12 カム室、
13 オイルセパレータ、14 チェック弁、15 燃料気化器、
16 冷却媒体供給パイプ開閉電磁弁、17 コンプレッサー、
23 電動コンプレッサー
Claims (15)
- 燃料タンクからフィードパイプを経由して供給された液化ガス燃料(DMEを除く)を、所定のタイミングで所定の量だけディーゼルエンジンの燃料噴射ノズルに連通しているインジェクションパイプへ送出するインジェクションポンプと、
前記燃料噴射ノズルからオーバーフローした前記液化ガス燃料を前記燃料タンクへ戻すノズルリターンパイプと、
該ノズルリターンパイプ内の圧力を所定の範囲の圧力に規制するノズルリターンパイプ内圧力規制手段とを備えたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置。 - 請求項1において、前記ノズルリターンパイプ内圧力規制手段は、前記燃料噴射ノズルから前記ノズルリターンパイプへオーバーフローした液化ガス燃料を吸引して前記燃料タンクへ送出するコンプレッサーを備えている、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置。
- 請求項2において、前記ディーゼルエンジンの潤滑系と分離された専用潤滑系となっている前記インジェクションポンプのカム室内の潤滑油に混入した前記液化ガス燃料を分離するオイルセパレータを備え、該オイルセパレータにて分離された前記液化ガス燃料は、前記コンプレッサーによって吸引されて前記燃料タンクへ送出される、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置。
- 請求項2又は3において、前記コンプレッサーは、前記インジェクションポンプのカムを駆動力源として動作する、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置。
- 請求項2〜4のいずれか1項において、前記ノズルリターンパイプの圧力を所定の圧力に維持するとともに、前記コンプレッサーから前記ノズルリターンパイプへ前記液化ガス燃料が逆流することを防止する逆止弁が、前記ノズルリターンパイプに配設されている、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置。
- 請求項1において、前記ノズルリターンパイプ内圧力規制手段は、前記ノズルリターンパイプ内の圧力に応じて前記ノズルリターンパイプの連通状態を開閉可能な機構を有する圧力規制装置を備えている、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置。
- 請求項1において、前記ノズルリターンパイプ内圧力規制手段は、前記ノズルリターンパイプを大気中に開放する構成を成している、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置。
- 請求項1〜7のいずれか1項において、前記インジェクションパイプを冷却する手段を備える、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置。
- 請求項8において、前記インジェクションパイプは、前記インジェクションポンプから前記燃料噴射ノズルへ送出された前記液化ガス燃料が流れる噴射燃料通路と、該噴射燃料通路に流れる前記液化ガス燃料を冷却する冷却媒体が流れる冷却媒体通路とを有し、前記燃料噴射通路の外周面を前記冷却媒体が流れる如く前記冷却媒体通路が構成されている二重管構造を成している、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置。
- 請求項9において、前記インジェクションパイプは、外周面に断熱性を有する被膜が施されている、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置。
- 請求項9又は10において、前記インジェクションポンプからオーバーフローした前記液化ガス燃料を前記燃料タンクへ戻すためのオーバーフロー燃料パイプと、前記燃料噴射ノズルからオーバーフローした前記液化ガス燃料を前記オーバーフロー燃料パイプへ連通させるノズルリターンパイプとを備え、前記冷却媒体通路は、前記フィードパイプから前記ノズルリターンパイプへ前記液化ガス燃料が前記冷却媒体として流れる構成を成している、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置。
- 請求項2〜11のいずれか1項において、前記液化ガス燃料を冷却媒体とする冷却サイクルによって前記フィードパイプに流れる前記液化ガス燃料を冷却する供給燃料冷却装置と、前記インジェクションポンプ内の前記液化ガス燃料の温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段にて検出した前記インジェクションポンプ内の温度に基づいて、前記インジェクションパイプへ送出される前記液化ガス燃料の温度が一定になる如く、前記供給燃料冷却装置を制御して前記フィードパイプに流れる前記液化ガス燃料の温度を制御する供給燃料温度制御部を備える、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置。
- 請求項12において、前記供給燃料冷却装置は、前記液化ガス燃料を冷却媒体とした燃料冷却器と、前記冷却媒体としての前記液化ガス燃料を前記燃料タンクから前記燃料冷却器へ供給する冷却媒体供給パイプと、該冷却媒体供給パイプを開閉可能な冷却媒体供給パイプ開閉電磁弁とを備え、前記燃料冷却器にて前記冷却媒体供給パイプに流れる前記液化ガス燃料を気化させ、前記液化ガス燃料が気化することによる気化熱を利用して前記フィードパイプに流れる前記液化ガス燃料を冷却する構成を成しており、前記供給燃料温度制御部が前記冷却媒体供給パイプ開閉電磁弁を開閉制御することによって制御される、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置。
- 請求項13において、前記燃料タンクから前記燃料冷却器へ供給されて気化した前記液化ガス燃料は、前記コンプレッサーへ送出される、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置。
- 請求項1〜14のいずれか1項において、前記インジェクションポンプから送出された前記液化ガス燃料は、コモンレールへ供給され、該コモンレールから各燃料噴射ノズルへ送出される構成を成している、ことを特徴としたディーゼルエンジンの液化ガス燃料供給装置。
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