明 細 書 光合分波器、 光の合分波方法、 および、 光フィル夕 技術分野
本発明は、 光合分波器、 光の合分波方法、 および、 特定の波長の光を取り出す ことができる光フィル夕 (光スイッチ) に関連する。
背景技術
近年、 インターネット、 携帯電話、 動画像の送受信、 電子商取引等の普及によ つてマルチメディア社会が到来し、 光ファイバを用いた通信ネットワークの伝送 容量は増加の一途を迪つている。 このため、 低コストで大容量ィ匕が可能な情報伝 達方法として、 波長が異なる光にそれそれ異なった情報を付予し、 これら波長の 異なる光を多重し、 1本の光ファイバで伝送する波長多重伝送方式の伝送システ ムが採用されている。 この伝送システムでは、 光の合波 ·分波を行うフィル夕素 子や、 複数の波長を含む波長多重光から特定の波長の光を選択的に取り出すため に、 光フィル夕、 光スィッチ等が使用される。
このようなフィル夕素子として、 図 1に示されているような、 異なった波長の 光を反射する複数の干渉膜フィル夕 1 0 1、 1 0 2、 1 0 4を、 光ファイバを伝 送されてきた波長多重光 1 0 6の光路上に配置し、 各干渉膜フィルタ 1 0 1、 1 0 2、 1 0 4で特定波長え 1、 人 2、 え 3の光を反射し、 波長人 1、 え 2、 え 3 の単色光 1 0 8、 1 1 0、 1 1 2を得る構成の光分波器が知られている。
また、 図 2に示されているような、 ス夕一力ブラ 2 0 1と複数の干渉膜フィル 夕 2 0 2、 2 0 4、 2 0 6、 2 0 8を組み合わせた光分波器も知られている。 こ の光分波器では、 光ファイバを伝送されてきた波長多重光 2 1 0の光路上に光を 分岐させるスター力ブラ 2 0 1が配置され、 分岐された各光路に、 それそれが波 長 1 1、 え 2、 ぇ3、 人 4の光のみを選択的に透過する干渉膜フィル夕 2 0 2、
2 0 4、 2 0 6、 2 0 8が配置されている。
なお、 これらの構成は、 上述したような分波と逆の光路で使用することにより 、 単色光束を多重する光合波器として機能する。
このような構成の光分波器、 光合波器、 または、 光合分波器には、 多重させた 波長数と同数のフィル夕が必要であるため構成部品および組立に要する工程数が 多く、 さらに、 調整が複雑であるため高価になるという問題がある。 さらに、 ス 夕一力ブラを用いた光分波器では、 ス夕一力ブラによって多重光が分岐されるの で、 光強度が低下してしまうという問題もある。
また、 光フィル夕、 光スイッチとして、 マヅハヅエンダー干渉計型光導波路中 にグレ一ティングを配置した光フィル夕や、 このような光フィル夕に、 クロム、 銅などの金属蒸着膜を設けこれに電流を流して熱を発生させ、 光導波路を加熱す る薄 J3莫ヒ一夕を取付けた熱光学光スィツチ等が開発されている。
しかしながら、 上述した光導波路を備えた光フィル夕および光スィッチは、 製 作工程が煩雑であるため量産性に欠けるという問題がある。 また、 グレーティン グを製作する際には、 コアまたはクラヅドに数ミクロンあるいはそれ以上の精度 で周期的に切欠きを作ることが要求されるため、 コストが上昇するという問題が める。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、 構成部品および組立工程 数が少なく、 且つ、 複雑な調整を要しない光合分波器を提供することを目的とす る。
本発明は、 また、 製作が容易であり且つ取り出すことができる単色光の波長を 変更することができる光フィル夕を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明によれば、 中心から外周部に向かって屈折率が連続的に減少していく屈 折率分布型の光伝送部と、 前記光伝送部の軸線方向一端に設けられた波長多重光
用接続部と、 前記光伝送部の軸線方向他端に設けられた少なくとも 1つの単色光 用接続部と、 を備え、 前記波長多重光用接続部と前記単色光用接続部とは、 前記 波長多重光用接続部から前記光伝送部の一端側に入射した波長多重光に含まれる 単色光が、 前記光伝送部の他端側の前記単色光用接綜部が設けられた位置で前記 光伝送部から出射するような位置関係で、 前記光伝送部に配置されていることを 特徴とする光合分波器が提供される。
本発明の好ましい態様によれば前記光伝送部がプラスチックでできている。 本 発明の他の好ましい態様によれば、 前記光伝送部分を構成する材料のアッベ数の 差が 2 0以上である。
本発明のもう一つの好ましい態様によれば、 前記光伝送部が略円筒体であり、 前記波長多重光用接続部が、 前記光伝送部の軸線と平行に、 前記光伝送部の径方 向周辺部に設けられている。
本発明のもう一つの好ましい態様によれば、 前記光伝送部が略円筒体であり、 前記波長多重光用接続部が、 前記光伝送部の軸線に対して前記光伝送部の開口角 に近い角度、 傾斜して、 前記光伝送部の径方向中央部に設けられている。
本発明の別の好ましい態様によれば、 前記単色光用接続部が、 複数、 設けられ ている。
本発明の他の態様によれば、 中心から外周部に向かって屈折率が連続的に減少 していく屈折率分布型の光伝送部の軸線方向一端から、 複数の単色光が多重され た波長多重光を入射させ、 前記光伝送部内で、 各単色光に分波させ、 前記各単色 光を、 前記光伝送部の軸線方向他端の異なった位置から出射させる、 ことを特徴 とする光分波方法が提供される。
また、 本発明のもう一つの態様によれば、 中心から外周部に向かって屈折率が 連続的に減少していく屈折率分布型の光伝送部の軸線方向一端の異なった位置か ら複数の単色光を入射させ、 前記光伝送部内で、 前記複数の各単色光を合波させ
て波長多重光とし、 前記波長多重光を、 前記光伝送部の軸線方向他端から出射さ せる、 ことを特徴とする光合波方法が提供される。
さらに、 本発明のもう一つの態様によれば、 中心から外周部に向かって屈折率 が連続的に減少する屈折率分布型の光伝送部と、 前記光伝送部の軸線方向一端に 設けられた波長多重光用接続部と、 前記光伝送部の軸線方向他端に設けられた単 色光用接続部と、 を備えていることを特徴とする光フィル夕が提供される。 本発明の好ましい態様によれば、 前記光伝送部は、 屈折率の分布定数が温度に より変化するものであり、 前記光フィル夕は、 さらに、 前記光伝送部の温度を変 化させ、 前記波長多重光用接続部から前記光伝送部に入射した波長多重光に含ま れる単色光の前記光伝送部からの出射位置を変化させ、 該単色光の何れかを選択 的に前記単色光用接続部に入射させる温度変更手段を備えている。
このような構成を有する光フィル夕によれば、 光伝送部の温度を変化させるこ とにより、 単色光用接続部に導かれる単色光の波長が変更されるので、 簡単な構 成で、 選択的に取り出すことができる光の波長を変更できる。
本発明の好ましい態様によれば、 前記光伝送部がプラスチックでできている。 本発明の他の好ましい態様によれば、 前記光伝送部分の屈折率分布の温度依存性 の定数が 5 X 1 0 _5以上である。 本発明のもう一つの好ましい態様によれば、 前記光伝送部が略円筒体であり、 前記波長多重光用接続部が、 前記光伝送部の軸 線と平行に、 前記光伝送部に接続されている。 本発明のもう一つの好ましい態様 によれば、 前記温度変更手段がベルチェ素子を備えている。
図面の簡単な説明
図 1は、 従来の光分波器の構成を示す図面である。
図 2は、 従来の光分波器の構成を示す図面である。
図 3は、 本発明の第 1の実施形態の光分波器の構成、 作用を示す概略的な側面 図である。
図 4は、 本発明の第 1の実施形態の変型例の光分波器の構成を示す概略的な側 面図である。
図 5は、 図 4の光分波器に使用されるフォトディテクタアレイの概略的な斜視 図である。
図 6は、 本発明の第 1の実施形態の光分波器の原理を説明するための図面であ る。
図 7は、 本発明の第 1の実施形態の光分波器の効果を説明する図面である。 図 8は、 本発明の第 2の実施形態の光フィル夕の構成を示す概略的な斜視図で ある。
図 9は、 本発明の光フィル夕の実施例の構成、 作用を示す概略的な側面図であ る。
図 10は、 本発明の光フィル夕の実施例の原理を説明するための図面である。 図 11は、 本発明の光フィル夕の実施例の伝送部の屈折率分布の温度依存性を 示すグラフである。
発明を実施するための最良の形態
以下、 図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。 図 3は、 本発明の第 1の実施形態の光分波器 1の構成を概略的に示す図面である。 図 3に 示されているように、 光分波器 1は、 光分波部 2を備えている。 この光分波部 2 は、 略円筒状であり中心軸線 cから周辺部に向かって屈折率が連続的に減少する 屈折率分布型の光伝送部である。 本実施形態では、 光分波部 2の屈折率 nは、 下 記の式 (1) で近似される分布状態にある。
n (r) =η0χ (l-g2xr2/2) ……式 (1)
n。:中心軸 c上の屈折率、
g:屈折率分布定数
r:中心軸 cからの半径方向の距離
光分波部 2は、 例えば、 イオン交換法等を用いて無機ガラスから製造された光 伝送部、 または、 プラスチックで製造された光伝送部等である。 なお、 光分波部 2は、 その外周がクラヅド層 (図示せず) で覆われ、 軸線方向一端側 (図 3の左 側) から入射した光が、 光分波部 2内を伝播されて軸線方向他端側 (図 3の右側 ) から出射するように構成されている。
また、 後述するように、 本実施形態においては、 光の波長によって光分波部 2 の屈折率分布状態が異なることを利用して、 光の合分波を行う。 このため光の波 長による屈折率分布状態の差が大きくなるように、 光分波部 2を構成する材料と しては、 アッベ数の差が大きな材料を用いることが好ましい。 アッベ数の差は 2 0以上であることが好ましく、 5 0以上であることがより好ましい。 アッペ数の 差は大きい程好ましいが、 通常は 8 0以下である。
光分波器 1は、 波長多重光用接続部として、 波長多重光 4を伝送する光フアイ バ 6が接続される入射側接続部 8を、 光分波部 2の軸線方向一端側に備えている 。 入射側接続部 8は、 光線が光分波部 2の中心軸線と略平行に光分波部 2の外周 部 (径方向周辺部) に入射するように、 光分波部 2の中心軸線と略平行に光分波 部 2の外周部に配置されているのが好ましい。
光分波器 1に接続される光ファイバ 6としては、 石英ガラス製のガラス光ファ イノ^ または、 ポリメ夕クリル酸メチル、 ポリスチレン、 ポリカーボネートなど のプラスチックからなるプラスチック光ファイバ等が使用される。
接続される光ファイバ 6の屈折率分布は、 特に限定されるものではなく、 ステ ヅプインデックス (S I ) 型フ 、 グレーディヅドインデックス (G I ) 型 ファイノ 等の公知の光ファィ が光ファイノ 6として使用可能である。
さらに、 光分波器 1は、 光分波部 2の軸線方向他端側に、 単色光用接続部とし て、 単色光が出射される出射側接続部を備えている。 本実施形態では、 この出射 側接続部は、 透明樹脂で形成されたプリズム 1 0に形成されている。 プリズム 1
0は、 光分波部 2の他端面の異なった出射位置 (r 2 1、 r 2 2、 r 2 3 ) から 出射される 3種類の波長の単色光 (入 1、 入2、 A 3 ) が入射するように、 光分 波部 2の他端面に連結されている。 光分波部 2から入射した単色光が出射するプ リズム 1 0の面には、 出射した単色光が入射する 3本の光ファイバ 1 2、 1 4、 1 6が接続される出射側接続部 1 8、 2 0、 2 2が配置されている。 従って、 接 続される光ファイバが出射側接続部を構成するものであってもよい。
入射側接続部 8および出射側接続部 1 8、 2 0、 2 2における接続構造は、 特 に限定されるものではなく、 公知の種々の構造が適用される。 例えば、 光分波部 2と、 波長多重光を出射する光源、 単色光を受光する受光素子、 または、 光ファ ィノ 等との間に透明樹脂を充填した接続構造がある。
また、 プリズム 1 0に代えて、 出射側接続部を形成する樹脂またはその成形品 等を配置してもよい。 さらに、 図 4に示されているように、 出射した単色光が入 射する光ファイバ 1 2、 1 4、 1 6に代えて、 複数の受光素子 (フォトディテク 夕) 2 4が配列されたフォトディテクタアレイ 2 6 (図 5 ) を配置した構成でも よい。 このとき、 受光素子 2 4が各波長の光の出射位置に対応した位置に配置さ れ、 これら受光素子 2 4の位置が出射側接続部となる。
本実施形態の光分波器 1は、 3種類の波長の単色光 (入 1、 入 2、 え 3 ) が多 重された波長多重光 4を各波長の単色光に分波するための装置である。 光分波器 1では、 入射側接続部 8から光分波部 2に入射した光は、 光分波部 2内を一定の 周期を持って蛇行しながら伝播される。 光分波部 2では、 中心軸線 cから周辺部 に向かって屈折率 nが連続的に減少しているので、 入射した光が、 波長多重光で あるときには、 波長の相違による屈折率の差によって、 径方向の屈折率が異なり 、 各波長の光がずれて異なる経路で伝播されることになる。 この結果、 図 3、 図 4に示されているように、 入射した光が波長多重光であるときには、 各単色光 ( 入 1、 人 2、 A 3 ) は、 波長によって異なる蛇行周期を持って伝播され、 波長毎
に異なった出射位置 (r 21、 r22、 r 23) で光分波部 2から出射する。 上記の式 (1)で略近似される屈折率分布状態を有する光分波部 2での光線マ トリクスは、 次式 (2)で与えられる。 r2 、 cos(gZ) sin(gZ)/ng 、 r1、
式 (2)
Θ2, -ng-sin(gZ) cos(gZ) θν
ここで、 nlは中心軸 c上の屈折率、 glは屈折率分布定数を示し、 Zは光分 波部 2の長さ、 r 1は光分波部 2の軸線方向一端面への光線 28の入射位置、 Θ 1は光分波部 2の軸線方向一端面への光線 28の入射角度 ( r a d )、 r 2は光 分波部 2の軸線方向他端面からの光線 28の出射位置、 02は光分波部 2の軸線 方向他端面からの光線 28の出射角度 (rad) を表す。 (図 6)
上記式 (2) から、 出射端面 (他端面) での光線の出射位置は、 屈折率分布定 数 gと屈折率 nに応じて変化することがわかる。 この結果、 図 3に示されている ように、 光分波部 2の一端面の同一入射位置 (半径方向位置) rから複数の異な つた波長え 1、 え 2、 え 3の光線が入射したときには、 各光線に対する屈折率分 布定数 gと屈折率 nとが異なるため、 光分波部 2の他端面での各光線の出射位置 r 21, r 22s r 23が異なる。
光分波器 1は、 この現象を利用して波長多重光 4の分波を行うものである。従 つて、 本実施形態の光分波器 1では、 入射側接続部 8の位置 (中心軸 cからの距 離) rと、 出射側接続部 1' 8、 20、 22の位置は、 入射側接続部 8から光分波 部 2に入射された 3波長 (え 1、 え 2、 A3) が多重された波長多重光 4が、 光 分波部 2内で波長毎の屈折率の差によって分波され、 各波長 (え 1、 え 2、 ぇ3 ) の単色光が、 出射側接続部 18、 20、 22から 3本の光ファイバ 12、 14 、 16のそれそれに入射するような位置関係に設定されている。
入射側接続部 8を、 光線が光分波部 2の外周部で光分波部 2に入射するように 配置することにより、 各波長毎の光路を大きくずらすことができるので、 光分波 部 2から単色光の出射位置 r 21、 r 22、 Γ 23、 および、 出射側接続部 18 、 20、 22を互いに離すことができる。 この結果、 光分波部 2から出射された 単色光毎の検出が容易になる。 このため、 光分波部 2の中心軸と平行に波長多重 光を入射させるときには、 光分波部 2に対する入射側接続部 8の取付け位置 rを 、 できるだけ外周側に設けることが好ましい。 一方、 入射側接続部 8の取付け位 置を光分波部 2の中心軸 (径方向中心部) またはその近傍に設けるときには、 入 射側接続部 8を光分波器 2の軸線に対して開口角に近い角度傾け、 光分波部 2の 閧口角に近い角度で光分波部 2に光を入射させることが好ましい。
例えば、 上記実施形態の光分波器 1において、 光分波部 2を直径 lmm、 長さ (Z) 5. 37 mmとする。 そして、 その一端面上の中心 cから 0. 45 mm離 れた位置 (即ち: Γ = 0. 45 mm) に、 3波長 (え 1 = 470 nm、 え 2 = 52 5nm、 え 3 = 630nm) が多重された波長多重光を入射させる。 ここで、 光 分波部 2の各波長人 1ないしえ 3に対する屈折率分布定数 g丄ないし g 3が、 そ れそれ、 g,= . 902、 g2=0. 89 1、 g3 = 0. 878、 各波長え 1な いしえ 3に対する中心軸 c上での屈折率 ないし n3が、 それそれ、 1^= 1. 5 18、 n2= l . 513、 n3= 1. 510であるとする。 光分波部 2の他端 面で、 各波長 (入 1 = 470 nm、 え 2 = 525 nm、 え 3 = 630 nm) の単 色光は、 それそれ、 異なった位置で光分波部 2を出射する (図 3参照) 。 具体的 には、 波長え 1の光は中心軸線 cから 0. 06 mm離れた位置 r 2 1で、 え 2の 光は中心軸線 cから 0. 03 mm離れた位置 r 22で、 人 3の光は中心軸線 c上 の位置 r 23で、 それそれ、 光分波部 2から出射し、 光分波部 2の出射端面上で 図 5に示されるような強度 Iのスぺクトル分布を示す。 従って、 出射側接続部 1 8、 20、 22でも、 分波された単色光を得ることができる。
また、 本実施形態の光分波器 1において、 上記実施形態の単色光用 (出射側) 接続部 1 8、 2 0、 2 2に、 それそれ、 波長え 1、 え 2、 え 3の単色光源を配置 して、 これらの出射側接続部を入射側接続部として利用し、 波長多重光接続部で ある入射側接続部 8にフォトディテクタ等を配置して、 上記実施形態の入射側接 続部を出射側接続部として利用することで、 光分波器 1を波長え 1、 ぇ2、 ぇ3 の単色光からこれらが多重された波長多重光を得る光合波器として機能させるこ とができる。
このような構成を有する本実施形態の光分波器によれば、 複雑な構成および光 部品を用いることなく、 簡単な構成で、 波長多重光からの特定の波長の光を分離 、 または、 複数の異なる波長の光の合波を容易に行うことができる。 また、 この 構成によれば、 ス夕一力ブラ等の光を分岐させる素子を用いる必要がないので、 光強度の減衰を抑制できる。
上記第 1の実施形態の光分波器 1は、 波長多重光に含まれる全ての単色光を取 り出すものであつたが、 本発明は、 波長多重光に含まれる少なくとも 1つの単色 光を取り出すものであってもよい。
次に 本発明の第 2の実施形態の説明をする。 図 8は、 本発明の好ましい実施 形態の光フィル夕 (光スイッチ) 1の構成を概略的に示す斜視図である。
図 8に示されているように、 光フィル夕 5 1は、 基板 5 2上に取付けられた光 伝送部 5 4を備えている。 光フィル夕 5 1は、 更に、 光伝送部 5 4の一端 (入射 ) 側に配置され波長多重光を入射させる入射側光ファイバ 5 6と、 光伝送部 5 4 の他端 (出射) 側に配置されたプリズム 5 8と、 プリズム 5 8に接続された出射 側光ファイバ 6 0と、 光伝送部 5 4の温度を調節する温度調整器 1 2を備えてい る。 入射側光ファイバ 5 6は、 光伝送部 5 4の中心軸と平行に光伝送部 5 4に接 続されている。
本実施形態では、 温度調節器 6 2として、 ペルチヱ素子を使用している。 ペル
チェ素子は、 加熱および冷却を効果的に行うことができるの好ましい。 しかしな がら、 ヒー夕等の他の加熱手段又は冷却手段を用いても良い。
光伝送部 5 4を均一に加熱または冷却するため、 光フィルタ 5 1、 特に光伝送 部 5 4を、 他の樹脂で封止するか、 温度調節器 6 2を筒状に形成し、 その中に光 伝送部 5 4を配置するのが好ましい。
光伝送部 5 4は、 略円筒状であり中心軸線 cから周辺部に向かって屈折率が連 続的に減少する屈折率分布型の光伝送部である。 本実施形態では、 光伝送部 5 4 の屈折率 nは、 式 (1 ) で近似される分布状態にある。
n ( r ) 二 n。x ( l - g 2 x r 2/ 2 ) ……式 (1 )
n。 :中心軸 c上の屈折率、
g :屈折率分布定数
r :中心軸 cからの半径方向の距離
光伝送部 5 4は、 イオン交換法等を用いて無機ガラスから製造された光伝送部 、 または、 プラスチヅクで製造され、 その外周がクラヅド層 (図示せず) で覆わ れた光学部品である。 光伝送部 5 4は、 入射側光ファイバ 5 6を経て軸線方向一 端側 (図 8の右側) から入射した光を、 図 8に矢印 Aで示すように、 光伝送部 5 4内を蛇行させながら伝播して軸線方向他端側 (図 8の左側) から出射させる。 入射する光が波長多重光 6 4であるときには、 中心軸上の屈折率 n。と屈折率 分布定数 gの波長分散に起因する色収差により、 各単色光には、 波長によって少 しづつ異なる屈折率分布が与えられる。 この結果、 光伝送部 5 4に入射した波長 多重光 6 4に含まれる各波長 (λ 1、 え 2、 ぇ3 ) の単色光6 6、 6 8、 7 0は 、 光伝送部 5 4内で異なる蛇行周期 (経路) を有する。 このため、 光伝送部 5 4 の一端側の入射した波長多重光 6 4は、 これに含まれる各波長 (え 1、 え 2、 え 3 ) の単色光は、 波長毎に、 単色光 6 6、 6 8、 7 0に分波され、 各単色光は、 光伝送部 5 4の他端側の異なつた位置から異なつた角度で出射する。
屈折率は、 温度により変化する。 円筒体である光伝送部 5 4においては、 半径 方向に沿って屈折率の温度依存性 (温度変化に対する変化量) が変化しているた め、 屈折率分布定数 gも温度に依存して変ィ匕することになる。 従って、 光伝送部
5 4の温度を変化させることにより、 光伝送部 5 4から光の出射位置を変化させ ることができる。
屈折率の変化の程度は、 材料の熱膨張係数に依存する傾向があり、 小さい温度 変ィ匕で大きく屈折率を変化させようとするする場合には、 プラスチック製の光伝 送部を用いることが好ましい。 また、 屈折率分布定数を大きく変化させようとす る場合は、 中心部と外周部とで構成材料の熱膨張係数の差を大きくとることが好 ましい。 光伝送部 5 4としては後述する屈折率分布の温度依存性の定数が、 5 X 1 0一5以上であるものを用いることが好ましい。
本実施形態の光フィル夕 5 1は、 温度調節器 6 2によつて光伝送部 5 4の温度 を第 1の温度としたときに、 光伝送部 5 4に入射した波長多重光 6 4に含まれる 第 1の波長 ( λ 1 ) の単色光 6 6が、 出射側光ファイバ 6 0に入射するように構 成されている。 また、 温度調節器 6 2によって光伝送部 5 4の温度を第 2の温度 としたときに、 図 8に示されているように、 光伝送部 5 4に入射した波長多重光
6 4に含まれる第 2の波長 ( λ 2 ) の単色光 6 8が、 出射側光ファイバ 6 0に入 射するように構成されている。 さらに、 温度調節器 6 2によって光伝送部 5 4の 温度を第 3の温度としたときに、 光伝送部 5 4に入射した波長多重光 1 4に含ま れる第 3の波長 (人 3 ) の単色光 7 0が、 出射側光ファイバ 6 0に入射するよう に構成されている。 従って、 本実施形態では、 光伝送部 5 4の温度を温度調節器 6 2で、 第 1、 第 2又は第 3の温度にすることによって、 出射側光ファイバ 6 0 に入射させる光の波長を選択的に変更することができる。
光伝送部 5 4に接続される光ファイバ 5 6、 6 0としては、 石英ガラス製のガ ラス光ファイバ、 または、 ポリメ夕クリル酸メチル、 ポリスチレン、 ポリカーボ
ネートなどのプラスチックからなるプラスチック光ファイバ等が使用される。 接続される光ファイバ 5 6、 6 0の屈折率分布は、 特に限定されるものではな く、 ステップインデックス (S I ) 型フアイノ^ グレーディヅドインデックス ( G I ) 型ファイバ等の公知の光ファイバが光ファイバ 5 6、 6 0として使用可能 である。
このような構成を有する本実施形態の光分波器によれば、 複雑な構成および光 部品を用いることなく、 簡単な構成で、 波長多重光からの特定の波長の光を分離 することができ、 且つ、 分離することができる波長を容易に変更できる。
本発明は、 上記実施形態に限定されず特許請求の範囲に記載した範囲内で種々 の変更、 変形が可能である。
次に、 図 9ないし図 1 1に沿って、 本発明の光スイッチの一実施例を説明する 。 図 9は、 本発明の一実施例の光フィル夕 1 5 1の概略的な構成を示す平面図で ある。 光スィッチ 1 5 1は、 出射側にプリズムが設けられていない点を除いて、 基本的な構成は上記第 2の実施形態の光フィル夕 5 1と同一である。 したがって 、 光フィル夕 5 1の構成要素と対応する構成要素には、 光フィル夕 5 1の構成要 素と同一の 1 0 0番台の参照番号を付す。
光フィル夕 1 5 1では、 直径 l mm、 長さ 8 . 7 3 mmの屈折率分布型のブラ スチック製の光伝送部 1 5 4の中心車由 cから距離 r ( 0 . 4 5 mm) の位置に、 入射側光ファイバ 1 5 6である石英ガラス製のシングルモード光ファイバが、 中 心軸 cと平行になるように端面接続されている。 又、 温度調節器 1 6 2としては 、 ペルチェ素子が使用されている。 入射側光ファイバ 1 5 6から入射させる波長 多重光 1 6 4は、 ぇ 1 = 1 2 8 5 . 4 nm、 え 2 = 1 5 2 3 . 6 nmの単色光が 多重されたものである。 光伝送部 1 5 4の温度を 2 0 °Cとしたときの、 波長え 1 に対する光伝送部 1 5 4の屈折率分布定数 g 1は、 0 . 5 4 3であり、 波長え 2 に対する光伝送部 1 5 4の屈折率分布定数 g 2は、 0 . 5 4 0である。 さらに、
波長え 1に対する中心軸 c上の屈折率 n lは 1 . 4 9 7、 波長え 2に対する中心 軸 c上の屈折率 n 2は 1 . 4 9 3である。
上記の式 (1 ) で略近似される屈折率分布状態を有する光伝送部 1 5 4での光 線マトリクスは、 次の式 ( 2 ) で与えられる。
式 (2)
ここで、 nは中心軸 c上の屈折率、 gは屈折率分布定数を示し、 Zは光伝送部 1 5 4の長さ、 : Γ 1は光伝送部 1 5 4の軸線方向一端面への光線 Pの入射位置と 中心軸 cとの距離、 θ 1は光伝送部 1 5 4の軸線方向一端面への光線 Ρの入射角 度 ( r a d )、 r 2は光伝送部 1 5 4の軸線方向他端面からの光線 Pの出射位置 と中心軸 cとの距離、 Θ 2は光伝送部 1 5 4の軸線方向他端面からの光線 Pの出 射角度 (r a d ) を表す (図 1 0参照) 。
上記式 (2 ) から、 出射端面 (他端面) での光線の出射位置は、 屈折率分布定 数 gと屈折率 nに応じて変化することがわかる。 この結果、 図 9に示されている ように、 光伝送部 1 5 4の一端面の同一入射位置 (半径方向位置) rから複数の 異なった波長え 1、 え 2を含む波長多重光 1 6 4が入射したときには、 各波長に 対する屈折率分布定数 gと屈折率 nとが異なるため、 光伝送部 1 5 4の他端面で の各光線 1 6 6、 1 6 8の出射位置と中心軸 cとの距離 r 2 1、 ; r 2 2が異なる 本実施例では、 上記温度条件では、 え 1 = 1 2 8 5 . 4 nmの単色光は r 2 1 = 0 . 0 1 mm、 人 2 = 1 5 2 . 6 nmの単色光は r 2 2 = 0 . 0 0 mmの位置 から出射し、 え 2の単色光 1 6 8が出射側光ファイバ 1 6 0に入射する。
図 1 1は、 屈折率分布側の光伝送部 1 5 4の屈折率分布の温度依存性を示すグ
ラフである。 図 1 1に示されているように、 本実施例の光伝送部 154の屈折率 分布定数の温度依存性の係数は、 6. Ox 10一5/。 Cである。 従って、 光伝送 部 154の温度を 70°Cに設定すると、 波長; 11、 入2の光線に対する屈折率分 布定数は、 それそれ、 g l = . 540、 g 2 = 0. 537となり、 波長入 1、 λ 2の光線の出射位置と中心軸 cとの距離は、 r 2 1 = 0. 00 mm、 r 22 = — 0. 01 mmに変化する。 この結果、 出射側光ファイバ 160に入射する光は 、 光伝送部 154の温度が 20°Cの場合の波長え 2の単色光から、 人 1の単色光 に切り替わることになる。 このように、 温度調節器 162によって、 光伝送部 1 54の温度を変化させることで、 取り出すことができる光の
波長を変更することができる。
以上のように、 本発明によれば、 構成部品および組立工程数が少なく、 且つ、 複雑な調整を要しない光合分波器等が提供される。
以上のように、 本発明によれば、 製作が容易であり且つ取り出すことができる 単色光の波長を変更することができる光フィル夕が提供される。